JP2022184638A - ひずみセンサ、及びひずみセンサシステム - Google Patents

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Zymelka Daniel
健 小林
Takeshi Kobayashi
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Abstract

【課題】方向に依存しないひずみ検出と、温度変化の補償を兼ね備えたひずみセンサを提供する。【解決手段】ひずみセンサは、ひずみ感知材料で形成された、放射状に延びる4以上のひずみ感知エレメントと、前記4以上のひずみ感知エレメントのそれぞれに接続される電極と、を有し、前記電極の選択により、前記4以上のひずみ感知エレメントの中から、異なる4つの方向に延びる4つのひずみ感知エレメントの組が選択可能である。【選択図】図1A

Description

本発明は、ひずみセンサ、及びひずみセンサシステムに関し、特に、方向に依存しないひずみ検出と、温度変化の補償を兼ね備えたひずみセンサに関する。
ひずみセンサは、物体のひずみを測定するために、さまざまな分野で用いられている。ひずみセンサを用いることで、引張、圧縮、曲げ、トルク、振動などの機械的変形の影響下で、材料の耐久性の評価や、構造物の潜在的欠陥の検出が可能になる。一般的なひずみゲージの動作原理は、機械的な力を電気信号(電気抵抗など)の変化に変換し、その変化を検出してひずみを算出する。
一軸性のひずみゲージは、ひとつの方向のひずみだけを検出し、温度変動の影響を受けやすい。一軸性のひずみゲージは、最大ひずみ方向が未知の場合に、使用が難しい。一軸性のひずみゲージを用いた解析では、温度変動だけではなく、最大ひずみ方向に対するセンサの向きのずれが、解析結果に大きく影響する。最大ひずみ方向が未知の場合、通常はロゼットひずみゲージが用いられる。ロゼットひずみゲージは、異なる方向を向いた3つのひずみゲージを組み合わせたゲージであり、連立方程式を解くことで最大ひずみの方向が得られる。ロゼットひずみゲージは、複数方向のひずみを測定できるが、独立したひずみゲージの組み合わせであり、温度変化の影響を受けやすい。また、消費電極が大きい。
複数の延伸部を有する放射状のパターンを2個の端子に接続した、方向に依存しないひずみセンサが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このひずみセンサは、2つの端子の間に1つの抵抗をもつ等価回路で表わされ、温度補償機能を有しない。一方、温度補償機能をもつフルブリッジ型のひずみセンサが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
特開2018-133398号公報
上記のフルブリッジ型のひずみセンサは、励起電圧が印加される2つの電極と、出力電圧を取り出す2つの電極を有し、ホイートストンブリッジ回路を構成する。しかし、ホイートストンブリッジ回路を形成するひずみゲージの4つの電極は固定されており、1つの方向にしかひずみを検出できない。ユーザは最大ひずみ方向を特定して測定方向を決めなければならない。
本発明は、方向に依存しないひずみ検出と、温度変化の補償を兼ね備えたひずみセンサを提供することを目的とする。
本発明の一つの態様では、ひずみセンサは、
ひずみ感知材料で形成された、放射状に延びる4以上のひずみ感知エレメントと、
前記4以上のひずみ感知エレメントのそれぞれに接続される電極と、
を有し、前記電極の選択により、前記4以上のひずみ感知エレメントの中から、異なる4つの方向に延びる4つのひずみ感知エレメントの組が選択可能である。
方向に依存しないひずみ検出と、温度変化の補償を兼ね備えたひずみセンサが実現される。
