JP2022153316A - T細胞受容体 - Google Patents

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直哉 勝山
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Tatsuo Ichinohe
孝和 川瀬
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Abstract

【課題】がん、特に造血器腫瘍の予防又は治療に有用なT細胞受容体を提供すること。【解決手段】特定の配列で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに別の特定の特定の配列で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、T細胞受容体であって、HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*09:01、HLA-DPB1*03:01、又はHLA-DPB1*04:02を認識する、T細胞受容体である。【選択図】なし

Description

本発明は、T細胞受容体等に関する。
難治性造血器腫瘍の予後は極めて不良であり、これに対して健康人の造血細胞を移植する同種造血幹細胞移植が根治を望みうる治療として開発されている。しかし、当該移植治療の長期予後は50%前後であり、死因の過半は造血器腫瘍の再発である。
移植後再発造血器腫瘍に対する治療として、同じ移植ドナーのリンパ球を投与する方法がある。しかし、副作用として致死的な急性移植片対宿主病の合併が起こりうるほか、造血器腫瘍に対する効果も限定的で原病死することも多く、長期生存はほとんど得られなかった。
最近CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体T細胞(キムリア(登録商標)点滴静注(チサゲンレクルユーセル))が医薬品として承認された。造血器腫瘍がBリンパ球由来の場合は本剤で治療が可能で、半数程度の患者で長期寛解や一部では治癒が得られるようになった。
しかし、これ以外の治療は全て臨床研究の段階にある。現在行われている移植後再発造血器腫瘍に対する臨床試験の1つに、ヒト白血球抗原の1つであるHLA-A2型分子上に提示されるHA-1遺伝子多型部分を認識するT細胞を養子移入する介入試験(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03326921、NCT04464889)がある。このHA-1抗原を認識するT細胞クローンから得られたTCR配列とその臨床応用法が少なくとも2件報告されている(例えば特許文献1)。同種抗原以外の標的として、いわゆるがん関連抗原であるWT-1を認識するようなT細胞から得られたTCRも遺伝子改変T細胞の作製に用いられ、造血器腫瘍に対する臨床試験(WT-1ではNCT02550535など5件)が行われている。
国際公開第2020/030631号
移植後再発造血器腫瘍に対する同種造血細胞移植の成績は補助療法の進展で非再発死亡は減少し確立された治療法となったが、原病の再発は減少しておらず大きな問題となっている。
同種免疫を治療の根幹とするため、この免疫が十分誘導されないことが再発の原因の1つと考えられる。これに対して同じドナーから末梢血リンパ球を採取して再投与するドナーリンパ球輸注は慢性骨髄性白血病などの一部の造血器腫瘍では効果が認められたが、その他の造血器腫瘍では効果は限定的であった。その後、ドナーと患者間で異なる遺伝子多型がもたらすアミノ酸の置換部分を標的抗原(マイナー組織適合抗原と呼ばれる)とした「抗原特異的」免疫療法がペプチド(±樹状細胞)ワクチンや、TCR遺伝子改変T細胞療法として開発され臨床試験中であるが、最大の欠点は特定のペプチドを狙う場合、(1)特定のペプチドを提示できるHLA型は1種類しかない(例えばHA-1抗原はHLA-A2型のみに結合)、(2)ドナーと患者間でHA-1の遺伝子多型が異なる必要がある、という制約である。この結果、白人で最も頻度の高いHLA-A2 (約60%)でも、HA-1のドナー・患者間不適合率は最大25%程度であるため、対象となる患者は15%に過ぎない。日本人に多いHLA-A24型(約65%)で提示されるACC-1抗原も対象となる患者は12%程度であった。
またHLAに依存せず、細胞表面にある蛋白抗原を標的としたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法が2019年に保険収載となったが、現在適応となるCD19抗原のみであり、対象となる急性リンパ性白血病症例の割合は全移植例の20%に満たない。
本発明は、がん、特に造血器腫瘍の予防又は治療に有用なT細胞受容体を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を進めた結果、下記(A)又は(B)の特徴を有するT細胞受容体:(A)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、又は(B)配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、T細胞受容体、であれば、上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 下記(C)、(D)、(E)、(F)、(A)、又は(B)の特徴を有するT細胞受容体:
(C)配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号28で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
(D)配列番号33で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号38で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
(E)配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号48及び/又は53で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
(F)配列番号58で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号63で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
(A)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、又は
(B)配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
T細胞受容体。
項2. 前記特徴(C)において、前記β鎖が配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号26で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号27で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
前記特徴(D)において、前記β鎖が配列番号31で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号32で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号36で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号37で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
前記特徴(E)において、前記β鎖が配列番号41で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号46及び/又は51で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号47及び/又は52で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
前記特徴(F)において、前記β鎖が配列番号56で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号57で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号61で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号62で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
