JP2022156985A - 固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塊状炭素を可及的に排除できて、とくにマクロ孔の適正化ができ、さらには、燃料電池としての使用する上で求められる大電流特性や耐久性などにも優れるような固体高分子形燃料電池の触媒を製造する上で好適な触媒担体用炭素材料及びその製造方法を提供する。【解決手段】固体高分子形燃料電池の触媒担体に用いられ、3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する触媒担体用炭素材料であって、(1)レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いた粒度分布測定において、体積径基準における粒子径1μm以下の粒子の積算分布[%]をDLとし、粒子径1μm超える粒子の積算分布[%]をDHとしたときのDL/DHが1.5以上であること、及び(2)水銀ポロシメトリ法による測定される細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径が40nm~70nmであることを同時に満たすことを特徴とする触媒担体用炭素材料及びその製造方法である。【選択図】図1

Description

この発明は、固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料及びその製造方法に関する。
近年、100℃以下の低温で作動可能な固体高分子形燃料電池が注目され、車両用駆動電源や定置型発電装置として開発や実用化が進められている。そして、一般的な固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性の電解質膜を挟んでその両外側にそれぞれアノード及びカソードとなる触媒層が配置された膜電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)と、この膜電極接合体を挟んでそれぞれ触媒層の外側に配置されたガス拡散層と、更にこれらガス拡散層の外側に配置されたセパレーターとからなる構造を基本構造(単位セル)とし、通常は、必要な出力を達成するために必要な数の単位セルをスタックすることにより構成されている。
そして、このような固体高分子形燃料電池の単位セルにおいては、アノード側とカソード側にそれぞれ配されたセパレーターのガス流路から、カソード側には酸素や空気等の酸化性ガスを、また、アノード側には水素等の燃料をそれぞれ供給し、これら供給された酸化性ガス及び燃料(これらを「反応ガス」ということがある。)を、それぞれガス拡散層を介して触媒層まで供給し、アノードの触媒層で起こる化学反応とカソードの触媒層で起こる化学反応との間のエネルギー差(電位差)を利用して仕事を取り出している。例えば、燃料として水素ガスが、また、酸化性ガスとして酸素ガスが使用される場合には、アノードの触媒層で起こる化学反応〔酸化反応:H2→2H++2e-(E0=0V)〕と、カソードの触媒層で起こる化学反応〔還元反応:O2+4H++4e-→2H2O(E0=1.23V)〕とのエネルギー差(電位差)を仕事として取り出している。
ここで、上記のような触媒層を形成して化学反応を生起させる触媒については、通常、触媒担体としては電子伝導性、化学的安定性、電気化学的安定性の観点から多孔質炭素材料が用いられ、また、触媒金属としては強酸性環境下での使用が可能であって酸化反応及び還元反応に対して共に高い反応活性を示すPt又はPt合金が主として用いられている。そして、触媒金属については、一般に前記の酸化反応及び還元反応が触媒金属上で起きるので、この触媒金属の利用率を高めるためには、質量当りの比表面積を大きくすることが必要になり、通常は数nm程度の大きさの粒子が用いられている。
そして、このような触媒金属の粒子を担持する触媒担体については、担体としての担持能力を高めるために、すなわち、前記の数nm程度の触媒金属粒子を吸着して担持するためのサイトを多くするために、比表面積の大きな多孔質炭素材料であることが必要であると共に、前記の触媒金属粒子を可及的に高分散状態で担持するように、細孔直径2~50nmのメソ孔の容積、すなわちメソ孔容積の大きな多孔質炭素材料であることが求められると同時に、アノード及びカソードとなる触媒層を形成した際には、この触媒層中に供給された反応ガスを抵抗なく拡散させ、また、この触媒層中で生成した水(生成水)を遅滞なく排出させるために、この触媒層中に反応ガスの拡散や生成水の排出に適した微細孔が形成される必要がある。
そこで、そのような目的を達成するために、従来から比較的大きな比表面積及びメソ孔容積を有し、同時に、立体的に枝が発達した樹状構造を持つ多孔質炭素材料が提案されており、とくに、3次元的に分岐した3次元樹状構造を持つ銀アセチリド等の金属アセチリドを中間体として製造され、その3次元樹状構造が維持された樹状炭素ナノ構造体が注目されてきた(例えば、特許文献1~4を参照)。このような特許文献1~4に記載されたような触媒担体用炭素材料は、いずれも比較的大きな比表面積やメソ孔容積を有し、また、耐久性にも優れるものであることから、特に自動車用燃料電池として利用する際に大出力を引き出す上で重要な大電流特性に優れるものである。
そして、このような手順により作製される触媒担体用炭素材料については、これを実際に触媒層に利用する際には、その粒子径が20nmから最大でも1μm程度にすることが求められている。かような範囲であれば、触媒担体用炭素材料が比較的大きな比表面積やメソ孔容積を有した場合であっても機械的強度が維持され、かつ、触媒層の厚みを適切な範囲で制御することができるとされている。このように粒子径が最大でも1μm程度である触媒担体用炭素材料を得るために、通常は、次の触媒層の作製等に使用する前には、予め、ジェットミル等の装置を用いて解砕・粉砕及び分級処理(以下、これらをまとめて「分級処理」と記載することとする。)を行い、1μmを超えるような比較的大きな粒子を排除するようにしている。
そして、本願の発明者らによるこれまでの検討によれば、前記のような分級処理を行ったとしても排除されない程度に粗大であって高結晶性かつ非多孔性の塊状炭素が混入(残存)されること、及びそのような塊状炭素が触媒担体用炭素材料の製造工程に起因する“芳香族性の低い炭素(煤)”に由来するとの推察のもとに、該製造工程において使用されるアセチレンガスの吹込み量の適正化(特許文献5を参照)や、或いは、該製造工程において所定の酸化剤溶液により処理を追加すること(特許文献6を参照)のような製造工程上の工夫を行ってきており、これにより、触媒用炭素材料に混入(残存)する前記塊状炭素を抑制することを提案してきた。
しかしながら、前記のような分級処理を行っても排除されないような塊状炭素について本願の発明者らがさらに検討を進めると、そのような塊状の炭素は、前記分級処理で排除されるものよりも小さな粒子であり、芳香族性の低い炭素(煤)や触媒担体用炭素材料の骨格形成炭素などと共に強固に連結した凝集塊でありながらも空隙を多く持つものであって軽い(質量が小さい)ものであることが判明し、前記のような特許文献5に記載の方法では、わずかな過剰アセチレンガス吹込みの影響で塊状炭素の生成を完全には抑制できず、また特許文献6のような方法は工程が複雑であるという点に加えて、目的とする炭素材料も部分的に酸化・除去され歩留が低下するという問題があった。しかも、このような排除されない塊状炭素は空隙を多く持つことや軽いこと等に由来して、単に分級処理をしようとしてもうまくいかないことも知見された。
