JP2022158839A - ガラス基材、ガラス積層体、表示装置および電子機器 - Google Patents

ガラス基材、ガラス積層体、表示装置および電子機器 Download PDF

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Makoto Nanami
高徳 前田
Takanori Maeda
崇 網江
Takashi Amie
一義 佐竹
Kazuyoshi Satake
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Abstract

【課題】耐屈曲性および端部の耐衝撃性が良好なガラス基材およびガラス積層体を提供する。【解決手段】第1面1Aに対向する第2面1Bと、上記第1面1Aおよび上記第2面1Bを接続する側面1Cと、を有するガラス基材であって、上記ガラス基材の厚さが100μm以下であり、上記側面1Cが、上記第1面1Aに接続され、上記第1面1Aの端部から外側に向けて上記第1面1Aに対して上記第2面1B側に傾斜して延びる傾斜部2aを有し、上記傾斜部2aの、上記ガラス基材の第1面1A方向の幅が0.05μm以上9.00μm以下であり、上記傾斜部2aの、上記ガラス基材の厚さ方向の長さが0.05μm以上5.00μm以下である、ガラス基材。【選択図】図1

Description

本開示は、ガラス基材、それを用いたガラス積層体、表示装置および電子機器に関する。
従来、表示装置には、表示装置を保護する目的で、ガラス製や樹脂製のカバー部材が用いられている。このカバー部材は、表示装置を衝撃や傷から保護するものであり、強度、耐衝撃性、耐傷性等が求められる。ガラス製のカバー部材は、表面硬度が高く傷が付きにくい、透明度が高い等の特徴があり、樹脂製のカバー部材は、軽量、割れにくいといった特徴がある。また、一般にカバー部材の厚さが厚いほど表示装置を衝撃から保護する機能が高く、重量やコスト、表示装置のサイズ等から、カバー部材の材質や厚さが適宜選択されて用いられている。
近年、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイの開発が盛んに行われており、中でも、フォルダブルディスプレイ、すなわち折り曲げられる表示装置の開発が進められている。
折れ曲げられる表示装置においては、カバー部材も表示装置の動きに追随して曲がる必要があることから、折り曲げることができるカバー部材が適用されている。樹脂製のカバー部材の場合、化学構造の工夫により無色透明化したポリイミドやポリアミドイミドのフィルムが開発されている(例えば特許文献1参照)。また、ガラス製のカバー部材の場合、超薄板ガラス(Ultra-Thin Glass;UTG)等のようにガラスを薄くすることで折り曲げることができるようにしたカバー部材の検討が進められている(例えば特許文献2~5参照)。ガラスの中でも、特に、耐屈曲性が高いのは、化学強化ガラスといわれるもので、ガラス表面に膨張する応力を内在させることにより、ガラス表面に生じた微小な傷が屈曲時に大きくならないようにすることで、ガラスを割れにくくしている。
特開2019-137864号公報 特表2020-521699号公報 国際公開第2016/194785号 特表2016-508954号公報 国際公開第2020/095415号
しかしながら、ガラス基材が薄くなるほど、耐衝撃性が低下し、特に端部の耐衝撃性が低下する。中でも、化学強化ガラスの場合、化学強化ガラスを切断加工すると、ガラス基材の切断面には、化学強化ガラスの表面に形成される圧縮応力層が存在しないことになるため、ガラス基材の切断面では強度が低下する。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐屈曲性および端部の耐衝撃性が良好なガラス基材およびガラス積層体を提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、第1面と、上記第1面に対向する第2面と、上記第1面および上記第2面を接続する側面と、を有するガラス基材であって、上記ガラス基材の厚さが100μm以下であり、上記側面が、上記第1面に接続され、上記第1面の端部から外側に向けて上記第1面に対して上記第2面側に傾斜して延びる傾斜部を有し、上記傾斜部の、上記ガラス基材の第1面方向の幅が0.05μm以上9.00μm以下であり、上記傾斜部の、上記ガラス基材の厚さ方向の長さが0.05μm以上5.00μm以下である、ガラス基材を提供する。
本開示におけるガラス基材においては、上記傾斜部の上記ガラス基材の厚さ方向の長さbに対する、上記傾斜部の上記ガラス基材の第1面方向の幅aの比(a/b)が、1.8以上20.0以下であることが好ましい。
また、本開示におけるガラス基材においては、上記傾斜部が、外側に凸となる曲面を有することが好ましい。
また、本開示におけるガラス基材においては、上記側面の最大高さSzが1.5μm以下であることが好ましい。
また、本開示におけるガラス基材においては、上記側面において、厚さ方向に十等分してなる各領域を、上記第1面側から上記第2面側へ向けた順番で、第1領域から第10領域とした場合であって、上記側面の第1領域から第10領域の最大高さをそれぞれ、第1領域から第10領域に向けた順番で、Sz1からSz10とした場合に、下記式(1)~(3)の関係を満たすことが好ましい。
Sz1>Sz4 (1)
Sz1>Sz5 (2)
Sz1>Sz6 (3)
また、本開示におけるガラス基材においては、上記側面が、上記傾斜部および上記第2面を接続する平面部を有することが好ましい。
また、本開示におけるガラス基材は、化学強化ガラスであることが好ましい。
また、本開示におけるガラス基材は、上記ガラス基材の上記第1面が外側になるように折りたたみ可能な表示装置に用いられることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、上述のガラス基材と、上記ガラス基材の第1面側および第2面側の少なくとも一方に配置された樹脂層と、を有する、ガラス積層体を提供する。
本開示におけるガラス積層体においては、上記樹脂層が、上記ガラス基材の上記第2面側に配置されていることが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、全光線透過率が85%以上であり、ヘイズが1.5%以下であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述のガラス基材あるいは上述のガラス積層体と、を備える表示装置を提供する。
本開示における表示装置は、上記ガラス基材の第1面が外側になるように折りたたみ可能であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、上述の表示装置を備える、電子機器を提供する。
本開示においては、耐屈曲性および端部の耐衝撃性が良好なガラス基材およびガラス積層体を提供することができるという効果を奏する。
本開示におけるガラス基材を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略平面図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略斜視図である。 本開示におけるガラス基材を例示する概略断面図である。 U字屈曲試験を説明するための模式図である。 本開示におけるガラス積層体を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス積層体を例示する概略断面図である。 本開示におけるガラス積層体を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置を例示する概略断面図である。 衝撃試験を説明するための模式図である。 最大高さSzの測定方法を説明する説明図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示におけるガラス基材、ガラス積層体、表示装置および電子機器について詳細に説明する。
A.ガラス基材
本開示におけるガラス基材は、第1面(以下、第1主面とする場合がある。)と、上記第1主面に対向する第2面(以下、第2主面とする場合がある。)と、上記第1主面および上記第2主面を接続する側面と、を有するガラス基材であって、厚さが100μm以下であり、上記側面が、上記第1主面に接続され、上記第1主面の端部から外側に向けて上記第1主面に対して上記第2主面側に傾斜して延びる傾斜部を有し、上記傾斜部の、上記ガラス基材の第1主面方向の幅が0.05μm以上9.00μm以下であり、上記傾斜部の、上記ガラス基材の厚さ方向の長さが0.05μm以上5.00μm以下である。
