JP2022178244A - 弾性波デバイス、フィルタ、マルチプレクサ、および弾性波デバイスの製造方法 - Google Patents

弾性波デバイス、フィルタ、マルチプレクサ、および弾性波デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】主モードの弾性波の特性劣化を抑制すること。【解決手段】弾性波デバイス100は、圧電層18と、圧電層18の一方の面に設けられ、複数の電極指54と複数の電極指54が接続するバスバー55とを有する一対の櫛型電極53と、圧電層18の他方の面側に設けられ、一対の櫛型電極53の複数の電極指54が交差する領域である交差領域30のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域32において複数の電極指54に重なる凹部20を有する境界層12と、圧電層18と境界層12の間に凹部20を埋め込んで設けられ、エッジ領域32での複数の電極指54と重なる位置における厚さが交差領域30のうちエッジ領域32より内側に位置する中央領域31での複数の電極指54と重なる位置おける厚さよりも厚く、圧電層18および境界層12よりも伝搬する弾性波の音速が遅い温度補償層14とを備える【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波デバイス、フィルタ、マルチプレクサ、および弾性波デバイスの製造方法に関する。
スマートフォン等の通信機器に用いられる弾性波デバイスとして、弾性表面波共振器が知られている。弾性表面波共振器を形成する圧電層を支持基板に貼り付けることが知られている。支持基板と圧電層の間に酸化シリコンを主成分とする膜を設けることが知られている(例えば特許文献1)。また、複数の電極指が交差する交差領域のうちエッジ領域の音速を中央領域の音速よりも遅くすることで、横モードスプリアスを抑制するピストンモードを実現できることが知られている(例えば特許文献2、3)。
特開2015-73331号公報 国際公開第2020/209359号 国際公開第2020/184466号
特許文献2では、圧電層の下面に凹凸を設け、エッジ領域での電極指と重なる位置における圧電層の厚さを中央領域での電極指と重なる位置における圧電層の厚さより薄くすることで、ピストンモードを実現している。特許文献3では、エッジ領域での電極指と重なる位置における圧電層の下面または下面近傍に音速調整膜を設けることで、ピストンモードを実現している。しかしながら、このような構造の場合、主モードの弾性波の特性が劣化してしまうことがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、主モードの弾性波の特性劣化を抑制することを目的とする。
本発明は、圧電層と、前記圧電層の一方の面に設けられ、複数の電極指と前記複数の電極指が接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極と、前記圧電層の他方の面側に設けられ、前記一対の櫛型電極の前記複数の電極指が交差する領域である交差領域のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域において前記複数の電極指に重なる凹部を有する第1絶縁層と、前記圧電層と前記第1絶縁層の間に前記凹部を埋め込んで設けられ、前記エッジ領域での前記複数の電極指と重なる位置における厚さが前記交差領域のうち前記エッジ領域より内側に位置する中央領域での前記複数の電極指と重なる位置おける厚さよりも厚く、前記圧電層および前記第1絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が遅い第2絶縁層と、を備える弾性波デバイスである。
上記構成において、前記第2絶縁層の前記第1絶縁層側の面と前記圧電層の前記一方の面との間の距離は、前記一対の櫛型電極の前記複数の電極指の平均ピッチの4倍以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電層の前記他方の面は平坦面である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の線膨張係数の差は、前記圧電層と前記第2絶縁層の線膨張係数の差の最大値より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電層は、回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム層であり、前記第2絶縁層は、酸化シリコンを主成分とする層である構成とすることができる。
上記構成において、前記凹部は、前記第1絶縁層を貫通している構成とすることができる。
上記構成において、前記第1絶縁層の前記第2絶縁層とは反対側の面に、サファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板からなる支持基板を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記第1絶縁層は、サファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板からなる支持基板である構成とすることができる。
本発明は、上記に記載の弾性波デバイスを含むフィルタである。
本発明は、上記に記載のフィルタを含むマルチプレクサである。
本発明は、第1絶縁層に凹部とアライメントマーカーを同時に形成する工程と、前記第1絶縁層上に、前記凹部を埋め込んで、前記第1絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が遅い第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層上に前記第2絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が速い圧電層を形成する工程と、前記圧電層上に、前記アライメントマーカーを用いて、各々の複数の電極指が交差する領域である交差領域のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域において前記複数の電極指が前記凹部に重なるように、前記複数の電極指を有する一対の櫛型電極を形成する工程と、を備える弾性波デバイスの製造方法である。
