JP2022154841A - Icタグ - Google Patents
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Abstract
【課題】最適な形状を簡単に設計することができるループ状共振器を備え小型で高性能のICタグを提供する。【解決手段】ICタグ10において、アンテナ14は、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部18によって切り離されているループ状共振器20を有し、ループ状共振器20を通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行う。給電装置16は、ループ状共振器20の長さ方向の途中位置に給電するように設けられている。ループ状共振器20の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び切離部18に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さをL、通信の周波数の1波長をλ、ループ状共振器20が設置された環境の比誘電率に対応した補正係数をkとした時、ループ状共振器20の形状は、L=k×λを満たすように設定されている。【選択図】図1
Description
本発明は、UHF帯又はSHF帯通信用のICタグに関する。
従来、ICタグに設けられるアンテナとして、例えば特許文献1に開示されているように、内側に回り込むように折り曲げて形成されダイポール部を備え、このダイポール部を通じてUHF帯の周波数で通信を行うタグアンテナがあった。ダイポール部は、所定の幅を有した帯状の導体層で成り、実効長がアンテナの共振波長の1/6~3/8に設定されている。
また、本願発明者による特許文献2(図9(b))に開示されているように、縦アンテナ部及び横アンテナ部で成る逆Fアンテナと地板部とを備え、縦アンテナ部及び横アンテナ部を通じてUHF帯の周波数で通信を行うICタグがあった。逆Fアンテナの地板は、通常、所定の大きさのベタ板にするところ、特許文献2のICタグの地板部は、環状に配した帯状体で成り、環状の特定部分をスリットによって切り離した形状になっている。
ICタグは、一定の通信性能を維持しつつ小型化を図ることが求められている。そこで、本願の発明者は、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部によって切り離されたループ状共振器を利用することを考えたが、特許文献1,2に開示されたアンテナは、次のような問題点がある。
特許文献1のタグアンテナは、アンテナの小型化を図るため、所定幅の帯状体を環状に配してダイポール部を形成している。しかし、ダイポール部の長さ寸法と幅寸法とを総合的に考慮した設計方法が明確ではなく、ダイポール部の具体的な形状や大きさは、実験を繰り返したり複雑なシミュレーション行ったりして導出しなければならない。
また、特許文献2(図9(b))のICタグでは、地板部のサイズを小さくすることはあまり考慮されておらず、地板部の小型化を検討する時は、やはり同様の試行錯誤が必要になる。
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、最適な形状を簡単に設計することができるループ状共振器を備え、小型で高性能のICタグを提供することを目的とする。
本発明は、誘電体材料で成る基材と、前記基材の表面側に設けられた導体層で成るアンテナと、前記基材の、前記導体層と同じ側の面に搭載された給電装置とを備え、前記アンテナは、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部によって切り離されているループ状共振器を有し、前記ループ状共振器を通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行うものであり、前記給電装置は、前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に給電するように設けられており、前記ループ状共振器の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び前記切離部に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さをL、前記通信の周波数の1波長をλ、前記ループ状共振器が設置された環境の比誘電率に対応した補正係数をkとした時、前記ループ状共振器の形状は、L=k×λを満たすように設定されているICタグである。
前記給電装置は、前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に直接接続されて給電を行うように構成される。あるいは、前記給電装置は、前記ループ状共振器の内側の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナを有し、前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に、前記補助アンテナを通じて非接触で給電を行うように構成される。