ここで、本開示において「接続する」とは、所定の部材が、所定の面(傾斜部を含む)に接して配置された状態を示すものである。
また、本開示において、ガラス基材の「側面」とは、ガラス基材の第1主面および第2主面以外の全ての面をいう。また、上記「側面」は、「傾斜部」を含むものである。
図1および図2は、本開示におけるガラス基材の一例を示す概略断面図であり、図2は図1の拡大図である。図1および図2に示すように、ガラス基材1は、第1主面1Aと、第1主面1Aに対向する第2主面1Bと、第1主面1Aおよび第2主面1Bを接続する側面1Cとを有しており、厚さTが所定の値以下である。ガラス基材1の側面1Cは、第1主面1Aに接続され、第1主面1Aの端部から外側に向けて第1主面1Aに対して第2主面1B側に傾斜して延びる傾斜部2aを有しており、傾斜部2aの、ガラス基材1の第1主面方向の幅aが所定の範囲内であり、傾斜部2aの、ガラス基材1の厚さ方向の長さbが所定の範囲内となっている。また、図1および図2において、ガラス基材1の側面1Cは、傾斜部2aおよび第2主面1Bを接続する平面部2bを有している。
なお、「第1面の端部」とは、第1面と側面の傾斜部との境界部分をいう。例えば、図2においては、第1面1Aの端部は、第1面1Aと側面1Cの傾斜部2aとの境界部分である。
また、「第1面の端部から外側に向けて」における「外側」とは、側面の平面部のガラス基材とは反対側をいう。
さらに、「上記傾斜部の、上記ガラス基材の第1面方向」における「ガラス基材の第1面方向」とは、ガラス基材の厚さ方向に対し、直角をなす方向を示すものである。
本開示におけるガラス基材は、厚さが所定の値以下であり薄いため、柔軟性が高く、耐屈曲性を高めることができる。一方、ガラス基材は、加工時にマイクロクラックが生じやすく、特にガラス基材の切断加工時にガラス基材の端部にマイクロクラックが生じやすい。ガラス基材にマイクロクラックがあると、このマイクロクラックを起点に割れが発生しやすくなる。また、ガラス基材として化学強化ガラスを用いると、耐屈曲性や耐衝撃性を高めることができるが、この場合においても、化学強化ガラスからなるガラス基材を切断加工する場合には、ガラス基材の切断面、つまり側面には、化学強化ガラスの表面に形成される圧縮応力層が存在しないことになるため、ガラス基材の側面では強度が低下してしまう。
これに対し、本開示においては、ガラス基材1の側面1Cが傾斜部2aを有しており、この傾斜部2aの、ガラス基材1の第1主面方向の幅aおよびガラス基材1の厚さ方向の長さbが所定の範囲内であることにより、ガラス基材の端部の耐衝撃性を高めることができる。この理由は明らかではないが、次のように推量される。すなわち、側面1Cが傾斜部2aを有することにより、ガラス基材の端部が衝撃を受けた際に、ガラス基材の角部に応力が集中するのを抑制することができる。さらに、傾斜部2aの、ガラス基材1の厚さ方向の長さbが所定の範囲内であり、比較的小さいことにより、ガラス基材1の側面1Cにおいて、平面部2bの面積を比較的大きくすることができる。また、傾斜部2aの、ガラス基材1の第1主面方向の幅aが所定の範囲内であり、比較的小さいことにより、ガラス基材1の端部において、ガラス基材1の厚さが、第1主面1Aおよび第2主面1B間の長さである厚さTよりも薄い部分を比較的小さくすることができる。これにより、ガラス基材の端部の強度を高めることができ、ガラス基材の端部の耐衝撃性を高めることができる。
したがって、本開示においては、耐屈曲性および端部の耐衝撃性が良好なガラス基材とすることが可能である。よって、本開示におけるガラス基材は、折り曲げることが可能であり、多種多様な表示装置に用いることができ、例えばフォルダブルディスプレイ用部材として使用することができる。
ガラス基材の厚さは、100μm以下であり、好ましくは15μm以上、100μm以下、より好ましくは20μm以上、90μm以下、さらに好ましくは25μm以上、80μm以下とすることができる。ガラス基材の厚さが上記範囲であるように薄いことにより、良好な柔軟性を得ることができるともに、十分な硬度を得ることができる。また、ガラス基材のカールを抑制することもできる。さらに、ガラス基材の軽量化の面で好ましい。
なお、上記のガラス基材の厚さとは、ガラス基材の第1主面および第2主面間の長さをいう。
ガラス基材において、傾斜部2aは、例えば、図2に示すように平面を有していてもよく、図3に示すように外側に凸となる曲面を有していてもよい。中でも、傾斜部は、外側に凸となる曲面を有することが好ましい。ガラス基材の端部が衝撃を受けた際に、ガラス基材の角部に応力が集中するのを効果的に抑制することができるからである。
なお、「外側に凸となる曲面」における「外側」とは、傾斜部と第1面との境界部と、傾斜部と第1面に垂直な側面の部分との境界部を結ぶ平面を想定した場合に、上記平面に対し、ガラス基板自体とは反対側を示すものである。
ガラス基材において、傾斜部の、ガラス基材の第1主面方向の幅aは、0.05μm以上であり、好ましくは0.5μm以上とすることができる。傾斜部の、ガラス基材の第1主面方向の幅aが小さすぎると、ガラス基材の端部が衝撃を受けた際に、ガラス基材の角部に応力が集中しやすくなり、割れが生じる可能性がある。一方、傾斜部の、ガラス基材の第1主面方向の幅aは、9.00μm以下であり、好ましくは5.0μm以下とすることができる。傾斜部の、ガラス基材の第1主面方向の幅aが上記範囲であり、比較的小さいことにより、ガラス基材の端部において、ガラス基材の厚さが薄い部分を比較的小さくすることができ、ガラス基材の端部の強度を高めることができる。
また、ガラス基材において、傾斜部の、ガラス基材の厚さ方向の長さbは、0.05μm以上であり、好ましくは0.1μm以上とすることができる。傾斜部の、ガラス基材の厚さ方向の長さbが小さすぎると、ガラス基材の端部が衝撃を受けた際に、ガラス基材の角部に応力が集中しやすくなり、割れが生じる可能性がある。一方、傾斜部の、ガラス基材の厚さ方向の長さbは、5.00μm以下であり、好ましくは2.0μm以下とすることができる。傾斜部の、ガラス基材の厚さ方向の長さbが上記範囲であり、比較的小さいことにより、側面において平面部の面積を比較的大きくすることができ、ガラス基材の端部の強度を高めることができる。
本開示において、上記幅aおよび長さbを上述した所定の範囲とする方法としては、例えば、後述する製造方法に示す加工工程における研磨処理により行う方法を挙げることができる。また、切断時のカッターの圧力、化学強化ガラスの強化条件を変更することによっても調整することが可能である。
具体的には、切断時のカッターの圧力を大きくすることにより、aを大きくし、bを小さくする傾向がある。また、化学強化ガラスの強化条件を、表面応力値を高くするような強化条件、および強化層の厚みが厚くなるような強化条件とすることにより、aおよびbを小さくする傾向がある。本開示においては、これらによりaおよびbの調整を行うことが可能となる。
また、後述するように、ガラス基材が化学強化ガラスである場合、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbに対する、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aの比(a/b)は、例えば、1.8以上であることが好ましく、2.3以上であることがより好ましい。a/bが上記範囲であることにより、傾斜部の傾斜を比較的緩やかにすることができる。
ここで、ガラス基材の製造工程において、例えば化学強化処理および切断加工の順に行う場合、ガラス基材の側面には圧縮応力層が存在しないことになる。この場合において、a/bが上記範囲よりも小さく、傾斜部の傾斜が比較的急であると、例えば図4(a)に示すように、ガラス基材1の側面1Cの平面部2bにおいて、圧縮応力層3が存在しない領域が相対的に広くなる傾向にある。これに対し、a/bが上記範囲であり、傾斜部の傾斜が比較的緩やかであると、例えば図4(b)に示すように、ガラス基材1の側面1Cの平面部2bにおいて、圧縮応力層3が存在する領域を確保しやすくすることができる。そのため、上記の場合には、a/bが上記範囲であることにより、ガラス基材の端部の耐衝撃性を高めることができると推量される。
また、ガラス基材の製造工程において、例えば切断加工および化学強化処理の順に行う場合、ガラス基材の側面にも圧縮応力層が存在することになる。この場合において、a/bが上記範囲よりも小さく、傾斜部の傾斜が比較的急であると、ガラス基材の側面に形成される圧縮応力層において、圧縮応力の発生が不均一になる傾向にある。圧縮応力が不均一であると、歪みが残留しやすくなり、破壊に影響を及ぼすと考えられる。これに対し、a/bが上記範囲であり、傾斜部の傾斜が比較的緩やかであると、ガラス基材の側面に形成される圧縮応力層において、圧縮応力が均一になる傾向にある。そのため、上記の場合にも、a/bが上記範囲であることにより、ガラス基材の端部の耐衝撃性を高めることができると推量される。
