JP2022148935A - 物流システム - Google Patents
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Abstract
【課題】機械学習を用いて高精度に装置の故障検知と予知を行うことの可能なシステム・装置・方法を提供すること。【解決方法】立体自動倉庫、自動車、航空機、工場の製造設備、プラントの少なくともいずれか一つを含む複雑な装置において、機械学習を使って故障検知及び/もしくは故障予知を行う。正常状態から故障状態に至る装置状態を、正常状態と故障状態の間に少なくても1つの状態を設定し、その間の状態遷移として故障に至る過程を捉えたことを特徴とする。音響、振動、加速度、荷重、速度、画像、温度、湿度の少なくともいずれか一つを含むセンサーデータを取得し、前記取得されたセンサーデータを加工して特徴量を抽出する工程を経たデータを機械学習の入力とするようにしてもよい。【選択図】図1
Description
本願は、物流センターの構造、規模、入出庫方式、物品移動方式を含む倉庫方式・倉庫構造に依存せずに、物流センター内の物品移動を制御する技術に関連する倉庫制御に関し、特に、3DシミュレータやAIを使用した物流解析と物流の最適化、故障検知・予知の方法に係る装置、システム、プログラム、並びに記録媒体に関する。
流通業等の物流センターには、商品を収納したケース(保管用ケース)を保管する保管倉庫部と、保管倉庫部から出庫されたケースから必要な数量の商品をピッキングして出荷ラインに送るピッキングステーションとを備えた立体自動倉庫が設置されている。また、ピッキングステーションの下流には、ピッキングした商品を自動封函装置等で梱包する梱包ラインが設けられている場合もある。
立体自動倉庫は、倉庫業務を一括管理するホストコンピュータ(またはサーバ、クラウド等)を備えたWMS(倉庫管理システム:Warehouse
Management System)と、WMSのホストコンピュータに接続されたコンピュータを内蔵するWCS(倉庫制御システム:Warehouse Control
System)によって管理されている。
Management System)と、WMSのホストコンピュータに接続されたコンピュータを内蔵するWCS(倉庫制御システム:Warehouse Control
System)によって管理されている。
WCSは、WMSからの指示によって立体自動倉庫内の設備(搬送装置、昇降装置、バッファコンベヤ等)やピッキングステーション及び梱包ラインに対し、無線による遠隔操作や通信回線等を通じて入庫、搬送、出庫、ピッキング、自動封函等の作業指示を出す。
近年、インターネットを介した物品販売(Eコマース)が盛んに行われ、それに伴って物流センターが大型化すると同時に、扱う物品の種類及び点数が増加の一途をたどっている。この競争的状況の中で配送時間の短縮化が進んだ結果、効率良く物流センターを運用する要望は高まる一方である。しかし、物流センターの大きさ、形態、運用の方法は、扱う物品の種類、点数、大きさなどによって異なる。これに加え、扱う物品の種類によっては季節変動が大きい場合もあるうえに、キャンペーンなどのビジネス的要因による変動もあり、物流センターのハードウエアはこれらを考慮して個別に設計される。その結果、倉庫の入庫と倉庫からの出庫、及び物流センター内物品の移載を制御するソフトウエアも、必然的に個別に設計をしなければならない状況にある。しかもこの制御ソフトウエアの性能が、出庫効率をはじめとする物流センターの性能を直接的に決定する。
このように、物流センターの制御ソフトウエアは個別設計をしなければならないだけでなく、性能を決定する重要な要素であるため、膨大な時間とリソースを投入して開発される。物流センターを制御する制御ソフトウエアの開発が置かれているリソース投入的なこの状況を改善する方法として、あらかじめ汎用的なソフトウエアを構築しておき、それに対してハードウエアとしての各倉庫の属性(収納棚の数、レイアウト、収納棚の段数、間口数、移載手段の種類、性能及び台数など)を設定してカストマイズし、各倉庫に合致する制御ソフトウエアを自動的に生成させる方法が考えられる。
しかし、このような汎用的な制御ソフトウエアをあらかじめ構築することは、非常に困難である。一般に、物流センターの制御ソフトウエアは、前述の倉庫属性を把握し、その上で時々刻々変化する物流センターの現在の状況、即ち占有間口数や空き間口数とそのアドレス及び利用可能な移載手段の台数とアドレス、及びどの物品を何個どの出庫ゲートへ移載するかなどを示す移載命令を含む現在の倉庫状況が入力され、それらが演算された結果としてどのようなパスで物品を移動させるかを示した制御指令が出力される。ところが、倉庫内の物品移動の制御に必要なこのような倉庫属性・倉庫状況の組み合わせは膨大な数に上る。そのため、すべての状況を勘案した汎用的ソフトウエアを構築することは実質的に不可能であった。その結果、状況が限定された個別の自動倉庫ハードウエアに対して個別に制御ソフトウエアを作成せざるを得なかった。
また、複雑な装置の状態を監視することが、一般に行われる。この目的で、装置内・装置外の必要な箇所に様々なセンサー(音響、振動、加速度、荷重、速度、画像、温度、湿度など)を取り付け、それらから得られる信号を監視することが行われる。装置が故障するとセンサーから異常な信号が送られ、それによって故障を検知する。従来、各センサーからの異常信号を検出するアルゴリズムを構築してソフトウエアとして実装し、それによって故障検知することが行われてきた。一方、機械学習技術を用いてセンサーから送られてきた異常信号を学習させ、それによって異常検知する方法もある。
これらの技術によって故障検知は可能であるが、いまだ十分とは言えない。例えば、アルゴリズムに基づく故障検知では、全ての故障モードをソフトウエアに組み込むことが困難なため、検知すべき故障を見逃すことがあった。一方、機械学習による故障検知では、故障がめったに生起しないために学習データが十分ではなく、満足行く故障検知を行うことができなかった。
さらには故障検知に加え、故障予知に対する技術的要求も存在する。これは装置を止めることなく稼働させるという本来の目的から生じる要求であり、故障予知が可能になれば、故障しそうな部品やコンポーネント(複数の部品から構成された装置を構成する単位)を事前に交換することにより、装置ダウンという予期しない事態を避けることが可能になる。しかも、出来るだけ早く予知を行う技術的要求が存在する。これは、装置に使われている部品やコンポーネントの中には高額で納期の長いものもあり得るからである。
また、物流事業は、近時のEコマースの記録的な拡大により、どこの物流センターも人手募集が盛んな反面、近隣のセンター同士の取り合いなども生じており、人手不足が深刻化している。このため物流センターの省人化の要求はかつてないほど高いものとなっている。このため、マテハン機器の自動化・省人化は、例えば自動倉庫とGoods to Person(GTP)ステーションを組み合わせて自動倉庫から配送順立てで商品を出庫し、GTPステーションでこれらを最少人数によりピッキングして梱包ラインに搬送する省人化システムも稼働している。一方、ピッキングの頻度機会の少ない低頻度品については、人が保管されている商品棚まで歩いてピッキングをしに行く従来からの方法も用いられているが、これらの作業も、作業内容の平準化・効率化を図るために作業者の動線解析を行うシステムも検討されている。
さらに、物流センターで商品を出荷する前に梱包工程などで商品の状態を写真撮影し、WMSのデータと紐づけしたうえで商品の出荷がセンター内で正常に実施されたという証拠を残す方法なども検討されている。これらのシステムは、いわゆる近時のIoTの活用による物流センターのデジタル化推進の流れといえる。
そこで出願人としては、物流センターの個別設計されたマテハン機器の制御ソフトウエアと、作業員の動線とを含め、最適化のための汎用的に適用できるシステム、プログラム、並びに記録媒体を提供することを課題とするとすることを考えた。
また、既に稼動しているシステムではシステム稼動情報(コンベヤ上を流れるケース等の流量や速度、及びケース・商品等情報の収集が出来ていないのが現状である。
また、上記システム稼動情報の収集機能を既存システム機能に追加する事は、物理的センサーの設置工事にとどまらずシステムの改造が必要となり、運用中、稼動中システムでシステム改造を行う事は既存システム動作への影響リスクも高く、また実際に改造工事を行う作業時間も取れない為、改造出来ないのが実情である。
また、上記システム稼動情報の収集機能を既存システム機能に追加する事は、物理的センサーの設置工事にとどまらずシステムの改造が必要となり、運用中、稼動中システムでシステム改造を行う事は既存システム動作への影響リスクも高く、また実際に改造工事を行う作業時間も取れない為、改造出来ないのが実情である。
しかし、このような状況下において、稼動情報を収集し、シミュレーションを使用したデータの可視化及びAI等によるデータ分析システム等に活用し、システム稼動の効率化改善を進める必要がある。
さらには、撮像データと、その画像分析から、物品の流量計測を目的とする場合、装置を物流システム(ラインや、自動倉庫の可動部)のどこに、どのように設置して、どのようなデータを収集し、結果として得られたデータを、可視化データに加工し、時系列に物流の実態を見せることなどによる、顧客にも理解しやすい、季節や繁忙期や閑散期などによる物流変動への対応提案を含めた物流制御の改善が求められている。また、物量だけでなく画像分析の技術は、歩いてピッキング作業を行う作業者の動線解析などにも利用可能なものであり、これらの作業者の作業の効率化・平準化に役立つ。
また、物流事業は、経年により、或いは高頻度の使用により、劣化することは理であり、ひとたび、物流システムに故障が発生すれば、安全性観点からも、一定の期間、一定の範囲にわたってラインを停止して保守作業に当たらざるを得ない。この保守作業の間は、物流が一定の間滞ってしまう。
物流センターの安定稼働を支える予知保全サービスによって「止めない物流」を実現すること、それを担保する予知保全サービスのための移動体の常時監視システムを提供することを目的とする。
立体自動倉庫、自動車、航空機、工場の製造設備、プラントなどの複雑な装置は、非常に多くの部品やコンポーネントが組み合わされている。その結果、故障生起の様相が複雑で予測困難であるだけでなく、場合によっては軽微な故障を見逃して重大な故障に繋がることも生じ得る。本来的には装置を止めることなく正常に稼働させ続けることが望ましいことは言うまでもないが、故障が生じることは必然であり、現実的対応として装置のダウン時間をできるだけ短くすること、さらには事前に故障を予知する技術的要求が存在する。
そこで、本願は上述のような問題に着目し、物流センターの制御ソフトウエアを個別に作成することなく、物流の可視化が実現できる、3Dシミュレータ、AIを用いて高精度に物流センターの設備の運用改善や装置の故障などの状態検知と予知とを行う、さらに作業内容の効率化などを、汎用的に適用できる物流センター制御の汎化法、装置、システム、プログラム、並びに記録媒体を提供することを課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明の物流システムは、物流センターの入荷から出荷までの全工程において、センシング手段および/または映像取得手段より取得された搬送物と作業員とマテハン機器の識別情報を通信回線より入手し、コンピュータ上の3Dシミュレータにより前記搬送物の物流量と、前記作業員および/または前記マテハン機器の動線とを最適化し、物流量情報と、故障検知及び/もしくは故障予知情報とを表示することを特徴とする。
