JP2022161121A - メンテナンス方法および記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間にわたって、循環機構のインク流路におけるインクの流通の安定性や、インクジェット法による吐出安定性を優れたものとすることができるメンテナンス方法および記録装置を提供すること。【解決手段】本発明のメンテナンス方法は、インク組成物が循環する循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程とを有する記録方法により記録を行うものであり、前記循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する洗浄工程を備え、前記メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、メンテナンス方法および記録装置に関する。
非常に微細なノズルからインク組成物を液滴として吐出し、前記液滴を記録媒体上に付着させて、画像を形成するインクジェット方式の記録方法が広く用いられている。この記録方法は、他の記録方法に比べて、簡易な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる等の利点がある。
このようなインクジェット方式を採用した記録装置において、吐出するインク組成物に不本意な組成のばらつきが発生することを防止する等の目的で、インク組成物を吐出するインクジェットヘッドに、インク組成物が循環する循環機構を備える記録装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、循環機構を備えたインクジェットヘッドを用いて記録を行う場合に、インク組成物中に異物が生じると、当該異物が循環機構の流路中の部材の表面に堆積して、インク組成物の流通を妨げる問題がある。
特に、インク組成物とともに、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を用いて記録する場合に、インク組成物を吐出するノズルに処理液のミストが付着したり、処理液が付与された記録媒体がインク組成物を吐出するノズル面に接触してノズルに記録媒体上の処理液が付着したりすること等により、インク組成物と処理液とが反応して異物を生じ、これが循環流路に侵入、堆積してしまうことがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係るメンテナンス方法は、インク組成物が循環する循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する洗浄工程を備え、
前記メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有する。
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する洗浄工程を備え、
前記メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有する。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記メンテナンス液は、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含む。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記メンテナンス液中における前記界面活性剤の含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記洗浄工程は、前記メンテナンス液を、前記循環機構の流路中を循環させて行う。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記記録装置は、前記循環機構の流路中に、当該流路へ前記メンテナンス液を供給する三方弁を有する。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記インク組成物が、顔料を含有する水系のインクである。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記メンテナンス液中における前記キレート剤の含有率が0.5質量%以上15.0質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記凝集剤が多価金属塩である。
また、本発明の他の適用例に係るメンテナンス方法では、前記記録装置は、前記循環機構の流路中にゴム部材を有する。
また、本発明の適用例に係る記録装置は、循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置であって、
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路に、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液を供給するメンテナンス液供給路を備える。
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路に、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液を供給するメンテナンス液供給路を備える。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]メンテナンス方法
まず、本発明のメンテナンス方法について説明する。
[1]メンテナンス方法
まず、本発明のメンテナンス方法について説明する。
本発明のメンテナンス方法は、インク組成物が循環する循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法である。そして、前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程、すなわち、処理液付着工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程、すなわち、インク組成物付着工程とを有する記録方法により記録を行うものである。そして、前記循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する洗浄工程を備え、前記メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有する。
これにより、循環機構のインク流路を効果的に洗浄することができ、長期間にわたって、循環機構のインク流路におけるインク組成物の流通の安定性や、インクジェット法による吐出安定性を優れたものとすることができる記録装置のメンテナンス方法を提供することができる。
上記のような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によると考えられる。すなわち、循環機構を備えたインクジェットヘッドを用いた記録で、インク組成物と、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液とを併用する場合に、インク組成物と処理液とが反応して異物を生じ、これが循環流路に侵入、堆積してしまうことがあった。これは、インク組成物を吐出するノズルに処理液のミストが付着したり、処理液が付与された記録媒体がインク組成物を吐出するノズル面に接触してノズルに記録媒体上の処理液が付着したりすること等によると考えられる。これに対し、本発明では、循環機構のインク流路、すなわち、循環機構のインク組成物が流通する流路を、メンテナンス液、特に、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液で、洗浄することにより、循環機構のインク流路において異物を生じた場合でも、当該異物を速やかに溶解することができ、また、異物の発生や成長を防止することができる。このようなことから、循環機構のインク流路におけるインク組成物の流通を妨げたり、インク組成物の吐出不良を生じたりする等の問題の発生を効果的に防止することができるものと考えられる。
[1-1]記録装置が実行する記録方法について
以下、本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置が実行する記録方法について説明する。
以下、本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置が実行する記録方法について説明する。
本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる処理液付着工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させるインク組成物付着工程とを有する記録方法により記録を行うものである。
このように、インク組成物とともに処理液を用いることにより、例えば、記録画像の画質を向上させることができる。
[1-1-1]処理液付着工程
処理液付着工程では、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる。
処理液付着工程では、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる。
処理液の記録媒体への付着は、いかなる方法で行ってもよいが、インクジェット法により行うのが好ましい。
インクジェット法の方式としては、ピエゾ方式や、吐出すべき組成物を加熱して発生した泡によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、処理液の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
本工程では、少なくとも記録媒体の表面の一部に処理液を付与すればよいが、処理液は、少なくともインク組成物が付与される領域に付与されるものであるのが好ましい。
本工程では、例えば、条件の異なる複数種の処理液を用いてもよい。例えば、インク組成物の種類に対応して、異なる処理液を用いてもよい。
本工程で用いる処理液については、後に詳述する。
本工程で用いる処理液については、後に詳述する。
[1-1-2]インク組成物付着工程
インク組成物付着工程では、インク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる。
インク組成物付着工程では、インク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる。
インクジェット法の方式としては、ピエゾ方式や、吐出すべき組成物を加熱して発生した泡によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
本工程では、記録媒体上に付与されるインク組成物のうち少なくとも一部が処理液と接触するようにインク組成物を吐出すればよいが、インク組成物を、処理液と接触する部位に選択的に付与するのが好ましい。より具体的には、例えば、記録媒体のうち予め処理液が付与された領域に、インク組成物を選択的に付与するのが好ましい。
本工程は、記録媒体上においてインク組成物と処理液とが接触するようにして行えばよく、例えば、処理液を記録媒体上に付着させた後にインク組成物を吐出してもよいし、処理液とインク組成物とを同時に吐出してもよい。
本工程では、例えば、条件の異なる複数種のインク組成物を用いてもよい。
本工程で用いるインク組成物については、後に詳述する。
本工程で用いるインク組成物については、後に詳述する。
[1-1-3]その他の工程
記録方法は、上記以外の工程を有していてもよい。例えば、記録媒体、特に、処理液およびインク組成物が付与された記録媒体を、加熱する加熱工程を有していてもよい。
記録方法は、上記以外の工程を有していてもよい。例えば、記録媒体、特に、処理液およびインク組成物が付与された記録媒体を、加熱する加熱工程を有していてもよい。
これにより、処理液とインク組成物との反応をより好適に進行させることができる。また、形成される記録部に水等の揮発成分が不本意に残存することを効果的に防止することができる。また、例えば、インク組成物が樹脂を含む場合において、当該樹脂を好適に軟化させることができ、記録部の記録媒体への密着性をより優れたものとすることができる。
加熱工程での加熱温度は、特に限定されないが、40℃以上120℃以下であるのが好ましく、60℃以上100℃以下であるのがより好ましい。
これにより、加熱工程を行うことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、インク組成物や記録媒体等の構成材料の不本意な変性、劣化等を効果的に防止することができる。また、省エネルギーと記録物の生産性との両立の観点からも好ましい。
なお、記録媒体の加熱は、記録媒体に処理液を付与しつつ行ってもよいし、記録媒体にインク組成物を付与しつつ行ってもよい。また、記録媒体に処理液やインク組成物を付与する前に、予め行うものであってもよい。
[1-1-4]メンテナンス方法が適用される記録装置の概略
本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置は、インクジェットヘッドを備えており、当該インクジェットヘッドは、インク組成物が循環する循環機構を備えている。