また、ガラス基材が化学強化ガラスである場合、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbに対する、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aの比(a/b)は、例えば、20.0以下であることが好ましく、10.0以下であることがより好ましい。a/bが大きすぎると、傾斜部の傾斜が緩やかになりすぎて、ガラス基材の端部が衝撃を受けた際に、ガラス基材の角部に応力が集中しやすくなり、割れが生じる可能性がある。
本開示において、上記a/bとしては、1.8~20.0の範囲内が好ましく、特に2.3~10.0の範囲内が好ましい。
ここで、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aとは、例えば図5(a)、(b)に示すように、ガラス基材1を厚さ方向から平面視したときの、傾斜部2aの幅をいう。傾斜部が外側に凸となる曲面である場合には、例えば図3に示すように、第1主面1Aと傾斜部2aとの境界は、第1主面1Aを構成する平面と傾斜部2aを構成する曲面との境界であり、すなわち、傾斜部2aを構成する曲面の第1主面1A側のR止まりである。なお、図1は、図5(a)のA-A線断面図に相当し、また図5(b)のA-A線断面図およびB-B線断面図に相当する。
また、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbとは、例えば図2および図3に示すように、傾斜部2aの高さをいう。傾斜部が外側に凸となる曲面である場合には、例えば図3に示すように、傾斜部2aと平面部2bとの境界は、傾斜部2aを構成する曲面と平面部2bを構成する平面との境界であり、すなわち、傾斜部2aを構成する曲面の平面部2b側のR止まりである。
ガラス基材においては、側面の少なくとも一部が上記傾斜部を有していればよく、例えば、側面の全部が上記傾斜部を有していてもよく、側面の一部が上記傾斜部を有していてもよい。また、ガラス基材が直方体状である場合、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面が上記傾斜部を有していればよく、例えば、対向する2つの側面が上記傾斜部を有していてもよく、4つの側面の全てが上記傾斜部を有していてもよい。
ガラス基材が直方体状である場合には、中でも、4つの側面のうち、対向する2つの側面が上記傾斜部を有することが好ましい。例えば図6(a)、(b)に示すように、ガラス基材1を屈曲させる場合、ガラス基材1の屈曲部F1が衝撃を受けると割れが生じやすい。そのため、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材1の屈曲方向D1に対して略平行な2つの側面が上記傾斜部を有することで、ガラス基材の屈曲部の強度を高めることができ、屈曲部の耐衝撃性を高めることができる。
また、ガラス基材を厚さ方向から平面視したときの形状が長方形状である場合には、例えば図5(a)に示すように、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の長辺方向に対して略平行な2つの側面が上記傾斜部2aを有することが好ましい。例えば図6(a)、(b)に示すように、ガラス基材1を屈曲させる場合、屈曲させやすいことから、ガラス基材1の屈曲方向D1を、ガラス基材の長辺方向と略平行にする場合が多い。そのため、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の長辺方向に対して略平行な2つの側面が上記傾斜部を有することで、ガラス基材の屈曲部の強度を高めることができ、屈曲部の耐衝撃性を高めることができる。
さらに、上述した理由から、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の屈曲方向に対して略平行な2つの側面が上記傾斜部を有することが好ましい。
特に、例えば図5(b)に示すように、ガラス基材の4つの側面のすべてが上記傾斜部を有することが好ましい。ガラス基材の端部の耐衝撃性を向上させることができる。
また、ガラス基材の側面は、少なくとも傾斜部を有していればよいが、傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有することが好ましい。
ここで、ガラス基材の側面は、第1主面に接続する傾斜部を有していることから、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、傾斜部が外側になるように折りたたむことになる。ガラス基材が化学強化ガラスである場合、傾斜部では圧縮応力層が薄くなるため、ガラス基材の第1面側では第2面側よりも圧縮応力値が低くなる。圧縮応力値が低いほど曲げやすい。よって、傾斜部が外側になるように折りたたむ場合には、傾斜部が内側になるように折りたたむ場合と比較して、曲げやすくなり、耐屈曲性が良くなる。そのため、ガラス基材の側面が、傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有する場合において、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性が良くなる。
一方、ガラス基材の側面が、例えば、第1主面に接続する第1の傾斜部と、第2主面に接続する第2の傾斜部と、第1の傾斜部および第2の傾斜部に接続する平面部とを有する場合であって、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、第1の傾斜部が外側、第2の傾斜部が内側になるように折りたたまれることになり、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合には、第1の傾斜部が内側、第2の傾斜部が外側になるように折りたたまれることになる。そのため、ガラス基材の側面が、例えば、第1主面に接続する第1の傾斜部と、第2主面に接続する第2の傾斜部と、第1の傾斜部および第2の傾斜部に接続する平面部とを有する場合において、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合の耐屈曲性、およびガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合の耐屈曲性は、ガラス基材の側面が、傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有する場合において、傾斜部が内側になるように折りたたむ場合の耐屈曲性と同様になると想定される。
よって、ガラス基材の側面が、傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有する場合には、ガラス基材の側面が、例えば、第1主面に接続する第1の傾斜部と、第2主面に接続する第2の傾斜部と、第1の傾斜部および第2の傾斜部に接続する平面部とを有する場合と比較して、傾斜部が外側になるように折りたたむ場合、すなわちガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合の耐屈曲性を高くすることができると推量される。したがって、ガラス基材の側面は、傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有することが好ましい。
また、ガラス基材の側面の最大高さSzは、例えば、1.5μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。ガラス基材の側面の最大高さSzが上記範囲であるように、ガラス基材の側面の平滑性が高いことにより、ガラス基材の側面におけるマイクロクラックを低減することができ、その結果、ガラス基材の側面の強度を高めることができる。これにより、ガラス基材を曲げた際に、ガラス基材の側面からの割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材やガラス基材を用いた表示装置用部材および表示装置の製造時および使用時におけるガラス基材の端部の耐衝撃性も高めることができる。一方、ガラス基材の側面の最大高さSzは、0.005μm以上であることが好ましい。Szが、0.005μm未満の場合は、密着不良により端部の被覆ができにくくなる可能性があるからである。
本開示において、上記Szは、0.005μm~1.5μmの範囲内が好ましく、特に、0.005μm~1.0μmの範囲内が好ましい。
