JP2022168802A - 組成物、ガスバリア性膜及び積層体 - Google Patents

組成物、ガスバリア性膜及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス由来の材料を用いて、酸素バリア性が良好なガスバリア性膜、及び酸素バリア性の良好な積層体を提供すること。【解決手段】本発明の一態様に係る組成物は、ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有し、ゼータ電位が-1mV以上+20mV以下である。また、本発明の一態様に係るガスバリア性膜は、ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有する組成物からなり、23℃50%RHにおける1μmあたりの酸素透過度が5cm3/(m2・day・atm)以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、ガスバリア性膜及び積層体に関する。
食品等の包装用途において、酸化による製品の品質低下を防ぐために、酸素バリア性を有する材料が使用される。
従来、酸素バリア性を有する材料として、EVOH(エチレンビニルアルコール)及びPVOH(ポリビニルアルコール)が用いられている。しかし、これらの材料は石油由来であり、再生可能な材料への転換が求められている。
再生可能な酸素バリア性材料として、これまでに澱粉及びセルロース等の多糖類や、タンパク質等をベースとしたフィルムが検討されている。
例えば、特許文献1には、変性デンプンとポリビニルアルコールを含む樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸基またはリン酸基由来の置換基を有するセルロース繊維を含む保護層を有するガスバリア性積層体が記載されている。
さらに、特許文献3には、ミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含む分散液コーティングが記載されている。
特開2020-105305号公報 特開2020-075514号公報 特表2013-510222号公報
しかしながら、上記特許文献1~3の技術では、従来のEVOHやPVOHほどの酸素バリア性が得られておらず、さらなる改良が求められている。
そこで、本発明は、バイオマス由来の材料を用いて、酸素バリア性が良好なガスバリア性膜、及び酸素バリア性の良好な積層体を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有し、ゼータ電位が-1mV以上+20mV以下である組成物。
[2]前記ヘミセルロースがキシランである、上記[1]に記載の組成物。
[3]前記塩基性多糖類がキトサンである、上記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記ナノセルロースのゼータ電位の絶対値が0mV以上60mV以下である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の組成物。
[5]前記ナノセルロースがカチオン性官能基を有する、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の組成物。
[6]前記カチオン性官能基が窒素原子を有する、上記[5]に記載の組成物。
[7]前記ナノセルロースの含有量が0.01質量%以上5質量%未満である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の組成物からなる、ガスバリア性膜。
[9]ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有する組成物からなり、23℃50%RHにおける1μmあたりの酸素透過度が5cm/(m・day・atm)以下である、ガスバリア性膜。
[10]厚みが0.01μm以上10μm以下である、上記[8]又は[9]に記載のガスバリア性膜。
[11]上記[8]~[10]のいずれか1つに記載のガスバリア性膜と、基材とを備える積層体。
本発明の組成物から得られるガスバリア性膜はバイオマス由来の材料を用いており、酸素バリア性が良好である。また、当該膜を基材と積層することで、酸素バリア性が良好な積層体が得られる。本発明のガスバリア性膜は、従来のEVOHやPVOHの代替材料となることが期待できる。
<ガスバリア性膜>
1.物性
(酸素バリア性)
本発明のガスバリア性膜の23℃50%RHにおける1μmあたりの酸素透過度は、5cm/(m・day・atm)以下が好ましく、4.5cm/(m・day・atm)以下がより好ましく、4cm/(m・day・atm)以下がさらに好ましく、3cm/(m・day・atm)以下がよりさらに好ましい。酸素透過度の下限は特に限定されず、例えば0.01cm/(m・day・atm)であってよい。
なお、ガスバリア性膜の酸素透過度は、JIS K7126-2に基づき、酸素透過率測定装置 OX-TRAN 2/22(MOCON社製)を用いた等圧法にて測定した値である。
(厚み)
本発明のガスバリア性膜の厚みは0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.05μm以上8μm以下がより好ましく、0.1μm以上5μm以下がさらに好ましく、1μm以上4μm以下がよりさらに好ましい。
ガスバリア性膜の厚みが上記下限値以上であることで、酸素バリア性が良好となる。一方、ガスバリア性膜の厚みが上記上限値以下であることで、ガスバリア性膜の取扱性及び製膜性が良好となる。