実際に運用している物流センターをデジタル上に再現し、従来の制御ロジックよりも設備や機械の運用効率を上げ、さらに物流効率を向上させるAIと組合せることで、顧客要求に対応させながら、設備や機械での能力を最大限に引出した物流量の最適化を図り、AGVおよび/または作業員の動線の最適化と、物流装置の故障予知と保全にも対応させることに着目した。
物流センターをデジタル上に再現するため3Dシミュレータを使用し、フィジカル空間にある本物の機器や設備をそっくりそのままバーチャル空間内に再現させ、そのことにより、実際の動きを完全に再現させることで、実際に運用されている物流センターの商品や装置の動きを正確に再現し、デジタル上で検証する。
物流センターを新設する場合や増設する場合、またレイアウト変更する場合に、実際にどれくらいの効率化効果があるのかを3Dシミュレータを活用することで、新設、増設やレイアウト変更を行う前にあらゆる検証を行うことを可能とする。
ハードウエアを正確にシミュレーションするソフトウエアとしての3Dシミュレーションと、画像処理、タグ付け、AI技術によって上述の課題の解決を特徴とする。
さらに、稼働中の物流センターを可視化データに加工し、時系列な物流量の実態を見ることで、季節や繁忙期や閑散期などによる物流量変動に対する物流量制御の改善を行うことを特徴としてもよい。
可視化データにAGVおよび/または作業員の動線データを含むことを特徴としてもよい。
ここでの、ハードウエアの正確なシミュレーションとは、WMSまたはWCSと同じ制御信号が入力されれば実物流センターと同じ動作を行うことをいう。
実際に運用している物流センターをデジタル上に再現し、物流効率を向上させるAIを導入し、従来の制御ロジックよりも設備や機械の入出庫効率が上げ、対応できる物流量を増やすことを特徴としてもよい。
強化学習AIを使うことにより、従来のAIよりも少ないデータで学習し、学習した結果を自ら解析し、新たなデータを生み出すせることに着目し、強化学習AIを物流制御へ導入することで、最適解を自動的に生み出すことを特徴としてもよい。
物流センターにおける昇降機器及び/もしくは前記昇降機器を構造的に支保する構造体及び/もしくは前記構造体に関連する部品に設置され振動を含む物理量に係るセンシング情報をリアルタイムもしくは一定時間間隔ごとに取得するセンサーと、前記センサーが取得するセンシング情報を、無線を通じて送信する無線送信部と、前記無線送信部から送信されたセンシング情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信されたセンシング情報から、人工知能(AI)技術によって、前記昇降機器の部品の交換時期を予知する3Dシミュレータとを備えて構成されることを特徴としてもよい。
機械の異常を確実に検知するために、単なる収集データの差異による異常判断ではなく、AIの機械学習により高度にモデル化された正常時データとの比較で異常データを検出する方式を採用することを特徴としてもよい。
モデル化された正常時のデータの比較については、そのモデルは過去データに基づくものと、リアルタイムで取り入れている最新のデータも踏まえて作成されるものであり、当該モデルに基づき実際に設置されている機械設備と同じ仕様の設備をPC画面上に3Dシミュレータとして構築し、当該3Dシミュレータを用いてAIがシミュレーションを行い、異常か否かの最適な判断をするための手段として利用する手法を特徴としてもよい。
設備の運用改善を目的とし、搬送物の物量管理と、AGVおよび/または作業者の動線管理(ピッキング、アソート)と、搬送物の安全管理を特徴としてもよい。
客先のWCSの運用状況や、PDR・画像などを客先の装置からlog情報などのデジタル情報をリアルタイムに採取することによって状況把握し、それを3DシミュレータにかけてPC上のデジタル空間に再現してもよい。
この再現された状況をもとにAIが機械学習し、客先の現状の設備状況がベストであるかを判定し、ベストでない場合などはベストにするための方策を提示する管理システムとしてもよい。
さらに、高性能、高信頼の無線通信を使うことで、低コストでハイパフォーマンスの予知保全向けIoTセンサーを使用し、設備の稼働状況の見える化や異常予知を行うことで部品交換時期などの最適化が図り、「予知保全サービス」によって「止めない物流」が実現可能とすることを特徴としてもよい。
センサー、カメラ、バッテリー、通信機能を搭載した、物流ライン周辺に設置し、上記システム稼動情報が収集し、無線通信でサーバへ送信する装置。前記装置を使用することにより、稼働中の物流センターの稼働を阻害することなく導入可能とする。
上記装置はカメラを有し、カメラ前を通過するケースのバーコード・商品コード・商品名を認識する画像認識機能を備える。さらに、前を通過するケース数をカウントする画像認識機能を備える。また、上記デバイスはRFIDリーダーの内蔵も可能とし、搬送物個体のRFIDタグ情報の収集による、搬送物の個体認識を行う。また、画像認識により通過するケースサイズを測定する事も可能である。
前記装置を使用したシステムとして、データの解析を行うために、取得データへの分析用タグ付けを自動で行う。
カメラを使った、カメラとサーバを用いた撮影システムにより、生成された3Dモデルの中の好きな箇所に、動画や、画像、予約のリンク等を設置することができる。
例えば、3Dモデルの中にリンクを埋め込み、必要な物流データにアクセス可能となる。
例えば、3Dモデルの中にリンクを埋め込み、必要な物流データにアクセス可能となる。
センサーをどの様な向きで設置し、また当該デバイスから収集する情報データの種類等を設定する、管理コンソールも有する。
設置済みあるいは稼働済の設備を止めることなく後付のセンサーを付加することで前記設備の状態を検知可能にする手段であって、前記設備の位置と動きを含めた情報より、前記設備に対して必要十分な時空間解像度で状態を知ることができる手段を特徴としてもよい。
当該デバイスから情報としてのデータ取得を実現することで、時間、使用電力などのエネルギー、物理的な騒音などを含めた効率的な物品の移載と、集約と、予知保全によりハードウエアのダウンを未然に防ぐこと、あるいは最小化することを特徴としてもよい。
データ収集、プラットフォーム、タグ付けを特徴とし、可視化データによる管理プラットフォームを構築してもよい。
物流センター内のデータの中でも、物流制御において特に重要な位置を占める立体自動倉庫については、シャトル、リフタ、カート、コンベア、物品の位置と移動の情報、およびラックの収納状況情報である。これらの情報をタグ付きで収集し、設計図から再構築した3D画像の物理的ラックの中に現在の状況をプラットフォーム画面に表示することで可視化を実現する。シャトルやコンベアの実際の動き、すなわちまさしく目に見える現状をコンピュータ画面上に表示するためのデータを収集するということである。なお、この可視化データは通信網を経由して必要な部署へ配信されることを特徴としてもよい。
管理プラットフォームを構築するために、大量の運用データが必要とする立体自動倉庫の場合、様々なセンサーを稼働中の設備に設置する必要がある。しかし、設置のためには運用中の立体自動倉庫を一時的に停止する必要があるが、これは不可能である。そこで運用中の立体自動倉庫を停止させることなく、しかもシャトル、リフタ、カート、コンベア、物品の位置と移動の情報、およびラックの収納状況情報をデータとして収集する。
一実施例として、多数のカメラを、例えば各階、各棚にラック外周に沿って設置し、それらから得られる画像によってシャトルの位置を知ることができる。しかし、同じ階、同じ棚に複数のシャトルやラック収納物がある場合には、手前のシャトルや収納物が陰になってその先のシャトルをカメラで撮像できないことがある。この可能性を減少させるため、陰になる確率を計算して、それが許容範囲ならば一時的にシャトルの位置を取得できないことを許容するか、ラック全体を6面体に見立て、すべての面にカメラを設置することにより、死角を最小限に抑えることができる。
一実施例として、超音波を使う。障害物が無い場合ならば、ラック端部に設けた超音波発信機からの反射波を検知し、その時間とドップラー効果による反射周波数のズレを検出し、シャトルの位置と、速度と、加速度を知ることができ、加速度の測定値より、載せている物品の質量を知ることもできる。
一実施例として、カメラとRFIDとBT(Bluetooth:近距離無線通信の規格のひとつ。)やビーコンなどを併用する。
一実施例として、カメラと超音波を併用する。超音波のドップラー効果で取得できない、例えば、どの棚にどんな物品が収まっているのか、あるいは空なのかを判断させる。カメラも超音波受発信機もアイルの端に設置した場合には、
1)超音波センサーは、シャトルの動き(速度と加速度)と位置を検出させる。
2)カメラは、シャトルに物品が乗っているかどうかを判断させる。
3)物品を載せたシャトルが動いて止まり、物品が左右に動いてシャトルが空になれば棚に収納されたと判断させる。物品の左右の動きはカメラで取得する。
4)空だったシャトルに物品が載れば、棚から取り出されたと判断する。
5)以上の1)から4)の情報を繰り返し取得すれば、どの棚が空でどの棚が埋まっているか判別できる。
6)さらに、カメラで物品のIDを読めば、物品毎の管理も可能となる。
1)超音波センサーは、シャトルの動き(速度と加速度)と位置を検出させる。
2)カメラは、シャトルに物品が乗っているかどうかを判断させる。
3)物品を載せたシャトルが動いて止まり、物品が左右に動いてシャトルが空になれば棚に収納されたと判断させる。物品の左右の動きはカメラで取得する。
4)空だったシャトルに物品が載れば、棚から取り出されたと判断する。
5)以上の1)から4)の情報を繰り返し取得すれば、どの棚が空でどの棚が埋まっているか判別できる。
6)さらに、カメラで物品のIDを読めば、物品毎の管理も可能となる。
なお、カメラや各種のセンサー類は、物流センターのラック外周や壁や柱、天井、その他自動倉庫などの固定された場所に設けるだけでなく、カメラやセンサー類とデータを採取してこれら採取データを物流センターのWMS、WCSなどのシステムを管理している管理部門のシステム間との間で通信する手段であるPC類を一式箱状の容器に設け、これをコンベヤ、ソータなどの搬送ラインや自動倉庫内に搬送・移動させ、当該コンベヤ、ソータ、自動倉庫などのマテハン機器の搬送状態を検知させてこれらの構成要素の部品類の消耗具合などを検査するポータブルタイプの予知保全システムとして運用する場合もあってよい。その場合、リアルタイムでのデータの採取については、搬送ラインや自動倉庫に予め設けられているセンサー類からのログデータを活用し、このログデータの内容を踏まえた上での判断となる。このようなシステムとする場合、カメラやセンサー類はポータブルタイプのシステム分のみ用意すれば良く、コンパクトで効率的な予知保全システムを構築することが可能となる。
立体自動倉庫を制御するWCSへの入力が、例えばi個の物品番号Xと、j個の物品番号Yとk個の物品番号Zを、場所Оに集約せよと、3Dシミュレータにも入力されたとき、WCSからの出力と同じように立体自動倉庫を制御する信号が3Dシミュレータから出力され、その制御信号に基づいて仮想的な立体自動倉庫が動作して物品を目的の場所に移動させ、そのときに要する時間が実立体自動倉庫と同等であるようなシミュレーションを行う。
例えば、タグ情報として、品名、メーカー名、数量、物品カテゴリー(文具、電気製品、書籍、衣料など)をID管理する。
実際の物流センターの動きと3Dシミュレータの並列オペレーションにより、実データと比較して3Dシミュレータの検証を行う