ここで、最大高さSzは、ISO 25178に準拠して測定される値である。最大高さSzは、光干渉方式の非接触表面形状測定装置を用いて測定することができる。光干渉方式の非接触表面形状測定装置としては、例えば、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いることができる。なお、最大高さSzの測定方法の詳細については、後述の実施例の項に記載する。
なお、本開示におけるSzとは、面粗さを評価するためのパラメータであり、線粗さを表すRz等と比較して、不規則な表面性状を有するものの評価として有効である。
また、ガラス基材の側面において、厚さ方向に十等分してなる各領域を、第1主面側から第2主面側へ向けた順番で、第1領域から第10領域とした場合であって、側面の第1領域から第10領域の最大高さをそれぞれ、第1領域から第10領域に向けた順番で、Sz1からSz10とした場合に、下記式(1)~(3)の関係を満たすことが好ましい。
Sz1>Sz4 (1)
Sz1>Sz5 (2)
Sz1>Sz6 (3)
上記式(1)~(3)の関係を満たす場合には、ガラス基材の側面において、厚さ方向の中央部の平滑性が相対的に高くなる。これにより、ガラス基材の側面においてマイクロクラックの進行を抑えることができる。
上記の場合、例えば図7に示すように、ガラス基材1の側面1Cにおいて、ガラス基材1の厚さ方向に十等分してなる各領域を、ガラス基材1の第1主面1A側から第2主面1B側へ向けて順番に、第1領域4Aから第10領域4Jとする。そして、ガラス基材1の側面1Cの第1領域4Aから第10領域4Jの最大高さSzをそれぞれ、第1領域4Aから第10領域4Jに向けた順番で、Sz1からSz10とする。すなわち、例えば、第1領域4Aの最大高さSzはSz1、第2領域4Bの最大高さSzはSz2、第3領域4Cの最大高さSzはSz3とする。
ガラス基材においては、側面の少なくとも一部の最大高さSzが所定の範囲であればよく、例えば、側面の全部の最大高さSzが所定の範囲であってもよく、側面の一部の最大高さSzが所定の範囲であってもよい。また、ガラス基材が直方体状である場合、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面の最大高さSzが所定の範囲であればよい。
ガラス基材が直方体状である場合、中でも、4つの側面のうち、対向する2つの側面の最大高さSzが所定の範囲であることが好ましい。例えば図6(a)、(b)に示すように、ガラス基材1を屈曲させる場合、ガラス基材1の屈曲部F1においてガラス基材1に割れが生じやすい。そのため、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材1の屈曲方向D1に対して略平行な2つの側面の最大高さSzが上記範囲であれば、ガラス基材を屈曲させた際に屈曲部に割れが生じるのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
また、ガラス基材を厚さ方向から平面視したときの形状が長方形状である場合には、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の長辺方向に対して略平行な2つの側面の最大高さSzが上記範囲であることが好ましい。例えば図6(a)、(b)に示すように、ガラス基材1を屈曲させる場合、屈曲させやすいことから、ガラス基材1の屈曲方向D1を、ガラス基材の長辺方向と略平行にする場合が多い。そのため、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の長辺方向に対して略平行な2つの側面の最大高さSzが上記範囲であれば、ガラス基材を屈曲させた際にガラス基材の屈曲部に割れが生じるのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
さらに、上述した理由から、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス基材の屈曲方向に対して略平行な2つの側面の最大高さSzが上記範囲であることが好ましい。
特に、ガラス基材の4つの側面のすべての最大高さSzが所定の範囲であることが好ましい。ガラス基材を曲げた際にガラス基材の割れをより抑制することができ、耐屈曲性をさらに向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部の耐衝撃性を向上させることができる。
ガラス基材を構成するガラスとしては、特に限定されないが、中でも、化学強化ガラスであることが好ましい。化学強化ガラスは、非強化ガラスと比較して、耐衝撃性および耐屈曲性が良好である。また、化学強化ガラスは機械的強度に優れており、その分薄くできる点で好ましい。
化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍において、ナトリウムイオンをカリウムイオンに一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスであり、表面に圧縮応力層を有する。すなわち、化学強化ガラスは、表面にカリウムが多く存在しており、表面に圧縮応力がかかっているガラスである。
化学強化ガラス基材を構成するガラスとしては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
化学強化ガラス基材の市販品としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)、AGC社のDragontrail(ドラゴントレイル)、ショット社の化学強化ガラス等が挙げられる。
本開示におけるガラス基材は、耐屈曲性を有することが好ましい。具体的には、ガラス基材の耐屈曲性は、下記に説明するU字屈曲試験を行い、評価することができる。
U字屈曲試験は、以下のようにして行われる。まず、20mm×100mmの大きさのガラス基材の試験片を準備する。次に、図8(a)に示されるように、ガラス基材1の短辺部1Pと、短辺部1Pと対向する短辺部1Qとを、平行に配置された固定部100A、100Bでそれぞれ固定する。図8(a)に示すように、固定部100Bは水平方向にスライド移動可能になっている。次に、図8(b)に示すように、固定部100Aに固定部100Bを近接するように移動させることで、ガラス基材1をU字状に屈曲させる。さらに、図8(c)に示すように、固定部100Bを移動させることで、ガラス基材1に割れまたは破断が生じるまで、ガラス基材1の固定部100A、100Bで固定された対向する2つの短辺部1P、1Qの間隔dを徐々に小さくしていく。この際、ガラス基材1の屈曲部1Rが固定部100A、100Bの下端からはみ出さないように屈曲試験を行う。例えば、対向する2つの短辺部1P、1Qの間隔dが10mmである場合には、屈曲部1Rの外径を10mmとみなす。
上記U字屈曲試験において、ガラス基材に割れまたは破断が生じる際のガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dは、例えば、10mm以下であることが好ましく、中でも8mm以下であることが好ましく、特に5mm以下であることが好ましい。なお、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dが小さいほど、耐屈曲性が高いことを示している。
上述したように、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性が高くなる。
そのため、U字屈曲試験では、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合に、上記の耐屈曲性を有することが好ましい。中でも、U字屈曲試験では、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合、および、ガラス基材の第1主面が内側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合のいずれも、上記の耐屈曲性を有することがより好ましい。
また、ガラス基材の耐屈曲性は、動的屈曲試験を行い、評価することもできる。動的屈曲試験は、上記のU字屈曲試験において、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dを所定の値とし、ガラス基材を繰り返し屈曲させる試験である。
上記動的屈曲試験において、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dが12mmとなるようにガラス基材を180°折り曲げる動作を20万回繰り返し行った場合に、ガラス基材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、上記動的屈曲試験において、サンプル数を10としたとき、全体のサンプル数(10)およびガラス基材に割れまたは破断が生じなかったサンプル数から、下記式により算出される合格率が、80%以上であることが好ましい。
