JP2022145222A - 固体酸化物型燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 短絡の発生を抑制することができる固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供する。【解決手段】 固体電解質層と、固体電解質層の第1面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有するアノードと、アノード上に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第1混合層と、第1混合層上に設けられ、金属を主成分とする第1支持体と、固体電解質層の第2面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有するカソードと、カソード上に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第2混合層と、第2混合層上に設けられ、金属を主成分とする第2支持体と、を備え、アノード、第1混合層および第1支持体の外周と、カソード、第2混合層および第2支持体の外周とのうち、いずれか一方が他方に対して内方に位置する。【選択図】 図1

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池およびその製造方法に関する。
自動車などで使用可能な固体酸化物型燃料電池システムを開発するためには、振動に耐えられかつ急速昇温でも割れないセルを開発することが望まれている。そこで、金属支持体で指示するメタルサポートタイプの固体酸化物型燃料電池が開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特表2004-512651号公報 特開2020-21646号公報
しかしながら、アノードとカソードとの間に構造の相違があることに起因して、熱膨張係数に差異が生じ、焼成時に固体酸化物型燃料電池に反りが生じるおそれがある。そこで、アノード側およびカソード側の構造上の相違を小さくするために対称構造にすることが考えられる。しかしながら、焼成時にアノード側の金属支持体とカソード側の金属支持体との間に短絡部分が生じるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、短絡の発生を抑制することができる固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池は、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物を含む固体電解質層と、前記固体電解質層の第1面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有し、当該多孔体にアノード触媒を有するアノードと、前記アノードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第1混合層と、前記第1混合層の前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属を主成分とする第1支持体と、前記固体電解質層の第2面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有し、当該多孔体にカソード触媒を有するカソードと、前記カソードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第2混合層と、前記第2混合層の前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属を主成分とする第2支持体と、を備え、前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周と、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周とのうち、いずれか一方が他方に対して内方に位置することを特徴とする。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周と、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周とのうち、いずれか一方が他方に対して1mm以上内方に位置していてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池は、平面視で略矩形状を有し、前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周から、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周までの長さを長さaとし、前記固体酸化物型燃料電池の1辺の長さを長さbとした場合に、a/bは、1/10以下であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周に対して、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周が内方に位置していてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池の反り量は、4%未満であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池の積層方向を含む断面において、各層における空隙について、各層が延びる方向の長さを長さcとし、積層方向の高さを高さdとした場合に、前記アノードの各空隙のc/dの平均値よりも、前記カソードの各空隙のc/dの平均値の方が大きく、前記第1混合層の各空隙のc/dの平均値よりも、前記第2混合層の各空隙のc/dの平均値の方が大きく、前記第1支持体の各空隙のc/dの平均値よりも、前記第2支持体の各空隙のc/dの平均値の方が大きくてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記カソード、前記第2混合層、および前記第2支持体の各空隙のc/dの平均値は、1を上回り、3未満であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノード触媒は、NiおよびGDCであり、前記カソード触媒は、PrO、LSM、LSC、GDCの少なくとも1種類を含んでいてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノード触媒および前記カソード触媒のそれぞれの平均粒径は、100nm以下であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記第1支持体における空隙率、前記第1混合層における空隙率、および前記アノードにおける空隙率の間には、前記第1支持体>前記第1混合層>前記アノードの関係が成立し、前記第2支持体における空隙率、前記第2混合層における空隙率、および前記カソードにおける空隙率の間には、前記第2支持体>前記第2混合層>前記カソードの関係が成立してもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記第1支持体の厚み、前記第1混合層の厚み、および前記アノードの厚みの間には、前記第1支持体>前記第1混合層>前記アノードの関係が成立し、前記第2支持体の厚み、前記第2混合層の厚み、および前記カソードの厚みの間には、前記第2支持体>前記第2混合層>前記カソードの関係が成立してもよい。