実際の物流センターの制御用AIの学習データ収集及びAIの学習に、3Dシミュレータを使用することで、AI、特にDeep Learningが十分効率的に制御を行えるようになるための、大量の学習データを集めることができる。
これにより、効率的な実物流センターの制御と、予知保全にも使用できる。
予知保全サービスのため、物流センターにおける昇降機器及び/もしくは前記昇降機器を構造的に支保する構造体及び/もしくは前記構造体に関連する部品に設置され振動を含む物理量に係るセンシング情報をリアルタイムもしくは一定時間間隔ごとに取得するセンサーと、前記センサーが取得するセンシング情報を、無線を通じて送信する無線送信部と、前記無線送信部から送信されたセンシング情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信されたセンシング情報から、前記昇降機器の部品の交換時期を予知する3Dシミュレータとを備えて構成される。
前記3Dシミュレータは、前記センシング情報から、人工知能(AI)技術によって、前記昇降機器の部品の交換時期を予知するようにしてもよい。
本構成によれば、開発の主課題となったのは、既存設備にも容易に設置可能なセンサーである。本願においては、機械の異常を確実に検知するために、単なる収集データの差異による異常判断ではなく、正常時データとの比較で異常データを検出する方式を採用する。或いは代替的に、AIの機械学習により高度にモデル化された正常時データとの比較で異常データを検出する方式を採用するようにしてもよい。さらに、高性能、高信頼の無線通信を使うことで、低コストでハイパフォーマンスの予知保全向けIoTセンサーを実現できる。新開発したIoTセンサーを使用し、設備の稼働状況の見える化や異常予知を行うことで部品交換時期などの最適化が図れる「予知保全サービス」によって「止めない物流」が実現可能となるものである。
設備の部品交換予知システムは、設備に設置されたセンサーからの出力を用いて人工知能(AI)技術によって、前記設備の部品の交換時期を予知する、構成を備える。より具体的には、立体自動倉庫の設備に振動センサーを取り付け、前記設備を構成する部品から発生する振動の周波数の経時的変動量と前記部品の異常度との関係を学習済みモデルとする人工知能(AI)技術によって、前記部品の交換時期を予知する設備の部品交換予知システムとして具現化することができる。
ここで、本願において、設備とは、運搬や荷役作業を助ける機器のことをいい、特に、物流業務を効率化するために用いられる作業機械として、上述した搬送装置、昇降装置(リフタ)、バッファコンベヤのみならず、フォークリフト、パレット、一般コンベヤを含む概念である。
前記設備は、前記立体自動倉庫の保管倉庫部に設置された昇降装置として具現化してもよい。
前記設備は、前記立体自動倉庫の保管倉庫部に設置されたスタッカークレーン方式の搬送装置として具現化してもよい。
前記センサーは、前記設備の振動を検出する振動センサーであり、前記人工知能技術は、前記設備の振動の周波数の経時的変動量と前記部品の異常度との関係を学習済みモデルとする構成を備えてもよい。
前記センサーは、前記設備を構成する複数の部品から発生する振動をFFTアナライザで解析することにより、前記設備を構成する部品の周波数成分に分解する、構成を備えてもよい。
前記振動センサーは、前記設備の駆動系に取り付けるように具現化してもよい。
前記駆動系は、能動回転手段及び受動回転手段並びにそれらを固定する固定手段を含む構成を含むもの、たとえばモータ及びプーリ並びにそれらを固定するボルトを含むものとして具現化してもよい。
前記センサーは、前記センサーが設置されてない既存の前記設備に後付けで設置される、構成を備えてもよい。
設備の部品交換予知方法は、設備に設置された振動センサーを用いて前記設備から発生する振動を検出する工程と、前記振動をFFTアナライザで解析することにより、前記振動を周波数に分解する工程と、前記周波数の経時的変動量と前記設備の異常度との関係を学習済みモデルとする人工知能(AI)技術を用いて前記部品の交換時期を予知する工程とを備えて構成される。
物流センターを構成するコンポーネントの総数が非常に大きいため、いわゆる組み合わせ爆発が発生するためであることを突き止めるに至った。そこで、可能な組み合わせをもれなく数え上げる代わりに、物流センター属性と物流センター状況を記述する特徴量と移載指示全体をパターンとして扱い、それを人工ニューラルネットワーク(ANN、Artificial Neural Network)をはじめとする機械学習手段に入力し、目的に沿ったシミュレーションを行うように学習を行わせる方法を着想した。この物流センター属性と物流センター状況を表す特徴量をパターンとして学習して目的に沿ったシミュレーション信号を出力するようになった機械学習手段に新たな移載指令を入力し、移載シミュレーション信号を出力させる。このようにすれば、対象物流センターに応じたパターンを学習することによって属性が異なる物流センターに対して同じ構造の機械学習手段を使い、異なる属性の物流センターをシミュレーションすることが可能となる。
これが可能であるのは、物流センターではそれを構成するコンポーネント総数は多いものの、コンポーネントの種類は少なく、かつ各コンポーネントの状況が自動的に入手できるという特徴に依る。すなわち、まず、コンポーネントの種類が少ないので、コンポーネントの種類毎に属性をすべて記述することが可能である。一方、運用中の物流センター状況、即ち物流センター内のコンポーネントの状況(各間口の空き状況や移載手段の現在位置・空き状況など)は時々刻々変化する上にその組み合わせは膨大である。しかし、これらの情報を全て収集し、それ等を組み合わせて必要な加工を施して特徴量として機械学習手段に入力することができれば、物流センターをシミュレーションする学習が可能である。ここで物流センター状況は、物流センター内に設置されたセンサーなどから自動的に入手可能であることに着目すれば、機械学習手段に入力すべき特徴量を自動的に得られることが理解できるはずである。すなわち、属性と状況から得られる膨大な特徴量を自動的に得、それをパターンとして機械学習手段の入力とすることができるのである。本発明の一態様は、全てを数え上げるという組み合わせ爆発を、パターン化して扱うことで回避できるANNを含む機械学習手段の特徴と、コンポーネント総数は多いがその種類は少ないので記述可能であるという特徴と、かつ状況が自動的に入手できるので特徴量を自動的に入手できるという特徴と、これらをパターン化して取り扱うことが可能であるという立体自動倉庫の特徴に着目した結果、着想するに至ったものである。
しかし機械学習手段としてANNを用いる場合、あらゆる属性の物流センターを、全く同じANNでシミュレーションを行うことにはやはり無理がある。例えば全コンポーネント数が異なれば、ANNの入力ノード数を変更する必要がある。入力ノード数が異なれば、中間層の数や、各中間層のノード数も変更する必要がある。一方、シミュレーション対象の種類と数によって出力ノード数は異なる。したがって、各物流センターの属性に合わせて入力ノード数、中間層数、各中間層のノード数、および出力ノード数を変更する必要がある。この要請に応えるためには、シミュレーション対象とする物流センターの属性に合わせてANNの上記変数を設定できるようにすればよい。しかし、これらの設定はノウハウに属する部分も多いため、学習結果を参照して調整しなければならない。そこでこの設定を、GUI画面を介して行うことにより、学習結果を参照しながら設定する必要がある。
一方、学習を行うためには、シミュレーション対象の物流センターの運用データが大量に必要になる。しかしこのことが常に可能とは限らない。特に新規設計の物流センターでは、運用実績がないのでデータを準備することが困難である。この問題を解決するための方法として、本発明の一態様では、物流センターの3Dシミュレータを構築して仮想的な運用を行い、そのデータを機械学習手段の学習データとして用いる。これを実現するために、本発明の一態様では3Dシミュレータからのデータを機械学習手段に入力するインターフェースも備えることができる。このインターフェースを通して、3Dシミュレータからのシミュレーション対象物流センターの属性と状況のデータ、および様々な移載指令データが入力されることにより学習を行うことができる。
しかし一般に、機械学習手段としてANNを用いる場合には、何を入力するかは性能を決定する重要なパラメータである上に、その選択には高度なノウハウが存在する。従って物流センターやその3Dシミュレータからのデータをそのまま入力するのではなく、加工して入力した方が良い結果を得られる可能性がある。しかし、どの物流センターデータをどのように加工して入力するかは、ノウハウが大きく物を言う部分である。そこで、本発明の一態様ではGUI化したインターフェースによって入力パラメータを選択・加工し、学習結果を参照しながら、入力パラメータを取捨選択、あるいは加工する機能を持たせる。
3Dシミュレータの役割は、機械学習手段の学習データを準備するだけにとどまらない。上記の学習は、3Dシミュレータから出力される物流センター属性と物流センター状況のデータを機械学習手段に入力して物流センターのシミュレーション信号を機械学習手段が出力するので、この出力によって物流センターを仮想的に運用してもよい。機械学習手段は、学習初期には効率の良くないシミュレーション信号を出力するが、学習が進むにつれて効率的なシミュレーション信号を出力するように学習する。いずれの場合でも、3Dシミュレータと機械学習手段の間にループを形成させることにより、機械学習手段は効率的なシミュレーションを迅速に学習することが可能となる。
収納棚の数とそのレイアウト、収納棚あたりの段数、各段での物品収納単位である間口の数、物品を移動する移載手段の種類と性能、およびそれらの台数とレイアウト、のうち少なくともいずれか一つを含む物流センター属性と、現在の占有間口数や空き間口数とそのアドレス及び利用可能移載手段の台数と各移載手段の現在アドレス、及びどの物品を何個どこの移載先へ移載するか、のうち少なくともいずれか一つを含む移載命令と、を含む情報全体をパターンとして扱うことにより、物流センター属性に依存せずに物流センターのシミュレーションを汎用的に行うことを特徴とする人工ニューラルネットワーク(ANN、Artificial Neural Network)を含む機械学習を用いる。
前記機械学習は、深層学習法を含むANN、強化学習、モンテカルロ木探索、Rapidly exploring Random Tree(RRT)、のうち少なくともいずれか一つの手段によるものとしてもよい。
前記機械学習をなす手段として人工ニューラルネットワークを用いる場合は入力ノード数、隠れ層の数、各隠れ層のノード数、及び出力ノード数、層間の接続トポロジーのうち少なくともいずれか一つを含む前記人工ニューラルネットワークの属性を、あるいは強化学習、モンテカルロ木探索、RRTを含む方法を用いる場合は、棚、段、間口のレイアウト、移載手段の数のうち少なくともいずれか一つを含む物流センター属性を設定して学習前に機械学習手段の構造をGUI画面により設定し、それに対して学習を行って、学習済の前記機械学習手段によってシミュレーションを行うとしてもよい。
前記物流センターに係る対象物流センターの動作をシミュレートするシミュレータを用い、シミュレータからの出力を機械学習手段の学習データおよび/または教師データあるいは報酬として用いるとしてもよい。
前記機械学習に係る学習時に機械学習手段からの出力でシミュレーションし、その結果得られるシミュレータの出力を前記人工ニューラルネットワークに入力することで学習を行うとしてもよい。
物流センター属性、物流センター状況、移載指令を記述するパラメータの全てあるいは一部をそのままおよび/または加工して機械学習手段へ入力するとしてもよい。
