JP2022158212A - 音波スピーカ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】体格を小型化しつつ、広帯域の音波を放射できる音波スピーカ装置を提供すること。【解決手段】音波スピーカ装置10は、音波スピーカ11と、音源100から入力される信号Vppを増幅して音波スピーカ11に印加する電圧調整部12を備える。音波スピーカ11は、MEMS技術を用いて形成された、共振周波数が互いに異なる複数の素子20を備えている。素子20は、圧電振動子30と振動領域41を含む。電圧調整部12は、素子20に印加する信号Vppの増幅率を、個別に調整可能である。電圧調整部20は、すべての素子20に共通の信号Vppを印加する場合よりも、周波数範囲において各共振周波数での音圧のばらつきが小さくなるように、印加する信号Vppの値を個別に調整する。【選択図】図4
Description
この明細書における開示は、音波スピーカ装置に関する。
特許文献1は、所定の周波数範囲、つまり広帯域の音波を放射する音波スピーカ装置を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
広帯域の音波を放射する音波スピーカ装置の体格は、一般的に大きい。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、音波スピーカ装置にはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、体格を小型化しつつ、広帯域の音波を放射できる音波スピーカ装置を提供することにある。
ここに開示された音波スピーカ装置は、音波を放射する音波スピーカ(11)と、音源(100)から入力される信号Vppを増幅して音波スピーカに印加する電圧調整部(12)と、を備える。
音波スピーカは、
複数の圧電膜(31)と、
第1面(40a)と、第1面とは反対の面である第2面(40b)と、第1面上に圧電膜が個別に配置され、圧電膜の伸縮にともなって振動する複数の振動領域(41)と、を有する振動部(40)と、
主面(50a)と、主面に開口して振動領域の第2面に隣接し、主面における開口面積が互いに異なることで、共振周波数が互いに異なるように振動領域を規定する複数の空洞部(51)と、を有し、振動部を主面上に支持する支持体(50)と、を備え、
複数の空洞部のうち、開口面積が最大の空洞部により規定される振動領域である最大振動領域の共振周波数を下限とし、開口面積が最小の空洞部により規定される振動領域である最小振動領域の共振周波数を上限とする、周波数範囲の音波を圧電膜側から放射する。
複数の圧電膜(31)と、
第1面(40a)と、第1面とは反対の面である第2面(40b)と、第1面上に圧電膜が個別に配置され、圧電膜の伸縮にともなって振動する複数の振動領域(41)と、を有する振動部(40)と、
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複数の空洞部のうち、開口面積が最大の空洞部により規定される振動領域である最大振動領域の共振周波数を下限とし、開口面積が最小の空洞部により規定される振動領域である最小振動領域の共振周波数を上限とする、周波数範囲の音波を圧電膜側から放射する。
電圧調整部は、
圧電膜に印加する信号Vppの増幅率を、個別に調整可能であり、
すべての圧電膜に互いに共通する信号Vppを印加する場合よりも周波数範囲において各共振周波数での音圧のばらつきが小さくなるように、印加する信号Vppの値を個別に調整する。
圧電膜に印加する信号Vppの増幅率を、個別に調整可能であり、
すべての圧電膜に互いに共通する信号Vppを印加する場合よりも周波数範囲において各共振周波数での音圧のばらつきが小さくなるように、印加する信号Vppの値を個別に調整する。
開示された音波スピーカ装置によれば、音波スピーカがMEMS技術によって形成されている。具体的には、支持体に複数の空洞部を設け、支持体の主面上に振動部を設けている。振動部のうち、圧電膜の伸縮にともなって振動する振動領域は、隣接する空洞部によって規定される。振動領域の共振周波数が互いに異なるように、空洞部の開口面積が互いに異なっている。このように、単一(共通)の振動部に、共振周波数が互いに異なる複数の振動領域を設けている。よって、音波スピーカ、ひいては音波スピーカ装置の体格を小型化することができる。
また、電圧調整部は、振動領域に対して個別に配置された圧電膜に印加する信号Vppの値を、個別に調整することができる。つまり、各共振周波数における音圧を、個別に調整することができる。電圧調整部が信号Vppの値を個別に調整することで、上記した周波数範囲において音圧のばらつきが小さくなり、音波スピーカは広帯域の音波を放射できるスピーカとして機能する。この結果、体格を小型化しつつ、広帯域の音波を放射できる音波スピーカ装置を提供することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、音波スピーカ装置の概略構成について説明する。
先ず、図1に基づき、音波スピーカ装置の概略構成について説明する。
<音波スピーカ装置>
図1に示すように、音波スピーカ装置10は、音波スピーカ11と、電圧調整部12を備えている。
図1に示すように、音波スピーカ装置10は、音波スピーカ11と、電圧調整部12を備えている。
音波スピーカ11は、後述するように、MEMS技術を用いて形成された、音波を放射する素子20を複数備えている。素子20は、互いに共振周波数が異なっている。音波スピーカ11は、複数の共振点を利用することで、所定周波数域の音波、つまり広帯域の音波を放射可能である。MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。音波スピーカ11は、たとえば大気中で用いられる。
電圧調整部12は、音源からの入力信号、つまり音の電気信号に基づいて、音波スピーカ11に駆動電圧を印加する。音とは、超音波領域の音および/または可聴域の音である。電圧調整部12は、後述するように、圧電膜31に印加する電圧を、個別に調整可能である。
<音波スピーカ>
次に、図2~図4に基づき、音波スピーカ11について説明する。図2は、音波スピーカ11を、Z方向において圧電振動子30側から見た平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
次に、図2~図4に基づき、音波スピーカ11について説明する。図2は、音波スピーカ11を、Z方向において圧電振動子30側から見た平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図2および図3に示すように、音波スピーカ11は、複数の素子20と、複数の圧電振動子30と、振動部40と、支持体50と、ベース部材60を備えている。以下においては、振動部40と圧電膜31(圧電振動子30)との積層方向、つまり支持体50(空洞部51)の厚み方向をZ方向と示す。Z方向に直交し、複数の振動領域の並び方向をX方向と示す。Z方向およびX方向の両方向に直交する方向を、Y方向と示す。特に断りのない限り、Z方向から平面視した形状、つまりX方向とY方向とにより規定されるXY平面に沿う形状を、単に平面形状と示す。また、Z方向からの平面視を、単に平面視と示すことがある。