本発明によれば、主モードの弾性波の特性劣化を抑制することができる。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図、図1(b)は、図1(a)におけるIDT(Interdigital Transducer)を拡大した平面図である。 図2(a)は、図1(a)のA-A断面図、図2(b)は、図1(a)のB-B断面図である。 図3は、実施例1におけるIDT内の弾性波の音速を示す図である。 図4(a)から図4(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。 図5(a)から図5(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。 図6(a)は、境界層に形成されるアライメントマーカーの一例を示す平面図、図6(b)は、フォトマスクのアライメントマーカーの一例を示す平面図、図6(c)は、アライメントマーカーの位置合わせを示す平面図である。 図7(a)は、比較例1に係る弾性波デバイスの平面図、図7(b)は、図7(a)のA-A断面図である。 図8(a)は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイスの平面図、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図、図8(c)は、図8(a)のB-B断面図である。 図9(a)から図9(c)は、実施例1の変形例2から変形例4に係る弾性波デバイスの断面図である。 図10(a)は、実施例2に係る弾性波デバイスの平面図、図10(b)は、図10(a)におけるIDTを拡大した平面図である。 図11(a)は、実施例3に係る弾性波デバイスの平面図、図11(b)は、図11(a)のA-A断面図、図11(c)は、図11(a)のB-B断面図である。 図12は、実施例3に係る弾性波デバイスおよび比較例2に係る弾性波デバイスの周波数に対するアドミッタンスYのシミュレーション結果である。 図13は、実施例4に係るフィルタの回路図である。 図14は、実施例5に係るデュプレクサのブロック図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイス100の平面図、図1(b)は、図1(a)におけるIDT51を拡大した平面図である。図2(a)は、図1(a)のA-A断面図、図2(b)は、図1(a)のB-B断面図である。電極指の配列方向をX方向、電極指の延伸方向をY方向、圧電層の厚さ方向をZ方向とする。X方向、Y方向、およびZ方向は、圧電層の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電層が回転YカットX伝搬の圧電層の場合、X方向は結晶方位のX軸方向となる。
図1(a)、図1(b)、図2(a)、および図2(b)に示すように、弾性波デバイス100は、支持基板10上に圧電層18が設けられている。支持基板10と圧電層18との間に温度補償層14が設けられている。温度補償層14と支持基板10との間に境界層12が設けられている。温度補償層14と圧電層18との間に接合層16が設けられている。なお、接合層16は設けられていない場合でもよい。
圧電層18上に弾性波共振器50が設けられている。弾性波共振器50はIDT(Interdigital Transducer)51および反射器52を有する。反射器52は、IDT51のX方向の両側に設けられている。IDT51および反射器52は、圧電層18上の金属膜57により形成される。
IDT51は、一対の櫛型電極53を備える。櫛型電極53は、複数の電極指54と、複数の電極指54が接続されたバスバー55と、を備える。一対の櫛型電極53が交差する領域が交差領域30である。交差領域30の長さが開口長である。一対の櫛型電極53は、交差領域30の少なくとも一部において電極指54がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。交差領域30において複数の電極指54が励振する弾性波は、主にX方向に伝搬する。一対の櫛型電極53のうち一方の櫛型電極53の電極指54のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。複数の電極指54のピッチDは、一方の櫛型電極53の電極指54のピッチの2倍となる。反射器52は、IDT51の電極指54が励振した弾性波(弾性表面波)を反射する。これにより、弾性波はIDT51の交差領域30内に閉じ込められる。
交差領域30は、Y方向においてエッジに位置する領域(電極指54の先端部が位置する領域)である一対のエッジ領域32と、Y方向においてエッジ領域32より内側に位置する領域である中央領域31と、を有する。一方の櫛型電極53の電極指54の先端と他方の櫛型電極53のバスバー55との間に位置する領域がギャップ領域33である。バスバー55が位置する領域がバスバー領域34である。
境界層12の上面に複数の凹部20が形成されている。複数の凹部20各々は、エッジ領域32に位置しかつ電極指54の直下に位置していて、互いに分離している。凹部20は、例えばエッジ領域32における電極指54全体に重なって設けられている。凹部20のY方向の長さは例えば0.1λ~2.5λ(λは弾性波の波長)程度である。凹部20のX方向の長さは例えば電極指54の幅と略同じであるが、電極指54より長い場合でもよい。凹部20の深さは例えば数百nm程度であり、例えば0.1λ~1λ程度である。
温度補償層14は境界層12に形成された凹部20を埋め込むようにして境界層12の上面に設けられている。したがって、エッジ領域32での電極指54直下における温度補償層14の厚さT1は、中央領域31での電極指54直下における温度補償層14の厚さT2よりも厚くなっている。
支持基板10と境界層12の界面は平坦面となり、温度補償層14と圧電層18または接合層16との界面は平坦面となっている。なお、支持基板10と境界層12の界面は凹凸面となっていてもよい。凹凸面は、凹部または凸部が規則的に配置されていてもよいし、不規則であってもよい。
