JP2022158952A - フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡 - Google Patents

フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP2022158952A
JP2022158952A JP2022026473A JP2022026473A JP2022158952A JP 2022158952 A JP2022158952 A JP 2022158952A JP 2022026473 A JP2022026473 A JP 2022026473A JP 2022026473 A JP2022026473 A JP 2022026473A JP 2022158952 A JP2022158952 A JP 2022158952A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photochromic
compound
bis
optionally substituted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022026473A
Other languages
English (en)
Inventor
裕子 新井
Yuko Arai
敬 小林
Takashi Kobayashi
勇輔 塗師
Yusuke Nurishi
ヘロン マーク
Heron Mark
ガブット クリストファー
Gabut Christpher
デルフィム カルバルホ コート デ アゼヴェド オーランド
Kalbalho Cote De Azevedo Aurand Delfim
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Lens Thailand Ltd
Original Assignee
Hoya Lens Thailand Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Lens Thailand Ltd filed Critical Hoya Lens Thailand Ltd
Priority to US17/708,714 priority Critical patent/US20220325171A1/en
Priority to EP22165764.6A priority patent/EP4067362A1/en
Publication of JP2022158952A publication Critical patent/JP2022158952A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

【課題】フォトクロミック化合物としての性能を向上させたフルギド系化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物。JPEG2022158952000027.jpg61170【選択図】なし

Description

本発明は、フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡に関する。
フォトクロミック化合物は、光応答性を有する波長域の光の照射下で発色し、非照射下では退色する性質(フォトクロミック性)を有する化合物である。フォトクロミック化合物によってフォトクロミック性が付与された物品(フォトクロミック物品)としては、例えば、眼鏡レンズ等の光学物品を挙げることができる。
近年、フルギド系化合物が、フォトクロミック物品にフォトクロミック性を付与するための化合物として提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平7-2824号公報
フルギド系化合物は、一般に、フォトクロミック性能の耐久性が良好な傾向があるフォトクロミック化合物と言われている。かかるフルギド系化合物のフォトクロミック化合物としての性能を更に向上させることができれば、フォトクロミック物品の製造のために有用なフォトクロミック化合物を提供することが可能になる。
本発明の一態様は、フルギド系化合物のフォトクロミック化合物としての性能の更なる向上を達成することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるフルギド系化合物が、フォトクロミック性能に優れることを新たに見出した。
即ち、本発明の一態様は、下記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物に関する。
Figure 2022158952000001
一般式(1)中、
Xは、酸素原子または無置換もしくは下記Y群から選ばれる置換基によって置換された窒素原子を表し、
群:-R、-A(B(A(B、-A、-A
は、シアノ基、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、
は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を表し、
、A、AおよびAは、それぞれ独立に、それぞれ置換基を有していてもよいアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基またはアルキルシクロアルカン-ジイル基を表し、
は、置換基を有していてもよいナフチル基を表し、
およびBは、それぞれ独立に下記群から選ばれる二価の基のいずれか1つを表し、
Figure 2022158952000002
l、mおよびnは、それぞれ独立に0または1であり、ただしmが0のときnは0であり、
は、水素原子または上記Y群から選ばれる置換基を表し、
Rは、水素原子、トリフルオロメチル基、または置換基を有していてもよいシクロプロピル基を表し、
Figure 2022158952000003
は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基またはアダマンチリデン基を表す。
本発明の一態様によれば、フォトクロミック性能に優れるフルギド系化合物を提供することができる。
[フォトクロミック化合物]
フォトクロミック化合物は、一例として、太陽光等の光の照射を受けて励起状態を経て、着色体に構造変換する。光照射を経て構造変換した後の構造を「着色体」と呼ぶことができる。これに対し、光照射前の構造を「無色体」と呼ぶことができる。ただし、無色体について「無色」とは、完全な無色に限定されるものではなく、着色体に対して色が薄い場合も包含される。一般式(1)の構造は、無色体の構造である。一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物は、無色体の構造が閉環構造である。
以下、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物について、更に詳細に説明する。本発明および本明細書において、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物には、一般式(1)として示された構造の幾何異性体も包含される。
一般式(1)中、Xは、酸素原子を表すか、または、無置換もしくは下記Y群から選ばれる置換基によって置換された窒素原子を表す。
群:-R、-A(B(A(B、-A、-A
は、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-、iso- またはter-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。これらの中で炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数が1~10のアルキル基がより好ましい。
で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリル基またはナフチル基等の炭素数6~10のアリール基が挙げられる。
は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいナフチルアルキル基を表す。
で表されるアルキル基については、Rで表されるアルキル基に関する先の記載を参照できる。Rで表されるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば1~10であることが好ましい。
で表されるナフチルアルキル基としては、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基またはナフチルブチル基等を挙げることができる。ナフチルアルキル基のアルキル基の炭素数は1~4であることが好ましい。
は、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を表す。Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子または臭素原子等を挙げることができる。
、A、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルキリデン基、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、または置換基を有していてもよいアルキルシクロアルカン-ジイル基を表す。これらの具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基または2,2-ジメチルトリメチレン基等の炭素数1~10のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基またはイソプロピリデン基等の炭素数2~10のアルキリデン基;シクロヘキシレン基等の炭素数3~10のシクロアルキレン基;下記式:
Figure 2022158952000004
で表わされる2-メチルシクロヘキサン-α,1-ジイル基;下記式:
Figure 2022158952000005
で表わされる4-メチルシクロヘキサン-α,1-ジイル基;等の炭素数6~10のアルキルシクロアルカン-ジイル基が挙げられる。A、A、AおよびAは、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルキリデン基、炭素数3~6のシクロアルキレン基、または炭素数6~7のアルキルシクロアルカン-ジイル基であることが好ましい。