本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置は、インクジェットヘッドを備えており、当該インクジェットヘッドは、インク組成物が循環する循環機構を備えている。
そして、循環機構のインク流路、すなわち、インク組成物が流通する流路に、メンテナンス液を導入することができるように構成されている。
本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置は、前記循環機構の流路中に、当該流路へメンテナンス液を供給する三方弁を有しているのが好ましい。
これにより、例えば、インク組成物の逆流等の不都合の発生をより効果的に防止しつつ、循環機構の流路にメンテナンス液を好適に供給することができる。また、不本意にインク組成物の流路にメンテナンス液が混入することをより効果的に防止することができる。
また、本発明のメンテナンス方法が適用される記録装置は、前記循環機構の流路中にゴム部材を有しているのが好ましい。
流路中にゴム部材を有することにより、液密性を高めることができ、循環機構の流路からのインク組成物等の漏洩をより生じにくくすることができる。その一方で、ゴム部材は、一般に、洗浄液等によるダメージを受けやすい部材である。これに対し、本発明で用いるメンテナンス液は、ゴム部材に対してもダメージを与えにくいものである。したがって、前述したようなゴム部材を用いることによる利益を得つつ、ゴム部材がダメージを受けることをより効果的に防止することができる。
なお、記録装置については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
なお、記録装置については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
[1-1-5]インク組成物
次に、インク組成物について詳細に説明する。以下の説明では、インク組成物のことを、単に「インク」とも言う。
次に、インク組成物について詳細に説明する。以下の説明では、インク組成物のことを、単に「インク」とも言う。
インク組成物は、インクジェット法により、インクジェットヘッドから吐出される組成物である。
[1-1-5-1]色材
インク組成物は、通常、色材を含んでいる。
インク組成物は、通常、色材を含んでいる。
色材としては、例えば、各種染料や、各種顔料を用いることができる。また、色材としては、例えば、通常の環境下では視認されないが、紫外線照射条件等でインク組成物を用いて形成された記録部を識別可能とするような蛍光物質等を用いることもできる。
特に、顔料は、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから、好ましく用いられる。顔料を用いて記録媒体上に形成された画像は、画質に優れるだけでなく、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。この性質は、特に、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に画像が形成される場合に顕著である。
特に、インク組成物が、水とともに顔料を含有する水系のインクである場合、地球環境等の点で好ましい。
なお、本明細書において、「水系」とは、対象となる組成物中において、水の含有量が40質量%以上のものを言う。好ましくは、対象となる組成物中における全液体成分のうち水の占める割合が50質量%以上である。
顔料としては、例えば、無機顔料や有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等が挙げられる。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、例えば、白色の中空樹脂微粒子や高分子粒子等の白色有機顔料を使用することもできる。
白色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、例えば、白色の中空樹脂微粒子や高分子粒子等の白色有機顔料を使用することもできる。
その他有彩色の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、C.I.ピグメントヴァイオレット19、23、32、33、36、38、43、50、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
また、パール顔料としては、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の単体または合金で構成された粒子等が挙げられる。
インク組成物中における色材の含有率は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上7.0質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、例えば、記録媒体に形成される画像の色濃度を十分に高いものとしつつ、インク組成物のインクジェット法による吐出安定性、保存安定性等をより優れたものとすることができる。
なお、インク組成物がクリアインクである場合、当該インク組成物は、色材を含んでいなくてもよい。
[1-1-5-2]水
インク組成物は、液状をなすものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
インク組成物は、液状をなすものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
これにより、インク組成物中において、固形分を好適に溶解または分散させることができ、インク組成物のインクジェット法による吐出をより安定的に行うことができる。また、処理液が水を含む組成物である場合に、当該処理液との親和性をより優れたものとすることができ、処理液中に含まれる凝集剤の機能をより好適に発揮させることができる。
インク組成物は、水系のインクであるのが好ましく、特に、インク組成物中の水の含有率は、45.0質量%以上97.4質量%以下であるのが好ましく、50.0質量%以上91.8質量%以下がより好ましく、60.0質量%以上83.8質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-1-5-3]有機溶剤
インク組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。
インク組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。
インク組成物が有機溶剤を含有することにより、インクジェットヘッドでの目詰まりの発生をより効果的に防止することができる。また、インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録媒体上に吐出されたインク組成物の乾燥性が良好となり、画質と耐擦性とがより優れた画像を得ることができる。
インク組成物に用いる有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。
これにより、インク組成物の保湿性を向上させることができ、インクジェットヘッド等での乾燥等により、インク組成物の固形分が不本意に析出してしまうこと等をより効果的に防止することができる。また、インク組成物の粘度をより好適に調整することができる。このようなことから、インクジェット法によるインク組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、インク組成物の保湿性を向上させることができ、インクジェットヘッド等での乾燥等により、インク組成物の固形分が不本意に析出してしまうこと等をより効果的に防止することができる。また、インク組成物の粘度をより好適に調整することができる。このようなことから、インクジェット法によるインク組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
水溶性有機溶剤は、水に対して溶解性を示す有機溶媒であればよいが、例えば、25℃における水への溶解度が10g/100g水以上の有機溶媒を好適に用いることができる。
水溶性有機溶剤の1気圧下での沸点、すなわち、標準沸点は、150℃以上350℃以下であるのが好ましい。
これにより、インク組成物の保湿性をさらに向上させることができ、インクジェットヘッド等での乾燥等により、インク組成物の固形分が不本意に析出してしまうこと等をさらに効果的に防止することができる。このようなことから、インクジェット法によるインク組成物吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、インク組成物を吐出した後、必要時においては、比較的容易に揮発させることができ、製造される記録物中に、水溶性有機溶剤が不本意に残存することをより効果的に防止することができる。
水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカンジオール類、ポリオール類、含窒素溶剤、エステル類、グリコールエーテル類、環状エステル類等が挙げられる。
アルカンジオール類としては、例えば、1,2-アルカンジオール類である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等や、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
含窒素溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。
含窒素溶剤としては、例えば、アルコキシアルキルアミド類も挙げることができ、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド等が挙げられる。
含窒素溶剤としては、例えば、アミド系溶剤も挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、環状アミド系溶剤、非環状アミド系溶剤等が挙げられる。環状アミド系溶剤としては、例えば、上記のピロリドン類等が挙げられる。非環状アミド系溶剤としては、例えば、上記のアルコキシアルキルアミド類等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート等のグリコールジエステル類等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールのモノエーテルまたはジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類等が挙げられる。
環状エステル類としては、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、β-ヘキサノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、δ-ヘキサノラクトン、β-ヘプタノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、ε-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、δ-オクタノラクトン、ε-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、ε-ノナラクトン、ε-デカノラクトン等のラクトン類や、これらの化合物のカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1以上4以下のアルキル基によって置換された化合物等を挙げることができる。
インク組成物中における有機溶剤の含有率は、1.0質量%以上40.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上35.0質量%以下であるのがより好ましく、8.0質量%以上30.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-1-5-4]樹脂
インク組成物は、樹脂を含有していてもよい。
インク組成物は、樹脂を含有していてもよい。
樹脂は、例えば、インク組成物の固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有する。
インク組成物が樹脂を含む場合、当該樹脂は、インク組成物中において、溶解された状態またはインク組成物中に分散された状態のいずれの状態であってもよい。
インク組成物中に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、パラフィン樹脂、フッ素樹脂、水溶性樹脂、や、これらの樹脂を構成する単量体を組み合わせた共重合体等が挙げられる。共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレンアクリル樹脂等が挙げられる。また、樹脂としては、これら樹脂を含むポリマーラテックスを用いることができる。例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂の微粒子を含むポリマーラテックス等が挙げられる。
アクリル樹脂は、少なくともアクリル系モノマーを単量体として用いて重合して得た単重合体または共重合体である樹脂である。アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。アクリル樹脂が共重合体の場合、当該共重合体としては、他のモノマーとしてビニル系モノマーを用いたアクリル-ビニル樹脂等が挙げられ、中でもビニル系モノマーとしてスチレンを用いたスチレンアクリル樹脂等が挙げられる。