ところで、これまで検討されてきたような3次元樹状構造の樹状炭素ナノ構造体からなる触媒担体用炭素材料は、高い比表面積を有する多孔質炭素であって、燃料電池の触媒として比較的大電流特性〔大電流時の出力電圧、特に、自動車用燃料電池として利用した際に大出力を引き出す上で重要な大電流(高負荷)特性〕に優れることが分かっており、このような大電流特性の更なる向上についても、本願の発明者らが検討を行っている。例えば特許文献7に記載されるように、前記同様の“芳香族性の低い炭素(煤)”やそれによって生成される塊状炭素の低減のために製造工程中に所定の酸化処理工程を設ける取り組みや、或いは、特許文献8に記載されるように、3次元樹状構造の分岐数や枝径の適正化に着目して、製造工程中における硝酸銀濃度と反応温度を調整するような取り組みを行ってきたが、前記のような特許文献7に記載の方法では、選択的に“芳香族性の低い炭素(煤)”を除去できるものの、それは酸化触媒作用を持つ銀粒子周辺に限られ、そのため塊状炭素の低減効果も限界があった。また、前記特許文献8に記載の方法では、本発明で後述する炭素材料の粒度についての言及が無く、最適な粒子間空隙の実現には不十分であった。
WO 2014/129597号 WO 2015/088025号 WO 2015/141810号 WO 2016/133132号 WO 2018/182045号 WO 2020/066010号 WO 2018/182048号 WO 2018/182047号
そして、前記のような大電流特性については、通常、触媒層内の酸素ガス拡散や生成水の排出性能が大きく影響するため、触媒担体となる炭素材料についてはその粒度や触媒層内の空孔、特にマクロ孔サイズを最適化する必要があると推測されるが、実際のところ、これまでは3次元樹状構造を持つ触媒担体用炭素材料については粒度の最適な条件が分かっていないため、本来の大電流特性を引き出せていないことが懸念されていた。つまり、酸素ガス拡散や生成水の排出は触媒担体用炭素材料の表面→枝間空隙・粒子間空隙を通じて行われると推測されるが、前記のような排除されない塊状炭素が多く含まれていると、空隙面へ露出している樹状炭素ナノ構造体の表面が少なくなることで前記酸素ガス拡散などが阻害されると考えられる。また、このような塊状炭素に由来する大きな空隙部は酸素ガスや水蒸気の流通をショートパスさせたりすることで触媒層内の酸素ガス拡散などが有効に行われないとも考えられる。
そのため、従来のような分級処理でも排除できていないような塊状炭素を可及的に減らすことは、得られる触媒担体用炭素材料やそれを用いた触媒層におけるマクロ孔サイズを本来の適正な状態することが可能になるとともに、それによって酸素ガス拡散や生成水の排出の性能が大きくなって大電流特性が向上されるのではないかとの考えに至った。
そこで、本願の発明者らは、このような従前の分級処理では排除できないような塊状炭素を如何にして減らすことができるのかと、それにより得られる触媒担体用炭素材料の特性をどのようにして特定できるのかについて鋭意取り組んだ結果、以下のような知見を得た。
すなわち、第1の粉砕・分級処理によって粗大な塊状炭素を除きつつ、粉体内部に存在した芳香族性の低い炭素を表面に露出させられるであろうこと、その後に比較的高温のガス、特に二酸化炭素ガスを接触させることにより、前記の芳香族性の低い炭素を選択的かつ万遍なく消耗できるであろうこと、さらにそれを含む塊状炭素は機械的強度が低下した状態となれば、その後に粉砕・分級処理を行うことで可及的に排除できるであろうという着想に至った。
そして、前記のような着想に基づいた第1の粉砕・分級処理と二酸化炭素との接触(賦活)とその後のさらなる粉砕処理を行って得られる所望の触媒担体用炭素材料については、問題となっていた塊状炭素が可及的に排除されることから、それによって1μm以下の粒度の割合が小さくなるであろうこと及びそれを該粒度範囲に好適なレーザー回折散乱測定法により求めること、また、マクロ孔が大きいだけではなく、酸素ガスの拡散や生成水の排出のために最適なサイズであるということ及びそれをマクロ孔サイズの材料空隙を精度良く測定するに好適であるとの理由から水銀ポロシメトリ法により測定される細孔径20nm~200nmの範囲に表れるモード径により表すことができるとともに、それらが実際に大電流特性や耐久性の評価によく相関することを突き止めた。
なお、このような本願の発明者らの着想のうち、二酸化炭素を用いた賦活処理については、例えば特許文献4などでも一部用いられているが、このような従来の賦活処理は多孔質炭素のさらなる多孔化や比表面積の増大、もしくはミクロ孔増加を目的としたものであって、今回排除の目的とする塊状炭素に対してそれを選択的に消耗させることや、またその後の粉砕処理と相まって粒度を適正なものとして大電流特性や耐久性に寄与することは何ら予見されていない。
本発明は、上述した各知見に基づいて発明されたものであり、その目的とするところは、触媒担体用炭素材料において前記塊状炭素を可及的に排除できてとくにマクロ孔のサイズの適正化ができ、さらには、燃料電池としての使用する上で求められる大電流特性や耐久性などにも優れるような固体高分子形燃料電池の触媒を製造する上で好適な触媒担体用炭素材料を提供することにあり、また、そのような触媒担体用炭素材料に関して、1μm以下の粒度の割合や、水銀ポロシメトリ法により測定される細孔径20nm~200nmの範囲に表れるモード径から規定するような手法の提供もまた本発明の目的とするところである。
さらに、本発明の他の目的は、このような触媒担体用炭素材料の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕固体高分子形燃料電池の触媒担体に用いられ、3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する触媒担体用炭素材料であって、下記(1)及び(2)を同時に満たすことを特徴とする触媒担体用炭素材料。
(1)レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いた粒度分布測定において、体積径基準における粒子径1μm以下の粒子の積算分布[%]をDLとし、粒子径1μm超える粒子の積算分布[%]をDHとしたときのDL/DHが1.5以上であること。
(2)水銀ポロシメトリ法により測定される細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径が40nm~70nmであること。
〔2〕窒素ガス吸着等温線のDollimore-Heal法を用いた解析により求められる細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20が0.17~0.50mL/gであることを特徴とする〔1〕に記載の触媒担体用炭素材料。
〔3〕窒素ガス吸着等温線において、相対圧0.95~0.99における窒素ガス吸着量Vmacroが500~1600cc(STP)/gであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の触媒担体用炭素材料。
