JP2022160173A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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大河 荒金
Taiga Arakane
直樹 下園
Naoki Shimozono
知巳 横山
Tomomi Yokoyama
貴史 山本
Takashi Yamamoto
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Abstract

【課題】固定スクロールに挿入される吸入管を備えたスクロール圧縮機であって、冷凍サイクル装置の効率低下を抑制可能なスクロール圧縮機を提供する。【解決手段】スクロール圧縮機は、圧縮室Scを形成する固定スクロール30及び可動スクロール40を有する圧縮機構20、圧縮機構を駆動するモータ、圧縮機構及びモータを収容するケーシング10、吸入管18a、及びシール部材200を備える。固定スクロールには、吸入孔36aが形成されている。ケーシングの内部空間は、圧縮機構を挟んで、モータが配置される高圧空間と、低圧空間S2と、に区画される。吸入管は、ケーシングを貫通して延び、一部が低圧空間S2に配置され、固定スクロールの吸入孔に挿入される。シール部材は、吸入管の出口開口18aaの近傍の第3空間S3と低圧空間S2とを連通する、吸入孔の内周面37と吸入管の外周面19との間の隙間に配置され、隙間をシールする。【選択図】図2

Description

スクロール圧縮機に関する。
従来、特許文献1(特開2003-286949号公報)のように、ケーシングの内部空間が、圧縮機構を挟んで、吸入管の少なくとも一部が配置される低圧空間と、モータの配置される高圧空間と、に区画されるスクロール圧縮機が知られている。このような構造のスクロール圧縮機では、吸入管が、高圧空間ではなく、高圧空間に比べ比較的低温の冷媒が存在する低圧空間に配置されるため、吸入管を流れて圧縮室へと流入する冷媒の温度上昇を抑制できる。
しかし、スクロール圧縮機の低圧空間に存在する冷媒は、圧縮機構が発生する熱等が原因で、冷媒回路から吸入管に流入する冷媒より高温になる場合がある。この場合に、低圧空間の冷媒が圧縮機構に吸入されると、圧縮機構には、冷媒回路から吸入管に流入する冷媒に比べ、密度の低い冷媒が流入することとなる。密度の低い冷媒が圧縮機構に流入すると、スクロール圧縮機を使用する冷凍サイクル装置の冷媒循環量が減少し、冷凍サイクル装置の効率が低下するという課題がある。
第1観点のスクロール圧縮機は、圧縮機構と、モータと、ケーシングと、吸入管と、シール部材と、を備える。圧縮機構は、固定スクロールと、可動スクロールと、を有する。固定スクロールには、吸入孔が形成されている。可動スクロールは、固定スクロールと組み合わされて圧縮室を形成する。モータは、圧縮機構を駆動する。ケーシングは、圧縮機構及びモータを収容する。ケーシングの内部空間は、圧縮機構を挟んで、モータが配置される高圧空間と、低圧空間と、に区画される。吸入管は、ケーシングを貫通して延びる。吸入管は、少なくとも一部が低圧空間に配置される。吸入管は、固定スクロールの吸入孔に挿入される。シール部材は、吸入管の出口開口近傍の空間と低圧空間とを連通する、吸入孔の内周面と吸入孔に挿入される吸入管の外周面との間の隙間、に配置され、隙間をシールする。
第1観点のスクロール圧縮機では、吸入孔の内周面と吸入管の外周面との間の隙間をシール部材でシールしているため、冷媒回路から吸入管に流入する冷媒に比べて密度の低い低圧空間の冷媒が、圧縮機構に流入する事態の発生を抑制できる。その結果、スクロール圧縮機を使用する冷凍サイクル装置の冷媒循環量が減少し、冷凍サイクル装置の効率が低下するという問題の発生を抑制できる。
第2観点のスクロール圧縮機は、第1観点のスクロール圧縮機であって、スクロール圧縮機の停止時には、低圧空間と、圧縮機構の最外周の圧縮室とは、固定スクロールと可動スクロールの鏡板との間の微小隙間を介して連通する。
第2観点のスクロール圧縮機では、スクロール圧縮機の停止時には、低圧空間と圧縮機構の最外周の圧縮室とを連通させて、圧縮機構の最外周の圧縮室から低圧空間に、比較的低温低圧の冷媒を導くことができる。その結果、吸入管を流れて圧縮室へと流入する冷媒の温度上昇を抑制できるよう、低圧空間を、比較的低温の冷媒が存在する空間とすることができる。
第3観点のスクロール圧縮機は、第2観点のスクロール圧縮機であって、スクロール圧縮機の運転中には、低圧空間と、圧縮機構の最外周の圧縮室とは、固定スクロールと可動スクロールの鏡板との間に一時的に生じる微小隙間を介して連通する。
吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間をシールしない従来のスクロール圧縮機では、吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間を介して吸入管と低圧空間とを連通させることで、低圧空間を比較的温度の低い冷媒が存在する空間としている。
一方、本開示のスクロール圧縮機では、シール部材により低圧空間から圧縮室への冷媒の吸込みを抑制することで、吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間を介して、吸入管と低圧空間とを連通させることができなくなる。
仮に、吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間をシールすることで、スクロール圧縮機の運転中に低圧空間が密閉空間になるとする。この場合には、圧縮機構が発生する熱等が原因で、低圧空間の冷媒の温度が次第に上昇し、吸入管を流れて圧縮室へと流入する冷媒の温度上昇を抑制するという効果が次第に得られにくくなるおそれがある。
