JP2022164524A - 水中通信システムおよび装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、海水やプールなど水中での相互通信または水中と水上との通信を行う通信システムまたは装置に関する。
プールなどの真水中または海水中(以下、水中という)での音声、画像、データなどの無線通信システムとしては、主に超音波通信が利用されているが、これは電磁波が水又は海水により吸収されるため電波・電流通信などでは電波減衰が激しいためである。水中での電波減衰量は低周波では約1dB/mだが、高周波になるほど減衰量は大きくなり、例えば100MHzでは真水中で約200dB/m、海水中では約300dB/mまで減衰することが知られており高周波による通信は極めて短距離での通信に限られている。しかし、超音波通信では、電波(超音波)の伝送距離はある程度確保できるもののデータ伝送性能は低く、現在利用されているソナーなどの平均伝送量は100Kbps以下であり、リアルタイムでの動画伝送などには実用化されていない。
多くの水中動画、画像伝送は、無線通信でなく有線ケーブルを用いて水中カメラや探索装置の送信装置と水上の受信装置との間で動画、音声、各種制御信号の通信を行っている。しかし、このような有線ケーブルによる通信では接続されたケーブルにより水中の探索装置やダイバーなどの動作が制限され、自由に活動できないなどの難点がある。また、ケーブルによる巻き付き事故やケーブル接続故障などが生じるため、無線通信による動画、音声、制御信号の伝送が求められている。
そのような課題を解決するために、特許文献1では、水中でのレーザー光を用いて動画などの大容量データを送信するための技術が開示されている。レーザー光通信では高周波伝送において光の散乱が少なく、広帯域、大容量通信が可能であるものの、単一波長のコヒーレント光による指向性と収束性が強いため、水中通信では、ピンポイントでの送受信通信が必要となる。このレーザー光通信では送受信装置がそれぞれ固定されていることが求められるが、水中での通信装置と海上での船舶等での通信装置とを固定するのは困難であり、引用文献1では、レーザー光を拡散するための可動光学レンズを使用して送受信装置の可動域に自由度をある程度持たせている。この可動光学レンズは特殊レンズであり設計上の困難性を伴うものであり満足すべきものでない。
また、水中通信ではレーザー光による指向性や収束性が難点となるために発散光線を利用する技術が特許文献2に示されている。発散光を利用することでレーザー光に比べ送受信照射自由度は確保されるものの、送受信装置光軸の若干のズレを許容する程度であり、水中でダイバーや探索機が動画などの撮影を行い通信を行うには適していない。
また、特許文献3では、別の方法として、共振通信による水中通信技術が開示されている。この共振通信では送受信相互通信用に共振コイルを用意する必要があり、大掛かりで大電力を要するなどの難点がある。また、この方法によっても送受信装置が相互に同軸上に存在する必要性があり、水中でダイバーなどの自由な活動領域は制限されている。
これらいずれの方法においても水中活動の自由度が制限されるか、通信速度、通信容量などにおいて満足すべきものでなく、より確実に大容量、高速での無線通信が求められており、特に動画、音声、制御信号などのデータ信号をスムースに無線通信により行う水中通信システムの改良が望まれている。
この発明は、上述の状況に鑑みて提供されるものであって、以下のような水中無線通信装置およびシステムの提供を目的とする。
(1)水中と水面上との無線通信および水中移動体間での無線通信をより確実に行いうる水中無線通信装置およびシステム
(2)水中無線通信においてより高速で大容量のデータを送受信しうる装置およびシステム
(1)水中と水面上との無線通信および水中移動体間での無線通信をより確実に行いうる水中無線通信装置およびシステム
(2)水中無線通信においてより高速で大容量のデータを送受信しうる装置およびシステム
上述の課題を解決するために、この発明に係る水中通信システムは、水面上に浮遊する複数のフロートと水中移動体との通信手段であって、前記フロートには、フロート側送受信装置が設置され、前記フロート側送受信装置は、コントロールセンターまたは他のフロート側送受信装置と有線または無線により接続されており、前記水中移動体には、前記フロートに向けた移動体側送受信装置が設置されて、前記フロート側送受信装置と可視光通信またはレーザー光通信を含む光通信を行うよう構成されていることを特徴とする。
