JP2022146488A - アルカンの吸着剤およびイソオクタンの分離方法 - Google Patents

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【課題】短時間でアルカンを吸着することが可能である、新規構造の吸着剤を提供する。【手段】下記一般式(I)で示されるチアカリックスアレーンから構築される超分子有機結晶を有効成分とすることを特徴とするアルカンの吸着剤。【化1】TIFF2022146488000006.tif4969【選択図】図8

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイトにおいて発表 掲載アドレス: https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/chem.202000043 上記掲載アドレスにてダウンロードされるChemistry-A European Journal,vol.26,Issue 38、第8393~8399頁 掲載年月日: 令和2年3月31日
本発明は、アルカンの吸着剤およびイソオクタンの分離方法に関する。
アルカンは直鎖、分岐、環状アルカンの飽和炭化水素である。電子的偏りが少ないこれらアルカンを効果的に分離する方法は、高度分離精製法や分子認識が発達した現在においても難しい。そのため、効果的にアルカン類を分離できる材料の開発が求められている。なかでも、ガソリンにおけるアルカンの分離はオクタン価の向上のための必須技術とされている。ガソリンは、炭素数4~11から成るアルカンやアルケン、芳香族化合物の混合物であり、リサーチオクタン価(RON)が96以上のガソリンがハイオク、RONが86以上のガソリンがレギュラーに分類される。このRONは、ガソリン中のイソオクタンとn-へプタン混合物中のイソオクタンの体積比で評価される指標である。
イソオクタンとn-へプタンの沸点(99℃と98℃)は近いため、蒸留によってn―へプタンを分離し、高RONガソリンを得ることは難しい。ガソリンを高RONにするには、(1)高温・高圧による熱改質法と(2)白金固定化触媒による接触改質法の2つがあり、日本においては(2)が主である。直鎖アルカンの高RON化は、異性化触媒による反応で、直鎖アルカンから分岐アルカンへと変換させることによって実施されている。
しかし、この異性化反応は、直鎖アルカンから分岐アルカンへの反応がある一定のところまで進んだ時点で、反応の進行がストップ(反応が平衡に達するため)するというデメリットが存在する。そのため、未反応の直鎖アルカンを除去するため、様々な方法が行われている。その中の一つに、ゼオライト5Aを充填した吸着体と接触させることで分離する方法が挙げられる。一般的に、アルカン自体は、炭素―炭素と炭素―水素の結合で構成される飽和炭化水素化合物である。つまり、アルカンは分極が低く(極性が低い)、吸着剤との十分な相互作用は期待できないことから、未反応の直鎖アルカンと分岐アルカンとを分離するのに時間を要する状況である。
ゼオライト5Aの他にも、カーボンモレキュラーシーブをはじめ、新規ゼオライト材料、金属-有機構造体(MOF)など吸着剤としての可能性が報告されているが(非特許文献1)、上記理由により効果的な分離は難しい。そのため、低極性のアルカンを高選択的に分離できる新たな手法や材料の開発が必要である。アルカンの形状やサイズを効果的に認識し、選択的に短時間で吸着できる材料の開発は、これからの高RONガソリン精製に貢献できる重要な研究の一つであると考えられる。
Barcia, P. S., Silva, J. A. C., Rodrigues, A. E. Adsorption dynamics of C5‐C6 isomerate fractions in zeolite beta for the octane improvement of gasoline. Energy Fuels 2010, 24, 1931-1940
以上より、本発明は、従来に比べ短時間でアルカンを吸着することが可能である、新規構造の吸着剤を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定構造のチアカリックスアレーンの超分子有機結晶有効成分とする吸着剤により、上記課題を解決可能であることを見出した。