所望のシミュレーションが行われるように学習した機械学習手段に現在の物流センターの属性と状況および移載指令を入力し、得られた人工ニューラルネットワークの出力によって物流センターをシミュレーションするとしてもよい。
学習済モデルに入力する物流センターの状況データとして、物流センターの棚の物品占有情報や空き情報、収納物品情報、移載手段の現在位置のうちの少なくとも1つを、移載指令として移載元と移載先の空間情報と移載物品情報のうちの少なくとも1つを、それぞれ含むとしてもよい。
前記入力されたものから、物流センターが目的に合致した動作をするように、移載順序と時間、移載経由アドレスのうちの少なくとも1つを含むシミュレーションパラメータを出力するようにしてもよい。
人工ニューラルネットワーク、強化学習、モンテカルロ木探索、RRTを含む機械学習手段の構造を設定するためのGUI(Guraphical User Interfaceなど)のうちの少なくとも1つをさらに備えたようにしてもよい。
機械学習手段からの出力を3Dシミュレータのシミュレーションに使うか使わないかを切り替えるためのGUIをさらに備えるようにしてもよい。
また、3Dシミュレータは、収納棚の数とそのレイアウト、収納棚あたりの段数、各段での物品収納単位である間口の数、物品を移動する移載手段の種類と性能、およびそれらの台数とレイアウト、のうち少なくともいずれか一つを含む物流センター属性が入力される第1の入力部と、現在の占有間口数や空き間口数とそのアドレス及び利用可能移載手段の台数と各移載手段の現在アドレス、及びどの物品を何個どこの移載先へ移載するか、のうち少なくともいずれか一つを含む移載命令が入力される第2の入力部と、前記第1及び第2の入力部から得られる情報全体をパターンとして扱うことで、人工ニューラルネットワーク(ANN、Artificial Neural Network)を含む機械学習を行う学習部とを備えて構成される。
前記機械学習は、深層学習法を含むANN、強化学習、モンテカルロ木探索、Rapidly exploring Random Tree(RRT)、のうち少なくともいずれか一つの手段によるものとしてもよい。
前記機械学習をなす手段として人工ニューラルネットワークを用いる場合は入力ノード数、隠れ層の数、各隠れ層のノード数、及び出力ノード数、層間の接続トポロジーのうち少なくともいずれか一つを含む前記人工ニューラルネットワークの属性を、あるいは強化学習、モンテカルロ木探索、RRTを含む方法を用いる場合は、棚、段、間口のレイアウト、移載手段の数のうち少なくともいずれか一つを含む物流センター属性を設定して学習前に機械学習手段の構造をGUI画面により設定し、それに対して学習を行って、学習済の前記機械学習手段によってシミュレーションを行うとしてもよい。
前記物流センターをシミュレートする3Dシミュレータを用い、3Dシミュレータからの出力を機械学習手段の学習データおよび/または教師データあるいは報酬として用いるとしてもよい。
前記機械学習に係る学習時に機械学習手段からの出力で3Dシミュレータをシミュレーションし、その結果得られるシミュレータの出力を前記人工ニューラルネットワークに入力することで学習を行うとしてもよい。
物流センター属性、物流センター状況、移載指令を記述するパラメータの全てあるいは一部をそのままおよび/または加工して機械学習手段へ入力するとしてもよい。
所望のシミュレーションが行われるように学習した機械学習手段に現在の物流センターの属性と状況および移載指令を入力し、得られた人工ニューラルネットワークの出力によって物流センターをシミュレーションするとしてもよい。
学習済モデルに入力する物流センターの状況データとして、物流センターの棚の物品占有情報や空き情報、収納物品情報、移載手段の現在位置のうちの少なくとも1つを、移載指令として移載元と移載先の空間情報と移載物品情報のうちの少なくとも1つを、それぞれ含むとしてもよい。
前記入力されたものから、物流センターが目的に合致した動作をするように、移載順序と時間、移載経由アドレスのうちの少なくとも1つを含むシミュレーションパラメータを出力するようにしてもよい。
人工ニューラルネットワーク、強化学習、モンテカルロ木探索、RRTを含む機械学習手段の構造を設定するためのGUI(Guraphical User Interfaceなど)のうちの少なくとも1つをさらに備えたようにしてもよい。
機械学習手段からの出力を3Dシミュレータのシミュレーションに使うか使わないかを切り替えるためのGUIをさらに備えるようにしてもよい。
強化学習の代表的な応用例はルート探索である。強化学習では擬人的なエージェントをソフトウエア中に考え、エージェントがルート探索を行う。たとえば、スタート地点とゴール地点が与えられ、その間に様々なルートが存在するとする。これらの中には両地点を結び付けるものもあるが、ゴールに到達できないルートも存在し、ゴールに至るルートの中にも素早く到達できるルートもあれば、遠回りのルートもある。スタート地点とゴール地点を結ぶ各ルートには複数のマイルストーン(座標)が設けられ、エージェントは現在の座標から次の座標に遷移し、その結果として報酬が与えられる。こうしてゴールに到達できれば、それまで辿ってきたルートには大きな報酬が与えられる。これらの学習を繰り返すことにより、エージェントは最終的に迷うことなくスタート地点からゴール地点へと進むことができるようになる。このようにエージェント自らが、ゴールに到達すべきルートを見出す。
ルート探索における状態遷移とは異なるが、故障においても状態遷移が生じる。故障は突如として生起するわけではなく、正常状態から複数の状態を経て最終的に故障に至ると考えられる。たとえばモータが回転しなくなる前には、回転が悪くなったり不安定になったりするなどの予兆が存在するであろう。あるいは、複数の部品から構成される装置内のコンポーネントの場合には、複数の部品の不具合状態が徐々に深刻化し、最終的にコンポーネントとしての故障に至ると考えられる。このように、部品やコンポーネントは、正常状態から様々な不具合状態を辿り、最終的な故障に至るであろう。従って、正常状態をスタート地点、故障状態をゴール地点と考え、その間の各部品がとる様々な状態をルート探索におけるマイルストーンに対応させれば、故障検知と故障予知に強化学習を利用できる。
本発明の態様によれば、これまでのような、トラブル発生後に対応する「事後保全」、あるいは定期点検の際に状況を見て部品交換などを行う「予防保全」ではなく、最新のAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使って故障の兆候を予知する「予知保全」が可能となり、これにより「止めない物流」を実現することができる。
以下、図1を参照して本発明の実施の一形態を説明する。
なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
上述したとおり、安定稼働においてもさらなる進化が求められている物流センターにおいて、これまで機械設備の保全で一般に行われてきたような、トラブル発生後に対応する「事後保全」、あるいは定期点検の際に状況を見て部品交換などを行う「予防保全」、ではない、故障の兆候を予知する「予知保全」をシステム的に実現するものが本願の形態である。そのための一手段として、本発明者は、最新のAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使って故障の兆候を予知する「予知保全」の技術開発に取り組んだ。
開発の主課題として、精度が高く既存設備にも容易に設置可能なセンサーを採用する。機械の確実な異常を検知するために、単なる収集データの差異による異常判断ではなく、AIの機械学習により高度にモデル化された正常時データとの比較で異常データを検出する方式を採用する。さらに、出願人のこれまでの物流機器を熟知した技術と経験を生かし、高性能、高信頼の無線通信を使った低コストでハイパフォーマンスの予知保全向けIoTセンサーを開発した。新開発したIoTセンサーを使用し、設備の稼働状況の見える化や異常予知を行うことで部品交換時期などの最適化が図れる「予知保全サービス」によって「止めない物流」が実現可能となった。
本願の一実施形態においては、さらに、3Dシミュレータで物流センターにさらなる進化をもたらすものである。この点を詳述する。
予知保全サービスの開発にみられる通り、出願人は物流センターの3Dシミュレータに積極的に取り組んできている。ウィズコロナ時代に突入したことから、出願人として、3Dシミュレータへの取り組みは従来以上に大きな意義を持つと認識した。一つの取り組みとして、物流センターのレイアウトと人の動線とに実際の作業データである入出庫・保管データを加味し最適配置を導き出すことで、物流センター全体の効率化と、更なる非接触作業の拡大を図るGTR(Goods to Robot:ロボットピック)の開発が挙げられる。扱う商品によっては物流センターの完全自動化も可能になる。
また、3Dシミュレータは持続可能な開発目標の達成でも重要性を増し、環境負荷軽減、労働人口激減への対応という、出願人が最も重要な社会課題と定義する問題に対して、その解決に新技術の開発を通じて貢献することができるものである。取り組みの一例として、運用方法がメーカー各社で異なるAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送ロボット)を統合コントロールする制御プラットフォームの開発が挙げられる。コンベヤレスシステムへの移行で、環境変化への対応が容易に実現できる。
次に、本願の一実施形態において、無線通信を導入する意義について考察し、無線を用いた形態についてその概念を箇条書きで説明する。
無線通信を導入する意義について考察し、無線を用いた形態についてその概念を箇条書きで説明する。
・ 予知保全を行うためには、多数のセンサー(100~10,000以上)の設置が必要。
センサーからの信号をサーバに伝送するためには伝送線を必要とする。
・ 伝送線を途中でまとめても、サーバなどの受信側には多数の受信設備が必要。・・・(1)
・ 多数の設備を有する広大な倉庫や工場では、伝送線による長距離の配線が必要。
・ ところが、倉庫や工場では電力機器等のノイズ発生源が多く、長距離のセンサー信号伝送の障害となる。特に電力線と接近せざるを得ない場合はそうである。・・・(2)
・ 一方、設備稼働後にセンサーを設置せざるを得ない状況がある。
・ この場合には、センサー信号伝送線の配線は簡単ではない。・・・(3)
・ 一方、工場内空間に存在する移動体からのセンサー信号の伝送も必要である。
・ 移動体の動きが不規則であったり設計時に決定できない場合には、有線による伝送は困難である。・・・(4)
・ 回転運動など、移動範囲が限定されていても移動距離が実質的に無限になる場合があり、この場合も有線による伝送は困難である。・・・(5)
・ 特に(1)と(2)の理由により、有線でのセンサー信号伝送はコスト高となる。
・ 特に(1)~(5)の理由により、有線でのセンサー信号伝送はほぼ不可能である。
・ 有線によるセンサー信号伝送における上記課題を解決するために、電源を含むセンサー装置を信号取得対象に設置する。
・ 無線伝送を用いることにより、センサー数が多くても、後付けセンサーであっても、センサー数が増加しても、および如何なる動きをする移動体であっても、柔軟に対応できる。センサー数の増加に対してはソフトウエアの設定のみで対応可能である。
・ ノイズに強い無線伝送を実現するため、耐ノイズ信号処理を適用した無線伝送を行う。
・ センサー設置に自由度が生まれる。
センサーからの信号をサーバに伝送するためには伝送線を必要とする。
・ 伝送線を途中でまとめても、サーバなどの受信側には多数の受信設備が必要。・・・(1)
