JP2022176739A - 温度測定装置 - Google Patents

温度測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022176739A
JP2022176739A JP2021083316A JP2021083316A JP2022176739A JP 2022176739 A JP2022176739 A JP 2022176739A JP 2021083316 A JP2021083316 A JP 2021083316A JP 2021083316 A JP2021083316 A JP 2021083316A JP 2022176739 A JP2022176739 A JP 2022176739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
comb
surface acoustic
reflector
piezoelectric substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021083316A
Other languages
English (en)
Inventor
耕一 永井
Koichi Nagai
直文 日野
Naofumi Hino
正一 梶原
Shoichi Kajiwara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021083316A priority Critical patent/JP2022176739A/ja
Publication of JP2022176739A publication Critical patent/JP2022176739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)

Abstract

【課題】移動し、かつ温度が変化する測定対象の温度測定を行う場合にも、移動や温度変化の影響、又はノイズの影響を受けずに信頼性の高い温度測定を可能とする温度測定装置を提供する。【解決手段】無線、無給電で温度測定を行う圧電基板の表面弾性波を利用した温度測定装置10として、圧電基板1上を伝播して圧電基板上に設けた温度検出用反射器5による圧電基板の温度情報を含んだ表面弾性波の周波数特性を分析するための周波数領域の情報を、一旦時間領域の情報に変換し、圧電基板上に設けた遅延時間検出反射器4a,4bの応答信号を基に最適な分析対象時間を逐次決定して情報を抜き出し、抜き出した情報を再度周波数領域の情報に変換することで、連続的で移動しながら加熱される測定対象の温度を正確に測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信によって表面弾性波を利用して温度を測定する無線温度測定装置に関するものである。
近年、様々な工業製品もしくは家電の組み立て製造工程、又はそれらの製品の構成部品となる各種電子部品、各種の電池、もしくは、電子部品が実装された基板などのデバイス製造工程において、熱処理のための炉も多様化し、それぞれの機能が大幅に向上している。
また、被加熱物の温度管理が製品の性能に大きく影響するようになって来ている。
一般的に、小型の炉又は、被加熱物を搬送する速度が非常に遅い炉の場合は、被加熱物の温度推移について、炉内に熱電対を取り付けて、炉外の計測器と接続したまま計測することが可能な場合がある。
しかし、搬送距離の長い大型の炉、搬送速度が著しく速い炉、又は搬送経路にシャッターなどの構造物がある場合などは、炉内の熱電対を炉外の計測器と接続した状態での温度測定が困難な場合が多い。このような炉で熱電対を使用する場合、短い熱電対を無線ユニットに接続して無線ユニットとともに炉内に投入し、熱電対の情報を無線で炉外の計測器に送信する方法、あるいは前記の無線ユニット内にデータ記憶装置を搭載しておいて、熱電対の情報等を記憶させておき、無線ユニットを炉外に搬出した後に、記憶装置からデータ情報を抜き出す方法もある。しかし、炉内の温度によっては無線で送信する際の送信器又はデータの記憶装置等の駆動電源となる電池、又は、送信器又は記憶装置そのものの耐熱温度を超えてしまい、使用できない場合も非常に多い。そのため、耐熱温度の低い電池、送信器、又は記憶装置等を搭載しない無線計測センサとして、圧電基板の表面弾性波を利用して温度を測定するセンシング技術が用いられ、例えば特許文献1の方式が知られている。