実施形態のひずみセンサの構成例を示す図である。 実施形態のひずみセンサの別の構成例を示す図である。 実施形態のひずみセンサの電極選択の例を示す図である。 実施形態のひずみセンサの電極選択の例を示す図である。 実施形態のひずみセンサの電極選択の例を示す図である。 ひずみセンサで形成されるホイートストンブリッジ回路を示す図である。 ひずみセンサの全体形状の一例を示す図である。 図4のひずみセンサが取り得る測定方向を示す図である。 実施形態のひずみセンサシステムの模式図である。 実際に作製されたひずみセンサの外観図である。 作製したひずみセンサを用いたひずみ測定の態様を示す図である。 作製したひずみセンサを用いた曲げ測定の実験セットアップと、測定結果を示す図である。 作製したひずみセンサを用いたねじれ測定の実験セットアップと、測定結果を示す図である。
実施形態では、方向に依存しないひずみ検知と温度変化に対する補償を兼ね備えたひずみセンサ、及びこれを用いたひずみセンサシステムを提供する。以下の説明で、同じ構成要素には同じ符号を付けて重複する説明を省略する場合がある。
<ひずみセンサの基本構成>
図1Aは、実施形態のひずみセンサ10Aの模式図である。ひずみセンサ10Aは、ひずみ感知材料で形成された放射状に延びる複数のひずみ感知エレメント15Aを有する。この例では、8つのひずみ感知エレメント15Aが設けられ、各ひずみ感知エレメント15Aに、電極13と、電極13から引き出される配線12が設けられている。電極13を選択することにより、8つのひずみ感知エレメント15Aの中から、互いに異なる方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15Aを選択することができる。
図1Aの構成では、互いに直交する方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15Aが選択される。この明細書及び特許請求の範囲で「互いに直交する」というときは、選択された4つのひずみ感知エレメント15Aが厳密に90°の角度をなしている必要はなく、許容誤差を含めて90°に近い角度で配置されていればよい。選択されるひずみ感知エレメントの間の角度は、80°から100°、好ましくは85°から95°の範囲であってもよい。
互いに異なる方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15Aを用いることで、電極間に4つの抵抗がブリッジされた、方向に依存しないフルホイートストンブリッジ回路が構成される。近接した4つの抵抗をブリッジしたホイートストンブリッジ回路により、温度変動が補償される。4つのひずみ感知エレメント15Aの組を選択可能にすることで、温度変化が補償された状態で、複数方向のひずみ検出が可能になり、全方向性の安定したひずみ検出が実現される。
8つのひずみ感知エレメント15Aのすべてに電極13が設けられているが、ある方向の測定を行う際には、4つの電極13だけが選択的に使用される。4つの電極13は、励起電圧(Vex+とVex-)を印可する2つの入力電極と、出力電圧(Vout+とVout-)を取り出す2つの出力電極を含む。これらの4つの電極13は、ホイートストンブリッジ回路の入出力端子となる。ホイートストンブリッジ回路の詳細は後述する。
ひずみセンサ10Aを全方向センサとして動作させるには、4つの電極13の組を順次選択する新たな仕組みが必要である。異なる電極13の組を選択することで、ひずみセンサ10の設計で決まる測定可能なすべての方向でひずみ検出が行われる。このひずみセンシングにおいて、電極13の組をどのようにして選択するかが一つの特徴である。電極13の選択構成の詳細は後述する。
8つのひずみ感知エレメント15Aは、中心に対して点対称のスノーフレーク型の閉ループで形成されている。8つのひずみ感知エレメント15Aは、周方向に等角度で配置されていてもよい。ひずみ感知エレメント15Aを周方向に等角度で配置することで、互いに直交する4つのひずみ感知エレメント15Aが選択しやすくなる。
