JP2022176451A - エネルギー取引支援装置及びエネルギー取引支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギーの供給側、需要側の双方に有益なエネルギー取引を支援する。【解決手段】エネルギー取引を支援するエネルギー取引支援装置であって、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、複数のナノグリッドの位置を記憶する記憶部と、前記複数のナノグリッドにおける電力取引の注文情報を受け付ける受付部と、前記注文情報と前記複数のナノグリッドの位置とに基づいて、車両の移動時間を算出し、前記移動時間に基づいて前記車両の1以上の仮スケジュールを作成する算出部と、前記作成された仮スケジュールに基づいて、前記複数のナノグリッド間のエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定部とを備えることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、電力などのエネルギーの取引を支援する装置及び方法に関する。
地球温暖化を抑制するための再生可能エネルギー発電の増大、災害に強いエネルギー供給の増大、送電網容量の制限などから、マイクログリッドやナノグリッドの市場が成長している。さらに、エネルギー蓄積媒体を搭載した車両が複数のナノグリッドの間を走行しエネルギー循環を行うことで、エネルギーの貯蔵、需給調整を低コスト化し、電力コストや二酸化炭素の発生量を削減する技術が知られている。
また、人口減少による地方交通網の脆弱化、高齢化による自力の移動・輸送が困難な人の増大、感染病の蔓延による在宅率の増加などにより、モビリティサービスと合わせて電気自動車等の車両による電力の安定化を図る技術が求められている。
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2006-50887号公報)には、複数のエネルギー消費機器が設けられた仮想エリア(エネルギー需給グリッドと呼ぶ)内の発電設備、燃焼機器又は輸送機器の排ガスの顕熱を、DME(ジメチルエーテル)又はCH3OH(メタノール)を改質することによってH2又はCO+H2として回収し、このH2又はCO+H2を当該エネルギー需給グリッド内又は他のエネルギー需給グリッド内に、前記複数のエネルギー消費機器の燃料として又は化学原料として供給することを特徴とするエネルギー供給方法が記載されている(請求項1参照)。
また、特許文献2(特開2011-155714号公報)には、小規模な電力の生産者、消費者、プロシューマにより形成される集合体(マイクログリッド)の電力管理、及びマイクログリッドにおける電力取引方法に関して、取引管理サーバは、プロシューマグループ内で取り引きされる電力価格を決めたり、売り注文や買い注文を受け付け、取引の成否を管理する方法が記載されている。
特開2006-50887号公報 特開2011-155714号公報
特許文献1では、複数のエネルギー需給グリッド間での車両を介したエネルギー循環については開示があるが、グリッドに関連する当事者と他の当事者とのエネルギー取引の方法についての具体的な記載や示唆はない。所定の地域に複数のナノグリッドを構築し、エネルギーを蓄積する媒体を搭載した車両を用いながら複数のナノグリッド全体でエネルギー融通を行うことを考慮した場合、関連する当事者間でのエネルギー取引の方法の構築が必要になってくる。
一方、特許文献2では、個々の小規模プロシューマがコントローラを介して入力する売り注文や買い注文を受け付け、取引の成否を管理し、取引が成立した場合に、売り注文を出した小規模プロシューマのコントローラに対して電力の提供を指示し、買い注文を出した小規模プロシューマのコントローラに対して電力の受電を指示する取引管理サーバが開示されている。しかしながら、取引の成否の決定の詳細については記載がない。再生可能エネルギーや蓄電池、車両を含む複数のナノグリッドから構成される自立型の地域エネルギーシステムを考えた場合、充放電が必要なナノグリッドの位置や再生可能エネルギーの電力供給量などは変動的なため、ナノグリッド間でのエネルギー融通を行う際の蓄電池などを介したエネルギー輸送を行う車両の移動に係る時間も変動的である。特許文献2では、電動移動体の現在地と充電スポットの地図情報を取得する旨の記載はあるが、電動移動体の余剰電力や電動移動体が移動可能なエリアの算出に用いるのみであって、電力の買い取りが必要なグリッドの位置、電力を売ることが可能なグリッドの位置及び電力の搬送が可能な電動移動体の現在位置と、それにより変動する輸送時間(車両の移動時間)とを考慮したエネルギーの取引の支援方法については記載がない。
そこで、本発明は、複数のナノグリッドにおいて、状況によって変動するエネルギーの輸送時間、エネルギーの充放電位置を考慮して、複数のナノグリッド全体でのエネルギー循環を実現しながら、エネルギーの供給側、需要側の双方にとって有益なエネルギー取引を支援するエネルギー取引支援装置の提供を目的とする。
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、エネルギー取引を支援するエネルギー取引支援装置であって、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、複数のナノグリッドの位置を記憶する記憶部と、前記複数のナノグリッドにおける電力取引の注文情報を受け付ける受付部と、前記注文情報と前記複数のナノグリッドの位置とに基づいて、車両の移動時間を算出し、前記移動時間に基づいて前記車両の1以上の仮スケジュールを作成する算出部と、前記作成された仮スケジュールに基づいて、前記複数のナノグリッド間のエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定部とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、変動する車両の移動時間及びエネルギーの充放電位置を考慮し、エネルギーの授受が可能な範囲での取引を実現し、エネルギー循環を促進できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
本発明の実施例のエネルギー取引支援装置が管理する複数のナノグリッドを含む地域エネルギーシステムの概要を示す図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置が管理するナノグリッド及び電気自動車における電力及び情報の流れを示す図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置、ナノグリッド及び電気自動車の構成を示す図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置へナノグリッドの情報を登録する処理のシーケンス図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置の物理的な構成を示す図である。 本発明の実施例の約定可否判定部が行う処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例の算出部による仮スケジュールを出力する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例の位置情報の例を示す図である。 本発明の実施例の設備情報の例を示す図である。 本発明の実施例の注文情報の例を示す図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置が管理するナノグリッドの位置とEVの走行ルート、地図情報記憶部が保有するノード情報、リンク情報テーブルの内容を示す図である。 本発明の実施例のエネルギー取引支援装置により電力使用効率が改善することを示すシミュレーション結果を示した図である。 本発明の実施例の算出部による買い注文又は売り注文の対応スケジュールの挿入可否の判定を示す図である。 本発明の実施例のEVスケジュール記憶部に格納されるEVスケジュール情報の一例を示す図である。 本発明の実施例の仮スケジュール情報の一例を示す図である。
図1は、本発明の実施例のエネルギー取引支援装置100が管理する複数のナノグリッド10を含む地域エネルギーシステムの概要を示す図であり、実線は電気自動車30の移動経路を、点線は情報を伝送するための通信線を示す。エネルギー取引支援装置100は、複数のナノグリッド10と通信可能に接続されている。