前記特徴(A)において、前記β鎖が配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、又は
前記特徴(B)において、前記β鎖が配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2、を含み、前記α鎖が配列番号16で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
項1に記載のT細胞受容体。
項3. HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*09:01、HLA-DPB1*03:01、又はHLA-DPB1*04:02を認識する、項1又は2に記載のT細胞受容体。
項4. 項1~3のいずれかに記載のT細胞受容体をコードする、1種又は2種以上のポリヌクレオチド。
項5. 項4に記載のポリヌクレオチドを含有する、細胞。
項6. 項1~3のいずれかに記載のT細胞受容体が細胞膜上に発現している、項5に記載の細胞。
項7. リンパ球である、項5又は6に記載の細胞。
項8. T細胞である、項5~7のいずれかに記載の細胞。
項9. 項5~8のいずれかに記載の細胞を含有する、医薬。
項10. がんの予防又は治療用である、項9に記載の医薬。
項11. 前記がんが造血器腫瘍である、項10に記載の医薬。
本発明によれば、がん、特に造血器腫瘍の予防又は治療に有用なT細胞受容体を提供することができる。
試験例1のアロHLA-DP型特異的T細胞の誘導方法の概要を示す。 試験例1のレパトワ解析の結果を示す。 試験例1の細胞傷害性試験の結果を示す。 試験例1のinterferon-γ産生能の測定結果を示す。 試験例3の同種移植後患者からの不適合HLA-DP特異的T細胞クローンの樹立法の概要を示す。 試験例3の、Allo-4-2クローンの初発白血病細胞に対するinterferon-γ産生量(pg/ml)(ELISA法)の測定結果を示す。 試験例3の、Allo-9-14クローンの初発白血病細胞に対するinterferon-γ産生量(pg/ml)(ELISA法)の測定結果を示す。 試験例3の、Allo-9 2A1クローンの初発白血病細胞に対するinterferon-γ産生量(pg/ml)(ELISA法)の測定結果を示す。 試験例3の、Allo-9 2A9クローンの初発白血病細胞に対するinterferon-γ産生量(pg/ml)(ELISA法)の測定結果を示す。 試験例3の、Allo-9 2A9クローンの細胞障害活性を示す。
1.定義
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
アミノ酸配列の「同一性」とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対するアミノ酸配列の一致の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の一致性が高いほど、それらの配列の同一性又は類似性は高い。アミノ酸配列の同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて決定される。若しくは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(KarlinS, Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoringschemes”Proc Natl Acad Sci USA.87:2264-2268(1990)、KarlinS,Altschul SF.“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences.”Proc Natl Acad Sci USA.90:5873-7(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウェエブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。また、塩基配列の『同一性』も上記に準じて定義される。
本明細書中において、アミノ酸の変異としては、アミノ酸の置換、欠失、挿入、付加等が挙げられる。これらの中でも、置換が好ましく、保存的置換がより好ましい。
本明細書中において、「保存的置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
本明細書中において、「CDR」とは、Complementarity Determining Regionの略であり、相補性決定領域とも称される。CDRとは、TCRの可変部に存在する領域であり、MHCに拘束された抗原への特異的な結合に深く関与する領域である。そして、「α鎖CDR」とはTCRのα鎖の可変部に存在するCDRであり、「β鎖CDR」とはTCRのβ鎖の可変部に存在するCDRのことを意味する。
本明細書中において、「可変部」とは、上述したCDR1~CDR3(以下、単に「CDRs1-3」という)を含む領域のことを意味する。これらのCDRs1-3の配置順序は特に限定はされないが、好ましくは、N末端側からC末端側の方向に、CDR1、CDR2、及びCDR3の順か、若しくはこの逆の順に、連続又は後述するフレームワーク領域(FR)と称される他のアミノ酸配列を介して、配置された領域を意味する。そして「α鎖可変部」とは、上述のα鎖CDRs1-3が配置された領域であり、「β鎖可変部」とは、上述の軽鎖CDRs1-3が配置された領域である。
各可変部の上記CDR1-3以外の領域は、上述するようにフレームワーク領域(FR)と称される。特に可変部のN末端と上記CDR1との間の領域をFR1、CDR1とCDR2との間の領域をFR2、CDR2とCDR3との間の領域をFR3、CDR3と可変部のC末端との間をFR4とそれぞれ定義される。
2.T細胞受容体
本発明は、一態様において、(C)、(D)、(E)、(F)、(A)、又は(B)の特徴を有するT細胞受容体(本明細書において、「本発明のTCR」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
特徴(C)は、配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号28で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(C)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号26で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号27で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(C)において、より好ましくは、配列番号24で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号29で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(C)において、定常部のアミノ酸配列は、定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号25で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号30で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
特徴(D)は、配列番号33で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号38で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(D)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号31で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号32で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号36で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号37で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(D)において、より好ましくは、配列番号34で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号39で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(D)において、定常部のアミノ酸配列は、定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号35で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号40で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