圧電層18は、例えば単結晶タンタル酸リチウム(LiTaO)層または単結晶ニオブ酸リチウム(LiNbO)層であり、例えば回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム層である。例えば、圧電層18は36°~48°YカットX伝搬タンタル酸リチウム層である。
支持基板10は、例えばサファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板である。サファイア基板は単結晶Al基板であり、シリコン基板は単結晶または多結晶のSi基板であり、スピネル基板は多結晶のMgAl基板である。石英基板はアモルファスSiO基板であり、水晶基板は単結晶SiO基板であり、アルミナ基板は多結晶Al基板であり、炭化シリコン基板は多結晶または単結晶のSiC基板である。支持基板10のX方向の線膨張係数は圧電層18のX方向の線膨張係数より小さい。これにより、弾性波共振器50の周波数温度依存性を小さくできる。
温度補償層14は、圧電層18の弾性定数の温度係数の符号と反対の符号の弾性定数の温度係数を有する。例えば、圧電層18の弾性定数の温度係数は負であり、温度補償層14の弾性定数の温度係数は正である。温度補償層14は、酸化シリコンを主成分とする絶縁層であり、例えば無添加または弗素等の添加元素を含む酸化シリコン(SiO)層であり、例えばアモルファス層である。
温度補償層14が温度補償の機能を発揮するためには、電極指54によって圧電層18内に励振された弾性表面波(主モードの弾性波)のエネルギーが温度補償層14内にある程度存在することが求められる。弾性表面波のエネルギーが存在する範囲は、弾性表面波の種類に依存するものの、典型的には圧電層18の上面から2λ(λは弾性波の波長)程度の深さまでである。特に、弾性表面波のエネルギーは、圧電層18の上面からλまでの範囲に集中する。したがって、弾性表面波のエネルギーを圧電層18および温度補償層14内に閉じ込める観点から、温度補償層14の境界層12側の面と圧電層18の櫛型電極53側の面との間の距離Lは、複数の電極指54の平均ピッチDの4倍(2λ)以下が好ましく、3倍(1.5λ)以下がより好ましい。複数の電極指54の平均ピッチDは、IDT51のX方向の幅を電極指54の本数で除することで算出できる。
温度補償層14に弾性表面波のエネルギーを存在させるために、圧電層18の厚さは、電極指54の平均ピッチDの2倍(λ)以下が好ましく、1.2倍(0.6λ)以下がより好ましい。圧電層18が薄すぎると、弾性波が励振されない。よって、圧電層18の厚さは、電極指54の平均ピッチDの0.2倍(0.1λ)以上が好ましい。
温度補償層14が酸化シリコンを主成分とする絶縁層の場合、温度補償層14を伝搬する弾性波の音速(横波音速)は圧電層18を伝搬する弾性波の音速より遅くなる。温度補償層14を伝搬する弾性波の音速が圧電層18を伝搬する弾性波の音速より遅いことで、弾性表面波が温度補償層14に存在し易くなる。温度補償層14を伝搬する弾性波の音速は圧電層18を伝搬する弾性波の音速の0.99倍以下が好ましい。温度補償層14を伝搬する弾性波の音速が遅すぎると、圧電層18内に弾性波が存在し難くなる。よって、温度補償層14を伝搬する弾性波の音速は圧電層18を伝搬する弾性波の音速の0.9倍以上が好ましい。
境界層12を伝搬する弾性波の音速は、圧電層18および温度補償層14を伝搬する弾性波の音速より速い。これにより、圧電層18および温度補償層14内に弾性波が閉じ込められ易くなる。境界層12を伝搬する弾性波の音速は、圧電層18および温度補償層14を伝搬する弾性波の音速の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.3倍以上が更に好ましい。境界層12を伝搬する弾性波の音速が速すぎると、境界層12と温度補償層14との界面でバルク波が反射され易くなってスプリアスが大きくなる恐れがある。したがって、境界層12を伝搬する弾性波の音速は、温度補償層14を伝搬する弾性波の音速の2.0倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましい。
境界層12を伝搬する弾性波の音速は、支持基板10を伝搬する弾性波の音速より遅い。例えば支持基板10を伝搬する弾性波の音速は、境界層12を伝搬する弾性波の音速の1.1倍以上である。支持基板10を伝搬する弾性波の音速は、境界層12を伝搬する弾性波の音速の2倍以下である。境界層12は、例えば多結晶または非晶質の絶縁層であり、例えば酸化アルミニウム層、シリコン層、窒化アルミニウム層、酸窒化アルミニウム層、ダイヤモンドライクカーボン層、窒化シリコン層、または炭化シリコン層である。境界層12として材料の異なる複数の層が設けられていてもよい。
各層を伝搬する弾性波の音速Vは、各層が等方性材料である場合では以下の数1で求めることができる。数1において、Vは音速、Eはヤング率、ρは密度、νはポアソン比である。
Figure 2022178244000002
温度補償層14の線膨張係数は、圧電層18の線膨張係数よりも境界層12の線膨張係数に近い値を有する。すなわち、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差よりも小さい。圧電層18の線膨張係数が結晶方位によって異なる場合は、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値より小さい。例えば、圧電層18が回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層である場合、圧電層18の線膨張係数はα11が16.1ppm/K、α33が4.1ppm/Kである。温度補償層14が酸化シリコン層である場合の線膨張係数は0.5ppm/Kである。境界層12が酸化アルミニウム層である場合の線膨張係数は7.7ppm/Kである、この場合、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は7.2ppm/Kとなり、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値は15.6ppm/Kとなる。したがって、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値より小さくなる。