また、本発明は、誘電体材料で成る基材と、前記基材の表面側に設けられた導体層と、前記基材の、前記導体層と同じ側の面に搭載された給電装置とを備え、前記導体層は、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部によって切り離されているループ状共振器と、前記ループ状共振器の外側の一端縁に配置され、前記ループ状共振器を地板とみなして動作する逆Fアンテナとを備え、前記逆Fアンテナは、前記ループ状共振器の一端縁から外向きに延びるように配置された縦アンテナ部と、前記縦アンテナ部の先端部に延設され、前記縦アンテナ部に対して直角方向に伸びる横アンテナ部とを有し、前記縦アンテナ部及び前記横アンテナ部を通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行うものであり、前記給電装置は、前記ループ状共振器を基準に、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に向けて給電するように設けられており、前記ループ状共振器の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び前記切離部に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さをL、前記通信の周波数の1波長をλ、前記ループ状共振器が設置される環境の比誘電率に対応した補正係数をkとした時、前記ループ状共振器の形状は、L=k×λを満たすように設定されているICタグである。
前記給電装置は、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に直接接続されて給電を行うように構成される。あるいは、前記給電装置は、前記横アンテナ部と前記ループ状共振器との間の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナを有し、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に、前記補助アンテナを通じて非接触で給電を行うように構成される。
本発明のICタグは、通信周波数の1波長λ及び補正係数kに合わせてループ状共振器の端縁部周回長さLを設定することによって形成した独特なループ状共振器を備え、小型で高性能なICタグを容易に得ることができる。
以下、本発明のICタグの第一の実施形態について、図1~図4に基づいて説明する。この実施形態のICタグ10は、UHF帯通信用(300MHz~3GHz)又はSHF帯通信用(3GHz~30GHz)のRFIDで、誘電体材料で成る基材12と、基材12の表面側に設けられた導体層で成るアンテナ14と、基材12の、アンテナ14と同じ側の面に搭載された給電装置16とを備えている。
基材12は、合成樹脂等の誘電体材料で成るシート状の部材であり、例えば、厚さ0.2mm程度のポリエステルフィルム等を使用することができる。
アンテナ14は、略矩形の環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部18によって切り離されているループ状共振器20を有し、ループ状共振器20を通じて通信を行う。
ループ状共振器20の大きさや形状は、L=k・λを満たすように設計される。Lは、図2(a)に示すように、ループ状共振器20の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び切離部18に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さで、L=4・a+4・b-6・c-2・dと表される。λは通信の周波数の1波長で、kはループ状共振器20が設置された環境の比誘電率に対応した補正係数である(0<k≦1)。
補正係数kは、比誘電率が1の環境(空気中)であればk≒1となるが、ループ状共振器20が近接する誘電体材料である基材12の物性や厚みによって変化する。例えば、基材12がポリエステルフィルムの場合はk≒0.93~0.98程度、アクリル板の場合はk≒0.7~0.8程度、メラミン樹脂の場合はk≒0.6~0.7程度となることが経験的に分かっており、実施可能な好適な範囲としては、0.5<k≦1である。
給電装置16は、ループ状共振器20の内側の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナ16aと通信用のICチップ16bとで構成され、ループ状共振器20の長さ方向の途中位置に、補助アンテナ16aを通じて非接触で給電を行う。補助アンテナ16aは、例えばループアンテナで、ループ状共振器20に対し、磁界が距離の3乗で減衰する近傍界で結合させて給電する。補助アンテナ16aをダイポールアンテナにする場合は、ループ状共振器20に対し、電界が距離の3乗で減衰する近傍界で結合させて給電する。
次に、ICタグ10の動作を確認するため、第一の試作品10(1)を使用して行った実験について説明する。試作品10(1)は、920MHzの通信を行うことを意図したものである。ループ状共振器20(1)は、図2(a)に示すように、寸法a,c,dを各々60mm,5mm,0.2mmに固定し、寸法bを23,24,・・・,28mmに設定したものを各々製作した。そして、試作品10(1)の、寸法bを変化させた時の通信特性の変化を観測することにした。
通信特性の測定は、図2(b)に示すように、リーダライタ22及びパソコン24を使用して行った。リーダライタ22がリーダライタ・アンテナ22aを通じて920MHzの信号(等価等方放射電力EIRP=34dBm)を送出し、ICタグ10(1)からの反射波を受信して受信信号強度RSSIを測定した。また、測定は、リーダライタ・アンテナ22aからICタグ10(1)までの距離αを変化させて行った。なお、図2(b)の表の中の受信信号強度RSSImaxは、ICタグ10(1)の床からの高さを0~2mの範囲で変化させた時の、受信信号強度RSSIの最大値である。受信信号強度RSSIminは、リーダライタ22の測定限界(測定可能な最小値)である。