合格率(%)=(ガラス基材に割れまたは破断が生じなかったサンプル数)/10×100
また、ガラス基材の厚さを薄くすることで、耐屈曲性を高めることもできる。
例えばガラス基材の厚さが81μm以上100μm以下である場合、上記動的屈曲試験において、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dが12mmとなるようにガラス基材を180°折り曲げる動作を20万回繰り返し行った場合に、ガラス基材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、例えばガラス基材の厚さが50μm以上81μm以下である場合、上記動的屈曲試験において、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dが10mmとなるようにガラス基材を180°折り曲げる動作を20万回繰り返し行った場合に、ガラス基材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、例えばガラス基材の厚さが50μm以下である場合、上記動的屈曲試験において、ガラス基材1の対向する短辺部1P、1Qの間隔dが8mmとなるようにガラス基材を180°折り曲げる動作を20万回繰り返し行った場合に、ガラス基材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
動的屈曲試験では、上記のU字屈曲試験と同様に、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合に、上記の耐屈曲性を有することが好ましく、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合、および、ガラス基材の第1主面が内側となるようにガラス基材を折りたたんだ場合のいずれも、上記の耐屈曲性を有することがより好ましい。
本開示におけるガラス基材の製造方法としては、ガラス基材の側面に傾斜部を形成することができ、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aを所定の範囲内とし、かつ、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbを所定の範囲内とすることができる方法であれば特に限定されない。例えば、ガラス基材の製造方法は、ガラス基材の側面に傾斜部が形成され、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aが所定の範囲内になり、かつ、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbが所定の範囲内になるように、ガラス基材を切断する切断工程を有していてもよい。また、例えば、ガラス基材の製造方法は、ガラス基材を切断する工程と、ガラス基材の側面に傾斜部が形成され、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aが所定の範囲内になり、かつ、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbが所定の範囲内になるように、ガラス基材の切断面を加工する加工工程とを有していてもよい。中でも、ガラス基材の製造方法では、ガラス基材の側面に傾斜部が形成され、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aが所定の範囲内になり、かつ、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbが所定の範囲内になるように、ガラス基材を切断することが好ましい。
ガラス基材の切断方法としては、例えば、工具を用いたメカニカルスクライブやレーザースクライブ等のスクライブによる切断法、ケミカルエッチング法、レーザー切断法等が挙げられる。具体的には、三星ダイヤモンド工業社製のカッター「SOLID-D」を用いたメカニカルスクライブによる切断法が好ましく用いられる。
また、ガラス基材が化学強化ガラスである場合、例えば、化学強化処理および切断加工の順に行ってもよく、切断加工および化学強化処理の順に行ってもよい。化学強化処理および切断加工の順に行う場合には、例えば、ガラス基材を用いて表示装置用部材を製造する場合、大型のガラス基材を切断することなく、その後の製造工程を進めることができ、生産効率を上げることができる。
本開示におけるガラス基材は、例えば、表示装置のカバー部材として用いることができる。本開示におけるガラス基材は、具体的には、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の電子機器に用いられる表示装置のカバー部材として用いることができる。中でも、本開示におけるガラス基材は、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイに好ましく用いることができ、フォルダブルディスプレイにより好ましく用いることができる。
特に、本開示におけるガラス基材は、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたみ可能な表示装置に用いられることが好ましい。上述したように、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性が高くなる。そのため、本開示におけるガラス基材は、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたみ可能な表示装置に好適に用いられる。
B.ガラス積層体
本開示におけるガラス積層体は、上述のガラス基材と、上記ガラス基材の第1主面側および第2主面側の少なくとも一方に配置された樹脂層と、を有する。
図9~図11は、本開示におけるガラス積層体の一例を示す概略断面図である。図9に例示するように、ガラス積層体10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の第1主面1A側に配置された樹脂層11とを有していてもよい。また、図10に例示するように、ガラス積層体10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の第2主面1B側に配置された樹脂層12とを有していてもよい。また、図11に例示するように、ガラス積層体10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の第1主面1A側に配置された樹脂層11と、ガラス基材1の第2主面1B側に配置された樹脂層12とを有していてもよい。
本開示におけるガラス積層体においては、上述のガラス基材を有するため、耐屈曲性および端部の耐衝撃性を向上させることができる。よって、本開示におけるガラス積層体は、折り曲げることが可能であり、多種多様な表示装置に用いることができ、例えばフォルダブルディスプレイ用部材として使用することができる。
以下、本開示におけるガラス積層体の各構成について説明する。
1.ガラス基材
本開示におけるガラス積層体に用いられるガラス基材については、上記「A.ガラス基材」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.樹脂層
本開示における樹脂層は、上記ガラス基材の第1主面側および第2主面側の少なくとも一方に配置される層である。
樹脂層としては、例えば、衝撃吸収層、飛散防止層、ハードコート層、保護層、反射防止層、低反射層、防眩層、帯電防止層、加飾層等が挙げられる。
また、樹脂層は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。また、樹脂層は、単一の機能を有する層であってもよく、互いに異なる機能を有する複数の層を有していてもよい。
本開示におけるガラス積層体において、樹脂層は、ガラス基材の第1主面側および第2主面側の少なくとも一方に配置されていればよく、例えば、ガラス基材の第1主面側のみに配置されていてもよく、ガラス基材の第2主面側のみに配置されていてもよく、ガラス基材の第1主面側および第2主面側の両方に配置されていてもよい。中でも、樹脂層は、ガラス基材の第2主面側に配置されていることが好ましい。ガラス基材の第2主面側に樹脂層が配置されている場合、ガラス積層体の製造においては、例えば、ガラス基材上に樹脂層を形成した後、ガラス基材および樹脂層の積層体を切断することができる。この場合において、例えば、ガラス積層体を用いて表示装置用部材を製造する場合、大型のガラス基材を切断することなく、その後の製造工程を進めることができ、生産効率を上げることができる。