なお、ガスバリア性膜の厚みは、ダイヤルゲージ又はレーザー顕微鏡で測定できる。
2.組成物
本発明のガスバリア性膜は、ヘミセルロース、塩基性多糖類及びナノセルロースを含有する組成物からなる。
上記組み合わせによって酸素バリア性が良好になる理由は明らかでないが、ヘミセルロースの反応性の高い水酸基又はカルボキシル基と、塩基性多糖類の塩基性極性基、及びナノセルロースの有する硫酸イオンや塩基性極性基によるイオン結合形成に加えて、ナノセルロースが膜内で結晶構造を形成することにより緻密な構造が形成されることによるものと推察される。
以下、本発明の組成物を構成する成分について説明する。
(1)ヘミセルロース
ヘミセルロースとは、植物細胞の細胞壁を構成する多糖類のうち、セルロースとリグニン以外のものである。ヘミセルロースとして具体的には、キシラン、アラビノキシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン、キシログルカン、グルコマンナン等が挙げられる。中でも、分子量が比較的小さく粘度が低いことから、キシランが好ましい。
キシランは、β(1,4)結合したキシロースの主鎖に、様々な側鎖が結合したヘテロ糖である。側鎖に結合する置換基の種類は特に限定されないが、グルクロン酸、、ガラクトース、マンノース、グルコース、アラビノース、フコース等が挙げられる。
ガスバリア性膜の製膜性を良好にする観点から、キシランの分子量は100以上100,000以下が好ましく、300以上50,000以下がより好ましい。500以上30,000以下がさらに好ましい。
なお、キシランの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定できる。
(2)塩基性多糖類
本発明の塩基性多糖類とは、アミノ基等の塩基性極性基を有する多糖類であり、天然物としてはキトサン類が挙げられる。
キトサン類は、高分子、オリゴマー、モノマーのいずれでもよく、具体的には、キトサン、オリゴグルコサミン(=キトサンオリゴ糖)、キチン、オリゴ-N-アセチルグルコサミン(=キチンオリゴ糖)、N-アセチルグルコサミン等のキチン若しくはキトサン又はそれらのオリゴマー若しくはモノマーが挙げられる。これらは、変性されていてもよい。
キトサン類の中で、最も好ましいのは、キトサンである。
ガスバリア性膜の製膜性を良好にする観点から、キトサンの分子量は100,000以上1,000,000以下が好ましく、300,000以上800,000以下がより好ましい。
なお、キトサンの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と多角度光散乱検出器(MALS)との組み合わせによる、SEC-MALS方法で測定できる。
キトサンは、キチンを濃水酸化ナトリウム水溶液で脱アセチル化する等の公知の方法を用いて得ることができる。キトサンの脱アセチル化度は、キトサンの水に対する溶解性及び得られる膜の酸素バリア性の観点から、70%以上100%以下が好ましく、75%以上95%以下がより好ましく、80%以上90%以下がさらに好ましい。
(3)ナノセルロース
ナノセルロースとは、セルロースを機械的処理又は化学的処理によってナノレベルまで解砕したものである。
本発明のナノセルロースとしては、例えば長い繊維状のセルロースナノファイバー(CNF)や、高結晶性であるセルロースナノクリスタル(CNC)が挙げられる。添加しても組成物の粘度が高くなりにくく、製膜性が良好となること、及び、高結晶性で酸素バリア性に優れることから、CNCが好適に用いられる。
ナノセルロースの平均繊維径は、0.1nm以上100nm以下が好ましく、中でも0.5nm以上或いは50nm以下がより好ましく、その中でも1nm以上或いは20nm以下がさらに好ましい。
また、ナノセルロースの平均繊維長は、1nm以上1000nm以下が好ましく、中でも5nm以上或いは500nm以下がより好ましく、その中でも10nm以上或いは200nm以下がさらに好ましい。
ナノセルロースの平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、1以上500以下が好ましく、中でも10以上或いは200以下がより好ましく、その中でも20以上或いは100以下がさらに好ましい。平均アスペクト比が上記範囲内にあることで、組成物が増粘しにくく、取扱性が良好になる。
なお、ナノセルロースの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、ナノセルロース水分散液中、又は組成物中に分散した繊維を走査電子顕微鏡等で観察し、10個、より好ましくは100個選択して測定した平均値より求めることができる。
(カチオン性官能基)
本発明のナノセルロースは、カチオン性官能基を有することが好ましい。カチオン性官能基を有することで、静電反発によってナノセルロース同士の凝集を抑制するとともに、系内に多く存在する塩基性多糖類とのイオン結合が可能になることで、得られる膜の酸素バリア性が良好となる。