接合層16を伝搬する弾性波の音速は、温度補償層14を伝搬する弾性波の音速より速い。接合層16は、例えば多結晶または非晶質であり、例えば酸化アルミニウム層、シリコン層、窒化アルミニウム層、酸窒化アルミニウム層、ダイヤモンドライクカーボン層、窒化シリコン層、または炭化シリコン層である。接合層16の厚さは、圧電層18および温度補償層14の機能を損なわない観点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。接合層16としての機能を損なわない観点から、接合層16の厚さは、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましい。
金属膜57は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、またはモリブデン(Mo)を主成分とする膜である。電極指54と圧電層18との間にチタン(Ti)膜またはクロム(Cr)膜等の密着膜が設けられていてもよい。密着膜は電極指54より薄い。電極指54を覆うように絶縁膜が設けられてもよい。絶縁膜は保護膜または温度補償膜として機能してもよい。
図3は、実施例1におけるIDT51内の弾性波の音速を示す図である。図1(b)および図2(a)に示したように、境界層12の上面に、エッジ領域32での電極指54直下に位置して凹部20が設けられている。温度補償層14は凹部20を埋め込むように境界層12の上面に設けられている。このため、エッジ領域32での電極指54直下における温度補償層14の厚さT1は、中央領域31での電極指54直下における温度補償層14の厚さT2に比べて厚くなっている。温度補償層14を伝搬する弾性波の音速は圧電層18および境界層12を伝搬する弾性波の音速より遅いことから、図3に示すように、エッジ領域32を伝搬する弾性表面波(主モードの弾性波)の音速は中央領域31を伝搬する弾性表面波の音速よりも遅くなる。また、ギャップ領域33を伝搬する弾性表面波の音速は中央領域31を伝搬する弾性表面波の音速より速い。これにより、ピストンモードが実現され、横モードスプリアスが抑制される。
[製造方法]
図4(a)から図5(c)は、実施例1に係る弾性波デバイス100の製造方法を示す断面図である。図4(a)から図5(c)において、左図はIDT51が形成される領域における断面図であり、右図はアライメントマーカーが形成される領域における断面図である。図4(a)に示すように、支持基板10上にスパッタリング法、CVD(Chemical Mechanical Polishing)法、または真空蒸着法により境界層12を形成する。なお、支持基板10の上面を凹凸面にする場合は、支持基板10の上面を研削することで不規則な凹凸面を形成してもよいし、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて規則的な凹凸面を形成してもよい。
図4(b)に示すように、境界層12に形成する凹部20に対応する位置に開口82を有し、アライメントマーカーを形成する位置に開口84を有するマスク層80を境界層12上に形成する。マスク層80は例えばフォトレジストである。
図4(c)に示すように、マスク層80をマスクに例えばエッチング法を用いて境界層12の上部を除去する。例えば、境界層12が酸化アルミニウム層の場合、塩素系ガスを用いたドライエッチング法により境界層12の上部を除去する。なお、エッチング法の代わりにサンドブラスト法を用いてもよい。これにより、凹部20が境界層12の上面に形成され、また、凹部20と同時にアライメントマーカー70が境界層12の上面に形成される。図6(a)は、境界層12に形成されるアライメントマーカー70の一例を示す平面図である。図6(a)に示すように、アライメントマーカー70は例えば平面視にて十字形状をしている。
図5(a)に示すように、マスク層80を除去した後、境界層12上に例えばスパッタリング法、CVD法、または真空蒸着法により温度補償層14を形成する。温度補償層14は凹部20を埋め込むように形成される。温度補償層14の上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化する。その後、接合層16を介し温度補償層14に圧電基板17を接合する。接合層16を介さずに温度補償層14と圧電基板17とを接合してもよい。接合には例えば表面活性化法を用いる。
図5(b)に示すように、圧電基板17の上面を例えばCMP法により研磨し、薄層化した圧電層18とする。圧電層18上に例えばスパッタリング法、CVD法、または真空蒸着法により金属膜57を成膜し、金属膜57上にマスク層86を形成する。その後、金属膜57をIDT51および反射器52にパターニングするための開口88をマスク層86に形成する。マスク層86に開口88を形成する際、境界層12に形成したアライメントマーカー70を用いて開口88の形成位置を調整する。マスク層86は例えばフォトレジストである。
図6(b)は、フォトマスク90のアライメントマーカー92の一例を示す平面図、図6(c)は、アライメントマーカー70と92の位置合わせを示す平面図である。図6(b)に示すように、マスク層86に開口88を形成する際に用いるフォトマスク90にアライメントマーカー92が形成されている。図6(c)に示すように、フォトマスク90に形成されているアライメントマーカー92を境界層12に形成されたアライメントマーカー70に位置合わせをして露光し、その後現像をする。これにより、マスク層86の所望の位置に開口88が形成される。
図5(c)に示すように、マスク層86をマスクに例えばエッチング法により金属膜57を除去してパターニングすることで、IDT51および反射器52を備える弾性波共振器50を形成する。凹部20とアライメントマーカー70は境界層12に同時に形成されるため、アライメントマーカー70を用いてマスク層86に開口88を形成し、このマスク層86をマスクにIDT51および反射器52を形成することで、電極指54の先端部を凹部20の直上に精度良く形成することができる。金属膜57をパターニングした後、マスク層86を除去する。これにより、実施例1に係る弾性波デバイス100が得られる。
[比較例]