第1の本発明は、下記一般式(I)で示されるチアカリックスアレーンから構築される超分子有機結晶を有効成分とすることを特徴とするアルカンの吸着剤である。
Figure 2022146488000002
第1の本発明において、吸着対象であるアルカンが、分岐アルカンであることが好ましい。
第1の本発明において、吸着対象であるアルカンが、イソオクタンであることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明の吸着剤にイソオクタンとn-へプタンとの混合物から選択的にイソオクタンを吸着させる吸着工程を有するイソオクタンの分離方法である。
第2の本発明において、前記吸着工程の前に、第1の本発明の吸着剤を加熱することで、前記超分子有機結晶に含まれる結晶化溶媒を除去する工程を備えることが好ましい。
本発明の吸着剤によると、従来に比べ短時間で、アルカンを吸着することが可能である。
図1は、2成分のアルカン混合物に対する活性化結晶の競合吸着実験の結果である。 図2は、活性化結晶のアルカン蒸気吸着の優位性の結果である。 図3(a)は、2,2-ジメチルブタン、および、2,3-ジメチルブタンに対する活性化結晶の蒸気吸着等温線であり、図3(b)は、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタンに対する活性化結晶の蒸気吸着等温線であり、図3(c)は、n-ペンタン、n-ヘキサン、および、n-へプタンに対する活性化結晶の蒸気吸着等温線である。 図4は、活性化結晶へのイソオクタンの吸着実験における実験方法を示す説明図である。 図5は、イソオクタンの蒸気を吸着した結晶をサンプル管から取り出し、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)を行った結果である。下は拡大図である。 図6(A)は、式(I)のチアカリックスアレーンの超分子有機結晶を調製した直後の結晶の粉末X線回折(PXRD)パターンであり、図6(B)は、該超分子有機結晶中からシクロヘキサンを除去することで得られる活性化結晶のPXRDパターンであり、図6(C)は、該活性化結晶をイソオクタンに暴露した後のPXRDパターンである。 図7は、活性化結晶のイソオクタンに対する吸着平衡時間を示した図である。 図8は、イソオクタンとn-へプタンに対する吸着等温線である。図中の●と〇はイソオクタンの吸着と脱着、▲と△はn-へプタンの吸着と脱着を示す。 図9は、イソオクタンとn-ヘプタンの混合系からの競争的な吸着実験で得られた結晶について測定したH NMRスペクトルである。下は拡大図である。 図10は、イソオクタンとn-ヘプタンの体積比を変化させた際の選択性についても調査した結果である。 図11は、活性化結晶に対して、イソオクタンを繰り返し吸着させた結果である。
<吸着剤>
本発明の吸着剤は、下記一般式(I)で示されるチアカリックスアレーンから構築される超分子有機結晶を有効成分とし、吸着対象をアルカンとする、吸着剤である。
Figure 2022146488000003
本発明の吸着剤の特色は、アルカンの構造(形とサイズ)を効果的に認識できるチアカリックスアレーン超分子有機結晶の性質を生かし、「アルカン」、好ましくは、「分岐アルカン」、より好ましくは、RONの評価基準で用いられる「イソオクタン」を効果的に分離できることである。
本発明の吸着剤の有効成分である、「チアカリックスアレーン分子1同士が集合により構築されるチャネル型の柔軟な吸着サイトを持った3次元構造の超分子有機結晶」は、次に挙げる特徴を有する。
(1)アルカンの形状やサイズを認識して吸着サイトの「ゲートをON/OFF」する特徴、
(2)ゲートオープニング効果を伴って急激にアルカンを吸着する特徴、
(3)柔軟性のある構造、
これら特徴により、所定の「アルカン」、好ましくは「分岐アルカン」、より好ましくは「イソオクタン」のみを効果的に取り込むことができる。また、イソオクタンを選択的・効果的に分離できることから、高RON化が可能な吸着剤として大いに期待できる。
(チアカリックスアレーン)
本発明の吸着剤を構成するチアカリックスアレーンは、硫黄元素と芳香族で構成される環状化合物であり、4量体、つまり、チアカリックス[4]アレーンであって、向かい合ったフェノール単位が反転した1,3-alternate型である。
各芳香族環は、4位にBr基を有し、1位にOPr基を有する。
(超分子有機結晶)