また、図2(b)の表の中の端縁部周回長さLは、各部の寸法を基に代数計算を行って算出した値であり、Lが寸法bに対応して変化している。補正係数kは、この実験の環境においてはk=0.965(経験値)となる。そして、920MHzの信号の波長λが326mmなので、k・λは315mmとなる。
図2(b)の表から分かるように、受信信号強度RSSImaxは、端縁部周回長さL=314mmの時(寸法b=26mmの時)に最大となり、端縁部周回長さLが314mmからずれると徐々に低下した。このことから、端縁部周回長さLをL≒k・λに設定することによって、最も優れた通信性能が得られることが分かる。
さらに発明者は、第二の試作品10(2)を製作し、類似した実験を行った。試作品10(2)は、試作品10(1)と同様に920MHzの通信を行うことを意図したものであるが、ループ状共振器20(2)の帯状体の幅(太さ)を場所によって変化させているという特徴がある。ループ状共振器20(2)は、図3(a)に示すように、寸法a,c1,c2,d,eを各々65mm,25mm,5mm,10mm,0.2mm,10mmに固定し、寸法fを4,6,・・・,12mmに設定したものを各々製作した。そして、試作品10(2)の、寸法fを変化させた時の通信特性の変化を観測することにした。
通信特性の測定方法は、試作品10(1)の場合と同じである。図3(b)の表の中の端縁部周回長さLは、各部の寸法を基に代数計算を行って算出した値であり、Lが寸法fに対応して変化している。補正係数kは、試作品10(1)の場合と同様に0.965(経験値)である。そして、920MHzの信号の波長λが326mmなので、k・λは315mmとなる。
図3(b)の表から分かるように、受信信号強度RSSImaxは、端縁部周回長さL=316mmの時(寸法f=8mmの時)に最大となり、端縁部周回長さLが316mmからずれると徐々に低下した。このことから、端縁部周回長さLをL≒k・λに設定することによって、最も優れた通信特性が得られることが分かる。
以上説明したように、ICタグ10は、独特なループ状共振器20を通じて通信を行うものであり、ループ状共振器20の縁部周回長さLを、通信の信号の1波長λに補正係数kを掛け算した値に設定することによって、小型で高性能なICタグを容易に得ることができる。また、ループ状共振器20の形状は、L≒k・λを満たすことを条件に変更できるので、ICタグ10を装着する対象物の形状及び物性に合わせ、容易に設計変更することができる。
ここで、上記の給電装置16の変形例について説明する。図4(a)に示す給電装置16xは、通信用のICチップ16b及びインピーダンス整合用の配線パターン16c等で構成され、ループ状共振器20の長さ方向の途中位置に直接接続され、接触式で給電を行う構成になっている。
また、図4(b)の給電装置16yは、上記の補助アンテナ16a及びICチップ16bが、ポリエステルフィルム等の誘電体材料で成るシート状の補助基材16dの表面側に実装されたものであり、補助基材16dの裏面側をループ状共振器20の近傍又は重なる位置に貼着することによって基材12に搭載され、ループ状共振器20の長さ方向の途中位置に非接触で給電を行う。図1に示す給電装置16の場合、基材12の表面にループ共振器20を形成する工程(例えば、エッチング工程)で補助アンテナ16aも同時に形成できるという利点があるのに対し、変形例の給電装置16yの場合は、給電装置16yをループ状共振器20と重なる位置にも配設できるという利点がある。
給電装置16,16x,16yのどれを使用しても、本発明が狙いとする作用効果が得られるので、どれを使用するかは、製造ラインの構築のしやすさ、ICタグの用途や使用される環境などを考慮して選択すればよい。
次に、本発明のICタグの第二の実施形態について、図5~図9に基づいて説明する。この実施形態のICタグ26は、UHF帯通信用(300MHz~3GHz)又はSHF帯通信用(3GHz~30GHz)のRFIDで、誘電体材料で成る基材28と、基材28の表面側に設けられた導体層30と、基材28の、導体層30と同じ側の面に搭載された給電装置32とを備えている。
基材28は、基材12と同様に、合成樹脂等の誘電体材料で成るシート状の部材であり、例えば、厚さ0.2mm程度のポリエステルフィルム等を使用することができる。
導体層30は、略矩形の環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部34によって切り離されているループ状共振器36と、ループ状共振器36の外側の一端縁に配置され、ループ状共振器36を地板とみなして動作する逆Fアンテナ38とを備えている。
逆Fアンテナ38は、ループ状共振器36の一端縁から外向きに延びるように配置された縦アンテナ部38aと、縦アンテナ部38aの先端部に延設され、縦アンテナ部38aに対して直角方向に伸びる横アンテナ部38bとを有し、縦アンテナ部38a及び横アンテナ部38bを通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行うものである。