しかし、本願開示者は、シール部材で吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間をシールすることで、これまでの構造では特に有用ではなかった、固定スクロールと可動スクロールの鏡板との間に一時的に生じる微小隙間を、比較的低温の冷媒が存在する圧縮機構の最外周の圧縮室と、低圧空間とを連通させるために利用可能であることを見出した。よって、圧縮機構に低圧空間の冷媒が流入しないように吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間をシールしても、吸入管を流れて圧縮室へと流入する冷媒の温度上昇を低圧空間により抑制できる。
第4観点のスクロール圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれかスクロール圧縮機であって、スクロール圧縮機の定常運転時において、吸入管を介してスクロール圧縮機に供給される冷媒の温度は-10℃以下である。
スクロール圧縮機が-10℃以下という非常に低い吸入温度条件で運転される場合、圧縮機構からの熱伝導等により加熱された低圧空間の冷媒ガスが圧縮機構に供給されると、冷凍サイクル装置の効率に比較的大きな悪影響を与える可能性がある。
これに対し、本開示のスクロール圧縮機では、吸入孔の内周面と吸入管の外周面との隙間をシール部材でシールして圧縮機構に低圧空間の冷媒が圧縮機構に流入することを抑制しているので、冷凍サイクル装置の効率低下を抑制できる。
本開示の圧縮機の一実施形態に係るスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 図1のスクロール圧縮機の吸入管と固定スクロールとの接続箇所周辺の拡大概略縦断面図である。 吸入孔の内周面と吸入孔に挿入される吸入管の外周面との間の隙間にシール部材を設けない、従来のスクロール圧縮機における冷媒の流れを説明する図である。
本開示の圧縮機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
以下では、説明の便宜上、位置や向きを説明するために、「上」、「下」等の表現を用いる場合がある。断りの無い場合、「上」、「下」等の表現の表す位置や向きは、図中の矢印に従う。
また、以下では、「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現を用いる場合があるが、これらの表現は、厳密な意味で「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合に限定されない。「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現は、実質的に「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合を含む意味で用いられる。
(1)全体構成
本開示の圧縮機の一実施形態に係るスクロール圧縮機100の概要を、図1を参照しながら説明する。図1は、スクロール圧縮機100の概略縦断面図である。
スクロール圧縮機100は、低温用の冷凍機、空気調和装置、給湯装置、床暖房装置等の蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用する冷凍サイクル装置に用いられる。スクロール圧縮機100は、例えば、冷凍サイクル装置の熱源ユニットに搭載され、冷凍サイクル装置の冷媒回路の一部を構成する。
本実施形態では、スクロール圧縮機100は、低温用の冷凍機で使用される。用途上、スクロール圧縮機100に吸入される冷媒の温度(吸入温度)は、-10℃以下であり、例えば-30℃である。
本開示のスクロール圧縮機100は、全密閉型圧縮機である。スクロール圧縮機100は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して冷凍サイクルにおける高圧(以後、単に高圧と呼ぶ場合がある)にして吐出する。スクロール圧縮機100が圧縮する冷媒は、例えばHFC冷媒のR134aである。ただし、R134aは例示に過ぎず、スクロール圧縮機100が圧縮する冷媒は、R134a以外のHFC冷媒であってもよい。また、スクロール圧縮機100が圧縮する冷媒は、例えば、R1234yf等のHFO冷媒であってもよい。
スクロール圧縮機100は、図1に示すように、ケーシング10、圧縮機構20、モータ70、駆動軸80、及び下部軸受ハウジング90を主に有する。圧縮機構20は、固定スクロール30、可動スクロール40、及びハウジング50を主に含む。
(2)詳細構成
ケーシング10、圧縮機構20、モータ70、駆動軸80、及び下部軸受ハウジング90の詳細について、図1に加え、図2を更に参照しながら説明する。図2は、スクロール圧縮機100の吸入管18aと圧縮機構20の固定スクロール30との接続箇所周辺の、拡大概略縦断面図である。
(2-1)ケーシング
スクロール圧縮機100は、縦長円筒状のケーシング10を有する(図1参照)。
ケーシング10は、円筒部12と、上蓋14aと、下蓋14bと、を主に有する。
円筒部12は、中心軸Oに沿って延びる、両端が開口した円筒状の部材である。本実施形態では、中心軸Oは、上下方向に延びる。
上蓋14aは、円筒部12の上方に設けられ、円筒部12の上方の開口を塞ぐ。下蓋14bは、円筒部12の下方に設けられ、円筒部12の下方の開口を塞ぐ。円筒部12と、上蓋14a及び下蓋14bとは、気密を保つように、例えば溶接により固定されている。
ケーシング10は、スクロール圧縮機100を構成する各種の部品や部材を内部に収容する。ケーシング10に収容される部品や部材には、圧縮機構20、モータ70、駆動軸80、及び下部軸受ハウジング90を含む(図1参照)。
ケーシング10内の上部には、圧縮機構20が配置されている。圧縮機構20の下方には、モータ70が配置されている。モータ70の下方には、下部軸受ハウジング90が配置されている。ケーシング10の底部には、油溜空間16が形成されている。油溜空間16には、スクロール圧縮機100の各種摺動部を潤滑するための冷凍機油が溜められている。
