JP2022150595A - 熱電変換モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電変換モジュールの製造方法 Download PDF

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康成 櫻井
Yasunari Sakurai
健志 浅見
Kenji Asami
亮太 丹羽
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Abstract

【課題】高出力化を実現可能な熱電変換モジュールの製造方法を提供する。【解決手段】熱電変換モジュールの製造方法は、互いに離間する第1電極及び第2電極が配置される第1主面を有する基板を準備する第1工程と、開口部を有するダム材を第1主面上に配置する第2工程と、開口部に、熱電変換材料が分散する分散液を供給する第3工程と、ダム材を除去する第4工程と、基板の厚さ方向において第1主面の反対側に位置する第2主面側から基板を加熱し、第1電極及び第2電極に接する熱電変換層を形成する第5工程と、を順に備える。【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換モジュールの製造方法に関する。
地熱又は工場の排熱等を利用した発電を実施するために、熱電変換素子が用いられることがある。下記特許文献1には、樹脂層と金属層とからなるパターン層を有したフレキシブル基板が、p型熱電素子材とn型熱電素子材とを有する熱電変換モジュールの両面に設けられる態様が開示されている。下記特許文献1では、一方のフレキシブル基板に含まれる金属層は、熱電変換モジュールに含まれる一方の電極に重なっており、他方のフレキシブル基板に含まれる金属層は、熱電変換モジュールに含まれる他方の電極に重なっている。上記態様では、一方のフレキシブル基板を高温状態とし、他方のフレキシブル基板を低温状態とすることによって、熱電変換モジュールの面方向に温度差が生じる。これにより、熱電変換モジュールに起電力が生じる。
特許第4895293号公報
上述したような熱電変換素子においては、高出力化が求められる。このため、本発明の一側面の目的は、高出力化を実現可能な熱電変換モジュールの製造方法を提供することである。
本発明の一側面に係る熱電変換モジュールの製造方法は、以下の通りである。
[1]互いに離間する第1電極及び第2電極が配置される第1主面を有する基板を準備する第1工程と、開口部を有するダム材を第1主面上に配置する第2工程と、開口部に、熱電変換材料が分散する分散液を供給する第3工程と、ダム材を除去する第4工程と、基板の厚さ方向において第1主面の反対側に位置する第2主面側から基板を加熱し、第1電極及び第2電極に接する熱電変換層を形成する第5工程と、を順に備える、熱電変換モジュールの製造方法。
[2]ダム材の高さは、平面視における熱電変換層の短辺の長さの0.5倍以上2倍以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]熱電変換材料は、カーボンナノチューブと、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子とを含み、カーボンナノチューブの含有量は、導電性高分子及びカーボンナノチューブの合計量を基準として、25質量%以上95質量%以下である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]分散液におけるカーボンナノチューブと導電性高分子の合計の質量濃度は、0.05質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]せん断速度0.01s-1における分散液の粘度は、10mPa・sec以上10mPa・sec以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]第5工程では、25℃以上90℃以下にて基板が加熱される、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]第5工程では、大気雰囲気下で基板が加熱される、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]熱電変換層とは異なる極性を有する別の熱電変換層を形成する第6工程をさらに備え、第1電極は、熱電変換層に接する第1部分と、別の熱電変換層に接する第2部分とを有し、第2工程及び第3工程において、第2部分はダム材に重なる、[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]第1工程では、第2部分がマスクに覆われており、第5工程では、基板の加熱後にマスクが除去される、[8]に記載の製造方法。
本発明の一側面によれば、高出力化を実現可能な熱電変換モジュールの製造方法を提供できる。
図1(a)は、本実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A線に沿った端面図である。 図2(a)は、熱電変換モジュールの製造方法を説明するための概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB-B線に沿った端面図である。 図3(a),(b)は、熱電変換モジュールの製造方法を説明するための概略端面図である。 図4(a),(b)は、熱電変換モジュールの製造方法を説明するための概略端面図である。 図5(a),(b)は、熱電変換モジュールの製造方法を説明するための概略端面図である。 図6(a),(b)は、熱電変換モジュールの製造方法を説明するための概略端面図である。 図7は、実施例1のモジュール用基板を示す概略平面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面に係る実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書における「同一」及びそれに類似する単語は、「完全同一」のみに限定されない。