特徴(E)は、配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号48及び/又は53で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(E)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号41で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号46及び/又は51で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号47及び/又は52で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(E)において、より好ましくは、配列番号44で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号49及び/又は54で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(E)において、定常部のアミノ酸配列は、定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号45で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号50及び/又は55で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
特徴(E)において、「及び/又は」が「及び」である場合、特徴(E)を有するT細胞受容体は、「及び」でつながれる配列のα鎖それぞれを有するT細胞受容体の混合物である。すなわち、「配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号48及び53で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む」T細胞受容体とは、配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号48で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含むT細胞受容体と、配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号53で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含むT細胞受容体との混合物である。
特徴(F)は、配列番号58で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号63で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(F)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号56で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号57で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号61で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号62で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(F)において、より好ましくは、配列番号59で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号64で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(F)において、定常部のアミノ酸配列は、定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号60で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号65で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
特徴(A)は、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(A)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(A)において、より好ましくは、配列番号4で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号9で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(A)において、定常部のアミノ酸配列は、定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号5で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号10で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
特徴(B)は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、という特徴である。
特徴(B)において、好ましくは、前記β鎖が配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2、を含み、前記α鎖が配列番号16で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む。
特徴(B)において、より好ましくは、配列番号14で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖可変部を含み、配列番号19で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖可変部を含む。
特徴(B)において、定常部のアミノ酸配列は定常部の機能(例えば、細胞膜を貫通し、可変部を細胞表面上に露出させる機能)を有する限りにおいて特に制限されないが、好ましくは、配列番号15で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むβ鎖定常部を含み、配列番号20で示されるアミノ酸配列又はその変異配列を含むα鎖定常部を含む。
可変部について、上記特定の配列番号で示されるアミノ酸配列の変異配列は、該特定の配列番号で示されるアミノ酸配列に対して、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、よりさらに好ましくは99%以上の同一性を有する。変異部位は、任意であってもよいが、CDR以外の部位であることが好ましい。
定常部について、上記特定の配列番号で示されるアミノ酸配列の変異配列は、該特定の配列番号で示されるアミノ酸配列に対して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、よりさらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する。変異部位は、任意であってもよいが、細胞膜貫通部以外の部位であることが好ましい。
本発明のTCRは、HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*09:01、HLA-DPB1*03:01、又はHLA-DPB1*04:02を認識する(好ましくは、特異的に認識する)ことができる。例えば、本発明のTCRは、HLA-DPB1*02:01発現血液細胞、HLA-DPB1*09:01発現血液細胞、HLA-DPB1*03:01発現血液細胞、又はHLA-DPB1*04:02発現血液細胞に対して反応性を有するが、HLA-DPB1*02:01非発現血液細胞、HLA-DPB1*09:01非発現血液細胞、HLA-DPB1*03:01非発現血液細胞、又はHLA-DPB1*04:02非発現血液細胞に対しては反応性を有しない。本発明のTCRは、一態様において、非血液細胞を認識しない。例えば、本発明のTCRは、HLA-DPB1*02:01発現非血液細胞、HLA-DPB1*09:01発現非血液細胞、HLA-DPB1*03:01発現非血液細胞、又はHLA-DPB1*04:02発現非血液細胞に対して反応性を有しない。上記反応性は、後述の試験例1に従って、細胞障害性及び/又はinterferon-γ分泌量を測定することにより、評価することができる。