ひずみ感知エレメント15Aは、基板11の上にひずみ感知材料で形成されている。基板11は、測定対象のひずみ変形に追従して変形可能なフレキシブル基板である。フレキシブル基板の材料として、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーン、ポリエステル等を用いることができる。
ひずみ感知材料は、ひずみ変形に対して抵抗値が変化する導電性材料であり、グラファイトなどのカーボン系材料、合金材料、導電性のポリマー材料、導電性複合材料などを含む。この例で、ひずみ感知エレメント15はカーボン系材料を用いて、細長いU字が8方向に延びるスノーフレークパターンに形成されている。
電極13は、ひずみ感知エレメント15Aの先端に設けられ、ひずみ感知エレメント15との間に電気的な接続が形成されている。電極13と配線12は、銀、金、銅、バラジウム、ニッケル、プラチナ、タングステンなどの良導性の材料で形成されている。各電極13から配線12が引き出され、図1Aの例では、トータル8本の配線12が引き出されている。電極13と反対側の配線12の端部は、後述するように、電極選択用の端子に接続されている。8つのひずみ感知エレメント15Aの中から、互いに異なる方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15Aの組を4通りに選択することで、4つの方向のひずみを測定できる。ここでは、互いに180°逆向きの2つの方向を、ひとつの方向としてカウントしている。正方向か負方向かの違いのみで、ひずみの大きさの絶対値は同じだからである。
図1Bは、ひずみセンサ10Bの模式図である。ひずみセンサ10Bは、ひずみ感知材料で形成された放射状に延びる16本のひずみ感知エレメント15Bを有する。各ひずみ感知エレメント15Bの先端に電極13が設けられ、各電極13から配線12が引き出される。電極13を選択することにより、16本のひずみ感知エレメント15Bの中から、互いに直交する4つのひずみ感知エレメント15Bの組が、8通りに選択可能である。したがって、8方向のひずみ測定が可能である。
ひずみ感知エレメント15Bは、ひずみ感知エレメント15Aと同様に、中心に対して点対称のスノーフレーク型の閉ループで形成されている。16本のひずみ感知エレメント15Bは、周方向に等角度、すなわち22.5°の間隔で配置されている。ひずみ感知エレメント15Bの材料、電極13と配線12の材料、基板11の材料等は、図1Aのひずみセンサ10Aと同様である。
図1Aと図1Bの構成例で、基板11は、ひずみ感知エレメント15Aまたは15B(以下、適宜「ひずみ感知エレメント15」と総称する)のパターンが形成された円形の領域と、配線12が形成された帯状の領域を有するが、この例に限定されない。長方形、正方形、多角形、楕円形などの基板11に、ひずみ感知エレメント15と、電極13及び配線12のパターンを形成してもよい。
図2A、図2B、及び図2Cは、ひずみセンサ10の電極選択の例を示す。説明をわかりやすくするために、放射状のひずみ感知エレメント15に、1から16の番号を反時計回りに付けている。図2Aで、互いに逆方向に延びる2番と10番のひずみ感知エレメント15と、これらのひずみ感知エレメントと直交する6番と14番のひずみ感知エレメント15が選択されている。
2番のひずみ感知エレメント15の電極13(図1B参照)にVex+が印加され、10番のひずみ感知エレメント15の電極13にVex-が印加される。14番のひずみ感知エレメント15の電極13から、出力電圧Vout+が取り出され、6番のひずみ感知エレメント15の電極13から、出力電圧Vout-が取り出される。
2番、6番、10番、14番のひずみ感知エレメント15が選択されるときは、図の双方向矢印で示すように、2番と14番の間の方向(16番の方向)、または6番と10番の間の方向(8番の方向)に、最大のひずみ感度を示す軸を有する。