およびBは、それぞれ独立に下記群から選ばれる二価の基のいずれか1つを表す。
Figure 2022158952000006
l、mおよびnは、それぞれ独立に0または1である。ただし、mが0のときnは0である。
上記した各基は、一形態では無置換であり、他の一形態では置換基を有する。置換基は特に限定されない。置換基を有する場合、各基について記載した炭素数は、置換基を含まない部分の炭素数をいうものとする。例えば、上記アルキル基は、ハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1~3個の原子および/または基で置換されていてもよい。また、上記ナフチル基またはナフチルアルキル基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~3のアルキルアミノ基、炭素数1~3のアルキル基および炭素数1~3のアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の原子および/または基で置換されていてもよい。
は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。Aで表されるナフチル基は、一形態では無置換であり、他の一形態では置換基を有する。かかる置換基の種類は特に限定されない。例えば、Aで表されるナフチル基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~3のアルキルアミノ基、炭素数1~3のアルキル基および炭素数1~3のアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の原子および/または基で置換されていてもよい。
は、水素原子または上記Y群から選ばれる置換基を表す。Yは、一形態では水素原子であることが好ましい。また、他の一形態では、Yは、上記Y群中の-Rであることが好ましく、置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、置換基を有するアリール基であることが更に好ましく、-R11-R12で表され、-R11-が下記群からなる群から選ばれ、-R12が-(CHCHであってnが3~10の範囲の整数であることが一層好ましい。
Figure 2022158952000007
Rは、水素原子、トリフルオロメチル基、または置換基を有していてもよいシクロプロピル基を表す。Rで表されるシクロプロピル基は、一形態では無置換であり、他の一形態では置換基を有する。かかる置換基としては、上記Y群から選ばれる置換基を挙げることができる。一形態では、Rが置換基を有していてもよいシクロプロピル基を表すことが好ましく、Rが無置換のシクロプロピル基を表すことがより好ましい。
一般式(1)中、
Figure 2022158952000008
は、置換基を有していてもよいノルボルニリデン基、置換基を有していてもよいビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基、または置換基を有していてもよいアダマンチリデン基を表す。
ノルボルニリデン基としては、下記の7-ノルボルニリデン基が好ましい。
Figure 2022158952000009
ビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基としては下記のビシクロ〔3.3.1〕9-ノニリデン基が好ましい。
Figure 2022158952000010
アダマンチリデン基としては下記の2-アダマンチリデン基が好ましい。
Figure 2022158952000011
で表わされる2-アダマンチリデン基が好ましい。
上記の7-ノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基および2-アダマンチリデン基の構造は、いずれも置換基を有さない構造である。
一般式(1)中、
Figure 2022158952000012
で表されるノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基およびアダマンチリデン基は、いずれも一形態では無置換であり、他の一形態では置換基を有する。置換基を有する場合、置換基の数は1つまたは2つ以上であることができる。置換基としては、例えばヒドロキシ基;メチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1~4のアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等の炭素数7~15のアラルコキシ基;フエノキシ基、1-ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;メチル基、エチル基、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;エトキシカルボニル基等の炭素数2~10のアルコキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1または2のハロゲン置換アルキル基;ニトロ基;フェニル基、トルイル基等の炭素数6~10のアリール基、フェニルルエチル基、ふぇんるプロピル基等の炭素数7~9のアラルキル基等が挙げられる。これら置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~9のアラルキル基または炭素数6~10のアリール基を挙げることができる。
一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物は、フォトクロミック性を有する物品(フォトクロミック物品)の作製のために使用することができる。かかる化合物の具体例としては、以下の化合物を例示できる。ただし、本発明は例示した化合物に限定されるものではない。以下の構造は、無色体の構造である。
Figure 2022158952000013
一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物の合成方法は特に限定されない。合成方法については、例えば、特開平7-2824号公報(特許文献1)の段落0068~0099および同公報の実施例を参照できる。また、化合物の同定方法も特に限定されない。同定方法については、例えば、特開平7-2824号公報(特許文献1)の段落0063~0066を参照できる。合成方法については、後述の実施例の項の記載も参照できる。
[フォトクロミック物品]
本発明の一態様は、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック物品に関する。
本発明および本明細書において、「フォトクロミック物品」とは、1種以上のフォトクロミック化合物を含む物品をいうものとする。一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物は、フォトクロミック物品のフォトクロミック層に含まれることができ、および/または、フォトクロミック物品の基材に含まれることができる。かかるフォトクロミック物品は、一形態では、一般式(1)で表される化合物を1種のみ含むことができ、他の一形態では、一般式(1)で表される化合物を2種以上含むことができる。また、上記フォトクロミック物品は、一形態では、一般式(1)で表される化合物の1種以上と、他のフォトクロミック化合物の1種以上と、を含むこともできる。他のフォトクロミック化合物としては、アゾベンゼン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、ナフトピラン類、インデノナフトピラン類、フェナントロピラン類、ヘキサアリルビスイミダゾール類、ドナー-アクセプターステンハウス付加物(DASA)類、サリシリデンアニリン類、ジヒドロピレン類、アントラセンダイマー類、フルギド類、ジアリールエテン類、フェノキシナフタセンキノン類、スチルベン類等を挙げることができる。
上記フォトクロミック物品は、フォトクロミック物品の種類に応じて選択された基材を含むことができる。基材の一例として、眼鏡レンズ基材としては、プラスチックレンズ基材またはガラスレンズ基材が挙げられる。ガラスレンズ基材は、例えば無機ガラス製のレンズ基材であることができる。プラスチックレンズ基材としては、(メタ)アクリル樹脂をはじめとするスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR-39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコール等のヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する硬化性組成物を硬化した硬化物(一般に透明樹脂と呼ばれる。)を挙げることができる。レンズ基材としては、染色されていないもの(無色レンズ)を用いてもよく、染色されているもの(染色レンズ)を用いてもよい。レンズ基材の屈折率は、例えば、1.60~1.75程度であることができる。ただしレンズ基材の屈折率は、上記範囲に限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。ここで屈折率とは、波長500nmの光に対する屈折率をいうものとする。また、レンズ基材は、屈折力を有するレンズ(いわゆる度付レンズ)であってもよく、屈折力なしのレンズ(いわゆる度なしレンズ)であってもよい。
例えば、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物の1種以上と重合性化合物の1種以上とを含む硬化性組成物を公知の成形方法によって成形することにより、かかる硬化性組成物の硬化物として、基材を作製することができる。上記硬化性組成物は、先に例示したような他のフォトクロミック化合物の1種以上を更に含むこともできる。硬化処理は、光照射および/または加熱処理であることができる。重合性化合物とは、重合性基を有する化合物であり、重合性化合物の重合反応が進行することによって硬化性組成物が硬化し硬化物が形成され得る。硬化性組成物は、1種以上の添加剤(例えば重合開始剤等)を更に含むことができる。
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等の各種レンズであることができる。レンズの種類は、レンズ基材の両面の面形状により決定される。また、レンズ基材表面は、凸面、凹面、平面のいずれであってもよい。通常のレンズ基材および眼鏡レンズでは、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面である。ただし、これに限定されるものではない。フォトクロミック層は、通常、レンズ基材の物体側表面上に設けることができるが、眼球側表面上に設けてもよい。