また、この水中無線通信システムは、前記複数のフロートが相互に結合・取り外し自在であり、前記水中移動体の移動範囲に応じて拡張可能であるように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記複数のフロート側送受信装置が前記移動体側送受信装置から送信された信号強度が最強となる前記フロート側送受信装置と通信可能となるように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記複数のフロート側送受信装置および前記移動体側送受信装置のいずれかまたは両方が、光通信の集光用または発光用にパラボラアンテナを備えているように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記移動体側送受信装置が重力ジャイロコンパスによる方向制御装置を備え、水平上方へ向けた送受信を行うように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記移動体側送受信装置が水中ドローンに設置され、前記水中ドローンは、前記重力ジャイロコンパスにより水平移動を保つよう制御されるように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記移動体側送受信装置がダイバー付近または該ダイバーが所有するカメラまたは音声マイク付近に配置され、前記重力ジャイロコンパスにより水平移動を保つよう制御されるように構成することもできる。
また、この水中無線通信システムは、前記水中移動体からの映像信号、音声信号またはデータ信号が前記水中ドローンまたは前記ダイバーが有する前記移動体側送受信装置を中継して、前記フロート側送受信装置または他の前記移動体側送受信装置と通信を行うように構成することもできる。
本発明によれば、水中移動体をカバーする範囲に着脱可能なように結合された複数の水上フロートを配置することで水中移動体との通信範囲を適切に確保し、可視光通信またはレーザー光通信などの光通信を用いてより確実な無線通信を可能とする。また、フロート側送受信装置および水中の移動体側送受信装置には、パラボラアンテナを用いて受信感度を向上させたり、かつジャイロコンパスによる送受信装置の送受信方向を適切な方向へ制御することでより確実な通信を可能とする効果を有する。
以下、本発明に係る水中移動体との通信装置およびシステムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例に記載されているいずれの説明図や図面も本発明の説明用に概略的または模式図として描かれており、実際の寸法や形状は特に限定するものではない。また、実施例で用いているシステム構成、寸法、材質、形状、その相対配置および使用例は特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明による水中移動体との通信システムの構成を示す説明図である。水面にはフロート(浮遊体)1が配置されており、そのフロートは、光通信による送受信装置2を有している。フロート1には、水中側に送信素子3および受信素子4を備えた送受信装置2が複数内蔵され配置されている。各送受信装置2は、送信素子3および受信素子4による送受信を行うと共に、地上又は水上(船上)の基地局などのコントロールセンターまたは他のフロート側送受信装置との無線による交信を行うためのアンテナ5を備えている。このフロート側送受信装置からコントロールセンターや他のフロート側送受信装置との通信は水面上で行われるため光通信に限らずいずれかの広帯域通信による無線通信または有線通信を用いることができる。
フロート1は、穴あきブイに結合ブイロープ6を通して固定物や水上の船舶20などに結合され、アンカーブイ7により所定の位置に係留されるよう構成されている。このようなフロート1を複数用意して複数のフロートで結合、拡張して構成することも可能であるし、結合ブイロープ6により相互に結合しても良い。また、フロート1上には電源用としてソーラーパネル22が設置されている。短時間の利用などの場合は、各送受信装置内に組み込まれたバッテリーで駆動することでも十分であり、ソーラーパネル22は必要に応じて設置すれば良い。
水中では、複数のフロート1の下方にダイバー8とそのダイバーが操作するカメラ9とダイバー近傍に水中ドローン10が海中探索または海中遊泳している。水中ドローン10は送受信装置11を有しており、その送信素子12および受信素子13とは水面方向に向けて水中ドローン10の上部に露出して配置されている。図2は水中ドローン10を正面から見た図であり、4個のプロペラファン14、15、16、17を制御することにより上下左右への推進を行うことができる。また水平尾翼18を備えることで水平移動の安定を確保している。水中ドローン10には送受信装置11が備えられており、送信素子12および受信素子13は、ドローン10本体の上部に配置されている。
この送受信装置(移動体側送受信装置)11および送受信素子12、13は、方向制御手段30により水中ドローン10の移動中であっても常時上方へ信号発信できるように制御されている。この方向制御手段30は、ジャイロコンパス方向制御により行われており、詳細は後述する。ドローン10の前面にはドローンカメラ19が配置されて水中映像をドローン側の送受信装置11より上方(水面)側へ送信できるように構成している。このドローンカメラ19は、基地局またはセンター側からのデータ信号制御により本発明による水中通信システムを利用して行われる。