〔4〕窒素ガス吸着等温線のBET解析により求められるBET比表面積が400~1500m/gであることを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
〔5〕ラマン分光スペクトルの1550~1650cm-1の範囲に検出されるG-バンドの半値幅ΔGが、50~70cm-1であることを特徴とする〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
〔6〕前記V5-20が、0.17~0.40mL/gであることを特徴とする〔2〕~〔5〕のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
〔7〕固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料の製造方法であり、
銀アセチリドの分解によって得られる銀と炭素とを含む複合材料から、銀を除去した後、真空中又は不活性ガス雰囲気下中で1400℃以上2300℃以下の温度で加熱処理をして炭素材料中間体を得る工程を有し、
次いで、前記炭素材料中間体を粉砕する第1の粉砕工程と、該粉砕後の炭素材料を二酸化炭素と接触させ賦活させる賦活工程と、該賦活された炭素材料を粉砕する第2の粉砕工程と、を備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料の製造方法。
本発明の触媒担体用炭素材料によれば、前述するような、塊状炭素を可及的に排除できて、とくにマクロ孔の適正化ができ、さらには、燃料電池としての使用する上で求められる大電流特性や耐久性などにも優れるような固体高分子形燃料電池の触媒を製造する上で好適な触媒担体用炭素材料を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、このような触媒担体用炭素材料の製造方法を提供することができる。
図1は、後述する実施例1の触媒担体用炭素材料について、レーザー回折・散乱式粒度分布計により測定される粒度分布(頻度分布;上図)と、積算分布(下図)とを示すものである。下図の積算分布において、破線が示す部分は、粒子径1μm、積算分布79.4%である。 図2は、後述する比較例1の、レーザー回折・散乱式粒度分布計により測定される粒度分布(頻度分布;上図)と、積算分布(下図)とを示すものである。 図3は、後述する実施例1、実施例2、比較例1、比較例6、比較例10の各触媒担体用炭素材料について、水銀ポロシメトリ法により測定される細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径を示すためのグラフである。 図4は、後述する実施例1の触媒担体用炭素材料をSEM観察した際に確認される構造(空隙部、凝集部)を示すための説明図(写真)である。図中の白破線で囲んだ領域は、小さな空隙部(符号:SV)の一例を示す。 図5は、図4で示された実施例1に係る説明図(写真)を2値化画像処理したものであり、黒色部は空隙部を示し、白色部は炭素材料(粒子)を示す。 図6は、後述する比較例1の触媒担体用炭素材料をSEM観察した際に確認される構造(空隙部、凝集部)を示すための説明図(写真)である。図中の白実線で囲んだ領域は塊状炭素(符号:C)の一例を示し、白破線で囲んだ領域は、塊状炭素間に形成される大きな空隙部(符号:LV)の一例を示す。
以下、本発明の固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料及びその製造方法について、詳細に説明する。
本発明の固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料は、3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する下記の(1)及び(2)同時に満たす多孔質炭素材料である。
(1)レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いた粒度分布測定において、体積径基準における粒子径1μm以下の粒子の積算分布[%]をDLとし、粒子径1μm超える粒子の積算分布[%]をDHとしたときのDL/DHが1.5以上であること。
(2)水銀ポロシメトリ法による測定される細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径が40nm~70nmであること。
先ず、3次元的に分岐した3次元樹状構造を有するとは、本発明者らが従前からも提案しているものと同義であり、図4等に示すように、棒状体又は環状体が3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する樹状炭素ナノ構造体からなることを示すものである。
次に、(1)について説明する。
本発明の触媒担体用炭素材料においては、従来から行われてきたような分級処理では排除しきれなかったような、比較的粗大であってしかも空隙が多くて軽いような塊状炭素を可及的に排除するような後述の賦活や粉砕の処理が施されたものであることから、粒度分布が従前とは異なることが分かり、具体的には排除したかった塊状炭素が1μm以上の大きさの範囲となるものが多いことが分かっていること、また、前記のとおり触媒層に利用する際には、触媒担体用炭素材料の粒子径が最大でも1μm程度にすることが求められていたことから、この1μmの粒度の割合が小さくなるであろうことと、後述の発電性能(大電流特性)及び耐久性とよく相関が採れることを知見した。そして、このような特徴について、得られた触媒担体用炭素材料の粒度分布を測定し、体積径基準における粒子径1μm以下の粒子の積算分布(%)(以下、これをDLと表す。)と、粒子径1μmを超える粒子の積算分布(%)(以下、これをDHと表す。)との比DL/DHを指標とすることを新たに見出した。具体的な測定方法については、図1~2に記載の頻度分布・積算分布が用いられ、粒子径1μmまでの頻度分布の積算(面積)をDLとし、また、粒子径1μm以上の頻度分布の積算(面積)をDHとして、頻度分布におけるそれぞれの領域の積算(面積)を、積算分布のようにあらわすことで求められる。ここで、DLが多いことをDHとの比で表す理由としては、触媒層を形成した際の粒子の充填状態を理解するためであり、その際に排除の対象となるDHを分母に持ってくる理由は粗大粒子に対し微小粒子が十分に存在することを認識するためである。なお、本測定はレーザー回折・散乱式粒度分布計(測定装置)を用いて行われるが、これは、本方法及び測定装置がサブミクロン~ミクロンサイズの粒度分布を精度良く測定するのに好適であるからである。さらには、粒子径について「体積径基準」を採用している理由としては、実際の触媒層に存在する担体粒子の粒度分布と対応し、さらにそのことから燃料電池性能とも対応すると推測できるためである。
すなわち、本発明の触媒担体用炭素材料は、当該DL/DHが1.5以上であることが求められ、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.5以上であることがよい。このDL/DHが1.5未満である場合、つまり、1μmを超えるような粗大な塊状炭素が比較的多い場合には、表面に露出していない炭素粒子が多い、すなわち酸素ガス拡散や水の排出に十分な空隙が無いと推測されることから、このような炭素材料を触媒層に用いた場合には触媒利用の効率が低くなるおそれがあって、燃料電池の発電性能が劣ることが懸念される。なお、DL/DH比の上限値は特に制限されず、数値が大きい(すなわち、粒子径1μmを超える粒子の積算分布DHが小さい)ほど好ましい。