・ 多数の設備を有する広大な倉庫や工場では、伝送線による長距離の配線が必要。
・ ところが、倉庫や工場では電力機器等のノイズ発生源が多く、長距離のセンサー信号伝送の障害となる。特に電力線と接近せざるを得ない場合はそうである。・・・(2)
・ 一方、設備稼働後にセンサーを設置せざるを得ない状況がある。
・ この場合には、センサー信号伝送線の配線は簡単ではない。・・・(3)
・ 一方、工場内空間に存在する移動体からのセンサー信号の伝送も必要である。
・ 移動体の動きが不規則であったり設計時に決定できない場合には、有線による伝送は困難である。・・・(4)
・ 回転運動など、移動範囲が限定されていても移動距離が実質的に無限になる場合があり、この場合も有線による伝送は困難である。・・・(5)
・ 特に(1)と(2)の理由により、有線でのセンサー信号伝送はコスト高となる。
・ 特に(1)~(5)の理由により、有線でのセンサー信号伝送はほぼ不可能である。
・ 有線によるセンサー信号伝送における上記課題を解決するために、電源を含むセンサー装置を信号取得対象に設置する。
・ 無線伝送を用いることにより、センサー数が多くても、後付けセンサーであっても、センサー数が増加しても、および如何なる動きをする移動体であっても、柔軟に対応できる。センサー数の増加に対してはソフトウエアの設定のみで対応可能である。
・ ノイズに強い無線伝送を実現するため、耐ノイズ信号処理を適用した無線伝送を行う。
・ センサー設置に自由度が生まれる。
本願の一態様としてのポイントは次のようになる。
ポイント1:倉庫や工場のような短距離空間内において、限定的な移動を行う対象との間での高自由度な信号伝送手段に関する。
ポイント2:回転のような、移動は限定的であるが無限と見なせる移動距離を有するポイント1に記載の対象において、無線によって対象との間での通信を行う。
ポイント3:機器設置後に初めてセンサーの取り付け位置を決定可能になる状況下で、外部との通信を行う手段を採用する。
ポイント4:故障検知のための振動センサーを含み、設計毎に異なる設置後の機器に依存的な信号検知において、無線によって対象との間で通信を行うことを上記ポイント3の手段に重畳させる。
ポイント5:特に大電力機器が設置されている工場や倉庫を含む工業設備において、伝送方式としてPCM、FSK、PSK、周波数拡散を含むノイズに強靭な伝送方法を用いることをポイント1および3の手段に重畳させる。
ポイント1:倉庫や工場のような短距離空間内において、限定的な移動を行う対象との間での高自由度な信号伝送手段に関する。
ポイント2:回転のような、移動は限定的であるが無限と見なせる移動距離を有するポイント1に記載の対象において、無線によって対象との間での通信を行う。
ポイント3:機器設置後に初めてセンサーの取り付け位置を決定可能になる状況下で、外部との通信を行う手段を採用する。
ポイント4:故障検知のための振動センサーを含み、設計毎に異なる設置後の機器に依存的な信号検知において、無線によって対象との間で通信を行うことを上記ポイント3の手段に重畳させる。
ポイント5:特に大電力機器が設置されている工場や倉庫を含む工業設備において、伝送方式としてPCM、FSK、PSK、周波数拡散を含むノイズに強靭な伝送方法を用いることをポイント1および3の手段に重畳させる。
3Dシミュレータを用いた形態について箇条書きで説明する。
(1)3Dシミュレータは、実物流センターの3Dレイアウトをコンピュータ上に構築し表示する。
(2)(1)においてシャトルやベルトコンベアなどの動くものは動かす。
(3)3D物流センターのどの棚に何が収納されているか、収納されていないかを表示する。
(4)3D物流センターの内部をナビゲートする。
(5)移載命令~移載完了までの時間をヒストグラム表示(時間効率チェック)する。
(6)移載命令~移載完了までの電力をヒストグラム表示(電力効率チェック)する。
(7)各コンポーネント(シャトル1台ごと、リフタ1台ごとなど)の稼働時間、移動距離の積算データの表示(故障との相関を知るため)
(8)3D物流センターに表示された画像データを基に、実物流センターのオペレーションに介入して、ヒトの勘による効率化オペレーションを試す。
(9)3D物流センターの各種パラメータを変更して、効率の変化を試験する。
10)3D物流センターのハードウエアパラメータを変更して、故障頻度等の変化を見る。
11)各種パラメータを変化させて過去の移送を再現した時の10)の変化を見る。→効率化を図るための攻略ポイントを見定める。
12)時間当たり処理数、物品当たり処理時間などの、運用実績を示す。
(2)(1)においてシャトルやベルトコンベアなどの動くものは動かす。
(3)3D物流センターのどの棚に何が収納されているか、収納されていないかを表示する。
(4)3D物流センターの内部をナビゲートする。
(5)移載命令~移載完了までの時間をヒストグラム表示(時間効率チェック)する。
(6)移載命令~移載完了までの電力をヒストグラム表示(電力効率チェック)する。
(7)各コンポーネント(シャトル1台ごと、リフタ1台ごとなど)の稼働時間、移動距離の積算データの表示(故障との相関を知るため)
(8)3D物流センターに表示された画像データを基に、実物流センターのオペレーションに介入して、ヒトの勘による効率化オペレーションを試す。
(9)3D物流センターの各種パラメータを変更して、効率の変化を試験する。
10)3D物流センターのハードウエアパラメータを変更して、故障頻度等の変化を見る。
11)各種パラメータを変化させて過去の移送を再現した時の10)の変化を見る。→効率化を図るための攻略ポイントを見定める。
12)時間当たり処理数、物品当たり処理時間などの、運用実績を示す。
次に、3Dシミュレータを用いた形態についてその概念を箇条書きで説明する。
1)精度の高い3Dシミュレータのために、まず実物流センターを構成するコンポーネント単位でモデル化を行い、最終的にそれらを組み合わせて3Dシミュレータとする。このとき、物流センターの特徴的コンポーネント単位(例えば、故障に注目するとか、調達単位に注目するとか、工場生産単位に注目する)などによって単位が異なる。
2)コンポーネントを構成するサブコンポーネントのモデル化では、サブサブコンポーネントの粒度をどんどん細かくすればシミュレーション精度は上昇する。しかし、構築に莫大な時間と労力を要する。この粒度は物流センター全体で統一する必要はない(例えばベアリングまでモデル化するコンポーネントもあれば、それをしないコンポーネントがあって良い)。
3)実時間モードと高速モードの2つを用意する。実倉庫との比較・検証には実時間モードを、A1の学習には高速モードを用いて学習の高速化を図る。
2)コンポーネントを構成するサブコンポーネントのモデル化では、サブサブコンポーネントの粒度をどんどん細かくすればシミュレーション精度は上昇する。しかし、構築に莫大な時間と労力を要する。この粒度は物流センター全体で統一する必要はない(例えばベアリングまでモデル化するコンポーネントもあれば、それをしないコンポーネントがあって良い)。
3)実時間モードと高速モードの2つを用意する。実倉庫との比較・検証には実時間モードを、A1の学習には高速モードを用いて学習の高速化を図る。
実物流センターおける故障発生を3Dシミュレータの動作と関連付ける。これによって、3Dシミュレータの動作履歴から故障発生を予知する素データとする。
前記素データはコンポーネント単位で取得してもよい。
実物流センターの制御用AIの学習データ収集及びAIの学習についてその概念を箇条書きで説明する。特に、Deep Learning(DL)について説明する。
DLが十分効率的に制御を行えるようになるためには、大量の学習データが必要である。3Dシミュレータに対して、様々な移載命令を出してやることで、物品移動に要する時間や電力を知ることができる。これをDLの学習データに使えば、高速にDLが高率の良い制御を学習することが期待できる。
さらに、DLだけでなく、他のAI手法を導入することも可能である。
また、3Dシミュレータのモデル化はコンポーネントを組み合わせているので、新たな物流センター設計時には必要なコンポーネントを組み合わせるだけで個別対応の3Dシミュレータを構築することができ、素早く対応できる。
また、3Dシミュレータのモデル化はコンポーネントを組み合わせているので、新たな物流センター設計時には必要なコンポーネントを組み合わせるだけで個別対応の3Dシミュレータを構築することができ、素早く対応できる。
さらに、3Dシミュレータの運用時に予知保全を行うことも可能である。そのためには、故障確率やМTBF(平均故障間隔)などの基礎データと実稼働時間や移動距離を3Dシミュレータを使って比較する。実稼働時間で表示せずに相対時間や任意スケールで表示してもよい。
取得した故障データを、DL学習用の予知保全教師データとする。これにより、各コンポーネントの可動時間・距離と故障との相関をAIが学習する。
図2A~図2Dに本発明の一実施形態に係る物流センターの各例を示す。倉庫は入庫、保管・仕分、出庫の機能を有するが、図2Aは立体自動倉庫を出庫側から見た斜視図である。本例では棚1が8列並んでおり、各棚には7つの段があり、各段には数十の間口が存在し、各間口に物品を載せたトレイが収納される。入庫された物品2は棚1の空き間口に入れられる。この入庫物品は、出庫命令を受けるまで入庫間口に留まる場合もあるが、倉庫内の状況に応じて、棚間、段間、間口間を移動する場合もある。出庫命令を受けると、物品は物品移載手段(図示せず)によって各棚の出庫端まで移動し、場合によっては待機コンベア3に載せられ、コンベア4に移載する下層階に運ぶ昇降装置(図示せず)が来るまで待機する。昇降装置が来たら下層階まで移動してコンベア4に移載された物品5は、物品をトレイから取り出して出庫コンベア6上の出荷トレイ7に移し替えるGTP(Goods To Person)ステーション8に到着する。GTPステーションでは作業者9がコンベアで運ばれてきた物品を必要数だけピッキングし、出荷トレイ7に入れる。この作業は、ロボットアーム10によって自動で行われてもよい。すべての物品のピッッキングが終了したら、出荷トレイは出庫コンベア6に乗せられ、出庫ステーションに運ばれてトラックに移載される。なお、物品搬送にベルトコンベアを用いる代わりにローラーコンベアを用いる方法もあり、下記で説明するすべての場合も同様である。
本願に係る技術思想が適用される対象としての他の例として、デジタルピッキングシステムを図2Bに示す。ここでは出庫される物品が出荷トレイ11に乗せられ、コンベア12上を水平に動いている。各ピッキング作業者13は自分が担当する棚14から出荷すべき物品を必要数だけピッキングし、目前のコンベア上を流れる出荷トレイ11に物品を投入する。これを間違いなく行うために、棚14の各間口の前面には出荷指示表示15が設置される場合がある。
本願に係る技術思想が適用される対象としてのまた別の例を図2Cに示す。この例では、倉庫床面に小型の棚16を多数置き、これに物品が収納されている。棚16の底は床面から浮いた構造になっており、そこに薄型のAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)17が入り込む。円弧内には棚16とAGV17の拡大図を示す。AGV17にはリフタが設置されており、棚16の中央に潜り込むとリフタが上昇して棚16を持ち上げ、そのまま移載先へと運ばれる。これは図1Aとも図1Bとも異なる物品移載方法であり、物品は数段の低い高さの棚に収納されるので、どちらかと言えば物品は平面的に保管されている。なおAGVでは場所を示す目印(通常床に設置される)が必要であるが、AMR(Autonomous Moving Robot:自律移動ロボット)を用いれば床等に設置された目印を不要にすることが可能である。