図2Bで、互いに逆方向に延びる1番と9番のひずみ感知エレメント15と、これらと直交する5番と13番のひずみ感知エレメント15が選択されている。1番のひずみ感知エレメント15の電極13にVex+が印加され、9番のひずみ感知エレメント15の電極13にVex-が印加される。13番のひずみ感知エレメント15の電極13から、出力電圧Vout+が取り出され、5番のひずみ感知エレメント15の電極13から、出力電圧Vout-が取り出される。
1番、5番、9番、13番のひずみ感知エレメント15が選択されるときは、図の双方向矢印で示すように、1番と13番の間の方向(15番の方向)、または5番と9番の間の方向(7番の方向)に、最大のひずみ感度を示す軸を有する。
図2Cで、互いに逆方向に延びる16番と8番のひずみ感知エレメント15と、これらと直交する4番と12番のひずみ感知エレメント15が選択されている。16番のひずみ感知エレメント15の電極13にVex+が印加され、8番のひずみ感知エレメント15の電極13にVex-が印加される。12番のひずみ感知エレメント15の電極13から出力電圧Vout+が取り出され、4番のひずみ感知エレメント15の電極13から出力電圧Vout-が取り出される。
16番、4番、8番、12番のひずみ感知エレメント15が選択されるときは、図の双方向矢印で示すように、16番と12番の間の方向(14番の方向)、または4番と8番の間の方向(6番の方向)に、最大のひずみ感度を示す軸を有する。
以下、順次、互いに直交する4つのひずみ感知エレメント15の組を選択することで、選択されたVex+とVout+の間の方向、または、Vex-とVout-の間の方向のひずみを検知することができる。
図3は、ひずみセンサ10で形成されるホイートストンブリッジ回路を示す。Vex+とVex-は、電源40に接続されている。Vout+とVout-は、出力測定モジュール31に接続されている。
図3の矢印の方向にひずみが生じているとき、励起電圧Vex+が印加される電極13と、出力電圧Vout-が取り出される電極13の間に接続されているひずみ感知エレメント15に引張応力がかかって、線幅がわずかに減少する。抵抗値は、ひずみのない状態での抵抗値R1から、ΔRだけ増大する。同様に、励起電圧Vex-が印加される電極13と、出力電圧Vout+が取り出される電極13の間に接続されているひずみ感知エレメント15に引張応力がかかって、線幅がわずかに減少する。抵抗値は、ひずみがない状態での抵抗値R3から、ΔRだけ増大する。
他方、励起電圧Vex+が印加される電極13と、出力電圧Vout+が取り出される電極13の間に接続されているひずみ感知エレメント15の線幅はわずかに広がり、抵抗値は、ひずみのない状態での抵抗値R4から、ΔRだけ減少する。同様に、励起電圧Vex-が印加される電極13と、出力電圧Vout-が取り出される電極13の間に接続されているひずみ感知エレメント15の抵抗値は、ひずみのない状態での抵抗値R2から、ΔRだけ減少する。
ホイートストンブリッジ回路を形成する4つの抵抗が互いに近接して配置されているとき、4つの抵抗は同じ温度変化を受ける。ひずみセンサ10のひずみ感知エレメント15は、同じ基板11上に近接して配置され、どの電極13の組が選択されても、同じ温度変化を受ける。選択される電極13の組に拠らず、すべてのひずみ感知エレメント15が同じ温度変化を受ける場合、ひずみセンサ10で構成されるホイートストンブリッジ回路は、温度変動の補償機能を備えているといえる。ひずみセンサ10が受ける外部変化は温度変化に限らず、湿度変化、気候変化などもあるが、これらの外部変化の影響も同様に補償され得る。
ひずみ感知エレメント15は、同一の線幅で同一の形状に形成されており、ひずみのない状態で、R1=R2=R3=R4=R0に設定されている。R0はひずみがないときの抵抗値である。力が加わる前の出力電圧Vは、
=(R1・R3-R2・R4)Vin/(R1+R2)(R3+R4)