続いて、(2)について説明する。
これまでの記載のとおり、本発明の触媒担体用炭素材料においては、排除されるべき塊状炭素が可及的に排除されることで、とくにマクロ孔が最適なサイズとなっている、すなわち、酸素ガスの拡散や生成水の排出に十分な大きさであり、かつ触媒密度が保たれている必要があり、このような特徴について、得られた触媒担体用炭素材料のマクロ孔のサイズを、水銀ポロシメトリ法で測定される細孔分布において、直径20nm~200nmの範囲のモード径の位置を指標とすることを新たに見出した。ここで、測定される細孔分布はlog微分細孔容積分布であり、測定法として水銀ポロシメトリ法を用いる理由としては、マクロ孔サイズの材料空隙を精度良く測定する好適な方法であるからである。また、当該20nm~200nmの直径範囲は、枝間・粒子間の空隙を示すものであり、そのうちのモード径(最頻度径)が炭素粒子表面と触媒層外を繋ぐ酸素ガス拡散等の経路(空隙)について最も頻度の高いサイズを示しているため好適である。
すなわち、本発明の触媒担体用炭素材料は、当該モード径(ピーク位置)が40nm~70nmの範囲である必要があり、好ましくは45nm~65nm、さらに好ましくは45nm~55nmであることがよい。モード径が40nm未満の場合、後述の賦活処理もしくは粉砕などが過剰であり、健全な枝構造が保存されていないと推測されることから、このような炭素材料を触媒層に用いた場合には酸素ガス拡散等の低下および触媒層の機械的強度低下が起こるおそれがある。一方で、モード径が70nmよりも大きい場合には、酸素ガスの拡散等に必要以上の空隙となると推測されることから、このような炭素材料を触媒層に用いた場合には触媒利用の効率が低くなるおそれがあって、燃料電池の発電性能が劣ることが懸念される。
さらに、このような本発明の触媒担体用炭素材料は、前記の如く、窒素ガス吸着等温線のDollimore-Heal法を用いた解析により求められる細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20が0.17~0.50mL/gであることが好ましく、より好ましくは0.17~0.40mL/g、さらに好ましくは0.20~0.30mL/gであることがよい。このV5-20は燃料電池触媒層の窒素ガス吸着等温線を測定した際に、多くが消失することから、アイオノマー樹脂(プロトン伝導樹脂)の吸着に使用されているとも推測される。本発明者らは発電性能との比較から、V5-20が前記の範囲であるときに、アイオノマー樹脂の吸着量が最適であるとの知見を得た。V5-20が0.17mL/g未満の場合、芳香族性の低い炭素により炭素表面が覆われている、もしくは炭素粒子が凝集していることが考えられ、触媒利用効率の点で好ましくないと考えられる。反対に、V5-20が0.50mL/gを超える場合、触媒反応に必要な量以上のアイオノマー樹脂を炭素表面に付着させることになり、触媒中のアイオノマー樹脂比率が高くなる、すなわち、炭素表面にアイオノマー樹脂が厚くなり、酸素ガスが炭素粒子内へ進入することが困難になる虞がある。
また、本発明の触媒担体用炭素材料については、触媒層中に形成される微細孔の内部におけるガス拡散性の観点から、前記窒素ガス吸着等温線において、相対圧が0.95から0.99までの間に吸着される窒素ガス吸着量Vmacroが、500~1600cc(STP)/gであることが好ましく、より好ましくは700~1200cc(STP)/gであるのがよい。この相対圧0.95~0.99までの間における窒素ガス吸着量Vmacroは、1次粒子の間隙によって形成されるマクロ孔の大きさを示すものであるが、この値が前記の範囲である場合、炭素材料の3次元樹状構造が高度に発達したものとなる。3次元樹状構造を発達させることで、燃料電池とした際に原料ガス(H、O)供給が少ないことや生成するHOの排出性が悪いことに起因して発生する状況(電池反応が阻害されるような状況)を回避することができる。すなわち、大電流特性が良好な燃料電池を形成することが可能となるため好ましい。
また、このような本発明の触媒担体用炭素材料については、前記の如く、窒素ガス吸着等温線のBET解析により求められるBET比表面積が400~1500m/gであることが好ましく、より好ましくは500m2/g以上1400m2/g以下であることがよい。このBET比表面積がこのような範囲である場合、数nmの触媒金属粒子は、良好に分散した状態で、すなわち、触媒金属粒子間距離が一定値以上保たれて粒子が単独で存在できる状態で担持されるため好ましい。
さらに、本発明の触媒担体用炭素材料については、その結晶性を高めて燃料電池使用環境下における耐久性を改善するという観点から、ラマン分光スペクトルの1550~1650cm-1の範囲に検出されるG-バンドの半値幅ΔGが、50~70cm-1であることが好ましく、より好ましくは50~65cm-1であるのがよい。このΔGは炭素材料の炭素網面の広がりを現すとされており、ΔGが50cm-1未満であると炭素網面が広がり過ぎて細孔壁を形成する炭素網面のエッジ量が減少し、細孔壁への触媒金属微粒子の担持特性が低下する傾向があり、反対に、70cm-1を超えて大きくなると炭素網面が狭く、酸化消耗しやすい炭素網面のエッジ量が増えるため、耐久性が低下する傾向がある。
そして、このような本発明の触媒担体用炭素材料を製造する方法については、銀アセチリドの分解によって得られる銀と炭素とを含む複合材料から、銀を除去した後、真空中又は不活性ガス雰囲気下中で加熱処理をして得られた炭素材料中間体に含まれてくる前記塊状炭素を可及的に排除する必要があるが、本願の発明者らの詳細な検討によれば、そのためには、以下のような手順で粉砕(第1、第2)及び二酸化炭素との接触(賦活)を行うことが有効であることを知見した。以下、その手順について説明する。
<第1の粉砕工程>
加熱処理を経て得られた炭素材料中間体に存在する凝集粒子(塊状炭素)を低減し粒度を揃えるため、加熱処理された炭素材料中間体を粉砕することで小粒径化することができる。この第1の粉砕工程における粉砕方法は、乾式粉砕、湿式粉砕いずれでもよく、それらの公知の方法を用いることができるが、異物の混入が抑制できることから乳鉢による粉砕や、ジェットミル粉砕、あるいはロールミル粉砕などによる乾式粉砕が好ましい。この第1の粉砕は、後述の賦活処理工程の効率を高めるという観点から、塊状炭素を出来るだけ少なくする、具体的には前記のDL/DH=1以上を指標として行われることが好ましい。
<二酸化炭素との接触(賦活)工程>