ケーシング10の内部空間Sは、圧縮機構20を挟んで、第1空間S1と、第2空間S2と、に区画される。第1空間S1は、圧縮機構20より下方(圧縮機構20のハウジング50の下方)の空間である。第2空間S2は、圧縮機構20より上方(圧縮機構20のハウジング50の上方)の空間である。
第1空間S1は、高圧空間の一例である。第1空間S1には、圧縮機構20による圧縮後の冷媒が流入する。スクロール圧縮機100が定常運転状態になると、第1空間S1の圧力は、スクロール圧縮機100がその一部を構成する冷凍サイクルにおける高圧の空間となる。なお、ここで、スクロール圧縮機100の定常運転状態とは、スクロール圧縮機100の運転開始後に、ある程度時間が経過し、スクロール圧縮機100の運転が安定した状態を意味する。
第2空間S2は、低圧空間の一例である。ここでの低圧空間は、スクロール圧縮機100が定常運転状態になった際に、その圧力が高圧空間の圧力より低い空間を意味する。要するに、第2空間S2は、スクロール圧縮機100が定常運転状態になった際に、第1空間S1より圧力の低い空間である。
また、スクロール圧縮機100が定常運転状態となった際に、第2空間S2内の冷媒の温度は、スクロール圧縮機100が冷媒回路から吸入する冷媒の温度より高く、第1空間S1内の冷媒の温度より低い。冷媒の種類や運転条件によっても異なるが、例えば、スクロール圧縮機100が冷媒回路から吸入する冷媒の温度は-30℃であり、第2空間S2の温度は数十度(例えば50~60℃)であり、第1空間S1の温度は100℃以上である。
本実施形態のスクロール圧縮機100では、モータ70は、高圧空間の一例である第1空間S1に配置される。言い換えれば、本実施形態のスクロール圧縮機100は、いわゆる高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。第1空間S1の下部は、油溜空間16として機能する。油溜空間16は、圧縮機構20のハウジング50とモータ70との間の空間と、円筒部12と後述するモータ70のステータ72との間に形成されている隙間や、後述するモータ70のステータ72とロータ74との間に形成されている隙間等を介して連通している(図1参照)。
ケーシング10には、吸入管18a、吐出管18b及びインジェクション管18cが、ケーシング10の内部と外部とを連通するように取り付けられている(図1参照)。
吸入管18aは、図2のように、ケーシング10の上蓋14aを貫通して設けられる。吸入管18aは、少なくとも一部が、第2空間S2に配置されている。言い換えれば、吸入管18aは、少なくとも一部が、第2空間S2により周囲を囲まれている。吸入管18aの形状を限定するものではないが、本実施形態の吸入管18aは、L字形状である。吸入管18aは、上蓋14aの側壁を貫通して水平方向に延びた後、90度向きを変えて、後述する圧縮機構20の固定スクロール30に向かって下方に延びる。吸入管18aの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続される。吸入管18aの他端(ケーシング10の内部の端部)は、圧縮機構20の固定スクロール30の吸入孔36aに挿入される。
吸入孔36aの内周面37と、吸入孔36aに挿入される吸入管18aの外周面19との間には、隙間が存在する。そのため、従来のスクロール圧縮機100のように後述するシール部材200が存在しない場合には、図3に矢印で示したように、この隙間を介して、第2空間S2の冷媒が、吸入管18aの出口開口18aa近傍の第3空間S3(図3参照)に吸入される。隙間が比較的小さい場合でも、流体の流れを抑制するシール部材200が存在しない場合には、吸入孔36aの内周面37と、吸入孔36aに挿入される吸入管18aの外周面19との間を冷媒が流れて、第2空間S2の冷媒が、第3空間S3に吸入される。第3空間S3は、後述する固定スクロール30の周縁部36の内部に形成され、吸入管18aの出口開口18aaの下方に配置される空間である。上述のように、第2空間S2の冷媒の温度は、冷媒回路から吸入管18aに流入する冷媒に比べて高く成り得るので、第2空間S2の冷媒が圧縮機構20に吸入されると冷凍サイクル装置の効率が低下するおそれがある。
これに対し、本開示のスクロール圧縮機100では、吸入孔36aの内周面37と、吸入孔36aに挿入される吸入管18aの外周面19との間の隙間に、吸入孔36aの内周面37と吸入管18aの外周面19との間の隙間をシールするシール部材200が配置されている。より具体的には、吸入管18aの外周面19の、吸入孔36aの内周面37と対向する部分には、径方向内側に凹む環状の溝19aが形成されており、溝19aにはシール部材200が配置されている。なお、シール部材200を配置するための溝は、吸入管18aの外周面19ではなく、吸入孔36aの内周面37に、吸入管18aの外周面19に対向する位置において、径方向外側に凹むように設けられてもよい。シール部材200が配置されることで、吸入管18aの出口開口18aa近傍の第3空間S3と、第2空間S2とは、連通しなくなる(非連通となる)。シール部材200を用いることで、吸入管18aに流入する冷媒は、第2空間S2の冷媒と混じり合うことなく、第3空間S3を通過して、後述する圧縮機構20の圧縮室Scに吸入される。
シール部材200は、例えば、ゴム製や樹脂製のOリング等のガスケットである。ただし、第3空間S3と第2空間S2との連通を抑制するものであれば、シール部材200の材質や構造は限定されない。
吐出管18bは、図1のように、円筒部12の上下方向における中央部に、円筒部12を貫通して設けられる。吐出管18bの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続され、吐出管18bの他端(ケーシング10の内部の端部)は、ハウジング50とモータ70との間の空間(第1空間S1)に配置される。スクロール圧縮機100は、圧縮機構20による圧縮後の高圧の冷媒を、吐出管18bを介してスクロール圧縮機100外に吐出する。