ナノグリッド10は、電力を生成する電源、電力を消費する負荷、及び発電量及び電力消費を制御する電力制御装置(図示省略)を有している。ナノグリッド10は、電力需給の差を埋めるために、電力を蓄積する蓄電池を有してもよい。電源は、主に太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス燃料による発電が可能な燃料発電機などの再生可能エネルギーによって発電する装置である。負荷は、ナノグリッド10内で電力を消費する設備、農業機械、体育館、公民館や学校などの公共施設への送電などである。また、当該地域内を走行する電気自動車30も電力を消費し、負荷となる。
エネルギー取引支援装置100は、複数のナノグリッド10と通信可能に接続されている。ナノグリッド10の電力制御装置は、当該ナノグリッド10の電力需給状態を管理している。エネルギー取引支援装置100は、各ナノグリッド10の電力制御装置より、複数の電力の注文情報を受け取り、受け取った注文情報に基づいて電力の取り引きを管理し、電気自動車30へ充放電や移動に関する指示を送る。また、エネルギー取引支援装置100は、演算結果をエネルギー取引電力市場の運営者200に出力する。
ナノグリッド10を含む地域において、少なくとも1台の電気で走行する車両である電気自動車30が、充電された電力を使用してナノグリッド10の間を移動する。電気自動車30は、当該地域内で貨物や人を輸送する配送トラック、オンデマンドバス、タクシー等でもよい。電気自動車30は、充放電可能な走行用電池を搭載している。この他に、電気自動車30は、充放電可能な電力輸送用電池を搭載しており、電力取引の結果に従って所定のナノグリッド10で充電し、他のナノグリッド10で放電して、複数のナノグリッド10の間で電力需給を調整する。電力輸送用電池と走行用電池とは共通の電池でも、別の電池でもよい。電気自動車30には急速充電可能な電池が搭載されるとよいが、普通充電のみが可能な電池や、短時間かつ容易に交換可能な電池が搭載されてもよい。
電気自動車30は、充電された電気で走行する電気自動車がよいが、内燃機関や燃料電池からのエネルギーによって走行する車両でもよい。この場合、ナノグリッド10は、電気自動車30の電力輸送用電池に、複数のナノグリッド10の間で取引される電力を提供する。また、電気自動車でなくても充放電可能な電力輸送用電池を積載した水素自動車などでもよい。
図2は、本発明の実施例のエネルギー取引支援装置100が管理するナノグリッド10及び電気自動車30における電力及び情報の流れを示す図であり、点線は情報の流れを、破線は電気自動車30による電力の輸送を示す。
ナノグリッド10は、複数のナノグリッド10の間で電力需給をバランスし、複数のナノグリッド10から構成される地域エネルギーシステムにて電力を自給自足することを原則とするが、送配電事業者の電力系統から電力を供給できるように電力系統(図示省略)に接続されてもよい。この場合、電力系統とナノグリッド10との間にはスイッチが設けられてもよく、スイッチを閉じると電力系統からナノグリッド10へ電力を供給できる。なお、ナノグリッド10には、直流電源を供給するDCナノグリッドと交流電源を供給するACナノグリッドとがある。DCナノグリッドでは、電力系統との間に電力系統から供給された交流電力を直流電力へ変換するインバータが設けられてもよい。
電気自動車30は、電力取引の結果に合わせて、ナノグリッド10の間を走行し、ナノグリッド10から他のナノグリッド10に電力を輸送する。この際、電気自動車30の走行に合わせて人や貨物を輸送してもよい。電気自動車30は、エネルギー取引支援装置100と通信可能に接続されており、移動、充放電などの指示を受け、移動開始、移動完了、充電開始、放電開始、蓄電量などの情報をエネルギー取引支援装置100に送る。
エネルギー取引支援装置100は、後述する処理によって算出する複数のナノグリッド10の注文履歴、約定履歴、及び電気自動車30による電力輸送計画を、エネルギー取引支援装置100を管理しているエネルギー取引電力市場の運営者200に通知する。また、エネルギー取引支援装置100は、当該ナノグリッドが関連する約定履歴及び注文履歴をナノグリッド10に通知してもよい。
図5は、本実施例のエネルギー取引支援装置100の物理的な構成を示す図である。
本実施例のエネルギー取引支援装置100は、プロセッサ(CPU)101、メモリ102、補助記憶装置103及び通信インターフェース104を有する計算機によって構成される。
プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムを実行する。なお、プロセッサ101がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、FPGAやASICなどのハードウェアによる演算装置)で実行してもよい。
メモリ102は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサ101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
補助記憶装置103は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置103から読み出されて、メモリ102にロードされて、プロセッサ101によって実行される。
通信インターフェース104は、所定のプロトコルに従って、他の装置(ナノグリッド10内の電力制御装置や電気自動車30など)との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
エネルギー取引支援装置100は、入力インターフェース105及び出力インターフェース108を有してもよい。入力インターフェース105は、キーボード106やマウス107などが接続され、運営者200からの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェース108は、ディスプレイ装置109やプリンタ(図示省略)などが接続され、プログラムの実行結果を運営者200が視認可能な形式で出力するインターフェースである。なお、エネルギー取引支援装置100にネットワークを介して接続された端末が入力インターフェース105及び出力インターフェース108を提供してもよい。
プロセッサ101が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してエネルギー取引支援装置100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置103に格納される。このため、エネルギー取引支援装置100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
エネルギー取引支援装置100は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で1又は複数のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。エネルギー取引支援装置100の各部は異なる計算機上で動作してもよい。
図3は、本実施例のエネルギー取引支援装置100、ナノグリッド10、及び電気自動車30(EV)の構成を示す図である。
エネルギー取引支援装置100は、複数のナノグリッド10の間のエネルギー取引を支援する装置であって、複数のナノグリッド10の位置情報及び複数のナノグリッド10の設備情報を含んだ情報を記憶する記憶部304と、複数のナノグリッド10の電力取引の注文情報を受け付け、注文情報を約定可否判定部302及び算出部303に出力する受付部301と、受け付けた注文情報と記憶部304から抽出した複数のナノグリッド10の位置情報に基づいて、電気自動車30による移動時間を算出し、当該移動時間に基づいて電気自動車30の仮スケジュールを複数作成する算出部303と、複数の仮スケジュールに基づいて、複数のナノグリッド10の間でのエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定部302とを有する。受付部301、約定可否判定部302及び算出部303の処理の詳細は後述する。
エネルギー取引支援装置100は、外部通信部305を有し、広域通信網を介して複数のナノグリッド10及び複数の電気自動車30と通信可能である。受付部301は、外部通信部305を介して複数のナノグリッド10の外部通信装置321から電力取引の注文情報を受け付ける。広域通信網は、例えばインターネットであるが他の方式のネットワークでもよい。