樹脂層の材料としては、目的とする機能等に応じて適宜選択される。樹脂層に含まれる樹脂としては、透明性を有する樹脂であればよく、一般的な樹脂を用いることができる。
例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、樹脂層は、必要に応じて、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、フィラー、帯電防止剤、防汚剤、界面活性剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。
樹脂層の厚さとしては、柔軟性が得られる厚さであれば特に限定されるものではなく、目的とする機能等に応じて適宜選択される。樹脂層の厚さは、例えば、2μm以上であり、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。また、樹脂層の厚さは、例えば、60μm以下であり、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。樹脂層の厚さが上記範囲内であるように比較的薄いことにより、柔軟性を高めることができ、ガラス積層体を曲げた際に、樹脂層の割れを抑制することができ、耐屈曲性を維持することができる。
ここで、樹脂層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察されるガラス積層体の厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。なお、特に断りの無い限りは、ガラス積層体が有する他の層の厚さの測定方法についても同様とすることができる。
樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に樹脂組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、所望の厚さで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、樹脂層の形成方法として、ガラス基材の一方の面に樹脂層を転写する転写法や、ガラス基材の一方の面に接着層を介してフィルム状の樹脂層を貼り合わせる方法を用いることもできる。
接着層は、透明性を有する。具体的には、接着層の全光線透過率は、85%以上であれば好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率の上限は、100%である。
接着層に用いられる接着剤としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)等の粘着剤や、ヒートシール剤、感光性接着剤等を挙げることができる。
接着層の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層の厚さが厚すぎると、耐屈曲性が損なわれるおそれがある。一方、接着層の厚さが薄すぎると、接着性が担保できず剥がれてしまうおそれがある。
3.その他の構成
本開示におけるガラス積層体は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層等が挙げられる。
本開示におけるガラス積層体は、上記ガラス基材と上記樹脂層との間にプライマー層を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と樹脂層との密着性を向上させることができる。
プライマー層の材料としては、ガラス基材と樹脂層との密着性を高めることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を挙げることができる。樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリルウレタン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プライマー層の厚さとしては、ガラス基材と樹脂層との密着性を高めることが可能な厚さであればよく、例えば、0.1μm以上10μm以下とすることができ、好ましくは0.2μm以上5μm以下とすることができる。
プライマー層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上にプライマー層用組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、プライマー層の形成方法として、転写法を用いることもできる。
4.ガラス積層体の特性
本開示におけるガラス積層体は、全光線透過率が、例えば85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましい。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好なガラス積層体とすることができる。なお、全光線透過率の上限は、100%である。
ここで、ガラス積層体の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示におけるガラス積層体のヘイズは、例えば1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることが好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好なガラス積層体とすることができる。なお、ヘイズの下限は、0%である。
ここで、ガラス積層体のヘイズは、JIS K-7136に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示におけるガラス積層体は、耐屈曲性を有することが好ましい。具体的には、ガラス積層体に対して上述のU字屈曲試験を行った場合に、ガラス積層体に割れまたは破断が生じる際のガラス積層体の対向する短辺部の間隔が、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
上述したように、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性が高くなる。
そのため、U字屈曲試験では、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合に、上記の耐屈曲性を有することが好ましい。中でも、U字屈曲試験では、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合、および、ガラス基材の第1主面が内側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合のいずれも、上記の耐屈曲性を有することがより好ましい。
また、ガラス積層体に対して上述の動的屈曲試験を行う場合において、ガラス積層体の対向する短辺部の間隔が12mmとなるように、ガラス積層体の屈曲を20万回繰り返し行った場合にガラス積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、上記動的屈曲試験において、サンプル数を10としたとき、全体のサンプル数(10)およびガラス積層体に割れまたは破断が生じなかったサンプル数から、下記式により算出される合格率が、80%以上であることが好ましい。
合格率(%)=(ガラス積層体に割れまたは破断が生じなかったサンプル数)/10×100
動的屈曲試験では、上記のU字屈曲試験と同様に、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合に、上記の耐屈曲性を有することが好ましく、ガラス基材の第1主面が外側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合、および、ガラス基材の第1主面が内側となるようにガラス積層体を折りたたんだ場合のいずれも、上記の耐屈曲性を有することがより好ましい。
5.ガラス積層体の用途
本開示におけるガラス積層体は、表示装置において、表示パネルよりも観察者側に配置される部材として用いることができる。本開示におけるガラス積層体は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の電子機器に用いられる表示装置に用いることができる。中でも、本開示におけるガラス積層体は、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイに好ましく用いることができ、フォルダブルディスプレイにより好ましく用いることができる。
