JP2022154067A - 電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 - Google Patents
電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022154067A JP2022154067A JP2021056927A JP2021056927A JP2022154067A JP 2022154067 A JP2022154067 A JP 2022154067A JP 2021056927 A JP2021056927 A JP 2021056927A JP 2021056927 A JP2021056927 A JP 2021056927A JP 2022154067 A JP2022154067 A JP 2022154067A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electron beam
- secondary electron
- electron beams
- separator
- deflector
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】検出光学系に導入する2次電子ビームの軌道軸のアライメントを簡易に実施可能な方法を提供する。【解決手段】マルチ1次電子ビームを基板に照射して基板から放出されるマルチ2次電子ビームを1次電子ビームから分離する分離器を制御して、2次電子ビームのビーム強度を検出するマルチ検出器に2次電子ビームを照射する検出光学系に対して、仰角が同じで方位角が異なる位置に配置されるビーム位置検出器へと2次電子ビームを照射する工程と、分離器を制御して2次電子ビームの検出位置を位置検出器の検出面における所望の位置に調整する工程と、分離器を制御して2次電子ビームの検出位置が位置検出器の検出面における所望の位置に調整された仰角を維持した状態で方位角を検出光学系に向けることにより2次電子ビームを検出光学系に導入する工程と、を備える。【選択図】図7
Description
本発明は、電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置に関する。例えば、マルチ1次電子ビームの照射に起因した2次電子画像を用いてパターン検査するマルチビーム検査装置のビーム軌道軸の調整手法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになっている。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
検査装置では、例えば、電子ビームを使ったマルチビームを検査対象基板に照射して、検査対象基板から放出される各ビームに対応する2次電子を検出して、パターン画像を撮像する。そして撮像された測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
ここで、マルチ電子ビームを用いて検査画像を取得する場合、1次電子ビームの軌道上に電磁界直交(E×B:E cross B)分離器を配置して、1次電子ビームから2次電子ビームを分離する。E×B分離器により分離された2次電子は、検出光学系に導入され、検出器で検出される。検査画像を取得する装置の立ち上げ時には、例えば、2次電子ビームの検出光学系の軌道上に或いは検出器に代えてビームの位置検出器を取り付けて、2次電子ビームが検出光学系の所望の位置に導入されるように2次電子ビームの軌道軸のアライメントが行われる。そして、E×B分離器は、2次電子ビームを大きく偏向できる反面、調整範囲が大きい。その結果、2次電子ビームの軌道軸のアライメントには時間を要する。
そのため、検査画像を取得する装置のメンテナンス時に、2次電子ビームの軌道軸のアライメントが大きく変化した場合、再度、立ち上げ時と同様のアライメント作業が必要となる。その結果、装置のメンテナンス時のたびに、2次電子ビームの軌道軸のアライメントに非常に時間を要するといった問題があった。かかる問題は、検査装置に限るものではなく、マルチ電子ビームを用いて画像を取得する装置全般に対して同様に生じ得る。
ここで、シングルビーム型とマルチビーム型とを切り替えるために、マルチビーム型用の各2次電子ビームの輝度を検出するマルチ2次電子検出器と、シングルビーム型用の2次電子ビームの輝度を検出する2次電子検出器と、を搭載した試料観察装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、かかる2次電子検出器は2次電子ビームの輝度を測定できても位置を検出することは困難である。
そこで、本発明の一態様は、検出光学系に導入する2次電子ビームの軌道軸のアライメントを簡易に実施可能な方法および装置を提供する。
本発明の一態様の電子ビームの軌道軸調整方法は、
マルチ1次電子ビームを基板に照射して基板から放出されるマルチ2次電子ビームを電場と磁場とを用いてマルチ1次電子ビームから分離する分離器を制御して、分離器の磁場中心高さ面に対して、マルチ2次電子ビームのビーム強度を検出するマルチ検出器にマルチ2次電子ビームを照射する検出光学系へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器へとマルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームを照射する工程と、
分離器を制御して、マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を位置検出器の検出面における所望の位置に調整する工程と、
分離器を制御して、マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置が位置検出器の検出面における所望の位置に調整された仰角を維持した状態で方位角を検出光学系に向けることによりマルチ2次電子ビームを検出光学系に導入する工程と、
を備えたことを特徴とする。
マルチ1次電子ビームを基板に照射して基板から放出されるマルチ2次電子ビームを電場と磁場とを用いてマルチ1次電子ビームから分離する分離器を制御して、分離器の磁場中心高さ面に対して、マルチ2次電子ビームのビーム強度を検出するマルチ検出器にマルチ2次電子ビームを照射する検出光学系へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器へとマルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームを照射する工程と、
分離器を制御して、マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を位置検出器の検出面における所望の位置に調整する工程と、
分離器を制御して、マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置が位置検出器の検出面における所望の位置に調整された仰角を維持した状態で方位角を検出光学系に向けることによりマルチ2次電子ビームを検出光学系に導入する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、位置検出器は、一度にマルチ2次電子ビームの各ビームの位置を検出すると好適である。
また、検出光学系は、静電型の偏向器を有し、
仰角は、偏向器へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角であり、
分離器を制御して仰角を維持した状態で方位角を偏向器に向けることにより、マルチ2次電子ビームは、偏向器に導入されると好適である。
仰角は、偏向器へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角であり、
分離器を制御して仰角を維持した状態で方位角を偏向器に向けることにより、マルチ2次電子ビームは、偏向器に導入されると好適である。
本発明の一態様のマルチ電子ビーム画像取得装置は、
基板を載置するステージと、
マルチ1次電子ビームを用いて、基板にマルチ1次電子ビームを結像する対物レンズと、
電界を形成する複数の電極と磁界を形成する複数の磁極とを有し、形成される電界と磁界とにより、マルチ1次電子ビームで基板が照射されたことに起因して放出されるマルチ2次電子ビームをマルチ1次電子ビームの軌道上から分離する分離器と、
分離されたマルチ2次電子ビームを検出するマルチ検出器と、
分離されたマルチ2次電子ビームを検出器に照射する検出光学系と、
分離器の磁場中心高さ面に対して検出光学系へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器と、