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池の製造方法は、金属粉末を含む支持体グリーンシートと、セラミックス材料粉末および金属材料粉末を含む混合層グリーンシートと、電子伝導性セラミックス材料粉末および酸化物イオン伝導性セラミックス材料粉末を含む電極グリーンシートと、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物材料粉末を含む電解質グリーンシートとが積層された積層体を準備する工程と、前記電解質グリーンシートの外周よりも内方に、電子伝導性セラミックス材料粉末および酸化物イオン伝導性セラミックス材料粉末を含むスラリと、セラミックス材料粉末および金属材料粉末を含むスラリと、金属粉末を含むスラリとを印刷したうえで焼成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、短絡の発生を抑制することができる固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供することができる。
(a)は固体酸化物型の燃料電池の積層構造を例示する模式的断面図であり、(b)は燃料電池の平面図である。 第1支持体、第1混合層、アノード、カソード、第2混合層、および第2支持体の詳細を例示する拡大断面図である。 燃料電池の反りを説明するための図である。 空隙の形状を例示する図である。 (a)および(b)は空隙の形状を例示する図である。 (a)および(b)は長さcおよび高さdの測定方法について説明するための図である。 燃料電池の製造方法のフローを例示する図である。 ガス漏れが感知された熱処理温度とc/d値との関係を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
図1(a)は、固体酸化物型の燃料電池100の積層構造を例示する模式的断面図である。図1(b)は、燃料電池100の平面図である。図1(a)で例示するように、燃料電池100は、固体電解質層40の第1面にアノード30を備え、アノード30の固体電解質層40と反対側の面に第1混合層20を備え、第1混合層20の固体電解質層40と反対側の面に第1支持体10を備え、固体電解質層40の第2面にカソード50を備え、カソード50の固体電解質層40と反対側の面に第2混合層60を備え、第2混合層60の固体電解質層40と反対側の面に第2支持体70を備える構造を有している。複数の燃料電池100を積層させて、燃料電池スタックを構成してもよい。
図1(a)および図1(b)で例示するように、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40は、略同サイズの矩形状(例えば、正方形状)を有している。また、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の外周(側面)の位置は、略一致している。したがって、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の各外周によって外周面が形成される。なお、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の矩形状の1辺の長さを長さbと称する。
カソード50、第2混合層60および第2支持体70は、略同サイズの矩形状(例えば、正方形状)を有している。また、カソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周(側面)の位置は、略一致している。したがって、カソード50、第2混合層60および第2支持体70の各外周によって外周面が形成される。
カソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周面は、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の外周面よりも内方に位置する。第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の外周面から、カソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周面までの長さを、長さaと称する。
図1(a)および図1(b)の例では、カソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周面が第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の外周面よりも内方に位置しているが、第1支持体10、第1混合層20、アノード30および固体電解質層40の外周面がカソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周面よりも内方に位置していてもよい。この場合においては、固体電解質層40の外周は、カソード50、第2混合層60および第2支持体70の外周に略一致する。
固体電解質層40は、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物を主成分とし、ガス不透過性を有する緻密な固体層である。固体電解質層40は、スカンジア・イットリア安定化酸化ジルコニウム(ScYSZ)などを主成分とすることが好ましい。Y+Scの濃度は6mol%~15mol%の間で酸化物イオン伝導性が最も高く、この組成の材料を用いることが望ましい。また、固体電解質層40の厚みは、20μm以下であることが好ましく、より望ましいのは10μm以下である。電解質は薄いほど良いが、両側のガスが漏れないように製造するためには、1μm以上の厚みが望ましい。
図2は、第1支持体10、第1混合層20、アノード30、カソード50、第2混合層60、および第2支持体70の詳細を例示する拡大断面図である。
第1支持体10は、ガス透過性を有するとともに、第1混合層20、アノード30、固体電解質層40、カソード50および第2混合層60を支持可能な部材である。第1支持体10は、金属多孔体であり、例えば、Fe-Cr合金の多孔体などである。