本発明のTCRは、TCRとしての機能が著しく損なわれない限りにおいて、膜貫通ドメインとして、TCRα鎖/β鎖の膜貫通ドメイン以外にも、任意の他の膜貫通ドメインを採用することができる。他の膜貫通ドメインとしては、例えば、CD28、CD3ε、CD8α、CD3、CD4、4-1BB等の膜貫通領域を用いることができる。各因子の膜貫通領域は、公知であるか、或いは公知の配列情報から(例えば膜貫通領域の予測プログラム等を利用して)容易に決定することができる。また、人工的に構築したポリペプチドからなる膜貫通ドメインを用いることにしてもよい。これらの膜貫通ドメインは、本発明のTCRのTCRとしての機能を著しく阻害しない限り、適宜変異が導入されていてもよい。
本発明のTCRは、TCRとしての機能が著しく損なわれない限りにおいて、任意の細胞内ドメインを含むことができる。TCRの細胞内ドメインは、例えば、TCRζ鎖とも呼ばれるCD3などに由来する細胞内ドメインであり得る。CD3は、TCRの機能を阻害しない限り、適宜変異が導入されていてもよい。CD3に変異を導入する場合は、ITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)が含まれるよう行うことが好ましい。
本発明のTCRは、TCRとしての機能が著しく損なわれない限りにおいて、共刺激因子細胞内ドメインを含むことができる。共刺激因子の細胞内ドメインは、T細胞などが有する共刺激因子に由来する細胞内ドメインであればよく特に限定はされない。例えば、OX40、4-1BB、GITR、CD27、CD278及びCD28、JAK2/3等からなる群より選択される1種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明のTCRは、各ドメイン間において、或いは定常部に代えて、リンカーを含むことができる。リンカーとしては、好ましくはグリシン或いはグリシンとセリンから構成されるリンカー(GGSリンカー、GSリンカー、GGGリンカー等)である。リンカーの長さは特に限定されない。リンカーのアミノ酸残基数の上限は、例えば200、150、100、70、50、30、20、又は10であり、下限は、例えば1、2、5、10、20、30、又は50である。
本発明のTCRは、HLA-DP抗原を認識することができる限りにおいて、化学修飾されたものであってもよい。本発明のTCRの各鎖は、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)の何れであってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルなどのC1-6アルキル基;例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基;例えば、フェニル、α-ナフチルなどのC6-12アリール基;例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基;α-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発明のTCRの各鎖は、C末端以外のカルボキシル基(またはカルボキシレート)が、アミド化またはエステル化されていてもよい。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明のTCRの各鎖には、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているものも包含される。
本発明のTCRは、HLA-DP抗原を認識することができる限りにおいて、公知のタンパク質タグ、シグナル配列等のタンパク質又はペプチドや、標識物質が付加されたものであってもよい。タンパク質タグとしては、例えばビオチン、Hisタグ、FLAGタグ、Haloタグ、MBPタグ、HAタグ、Mycタグ、V5タグ、PAタグ等が挙げられる。シグナル配列としては、例えば核移行シグナル等が挙げられる。
本発明のTCRは、酸または塩基との薬学的に許容される塩の形態であってもよい。塩は、薬学的に許容される塩である限り特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
本発明のTCRは、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
本発明のTCRの製造方法は特に制限されない。本発明のTCRは、例えば、本発明のTCRをコードするポリヌクレオチド(本明細書において、「本発明のポリヌクレオチド」と示すこともある。)により形質転換させた宿主を培養し、本発明のTCRを含む画分を回収する工程を含む方法によって製造することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のTCRを発現可能な状態で含む限りにおいて特に制限されず、本発明のTCRのコード配列以外に、他の配列を含んでいてもよい。他の配列としては、本発明のTCRコード配列に隣接して配置される分泌シグナルペプチドコード配列、プロモーター配列、エンハンサー配列、リプレッサー配列、インスレーター配列、複製基点、レポータータンパク質(例えば、蛍光タンパク質等)コード配列、薬剤耐性遺伝子コード配列などが挙げられる。これらの中でも、本発明のポリヌクレオチドが導入された細胞を簡便に(FACS解析等により)検出、選別、濃縮等できるという観点から、本発明のポリヌクレオチドは、レポータータンパク質コード配列を含むことが好ましい。また、本発明のポリヌクレオチドは、直鎖状のポリヌクレオチドであってもよいし、環状のポリヌクレオチド(ベクターなど)であってもよい。ベクターとして、好適にはウイルスベクター、さらに好適にはレトロウイルスベクターを使用することができる。また、本発明のポリヌクレオチドは、レトロウイルス等のウイルスに包含された状態であってもよい。
本発明のポリヌクレオチドの具体例としては、(I)本発明のTCRのβ鎖、β鎖可変領域、及びβ鎖CDRs1-3からなる群より選択される少なくとも1種をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、(II)本発明のTCRのα鎖、α鎖可変領域、及びα鎖CDRs1-3からなる群より選択される少なくとも1種をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、(III)本発明のTCRのβ鎖、β鎖可変領域、及びβ鎖CDRs1-3からなる群より選択される少なくとも1種をコードする塩基配列を含む核酸、並びに本発明のTCRのα鎖、α鎖可変領域、及びα鎖CDRs1-3からなる群より選択される少なくとも1種をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、(IV)上記(I)と上記(II)とからなる2種以上の組み合わせなどが挙げられる。
上記(III)の場合において、本発明のポリヌクレオチドでコードされる本発明のTCRがより効率的に発現できるように、β鎖等をコードする領域及びα鎖等をコードする領域が、一本のポリペプチドとして発現し、発現後に切断される様なリンカーをコード領域を介して連結されていることが好ましい。また、同様の理由により、本発明のポリヌクレオチドは、内在性のTCRの発現を抑制する短鎖RNA(例えばsiRNA、miRNA等)をコードする領域を備えることが好ましい。これらの技術は公知であり、既報の情報に従って利用することができる。
宿主は、特に制限されず、例えば昆虫細胞、真核細胞、哺乳類細胞等が挙げられる。
形質転換、培養、及び回収の方法は、特に制限されず、TCR製造における公知の方法を採用することができる。
回収後は、必要に応じて本発明のTCRを精製してもよい。精製は、タンパク質製造における公知の方法、例えばクロマトグラフィー、透析などにより行うことができる。
3.細胞
本発明は、その一態様において、本発明のポリヌクレオチドを含有する、細胞(本明細書において、「本発明の細胞」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
本発明の細胞の由来細胞は、特に制限されない。本発明の細胞を、本発明のTCRの精製において使用する目的であれば、由来細胞としては、タンパク質発現に使用できる細胞(例えば、昆虫細胞、真核細胞、哺乳類細胞等)等が挙げられる。
本発明の細胞の由来細胞は、医薬として使用する目的であれば、例えば末梢血単核細胞、好ましくはリンパ球細胞(例えば、T細胞(例えばCD8陽性細胞、CD4陽性細胞、CD4陽性CD8陰性T細胞、CD4陰性CD8陽性T細胞、iPS細胞から調製されたT細胞、αβ-T細胞、γδ-T細胞等)、NK細胞、NKT細胞等)である。これらの細胞は、好ましくは本発明のTCRを発現する細胞であり、より具体的な態様においては、これらの細胞は、本発明のTCRが細胞膜上に発現しており、また本発明のTCRが可変部を細胞膜外に露出した状態で発現している。