フォトクロミック層は、基材の表面上に直接または一層以上の他の層を介して間接的に設けられた層であることができる。フォトクロミック層は、例えば、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物を含む硬化性組成物を硬化した硬化層であることができる。上記硬化性組成物は、先に例示したような他のフォトクロミック化合物の1種以上を更に含むこともできる。例えば、上記硬化性組成物を基材の表面上に直接塗布するか、または基材上に設けられた層の表面に塗布し、塗布された硬化性組成物に硬化処理を施すことによって、上記フォトクロミック化合物を含む硬化層を形成することができる。塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法等の公知の塗布方法を採用することができる。硬化処理は、光照射および/または加熱処理であることができる。硬化性組成物は、重合性化合物を含むことができ、1種以上の添加剤(例えば重合開始剤等)を更に含むことができる。重合性化合物の重合反応が進行することによって硬化性組成物が硬化し硬化層が形成され得る。
<重合性化合物>
本発明および本明細書において、重合性化合物とは、1分子中に1つ以上の重合性基を有する化合物をいい、「重合性基」とは、重合反応し得る反応性基をいうものとする。重合性基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、チオール基、オキセタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イソシアネート基等を挙げることができる。
上記基材および上記フォトクロミック層の形成のために使用可能な重合性化合物としては、以下の化合物を例示できる。
(エピスルフィド系化合物)
エピスルフィド系化合物は、1分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物である。エピスルフィド基は、開環重合し得る重合性基である。エピスルフィド系化合物の具体例としては、ビス(1,2-エピチオエチル)スルフィド、ビス(1,2-エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)スルフィド、ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)ジスルフィド、1,4-ジチアン-2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)-2-(2,3-エピチオプロピルジチオエチルチオ)-4-チアヘキサン、1,2,3-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,1,1,1-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)メタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2-チアプロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2,3-ジチアブタン、1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン、1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メタン、1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン、1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)エタン、1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)プロパン、2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メチル]-1,3-ジチエタン、2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メチル]-1,3-ジチエタン等を挙げることができる。
(チエタニル系化合物)
チエタニル系化合物は、1分子内に2個以上のチエタニル基を有するチエタン化合物である。チエタニル基は、開環重合し得る重合性基である。チエタニル系化合物の中には、複数のチエタニル基と共にエピスルフィド基を有するものがある。かかる化合物は、上記のエピスルフィド系化合物の例に挙げられている。その他のチエタニル系化合物には、分子内に金属原子を有している含金属チエタン化合物と、金属を含んでいない非金属系チエタン化合物とがある。
非金属系チエタン化合物の具体例としては、ビス(3-チエタニル)ジスルフィド、ビス(3-チエタニル)スルフィド、ビス(3-チエタニル)トリスルフィド、ビス(3-チエタニル)テトラスルフィド、1,4-ビス(3-チエタニル)-1,3,4-トリチアブタン、1,5-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5-テトラチアペンタン、1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,4,6-テトラチアヘキサン、1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,5,6-テトラチアヘキサン、1,7-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5,7-ペンタチアヘプタン、1,7-ビス(3-チエタニルチオ)-1,2,4,6,7-ペンタチアヘプタン、1,1-ビス(3-チエタニルチオ)メタン、1,2-ビス(3-チエタニルチオ)エタン、1,2,3-トリス(3-チエタニルチオ)プロパン、1,8-ビス(3-チエタニルチオ)-4-(3-チエタニルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,8-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-5,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[[2-(3-チエタニルチオ)エチル]チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、ビスチエタニルスルフィド、ビス(チエタニルチオ)メタン、3-[<(チエタニルチオ)メチルチオ>メチルチオ]チエタン、ビスチエタニルジスルフィド、ビスチエタニルトリスルフィド、ビスチエタニルテトラスルフィド、ビスチエタニルペンタスルフィド、1,4-ビス(3-チエタニルジチオ)-2,3-ジチアブタン、1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオ)メタン、1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオメチルチオ)メタン、1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオ)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオメチルチオ)エタン等を挙げることができる。
含金属チエタン化合物としては、分子内に、金属原子として、Sn原子、Si原子、Ge原子、Pb原子等の14族の原子、Zr原子、Ti原子等の4族の元素、Al原子等の13族の原子、Zn原子等の12族の原子等を含むものが挙げられる。具体例としては、アルキルチオ(チエタニルチオ)スズ、ビス(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、アルキルチオ(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(チエタニルチオ)環状ジチオスズ化合物、アルキル(チエタニルチオ)スズ化合物等が挙げられる。
アルキルチオ(チエタニルチオ)スズの具体例としては、メチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、プロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ等を例示できる。
ビス(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズの具体例としては、ビス(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(エチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等を例示できる。
アルキルチオ(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズの具体例としては、エチルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、メチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等を例示できる。
ビス(チエタニルチオ)環状ジチオスズ化合物の具体例としては、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンネタン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンノラン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンニナン、ビス(チエタニルチオ)トリチアスタンノカン等を例示できる。
アルキル(チエタニルチオ)スズ化合物の具体例としては、メチルトリス(チエタニルチオ)スズ、ジメチルビス(チエタニルチオ)スズ、ブチルトリス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)ゲルマニウム、トリス(チエタニルチオ)ビスマス等を例示できる。
(ポリアミン化合物)