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る熱電変換モジュールの構成を説明する。図1(a)は、本実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略平面図である。図1(b)は、図1(a)のA-A線に沿った端面図である。図1(a)に示される熱電変換モジュール1は、外部から熱が供給されることによって発電可能な装置である。熱電変換モジュール1は、基板2と、複数の第1電極3と、複数の第2電極4と、カバーレイ5と、複数のp型熱電変換層6(熱電変換層)と、複数のn型熱電変換層7(別の熱電変換層)とを有する。熱電変換モジュール1には、第1端子8と、第2端子9とが接続される。
熱電変換モジュール1には、複数の熱電変換素子100が設けられる。各熱電変換素子100は、例えば、その内部の温度差を利用して熱を電気に変換する素子である。各熱電変換素子100は、p型熱電変換層6と、当該p型熱電変換層6に接触する第1電極3及び第2電極4と、当該第2電極4に接触すると共に上記p型熱電変換層6の隣に位置するn型熱電変換層7と、当該n型熱電変換層7に接触する別の第1電極3とを含む。熱電変換素子100は、いわゆるインプレーン型(in-plane型)の素子である。このため、熱電変換素子100は、例えばπ型の素子(クロスプレーン型の素子)よりも加工性及びフレキシブル性に優れる傾向がある。よって、熱電変換モジュール1は、例えば工場排熱の回収に用いる円筒パイプ等の側面に沿って設けることができる。すなわち、熱電変換モジュール1は、様々な箇所へ容易に配置可能である。よって、熱電変換モジュール1は、例えば排熱を利用したプラント用センサの電源として用いられる。なお、以下では、熱電変換モジュール1の各構成要件の温度は、空気の自然対流条件下にて測定されたものとする。
基板2は、例えば、略平板形状を呈する樹脂製のシート部材であり、耐熱性及び可撓性を示す。基板2の厚さは、例えば1μm以上1000μm以下である。本実施形態では、基板2は、主面2a(第1主面)と、主面2aの反対側に位置する主面2b(第2主面)とを有する。本実施形態では、主面2a,2bの形状は、長方形状であるがこれに限られない。主面2a,2bの形状は、多角形状、円形状、楕円形状等でもよい。以下の説明では、主面2aの短辺方向を第1方向Xとし、主面2aの長辺方向を第2方向Yとし、基板2の厚さ方向を第3方向Zとする。また、第3方向Zから見ることは、平面視に相当する。
基板2を構成する樹脂は、例えば(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、オルガノシロキサン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂等である。基板2の熱伝導率は、例えば0.1W/mK(0.1ワット毎メートル毎ケルビン、及び0.1W×m-1×K-1に相当する)以上1W/mK以下である。基板2の熱伝導率が1W/mK以下であることによって、熱電変換モジュール1の内部(特に、p型熱電変換層6とのn型熱電変換層7)に温度差が生じ得る。基板2の熱伝導率は、例えば以下の方法により測定される。まず、基板2から10mm×10mmに切り出した欠片を試験片とする。そして、当該試験片の熱拡散率、比熱及び密度を測定し、以下の式「(熱伝導率)=(熱拡散率)×(比熱)×(密度)」より熱伝導率を算出する。なお、試験片の熱拡散率は、例えばレーザーフラッシュ法により測定する。試験片の比熱は、例えば示差走査熱量測定法により測定する。試験片の密度は、例えばアルキメデス法により測定する。全ての測定は、室温条件下(25℃)にて実施する。
複数の第1電極3は、熱電変換素子100の端子を構成する部材であり、基板2の主面2a上に設けられる導電体である。複数の第1電極3は、第1方向Xにおける主面2aの一端側に位置し、且つ、第2方向Yに沿って配列される。互いに隣り合う2つの第1電極3の間に位置する隙間S1は、第1方向Xにおいて第2電極4に重なる。平面視における第1電極3の形状は特に限定されないが、例えば多角形状、円形状、楕円形状等である。第1電極3は、例えば金属製、合金製、導電性樹脂製の導電体等である。第1電極3が金属製もしくは合金製である場合、第1電極3は、例えば種々の乾式法によって基板2上に形成される。乾式法は、例えば、物理気相蒸着法(PVD法)、金属箔もしくは合金箔のパターニング等である。金属粒子が分散したナノペースト等を用いて第1電極3が形成されてもよい。本実施形態では、銅張積層板をエッチングし、当該積層板にニッケルメッキ及び金メッキを実施することによって、第1電極3が形成される。第1電極3の厚さは、例えば1μm以上100μm以下である。第1電極3の熱伝導率は、例えば5W/mK以上である。この場合、第1電極3が外部から加熱もしくは冷却されやすい傾向がある。第1電極3の熱伝導率は、例えば30W/mK以上でもよい。
複数の第2電極4は、第1電極3と同様に、熱電変換素子100に含まれる端子を構成する部材であり、基板2の主面2a上に設けられる導電体である。複数の第2電極4は、第1方向Xにおける主面2aの他端側に位置し、且つ、第2方向Yに沿って配列される。互いに隣り合う2つの第2電極4の間に位置する隙間S2は、第1方向Xにおいて第1電極3に重なる。第1電極3と第2電極4との間に温度差を生じさせる観点から、第2電極4は、第1電極3と離間している。本実施形態では、第2電極4は、第1電極3と同時に形成される。このため、第2電極4は、第1電極3と同一材料から構成される。平面視における第2電極4の形状は特に限定されないが、例えば多角形状、円形状、楕円形状等である。また、第2電極4の熱伝導率は、第1電極3と同様に、例えば5W/mK以上である。第2電極4の熱伝導率は、例えば30W/mK以上でもよい。