本発明のTCRを発現するT細胞等は可変部で特定のHLA分子を認識した後、その認識シグナルをT細胞等の内部に伝達し、細胞傷害活性を惹起させるシグナルを作動させ、これに連動して該細胞が抗原を発現する他の細胞または組織に対して攻撃または細胞傷害活性を発揮することができる。
本発明の細胞は、本発明のポリヌクレオチドを細胞に導入することにより得ることができる。
本発明のポリヌクレオチドの導入の前にTCR発現用細胞を活性化させておくことが好ましい。例えば、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で刺激し、TCR発現用細胞を活性化させることができる。例えば、抗CD3抗体と抗CD28抗体で培養面をコートした培養容器(例えば培養皿)で培養することによって、抗CD3抗体及び抗CD28抗体による刺激を加えることができる。抗CD3抗体と抗CD28抗体がコートされた磁気ビーズ(例えば、VERITAS社が提供するDynabeads T-Activator CD3/CD28)を利用して当該刺激を行うことも可能である。
細胞の生存率/増殖率を高めるために、活性化処理の際、T細胞増殖因子が添加された培養液を使用することが好ましい。T細胞増殖因子としてはIL-2、IL-15、IL-7等を用いることができる。IL-2、IL-15、IL-7等のT細胞増殖因子は常法に従って調製することができる。また、市販品を利用することもできる。ヒト以外の動物種のT細胞増殖因子の使用を排除するものではないが、通常、T細胞増殖因子はヒト由来のもの(組換え体であってもよい)を用いる。
典型的には、その適用(患者への投与)のため、本発明のポリヌクレオチド導入後の細胞(本発明のポリヌクレオチド導入リンパ球)を増殖させる。例えば、T細胞増殖因子が添加された培養液を用いて本発明のポリヌクレオチド導入リンパ球を培養する(必要に応じて継代培養する)。この培養に加え、TCR発現用細胞の活性化の場合と同様の処理(再活性化)を行うことにしてもよい。
尚、TCR発現用細胞及び本発明のポリヌクレオチド導入リンパ球の培養には、血清(ヒト血清、ウシ胎仔血清など)を添加した培地を用いてもよいが、無血清培地を採用することにより、臨床応用する際の安全性が高く、且つ血清ロット間の差による培養効率の違いが出にくいという利点を有する細胞を調製することが可能になる。血清を用いる場合には、自己血清、即ち、TCR遺伝子導入リンパ球の投与を受ける患者から採取した血清を用いることが好ましい。また、培養の際には、末梢血単核球細胞(例えば、プールした数人の健康人の末梢血単核球細胞)を放射線照射(例えば25-35Gy)で不活化したフィーダー細胞などを使用することができる。
4.医薬
本発明は、その一態様において、本発明の細胞を含有する、医薬(本明細書において、「本発明の医薬」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
本発明の医薬は、細胞製剤として、本発明のTCRをを発現する腫瘍/がん(標的疾患)の治療、予防、又は改善に広く利用することができる。標的疾患は、好ましくは造血器腫瘍である。標的疾患としては、例えば各種B細胞性悪性リンパ腫(B細胞性急性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、血管内B細胞性リンパ腫、CD20陽性ホジキンリンパ腫など)、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(CMML,JMML,CML,MDS/MPN-UC)、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫等が挙げられる。これらの中でも、白血病が好ましく、移植後再発白血病がより好ましい。本発明の好ましい一態様においては、移植後再発白血病の予防が目的である。「治療」とは、標的疾患に特徴的な症状又は随伴症状を緩和すること(軽症化)、症状の悪化を阻止ないし遅延すること等が含まれる。「予防」とは、疾病(障害)又はその症状の発症/発現を防止又は遅延すること、或いは発症/発現の危険性を低下させることをいう。一方、「改善」とは、疾病(障害)又はその症状が緩和(軽症化)、好転、寛解、又は治癒(部分的な治癒を含む)することをいう。
本発明の医薬には、本発明の細胞が治療上有効量含有される。例えば1回の投与用として、1×10 4個~1×10 10個の細胞を含有させることができる。細胞の保護を目的としてジメチルスルフォキシド(DMSO)や血清アルブミン等、細菌の混入を阻止する目的で抗生物質等、細胞の活性化、増殖又は分化誘導などを目的とした各種の成分(ビタミン類、サイトカイン、成長因子、ステロイド等)等の成分を細胞製剤に含有させることができる。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されない。例えば、静脈内注射、動脈内注射、門脈内注射、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、又は腹腔内注射によって投与する。全身投与によらず、局所投与することにしてもよい。局所投与として、目的の組織・臓器・器官への直接注入を例示することができる。投与スケジュールは、対象(患者)の性別、年齢、体重、病態などを考慮して作成すればよい。単回投与の他、連続的又は定期的に複数回投与することにしてもよい。
同種造血幹細胞移植後にドナーT細胞から誘導される細胞傷害性T細胞が腫瘍細胞を特異的に認識し傷害するためには、(1)ドナーにはないが患者のみが発現する遺伝子多型を持つ抗原(同種抗原)が双方で共有するHLA分子上に提示されたものを認識するようなT細胞の誘導、または(2)腫瘍細胞のみが発現する抗原を認識するようなT細胞の誘導、が必要であった。(1)の場合、拘束性HLAの人種間頻度や遺伝子多型がドナー・患者間で存在する頻度により抗原性の有無が決定されるため、対象となる患者のカバー率は最大でも15%を超えず、それ以外のものは概ね5%以下であった。(2)の場合はHLAだけが共有されていれば適応となるが、これまで同定されたWT-1などのがん関連抗原の多くは過剰発現した自己抗原であったため親和性の高いT細胞は胸腺で除去されており、なかなか期待通りの強力な免疫反応が得られなかった。
本発明が対象とするHLA-DP抗原は同種抗原の1つであり、(1)の状況に近い性質を持つが、標的とするのはHLA-DP分子の多型性(すなわちDP型のサブタイプの違い)であり、HLA-DP分子に提示されるペプチドの多型性ではないため、適応のある患者の選択が容易(移植前検査のHLAタイピングのみで十分)であり、理論的には日本人において上位5番目までのHLA-DP特異的TCRが取得されるだけで、55%が適応症例となる。これに対して(1)では上述のようにHLA型の一致以外に、HLA上に提示されるペプチドの多型の有無の検査が必要となり、2重の制約から適応患者数も少なくなる。また、HLA-DP分子はHLAクラスII分子に属し、基本的に造血細胞に限定しているためGVHDの標的となる非造血組織へのダメージがないか限定的となると期待される。またHLA一致同胞間移植ではHLA-DP不適合が少なく対象となりづらかったが、今後PTCY法によって血縁者間HLA不適合移植が増加し、この場合にはHLA-DP不適合が高頻度になり、適応症例が増加すると見込まれる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1.アロHLA-DP型特異的T細胞の誘導、及びT細胞クローンの取得
誘導方法の概要を図1に示す。
標的とするHLA-DP型を有しない健常人ドナーより説明と文書同意の後30mLの採血を行ない、Ficoll比重遠心法にて末梢血単核球に分離した後、Miltenyi社のヒトNaive CD4+ T Cell Isolation Kit IIを用いてCD4+CD45RA+ナイーブT細胞を純化した。人工抗原提示細胞としてCD86と目的とするHLA-DP型(実施例としてβ鎖がHLA-DPB1*09:01、α鎖がHLA-DPA1*02:01)遺伝子をレトロウイルスベクターにて安定導入したK562細胞(以後、K562/B9B4)を用いた。人工抗原提示細胞は100GyのX線照射にて増殖を止めた。培養液としてAdvanced RPMI1640(ThermoFisher)に12.5mM HEPES, Penicillin/Streptomycin/L-glutamine(Sigma-Aldrich)、5%ヒトAB血清(Access Biologicals社)を加えたもの(以下CTLメディウム)を用いた。
Naive T細胞と人工抗原提示細胞は10:1の比率で混ぜ、24-ウェルプレートを用いて培養した。初回刺激時はinterleukin-2は用いず、10日後の2回目の刺激2日後より20-50 U/mLのinterleukin-2を添加した。T細胞が急速に増殖を開始する3週目時点で一部のT細胞を取り分け、それぞれHLA-DP未導入K562細胞、K562/B9A2細胞と(T細胞:標的細胞=0.2x106個:共0.1x106個、96-ウェル平底プレート)共培養し、前者を傷害せず、後者のみ傷害することを確認出来た段階で、HLA-DPB9/A2に特異的なT細胞が出来たと判断した。さらに一部のT細胞(0.5-1.0x106個)および刺激前のNaive T細胞(0.2-0.5x106個)からRNAを抽出し、TCR-β鎖のレパトワ解析を行った(Repertoire Genesis社)。