ポリアミン化合物は、一分子中にNH基を2つ以上有する化合物であり、ポリイソシアネートとの反応でウレア結合を形成することができ、ポリイソチオシアネートとの反応でチオウレア結合を形成することができる。ポリアミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、プトレシン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノ-ル、ジエチレントリアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、メラミン、1,3,5-ベンゼントリアミン等が挙げられる。
(エポキシ系化合物)
エポキシ系化合物は、分子内にエポキシ基を有する化合物である。エポキシ基は、開環重合し得る重合性基である。エポキシ系化合物は、一般に、脂肪族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および芳香族エポキシ化合物に分類される。
脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、エチレンオキシド、2-エチルオキシラン、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2,2’-メチレンビスオキシラン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環族エポキシ化合物の具体例としては、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス-2,2-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物の具体例としては、レゾールシンジグリシジルエーテル、ビスフェノ-ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、上記以外にも、エポキシ基と共に、分子内に硫黄原子を有するエポキシ系化合物も使用することができる。このような含硫黄原子エポキシ系化合物には、鎖状脂肪族系のものと環状脂肪族系のものとがある。
鎖状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系化合物の具体例としては、ビス(2,3-エポキシプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)エタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルプロパン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルブタン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ペンタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルペンタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3-チアペンタン、1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルヘキサン、3,8-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3,6-ジチアオクタン、1,2,3-トリス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)プロパン、2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1-(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン等が挙げられる。
環状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系化合物の具体例としては、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[<2-(2,3-エポキシプロピルチオ)エチル>チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン等が挙げられる。
(ラジカル重合性基を有する化合物)
ラジカル重合性基を有する化合物は、ラジカル重合し得る重合性基である。ラジカル重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
以下において、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる重合性基を有する化合物を、「(メタ)アクリレート化合物」と呼ぶ。(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ-ト、テトラエチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールビスグリシジル(メタ)アクリレ-ト、ビスフェノ-ルAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノ-ルFジ(メタ)アクリレート、1,1-ビス(4-(メタ)アクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-(メタ)アクロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト-ルテトラ(メタ)アクリレート、メチルチオ(メタ)アクリレート、フェニルチオ(メタ)アクリレート、ベンジルチオ(メタ)アクリレート、キシリレンジチオールジ(メタ)アクリレート、メルカプトエチルスルフィドジ(メタ)アクリレート、2官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アリル基を有する化合物(アリル化合物)の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレ-ト、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカ-ボネート、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、メタクリロイルオキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メタクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
ビニル基を有する化合物(ビニル化合物)としては、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9-ジビニルスピロビ(m-ジオキサン)等が挙げられる。
上記フォトクロミック物品は、耐久性向上のための保護層、反射防止層、撥水性または親水性の防汚層、防曇層、層間の密着性向上のためのプライマー層等の光学物品の機能性層として公知の層の1層以上を任意の位置に含むことができる。
上記フォトクロミック物品の一形態は、光学物品であり、光学物品としては、眼鏡レンズ、ゴーグル用レンズ、サンバイザーのバイザー(ひさし)部分、ヘルメットのシールド部材等を挙げることもできる。例えば、これらの光学物品用の基材上に上記硬化性組成物を塗布し、塗布された組成物に硬化処理を施すことによりフォトクロミック層を形成することによって、防眩機能を有する光学物品を得ることができる。
[眼鏡]
本発明の一態様は、上記フォトクロミック物品の一形態である眼鏡レンズを備えた眼鏡に関する。この眼鏡に含まれる眼鏡レンズの詳細については、先に記載した通りである。上記眼鏡は、かかる眼鏡レンズを備えることにより、例えば屋外ではフォトクロミック化合物が太陽光の照射を受けて発色することでサングラスのように防眩効果を発揮することができ、屋内に戻るとフォトクロミック化合物が退色することで透過性を回復することができる。上記眼鏡について、フレーム等の構成については、公知技術を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。
以下において、分子構造の同定には核磁気共鳴装置(NMR)、赤外分光装置(IR)および融点測定の1つ以上を用いた。
[実施例1]
Figure 2022158952000014
<化合物1の合成>
以下に示す合成スキームにしたがって化合物1((1r,3r,5r,7r)-4’-シクロプロピル-5’H-スピロ[アダマンタン-2,8’-チエノ[2,3-f]イソベンゾフラン]-5’,7’(7a’H)-ジオン)を合成した。
Figure 2022158952000015
化合物7は、上記合成スキームにしたがい、C.J.Thomas,M.A.Wolak,R.R.BirgeおよびW.J.Lees.J.Org.Chem.,2001,66,1914-1918に記載の方法によって合成した。
化合物14は、上記合成スキームにしたがい、WO2011/042918に記載の方法によって合成した。
化合物27と化合物28との混合物から、以下の方法によって化合物1を得た。
化合物27と化合物28との混合物(2.00g,5.46mmol)を、液温80℃の脱気したトルエンに溶解してトルエン溶液を調製した。調製したトルエン溶液にNフロー下で4日間紫外線(波長365nm)を照射した。その後、加熱したトルエンからの結晶化によって化合物27を除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(Aldrich silica gel 60Å70-230 mesh 63-200μm;溶離液:トルエン)により、淡黄色粉末として化合物1を得た(0.74g,37%)。
化合物1: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 0.91-0.96 (1H, m, CH), 1.17-1.26 (3H, m, CH), 1.54- 1.97 (10H, m, CH), 2.317-2.322 (1H, m, CH), 2.53 (1H, app. s, CH), 2.83-2.89 (1H, m, CH), 3.03-3.07 (1H, m, CH), 3.31-3.36 (1H, m, CH), 3.93 (1H, d, J = 1.1 Hz, CH), 7.09 (1H, d, J = 5.4 Hz, Ar-H), 7.19 (1H, d, J = 5.4 Hz, Ar-H) ppm.