複数の素子20は、共振周波数が互いに異なる。本実施形態の音波スピーカ11は、11個の素子20を備えている。素子20のそれぞれは、圧電振動子30と振動領域41を有して構成されている。素子20は、音波を放射するため、音波素子、放射素子と称されることがある。可聴域を超える周波数の音波を放射する場合、素子20は、超音波素子と称されることがある。素子20は、MEMS技術を用いて形成されているため、MEMS素子と称されることがある。
複数の圧電振動子30は、振動部40が有する振動領域41を個別に振動可能に設けられている。圧電振動子30のそれぞれは、圧電膜31と、上部電極32と、下部電極を有している。本実施形態の音波スピーカ11は、11個の圧電振動子30を備えている。圧電振動子30は、圧電膜31および上部電極32を個別に有している。つまり、音波スピーカ11は、11個の圧電膜31と11個の上部電極32を有している。
圧電膜31は、たとえば、ScAlNなどのAlN系材料、チタンジルコン酸鉛(PZT)、ZnOなどの圧電材料を用いて形成された薄膜である。本実施形態の圧電膜31は、ScAlNを材料として、スパッタリング法により形成されている。圧電膜31の厚みは、たとえば1μm程度である。
圧電膜31は、平面略真円形状をなしている。11個の圧電振動子30において、圧電膜31の直径、つまり面積は互いに異なっている。圧電膜31は、振動領域41に応じた面積を有している。複数の圧電膜31は、Y方向において3列配置となっている。真ん中の列では、3つの圧電膜31がX方向に並んで配置されている。Y方向両端の列では、4つの圧電膜31がX方向に並んで配置されている。各列において、圧電膜31は、面積順に並んでいる。
上部電極32は、Z方向において圧電膜31の一面上に配置されている。上部電極32は、一般的に知られた電極材料を用いて、スパッタリング法、蒸着法などにより形成されている。上部電極32の層構造は、単層でもよいし、多層でもよい。本実施形態の上部電極32は、TiAl合金を材料として形成されている。上部電極32は、平面視において圧電膜31とほぼ一致する形状をなしている。本実施形態の上部電極32は、平面略真円形状をなしている。上部電極32は、駆動電圧を印加する際の上部電極パッドを兼ねてもよい。上部電極32とは別に、上部電極パッドを設けてもよい。
下部電極は、Z方向において、圧電膜31の他の一面、つまり上部電極32が配置された面の裏面に配置されている。下部電極は、上部電極32との間に圧電膜31を挟んでいる。本実施形態の下部電極は、後述するように導電性を付与した半導体膜400のうち、平面視において圧電膜31と重なる部分である。半導体膜400の他の部分の少なくとも一部は、たとえば配線として機能する。
半導体膜400の上において、圧電膜31とは異なる位置には、下部電極パッド33が形成されている。下部電極パッド33は、平面視において振動領域41とは重ならない位置に形成されている。本実施形態の下部電極パッド33は、真ん中の列をなす3つの圧電膜31とともにX方向に並んで配置されている。下部電極パッド33は、上部電極32と同様の電極材料を用いて形成されている。上部電極32と下部電極パッド33との間に駆動電圧を印加すると、電圧が印加された圧電膜31が伸縮する。圧電膜31は、たとえばXY面内方向に伸縮する。
もちろん、半導体膜400に導電性を付与せず、半導体膜400とは別に下部電極を設けてもよい。この場合、下部電極は、上部電極32と同様の電極材料を用いて形成される。
振動部40は、第1面40aと、Z方向において第1面40aの裏面である第2面40bを有している。振動部40の第1面40a上に、圧電膜31および下部電極パッド33が配置されている。振動部40は、たとえば、支持体50上に形成された膜により構成されている。振動部40を構成する膜は、単層でもよいし、多層でもよい。このような振動部40は、振動膜、可動膜と称されることがある。本実施形態の振動部40は、半導体膜400と、絶縁膜401を有して構成されている。
半導体膜400は、シリコン(Si)などの半導体材料を用いて形成された膜である。本実施形態の半導体膜400は、不純物がドープされることで、下部電極、配線として機能するのに十分な導電性が付与されている。具体的には、シリコン膜にp型の不純物がドープされることで導電性が付与されている。半導体膜400は、Z方向への振動が可能な厚みを有している。たとえば、20~25μm程度である。
絶縁膜401は、酸化膜や窒化膜等の電気絶縁性を有する膜である。絶縁膜401は、半導体膜400と支持体50を構成する半導体基板500とを電気的に分離している。本実施形態の絶縁膜401は、酸化シリコン膜である。絶縁膜401は、半導体膜400との積層構造において、Z方向への振動が可能な厚みを有している。
振動部40は、複数の振動領域41を有している。振動領域41は、振動部40のうち、圧電膜31の伸縮にともなってZ方向に振動する領域である。振動領域41は、支持体50が有する空洞部51により規定される。振動領域41において、第2面40bには空洞部51が隣接している。振動領域41を除く部分において、第2面40bには半導体基板500が隣接している。このように、振動領域41の直下には空洞部51が存在しており、振動領域41はZ方向に振動することができる。
図3において、一点鎖線で囲まれる領域が、振動領域41である。本実施形態の振動領域41は、上記した半導体膜400と絶縁膜401との2層構造である。振動領域41は、圧電膜31と同数設けられている。振動部40は、互いに面積が異なる11個の振動領域41を有している。面積とは、平面視した面積である。振動領域41の第1面40a上には、圧電膜31が個別に配置されている。振動領域41は、平面略真円形状をなしている。平面視において、振動領域41の中心と、振動領域41上に配置された圧電膜31の中心とが、略一致している。複数の振動領域41は、円の半径、直径が互いに異なっている。膜構成が同一であるため、振動領域41の厚みは互いにほぼ等しい。
振動領域41(素子20)の共振周波数は、振動領域41の半径が大きいほど、つまり面積が大きいほど、低くなる。本実施形態では、振動領域41の半径を互いに異なる値とすることで、素子20の共振周波数を、10kHzの間隔で40kHz~140kHzの範囲で設定した。具体的には、Y方向において真ん中の列の3つの素子20の共振周波数を、40kHz、50kHz、60kHzとした。Y方向において一方の端部に配置された4つの素子20の共振周波数を、140kHz、110kHz、100kHz、70kHzとした。Y方向において他方の端部に配置された4つの素子20の共振周波数を、130kHz、120kHz、90kHz、80kHzとした。なお、各共振周波数や共振周波数の間隔は、上記した数値に完全一致する態様に限定されず、製造上のばらつき程度の誤差は許容しうる。