図9は特許文献1の従来の温度測定装置20についての説明図である。特許文献1には、圧電基板上に櫛歯状電極を設けた無線、無給電の温度測定装置の一例について記載されている。特許文献1の温度測定装置20は、圧電効果を示す圧電体で構成されるとともに表面弾性波を伝播可能な圧電基板21と、無線送信される駆動信号を受信するとともに応答信号を無線送信するために電波と高周波電気信号とを相互に変換するアンテナ22と、表面弾性波変換手段である第1櫛歯状電極23と、外部から受ける物理量に応じてインピーダンスが変化するインピーダンス変化型センサ25と、インピーダンス変化型センサ25における一方の端子に接続された状態の第2櫛歯状電極24とを備えている。第2櫛歯状電極24が、表面弾性波変換手段である第1櫛歯状電極23によって励振された前記表面弾性波を反射する表面弾性波反射手段を備えており、インピーダンス変化型センサ25のインピーダンスの変動の影響を受けた表面弾性波の特性について分析をすることで、温度測定を行うとしている。
また、櫛歯状電極を用いた無線、無給電の温度測定装置において、無線のアンテナ間距離が変動することによる影響を除く手段の一例として、特許文献2の方法が知られている。図10は特許文献2の従来の温度測定装置30についての説明図である。特許文献2の温度測定装置30は、圧電基板31、第1櫛歯状電極32、第2櫛歯状電極33、第3櫛歯状電極34、及び測定器35を含んでいる。第1櫛歯状電極32は、外部アンテナ36に対する電波の送受信を行うためのアンテナ37に電気的に接続されており、圧電基板31に位置している。第2櫛歯状電極33は、外部からの物理量に応じて変化するインピーダンスを有するセンサ38に電気的に接続されており、第1櫛歯状電極32に対向して圧電基板31上に位置している。第3櫛歯状電極34は、第1櫛歯状電極32に対向して圧電基板31上に位置している。測定器35は、外部アンテナ36による電波の送信から、第1櫛歯状電極32及び第2櫛歯状電極33間における表面弾性波の伝播を経て、外部アンテナ36による電波の受信までの時間と、外部アンテナ36による電波の送信から、第1櫛歯状電極32及び第3櫛歯状電極34間における表面弾性波の伝播を経て、外部アンテナ36による電波の受信までの時間との差を測定することで無線での距離の変動の影響を除くとしている。
特開2012-255706号公報 特開2020-112466号公報
しかしながら、前記特許文献1の構成では、インピーダンス変化型センサ25のインピーダンスの変動の影響情報について分析をする際、移動によるアンテナ間の距離の変動の影響は考慮しておらず、さらには、無線での電気信号の送受信において受信してしまう炉の壁面などからの反射波を始めとする不要な電気信号、いわゆるノイズの影響を受けるが、この電気的なノイズを除去することが困難であるという課題を有している。
また、前記特許文献2の構成では、圧電基板31上を伝播する表面弾性波の伝播距離の異なる反射波を利用してアンテナ36,37間距離の変動による伝播時間の影響を打ち消すとしている。しかし、特にアンテナ36,37間距離が連続的に変動する場合は、炉内の状況が刻々と変化し、そのため、圧電基板31を経由せずに炉の壁面などで反射してアンテナ37で受信する電気的なノイズの状況も刻々と変動するが、このノイズの影響を正確に除去するための構成としては不十分であるといった課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、アンテナ間距離が連続的に変動し、かつ圧電基板の温度が連続的に変化する場合であっても、アンテナ間距離及び圧電基板の温度による影響と、圧電基板を経由しないノイズの影響とを低減することで信頼性を向上することができる温度測定装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる温度測定装置は、
高周波の電気信号を無線で送受信する計測部と、
圧電基板上に設けられ、前記計測部から受信した電気信号を前記圧電基板上に表面弾性波として励振し、かつ前記圧電基板上を伝播する表面弾性波を電気信号に変換して前記計測部に送信する櫛歯状電極と、
前記表面弾性波の伝播経路上に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する温度検出用反射器と、
前記温度検出用反射器の一方の側方に隣接配置されかつ前記温度検出用反射器の前記櫛歯状電極側に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する第一の遅延時間検出用反射器と、
前記温度検出用反射器の他方の側方に隣接配置されかつ前記温度検出用反射器の前記櫛歯状電極と反対側に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する第二の遅延時間検出用反射器と、を備えた温度測定装置であって、
前記計測部は、前記温度検出用反射器で反射された表面弾性波から変換された電気信号について、前記第一の遅延時間検出用反射器と前記第二の遅延時間検出用反射器とでそれぞれ反射された表面弾性波から変換された電気信号に基づいて分析対象時間の範囲を決定し、決定された前記分析対象時間の範囲での前記圧電基板の温度を算出する温度算出手段を備える。