第1の粉砕工程によって小粒径化された炭素材料中間体を、二酸化炭素雰囲気中で、所定時間加熱することで賦活された多孔質炭素材料を得ることができる。ここで、二酸化炭素雰囲気とは、反応時間制御等のために一部不活性ガスを含むことは排除されないが、好ましくは不可避的な極微量な成分以外は二酸化炭素ガスである雰囲気であって、最も好ましくは二酸化炭素のみ(100vol%)の雰囲気であることがよい。すなわち、このような工程により、炭素材料中間体に含まれたままである非芳香族性の成分を多く含む脆弱な炭素の部分を消耗させることができる。このような非芳香族性の成分を多く含む脆弱な炭素の部分は粒子同士の結着部を含む表面に多く含まれており、二酸化炭素雰囲気において加熱する賦活により、その部分の機械的強度を低下させることができ、粒子どうしの結着強度を低下させることができる。このような工程における加熱温度の目安は炭素骨格を維持し、非芳香族性の多い炭素をできるかぎり選択的に反応させるとの理由から、900~1100℃であることが好ましい。また、この範囲の加熱温度による処理時間は、好ましくは0.2時間~3時間、より好ましくは0.5時間~2時間とすることがよい。
<第2の粉砕工程>
そして、二酸化炭素雰囲気下で賦活された炭素材料中間体を再度粉砕に供することで、触媒担体用多孔質炭素材料を得ることができる。この第2の粉砕工程は、前記第1の粉砕工程における方法と同様に、乾式粉砕、湿式粉砕いずれでもよく、それらの公知の方法を用いることができるが、異物の混入が抑制できることから乳鉢による粉砕や、ジェットミル粉砕あるいはロールミル式などによる乾式粉砕が好ましい。この第2の粉砕は、レーザー回折・散乱式の粒度分布を指標として行われることが好ましく、前記のDL/DH=1.5以上まで粉砕されることが望ましい。
そして、上記のような粉砕(第1、第2)及び二酸化炭素との接触(賦活)を経ることで問題となる塊状炭素が可及的に排除されるものと推察され、それにより前記(1)及び(2)の規定を満たす触媒担体用炭素材料を得ることができる。なお、第1の粉砕工程に供される炭素材料中間体については、硝酸銀のアンモニア水溶液からなる反応溶液中に所定量のアセチレンガスを吹き込んで銀アセチリドを合成し(銀アセチリド生成工程)、得られた銀アセチリドを所定の温度で自己分解爆発反応させ(分解工程)、その後、硝酸溶液と接触させてこの炭素材料中間体を清浄化して銀の粒子を除去し(洗浄処理工程)、この清浄化後のものを真空中又は不活性ガス雰囲気中で所定の温度で加熱処理(加熱処理工程)することにより製造することができる。以下、各工程について説明する。
(銀アセチリド生成工程)
本発明において、銀アセチリド生成工程については前述のとおりに、アセチレンガスと硝酸銀との物質量比を調整して行われるものであるが、アセチレンガスの接触方法については、例えば、硝酸銀水溶液にアセチレンガスを通過させる、より具体的には硝酸銀水溶液にアセチレンガスを吹き込む方法が挙げられる。また、硝酸銀水溶液とアセチレンガスとの接触時において、硝酸銀水溶液に対し超音波を照射することもできる。これにより、アセチレンガスの硝酸銀水溶液への溶解と分散が促進されるという効果が得られる。その際、硝酸銀水溶液とアセチレンガスとの接触時において、硝酸銀水溶液を撹拌することが好ましい。これにより、アセチレンガスと硝酸銀水溶液との接触の接触頻度が増加する結果、効率よく銀アセチリドが生成する。撹拌は、一般的な撹拌翼を用いて行ってもよいし、マグネットスターラー等の撹拌子を用いておこなってもよい。これにより、白色結晶の嵩高い沈殿物として銀アセチリドを得ることができる。
(分解工程)
次に、得られた銀アセチリドを加熱することにより分解させる。銀アセチリドを加熱することにより、銀アセチリドがナノスケールにて爆発し、銀と炭素とに相分離し、その際、銀はナノサイズの粒子を形成し、または反応熱によりガス化して表面部分に噴出する。炭素は、アセチレン分子等のアセチレン系化合物が3個集まってベンゼン環を形成しやすいために、芳香族性の高い構造を有する。また、銀がナノ粒子を形成するため、銀を除去した炭素相は、多孔質の構造体となる。
銀アセチリドの加熱は、例えば、以下のように行うことができる。得られた銀アセチリドの沈殿物を、減圧雰囲気下で例えば40℃以上100℃以下で加熱(これを、「第1の加熱処理」と呼ぶこととする。)することにより、銀アセチリド中に残存した反応溶液中の溶媒を除去することができ、爆発の熱エネルギーが溶媒の気相への相転移の顕熱に費やされることを防ぎ、銀アセチリドの分解を効率化することができる。なお、この温度では、銀アセチリドは分解しない。
次いで、溶媒が除去された銀アセチリドを、例えば140℃~400℃で加熱する(これを、「第2の加熱処理」と呼ぶこととする。)。このように比較的高い温度まで銀アセチリドを加熱することにより、銀アセチリドがナノスケールで爆発して分解し、銀と炭素が各々ナノ構造物を形成する。これにより、銀と、炭素とを含む複合材料が得られる。なお、同複合材料の炭素相の部分の基本構造は、前述のようにアセチレン系化合物による多環芳香族形成により、主として数層のグラフェンにより構成される。また、同複合材料においては、銀が爆発過程においてナノスケールの粒子を形成することから、銀粒子を除去した炭素材料は、比表面積が大きく、また多孔性に富んだ炭素材料を得ることができる。
(洗浄処理工程)
銀と炭素とを含む複合材料から銀を取り除くには公知の方法を用いることができる。例えば、銀と炭素とを含む複合材料を熱硝酸に浸漬し、銀を溶解することで表面及び内部に残存した銀が除かれた清浄化された炭素材料を得ることができる。
(加熱処理工程)
清浄化された炭素材料を真空中又は不活性ガス雰囲気中において好ましくは1400~2300℃、より好ましくは1800~2250℃の温度で熱処理し(これを、「第3の加熱処理」と呼ぶこととする。)、加熱処理された炭素材料中間体を得る。本工程で行われる熱処理により結晶を発達させることができ、焼成温度によって結晶性を調節、制御することができる。最終的な触媒担体用炭素材料が、例えば固体高分子形燃料電池の電極の触媒担体として使用される場合には、比較的高温、例えば80℃程度であり、pH1以下の強酸性かつ1.3V vs SHEの高電位の環境下に暴露されるが、このような環境下では、多孔質な当該触媒担体用炭素材料中の炭素が酸化消耗しやすい。したがって、多孔質な当該触媒担体用炭素材料を触媒担体として使用する場合、本工程において結晶性を高めることが重要である。
前述の通り、加熱処理工程の温度が2300℃を超えると、触媒担体用炭素材料の骨格を形成することとなる芳香族性の高い炭素すらも急激な結晶化が進行するおそれがあるため、その後の分級工程で解砕・粉砕され難くなり分級処理の歩留りが低下する虞があることから、加熱処理工程の温度は2300℃以下が好ましい。なお、当該加熱処理工程の温度の下限側については、得られる触媒担体用炭素材料の耐久性(前述のΔG)を良好なものとするとの観点から、1400℃以上とすることが好ましく、より好ましくは、1800℃以上とすることがよい。
加熱処理工程は、特に限定されないが、例えば減圧雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行うことができ、好ましくは不活性ガス雰囲気下である。不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、アルゴン等を用いることができる。