上記したように、振動領域41は、圧電振動子30とともに、音波を放射する素子20を構成している。振動領域41(素子20)それぞれの共振周波数が異なるため、複数の圧電振動子30に対して駆動電圧を印加することにより、音波スピーカ11は所定の周波数範囲の音波を放射することができる。たとえば、11種類の素子20の圧電振動子30すべてに駆動電圧を印加することで、上記した40~140kHzの周波数範囲を有する音波を放射することができる。音波スピーカ11は、圧電振動子30側から音波を放射(出射)する。
支持体50は、圧電振動子30および振動部40を支持している。支持体50は、主面50aと、Z方向において主面50aと反対の面である裏面50bを有している。支持体50の主面50a上に、振動部40が配置されている。具体的には、支持体50の主面50aに絶縁膜401が配置され、絶縁膜401上に半導体膜400が積層されている。支持体50の平面形状は、特に限定されない。支持体50は、MEMS技術により加工が可能な材料、たとえば半導体、ガラスなどを用いて形成されている。
本実施形態の支持体50は、半導体基板500を有して構成されている。半導体基板500の一面が主面50aをなし、一面と反対の面が裏面50bをなしている。このような支持体50は、支持基板と称されることがある。半導体基板500、つまり支持体50の厚みは、たとえば300μm程度である。本実施形態の半導体基板500は、シリコン基板である。半導体基板500は、上記した半導体膜400、絶縁膜401とともに、いわゆるSOI基板として提供される。つまり、音波スピーカ11は、ひとつの半導体チップとして提供される。SOIは、Silicon on Insulatorの略称である。支持体50は、平面略矩形状をなしている。
支持体50は、複数の空洞部51を有している。支持体50は、平板に複数の空洞部51を設けた構成を有している。複数の空洞部51のそれぞれは、Z方向に所定の厚み(深さ)を有しており、少なくとも主面50aに開口している。空洞部51は、エッチングにより支持体50に形成されている。複数の空洞部51は、主面50aにおける開口面積が互いに異なっている。主面50aにおける開口面積を、以下では単に開口面積と示すことがある。空洞部51における主面50aの開口部分は、振動部40によって閉塞されている。
空洞部51において、主面50aにおける開口部分が、振動領域41を規定している。空洞部51の主面50aにおける開口部分は、振動部40のうち、平面視において重なる部分(一致する部分)を振動領域41として規定する。空洞部51は、振動領域41と同数設けられている。開口面積が最大の空洞部51により規定される振動領域41が最大振動領域に相当し、この振動領域41を含む素子20の共振周波数40kHzが、周波数範囲の下限である。開口面積が最小の空洞部51により規定される振動領域41が最小振動領域に相当し、この振動領域41を含む素子20の共振周波数140kHzが、周波数範囲の上限である。
本実施形態の支持体50(半導体基板500)は、開口面積が互いに異なる11個の空洞部51を有している。そして、空洞部51のそれぞれに、振動領域41が隣接している。空洞部51において、主面50aにおける開口部分は、平面略真円形状をなしている。空洞部51のそれぞれは、Z方向に延び、支持体50の裏面50bに開口している。空洞部51は、平面形状を維持しつつ所定の厚みを有する、平面略真円の柱状をなしている。複数の空洞部51の厚みは、互いにほぼ等しい。空洞部51は、反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチングにより形成されている。
空洞部51は、図2に示すように厚みt1を有している。本実施形態において、厚みt1は、支持体50をなす半導体基板500の厚みに等しい。厚みt1は、所定の値に設定されている。厚みt1は、λ×1/4未満となるように設定されている。波長λは、音速cを、音波スピーカ11が放射する音波の周波数範囲の上限で除算した値である。上限とは、開口面積がもっとも小さい空洞部51により規定される振動領域41の共振周波数である。たとえば、上記したように40~140kHzの周波数範囲の音波を放射する場合、音速cを140kHzで除算した値が波長λである。
ベース部材60は、圧電振動子30、振動部40、および支持体50を含む構造体が固定される部材である。ベース部材60は、たとえば、上記構造体を保護するパッケージ、ケースである。本実施形態のベース部材60は、セラミックパッケージである。ベース部材60の一面に、固定部材70を介して支持体50(上記構造体)が固定されている。固定部材70は、支持体50をベース部材60に固定できるものであればよい。固定部材70は、空洞部51を避けて設けられている。
本実施形態の固定部材70は、接合材である。図2および図3に示すように、固定部材70は、たとえば支持体50の裏面50bの四隅に配置されている。固定状態で、支持体50の裏面50bは、ベース部材60に対して浮いている。支持体50は、複数の空洞部51の間で気体を流通可能に、ベース部材60に固定されている。空洞部51は、裏面50bとベース部材60との間の隙間を通じて互いに連通している。固定部材70の四隅配置により、空洞部51は、平面視において支持体50の周囲とも気体の流通が可能である。
固定部材70の配置は、上記した四隅に限定されない。ベース部材60上に支持体50を安定的に固定できる配置であればよい。たとえば、平面略形状の支持体50に対して、互いに対向する二辺に沿って配置してもよい。
<電圧調整部>
次に、図4に基づき、電圧調整部12について説明する。図4は、電圧調整部12を示すブロック図である。図4では、音波スピーカ11および音源100についても図示している。
次に、図4に基づき、電圧調整部12について説明する。図4は、電圧調整部12を示すブロック図である。図4では、音波スピーカ11および音源100についても図示している。
図4に示す音源100は、音を電気信号として出力する。音源100は、たとえば音声信号および/または音響信号を出力する。音源100は、音波スピーカ装置10に対して、たとえば楽曲を提供する。本実施形態では、超音波領域の音を含む楽曲を提供する。音源100は、たとえば、携帯端末やPC、メディアプレーヤなどに内蔵されている。音源100から、楽曲の音が電気信号Vppとして、音波スピーカ装置10の電圧調整部12に入力される。
電圧調整部12は、音源100から入力された信号Vppを調整し、駆動電圧として素子20(圧電振動子30)に印加する。電圧調整部12は、複数の調整回路80を備えている。調整回路80は、音波スピーカ11の素子20に対して個別に設けられている。つまり、電圧調整部12は、11個の素子20に対応して、11個の調整回路80を備えている。複数の調整回路80には、互いに同じ信号Vpp(共通の信号)が入力される。Vppは、Voltage peak to peakの略称である。信号Vppは、交流信号であり、音源100からの入力時、つまり増幅前において、ピーク間の電圧がたとえば0.5Vである。