インジェクション管18cは、図1のように、ケーシング10の上蓋14aを貫通して設けられる。インジェクション管18cの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続され、インジェクション管18cの他端(ケーシング10の内部の端部)は、圧縮機構20の固定スクロール30に接続される。インジェクション管18cは、固定スクロール30に形成された通路35を介して、圧縮機構20の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。インジェクション管18cが連通する圧縮途中の圧縮室Scには、冷凍サイクル装置の冷媒回路から、冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒が、インジェクション管18cを介して供給される。なお、冷凍サイクルにおける中間圧とは、冷凍サイクルにおける低圧と高圧との中間の圧力を意味する。以後、冷凍サイクルにおける中間圧と記載する代わりに、単に中間圧と呼ぶ場合がある。なお、インジェクション管18cは、省略されてもよい。
(2-2)圧縮機構
圧縮機構20は、固定スクロール30と、可動スクロール40と、ハウジング50と、を主に有する。固定スクロール30と可動スクロール40とは、組み合わされて圧縮室Scを形成する。圧縮機構20は、圧縮室Scで冷媒を圧縮し、圧縮後の冷媒を吐出する。
(2-2-1)固定スクロール
固定スクロール30は、ハウジング50上に載置され、図示しない固定手段(例えばボルト)により固定されている。
固定スクロール30は、図1に示すように、第1鏡板32と、第1ラップ34と、周縁部36と、を主に有する。
第1鏡板32は、円板状の部分である。第1ラップ34は、第1鏡板32の前面32a(ここでは下面)から可動スクロール40側に突出する壁状の部分である。固定スクロール30を下方から見ると、第1ラップ34は、第1鏡板32の中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。周縁部36は、第1鏡板32の前面32aから可動スクロール40側に突出する厚肉円筒状の部分である。周縁部36は、第1ラップ34の周囲を取り囲むように配置される。周縁部36には、吸入孔36aが形成される。吸入孔36aには、吸入管18aが接続される。
固定スクロール30の第1ラップ34と、後述する可動スクロール40の第2ラップ44とは、組み合わされて圧縮室Scを形成する。具体的には、固定スクロール30と可動スクロール40とは、第1鏡板32の前面32aと後述する第2鏡板42の前面42a(ここでは上面)とが対向する状態で組み合わされる。その結果、第1鏡板32と、第1ラップ34と、第2ラップ44と、後述する可動スクロール40の第2鏡板42と、に囲まれた圧縮室Scが形成される(図1参照)。可動スクロール40が固定スクロール30に対して旋回すると、吸入管18aから吸入孔36aを介して周縁側の圧縮室Scに流入した低圧の冷媒は、中央側の圧縮室Scへと移動するにつれ圧縮されて圧力が上昇する。
第1鏡板32の略中心には、圧縮機構20により圧縮された冷媒を吐出する吐出ポート33が、第1鏡板32を厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている(図1参照)。吐出ポート33は、圧縮機構20の中心側(最内側)の圧縮室Scと連通している。第1鏡板32の上方には、吐出ポート33を開閉する吐出弁22が取り付けられている。吐出ポート33が連通する最内側の圧縮室Scの圧力が、吐出弁22の上方の吐出空間Saの圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、吐出弁22が開き、最内側の圧縮室Scの冷媒が吐出ポート33を通過して第1鏡板32の上方の吐出空間Saに流入する。吐出空間Saは、固定スクロール30と、固定スクロール30の上部に固定されるカバー部材38と、により囲まれた空間である。吐出空間Saは、固定スクロール30及びハウジング50にわたって形成されている図示しない冷媒通路と連通している。冷媒通路は、吐出空間Saとハウジング50の下方の第1空間S1とを連通する通路である。吐出空間Saに流入する圧縮機構20による圧縮後の冷媒は、冷媒通路を通過して第1空間S1へ流入する。また、圧縮機構20による圧縮後の冷媒の一部は、モータ70のステータ72と円筒部12との隙間や、モータ70のロータ74とステータ72との間の隙間(エアギャップ)を通って、モータ70の下方の油溜空間16にも流入する。
(2-2-2)可動スクロール
可動スクロール40は、図1に示すように、第2鏡板42と、第2ラップ44と、ボス部46と、を主に有する。
第2鏡板42は、円板状の部分である。第2ラップ44は、第2鏡板42の前面42a(ここでは上面)から固定スクロール30側に突出する壁状の部分である。可動スクロール40を上方から見ると、第2ラップ44は、第2鏡板42の中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。ボス部46は、第2鏡板42の背面42b(ここでは下面)からモータ70側に突出する円筒状の部分である。
スクロール圧縮機100の運転中には、可動スクロール40は、第2鏡板42の背面42b側の、後述するクランク室52の圧力により固定スクロール30に押し付けられる。可動スクロール40が固定スクロール30に押し付けられることで、第1ラップ34の歯先と第2鏡板42の前面42aとの間の隙間や、第2ラップ44の歯先と第1鏡板32の前面32aとの間の隙間からの冷媒の漏れが抑制される。