アノード30は、アノードとしての電極活性を有する電極であり、セラミックス材料の多孔体(電極骨格)を有する。多孔体には、金属成分が含まれていない。この構成では、高温還元雰囲気での焼成時に、金属成分の粗大化によるアノードの空隙率の低下が抑制される。また、第1支持体10の金属成分との合金化が抑制され、触媒機能低下が抑制される。
アノード30の多孔体は、電子伝導性および酸化物イオン伝導性を有している。アノード30は、電子伝導性セラミックス31を含有している。電子伝導性セラミックス31として、例えば、組成式がABOで表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTi、Crから選ばれる少なくとも1種であるペロブスカイト型酸化物を用いることができる。AサイトとBサイトのモル比は、B≧Aであってもよい。具体的には、電子伝導性セラミックス31として、LaCrO系材料、SrTiO系材料などを用いることができる。
また、アノード30の多孔体は、酸化物イオン伝導性セラミックス32を含有している。酸化物イオン伝導性セラミックス32は、ScYSZなどである。例えば、スカンジア(Sc)が5mol%~16mol%で、イットリア(Y)が1mol%~3mol%の組成範囲を有するScYSZを用いることが好ましい。スカンジアとイットリアの添加量が合わせて6mol%~15mol%となるScYSZがさらに好ましい。この組成範囲で、酸化物イオン伝導性が最も高くなるからである。なお、酸化物イオン伝導性セラミックス32は、例えば、酸化物イオンの輸率が99%以上の材料である。酸化物イオン伝導性セラミックス32として、GDCなどを用いてもよい。図2の例では、酸化物イオン伝導性セラミックス32として、固体電解質層40に含まれる固体酸化物と同じ固体酸化物を用いている。
図2で例示するように、アノード30において、例えば、電子伝導性セラミックス31と酸化物イオン伝導性セラミックス32とが多孔体を形成している。この多孔体によって、複数の空隙が形成される。多孔体の空隙率は、断面で見たときの面積比で20%以上が好ましい。空隙部分の多孔体の表面には、アノード触媒が担持されている。したがって、空間的に連続して形成されている多孔体において、複数のアノード触媒が空間的に分散して配置されている。アノード触媒として、複合触媒を用いることが好ましい。例えば、複合触媒として、酸化物イオン伝導性セラミックス33と、触媒金属34とが、多孔体の表面に担持されていることが好ましい。酸化物イオン伝導性セラミックス33として、例えば、YがドープされたBaCe1-xZr(BCZY、x=0~1)、YがドープされたSrCe1-xZr(SCZY、x=0~1)、SrがドープされたLaScO(LSS)、GDCなどを用いることができる。触媒金属34として、Niなどを用いることができる。酸化物イオン伝導性セラミックス33は、酸化物イオン伝導性セラミックス32と同じ組成を有していてもよいが、異なる組成を有していてもよい。なお、触媒金属34として機能する金属は、未発電時には化合物の形態をとっていてもよい。例えば、Niは、NiO(酸化ニッケル)の形態をとっていてもよい。これらの化合物は、発電時には、アノード30に供給される還元性の燃料ガスによって還元され、アノード触媒として機能する金属の形態をとるようになる。
第1混合層20は、金属材料21とセラミックス材料22とを含有する。第1混合層20において、金属材料21とセラミックス材料22とがランダムに混合されている。したがって、金属材料21の層とセラミックス材料22の層とが積層されたような構造が形成されているわけではない。第1混合層20においても、複数の空隙が形成されている。金属材料21は、金属であれば特に限定されるものではない。図2の例では、金属材料21として、第1支持体10と同じ金属材料が用いられている。セラミックス材料22として、電子伝導性セラミックス31、酸化物イオン伝導性セラミックス32などを用いることができる。例えば、セラミックス材料22として、ScYSZ、GDC、SrTiO系材料、LaCrO系材料などを用いることができる。SrTiO系材料およびLaCrO系材料は高い電子伝導性を有するため、第1混合層20におけるオーム抵抗を小さくすることができる。
カソード50は、カソードとしての電極活性を有する電極であり、セラミックス材料の多孔体(電極骨格)を有する。多孔体には、金属成分が含まれていない。カソード50の多孔体は、電子伝導性および酸化物イオン伝導性を有している。カソード50は、電子伝導性セラミックス51を含有している。電子伝導性セラミックス51として、例えば、組成式がABOで表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTi、Crから選ばれる少なくとも1種であるペロブスカイト型酸化物を用いることができる。AサイトとBサイトのモル比は、B≧Aであってもよい。具体的には、電子伝導性セラミックス51として、LaCrO系材料、SrTiO系材料などを用いることができる。電子伝導性セラミックス51は、電子伝導性セラミックス31と同じ成分を含んでいることが好ましく、同じ組成比率を有していることが好ましい。
また、カソード50の多孔体は、酸化物イオン伝導性セラミックス52を含有している。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、ScYSZなどである。例えば、スカンジア(Sc)が5mol%~16mol%で、イットリア(Y)が1mol%~3mol%の組成範囲を有するScYSZを用いることが好ましい。スカンジアとイットリアの添加量が合わせて6mol%~15mol%となるScYSZがさらに好ましい。この組成範囲で、酸化物イオン伝導性が最も高くなるからである。なお、酸化物イオン伝導性セラミックス52は、例えば、酸化物イオンの輸率が99%以上の材料である。酸化物イオン伝導性セラミックス52として、GDCなどを用いてもよい。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、酸化物イオン伝導性セラミックス32と同じ成分を含んでいることが好ましく、同じ組成比率を有していることが好ましい。図2の例では、酸化物イオン伝導性セラミックス52として、固体電解質層40に含まれる固体酸化物と同じ固体酸化物を用いている。
図2で例示するように、カソード50において、例えば、電子伝導性セラミックス51と酸化物イオン伝導性セラミックス52とが多孔体を形成している。この多孔体によって、複数の空隙が形成される。多孔体の空隙率は、断面で見たときの面積比で20%以上が好ましい。空隙部分の多孔体の表面には、カソード触媒53が担持されている。したがって、空間的に連続して形成されている多孔体において、複数のカソード触媒53が空間的に分散して配置されている。カソード触媒53として、酸化プラセオジム(PrO)、LSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)、LSC(ランタンストロンチウムコバルタイト)などを用いることができる。LSMは、SrドープしたLaMnO系材料である。LSMは、SrドープしたLaCoO系材料である。