上記したチアカリックスアレーンは、シクロヘキサンを含んだ超分子有機結晶を形成する。上記チアカリックスアレーンとシクロヘキサンとより構成される超分子有機結晶を加熱することにより、シクロヘキサンを結晶外に放出することができる。本明細書において、上記超分子有機結晶から、シクロヘキサンを除いた後の結晶を「活性化結晶」と呼ぶ。
活性化結晶の調製における、温度は、好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは90℃以上120℃以下である。また、活性化結晶は好ましくは減圧下で加熱することにより調製されるが、減圧度については、特に限定されない。
本発明者らは、超分子有機結晶からシクロヘキサンを除いた後の活性化結晶は、無孔であるにも関わらず、アルカンの形状とサイズを認識して、アルカンの蒸気を吸着することができることを見出した。その現象とは、アルカンの蒸気圧力がある一定のところに達した時点で、結晶中の吸着ゲートが全開(ゲートオープニング効果)となり、急激にアルカン蒸気を吸着することである。
また、この結晶は、共有結合や配位結合などの強い結合で構築されているのではなく、比較的弱い分子間相互作用で式(I)のチアカリックスアレーンが集合することにより形成されるため、結晶構造が柔軟であり、吸着できるアルカンのサイズの許容範囲が大きいことも本発明者らが行った蒸気吸着実験から明らかとなっている。
(吸着対象)
上記活性化結晶は、アルカンの形状とサイズとを認識して、アルカンの蒸気を特異的に吸着する。吸着可能なアルカンとしては、例えば、分岐アルカンとして、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、イソオクタン、環状アルカンとして、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタンが挙げられる。
一方、上記活性化結晶は、直鎖アルカンの蒸気を吸着しない。直鎖アルカンとしては、例えば、n-へプタン、n-ヘキサン、n-ペンタンを挙げることができる。
吸着対象であるアルカンの吸着に要する時間、つまり、吸着剤の吸着容量が飽和する時間は、3~5時間程度である。
本発明の吸着剤は、アルカンの形状とサイズの認識能力と柔軟な構造的特徴を組み合わせることで、RONの向上剤として機能性を持たすことが期待できる。つまり、分岐アルカンと直鎖アルカンとの混合物から、分岐アルカンを選択的に吸着する機能を有するRON向上剤としての機能が期待できる。
本発明の吸着剤は、中でも、分岐アルカンとしてイソオクタン、直鎖アルカンとしてn-へプタンの混合物から、イソオクタンを選択的に吸着する吸着剤として使用することが可能であり、RON向上剤としての用途に適用可能である。
<イソオクタンの分離方法>
(吸着工程)
本発明のイソオクタンの分離方法は、上記した本発明の吸着剤にイソオクタンとn-へプタンとの混合物を接触させて、該混合物から選択的にイソオクタンを吸着させる吸着工程を有する。
イソオクタンとn-へプタンとの混合物を吸着剤に接触させる方法は、後の実施例において示すように、イソオクタンとn-へプタンとの混合物の蒸気に、本発明の吸着剤を接触させる方法が好ましい。
イソオクタンとn-へプタンとの混合物から選択的にイソオクタンを吸着剤に吸着させるのに要する時間、つまり、吸着剤の吸着容量が飽和する時間は、40~60時間の間である。
イソオクタンの吸着は、イソオクタンの分圧がある程度になった時点で、吸着剤の吸着ゲートが全開となり、吸着が開始されるので、そのイソオクタンの分圧を、4kPa以上とすることが好ましい。
(結晶化溶媒除去工程)
上記した吸着工程の前に、本発明の吸着剤中の超分子有機結晶中の結晶化溶媒を除去して、活性化結晶とする工程を有することが好ましい。
該結晶化溶媒除去工程は、超分子有機結晶を加熱することにより行うことができる。好ましくは減圧下において加熱することにより行うことができる。減圧度は、得に限定されない。加熱温度は、好ましくは80℃以上150℃以下であり、好ましくは90℃以上120℃以下である。
超分子結晶が有する結晶化溶媒としては、超分子結晶作成時に内包しているシクロヘキサン、または、上記した吸着工程後の結晶が有するイソオクタン等を挙げることができる。
<活性化結晶の調製>
下記式(I)で示されるチアカリックスアレーンの超分子有機結晶を100℃、減圧下、一晩加熱することで、該超分子有機結晶に含まれるシクロヘキサンを除去した活性化結晶を調製した。