特に、本開示におけるガラス積層体は、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたみ可能な表示装置に用いられることが好ましい。上述したように、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性を高くすることができる。
本開示におけるガラス積層体は、表示装置の表面に配置する場合、ガラス基材の第1主面が表示パネル側になるように配置されていてもよく、ガラス基材の第2主面が表示パネル側になるように配置されていてもよい。また、例えば、折りたたみ可能な表示装置において、画面が内側になるように折りたたむ場合には、上述したようにガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむことが好ましいことから、ガラス積層体はガラス基材の第1主面が表示パネル側になるように配置されていることが好ましい。一方、例えば、折りたたみ可能な表示装置において、画面が外側になるように折りたたむ場合には、上述したようにガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむことが好ましいことから、ガラス積層体はガラス基材の第2主面が表示パネル側になるように配置されていることが好ましい。
本開示におけるガラス積層体を表示装置の表面に配置する方法としては、特に限定されず、例えば、接着層を介する方法等が挙げられる。接着層としては、ガラス積層体の接着に使用される公知の接着層を用いることができる。
C.表示装置
本開示における表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述のガラス基材あるいは上述のガラス積層体と、を備える。
図12は、本開示における表示装置の一例を示す概略断面図であり、上述のガラス積層体を備える例である。図12に示すように、表示装置20は、表示パネル21と、表示パネル21の観察者側に配置されたガラス積層体10と、を備える。表示装置20において、ガラス積層体10は表示装置20の表面に配置される部材として用いられており、ガラス積層体10と表示パネル21との間には接着層22が配置されている。
本開示におけるガラス基材およびガラス積層体については、上述のガラス基材およびガラス積層体と同様とすることができる。
本開示における表示パネルとしては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置等の表示装置に用いられる表示パネルを挙げることができる。
本開示における表示装置は、表示パネルとガラス基材またはガラス積層体との間にタッチパネル部材を有することができる。
本開示における表示装置は、フレキシブルディスプレイであることが好ましい。中でも、本開示における表示装置は、折りたたみ可能であることが好ましい。すなわち、本開示における表示装置は、フォルダブルディスプレイであることがより好ましい。本開示における表示装置は、上述のガラス基材またはガラス積層体を有することから、耐衝撃性および耐屈曲性に優れており、フレキシブルディスプレイ、さらにはフォルダブルディスプレイとして好適である。
特に、本開示における表示装置は、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたみ可能であることが好ましい。上述したように、ガラス基材の第1主面が外側になるように折りたたむ場合には、ガラス基材の第2主面が外側になるように折りたたむ場合と比較して、耐屈曲性が高くなる。
D.電子機器
本開示における電子機器は、上述の表示装置を備える。
本開示における電子機器としては、上述の表示装置を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等を挙げることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を示し、本開示をさらに説明する。
[実施例1]
厚さ70μmの化学強化ガラス基材を、カッター(三星ダイヤモンド工業社製「SOLID-D」)を用いてスクライブした後、ブレイクすることで、100mm×20mmの大きさに切断して、ガラス基材を得た。
[実施例2]
厚さ50μmの化学強化ガラス基材を、カッター(三星ダイヤモンド工業社製「SOLID-D」)を用いてスクライブした後、ブレイクすることで、100mm×20mmの大きさに切断して、ガラス基材を得た。
[実施例3]
厚み30μmの化学強化ガラス基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス基材を得た。
[実施例4]
カッターによるスクライブ時の圧力を1.5倍とした以外は、実施例1と同様にして、ガラス基材を得た。
[実施例5]
実施例1と同様にして得たガラス基材に対し、加工工程(粒子径1μmの粒子を用いた特殊研磨処理)を行うことにより、幅aおよび長さbを調整した。
[実施例6]
カッターによるスクライブ時の圧力を2.5倍とした以外は、実施例1と同様にして、ガラス基材を得た。
[実施例7]
実施例5より特殊研磨時間の0.4倍の特殊研磨時間とした以外は、実施例5と同様にしてガラス基材を得た。
[実施例8]
未強化ガラスを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス基材を得た。
[実施例9]
カッターによるスクライブ時の圧力を1/6下げた以外は、実施例2と同様にしてガラス基材を得た。
[比較例1]
厚さ70μmのガラス基材に、カッター(小坂研究所製社製「ガラススクライバー用カッターチップ」)を用いて、押し込み量0.1mm、速度20mm/secにてスクライブした後、ブレイクすることで、100mm×20mmの大きさに切断した。その後、ガラス基材に対して化学強化処理を行った。
[比較例2]
厚さ70μmの化学強化ガラス基材を、比較例1と同様の条件で、スクライブおよびブレイクすることで、100mm×20mmの大きさに切断した。その後、化学強化ガラス基材の切断面を、粒度15μmの研磨材を含む研磨紙で研磨し、続いて粒度1μmのダイヤモンド砥粒で研磨した。
[比較例3]
厚さ70μmの化学強化ガラス基材を、パルスエネルギー80μJ、発振周波数150kHzにてピコ秒レーザーで、100mm×20mmの大きさに切断した。その後、化学強化ガラス基材の表面にレジストを塗布し、化学強化ガラス基材の切断面をフッ化水素溶液でエッチング処理した。
[評価1]
(1)形状
ガラス基材の切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製「S-4800」)を用いて、測定倍率20000倍にて観察し、側面形状を測定した。実施例1~2および比較例1のガラス基材は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面を接続する側面と有しており、側面は、第1主面に接続する傾斜部と、傾斜部および第2主面を接続する平面部とを有していた。また、実施例1~2のガラス基材では、側面の傾斜部が、外側に凸となる曲面を有していた。比較例2のガラス基材は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面を接続する側面と有しており、側面は平面であった。比較例3のガラス基材は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面を接続する側面と有し、側面は、第1主面に接続する第1傾斜部と、第2主面に接続する第2傾斜部と、第1傾斜部および第2傾斜部を接続する平面部とを有しており、ガラス基材の端部は先細りの形状をしていた。
(2)最大高さSz
ガラス基材の側面の最大高さSzの測定は、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いて行った。ISO 25178に基づいて各種パラメータを求め、任意の10箇所で測定を行い、それらの算術平均値を求めた。測定条件は下記の通りとした。ここで、上記任意の10箇所は、ガラス基板の厚み方向の上下20%の領域を除き、かつゴミや汚れなどが付着していない場所を選択した。
・測定面積:0.02mm×0.02mm
・対物レンズ:50倍
・測長モード:Wave
・波長フィルタ:530white
・高さ解析モード:p-vモード
測定は、以下の方法により行われる。
図14に示すように、まず、ステージS上の2つの治具100、100で挟み込むようにして、ガラス基材101が固定される。次いで、光源を備えるレンズ102が、上記ガラス基材101の側面の直上となるように配置される。ステージSの傾きは、光源からの光の方向がステージSに対して垂直方向となるように、調整される。最後に、ステージSの高さを調整することにより、レンズ102とガラス基材101の側面との距離を調整することによりピントを合わせた後、測定を行う。