を備えたことを特徴とする。
基板を載置するステージと、
マルチ1次電子ビームを用いて、基板にマルチ1次電子ビームを結像する対物レンズと、
電界を形成する複数の電極と磁界を形成する複数の磁極とを有し、形成される電界と磁界とにより、マルチ1次電子ビームで基板が照射されたことに起因して放出されるマルチ2次電子ビームをマルチ1次電子ビームの軌道上から分離する分離器と、
分離されたマルチ2次電子ビームを検出するマルチ検出器と、
分離されたマルチ2次電子ビームを検出器に照射する検出光学系と、
分離器の磁場中心高さ面に対して検出光学系へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器と、
を備えたことを特徴とする。
また、位置検出器は、一度にマルチ2次電子ビームの各ビームの位置を検出すると好適である。
また、検出光学系は、静電型の偏向器を有し、
仰角は、偏向器へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角であると好適である。
仰角は、偏向器へマルチ2次電子ビームを導入するための仰角であると好適である。
本発明の一態様によれば、検出光学系に導入する2次電子ビームの軌道軸のアライメントを簡易に実施できる。
以下、実施の形態では、マルチ電子ビーム画像取得装置の一例として、マルチ電子ビーム検査装置について説明する。但し、画像取得装置は、検査装置に限るものではなく、マルチビームを用いて画像を取得する装置であれば構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)、検査室103、検出回路106、チップパターンメモリ123、ステージ駆動機構142、及びレーザ測長システム122を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、E×B分離器(ビームセパレーター)214、2次元位置検出センサ217(位置検出器)、偏向器218、アライメントコイル219、電磁レンズ224、偏向器226、アライメントコイル227、マルチ検出器222、及びシャッター225が配置されている。
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)、検査室103、検出回路106、チップパターンメモリ123、ステージ駆動機構142、及びレーザ測長システム122を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、E×B分離器(ビームセパレーター)214、2次元位置検出センサ217(位置検出器)、偏向器218、アライメントコイル219、電磁レンズ224、偏向器226、アライメントコイル227、マルチ検出器222、及びシャッター225が配置されている。
電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、及びアライメントコイル219によって1次電子光学系151(照明光学系)を構成する。また、偏向器218、電磁レンズ224、偏向器226、及びアライメントコイル227によって2次電子光学系152(検出光学系)を構成する。
検査室103内には、少なくともXY方向に移動可能なステージ105が配置される。ステージ105上には、検査対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてステージ105に配置される。また、ステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。
また、マルチ検出器222は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。検出回路106は、チップパターンメモリ123に接続される。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、位置検出回路130、E×B制御回路132、磁気ディスク装置等の記憶装置109、モニタ117、メモリ118、及びプリンタ119に接続されている。また、偏向制御回路128は、DAC(デジタルアナログ変換)アンプ144,146,148に接続される。DACアンプ146は、主偏向器208に接続され、DACアンプ144は、副偏向器209に接続される。DACアンプ148は、偏向器218に接続される。
また、2次元位置検出センサ217は、位置検出回路130に接続される。2次元位置検出センサ217として、例えば、蛍光板、DDD(Direct detection Device)、或いは蛍光体を用いたCCDカメラを用いると好適である。2次元位置検出センサ217は、一度に1本の2次電子ビームのビーム位置を検出するタイプであっても良いし、一度にマルチ2次電子ビームの各ビーム位置を検出するタイプであっても良い。2次元位置検出センサ217が一度に1本の2次電子ビームのビーム位置を検出するタイプである場合には、シャッター225によりマルチ1次電子ビーム20を1本の1次電子ビームに制限することにより、検出対象となる2次電子ビームを1本に制限できる。
シャッター225は、成形アパーチャアレイ基板203とE×B分離器214との間の1次電子ビーム軌道上に移動可能に配置される。そして、シャッター225は、図示しない駆動機構によりマルチ1次電子ビーム20の軌道軸中心に直交する方向に移動する。そして、シャッター225は、マルチ1次電子ビーム20の軌道外から軌道内に移動することで、例えば、中央部に形成される開口部に任意に選択される1本の1次電子ビームだけを通過させ、残りの1次電子ビームを遮蔽する。
アライメントコイル219は、対物レンズとなる電磁レンズ207の上流側に配置され、電磁レンズ207に入射するマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸の位置を調整する。アライメントコイル227は、電磁レンズ224の上流側に配置され、電磁レンズ224に入射するマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸の位置を調整する。
また、チップパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、ステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、ステージ座標系におけるX方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成され、XYθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。ステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、ステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でステージ105の位置を測長する。ステージ座標系は、例えば、マルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸(光軸)に直交する面に対して、1次座標系のX方向、Y方向、θ方向が設定される。
電磁レンズ202、電磁レンズ205、電磁レンズ206、電磁レンズ207、電磁レンズ217、電磁レンズ224、アライメントコイル219、及びアライメントコイル227は、レンズ制御回路124により制御される。E×B分離器214は、E×B制御回路132により制御される。また、一括偏向器212は、2極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎に図示しないDACアンプを介してブランキング制御回路126により制御される。副偏向器209は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ144を介して偏向制御回路128により制御される。主偏向器208は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。偏向器218は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ148を介して偏向制御回路128により制御される。また、偏向器226は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎に図示しないDACアンプを介して偏向制御回路128により制御される。