調整回路80のそれぞれは、増幅器81と、位相器82を有している。増幅器81は、信号Vppを増幅して出力する。増幅器81は、たとえばオペアンプである。電圧調整部12は、増幅器81の増幅率を個別に調整可能である。電圧調整部12は、増幅器81の増幅率を調整することにより、素子20に印加する信号Vppの値を個別に調整する。Vppの値とは、ピーク間の電圧値である。信号Vppの値を調整するとは、増幅後の信号Vppの正相側のピーク値である最大電圧を調整することと等価である。電圧調整部12は、上記した周波数範囲において各共振周波数での音圧のばらつきが小さくなるように、素子20に印加する信号Vppの増幅率を個別に調整する。増幅器81は、対応する素子20の特性に合わせて、信号Vppの値を調整する。
位相器82は、信号Vppの位相を調整する。本実施形態の位相器82は、増幅器81と音源100の間に設けられている。位相器82は、信号Vppに対する位相のシフト角度を、0°と180°とで切り替え可能に構成されている。シフト角度が0°の場合、位相器82は、信号Vppの位相をシフトせずに出力する。シフト角度が180°の場合、位相器82は、信号Vppの位相を180°(π)シフト、つまり位相を反転させて出力する。シフト角度0°の信号に対して、シフト角度180°の信号は逆相となる。
電圧調整部12は、位相器82のシフト角度を個別に調整可能である。電圧調整部12は、上記した周波数範囲において隣り合う共振周波数の間の落ち込み、いわゆるディップが小さくなるように、素子20に印加する信号Vppの位相を個別に調整する。電圧調整部12は、複数の素子20のうち、一部の素子20に印加する信号Vppの位相を、残りの素子20に印加する信号Vppの位相とは逆となるように調整する。
音波スピーカ11の各素子20には、電圧調整部12を介して、音源100から互いに共通の信号Vppがほぼ同時に入力される。素子20は、共振周波数付近の周波数帯のみに反応するバンドパスフィルタとして機能する。各素子20は、当該素子20の共振周波数とは異なる周波数が入力されても音波を放射せず、共振周波数付近の周波数帯が入力されると、共振により音波を放射する。
図4に示す例では、位相器82を増幅器81と音源100の間に設ける例を示したが、これに限定されない。位相器82を、増幅器81と素子20の間に設けてもよい。
<音圧調整方法>
広帯域の音波を放射する音波スピーカ装置を提供するためには、広い周波数範囲において音圧のばらつきが小さくなければならない。つまり、音圧の周波数特性が略平坦でなければならない。しかしながら、MEMS技術を利用して共振周波数の異なる複数の素子をひとつのチップに作りこんだ構成では、各素子に共通の電圧を印加すると、素子の大きさ(振動領域の面積など)によって振動モードや振幅が異なるため、各共振周波数で音圧にばらつきが生じてしまう。また、共振周波数の間の周波数において、音圧が落ち込んでしまう。
広帯域の音波を放射する音波スピーカ装置を提供するためには、広い周波数範囲において音圧のばらつきが小さくなければならない。つまり、音圧の周波数特性が略平坦でなければならない。しかしながら、MEMS技術を利用して共振周波数の異なる複数の素子をひとつのチップに作りこんだ構成では、各素子に共通の電圧を印加すると、素子の大きさ(振動領域の面積など)によって振動モードや振幅が異なるため、各共振周波数で音圧にばらつきが生じてしまう。また、共振周波数の間の周波数において、音圧が落ち込んでしまう。
これに対して、本実施形態では、電圧調整部12が、上記した周波数範囲において音圧のばらつきが小さくなるように、各素子20に印加する信号Vppの値および位相を調整する。つまり、電圧調整部12は、共振周波数とその間のディップの落ち込みを平均化する処理を実行する。図5は、電圧調整部12による信号Vppの調整の一例を示している。図6は、図5の条件で各素子20を駆動したときの周波数特性を示している。
図5に示す同相とは、位相器82のシフト角度が0°、つまり音源100からの入力信号を位相シフトせずに出力することを示している。逆相とは位相器82のシフト角度が180°、つまり入力信号の位相を反転させて出力することを示している。図6は、音波スピーカ11から放射された音波をマイクにて集音した測定値である。この測定では、音波スピーカ11とマイクとの距離を50cmとした。また、信号Vppの上限を32Vとして各素子20に印加する信号Vpp(電圧)の増幅率を調整した。
図5に示すように、共振周波数40kHzの素子20に印加する信号Vppの値を32.0V、位相を同相とした。共振周波数50kHzの素子20に印加する信号Vppの値を24.0V、位相を同相とした。共振周波数60kHzの素子20に印加する信号Vppの値を22.9V、位相を同相とした。共振周波数70kHzの素子20に印加する信号Vppの値を14.7V、位相を逆相とした。共振周波数80kHzの素子20に印加する信号Vppの値を11.0V、位相を同相とした。共振周波数90kHzの素子20に印加する信号Vppの値を25.1V、位相を逆相とした。共振周波数100kHzの素子20に印加する信号Vppの値を14.5V、位相を同相とした。共振周波数110kHzの素子20に印加する信号Vppの値を21.6V、位相を逆相とした。共振周波数120kHzの素子20に印加する信号Vppの値を32.0V、位相を同相とした。共振周波数130kHzの素子20に印加する信号Vppの値を4.0V、位相を同相とした。共振周波数140kHzの素子20に印加する信号Vppの値を6.2V、位相を逆相とした。
この結果、図6に示すように、36kHz~133kHzの周波数範囲において、音圧は、76.2±12.6dBとなった。つまり、音圧のばらつきは、±12.6dBとなった。すべての素子20に共通の電圧、たとえば、最大電圧32.0Vで同相の電圧を印加した場合、図示を省略するが、音圧の最高値は図6に示す結果と同等の値であるものの、ばらつきは±25dB程度となった。
印加する電圧(信号Vpp)の値を大きくするほど共振周波数における音圧は高くなり、電圧を小さくするほど音圧は低くなる。図5に示したように、素子20に印加する信号Vppの値を個別に調整することで、共振周波数の音圧のばらつきを抑制することができる。また、位相を調整することで、ディップを小さくし、共振周波数の間の周波数における音圧を、上記したばらつきの範囲内とすることができる。以下に、位相の調整方法について説明する。
図7~図9は、音波の周波数特性を示している。図7~図9は、図6同様、音波スピーカ11から放射された音波をマイクにて集音した測定値である。この測定では、音波スピーカ11とマイクとの距離を10cmとした。また、Vpp=1.1Vで500kHzを最大周波数として発生させたホワイトノイズを入力した。
図7は、複数の素子20のうち、共振周波数70kHzの素子20および/または共振周波数80kHzの素子20に、信号Vppを印加した例を示している。実線は、2つの素子20に印加する信号Vppの位相を互いに逆となるようにしたときの周波数特性を示している。破線は、2つの素子20に印加する信号Vppの位相を同相にしたときの周波数特性を示している。一点鎖線は、70kHzの素子20のみに信号Vppを印加したときの周波数特性を示している。同様に、二点鎖線は、80kHzの素子20のみに信号Vppを印加したときの周波数特性を示している。