ナノグリッド10は、広域通信網を介してエネルギー取引支援装置100及び複数の電気自動車30との通信を可能にする外部通信装置321と、複数の電気自動車30と電力の授受を行う電力入出力装置325を有する。また、前述した再生可能エネルギーによって発電する装置である分散電源322、充放電が可能な蓄電池323、及び、電力を消費する設備である電力負荷324の少なくとも一つを有する。なお、同様の構成をした複数のナノグリッドが配置されている。
電気自動車30は、広域通信網を介してエネルギー取引支援装置100及び複数のナノグリッド10との通信を可能にする外部通信装置331と、複数のナノグリッド10と電力の授受を行う電力入出力装置334と、充放電が可能な蓄電池333と、電気自動車30を駆動するための駆動装置332を有する。内部構成が同等であれば、その具体的な構成は問わない。電気自動車30は、自動運転機能を有してもよいし、人によって駆動装置332が操作され走行する車両でもよい。なお、同様の機能を有する複数の電気自動車30が配置されてもよい。
ナノグリッド10は、併設された電力制御装置(図示せず)によりナノグリッド10内の電力需給の管理を行い、分散電源322の予測発電量、蓄電池323の蓄電量及び電力負荷324による電力需要等の少なくとも一つに基づいて、電力の買い注文又は売り注文を外部通信装置321からエネルギー取引支援装置100に送信する。電力の注文は、電力制御装置のアルゴリズムによって送信しても、ナノグリッド10の管理者の操作によって送信してもよい。分散電源322の予測発電量や電力負荷324による電力需要の予測は、公知の方法で算出すればよい。例えば、前年、前月、前週の対応する日、又は前日の需要量を予測値とする方法や、過去データから年単位、月単位、週単位の時間帯における平均を用いる方法などが考えられる。なお、電気自動車30が独自に判断し、蓄電池333の蓄電量や目的地等に応じて、電力の買い注文や売り注文を生成し、外部通信装置331からエネルギー取引支援装置100に送信してもよい。この場合、ナノグリッド10の電力制御装置に相当する機能を有する管理装置が電気自動車30に搭載されている必要があり、1台の電気自動車30がナノグリッド10と同様に機能する。
エネルギー取引支援装置100の説明に戻る。エネルギー取引支援装置100の記憶部304は、算出部303によって算出された電気自動車30の運行スケジュールを格納するEVスケジュール記憶部311、ナノグリッド10からの各種登録情報の照会に用いる認証情報を格納する認証情報記憶部312、複数のナノグリッド10の間の移動距離や電気自動車30の現在地とナノグリッド10の間の移動距離を求めるために使用される各ナノグリッド10の地図情報が格納された地図情報記憶部313、ナノグリッド10が有する設備情報を格納する設備情報記憶部314、複数のナノグリッド10の位置情報を格納する位置情報記憶部315、及び受付部301が受け付けた注文情報を格納する注文情報記憶部316とを有する。
図4は、ナノグリッド10の各種情報を登録する処理のシーケンス図であり、情報及び通知の方向を実線で示す。各種通信は、図3で示す外部通信装置321、広域通信網及び外部通信部305により実行される。
ナノグリッド10の管理者は、ナノグリッド10に関する認証情報、位置情報及び設備情報を登録し、受付部301に送信する(S401)。認証情報は、ID又はパスワードによるものや公開鍵暗号等を用いた電子署名が考えられるが、これらに限られず、認証ができる公知の方法でもよい。受付部301は、ナノグリッド10からの登録を受け付けた際、はじめに、認証情報記憶部312に既知の登録情報があるかを照会する(S402)。照会された情報が既に登録されている場合、認証情報記憶部312は、登録済みIDを受付部301に返し、ナノグリッド10に登録済み通知を送信し、処理を終了する(S403)。照会された情報が新規登録であることを確認できた場合、受付部301は、登録情報の真正性を確認する(S404)。具体的には、登録された認証情報、位置情報、設備情報のそれぞれをエネルギー取引支援装置100に接続された画面上に出力し、取引市場の運営者200が当該情報が正しいかを直接現地にて確認することにより、真正性を確認してもよいし、該当設備のUUID(Universally Unique Identifier)などの一意な識別子をナノグリッド10の管理者に入力させることによって、真正性を確認してもよい、また、電力制御装置を介してネットワークに該当機器を接続することによって機器情報から直接UUIDを取得して、登録情報の真正性を確認してもよい。これらの方法で真正性が確認できた場合、受付部301は、各種登録処理を行う(S405)。
具体的には、登録処理(S405)では、受付部301は、発行したナノグリッド10の新規IDと認証情報を認証情報記憶部312に登録し、ナノグリッド10の新規IDとナノグリッド10の位置情報を位置情報記憶部315に登録し、ナノグリッド10の新規IDとナノグリッド10の設備情報を設備情報記憶部314に登録し、それぞれから登録完了通知を受け取る。これにより、ナノグリッド10の新規IDと各種の情報が関連付けられて記憶部304に登録され、エネルギー取引支援装置100がナノグリッド10に関する各種情報を利用可能になる。全ての情報が正しく登録された場合、受付部301は、ナノグリッド10に登録完了通知を送信し、処理を完了する(S406)。なお、真正性が確認できなかった場合は、ナノグリッド10に対して異常を通知して処理を完了する。
図8は、ナノグリッド10の位置情報の例を示す図である。なお、ナノグリッドの位置とは、電力入出力装置325が配置されている位置である。位置情報記憶部315に記憶される位置情報は、ナノグリッド10の位置を表現可能で、位置情報を用いて二つのナノグリッド間の電気自動車30による移動時間を計算可能であれば、どのような形態でも構わない。図8では、図8(a)、図8(b)及び図8(c)の3通りの例を示す。いずれにおいても、位置情報は、ナノグリッド10を識別するナノグリッドID1002と位置情報で構成される。ナノグリッドの位置は、蓄電池が配置されている位置でもよい。また、位置は、車両による移動時刻を概算できればよく、特定の地点を正確に示さなくとも、一定の範囲を示す情報でも構わない。
図8(a)では、位置情報は経度801と緯度802で構成される。曖昧さを除くためには、それぞれが10万分の1~1万分の1程度の有効数字を持つことが望ましい。図8(b)では、位置情報は地図上のノードを示す数値であるノードID803で構成される。ノードID803は、後述する地図情報テーブルの情報と対応される。地図情報記憶部313に格納されているノード情報テーブルとリンク情報テーブルで指定されるデータが関連付けられている(図13で後述)。図8(c)では、位置情報は住所を示す文字列で構成される。表現上の曖昧さを除くため、位置情報記憶部315へ登録する際には、形式を統一することが望ましい。位置情報が住所で示されている場合、2つのナノグリッド間の距離は、外部の地図サービスを利用して取得すればよい。移動時間についても同様に、外部の乗り換え案内サービスを利用して取得すればよいし、外部の地図サービスから取得した距離と電気自動車30の平均的な移動速度から算出してもよい。
図9は、設備情報の例を示す図である。設備情報記憶部314に記憶される設備情報は、電力の授受に関する制約を考慮するために用いられ、少なくとも、各ナノグリッド10が保有する電力入出力装置325の充放電性能を示す情報を格納する。例として、図9(a)と図9(b)の2種類を示す。なお、ナノグリッド10が複数の電力入出力装置325を有する場合、電力入出力装置325の数だけ電力入出力装置諸元リスト901の情報が増える。ここで、ナノグリッド10を充電とはナノグリッド10が電力を受け取ることであり(例えば蓄電池323の充電)、ナノグリッド10から放電とはナノグリッド10が電気自動車30などに電力を供給することである(例えば蓄電池323の放電)。
図9(a)では、設備情報は、ナノグリッドID1002と装置の諸元を示す電力入出力装置諸元リスト901で構成される。各電力入出力装置諸元リスト901は少なくとも一つの要素を持ち、同種の電力入出力装置の重複した登録が許される。電力入出力装置諸元リスト901は、最大充電速度と最大放電速度のペアのリストとして構成されている。図9(a)の例では、(5kW,5kW)の部分は、最大充電速度が5kWで、最大放電速度が5kWの電力入出力装置がナノグリッドID1に含まれていることが示されている。他、2台の電力入出力装置がナノグリッドID1に含まれている。