<フォトクロミック性能の評価>
上記化合物1を、安定剤を含有しないクロロホルムに溶解し、化合物1のクロロホルム溶液を調製した。
調製した溶液を入れた1cm角の石英分光セルに蓋をし、未照射時の視感透過率(Tini)、および疑似太陽光を一定時間照射して着色が飽和した時間における視感透過率(Tact)を紫外可視分光光度計(島津製作所製UV-1900i、測定波長:800~250nm、波長2nm刻み、高速モード)による測定によって求めた。測定は、室温(23℃)で行った。なお、溶液の濃度は第一吸収波長(最も長波長に観察される吸収強度のピーク)の吸光度が0.95~1.05になるように調整した。ダイナミックレンジ「(Tini)-(Tact)」は、無色体に対する着色体の着色の程度の指標とすることができ、この値が大きいほど、フォトクロミック性能に優れるということができる。
<退色速度の評価>
上記化合物1を濃度1質量部でフォトクロミック層に含む眼鏡レンズの退色速度を以下の方法によって評価した。上記化合物の濃度は、フォトクロミック層形成のために使用した硬化性組成物における重合性化合物の合計量100質量部に対するフォトクロミック化合物の含有量を示す。
眼鏡レンズのフォトクロミック層に対し、キセノンランプを使用してエアロマスフィルターを介して15分間(900秒)、フォトクロミック層の表面に対して光を照射し、フォトクロミック層中のフォトクロミック化合物を発色させた。その後、光照射を停止した。上記光照射は、JIS T7333:2005に規定されているように放射照度および放射照度の許容差が下記表1に示す値となるように行った。
Figure 2022158952000016
光照射の停止後、所定時間(30秒間)における視感透過率の変化量を所定時間で除した値を退色速度Tと定め、表2に示す。Tが大きいほど、退色速度が速いことを意味する。
[実施例2]
Figure 2022158952000017
<化合物2の合成>
以下に示す合成スキームにしたがって化合物2((1R,3R)-4’-シクロプロピル-2’-(4-(ヘキシロキシ)フェニル)-5’H-スピロ[アダマンタン-2,8’-チエノ[2,3-f]イソベンゾフラン]-5’,7’(7a’H)-ジオン)を合成した。
Figure 2022158952000018
化合物10は、上記合成スキームにしたがい、WO2010/065383に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物10(5-ブロモチオフェン-3-カルボン酸)を合成した。
臭素(9mL,0.2mol)を氷酢酸(190mL)と混合して調製した溶液を、チオフェン-3-カルボン酸(24.00g,0.1873mol)を氷酢酸(190mL)と混合して調製した溶液に滴下して添加した。室温下で90分間撹拌した後、クルード(粗生成物)を氷浴(1L)に注ぎ入れた。白色の析出物をろ過し、温水(200mL)を添加してトリチュレーションし、ろ過し、水(3×100mL)ですすぎ洗いし、減圧下で乾燥させた。加熱したエタノールから結晶化させたところ、白色の固体結晶(15.45g,40%)として対応する生成物が得られた。
化合物11は、上記合成スキームにしたがい、WO2009/130193に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物11(5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチルチオフェン-3-カルボキサミド)を合成した。
氷塩浴で冷却した5-ブロモチオフェン-3-カルボン酸(13.50g,65.20mmol)のジクロロメタン(450mL)溶液に、塩化チオニル(25mL,345mmol)を添加した。室温下で30分間撹拌した後、反応混合物を3時間30分還流させた(凝縮装置の上端にCaCl乾燥管を取り付けた)。室温に冷却した後、クルードを蒸発乾燥させたところ、黄色粉末が得られた。N,O-ジメチルヒドロキシアミンハイドロクロライド(7.00g,71.8mmol)を添加し、固体をジクロロメタン(250mL)に懸濁させた。窒素雰囲気下、0℃で、得られた混合物にトリエチルアミン(18.0mL,129mmol)を滴下して混合した。室温下で3時間撹拌した後、クルードを水(200mL)に注ぎ入れた。相分離した水相をジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機相を水(2×150mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させたところ、目的生成物が琥珀色の油状物(12.59g,62%,純度=80%)として得られた。ここで得られた生成物を、更に精製することなく次の工程で使用した。
化合物12は、上記合成スキームにしたがい、WO2008/156601に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物12((5-ブロモチオフェン-3-イル)(シクロプロピル)メタノン)を合成した。
削状マグネシウム(0.55g,22.6mmol)および少量のヨウ素の結晶を、乾燥した三口250mL丸底フラスコ(凝縮装置付き)に添加し、窒素雰囲気下、ヒートガン(heat gun)によって加熱した。その後、乾燥THF(14mL)を窒素雰囲気下で添加し、撹拌しながら加熱した。その後、反応が自動継続するまで(反応混合物がオレンジ色から無色になるまで)、窒素雰囲気下、ヒートガンで時折加熱しながら、ブロモシクロプロパン(1.7mL,21mmol)を数回に分けて添加した。削状マグネシウムが消費された後、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチルチオフェン-3-カルボキサミド(80%,5.53g,17.7mmol)を滴下して添加した。窒素雰囲気下、54℃で一晩、反応混合物を撹拌した後、0℃でHCl(2M)を添加してクエンチさせた。その後、水(100mL)を添加し、酢酸エチル(2×100mL)によって水相を抽出し、有機相を水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させた。得られたオレンジ色の油状物(5.25g)をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Aldrichsilica gel 60Å 230-400 mesh 40-63μm;溶離液:酢酸エチルのヘキサン溶液、酢酸エチル濃度を10%から50%まで次第に上昇させた)処理をし、目的生成物が黄色の油状物として得られた(0.48g,12%)。
化合物17は、W.L.Cody,D.D.Holsworth,N.A.Powell,M.Jalaie,E.Zhang,W.Wang,B.Samas,J.Bryant,R.Ostroski,M.J.RyanおよびJ.J.Edmunds,Bioorg.Med.Chem.,2005,13,59-68に記載の方法によって合成した。
化合物39は、上記合成スキームにしたがい、WO2008/030226に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物39(シクロプロピル (5-(4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メタノン)を合成した。
(5-ブロモチオフェン-3-イル)(シクロプロピル)メタノン(9.51g,41.1mmol)、(4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)ボロン酸(14.67g,49.85mmol)、KCO(6.25g,45.2mmol)およびPd(PPh(2.44g,2.11mmol)をトルエン(490mL)およびエタノール(490mL)と混合した混合物を脱気し、脱気した混合物を窒素雰囲気下、還流しながら16時間加熱した。その後、混合物を蒸発乾燥させ、酢酸エチル(100mL)中に懸濁させ、セライト(celite)のプラグに通してろ過した。ろ液(filtrate)を減圧乾燥し(reduced)、水(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去したところ、茶色の油状物(22.13g)が得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィー[Aldrich silica gel(60Å 40-63μm),溶離液:酢酸エチルを濃度10%で石油に混合]によって精製した後に石油(petroleum)によって再結晶したところ、白色の固体結晶として対応する生成物が単離された(10.28g,62%)。
化合物39:vmax (neat) 2943, 2864, 1661, 1641, 1603, 1536, 1503, 1446, 1406, 1262, 1173, 1012, 880, 844, 726, 685 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 0.99 - 1.32 (25H, m, CH), 2.49 - 2.55 (1H, m, 2′-H), 6.90 (2H, app. d, J = 8.7 Hz, 3′,5′-H), 7.48 (2H, app. d, J = 8.7 Hz, 2′,6′-H), 7.65 (1H, d, J = 1.3 Hz, 4-H), 7.99 (1H, d, J = 1.3 Hz, 2-H) ppm; 13C{1H} NMR (100 MHz, CDCl3) δC 11.4, 12.7, 17.9, 18.0, 120.4, 121.2, 126.6, 127.2, 129.9, 143.7, 145.3, 156.4, 194.8 ppm.