Figure 2022146488000004
<活性化結晶へのアルカン混合物の吸着実験(アルカン類の吸着優位性の評価)>
図1に、2成分のアルカン混合物に対する活性化結晶の競合吸着実験の結果を示す。吸着した各種アルカンの量は、H NMRにより求めた。
[a]吸着したアルカンの数は、平衡状態において測定した値である。アルカンの数は、測定したH NMRのアルカンのケミカシフトの積分値から、式(I)のチアカリックスアレーンを1分子とした値として求めた。
測定は、開口した15mLバイアル中の300mgの活性化結晶を、1:1(v/v)でアルカン混合物5mLを含む50mLのバイアル中に、2日間、常温、常圧にて静置することで行った。
図1に示すように、種々のアルカン混合物において、それぞれ吸着に対して優位性が見られた。アルカン蒸気の活性化結晶に対する吸着の優位性について、図2にまとめた。
また、図3に活性化結晶の、分岐アルカン(a)、環状アルカン(b)、および、直鎖アルカン(c)に対する吸着等温線を示す。測定は、298Kにて行った。
直鎖アルカンは全く吸着されないことが示された(図3(c))。一方、分岐アルカンの2,2-ジメチルブタン、と2,3-ジメチルブタンや、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、については、吸着能を有していた。図3(b)より、環状アルカンでの、吸着優位性は、シクロペンタン<シクロヘキサン<シクロへプタンの順であり、環状アルカンのサイズが大きくなるほど優先的に吸着することが分かった。また、分岐アルカンも含めた優位性については、図2に示した通りであった。
<活性化結晶へのイソオクタンの吸着実験>
上記で調製した活性化結晶にイソオクタンを吸着させる実験を行った。図4に実験方法を示す。活性化結晶を入れた15mL容のサンプル管を、イソオクタンを入れた50mL容のサンプル管に入れ、蓋をして、2日間、静置した。
イソオクタンの蒸気を吸着した結晶をサンプル管から取り出し、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)を行った結果を図5に示す。図5の下の拡大図に示されるように、活性化結晶に取り込まれたイソオクタンの化学シフトが、0.89ppmと0.90ppm、1.17ppm、1.65ppmに検出された。本結晶はイソオクタンを吸着していることが確認された。
次いで、サンプル菅から取り出した結晶の粉末X線回折(PXRD)パターンを図6に示す。下から順に、式(I)のチアカリックスアレーンの超分子有機結晶を調製した直後のPXRDパターン(A)、該超分子有機結晶中からシクロヘキサンを除去することで得られる活性化結晶のPXRDパターン(B)、該活性化結晶をイソオクタンに暴露した後のPXRDパターン(C)である。
活性化結晶にイソオクタンを曝すことで、調製直後のチアカリックスアレーン超分子有機結晶のPXRDパターン(A)と同様のパターンを示す。これは、活性化結晶がイソオクタンを吸着することで、チアカリックスアレーン超分子有機結晶に近い形に結晶構造が変化したことを示唆する。つまり、シクロヘキサンが取り込まれていた位置にイソオクタンが取り込まれていることを意味する。
<活性化結晶へのイソオクタンの吸着平衡時間と吸着等温線>
活性化結晶のイソオクタンに対する吸着平衡時間を調査するため、イソオクタンに暴露した後の各時間におけるイソオクタンの吸着量を核磁気共鳴スペクトルのH NMRにより算出した。暴露実験は<活性化結晶へのイソオクタンの吸着実験>で示した図4の実験器具を使用して実施した。暴露時間を1~19時間とし、吸着量として、チアカリックスアレーン1分子当たりのイソオクタンの割合を図7に示した。活性化結晶は1~4時間の間でイソオクタンを急激に吸着し、4時間以降のイソオクタンの吸着量は平衡に達していることが明らかとなった。
次に、イソオクタンとn-へプタンに対する吸着等温線を図8に示す。図中の●と〇はイソオクタンの吸着と脱着、▲と△はn-へプタンの吸着と脱着を示す。イソオクタンの吸着は蒸気圧4kPa付近から急激に始まり、最大吸着量は15mLであった。この急激な吸着現象は、活性化結晶中の吸着サイトがONとなり、イソオクタンを取り込んでいることを意味する。また、脱着については、系内の圧力を減少させても脱着は見られず、安定に保持されていることが観測された。一方、n-へプタンに関して、活性化結晶は吸着能力を示さないことが本実験により証明された。以上から、本活性化結晶はイソオクタンを認識して吸着していると結論付けることができる。