図9(b)では、設備情報は、二つのテーブルで管理され、ナノグリッドID1002とナノグリッドが保有する電力入出力装置325を識別する電力入出力装置ID903がリスト化された電力入出力装置IDリスト902を含む。各電力入出力装置IDリスト902は少なくとも一つの要素を持ち、同種の電力入出力装置の重複した登録が許される。更に、電力入出力装置ID903は、その諸元がIDに関連付けて管理され、例えば最大充電速度904と最大放電速度905が登録される。図9(b)に示すように、ナノグリッド10に設置が可能な電力入出力装置325を予めカタログ化しておくことで、ナノグリッド10の管理者に煩雑な諸元の入力を回避できる。なお、予め電力入出力装置325のカタログ情報を設備情報記憶部314に入力せずとも、入力された情報と既に登録されている電力入出力装置325の情報を比較し、該当する可能性がある装置の候補を提示することで、電力入出力装置325を登録する際の入力を省略できる。これは、管理者の利便性のみならず、誤って登録された情報に従った電力の入出力による事故の可能性を低減できる。なお、設備情報には、電力入出力装置325の端子規格に関する情報が含まれていてもよい。端子規格の情報を用いることによって、規格の統一が図られない場合に、後述するEVスケジューリング時に端子による制約を考慮できる。
図4では、受付部301がナノグリッド10に関する各種登録情報を受け付けるシーケンスを説明したが、受付部301は、ナノグリッド10から電力の買い注文又は電力の売り注文を含む注文情報も受け付ける。
図10は、受付部301が受け付ける注文情報の一例を示す図である。注文情報は注文ID1001毎に管理され、ナノグリッド10を識別するナノグリッドID1002、電力の希望売買単価を示す売買単価1003、電力の注文量を示す注文量1004、ナノグリッド10の電力状況から算出した電力の授受が可能になる開始時刻を示す授受可能開始時刻1005、ナノグリッド10の電力状況から算出した電力の授受が可能な期間の終了時刻を示す授受可能終了時刻1006を含む。注文量1004は、数値が正であれば買い注文を示し、数値が負であれば売り注文を示す。なお、買いと売りの区別は、正負で分けてもよいし、1や0で示す売買フラグを別に付して表してもよい。なお、他のナノグリッド10の状況などによって注文量分の売買が常に成立するとは限らず、一つの注文が複数回に分割されて約定する可能性もある。受付部301は、図10で示す注文情報と前述した認証情報とをナノグリッド10から受け付け、受け付けた注文情報を注文情報記憶部316に格納する。
図7は、本実施例のエネルギー取引支援装置100の算出部303の処理の一例を示すフローチャートであり、電気自動車30が売り注文及び買い注文のそれぞれに対応するための電気自動車30のスケジュールの案である仮スケジュールを算出するための処理を示す。
まず、算出部303は、注文情報記憶部316に格納されている注文情報を取得する(S701)。注文情報は、図10で示す内容が含まれる。
続いて、算出部303は、EVスケジュール記憶部311に格納されているEVスケジュール情報を取得する(S702)。
図14は、EVスケジュール記憶部311に格納されるEVスケジュール情報の一例を示す図であり、例として、2台の電気自動車30のスケジュールを示す。EVスケジュール情報は、電気自動車30を識別するEVID1502と、電気自動車30の行動が記述された行動リスト1402とで構成される。行動リスト1402の通り、電気自動車30のスケジュールは、キューで管理される行動の順序として表現してもよい。行動の順序は、移動命令、動作命令、予定到着時刻及び予定出発時刻から構成されている。
移動命令は、電気自動車30に指定の位置へ移動することを命じるものであり、例えば、地点(X)への移動を示すmove to Xである。また、動作命令は、例えば、所定の電力を充電又は放電することを命じるchargeや、現在地での待機、停車を命じるstayなどがある。なお、動作命令がstayの場合には、推定出発時刻は定義されない。chargeの後には、数値が記述され、例えば、charge 50であれば、電気自動車30はナノグリッド10から電力を受け取る(EVからみれば充電)を示し、charge -50であれば、電気自動車30はナノグリッド10に電力を渡す(EVからみれば放電する)ことを示す。図14では、EVID1で管理される電気自動車30は、10:10にX地点に到着し、50kW分の電力を搭載する蓄電池に充電し、10:30にX地点を出発することを示す。その後、地点Yに移動し、11:00に地点Yに到着し、50kW分の電力を搭載する蓄電池からナノグリッド10の電力入出力装置325に放電し、11:20に地点Yを出発することを示す。更に、地点Dに移動し、11:30に到着した後は、地点Dで待機する命令を表している。このように、電気自動車30は、複数のスケジュールが列となって管理されている。
EVスケジュール情報は、本実施例のエネルギー取引支援装置100が作成した後、EVスケジュール記憶部311に記録した電気自動車30の充放電や移動を表すものでもよいし、本実施例とは関係なく、もともと各電気自動車30が予定していた目的地や予定時刻などのスケジュールでもよい。なお、電気自動車30がオンデマンドバスの場合、バス停の位置や予定出発や到着時刻などの運行スケジュールと関連付いたものでもよい。さらに、電気自動車30への動作命令の例を示したが、動作命令を受けた電気自動車30は、当該動作を車両の自動運転によって実現してもよいし、車両に搭載されたディスプレイへの表示等に従ったドライバーの運転操作によって当該動作を実現してもよい。本実施例の本質ではないため、電気自動車30による命令の実現方法については特に限定しない。
図7の説明に戻り、S702の後、算出部303は、注文情報を送信した複数のナノグリッド10の位置情報を位置情報記憶部315から取得する(S703)。位置情報は、例えば、図8で示すような情報である。
算出部303は、注文情報記憶部316から取得した全ての注文情報に基づいて、売り注文と買い注文のペアである売買注文対を作成する。そして、作成した全ての売買注文対に対して、以降の処理を実行する(S704)。
算出部303は、取得した全てのEVスケジュールに基づいて、EVID1502毎にS705以降の処理を実行する。まず、キューで管理される電気自動車30の行動の順序のいずれかの時刻に対して、注文情報の授受可能開始時刻及び授受可能終了時刻に基づいて、売り注文の対応スケジュールをEVスケジュールに挿入できるかを判定する(S706)。ここでは、既に作成されている電気自動車30のEVスケジュールの予定出発時刻、予定到着時刻及び目的地を参照し、現在の電気自動車30の位置と、売り注文及び買い注文が送信されたナノグリッド10の位置とに基づいて、電気自動車30の移動時間を算出し、既存のEVスケジュールと当該注文の対応スケジュールとが時間的に重複しない場合に当該注文の対応スケジュールを挿入できると判定する。当該売り注文の対応スケジュールを挿入できると判定された場合、当該注文の対応スケジュールを電気自動車30の仮行動として作成し、EVスケジュール記憶部311に記録する(S707)。一方、当該売り注文の対応スケジュールを挿入できないと判定された電気自動車30については、次の電気自動車30に対する処理に進む。
続いて、算出部303は、キューで管理される電気自動車30の行動の順序におけるいずれかの時刻に対して、注文情報の授受可能開始時刻及び授受可能終了時刻に基づいて、買い注文の対応スケジュールを挿入できるかどうか判定する(S708)。ここでは、既に作成されている電気自動車30のスケジュール列の予定出発時刻、予定到着時刻及び目的地を参照し、現在の電気自動車30の位置と、売り注文及び買い注文が送信されたナノグリッド10の位置とに基づいて、電気自動車30の移動時間を算出し、スケジュール列に当該買い注文の対応スケジュールを挿入できるか否かを判定する。当該買い注文の対応スケジュールを挿入できると判定された場合、当該買い注文の対応スケジュールを電気自動車30の仮行動として作成し、EVスケジュール記憶部311に記録する(S709)。一方、当該買い注文の対応スケジュールを挿入できないと判定された電気自動車30については、次の電気自動車30に対する処理に進む。
算出部303は、ステップS706及びS708の買い注文及び売り注文を挿入可能か否かを判定する際、電気自動車30の位置、買い注文を送信したナノグリッドの位置、及び売り注文を送信したナノグリッドの位置に基づいて、電気自動車30による移動時間を算出し、算出した移動時間に基づいて、電気自動車30の予定到着時刻に間に合うか否かを判定することで、仮行動を作成している。その後、算出部303は、EVスケジュール記憶部311に記録した売り注文に関する仮行動と、買い注文に関する仮行動とに基づいて、図15に示す仮スケジュール情報を作成し、EVID1502、買い注文ID1503、及び売り注文ID1506とを、仮スケジュールID1501に関連付けてEVスケジュール記憶部311に記録する(710)。上述したS705のループに関する処理を、作成した全ての売買注文対に対して実行することによって、算出部303は電気自動車30の仮スケジュールを作成する。