カバーレイ5は、例えば第1電極3及び第2電極4を保護する部材であり、基板2の主面2a上に設けられる。カバーレイ5は、例えば樹脂製のフィルム、もしくはレジスト加工部材である。前者の場合、例えば予め加工されるフィルムを基板2の主面2a、第1電極3及び第2電極4に貼り付けることによって、カバーレイ5が形成される。後者の場合、例えばフォトリソグラフィーなどによってカバーレイ5が形成される。カバーレイ5を構成する樹脂は、例えばポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等である。カバーレイ5の厚さは、例えば10μm以上、20μm以上、もしくは25μm以上であって、100μm以下、80μm以下、もしくは60μm以下である。カバーレイ5の熱伝導率は、例えば0.1W/mK以上1W/mK以下である。カバーレイ5は、複数の第1開口11と、複数の第2開口12と、複数の第3開口13とを有する。
複数の第1開口11のそれぞれは、複数の第1電極3のいずれかに重なる。このため、各第1電極3の一部は、第1開口11によって露出する。第1開口11の形状は、平面視にて円形状であるが、これに限られない。複数の第1開口11は、第2方向Yの最も一端側に位置する開口11aと、当該開口11aとは異なる複数の開口11bとを有する。開口11aは、第1方向Xにおける主面2aの中央部に位置しており、第1端子8を収容する。各開口11bは、導通確認用に対応する第1電極3の一部を露出する部分であり、第1方向Xにおける主面2aの一端側に位置している。平面視にて、各開口11bは、対応する隙間S2に第1方向Xにおいて重なるが、これに限られない。
複数の第2開口12のそれぞれは、複数の第2電極4のいずれかに重なる。このため、各第2電極4の一部は、第2開口12によって露出する。第2開口12の形状は、平面視にて円形状であるが、これに限られない。第2開口12は、第2方向Yの最も他端側に位置する開口12aと、当該開口12aとは異なる複数の開口12bとを有する。開口12aは、第1方向Xにおける主面2aの中央部に位置しており、第2端子9を収容する。各開口12bは、導通確認用に対応する第2電極4の一部を露出する部分であり、第1方向Xにおける主面2aの他端側に位置している。平面視にて、各開口12bは、対応する隙間S1に第1方向Xにおいて重なるが、これに限られない。
複数の第3開口13のそれぞれは、複数の第1電極3のいずれかと、複数の第2電極4のいずれかと、に重なる。このため、各第1電極3の別の一部と、各第2電極4の別の一部とは、第3開口13によって露出する。加えて、主面2aのうち、上記別の一部同士の間に位置する部分もまた、第3開口13によって露出する。第3開口13の形状は、平面視にて長方形状であるが、これに限られない。本実施形態では、第1方向Xに沿った第3開口13の長辺の長さL1は、第2方向Yに沿った第3開口13の短辺の長さL2の30%以上300%以下である。加えて、各第3開口13内において、第1方向Xに沿った第1電極3と第2電極4との隙間S3の長さL3は、長さL1の20%以上90%以下である。p型熱電変換層6内及びn型熱電変換層7内のそれぞれにおける第1方向Xに沿った温度勾配の観点から、長さL3は、長さL1の25%以上でもよい。
複数の第3開口13は、第1方向Xにおける主面2aの中央部に位置し、第2方向Yに沿って配列される。複数の第3開口13は、第2方向Yにおいて開口11a,12aの間に位置するが、これに限られない。複数の第3開口13は、p型熱電変換層6を収容する開口13aと、n型熱電変換層7を収容する開口13bとを有する。開口13aと開口13bとは、第2方向Yに沿って交互に配列される。このため、主面2a上において、p型熱電変換層6とn型熱電変換層7とは、第2方向Yに沿って交互に配列される。
複数のp型熱電変換層6のそれぞれは、例えばp型の半導体層であり、開口13aのいずれかに収容される。各p型熱電変換層6の形状は、第3開口13の形状に沿っている。このため平面視にて、p型熱電変換層6の長辺の長さは長さL1に相当し、p型熱電変換層6の短辺の長さは長さL2に相当する。各p型熱電変換層6は、複数の第1電極3のいずれかと、複数の第2電極4のいずれかと、に接触する。p型熱電変換層6は、例えば種々の乾式法もしくは湿式法によって形成される。湿式法は、例えばドクターブレード法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、インクジェット法等である。p型熱電変換層6の厚さは、例えば1μm以上500μm以下である。p型熱電変換層6の熱伝導率は、例えば0.01W/mK以上200W/mK以下である。この場合、p型熱電変換層6の内部にて温度勾配が容易に形成され得る。なお、p型熱電変換層6の厚さは、第3方向Zにおいて第1電極3及び第2電極4と重なっていない部分の厚さに相当する。また、p型熱電変換層6のうち隙間S3に重なる部分が、熱電変換素子100におけるp型熱電変換層6としての機能を主に発揮する部分である。p型熱電変換層6の熱伝導率は、例えば、基板2と同様に算出される。p型熱電変換層6の熱拡散率は、例えば、熱拡散率測定装置(株式会社ベテル製「サーモウェーブアナライザTA」等)を用いることにより、面内方向の熱拡散率を測定する。
p型熱電変換層6に含まれる熱電変換材料は、例えばカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブとは異なる導電性高分子とを含む。カーボンナノチューブは、単層、二層及び多層のいずれでもよい。熱電変換材料の電気伝導率の観点から、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が用いられてもよい。単層カーボンナノチューブの評価方法として、例えば、レーザーラマン分光におけるG/D比が知られている。波長532nmのレーザーラマン分光における単層カーボンナノチューブのG/D比は、10以上でもよく、20以上でもよい。導電性高分子は、ポリアニリン系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子等を含む。導電性高分子の具体例は、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。この場合、熱電変換材料の電気伝導率を向上する観点から、電子受容体としてポリスチレンスルホン酸(PSS)等が用いられてもよい。p型熱電変換層6では、カーボンナノチューブと導電性高分子とが凝集してもよい。また、p型熱電変換層6には、カーボンナノチューブ同士を導電性高分子が結合した多孔質構造が含まれてもよい。