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメントと引出電極間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、所定の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m1列×縦(y方向)n1段(m1,n1は2以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ外径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチ1次電子ビーム20が形成されることになる。成形アパーチャアレイ基板203には、マルチ1次電子ビームを形成するマルチビーム形成機構の一例となる。
画像取得機構150は、電子ビームによるマルチビームを用いて、図形パターンが形成された基板101から図形パターンの被検査画像を取得する。以下、検査装置100における画像取得機構150の動作について説明する。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、電磁レンズ202によって屈折させられ、成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチ1次電子ビーム20が形成される。
形成されたマルチ1次電子ビーム20は、電磁レンズ205、及び電磁レンズ206によってそれぞれ屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを繰り返しながら、マルチ1次電子ビーム20の各ビームの中間像面(像面共役位置)に配置されたE×B分離器214を通過して電磁レンズ207に進む。また、マルチ1次電子ビーム20のクロスオーバー位置付近に、通過孔が制限された制限アパーチャ基板213を配置することで、散乱ビームを遮蔽できる。また、一括偏向器212によりマルチ1次電子ビーム20全体を一括して偏向して、マルチ1次電子ビーム20全体を制限アパーチャ基板213で遮蔽することにより、マルチ1次電子ビーム20全体をブランキングできる。
マルチ1次電子ビーム20が電磁レンズ207(対物レンズ)に入射すると、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20を基板101にフォーカス(結像)する。言い換えれば、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20で基板101を照射する。対物レンズ207により基板101(試料)面上に焦点が合わされ(合焦され)たマルチ1次電子ビーム20は、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。このように、1次電子光学系151は、マルチ1次電子ビームで基板101面を照射する。
基板101の所望する位置にマルチ1次電子ビーム20が照射されると、かかるマルチ1次電子ビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチ1次電子ビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子ビーム300)が放出される。
基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207を通って、E×B分離器214に進む。
図3は、実施の形態1におけるE×B分離器の一例を示す構成図である。
図4は、実施の形態1におけるE×B分離器の動作の一例を説明するための図である。ここで、E×B分離器214は、コイルを用いた4極以上の複数の磁極と、4極以上の複数の電極とを有する。図3の例では、90°ずつ位相をずらした4極の磁極17(電磁偏向コイル)と、同じく90°ずつ位相をずらした4極の電極18(静電偏向電極)とを有するE×B分離器の一例を示している。図4(a)では、説明の理解をし易くするため、対向する2極の磁極を励磁し、90°位相をずらした対向する2極の電極に電圧を印加する場合のE×B分離器の一例を示している。そして、例えば対向する2極の磁極をN極とS極とに設定することで、かかる複数の磁極によって指向性の磁界を発生させる。同様に、例えば対向する2極の電極に符号が逆の電位Vを印加することで、かかる複数の電極によって指向性の電界を発生させる。具体的には、E×B分離器214は、マルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。図4(b)に示すように、E×B分離器214に上側から侵入してくるマルチビーム20には、電界による力FEと磁界による力FBが打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、図4(c)に示すように、E×B分離器214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力FEと磁界による力FBがどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20の軌道上から分離する。4つの磁極17に流す電流と4つの電極18に印加する電圧とを調整することにより、電界および磁界の向き及び大きさを調整できる。よって、4つの磁極17に流す電流と4つの電極18に印加する電圧とを調整することにより、電界による力及び磁界による力の向き及び大きさを調整できる。
図4は、実施の形態1におけるE×B分離器の動作の一例を説明するための図である。ここで、E×B分離器214は、コイルを用いた4極以上の複数の磁極と、4極以上の複数の電極とを有する。図3の例では、90°ずつ位相をずらした4極の磁極17(電磁偏向コイル)と、同じく90°ずつ位相をずらした4極の電極18(静電偏向電極)とを有するE×B分離器の一例を示している。図4(a)では、説明の理解をし易くするため、対向する2極の磁極を励磁し、90°位相をずらした対向する2極の電極に電圧を印加する場合のE×B分離器の一例を示している。そして、例えば対向する2極の磁極をN極とS極とに設定することで、かかる複数の磁極によって指向性の磁界を発生させる。同様に、例えば対向する2極の電極に符号が逆の電位Vを印加することで、かかる複数の電極によって指向性の電界を発生させる。具体的には、E×B分離器214は、マルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。図4(b)に示すように、E×B分離器214に上側から侵入してくるマルチビーム20には、電界による力FEと磁界による力FBが打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、図4(c)に示すように、E×B分離器214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力FEと磁界による力FBがどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20の軌道上から分離する。4つの磁極17に流す電流と4つの電極18に印加する電圧とを調整することにより、電界および磁界の向き及び大きさを調整できる。よって、4つの磁極17に流す電流と4つの電極18に印加する電圧とを調整することにより、電界による力及び磁界による力の向き及び大きさを調整できる。
斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離したマルチ2次電子ビーム300は、2次電子光学系152によってマルチ検出器222に導かれる。具体的には、マルチ1次電子ビーム20から分離したマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218によって偏向されることにより、さらに曲げられ、マルチ1次電子ビーム20の軌道上から離れた位置で電磁レンズ224によって、集束方向に屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222(マルチ2次電子ビーム検出器)は、屈折させられ、投影されたマルチ2次電子ビーム300を検出する。マルチ検出器222は、複数の検出エレメント(例えば図示しないダイオード型の2次元センサ)を有する。そして、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、マルチ検出器222の検出面において、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームに対応する検出エレメントに衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを画素毎に生成する。マルチ検出器222にて検出された強度信号(輝度データ)は、検出回路106に出力される。