である。入力電圧Vinは、Vex+とVex-の間の電位差である。 出力電圧ΔVは、Vout+とVout-の間の電位差である。
抵抗がR1=R2=R3=R4=R0のとき、同じ条件下で生じたひずみεによる抵抗の変化ΔRは、
ΔR=|ΔR1|=|ΔR2|=|ΔR3|=|ΔR4|
である。出力電圧ΔVは、
ΔV=(ΔR/R0)Vin
である。ΔR/R=k・εであるから、
ΔV=k・Vin・ε
となり、出力電圧ΔVはひずみεに比例する。kはゲージ率(感度)である。
このように、ひずみセンサ10は、全方向性のセンサであり、かつ温度変動などの外部変化の影響を受けにくい安定したセンサである。
図4は、ひずみセンサ10の全体形状の一例を示す。ひずみセンサ10は、図2の(A)と同じ状態であり、励起電圧印加用の電極13-2、13-10と、出力電圧取出し用の電極13-6、13-14が選択されている。
基板11は、ひずみ感知エレメント15のパターンが形成された円形部11aと、配線12が形成された帯状部11bと、電極選択用の端子14-1~14-16が設けられたアレイ部11cを含む。各ひずみ感知エレメント15に設けられた電極13-1~13-16は、配線12によって、対応する端子14-1~14-16に接続されている。複数の端子14の中から、励起電圧Vex+とVex-を印加する2つの端子と、出力電圧Vout+とVout-を取り出す2つの端子を選択することで、電極13を介して、異なる方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15の組を選択することができる。
図5は、図4のひずみセンサ10が取り得る測定方向を示す。等角度で放射状に延びる16本のひずみ感知エレメント15が設けられる場合、22.5°間隔で、(A)~(H)の8つの方向の測定が可能である。4つの端子14の組を、8通りに高速で切り替えることで、全方向のひずみ検出が実現される。
この全方向性のひずみセンサ10は、機械的変位に関連するさまざまな分析に使用可能である。たとえば、(1)ひずみの方向が既知である場合、選択した方向のひずみを測定する標準ひずみセンサとして使用可能である。(2)ひずみの方向が未知の場合、全方向で測定して最大ひずみ方向を特定し、最大ひずみ値を提供することで、ひずみの方向と大きさの両方を測定可能である。(3)ひずみセンサ10は、トルクと曲げの分析にも使用可能である。ひずみセンサ10が曲げによるひずみや、ねじり力に感度をもつように電極の選択を最適化することで、面内の直線方向へのひずみだけではなく、曲げ、ねじれ等によるひずみの評価が実現される。これらの場合も、温度補償機能が働くことは言うまでもない。
<ひずみセンサシステム>
図6は、ひずみセンサ10を用いたひずみセンサシステム1の模式図である。ひずみセンサシステム1は、ひずみセンサ10と、ひずみセンサ10に接続される電極選択手段を有する。図6では、電極選択手段として、4つのマルチプレクサ25-1、25-2、25-3、25-4(図中、「MUX-1」、「MUX-2」、「MUX-3」、「MUX-4」と表記されている)を用いているが、この例に限定されない。励起電圧Vex+とVex-、及び出力電圧Vout+とVout-に接続される4つの電極13をそれぞれ個別に、独立して選択し制御できる限り、どのような電子部品やスイッチング機構を用いてもよい。また、ソフトウエアで電極の選択と制御を行ってもよい。
ひずみセンサ10は、コネクタ21を介して4つのマルチプレクサ25に接続されていてもよい。マルチプレクサ25-1~25-4(以下、適宜「マルチプレクサ25」と総称することがある)のそれぞれは、プロセッサ30の制御モジュール32に接続され、制御モジュール32から制御信号を受け取る。
4つのマルチプレクサ25の各々は、ひずみセンサ10との間に複数のパラレル接続(入出力線)を有する。パラレル接続の数は、ひずみセンサ10に形成されているひずみ感知エレメント15の数に等しい。マルチプレクサ25-1と25-2は、電源40に接続されている。マルチプレクサ25-1と25-2は、2つのひずみ感知エレメント15を選択し、選択された2つのひずみ感知エレメント15に接続された電極13に、励起電圧Vex+とVex-を印加する。