以上のように、本発明の前記態様にかかる温度測定装置によれば、温度測定対象である圧電基板が移動し、計測部と圧電基板との距離が連続して変化し、かつ、移動しながら周囲の温度の影響を受けて温度が連続的に変化する環境下において、計測部から送信された電気信号を受信して圧電基板上の櫛歯状電極で表面弾性波として励振する。櫛歯状電極と、温度検出用反射器と第一の遅延時間検出用反射器と第二の遅延時間検出用反射器との間で、この表面弾性波が圧電基板上を伝播する際に温度影響の情報を周波数特性として有した状態で、櫛歯状電極で電気信号に変換されて計測部に送信される。このとき、圧電基板上での表面弾性波としての遅延だけでなく、距離による時間遅延の情報も含むことが出来るため、圧電基板に到達せずに計測部が受信するような反射波などの時間遅延をノイズとして区別することができ、圧電基板の温度を分析するために圧電基板上を表面弾性波として通過した電気信号を選択的に分析対象として圧電基板の温度を算出することが出来る。
よって、アンテナ間距離が連続的に変動し、かつ圧電基板の温度が連続的に変化する場合であっても、アンテナ間距離及び圧電基板の温度による影響と、圧電基板を経由しないノイズの影響とを低減することで信頼性を向上することができる。
本発明の実施の形態における温度測定装置の説明図 本発明の実施の形態における不要なノイズの発生についての説明図 本発明の実施の形態における分析対象時間の決定方法の説明図 本発明の実施の形態における温度測定装置の反射器の位置の説明図 本発明の実施の形態における距離による遅延時間の説明図 本発明の実施の形態における温度による遅延時間の説明図 本発明の実施の形態における分析対象時間の決定方法の説明図 本発明の実施の形態における分析対象時間の決定方法の説明図 従来の温度測定装置を示す説明図 従来の温度測定装置を示す説明図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における温度測定装置10の説明図である。温度測定装置10は、計測部7と、櫛歯状電極3と、温度検出用反射器5と、第一の遅延時間検出用反射器4aと、第二の遅延時間検出用反射器4bとを備えている。
計測部7は、高周波の電気信号を無線でアンテナ8から送信し、アンテナ2で受信する。
圧電基板1には、計測部7と電気信号を送受信するためのアンテナ2が設けられている。アンテナ2は、圧電基板1上の例えば長手方向の一端側に設けられた櫛歯状電極3と電気的に接続されている。櫛歯状電極3は、圧電基板1上に設けられ、計測部7から受信した電気信号を圧電基板1上に表面弾性波として励振し、かつ圧電基板1上を伝播する表面弾性波を電気信号に変換して計測部7に送信する。
圧電基板1上の例えば長手方向の他端側で、この櫛歯状電極3に対向する位置に温度検出用反射器5が配置されている。温度検出用反射器5は、表面弾性波の伝播経路上に櫛歯状電極3に対向して設けられ、櫛歯状電極3で励振された表面弾性波を櫛歯状電極3に向けて反射する。
さらに、圧電基板1上の例えば長手方向の他端側には、幅方向において温度検出用反射器5を間に挟む形で、櫛歯状電極3に対向する第一の遅延時間検出用反射器4a及び第二の遅延時間検出用反射器4bが設けられている。第一の遅延時間検出用反射器4aは、温度検出用反射器5の一方の側方に隣接配置されかつ温度検出用反射器5より櫛歯状電極側に接近して櫛歯状電極3に対向して設けられ、櫛歯状電極3で励振された表面弾性波を櫛歯状電極3に向けて反射する。
第二の遅延時間検出用反射器4dは、温度検出用反射器5の他方の側方に隣接配置されかつ温度検出用反射器5より櫛歯状電極3から離れる側に櫛歯状電極3に対向して設けられ、櫛歯状電極3で励振された表面弾性波を櫛歯状電極3に向けて反射する。
さらに、温度測定装置10は、計測部7に接続された温度算出手段(温度算出部)75を備えている。温度算出手段75は、計測部7内に配置されてもよいし、計測部7外に配置されてもよい。温度算出手段75は、圧電基板1上に設けられた櫛歯状電極3の間隔の変化などの要因によって、表面弾性波の周波数特性が変化することから、この表面弾性波の周波数特性の変化を圧電基板1の温度と関連付けることが可能であり、高周波の電気信号を分析することで、圧電基板1の温度を算出する。
上述した構成によれば、以下の作用により、圧電基板1と計測部7との距離が連続的に変化し、なおかつ圧電基板1の温度が連続的に変化する状況においても、温度測定装置10の温度測定精度を向上することが出来る。
具体的には、計測部7から送信される高周波の電気信号をアンテナ2で受信して、櫛歯状電極3で圧電基板1上に表面弾性波として励振する。
励振された表面弾性波は、圧電基板1上を伝播して、櫛歯状電極3にそれぞれ対向する温度検出用反射器5、第一の遅延時間検出用反射器4a、及び第二の遅延時間検出用反射器4bでそれぞれ反射して櫛歯状電極3に向かってそれぞれ戻ってくる。