カチオン性官能基とは、特に限定されないが、周期表第15族の原子を含み、その原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性官能基であることが好ましい。また、カチオン性官能基は窒素原子を有することが好ましく、窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性官能基であることがより好ましい。具体的には、アンモニウム基;メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基等のモノ置換アンモニウム基;ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基等のジ置換アンモニウム基;トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n-ブチルジメチルアンモニウム基、ラウリルジメチルアンモニウム基、セチルジメチルアンモニウム基、ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N-ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2-エトキシエチル)アンモニウム基等のトリ置換アンモニウム基;ピペリジニウム基、1-ピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1-メチルイミダゾリウム基、1-エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1-メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6-ジメチルピリジニウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基、ピリダジニウム基、トリアジニウム基、N,N-ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリニウム基、キノキサリウム基、イソキノキサリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基、トリフェニルホスホニウム基、トリブチルホスホニウム基等のカチオン性のリン原子を含んでなる官能基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ナノセルロースの水に対する分散性、及び、得られる膜の酸素バリア性を良好にする観点から、アンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基などが好ましい。
ナノセルロース中の窒素原子の含有量は、0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲であることが好ましく、0.2質量%以上1.2質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
なお、ナノセルロース中の窒素原子の含有量は、微量全窒素分析装置で測定できる。
(ゼータ電位(ZP))
ナノセルロースのゼータ電位(ZP)は、その絶対値が大きいほど、少量の添加で組成物のゼータ電位(ZP)を調整できるため、ナノセルロースの凝集を抑えることができる。この観点から、ナノセルロースのゼータ電位(ZP)の絶対値は0mV以上60mV以下が好ましく、10mV以上55mV以下がより好ましく、20mV以上45mV以下がさらに好ましく、30mV以上40mV以下がよりさらに好ましい。
また、塩基性多糖類との相互作用の観点から、ナノセルロースのゼータ電位(ZP)は正の値であることが好ましい。
すなわち、ナノセルロースの凝集を抑える観点、及び、塩基性多糖類との相互作用の観点からは、ナノセルロースのゼータ電位(ZP)は0mV以上+60mV以下が好ましく、+10mV以上+55mV以下がより好ましく、+20mV以上+45mV以下がさらに好ましく、+30mV以上+40mV以下がよりさらに好ましい。
なお、本発明におけるナノセルロースのゼータ電位(ZP)は、ナノセルロース0.5質量%を水に分散させてpH5±0.1で測定した値である。測定時のpHの調整は、酢酸又は1mol/Lアンモニア水溶液を用いて行うことが好ましい。
(カチオン性官能基を有するナノセルロースの製造方法)
本発明のカチオン性官能基を有するナノセルロースの製造方法は、特に限定されるものでないが、例えば非特許文献1(Merima Hasaniら, Soft Matter, 2008, 4, 2238-2244)、非特許文献2(Yulia Bespalovaら,Journal of Applied Polymer Science, 2017, 134, 44789-44795)、非特許文献3(Juntao Tangら, Biomacromolecules, 2014, 15, 3052-3060)に記載の方法によって製造される。非特許文献1には、セルロースナノクリスタルにグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドを反応させることでカチオン性官能基を有するナノセルロースを得るための方法が示されている。非特許文献2には、セルロースナノクリスタルにN,N-ジメチルセチルアミンを反応させることでカチオン性官能基を有するナノセルロースを得るための方法が示されている。また、非特許文献3には、セルロースナノクリスタルに側鎖にアミノ基を有するアクリレートをグラフト重合させることでカチオン性官能基を有するナノセルロースを得るための方法が示されている。
(3)各成分の含有量
組成物におけるヘミセルロース及び塩基性多糖類の含有量は、後述する組成物のゼータ電位(ZP)が好適な範囲になるように調整されればよい。
ヘミセルロースの含有量は、80質量%以上99質量%以下が好ましく、85質量%以上95質量%以下がより好ましい。