マルチプレクサ25-3と25-4は、出力測定モジュール31の一部であるアナログデジタルコンバータ(ADC)31Aに接続されている。ADC31Aは、プロセッサ30に内蔵されていてもよいし、プロセッサ30の外部にあってもよい。マルチプレクサ25-3と25-4は、別の2つのひずみ感知エレメント15を選択し、選択されたひずみ感知エレメント15に接続されている電極13から、出力電圧Vout+とVout-を引き出す。マルチプレクサ25-3と25-4によって選択されるひずみ感知エレメント15は、マルチプレクサ25-1と25-2によって選択されるひずみ感知エレメント15と直交する位置関係にあってもよい。
プロセッサ30は、ADC31Aの出力値と、あらかじめ設定されている励起電圧とから、ΔV=k・Vin・εに基づいて、ひずみεを算出してもよい。
制御モジュール32は、マルチプレクサ25-1から25-4のそれぞれが選択すべき電極13を示す制御信号を出力する。プロセッサ30は、あらかじめ選択すべき4つの電極の組を記述したテーブルをメモリに保存していてもよい。制御信号により、ひずみ測定に用いられる4つのひずみ感知エレメント15の組を高速で切り替えることで、全方向のひずみ測定が可能になる。
<ひずみセンサの作製>
図7Aは、実際に作製したひずみセンサ10の外観図である。ひずみセンサ10は、厚さ20μmのPET基板に形成されている。まず、PET基板上に、シルバーインク(Genes'Ink社製のCS21306)のスクリーン印刷で、電極13、配線12、及び端子14(図4参照)のパターンを形成する。ここでは、高解像印刷のために、ステンレスメッシュ(AsadaメッシュHS-D 650/14)を使用し、16個の電極13を持つパターンを形成する。印刷されたパターンを、110℃の対流式オーブンで30分間、硬化させる。配線の端部は、マルチプレクサ25との接続のために、アレイ状の端子となっている。
次に、シルバーインクのパターンの上に、ひずみ感知エレメント15のパターンをカーボンインク(東洋紡DY-200L-2)で形成する。カーボンベースの材料は抵抗値が高く、ひずみに対する感度が高い。ひずみ感知エレメント15のパターンは、22.5°の間隔で放射状に突出する閉ループのパターンである。パターン形成後、ひずみセンサ10の全体を、再度、130℃の対流式オーブンで30分間、硬化させる。マルチプレクサ25の接続部となる端子のアレイ部11c(図4参照)を除いて、ひずみセンサ10の全体を厚さ20μmのPET基板で覆って、2枚のPET基板を貼り合わせる。こうして作製されたひずみセンサ10の長さLは107mm、配線端部のアレイ部11c(図4参照)の幅Wは、17mmである。
図7Bは、作製したひずみセンサ10を用いたひずみ測定の態様を示す。ひずみ測定の実験のために、ひずみセンサ10をアクリル板に張り付ける。ひずみセンサ10の端部をFPC(Flexible Printed Circuit)コネクタに接続する。このFPCコネクタを、図6のひずみセンサシステム1のコネクタ21として使用してもよい。FPCコネクタには、補強用に厚さ100μmのPET基材が取り付けられている。以下の実証実験では、アクリル板に機械的な力を加えて、異なる種類のひずみを測定する。
<実証実験>
図7Aで作製したひずみセンサ10を、図7Bのようにアクリル板に張り付けて、一軸性の曲げにより生じるひずみと、ねじれにより生じるひずみを測定する。マルチプレクサ25-1~25-4により、16個の電極13から互いに直交する位置にある4つの電極13の組を順次選択する。選択された4つの電極のうちの2つに、2.4Vの励起電圧を印加する。マルチプレクサ25-1~25-4を、デジタル出力モジュール(National Instruments社のNI 9403)を介して、パーソナルコンピュータ(PC)に接続する。ひずみセンサ10からの出力を、24ビットADCを備えるデータ取得モジュール(National Instruments社のNI-9238)で測定する。ADC付きデータ取得モジュールは、図3の出力測定モジュール31の一例である。