また、ダイバー8が所有するカメラ9で撮影した画像信号、ダイバーの音声信号およびダイバーのバイタルサインなどのデータ信号は、カメラ9内またはダイバー背中に設けられた近距離通信装置によりドローン10の送受信装置11へ送り込み、ドローン10の送受信装置11を中継として水上のフロート側送受信装置2へ送信することも可能である。この場合の近距離通信装置としては、ブルートゥース、WiFi(登録商標)などが考えられるが、ドローン10とダイバーカメラ9との距離が近距離にある間だけに限定される。そのため、ダイバー8が所有するカメラ9にもドローン10に配置された送受信装置をカメラ上部に設置してフロート1の送受信装置2と直接交信するように構成するようにすることが望ましい。
ここでフロート側の送受信装置(フロート側送受信装置)2とドローン10側の送受信装置(移動体側送受信装置)11とが動画、音声、データなどの信号伝送(送受信)を行うには映像信号を伝送するのに十分な帯域および伝送速度が求められる。水中通信では、前述の通り電磁波による電波通信は減衰量が大きいため数メートル以上の電波伝送は高周波となるほど困難であり、映像信号の伝送には適していない。そのため、大容量通信が可能で伝送速度が高速である可視光通信またはレーザー光通信などの光通信を用いる。
可視光通信を用いる場合、受光素子の受光感度はシリコン・フォト・ダイオード(Si-PD)、アバランシェ・フォト・ダイオード(APD)、シリコン・フォト・マルチプライヤー(Si-PM)などの開発により、フォトン(光子)レベルの超微弱光まで検知できるため、かなり微弱な光量であっても送信側の可視光を確保できれば通信可能となる。また、可視光による搬送波帯域伝送では数百Mbpsまで高速伝送可能であることが知られており、水中における伝送にも光を遮蔽する障害物、ごみ、濁りなどがなければ高速(数百Mbps)で高感度(遠距離)の通信が可能である。
可視光通信の構成例としては、図3のブロック回路に示すような可視光送受信装置が考えられる。このような可視光送受信装置はフロート側および移動体側のいずれにおいても同様なものであり、フロート側からの送信信号としては、水中にあるドローン10の制御信号(データ信号)、ダイバー8などとの会話音声信号などであり、移動体側からの送信信号としては、水中の映像・音声信号およびダイバーのバイタルサイン等のデータ信号などである。
送信側の映像、音声、データ制御信号などの入力信号31は、インターフェース手段(または入出力手段)32を介して受信データ処理手段33へ送られる。インターフェース手段32は、入力信号の種類に応じてUSB(Universal Serial Bus)、イーサネット、HDMI(High Definition Multimedia Interface)、SDI(Serial Digital Interface)など多様なものがあり、これらの入力信号に合わせ信号処理を行う。受信データ処理手段33では、入力信号をフレーミング回路でパケット処理して、変調手段34へ提供し、変調手段で搬送波を用いて変調をかける。この変調方式はQAM(直交振幅変調)、QSPK(四位相偏位)、OFDM(直交周波数分割多重)などいずれの方式やそれらの組み合わせであっても可能である。
変調手段34で変調をかけられたデータ信号は、D-A変換手段35によりアナログ化されて可視光通信送信素子であるLED(Light Emitting Diode)を駆動する調光制御手段36およびLED駆動手段37においてLED発光信号に重畳させて、発光素子(LED)38より送信する。ここで、LEDの発光周波数は、500nm前後が望ましい。これは、高周波になる程水分子の光吸収が高くなるが、特に600nm以上の長波長側での吸収が高くなるためである。また、海水などの場合、微生物、プランクトン、濁り水などの吸収特性が影響するため400nmでの短波長帯での吸収を考慮して500nmの波長帯(緑青色)が選定される。
LED発光信号に重畳された変調信号は、発光素子(LED)38より発信され、対向する受光素子39により受信される。受光素子39としては、前述の通りSi-PD、APD、Si-PMなどが使用しうるが、発光素子38側の発光周波数である500nm近傍に高感度の特性を有する素子を選択し、複数のAPDを並べて配置したAPDアレー素子を用いることで放射照度10-16W/mm2(10-6~10-8lx相当)程度の微弱光まで検知しうることが知られており、ノイズ比(S/N比)の極めて良好な受信を行うことができる。