(3)U字屈曲試験
ガラス基材に対して、上述のU字屈曲試験を行った。そして、ガラス基材に割れまたは破断が生じたときの、ガラス基材の対向する2つの短辺部の間隔dを測定した。表1に、ガラス基材に割れまたは破断が生じたときの最大の間隔を示す。なお、数値が小さいほど、耐屈曲性が良いことを示す。
また、U字屈曲試験の結果を、下記の基準で評価した。
A:d=5mm未満
B:d=5mm以上、10mm未満
C:d=10mm以上
なお、表1において、「第1主面外曲げ」は、ガラス基材を第1主面が外側になるように折りたたんだ場合を示し、「第1主面内曲げ」は、ガラス基材を第1主面が内側になるように折りたたんだ場合を示す。また、表1において、括弧内は、上記評価を示す。
(4)動的屈曲試験
ガラス基材に対して、上述の動的屈曲試験を行い、ガラス基材の耐屈曲性を評価した。
この際、ガラス基材の対向する2つの短辺部の間隔dは8mmまたは12mmとし、繰り返し数は20万回とした。また、サンプル数は10とした。そして、全体のサンプル数(10)およびガラス基材に割れまたは破断が生じなかったサンプル数から、下記式により合格率を求めた。
合格率(%)=(ガラス基材に割れまたは破断が生じなかったサンプル数)/10×100
また、動的屈曲試験の結果を、下記の基準で評価した。
A:合格率が80%以上である。
B:合格率が60%以上80%未満である。
C:合格率が60%未満である。
なお、表1において、「第1主面外曲げ」は、ガラス基材を第1主面が外側になるように折りたたんだ場合を示し、「第1主面内曲げ」は、ガラス基材を第1主面が内側になるように折りたたんだ場合を示す。また、表1において、括弧内は、上記評価を示す。
(5)端部の耐衝撃性
ガラス基材に対して、図13に例示するような衝撃試験を行った。まず、サンプル台31およびレール32を水平面に対して16°傾斜して配置した。次いで、サンプル台31上にガラス基材1を置き、ガラス基材1上に重り33を置いて、ガラス基材1を固定した。この際、ガラス基材1の端部がサンプル台31の側面から2mm突出するように、ガラス基材1を固定した。次に、5.5g、φ11mmの鋼球34を、所定の距離Lからレール32に沿って落下させ、ガラス基材1の側面に衝突させた。そして、ガラス基材の端部において、ガラス基材に割れまたは破断が生じなかった最大の距離Lを測定した。なお、数値が大きいほど、耐衝撃性が高いことを示す。
端部の耐衝撃性の結果を、以下の基準で評価した。
A:12cm以上
B:8cm以上
C:8cm未満
Figure 2022158839000002
一般に、ガラス基材が化学強化ガラスである場合には、切断加工すると、ガラス基材の側面に圧縮応力層が存在しないことになるため、ガラス基材の側面では強度が低下してしまう。これに対し、表1に示すように、ガラス基材の側面が、第1主面に接続する傾斜部を有し、傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅aが所定の範囲内であり、傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さbが所定の範囲内である場合(実施例1~2)には、ガラス基材の端部の耐衝撃性が良好であることが確認された。さらに、ガラスの側面の最大高さSzが所定の値以下である場合(実施例1~2)には、耐屈曲性が良好であることが確認された。
[評価2]
(最大高さSz)
実施例1~2および比較例1のガラス基材の側面において、厚さ方向に十等分してなる各領域を、前記第1主面側から前記第2主面側へ向けた順番で、第1領域から第10領域とし、各領域の最大高さSzを測定した。第1領域から第10領域の最大高さはそれぞれ、第1領域から第10領域に向けた順番で、Sz1からSz10とした。
ガラス基材の側面の各領域の最大高さSzの測定は、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いて行った。ISO 25178に基づいて各種パラメータを求め、各領域中の任意の10箇所で測定を行い、それらの算術平均値を求めた。測定条件は下記の通りとした。
・測定面積:ガラス基材の厚さが70μmの場合、7μm×10μm
ガラス基材の厚さが50μmの場合、5μm×10μm
ガラス基材の厚さが30μmの場合、3μm×10μm
・対物レンズ:50倍
・測長モード:Wave
・波長フィルタ:530white
・高さ解析モード:p-vモード
なお、測定方法は、上記[評価1]と同様である。
Figure 2022158839000003
実施例1~3、7、および9では、下記式(1)~(3)の関係を満たしていた。一方、比較例1では、下記式(1)、(2)の関係を満たさなかった。
Sz1>Sz4 (1)
Sz1>Sz5 (2)
Sz1>Sz6 (3)
1 … ガラス基材
1A … ガラス基材の第1主面
1B … ガラス基材の第2主面
1C … ガラス基材の側面
2a … 傾斜部
2b … 平面部
3 …圧縮応力層
10 … ガラス積層体
11、12 … 樹脂層
20 … 表示装置
21 … 表示パネル
a … 傾斜部のガラス基材の第1主面方向の幅
b … 傾斜部のガラス基材の厚さ方向の長さ
T … ガラス基材の厚さ

Claims (14)

  1. 第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面および前記第2面を接続する側面と、を有するガラス基材であって、
    前記ガラス基材の厚さが100μm以下であり、
    前記側面が、前記第1面に接続され、前記第1面の端部から外側に向けて前記第1面に対して前記第2面側に傾斜して延びる傾斜部を有し、
    前記傾斜部の、前記ガラス基材の第1面方向の幅が0.05μm以上9.00μm以下であり、
    前記傾斜部の、前記ガラス基材の厚さ方向の長さが0.05μm以上5.00μm以下である、ガラス基材。
  2. 前記傾斜部の前記ガラス基材の厚さ方向の長さbに対する、前記傾斜部の前記ガラス基材の第1面方向の幅aの比(a/b)が、1.8以上20.0以下である、請求項1に記載のガラス基材。
  3. 前記傾斜部が、外側に凸となる曲面を有する、請求項1または請求項2に記載のガラス基材。
  4. 前記側面の最大高さSzが1.5μm以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のガラス基材。
  5. 前記側面において、厚さ方向に十等分してなる各領域を、前記第1面側から前記第2面側へ向けた順番で、第1領域から第10領域とした場合であって、前記側面の第1領域から第10領域の最大高さをそれぞれ、第1領域から第10領域に向けた順番で、Sz1からSz10とした場合に、下記式(1)~(3)の関係を満たす、請求項4に記載のガラス基材。
    Sz1>Sz4 (1)
    Sz1>Sz5 (2)
    Sz1>Sz6 (3)
  6. 前記側面が、前記傾斜部および前記第2面を接続する平面部を有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のガラス基材。
  7. 化学強化ガラスである、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のガラス基材。
  8. 前記ガラス基材の前記第1面が外側になるように折りたたみ可能な表示装置に用いられる、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のガラス基材。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のガラス基材と、
    前記ガラス基材の第1面側および第2面側の少なくとも一方に配置された樹脂層と、
    を有する、ガラス積層体。
  10. 前記樹脂層が、前記ガラス基材の前記第2面側に配置されている、請求項9に記載のガラス積層体。
  11. 全光線透過率が85%以上であり、ヘイズが1.5%以下である、請求項9または請求項10に記載のガラス積層体。
  12. 表示パネルと、
    前記表示パネルの観察者側に配置された、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のガラス基材、あるいは請求項9から請求項11までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体と、
    を備える表示装置。
  13. 前記ガラス基材の第1面が外側になるように折りたたみ可能である、請求項12に記載の表示装置。
  14. 請求項12または請求項13に記載の表示装置を備える、電子機器。
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