複数のn型熱電変換層7のそれぞれは、例えばn型の半導体層であり、開口13bのいずれかに収容される。各n型熱電変換層7の形状は、第3開口13の形状に沿っている。このため平面視にて、n型熱電変換層7の長辺の長さは長さL1に相当し、n型熱電変換層7の短辺の長さは長さL2に相当する。各n型熱電変換層7は、複数の第1電極3のいずれかと、複数の第2電極4のいずれかと、に接触する。p型熱電変換層6と同様に、n型熱電変換層7のうち隙間S3に重なる部分が、主に熱電変換層としての機能を発揮する。n型熱電変換層7に含まれる熱電変換材料は、例えば無機物と有機物の複合物、もしくは複数の有機物の複合物を含む。無機物は、例えば硫化チタン(TiS)、ビスマステルル(BiTe)、スクッテルダイト、ニッケル(Ni)等である。有機物は、例えば、テトラチアフルバレン-テトラシアノキノジメタン(TTF-TCNQ)等である。n型熱電変換層7は、例えば種々の乾式法もしくは湿式法によって形成される。n型熱電変換層7の厚さは、例えば1μm以上500μm以下である。n型熱電変換層7の熱伝導率は、例えば0.01W/mK以上200W/mK以下である。この場合、n型熱電変換層7の内部にて温度勾配が容易に形成され得る。なお、n型熱電変換層7の厚さは、第3方向Zにおいて第1電極3及び第2電極4と重なっていない部分の厚さに相当する。また、n型熱電変換層7のうち隙間S3に重なる部分が、熱電変換素子100におけるn型熱電変換層7としての機能を主に発揮する部分である。
熱電変換モジュール1に接続される第1端子8と第2端子9とのそれぞれは、熱電変換モジュール1と外部装置とを接続するための導電部材である。第1端子8は、第1開口11の開口11aを介して第1電極3に接続される。第2端子9は、第2開口12の開口12aを介して第2電極4に接続される。第1端子8と第2端子9とのそれぞれは、例えば導電性を有する締結部材、はんだなどである。
次に、図2~図6を参照しながら、熱電変換モジュール1の製造方法の一例について説明する。図2(a)は、熱電変換モジュール1の製造方法を説明するための概略平面図である。図2(b)及び図3~図6は、熱電変換モジュール1の製造方法を説明するための概略端面図である。加えて、図2(b)は、図2(a)におけるB-B線に沿った端面図である。
まず、図2(a)、(b)に示されるように、互いに離間する第1電極3及び第2電極4が配置される主面2aを有する基板2を準備する(第1工程)。第1工程では、主面2a上に、複数の第1電極3、複数の第2電極4及びカバーレイ5が設けられる基板2を準備する。カバーレイ5には、複数の第1開口11、複数の第2開口12、及び複数の第3開口13が予め形成される。第1開口11から第1電極3の一部が露出しており、第2開口12から第2電極4の一部が露出している。また、第1電極3の別の一部と、第2電極4の別の一部と、基板2の主面2aの一部とが、第3開口13から露出している。
また、図3(a)に示されるように、第1工程では、複数の第3開口13のうち一部の第3開口13を、マスク21にて覆う。上記一部の第3開口13では、第1電極3の一部と、第2電極4の一部と、基板2の主面2aの一部とが、マスク21によって完全に覆い隠される。本実施形態では、マスク21から露出する第3開口13と、マスク21によって覆われる第3開口13とが、第2方向Yに沿って交互に存在する。マスク21は、例えばレジストマスク、樹脂部材、マスキングテープなどである。マスク21を構成する樹脂は、例えばポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などである。マスク21は、公知の方法にて形成される。以下では、第1電極3のうちマスク21から露出する部分を第1部分3aとし、第1電極のうちマスク21に覆われる部分を第2部分3bとする。なお、カバーレイ5の少なくとも一部は、マスク21によって覆われてもよい。また、主面2a上には複数のマスク21が形成されてもよいし、1つのマスク21が形成されてもよい。
次に、図3(b)に示されるように、複数の開口部31aを有するダム材31を主面2a上に配置する(第2工程)。第2工程では、カバーレイ5及びマスク21を覆うダム材31を主面2a上に配置する。このため、第1電極3の第2部分3bは、少なくとも第2工程においてダム材31に重なる。ダム材31は、例えば、予め形成される樹脂部材、主面2a上に形成されるレジストマスクなどである。ダム材31を構成する樹脂は、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などである。ダム材31は、カバーレイ5上に載置される、もしくは、公知の方法にて形成される。前者の場合、例えば、ダム材31が基板2に向かって押し付けられることによって、ダム材31がカバーレイ5に吸着される。
各開口部31aは、マスク21によって覆われていない第3開口13のいずれかに重なる。このため、第2工程においても、マスク21によって覆われていない第3開口13では、第1電極3の一部と、第2電極4の一部と、基板2の主面2aの一部とが露出する。第3方向Zに沿ったダム材31の高さHは、例えば、平面視における第3開口13の短辺の長さL2の0.5倍以上1.3倍以下である。高さHが長さL2の0.5倍以上であることにより、後述する分散液41の開口部31aへの供給時、分散液41がダム材31上に流出しにくくなる。また、高さHが長さL2の1.3倍以下であることにより、後述するダム材31の除去後、分散液41がカバーレイ5上に広がりにくくなる。