また、可動スクロール40が固定スクロール30に押し付けられることで、第2鏡板42の前面42a(上面)が、固定スクロール30の周縁部36の前面36b(下面)に押し付けられ、第2鏡板42の前面42aと、固定スクロール30の周縁部36の前面36bとの隙間を通過する冷媒の漏れが抑制される。言い換えれば、可動スクロール40が固定スクロール30に押し付けられることで、第2鏡板42の前面42aが、固定スクロール30の周縁部36の前面36bに押し付けられ、第2空間S2と圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとの連通が抑制される。ただし、スクロール圧縮機100の運転中、第2鏡板42の前面42aと固定スクロール30の周縁部36の前面36bとは常に密着しているわけではなく、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42との間に一時的に微小隙間が生じる。そのため、第2空間S2と圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとは、スクロール圧縮機100の運転中、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42との間に一時的に生じる微小隙間を介して連通する。
ボス部46は、ハウジング50により形成される後述するクランク室52内に配置される。ボス部46は、円筒状に形成されている。ボス部46は、第2鏡板42の背面42bから下方に突出するように延びる。円筒状のボス部46の上部は、第2鏡板42により閉じられている。ボス部46の中空部には、軸受メタル47が配置される。ボス部46の中空部には、後述する駆動軸80の偏心部84が挿入される(図1参照)。駆動軸80は、後述するようにモータ70のロータ74と連結されているため、モータ70が運転されてロータ74が回転すると、可動スクロール40が旋回する。モータ70により旋回させられる可動スクロール40は、可動スクロール40の背面42b側に配置されているオルダム継手24(図1参照)の働きで、自転することなく、固定スクロール30に対して公転する。
可動スクロール40が固定スクロール30に対して公転させられると、圧縮機構20の圧縮室Sc内のガス冷媒が圧縮される。具体的には、可動スクロール40が公転させられると、吸入管18aから吸入孔36aを介して周縁側の圧縮室Scにガス冷媒が吸引され、その後、圧縮室Scは圧縮機構20の中心側(第1鏡板32の中心側)に移動していく。圧縮室Scが圧縮機構20の中心側に移動するにつれ、圧縮室Scの容積は減少し、圧縮室Sc内の圧力が上昇する。その結果、中央側の圧縮室Scは、周縁側の圧縮室Scに比べ高い圧力になる。圧縮機構20により圧縮されて高圧となったガス冷媒は、中央側の圧縮室Scから第1鏡板32に形成された吐出ポート33を通って吐出空間Saに吐出される。吐出空間Saに吐出された冷媒は、固定スクロール30及びハウジング50に形成された図示しない冷媒通路を通過して、ハウジング50の下方の第1空間S1へ流入する。
(2-2-3)ハウジング
ハウジング50は、図1のように、本体部120と、上部軸受ハウジング110と、を主に含む。本体部120は、円筒状の部分である。上部軸受ハウジング110も円筒状に形成される。上部軸受ハウジング110は、駆動軸80の軸方向において、本体部120よりモータ70の近傍に配置される。
ハウジング50の本体部120は、ケーシング10の円筒部12の内周面12aにしまりばめにより固定されている。例えば、ハウジング50の本体部120は、ケーシング10の円筒部12の内周面12aに焼きばめされている。本体部120の外周面122は、駆動軸80の軸方向において少なくとも部分的に、全周にわたって円筒部12の内周面12aと密接している。ハウジング50により、ケーシング10の内部空間Sは、ハウジング50の上方の第2空間S2と、ハウジング50の下方の第1空間S1とに区画される。
ハウジング50の本体部120には、固定スクロール30が固定されており、ハウジング50は、本体部120に固定されている固定スクロール30を支持する。具体的には、固定スクロール30は、固定スクロール30の周縁部36の前面36bがハウジング50の上面50aと対向する状態でハウジング50に載置され、図示しない固定部材(例えばボルト)によりハウジング50に固定されている。なお、固定スクロール30の周縁部36の前面36bは、全周にわたってハウジング50の上面50aと密着しているわけではない。周方向において、固定スクロール30の周縁部36の前面36bは、ハウジング50の上面50aと密着していない部分を含む。言い換えれば、周方向において少なくとも部分的に、ハウジング50と固定スクロール30との間には、冷媒が通過可能な隙間が形成される。したがって、ハウジング50と固定スクロール30との間の空間は、固定スクロール30の上方の空間と連通しており、第2空間S2の一部を構成する。
また、ハウジング50は、固定スクロール30とハウジング50の本体部120との間に配置される可動スクロール40を支持する。具体的には、ハウジング50は、可動スクロール40を、ハウジング50の上方に配置されているオルダム継手24を介して下方から支持する。
ハウジング50の本体部120は、図1に示すように、中央に凹むように配置される第1凹部56を有する。第1凹部56は、可動スクロール40のボス部46が配置されるクランク室52の側面を囲む。
スクロール圧縮機100の運転時には、クランク室52に油溜空間16から油が流入する。そのため、スクロール圧縮機100の定常運転時には(スクロール圧縮機100の運転が安定した状態では)、クランク室52の圧力は、冷凍装置の冷凍サイクルにおける高圧になる。その結果、スクロール圧縮機100の定常運転時には、クランク室52に面する第2鏡板42の背面42bの中央部は、高圧で固定スクロール30に向かって押される。
その結果、スクロール圧縮機100の定常運転時には、可動スクロール40は、クランク室52の高圧により固定スクロール30に押し付けられる。
なお、クランク室52と、第2空間S2とは、クランク室52を囲む環状の壁部57により隔てられている(図2参照)。第2鏡板42の背面42bと対向する壁部57の上端には、クランク室52と第2空間S2との間をシールするように、図示しないシールリングが配置されている。