受光素子39により受信された変調信号は、フィルターで構成された信号取り出し手段40により取り出され、RF増幅器41により増幅され、帯域イコライズされてA-D変換手段42によりデジタル変換され、復調手段43へ送られる。復調手段43では、発信装置で行われた変調方式(QAM、QSPK、OFDMなど)に応じて復調を行い、データ信号を取り出す。取り出されたデータ信号は、再生される映像、音声またはデータ形式に対応するようにデータ処理手段44によりデータ処理されて、インターフェース45へ提供される。インターフェース45には、モニター・ディスプレイ、テレビ受信機、スピーカー、PCなどの端末装置に対応するインターフェース回路および端子などが設けられており、出力手段46へ出力信号を提供する。
図3におけるそれぞれのブロックにおけるデジタル信号の送受信データ処理、変復調手段およびインターフェス手段などはCPU、メモリー、レジスタなどによる信号処理が行われるがここでは電源回路と共に図示されていない。
フロート1側には上述のような送受信装置2が複数連携して配設されており、いずれかのフロート側送受信装置で受信した信号がアンテナ5を介して地上又は水上(船上)の基地局などコントロールセンターへ無線通信により送信されるか、または有線通信により送信される。基地局やコントロールセンターでは、受信した映像信号、音声信号またはデータ信号を映像モニター、音声再生装置、記録装置、パソコンなどで出力すると共に、映像、音声、データ信号を、基地局側からアンテナ5およびフロート側送受信装置2を介して移動体側送受信装置11へ送信する。
本発明の水中通信を利用するには、ドローン10やダイバー8の移動範囲をできるだけカバーするようにフロート1を配設する。フロート側送受信装置2は、フロート1に複数台設置されており、移動体側送受信装置11からの信号受信を移動体が動き周りながらもいずれかのフロート側送受信装置2が確保することができる。この場合、最も受信感度の高いフロート側送受信装置2のみを受信装置として機能させても良いし、移動体送受信装置11からの信号を受信した複数のフロート側送受信装置2の受信信号を合成して使用しても良い。そのどちらの方式とするかは受信環境やノイズレベルを参照して切り替えることもできる。
複数の送受信装置を有するフロートを複数台結合してドローンやダイバーなどの移動範囲を拡張できるように構成することも可能である。図4は、本発明によるフロートの拡張構成例を示す説明図である。フロート50には4台のフロート側送受信装置51、52、53、54が配置されており、それぞれの送受信装置は水面側に向かって送信素子3および受信素子4が備えられている。略正方形のフロート50にはそれぞれを結合して拡張できるように結合手段55が四方に設けられている。この結合手段55は相互に直接フロート同士で嵌合しうるものまたはフロートブイのようにある程度の距離を置いて結合できるものでも良い。いずれの結合手段であってもドローンやダイバーなどの移動体の移動範囲に応じて複数の送受信装置を備えたフロートをいくつか結合し、拡張して水中移動体との通信を可能とするように構成する。図4では、そのような複数のフロート56、57、58が結合され、拡張されたフロート結合体59が構成される様子を示している。
フロート結合体59は、プールなどで使用する場合は、図1におけるブイロープ6で固定物に結合され、アンカーブイ7などで固定して用いる。また、海中探索やダイバーとの交信に使用する場合は、ボートや船舶で探索ポイントやダイビングポイントなどに移動して、水中移動体である水中ドローンやダイバーの行動範囲をカバーするようにフロートを結合してフロート結合体59を構成し、ボートなどに係留して使用する。
移動体である水中ドローン10には基地局またはコントロールセンターからドローン制御信号がデータ信号として供給され、水中ドローン10の進路、方向、速度などを制御する。またこれらのデータ信号は、ドローン10に取り付けられた撮影カメラの姿勢制御や撮像コントロール制御信号としても利用しうる。水中ドローン10は、水上のフロート1またはフロート結合体59と通信を行えるよう基本的に水平移動を保っている。しかし、移動中は必ずしも水平でなく、ドローン側の送受信装置11の発光素子12や受光素子13がフロート1やフロート結合体59の方向へ指向しているとは限らない。そこで、移動体側送受信装置11は、方向制御手段30を具備しており、常に送受信素子12、13を上方または所定方向へ指向するように制御している。
図5は、方向制御手段30の構成例を示す説明図である。方向制御および方向検知はジャイロコンパス61を利用する。ジャイロコンパス61におけるジャイロスコープのジャイロモーメントにより地磁気に対しX軸(水平)またはY軸(垂直)方向検知を行う。X軸方向傾斜検知回路62およびY軸方向傾斜検知回路63では、地磁気に対する方向傾斜度合いを電気信号に変えて出力し、X軸方向制御信号およびY軸方向制御信号としてX軸(水平)補正ドライブ回路64およびY軸(垂直)補正ドライブ回路65へ送出される。それぞれのドライブ回路は、X軸制御マイクロモータ66およびY軸制御マイクロモータ67を駆動して、方向制御板68が常に特定方向(水平方向)となるように制御する。方向制御板68は、ヨーク部材69と係合しX軸マイクロモータ66によりX軸方向に制御されると共にY軸マイクロモータ67は、ヨーク部材69に係合して、Y軸方向を制御する。