図7の破線に示すように、位相を同相にした場合、共振周波数70kHzと共振周波数80kHzの間の周波数におけるディップが大きい。これに対し、実線に示すように、位相を逆相(互いに逆)にすると、共振周波数の間のディップが小さくなる。このように、位相の調整により、隣り合う2つの共振周波数の干渉を抑制し、共振周波数の間のディップを小さくすることができる。
図8は、共振周波数80kHzの素子20および/または共振周波数90kHzの素子20に、信号Vppを印加した例を示している。図5同様、実線は、2つの素子20に印加する信号Vppの位相を互いに逆となるようにしたときの周波数特性を示している。破線は、2つの素子20に印加する信号Vppの位相を同相にしたときの周波数特性を示している。一点鎖線は、80kHzの素子20のみに信号Vppを印加したときの周波数特性を示している。二点鎖線は、90kHzの素子20のみに信号Vppを印加したときの周波数特性を示している。
図8の破線および実線に示すように、共振周波数80kHzと共振周波数90kHzの間の周波数のディップは、位相が同相の場合と逆相の場合とで、ほとんど変化しない。このように、位相の調整により、ディップがほとんど変化しない場合もある。ディップに隣接する共振周波数の少なくともひとつにおいて、素子20のQ値が大きいほど、共振周波数における音圧のピークが鋭くなり、ディップが大きくなる。よって、素子20のQ値が小さくなるように、音波を放射する側とは反対側の構成を調整するとよい。たとえば、支持体50やベース部材60の構成、固定方法などを調整することで、Q値を小さくすることが可能である。
また、逆相にすると、実線矢印で示すように72kHz付近にディップがみられた。このディップは、2つの素子20の一方に印加する信号Vppの値を小さくして音圧を低下させると、より明確となった。このように、隣り合う2つの共振周波数に対する位相の調整は、さらに隣の共振周波数との間のディップに影響を及ぼす場合がある。
図9は、共振周波数70kHzの素子20と、共振周波数80kHzの素子20と、共振周波数90kHzの素子20に、信号Vppを印加した例を示している。実線は、90kHzの素子20に印加する信号Vppの位相を、他の2つの素子20に印加する信号Vppの位相とは逆となるようにしたときの周波数特性を示している。破線は、3つの素子20に印加する信号Vppの位相を同相にしたときの周波数特性を示している。
図9に示すように、90kHzの素子20に印加する信号Vppの位相を逆相にすると、実線矢印で示すように72kHz付近のディップを、すべての素子20に印加する信号Vppの位相を同相とする場合に較べて小さくすることができた。このように、連続する3つの素子20に印加する信号Vppの位相を調整することで、ディップを小さくすることができる。つまり、ディップを挟む連続する複数の共振周波数について、対応する素子20に印加する信号Vppの位相を調整することで、ディップを小さくすることが可能である。
ディップの調整は、図7~図9に示した周波数に限定されない。他の共振周波数の間のディップについても、同様に調整が可能である。図5に示した、各素子20に印加する信号Vppの値および位相は、上記した調整を実行した後の値および位相である。このような調整により、図6に示したように周波数範囲において音圧のばらつきを±12.6dBと小さくすることができる。
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態では、音波スピーカ11がMEMS技術によって形成されている。具体的には、単一の支持体50(半導体基板500)に複数の空洞部51を設け、支持体50の主面50a上に振動部40を設けている。振動部40のうち、圧電膜31の伸縮にともなって振動する振動領域41は、隣接する空洞部51によって規定される。振動領域41の共振周波数が互いに異なるように、空洞部51の開口面積が互いに異なっている。このように、単一(共通)の振動部40に、共振周波数が互いに異なる複数の振動領域41を設けている。よって、音波スピーカ11、ひいては音波スピーカ装置10の体格を小型化することができる。
本実施形態では、音波スピーカ11がMEMS技術によって形成されている。具体的には、単一の支持体50(半導体基板500)に複数の空洞部51を設け、支持体50の主面50a上に振動部40を設けている。振動部40のうち、圧電膜31の伸縮にともなって振動する振動領域41は、隣接する空洞部51によって規定される。振動領域41の共振周波数が互いに異なるように、空洞部51の開口面積が互いに異なっている。このように、単一(共通)の振動部40に、共振周波数が互いに異なる複数の振動領域41を設けている。よって、音波スピーカ11、ひいては音波スピーカ装置10の体格を小型化することができる。
また、電圧調整部12は、振動領域41に対して個別に配置された圧電膜31(圧電振動子30)に印加する信号Vppの値を、個別に調整することができる。つまり、各共振周波数における音圧を、個別に調整することができる。電圧調整部12が信号Vppの値を個別に調整することで、上記した周波数範囲において音圧のばらつきが小さくなり、音波スピーカ11は広帯域の音波を放射できるスピーカとして機能する。音波スピーカ11は、たとえば、所定の周波数範囲を有する音波を、圧電膜31側から放射することができる。以上より、本実施形態の音波スピーカ装置10は、体格を小型化しつつ、広帯域の音波を放射することができる。
本実施形態では、11個の素子20の圧電振動子30すべてに同じタイミング(通電期間)で信号Vppを印加し、音波スピーカ11は40kHz~140kHzの周波数範囲を有する音波を放射する。このように、放射する音波が、可聴周波数を超え、200kHzを上限とする周波数範囲を少なくとも含むと、ハイパーソニック・エフェクトを得るための音波スピーカ装置として適用することができる。可聴周波数の上限は、一般に20kHzである。
本実施形態では、電圧調整部12が、信号Vppの値だけでなく、位相も個別に調整することができる。電圧調整部12は、複数の素子20のうちの一部に印加する信号Vppの位相を、残りの素子20に印加する信号Vppの位相とは逆となるように調整する。このように、電圧調整部12が信号Vppの位相を個別に調整することで、所定の周波数範囲において共振周波数の間のディップが小さくなる。したがって、周波数範囲において音圧のばらつきをさらに小さくすることができる。
図5に例示したように、電圧調整部12は、たとえば、共振周波数70kHzの素子20(圧電振動子30)に印加する信号Vppの位相が、共振周波数80kHzの素子20に印加する信号Vppの位相に対して逆となるように、位相を調整する。これにより、70kHzと80kHzとの間の周波数におけるディップ(音圧の落ち込み)を小さくすることができる。この例では、共振周波数70kHzの素子20における振動領域41が第1振動領域に相当し、圧電膜31が第1圧電膜に相当する。共振周波数80kHzの素子20における振動領域41が第2振動領域に相当し、圧電膜31が第2圧電膜に相当する。