上部軸受ハウジング110は、円筒状に形成されている。円筒状の上部軸受ハウジング110の内部には、駆動軸80を回転可能に支持する転がり軸受112が設けられる。なお、上部軸受ハウジング110は、転がり軸受112に代えて、駆動軸80を回転可能に支持する軸受メタルを支持するものであってもよい。
(2-3)モータ
モータ70は、圧縮機構20を駆動する機構である。
モータ70は、主として、ステータ72と、ロータ74とを有する。ステータ72は、ケーシング10の円筒部12の内周面12aに固定されている環状の部材である。ロータ74は、環状のステータ72の内側に配置される円柱形状の部材である。ロータ74は、ステータ72の内側に、描画を省略する僅かな隙間(エアギャップ)を空けて配置されている。
ステータ72は、駆動軸80の軸方向に沿って積層されている複数の電磁鋼板を含むステータコア72aを有し、ステータコア72aは、例えば、円筒部12の内周面12aに焼きばめされている。なお、ステータコア72aの外周面には、複数のコアカットと呼ばれる切り欠き部が形成されており、切り欠き部と円筒部12の内周面12aとの間には隙間が形成されている。ステータコア72aのティース(図示省略)には、駆動軸80の軸方向においてステータコア72aの両端に配置されているインシュレータ73を介して巻線(図示省略)が巻き回され、コイルが形成されている。モータ70の上方の空間と、モータ70の下方の油溜空間16とは、ステータコア72aの外周面の切り欠き部や、ロータ74とステータ72との間の隙間(エアギャップ)を介して連通している。
ロータ74は、円筒状のロータコア74aと、ロータコア74aに取り付けられた描画を省略する永久磁石と、を有する。ロータコア74aは、駆動軸80の軸方向に沿って積層された複数の電磁鋼板を含む。永久磁石は、ロータコア74aに埋め込まれている。
ロータ74は、駆動軸80を介して、圧縮機構20の可動スクロール40と連結されている。具体的には、ロータ74は、駆動軸80を介して、可動スクロール40のボス部46と連結されている(図1参照)。モータ70は、ステータ72が発生させる回転磁界によりロータ74を回転させることで、可動スクロール40を旋回させる。
(2-4)駆動軸
駆動軸80は、モータ70の駆動力を、圧縮機構20に伝達する。具体的には、駆動軸80は、モータ70のロータ74と圧縮機構20の可動スクロール40とを連結し、モータ70の駆動力を圧縮機構20の可動スクロール40に伝達する。
駆動軸80は、上下方向に延びる。駆動軸80は、ケーシング10の内部空間Sの下部からクランク室52まで鉛直方向に延びる。
駆動軸80は、図1のように、主軸82と、偏心部84と、を主に有する。
主軸82は、上部軸受ハウジング110に配置された転がり軸受112、及び、後述する下部軸受ハウジング90に配置された軸受メタル91により、回転自在に支持される。また、主軸82は、ハウジング50の上部軸受ハウジング110と下部軸受ハウジング90との間で、モータ70のロータ74に挿通され、ロータ74に連結される。主軸82の中心軸は、ケーシング10の円筒部12の中心軸Oと一致する。
偏心部84は、主軸82の上端に配置されている。偏心部84の中心軸は、主軸82の中心軸に対して偏心している。偏心部84は、可動スクロール40のボス部46の内部に挿入され、ボス部46の内部に配置されている軸受メタル47により回転可能に支持されている。
駆動軸80の主軸82の下端には、汲み上げ機構87が設けられている。汲み上げ機構87は、ケーシング10の第1空間S1の下部の油溜空間16から、容積ポンプ作用によって油を汲み上げる。駆動軸80の内部には、油通路86が形成されている。油通路86は、主経路86aと、分岐経路(図示せず)と、を有する。主経路86aは、駆動軸80を軸方向に、駆動軸80の下端から上端まで延びる。分岐経路は、主経路86aから、駆動軸80の軸方向と交差する方向に延びる。汲み上げ機構87が汲み上げ、主経路86aを流れて駆動軸80の上端から流出する油や、主経路86aから分岐経路に流入し、分岐経路から流出する油は、例えば、軸受メタル47と偏心部84との摺動部、転がり軸受112及び軸受メタル91と主軸82との摺動部、及び圧縮機構20の摺動部等に供給される。摺動部に供給された油は、図示しない経路を通って油溜空間16に回収される。
(2-5)下部軸受ハウジング
下部軸受ハウジング90(図1参照)は、モータ70の下方に配置されている。
下部軸受ハウジング90は、本体部92と、本体部92からケーシング10の円筒部12の径方向に延びる複数のアーム94と、を主に有する。数を限定するものではないが、下部軸受ハウジング90は、3本のアーム94を有する。
本体部92は、円筒状に形成されている。円筒状の本体部92の内部には、駆動軸80を回転可能に支持する軸受メタル91が設けられる。
構造を限定するのではないが、本体部92には、3本のアーム94が、ケーシング10の円筒部12の周方向に概ね等間隔だけ離して(約120度離して)設けられている。各アーム94の端部は、ケーシング10の円筒部12の内周面12aに取り付けられている。
(3)スクロール圧縮機の動作
スクロール圧縮機100の動作について説明する。なお、ここでは、定常状態(運転を開始して、運転が安定した状態)のスクロール圧縮機100の動作について説明する。