ループ状共振器36の大きさや形状は、L=k・λの条件を満たすように設計される。Lは、上記と同様に、ループ状共振器36の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び切離部34に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さで、λは通信の周波数の1波長で、kはループ状共振器36が設置された環境の比誘電率に対応した補正係数である。
給電装置32は、地板(ループ状共振器36)を基準に、横アンテナ部38bに向けて給電するものであり、通信用のICチップ32a及びインピーダンス整合用の配線パターン32b等で構成され、横アンテナ部38bの長さ方向の途中位置に直接接続され、接触式で給電を行う。
次に、ICタグ26の動作を確認するため、ICタグ26の試作品26(1)を使用して行った実験について説明する。試作品26(1)は、920MHzの通信を行うことを意図したものである。導体層30(1)は、逆Fアンテナ38(1)の部分は、920MHzの通信に適した一般的な寸法とし、ループ状共振器36(1)の部分は、図6(a)に示すように、寸法a,b,c,dを各々63mm,26mm,5mm,4mmに設定したものを製作した。ループ状共振器36(1)の各部の寸法は、端縁部周回長さLが310mmになるように設定してあり、この実験の環境における補正係数kが0.951(経験値)、920MHzの信号の波長λが326mmなので、ほぼL=k・λ=310mmの条件を満たす。
その他、ICタグ26(1)の動作を考察するため、地板となる部分の構造だけを変更した2種類のICタグ(比較例40,42)を製作した。比較例40の地板44は、図6(b)に示すように、環状に閉じた帯状体(ループ状共振器36(1)の切離部34を無くしたもの)とし、比較例42の地板46は、図6(c)に示すように、四角形のベタ板(ループ状共振器36(1)の内側の非導体領域を無くしたもの)とした。
通信特性の測定方法は、上記の試作品10(1),10(2)の場合と同じである。図7の表から分かるように、試作品26(1)は、受信信号強度RSSImaxが高い値となり、良好な通信性能が確認された。これに対して、比較例40,42は、受信信号強度RSSImaxが格段に低い値となった。
また、図7にはデータを記載していないが、比較例42の地板46(ベタ板)のサイズを1.5~2倍程度に大きくすると、受信信号強度RSSImaxが試作品26(1)と同等の高い値となり、良好な通信性能が確認された。このことは、比較例42のような一般的なICタグ(逆Fアンテナとベタ板の地板とを組み合わせたICタグ)は、地板のサイズを一定以上に大きくしないと良好な通信性能が得られず、ICタグの外形を小型化することが困難だということを示している。これに対して、試作品26(1)によれば、独特なループ状共振器36(1)を地板として機能させることで、サイズが小さい地板でも良好な通信性能を得ることができ、ICタグの外形を大幅に小型化することができる。
以上説明したように、ICタグ26は、逆Fアンテナ38が独特なループ状共振器36を地板として通信を行うものであり、ループ状共振器36の縁部周回長さLを、通信の信号の1波長λに補正係数kを掛け算した値に設定することによって、小型で高性能なICタグを容易に得ることができる。また、ループ状共振器30の形状は、L≒k・λを満たすことを条件に変更できるので、ICタグ26を装着する対象物の形状及び物性に合わせ、容易に設計変更することができる。
ここで、上記の給電装置32の変形例について説明する。図8(a)に示す給電装置32xは、横アンテナ部38bとループ状共振器36との間の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナ32cと通信用のICチップ32aとで構成され、横アンテナ部38bの長さ方向の途中位置に、補助アンテナ32cを通じて非接触で給電を行う構成になっている。給電装置32は、上記の給電装置16と同様のものである。
また、図8(b)の給電装置32yは、上記の補助アンテナ32c及びICチップ32aが、ポリエステルフィルム等の誘電体材料で成るシート状の補助基材32dの表面側に実装されたものであり、補助基材32dの裏面側を、横アンテナ部38bやループ状共振器36の近傍又は重なる位置に貼着することによって基材28に搭載され、横アンテナ部38bの長さ方向の途中位置に非接触で給電を行う。給電装置32xの場合、基材28の表面に導体層30を形成する工程(例えば、エッチング工程)で補助アンテナ32cも同時に形成できるという利点があるのに対し、変形例の給電装置32yの場合は、給電装置32yを横アンテナ部38bやループ状共振器36と重なる位置にも配設できるという利点がある。
給電装置32,32x,32yのどれを使用しても本発明が狙いとする作用効果が得られるので、どれを使用するかは、製造ラインの構築のしやすさ、ICタグの用途や使用される環境などを考慮して選択すればよい。
なお、本発明のICタグは、上記実施形態及び変形例の構成に限定されるものではない。例えば、上記のICタグ10に関し、試作品10(1),10(2)のループ状共振器20(1),20(2)の形状や具体的な寸法はあくまでも一例を示したものであり、所望の通信性能が得られる範囲で自由に設定することができる。また、図2、図3の実験では補正係数k=0.965(経験値)だったが、基材12の材質や厚みを変更したり、ループ状共振器20の表面を保護シートで被覆したりすると、環境の比誘電率が変化して補正係数kの値が違ってくる点に留意する。また、試作品10(1),10(2)はUHF帯の920MHzを意図したものであるが、UHF帯の他の周波数やSHF帯を意図したものも、同様の考え方で設計することができる。以上の事柄は、上記のICタグ26及びループ状共振器36についても同様である。