次に、図4(a)に示されるように、開口部31aに、熱電変換材料が分散する分散液41を供給する(第3工程)。第3工程では、例えばインクジェット法、ディスペンス法などの公知の方法によって、開口部31aに分散液41を注入する。これにより第3工程では、分散液41が注入される第3開口13と、マスク21によって覆われる第3開口13とが、第2方向Yに沿って交互に存在する。分散液41は、開口部31aの少なくとも一部を埋めるように注入される。分散液41の粘度は特に限定されない。開口部31aからの分散液41の流出を抑制する観点などから、せん断速度0.01s-1における分散液41の粘度は、例えば、10mPa・sec以上10mPa・sec以下である。この場合、後述する第4工程後、分散液41が第3開口13内及びその周辺に良好に留まる傾向がある。分散液41の粘度は、例えば回転式レオメータによって測定される値である。例えば、レオメータ(Anton Paar社製「MCR302」(製品名))を用いて、粘度(せん断粘度)を測定する。測定条件は、例えば、温度:25℃、プレート:φ25mmパラレルプレート、ギャップ:1mmとする。本実施形態では、せん断速度0.01/sにて分散液41にせん断応力を印加し続け、当該せん断応力の印加開始後10秒以降における粘度の値を、分散液41の粘度とした。
第3工程で用いられる分散液41は、例えば、カーボンナノチューブと導電性高分子とが分散する液体である。分散液41におけるカーボンナノチューブの含有量は、導電性高分子及びカーボンナノチューブの合計量を基準として、例えば、25質量%以上、30質量%以上もしくは35質量%以上であって、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下もしくは80質量%以下である。この場合、熱電変換層の電気伝導率が高まる傾向がある。また、分散液41におけるカーボンナノチューブと導電性高分子の合計の質量濃度は、例えば、0.05質量%以上、0.06質量%以上もしくは0.07質量%以上であって、0.15質量%以上、0.12質量%以上もしくは0.10質量%以上である。分散液41におけるカーボンナノチューブと導電性高分子の合計の質量濃度は、1質量%以下でもよく、0.5質量%以下でもよい。第3工程で用いられる分散液41は、例えば、カーボンナノチューブが含まれる第1液体と、導電性高分子が含まれる第2液体とを混合することによって形成される混合液である。
第1液体は、例えば、カーボンナノチューブと第1溶剤とを含む。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでもよいし、多層カーボンナノチューブでもよい。第1液体におけるカーボンナノチューブの濃度は、例えば0.01質量%以上10質量%以下である。第1溶剤は、カーボンナノチューブを分散可能な溶剤であればよく、例えば極性液体または水系溶剤である。水系溶剤は、水、又は、水と有機溶剤との混合溶剤である。第1溶剤は、プロトン性溶剤でもよいし、非プロトン性溶剤でもよい。第1溶剤の具体例は、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール等)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等である。これらのうち水、メタノール、エタノール、N-メチルピロリドン及びジメチルスルホキシドからなる群の1種以上が好ましく、水がより好ましい。第1液体は、界面活性剤、有機バインダー等の添加剤を更に含んでもよい。
第2液体は、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる導電性高分子(PEDOT/PSSともいう)と、第2溶剤とを含む。PEDOT/PSSは、PEDOTとPSSとから構成される導電性高分子であり、PSSをドープしたPEDOTということもできる。PEDOT/PSSにおいて、PEDOT及びPSSの含有量比は特に限定されない。PEDOTに対するPSSの比(質量比)は、例えば、1以上、1.25以上もしくは1.5以上であり、30以下もしくは20以下である。第2溶剤は、PEDOT/PSSを分散可能な溶剤であればよく、例えば極性液体または水系溶剤である。第2溶剤は、プロトン性溶剤でもよいし、非プロトン性溶剤でもよい。第2溶剤の具体例は、第1溶剤の具体例と同一である。これらのうち水、メタノール及びエタノールからなる群の1種以上が好ましく、水がより好ましい。一態様においては、第2液体は、PEDOT/PSSの水分散液であってよい。なお、第2溶剤は一種を単独で用いてよく、二種以上を混合してもよい。第2液体は、種々の添加剤を更に含んでもよい。
次に、図4(b)に示されるように、ダム材31を除去する(第4工程)。例えばダム材31が予め形成される樹脂部材である場合、ダム材31は、物理的にカバーレイ5上から取り外される。例えばダム材31がレジストマスクである場合、ダム材31は、光、溶剤などによって排除される。この場合、分散液41に対して影響を及ぼさない溶剤などが用いられる。ダム材31の除去後、分散液41は、第3開口13内及びその周辺に留まる。
次に、図5(a),(b)及び図6(a)に示されるように、第3方向Zにおいて基板2の主面2b側から基板2を加熱し、第1電極3及び第2電極4に接するp型熱電変換層6を形成する(第5工程)。第5工程では、まず、大気雰囲気下にて基板2を主面2b側から加熱することによって、分散液41を乾燥させる。例えば、25℃以上90℃以下に設定したホットプレート上に基板2を10分以上21600分以下載置することによって、分散液41を乾燥させる。これにより図5(a)に示されるように、分散液41の残存成分42が基板2上に形成される。続いて、基板2の上記加熱後、マスク21を除去する。マスク21は、例えば物理的もしくは化学的に除去される。続いて図5(b)に示されるように、マスク21の除去後、基板2の全体をジメチルスルホキシド51に浸漬させる(浸漬処理)。例えば、室温に設定したジメチルスルホキシド51に、基板2の全体を1分以上7200分以下浸漬させる。上記浸漬処理後、基板2を主面2b側から再度加熱する。例えば、25℃以上90℃以下に設定したホットプレート上に基板2を10分以上21600分以下載置することによって、基板2を再度加熱する。以上により、図6(a)に示されるように、第1電極3の第1部分3aに接触するp型熱電変換層6を形成する。第5工程後、p型熱電変換層6が設けられる第3開口13と、基板2などを露出する第3開口13とが、第2方向Yに沿って交互に存在する。なお、第5工程では、少なくとも主面2b側から基板2を加熱すればよい。