モータ70が駆動されると、ステータ72の発生させる回転磁界によりロータ74が回転し、ロータ74と連結された駆動軸80も回転する。駆動軸80が回転すると、オルダム継手24の働きにより、可動スクロール40は、自転せずに固定スクロール30に対して公転する。そして、吸入管18aから流入した冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入孔36aを介して圧縮機構20の周縁側の圧縮室Scに吸入される。そして、可動スクロール40が公転し、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って、圧縮室Scの圧力が上昇する。また、圧縮途中の圧縮室Scには、インジェクション管18cから、適宜、冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける中間圧(低圧と高圧との間の圧力)の冷媒がインジェクションされる。冷媒が、周縁側(外側)の圧縮室Scから、中央側(内側)の圧縮室Scへ移動するに連れて冷媒の圧力は上昇し、最終的に冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける高圧となる。圧縮機構20によって圧縮された冷媒は、第1鏡板32の中央付近に位置する吐出ポート33から吐出され、固定スクロール30及びハウジング50に形成されている図示しない冷媒経路を通過して第1空間S1に流入する。圧縮機構20によって圧縮され、固定スクロール30及びハウジング50に形成されている図示しない冷媒経路を通過した冷媒は、ステータ72と円筒部12との隙間等を通過して油溜空間16にも流入する。油溜空間16に吐出された冷媒ガスは、ステータ72とロータ74との間のエアギャップや、ステータ72と円筒部12との隙間を通過してハウジング50とモータ70との間の空間に流入する。ハウジング50とモータ70との間の空間に流入した冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、最終的に吐出管18bから吐出される。
(4)第2空間に対する冷媒の流れ
上述のように、吸入管18aの出口開口18aa近傍の第3空間S3と第2空間S2とは、シール部材200により非連通とされ、第2空間S2の冷媒は、第3空間S3には流入しない。その結果、冷媒回路から吸入管18aに流入する冷媒に比べて密度の低い、第2空間S2の冷媒が、圧縮機構20に流入し、冷凍サイクル装置の効率が低下するという問題の発生を抑制できる。
しかし、シール部材200により第2空間S2から圧縮室Scへの冷媒の吸込みを抑制することで、吸入孔36aの内周面37と吸入管18aの外周面19との隙間を介して、吸入管18aと第2空間S2とを連通させることができなくなる。これにより、仮に、第2空間S2が密閉空間になったとすると、圧縮機構20が発生する熱が、固定スクロール30の第1鏡板32やカバー部材38を介して第2空間S2の冷媒に伝わり、第2空間S2の温度が次第に上昇し、吸入管18aを流れて圧縮室Scへと流入する冷媒の温度上昇を抑制するという効果が得られにくくなる。
しかし、スクロール圧縮機100の運転中には、圧縮機構20の圧縮室Scの圧力や、可動スクロール40を固定スクロール30に押し付ける背圧が変動する。そのため、スクロール圧縮機100の運転中、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42の前面42aとの間には、少なくとも局所的に、一時的な微小隙間が生成される。そして、スクロール圧縮機100の運転中、第2空間S2と、圧縮前の又は圧縮があまり進んでいない、比較的低温かつ低圧の冷媒が存在する圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとが、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42の前面42aとの間の微小隙間を介して連通する。その結果、スクロール圧縮機100の運転中も、第2空間S2を比較的温度の低い冷媒の存在する空間とすることができる。
また、スクロール圧縮機100の停止中には、ケーシング10の内部の圧力は均圧され、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42の前面42aとの間には微小隙間が生成される。その結果、スクロール圧縮機100の停止中には、第2空間S2と、圧縮前の又は圧縮があまり進んでいない、比較的低温かつ低圧の冷媒が存在する圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとが、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42の前面42aとの間の微小隙間を介して連通する。その結果、第2空間S2を比較的温度の低い冷媒の存在する空間とすることができる。
(5)特徴
(5-1)
本実施形態のスクロール圧縮機100は、圧縮機構20と、モータ70と、ケーシング10と、吸入管18aと、シール部材200と、を備える。圧縮機構20は、固定スクロール30と、可動スクロール40と、を有する。固定スクロール30には、吸入孔36aが形成されている。可動スクロール40は、固定スクロール30と組み合わされて圧縮室Scを形成する。モータ70は、圧縮機構20を駆動する。ケーシング10は、圧縮機構20及びモータ70を収容する。ケーシング10の内部空間Sは、圧縮機構20を挟んで、モータ70が配置される第1空間S1と、第2空間S2と、に区画される。第1空間S1は、高圧空間の一例である。第2空間S2は、低圧空間の一例である。吸入管18aは、ケーシング10を貫通して延びる。吸入管18aは、少なくとも一部が第2空間S2に配置される。吸入管18aは、固定スクロール30の吸入孔36aに挿入される。シール部材200は、吸入管18aの出口開口18aaの近傍の第3空間S3と第2空間S2とを連通する、吸入孔36aの内周面37と、吸入孔36aに挿入される吸入管18aの外周面19との間の隙間、に配置され、隙間をシールする。
なお、ここでは、低圧空間は、スクロール圧縮機100が定常運転状態になった際に、その圧力が高圧空間の圧力より低い空間を意味する。要するに、低圧空間の一例としての第2空間S2は、スクロール圧縮機100が定常運転状態になった際に、その圧力が、高圧空間の一例としての第1空間S1の圧力より低い空間である。