図13は、ステップS706及びS708の買い注文及び売り注文の対応スケジュールを挿入可能か否かの判定を示す図である。横方向が時間の向きで、図では午前9時から11時過ぎまでの時間において、EV1からEV3までの3台の電気自動車30のスケジュールを示す。ひし形端点の線分1301がナノグリッドでの充放電に必要な時間を示し、矢印端点の線分1302が電気自動車30の移動に必要な時間を示し、丸形端点の線分1303が、挿入可否が判定される買い注文又は売り注文の電力の授受可能開始時刻1005と授受可能終了時刻1006の間の時間を示す。それぞれの丸形端点の線分1303の上には注文に対応するナノグリッドの番号を示し、図では、挿入可否判定中の売り注文にナノグリッド4が対応し、挿入可否判定中の買い注文にナノグリッド8が対応する。ここでは、ナノグリッド4の売り注文とナノグリッド8の買い注文のペアが算出部303によって作成された仮の売買注文対である。
算出部303は、電気自動車EV1のEVスケジュールを取得し、ナノグリッド3、ナノグリッド5及びナノグリッド2での充放電の時間(1304、1305及び1306)と車両の移動時間(1307及び1308)を算出する。また、売り注文を送信しているナノグリッド4の位置情報を取得し、直前のスケジュールのナノグリッド3の位置情報との比較から車両による移動時間を算出する。そして、ナノグリッド4の授受可能時刻の間でナノグリッド4への移動及び充放電を行い、元々のスケジュールへの復帰が可能か否か判定する。図13の例では、ナノグリッド3での充放電の時間1304、ナノグリッド3からナノグリッド5への移動時間1307及びナノグリッド5での充放電の時間1305が既にスケジュールされており、ナノグリッド4の売り注文の挿入は不可であると判定する。売り注文の挿入が不可と判定されたため、EV1の仮行動を作成せずに次の電気自動車30の判定に移行する(図7のS705)。なお、図13では、EV1は買い注文(ナノグリッド8)には対応できていることを示している。
続いて、算出部303は、電気自動車EV2に対しても同様の処理を行う。EV2のEVスケジュールを取得し、充放電の時間(1309及び1310)と直前のスケジュールの位置情報からナノグリッド1までの移動時間1311とナノグリッド1からナノグリッド12への移動時間1312を算出する。さらに、売り注文のナノグリッド4の位置情報を取得し、直前のスケジュールの位置情報からナノグリッド4までの車両による移動時間1313を算出する。加えて、ナノグリッド4の電力入出力装置325の諸元と売り注文に含まれる注文量から充電にかかる時間を算出し、ナノグリッド4の到着後に充電に必要な時間1314を加える。続いて、ナノグリッド4から、元々予定されていたナノグリッド1までの移動時間1315をナノグリッドの位置情報に基づいて算出する。このように算出した売り注文に対応するためのそれぞれの移動時間と充電時間を足し合わせ、もともと予定されていたナノグリッド1での充放電などの動作に時間的に対応可能か否かを判定する。図13の点線で示した線分はそれぞれ、注文を挿入した場合に必要な時間を示している。EV2の例では、直前の行動がstayであったか、前のスケジュールが十分に時間的に離れていたため、ナノグリッド4の授受可能開始時刻に合わせて移動し、電力を受け取ることが可能である。
売り注文の対応と同じように、買い注文を送信しているナノグリッド8に対してもEV2で対応が可能かを判定する。処理が同様のため、詳細は省略するが、図13のEV2は、買い注文(ナノグリッド8)への対応も可能であることが示されている。このように、売り注文及び買い注文のペアである仮の売買注文対に対して、両方のスケジュールの挿入が可能と判定された電気自動車30は、仮行動として作成した各移動や充放電のスケジュールに基づいて、仮スケジュールIDが付され、仮スケジュールが作成される。元々予定されていた二つのナノグリッドの移動経路上に新たな注文を送信したナノグリッドが位置する場合、移動時間が変化しないなどが起こり得る。
一方、電気自動車EV3のように、ナノグリッド7での充放電1316とナノグリッド10での充放電1322との間に十分な時間が空いているケースもあり得る。この場合も前述と同様の処理によって、売り注文及び買い注文への対応が挿入可能と判定され、それぞれ、ナノグリッド7からナノグリッド4への移動時間1317、ナノグリッド4での充電時間1318、ナノグリッド4からナノグリッド8への移動時間1319、ナノグリッド8での放電時間1320及びナノグリッド8からナノグリッド10への移動時間1321が算出され、充放電時間及び移動時間を含む仮行動が作成され、EV3の仮スケジュールが作成される。
図7のS704~S710では、このように仮スケジュールを全ての売買注文対とそれに対応する全ての電気自動車30について作成し、注文の対応スケジュールを挿入可能として作成できた仮スケジュールを約定可否判定部302に出力するか、又は、EVスケジュール記憶部311に格納し、算出部303は仮スケジュール作成の処理を終了する(S711)。
図15(a)は、仮スケジュール情報の一例を示したテーブル図である。仮スケジュール情報は、図13で説明した通り、仮に与えられた売買注文対のペアを約定させた場合、あり得る電気自動車30のスケジュール(移動など)を示す情報である。仮スケジュール情報は、仮スケジュールID1501毎に管理され、仮スケジュール策定の対象である電気自動車30を特定するEVID1502を含む。EVID1502は、図15(b)に示すように、電気自動車30の運行を管理するシステムが策定した当日の目的地、予定出発時刻、及び予定到着時刻が含まれるスケジュール1521~1524がキューとして管理されている。
図15(b)では、仮スケジュールID1は、スケジュール2(1522)とスケジュール3(1523)の間で売り注文に対応し(電気自動車30の蓄電池等にて受電する)、スケジュール3(1523)とスケジュール4(1524)の間で買い注文に対応する(電気自動車30の蓄電池から放電する)例が示されており、売り注文と買い注文の挿入位置が連続していない(図13の例ではEV2のようなスケジュールを示す)。また、仮スケジュールID2は、スケジュール3(1523)とスケジュール4(1524)の間で売り注文及び買い注文に対応する例が示されており、売り注文と買い注文の挿入位置が連続している(図13の例ではEV3のようなスケジュールを示す)。
このように、仮スケジュールは、電気自動車30が予め策定されていたスケジュール列のいずれかの位置に挿入されると仮定して構成される。
図15(a)に記載の通り、仮スケジュール情報は、更に受付部301が受け付けた売り注文を識別する売り注文ID1503と、直前のナノグリッド10における動作完了後に最も早く出発した場合に、当該売り注文が送信されたナノグリッド10の位置に到着する時刻を示す売り注文最早到着時刻1504と、売り注文に対応した後に電気自動車30が、仮スケジュールが挿入された時刻の次のスケジュール(図8(b)の仮スケジュール1の例だとスケジュール3)の予定到着時刻に間に合うために、売り注文が送信されたナノグリッド10を出発すべき最も遅い時刻を示す売り注文最遅出発時刻1505を含む。さらに、売り注文に伴う充電で使用する電力入出力装置325を指定する売り注文時使用設備IDx1511を含む。例えば、このIDxは、図9で説明した電力入出力装置諸元リスト901、または電力入出力装置IDリスト902に登録されたリスト上で何番目の装置を使用するかを指定するのに用いられる。
さらに、仮スケジュール情報は、受付部301が受け付けた買い注文を識別する買い注文ID1506と、直前のナノグリッドによる動作完了後に最も早く出発した場合に、当該買い注文が送信されたナノグリッド10の位置に到着する時刻を示す買い注文最早到着時刻1507と、買い注文に対応した後、電気自動車30が、仮スケジュールが挿入された時刻の次のスケジュール(図8(b)の仮スケジュール1の例だとスケジュール4)の予定到着時刻に間に合うために、買い注文が送信されたナノグリッド10を出発すべき最も遅い時刻を示す買い注文最遅出発時刻1508を含む。さらに、仮スケジュール情報は、買い注文に伴う放電で使用する電力入出力装置325を指定する買い注文時使用設備IDx1512を含む。なお、売り注文ID1503と買い注文ID1506は、図10の注文ID1001と同じであり、注文量などにより買い注文か売り注文か判定された後にそれぞれ買い注文IDか売り注文IDか分類される。