その他、ICタグ26は、図9に示す変形例のICタグ26xのように、基材28及びループ状共振器36とその他の部材とを別々に製作し、これらを組み合わせてICタグの形態にしてもよい。このICタグ26xを製作する時は、あらかじめ、基材28の表面側にループ状共振器36を設けた第一の部材44を製作し、これとは別に、ポリエステルフィルム等の誘電体材料で成るシート状の補助基材46の表面側に、逆Fアンテナ38及び給電装置32を設けた第二の部材48を製作する。この時、第二の部材48の逆Fアンテナ38に、逆Fアンテナ38とループ状共振器36とを静電結合させるための結合部50(導体層)を付設しておく。そして、第二の部材44の裏面側(補助基材46の裏面側)を、結合部50がループ状共振器36の所定領域に重なる位置に貼着することによって第一の部材44に搭載する。これで、結合部50とループ状共振器36とが強く静電結合し、実質的に一体化させることができる。ICタグ26の構造をICタグ26xのように変更しても、同様の作用効果を得ることができる。
10,26,26x ICタグ
12,28 基材
14 アンテナ
16,16x,16y,32,32x,32y 給電装置
16a,32c 補助アンテナ
18,34 切離部
20 ループ状共振器(アンテナ)
30 導体層
36 ループ状共振器(地板)
38 逆Fアンテナ
38a 縦アンテナ部
38b 横アンテナ部
k 補正係数
L 端縁部周回長さ
λ 周波数の1波長
12,28 基材
14 アンテナ
16,16x,16y,32,32x,32y 給電装置
16a,32c 補助アンテナ
18,34 切離部
20 ループ状共振器(アンテナ)
30 導体層
36 ループ状共振器(地板)
38 逆Fアンテナ
38a 縦アンテナ部
38b 横アンテナ部
k 補正係数
L 端縁部周回長さ
λ 周波数の1波長
Claims (6)
- 誘電体材料で成る基材と、前記基材の表面側に設けられた導体層で成るアンテナと、前記基材の、前記導体層と同じ側の面に搭載された給電装置とを備え、
前記アンテナは、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部によって切り離されているループ状共振器を有し、前記ループ状共振器を通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行うものであり、
前記給電装置は、前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に給電するように設けられており、
前記ループ状共振器の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び前記切離部に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さをL、前記通信の周波数の1波長をλ、前記ループ状共振器が設置された環境の比誘電率に対応した補正係数をkとした時、前記ループ状共振器の形状は、L=k×λを満たすように設定されていることを特徴とするICタグ。 - 前記給電装置は、
前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に直接接続されて給電を行う請求項1記載のICタグ。 - 前記給電装置は、前記ループ状共振器の内側の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナを有し、前記ループ状共振器の長さ方向の途中位置に、前記補助アンテナを通じて非接触で給電を行う請求項1記載のICタグ。
- 誘電体材料で成る基材と、前記基材の表面側に設けられた導体層と、前記基材の、前記導体層と同じ側の面に搭載された給電装置とを備え、
前記導体層は、環状に配した帯状体であって、環状の特定部分が切離部によって切り離されているループ状共振器と、前記ループ状共振器の外側の一端縁に配置され、前記ループ状共振器を地板とみなして動作する逆Fアンテナとを備え、
前記逆Fアンテナは、前記ループ状共振器の一端縁から外向きに延びるように配置された縦アンテナ部と、前記縦アンテナ部の先端部に延設され、前記縦アンテナ部に対して直角方向に伸びる横アンテナ部とを有し、前記縦アンテナ部及び前記横アンテナ部を通じてUHF帯又はSHF帯の周波数で通信を行うものであり、
前記給電装置は、前記ループ状共振器を基準に、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に向けて給電するように設けられており、
前記ループ状共振器の、外周縁の長さ、内周縁の長さ及び前記切離部に対向する端縁の長さを合計した端縁部周回長さをL、前記通信の周波数の1波長をλ、前記ループ状共振器が設置される環境の比誘電率に対応した補正係数をkとした時、前記ループ状共振器の形状は、L=k×λを満たすように設定されていることを特徴とするICタグ。 - 前記給電装置は、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に直接接続されて給電を行う請求項4記載のICタグ。
- 前記給電装置は、前記横アンテナ部と前記ループ状共振器との間の非導体領域に配設された近傍界方式の補助アンテナを有し、前記横アンテナ部の長さ方向の途中位置に、前記補助アンテナを通じて非接触で給電を行う請求項4記載のICタグ。
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