本願に係る技術思想が適用される対象としてのさらに別の例を図2Dに示す。この例では、棚18に収納されている物品にアクセスする方法として、物品を乗せて水平・垂直に移動することで棚前面全体にアクセスし、物品の出し入れを可能としたスタッカークレーン19が移載手段として使われた例である。スタッカークレーンに乗せられた物品は、その後コンベア等に移載されて入庫、移載、あるいは出庫される。
このように、物流センターには様々な保管手段と様々なレイアウトがあり、その上物品の移載手段も、ベルトコンベア、ローラーコンベア、昇降装置、自走式電動移動台車、スタッカークレーン、AGV/AMRなどがあり、ピッキング手段には人手やロボットアームによる方法など、様々な手段が用いられる。本発明の一実施形態では、多種多様な物流センターの制御ソフトウエアを対象物流センター毎に個別に設計構築する代わりに、機械学習手段によって対象物流センターに対して目的とする制御を獲得する物流センター制御技術を対象とする。
深層学習などのANNは処理すべきデータを論理的に記述する代わりにパターンとして扱って入力とし、目的の出力を出す。本発明の一実施形態では処理すべきデータは倉庫属性(収納棚の数やレイアウト、移載手段の種類や台数と性能など)、倉庫状況(収納物品の種類や数とその収納場所、どの棚が空いているか、どの移載手段が空いているか、その移載手段が現在どこにいるかなど)、及び移載命令(どの物品を何個、どの移載先へ移載するか)であり、これらが入力されるべき情報である。一方、出力されるべき情報としては、できるだけ移載時間を短くする制御、あるいは電力使用量を小さくする制御を行う場合には移載時間、あるいは移載ルートを出力情報としてもよいがこれに限られない。たとえば、出庫時間を短縮化する制御を行う場合には、短い出庫時間を出力するような学習を行なわせれば良い。あるいは、物流センターの運用電力を小さくする制御を行う場合には、電力を小さくするような学習を行なわせれば良い。これらに限らず、出庫時の移載負荷の平準化を行う場合、騒音を最小にする場合、入庫時間を短くしたい場合など、それぞれに応じた学習を行わせることにより、目的の制御を行うことが可能である。どのような学習を行わせるかは、制御目的に応じて入力信号および/または教師信号・報酬を選択することで可能である。
このように機械学習は制御対象物流センターに応じた学習を行うことができる。機械学習のこの特性によって、制御対象物流センターの属性に依存せずに汎用的な制御を行うことが可能となる。機械学習として深層学習などのANNをはじめとし、以下に限らないが、強化学習やモンテカルロ木探索、RRT(Rapidly exploring Random Tree)などを利用すること、あるいはこれらの組合せを用いてもよい。
上記のように機械学習手段を用いて物流センターを制御するためには、学習データが必要である。しかし新規設計、納入前の制御対象物流センターにおいてはANNに学習させるべきデータが十分に存在しない。そこで制御対象の物流センターに対するシミュレータを構築する。シミュレータは制御対象物流センターの動きをシミュレートするものであり、収納棚の数やレイアウト、移載手段の種類や台数と性能、収納物品の種類や数などの制御対象の倉庫属性とそれらの動作、どの棚が空いているか、どの移載手段が空いているか、その移載手段が現在どこにいるかなどの様々な物流センター状況をコンピュータ上で表現でき、様々な命令(例えば入庫命令、出庫命令を含む移載命令であるがこれらに限らない)を与えることで、実際の制御対象物流センターの動作を模倣するものである。このようなシミュレータを構築することは可能であり、これを使うことで学習データを大量につくることができる。さらに学習途中の機械学習手段の出力によってシミュレータに構築した対象物流センターを制御させ、例えば出庫時間をより短くするように報酬や教師信号を与えることで、機械学習手段を学習させることが可能となる。その一実施形態を図3に示す。なお図2以降では図2Aの構造を有する倉庫を中心に説明するが、物品移載は移載元座標から移載先座標へ移動させることであり、この本質は物流センター一般に当てはまるので、主に図2Aの構造によって説明しても本発明の一般性は失われないことが当業者には理解される。
図3において、倉庫シミュレータ21(3Dシミュレータ)は以下に限られないが、倉庫収納タイプ(棚置き、平置きなど)、棚数、棚段数、間口数、棚座標、段座標、間口座標などの収納場所属性、移載手段タイプ(電動移動台車、スタッカークレーン、コンベア、AGV/ARRなど)と台数、走行速度、最大積載重量、現在座標などの移載手段属性などがコンピュータ上に表現される。これに対して初期状態23として物品が何も収納されていない状況を設定してそこに物品の入庫からスタートする方法もあれば、ある程度の物品が収納されている状態を初期状態として設定してしてもよい。機械学習手段22には移載命令26が外部から入力され、一方、倉庫シミュレータ21からは倉庫属性24及び倉庫状況25が入力され、制御出力27が出される。最初は学習が行われていないので、目的に沿った制御信号を出すことができないが、制御目的に沿った報酬や教師信号28を与えて学習が進むにつれ、適切な制御信号を出力するようになる。
図3では機械学習手段の制御出力が倉庫シミュレータに入力され、倉庫の制御に使われる例を示している。これにより、倉庫シミュレータと一体化して機械学習手段の学習を進めることができる。しかし別の方法として、あらかじめ構築した簡単な制御ソフトウエアによって入庫、移載、出庫などの最低限の制御を行わせ、並行して機械学習手段に学習を行わせても良い。この場合には、機械学習手段の学習が進んだ段階で、あらかじめ構築した制御ソフトウエアにとって代わって倉庫シミュレータを制御させる。
図4A~図4Dに本発明の一実施形態に係る機械学習手段の一例を示す。図4Aに深層学習を含むANN30を用いた例を示す。入力層31には倉庫属性24(収納棚の数、レイアウト、収納棚の段数、間口数、移載手段の種類、性能及び台数など)、倉庫状況25(占有間口数や空き間口数とそのアドレス及び利用可能な移載手段の台数とアドレスなど)、及び移載命令26(どの物品を何個、どの出庫ゲートへ移載するかなど)が入力される。入力層31、隠れ層32、出力層33の間の接続には様々な倉庫状況を学習した結果として制御目的に沿う結果を出力するような汎化されたパターンが形成されており、出力層33に移載時間や移載電力など制御目的に応じた予測パラメータ値と移載パスなどの制御信号27が出力される。例えば、これに限らないが、移載時間が短くなるように学習させる場合には、深層学習から出力された移載時間を記憶しておき、次の出力ではより移載時間が短くなるような学習を行わせ、その時の移載パスを倉庫の制御に用いる。なお、図4Aでは入力層、隠れ層、出力層が1次元に配置されているが、これに限らず、2次元以上でも良い。
図4Aでは倉庫属性と倉庫状況をパターン化してANNに入力したが、図4Bに示すのは移載パスの成功例34をパターンとしてANNに入力して学習させる一実施形態を示す。この例はstart35で示す間口に移載物品が存在し、それをend36で示す間口に移載する例であり、移載パスとして時間が最短とされる成功パスである。様々な空き間口や空き移載手段等で表される倉庫状況、及び様々なstartとendに対する成功パスの例をパターン化し、その多数を図4Aに示すANNに学習させる方法である。
図4Cに、本発明のまた別の実施形態に係る、強化学習を用いた例を示す。A~Eまでの5つの棚37が存在する場合を示しており、各棚の格子38は間口であり、その座標を(Ax1、Ay1)~(Axn、Ayn)、・・・(Ex1、Ey1)~(Exn、Eyn)で表す。いま、棚Aの薄い灰色の間口(Ax2、Ay2)に収納されている物品を、棚Eの濃い灰色の間口(Ex3、Ey3)へと移載する場合を考える。図3Cには全ての間口から次の棚の空き間口へ移動するパスを細線で示しており、各パスには経路コスト(例えば移動に必要な時間)が設定あるいは定義されている。これにより、(Ax2、Ay2)から(Ex3、Ey3)へ至る様々なルートに至る時間が評価される。この時間の評価においては、移載手段の現在位置などを考慮した単位パス移動時間を採用してもよい。なお、実際には塞がっている間口も存在するので、その情報があらかじめ倉庫状況として棚A~Bの全ての間口に対して登録され、塞がっている間口を避ける学習が行われる。物品収納場所が離散化した値であるという特性から、強化学習のアルゴリズムはこれに限られないが、状態空間と行動空間が共に離散化されている場合に使われるQ学習、DQN(Deep Q-Networks)、CEM(Cross Entropy Method)、SARSA(State-action-reward-state-action)、Deep SARSA、及びRRT(Rapidly exploring Random Tree)を含む手法を用いてもよい。こうして評価されたパスの中で時間最小のパスが選択される。
図4Dに、本発明のさらに別の実施形態に係る、RRTの例を示す。RRTでは次のステップの目標アドレスを暫定的に決める。例えば図4Cの棚Aの灰色の間口(A22)に収納されているトレイを、棚Eの濃い灰色の間口(E33)に移載することを考える。その間に棚B~Dが存在しているが、まず棚Bの*で示される間口(B31)に移載することを試みる。これには様々なパスがあり得るが、それらからランダムに選択して仮想的に移載を試みる。もし仮想的な移載で途中に障害場所(間口が既にトレイで塞がっていて使えないなど)に遭遇したら、パス探索を中止して次のパス探索を開始する。同じ探索を棚Bの間口*から棚Cの間口●に、さらに棚Cの間口●から棚Dの間口▲に、最後に棚Dの間口▲から棚Eの濃い灰色の間口へと探索を繰り返す。こうして棚Aの灰色の間口から棚Eの濃い灰色の間口に至るパスが探索される。探索されたパスの中から最短時間のパスを選択することにより、目的の移載ルートを得ることが可能となる。なお、図4A~図4Dには深層学習、強化学習、RRTを単独に用いた実施例を示したが、これらを組み合わせて用いても良い。
図5に、本発明の一実施形態に係る個別物流センターに応じた機械学習手段の構成を設定するGUI画面40の一例を示す。図3Aのような深層学習タイプのANN30を用いる場合には、制御対象の倉庫属性に応じて入力ノード数、中間層の層数と各層のノード数、及び出力層のノード数を設定し、かつ制御目的に応じてANNへの入力と出力、及び教師信号を決定し、最適な結果を得ることができるように設定して調節する必要がある。これを行うためのGUIを図5に示す。
ここでは深層学習を用いた場合の例を示す。まず深層学習ANNの入力ノード数、出力ノード数、隠れ層の数、各隠れ層のノード数を図4のノード数41と層数42の設定ボックスで設定する。
次にANNに入力する特徴量43を設定する。このために、画面左に表示されている対象倉庫の全ての属性と状況の一欄44、及び移載命令45の内容から、各特徴量を形成するのに必要な属性・状況、あるいは移載命令を選択する。そのために「Sel/Math」ボタン46によって倉庫属性、倉庫状況、あるいは移載命令の項目を少なくとも1つ選択する。もし複数の倉庫属性と移載命令から演算を行って特徴量を得る場合には、倉庫属性の選択後に必要な演算を設定してもよい。この演算は方程式で記述できる数学的演算に限らず、and/orで代表される何らかの論理演算でもよい。