第2混合層60は、金属材料61とセラミックス材料62とを含有する。第2混合層60において、金属材料61とセラミックス材料62とがランダムに混合されている。したがって、金属材料61の層とセラミックス材料62の層とが積層されたような構造が形成されているわけではない。第2混合層60においても、複数の空隙が形成されている。金属材料61は、金属であれば特に限定されるものではない。図2の例では、金属材料61として、第2支持体70と同じ金属材料が用いられている。セラミックス材料62として、電子伝導性セラミックス51、酸化物イオン伝導性セラミックス52などを用いることができる。例えば、セラミックス材料62として、ScYSZ、GDC、SrTiO系材料、LaCrO系材料などを用いることができる。SrTiO系材料およびLaCrO系材料は高い電子伝導性を有するため、第2混合層60におけるオーム抵抗を小さくすることができる。
第2支持体70は、ガス透過性を有するとともに、第2混合層60、カソード50、固体電解質層40、アノード30、および第1混合層20を支持可能な部材である。第2支持体70は、金属多孔体であり、例えば、Fe-Cr合金の多孔体などである。
燃料電池100は、以下の作用によって発電する。第2支持体70には、空気などの、酸素を含有する酸化剤ガスが供給される。酸化剤ガスは、第2支持体70および第2混合層60を介してカソード50に到達する。カソード50においては、カソード50に到達した酸素と、外部電気回路から供給される電子とが反応して酸化物イオンになる。酸化物イオンは、固体電解質層40を伝導してアノード30側に移動する。一方、第1支持体10には、水素ガス、改質ガスなどの、水素を含有する燃料ガスが供給される。燃料ガスは、第1支持体10および第1混合層20を介してアノード30に到達する。アノード30に到達した水素は、アノード30において電子を放出するとともに、カソード50側から固体電解質層40を伝導してくる酸化物イオンと反応して水(HO)になる。放出された電子は、外部電気回路によって外部に取り出される。外部に取り出された電子は、電気的な仕事をした後に、カソード50に供給される。以上の作用によって、発電が行われる。
以上の発電反応において、触媒金属34は、水素と酸化物イオンとの反応における触媒として機能する。電子伝導性セラミックス31は、水素と酸化物イオンとの反応によって得られる電子の伝導を担う。酸化物イオン伝導性セラミックス32は、固体電解質層40からアノード30に到達した酸化物イオンの伝導を担う。カソード触媒53は、酸素ガスと電子とから酸化物イオンが生成される反応における触媒として機能する。電子伝導性セラミックス51は、外部電気回路からの電子の伝導を担う。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、固体電解質層40への酸化物イオンの伝導を担う。
燃料電池は、粉末材料を用いて各層を積層し、同時に焼成することによって作製することができる。しかしながら、焼成過程における各層の収縮挙動差が大きいと、図3で例示するような反りが生じる。燃料電池に反りが生じていると、複数の燃料電池を積層してスタックを構成する際に、各燃料電池に応力が生じ、割れやすくなる。
なお、図3で例示するように、セルを平坦の面に置いた際に面と接触した両側の距離を距離Bとする。反りの頂点から平坦面までの垂直距離を距離Aとする。セルの厚みをLとする。この場合において、反り量T(%)=(A-L)/B×100(%)と定義する。
しかしながら、本実施形態に係る燃料電池100では、アノード30およびカソード50の両方とも、電子伝導性セラミックスと酸素イオン伝導性セラミックスとによって多孔体が形成されている。この構成においては、アノード30とカソード50との間における構造上の相違が小さくなる。また、アノード側に第1混合層20が設けられ、カソード側に第2混合層60が設けられている。さらに、アノード側に第1支持体10が設けられ、カソード側に第2支持体70が設けられている。このように、燃料電池100は、固体電解質層40を中心にして、対称構造を有している。それにより、焼成過程における各層の収縮挙動差が小さくなり、反りが抑制される。例えば、反り量T(%)は、4%未満となる。
また、焼成過程においてアノード側の電子伝導性を有する部分と、カソードの電子伝導性を有する部分とが接続されてしまうと、電極間短絡が発生するおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る燃料電池100は、図1(a)で説明した長さaが設けられていることから、アノード側の電子伝導性を有する部分と、カソードの電子伝導性を有する部分とが離れるようになる。それにより、電極間短絡を抑制することができる。
なお、a/bが小さいほど、有効発電面積が大きいことになる。したがって、a/bに上限を設けることが好ましい。例えば、a/b<1/10であることが好ましく、a/b<1/20であることがより好ましく、a/b<1/50であることがさらに好ましい。例えば、100mm×100mmの正方形状セルにおいて、間隔aを1mmとすると、カソード50の面積は、98mm×98mmとなる。
電極間短絡を抑制する観点から、長さaは、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。
上述したように、燃料電池100の発電時にはカソード側に酸化剤ガスが流動する。したがって、発電時にはカソード側の金属成分が酸化膨張してひび割れが生じるおそれがある。そこで、燃料電池100は、酸化膨張に起因する応力を吸収できる構造を有していることが好ましい。例えば、各層に形成される空隙の形状によって応力を吸収できることが好ましい。以下、詳細について説明する。
図4は、積層方向を含む断面において、第1支持体10、第1混合層20、およびアノード30に形成されている空隙81の形状と、第2支持体70、第2混合層60、およびカソード50に形成されている空隙82の形状とを例示する図である。図4で例示するように、第1支持体10、第1混合層20、およびアノード30に形成されている空隙81は、略円形状を有していることが好ましい。一方、第2支持体70、第2混合層60、およびカソード50に形成されている空隙82は、略楕円形状を有していることが好ましい。