次に、図6(b)に示されるように、p型熱電変換層6とは異なる極性を有するn型熱電変換層7を形成する(第6工程)。第6工程では、p型熱電変換層6が設けられていない第3開口13内にn型熱電変換層7を形成する。これにより、第1電極3の第2部分3bに接触するn型熱電変換層7を形成する。第6工程では、例えば、第3開口13内にn型熱電変換層7が直接形成される、もしくは、予め形成されたn型熱電変換層7が第2部分3b等に固着する。後者の場合、導電性接着剤、はんだなどを介して、n型熱電変換層7が第2部分3b等に固着してもよい。第6工程後、p型熱電変換層6とn型熱電変換層7とが、第2方向Yに沿って交互に存在する。
第6工程後、第1端子8及び第2端子9を基板2に装着するなどの工程を実施することによって、熱電変換モジュール1が製造される。
以上に説明した本実施形態に係る熱電変換モジュール1の製造方法では、基板2の主面2a上に配置されるダム材31の開口部31aに、熱電変換材料が分散する分散液41を供給する。これにより、主面2a上における所望の位置に分散液41を選択的に供給できる。加えて本実施形態では、ダム材31を除去した後、主面2b側から基板2を加熱する。これにより、分散液41に含まれる成分がダム材31に固定されることを防止できる。このため、第5工程後、所望の形状及び十分な大きさを有するp型熱電変換層6を主面2a上に形成できる。よって、p型熱電変換層6の形状などに起因する抵抗増加等を抑制できる。したがって本実施形態に係る製造方法を実施することによって、高出力化を実現可能な熱電変換モジュール1を提供できる。
加えて、本実施形態に係る熱電変換モジュール1の構成によれば、p型熱電変換層6とn型熱電変換層7とのそれぞれを歩留まりよく形成可能である。このため、各熱電変換素子100の性能が良好に発揮可能である。したがって本実施形態に係る熱電変換モジュール1は、高出力を発揮可能である。
本実施形態では、ダム材31の高さHは、平面視におけるp型熱電変換層6の短辺の長さの0.5倍以上2倍以下でもよい。この場合、分散液41の開口部31aへの供給時、分散液41がダム材31上に流出しにくくなる。加えて、ダム材31の除去後、分散液41がカバーレイ5上に広がりにくくなる。高さHは、上記短辺の長さの1.5倍以下でもよいし、1.3倍以下でもよい。
本実施形態では、分散液41は、カーボンナノチューブと、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子とを含み、カーボンナノチューブの含有量は、導電性高分子及びカーボンナノチューブの合計量を基準として、25質量%以上95質量%以下でもよい。この場合、p型熱電変換層6におけるカーボンナノチューブ間の空隙が導電性高分子にて良好に充填される傾向があるので、p型熱電変換層6を低抵抗化できる。
本実施形態では、分散液41におけるカーボンナノチューブと導電性高分子の合計の質量濃度は、0.05質量%以上でもよい。分散液41におけるカーボンナノチューブと導電性高分子の合計の質量濃度は、1質量%以下でもよく、0.5質量%以下でもよい。この場合、分散液41の粘度が高くなるので、カバーレイ5上に広がりにくくなる。このため、得られるp型熱電変換層6を厚く形成できるので、p型熱電変換層6の電気抵抗を低くできる。
本実施形態では、せん断速度0.01s-1における分散液41の粘度は、10mPa・sec以上10mPa・sec以下でもよい。この場合、上記第4工程後、分散液41が第3開口13内及びその周辺に良好に留まる傾向がある。
本実施形態では、第5工程では、25℃以上90℃以下にて基板が加熱されてもよい。この場合、基板2及びカバーレイ5の破損を抑制しつつ、分散液41を乾燥できる。
本実施形態では、第5工程では、大気雰囲気下で基板2が加熱されてもよい。この場合、分散液41を安価かつ容易に乾燥できる。
本実施形態では、上記製造方法は、p型熱電変換層6とは異なる極性を有するn型熱電変換層7を形成する第6工程を備え、第1電極3は、p型熱電変換層6に接する第1部分3aと、n型熱電変換層7に接する第2部分3bとを有し、第2工程及び第3工程において、第2部分3bはダム材31に重なってもよい。この場合、主面2a上においてn型熱電変換層7が形成される部分にp型熱電変換層6が形成されることを良好に防止できる。
本実施形態では、第1工程では、第2部分3bがマスク21に覆われており、第5工程では、基板2の加熱後にマスク21が除去されてもよい。この場合、主面2a上においてn型熱電変換層7が形成される部分にp型熱電変換層6が形成されることをより良好に防止できる。
本発明の一側面に係る熱電変換モジュールの製造方法は、上記実施形態に限定されず、他に様々な変形が可能である。例えば、第1工程では、複数の第3開口のうち一部の第3開口がマスクにて覆われるが、これに限られない。
また、n型熱電変換層に含まれる熱電変換材料は、カーボンナノチューブを含んでもよい。この場合、n型熱電変換層は、例えば、p型熱電変換層のカーボンナノチューブ及び導電性高分子に加え、ドーパントを有する。このようなn型熱電変換層を形成する場合、マスクを用いなくとも熱電変換モジュールを製造できる。ここでドーパントとは、当該ドーパントがドープされる対象となる材料のゼーベック係数を変化させる物質を意図している。「ゼーベック係数を変化させる」とは、ゼーベック係数の値を減少させること、又は、ゼーベック係数の値を正の値から負の値へと変化させることを意図する。ドーパントは、例えば、錯イオンであるアニオン(以下、単に「アニオン」ともいう。)と、アルカリ金属カチオン(以下、単に「カチオン」ともいう。)と、カチオン捕捉剤(以下、単に「捕捉剤」ともいう。)とを含有する。ドーパントには、アニオン、カチオン、及び捕捉剤が、それぞれ複数種含まれてもよい。この場合、n型熱電変換層の熱伝導率及び熱拡散率は、例えば、p型熱電変換層と同様に得られる。