一方、教師信号を設定するために「教師信号の設定」ボタン47を用いる。このボタンを押すことにより教師信号の選択と各種設定を行う。さらに、出力ノードの意味付けと各種設定を行うために出力設定ボタン48を用いる。例えば、出庫時間を短くする学習を行う場合には出力ノードの少なくとも1つを出庫時間ノードとして出力設定を行い、さらに教師信号が本出力設定ノードの値が小さくなるような学習動作を行うように設定する。なお、これらの設定は学習が終了すれば固定値で運用できるので、ANNの学習の初期段階で行えばよい。
図6は、本発明のさらに別の実施形態として、機械学習手段として強化学習を用いた場合のGUI画面50の一例を示す。強化学習は出発点からゴールに至るパス探索を行うので、探索対象空間のトポロジーが前提として存在する。本実施形態におけるトポロジーは対象倉庫の構造であり、これらは倉庫属性51として事前に与えられ、強化学習手段における倉庫表現52としてコンピュータ上に保持される。一方、倉庫内の空き間口情報や移載手段の現在位置などが倉庫状況53として入力される。これらに対して移載命令54が出され、それを前提とした移載パスが探索され、出庫時間を短くする場合には、移動の結果、移載棚に到達できたパスの中から最も時間が短いものが選ばれると同時に、このときのパスも出力55される。この場合、最も時間が短いパスを選ぶ手段として機械学習手段の出力を保持・演算する機能56を有してもよい。なお、強化学習では学習の過程において、パス探索が成功した時点から過去に遡って報酬を与える学習法を採用してもよい。図5は強化学習の例であるが、これに限られず、モンテカルロ木探索、RRTなど、他の機械手段を用いる場合は、それに応じたGUIとすることができる。
図7に本発明のさらに別の実施形態に係るシミュレータと機械学習手段のインターフェースを設定するGUI60の一例を示す。GUI画面には、まず倉庫シミュレータ部分61に倉庫構成(本例では7つの棚があり、各棚は3段で構成されている)がグラフィカルに表示されている。一方、機械学習手段の概要62も表示されており、これに対して倉庫シミュレータから出力される倉庫属性と倉庫状況が機械学習手段に入力されるインターフェース63もグラフィカルに表示されている。機械学習手段には、上記の他に移載命令64、報酬・教師信号65も入力され、倉庫シミュレータ―に対する制御信号66が出力され、それにより倉庫が制御される。この制御出力はON/OFF可能としてもよく、ON/OFFボタン67で設定可能である。
例えば、棚1の1段目に収納されている物品を棚7の3段目から出庫する出庫命令が出されて機械学習手段62に入力されると、機械学習手段はそれに応じた制御信号を出力する。この制御信号の倉庫シミュレータへの入力がONならば、その制御信号66によって倉庫シミュレータが仮想的な動作を開始し、棚1の1段目に収納されている灰色で示される間口に収納されていた物品が棚2→棚3→棚4→棚5→棚6→棚7の灰色で示す間口を経由して出庫される様子がグラフィカルに表示される。図7に物品で占有されている間口と空いている間口を、表示色を変えるなどの方法によってグラフィカルに区別できる表示を行ってもよい。こうすることで、機械学習手段からの制御信号によってどのように物品が移載されるのかをリアルに示すことが可能となる。
この表示が重要であるのは以下の理由による。機械学習手段の構成(例えば、ANNであれば入力層のノード数、隠れ層の数と各隠れ層のノード数、出力ノード数)、および機械学習手段に入力する特徴量とその算出方法は大きくノウハウに依存する部分であることは既に述べた。従って、上記のようなリアルな物品の動きを見ることで、どのような特徴量を機械学習手段に入力させるべきかを、人間が直感的に把握することが可能である。これにより、より適切な特徴量を倉庫属性、倉庫状況から求めることが可能となる。
図7では倉庫構成として図2Aの場合、機械学習手段として深層学習タイプのANNを採用した場合を示しているが、これらは対象倉庫の構成や採用する学習手段に応じて変更すべきことは言うまでもない。また、同一画面に特徴量の算出を行うボタンも表示されているが、任意である。例えば、機械学習手段をクリックすることで、図4や図5などに示されるフェーズに切り替わり、ここで特徴量の詳細設定を行ってもよい。一方、図7には機械学習手段からの出力設定を行うボタンが表示されていないが、図7の画面にこれを含めてもよい。
立体自動倉庫1は、倉庫業務を一括管理するホストコンピュータ(またはサーバ、クラウド等)を備えたWMS(倉庫管理システム)400と、WMS400のホストコンピュータに接続されたコンピュータを内蔵するWCS(倉庫制御システム:Warehouse
Control System)500によって管理されている。
Control System)500によって管理されている。
図9に示すように、WCS500は、CPU、メインメモリ、外部インタフェースを備え、WMS400のホストコンピュータに接続されたコンピュータと、外部インタフェースを介してこのコンピュータに接続されたストレージとを有している。
WCS500は、WMS400からの指示によって立体自動倉庫1内のマテハン機器(搬送装置30、昇降装置50、バッファコンベヤ60等)やピッキングステーション200及び梱包手段300等に対し、無線による遠隔操作や通信回線等を通じて入庫、搬送、出庫、ピッキング、自動封函等の作業指示を出す。
保管倉庫部100の棚10の任意の間口に入庫されている各保管用ケース40の内部には、図10に示すように、バーコードからなる第1識別子71が設けられた単数または複数の商品アイテム70が収納されている。また、保管用ケース40の外側部には、商品アイテム70の第1識別子71に関連付けることが可能なバーコードからなる第2識別子41が設けられている。
第1識別子71は商品アイテム70を識別するためのものであり、商品ごとに異なっている。また、第2識別子41は保管用ケース40を識別するためのものであり、保管用ケース40ごとに異なっている。第1識別子71及び第2識別子41は、バーコード以外の識別子、例えば二次元コードやRFID等で構成してもよい。
保管用ケース40に収納されたすべての商品アイテム70の属性データ(数量、日付、入出荷先、保管場所、重量等)は、当該商品アイテムの第1識別子とその商品アイテムを収納する保管ケース40の第2識別子ととともに対応付けて記憶され、上述したWMS400及びWCS500によって管理されている。
図示は省略するが、立体自動倉庫1を備える物流センターには、各メーカーからの商品アイテム70が到着するトラックバースが備わっている。トラックバースに各メーカーからの商品アイテム70が到着すると、各商品アイテム70をダンボール等の包装容器から開梱して保管倉庫部100へ入庫するためのトレー化作業が行われる。トレー化作業とは、各商品アイテム70に付した第1識別子71と保管用ケース40に付した第2識別子41とを紐づけ(上述した関連付け)する工程である。
保管用ケース40に付した第2識別子41は、トレー化作業場所に設けられたバーコードリーダの前を保管用ケース40が通過する際に読み取られる。第2識別子41の読み取りには、LED光源を照射し、その反射光をフォトダイオードで受光する等の公知技術が用いられる。一方、商品アイテム70に付した第1識別子71は、商品アイテム70を保管用ケース40に入れる毎に、トラックバースの商品投入場所に設けられたハンディスキャナによって読み取られる。
そして、WCS500のコンピュータは、読み取られた第1識別子71とその数量と第2識別子41とに基づいてトレー化テーブルを作成し、これをストレージ内のトレー化テーブル用メモリ領域に格納する。これにより、各保管用ケース40に収納された商品アイテム70の名称とその数がWCS500に把握される。
上述したトレー化作業が完了した保管用ケース40は、入庫用コンベヤ600(図8参照によって保管倉庫部100へ搬送される。なお、トレー化作業場所と保管倉庫部100とを接続する入庫用コンベヤ600の一端は、ピッキングステーション200の上部に配置される。
保管用ケース40を保管倉庫部100に入庫する際は、まず、WMS400のホストコンピュータで下された入庫命令がWCS500のコンピュータに伝達される。
WCS500のCPUは、保管倉庫部100に入庫する商品アイテム70の名称と数量を上記入庫命令によって把握する。WCS500のCPUは、ハードディスクドライブに格納され、予め決められた作業指示プログラムに基づいて保管データテーブルと入庫テーブルとを比較し、最適な入庫順情報を作成して保管倉庫部100のマテハン機器(搬送装置30、バッファコンベヤ60、昇降装置50等)に作業指示を出す。ここで、入庫順情報とは、各保管用ケース40保管用ケース40をどの順序でどの間口に格納するかを決める経路と順序のことである。
このとき、WCS500のCPUは、入庫テーブルとトレー化テーブルとを参照し、各商品アイテム70がいずれの保管用ケース40に格納されているかを確認した後、保管情報テーブルとトレー化テーブルとを比較し、各保管用ケース40をどの棚10のどの段に保管するかを決定する。
保管用ケース40を入庫するアドレス(通路20の棚10の段の間口のアドレスを示す)を決定する際には、すでに入庫されている保管用ケース40のアドレス情報を保管データテーブルから読み出し、保管用ケース40の数が少ない通路20の棚10の段に入庫させる。
入庫命令が下された各保管用ケース40は、マテハン機器の動作に従い、順次決定された通路20の棚10の段に移動して入庫される。そして、WCS500は、この入庫データ(保管用ケース40のアドレス情報や入庫時刻等)に従って保管データテーブルを更新する。
このようにして棚10の任意の間口に保管された商品アイテム70に対し、店舗等の顧客から注文があった場合には、当該商品アイテム70が入った保管用ケース40が搬送装置30によって棚10の間口から出庫され、バッファコンベヤ60及び昇降装置50を介してピッキングステーション200に搬送される。
保管倉庫部100から商品アイテム70を出庫する際には、まずWMS400から商品アイテム70の出庫命令が下され、これがWCS500のコンピュータを介してピッキングステーション200に伝達される。出庫命令には、商品アイテム70とその数量、出庫時刻及び配送先を対応付けた出庫情報が含まれている。
WCS500のCPUは、ストレージに格納された既定の作業指示プログラムに従って保管情報と出庫情報とを比較し、最適な出庫順情報を作成してマテハン機器(搬送装置30、バッファコンベヤ60、昇降装置50等)を動作させる。
具体的には、WCS500のストレージに格納された既定の作業指示プログラムに従って出庫命令に対応する商品アイテム70が収納された保管用ケース40を選択し、当該保管用ケース40を棚10から出庫するために搬送装置30を移動させる。そして、出庫の対象である保管用ケース40の保管位置に到着した搬送装置30は、保管用ケース40を把持してバッファコンベヤ60に移載する。
保管倉庫部100から出庫された保管用ケース40がピッキングステーション200に到着すると、作業者やロボット等のピッキング部90は、当該保管用ケース40内の商品アイテム70とその数量とを表示したディスプレイ画面の指示に従って商品アイテム70をピッキングし、出荷用コンベヤ91を流れる出荷先別の出荷用ケース(出荷用媒体)80(または段ボール等の梱包資材)に投入する。
出荷用ケース80への商品アイテム70の投入が完了すると、ピッキング部90は、ディスプレイ画面に表示されたピッキング完了ボタンをタッチする。これにより、WCS500は、ストレージに格納された既定の作業指示プログラムに従い、出荷用ケース80を梱包部300に向かって搬送させる。
ピッキングステーション200において商品アイテム70がピッキングされた保管用ケース40のうち、内部に商品アイテム70が残っている保管用ケース40は、バッファコンベヤ60及び昇降装置50によって再び保管倉庫部100に搬送され、搬送装置30によって棚10に戻される。この場合、保管用ケース40が戻される場所は元の場所である必要はなく、任意の棚10の空いた保管スペースが利用される(フリーロケーション方式)。