仮スケジュール情報は、仮スケジュールが組まれた売り注文を送信したナノグリッドと買い注文を送信したナノグリッドとの間の移動時間の情報を示す移動時間1509を含む。仮スケジュールID2では、売り注文と買い注文が連続して挿入された場合を示すが、売り注文のナノグリッドから買い注文のナノグリッドへの移動を始める時刻によって買い注文のナノグリッドへの到着時刻が変化するため、売り注文最遅出発時刻1505と買い注文最早到着時刻1507は定義されず、移動時間1509の30分が格納される。
図15の仮スケジュールIDが2と3とで示す通り、同じ電気自動車(EVID3)が対象でも、注文の組み合わせが異なる別の仮スケジュールが登録されてもよい。また、仮スケジュールIDの3と4とで示す通り、注文の組み合わせが同じでも、対応する電気自動車30が異なる別の仮スケジュールが登録されてもよい。算出部303は、このように作成した仮スケジュールを約定可否判定部302に出力する。
図6は、エネルギー取引支援装置100の約定可否判定部302が行う処理の一例を示すフローチャートである。まず、約定可否判定部302は、受付部301がナノグリッド10から受け付けた電力の注文情報の入力を受ける(S601)。注文の真正性を確認するため、予め登録されている認証情報を用いて注文情報を認証する。なお、図6の説明においては、S601で入力された注文情報を「対象注文情報」と記載する。
約定可否判定部302は、対象注文情報が買い注文か売り注文であるか判定する(S602)。この判定は、前述した通り注文量の正負で判定するが、例えば注文情報に含まれる売買フラグに基づいて判定してもよい。対象注文情報が売り注文である場合、S603に進み、買い注文である場合、S604に進む。S602以降の処理は、一つの対象注文情報に対して実行する処理である。図6の処理は注文の数だけ実行される。
続いて、S603では、約定可否判定部302は、注文情報記憶部316に格納された注文情報の中から、単価が高い買い注文の情報を取得する。ここでは、対象注文情報である売り注文の単価より単価が高い買い複数の注文を取得する。また、S604では、約定可否判定部302は、注文情報記憶部316に格納された注文情報の中から、単価が低い売り注文の情報を取得する。ここでは、対象注文情報である買い注文の単価より単価が低い売り複数の注文を取得する。
次に、約定可否判定部302は、対象注文情報と、ステップS603又はS604で取得した注文が含まれ、算出部303が作成した仮スケジュールを全て取得する(S605)。
続いて、約定可否判定部302は、算出部303から仮スケジュール情報が取得されたか否かを判定し(S606)、仮スケジュール情報が取得されなかった場合、対象注文情報を新規注文として注文情報記憶部316に格納し、処理を終了する(S607)。一方、仮スケジュール情報が取得された場合、S608に進む。
約定可否判定部302は、ステップS606で仮スケジュール情報が取得された全ての売買注文対に対して、S608以降の処理を実行する。まず、仮スケジュール情報に含まれる買い注文ID及び売り注文IDに基づいて、買い注文を送信したナノグリッド10の設備情報と売り注文を送信したナノグリッド10の設備情報を設備情報記憶部314から取得する(S609)。
続いて、約定可否判定部302は、取得した設備情報や注文情報に含まれる注文量に基づいて、それぞれのナノグリッドが取引可能な電力量を示す取引可能量を算出する(S610)。
式1は、取引可能量の算出式の一例を示す。それぞれの仮スケジュールについて、図15で示した出発時刻、到着時刻及び移動時間などの各情報に基づいて取引可能量Mを算出する。図15(b)で示した通り、仮スケジュールでの注文の挿入位置が連続していない場合と、連続している場合とで算出式が異なる。式1で示したのは、ナノグリッドの設備情報から時間的な取引可能量と注文情報に含まれる注文量とを比較して小さいほうを取引可能量と算出する考え方である。式として一例を示したが、それぞれのナノグリッドで取引可能な電力量を算出できればその他の方法であっても構わない。このように、作成した仮スケジュールに基づいて取引可能量を算出することで、電気自動車30の移動時間や充放電時間を踏まえて電気自動車30で対応可能な電力取引の電力量を算出できる。この取引可能量を用いて約定可否を判定することで、車両によるエネルギー循環の制限に合わせた約定の判定が可能となる。
Figure 2022176451000002
また、約定可否判定部302は、仮スケジュール情報に含まれる買い注文及び売り注文の注文情報に含まれる売買単価とS610で算出した取引可能量に基づいて徴収が可能な手数料である徴収可能手数料を算出する(S611)。
式2は、徴収可能手数料の算出式の一例を示す。例えば、徴収可能手数料は売り注文単価と買い注文単価の差分に取引可能量を乗じた値で算出する。この徴収可能手数料は、例えば、エネルギー取引支援装置100の運営者200が受け取ることも考えられる。
Figure 2022176451000003
そして、S611で算出した徴収可能手数料が、額として十分か否かを判定し(S612)、額が十分でない場合は、次の売買注文対の処理に移行する(S608)。一方、額が十分である場合は、その売買注文対を約定可能として、仮スケジュールIDに関連付けて記録し(S613)、次の売買注文対の処理に移行する(S608)。額が十分か否かは、売り注文を行ったナノグリッドの位置と買い注文を行ったナノグリッドの間の距離と、電費など、輸送に用いるEVの性能から決まる輸送コストと比較して判定すればよい。
式3は、徴収可能手数料の額が十分か否かの判定を行うための判定式の一例を示す。例えば、徴収可能手数用の額が基準手数料を上回っているか判定する。なお、基準手数料の一例としては、式3で示すような売り注文のナノグリッド10から買い注文のナノグリッド10への最短経路長と対応する電気自動車30毎に定まる移動経費から算出したものである。基準手数料は、約定可否判定部302が利用可能に記憶部304に格納されている。徴収可能手数料の額が電気自動車30の注文対応前後のスケジュールに大きく左右されるため、Dの値としては、最短経路長を用いるのが好ましいが、仮スケジュール挿入前の電気自動車30による移動の総経路長と仮スケジュール挿入後の電気自動車30による移動の総経路長の差分を用いる方法も考えられる。また、移動経費mの値は、電気価格や電気自動車30の車両性能によって変動することも考えられる。移動経費mの決定方法の一例としては、電気自動車30の過去実績値から距離あたりの電力消費量を算出し、電気価格として徴収可能手数料を算出する直前の他の電力取引の約定額を用いて、移動経費を算出してもよい。その他、電力消費量は、電気自動車30のカタログスペックを用いて算出してもよいし、電気価格は、過去実績値から算出する方法や系統の電気価格をそのまま用いてもよい。このように、徴収可能手数料を算出し、基準手数料と比較して、約定可否を判定することで、エネルギー取引支援装置100の運営者200が利益を受けられる範囲での電力取引を実現できる。
Figure 2022176451000004
S608の処理を全ての売買注文対に対して実行した後、約定可否判定部302は、約定可能と記録された売買注文対のうち、対象注文情報が買い注文の場合は単価が最も低く、対象注文情報が売り注文の場合は単価が最も高いものを約定させ、さらに、買い注文又は売り注文のどちらかが最も新しく注文されているものを約定する(S614)。なお、ここでは、いわゆるザラバ処理を行う例を示したが、いわゆる板寄せ処理を採用し、約定注文数が最大となるもの、約定量が最大となるもの、又は、電力の買い価格と電力の売り価格の差額が最大となるものを約定させてもよい。
次に、約定可否判定部302は、約定した取引電力量(約定量)、約定した電力の取引価格(約定単価)及び電力の授受時間を外部通信部305を介して当該注文をしたそれぞれのナノグリッド10の外部通信装置321に対して通知する(S615)。
続いて、約定可否判定部302は、対象注文情報と約定した売り注文を送信したナノグリッド10の既存の売り注文を注文情報記憶部316から抽出し、既存の売り注文の注文量と約定量が等しいか否か判定する(S616)。また、対象注文情報と約定した買い注文を送信したナノグリッド10の既存の買い注文を注文情報記憶部316から抽出し、既存の買い注文の注文量と約定量が等しいか否か判定する(S616)。約定量が、既存の買い注文の注文量又は売り注文の注文量と等しくない場合はステップS618に進み、既存の買い注文の注文量又は売り注文の注文量と等しい場合はステップS617に進む。