レパトワ解析の詳細は次の通りである。HLA-DPB1*09:01型を有しない健常人ドナーより得た血単核球をさらにCD4+CD45RA+ナイーブT細胞を純化したものの一部(0.2-0.5x106個)よりQIAGEN社のRNeasy mini kitを用いて全RNAを抽出し凍結保存した。残りのナイーブT細胞は図1の説明のごとく、100Gy照射したK562/B9A2で2回刺激を行い、T細胞が増殖したところで一部のT細胞(0.5-1.0x106個)からも同様にRNAを抽出し、凍結状態でRepertoire Genesis社に送付し、TCR-β鎖のレパトワ解析を行った。結果を図2に示す。図2では多様性の高いTCRβ鎖Variable領域のサブタイプを横軸に、TCRβ鎖のJoining領域のサブタイプを縦軸にして、特定のVariableタイプと特定のJoining領域のサブタイプをもったT細胞の頻度を高さで示している。ナイーブT細胞は様々なVariable-Joining領域の組み合わせを持った多様なT細胞が存在していたのに対し、2回抗原提示細胞で刺激することにより、極めて限定的なオリゴクローナルなT細胞集団へTCRレパートリーが収束したことを示している。
再度同じ人工抗原提示細胞で刺激(T細胞:人工抗原提示細胞比=5:1)し、6-8時間後に上昇する活性化マーカーであるCD154の発現を指標とし、PE標識抗ヒトCD154抗体で一次染色、細胞を洗浄後、抗PE抗体が結合した磁性ビーズ法(Miltenyi社キット)にてポジティブセレクションを行なった。陽性分画について96-ウェル丸底プレートに1ウェル当たり0.3-3個で複数のプレートに蒔き限界希釈法にてクローニングを行なった。フィーダー細胞として33GyのX線照射健常人のプール末梢血単核球(5x104個/ウェル)および66Gy照射EBVトランスフォームB細胞株(1x104個/ウェル)を用い、OKT3抗体(30ng/ml)、interleukin-2(50 U/ml)を含むCTLメディウム(200μl/ウェル)を用いた。培養開始10-14日目に顕微鏡観察下にて増殖を認めたウェルの細胞浮遊液を新しい96-ウェル丸底プレートに集め、ウェル当たり50μlを2枚の新しい96-ウェル丸底プレートに移しレプリカを作成した。その各ウエルにK562とK562/ B9B4浮遊液を150μl/ウェルで添加し、翌日上清へのinterferon-γ分泌量ELISAにて評価した。後者に対してのみinterferon-γを産生したものを特異性クローンと判定し、24-ウェルプレートにて拡大培養(フィーダー細胞:33GyのX線照射健常人のプール末梢血単核球(5x106個/ウェル)および66Gy照射EBVトランスフォームB細胞株 [1x106個/ウェル] を用い、OKT3抗体 [30ng/ml]、interleukin-2 [50 U/ml]を含むCTLメディウム [2ml/ウェ])し、さらに非血液細胞であるHeLa/ B9B4やHLA-DP B9B4遺伝子導入を行った種々の白血病細胞株や血液ドナー由来EBVトランスフォームB細胞株等に対する細胞内interferon-γ産生や細胞傷害性を測定し、HLA-DPB9B4拘束性や細胞種特異性を評価した。
3名のHLA-DPB9/B4陰性ドナーから血液採取を行い、うち2名からT細胞の増殖を認めた。クローニング後に1名のドナーから1回目15個、2回目97個のクローンを得たが、HLA-DPB9/B4特異的クローンはそれぞれ1個、11個であった。もう1名のドナーからは90個のクローンが得られ、HLA-DPB9/B4特異的クローンは13個であった。この中さらに増殖が良好で、非血液細胞であるHeLa/B9A2と反応しない2クローン(#6、#17)をその後の検討に用いた。クローン#6、#17についての細胞傷害性試験と細胞内interferon-γ産生能の測定を行った。細胞傷害性試験は標的細胞(K562, HeLa, U937, MEGO1、各0.2-2.0x106個)をCytoTell Red(AAT Bioquest社)にて室温、30分間で標識し、細胞をリンス後、96-ウェル丸底プレート内でT細胞クローンとさまざまな比率(T細胞:標的=0.3-10:1)混ぜ、interleukin-2 (10 U/ml)存在下、1-2日間共培養した。その後、各ウェルから細胞を1.5 mlエッペンドルフチューブに移し、CytoTell Red陽性細胞の残存比率で細胞傷害性をBD LSRFortessaフローサイトメーターで評価した(図3)。T細胞クローンのinterferon-γ産生については、同様にT細胞と標的をGolgiPlug (monensin) 存在下で共培養後、6-24時間の時点でT細胞をCD3ないしはCD4で染色後、BD Cytofix/Cytoperm Fixation/Permeablization Kit(BD Bioscience社)の Cytofix (4.2% formaldehyde) を用いて細胞を固定後、Cytoperm (saponin)にて細胞膜の透過性を高め、PE標識抗ヒト interferon-γ抗体(BD Bioscience社)にて細胞内interferon-γを染色し可視化した。interferon-γ陽性細胞はBD LSRFortessaフローサイトメーターで解析した(図4)。
解析の結果、HLA-DPB1*09:01特異的クローンとしてクローン#6および#17を得て、HLA-DPB1*04:02特異的クローンとしてクローン#B11を得た。
試験例2.TCR遺伝子配列解析1
クローン#17及びクローン#B11それぞれより、RNA抽出キット(RNeasy Mini Kit, Qiagen 社)を用いてTotal RNAを抽出した。Oligo d(T)15および逆転写酵素(SuperScript III Reverse Transcriptase、ThermoFisher社)を用いてcDNAを合成した。既報(Biochemical and Biophysical Research Communications 474 (2016) 709e714)の方法でTCRのα鎖およびβ鎖のクローニングと配列決定を行った。PCRがかからない場合、もしくは判定不能な場合はRepertoire Genesis社にてTCRに特化した次世代シーケンサーにてT細胞クローンのTCR配列決定を行った。結果を以下に示す。さらにIMGTウェブサイトで解析した各クローンのTCRαおよびβ鎖のCDR1, CDR2, CDR3, 可変部および定常部のアミノ酸配列を示す。
クローン#17:配列番号は、β鎖CDR1が配列番号1、β鎖CDR2が配列番号2、β鎖CDR3が配列番号3、β鎖可変部が配列番号4、β鎖定常部が配列番号5、α鎖CDR1が配列番号6、α鎖CDR2が配列番号7、α鎖CDR3が配列番号8、α鎖可変部が配列番号9、α鎖定常部が配列番号10である。
クローン#B11:配列番号は、β鎖CDR1が配列番号11、β鎖CDR2が配列番号12、β鎖CDR3が配列番号13、β鎖可変部が配列番号14、β鎖定常部が配列番号15、α鎖CDR1が配列番号16、α鎖CDR2が配列番号17、α鎖CDR3が配列番号18、α鎖可変部が配列番号19、α鎖定常部が配列番号20である。
Figure 2022153316000001
試験例3.HLA-DP不適合同種移植患者の移植後末梢血からのアロHLA-DP型特異的T細胞の誘導、及びT細胞クローンの取得
誘導方法の概要を図5に示す。
HLA-DP型不適合移植を受けた患者より説明と文書同意の移植前および移植後30日、100日、1年の時点においてそれぞれ20mLの採血を行ない、Ficoll比重遠心法にて末梢血単核球に分離した後一旦凍結保存した。一部の末梢血単核球にEBウイルス(B95-8株)を感染させ、患者およびドナーB細胞由来細胞株(B-LCL)を作成した。ドナーのB-LCLには患者と不適合となっているHLA-DP型のα鎖およびβ鎖 cDNAを遺伝子導入し刺激細胞とした。
不適合HLA-DP特異的T細胞の誘導には、移植後のドナー造血細胞に由来する末梢血T細胞をMiltenyi社のヒト CD4+ T Cell Isolation Kitを用いて全CD4+ T細胞を純化した。不適合抗原提示細胞として(1)移植前患者末梢血単核球、(2)ドナー由来B-LCLに不適合HLA-DP遺伝子をレトロウイルスベクターにて安定導入したもの(実施例としてβ鎖がHLA-DPB1*09:01かつα鎖がHLA-DPA1*02:01、β鎖がHLA-DPB1*03:01かつα鎖がHLA-DPA1*02:02、β鎖がHLA-DPB1*02:01かつα鎖がHLA-DPA1*01:03、以後それぞれドナーLCL/B9A2、ドナー LCL/B3A2、ドナー LCL/B3A1)、(3) CD86遺伝子および上記のHLA-DP遺伝子を導入したK562細胞(以後それぞれ、K562/B9A2、K562/B3A2、 K562/B2A1)を用いた。末梢血単核球は33Gy、ドナーB-LCLは66G、K562は100GyのX線照射にて増殖を止めた。培養液としてX-VIVO15(Lonza社)に5%ヒトAB血清(Access Biologicals社)を加えたものを用いた。