これらの表面弾性波を櫛歯状電極3で電気信号に変換し、アンテナ2から送信して計測部7で受信する。
その後、受信した電気信号を計測部7で分析する工程において、温度検出用反射器5の反射波を圧電基板1の温度分析対象とするために、第一の遅延時間検出用反射器4a及び第二の遅延時間検出用反射器4bの反射波を利用して、分析対象時間の範囲を決定する。この工程により、圧電基板1と計測部7との距離の変化の影響と、圧電基板1の温度変化の影響とを極力受けることなく、圧電基板1上を通過した高周波の電気信号だけを抽出して分析し、温度算出手段75で圧電基板1の温度を算出することが可能となる。
以下、図1を用いて、温度測定装置10の詳細を説明する。
計測部7では、所定の周波数、例えば電波法で特定小電力となる420~430MHz又は、RFIDの915~930MHzの範囲の周波数を含む高周波を掃引する形で電気信号をアンテナ8から無線で送信する。この無線の高周波の信号を、圧電基板1に設けられたアンテナ2で受信する。
アンテナ2で受信した高周波の電気信号は、アンテナ2に電気的に接続された櫛歯状電極3で、圧電基板1の圧電効果によって櫛歯状電極3の仕様に応じた所定の帯域を持った表面弾性波として励振される。なお、櫛歯状電極3は、アンテナ2に電気的に接続されている電極と対をなす電極は、グランドに接地されている。
圧電基板1上で励振された表面弾性波は、圧電基板1上を伝播し、圧電基板1上に設けられた温度検出用反射器5に到達すると、櫛歯状電極3に向かって表面弾性波を反射する。
また、同様に、圧電基板1上を伝播する表面弾性波は、第一の遅延時間検出用反射器4a及び第二の遅延時間検出用反射器4bにそれぞれ到達すると、ここでも、それぞれ櫛歯状電極3に向かって表面弾性波を反射する。温度検出用反射器5と第一の遅延時間検出用反射器4aと第二の遅延時間検出用反射器4bとによってそれぞれ反射された表面弾性波は、櫛歯状電極3にそれぞれ到達すると、櫛歯状電極3で再び高周波の電気信号に変換されて、アンテナ2から送信される。このアンテナ2から送信される電気信号を、計測部7は、分析対象時間の範囲にアンテナ8で受信して分析することで、圧電基板1の温度について分析し、温度を温度算出手段75で算出する。なお、計測部7での分析対象時間の決定方法についての詳細は後述する。
図2は、計測部7から送信された高周波の電気信号の伝播についての説明図である。一般的な空間における無線での送受信については、計測部7と圧電基板1との間での送受信だけでなく、計測部7から送信された電気信号71は、計測部7の周囲の各方位に伝播し、計測部7の周囲に存在する金属壁面9を始めとする様々な物体によっても反射される。その反射信号の強度のレベルは様々であるが、反射された電気信号は、計測部7のアンテナ8に到達して、不要な電気信号、いわゆる反射ノイズ11として受信される。圧電基板1の温度を高精度に分析するためには、圧電基板1に到達して櫛歯状電極3で表面弾性波として励起され、圧電基板1上を表面弾性波として伝播して、温度の影響を周波数特性として受けた上で、対向する櫛歯状電極3に到達して再び電気信号に変換され、圧電基板1から送信されて戻ってくる反射波の電気信号のみを抽出して分析する必要がある。そのため、この圧電基板1を通過していない反射ノイズ11については、分析の対象としないように、出来る限り除去する必要がある。
図3はノイズ11を除去して必要な電気信号を抽出するための説明図である。計測部7と圧電基板1との送受信は、高周波の電気信号、つまり周波数領域での情報のやり取りとなるが、この情報を逆フーリエ変換することで、時間領域の情報として扱うことが出来る。時間領域に変換することで、空間を通過して送受信される電気信号と、圧電基板1上を表面弾性波として通過して送受信される電気信号との間に時間的な遅延が発生する。発明者による実験の結果、圧電基板1上を通過する際の遅延時間は約200nsであり、空間距離に換算すると、約60mの空間伝播に相当する。時間領域の情報において、この圧電基板1上を表面弾性波が通過する際の遅延時間を利用して、圧電基板1上を通過して戻ってくる電気信号を、分析対象時間として抽出することが可能となる。
具体的には、図3において、周波数領域の情報を逆フーリエ変換する(図3の(1)から(2)を参照。)ことによって時間領域の情報を得る。
次いで、得られた時間領域の情報の中から、圧電基板1上を通過して遅延した所定の時間幅のデータだけを切り出す(図3の(2)及び(3)を参照。)。
この切り出された時間領域の情報について、今度はフーリエ変換によって周波数領域に変換する(図3の(3)から(4)を参照。)ことで、圧電基板1を表面弾性波として通過して戻ってくる電気信号だけについて周波数領域で分析することが可能となる。