図5は、実施の形態1における2次元位置検出センサ217と偏向器218とE×B分離器214との位置関係の一例を示す正面図である。図5において、仰角θは、マルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に直交する面(x,y方向)から高さ方向(z方向)に傾く角度で定義される。
図6は、実施の形態1における2次元位置検出センサ217と偏向器218とE×B分離器214との位置関係の一例を示す上面図である。図6において、方位角φは、マルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に直交する面(x,y方向)上における軌道中心軸からの方位の角度を指す。方位角の基準は北向きである必要はない。図6の例では、x軸を基準にして示している。
2次元位置検出センサ217は、図5に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して検出光学系152へマルチ2次電子ビーム300を導入するための仰角θ1と同じ仰角θ2で配置される。具体的には、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための仰角θ1と同じ仰角θ2で配置される。2次元位置検出センサ217は、図6に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して検出光学系152へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1とは異なる方位角φ2の位置に配置される。具体的には、2次元位置検出センサ217は、図6に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1とは異なる方位角φ2の位置に配置される。E×B分離器214の磁場中心高さ面とマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸との交点から、例えば、2次元位置検出センサ217の検出面の中心位置への方向について、仰角と方位角とを設定すればよい。また、仰角が同じといっても完全一致する必要はなく、2次元位置検出センサ217で検出可能な範囲であれば例えば機械的誤差を含む所定の範囲の誤差が生じても構わない。また、図6の例では、偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1がx軸に対して0°、方位角φ2がx軸に対して180°の場合を示したが、これに限るものではない。方位角φ1と方位角φ2とが異なっていればよい。
図6は、実施の形態1における2次元位置検出センサ217と偏向器218とE×B分離器214との位置関係の一例を示す上面図である。図6において、方位角φは、マルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に直交する面(x,y方向)上における軌道中心軸からの方位の角度を指す。方位角の基準は北向きである必要はない。図6の例では、x軸を基準にして示している。
2次元位置検出センサ217は、図5に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して検出光学系152へマルチ2次電子ビーム300を導入するための仰角θ1と同じ仰角θ2で配置される。具体的には、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための仰角θ1と同じ仰角θ2で配置される。2次元位置検出センサ217は、図6に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して検出光学系152へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1とは異なる方位角φ2の位置に配置される。具体的には、2次元位置検出センサ217は、図6に示すように、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1とは異なる方位角φ2の位置に配置される。E×B分離器214の磁場中心高さ面とマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸との交点から、例えば、2次元位置検出センサ217の検出面の中心位置への方向について、仰角と方位角とを設定すればよい。また、仰角が同じといっても完全一致する必要はなく、2次元位置検出センサ217で検出可能な範囲であれば例えば機械的誤差を含む所定の範囲の誤差が生じても構わない。また、図6の例では、偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための方位角φ1がx軸に対して0°、方位角φ2がx軸に対して180°の場合を示したが、これに限るものではない。方位角φ1と方位角φ2とが異なっていればよい。
図7は、実施の形態1における画像取得方法の要部工程を示すフローチャート図である。図7において、実施の形態1における画像取得方法は、装置立ち上げ時のビーム軸調整後の位置関係取得工程(S102)と、位置検出器へのビーム照射工程(S106)と、2次電子ビーム軸調整工程(S108)と、方位角変更工程(S110)と、画像取得工程(S112)と、いう一連の工程を実施する。
まず、検査装置100の立ち上げ時には、ビーム軸調整が行われる。例えば、以下のように実施される。
図8は、実施の形態1における2次電子ビームの軌道軸の1次調整を説明するための図である。図9は、実施の形態1における2次電子ビームの軌道軸の2次調整を説明するための図である。まず、偏向器218の代わりに、或いは偏向器218の近くに位置検出器228を配置する。そして、図8に示すように、マルチ2次電子ビーム300の例えば中心ビーム301が位置検出器228の検出面の所定の範囲に照射されるように、E×B分離器214の磁極17に流す電流と電極18に印加する電圧を制御する。例えば中心ビーム301が偏向器218内を通過して、位置検出器228の検出面の中心位置に照射されるようにE×B分離器214を制御する。
次に、図9に示すように、位置検出器228を取り外し、さらに、マルチ検出器222を取り外してマルチ検出器222の代わりに、例えば、DDDのようなマルチ位置検出器229を配置する。そして、マルチ2次電子ビーム300の例えば中心ビーム301がマルチ位置検出器229の検出面の中心位置に照射されるように、マルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸を調整する。ここでは、E×B分離器214によって、粗調整をした後に、アライメントコイル227を使って微調整を行なえば良い。これにより、装置立ち上げ時におけるマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸のアライメントができる。
なお、その他の焦点位置やクロスオーバー位置の調整等の残りのビーム調整については説明を省略する。これにより、検査装置100で通常検査が実施可能となる。そして、検査装置100は、通常の検査処理を実施する。かかる装置の稼働に伴って、装置のメンテナンスが必要となる。装置メンテナンスでは、部品の交換等によって、2次電子ビームの軌道軸のアライメントが大きく変化した場合、マルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸のアライメント作業が必要となる。従来、再度、立ち上げ時と同様のマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸のアライメント作業が必要となっていた。その結果、装置のメンテナンス時のたびに、2次電子ビームの軌道軸のアライメントに非常に時間を要するといった問題があった。そこで、実施の形態1では、予め2次元位置検出センサ217にて、装置立ち上げ時のビーム軸調整後のビーム位置を取得しておく。具体的には、以下のように動作する。
装置立ち上げ時のビーム軸調整後の位置関係取得工程(S102)として、装置立ち上げ時のビーム軸調整後の検出光学系152(ここでは偏向器218)へマルチ2次電子ビーム300を導入する際の位置と方位角のみ変更して2次元位置検出センサ217へマルチ2次電子ビーム300を導入する際の位置との位置関係を取得する。