図5に例示したように、電圧調整部12は、たとえば、連続する3つの共振周波数70kHz、80kHz、90kHzの素子20のうち、一部の素子20に印加する信号Vppの位相が、残りの素子20に印加する信号Vppの位相に対して逆となるように、位相を調整する。具体的には、共振周波数70kHz、90kHzそれぞれの素子20に印加する信号Vppの位相が、共振周波数80kHzの素子20に印加する信号Vppの位相に対して逆となるように、位相を調整する。これにより、70kHzと80kHzとの間の周波数におけるディップをさらに小さくすることができる。
本実施形態では、複数の空洞部51が支持体50の裏面50bにも開口している。そして、支持体50は、複数の空洞部51の間で気体を流通可能に、ベース部材60に固定されている。複数の空洞部51が相互に連通することで、音波を出射する側と反対側に大きな空間を構成する。したがって、空洞部51が互いに連通しない構成に較べて、振動に対する気体の抵抗が小さくなり、音圧を高めることができる。特に本実施形態では、空洞部51が支持体50の周囲の空間とも連通しているため、音圧を高めやすい。
本実施形態では、空洞部51が、平面形状を維持したまま所定の厚みを有している。このため、エッチングにより、振動領域41の形状、ひいては面積を規定しやすい。つまり、所望の共振周波数を設定しやすい。特に本実施形態では、空洞部51が、平面略真円の柱状をなしている。これにより、振動領域41も、平面略真円形状をなしている。真円形状のため、不要振動や周波数ばらつきを抑制し、特定の周波数の振幅を大きくすることができる。つまり、音圧を高めることができる。
<変形例>
電圧調整部12による信号Vppの値および位相の調整については、上記した例に限定されない。図10は、各素子20に印加する信号Vppの値および位相の別例を示す図である。図11は、図10の条件で各素子20を駆動したときの周波数特性を示している。図12は、参考例の周波数特性を示す図である。参考例では、各素子20に印加する信号Vppの条件、つまり信号Vppの値と位相を互いに共通とした。図11および図12は、音波スピーカ11から放射された音波をマイクにて集音した測定値である。この測定では、音波スピーカ11とマイクとの距離を10cmとした。また、増幅前の信号Vppの値を0.5Vとし、増幅による信号Vppの上限を5Vとした。参考例においては、各素子20に印加する信号Vppの条件が異なる点を除けば、図11と同じ構成とした。参考例では、印加する信号Vpp=5Vとした。
電圧調整部12による信号Vppの値および位相の調整については、上記した例に限定されない。図10は、各素子20に印加する信号Vppの値および位相の別例を示す図である。図11は、図10の条件で各素子20を駆動したときの周波数特性を示している。図12は、参考例の周波数特性を示す図である。参考例では、各素子20に印加する信号Vppの条件、つまり信号Vppの値と位相を互いに共通とした。図11および図12は、音波スピーカ11から放射された音波をマイクにて集音した測定値である。この測定では、音波スピーカ11とマイクとの距離を10cmとした。また、増幅前の信号Vppの値を0.5Vとし、増幅による信号Vppの上限を5Vとした。参考例においては、各素子20に印加する信号Vppの条件が異なる点を除けば、図11と同じ構成とした。参考例では、印加する信号Vpp=5Vとした。
図10に示すように、共振周波数40kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.4V、位相を同相とした。共振周波数50kHzの素子20に印加する信号Vppの値を3.8V、位相を同相とした。共振周波数60kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.8V、位相を逆相とした。共振周波数70kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.1V、位相を同相とした。共振周波数80kHzの素子20に印加する信号Vppの値を1.4V、位相を逆相とした。共振周波数90kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.2V、位相を同相とした。共振周波数100kHzの素子20に印加する信号Vppの値を4.7V、位相を同相とした。共振周波数110kHzの素子20に印加する信号Vppの値を5.0V、位相を同相とした。共振周波数120kHzの素子20に印加する信号Vppの値を1.9V、位相を逆相とした。共振周波数130kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.0V、位相を同相とした。共振周波数140kHzの素子20に印加する信号Vppの値を2.1V、位相を逆相とした。
この結果、図11に示すように、34kHz~146kHzの周波数範囲において、音圧は、75.0±12.0dBとなった。つまり、音圧のばらつきは、±12.0dBとなった。一方、図12に示すように、印加する信号Vppを共通とした参考例では、32kHz~160kHzの周波数範囲において、音圧は、84.6±18.6dBとなった。つまり、音圧のばらつきは、±18.6dBとなった。
図11と図12の対比より、素子20に印加する信号Vppの値を個別に調整したほうが、信号Vppの値を共通とするよりも、40kHZ~140kHzの周波数範囲において共振周波数の音圧のばらつきを抑制できることが明らかである。また、信号Vppの位相を個別に調整したほうが、信号Vppの位相を共通(すべて同相)とするよりも、共振周波数の間の周波数におけるディップを小さくできることが明らかである。
なお、本実施形態では、各素子20に印加する信号Vppの値を個別に調整するため、たとえば増幅による信号Vppの上限(5V)を共通信号として印加する構成に較べて、音圧が低くなる。しかしながら、広帯域の音波を放射する音波スピーカ装置において重要なのは、広い周波数範囲において音圧のばらつきが小さいことである。よって、本実施形態の音波スピーカ装置10は、広帯域の音波を放射するスピーカ装置として好適である。また、音圧については、印加する信号Vppの増幅率によって調整できる。たとえば、印加する信号Vppの値を図10の値の2倍にすれば、ばらつきはそのままで、音圧を6dB高くすることができる。つまり、各素子20に印加する電圧を等比率で上下させることで、ばらつきを変えずに音圧を上下させることができる。
電圧調整部12が、各素子20に印加する信号Vppの値(増幅率)と位相の両方を個別に調整する例を示したが、これに限定されない。電圧調整部12は、少なくとも、各素子20に印加する信号Vppの値(増幅率)を個別に調整すればよい。これにより、周波数範囲において共振周波数での音圧のばらつきが小さくなり、音波スピーカ11は広帯域の音波を放射できるスピーカとして機能する。