上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が入手しやすく、所望の特性を有する樹脂として得やすい点で好ましい。
インク組成物中における樹脂の含有率は、0.5質量%以上15.0質量%以下であるのが好ましく、0.7質量%以上10.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以上7.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インク組成物の吐出安定性等を十分に優れたものとしつつ、前述したような樹脂を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
[1-1-5-5]界面活性剤
インク組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。
インク組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
インク組成物が界面活性剤を含む場合、インク組成物中における界面活性剤の含有率は、0.1質量%以上1.5質量%以下であるのが好ましい。
[1-1-5-6]ワックス
インク組成物は、ワックスを含有してもよい。
インク組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、例えば、インク組成物中で溶解するものや、エマルジョン等、微粒子の形態で分散するもの等が挙げられる。
このようなワックスを用いることにより、例えば、インク組成物を用いて製造される記録物の耐擦性をより優れたものとすることができる。
ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、高級脂肪酸と高級1価アルコールまたは2価アルコールとのエステルワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造したワックスおよびそのコポリマー等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。
インク組成物がワックスを含むものである場合、インク組成物中におけるワックスの含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上4.0質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-1-5-7]その他の成分
インク組成物は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
インク組成物は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
その他の成分としては、例えば、消泡剤;粘度調整剤;pH調整剤;防腐剤;防かび剤;防錆剤;防炎剤;各種分散剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;酸素吸収剤;溶解助剤;浸透剤;キレート剤;有機溶剤以外の保湿剤等が挙げられる。
インク組成物中におけるその他の成分の含有率は、6.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましい。
[1-1-5-8]その他の条件
インク組成物の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
インク組成物の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェットヘッドのノズルの目詰まり等がより生じにくくなり、インク組成物の吐出安定性がより向上する。また、ノズルの目詰まりを生じた場合でも、ノズルにキャップをすることによる回復性をより優れたものとすることができる。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法、もしくはリング法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、DY-300、DY-500、DY-700等)を用いることができる。
インク組成物の25℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インク組成物のインクジェット法による吐出安定性がより優れたものとなる。
なお、粘度は、振動式粘度計、回転式粘度計、細管式粘度計、落球式粘度計により測定して求めることができる。例えば、振動式粘度計としては、JIS Z8809に準拠した測定により求めることができる。
[1-1-6]処理液
次に、処理液について詳細に説明する。
次に、処理液について詳細に説明する。
処理液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含む組成物である。処理液は、インク組成物を付着する前またはインク組成物と同時に記録媒体へ付着させて用いる補助液である。
処理液と反応するインク組成物の成分としては、例えば、色材や樹脂等が挙げられる。
処理液と反応するインク組成物の成分としては、例えば、色材や樹脂等が挙げられる。
[1-1-6-1]凝集剤
処理液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する。
処理液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する。
処理液が凝集剤を含むことにより、凝集剤とインク組成物に含まれる色材や樹脂等の特定成分とが速やかに反応する。その結果、例えば、前記特定成分の分散状態が破壊されて凝集し、この凝集物が色材の記録媒体への浸透を阻害するため、記録画像の画質を向上させることができる。
凝集剤としては、例えば、多価金属塩、カチオンポリマー、カチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物、有機酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、多価金属塩であるのが好ましい。
これにより、インク組成物に含まれる成分との反応性をより優れたものとすることができ、記録画像の画質をより優れたものとすることができる。また、処理液が凝集剤として多価金属塩を含む場合に、インク組成物と処理液とが反応して異物を生じ、これが循環流路に侵入、堆積してしまうことや、これによる問題が、特に顕著に発生していたが、今発明では、処理液が凝集剤として多価金属塩を含む場合において、上記のような問題の発生をより効果的に防止することができる。すなわち、処理液が凝集剤として多価金属塩を含む場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
多価金属塩としては、二価以上の多価金属イオンと陰イオンとを含み、水に可溶な塩を用いることができる。
多価金属塩を構成する多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+等の二価金属イオン;Al3+、Fe3+、Cr3+等の三価金属イオン等が挙げられる。中でも、処理液の安定性や凝集剤としての反応性の観点から、カルシウム塩およびマグネシウム塩が好ましい。
多価金属塩を構成する陰イオンとしては、例えば、Cl-、I-、Br-、SO4
2-、ClO3
-、NO3
-、HCOO-、CH3COO-等が挙げられる。
処理液中における凝集剤の含有率は、0.5質量%以上15.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以上8.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-1-6-2]水
処理液は、上記のような凝集剤を含み、液状をなすものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
処理液は、上記のような凝集剤を含み、液状をなすものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
これにより、処理液中において、上記のような凝集剤を、好適に溶解または分散させることができる。特に、凝集剤が前述したような多価金属塩である場合に、当該多価金属塩を好適に溶解することができる。その結果、凝集剤としての機能をより好適に発揮させることができる。また、インクジェット法による吐出をより安定的に行うことができる。また、インク組成物が水系のインクである場合に、当該インク組成物との親和性をより優れたものとすることができ、凝集剤の機能をより好適に発揮させることができる。
処理液中における水の含有率は、例えば、40.0質量%以上とすることができ、特に、49.0質量%以上96.3質量%以下であるのが好ましく、57.0質量%以上94.8質量%以下であるのがより好ましい。
[1-1-6-3]有機溶剤
処理液は、有機溶剤を含有していてもよい。
処理液は、有機溶剤を含有していてもよい。
処理液が有機溶剤を含有することにより、例えば、処理液の記録媒体への濡れ性等を好適に調整することができる。また、インク組成物が有機溶媒を含むものである場合に、処理液とインク組成物との親和性をより優れたものとすることができ、処理液を用いることによる効果をより顕著に発揮させることができる。また、処理液がインクジェット法で吐出されるものである場合に、インクジェットヘッドでの目詰まりの発生をより効果的に防止することができる。
処理液が含む有機溶剤としては、上記[1-1-5-3]で説明したのと同様の条件の有機溶剤を、好適に用いることができる。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。また、インク組成物が上記[1-1-5-3]で説明した条件を満たす有機溶剤を含む場合に、処理液とインク組成物との親和性をさらに優れたものとすることができ、処理液を用いることによる効果をさらに顕著に発揮させることができる。
処理液中における有機溶剤の含有率は、3.0質量%以上50.0質量%以下であるのが好ましく、4.0質量%以上40.0質量%以下であるのがより好ましい。
[1-1-6-4]界面活性剤
処理液は、界面活性剤を含有してもよい。
処理液は、界面活性剤を含有してもよい。
処理液が界面活性剤を含有することにより、処理液の表面張力を低下させ、処理液の記録媒体への濡れ性を向上させることができる。
処理液が含む界面活性剤としては、上記[1-1-5-5]で説明したのと同様の条件の界面活性剤を、好適に用いることができる。
処理液が界面活性剤を含む場合、処理液中における界面活性剤の含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましい。
[1-1-6-5]その他の成分
処理液は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
処理液は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
その他の成分としては、例えば、pH調整剤;防腐剤;防かび剤;防錆剤;防炎剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;酸素吸収剤;溶解助剤;キレート剤等が挙げられる。
処理液中におけるその他の成分の含有率は、6.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましい。
ただし、処理液中における色材の含有率は、0.2質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましく、0.05質量%以下であるのがさらに好ましい。処理液中における色材の含有率の下限は、0.00質量%である。
[1-1-6-6]その他の条件
処理液がインクジェット法により吐出されるものである場合、処理液の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
処理液がインクジェット法により吐出されるものである場合、処理液の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
処理液がインクジェット法により吐出されるものである場合、処理液の25℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であるのがより好ましい。
[1-1-7]記録媒体
次に、記録媒体について詳細に説明する。
次に、記録媒体について詳細に説明する。
記録媒体としては、いかなるものを用いてもよく、例えば、普通紙、インクジェット用専用紙等の紙、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
特に、本発明において、インク組成物は、処理液とともに用いられ、優れた乾燥性を有することから、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体を好適に用いることができる。
なお、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に述べられている。
インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここで言うプラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。インク低吸収性の記録媒体としては、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙等が挙げられる。
なお、記録媒体の形状は、特に限定されず、シート状等、いかなるものであってもよい。
[1-2]洗浄工程
本発明のメンテナンス方法は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液を用いて、記録装置が備える循環機構のインク流路を洗浄する洗浄工程を備えている。以下、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤のことを「特定キレート剤」とも言う。
本発明のメンテナンス方法は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液を用いて、記録装置が備える循環機構のインク流路を洗浄する洗浄工程を備えている。以下、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤のことを「特定キレート剤」とも言う。
本工程では、例えば、条件の異なる複数種のメンテナンス液を用いてもよい。例えば、インク組成物や処理液の種類に対応して、異なるメンテナンス液を用いてもよい。
[1-2-1]メンテナンス液
以下、洗浄工程で用いるメンテナンス液について、詳細に説明する。
以下、洗浄工程で用いるメンテナンス液について、詳細に説明する。
[1-2-1-1]特定キレート剤
メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有する特定キレート剤を含有している。
メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有する特定キレート剤を含有している。
このような特定キレート剤は、分子中にアミノ基とカルボキシル基とを有することにより、処理液の凝集剤である金属イオンをキレート化する。これにより、凝集物中の金属イオンをキレート化して凝集物の再分散性に寄与すると推測される。このため、インク組成物と処理液とを用いた記録方法を実行する記録装置、特に、当該記録装置の循環機構において、インク組成物と処理液とが接触することにより生じた凝集物の再分散効果により凝集物の発生を抑制して吐出不良を抑制することができる。なお、カルボキシル基やアミノ基は、塩の形態となっていてもよい。
特定キレート剤は、分子内に、アミノ基およびカルボキシル基を、それぞれ、少なくとも1個有していればよい。
また、特定キレート剤は、アミノ基およびカルボキシル基に加えて、さらに、ヒドロキシル基を有していてもよい。
これにより、凝集物の再分散効果がより優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がより優れたものとなる。
特定キレート剤が分子内にヒドロキシル基を有するものである場合、当該特定キレート剤の分子内におけるヒドロキシル基の数は、2個以上4個以下であるのが好ましく、2個以上3個以下であるのがより好ましく、2個であるのがさらに好ましい。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
特定キレート剤の分子内におけるカルボキシル基の数とヒドロキシル基の数との和は、2個以上8個以下であるのが好ましく、3個以上7個以下であるのがより好ましく、4個以上6個以下であるのがさらに好ましい。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
特定キレート剤の分子内におけるアミノ基の数は、1個以上4個以下であるのが好ましく、1個以上3個以下であるのがより好ましく、1個以上2個以下であるのがさらに好ましく、1個であるのが最も好ましい。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
特定キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩、L-グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩、ジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩等が挙げられるが、中でも、L-グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩およびジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩のうちの少なくとも一方であるのが好ましい。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
メンテナンス液中における特定キレート剤の含有率は、0.5質量%以上15.0質量%以下であるのが好ましく、0.7質量%以上10.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集物の再分散効果がさらに優れたものとなる。
[1-2-1-2]特定界面活性剤
メンテナンス液は、上述したような特定キレート剤を含むものであればよいが、さらに、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含んでいるのが好ましい。
メンテナンス液は、上述したような特定キレート剤を含むものであればよいが、さらに、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含んでいるのが好ましい。
これにより、処理液中の凝集剤を補足することで凝集剤を不活性化することができ、その結果、インク組成物の凝集抑制効果が得られ、ノズル面での吐出不良を抑制するだけでなく、循環機構の流路において発生した異物を好適に再分散させることができる。また、インク組成物や処理液の廃液流路や廃液タンクの詰りの発生を好適に防止することもできる。また、従来においては、インク組成物が前述したような樹脂を含む、いわゆるレジンインクにおいて、上記のような循環機構の流路における異物の発生による問題が特に顕著に発生していたが、レジンインクを用いる場合でも、上記のような効果が十分に発揮される。また、このようなメンテナンス液は、記録装置における液体の流路等の構成部材に対してダメージを与えにくい。以下、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤のことを「特定界面活性剤」とも言う。
なお、本明細書において、長鎖アルキルとは、炭素数が7個以上の飽和炭化水素基のことを言う。
特定界面活性剤が長鎖アルキルエーテルである場合の長鎖アルキルの炭素数は、上記のように7個以上であればよいが、7個以上30個以下であるのが好ましく、9個以上20個以下であるのがより好ましく、10個以上15個以下であるのがさらに好ましい。
特定界面活性剤のポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、これらの混合等が挙げられる。ポリオキシプロピレンとしては、ポリオキシ1,2-プロピレン、ポリオキシ1,3-プロプレンのいずれであってもよいが、ポリオキシ1,2-プロピレンが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖の繰り返し数nは、5以上50以下であるのが好ましく、7以上30以下であるのがより好ましく、10以上20以下であるのがさらに好ましい。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
上記のように、メンテナンス液は、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである特定界面活性剤を含んでいてもよいが、特定界面活性剤の中でも、特に、ポリオキシアルキレン鎖を有する芳香族エーテルである界面活性剤を含んでいるのが好ましい。
芳香族エーテルとしては、芳香族構造を有するものであればよく、例えば、置換されていてもいなくてもよいナフチルエーテル、フェニルエーテル等が挙げられる。具体的には、例えば、ナフチルエーテル、スチリルフェニルエーテル、トリベンジルフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、トリベンジルフェニルエーテルが好ましい。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
特定界面活性剤の重量平均分子量は、100以上7000以下であるのが好ましく、300以上1500以下であるのがより好ましく、500以上800以下であるのがさらに好ましい。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
これにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。
特定界面活性剤の市販品としては、例えば、ペグノール-005(商品名、東邦化学社製、ポリオキシアルキレントリベンジルフェニルエーテル)、ノイゲン-XL-160(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル)、ノイゲン-EN10(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレンナフチルエーテル)、エマルゲンA-60(商品名、花王社製、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル)等が挙げられる。
メンテナンス液中における特定界面活性剤の含有率は、0.5質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上4.5質量%以下であるのがより好ましく、1.5質量%以上4.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、記録装置における液体の流路等の構成部材に対するメンテナンス液のアタック性をより低いものとすることができる。
[1-2-1-3]水
メンテナンス液は、液状をなし、特定キレート剤を含むものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
メンテナンス液は、液状をなし、特定キレート剤を含むものであれば、特に限定されないが、水を含有しているのが好ましい。
これにより、メンテナンス液の保湿力を発揮することができる。また、特定キレート剤や特定界面活性剤を好適に溶解することができる。
メンテナンス液中における水の含有率は、特に限定されないが、50.0質量%以上99.0質量%以下であるのが好ましく、60.0質量%以上98.3質量%以下であるのがより好ましく、70.0質量%以上97.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-2-1-4]その他の成分
メンテナンス液は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
メンテナンス液は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を、この項目内において「その他の成分」とも言う。
その他の成分としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤等の特定界面活性剤以外の界面活性剤;特定キレート剤以外のキレート剤;分散剤;pH調整剤;防腐剤;防かび剤;防錆剤;水溶性有機溶剤;着色剤;防炎剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;酸素吸収剤;溶解助剤等が挙げられる。
pH調整剤を含むことにより、メンテナンス液や循環機構のインク流路を洗浄後の廃液等のpHを好適な範囲に制御することができ、インク流路や廃液流路を構成する部材や廃液タンク等の腐食を好適に防止することができる。
この場合、メンテナンス液は、pH調整剤が添加されることにより、例えば、25℃におけるpHが、5.0以上9.0以下の範囲に調整されているのが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類が挙げられる。
メンテナンス液中におけるその他の成分の含有率は、6.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましい。
[1-2-1-5]その他の条件
メンテナンス液の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
メンテナンス液の25℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上60mN/m以下であるのが好ましく、25mN/m以上50mN/m以下であるのがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であるのがさらに好ましい。
メンテナンス液の25℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であるのがより好ましい。
[1-2-2]洗浄工程の諸条件
洗浄工程は、循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する工程であればよいが、以下のような条件を満たすのが好ましい。