ここで、積層方向に切った断面において、閉じられた空隙において各層が延びる方向(以下、横方向とも称する。)における長さを長さcとし、積層方向における空隙の高さを高さdとする。長さcは、1つの空隙内において、横方向における最大長さのことである。高さdは、1つの空隙内において、積層方向における最大高さのことである。
c/dが大きいほど、各層における空隙と空隙との間を埋める材料の長さが小さくなる。したがって、横方向の膨張が緩和され、固体電解質層40が割れにくくなる。図5(a)および図5(b)で例示するように、横方向において、空隙間の材料の長さLは、L+L+L+L+Lとなる。熱膨張による長さの増加はΔL=L×線膨張係数で計算される。酸化による長さの増加はΔL=L×酸化膨張係数で計算される。いずれの場合にも、線膨張係数および酸化膨張係数は、物性値であり、材料が決まれば定数である。したがって、長さ増加ΔLはLに比例することが分かる。図5(a)の楕円の空隙82と図5(b)の真円の空隙81と比較した場合に、単位長さ当たりの材料トータル長さLは、図5(b)よりも図5(a)の方が小さいことが分かる。したがって、長さの増加ΔLも楕円の空隙82のほうが小さいことが分かる。ΔLが小さいほど、固体電解質層40とのミスマッチがより緩和されるため、固体電解質層40はより割れにくくなることになる。
カソード側で酸化膨張が生じ、アノード側で酸化膨張が生じないことから、カソード側のc/dがアノード側のc/dよりも大きいことが好ましい。したがって、カソード50に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値が、アノード30に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きいことが好ましい。第2混合層60に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値が、第1混合層20に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きいことが好ましい。第2支持体70に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値が、第1支持体10に形成されている複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きいことが好ましい。
ここで、長さcおよび高さdの測定方法について説明する。実際の空隙は、理想的な楕円ではなく、不規則な外周形状を持っている。セルの断面に対してSEM観察を行い、SEM写真から長さcおよび高さdを測定する。図6(a)および図6(b)で例示するように、空隙部分の横方向の最長距離をcとし、縦方向の最長距離をdとする。カソード50、第2混合層60、および第2支持体70はすべて同じ方法で測定し、各層において、20個以上の空隙の長さcおよび高さdを測定し、平均した値をそれぞれの層の長さcおよび高さdとする。この平均した長さcおよび高さdを用い、各層におけるc/dの値を計算することができる。第1支持体10、第1混合層20、およびアノード30の空隙の長さcおよび高さdも同様の手法により測定することができる。
カソード側のc/dを大きくする観点から、カソード50、第2混合層60、および第2支持体70のそれぞれについて、c/dの平均値は、1を上回ることが好ましく、1.2を上回ることがより好ましく、1.5を上回ることがさらに好ましい。
一方、c/dが大きすぎると、焼成後の多孔質層(カソード50、第2混合層60および第2支持体70)の表面にひび割れが発生するおそれがある。そこで、c/dに上限を設けることが好ましい。例えば、カソード50、第2混合層60、および第2支持体70のそれぞれについて、c/dの平均値は、3未満であることが好ましく、2.5未満であることがより好ましく、2未満であることがさらに好ましい。
なお、アノード30およびカソード50の両方とも、電子伝導性セラミックスと酸素イオン伝導性セラミックスとによって多孔体が形成されていると、アノード30とカソード50との間における構造上の相違が小さくなるため、アノード30とカソード50とを同時に焼成できるようになる。その結果、固体電解質層40に対するアノード30およびカソード50の密着性が向上し、膜剥がれが抑制され、燃料電池100全体のオーム抵抗が低減される。
また、燃料電池100は、金属を主成分とする第1支持体10および第2支持体70を備えることから、熱衝撃、機械的衝撃等に強い構成を有している。また、第1混合層20は、金属材料21とセラミックス材料22とを含有することから、金属の材料性質とセラミックスの材料性質とを併せ持つ。したがって、第1混合層20は、第1支持体10との間に高い密着性を有するとともに、アノード30との間に高い密着性を有する。以上のことから、第1支持体10とアノード30との間の層間剥がれを抑制することができる。第2混合層60は、金属材料61とセラミックス材料62とを含有することから、金属の材料性質とセラミックスの材料性質とを併せ持つ。したがって、第2混合層60は、第2支持体70との間に高い密着性を有するとともに、カソード50との間に高い密着性を有する。以上のことから、第2支持体70とカソード50との間の層間剥がれを抑制することができる。
また、燃料電池100においては、アノード30の多孔体に酸化物イオン伝導性セラミックス33が担持されている。この構造では、先に多孔体を焼成によって形成し、その後に酸化物イオン伝導性セラミックス33を含浸させて低温で焼成することが可能となる。したがって、酸化物イオン伝導性セラミックス32と酸化物イオン伝導性セラミックス33とが同じ組成を有していなくても、酸化物間反応が抑制される。したがって、酸化物イオン伝導性セラミックス33として、複合触媒に適した酸化物を選択する自由度が大きくなる。
同様に、燃料電池100においては、カソード50の多孔体にカソード触媒53が担持されている。この構造では、先に多孔体を焼成によって形成し、その後にカソード触媒53を含浸させて低温で焼成することが可能となる。したがって、酸化物イオン伝導性セラミックス52とカソード触媒53とが同じ組成を有していなくても、酸化物間反応が抑制される。したがって、カソード触媒53として、好ましい酸化物を選択する自由度が大きくなる。
また、第1支持体10における空隙率、第1混合層20における空隙率、アノード30における空隙率との間には、(第1支持体10>第1混合層20>アノード30)の関係が成立することが好ましい。第2支持体70における空隙率、第2混合層60における空隙率、カソード50における空隙率との間には、(第2支持体70>第2混合層60>カソード50)の関係が成立することが好ましい。この関係が成立することで、支持体においては十分なガス透過性が得られる。電極では、比較的低い空隙率を有することによって、ガス透過性を保ちつつ、高い電子伝導性と高い酸化物イオン伝導性が得られる。混合層では、ガス透過性が得られるとともに、支持体との接触面積が得られて支持体との密着性が得られるようになる。