振動領域41および空洞部51の数は、上記した例に限定されない。振動領域41および空洞部51の数は複数であればよい。たとえば、2つの振動領域41と2つの空洞部51を有する構成としてもよい。2つの空洞部51は、主面50aにおける開口面積が互いに異なる。これにより、2つの振動領域41の共振周波数が互いに異なる。開口面積の大きい空洞部51により規定される振動領域41が最大振動領域に相当し、この振動領域41の共振周波数が周波数範囲の下限となる。開口面積の小さい空洞部51により規定される振動領域41が最小振動領域に相当し、この振動領域41の共振周波数が周波数範囲の上限となる。なお、圧電膜31を含む圧電振動子30の数についても同様である。
素子20の駆動例は上記した例に限定されない。調整回路80のそれぞれが、対応する素子20(圧電振動子30)への信号Vppの印加をオンオフするスイッチを備えてもよい。これにより、音波スピーカ11に設けられた素子20の一部である複数の素子20の圧電振動子30のみに信号Vppを印加することが可能となる。つまり、放射する音波の周波数範囲を変えることができる。信号Vppを印加する素子20を切り替えることで、周波数範囲を経時的に変化させてもよい。一時的にひとつの素子20のみに信号Vppを印加してもよい。
すべての素子20の共振周波数を、可聴周波数を超える周波数としたが、これに限定されない。複数の素子20の一部について、共振周波数を可聴周波数域としてもよい。たとえば、可聴周波数を超え、200kHzを上限とする周波数範囲の音波と、可聴周波数域内の周波数範囲の音波とを出射するように、複数の空洞部51の開口面積を設定してもよい。この場合、ひとつの音波スピーカ装置10により、ハイパーソニック・エフェクトが期待できる。また、すべての素子20の共振周波数を、可聴周波数の範囲内で設定してもよい。複数の空洞部51を共通の支持体50に構成することで、音波スピーカ11の体格、ひいては音波スピーカ装置10の体格を小型化することができる。
本実施形態では、振動部40が絶縁膜401を含む例を示したが、これに限定されない。支持体50が絶縁膜および半導体基板500を含む構成としてもよい。この場合、半導体膜を底として絶縁膜もエッチングされ、半導体基板および絶縁膜にわたって空洞部が形成される。振動部は半導体膜により構成され、半導体膜の裏面に空洞部が隣接する。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、電圧調整部12からすべての素子20に信号Vppを個別に印加可能であった。これに代えて、信号Vppが印加されないダミー素子をさらに備えてもよい。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、電圧調整部12からすべての素子20に信号Vppを個別に印加可能であった。これに代えて、信号Vppが印加されないダミー素子をさらに備えてもよい。
図13は、先行実施形態同様、すべての素子20に信号Vppを印加して駆動させた場合の、一共振周波数の素子20への印加電圧と共振周波数での音圧との関係を示している。図13は、音波スピーカ11から放射された音波をマイクにて集音した測定値である。この測定では、音波スピーカ11とマイクとの距離を10cmとした。図13では、共振周波数90kHzの例を示している。
通常、印加電圧を低くするにつれて音圧は低下する。ところが、図13に示すように、印加電圧が1V付近で音圧がもっとも低くなり、印加電圧が0Vにおいて音圧が上昇することが明らかとなった。これは、信号Vppを印加しなくても、共振周波数が近い素子20の振動、たとえば共振周波数が80kHzや100kHzの素子20の振動によって、共振するためであると考えられる。
図14は、ひとつの素子20が放射する音波の周波数特性を示している。図14では、一例として、共振周波数80kHzの素子20について示している。図14に示すように、共振周波数で音圧は最大となり、共振周波数から離れるにしたがって音圧は低下する。たとえば、共振周波数の音圧から30dB下がった音圧を基準ライン(図中の一点鎖線)とし、基準ライン以上の音圧の範囲内に他の共振周波数(共振点)を設定するとよい。図14に示す破線間の範囲、つまり矢印で示す範囲が、基準ライン以上の音圧の範囲である。これにより、素子20の駆動によって、基準ライン以上の周波数範囲内に共振周波数を有する他の素子を、電圧を印加せずに駆動させることができる。また、共振周波数の間の周波数におけるディップを小さくすることができる。
図15は、本実施形態に係る音波スピーカ装置10のうち、音波スピーカ11を示す平面図である。図15は、図2に対応している。図16は、図15に示すXVI-XVI線に沿う断面図である。図16では、信号Vppの入力が分かるように、電圧調整部12についても簡易的に図示している。
図15および図16に示すように、本実施形態の音波スピーカ11は、ダミー素子20dをさらに備えている。一例として、音波スピーカ11は、11個の素子20と、2個のダミー素子20dを備えている。ダミー素子20dは、素子20と同様の構成を有しており、区別のために各要素の名称にダミーを付している。ダミー素子20dは、ダミー圧電振動子30dと、ダミー振動領域41dを有している。
支持体50は、空洞部51とは別の位置に形成され、主面50aに開口するダミー空洞部51dを有している。ダミー振動領域41dは、振動部40のうち、ダミー空洞部51d上に位置する部分である。ダミー振動領域41dは、隣接するダミー空洞部51dにより規定される。ダミー振動領域41d上に、ダミー圧電膜31dおよびダミー上部電極32dが配置されている。ダミー圧電振動子30dは、ダミー圧電膜31d、ダミー上部電極32d、および下部電極をなす半導体膜400の部分によって構成されている。ダミー圧電振動子30dは、電圧調整部12と電気的に接続されていない。電圧調整部12は、ダミー素子20dに対応する調整回路80を有していない。一例として、本実施形態では、ダミー素子20dのひとつの共振周波数が85kHzとされ、他のひとつの共振周波数が145kHzとされている。
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、素子20の振動(駆動)によって、電圧調整部12から信号Vppが入力されないダミー素子20dが共振する。ダミー素子20dの共振により、ダミー素子20dの共振周波数の音圧が高くなる。したがって、音圧のばらつきを小さくすることができる。たとえば共振周波数85kHzのダミー素子20dが共振することで、2つの素子20の共振周波数80kHz、90kHzの間の周波数の音圧が高くなる。ダミー素子20dを設けると、隣接する共振周波数のQ値が見かけ上、小さくなる。これにより、ディップを小さすることができる。
本実施形態によれば、素子20の振動(駆動)によって、電圧調整部12から信号Vppが入力されないダミー素子20dが共振する。ダミー素子20dの共振により、ダミー素子20dの共振周波数の音圧が高くなる。したがって、音圧のばらつきを小さくすることができる。たとえば共振周波数85kHzのダミー素子20dが共振することで、2つの素子20の共振周波数80kHz、90kHzの間の周波数の音圧が高くなる。ダミー素子20dを設けると、隣接する共振周波数のQ値が見かけ上、小さくなる。これにより、ディップを小さすることができる。