なお、圧電基板1の温度による表面弾性波への影響については、温度が変化することによる周波数特性の変化、例えば具体的には、温度の変化による圧電基板1自体の膨張若しくは収縮、又は、それに伴う圧電基板1上に設けられた櫛歯状電極3の間隔の変化などの要因によって、表面弾性波の周波数特性が変化する。この表面弾性波の周波数特性の変化を圧電基板1の温度と関連付けることが可能であるために、高周波の電気信号を分析することで、圧電基板1の温度を温度算出手段75で測定することができる。
図4は、計測部7と圧電基板1との距離Aと、圧電基板1上の表面弾性波の伝播方向沿いにおける、圧電基板1上の櫛歯状電極3と温度検出用反射器5との距離Cと、圧電基板1上の櫛歯状電極3と第一の遅延時間検出用反射器4aとの距離Bと、圧電基板1上の櫛歯状電極3と第二の遅延時間検出用反射器4bとの距離Dとに基づく、これらの部材の位置関係の説明図である。
第一の遅延時間検出用反射器4aは、櫛歯状電極3と温度検出用反射器5との距離Cよりも櫛歯状電極3に近い側に、距離Bで設けられ、第二の遅延時間検出用反射器4bは、櫛歯状電極3と温度検出用反射器5との距離Cよりも櫛歯状電極3から遠い側に、距離Dで設けられている。そのため、距離の大小については、B<C<Dとなっている。
ここで、圧電基板1上を伝播する表面弾性波は、櫛歯状電極3で励振されて圧電基板1上を伝播し、各反射器4a,5,4bで反射された後、再び、櫛歯状電極3にそれぞれ到達した後に、再度、圧電基板1上を表面弾性波としてそれぞれ伝播する。そのため、櫛歯状電極3と各反射器4a,5,4bとの間では、減衰しながらではあるが、表面弾性波がそれぞれ繰り返し伝播し続けることになる。よって、温度検出用反射器5と第一の遅延時間検出用反射器4aと第二の遅延時間検出用反射器4bとの距離の位置関係は、それぞれで反射される表面弾性波が重ならず、かつ、櫛歯状電極3から遠い側の第二の遅延時間検出用反射器4bでの反射波が櫛歯状電極3に到達するより前に、櫛歯状電極3に近い側の第一の遅延時間検出用反射器4aでの反射波が複数回、櫛歯状電極3に到達しないようにするため、2B>Dであることが望ましい。
図5は距離による時間の遅延についての説明図である。例として、二つの時間遅延の減衰ピークを有する波形の距離による時間の遅延について説明する。一つ目の減衰ピークと二つ目の減衰ピークとの遅延時間をWとする。時間の遅延については、計測部7と圧電基板1とのアンテナ間距離Aの変化によっても変化する。温度が変化しない場合は、前述の圧電基板1上を伝播する表面弾性波の遅延時間Sは変化しないために、基準波12(実線の波形参照)は、距離に依存する時間遅延(ここでの距離Aの遅延時間はTとする。)の変動分ΔTだけが変動した時間遅延波13(点線の波形参照)となる。
図6は温度による時間の遅延についての説明図である。図5と同様に、例として二つの遅延の減衰ピークを有する波形の温度による時間の遅延について説明する。温度変化による時間遅延の変動については、圧電基板1の温度変化によって圧電基板1が膨張若しくは収縮することで、圧電基板1上の表面弾性波の伝播距離が変化することにより発生する。そのため、基準波12(実線の波形参照)は、温度による時間の遅延の分だけ変動した温度遅延波14(点線の波形参照)となる。このとき、櫛歯状電極3から各反射器4a,5,4bまでの距離B,C,Dが同じ線膨張率で伸縮することから、一つ目の反射波による減衰ピークまでの遅延時間Sの変化をΔSとし、一つ目の減衰ピークと二つ目の減衰ピークとの遅延時間Wの変化をΔWとすると、
S:W=(S+ΔS):(W+ΔW)
となる。
ここで、図1の圧電基板1の構成における、分析対象時間の決定方法の詳細について説明する。図7は本発明の実施の形態における分析対象時間の決定方法の説明図である。計測部7と圧電基板1との距離Aによる遅延時間をaとし、遅延時間aの終了後から第一の遅延時間検出用反射器4aによる第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク16までの遅延時間をbとし、遅延時間aの終了後から第二の遅延時間検出用反射器4bによる第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク17までの遅延時間をdとし、遅延時間aの終了後から温度検出用反射器5による温度検出用反射波の減衰ピーク15までの遅延時間をcとする。圧電基板の温度分析に必要な情報を温度検出用反射器5による反射波の情報とすると、不要なノイズを出来る限り除去し、この反射波の情報を精度良く抽出する必要がある。このためには、温度検出用反射器5による温度検出用反射波の減衰ピーク15の前後の情報、つまり、遅延時間cの前後の情報に絞って抽出する必要がある。この所定の幅を持った時間を「分析対象時間」とする。