化合物41は、上記合成スキームにしたがい、W.Wu,R.Xu,L.ZhangおよびS.You,Chem.Sci.,2016,7,3427-3431に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法(1)および(2)によって化合物41(シクロプロピル(5-(4-ヒドロキシフェニル)チオフェン-3-イル)メタノン)を合成することができた。
方法(1):シクロプロピル(5-(4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メタノン(1.00g,2.50mmol)をTHF(50.0mL)と混合して調製した溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド溶液(1M in THF,2.8mL,2.8mmol)を0℃で滴下して添加した。溶液温度を室温に到達させ、溶液を83分間撹拌した。その後、クルードを蒸発乾燥させ、残渣をジクロロメタン(50mL)中に回収し、水(2×50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させたところ、淡黄色粉末(1.10g)が得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィー[Aldrich silica gel(60Å,40-63μm),溶離液:酢酸エチルを石油に混合、酢酸エチル濃度を10%から30%まで上昇させた]によって、淡黄色粉末として対応する生成物を単離した(0.56g,92%)。
方法(2):シクロプロピル(5-(4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メタノン(9.13g,22.8mmol)をTHF(450mL)と混合して調製した溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド溶液(1M in THF,23mL,23mmol)を0℃で滴下して混合した。溶液温度を室温に到達させ、溶液を78分撹拌した。その後、クルードを蒸発乾燥させ、残渣をジクロロメタン(100mL)中に回収し,水(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させたところ、黄色粉末(10.43g)が得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィー[Aldrich silica gel(60Å,40-63μm),溶離液:酢酸エチルを石油に混合、酢酸エチル濃度を10%から50%まで上昇させた]によって淡黄色粉末(5.55g)が得られた。これを石油と数滴の酢酸エチルからトリチュレーションしたところ、白色粉末として、対応する生成物が得られた。
化合物41:vmax (neat) 3366 (br), 1641, 1606, 1449, 1410, 1204, 1167, 1022, 960, 900, 824, 716, 627 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δH 0.99 - 1.05 (3H, m, CH), 1.21 - 1.26 (2H, m CH), 2.48 - 2.56 (1H, m, 2′-H), 5.78 (1H, s, OH), 7.15 (2H, app. d, J = 8.8 Hz, 3′′,5′′-H), 7.57 (2H, app. d, J = 8.8 Hz, 2′′,6′′-H), 7.67 (1H, d, J = 1.3 Hz, 4-H), 8.01 (1H, d, J = 1.3 Hz, 2-H) ppm; 13C{1H} NMR (100 MHz, CDCl3) δC 11.5, 18.1, 115.9, 121.3, 126.5, 127.5, 130.0, 143.7, 145.1, 155.8, 195.0 ppm; HRMS (ESI) found [M+H]+ = 245.0630 C14H12O2S requires [M+H]+ = 245.0636.