ステップS617では、約定可否判定部302は、約定した既存の注文を注文情報記憶部316から削除する。また、S618では、約定可否判定部302は、約定した既存の注文の注文量の絶対値を約定量分だけ減らして、注文情報記憶部316に格納されている情報を更新する。
続いて、約定可否判定部302は、対象注文情報の注文量と約定量が等しいか否かを判定する(S619)。約定量が対象注文情報の注文量と等しい場合は処理を終了する。一方、約定量が対象注文情報の注文量と等しくない場合は、対象注文情報の注文量の絶対値を約定量分だけ減らして(S620)、算出部303による仮スケジュールの作成からフローを再度実行する。
図11(a)は、ナノグリッド10の位置と電気自動車30の走行ルートを模式的に示す図である。
地図情報記憶部313は、位置を示すノードと各ノード間の通行可能性を表示するリンクの組み合わせで表される情報を有する。ノード位置は、緯度及び経度を用いて表されることが望ましいが、実際の位置を表示できればどの方式でもよい。さらに、時間帯毎の交通量履歴がリンクの情報に含まれてもよい。交通量履歴の情報を地図情報に含める場合、電気自動車30による移動時間を正確に算出できる。電気自動車30のルート作成や移動時間の計算が必要となるが、本実施例のエネルギー取引支援装置100の外部(例えば、他の地図サービス)から取得してもよい。
電気自動車30の走行ルートは、交通上の特段の事由がなければ現在地から目的地への最短経路で与えられるとよい。ノード・リンク構成におけるノード間最短経路の計算方法は公知の方法を用いればよい。例えば、目的地が与えられるたびにA*法によって逐次計算してもよいし、Warshall-Floyd法による前処理で全ノード対に対する最短経路を求めてもよい。また、このように計算された最短経路を用い、最短経路内に出現する各ノードを順に接続するリンクそれぞれに対し、その長さを走行する電気自動車30の平均的な移動速度で除したものを計算し、すべて足し合わせることで、移動時間を見積もることができる。
図11(a)は、抽象的なノード・リンク構成を示したもので、円がノードを示し、ナノグリッド10が存在するノードは他よりも大きく示している。それぞれの円を繋ぐ線がリンクを示し、図が煩雑になるため省略したが、リンクには、ノード間の距離などが含まれている。図中、電気自動車30の走行ルートに含まれるリンクは濃色の実線で示し、走行ルートが含まれないリンクを淡色の破線で示している。前述した電気自動車30の移動時間は、この地図情報のリンクに含まれる情報を用いて算出してもよい。例えば、リンク情報が時間帯毎の交通量履歴を含む場合、前述の方法で計算されたリンク間の移動時間を交通量履歴によって補正することで、より正確な移動時間を算出できる。
地図情報記憶部313は、図11(b)と図11(c)で示されるノード情報及びリンク情報を有する。図11(b)は、ノード情報の一例を示したノード情報テーブルの図である。ノードを識別するためのノードID1101と、当該ノードの位置を示す経度1102及び緯度1103を有する。ノード情報は、地図情報を表現する際に、通行する経路の性質が切り替わる点の位置を示す情報である。ノードは、例えば、交差点や合流箇所である。ノード情報には、登録されたナノグリッドの位置が含まれる。なお、任意の地点をノードとして登録が可能である。また、ノードIDと前述したナノグリッドID1108とを関連付けて登録してもよい。
図11(c)は、リンク情報の一例を示したリンク情報テーブルを示す図である。リンク情報は、各ノード間を結ぶ経路の情報であり、少なくとも、リンクを識別するためのリンクID1104と、いずれのノードとノードとの間のものであるかを示す発ノードID1105並びに着ノードID1106、及び、リンク間の距離を示す長さ1107の情報を含む。
図12は、本実施例のエネルギー取引支援装置100について、シミュレーションにより効果を検証した図面である。ナノグリッドの電力使用効率が改善することを示す図であり、図12(a)が本実施例のエネルギー取引支援装置100を適用していない結果で、図12(b)が本実施例のエネルギー取引支援装置100を適用した結果を示す。
シミュレーションは0時から24時までの一日分を考えており、実測された電力需要データを抽象化及び正規化して電力需要として設定し、実測された日射量による推定太陽光発電量を電力供給として設定している。取引は、前述したエネルギー取引支援装置100の処理によって行われる。また、一日の総電力需要は全てのナノグリッドで等しいものとしているが、日射量の地域特性により、時間毎の発電量や一日の総発電量はナノグリッド毎に異なる。さらに、系統電源を通じた各ナノグリッドへの電力融通は考慮しておらず、複数のナノグリッドで電力を自足自給する条件、かつ、電気自動車30は十分に多く存在する条件でシミュレーションを行っている。
図12(a)及び図12(b)いずれも、中段は各ナノグリッドの蓄電量を表示し、上段は該当時刻までの総発電抑制量を表示し、下段は各ナノグリッドの該当時刻までの総不足電力量を表示しており、図縦軸がその数値(kWh)である。また、図横軸は時刻を示している。
図12(a)は、本実施例のエネルギー取引支援装置100による取引市場導入前の状態である。系統電源からナノグリッドへの電力供給や系統電源を通じた複数のナノグリッド間での電力融通を行わない場合、電力需給の不一致により、電力が過剰となり、発電抑制が行われるナノグリッドがある。例えば、図12(a)の上段excessの領域に三つのナノグリッドが存在する。更に、電力需給の不一致により、電力が不足するナノグリッドもある。
一方、図12(b)に示す通り、本実施例で示すエネルギー取引支援装置100を導入し、複数のナノグリッド間での電力取引を可能とした場合、発電抑制が発生せず、また、電力不足も図12(a)と比べて緩和していることが分かる。
このように、本実施例に係るエネルギー取引支援装置100は、複数のナノグリッド10の間のエネルギー取引を支援する装置であって、所定の処理を実行する演算装置と、演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、複数のナノグリッド10の位置情報及び複数のナノグリッド10の設備情報を記憶する記憶部304と、複数のナノグリッド10の電力取引の注文情報を受け付け、該注文情報を約定可否判定部302及び算出部303に出力する受付部301と、受け付けた注文情報と記憶部304から抽出した複数のナノグリッド10の位置情報とに基づいて、電気自動車30の移動時間を算出し、算出された移動時間に基づいて電気自動車30の1以上の仮スケジュールを作成する算出部303と、算出部303が作成した仮スケジュールに基づいて、複数のナノグリッド10の間でのエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定部302とを有する。
また、本実施例に係るエネルギー取引支援方法は、複数のナノグリッド10の間のエネルギー取引を計算機が支援する方法であって、前記計算機は、所定の処理を実行する演算装置と、演算装置に接続された記憶デバイスとを有し、前記記憶装置は、複数のナノグリッド10の位置情報及び複数のナノグリッド10の設備情報を含んだ情報を記憶しており、複数のナノグリッド10の電力取引の注文情報を受け付ける受付ステップと、受け付けた注文情報と抽出した複数のナノグリッド10の位置情報とに基づいて、電気自動車30の移動時間を算出し、移動時間に基づいて電気自動車30の1以上の仮スケジュールを作成する算出ステップと、前記作成された仮スケジュールに基づいて、複数のナノグリッド10の間でのエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定ステップとを有する。
これにより、変動する車両の移動時間及びエネルギーの充放電位置を考慮し、エネルギーの授受が可能な範囲での取引を実現し、エネルギー循環を促進できる。また、複数のナノグリッド間の電力需給バランスを調整でき、ナノグリッドシステム全体での電力需給を安定化でき、再生可能エネルギーの導入を促進できる。
また、本実施例に係るエネルギー取引支援装置100では、記憶部304が電気自動車30の移動又は動作の時刻を含むEVスケジュールをさらに記憶しており、算出部303が、注文情報を送信したナノグリッド10の位置に基づいて、電気自動車30が当該注文情報を送信したナノグリッド10まで移動する移動時間を算出し、当該移動時間をEVスケジュールに時間的に挿入できる電気自動車30の仮スケジュールを複数作成する。これにより、注文情報を送信したナノグリッドへの電気自動車30による移動時間を考慮して、電気自動車30で実際に対応ができる仮スケジュールを複数作成でき、仮スケジュールに基づいて電力取引の約定可否を判定することで、電気自動車30のスケジュールから実現可能な電力取引の支援ができる。