塩基性多糖類の含有量は、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上13質量%以下がより好ましく、5質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。
また、ナノセルロースの含有量は、0.01質量%以上5質量%未満が好ましく、0.05質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。ナノセルロースの含有量が上記下限値以上であることで、得られる膜の酸素バリア性が良好となる。一方、ナノセルロースの含有量が上記上限値以下であることで、ナノセルロースの凝集が抑えられる。
組成物における固形分濃度は、製膜性及び得られる膜の酸素バリア性を良好にする観点から、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
(4)組成物のゼータ電位(ZP)
組成物としてのゼータ電位(ZP)は、-1mV以上+20mV以下が好ましく、-0.5mV以上+15mV以下がより好ましく、-0.3mV以上+10mV以下がさらに好ましく、+5mV以下がよりさらに好ましい。
組成物のゼータ電位(ZP)が上記範囲であることにより、系内のイオン間の相互作用が最大化されることで高いガスバリア性が得られる。
(5)組成物のpH
組成物のpHは、3以上7以下が好ましく、4以上6以下がより好ましい。pHが低いほど塩基性多糖類が解離しやすくなる一方で、ヘミセルロースが解離しにくくなるが、pHが高いと塩基性多糖類が解離しにくくなるためである。
組成物のpHを調整するために、pH調整剤が添加されてもよい。pH調整剤としては、酢酸、アンモニア等が挙げられる。
<積層体>
本発明の積層体は、上記ガスバリア性膜と基材とを備える。ガスバリア性膜は、基材の少なくとも一方の面に設けられるとよい。
[基材]
本発明の積層体で用いる基材は、特に限定されないが、樹脂フィルム、繊維状基材、紙又はガラスであることが好ましい。本発明のガスバリア性膜はバイオマス由来の材料を用いているため、基材としては紙がより好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ乳酸;ポリウレタン;ポリ酢酸ビニル;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルムが挙げられる。当該樹脂フィルムは、化学的発泡、物理的発泡、延伸多孔化等の多孔化処理が行われた多孔質フィルム、一軸又は二軸延伸処理が行われた延伸フィルム等であってもよい。
繊維状基材としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維等の化学繊維;綿、麻、絹、羊毛、これらの混紡繊維等を用いた不織布、織布、編み物等を挙げることができる。
基材は、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造の場合、2層構造、3層構造等でもよいし、本発明の要旨を逸脱しない限り、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。多層構造の場合は、複数の層は同一の樹脂で構成されていてもよいし、異なる樹脂で構成されていてもよい。
基材には、必要に応じて添加剤が加えられてもよく、例えば、耐候性を付与するための紫外線吸収剤、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。また必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
また、基材は、ガスバリア性膜が形成される面にコロナ処理、プラズマ処理、濡れ性を調整するためのコーティング処理等の表面処理を施してもよい。
<積層体の製造方法>
以下、本発明の実施形態の一例に係る積層体の製造方法について説明する。
1.塗布液調製工程
塗布液調製工程では、ヘミセルロース、塩基性多糖類及びナノセルロースを含む組成物からなる塗布液を調製する。
ヘミセルロース、塩基性多糖類及びナノセルロースは、それぞれ水に溶解又は分散させてから混合することが好ましい。この場合、塗布液中で塩基性多糖類が沈殿しないようにするために、塩基性多糖類の水溶液は酢酸等のpH調整剤を添加し、塩基性多糖類を解離させておくことが好ましい。
塗布液の調製は、塩基性多糖類の水溶液にアンモニア等のpH調整剤を添加してpHを4~7に調整した後、ヘミセルロースの水溶液を少しずつ添加し、その後ナノセルロースの水分散液を添加する方法が好ましい。
また、ヘミセルロースの水溶液にナノセルロースの水分散液を添加した後、塩基性多糖類の水溶液を添加する方法であってもよい。
さらには、塩基性多糖類の水溶液及びナノセルロースの水分散液を混合して、ヘミセルロースの水溶液に添加する方法であってもよい。
2.塗布工程
塗布工程では、上記塗布液を基材に塗布する。基材については、前述の通りである。
塗布方法は公知の方法であってよく、例えば、コンマコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップ法、スライドコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
3.乾燥工程
乾燥工程では、上記塗膜を乾燥させ、ガスバリア性膜を得る。
乾燥方法は、公知の方法であってよい。