時間遅延の様子は、図5及び図6で示したように、距離が連続的に変化することによる時間遅延、及び、圧電基板1の温度が連続的に変化によることによる時間遅延のそれぞれの影響で連続的に変化してしまうため、この分析対象時間は、初期条件で分析対象時間を固定するのではなく、適宜、最適化するために、連続的に各種の変化に対応させ続ける必要がある。図4の構成による反射波は、図7のような反射減衰量のピークとして出力されるので、温度検出用反射器5による温度検出用反射波の減衰ピーク15の情報を選択的に抽出し続けるためには、第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク16と第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク17との間での所定の時間幅で抽出し続けることで、必要な分析対象時間を連続的に抽出することが可能となる。
なお、第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク16と第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク17との間で分析対象時間を所定の時間幅で決定する方法については、以下のような方法がある。時間領域から周波数領域に戻した際に、温度検出用反射器5による反射波のみについて分析するために時間領域で情報を切り出す際に遅延時間検出用反射器4a,4bの情報を含まないほうが望ましい。そのため、図8に示すように、第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク16の遅延時間bに所定の固定時間としてeの値を加算した時間から、一方の第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク17の遅延時間dから所定の固定時間としてfの値を除算した時間までとしても良い。e、fの値は、初期の段階で遅延時間検出用反射器4a,4bの情報を含まず、また温度検出用反射器5の情報を除去しない値が望ましい。又は、圧電基板1の温度変化が大きくなる場合は、|d-b|の値が大きく変化する可能性がある。その場合、e、fの値を固定時間とすることで、遅延時間検出用反射器4a,4bの情報が含まれる場合、又は、温度検出用反射器5の情報が一部除去されてしまう可能性がある。そのため、初期の段階で、第一の遅延時間検出用反射器4aによる第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク16までの遅延時間bと、第二の遅延時間検出用反射器4bによる第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク17までの遅延時間dとの間の時間差である|d-b|に対する固定比率g、hとして、分析対象時間を、(a+b+|d-b|×g)から(a+d-|d-b|×h)の間としても良い。これにより、温度が大きく変化する状況においても、遅延時間検出用反射器4a,4bの情報が含まれる場合、及び、温度検出用反射器5の情報が一部除去されてしまう場合を回避することができる。g、hの値は、温度が大きく変化する状況においても、遅延時間検出用反射器4a,4bの情報が含まず、また温度検出用反射器5の情報を除去しない値が望ましい。
前記実施の形態によれば、温度測定対象である圧電基板1が移動し、計測部7と圧電基板1との距離Aが連続して変化し、かつ、移動しながら周囲の温度の影響を受けて温度が連続的に変化する環境下において、計測部7から送信された電気信号を受信して圧電基板1上の櫛歯状電極3で表面弾性波として励振する。櫛歯状電極と、温度検出用反射器と第一の遅延時間検出用反射器と第二の遅延時間検出用反射器との間で、この表面弾性波が圧電基板1上を伝播する際に温度影響の情報を周波数特性として有した状態で、櫛歯状電極3で電気信号に変換されて計測部7に送信される。このとき、圧電基板1上での表面弾性波としての遅延だけでなく、距離による時間遅延の情報も含むことが出来るため、圧電基板1に到達せずに計測部7が受信するような反射波などの時間遅延をノイズとして区別することができ、圧電基板1の温度を分析するために圧電基板1上を表面弾性波として通過した電気信号を選択的に分析対象として圧電基板1の温度を算出することが出来る。
よって、アンテナ間距離Aが連続的に変動し、かつ圧電基板1の温度が連続的に変化する場合であっても、アンテナ間距離A及び圧電基板1の温度による影響と、圧電基板1を経由しないノイズの影響とを低減することで信頼性を向上することができる。