化合物43は、上記合成スキームにしたがい、K.Cantin,A.Lafleur-Lambert,P.DufourおよびJ.Morin,Eur.J.Org.Chem.,2012,5335-5349に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物43(シクロプロピル (5-(4-(ヘキシロキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メタノン)を合成した。
シクロプロピル(5-(4-ヒドロキシフェニル)チオフェン-3-イル)メタノン(5.07g,20.8mmol),1-ヨードヘキサン(3.2mL,22mmol)および無水KCO(14.40g,104.2mmol)を無水2-ブタノン(78mL)と混合した混合物を、23時間、窒素雰囲気下、還流しながら加熱した。その後、1-ヨードヘキサン(1.6mL,11mmol)を添加し、21時間、窒素雰囲気下、反応混合物を還流しながら撹拌した。再度、1-ヨードヘキサン(0.8mL,5.4mmol)を添加し、3時間、窒素雰囲気下、反応混合物を還流しながら撹拌した。クルードを室温に冷却し、水(200mL)に注ぎ入れ、クロロホルム(3×100mL)によって水相を抽出し、有機物の混合物を水(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させた。残渣(10g)を石油(100mL)からトリチュレーションし、ろ過し、石油(2×50mL)によってすすぎ洗いし、減圧下で乾燥させたところ、白色粉末(5.40g,79%)として目的生成物が得られた。
化合物7は、上記合成スキームにしたがい、C.J.Thomas,M.A.Wolak,R.R.BirgeおよびW.J.Lees.J.Org.Chem.,2001,66,1914-1918に記載の方法によって合成した。具体的には、以下の方法によって化合物7(ジエチル2-((1r,3r,5R,7S)-アダマンタン-2-イリデン)サクシネート)を合成した。
カリウムtert-ブトキシド(12.90g,115.0mmol)をtert-ブチルアルコール(114mL)と混合して調製した溶液に、ジエチルサクシネート(19.0mL,114mmol)を添加した。5分後、2-アダマンタノン(17.25g,114.8mmol)を添加した後に溶液を還流しながら撹拌した。30分後、クルードが溶液から析出し(crashed out of solution)、tert-ブチルアルコール(100mL)を追加添加し、不均一な混合物を22時間還流しながら撹拌した。その後、クルードを0℃に冷却し、23mLのHCl(37%濃HClを用いて50%w/wに調整)を添加し、有機残渣を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させた。得られた残渣をエタノール(470mL)中に懸濁させ、濃HCl(37%,9.0mL)をゆっくり添加した。室温で2日間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHCO溶液(100mL)によってクエンチさせた。その後、減圧下でアルコールを除去し、残渣を酢酸エチル(100mL)によって抽出し、水(100mL)によって洗浄し、無水NaSOによって乾燥させ、ろ過し、蒸発乾燥させた。バルブ-トゥー-バルブ蒸留(140℃、2×10-1torr)によって昇華した固体不純物と混合したコハク酸ジエチルが除去され、濃赤色の油状物として対応する生成物(21.98g,63%)が得られた。
化合物7:vmax (neat) 2982, 1733, 1716, 1368, 1282, 1174, 1076, 1028 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 1.09 - 1.34 (6H, m, (CH3)2), 1.67 - 1.81 (12H, m, CH), 2.69 (1H, s, CH), 3.22 (2H, s, CH2), 3.54 (1H, s, CH), 3.96 - 4.04 (4H, m, (CH2)2) ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δC 14.0, 14.1, 27.5, 34.4, 34.5, 34.9, 36.5, 38.9, 39.1, 60.0, 60.4, 114.3, 162.3, 168.3, 171.3 ppm; HRMS (ESI) found [M+Na]+ = 329.1726 C18H26O4 requires [M+Na]+= 329.1729.
化合物2は、上記合成スキームにしたがい、以下の方法によって合成した。
ジエチル2-(アダマンタン-2-イリデン)ペンタンジオエート(2.06g,6.70mmol)を無水トルエン(25mL)に混合して調製した溶液を、窒素雰囲気下、室温で、NaH[鉱油中60%分散物](0.27g,6.72mmol)を無水トルエン(25mL)に混合して調製した懸濁液に滴下して添加した。この懸濁液を60℃に加熱し、エタノールを1滴添加した。その後、無水トルエン(25mL)にシクロプロピル(5-(4-(ヘキシロキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メタノン(2.00g,6.09mmol)を混合して調製した溶液を60℃で滴下して添加し、エタノールを1滴添加した後、窒素雰囲気下、60℃で3日間、反応混合物を撹拌した。クルードを室温に冷却し、撹拌しながら氷中(200mL)にゆっくり注いだ後、HCl(2M)を添加して酸性に調整した(pH=1~2)。相分離した水相を酢酸エチルで抽出し(3×100mL)、有機物の混合物を水(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発により乾燥させたところ、濃いオレンジ色の油状物が得られた。2-(アダマンタン-2-イリデン)-4-シクロプロピル-3-(エトキシカルボニル)-4-(5-(4-(ヘキシロキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)ブト-3-エノイックアシッドの立体異性混合物を、21時間、10%水酸化カリウムエタノール溶液(74.0mL)中で還流させた。その後、クルードを蒸発乾燥させ、水中(200mL)に懸濁させ、水相を酢酸エチル(2×100 mL)で洗浄した。その後、HCl(2M)を添加して水相を酸性に調整した(pH=1~2)。水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発により乾燥させたところ、赤色の泡状物(3.13 g)が得られた。これを無水酢酸(50mL)に溶解し、6分間加熱還流させた。反応混合物を室温に冷却し、無水酢酸を蒸発させて除去したところ、茶色油状物が得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(Aldrich silica gel 60Å 230-400 mesh 40-63μm;溶離液:を酢酸エチル濃度10%で石油に混合)による精製によって、Z-フルギド(化合物48)(0.32g,10%)およびE-フルギド(化合物49)(0.47g,14%)が得られた。
3-(アダマンタン-2-イリデン)-4-(シクロプロピル(5-(4-(ヘキシロキシ)フェニル)チオフェン-3-イル)メチレン)ジヒドロフラン-2,5-ジオンの立体異性混合物(2.36g,4.35mmol)を、4日間、室温下、窒素雰囲気中で紫外線を照射(2W,波長365nm)しながら、脱気したトルエン(38mL)中で撹拌した。その後、クルードを蒸発により乾燥させた。得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィーを2回通した:1回目-Aldrich silica gel 60Å 230-400mesh 40-63μm;溶離液:酢酸エチルを濃度10%で石油に混合、2回目-Aldrich silica gel 60Å 230-400mesh 40-63μm;溶離液:酢酸エチルを濃度2%でトルエンに混合。目的生成物が油状物として単離された。単離された油状物を減圧下で固化したところ黄色粉末(0.15g,6%)が得られた。
化合物2:mp = 162-165℃; vmax (neat) 2916, 2854, 1810, 1754, 1607, 1503, 1227, 1176, 1022, 922, 824 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 0.90 - 1.02 (4H, m, CH), 1.17 - 1.30 (4H, m, CH), 1.33 - 1.37 (4H, m, CH), 1.44 - 1.51 (2H, m, CH), 1.62 - 1.83 (8H, m, CH), 1.90 - 1.99 (3H, m, CH), 2.33 (1H, s, CH), 2.53 (1H, s, CH), 2.85 - 2.78 (1H, m, CH), 3.09 (1H, d, J = 14 Hz, CH), 3.34 (1H, d, J = 14 Hz, CH) 3.97 - 4.00 (3H, m, hexyl, 3-H), 6.92 (2H, app. d, J = 8.8 Hz, 3',5'-H), 7.12 (1H, s, 7- H), 7.48 (2H, app. d, J = 8.78 Hz, 2',6'-H) ppm; 13C{1H} NMR (100 MHz, CDCl3) δC 9.1, 9.5, 12.6, 14.1, 22.6, 25.7, 26.8, 27.6, 29.2, 31.6, 31.8, 33.1, 33.9, 34.6, 36.5, 38.1, 39.2, 51.9, 54.9, 68.2, 115.0, 117.3, 119.0, 125.5, 127.1, 136.6, 142.4, 152.9, 153.8, 159.3, 162.4, 171.3 ppm; HRMS (ESI) found [M+H]+ = 543.2566 C34H38O4S requires [M+H]+ = 543.2569.