洗浄工程は、循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する工程であればよいが、以下のような条件を満たすのが好ましい。
すなわち、洗浄工程は、メンテナンス液を、循環機構の流路中を循環させて行うのが好ましい。
これにより、メンテナンス液による洗浄効果をより優れたものとすることができる。
洗浄工程は、常温で行っても良く好ましい。
これにより、メンテナンス液による洗浄効果をより優れたものとすることができる。
洗浄工程は、常温で行っても良く好ましい。
[2]記録装置
次に、本発明の記録装置について説明する。
次に、本発明の記録装置について説明する。
本発明の記録装置は、循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置であって、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものである。そして、前記循環機構のインク流路に、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有する特定キレート剤を含有するメンテナンス液を供給するメンテナンス液供給路を備える。
これにより、循環機構のインク流路を効果的に洗浄することができ、長期間にわたって、循環機構のインク流路におけるインク組成物の流通の安定性や、インクジェット法による吐出安定性を優れたものとすることができる記録装置を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の記録装置の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の好適な実施形態の記録装置の構成図である。図2は、インクジェットヘッドの断面図である。図3は、インクジェットヘッドの部分的な分解斜視図である。図4は、圧電素子の断面図である。図5は、インクジェットヘッドにおけるインク組成物の循環の説明図である。図6は、インクジェットヘッドのうち循環液室の近傍の平面図および断面図である。
記録装置100は、記録媒体Mに向けて、処理液およびインク組成物を吐出するインクジェット方式の印刷装置である。
図1に示すように、記録装置100は、インク組成物を収容するインク組成物収容容器11と、処理液を収容する処理液収容容器14と、メンテナンス液を収容するメンテナンス液収容容器17と、インク組成物および処理液を吐出するインクジェットヘッド26と、廃液を回収する廃液タンク90とを備えている。
インク組成物収容容器11に収容されたインク組成物は、サブタンクとしてのインク組成物循環タンク12に供給され、ここから、インクジェットヘッド26へ供給されるように構成されている。これにより、インク組成物の循環機構が形成されている。なお、図1に示す構成では、インク組成物についての循環機構を1つのみ有しており、インク組成物収容容器11とインク組成物循環タンク12とを1組有しているが、複数種のインク組成物を用いる場合、インク組成物の数に応じて、インク組成物についての循環機構を有している。
処理液収容容器14に収容された処理液は、サブタンクとしての処理液循環タンク15に供給され、ここから、インクジェットヘッド26へ供給されるように構成されている。
メンテナンス液収容容器17に収容された処理液は、サブタンクとしてのメンテナンス液循環タンク18に供給され、ここから、インクジェットヘッド26へ供給されるように構成されている。
インクジェットヘッド26およびインク組成物循環タンク12は、後に詳述する循環機構75の一部を構成している。そして、この循環機構75には、メンテナンス液が供給されるように構成されている。これにより、循環機構75のインク流路、すなわち、インク組成物の流路をメンテナンス液で洗浄することができる。
特に、本実施形態では、メンテナンス液もこの循環機構75の流路中を循環できるように構成されている。より具体的には、メンテナンス液循環タンク18も循環機構75の一部を構成している。
インク組成物循環タンク12からインクジェットヘッド26にインク組成物が供給される流路、処理液循環タンク15からインクジェットヘッド26に処理液が供給される流路、メンテナンス液循環タンク18からインクジェットヘッド26にメンテナンス液が供給される流路には、それぞれ、図示しない自己封止弁が設けられている。また、図示を省略するが、これらの下流には、それぞれ、異物を捕捉するフィルターが設けられている。
図1に示す構成では、インク組成物循環タンク12とインクジェットヘッドとを繋ぐ配管において、メンテナンス液循環タンク18から供給されたメンテナンス液が、インク組成物の流路に供給されるように、メンテナンス液循環タンク18からの配管が合流している。そして、インク組成物循環タンク12からインクジェットヘッドへの配管と、メンテナンス液循環タンク18からの配管との合流部に、図示しない三方弁を有している。
これにより、例えば、インク組成物やメンテナンス液の逆流等の不都合の発生をより効果的に防止しつつ、循環機構の流路にメンテナンス液を好適に供給することができ、循環機構の流路の洗浄をより好適に行うことができる。
インク組成物循環タンク12からインクジェットヘッド26に供給されたインク組成物は、その一部がインクジェットヘッド26のノズルNから吐出されるとともに、ノズルNから吐出されなかったものについては、インク組成物循環タンク12に戻される。ここで、上記のように、インク組成物を吐出する循環機構75にメンテナンス液を供給することができるように構成されているため、定期的、または、必要なタイミング、例えば、記録装置100の起動時、図示しないセンサーにより循環機構75における異物が検出された時、手動での洗浄指示があった時等に、循環機構75のインク流路を洗浄することができる。インクジェットヘッド26からインク組成物循環タンク12に戻る流路は、分岐しており、分岐した流路は、廃液タンク90に接続されている。そして、この分岐点には、三方弁13が設置されている。これにより、例えば、インク組成物の汚れの程度等により、インク組成物をインク組成物循環タンク12に戻すか、インク組成物を廃液タンク90に導くのか、切り替え可能になっている。なお、図中には、1種類のインク組成物についてのインク組成物収容容器11およびインク組成物循環タンク12が示されており、1種類のインク組成物についての循環機構75が示されているが、複数種のインク組成物を用いる場合、これらに対応して、複数のインク組成物収容容器11およびインク組成物循環タンク12が設けられており、それぞれが、独立した循環機構75を構成している。
メンテナンス液循環タンク18からインク組成物の循環機構75に導入されたメンテナンス液は、インクジェットヘッド26内等のインク流路を経て、メンテナンス液循環タンク18に戻される。インクジェットヘッド26からメンテナンス液循環タンク18に戻る流路は、分岐しており、分岐した流路は、廃液タンク90に接続されている。そして、この分岐点には、三方弁19が設置されている。これにより、例えば、メンテナンス液の汚れの程度等により、メンテナンス液をメンテナンス液循環タンク18に戻すか、メンテナンス液を廃液タンク90に導くのか、切り替え可能になっている。
処理液循環タンク15からインクジェットヘッド26に供給された処理液は、その一部がインクジェットヘッド26のノズルNから吐出されるとともに、ノズルNから吐出されなかったものについては、処理液循環タンク15に戻される。なお、処理液の循環機構は、インク組成物の循環機構75とは、独立している。
図1に示すように、記録装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24とインクジェットヘッド26とを備える。
制御ユニット20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、記録装置100の各要素を統括的に制御する。
搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで記録媒体MをY方向に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとでインクジェットヘッド26をX方向に往復させる。X方向は、記録媒体Mが搬送されるY方向に交差する方向である。典型的には、X方向は、Y方向に直交する方向である。
移動機構24は、インクジェットヘッド26を収容する略箱型の搬送体242と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数のインクジェットヘッド26を搬送体242に搭載した構成や、インク組成物循環タンク12、処理液循環タンク15、メンテナンス液循環タンク18をインクジェットヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
インクジェットヘッド26は、インク組成物循環タンク12から供給されるインク組成物、処理液循環タンク15から供給されるインク組成物を、制御ユニット20による制御のもとで複数のノズルNから記録媒体Mに吐出する。搬送機構22による記録媒体Mの搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して各インクジェットヘッド26が記録媒体Mにインク組成物、処理液を吐出することで、記録媒体Mの表面に所望の画像が形成される。なお、X-Y平面に垂直な方向、例えば、記録媒体Mの表面に平行な平面に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。各インクジェットヘッド26によるインク組成物、処理液の吐出方向がZ方向に相当する。Z方向は、典型的には、鉛直方向である。
図1に示すように、インクジェットヘッド26の複数のノズルNは、Y方向に配列される。複数のノズルNは、X方向に相互に間隔をあけて並設された第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2は、それぞれ、Y方向に直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、第1列L1と第2列L2との間で各ノズルNのY方向に位置を相違させること、すなわち、千鳥配置またはスタガ配置にすることも可能であるが、第1列L1と第2列L2とで各ノズルNのY方向の位置を一致させた構成を以下では便宜的に例示する。インクジェットヘッド26においてY方向に平行な中心軸を通過するとともにZ方向に平行な平面、すなわち、Y-Z平面を、以下の説明では「中心面O」と表記する。
図2は、Y方向に垂直な断面におけるインクジェットヘッド26の断面図であり、図3は、インクジェットヘッド26の部分的な分解斜視図である。インク組成物を吐出するインクジェットヘッド26と、処理液を吐出するインクジェットヘッド26とは、同様の構成を有している。したがって、以下の説明では、インク組成物を吐出するインクジェットヘッド26について中心的に説明する。図2および図3に示すように、インクジェットヘッド26は、第1列L1の各ノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とが中心面Oを挟んで面対称に配置された構造を有している。すなわち、インクジェットヘッド26のうち中心面Oを挟んでX方向の正側の部分である第1部分P1とX方向の負側の部分である第2部分P2とで構造は実質的に共通する。第1列L1の複数のノズルNは、第1部分P1に形成され、第2列L2の複数のノズルNは、第2部分P2に形成される。中心面Oは、第1部分P1と第2部分P2との境界面に相当する。
図2および図3に示すように、インクジェットヘッド26は、流路形成部30を備える。流路形成部30は、複数のノズルNにインク組成物を供給するための流路を形成する構造体である。流路形成部30は、連通板としての第1流路基板32と、圧力室形成板としての第2流路基板34とが積層された構成を有している。第1流路基板32および第2流路基板34は、それぞれ、Y方向に長尺な板状部材である。第1流路基板32のうちZ方向の負側の表面Faに、例えば、接着剤を利用して第2流路基板34が設置される。
図2に示すように、第1流路基板32の表面Faの面上には、第2流路基板34のほか、振動部42と複数の圧電素子44と保護部材46と筐体部48とが設置される。他方、第1流路基板32のうちZ方向の正側、すなわち、表面Faとは反対側の表面Fbには、ノズルプレート52と吸振体54とが設置される。インクジェットヘッド26の各要素は、概略的には第1流路基板32や第2流路基板34と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば、接着剤を利用して相互に接合される。第1流路基板32と第2流路基板34とが積層される方向や第1流路基板32とノズルプレート52とが積層される方向を、Z方向として把握することも可能である。