移植後CD4+T細胞と患者末梢血またはドナーLCLに不適合HLA-DP遺伝子を導入したものを1:1の比率で、移植後CD4+T細胞とK562に不適合HLA-DP遺伝子を導入したものは5:1の比率で混ぜ、48-ないしは24-ウェルプレートを用いて培養した。刺激時はinterleukin-12およびinterleukin-7をそれぞれ10 ng/mlの濃度で添加し、7日後より30 U/mLのinterleukin-2とinterleukin-7 (10 ng/ml)を添加した。T細胞が急速に増殖を開始する10-14日目時点で一部のT細胞を取り分け、それぞれHLA-DP未導入K562細胞、HLA-DP遺伝子導入K562細胞、患者B-LCL、ドナーB-LCL、HLA-DP導入ドナーB-LCL等を1:1の比率(それぞれ0.2-0.5x106個/ウェル/96ウェルプレート)で共培養し、ドナーB-LCLおよびHLA-DP未導入K562細胞には反応せず、患者B-LCLや不適合HLA-DP導入細胞株のみinterferon-γを産生することを細胞内サイトカイン染色フローサイトメトリー法で確認出来た段階で、不適合HLA-DPに特異的なT細胞が出来たと判断した。
得られたT細胞株は再度同じ不適合HLA-DP導入ドナーB-LCLまたはK562で刺激(T細胞:抗原提示細胞比=2-5:1)し、12-16時間後にinterferon-γを産生する細胞のみを生きたままの状態で染色するIFN-γ Secretion Assay - Cell Enrichment and Detection Kit(Miltenyi社)にてポジティブセレクションを行なった。陽性分画について96-ウェル丸底プレートに1ウェル当たり0.5個で複数のプレートに蒔き限界希釈法にてクローニングを行なった。フィーダー細胞として33GyのX線照射健常人のプール末梢血単核球(5x104個/ウェル)および66Gy照射サードパーティーB-LCL(1x104個/ウェル)を用い、OKT3抗体(30ng/ml)、interleukin-2(50 U/ml)を含むAdvanced RPMI1640(ThermoFisher社)に5%ヒトAB血清(Access Biologicals社)を加えたもの(以下CTLメディウム、200μl/ウェル)を用いた。培養開始10-14日目に顕微鏡観察下にて増殖を認めたウェルの細胞浮遊液を新しい96-ウェル丸底プレートに集め、ウェル当たり50μlを2枚の新しい96-ウェル丸底プレートに移しレプリカを作成した。その各ウエルにK562と不適合HLA-DP導入K562またはドナーB-LCLと不適合HLA-DP導入ドナーB-LCL浮遊液を150μl/ウェルで添加し、翌日上清へのinterferon-γ分泌量ELISAにて評価した。後者に対してのみinterferon-γを産生したものを特異性クローンと判定し、24-ウェルプレートにて拡大培養(フィーダー細胞:33GyのX線照射健常人のプール末梢血単核球(5x106個/ウェル)および66Gy照射B-LCL[1x106個/ウェル] を用い、OKT3抗体 (30ng/ml)、interleukin-2 (50 U/ml)を含むCTLメディウム (2ml/ウェル])で10-14日間培養した。増殖したクローン化T細胞を用い、さらに不適合HLA-DPを導入した非血液細胞であるHeLaや種々の白血病細胞株、保存してあった患者の初発時白血病細胞に対するinterferon-γ産生を測定し、不適合HLA-DP拘束性や機能を評価した。
2名の同種造血細胞移植後患者(HLA-DPB1*02:01不適合1名 [Allo-004]、HLA-DPB1*03:01・HLA-DPB1*09:01同時不適合1名 [Allo-009])から2回のクローニングを通じて、それぞれ94個、182個のクローンを得たが、HLA-DPB1*02:01導入ドナーB-LCL反応性クローンは30個、HLA-DPB1*03:01および-DPB1*09:01導入ドナーB-LCL反応性クローンは合計42個であった。
10名の白血病患者から得た初発時白血病細胞のHLA-DP型をHLA研究所(京都市)にて判定し、HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*03:01、HLA-DPB1*09:01のいずれか1つ以上を有する9例と、一つも有しない1例(陰性コントロール)由来の白血病細胞と得られたクローンT細胞を1:1の比率(それぞれ0.2x106個/ウェル/96ウェルプレート)で16時間共培養し、活性化してinterferon-γを産生するクローンを検討した。代表的なクローンとして、HLA-DPB1*02:01拘束性クローン1個(Allo-4-2)、HLA-DPB1*03:01拘束性クローン(Allo-9 2A1)、HLA-DPB1*09:01拘束性クローン2個(Allo-9-14, Allo-9 2A9)の結果を図6~9に示す。
さらに白血病細胞株に対する細胞傷害・増殖抑制試験を以下のように行った。CytoTell UltraGreen (AAT Bioquest 社)で標識した2A9クローン 0.1x106 個とCytoTell Red650で標識した白血病細胞株(NALM6、U937)に標的HLA-DPを遺伝子導入していないものおよび行ったもの0.1x106 個を1 mlの培養液(30 U/ml interleukin-2存在下)で5 ml試験管内で12時間共培養した。培養培養液に直接Precision Count Beads(BioLegend社)を50,000個(=50μl)加えてからリン酸バッファー(PBS)で2回洗浄し、最後に400μlの1% formaldehyde PBSで固定し、フローサイトメトリーで白血病細胞数の減少率を測定した。陽性コントロールとして2A9クローンを加えない培養後での白血病細胞数を用いた。減少率を細胞傷害率として算定した。2細胞株ともHLA-DPB09:01-A02:01導入時に細胞傷害性を示した(図10)。
試験例4.TCR遺伝子配列解析2
Allo-4-2クローン、Allo-9-14クローン、Allo-9 2A1クローン、及びAllo-9 2A9クローンそれぞれより、RNA抽出キット(RNeasy Mini Kit)を用いてTotal RNAを抽出した。Oligo d(T)15および逆転写酵素(SuperScript III Reverse Transcriptase)を用いてcDNAを合成した。既報(Biochemical and Biophysical Research Communications 474 (2016) 709e714)の方法でTCRのα鎖およびβ鎖のクローニングと配列決定を行った。結果を以下に示す(表2)。さらにIMGTウェブサイトで解析した各クローンのTCRαおよびβ鎖のCDR1, CDR2, CDR3, 可変部および定常部のアミノ酸配列を示す。
Allo-4-2クローン:配列番号は、β鎖CDR1が配列番号21、β鎖CDR2が配列番号22、β鎖CDR3が配列番号23、β鎖可変部が配列番号24、β鎖定常部が配列番号25、α鎖CDR1が配列番号26、α鎖CDR2が配列番号27、α鎖CDR3が配列番号28、α鎖可変部が配列番号29、α鎖定常部が配列番号30である。
Allo-9-14クローン:配列番号は、β鎖CDR1が配列番号31、β鎖CDR2が配列番号32、β鎖CDR3が配列番号33、β鎖可変部が配列番号34、β鎖定常部が配列番号35、α鎖CDR1が配列番号36、α鎖CDR2が配列番号37、α鎖CDR3が配列番号38、α鎖可変部が配列番号39、α鎖定常部が配列番号40である。
Allo-9 2A1クローン(TCRα鎖が2本発現していたので、α鎖については2つの配列を記載):配列番号は、β鎖CDR1が配列番号41、β鎖CDR2が配列番号42、β鎖CDR3が配列番号43、β鎖可変部が配列番号44、β鎖定常部が配列番号45、α鎖CDR1が配列番号46及び51、α鎖CDR2が配列番号47及び52、α鎖CDR3が配列番号48及び53、α鎖可変部が配列番号49及び54、α鎖定常部が配列番号50及び55である。
Allo-9 2A9クローン:配列番号は、β鎖CDR1が配列番号56、β鎖CDR2が配列番号57、β鎖CDR3が配列番号58、β鎖可変部が配列番号59、β鎖定常部が配列番号60、α鎖CDR1が配列番号61、α鎖CDR2が配列番号62、α鎖CDR3が配列番号63、α鎖可変部が配列番号64、α鎖定常部が配列番号65である。
Figure 2022153316000002
クローン#17:配列番号
β鎖CDR1が配列番号1、
KGHSH