図7(a)は、比較例1に係る弾性波デバイス1000の平面図、図7(b)は、図7(a)のA-A断面図である。図7(a)および図7(b)に示すように、弾性波デバイス1000では、支持基板10と境界層12の界面、及び、境界層12と温度補償層14の界面は、平坦面となっている。圧電層18の下面に、エッジ領域32に位置しかつ電極指54の直下に位置する凹部94が形成されている。温度補償層14は圧電層18に形成された凹部94を埋め込むように設けられている。したがって、エッジ領域32での電極指54直下における温度補償層14の厚さT3は、中央領域31での電極指54直下における温度補償層14の厚さT4よりも厚くなっている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
比較例1では、実施例1と同様に、エッジ領域32での電極指54直下における温度補償層14の厚さT3が、中央領域31での電極指54直下における温度補償層14の厚さT4に比べて厚くなっている。このため、IDT51内の弾性波の音速は、図2と同様となる。したがって、ピストンモードが実現される。
しかしながら、上述したように、温度補償層14に温度補償の機能を発揮させるために圧電層18を薄くすることから、圧電層18の下面に設けられた凹部94はIDT51の近くに位置する。温度補償層14が埋め込まれた凹部94では歪応力が発生し易い。凹部94はIDT51に近くに位置していることから、凹部94において歪応力が発生した場合、IDT51は歪応力の影響を受け、主モードの弾性波の特性が劣化してしまうことがある。
圧電層18が回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層で、温度補償層14が酸化シリコン層である場合、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値は上述したように15.6ppm/Kと大きい。この場合、弾性波デバイス1000に温度変化が生じた場合、凹部94に大きな熱応力が生じる。この熱応力によって、凹部94において圧電層18と温度補償層14との間に空隙が発生したり、圧電層18および/または温度補償層14にクラックが発生したりすることがある。この場合、主モードの弾性波の特性が劣化してしまう。
一方、実施例1によれば、図1(b)および図2(a)のように、交差領域30のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域32において電極指54に重なる凹部20が境界層12(第1絶縁層)の上面に設けられている。境界層12の上面に、境界層12および圧電層18よりも伝搬する弾性波の音速が遅い温度補償層14(第2絶縁層)が凹部20を埋め込んで設けられている。温度補償層14は、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における厚さT1が交差領域30のうちエッジ領域32より内側に位置する中央領域31での電極指54と重なる位置における厚さT2よりも厚くなっている。これにより、図3に示したように、エッジ領域32を伝搬する弾性波の音速が中央領域31を伝搬する弾性波の音速より遅くなってピストンモードが実現されるため、横モードスプリアスを抑制することができる。また、凹部20は境界層12に設けられていることから、凹部20とIDT51との間の距離が長くなり、凹部20に歪応力が発生したとしても、IDT51への影響を小さく抑えられる。よって、主モードの弾性波の特性劣化を抑制することができる。
ピストンモードを実現するために、中央領域31のY方向の長さとエッジ領域32のY方向の長さとは、ある一定の関係を満たすことが好ましい。例えば、中央領域31のY方向の長さは、エッジ領域32のY方向の合計の長さより長い場合が好ましい。エッジ領域32のY方向の長さの合計は、5λ以下(例えば開口長の1/4以下)が好ましく、2λ以下(例えば開口長の1/10以下)がより好ましい。エッジ領域32の各々のY方向の長さは、0.1λ以上(例えば開口長の1/200以上)が好ましく、0.5λ以上(例えば開口長の1/40以上)がより好ましい。言い換えると、凹部20のY方向の長さは、0.1λ以上が好ましく、0.5λ以上がより好ましい。凹部20のX方向の長さは、電極指54のX方向の長さと略同じでもよいが、電極指54のX方向の長さより長い場合が好ましく、電極指54のX方向の長さの1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましい。略同じとは、製造誤差程度の差を許容するものである。凹部20は、平面視にて電極指54のエッジ領域32に位置する部分全体と重なっている場合が好ましいが、電極指54のエッジ領域32の位置する部分の90%以上の部分と重ねっている場合でもよく、95%以上の部分と重なっている場合でもよい。
また、ピストンモードを実現するために、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT1は、中央領域31での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT2の1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。凹部20が深くなり過ぎると温度補償層14による埋込性が悪くなるため、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT1は、中央領域31での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT2の3倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましい。凹部20の深さは、0.1λ以上が好ましく、0.3λ以上がより好ましい。凹部20の深さは、1λ以下が好ましく、0.8λ以下がより好ましい。エッジ領域32は中央領域31の片側にのみ設けられていてもよい。ギャップ領域33のY方向の長さの合計は、5λ以下が好ましく、2λ以下がより好ましい。ギャップ領域33の各々のY方向の長さは0.1λ以上が好ましく、0.5λ以上がより好ましい。
また、実施例1によれば、温度補償層14の境界層12側の面と圧電層18の一対の櫛型電極53が設けられた面との間の距離Lは、複数の電極指54の平均ピッチDの4倍(2λ)以下である。これにより、上述したように、電極指54によって励振された弾性表面波のエネルギーが温度補償層14内に存在するようになり、温度補償層14による温度補償の効果が得られる。