錯イオンであるアニオンは、フェロシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラクロロ鉄(II)酸イオン、テトラシアノニッケル酸(II)イオン、テトラクロロニッケル酸(II)イオン、テトラシアノコバルト(II)酸イオン、テトラクロロコバルト酸(II)イオン、テトラシアノ銅(I)酸イオン、テトラクロロ銅(II)酸イオン、ヘキサシアノクロム(III)イオン、テトラヒドロキシド亜鉛(II)酸イオン及びテトラヒドロキシドアルミン(III)酸イオンからなる群より選択されるアニオンであってよい。アニオンは、錯塩がドーパント溶液中で解離して生じるアニオンであってよい。錯塩としては、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェリシアン化カリウム、フェリシアン化ナトリウム、テトラクロロ鉄(III)酸カリウム、テトラクロロ鉄(III)酸ナトリウム、テトラクロロ鉄(II)酸カリウム、テトラクロロ鉄(II)酸ナトリウム等が挙げられる。錯塩は、水和物であってもよい。アニオンが錯イオンであるため、n型熱電変換層に錯イオンに由来する金属原子が残存する。これにより、n型熱電変換層に残存した金属原子が酸化防止剤として機能し、時間経過による物性変化が抑制され、保管安定性が向上するという効果が奏される。
アルカリ金属カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びリチウムイオン等が挙げられる。カチオン捕捉剤は、カチオンを取り込む能力を有する物質であれば特に限定されない。例えば、クラウンエーテル系化合物、シクロデキストリン、カリックスアレーン、エチレンジアミン四酢酸、ポルフィリン、フタロシアニンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。有機溶媒中においては、クラウンエーテル系化合物を用いることが好ましい。
本発明の一側面を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の一側面はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
<分散液>
PEDOT/PSS水分散液(ヘレウス株式会社製「Clevious(登録商標) PH1000」、固形分濃度:1.2質量%)0.28gと、カーボンナノチューブ分散液(濃度:0.2質量%、G/D比:28.5)5gとを、自転公転式ミキサー(株式会社シンキー製「あわとり練太郎 ARE-310」)で十分に撹拌した。これにより、PEDOT/PSS及びカーボンナノチューブの合計量に対するカーボンナノチューブの含有量が75質量%である分散液を調製した。せん断速度0.01s-1における当該分散液の濃度は、301630mPa・secだった。分散液の粘度は、レオメータ(Anton Paar社製「MCR302」(製品名))を用いて、測定した。測定条件は、温度:25℃、プレート:φ25mmパラレルプレート、ギャップ:1mmとした。
<モジュール用基板>
図7に示される可撓性のモジュール用基板60を準備した。モジュール用基板60は、短辺:20mm、長辺:100mmである長方形状の主面2aを有するポリイミド製の基板2(厚さ:25μm、熱伝導率:0.3W/mK)を有する。基板2の主面2a上には、複数の第1電極3及び複数の第2電極4(厚さ:12μm)と、カバーレイ5(ポリイミド樹脂製、厚さ:60μm、熱伝導率:0.3W/mK)とが設けられる。第1電極3及び第2電極4のそれぞれは、銅層部分と、当該銅層部分を被覆するニッケルメッキ部分と、当該ニッケルメッキ部分を被覆する金メッキ部分とを有する。カバーレイ5は、複数の第1開口11と、複数の第2開口12と、複数の第3開口13とを有する。モジュール用基板60には、合計13つの第3開口13が設けられる。モジュール用基板60の厚さ方向から見て、主面2aの長辺方向に沿った第3開口13の長さは5mmであり、主面2aの短辺方向に沿った第3開口13の長さは6mmであった。また、第3開口13にて露出する第1電極3の一部と、第3開口13にて露出する第2電極4の一部とのそれぞれは、同一形状を有する。上記長辺方向に沿った第1電極3の上記一部の長さは5mmであり、上記短辺方向に沿った第1電極3の上記一部の長さは2mmであった。
<熱電変換モジュール>
まず、モジュール用基板60をアセトンにて洗浄した。次に、複数の第3開口13の一部をマスキングテープ(スリーエムジャパン株式会社製、「耐熱ポリイミドテープ7414」)にて埋め込んだ。マスキングテープにて埋め込まれた第3開口13と、マスキングテープにて埋め込まれていない第3開口13とが、主面2aの長辺方向に沿って交互に存在するように、一部の第3開口13をマスキングテープにて埋め込んだ。上記長辺方向において最も一端側に位置する第3開口13と、上記長辺方向において最も他端側に位置する第3開口13とは、マスキングテープに埋め込まれなかった。
次に、シリコーンゴム製であって、短辺:20mm、長辺:100mm、厚さ:4mmである直方体形状のダム材を、モジュール用基板60上に配置した。続いて、ダム材をモジュール用基板60に向かって押し付けることによって、ダム材をモジュール用基板60に貼り合わせた。ダム材には、厚さ方向に沿って延在する複数の開口部が設けられる。当該複数の開口部のそれぞれは、ダム材の厚さ方向から見て、第3開口13と同一形状である。各開口部は、第3開口13のいずれかに重なる。このため、ダム材がモジュール用基板60上に配置された後、マスキングテープに覆われていない第3開口13と、マスキングテープとは、ダム材から露出している。
次に、ダム材に設けられる複数の開口部のうち、マスキングテープに覆われていない第3開口13を露出する開口部内に上述した分散液を注入した。ここでは、一箇所あたり0.12mlの分散液を注入した。分散液の注入後、ダム材をモジュール用基板60から静かに取り外した。続いて、モジュール用基板60を60℃に設定したホットプレート上に180分間配置した。これにより、分散液を乾燥させた。続いて、マスキングテープをモジュール用基板60から除去した。