なお、前記様々な実施の形態又は変形例のうちの任意の実施の形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施の形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施の形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施の形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の前記態様にかかる温度測定装置は、連続で移動し、かつ連続で温度が変化する温度測定対象物の温度を計測する際に、ノイズなどの影響を大幅に低減することができ、圧電基板の温度による周波数特性を高精度に分析することが可能となる。このため、本発明の前記態様は、無線、無給電において高精度に温度を測定するシステムとして、搬送を伴う工業製品又は家電製品の製造工程又は各種電子部品の製造工程における乾燥炉、キュア炉、又はリフロー炉などの各種熱処理を行う熱処理方法及び装置に適用できる。
1 圧電基板
2 アンテナ
3 櫛歯状電極
4a 第一の遅延時間検出用反射器
4b 第二の遅延時間検出用反射器
5 温度検出用反射器
7 計測部
8 アンテナ
9 金属壁面
10 温度測定装置
11 反射ノイズ
12 基準波
13 時間遅延波
14 温度遅延波
15 温度検出用反射波の減衰ピーク
16 第一の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク
17 第二の遅延時間検出用反射波の減衰ピーク
20 温度測定装置
21 圧電基板
22 アンテナ
23 第1櫛歯状電極
24 第2櫛歯状電極
25 インピーダンス変化型センサ
30 温度測定装置
31 圧電基板
32 第1櫛歯状電極
33 第2櫛歯状電極
34 第3櫛歯状電極
35 測定器
36 外部アンテナ
37 アンテナ
38 センサ
71 計測部から送信された電気信号
75 温度算出手段

Claims (3)

  1. 高周波の電気信号を無線で送受信する計測部と、
    圧電基板上に設けられ、前記計測部から受信した電気信号を前記圧電基板上に表面弾性波として励振し、かつ前記圧電基板上を伝播する表面弾性波を電気信号に変換して前記計測部に送信する櫛歯状電極と、
    前記表面弾性波の伝播経路上に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する温度検出用反射器と、
    前記温度検出用反射器の一方の側方に隣接配置されかつ前記温度検出用反射器の前記櫛歯状電極側に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する第一の遅延時間検出用反射器と、
    前記温度検出用反射器の他方の側方に隣接配置されかつ前記温度検出用反射器の前記櫛歯状電極と反対側に前記櫛歯状電極に対向して設けられ、前記櫛歯状電極で励振された表面弾性波を前記櫛歯状電極に向けて反射する第二の遅延時間検出用反射器と、を備えた温度測定装置であって、
    前記計測部は、前記温度検出用反射器で反射された表面弾性波から変換された電気信号について、前記第一の遅延時間検出用反射器と前記第二の遅延時間検出用反射器とでそれぞれ反射された表面弾性波から変換された電気信号に基づいて分析対象時間の範囲を決定し、決定された前記分析対象時間の範囲での前記圧電基板の温度を算出する温度算出手段を備える温度測定装置。
  2. 前記温度算出手段は、前記分析対象時間の範囲は、前記第一の遅延時間検出用反射器及び前記第二の遅延時間検出用反射器でそれぞれ反射された表面弾性波からそれぞれ変換された電気信号を周波数領域から時間領域に変換することで、変換した時間領域において前記分析対象時間の範囲を決定する請求項1に記載の温度測定装置。
  3. 前記温度算出手段において、前記分析対象時間の範囲は、前記第一の遅延時間検出用反射器及び前記第二の遅延時間検出用反射器でそれぞれ反射された表面弾性波からそれぞれ変換された電気信号を周波数領域から時間領域に変換し、前記第一の遅延時間検出用反射器及び前記第二の遅延時間検出用反射器でそれぞれ反射された表面弾性波からそれぞれ変換された遅延時間の電気信号の間であって、前記温度検出用反射器で反射された表面弾性波から変換された遅延時間の電気信号を含む分析対象時間の範囲とする請求項1に記載の温度測定装置。
JP2021083316A 2021-05-17 2021-05-17 温度測定装置 Pending JP2022176739A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021083316A JP2022176739A (ja) 2021-05-17 2021-05-17 温度測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021083316A JP2022176739A (ja) 2021-05-17 2021-05-17 温度測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022176739A true JP2022176739A (ja) 2022-11-30