移動体側の送受信装置11は、方向制御板68に係合されて、移動体ドローン10の移動中であっても常に水平方向または所定方向へ送受信素子(発光素子12および受光素子13)の指向をフロート1およびフロート結合体59の方向へ向けることができる。また、このようなジャイロコンパスによる方向傾斜検知は、水中ドローン10の姿勢制御、自動水平移動などに利用したり、水中ドローン10に搭載したカメラ19の撮影方向維持または振動・手ブレ防止などへ応用したり、それぞれを兼用したりすることもできる。
上述の実施例1における水中通信では発光素子にLEDを利用した可視光通信を想定しており、この方式において16QAM変調によりプールなどの真水では50m以上の距離で帯域100Mbpsの映像信号での送受信を可能としている。水中での移動範囲を拡張したり、通信距離が離れていくと実施例1におけるフロート結合体59をより多く結合したり、送受信装置2または送信素子3および受信素子4を数多く必要とする。そのため、実施例2では、少ない送受信装置で広域をカバーする送受信システムを提供する。
実施例2においては、パラボラ形状の反射鏡を利用して、受信素子である受光素子4への集光をより広範囲なものとする。図6は、フロート70に4台の送受信装置71、72、73、74で使用する受信パラボラ反射鏡の構成例を示す説明図である。フロート70の送信素子(発光素子)75は、フロート70の中心部に配置され、フロート70内の受信装置71の受信素子(受光素子)76は、パラボラ反射鏡77の焦点部分に配置されている。他の受信装置72、73、74も受信装置71と同様の構成であり、パラボラ反射鏡を有し、それぞれの焦点部分に受信素子(受光素子)を備えている。
図7は、そのパラボラ反射鏡77の断面図を示しており、パラボラ形状はオフセットアクシス形状とすることでより広範な範囲を受光することができ、かつ薄型の構成とすることができる。受光素子76は、オフセットされたパラボラ形状の焦点に位置しており、反射鏡面77で捉えた受信光を集約して補足する。このようなパラボラ反射鏡を用いることでパラボラの大きさ、面に相当する受光素子を1個の受光素子で代替することが可能となる。さらに、このようなパラボラ反射鏡によりピンポイントでの送受信でなく、受光範囲が変化しても受信感度を保持することが可能となり、通信遮断に強い水中可視光システムを構成することができる。
さらに、このパラボラ反射鏡による集光を利用した受信装置は、フロート側のみでなく、設置面積さえ確保できれば移動体側にも設置することで、より安定的な通信システムを構成することができる。また、通信速度や通信容量を上述した可視光通信以上に通信速度や通信容量を向上させるには、レーザー光による通信とすることもできる。通常、レーザー光による通信では、LEDなどの可視光を使用した通信に比べて指向性が極めて強いため、ピンポイントでの1:1の送受信に限られているため、水中移動体との通信には向いていないと言われている。しかし、本発明によるフロート結合体による受光範囲を広範囲としたり、受信装置にパラボラ反射鏡を用いて受光範囲を広範囲としたりすることでレーザー光による通信も可能とすることができる。
上述した説明において、水中通信は、移動体水中ドローン10と水面上にあるフロート1またはフロート結合体59との光通信システムを想定しており、他の水中移動体であるダイバー8との音声通信またはダイバーが保持するカメラ9などの映像出力信号送信は、一旦ドローン10へ近距離通信により信号送信し、ドローン10の送受信装置を中継として利用することができる。しかし、カメラ9自体に送受信装置を内蔵できればドローン10の中継なしに、直接カメラ9とフロート1またはフロート結合体59との間で水中通信も可能である。また、ダイバー8が背中に所有する装備に送受信装置21を設置することで、カメラ9の出力信号、ダイバー音声信号およびダイバーのバイタルデータ信号を近距離通信によりダイバー8の送受信装置21へ送り込み、ダイバー8の背中の送受信装置21を中継としてダイバー8とフロート1との間およびで水中通信をするよう構成することも可能である。さらにフロート側送受信装置2を中継して移動体間同士での通信も可能である。
上述の通り本発明による水中通信システムは、水中探索、ダイバーのトレーニング、水中写真撮影、水中娯楽施設など多岐にわたる目的に利用可能である。そのような利用目的を実行する水面に必要な範囲でフロートを配置し、フロートにカバーされる範囲下において水中移動体であるドローン、ダイバーなどと水中通信を光通信網を確立し、コントロールセンターでは、水中での状況を映像や音声で確認したり、訓練などの指示を行うのに用いる事ができる。また、従来ダイバーなどは、ハンドサインでしか応答できなかったものが、移動体側からは、指示、命令に対する応答、トレーニング状況の画像、ダイバーや作業者のバイタルサインなどの情報をデータで送信するように構成することもできる。かつ拡張性あるフロートで必要な範囲にフロートを配置することが可能であるため、船舶などで水中探索が必要な場所へ移動し、フロートを結合し、配置するだけで映像などの大容量通信をより確実な通信環境にて達成することができるため極めて利便性が高いものとなる。