ノズルプレート52は、複数のノズルNが形成された板状部材であり、例えば、接着剤を利用して第1流路基板32の表面Fbに設置される。複数のノズルNは、それぞれ、インク組成物を通過させる円形状の貫通孔である。ノズルプレート52には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。より具体的には、ノズルプレート52のうち中心面OからみてX方向の正側の領域に、第1列L1の複数のノズルNがY方向に沿って形成され、X方向の負側の領域に、第2列L2の複数のノズルNがY方向に沿って形成される。ノズルプレート52は、第1列L1の複数のノズルNが形成された部分と第2列L2の複数のノズルNが形成された部分とにわたり連続する単体の板状部材である。ノズルプレート52は、半導体製造技術、例えば、ドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、ノズルプレート52の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2および図3に示すように、第1流路基板32には、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて、空間Raと複数の供給路61と複数の連通路63とが形成される。空間Raは、平面視でY方向に沿う長尺状に形成された開口であり、供給路61および連通路63は、ノズルN毎に形成された貫通孔である。複数の連通路63は、平面視でY方向に配列し、複数の供給路61は、複数の連通路63の配列と空間Raとの間でY方向に配列する。複数の供給路61は、空間Raに共通に連通する。また、任意の1個の連通路63は、当該連通路63に対応するノズルNに平面視で重なる。具体的には、第1部分P1の任意の1個の連通路63は、第1列L1のうち当該連通路63に対応する1個のノズルNに連通する。同様に、第2部分P2の任意の1個の連通路63は、第2列L2のうち当該連通路63に対応する1個のノズルNに連通する。
図2および図3に示すように、第2流路基板34は、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて、複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室Cは、Y方向に配列する。各圧力室Cは、ノズルN毎に形成されて、平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。第1流路基板32および第2流路基板34は、前述のノズルプレート52と同様に、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、第1流路基板32および第2流路基板34の製造には、公知の材料や製法が任意に採用され得る。以上の例示の通り、流路形成部30とノズルプレート52とは、シリコンで形成された基板を包含する。したがって、例えば、前述の例示のように、半導体製造技術を利用することで、流路形成部30およびノズルプレート52に微細な流路を高精度に形成できるという利点がある。
図2に示すように、第2流路基板34のうち第1流路基板32とは反対側の表面には、振動部42が設置される。振動部42は、弾性的に振動可能な板状部材、すなわち、振動板である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、第2流路基板34と振動部42とを一体に形成することも可能である。
図2に示すように、第1流路基板32の表面Faと振動部42とは、各圧力室Cの内側で相互に間隔をあけて対向する。圧力室Cは、第1流路基板32の表面Faと振動部42との間に位置する空間であり、当該空間に充填されたインク組成物に圧力変化を発生させる。各圧力室Cは、例えば、X方向を長手方向とする空間であり、ノズルN毎に個別に形成される。第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、複数の圧力室CがY方向に配列する。図2および図3に示すように、任意の1個の圧力室Cのうち、中心面O側の端部は、平面視で連通路63に重なり、中心面Oとは反対側の端部は、平面視で供給路61に重なる。したがって、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれにおいて、圧力室Cは、連通路63を介してノズルNに連通するとともに、供給路61を介して空間Raに連通する。なお、流路幅が狭窄された絞り流路を圧力室Cに形成することで所定の流路抵抗を付加することも可能である。
図2に示すように、振動部42のうち圧力室Cとは反対側の面上には、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子44が設置される。圧電素子44は、駆動信号の供給により変形する受動素子である。複数の圧電素子44は、各圧力室Cに対応するようにY方向に配列する。任意の1個の圧電素子44は、図4に示すように、相互に対向する第1電極441と第2電極442との間に圧電体層443を介在させた積層体である。なお、第1電極441および第2電極442の一方を、複数の圧電素子44にわたり連続する電極、共通電極とすることも可能である。第1電極441と第2電極442と圧電体層443とが平面視で重なる部分が、圧電素子44として機能する。なお、駆動信号の供給により変形する部分、すなわち、振動部42を振動させる能動部を、圧電素子44として画定することも可能である。以上のように、インクジェットヘッド26は、第1圧電素子と第2圧電素子とを具備する。例えば、第1圧電素子は、中心面OからみてX方向の一方側、例えば、図2における右側の圧電素子44であり、第2圧電素子は、中心面OからみてX方向の他方側、例えば、図2における左側の圧電素子44である。圧電素子44の変形に連動して振動部42が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、圧力室Cに充填されたインク組成物が連通路63とノズルNとを通過して吐出される。
保護部材46は、複数の圧電素子44を保護するための板状部材であり、振動部42の表面、または第2流路基板34の表面に設置される。保護部材46の材料や製法は、任意であるが、第1流路基板32や第2流路基板34と同様に、例えば、シリコンの単結晶基板を半導体製造技術により加工することで保護部材46は、形成され得る。保護部材46のうち振動部42側の表面に形成された凹部に複数の圧電素子44が収容される。
振動部42のうち流路形成部30とは反対側の表面、または流路形成部30の表面には、配線基板28の端部が接合される。配線基板28は、制御ユニット20とインクジェットヘッド26とを電気的に接続する図示しない複数の配線が形成された可撓性を有する実装部品である。配線基板28のうち、保護部材46に形成された開口部と筐体部48に形成された開口部とを通過して外部に延出した端部が制御ユニット20に接続される。例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性を有する配線基板28が好適に採用される。
筐体部48は、複数の圧力室C、さらには複数のノズルNに供給されるインク組成物を貯留するためのケースである。筐体部48のうちZ方向の正側の表面が、例えば、接着剤で第1流路基板32の表面Faに接合される。筐体部48の製造には、公知の技術や製法が任意に採用され得る。例えば、樹脂材料の射出成形で筐体部48を形成することが可能である。
図2に示すように、筐体部48には、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて、空間Rbが形成される。筐体部48の空間Rbと第1流路基板32の空間Raとは、相互に連通する。空間Raと空間Rbとで構成される空間は、複数の圧力室Cに供給されるインク組成物を貯留する液体貯留室Rとして機能する。液体貯留室Rは、複数のノズルNについて共用される共通液室である。第1部分P1および第2部分P2のそれぞれに液体貯留室Rが形成される。第1部分P1の液体貯留室Rは、中心面OからみてX方向の正側に位置し、第2部分P2の液体貯留室Rは、中心面OからみてX方向の負側に位置する。筐体部48のうち第1流路基板32とは反対側の表面には、インク組成物循環タンク12から供給されるインク組成物を液体貯留室Rに導入するための導入口482が形成される。図示しないが空間Rbを画成する壁面には、インク組成物を加熱するヒーターが備えられていてもよい。
図2に示すように、第1流路基板32の表面Fbには、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて吸振体54が設置される。吸振体54は、液体貯留室R内のインク組成物の圧力変動を吸収する可撓性を有するフィルム、すなわち、コンプライアンス基板である。図3に示すように、吸振体54は、第1流路基板32の空間Raと複数の供給路61とを閉塞するように第1流路基板32の表面Fbに設置されて液体貯留室Rの壁面、より具体的には底面を構成する。
図2に示すように、第1流路基板32のうちノズルプレート52に対向する表面Fbには、循環液室65が形成される。循環液室65は、平面視でY方向に延在する長尺状の有底孔である。第1流路基板32の表面Fbに接合されたノズルプレート52により循環液室65の開口は閉塞される。
図5に示すように、循環液室65は、第1列L1および第2列L2に沿って複数のノズルNにわたり連続する。具体的には、第1列L1の複数のノズルNの配列と第2列L2の複数のノズルNの配列との間に循環液室65が形成される。したがって、図2に示すように、循環液室65は、第1部分P1の連通路63と第2部分P2の連通路63との間に位置する。以上のように、流路形成部30は、第1部分P1における圧力室Cである第1圧力室および連通路63である第1連通路と、第2部分P2における圧力室Cである第2圧力室および連通路63である第2連通路と、第1部分P1の連通路63と第2部分P2の連通路63との間に位置する循環液室65とが形成された構造体である。図2に示すように、流路形成部30は、循環液室65と各連通路63との間を仕切る壁状の部分である隔壁部69を含む。
なお、前述のように、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれにおいて、複数の圧力室Cおよび複数の圧電素子44がY方向に配列する。したがって、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれにおける複数の圧力室Cまたは複数の圧電素子44にわたり連続するように、循環液室65がY方向に延在すると換言することもできる。また、循環液室65と液体貯留室Rとが相互に間隔をあけてY方向に延在し、当該間隔内に圧力室Cと連通路63とノズルNとが位置すると言うこともできる。
図6に示すように、1個のノズルNは、第1区間n1と第2区間n2とを含む。第1区間n1と第2区間n2とは、同軸に形成されて相互に連通する円形状の空間である。第2区間n2は、第1区間n1からみて流路形成部30側に位置する。第2区間n2の内径d2は、第1区間n1の内径d1よりも大きい。以上のように各ノズルNを階段状に形成した構成によれば、各ノズルNの流路抵抗を所望の特性に設定しやすいという利点がある。また、図6に示すように、各ノズルNの中心軸Qaは、連通路63の中心軸Qbからみて循環液室65とは反対側に位置する。
図6に示すように、ノズルプレート52のうち流路形成部30に対向する表面には、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれについて複数の循環路72が形成される。第1部分P1の複数の循環路72は、第1列L1の複数のノズルNに1対1に対応する。また、第2部分P2の複数の循環路72は、第2列L2の複数のノズルNに1対1に対応する。
各循環路72は、X方向に延在する溝部、すなわち長尺状の有底孔であり、インク組成物を流通させる流路として機能する。循環路72は、ノズルNから離間した位置、具体的には、当該循環路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に形成される。例えば、ドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術である半導体製造技術等により複数のノズルN、特に第2区間n2と複数の循環路72とが共通の工程で一括的に形成される。
図6に示すように、各循環路72は、ノズルNのうち第2区間n2の内径d2と同等の流路幅Waで直線状に形成される。また、循環路72の流路幅Wa、すなわち循環路72のY方向の寸法は、圧力室Cの流路幅Wb、すなわち圧力室CのY方向の寸法よりも小さい。したがって、循環路72の流路幅Waが圧力室Cの流路幅Wbよりも大きい構成と比較して循環路72の流路抵抗を大きくすることが可能である。他方、ノズルプレート52の表面に対する循環路72の深さは、全長にわたり一定である。具体的には、各循環路72は、ノズルNの第2区間n2と同等の深さに形成される。以上の構成によれば、循環路72と第2区間n2とを相異なる深さに形成する構成と比較して、循環路72および第2区間n2を形成しやすいという利点がある。なお、流路の「深さ」とは、Z方向における流路の深さ、例えば、流路の形成面と流路の底面との高低差を意味する。
第1部分P1における任意の1個の循環路72は、第1列L1のうち当該循環路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に位置する。また、第2部分P2における任意の1個の循環路72は、第2列L2のうち当該循環路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に位置する。そして、各循環路72のうち中心面Oとは反対側、すなわち、連通路63側の端部は、当該循環路72に対応する1個の連通路63に平面視で重なる。すなわち、循環路72は、連通路63に連通する。他方、各循環路72のうち中心面O側、すなわち、循環液室65側の端部は、循環液室65に平面視で重なる。すなわち、循環路72は循環液室65に連通する。このように、複数の連通路63のそれぞれが、循環路72を介して循環液室65に連通する。したがって、図6に破線の矢印で図示されるように、各連通路63内のインク組成物は、循環路72を介して循環液室65に供給される。すなわち、第1列L1に対応する複数の連通路63と第2列L2に対応する複数の連通路63とが1個の循環液室65に対して共通に連通する。