測定に先立って、作製したひずみセンサ10を、基準ひずみ測定値を用いて校正する。基準ひずみ測定値は、既知のゲージ率(k=2.12)をもつ市販のひずみゲージ(共和電業のKFGS-30-120-C1-11)で取得する。アクリル板の上面に作製したひずみセンサ10を貼り付け、アクリル板の下面の対応する位置に市販のひずみゲージをエポキシ系の接着剤で貼り付ける。
アクリル板に機械的な力を加え、上述した24ビットADC付きデータ取得モジュールで、ひずみセンサ10と、市販のひずみゲージの両方から、出力電圧を同時に取得する。ひずみセンサ10から取得された電圧測定値をPCに入力して、抵抗値の相対変化(ΔR/R0)を計算し、市販のひずみゲージの測定値(ひずみε)から、ひずみセンサ10のゲージ率kを決定する。
抵抗の相対変化は、ΔR/R0=k・εであるから、作製したひずみセンサ10のゲージ率は、k=(ΔR/R0)/εで求まる。算出されたゲージ率kは2.76である。
図8は、作製したひずみセンサ10を用いた曲げ測定の実験セットアップと、測定結果を示す。図8の曲げ測定では、ひずみセンサ10は、一軸性の曲げ応力を受ける。ひずみセンサ10の長軸方向のうち、円形部11a(図4参照)の先端側を0°、アレイ部11c(図4参照)側を180°の方向とする。ひずみセンサ10を貼り付けたアクリル板の0°の位置で、矢印の方向(下方)に500gの荷重をかける。
測定結果から、0°のセンサ軸(すなわち180°のセンサ軸)に沿ったひずみが観測され、ひずみの方向と大きさが正確に示されることがわかる。
図9は、作製したひずみセンサ10を用いたねじれ測定の実験セットアップと、測定結果を示す。図9のねじれ測定では、ひずみセンサ10を貼り付けたアクリル板を、ひずみセンサ10の長軸に対して45°の方向で下向きの力をかけ、315°の方向で上向きの力をかけて、上下にねじる。
測定結果から、45°と67.5°の間で最大ひずみが観察される。これは、この種のねじれ変形測定で予測される結果と一致している。
上記の実装実験から、実施形態のひずみセンサ10とひずみセンサシステム1により、最大ひずみ方向を正確に測定できることがわかる。この特徴は、複雑な構造要素や多様な形状を有する土木建造物の構造ヘルスモニタリングに有用である。ひずみセンサ10は、航空宇宙産業、ロボット工学、自動車等の工学構造の監視にも適用可能である。
以上、特定の実施例に基づいてひずみセンサとひずみセンサシステムの構成を説明したが、本発明は上記の例に限定されない。ひずみ感知エレメント15の数は、8本または16本に限定されず、4×n本(nは自然数)であってもよい。n=1の場合、励起電圧を印可する電極と出力電圧を取り出す電極の組を2通りに選択することで、2方向のひずみ検出が可能である。4つの電極13またはひずみ感知エレメント15の組を選択できる限り、4以上の適切な数を選択できる。ひずみ感知エレメント15の材料は、カーボンベースのインクに限定されず、Ni‐Cu合金など、ひずみに感度をもつ適切な材料を使用することができる。
基板11の形状は、円形部11aと帯状部11bを有する形状に限定されない。長方形の基板11に、4以上のひずみ感知エレメント15と、電極13から引き出される配線12と、端子14の配列を形成してもよい。ひずみセンサ10の長さと幅は測定対象物に応じて適宜設計可能である。励起電圧Vex+、Vex-と、出力電圧Vout+、Vout-に接続される電極13の選択制御は、マルチプレクサに限定されず、スイッチング制御が可能な電子回路や、ソフトウエア制御を利用してもよい。いずれの場合も、電極13の選択により、異なる方向に延びる4つのひずみ感知エレメント15の組を選択して、温度変動を補償しつつ複数方向のひずみを測定することができる。