乾燥温度及び乾燥時間は、塗布液中の塩基性多糖類等が融解せず、かつ、塗布液に含まれる水等の溶媒が除去できる条件であればよく、例えば、乾燥温度は、20~100℃が好ましく、30~80℃が好ましい。乾燥時間は、1~100時間が好ましく、10~50時間がより好ましい。
以下、本発明のガスバリア性膜及び積層体について、実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明のガスバリア性膜及び積層体は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<評価方法>
[ゼータ電位]
ナノセルロース及び塗布液のゼータ電位は、大塚電子株式会社製のゼータ電位計 ELSZ-2000ZSを使用して測定した。
なお、ナノセルロースのゼータ電位は、ナノセルロースの0.5質量%水分散液をpH5±0.1に調整して測定した。測定時のpHの調整は、酢酸又は1mol/Lアンモニア水溶液を用いて行った。
[酸素透過度]
MOCON社製の酸素透過率測定装置 OX-TRAN 2/22を使用して、JIS K7126-2の等圧法にて、温度23℃、湿度50%RHの条件で酸素透過度を測定し、ガスバリア性膜1μmあたりの酸素透過度を求めた。
<ナノセルロースの調製>
ナノセルロース(C-1)~(C-3)は、下記調製例1~3により作製したものを用いた。
なお、下記調製例1及び3はMerima Hasaniら, Soft Matter, 2008, 4, 2238-2244を参考にし、下記調製例2はYulia Bespalovaら,Journal of Applied Polymer Science, 2017, 134, 44789-44795を参考にした。
[調製例1]
NCV-100(Celluforce社製/セルロースナノクリスタル)5gを2M NaOH水溶液55.6gに添加し、60℃で5時間攪拌した。攪拌後、ろ過によりCNCを回収した。回収したCNCを1M NaOH水溶液3gとイソプロピルアルコール130gの混合溶液に添加し、次いで4gのグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドを滴下した。50℃で3時間反応させたのち、10wt%酢酸水溶液と純水を用いて洗浄とろ過を行い、ナノセルロース(C-1)を得た。得られたナノセルロース(C-1)の窒素原子含有量は0.76質量%であった。
また、得られたナノセルロース(C-1)の0.5質量%水分散液のゼータ電位は+40mVであった。
[調製例2]
1.0gのセルロースナノクリスタルを三口フラスコに入れた25mlの酢酸エチル(脱水品)に添加し、30分攪拌し分散させた。7.75gクロロ酢酸無水物を25ml酢酸エチル(脱水品)に溶解させ、三口フラスコに徐々に添加した。これを80℃で28時間攪拌した。攪拌後、ろ過と洗浄を行い24時間乾燥させることで中間体を得た。この中間体1.1gを三口フラスコに入れた50mlの酢酸エチル(脱水品)に添加し分散させ、さらに5.05mlのN,N-ジメチルセチルアミンを徐々に添加した。これを80℃で72時間撹拌した。攪拌後、ろ過と洗浄を行い24時間乾燥させてナノセルロース(C-2)を得た。得られたナノセルロース(C-2)の窒素原子含有量は0.38質量%であった。
また、得られたナノセルロース(C-2)の0.5質量%水分散液のゼータ電位は+20mVであった。
[調製例3]
300mlの0.01M NaOH水溶液と、3gのNCV-100を混合し、90℃で3時間攪拌した。70℃に温度を下げ8.4gのグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドを90分かけて滴下した。70℃で4時間反応させたのち、純水を用いて洗浄とろ過を行い、ナノセルロース(C-3)の分散液を得た。得られたナノセルロース(C-3)の窒素原子含有量は0.29質量%であった。
また、得られたナノセルロース(C-3)の0.5質量%水分散液のゼータ電位は-20mVであった。
<積層フィルムの作製>
[実施例1]
キシラン(A-1:トウモロコシ芯由来、東京化成工業株式会社製、Mw:750)を水に溶解し、スターラーを用いて室温(23℃)で5分間攪拌して、0.4質量%キシラン水溶液を調製した。
キトサン(B-1:medium molecular weight、MERCK社製、Mw:620,000、脱アセチル化度:86%)を水に溶解し、キトサンと等量の酢酸を添加して、スターラーを用いて室温(23℃)で4時間攪拌し溶解させた後、pHが5になるようにアンモニア水を添加して、0.25質量%キトサン水溶液を調製した。
0.25質量%キトサン水溶液14.5gに対し、0.4質量%キシラン水溶液90.4gを90mL/hで滴下した。
その後、ナノセルロース(C-1)の0.5質量%水分散液0.8gを添加し、スターラーで攪拌した後、超音波ホモジナイザーで5分間分散させることで塗布液を得た。塗布液中の各成分の質量比はキシラン:キトサン:CNC=90:9:1であり、塗布液のゼータ電位(ZP)は+0.625mVであった。
PLAフィルム(三菱ケミカル社製、SAX171)を基材として用い、コロナ放電処理装置(VETAPHONE社製、Colona-Plus)を用いて1000W・min/mの放電量で表面処理を行った。
プラスチックパッドに基材を敷き、乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布液をキャスティングし、熱風乾燥機を用いて40℃で48時間乾燥させることで積層体を得た。
[実施例2]
塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=90:9.5:0.5としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は-0.17mVであった。
[実施例3]
塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=85:14:1としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は+14.1mVであった。
[実施例4]
塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=95:4:1としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は-0.06mVであった。
[実施例5]
ナノセルロース(C-1)の代わりにナノセルロース(C-2)を用い、塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=89:9:2としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は+0.05mVであった。
[実施例6]
ナノセルロース(C-1)の代わりにナノセルロース(C-3)を用い、塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=87:11:2としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は-1mVであった。
[実施例7]
ナノセルロース(C-1)の代わりにナノセルロース(C-4:NCV-100(Celluforce社製/セルロースナノクリスタル))を用い、塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=88:11:1としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は-0.29mVであった。
[比較例1]
キトサン(B-1)を添加せず、塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=90:0:10としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は+0.37mVであった。
実施例1と同じ方法で積層体の作製を試みたが、塗布液の表面張力が高くはじいてしまうため、基材へ塗布することができなかった。
[比較例2]
ナノセルロース(C-1)を添加せず、塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=85:15:0としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は+17.9mVであった。
[比較例3]
塗布液中の各成分の質量比をキシラン:キトサン:CNC=80:19:1としたこと以外は実施例1と同じ方法で、塗布液及び積層体を得た。塗布液のゼータ電位(ZP)は+25.8mVであった。
表1に、実施例1~7及び比較例1~3の塗布液の材料と、ガスバリア性膜の酸素透過度を示す。
Figure 2022168802000001
実施例1~7によれば、ヘミセルロース、塩基性多糖類及びナノセルロースというバイオマス由来の材料を用いて、酸素バリア性が良好なガスバリア性膜が得られた。
実施例1~7の結果より、組成物のゼータ電位(ZP)が-1mV以上+20mV以下であることで、酸素バリア性が良好になることがわかった。

Claims (11)

  1. ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有し、ゼータ電位が-1mV以上+20mV以下である組成物。
  2. 前記ヘミセルロースがキシランである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記塩基性多糖類がキトサンである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ナノセルロースのゼータ電位の絶対値が0mV以上60mV以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記ナノセルロースがカチオン性官能基を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記カチオン性官能基が窒素原子を有する、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記ナノセルロースの含有量が0.01質量%以上5質量%未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物からなる、ガスバリア性膜。
  9. ヘミセルロースと、塩基性多糖類と、ナノセルロースとを含有する組成物からなり、23℃50%RHにおける1μmあたりの酸素透過度が5cm/(m・day・atm)以下である、ガスバリア性膜。
  10. 厚みが0.01μm以上10μm以下である、請求項8又は9に記載のガスバリア性膜。
  11. 請求項8~10のいずれか1項に記載のガスバリア性膜と、基材とを備える積層体。
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