また、第1支持体10の厚み、第1混合層20の厚み、およびアノード30の厚みの間には、第1支持体10>第1混合層20>アノード30の関係が成立することが好ましく、第2支持体70の厚み、第2混合層60の厚み、およびカソード50の厚みの間には、第2支持体70>第2混合層60>カソード50の関係が成立することが好ましい。これらの関係が成立することにより、燃料電池100全体の多く(例えば8割以上)の体積がメタル材料で構成されるため、急速昇降温、フレキシブルなどの機械的強度が向上するという効果が得られる。
アノード反応およびカソード反応は、触媒の表面に起こる化学反応であるため、当該化学反応を促進する観点から、触媒の単位体積あたりの表面積が大きいことが好ましい。例えば、アノード触媒(酸化物イオン伝導性セラミックス33および触媒金属34)およびカソード触媒53の平均結晶粒径は、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
アノード30およびカソード50のそれぞれの厚み、第1混合層20および第2混合層60のそれぞれの厚み、および第1支持体10および第2支持体70のそれぞれの厚みにおけるバラツキが大きくなると、燃料電池100の構造が非対称構造に近づき、上下の材料間の熱応力が相殺されず、燃料電池100に反りが生じるおそれがある。そこで、例えば、アノード30の厚みがカソード50の厚みの±50%以内、第1混合層20の厚みが第2混合層60の厚みの±50%以内、第1支持体10の厚みが第2支持体70の厚みの±50%以内のバラつき範囲内であることが好ましい。
以下、燃料電池100の製造方法について説明する。図7は、燃料電池100の製造方法のフローを例示する図である。
(第1支持体用材料および第2支持体用材料の作製工程)
支持体用材料として、金属粉末(例えば、粒径が10μm~100μm)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、消失材(有機物)、バインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。支持体用材料は、支持体を形成するための材料として用いる。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と金属粉末との体積比は、例えば1:1~20:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。第1支持体用材料では、消失材として、円形状の樹脂粒子を用いる。第2支持体用材料では、消失材として、楕円形状の樹脂粒子を用いる。
(第1混合層用材料および第2混合層用材料の作製工程)
混合層用材料として、セラミックス材料22,62の原料であるセラミックス材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、金属材料21,61の原料である小粒径の金属材料粉末(例えば、粒径が1μm~10μm)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と、セラミックス材料粉末および金属材料粉末と、の体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。セラミックス材料粉末は、電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末とを含んでいてもよい。この場合、電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とすることが好ましい。また、電子伝導性材料の代わりに電解質材料ScYSZ、GDCなどを用いても界面のはがれが無く、セルの作製が可能である。ただし、オーム抵抗を小さくする観点から、電子伝導性材料と金属粉末とを混合することが好ましい。第1混合層用材料では、消失材として、円形状の樹脂粒子を用いる。第2混合層用材料では、消失材として、楕円形状の樹脂粒子を用いる。
(アノード用材料の作製工程)
アノード用材料として、多孔体を構成するセラミックス材料粉末、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。多孔体を構成するセラミックス材料粉末として、電子伝導性セラミックス31の原料である電子伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、酸化物イオン伝導性セラミックス32の原料である酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)などを用いてもよい。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と電子伝導性材料粉末との体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とする。アノード用材料では、消失材として、円形状の樹脂粒子を用いる。
(カソード用材料の作製工程)
カソード用材料として、多孔体を構成するセラミックス材料粉末、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。多孔体を構成するセラミックス材料粉末として、電子伝導性セラミックス51の原料である電子伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、酸化物イオン伝導性セラミックス52の原料である酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)などを用いてもよい。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と電子伝導性材料粉末との体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とする。なお、アノード用材料とカソード用材料とが共通する場合には、アノード用材料をカソード用材料として用いてもよい。カソード用材料では、消失材として、楕円形状の樹脂粒子を用いる。
(電解質層用材料の作製工程)
電解質層用材料として、酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、ScYSZ、YSZ、GDCなどであって、粒径が10nm~1000nm)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。有機成分(バインダ固形分、可塑剤)と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比は、例えば6:4~3:4の範囲とする。
(焼成工程)