β鎖CDR2が配列番号2、
LQKENI

β鎖CDR3が配列番号3、
ASSQRQGSSYEQY

β鎖可変部が配列番号4、
NAGVMQNPRHLVRRRGQEARLRCSPMKGHSHVYWYRQLPEEGLKFMVYLQKENIIDESGMPKERFSAEFP.KEGPSILRIQQVVRGDSAAYFCAS

β鎖定常部が配列番号5、
EDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG

α鎖CDR1が配列番号6、
DSASNY

α鎖CDR2が配列番号7、
IRSNVGE

α鎖CDR3が配列番号8、
A APTPGGSYIPTFGRG

α鎖可変部が配列番号9、
GENVEQHPSTLSVQEGDSAVIKCTYSDSASNYFPWYKQELGKGPQLIIDIRSNVGEKKDQRIAVTLNKTAKHFSLHITETQPEDSAVYFCA

α鎖定常部が配列番号10
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

クローンB11:配列番号
β鎖CDR1が配列番号11、
GTSNPN

β鎖CDR2が配列番号12、
SVGIG

β鎖CDR3が配列番号13、
AWSVIGGRSNEQF

β鎖可変部が配列番号14、
SQTIHQWPATLVQPVGSPLSLECTVEGTSNPNLYWYRQAAGRGLQLLFYSVGIGQISSEVP.QNLSASRP.QDRQFILSSKKLLLSDSGFYLCAWS

β鎖定常部が配列番号15、
EDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG

α鎖CDR1が配列番号16、
ATGYPS

α鎖CDR2が配列番号17、
ATKADDK

α鎖CDR3が配列番号18、
ALKGTGGGNKLT

α鎖可変部が配列番号19、
GNSVTQMEGPVTLSEEAFLTINCTYTATGYPSLFWYVQYPGEGLQLLLKATKADDKGSNKGFEATYRKETTSFHLEKGSVQVSDSAVYFC AL

α鎖定常部が配列番号20
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

クローンAllo-4-2:配列番号
β鎖CDR1が配列番号21
SNHLY

β鎖CDR2が配列番号22
FYNNEI

β鎖CDR3が配列番号23
ASSVWEEQY

β鎖可変部が配列番号24
EPEVTQTPSHQVTQMGQEVILRCVPISNHLYFYWYRQILGQKVEFLVSFYNNEISEKSEIFDDQFSVERPDGSNFTLKIRSTKLEDSAMYFCASS

β鎖定常部が配列番号25
DLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG

α鎖CDR1が配列番号26
DSASNY

α鎖CDR2が配列番号27
IRSNVGE

α鎖CDR3が配列番号28
AAIRSNDYKLS

α鎖可変部が配列番号29
GENVEQHPSTLSVQEGDSAVIKCTYSDSASNYFPWYKQELGKGPQLIIDIRSNVGEKKDQRIAVTLNKTAKHFSLHITETQPEDSAVYFCA

α鎖定常部が配列番号30
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

クローンAllo-9-14配列情報
β鎖CDR1が配列番号31
LGHDT

β鎖CDR2が配列番号32
YNNKEL

β鎖CDR3が配列番号33
ASSPGGIYYEQY

β鎖可変部が配列番号34
DTAVSQTPKYLVTQMGNDKSIKCEQNLGHDTMYWYKQDSKKFLKIMFSYNNKELIINETVPNRFSPKSPDKAHLNLHINSLELGDSAVYFCASS

β鎖定常部が配列番号35
EDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG

α鎖CDR1が配列番号36
SSVPPY

α鎖CDR2が配列番号37
YTSAATLV

α鎖CDR3が配列番号38
AVKKAAGNKLT

α鎖可変部が配列番号39
AQSVTQLGSHVSVSEGALVLLRCNYSSSVPPYLFWYVQYPNQGLQLLLKYTSAATLVKGINGFEAEFKKSETSFHLTKPSAHMSDAAEYFCAV

α鎖定常部が配列番号40
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

クローンAllo-9 2A1配列情報
β鎖CDR1が配列番号41
MNHEY

β鎖CDR2が配列番号42
SMNVEV

β鎖CDR3が配列番号43
ASSSLGAGAYEQY

β鎖可変部が配列番号44
EAQVTQNPRYLITVTGKKLTVTCSQNMNHEYMSWYRQDPGLGLRQIYYSMNVEVTDKGDVPEGYKVSRKEKRNFPLILESPSPNQTSLYFCASS

β鎖定常部が配列番号45
EDLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG

α鎖CDR1(1)が配列番号46
SSVPPY

α鎖CDR2(1)が配列番号47
YTTGATLV

α鎖CDR3(1)が配列番号48
AVSVYNNNDMR

α鎖可変部(1)が配列番号49
AQSVTQLGSHVSVSEGALVLLRCNYSSSVPPYLFWYVQYPNQGLQLLLKYTTGATLVKGINGFEAEFKKSETSFHLTKPSAHMSDAAEYFCAVS

α鎖定常部(1)が配列番号50
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

α鎖CDR1(2)が配列番号51
TISGNEY

α鎖CDR2(2)が配列番号52
GLKNN

α鎖CDR3(2)が配列番号53
IVRGTRAGEHL

α鎖可変部(2)が配列番号54
DAKTTQPTSMDCAEGRAANLPCNHSTISGNEYVYWYRQIHSQGPQYIIHGLKNNETNEMASLIITEDRKSSTLILPHATLRDTAVYYCIVR

α鎖定常部(2)が配列番号55
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

クローンAllo-9 2A9配列情報
β鎖CDR1が配列番号56
LNHDA

β鎖CDR2が配列番号57
SQIVND

β鎖CDR3が配列番号58
ASWGAGAGNQPQH

β鎖可変部が配列番号59
DGGITQSPKYLFRKEGQNVTLSCEQNLNHDAMYWYRQDPGQGLRLIYYSQIVNDFQKGDIAEGYSVSREKKESFPLTVTSAQKNPTAFYLCAS

β鎖定常部が配列番号60
EDLNKVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSVSYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDF

α鎖CDR1 が配列番号61
DRGSQS

α鎖CDR2が配列番号62
IYSNGD

α鎖CDR3が配列番号63
AVNVQAAGNKLT

α鎖可変部が配列番号64
QKEVEQNSGPLSVPEGAIASLNCTYSDRGSQSFFWYRQYSGKSPELIMFIYSNGDKEDGRFTAQLNKASQYVSLLIRDSQPSDSATYLCAVN

α鎖定常部が配列番号65
NIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS

Claims (11)

  1. 下記(C)、(D)、(E)、(F)、(A)、又は(B)の特徴を有するT細胞受容体:
    (C)配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号28で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
    (D)配列番号33で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号38で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
    (E)配列番号43で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号48及び/又は53で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
    (F)配列番号58で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号63で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
    (A)配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、又は
    (B)配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR3を含むβ鎖、並びに配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR3を含むα鎖を含む、
    T細胞受容体。
  2. 前記特徴(C)において、前記β鎖が配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号26で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号27で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
    前記特徴(D)において、前記β鎖が配列番号31で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号32で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号36で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号37で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
    前記特徴(E)において、前記β鎖が配列番号41で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号46及び/又は51で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号47及び/又は52で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
    前記特徴(F)において、前記β鎖が配列番号56で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号57で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号61で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号62で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
    前記特徴(A)において、前記β鎖が配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2を含み、前記α鎖が配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、又は
    前記特徴(B)において、前記β鎖が配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR1、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むβ鎖CDR2、を含み、前記α鎖が配列番号16で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR1、及び配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むα鎖CDR2を含む、
    請求項1に記載のT細胞受容体。
  3. HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*09:01、HLA-DPB1*03:01、又はHLA-DPB1*04:02を認識する、請求項1又は2に記載のT細胞受容体。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のT細胞受容体をコードする、1種又は2種以上のポリヌクレオチド。
  5. 請求項4に記載のポリヌクレオチドを含有する、細胞。
  6. 請求項1~3のいずれかに記載のT細胞受容体が細胞膜上に発現している、請求項5に記載の細胞。
  7. リンパ球である、請求項5又は6に記載の細胞。
  8. T細胞である、請求項5~7のいずれかに記載の細胞。
  9. 請求項5~8のいずれかに記載の細胞を含有する、医薬。
  10. がんの予防又は治療用である、請求項9に記載の医薬。
  11. 前記がんが造血器腫瘍である、請求項10に記載の医薬。
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