そして、本発明の触媒担体用炭素材料は、触媒担体として好適には、棒状体又は環状体が3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する樹状炭素ナノ構造体からなり、従来のこの種の樹状炭素ナノ構造体と比較してBET比表面積や耐久性において同等あるいはより優れているだけでなく、前述の通り、粗大な塊状炭素が可及的に排除されているものであることから、この炭素材料を触媒担体として調製された触媒層には反応ガスを抵抗なく拡散させ、また、この触媒層中で生成した水(生成水)を遅滞なく排出させるのに適したマクロ細孔が形成されて、更には、触媒金属の利用率が低下する虞が少なくて、燃料電池としての発電特性(大電流特性)及び耐久性に優れるような固体高分子形燃料電池を得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の触媒担体用炭素材料及びその製造方法を具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例において調製された触媒担体用炭素材料の前記(1)で規定するDL/DH比、前記(2)で規定するモード径(nm)、BET比表面積 (m/g)、細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20、窒素ガス吸着量Vmacro〔cc(STP)/g〕、ラマン分光スペクトルの1550~1650cm-1の範囲に検出されるG-バンドの半値幅ΔG(cm-1)についての測定は、それぞれ以下のようにして実施した。また、得られた触媒担体用炭素材料の一部について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行った。
<レーザー回折・散乱式粒度分布の測定(DL/DH比の測定)>
後述する各実施例及び比較例で準備された触媒担体用炭素材料について、サンプル瓶に10mg秤量し、10%リポノックス溶液を1ml添加し、超音波洗浄機で10分間超音波を照射し分散させた。次いで、透過率が所定の範囲に入るように10%リポノックス溶液を添加し、測定装置(堀場製作所社製LA-920)で測定した。
得られた体積径基準の粒度分布を、頻度分布を積算して得られる頻度積算について、1μmを境界として、それぞれ、1μm以下の粒子の積算分布(%)(頻度分布における積算面積)DLと、1μmを超える粒子の積算分布(%)(頻度分布における積算面積)DHとを求めて、それらよりDL/DH比とした。
<水銀ポロシメトリ法による細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径>
後述する各実施例及び比較例で準備された触媒担体用炭素材料について、120℃で4時間、恒温乾燥したものを30mg量り取り、測定セルに入れタッピングした試料を測定装置(micromeritics社製オートポアIV9520)のサンプル容器内に装填し、導入初期圧力5kPa及び最高圧入圧力は400MPaの条件で水銀を圧入した。得られた結果をもとに、細孔半径約0.0018~100μmの細孔分布を求めた。細孔径はWashburnの式を用いて算出した。
Washburnの式:PD=-4σcosθ
ここで、P:圧力、σ:水銀の表面張力、D:細孔直径、θ:水銀と試料との接触角。水銀の表面張力σおよび水銀と試料との接触角には、それぞれσ=480dynes/cm、接触角=140degreesの値を用いた。
そして、得られたlog微分細孔容積分布〔各測定点間の細孔容積増加分dVを、細孔半径(R)の対数差分値d(logR)で割り、各区間の平均細孔径でプロットしたもの:dV/d(logR)〕から、その最頻度径(ピーク)をモード径として求めた。
<BET比表面積(m/g)、細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20、及び窒素ガス吸着量Vmacro〔cc(STP)/g〕の測定>
後述する各実施例及び比較例で準備した触媒担体用炭素材料を試料とし、これを約30mg測り採り、200℃で2時間真空乾燥した後に、自動比表面積測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン社製 AUTOSORB I-MP)を用い、窒素ガスを吸着質に用いて窒素ガス吸着等温線を測定した。吸着時の等温線の相対圧が0.05~0.15の範囲においてBET解析を実施しBET比表面積を算出した。
また、細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20については、前記同様の窒素ガス吸着等温線を用い、それを付属のソフトを用いたDollimore-Heal法(DH法)により解析して算出した。
さらに、窒素ガス吸着量Vmacroについては、前記同様の窒素ガス吸着等温線の相対圧が0.95の時の吸着量〔cc(STP)/g〕と、0.99の時の吸着量〔cc(STP)/g〕との差を算出してVmacro〔cc(STP)/g〕の値とした。
<ラマン分光スペクトルの1550~1650cm-1の範囲に検出されるG-バンドの半値幅ΔG(cm-1)>
後述する各実施例及び比較例で準備した触媒担体用炭素材料を試料とし、これを約3mg測り採った後、レーザラマン分光光度計(日本分光(株)製NRS-3100型)にセットし、励起レーザー:532nm、レーザーパワー:10mW(試料照射パワー:1.1mW)、顕微配置:Backscattering、スリット:100μm×100μm、対物レンズ:×100倍、スポット径:1μm、露光時間:30sec、観測波数:2000~300cm-1、及び、積算回数:6回の測定条件で測定し、得られた6個のスペクトルから各々1580cm-1近傍に現れるいわゆる黒鉛のG-バンドの半値幅ΔG(cm-1)を求め、その平均値を測定値とした。以下の基準にて判定した。
<SEM観察>
樹状構造の様子、塊状炭素の存在、空隙の様子を観察するため、後述する実施例1及び比較例1で準備した触媒担体用炭素材料を試料とし、高分解能走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った。結果を図4~6に示す。
図4~5から把握されるとおり、実施例1の触媒担体用炭素材料においては、例えば、白破線部で囲んだような小さな空隙部(符号:SV)は一部見られるものの、大きな空隙や塊状の炭素らしき構造はほとんど確認されない。
一方で、図6から把握されるとおり、比較例1の触媒担体用炭素材料においては、白実線で囲んだ領域のような塊状の炭素(符号:C)が確認され、また、白破線で囲んだ領域のような、塊状炭素間に形成される大きな空隙(符号:LV)が確認された。
[実施例1]
(1)銀アセチリド生成工程
硝酸銀46gに25質量%アンモニア水溶液200gを加えて溶解し、さらに水2Lを加えた後、乾燥窒素を吹き込むことで残留酸素を除去した。次いで、その溶液を攪拌すると共に超音波振動子を浸して振動を与えながら、アセチレンガスを100mL/minの流速で25分間吹き付けた。これによって、溶液中に銀アセチリドの固形物を沈殿させた。次いで、得られた沈殿物をメンブレンフィルターで濾過したが、濾過の際には、沈殿物をメタノールで洗浄し、さらに若干のメタノールを加えて沈殿物中にメタノールを含浸させた。
(2)分解工程
前記の銀アセチリド生成工程で得られた各実施例及び比較例の銀アセチリドについて、メタノールが含浸された状態のまま約0.5gを直径5cmのステンレス製円筒容器内に装入し、これを真空乾燥機に入れて、30~40℃で1時間かけて真空乾燥し、銀アセチリド由来の銀粒子内包中間体を調製した(第1の加熱処理)。