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、第1支持体用材料を塗工することで、第1支持体グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、第1混合層用材料を塗工することで、第1混合層グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、アノード用材料を塗工することで、アノードグリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、電解質層用材料を塗工することで、電解質層グリーンシートを作製する。例えば、第1支持体グリーンシートを複数枚、第1混合層グリーンシートを1枚、アノードグリーンシートを1枚、電解質層グリーンシートを1枚の順に積層する。第1支持体グリーンシート、第1混合層グリーンシート、アノードグリーンシート、および電解質層グリーンシートの外周を一致させる。積層体を所定の大きさにカットすることで、各外周を一致させてもよい。その後、電解質グリーンシート上に、カソード電極用材料のスラリを印刷する。乾燥後、カソード電極用材料上に、第2混合層用材料のスラリを印刷する。乾燥後、第2混合層用材料上に、第2支持体用材料のスラリの印刷および乾燥を数回繰り返すことによって第2支持体用材料を厚塗りする。なお、カソード電極用材料のスラリ、第2混合層用材料のスラリ、および第2支持体用材料のスラリを印刷する際に、印刷方向と水平に楕円樹脂粒子を長さ方向に配向させるため、スラリを適切な遠心分離条件で実施してから印刷を行なう。また、カソード電極用材料のスラリ、第2混合層用材料のスラリ、および第2支持体用材料のスラリについては、電解質グリーンシートの外周よりも内方に印刷する。その後、酸素分圧が10-16atm以下の還元雰囲気において1100℃~1300℃程度の温度範囲で焼成する。それにより、第1支持体10、第1混合層20、アノード30の多孔体、固体電解質層40、カソード50の多孔体、第2混合層60、第2支持体70を備えるセルを得ることができる。炉内に流す還元ガスは、H(水素)を不燃ガス(Ar(アルゴン)、He(ヘリウム)、N(窒素)など)で希釈したガスであってもよく、Hが100%のガスであってもよい。安全を考慮して、爆発限界までの上限を設けることが好ましい。例えば、HとArの混合ガスの場合には、Hの濃度は4体積%以下であることが好ましい。
(アノード含浸工程)
次に、酸化物イオン伝導性セラミックス33および触媒金属34の原料を、アノード30の多孔体内に含浸させる。例えば、還元雰囲気で所定の温度で焼成するとGdドープセリアあるいはSc,YドープジルコニアとNiが生成するように、Zr、Y、Sc、Ce、Gd、Niの各硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、アノード30の多孔体内に含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。
(カソード含浸工程)
次に、PrOなどのカソード触媒53をカソード50の多孔体内に含浸させる。カソード触媒53としてPrOを用いる場合には、例えば、Prの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、カソード50の多孔体内に含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。カソード触媒53としてLSMを用いる場合には、例えば、Srの硝酸塩または塩化物、Laの硝酸塩または塩化物、Mnの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、ハーフセルを含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。カソード触媒53としてLSCを用いる場合には、例えば、Srの硝酸塩または塩化物、Laの硝酸塩または塩化物、Coの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、ハーフセルを含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。
本実施形態に係る製造方法によれば、アノード30およびカソード50を焼成する際に、両方とも電子伝導性材料および酸化物イオン伝導性材料を用いているため、アノード30の多孔体とカソード50の多孔体との間の構造上の相違が小さくなる。また、アノード側に第1混合層20が焼成され、カソード側に第2混合層60が焼成される。さらに、アノード側に第1支持体10が焼成され、カソード側に第2支持体70が焼成される。このように、燃料電池100は、固体電解質層40を中心にして、対称構造を有している。それにより、焼成過程における各層の収縮挙動差が小さくなり、反りが抑制される。例えば、反り量T(%)は、4%未満となる。
また、カソード電極用材料のスラリ、第2混合層用材料のスラリ、および第2支持体用材料のスラリについては、電解質グリーンシートの外周よりも内方に印刷している。それにより、アノード側の電子伝導性を有する部分と、カソードの電子伝導性を有する部分とが離れるようになり、電極間短絡を抑制することができる。
また、アノード側の消失材の形状とカソード側の消失材の形状とを異ならせることによって、カソード側のc/dをアノード側のc/dよりも大きくすることができる。例えば、カソード50に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値を、アノード30に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きくすることができる。第2混合層60に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値を、第1混合層20に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きくすることができる。第2支持体70に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値を、第1支持体10に形成される複数の空隙についての各c/dの平均値よりも大きくすることができる。
また、アノード30の多孔体とカソード50の多孔体との間の構造上の相違が小さくなるため、アノード30とカソード50とを同時に焼成できるようになる。その結果、固体電解質層40に対するアノード30およびカソード50の密着性が向上し、膜剥がれが抑制され、燃料電池100全体のオーム抵抗が低減される。