本実施例に係るエネルギー取引支援装置100では、記憶部304がナノグリッド10の設備情報を記憶しており、算出部303が、注文情報を送信したナノグリッド10の設備情報に基づいて、当該ナノグリッドでの電気自動車30の充電又は放電にかかる充放電時間を算出し、充放電時間をEVスケジュールに挿入できる電気自動車30の仮スケジュールを複数作成する。これにより、注文情報を送信したナノグリッドでの充放電時間を考慮して、電気自動車30で実際に対応ができる仮スケジュールを複数作成でき、仮スケジュールに基づいて電力取引の約定可否を判定することで、電気自動車30のスケジュールやナノグリッドで利用する電力入出力装置から実現可能な電力取引の支援ができる。
本実施例に係るエネルギー取引支援装置100では、記憶部304が電気自動車30の移動又は動作の時刻に関するスケジュールを示すEVスケジュールとナノグリッド10の設備情報をさらに記憶しており、算出部303が、注文情報を送信したナノグリッド10の位置に基づいて、電気自動車30が当該注文情報を送信したナノグリッド10まで移動する移動時間を算出し、注文情報を送信したナノグリッド10の設備情報に基づいて、当該注文情報を送信したナノグリッド10での電気自動車30の充電又は放電にかかる充放電時間を算出し、算出した移動時間及び充放電時間をEVスケジュールに時間的に挿入できる電気自動車30の仮スケジュールを複数作成する。これにより、電気自動車30が注文情報における電力取引に対応するために必要な移動時間とナノグリッドでの充放電時間を考慮して電気自動車30の仮スケジュールを複数作成でき、作成した仮スケジュールに基づいて電力取引の約定可否の判定を行うことで、電力取引に車両で対応するために必要な時間を考慮して実現可能な電力取引の支援ができる。複数のナノグリッド間の電力需給バランスを車両により調整することができるため、ナノグリッドシステム全体での電力安定化を図ることに繋がる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウエアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
10 ナノグリッド
30 電気自動車
100 エネルギー取引支援装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 補助記憶装置
104 通信インターフェース
105 入力インターフェース
106 キーボード
107 マウス
108 出力インターフェース
109 ディスプレイ装置
301 受付部
302 約定可否判定部
303 算出部
304 記憶部
305 外部通信部
311 EVスケジュール記憶部
312 認証情報記憶部
313 地図情報記憶部
314 設備情報記憶部
315 位置情報記憶部
316 注文情報記憶部

Claims (8)

  1. エネルギー取引を支援するエネルギー取引支援装置であって、
    所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
    複数のナノグリッドの位置を記憶する記憶部と、
    前記複数のナノグリッドにおける電力取引の注文情報を受け付ける受付部と、
    前記注文情報と前記複数のナノグリッドの位置とに基づいて、車両の移動時間を算出し、前記移動時間に基づいて前記車両の1以上の仮スケジュールを作成する算出部と、
    前記作成された仮スケジュールに基づいて、前記複数のナノグリッド間のエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否判定部とを備えることを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  2. 請求項1に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記記憶部は、前記車両の移動又は動作の時刻を含む車両スケジュールを記憶しており、
    前記算出部は、
    前記注文情報を送信したナノグリッドの位置に基づいて、前記車両が前記注文情報を送信したナノグリッドまで移動する移動時間を算出し、
    前記移動時間を前記車両スケジュールに挿入できる仮スケジュールを作成することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  3. 請求項2に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記記憶部は、前記ナノグリッドの設備情報を記憶しており、
    前記算出部は、
    前記注文情報を送信したナノグリッドの設備情報に基づいて、前記ナノグリッドでの充電又は放電にかかる充放電時間を算出し、
    前記充放電時間を前記車両スケジュールに挿入できる仮スケジュールを作成することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  4. 請求項1に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記記憶部は、前記車両の移動又は動作の時刻を含む車両スケジュールと、前記ナノグリッドの設備情報を記憶しており、
    前記算出部は、前記注文情報を送信したナノグリッドの位置及び設備情報と前記車両スケジュールとに基づいて、前記車両の所定のナノグリッドからの出発時刻、所定のナノグリッドへの到着時刻、及びナノグリッドにおいて使用する設備情報を含む仮スケジュールを作成し、
    前記約定可否判定部は、
    前記仮スケジュールに含まれる前記出発時刻、前記到着時刻及び前記設備情報に基づいて定められた前記所定のナノグリッドにおける充放電時間に基づいて、取引可能量を算出し、
    前記取引可能量に基づいて前記エネルギー取引の約定可否を判定することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  5. 請求項4に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記約定可否判定部は、
    前記仮スケジュールに含まれる注文情報に関連付けられた買い注文単価及び売り注文単価と、前記取引可能量とに基づいて、徴収が可能な手数料である徴収可能手数料を算出し、
    前記徴収可能手数料に基づいて、前記エネルギー取引の約定可否を判定することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  6. 請求項5に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記約定可否判定部は、
    前記車両の移動にかかるコストを示す移動経費と、買い注文を送信したナノグリッドと売り注文を送信したナノグリッドとの間の距離とから定まる基準手数料を有しており、
    前記基準手数料と前記徴収可能手数料との比較によって、前記エネルギー取引の約定可否を判定することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  7. 請求項1に記載のエネルギー取引支援装置であって、
    前記約定可否により、約定可とされた約定履歴を出力することを特徴とするエネルギー取引支援装置。
  8. 計算機がエネルギー取引を支援するエネルギー取引支援方法であって、
    前記計算機は、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有し、
    前記記憶デバイスは、複数のナノグリッドの位置および前記ナノグリッドの設備情報を記憶しており、
    前記複数のナノグリッドにおける電力取引の注文情報を受け付ける受付ステップと、
    前記注文情報と前記複数のナノグリッドの位置とに基づいて、車両の移動時間を算出し、前記移動時間に基づいて前記車両の1以上の仮スケジュールを作成する算出ステップと、
    前記作成された仮スケジュールに基づいて、前記複数のナノグリッド間のエネルギー取引の約定可否を判定する約定可否決定ステップとを備えることを特徴とするエネルギー取引支援方法。
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