Family

ID=84234039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021083316A Pending JP2022176739A (ja) 2021-05-17 2021-05-17 温度測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022176739A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102052986A (zh) 无线无源声表面波阻抗负载传感器
US20100141087A1 (en) Surface acoustic wave based sensor apparatus and method utilizing semi-synchronous saw resonators
RU2387051C1 (ru) Датчик физической величины на поверхностных акустических волнах
KR101053415B1 (ko) 레이저 초음파 측정장치 및 측정방법
JP4615599B2 (ja) 内燃機関におけるシリンダ圧を測定するための測定システム
JP2022176739A (ja) 温度測定装置
Li et al. Wireless surface acoustic wave radio frequency identification (SAW-RFID) sensor system for temperature and strain measurements
Zhang et al. Multipath suppression with an absorber for UWB wind turbine blade deflection sensing systems
JP2022176741A (ja) 温度測定装置
Kuypers et al. P1I-9 Passive 2.45 GHz TDMA based Multi-Sensor Wireless Temperature Monitoring System: Results and Design Considerations
RU2629892C1 (ru) Способ измерения физических величин с помощью датчиков на поверхностных акустических волнах
KR20140119278A (ko) 표면탄성파에 의한 비접촉 무전원 무선 온도 측정 방법
CN211783950U (zh) 时分频分结合编码的声表面波温度传感器
RU2298155C1 (ru) Магнитострикционный уровнемер-индикатор
JP7345117B2 (ja) 温度センサ及び温度測定装置
WO2023248564A1 (ja) 雰囲気状態測定装置
Viikari et al. Optimized signal processing for FMCW interrogated reflective delay line-type SAW sensors
Kuypers et al. 2.45 GHz passive wireless temperature monitoring system featuring parallel sensor interrogation and resolution evaluation
RU2393444C1 (ru) Чувствительный элемент датчика физических величин с отражающими структурами
JP2009281975A (ja) 弾性表面波素子及びセンサ
JP5058196B2 (ja) 材料の相変態率の計測装置及び計測方法
Goavec-Merou et al. Fast contactless vibrating structure characterization using real time field programmable gate array-based digital signal processing: Demonstrations with a passive wireless acoustic delay line probe and vision
JPH09196900A (ja) 表面層特性の測定方法および装置
JP2007033093A (ja) アンテナ遅延測定方法
Sun et al. Wireless saw-based tags with temperature sensors that utilize high-resolution delay-time measurements