また、実施例1によれば、圧電層18の温度補償層14側の面は平坦面である。これにより、圧電層18に歪応力が生じることが抑制され、主モードの弾性波の特性劣化を抑制することができる。
また、実施例1によれば、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値より小さい。これにより、弾性波デバイス100に温度変化が生じた場合でも、凹部20において生じる熱応力が小さくなる。よって、凹部20において境界層12と温度補償層14との間に空隙が発生したり、境界層12および/または温度補償層14にクラックが発生したりすることが抑制される。
表1に、圧電層18、温度補償層14、および境界層12に用いられる材料の例を示す。
Figure 2022178244000003
表1に示すように、圧電層18に回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム層を用いる。温度補償層14に酸化シリコン層を用いる。境界層12に酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、ダイヤモンドライクカーボン層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、またはシリコン層を用いる。このような場合、境界層12と温度補償層14の線膨張係数の差は、圧電層18と温度補償層14の線膨張係数の差の最大値より小さくなる。圧電層18と温度補償層14と境界層12の好適な組み合わせとして、回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層/酸化シリコン層/酸化アルミニウム層、回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層/酸化シリコン層/シリコン、および回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層/酸化シリコン層/窒化シリコン層が挙げられる。
また、実施例1では、圧電層18は回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム層である。温度補償層14は酸化シリコンを主成分とする層である。これにより、弾性波共振器50の周波数温度依存性を小さくすることができる。また、温度補償層14を伝搬する弾性波の音速が圧電層18を伝搬する弾性波の音速より遅くなる。主成分とするとは、温度補償層14に含まれる元素の合計に対する酸素およびシリコンの割合の合計が50at%(原子%)以上であり、80at%以上でもよい。酸素およびシリコンそれぞれの割合は10at%以上であり、20at%以上でもよい。
また、実施例1では、図4(c)に示すように、境界層12(第1絶縁層)に凹部20とアライメントマーカー70を同時に形成する。図5(a)に示すように、境界層12上に凹部20を埋め込んで温度補償層14(第2絶縁層)を形成する。図5(b)に示すように、温度補償層14上に圧電層18を形成する。図5(b)および図5(c)に示すように、アライメントマーカー70を用い、エッジ領域32において電極指54が凹部20に重なるように、圧電層18上に一対の櫛型電極53を形成する。これにより、エッジ領域32において電極指54を凹部20に精度良く重ね合わせることができる。
[変形例]
図8(a)は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイス110の平面図、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図、図8(c)は、図8(a)のB-B断面図である。図8(a)から図8(c)に示すように、弾性波デバイス110では、境界層12に形成された凹部20aは、X方向に延びていて、複数の電極指54のうち2つ以上の電極指54にわたって設けられている。例えば、凹部20は、全ての電極指54にわたって設けられている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例1では、凹部20は、エッジ領域32において複数の電極指54の直下に互いに分離して設けられている場合を例に示したが、この場合に限られない。実施例1の変形例1のように、凹部20は、エッジ領域32において複数の電極指54のうち2つ以上の電極指54の直下にわたって設けられていてもよい。凹部20が2つ以上の電極指54にわたって設けられることで、凹部20と電極指54との位置合わせが容易となる。位置合わせの観点から、凹部20は、複数の電極指54のうち半分以上の電極指54にわたって設けられる場合が好ましく、2/3以上の電極指54にわたって設けられる場合がより好ましく、全ての電極指54にわたって設けられる場合が更に好ましい。
図9(a)は、実施例1の変形例2に係る弾性波デバイス120の断面図である。図9(a)に示すように、弾性波デバイス120では、境界層12に形成された凹部20bが支持基板10に向かうにつれて幅が狭まる形状をしている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
図9(b)は、実施例1の変形例3に係る弾性波デバイス130の断面図である。図9(b)に示すように、弾性波デバイス130では、境界層12に形成された凹部20cの底面が湾曲した形状をしている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
図9(c)は、実施例1の変形例4に係る弾性波デバイス140の断面図である。図9(c)に示すように、弾性波デバイス140では、境界層12に形成された凹部20dが境界層12を貫通している。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
境界層12に形成される凹部は、Y方向の断面視にて、実施例1のように略長方形状をした凹部20でもよいし、実施例1の変形例2のように深い位置ほど幅が狭くなる形状をした凹部20bでもよいし、実施例1の変形例3のように底面が湾曲形状をした凹部20cでもよい。また、実施例1の変形例4のように、境界層12を貫通した凹部20dでもよい。境界層12を貫通した凹部20dでは、凹部20dの深さを精度良く制御することができる。