次に、前記第1の加熱処理工程で得られた真空乾燥直後の30~40℃の銀粒子内包中間体を、そのまま更に真空加熱電気炉から取り出すことなく160~200℃まで急速に加熱し、20分間加熱を実施した(第2の加熱処理)。この過程で、容器内ではナノスケールの爆発反応が起こり、内包されていた銀が噴出し、表面及び内部には多数の噴出孔が形成された銀内包ナノ構造物を、銀と炭素とを含む複合材料として得た。
(3)洗浄処理工程
前記第2の加熱処理で得られた銀と炭素との複合材料について、その10gを濃度30質量%の硝酸溶液200mLに浸漬し、90℃で2時間洗浄することにより、残存する銀粒子を除去した。次いで、遠心分離機を用いて前記洗浄後の炭素材料から硝酸を除去し、さらに、残留する硝酸を十分に除去するために、前記遠心分離後の炭素材料を再び純水中に分散させ、それを再度遠心分離機に供して、固体を液体から分離させた。このような水洗する操作を2回行うことにより、硝酸を除去して清浄化された炭素材料として得た。
その清浄化された炭素材料を、140℃、空気雰囲気下で2時間処理することにより水分を除去して乾燥させ、その後、アルゴン流通下、1100℃で2時間の熱処理を行い、多孔質な炭素材料として得た。
(4)加熱処理工程(第3の加熱処理)
前記(3)の洗浄処理工程を経て得られた多孔質な炭素材料を、さらに、アルゴン流通下、2000℃まで15℃/分で昇温した。そして、所定の温度に達した後、その温度にて2時間維持して加熱処理を行い、炭素材料中間体として得た。
(5)第1の粉砕工程
前記(4)で得られた炭素材料中間体を、日清エンジニアリング株式会社製の気流式粉砕分級機SJ-100GMPを用い、粉砕圧力0.8MPa、粉挿入速度100g/hrの条件において装置に供して粉砕と同時に分級を行った。
(6)二酸化炭素との接触(賦活)工程
アルミナボートに前記(5)で得られた第1の粉砕後のものを数g入れ、管状電気炉の内部に設置し、100体積%の二酸化炭素ガスを用いて管状電気炉内を二酸化炭素ガスに置換した。二酸化炭素ガスをフローしながら温度1050℃で0.5時間加熱処理を行った。
(7)第2の粉砕工程
前記(6)の賦活後のものを前記(5)と同様に粉砕・分級を行った。
以上のようにして調製された実施例1の触媒担体用炭素材料について、前述の方法にて、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~3]
二酸化炭素による賦活処理の時間を、それぞれ1時間又は2時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例4~5]
炭素材料中間体を得る際の加熱処理工程の温度を、それぞれ2100℃又は2250℃に変更し、また、二酸化炭素による賦活処理の時間を、1時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6~7]
炭素材料中間体を得る際の加熱処理工程の温度を、それぞれ1900℃又は1800℃に変更した以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
二酸化炭素との接触(賦活)工程を行わず、また、第2の粉砕工程も行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
第2の粉砕工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例3~4]
二酸化炭素との接触(賦活)工程の時間を、それぞれ1時間又は2時間に変更し、第2の粉砕工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例5]
二酸化炭素との接触(賦活)工程の時間を5時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順で触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
二酸化炭素との接触(賦活)工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例7]
第1の粉砕工程を行わず、また、二酸化炭素との接触(賦活)工程も行わず、さらに、第2の粉砕工程も行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で触媒担体用炭素材料を調製し、それらを同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例8~9]
炭素材料中間体を得る際の加熱処理工程の温度を2300℃又は1400℃に変更し、また、二酸化炭素との接触(賦活)工程の時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例8]
炭素材料中間体を得る際の加熱処理工程の温度を2400℃に変更し、また、二酸化炭素との接触(賦活)工程の時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順で各触媒担体用炭素材料を調製し、同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
<触媒の調製、触媒層の調製、MEAの作製、燃料電池の組立、及び電池性能(発電性能、耐久性)の評価>
次に、以上のようにして準備した各触媒担体用炭素材料を用い、以下のようにして触媒金属が担持された固体高分子型燃料電池用触媒を調製し、また、得られた触媒を用いて触媒層インク液を調製し、次いでこの触媒層インク液を用いて触媒層を形成し、更に形成された触媒層を用いて膜電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)を作製し、この作製されたMEAを燃料電池セルに組み込み、燃料電池測定装置を用いて発電試験を行った。以下、各部材の調製及び発電試験によるセル評価について詳細に説明する。
(1)固体高分子型燃料電池用触媒(白金担持炭素材料)の調製
前記で作製した各触媒担体用炭素材料を、蒸留水中に分散させ、この分散液にホルムアルデヒドを加え、40℃に設定したウォーターバスにセットし、分散液の温度がバスと同じ40℃になってから、撹拌下にこの分散液中にジニトロジアミンPt錯体硝酸水溶液をゆっくりと注ぎ入れた。その後、約2時間撹拌を続けた後、濾過し、得られた固形物の洗浄を行った。このようにして得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、乳鉢で粉砕し、次いで水素を5体積%含むアルゴン雰囲気中200℃で1時間熱処理をして白金触媒粒子担持炭素材料を作製した。なお、この白金担持炭素材料の白金担持量については、触媒担体用炭素材料と白金粒子の合計質量に対して25質量%となるように調整し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES: Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)により測定して確認した。
(2)触媒層の調製