図10は、実施の形態1におけるマルチ2次電子ビームの位置関係を取得する手法を説明するための図である。図10(a)に示すように、E×B分離器214を制御して、検出光学系152(ここでは偏向器218)へマルチ2次電子ビーム300を導入する際の方位角を変更して2次元位置検出センサ217へとマルチ2次電子ビーム300を導入する。具体的には、以下のように動作する。E×B制御回路132による制御のもとE×B分離器214は、E×B分離器214の磁場中心高さ面に対して偏向器218へマルチ2次電子ビーム300を導入するための仰角θ1を維持した状態で、方位角φを変更して、偏向器218から2次元位置検出センサ217へとマルチ2次電子ビーム300の分離方向(1次電子ビームからの分離方向)を変化させる。ここでは、方位角φの変更量Δφとして、例えばΔφ=|φ2-φ1|だけ2次元位置検出センサ217側に変化させる。その際の2次元位置検出センサ217でのマルチ2次電子ビーム300の位置を測定し、位置関係データとして、記憶装置109に記憶する。例えば、マルチ2次電子ビーム300の中心ビーム301の位置を測定し、記録する。図10(b)の例では、2次元位置検出センサ217の検出面の中心から左上方向にずれた位置が装置立ち上げ時のビーム軸調整後のビーム位置である場合を示している。なお、マルチ2次電子ビーム300の各ビームの位置を測定し、記録しても構わない。或いは、中心ビーム301と4隅の外周ビームの位置を測定しても好適である。
そして、装置立ち上げ時のビーム軸調整後の検出光学系152(ここでは偏向器218)へマルチ2次電子ビーム300を導入する際の位置へと方位角を元に戻す。そして、検査装置100は、通常の検査処理を実施する。かかる装置の稼働に伴って、装置のメンテナンスが必要となったら装置メンテナンスを実施する。装置メンテナンスによって、2次電子ビームの軌道軸のアライメントが大きく変化した場合、実施の形態1では、以下のように、マルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸のアライメントを実施する。
位置検出器へのビーム照射工程(S106)として、E×B分離器214を制御して、2次元位置検出センサ217へとマルチ2次電子ビーム300の少なくとも1つの2次電子ビームを照射する。方位角φをφ2に調整することで、マルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸の方向を概ね2次元位置検出センサ217へと向けることができる。例えば、マルチ2次電子ビーム300の中心ビームだけを2次元位置検出センサ217に照射する。任意の1本の2次電子ビームを照射する場合には、シャッター225で1次電子ビームを対応する1次電子ビームに制限すればよい。マルチ2次電子ビーム300の各ビームを2次元位置検出センサ217に照射しても構わない。或いは、マルチ2次電子ビーム300の一部の複数のビームを2次元位置検出センサ217に照射しても構わない。
2次電子ビーム軸調整工程(S108)として、E×B分離器214を制御して、マルチ2次電子ビーム300の少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を2次元位置検出センサ217の検出面における所望の位置に調整する。なお調整は、2次元位置検出センサ217でマルチ2次電子ビーム300の中心ビーム301の位置を測定した結果をリアルタイムで確認しながら行うことができる。2次元位置検出センサ217は、例えば、マルチ2次電子ビーム300の中心ビーム301の位置を測定しても良いし、マルチ2次電子ビーム300の各ビームの位置を一度に検出しても良い。
図11は、実施の形態1におけるマルチ2次電子ビームの位置調整を説明するための図である。図11(a)に示すように、E×B分離器214を制御して、2次元位置検出センサ217へとマルチ2次電子ビーム300を導入する。その結果、例えば、図11(b)に示す軸調整前のビーム位置が2次元位置検出センサ217で検出される。図11(b)の例では、2次元位置検出センサ217の検出面の中心から右上方向にずれた位置で検出される場合を示している。E×B制御回路132は、記憶装置109に格納された装置立ち上げ時のビーム軸調整後の位置関係データを読み出す。図10(b)の例では、例えば2次元位置検出センサ217の検出面の中心から左上方向にずれた位置が装置立ち上げ時のビーム軸調整後のビーム位置である。そこで、E×B分離器214を制御して、マルチ2次電子ビーム300の少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を軸調整前のビーム位置から軸調整後のビーム位置へと調整する。ビーム位置の調整は、E×B分離器214での仰角θを調整することで、2次元位置検出センサ217の検出面の上下方向を合わせることができる。E×B分離器214での方位角φを調整することで、2次元位置検出センサ217の検出面の左右方向を合わせることができる。
図12は、実施の形態1における仰角を調整する手法を説明するための図である。図12(a)では、説明を簡単にするため、対向する2極の磁極と、90°位相をずらした対向する2極の電極を用いて説明する。図12(a)では、上方の図にマルチ1次電子ビーム20に作用する力を示し、下方の図にマルチ2次電子ビーム300に作用する力を示す。図12(a)の状態は、図4(b)及び図4(c)の状態と同じである。マルチ1次電子ビーム20に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きが逆方向であるため打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20はまっすぐ進む。これに対して、マルチ2次電子ビーム300に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きも同じであるため偏向する。図12(a)の例では、マルチ2次電子ビーム300が左に偏向する場合を示している。かかる状態から仰角θを変更するためには、各磁極に励磁する電流の向き及び各電極に印加する電位の符号を同じ状態を維持したまま、電界による力FEと磁界による力FBの大きさを変更することで達成できる。図12(b)の例では、各磁極に励磁する電流を大きくして磁界による力FBの大きさを2倍にした状態を示す。同様に、各電極に印加する電位を大きくして電界による力FEの大きさを2倍にした状態を示す。これにより偏向する方位角φはそのままに仰角θを変更できる。ここでは、作用する力が大きくなるので偏向力も大きくなり、その結果、仰角を小さくできる。例えば、仰角を小さくすることで、図10(b)の例では、2次電子ビームの検出位置を軸調整前のビーム位置から軸調整後のビーム位置へと下方向に調整できる。なお、調整する場合、電界による力FEと磁界による力FBの大きさが同じ大きさになるように調整する。これにより、マルチ1次電子ビーム20に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きが逆方向であるため打ち消し合う状態を維持できる。
図13は、実施の形態1における方位角を調整する手法を説明するための図である。図13(a)では、説明を簡単にするため、対向する2極の磁極と、90°位相をずらした対向する2極の電極を用いて説明する。図13(a)では、上方の図にマルチ1次電子ビーム20に作用する力を示し、下方の図にマルチ2次電子ビーム300に作用する力を示す。図13(a)の状態は、図4(b)及び図4(c)の状態と同じである。マルチ1次電子ビーム20に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きが逆方向であるため打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20はまっすぐ進む。これに対して、マルチ2次電子ビーム300に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きも同じであるため偏向する。図13(a)の例では、マルチ2次電子ビーム300が左に偏向する場合を示している。かかる状態から方位角φを変更するためには、マルチ2次電子ビーム300に作用する電界による力FEと磁界による力FBの向きを変更することで達成できる。図13(b)の例では、各磁極に励磁する電流の方向を反転させて磁界による力FBの向きを反転させた状態を示す。同様に、各電極に印加する電位の符号を反転させて電界による力FEの向きを反転させた状態を示す。これにより偏向する仰角θはそのままに方位角φを変更できる。なお、図13(b)の例では、対向する2極の磁極と、90°位相をずらした対向する2極の電極とを用いる場合を示したので、方位角φが180°の変更になるが、実施の形態1では、90°ずつ位相をずらした4極の電極と90°ずつ位相をずらした4極の磁極とを用いるので、電界による力FEと磁界による力FBの向きを任意の方向に調整できる。ここでは、作用する力の方向が変わるので、方位角を変更できる。例えば、方位角を右にずらすことで、図10(b)の例では、2次電子ビームの検出位置を軸調整前のビーム位置から軸調整後のビーム位置へと右方向に調整できる。なお、調整する場合、電界による力FEと磁界による力FBの大きさが同じ大きさになるように調整する。そして、マルチ1次電子ビーム20に作用する電界による力FEと磁界による力FBが逆方向になるように調整する。これにより、マルチ1次電子ビーム20に作用する電界による力FEと磁界による力FBは、同じ大きさで向きが逆方向であるため打ち消し合う状態を維持できる。