本発明による水中通信システムは、従来困難であった広帯域、高速通信を可能とし、より確実な水中通信システムを構築することができ、水中探索、水中訓練などの教育用、水中での娯楽用、軍事用など多岐にわたる産業上の利用可能性が広がる。
1 フロート
2 フロート側送受信装置
3 送信素子(発光素子)
4 受信素子(受光素子)
5 水上側アンテナ
6 フロートブイ(結合ブイ)
7 アンカーブイ
8 ダイバー
9 ダイバーカメラ
10 ドローン
11 移動体側送受信装置
20 船舶
21 ダイバー側送受信装置
30 方向制御手段
59 フロート結合体
68 方向制御板
77 パラボラ反射鏡
2 フロート側送受信装置
3 送信素子(発光素子)
4 受信素子(受光素子)
5 水上側アンテナ
6 フロートブイ(結合ブイ)
7 アンカーブイ
8 ダイバー
9 ダイバーカメラ
10 ドローン
11 移動体側送受信装置
20 船舶
21 ダイバー側送受信装置
30 方向制御手段
59 フロート結合体
68 方向制御板
77 パラボラ反射鏡
Claims (8)
- 水面上に浮遊する複数のフロートと水中移動体との通信手段であって、
前記フロートには、フロート側送受信装置が設置され、
前記フロート側送受信装置は、コントロールセンターまたは他のフロート側送受信装置と有線または無線により接続されており、
前記水中移動体には、前記フロートに向けた移動体側送受信装置が設置されて、前記フロート側送受信装置と可視光通信またはレーザー光通信を含む光通信を行うよう構成され、いることを特徴とする水中無線通信システム。 - 前記複数のフロートは、相互に結合・取り外し自在であり、前記水中移動体の移動範囲に応じて拡張可能であることを特徴とする請求項1記載の水中無線通信システム。
- 前記複数のフロート側送受信装置は、前記移動体側送受信装置から送信された信号強度が最強となる前記フロート側送受信装置と通信可能となることを特徴とする請求項2記載の水中無線通信システム。
- 前記複数のフロート側送受信装置および前記移動体側送受信装置のいずれかまたは両方は、光通信の集光用または発光用にパラボラアンテナを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水中無線通信システム。
- 前記移動体側送受信装置は、重力ジャイロコンパスによる方向制御装置を備え、水平上方へ向けた送受信を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の水中無線通信システム。
- 前記移動体側送受信装置は、水中ドローンに設置され、
前記水中ドローンは、前記重力ジャイロコンパスにより水平移動を保つよう制御されることを特徴とする請求項5記載の水中無線通信システム。 - 前記移動体側送受信装置は、ダイバー付近または該ダイバーが所有するカメラまたは音声マイク付近に配置され、前記重力ジャイロコンパスにより水平移動を保つよう制御されることを特徴とする請求項5記載の水中無線通信システム。
- 前記水中移動体からの映像信号、音声信号またはデータ信号は、前記水中ドローンまたは前記ダイバーが有する前記移動体側送受信装置を中継して、前記フロート側送受信装置または他の前記移動体側送受信装置と通信を行う請求項7記載の水中無線通信システム。
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JP2021093922A JP2022164524A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 水中通信システムおよび装置 |
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JP2021093922A JP2022164524A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 水中通信システムおよび装置 |
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JP2021093922A Pending JP2022164524A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 水中通信システムおよび装置 |
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-
2021
- 2021-04-16 JP JP2021093922A patent/JP2022164524A/ja active Pending
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