図10(a)は、実施例2に係る弾性波デバイス200の平面図、図10(b)は、図10(a)におけるIDT51を拡大した平面図である。図10(a)および図10(b)に示すように、弾性波デバイス200では、櫛型電極53は、複数の電極指54と、複数のダミー電極指56と、複数の電極指54および複数のダミー電極指56が接続されたバスバー55と、を備える。一方の櫛型電極53の電極指54の先端と他方の櫛型電極53のダミー電極指56の先端とは対向している。弾性波共振器50は、中央領域31とエッジ領域32を有する交差領域30と、ギャップ領域33と、バスバー領域34と、に加え、ギャップ領域33とバスバー領域34の間に、ダミー電極指56が位置するダミー領域35を有する。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例2のように、櫛型電極53は、複数の電極指54と、複数のダミー電極指56と、複数の電極指54と複数のダミー電極指56とが接続するバスバー55と、を備える場合でもよい。
図11(a)は、実施例3に係る弾性波デバイス300の平面図、図11(b)は、図11(a)のA-A断面図、図11(c)は、図11(a)のB-B断面図である。図11(a)から図11(c)に示すように、弾性波デバイス300では、支持基板10と温度補償層14との間に境界層12が設けられてなく、温度補償層14と圧電層18との間に接合層16が設けられていない。支持基板10の上面に複数の凹部22が形成されている。複数の凹部22各々は、エッジ領域32に位置しかつ電極指54の直下に位置して、互いに分離している。凹部22は、例えば平面視にてエッジ領域32における電極指54全体に重なって設けられている。凹部22のY方向の長さは、実施例1の凹部20と同様であり、例えば0.1λ~2.5λ(λは弾性波の波長)程度である。凹部22のX方向の長さは、実施例1の凹部20と同様であり、例えば電極指54の幅と略同じであるが、電極指54よりも長い場合でもよい。凹部22の深さは、実施例1の凹部20と同様であり、例えば数百nm程度であり、例えば0.1λ~1λ程度である。
温度補償層14は、支持基板10に形成された凹部22を埋め込むようにして支持基板10の上面に設けられている。したがって、エッジ領域32での電極指54直下における温度補償層14の厚さT1は、中央領域31での電極指54直下における温度補償層14の厚さT2より厚くなっている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例3では、実施例1と同様に、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT1が、中央領域31での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT2に比べて厚くなっている。このため、IDT51内の弾性波の音速は、図3と同様となる。したがって、ピストンモードが実現される。
[シミュレーション]
実施例3に係る弾性波デバイス300のスプリアスを評価するシミュレーションを行った。シミュレーション条件は以下である。
支持基板10:サファイア基板
温度補償層14:平均厚さが0.2λの酸化シリコン層
圧電層18:厚さが0.2λの42°YカットX伝搬タンタル酸リチウム層
IDT51および反射器52:厚さが0.1λのアルミニウム膜
弾性波の波長λ:1.5μm
電極指54の対数:1対
凹部22のX方向の長さ:0.75λ
凹部22の深さ:0.2λ
開口長:15λ
この条件にて、3次元の有限要素法を用いてアドミッタンスをシミュレーションし、その結果から電極指54の対数が100対の場合の弾性波デバイス300のアドミッタンスを算出した。また、比較のために、支持基板10に凹部22が形成されていない点以外は、実施例3と同じ構造をした比較例2に係る弾性波デバイスについてもアドミッタンスを同様の方法によりシミュレーションした。
図12は、実施例3に係る弾性波デバイス300および比較例2に係る弾性波デバイスの周波数に対するアドミッタンスYのシミュレーション結果である。図12に示すように、実施例3に係る弾性波デバイス300は、横モードスプリアスが抑制された結果が得られた。これは、支持基板10の上面に凹部22が設けられ、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT1が中央領域31での電極指54と重なる位置における温度補償層14の厚さT2に比べて厚くなって、ピストンモードが実現されたためと考えられる。
実施例3によれば、図11(a)から図11(c)のように、エッジ領域32において電極指54に重なる凹部22が支持基板10(第1絶縁層)の上面に設けられている。支持基板10の上面に、支持基板10および圧電層18より伝搬する弾性波の音速が遅い温度補償層14(第2絶縁層)が凹部22を埋め込んで設けられている。温度補償層14は、エッジ領域32での電極指54と重なる位置における厚さT1が中央領域31での電極指54と重なる位置における厚さT2より厚くなっている。これにより、実施例1と同様に、ピストンモードが実現されるため、横モードスプリアスを抑制することができる。また、凹部22は支持基板10に設けられていることから、凹部22とIDT51との間の距離が長くなり、凹部22において歪応力が発生したとしても、IDT51への影響を小さく抑えられる。よって、主モードの弾性波の特性劣化を抑制することができる。
実施例3においても、図8(a)から図8(c)に示した実施例1の変形例1と同様に、凹部22は、エッジ領域32において複数の電極指54のうち2つ以上の電極指54の直下にわたって設けられていてもよい。図11(b)では、凹部22はY方向の断面視にて略長方形状をしているが、図9(a)に示した実施例1の変形例2と同様に、凹部22はY方向の断面視にて深い位置ほど幅が狭くなる形状をしていてもよいし、図9(b)に示した実施例1の変形例3と同様に、底面が湾曲形状をしていてもよい。また、実施例3においても、櫛型電極53は、実施例2と同様に、複数の電極指54と、複数のダミー電極指56と、複数の電極指54と複数のダミー電極指56が接続するバスバー55と、を備えていてもよい。