図14は、実施の形態1における方位角を任意に調整する手法を説明するための図である。図14(a)では、上方の図にマルチ1次電子ビーム20に作用する力を示し、下方の図にマルチ2次電子ビーム300に作用する力を示す。
図14(a)の例では、90°ずつ位相をずらした4極の電極のx方向に対向する2極に電位+Vxと-Vxを印加する。例えば、右側の電極に+Vx、左側の電極に-Vxを印加する。これにより、右から左に向かう電界による力FExが生じる。
図14(a)の例では、90°ずつ位相をずらした4極の電極のy方向に対向する2極に電位+Vyと-Vyを印加する。例えば、上側の電極に+Vy、下側の電極に-Vyを印加する。これにより、上から下に向かう電界による力FEyが生じる。
また、図14(a)の例では、90°ずつ位相をずらした4極の磁極のx方向に対向する2極にNy極とSy極を設定する。例えば、右側の磁極にNy極、左側の磁極にSy極を設定する。これにより、1次電子ビームが進む方向では、下から上に向かう磁界による力FByが生じる。
また、図14(a)の例では、90°ずつ位相をずらした4極の磁極のy方向に対向する2極にNx極とSx極を設定する。例えば、上側の磁極にNx極、下側の磁極にSx極を設定する。これにより、1次電子ビームが進む方向では、左から右に向かう磁界による力FBxが生じる。
これにより、1次電子ビームが進む方向では、図14(b)に示すように、電界による力FEyと電界による力FExとを合成(ベクトルの和)した電界による力FEは、右上から左下に向かう方向に生じる。そして、磁界による力FByと電界による力FBxとを合成(ベクトルの和)した磁界による力FBは、左下から右上に向かう方向に生じる。よって、1次電子ビームが進む方向では、電界による力FEと磁界による力FBは打ち消し合い相殺される。
一方、2次電子ビームが進む方向では、図14(b)に示すように、電界による力FEyと電界による力FExとを合成(ベクトルの和)した電界による力FEは、1次電子ビームが進む方向では、右上から左下に向かう方向に生じる。そして、磁界による力FByと電界による力FBxとを合成(ベクトルの和)した磁界による力FBは、右上から左下に向かう方向に生じる。よって、2次電子ビームが進む方向では、右上から左下に向かう方向に方位角を設定できる。
このように、4極の磁極と4極の電極で発生させる磁界と電界のベクトルの和で、任意の方位角へ調整が可能である。
以上により、マルチ2次電子ビーム300の少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を、装置立ち上げ時のビーム軸調整後の位置から方位角だけΔφずらした2次元位置検出センサ217の検出面における所望の位置に調整できる。
方位角変更工程(S110)として、E×B分離器214を制御して、マルチ2次電子ビーム300の少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置が2次元位置検出センサ217の検出面における所望の位置に調整された仰角θを維持した状態で方位角φを検出光学系152に向けることによりマルチ2次電子ビーム300を検出光学系152に導入する。
図15は、実施の形態1における方位角を検出光学系に向ける様子を説明するための図である。具体的には、E×B分離器214を制御して仰角θを維持した状態で方位角φを偏向器218に向けることにより、マルチ2次電子ビーム300は、偏向器218に導入される。ここでは、方位角φの変更量Δφとして、例えばΔφ=|φ2-φ1|だけ偏向器218側へと変化させる。これにより、装置立ち上げ時のビーム軸調整時と同じ位置にマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸を合わせることができる。
以上のように、実施の形態1によれば、装置メンテナンス時の2次電子ビーム軸調整について、従来のような、位置検出器228の設置及び取り外しの手間、マルチ検出器222を取り外してマルチ位置検出器229を設置する手間、及びマルチ位置検出器229を取り外してマルチ検出器222を再設置する手間等を無くすことができる。
ここで、上述した例では、2次元位置検出センサ217をマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸のアライメントに使用する場合について説明したが、2次元位置検出センサ217の用途はこれに限るものではない。2次元位置検出センサ217をマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸のアライメントに使用しても好適である。
図16は、実施の形態1におけるマルチ1次電子ビームの軌道中心軸調整を説明するための図である。従来、マルチ1次電子ビーム20の例えば中心ビームでXYステージ105上に配置される図示しないマークをスキャンして得られた画像を確認しながらマルチ1次電子ビームの軌道中心軸調整を行う必要があった。具体的には、マルチ1次電子ビームの軌道中心軸を可変に調整し、軸の調整の都度、対物レンズとなる電磁レンズ207の制御値を変え、その都度、マークをスキャンして画像を取得する。それから画像上からマーク位置を測定する。そして、電磁レンズ207の制御値を変えても画像上のマーク位置が変化しない位置を探索する。このように、従来の手法では、電磁レンズ207の制御値を変えるたびにマークスキャンが必要となっていた。
これに対して、実施の形態1では、マルチ1次電子ビーム20の例えば中心ビームを基板上、或いはXYステージ105上に照射し、これに起因して発生する2次電子ビームを2次元位置検出センサ217で測定する。2次元位置検出センサ217での位置測定はリアルタイムで確認可能である。具体的には、アライメントコイル219でマルチ1次電子ビームの軌道中心軸を可変に調整し、軸の調整の都度、対物レンズとなる電磁レンズ207の制御値を変え、その都度、マルチ1次電子ビーム20の例えば中心ビームの照射に起因して発生する2次電子ビームを2次元位置検出センサ217で測定する。そして、電磁レンズ207の制御値を変えても2次元位置検出センサ217での測定位置が変化しない位置を探索する。これにより、マルチ1次電子ビームの軌道中心軸のアライメントができる。このように、実施の形態1によれば、マークスキャンを不要にできる。また、2次電子ビームの位置を2次元位置検出センサ217で直接検出するので、画像生成誤差及び画像上でのマーク位置測定誤差を抑制できる。
以上のように、マルチ2次電子ビーム300(及びマルチ1次電子ビーム20)の軌道を調整した上で、被検査基板の検査処理を行う。
画像取得工程(S112)として、画像取得機構150は、マルチ1次電子ビーム20を基板101に照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300による2次電子画像を取得する。
図17は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。図17において、半導体基板(ウェハ)101の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。
図18は、実施の形態1における画像取得処理を説明するための図である。図18に示すように、各チップ332の領域は、例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割される。画像取得機構150によるスキャン動作は、例えば、ストライプ領域32毎に実施される。例えば、-x方向にステージ105を移動させながら、相対的にx方向にストライプ領域32のスキャン動作を進めていく。各ストライプ領域32は、長手方向に向かって複数の矩形領域33に分割される。対象となる矩形領域33へのビームの移動は、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。