本実施形態のスクロール圧縮機100では、吸入孔36aの内周面37と吸入管18aの外周面19との隙間をシール部材200でシールしているため、冷媒回路から吸入管18aに流入する冷媒に比べ密度の低い第2空間S2の冷媒が、圧縮機構20に流入する事態の発生を抑制できる。その結果、スクロール圧縮機100を使用する冷凍サイクル装置の冷媒循環量が減少し、冷凍サイクル装置の効率が低下するという問題の発生を抑制できる。
(5-2)
本実施形態のスクロール圧縮機100では、スクロール圧縮機100の停止時には、第2空間S2と、圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとは、固定スクロール30と可動スクロール40の鏡板との間の微小隙間を介して連通する。
本実施形態のスクロール圧縮機100では、スクロール圧縮機100の停止時には、第2空間S2と、圧縮前の又は圧縮があまり進んでいない、比較的低温低圧の冷媒が存在する圧縮機構20の最外周の圧縮室Scと、を連通させて、圧縮機構20の最外周の圧縮室Scから第2空間S2に、比較的低温低圧の冷媒を導くことができる。その結果、吸入管18aを流れて圧縮室Scへと流入する冷媒の温度上昇を抑制できるよう、第2空間S2を、比較的低温の冷媒が存在する空間とすることができる。
(5-3)
本実施形態のスクロール圧縮機100では、スクロール圧縮機100の運転中には、第2空間S2と、圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとは、固定スクロール30と可動スクロール40の鏡板との間に一時的に生じる微小隙間を介して連通する。
本実施形態のスクロール圧縮機100では、スクロール圧縮機100の運転中、第2空間S2と、圧縮前の又は圧縮があまり進んでいない、比較的低温低圧の冷媒が存在する圧縮機構20の最外周の圧縮室Scとが、固定スクロール30の周縁部36の前面36bと可動スクロール40の第2鏡板42の前面42aとの間の微小隙間を介して連通する。その結果、スクロール圧縮機100の運転中も、第2空間S2を比較的低温の冷媒の存在する空間として、吸入管18aを流れて圧縮室Scへと流入する冷媒の温度上昇を第2空間S2により抑制できる。
(5-4)
本実施形態のスクロール圧縮機100では、スクロール圧縮機100の定常運転時において、吸入管18aを介してスクロール圧縮機100に供給される冷媒の温度は-10℃以下である。
スクロール圧縮機100が-10℃以下という非常に低い吸入温度条件で運転される場合、圧縮機構20からの熱伝導等により加熱された第2空間S2の冷媒ガスが圧縮機構20に供給されると、冷凍サイクル装置の効率に比較的大きな悪影響を与える可能性がある。
これに対し、本開示のスクロール圧縮機100では、吸入孔36aの内周面37と吸入管18aの外周面19との隙間をシール部材200でシールして圧縮機構20に第2空間S2の冷媒が圧縮機構20に流入することを抑制しているので、冷凍サイクル装置の効率低下を抑制できる。
(6)変形例
以下に上記実施形態の変形例を示す。
(6-1)変形例A
上記実施形態では、駆動軸80の軸方向が鉛直方向である縦型のスクロール圧縮機を例に説明しているが、スクロール圧縮機は、駆動軸80の軸方向が水平方向である横型のスクロール圧縮機であってもよい。
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
本開示は、少なくとも一部が低圧空間に配置され、固定スクロールの吸入孔に挿入される吸入管、を備えたスクロール圧縮機に広く適用でき有用である。
10 ケーシング
18a 吸入管
18aa 出口開口
20 圧縮機構
30 固定スクロール
36a 吸入孔
40 可動スクロール
42 第2鏡板(鏡板)
70 モータ
100 スクロール圧縮機(圧縮機)
200 シール部材
S1 第1空間(高圧空間)
S2 第2空間(低圧空間)
S3 第3空間(吸入管の出口開口近傍の空間)
Sc 圧縮室
特開2003-286949号公報

Claims (4)

  1. 吸入孔(36a)が形成されている固定スクロール(30)と、前記固定スクロールと組み合わされて圧縮室(Sc)を形成する可動スクロール(40)と、を有する圧縮機構(20)と、
    前記圧縮機構を駆動するモータ(70)と、
    前記圧縮機構及び前記モータを収容し、内部空間(S)が、前記圧縮機構を挟んで、前記モータが配置される高圧空間(S1)と、低圧空間(S2)と、に区画される、ケーシング(10)と、
    前記ケーシングを貫通して延び、少なくとも一部が前記低圧空間に配置され、前記固定スクロールの前記吸入孔に挿入される吸入管(18a)と、
    前記吸入管の出口開口(18aa)近傍の空間(S3)と前記低圧空間とを連通する、前記吸入孔の内周面と前記吸入孔に挿入される前記吸入管の外周面との間の隙間、に配置され、前記隙間をシールする、シール部材(200)と、
    を備えた、スクロール圧縮機(100)。
  2. 前記スクロール圧縮機の停止時には、前記低圧空間と、前記圧縮機構の最外周の前記圧縮室とは、前記固定スクロールと前記可動スクロールの鏡板(42)との間の微小隙間を介して連通する、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記スクロール圧縮機の運転中には、前記低圧空間と、前記圧縮機構の最外周の前記圧縮室とは、前記固定スクロールと前記可動スクロールの前記鏡板との間に一時的に生じる微小隙間を介して連通する、
    請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記スクロール圧縮機の定常運転時において、前記吸入管を介して前記スクロール圧縮機に供給される冷媒の温度は-10℃以下である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
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