以上のようにして調製された白金担持炭素材料(Pt触媒)を用い、また、電解質樹脂として5質量%ナフィオン溶液(デュポン製DE2020CS、登録商標:Nafion)を用い、Ar雰囲気下でこれらPt触媒とナフィオンとを白金触媒粒子担持炭素材料の質量に対してナフィオン固形分の質量が1.0倍の割合で配合し、軽く撹拌した後、超音波でPt触媒を解砕し、更にエタノールを加えてPt触媒と電解質樹脂とを合わせた合計の固形分濃度が1.0質量%となるように調整し、Pt触媒と電解質樹脂とが混合した触媒層インク液を調製した。
このようにして調製された固形分濃度1.0質量%の各触媒層インク液に更にエタノールを加え、白金濃度が0.5質量%のスプレー塗布用触媒層インク液を作製し、白金の触媒層単位面積当たりの質量(以下、「白金目付量」という。)が0.2mg/cm2となるようにスプレー条件を調節し、上記スプレー塗布用触媒層インクをテフロン(登録商標)シート上にスプレーした後、アルゴン中120℃で60分間の乾燥処理を行い、触媒層を作製した。
(3)MEAの作製
以上のようにして作製した触媒層を用い、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。
ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロン(登録商標)シート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込み、120℃、100kg/cm2で10分間プレスし、次いで室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロン(登録商標)シートのみを注意深く剥ぎ取り、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層-電解質膜接合体を調製した。
次に、ガス拡散層として、カーボンペーパー(SGLカーボン社製39BC)から一辺2.5cmの大きさで一対の正方形状カーボンペーパーを切り出し、これらのカーボンペーパーの間に、アノード及びカソードの各触媒層が一致してずれが無いように、上記触媒層-電解質膜接合体を挟み、120℃、50kg/cm2で10分間プレスしてMEAを作製した。
なお、作製された各MEAにおける触媒金属成分、炭素材料、電解質材料の各成分の目付量については、プレス前の触媒層付テフロン(登録商標)シートの質量とプレス後に剥がしたテフロン(登録商標)シートの質量との差からナフィオン膜(電解質膜)に定着させた触媒層の質量を求め、触媒層の組成の質量比より算出した。
(4)燃料電池の組立、燃料電池の発電性能評価
各実施例及び比較例に係る各触媒担体用炭素材料を用いて作製したMEAについて、それぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置にセットして、次の手順で燃料電池の性能評価を行った。
カソード側には酸化性ガスとして空気を、また、アノード側には反応ガスとして純水素を、それぞれ利用率が40%と70%となるように、セル下流に設けられた背圧弁で圧力調整し、背圧0.05MPaで供給した。また、セル温度は80℃に設定し、燃料電池セルに供給する空気と純水素を加湿器中で65℃に保温された蒸留水にそれぞれ通す(すなわち、バブリングを行う)ことで、加湿した。これにより、アノード及びカソードの相対湿度を100%程度とした。
このような設定の下にセルに反応ガスを供給した条件下で、負荷を徐々に増やし、電流密度1000mA/cm2におけるセル端子間電圧を出力電圧として記録し、燃料電池の性能評価を実施し、下記の合格ランクA及びBと不合格ランクCの基準で評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
A:1200mA/cm2における出力電圧が0.65V以上であるもの。
B:1200mA/cm2における出力電圧が0.60V以上であるもの。
〔不合格ランク〕
C:合格ランクBに満たないもの。
(5)耐久性の評価
上記セルにおいて、アノードはそのままに、カソードには上記と同じ加湿条件のアルゴンガスを流しながら、セル電圧を1.0Vにして4秒間保持する操作とセル電圧を1.3Vにして4秒間保持する操作とを繰り返す操作(矩形波的電圧変動の繰返し操作)を1サイクルとし、この矩形波的電圧変動の繰返し操作を250サイクル実施した後、上記の大電流特性の評価と同様にして耐久性を調査し、下記の合格ランクA及びBと不合格ランクCの基準で評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
A:1200mA/cm2における出力電圧が0.65V以上であるもの。
B:1200mA/cm2における出力電圧が0.60V以上であるもの。
〔不合格ランク〕
C:合格ランクBに満たないもの。
Figure 2022156985000002

Claims (7)

  1. 固体高分子形燃料電池の触媒担体に用いられ、3次元的に分岐した3次元樹状構造を有する触媒担体用炭素材料であって、下記(1)及び(2)を同時に満たすことを特徴とする触媒担体用炭素材料。
    (1)レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いた粒度分布測定において、体積径基準における粒子径1μm以下の粒子の積算分布[%]をDLとし、粒子径1μm超える粒子の積算分布[%]をDHとしたときのDL/DHが1.5以上であること。
    (2)水銀ポロシメトリ法により測定される細孔直径20nm~200nmの範囲のモード径が40nm~70nmであること。
  2. 窒素ガス吸着等温線のDollimore-Heal法を用いた解析により求められる細孔径5~20nmの積算細孔容積V5-20が0.17~0.50mL/gであることを特徴とする請求項1に記載の触媒担体用炭素材料。
  3. 窒素ガス吸着等温線において、相対圧0.95~0.99における窒素ガス吸着量Vmacroが500~1600cc(STP)/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒担体用炭素材料。
  4. 窒素ガス吸着等温線のBET解析により求められるBET比表面積が400~1500m/gであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
  5. ラマン分光スペクトルの1550~1650cm-1の範囲に検出されるG-バンドの半値幅ΔGが、50~70cm-1であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
  6. 前記V5-20が、0.17~0.40mL/gであることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の触媒担体用炭素材料。
  7. 固体高分子形燃料電池の触媒担体用炭素材料の製造方法であり、
    銀アセチリドの分解によって得られる銀と炭素とを含む複合材料から、銀を除去した後、真空中又は不活性ガス雰囲気下中で1400℃以上2300℃以下の温度で加熱処理をして炭素材料中間体を得る工程を有し、
    次いで、前記炭素材料中間体を粉砕する第1の粉砕工程と、該粉砕後の炭素材料を二酸化炭素と接触させ賦活させる賦活工程と、該賦活された炭素材料を粉砕する第2の粉砕工程と、を備えることを特徴とする触媒担体用炭素材料の製造方法。
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