1 ひずみセンサシステム
2 撮像装置
3 情報処理装置
5 メモリ
6 表示装置
10、10A、10B ひずみセンサ
11 基板
12 配線
13 電極
14 端子
15 ひずみ感知エレメント
21 コネクタ
25、25-1~25-4 マルチプレクサ(選択手段)
30 プロセッサ
31 出力測定モジュール
31A ADC
32 制御モジュール
40 電源

Claims (10)

  1. ひずみ感知材料で形成された、放射状に延びる4以上のひずみ感知エレメントと、
    前記4以上のひずみ感知エレメントのそれぞれに接続される電極と、
    を有し、前記電極の選択により、前記4以上のひずみ感知エレメントの中から、異なる4つの方向に延びる4つのひずみ感知エレメントの組が選択可能である、
    ひずみセンサ。
  2. 選択された前記4つのひずみ感知エレメントに接続された4つの電極に対する電気信号の入出力によりホイートストンブリッジ回路が構成される、
    請求項1に記載のひずみセンサ。
  3. 前記4以上のひずみ感知エレメントは、円周方向に等角度で配置されており、互いに直交する方向に延びる4つのひずみ感知エレメントの組が選択可能である、
    請求項1または2に記載のひずみセンサ。
  4. 前記電極から引き出される配線と、
    前記電極と反対側で前記配線に接続される電極選択用の端子の配列と、
    をさらに有する請求項1から3のいずれか1項に記載のひずみセンサ。
  5. 測定対象物の変形に追従して変形可能なフレキシブル基板、
    をさらに有し、前記フレキシブル基板は、前記4以上のひずみ感知エレメントが形成された円形部と、前記円形部から延びて前記配線が形成された帯状部とを有する、
    請求項4に記載のひずみセンサ。
  6. ひずみ感知材料で形成された放射状に延びる4以上のひずみ感知エレメントと、前記4以上のひずみ感知エレメントのそれぞれに接続された電極とを有するひずみセンサと、
    前記ひずみセンサに接続されて前記4以上のひずみ感知エレメントの中から4つのひずみ感知エレメントの組を選択する選択手段と、
    を有し、
    前記選択手段は、前記ひずみセンサとの間に4以上のパラレル接続を有し、前記4以上のパラレル接続の中から、前記ひずみセンサへの励起電圧の印可と、前記ひずみセンサからの出力電圧の取出しに用いられる4つの接続を選択する、
    ひずみセンサシステム。
  7. 前記選択手段は、前記電極の中から、前記励起電圧を入力する第1電極と第2電極、及び前記出力電圧を取出する第3電極と第4電極を選択する、
    請求項6に記載のひずみセンサシステム。
  8. 前記選択手段は前記ひずみセンサに接続される4つのマルチプレクサであり、
    前記4つのマルチプレクサの中の第1マルチプレクサと第2マルチプレクサは、互いに逆方向に延びる第1ひずみ感知エレメントと第2ひずみ感知エレメントに接続された前記第1電極と前記第2電極をそれぞれ選択し、
    第3マルチプレクサと第4マルチプレクサは、前記第1ひずみ感知エレメント及び前記第2ひずみ感知エレメントと直交する第3ひずみ感知エレメントと第4ひずみ感知エレメントに接続された前記第3電極と前記第4電極をそれぞれ選択する、
    請求項7に記載のひずみセンサシステム。
  9. 前記第1マルチプレクサと前記第2マルチプレクサに接続される電源と、
    前記第3マルチプレクサと前記第4マルチプレクサに接続される出力測定モジュールと、をさらに有する請求項8に記載のひずみセンサシステム。
  10. 前記選択手段に制御信号を供給する制御モジュール、
    をさらに有する請求項6から9のいずれか1項に記載のひずみセンサシステム。
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