次に、モジュール用基板60の全体を室温のDMSO(富士フイルム和光純薬株式会社製)に5分間浸漬した。続いて、DMSOから取り出したモジュール用基板60を、60℃に設定したホットプレート上に60分間配置した。これにより、合計7つの第3開口13内にp型熱電変換層(厚さ:5μm)を形成した。
次に、ニッケル箔(厚さ:10μm)から、複数のニッケル片(短辺:3mm、長辺:6mm)を形成した。続いて、p型熱電変換層が形成されていない第3開口13にて露出する第1電極3及び第2電極4に、はんだづけにてニッケル片を接合した。これにより、合計6つの第3開口13内にn型熱電変換層(厚さ:10μm)を形成した。以上により、主面2aの長辺方向においてp型熱電変換層とn型熱電変換層とが交互に配列される熱電変換モジュールを形成した。
(実施例2)
ダム材の厚みを3mmとしたこと、及び、一箇所当たりの分散液の注入量を0.09mlとしたこと以外は実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを形成した。
(実施例3)
ダム材の厚みを6mmとしたこと、及び、一箇所当たりの分散液の注入量を0.18mlとしたこと以外は実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを形成した。
(比較例1)
ダム材を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを形成した。
(比較例2)
ダム材の開口部に分散液を注入したことまでは、実施例1と同一手順を実施した。続いて、ダム材を取り外すことなく、モジュール用基板60を60℃に設定したホットプレート上に180分間配置した。続いてダム材をモジュール用基板60から取り外したところ、分散液の残存成分がダム材と共にモジュール用基板60から剥離してしまった。このため、比較例2では、熱電変換モジュールを得られなかった。
(熱電変換モジュールの評価)
実施例1~3及び比較例1の熱電変換モジュールの一方側を50℃のホットプレートに接触させた。加えて、各熱電変換モジュールの他方側を10℃の冷媒が循環するホースに接触させた。これにより、各熱電変換層内に温度差を生じさせた。そして、各熱電変換モジュールの最大出力と抵抗値とを、ソースメータ(テクトロニクス社製「Keithley 2612B」)を用いて評価した。比較例1の熱電変換モジュールの最大出力及び抵抗値を100としたときの実施例1~3の評価結果を下記表1に示す。なお、熱電変換モジュールの一方側は、主面2aの短辺方向における一端側に相当し、熱電変換モジュールの他方側は、主面2aの短辺方向における他端側に相当する。
Figure 2022150595000002
1…熱電変換モジュール、2…基板、2a…主面(第1主面)、2b…主面(第2主面)、3…第1電極、3a…第1部分、3b…第2部分、4…第2電極、5…カバーレイ、6…p型熱電変換層(熱電変換層)、7…n型熱電変換層(別の熱電変換層)、11…第1開口、12…第2開口、13…第3開口、21…マスク、31…ダム材、31a…開口部、41…分散液、60…モジュール用基板、100…熱電変換素子、S1~S3…隙間。

Claims (9)

  1. 互いに離間する第1電極及び第2電極が配置される第1主面を有する基板を準備する第1工程と、
    開口部を有するダム材を前記第1主面上に配置する第2工程と、
    前記開口部に、熱電変換材料が分散する分散液を供給する第3工程と、
    前記ダム材を除去する第4工程と、
    前記基板の厚さ方向において前記第1主面の反対側に位置する第2主面側から前記基板を加熱し、前記第1電極及び前記第2電極に接する熱電変換層を形成する第5工程と、を順に備える、熱電変換モジュールの製造方法。
  2. 前記ダム材の高さは、平面視における前記熱電変換層の短辺の長さの0.5倍以上2倍以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱電変換材料は、カーボンナノチューブと、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子とを含み、
    前記カーボンナノチューブの含有量は、前記導電性高分子及び前記カーボンナノチューブの合計量を基準として、25質量%以上95質量%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記分散液における前記カーボンナノチューブと前記導電性高分子の合計の質量濃度は、0.05質量%以上である、請求項3に記載の製造方法。
  5. せん断速度0.01s-1における前記分散液の粘度は、10mPa・sec以上10mPa・sec以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記第5工程では、25℃以上90℃以下にて前記基板が加熱される、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記第5工程では、大気雰囲気下で前記基板が加熱される、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記熱電変換層とは異なる極性を有する別の熱電変換層を形成する第6工程をさらに備え、
    前記第1電極は、前記熱電変換層に接する第1部分と、前記別の熱電変換層に接する第2部分とを有し、
    前記第2工程及び前記第3工程において、前記第2部分は前記ダム材に重なる、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記第1工程では、前記第2部分がマスクに覆われており、
    前記第5工程では、前記基板の加熱後に前記マスクが除去される、請求項8に記載の製造方法。
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