一方、商品アイテム70のピッキングが完了して空になった保管用ケース40は、保管倉庫部100の上流のトレー化作業場所に搬送され、新たに入荷した商品アイテム70が収納された後、入庫用コンベヤ600を通じて保管倉庫部100に搬送される。
梱包部300では、ピッキングステーション200から送られてきた出荷用ケース80から商品アイテム70が取り出され、ダンボール箱等の梱包資材で梱包された後、出荷及び配送処理に付される。
梱包部300に送られてきた出荷用ケース80は、WCS500のストレージから読み出された出荷情報と、当該出荷用ケース80内の商品アイテム70及びその数量、出荷先の顧客情報及び店舗情報、出荷日時等の情報との間に齟齬がないかチェックされ、その後、当該出荷用ケース80内の商品アイテム70が取り出されて自動封函装置等によって梱包される。
上記のような作業が行われる立体自動倉庫1では、保管倉庫部100のマテハン機器(搬送装置30、昇降装置50、バッファコンベヤ60等)に故障が発生して商品アイテム70の搬送や入出庫がストップすると、顧客への入荷時間が遅延し、大きな損失を生じてしまうことがある。
特に、保管倉庫部100のマテハン機器の中でも昇降装置50は、保管倉庫部100内の狭い空間に設置されている。そのため、物流センターの立体自動倉庫1のように、マテハン機器が長期間に亘って24時間稼動している場合には、保守作業員が保管倉庫部100に立ち入って昇降装置50の定期的な点検作業を実施することが困難である。また、昇降装置50は、保管用ケース40を載せた架台55を垂直方向に上下動させるための動力伝達機構となるプーリやベルトを備えているが、プーリに内蔵されたベアリングは外部から目視点検することができないので、ベアリングの異常の程度や交換時期をマンパワーによって検知することは極めて困難である。
そこで、以下では本実施の形態に係る昇降装置50の部品交換予知システムについて、図面を参照しながら説明する。
図11は、保管倉庫部100に設置された昇降装置50の主要部を示す概略図、図12は、図11に示す昇降装置50の一部(上部プーリ近傍)を拡大して示す概略図である。
昇降装置50は、受動回転手段である下部プーリ51及び上部プーリ52と、それらの間に懸架されたベルト53と、下部プーリ51を回転駆動する能動回転手段である減速機付きモータ54と、上部プーリ52の回転に連動して垂直方向に上下動する架台55等の駆動系(駆動部品)を備えている。下部プーリ51及び減速機付きモータ54は、ボルト56a,56b(固定手段)によってステージ57上に固定されており、上部プーリ53は、ボルト58(固定手段)によってフレーム59に固定されている。
昇降装置50の駆動系を構成する上記各部品(下部プーリ51、上部プーリ52、減速機付きモータ54、ボルト56a、56b、58)の近傍には、各部品から発生する振動を検知する振動センサー2が取り付けられている。振動センサー2としては、定期的に振動レベルを自動計測し、その計測値を無線通信によって3Dシュミレータに送信することができる無線型振動センサーが適している。
昇降装置50を構成する上記各部品は、当該部品に固有の共振周波数(固有周波数)を有している。振動センサー2は、各部品から発生する3軸(X・Y・Z方向)の振動(加速度)を同時に計測し、これら全ての振動が合わさった複雑な振動波形をFFT(Fast
Fourier Transformation;高速フーリエ変換)アナライザで解析することにより、振動源である各部品ごとの単純な周波数成分に分解する。
Fourier Transformation;高速フーリエ変換)アナライザで解析することにより、振動源である各部品ごとの単純な周波数成分に分解する。
一方、昇降装置50を構成する各部品は、経時的な劣化(ボルトの場合は、緩み)が進行するにつれて当該部品から発生する振動の大きさと周波数が変化していく。そこで、振動センサー2を使って、各部品から発生する振動を長期間に亘って継続的に測定し、部品ごとの周波数の経時的変化(固有周波数からの変動量)を観測することにより、異常が発生した部品と当該部品の故障発生時期とを推定することが可能となる。
図13及び図14は、振動センサー2で測定した振動波形をFFTアナライザで解析した部品ごとの周波数の一例を示している。各図において、横軸は周波数で左から右に向かって増加する。縦軸は計測回数(毎回2秒間ずつ計測した総回数)で、上から下に向かって増加することを表している。この図は周波数と回数について、それぞれ所定の範囲を抜粋したものである。
図13は、交換直後の初期状態にある部品から発生する周波数、図14は、交換から所定時間経過後に同一部品から発生する周波数をそれぞれ示している。交換から所定時間経過後の部品から発生する周波数(図14)は、初期状態にある同一部品から発生する周波数(図13)から変動していることが判る。
図15は、本実施の形態に係る部品交換予知システムの概念を模式化したグラフである。グラフの縦軸は、部品から発生する周波数の変動量を異常度として表したものであり、横軸は時間を表している。
昇降装置50の駆動系を構成する各部品は、経時的な劣化が進行するにつれて、当該部品から発生する周波数の変動量(固有周波数からの変動量)が大きくなるなどの変化をする。そこで、各部品から発生する周波数の変動量と部品の劣化の程度(異常度)との関係をあらかじめ学習し、その学習済みモデルに基づいて周波数の変動量に閾値を設けておく。
そして、ある部品の周波数の変動量が当該閾値を超えたときには、振動センサー2の計測値を受信した3Dシミュレータから物流センターの運営者の端末機に対し、インターネット等の情報通信網を通じて表1のような警告メールを自動送信する。
図17にセンサーからの信号の1例を示す。図17Aには振動センサーが検出した振幅信号を、Bにはそのフーリエ変換の例を示す。図17Aに示すように、正常な状態では振幅も小さく、周期も一定であるが、少し不具合な状態に至ると振幅が大きくなり、周期も少し乱れてくる。更に状態が悪化すると振動の振幅は更に大きくなり、周期の乱れも大きくなる。図17の周期の乱れの例を図17Bに示す。最終的に故障すれば動作が停止するので振動がなくなり、振幅はゼロになる。
この例では正常状態から故障状態に至るマイルストーンを4段階で示したが、センサーの種類やデータ取得の解像度を上げれば、更に多くのマイルストーンが存在することに気づく。この場合には、図18に示すように、正常であるスタート(S)から、故障であるゴール(G)の間には多くのマイルストーンと多くのルートが存在する。たとえば、図1の例では振動センサーが検出できるデータだけを示したが、音響センサーや温度センサーなどが存在すれば、それらからも多くの異なるデータが送られてくる。これら複数センサーのデータをまとめてセンサーの信号状態空間、すなわちセンサー信号の解析から抽出したn個の特徴量がつくるn次元空間を構成することが可能である。この場合には、あるひとまとまりの特徴量クラスターを装置の状態と定義し、この状態が正常状態(S)から出発して様々なルートとマイルストーンを通過して、故障状態(G)へと至ることになる(図2の「1」~「20」)。
このように、各センサーからのデータから特徴量を抽出してn次元の特徴量空間内にクラスターを定義し、クラスター間の状態遷移を故障に至るマイルストーンと対応させ、この学習を行わせれば強化学習の手法を故障検出と予知に使うことが可能になる。図18のダイヤグラムを得ることが出来れば、今現在装置がどのマイルストーンに存在するかを同定することは容易であり、従って、故障にどれくらい近いかを推定することができる。各マイルストーン間の遷移に要する時間を得ることにより、現在の状態から故障に至るまでの時間を推定することも可能となる。
上記では強化学習を例にとって述べたが、これに限らない。様々な機械学習の手法の中で、多段階ステップの状態遷移を構築できるような手法は、すべて本特許の範囲である。
上記の次第であるから、本願の態様によれば、トラブル発生後に対応する「事後保全」、あるいは定期点検の際に状況を見て部品交換などを行う「予防保全」ではなく、最新のAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使って故障の兆候を予知する「予知保全」が可能となり、これにより「止めない物流」を実現することができる。
Claims (5)
- 物流センターの入荷から出荷までの全工程において、センシング手段および/または映像取得手段より取得された搬送物と作業員とマテハン機器の識別情報を通信回線より入手し、コンピュータ上の3Dシミュレータにより前記搬送物の物流量と、前記作業員および/または前記マテハン機器の動線とを最適化し、物流量情報と、故障検知及び/もしくは故障予知情報と、を表示する物流システム。
- 前記搬送物と作業員とマテハン機器の識別情報を機械学習に入力し、前記機械学習の出力を前記3Dシミュレータに入力する請求項1に記載の物流システム。
- 音響、振動、加速度、荷重、速度、画像、温度、湿度の少なくともいずれか一つを含む前記タグ情報を加工し、特徴量を抽出する工程を経たデータを機械学習の入力とすることを特徴とする請求項2記載の物流システム。
- 現実空間である物流センターにおける昇降機器及び/もしくは前記昇降機器を構造的に支保する構造体及び
/もしくは前記構造体に関連する部品(以下、これらをまとめて「昇降機器」という)に設置され振動を含む物理量に係るセンシング情報をリアルタイムもしくは一定時間間隔ごとに取得するセンサーと、前記センサーが取得するセンシング情報を、無線を通じて送信する無線送信部と、前記無線送信部から送信されたセンシング情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信されたセンシング情報をもとに前記昇降機器の現在の動作状況を再現できる3Dシミュレータ装置を具備し、前記受信部によって受信されたセンシング情報と前記3Dシミュレータ装置によるシミュレーション情報とを勘案したうえで、前記昇降機器の部品の交換時期を予知する3Dシミュレータとを具備することを特徴とする予知保全サービスのための移動体の常時監視システム。 - 前記3Dシミュレータは、前記センシング情報から、人工知能(AI)技術によって、前記昇降機器の部品の交換時期を予知することを特徴とする請求項4に記載の予知保全サービ
スのための移動体の常時監視システム。
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CN116050803A (zh) * | 2023-02-27 | 2023-05-02 | 湘南学院 | 一种定制家具板件自动分拣的动态调度方法 |
CN116280850A (zh) * | 2023-03-20 | 2023-06-23 | 北京易酒批电子商务有限公司 | 货物自动拣选系统 |
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- 2021-03-24 JP JP2021050815A patent/JP2022148935A/ja active Pending
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CN116280850A (zh) * | 2023-03-20 | 2023-06-23 | 北京易酒批电子商务有限公司 | 货物自动拣选系统 |
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