<フォトクロミック性能の評価>
上記化合物2のフォトクロミック性能を、実施例1について記載した方法によって評価した。
[比較例1~4]
下記比較化合物1~4のフォトクロミック性能を、実施例1について記載した方法によって評価した。
比較化合物1、2については、実施例1について記載した方法によって退色速度の評価も行った。
Figure 2022158952000019
Figure 2022158952000020
Figure 2022158952000021
Figure 2022158952000022
以上の結果を、表2に示す。
Figure 2022158952000023
実施例1、2において評価した化合物1、2は、一般式(1)で表される化合物である。これら化合物は、無色体の構造が閉環構造である。
これに対し、比較例1~4において評価した比較化合物1~4は、無色体の構造が開環構造である。
表2中の実施例1、2の評価結果と比較例1~4の評価結果との対比から、無色体が閉環構造である一般式(1)で表される化合物がフォトクロミック性能に優れること、更には光照射後に速い退色速度で退色できることが確認できる。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物が提供される。
一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物は、優れたフォトクロミック性能を示すことができる。また、一形態では、一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物は、光照射後の退色速度が速いフォトクロミック化合物であることもできる。
一形態では、一般式(1)中、Xは、酸素原子を表すことができる。
一態様によれば、上記フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック物品が提供される。
一形態では、上記フォトクロミック化合物は。少なくとも、基材と、上記フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、を有することができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、眼鏡レンズであることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、ゴーグル用レンズであることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、サンバイザーのバイザー部分であることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、ヘルメットのシールド部材であることができる。
一態様によれば、上記眼鏡レンズを備えた眼鏡が提供される。
本明細書に記載の各種態様および形態は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、眼鏡、ゴーグル、サンバイザー、ヘルメット等の技術分野において有用である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるフォトクロミック化合物。
    Figure 2022158952000024
    (一般式(1)中、
    Xは、酸素原子または無置換もしくは下記Y群から選ばれる置換基によって置換された窒素原子を表し、
    群:-R、-A(B(A(B、-A、-A
    は、シアノ基、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、
    は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル基を表し、
    は、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を表し、
    、A、AおよびAは、それぞれ独立に、それぞれ置換基を有していてもよいアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基またはアルキルシクロアルカン-ジイル基を表し、
    は、置換基を有していてもよいナフチル基を表し、
    およびBは、それぞれ独立に下記群から選ばれる二価の基のいずれか1つを表し、
    Figure 2022158952000025
    l、mおよびnは、それぞれ独立に0または1であり、ただしmが0のときnは0であり、
    は、水素原子または前記Y群から選ばれる置換基を表し、
    Rは、水素原子、トリフルオロメチル基、または置換基を有していてもよいシクロプロピル基を表し、
    Figure 2022158952000026
    は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕ノニリデン基またはアダマンチリデン基を表す。)
  2. 前記Xは酸素原子を表す、請求項1に記載のフォトクロミック化合物。
  3. 請求項1または2に記載のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック物品。
  4. 少なくとも、基材と、前記フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、を有する、請求項3に記載のフォトクロミック物品。
  5. 眼鏡レンズである、請求項3または4に記載のフォトクロミック物品。
  6. ゴーグル用レンズである、請求項3または4に記載のフォトクロミック物品。
  7. サンバイザーのバイザー部分である、請求項3または4に記載のフォトクロミック物品。
  8. ヘルメットのシールド部材である、請求項3または4に記載のフォトクロミック物品。
  9. 請求項5に記載の眼鏡レンズを備えた眼鏡。
JP2022026473A 2021-03-31 2022-02-24 フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡 Pending JP2022158952A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US17/708,714 US20220325171A1 (en) 2021-03-31 2022-03-30 Photochromic compound, photochromic article and eyeglasses
EP22165764.6A EP4067362A1 (en) 2021-03-31 2022-03-31 Photochromic compound, photochromic article and eyeglasses

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021062096 2021-03-31
JP2021062096 2021-03-31

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022158952A true JP2022158952A (ja) 2022-10-17

Family

ID=83638533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022026473A Pending JP2022158952A (ja) 2021-03-31 2022-02-24 フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022158952A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230416218A1 (en) Photochromic compound, photochromic composition, photochromic article and eyeglasses
JP2023175687A (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック組成物、フォトクロミック物品及び眼鏡
EP4354189A1 (en) Photochromic compound, photochromic composition, photochromic article, and eyeglasses
JP2022158952A (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡
EP4067362A1 (en) Photochromic compound, photochromic article and eyeglasses
JP2022158953A (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック物品および眼鏡
US20220315831A1 (en) Photochromic compound, photochromic article and eyeglasses
WO2022075330A1 (ja) 光学物品、眼鏡及びフォトクロミック化合物
JP2007269648A (ja) 有機ゲルマニウム化合物およびその製造方法
JP3705993B2 (ja) 金属含有エピスルフィド化合物およびその製造方法
WO2022191334A1 (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック組成物、フォトクロミック物品及び眼鏡
WO2023145962A1 (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック組成物、フォトクロミック物品及び眼鏡
WO2023145963A1 (ja) フォトクロミック化合物、フォトクロミック組成物、フォトクロミック物品及び眼鏡
JP4751044B2 (ja) 光学製品
CN116745383A (zh) 光致变色组合物、光致变色物品及眼镜