図13は、実施例4に係るフィルタ400の回路図である。図13に示すように、フィルタ400は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続され、1または複数の並列共振器P1からP3が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP3の少なくとも1つに実施例1から実施例3の弾性波デバイスを用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。フィルタは多重モード型フィルタでもよい。
図14は、実施例5に係るデュプレクサ500のブロック図である。図14に示すように、デュプレクサ500は、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続され、共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。送信フィルタ60は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方を実施例4に係るフィルタ400とすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に示したが、トリプレクサまたはクワッドプレクサ等でもよい。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 支持基板
12 境界層
14 温度補償層
16 接合層
17 圧電基板
18 圧電層
20、20a、20b、20c、20d 凹部
22 凹部
30 交差領域
31 中央領域
32 エッジ領域
33 ギャップ領域
34 バスバー領域
35 ダミー領域
50 弾性波共振器
51 IDT
52 反射器
53 櫛型電極
54 電極指
55 バスバー
56 ダミー電極指
57 金属膜
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ
70 アライメントマーカー
80 マスク層
82、84 開口
86 マスク層
88 開口
90 フォトマスク
92 アライメントマーカー
94 凹部
100、110、120、130、140、200、300、1000 弾性波デバイス
400 フィルタ
500 デュプレクサ

Claims (11)

  1. 圧電層と、
    前記圧電層の一方の面に設けられ、複数の電極指と前記複数の電極指が接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極と、
    前記圧電層の他方の面側に設けられ、前記一対の櫛型電極の前記複数の電極指が交差する領域である交差領域のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域において前記複数の電極指に重なる凹部を有する第1絶縁層と、
    前記圧電層と前記第1絶縁層の間に前記凹部を埋め込んで設けられ、前記エッジ領域での前記複数の電極指と重なる位置における厚さが前記交差領域のうち前記エッジ領域より内側に位置する中央領域での前記複数の電極指と重なる位置おける厚さよりも厚く、前記圧電層および前記第1絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が遅い第2絶縁層と、を備える弾性波デバイス。
  2. 前記第2絶縁層の前記第1絶縁層側の面と前記圧電層の前記一方の面との間の距離は、前記一対の櫛型電極の前記複数の電極指の平均ピッチの4倍以下である、請求項1に記載の弾性波デバイス。
  3. 前記圧電層の前記他方の面は平坦面である、請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
  4. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の線膨張係数の差は、前記圧電層と前記第2絶縁層の線膨張係数の差の最大値より小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  5. 前記圧電層は、回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム層であり、
    前記第2絶縁層は、酸化シリコンを主成分とする層である、請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  6. 前記凹部は、前記第1絶縁層を貫通している、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  7. 前記第1絶縁層の前記第2絶縁層とは反対側の面に、サファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板からなる支持基板を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  8. 前記第1絶縁層は、サファイア基板、シリコン基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、アルミナ基板、または炭化シリコン基板からなる支持基板である、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを含むフィルタ。
  10. 請求項9に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
  11. 第1絶縁層に凹部とアライメントマーカーを同時に形成する工程と、
    前記第1絶縁層上に、前記凹部を埋め込んで、前記第1絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が遅い第2絶縁層を形成する工程と、
    前記第2絶縁層上に前記第2絶縁層よりも伝搬する弾性波の音速が速い圧電層を形成する工程と、
    前記圧電層上に、前記アライメントマーカーを用いて、各々の複数の電極指が交差する領域である交差領域のうち両端に位置する領域である一対のエッジ領域において前記複数の電極指が前記凹部に重なるように、前記複数の電極指を有する一対の櫛型電極を形成する工程と、を備える弾性波デバイスの製造方法。
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