図18の例では、例えば、5×5列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。1回のマルチ1次電子ビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。照射領域34が、マルチ1次電子ビーム20の視野となる。そして、マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム10は、自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。各1次電子ビーム10は、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各1次電子ビーム10は、担当サブ照射領域29内の同じ位置を照射することになる。副偏向器209(第1の偏向器)は、マルチ1次電子ビーム20を一括して偏向することにより、パターンが形成された基板101面上をマルチ1次電子ビーム20で走査する。言い換えれば、サブ照射領域29内の1次電子ビーム10の移動は、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。かかる動作を繰り返し、1つの1次電子ビーム10で1つのサブ照射領域29内を順に照射していく。
各ストライプ領域32の幅は、照射領域34のy方向サイズと同様、或いはスキャンマージン分狭くしたサイズに設定すると好適である。図18の例では、照射領域34が矩形領域33と同じサイズの場合を示している。但し、これに限るものではない。照射領域34が矩形領域33よりも小さくても良い。或いは大きくても構わない。そして、マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム10は、自身のビームが位置するサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。そして、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が同じストライプ領域32内の隣接する矩形領域33へと移動する。かかる動作を繰り返し、ストライプ領域32内を順に照射していく。1つのストライプ領域32のスキャンが終了したら、ステージ105の移動或いは/及び主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射領域34が次のストライプ領域32へと移動する。以上のように各1次電子ビーム10の照射によってサブ照射領域29毎のスキャン動作および2次電子画像の取得が行われる。これらのサブ照射領域29毎の2次電子画像を組み合わせることで、矩形領域33の2次電子画像、ストライプ領域32の2次電子画像、或いはチップ332の2次電子画像が構成される。また、実際に画像比較を行う場合には、各矩形領域33内のサブ照射領域29をさらに複数のフレーム領域30に分割して、フレーム領域30毎の測定画像となるフレーム画像31について比較することになる。図18の例では、1つの1次電子ビーム10によってスキャンされるサブ照射領域29を例えばx,y方向にそれぞれ2分割することによって形成される4つのフレーム領域30に分割する場合を示している。
ここで、ステージ105が連続移動しながらマルチ1次電子ビーム20を基板101に照射する場合、マルチ1次電子ビーム20の照射位置がステージ105の移動に追従するように主偏向器208によって一括偏向によるトラッキング動作が行われる。そのため、マルチ2次電子ビーム300の放出位置がマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に対して刻々と変化する。同様に、サブ照射領域29内をスキャンする場合に、各2次電子ビームの放出位置は、サブ照射領域29内で刻々と変化する。このように放出位置が変化した各2次電子ビームをマルチ検出器222の対応する検出領域内に照射させるように、例えば偏向器226は、マルチ2次電子ビーム300を一括偏向する。偏向器226とは別に、アライメントコイル等を2次電子光学系内に配置して、かかる放出位置の変化を補正させても好適である。
以上のように、画像取得機構150は、ストライプ領域32毎に、スキャン動作をすすめていく。上述したように、マルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218内で中間像面を形成すると共に、偏向器218で偏向され、それからマルチ検出器222で検出される。検出されるマルチ2次電子ビーム300には、反射電子が含まれていても構わない。或いは、反射電子は、2次電子光学系を移動中に発散し、マルチ検出器222まで到達しない場合であっても構わない。そして。検出されたマルチ2次電子ビーム300の信号に基づいた2次電子画像が取得される。具体的には、マルチ検出器222によって検出された各サブ照射領域29内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。
一方、参照画像作成回路112は、基板101に形成された複数の図形パターンの元になる設計データに基づいて、フレーム領域30毎に、フレーム画像31に対応する参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、この読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
上述したように、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/28(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとなる。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、所定のフィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データをマルチ1次電子ビーム20の照射によって得られる像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像の画素毎の画像データは比較回路108に出力される。
比較回路108内では、フレーム領域30毎に、被検査画像となるフレーム画像31(第1の画像)と、当該フレーム画像に対応する参照画像(第2の画像)とを、サブ画素単位で、位置合わせする。例えば、最小2乗法で位置合わせを行えばよい。
そして、比較回路108は、フレーム画像31と、参照画像とを比較する。比較回路108は、所定の判定条件に従って画素36毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素36毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力される、或いはプリンタ119より出力されればよい。
なお、上述したダイ-データベース検査の他、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較するダイ-ダイ検査を行っても好適である。或いは、自己の測定画像だけを用いて検査しても構わない。
以上のように、実施の形態1によれば、検出光学系に導入する2次電子ビームの軌道軸のアライメントを簡易に実施できる。
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、及び参照画像作成回路112等は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ電子ビーム画像取得装置及びマルチ電子ビーム画像取得方法は、本発明の範囲に包含される。
10 1次電子ビーム
17 磁極
18 電極
20 マルチ1次電子ビーム
21 1次電子ビーム
22 穴
29 サブ照射領域
30 フレーム領域
31 フレーム画像
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
112 参照画像作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
130 位置検出回路
132 E×B制御回路
142 ステージ駆動機構
144,146,148 DACアンプ
150 画像取得機構
151 照明光学系
152 検出光学系
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202,205,207 磁気レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 E×B分離器
216 ミラー
217 2次元位置検出センサ
218 偏向器
219 アライメントコイル
222 マルチ検出器
224 投影レンズ
225 シャッター
226 偏向器
227 アライメントコイル
228 位置検出器
229 マルチ位置検出器
300 マルチ2次電子ビーム
301 2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ
600,601 中間像面