図6には、任意の1個の循環路72のうち循環液室65に重なる部分の流路長Laと、循環路72のうち連通路63に重なる部分の流路長Lb、すなわち、X方向の寸法と、循環路72のうち流路形成部30の隔壁部69に重なる部分の流路長Lc、すなわち、X方向の寸法とが図示されている。流路長Lcは、隔壁部69の厚さに相当する。隔壁部69は、循環路72の絞り部分として機能する。したがって、隔壁部69の厚さに相当する流路長Lcが長いほど、循環路72の流路抵抗が増大する。本実施形態では、流路長Laが流路長Lbよりも長く、流路長Laが流路長Lcよりも長い、という関係が成立する。さらに、本実施形態では、流路長Lbが流路長Lcよりも長いという関係が成立する。以上の構成によれば、流路長Laや流路長Lbが流路長Lcよりも短い構成と比較して、連通路63から循環路72を介して循環液室65にインク組成物が流入しやすいという利点がある。
このように、本実施形態では、圧力室Cが連通路63と循環路72とを介して間接的に循環液室65に連通する。すなわち、圧力室Cと循環液室65とは直接的には連通しない。以上の構成において、圧電素子44の動作により圧力室C内の圧力が変動すると、連通路63内を流動するインク組成物のうちの一部がノズルNから外部に吐出され、残りの一部が連通路63から循環路72を経由して循環液室65に流入する。本実施形態では、圧電素子44の1回の駆動により連通路63を流通するインク組成物のうち、ノズルNを介して吐出されるインク組成物の量(以下「噴射量」と言う)が、連通路63を流通するインクのうち循環路72を介して循環液室65に流入するインク組成物の量(以下「循環量」と言う)を上回るように、連通路63とノズルと循環路72とのイナータンスが選定される。以下、圧電素子44の1回の駆動により連通路63を流通するインク組成物のうち、ノズルNを介して吐出されるインク組成物の量を「吐出量」と言い、連通路63を流通するインクのうち循環路72を介して循環液室65に流入するインク組成物の量を「循環量」と言う。全部の圧電素子44を一斉に駆動した場合を想定すると、複数のノズルNによる吐出量の合計よりも、複数の連通路63から循環液室65に流入する循環量の合計のほうが多い、と換言することもできる。
具体的には、連通路63を流通するインク組成物のうち循環量の比率が70%以上となるように、連通路63とインク組成物と循環路72とのそれぞれの流路抵抗が決定される。以上の構成によれば、インク組成物の吐出量を確保しながら、ノズルの近傍のインク組成物を効果的に循環液室65に循環させることが可能である。概略的には、循環路72の流路抵抗が大きいほど、循環量が減少する一方で吐出量が増加し、循環路72の流路抵抗が小さいほど、循環量が増加する一方で吐出量が減少する、という傾向がある。
図5に示すように、記録装置100は、循環機構75を具備する。
循環機構75は、循環液室65内のインク組成物を循環するための機構である。
循環機構75は、循環液室65内のインク組成物を循環するための機構である。
循環機構75は、循環液室65内のインク組成物をインク組成物循環タンク12に送液し、インク組成物循環タンク12に収容されていたインク組成物と、インク組成物収容容器11内から供給されるインク組成物とが混合される。
上述したように、記録装置100は、メンテナンス液収容容器17、メンテナンス液循環タンク18を備え、循環機構75のインク流路をメンテナンス液で洗浄することができるように構成されているが、循環機構75は、例えば、循環液室65からインク組成物を吸引するポンプ等の吸引機構と、インク組成物に混在する気泡や異物を捕集するフィルター機構と、インク組成物の加熱により増粘を低減する加温機構とを具備していてもよい。インク組成物は、循環機構75から導入口482を介して液体貯留室Rに供給される。このように、本実施形態では、液体貯留室R→供給路61→圧力室C→連通路63→循環路72→循環液室65→循環機構75→インク組成物循環タンク12→導入口482→液体貯留室Rという経路でインク組成物が循環する。
これらの経路の中でも、連通路63→循環路72→循環液室65→循環機構75→インク組成物循環タンク12が循環帰路に相当する。インク組成物収容容器11から流れてきたインク組成物との合流点までである。循環において、循環帰路にインク組成物が流通することを特に帰還と言う。
上記の各図では、インクジェットヘッド26内に供給されたインク組成物が、ノズルNから吐出されずに、循環帰路を通り、インクジェットヘッド26の外へ排出し、インク組成物循環タンク12へ帰還する。つまり、インクジェットヘッド26からインク組成物を帰還させる循環帰路である。インク組成物循環タンク12へ帰還したインク組成物は、再びインクジェットヘッド26へ供給される。この場合、インクジェットヘッド26内およびインクジェットヘッド26外において、インク組成物を循環させることが可能であり、インク組成物の異物発生の抑制がより優れるので好ましい。
なお、記録装置100が、インク組成物を循環する循環路を有する、と言うときの循環路は、インク組成物循環タンク12とインクジェットヘッド26の間やインクジェットヘッド26内に有する、インク組成物を循環させる部分の全体をいう広義の循環路である。図5等の循環路72は、広義の循環路の一部分である狭義の循環路である。
また、インク組成物循環タンク12は、タンク状のものとして設けられていなくてもよく、循環帰路を帰還したインク組成物とインク組成物収容容器から排出されたインク組成物が合流できる合流点があればよい。
本実施形態では、図5に示すように、循環機構75は、Y方向における循環液室65の両側からインク組成物を吸引する。すなわち、循環機構75は、循環液室65のうちY方向の負側の端部の近傍と循環液室65のうちY方向の正側の端部の近傍とからインク組成物を吸引する。なお、Y方向における循環液室65の一方の端部のみからインク組成物を吸引する構成では、循環液室65の両端部間でインク組成物の圧力に差異が発生し、循環液室65内の圧力差に起因して連通路63内のインク組成物の圧力がY方向の位置に応じて相違し得る。したがって、各ノズルNからのインク組成物の吐出量や吐出速度等の吐出特性がY方向の位置に応じて相違する可能性がある。これに対し、本実施形態では、循環液室65の両側からインク組成物が吸引されるため、循環液室65の内部における圧力差が低減される。したがって、Y方向に配列する複数のノズルNにわたりインク組成物の吐出特性を高精度に近似させることができる。ただし、循環液室65内でのY方向における圧力差が特段の問題とならない場合には、循環液室65の一方の端部からインク組成物を吸引する構成も採用され得る。
前述したように、循環路72と連通路63とは平面視で重なり、連通路63と圧力室Cとは平面視で重なる。したがって、循環路72と圧力室Cとは平面視で相互に重なる。他方、図5および図6に示すように、循環液室65と圧力室Cとは平面視で相互に重ならない。また、圧電素子44は、X方向に沿って圧力室Cの全体にわたり形成されるため、循環路72と圧電素子44とは平面視で相互に重なる一方、循環液室65と圧電素子44とは平面視で相互に重ならない。すなわち、圧力室Cまたは圧電素子44は、循環路72に平面視で重なる一方、循環液室65には平面視で重ならない。したがって、例えば、圧力室Cまたは圧電素子44が循環路72に平面視で重ならない構成と比較して、インクジェットヘッド26を小型化しやすいという利点がある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明が適用される記録装置は、前述した物に限定されない。
より具体的には、例えば、前述した実施形態では、インク組成物とともに、メンテナンス液についても循環させるように構成されている場合について説明したが、メンテナンス液については、循環しないように構成されていてもよい。
より具体的には、例えば、前述した実施形態では、インク組成物とともに、メンテナンス液についても循環させるように構成されている場合について説明したが、メンテナンス液については、循環しないように構成されていてもよい。
また、本発明に係る記録装置は、インク組成物についての循環機構に加えて、処理液の循環機構を構成する流路にも、メンテナンス液を供給するように構成されていてもよい。
また、前述した実施形態は、インク組成物に加えて、処理液についても循環機構が設けられている場合について説明したが、処理液については循環機構が設けられていなくてもよい。
また、記録装置が有する循環機構へのメンテナンス液の供給は、当該記録装置とは別の装置から行うものであってもよい。
また、本発明のメンテナンス方法は、前述した工程に加えて、さらに他の工程を有していてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[3]メンテナンス液の調製
(調製例M1)
表1に示す各成分を表1に示す比率で所定の容器に入れて、混合することにより、メンテナンス液を得た。
[3]メンテナンス液の調製
(調製例M1)
表1に示す各成分を表1に示す比率で所定の容器に入れて、混合することにより、メンテナンス液を得た。
(調製例M2~M13)
メンテナンス液の調製に用いる成分の種類、各成分の配合比率を表1に示すようにした以外は、前記調製例M1と同様にしてメンテナンス液を調製した。
メンテナンス液の調製に用いる成分の種類、各成分の配合比率を表1に示すようにした以外は、前記調製例M1と同様にしてメンテナンス液を調製した。
前記調製例M1~M13のメンテナンス液の組成を表1にまとめて示す。なお、表1中、特定キレート剤であるエチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩(キレスト社製、キレスト3D)を「C3D」、特定キレート剤であるL-グルタミン酸2酢酸4ナトリウム塩(キレスト社製、キレストCMG-40)を「CMG-40」、特定キレート剤であるジヒドロキシエチルグリシンナトリウム塩(キレスト社製、キレストG-50)を「G-50」、特定キレート剤以外のキレート剤であるアミノトリメチレンホスホン酸(ナガセケムテックス社製、ケンロックス100)を「K100」、特定界面活性剤であるポリオキシアルキレントリベンジルフェニルエーテル(東邦化学工業社製、ペグノール005)を「P005」、特定界面活性剤であるポリオキシエチレントリデシルエーテル(第一工業製薬社製、ノイゲンXL160)を「XL160」、特定界面活性剤であるポリオキシエチレンナフチルエーテル(第一工業製薬社製、ノイゲンEN10)を「EN10」、特定界面活性剤であるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(花王社製、エマルゲンA-60)を「A-60」、特定界面活性剤以外の界面活性剤であるポリカルボン酸ナトリウム(サンノプコ社製、SNディスパーサント5034)を「SND5034」、特定界面活性剤以外の界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業社製)を「E1010」、pH調整剤としてのトリエタノールアミンを「TEA」と示した。また、表1中、特定キレート剤以外のキレート剤を「その他のキレート剤」、特定界面活性剤以外の界面活性剤を「その他の界面活性剤」と示した。また、前記各調製例のメンテナンス液の25℃におけるpHは、いずれも、5.0以上9.0以下の範囲内の値であった。また、ウィルヘルミー法により測定された前記各調製例のメンテナンス液の25℃における表面張力は、いずれも、30mN/m以上40mN/m以下の範囲内の値であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各調製例のメンテナンス液の25℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上8mPa・s以下の範囲内の値であった。
[4]インク組成物および処理液の調製
(調製例I1)
4.0質量部のC.I.ピグメントブルー15:3と、2.0質量部のスチレンアクリル系の樹脂粒子のエマルジョン(BASF社製、ジョンクリル631)と、1.0質量部のワックス(BYK社製、AQUACER 515)と、10.0質量部のプロピレングリコールと、1.0質量部の1,2ヘキサンジオ―ルと、1.0質量部のBYK348(BYK社製)と、89.0質量部の純水とを混合することにより、インク用組成物を得た。
(調製例I1)
4.0質量部のC.I.ピグメントブルー15:3と、2.0質量部のスチレンアクリル系の樹脂粒子のエマルジョン(BASF社製、ジョンクリル631)と、1.0質量部のワックス(BYK社製、AQUACER 515)と、10.0質量部のプロピレングリコールと、1.0質量部の1,2ヘキサンジオ―ルと、1.0質量部のBYK348(BYK社製)と、89.0質量部の純水とを混合することにより、インク用組成物を得た。
(調製例T1)
5.0質量部のプロピレングリコールと、1.0質量部の1,2ヘキサンジオ―ルと、1.0質量部のBYK348(BYK社製)と、5.0質量部の硫酸マグネシウムと、88.0質量部の純水とを混合することにより、処理液を得た。