同様に、共振周波数145kHzのダミー素子20dが共振することで、140kHz近傍の周波数の音圧が高くなる。隣接する共振周波数140kHzのQ値が見かけ上、小さくなる。これにより、周波数範囲の境界(上限や下限)での落ち込みを小さすることができる。
本実施形態では、音波スピーカ11が2つのダミー素子20dを備える例を示したが、ダミー素子20dの個数は上記した例に限定されない。ダミー素子20dをひとつのみ備える構成としてもよいし、ダミー素子20dを3つ以上備える構成としてもよい。
また、ダミー素子20dの共振周波数も上記した例に限定されない。ダミー素子20d(ダミー振動領域41d)の共振周波数は、所定の周波数範囲において隣り合う2つの共振周波数の間の周波数でもよい。また、周波数範囲外であって、上限もしくは下限の共振周波数の近傍の周波数でもよい。たとえば、共振周波数が35kHzのダミー素子20dを設けてもよい。これにより、周波数範囲の下限側の境界における落ち込みを小さくすることができる。
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
空洞部51の形状は、上記した例に限定されない。たとえば、空洞部51の平面形状は、略真円形状に限定されない。また、厚み方向において開口面積が変化する形状、たとえば多段に変化する形状としてもよい。
空洞部51が支持体50の裏面50bに開口する例を示したが、これに限定されない。たとえば、支持体50が主面50a側において半導体基板500上に絶縁膜を備える構成において、振動部40の半導体膜400にエッチングホールを形成し、第1面40a側から支持体50の絶縁膜をエッチング(いわゆる犠牲層エッチング)することで、絶縁膜の一部を除去し、空洞部51を形成してもよい。主面50aに開口する空洞部51の開口面積を互いに異ならせることで、広帯域の音波スピーカ11を小型化することができる。
支持体50上の膜、具体的には半導体膜400、絶縁膜401を振動部40とする例を示したが、これに限定されない。たとえば、半導体基板をエッチングしてダイアフラム(薄肉部)を形成し、ダイアフラムを含む部分を所定厚みの部分を振動部とし、振動部に連なる厚肉部を支持体としてもよい。半導体基板に形成された空洞部は、支持体の主面に開口し、振動領域であるダイアフラムを規定する。
複数の空洞部51が、支持体50の周囲、つまり外部雰囲気と連通する例を示したが、これに限定されない。たとえば、支持体50の裏面50bの縁部全周に固定部材70(接合材)を配置し、外部雰囲気と空洞部51とを遮断してもよい。遮断された状態でも、空洞部51を含む空間が広いほど、音圧を高めることができる。
空洞部51内に空気が配置される例を示したが、これに限定されない。空洞部51の内部に、空気よりも高密度の気体が配置されてもよい。この場合、共振周波数が低周波側にシフトする。また、空洞部51の内部に、空気よりも低密度の気体が配置されてもよい。この場合、共振周波数が高周波側にシフトする。これらの気体を、空洞部51内に封入(封止)してもよい。空洞部51の内部を減圧(真空)にしてもよい。
10…音波スピーカ装置、11…音波スピーカ、12…電圧調整部、20…素子、20d…ダミー素子、30…圧電振動子、30d…ダミー圧電振動子、31…圧電膜、31d…ダミー圧電膜、32…上部電極、32d…ダミー上部電極、33…下部電極パッド、40…振動部、400…半導体膜、401…絶縁膜、40a…第1面、40b…第2面、41…振動領域、41d…ダミー振動領域、50…支持体、500…半導体基板、50a…主面、50b…裏面、51…空洞部、51d…ダミー空洞部、60…ベース部材、70…固定部材、80…調整回路81…増幅器、82…位相器、100…音源、
Claims (6)
- 音波を放射する音波スピーカ(11)と、音源(100)から入力される信号Vppを増幅して前記音波スピーカに印加する電圧調整部(12)と、を備え、
前記音波スピーカは、
複数の圧電膜(31)と、
第1面(40a)と、前記第1面とは反対の面である第2面(40b)と、前記第1面上に前記圧電膜が個別に配置され、前記圧電膜の伸縮にともなって振動する複数の振動領域(41)と、を有する振動部(40)と、
主面(50a)と、前記主面に開口して前記振動領域の前記第2面に隣接し、前記主面における開口面積が互いに異なることで、共振周波数が互いに異なるように前記振動領域を規定する複数の空洞部(51)と、を有し、前記振動部を前記主面上に支持する支持体(50)と、を備え、
前記複数の空洞部のうち、前記開口面積が最大の前記空洞部により規定される前記振動領域である最大振動領域の共振周波数を下限とし、前記開口面積が最小の前記空洞部により規定される前記振動領域である最小振動領域の共振周波数を上限とする、周波数範囲の前記音波を前記圧電膜側から放射し、
前記電圧調整部は、
前記圧電膜に印加する前記信号Vppの増幅率を、個別に調整可能であり、
すべての前記圧電膜に互いに共通する前記信号Vppを印加する場合よりも前記周波数範囲において各共振周波数での音圧のばらつきが小さくなるように、印加する前記信号Vppの値を個別に調整する、音波スピーカ装置。 - 前記電圧調整部は、
前記圧電膜に印加する前記信号Vppの位相を、個別に調整可能であり、
前記周波数範囲において隣り合う共振周波数の間の落ち込みが小さくなるように、複数の前記圧電膜のうちの一部の前記圧電膜に印加する前記信号Vppの位相を、残りの前記圧電膜に印加する前記信号Vppの位相とは逆となるように調整する、請求項1に記載の音波スピーカ装置。 - 複数の前記圧電膜は、前記振動領域である第1振動領域に配置された第1圧電膜と、共振周波数が前記第1振動領域と隣り合う前記振動領域である第2振動領域に配置された第2圧電膜と、を含み、
前記電圧調整部は、印加する前記信号Vppの位相が前記第1圧電膜と前記第2圧電膜とで逆となるように調整する、請求項2に記載の音波スピーカ装置。 - 前記電圧調整部は、共振周波数が連続する3つ以上の前記振動領域に配置された前記圧電膜のうち、一部の前記圧電膜に印加する前記信号Vppの位相を、残りの前記圧電膜に印加する前記信号Vppの位相とは逆となるように調整する、請求項2に記載の音波スピーカ装置。
- 前記音波スピーカは、前記支持体の前記主面に開口するダミー空洞部(51d)と、前記振動部において前記ダミー空洞部により規定されるダミー振動領域(41d)と、前記ダミー振動領域上に配置され、前記信号Vppが印加されないダミー圧電膜(31d)を有し、
前記ダミー振動領域の共振周波数は、前記周波数範囲において隣り合う2つの共振周波数の間の周波数、または、前記周波数範囲外であって前記上限もしくは前記下限の共振周波数の近傍の周波数とされている、請求項1~4いずれか1項に記載の音波スピーカ装置。 - 前記複数の空洞部の前記開口面積は、前記音波が可聴周波数を超え、200kHzを上限とする周波数範囲を少なくとも含むように設定されている、請求項1~5いずれか1項に記載の音波スピーカ装置。
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