17 磁極
18 電極
20 マルチ1次電子ビーム
21 1次電子ビーム
22 穴
29 サブ照射領域
30 フレーム領域
31 フレーム画像
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
112 参照画像作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
130 位置検出回路
132 E×B制御回路
142 ステージ駆動機構
144,146,148 DACアンプ
150 画像取得機構
151 照明光学系
152 検出光学系
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202,205,207 磁気レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 E×B分離器
216 ミラー
217 2次元位置検出センサ
218 偏向器
219 アライメントコイル
222 マルチ検出器
224 投影レンズ
225 シャッター
226 偏向器
227 アライメントコイル
228 位置検出器
229 マルチ位置検出器
300 マルチ2次電子ビーム
301 2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ
600,601 中間像面
Claims (6)
- マルチ1次電子ビームを基板に照射して前記基板から放出されるマルチ2次電子ビームを電場と磁場とを用いて前記マルチ1次電子ビームから分離する分離器を制御して、前記分離器の磁場中心高さ面に対して、前記マルチ2次電子ビームのビーム強度を検出するマルチ検出器に前記マルチ2次電子ビームを照射する検出光学系へ前記マルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器へと前記マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームを照射する工程と、
前記分離器を制御して、前記マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置を前記位置検出器の検出面における所望の位置に調整する工程と、
前記分離器を制御して、前記マルチ2次電子ビームの少なくとも1つの2次電子ビームの検出位置が前記位置検出器の検出面における前記所望の位置に調整された仰角を維持した状態で方位角を前記検出光学系に向けることにより前記マルチ2次電子ビームを前記検出光学系に導入する工程と、
を備えたことを特徴とする電子ビームの軌道軸調整方法。 - 前記位置検出器は、一度に前記マルチ2次電子ビームの各ビームの位置を検出することを特徴とする請求項1記載の電子ビームの軌道軸調整方法。
- 前記検出光学系は、静電型の偏向器を有し、
前記仰角は、前記偏向器へ前記マルチ2次電子ビームを導入するための仰角であり、
前記分離器を制御して仰角を維持した状態で方位角を前記偏向器に向けることにより、前記マルチ2次電子ビームは、前記偏向器に導入されることを特徴とする請求項1又は2記載の電子ビームの軌道軸調整方法。 - 基板を載置するステージと、
マルチ1次電子ビームを用いて、前記基板に前記マルチ1次電子ビームを結像する対物レンズと、
電界を形成する複数の電極と磁界を形成する複数の磁極とを有し、形成される前記電界と前記磁界とにより、前記マルチ1次電子ビームで前記基板が照射されたことに起因して放出されるマルチ2次電子ビームを前記マルチ1次電子ビームの軌道上から分離する分離器と、
分離された前記マルチ2次電子ビームを検出するマルチ検出器と、
分離された前記マルチ2次電子ビームを前記検出器に照射する検出光学系と、
前記分離器の磁場中心高さ面に対して前記検出光学系へ前記マルチ2次電子ビームを導入するための仰角が同じで方位角が異なる位置に配置される、ビーム位置を検出する位置検出器と、
を備えたことを特徴とするマルチ電子ビーム画像取得装置。 - 前記位置検出器は、一度に前記マルチ2次電子ビームの各ビームの位置を検出することを特徴とする請求項4記載のマルチ電子ビーム画像取得装置。
- 前記検出光学系は、静電型の偏向器を有し、
前記仰角は、前記偏向器へ前記マルチ2次電子ビームを導入するための仰角であることを特徴とする請求項4又は5記載のマルチ電子ビーム画像取得装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021056927A JP2022154067A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021056927A JP2022154067A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022154067A true JP2022154067A (ja) | 2022-10-13 |
Family
ID=83557771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021056927A Pending JP2022154067A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022154067A (ja) |
-
2021
- 2021-03-30 JP JP2021056927A patent/JP2022154067A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7057220B2 (ja) | マルチ電子ビーム画像取得装置及びマルチ電子ビーム光学系の位置決め方法 | |
US6265719B1 (en) | Inspection method and apparatus using electron beam | |
US20190355546A1 (en) | Multiple electron beam image acquisition apparatus and multiple electron beam image acquisition method | |
KR102676583B1 (ko) | 멀티 2 차 전자 빔의 위치 조정 방법, 멀티 2 차 전자 빔의 위치 조정 장치, 및 전자 빔 검사 장치 | |
TWI834161B (zh) | 多電子束圖像取得裝置及多電子束圖像取得方法 | |
WO2022130838A1 (ja) | マルチビーム画像取得装置及びマルチビーム画像取得方法 | |
JP6966319B2 (ja) | マルチビーム画像取得装置及びマルチビーム画像取得方法 | |
JP2021077492A (ja) | 電子ビーム検査装置及び電子ビーム検査方法 | |
KR102676080B1 (ko) | 멀티 전자 빔 화상 취득 방법, 멀티 전자 빔 화상 취득 장치 및 멀티 전자 빔 검사 장치 | |
WO2021250997A1 (ja) | マルチ電子ビーム画像取得装置及びマルチ電子ビーム画像取得方法 | |
JP2022163680A (ja) | マルチ電子ビーム画像取得方法、マルチ電子ビーム画像取得装置、及びマルチ電子ビーム検査装置 | |
JP2022174714A (ja) | マルチ2次電子ビームの位置合わせ方法、マルチ2次電子ビームの位置合わせ装置、及び電子ビーム検査装置 | |
JP7385493B2 (ja) | マルチ荷電粒子ビーム位置合わせ方法及びマルチ荷電粒子ビーム検査装置 | |
JP2022154067A (ja) | 電子ビームの軌道軸調整方法及びマルチビーム画像取得装置 | |
JP2021077458A (ja) | ステージ機構 | |
JP2021044461A (ja) | アライメントマーク位置の検出方法及びアライメントマーク位置の検出装置 | |
TWI818407B (zh) | 多射束圖像取得裝置及多射束圖像取得方法 | |
WO2021039419A1 (ja) | 電子銃及び電子ビーム照射装置 | |
WO2024009912A1 (ja) | マルチビーム画像取得装置及びマルチビーム画像取得方法 | |
TW202314766A (zh) | 多電子束畫像取得裝置、多電子束檢查裝置以及多電子束畫像取得方法 | |
JP2024007428A (ja) | マルチビーム画像取得装置及びマルチビーム画像取得方法 | |
JP2022126438A (ja) | 線分画像作成方法及び線分画像作成装置 | |
TW202314768A (zh) | 多電子束檢查裝置、多極子陣列的控制方法以及多電子束檢查方法 | |
JP2021169972A (ja) | パターン検査装置及びパターン検査方法 |