<イソオクタンとn-ヘプタン混合蒸気からの吸着実験>
活性化結晶が、イソオクタンのみを吸着するかどうかを実証するため、イソオクタンとn-ヘプタンの混合系からの競争的な吸着実験を実施した。イソオクタンとn-ヘプタンの体積混合比を1:1とし、<活性化結晶へのイソオクタンの吸着実験>で示した図4の実験器具を使用して行った。混合蒸気の暴露時間を2日間として行った際の得られた結晶について測定したH NMRスペクトルを図9に示す。n-ヘプタンの化学シフトは観測されず、イソオクタンのみの化学シフトが検出された。活性化結晶に取り込まれたイソオクタンの化学シフトは、0.89ppmと0.90ppm、1.17ppm、1.65ppmである。つまり、本結晶はイソオクタンのみを選択的に吸着していると結論付けることができる。
次に、イソオクタンとn-ヘプタンの体積比を変化させた際の選択性についても調査した。体積比はイソオクタン:n-ヘプタン=0.2:1、0.4:1、0.6:1、0.8:1の条件で実施した。また、本実験は<活性化結晶へのイソオクタンの吸着実験>で示した図4の実験器具を使用して行った。イソオクタンおよびn-へプタンの吸着量はH NMRの積分強度により算出した。吸着量として、チアカリックスアレーン1分子当たりのイソオクタンの割合を図10に示した。暴露時間は5~168時間である。
まず初めに、本実験から、いずれの体積比においても、活性化結晶はn-へプタンを吸着していないことをH NMRにて確認できた。イソオクタンの吸着量は、イソオクタンの割合が多いほど大きいことが示された。競争的な吸着実験においては、イソオクタンの吸着平衡は48時間であることが明らかとなった。
<イソオクタンの繰り返し吸着実験(活性化結晶の繰り返し利用)>
図11に、活性化結晶に対して、イソオクタンを繰り返し吸着させた結果を示した。図4に示すように、活性化結晶を入れた15mL容のサンプル管を、イソオクタンを入れた50mL容のサンプル管に入れ、蓋をして、2日間、静置した(吸着一回目)。
その後、イソオクタンの吸着量(mL/g)を核磁気共鳴スペクトルのH NMRにより算出した。イソオクタンを吸着した結晶に対して、100℃、減圧下、一晩加熱することで、含まれるイソオクタンを除去して活性化結晶を再調製(脱着処理)した。
該再調製した活性化結晶に対して、上記同様の方法により、吸着処理(二回目)および脱着処理(二回目)を行った。また、これらの処理を、5回まで繰り返した。
図11に示すように、イソオクタンの吸着と脱着とを繰り返すと、徐々に低い蒸気圧にて、吸着が可能となることが分かった。つまり、本発明の吸着剤に対して、使用前に、好ましくは1~5回、より好ましくは3~5回、さらに好ましくは4~5回の溶媒の吸着および脱着処理を行うことにより、本発明の吸着剤の吸着能力を向上できることが分かった。
本発明の吸着剤は、アルカンの構造(形とサイズ)を効果的に認識できるチアカリックスアレーン超分子有機結晶の性質を生かし、アルカン、好ましくは分岐アルカン、より好ましくはイソオクタンを効果的に分離することができる。
また、本発明のイソオクタンの分離方法によると、ガソリンのRONの向上方法としての用途に好適である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示されるチアカリックスアレーンから構築される超分子有機結晶を有効成分とすることを特徴とするアルカンの吸着剤。
    Figure 2022146488000005
  2. 吸着対象であるアルカンが、分岐アルカンである、請求項1に記載の吸着剤。
  3. 吸着対象であるアルカンが、イソオクタンである、請求項1に記載の吸着剤。
  4. 請求項1~3に記載の吸着剤にイソオクタンとn-へプタンとの混合物から選択的にイソオクタンを吸着させる吸着工程を有するイソオクタンの分離方法。
  5. 前記吸着工程の前に、請求項1~3に記載の吸着剤を加熱することで、前記超分子有機結晶に含まれる結晶化溶媒を除去する工程を備える、請求項4に記載のイソオクタンの分離方法。
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