5.0質量部のプロピレングリコールと、1.0質量部の1,2ヘキサンジオ―ルと、1.0質量部のBYK348(BYK社製)と、5.0質量部の硫酸マグネシウムと、88.0質量部の純水とを混合することにより、処理液を得た。
[5]記録装置の運転
(実施例1)
まず、セイコーエプソン社製のSC-40650を改造し、図1~図6に示す構成を有し、ノズル列のノズル密度360dpi、ノズル数360の記録装置を用意した。
(実施例1)
まず、セイコーエプソン社製のSC-40650を改造し、図1~図6に示す構成を有し、ノズル列のノズル密度360dpi、ノズル数360の記録装置を用意した。
記録装置には循環機構を取り付けた。この記録装置に、前記調製例I1で調製したインク組成物を収容するインク組成物収容容器、前記調製例T1で調製した処理液を収容する処理液収容容器、前記調製例M1で調製したメンテナンス液を収容するメンテナンス液収容容器を、それぞれ取り付けた。
次に、インク組成物収容容器からインク組成物循環タンクを介してインク組成物をインクジェットヘッドに供給するとともに、処理液収容容器から処理液循環タンクを介して処理液をインクジェットヘッドに供給した。
その後、インク組成物および処理液を、それぞれの循環機構の流路を循環させつつ、インクジェットヘッドから吐出し、所定のパターンの記録を行った。より詳しくは、インクジェットヘッドよりも下流側の二次ヒーターで記録媒体であるポリエチレンテレフタレート製のフィルム(リンテック社製、PET50A)を80℃に加熱しつつ、最初に記録媒体の搬送方向の上流側にあるノズル列から処理液を吐出し、次に、下流側にあるノズル列からインク組成物を吐出して重ねて記録した。このとき、処理液の付着量は1mg/inch2、インク付着量は10mg/inch2とした。このとき、メンテナンス液は、メンテナンス液収容容器およびメンテナンス液循環タンクに貯留したままとして、インク組成物についての循環機構には、導入しなかった。
12時間連続吐出を行った後に、12時間吐出を停止するという操作を連続30日間行った。
その後、インク組成物についての循環機構に、メンテナンス液を供給し、当該循環機構を循環させることにより、インク流路の洗浄を所定時間行った。
(実施例2~11)
メンテナンス液として、ぞれぞれ、調製例M2~M11で調製したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
メンテナンス液として、ぞれぞれ、調製例M2~M11で調製したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
(比較例1、2)
メンテナンス液として、ぞれぞれ、調製例M12、M13で調製したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
メンテナンス液として、ぞれぞれ、調製例M12、M13で調製したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
(比較例3)
記録装置として、循環機構を有さないこととした以外は上記の記録装置と同様の記録装置を用い、メンテナンス液による洗浄を以下のようにして行った以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。すなわち、本比較例では、メンテナンス液による洗浄を行う際、インク組成物が収容されたカートリッジを、上記のメンテナンス液が収容されたカードリッジに取り換え、当該メンテナンス液をノズルから吐出することにより行った。
記録装置として、循環機構を有さないこととした以外は上記の記録装置と同様の記録装置を用い、メンテナンス液による洗浄を以下のようにして行った以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。すなわち、本比較例では、メンテナンス液による洗浄を行う際、インク組成物が収容されたカートリッジを、上記のメンテナンス液が収容されたカードリッジに取り換え、当該メンテナンス液をノズルから吐出することにより行った。
(参考例)
処理液を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
処理液を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして記録装置の運転を行った。
[6]評価
[6-1]初期吐出安定性
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]での記録装置の運転開始から5分後に、ノズルからのインク組成物の吐出安定性を確認し、以下の基準に従い評価した。Aを良好なレベルとした。
た。
[6-1]初期吐出安定性
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]での記録装置の運転開始から5分後に、ノズルからのインク組成物の吐出安定性を確認し、以下の基準に従い評価した。Aを良好なレベルとした。
た。
A:不吐出ノズルがない。
B:不吐出ノズルがある。
B:不吐出ノズルがある。
[6-2]画質
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]での記録装置の運転開始直後に製造された記録物の記録パターンを目視で観察し、以下の基準に従い評価した。Aを良好なレベルとした。
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]での記録装置の運転開始直後に製造された記録物の記録パターンを目視で観察し、以下の基準に従い評価した。Aを良好なレベルとした。
A:記録パターン中に濃淡むらがない。
B:記録パターン中に濃淡むらがある。
B:記録パターン中に濃淡むらがある。
[6-3]洗浄性
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]で述べた12時間連続吐出を行った後に12時間吐出を停止するという操作を連続30日間行ったところ、前記各実施例、前記各比較例および前記参考例のいずれにおいても、インクジェットヘッドへのインク組成物の供給がされにくくなっており、インクジェットヘッドの目詰まりを生じ、不吐出ノズルが発生していることが確認された。特に、前記各実施例、前記比較例1、2および前記参考例については、循環路でインク組成物が流れにくい状態になっていることが確認された。
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]で述べた12時間連続吐出を行った後に12時間吐出を停止するという操作を連続30日間行ったところ、前記各実施例、前記各比較例および前記参考例のいずれにおいても、インクジェットヘッドへのインク組成物の供給がされにくくなっており、インクジェットヘッドの目詰まりを生じ、不吐出ノズルが発生していることが確認された。特に、前記各実施例、前記比較例1、2および前記参考例については、循環路でインク組成物が流れにくい状態になっていることが確認された。
その後、上記のように、前記各実施例、前記比較例1、2および前記参考例については、インク組成物についての循環機構に、メンテナンス液を供給し、当該循環機構を循環させることにより、インク流路の洗浄を所定時間行い、不吐出ノズルがなくなるまでの時間を求め、以下の基準に従い評価した。また、前記比較例3については、上記のように、インク組成物が収容されたカートリッジを、上記のメンテナンス液が収容されたカードリッジに取り換え、ノズルからの当該メンテナンス液の吐出を所定時間行い、不吐出ノズルがなくなるまでの時間を求め、以下の基準に従い評価した。C以上を良好なレベルとした。
A:10分間以内の洗浄で不吐出ノズルがなくなった。
B:10分間超30分以内の洗浄で不吐出ノズルがなくなった。
C:30分間超1時間以内の洗浄で不吐出ノズルがなくなった。
D:1時間の洗浄後にも不吐出ノズルがある。
B:10分間超30分以内の洗浄で不吐出ノズルがなくなった。
C:30分間超1時間以内の洗浄で不吐出ノズルがなくなった。
D:1時間の洗浄後にも不吐出ノズルがある。
[6-4]部材アタック性
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]で用いたメンテナンス液の部材に対するアタック性を評価するために、25℃の環境下において、各メンテナンス液中に、シリコーンゴム製のゴム部材を10日間浸漬させ、浸漬前後でのゴム部材の質量増加率からゴム部材の膨潤度を求め、以下の基準に従い評価した。
前記各実施例、前記各比較例および前記参考例について、上記[5]で用いたメンテナンス液の部材に対するアタック性を評価するために、25℃の環境下において、各メンテナンス液中に、シリコーンゴム製のゴム部材を10日間浸漬させ、浸漬前後でのゴム部材の質量増加率からゴム部材の膨潤度を求め、以下の基準に従い評価した。
A:ゴム部材の膨潤度が5%以下である。
B:ゴム部材の膨潤度が5%超15%以下である。
C:ゴム部材の膨潤度が15超30%以下である。
D:ゴム部材の膨潤度が30%超である。
B:ゴム部材の膨潤度が5%超15%以下である。
C:ゴム部材の膨潤度が15超30%以下である。
D:ゴム部材の膨潤度が30%超である。
これらの結果を、前記各実施例、前記各比較例および前記参考例に係る記録物の製造条件とともに、表2にまとめて示す。
表2から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
100…記録装置、11…インク組成物収容容器、12…インク組成物循環タンク、13…三方弁、14…処理液収容容器、15…処理液循環タンク、17…メンテナンス液収容容器、18…メンテナンス液循環タンク、19…三方弁、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…インクジェットヘッド、28…配線基板、30…流路形成部、32…第1流路基板、34…第2流路基板、42…振動部、44…圧電素子、441…第1電極、442…第2電極、443…圧電体層、46…保護部材、48…筐体部、482…導入口、52…ノズルプレート、54…吸振体、61…供給路、63…連通路、65…循環液室、69…隔壁部、72…循環路、75…循環機構、90…廃液タンク、C…圧力室、d1…内径、d2…内径、Fa…表面、Fb…表面、L1…第1列、L2…第2列、La…流路長、Lb…流路長、Lc…流路長、M…記録媒体、N…ノズル、n1…第1区間、n2…第2区間、O…中心面、P1…第1部分、P2…第2部分、R…液体貯留室、Ra…空間、Rb…空間、Qa…中心軸、Qb…中心軸、Wa…流路幅、Wb…流路幅
Claims (10)
- インク組成物が循環する循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、前記インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路をメンテナンス液で洗浄する洗浄工程を備え、
前記メンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有する、メンテナンス方法。 - 前記メンテナンス液は、ポリオキシアルキレン鎖を有する、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含む、請求項1に記載のメンテナンス方法。
- 前記メンテナンス液中における前記界面活性剤の含有率が0.5質量%以上5.0質量%以下である、請求項2に記載のメンテナンス方法。
- 前記洗浄工程は、前記メンテナンス液を、前記循環機構の流路中を循環させて行う、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 前記記録装置は、前記循環機構の流路中に、当該流路へ前記メンテナンス液を供給する三方弁を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 前記インク組成物が、顔料を含有する水系のインクである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 前記メンテナンス液中における前記キレート剤の含有率が0.5質量%以上15.0質量%以下である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 前記凝集剤が多価金属塩である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 前記記録装置は、前記循環機構の流路中にゴム部材を有する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のメンテナンス方法。
- 循環機構を備えるインクジェットヘッドを備える記録装置であって、
前記記録装置は、凝集剤を含む処理液を記録媒体に付着させる工程と、インク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程と、を有する記録方法により記録を行うものであり、
前記循環機構のインク流路に、アミノ基とカルボキシル基を分子中に有するキレート剤を含有するメンテナンス液を供給するメンテナンス液供給路を備える、記録装置。
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2021
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