また、第1混合層用材料に金属材料とセラミックス材料とが含まれていることから、焼成後の第1混合層20は、金属材料21とセラミックス材料22とを含有するようになる。それにより、第1混合層20は、金属の材料性質とセラミックスの材料性質とを併せ持つ。したがって、焼成工程の際に、第1支持体10とアノード30との間の層間剥がれを抑制することができる。第2混合層用材料に金属材料とセラミックス材料とが含まれていることから、焼成後の第2混合層60は、金属材料61とセラミックス材料62とを含有するようになる。それにより、第2混合層60は、金属の材料性質とセラミックスの材料性質とを併せ持つ。したがって、焼成工程の際に、第2支持体70とカソード50との間の層間剥がれを抑制することができる。
第1支持体10における空隙率、第1混合層20における空隙率、アノード30における空隙率との間に、(第1支持体10>第1混合層20>アノード30)の関係が成立し、第2支持体70における空隙率、第2混合層60における空隙率、カソード50における空隙率との間に、(第2支持体70>第2混合層60>カソード50)の関係が成立するように、支持体用材料、混合層用材料、アノード用材料、およびカソード用材料における消失材の量を調整することが好ましい。この関係が成立することで、支持体においては十分なガス透過性が得られる。電極では、緻密になって高い酸化物イオン伝導性が得られる。混合層では、ガス透過性が得られるとともに、支持体との接触面積が得られて支持体との密着性が得られるようになる。
また、本実施形態に係る製造方法では、先に多孔体を焼成によって形成し、その後に複合触媒を含浸させて低温(例えば、850℃以下)で焼成することが可能である。したがって、アノード30の多孔体とアノード触媒との反応が抑制される。また、カソード50の多孔体とカソード触媒との反応が抑制される。したがって、アノード触媒およびカソード触媒を選択する自由度が大きくなる。
上記実施形態に係る製造方法に従って、燃料電池100を作製した。
(実施例1)
支持体用材料として、SUS(ステンレス)の粉末を用いた。電解質層として、ScYSZを用いた。アノードの電子伝導性セラミックスにLaCrO系材料を用いて、酸化物イオン伝導性セラミックスにはScYSZを用いた。カソードの電子伝導性セラミックスにLaCrO系材料を用いて、酸化物イオン伝導性セラミックスにはScYSZを用いた。混合層のセラミックス材料には、LaCrO系材料を用いた。混合層の金属材料には、SUSを用いた。
支持体グリーンシート、混合層グリーンシート、アノードグリーンシート、電解質グリーンシートの順で積層し、その上にカソード用材料を印刷して乾燥し、混合層用材料を印刷して乾燥し、支持体用材料を印刷して乾燥した。その後、焼成工程を行ない、対称構造を有する単セルを作製した。c/dを調整するため、カソード用材料、カソード側の混合層用材料、およびカソード側の支持体用材料における楕円状消失材の長さ方向はRとし、短い方向はrとし、R/r=1.5/1の樹脂を用いた。セルのサイズは100mm×100mmであり、カソード側を印刷する際に外周から1mmの間隔をとった。つまり、98mm×98mmの面積で反対側を印刷した。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、1.5であった。焼結が進行する際に、消失材によって生じた空隙は当方的に収縮したため、R/r=c/d=1.5になったと考えられる。一方、アノード側は球状の消失材を用い、焼結が進行する際に、当方的に収縮し、R/r=c/d=1になったと考えられる。アノード側は98mm×98mmの面積に対してNiおよびGDCを含浸し、カソード側に98mm×98mmにお面積に対してLSMを含浸した。
反りを評価したところ、1%以下であった。これは、対称構造としたからであると考えられる。また、電極間短絡は生じていなかった。これは、カソード側を印刷する際に外周から間隔をとったからであると考えられる。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクターで挟み込んだ状態で評価した。また、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は0.3Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。セルの有効発電面積利用率は(98×98)/(100×100)=96%であり、有効面積が大きいほどセルから取り出せる電流が高くなったため、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は19.1Aであった
(実施例2)
実施例2では、カソード用材料、混合層用材料および支持体用材料を印刷する際に、外周から2mmの間隔をとった。つまり、96mm×96mmの面積で印刷を行なった。その他の条件は、実施例1と同様とした。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、1.5であった。消失材は実施例1と同様にカソード側はR/r=1.5/1の楕円状樹脂を用いたため、空隙は当方的に収縮し、結果的にc/dは、1.5になったと考えられる。アノード側の消失材はR/r=1の球状樹脂を用いたため、空隙は当方的に収縮し、結果的にc/dは、1になったと考えられる。
反りを評価したところ、1%以下であった。これは、対称構造としたからであると考えられる。また、電極間短絡は生じていなかった。これは、カソード側を印刷する際に外周から間隔をとったからであると考えられる。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクターで挟み込んだ状態で評価した。また、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は、0.3Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。セルの有効発電面積利用率は(96×96)/(100×100)=92%であり、有効面積が大きいほどセルから取り出せる電流が高くなったため、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は18.3Aであった。
(実施例3)
c/dを調整するために、印刷用のスラリに使用される消失材として、楕円状の樹脂ではなく、真円状の樹脂を用いた。その他の条件は、実施例2と同様とした。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、1であった。c/dを制御するため、実施例3に用いた消失材はR/r=1の球状樹脂に変更した。焼結が進行する際に、消失材によって生じた空隙は当方的に収縮したため、R/r=c/d=1になったと考えられる。アノード側も同様にR/r=1の球状樹脂消失材に変更した。焼結が進行する際に、消失材によって生じた空隙は当方的に収縮したため、R/r=c/d=1になったと考えられる。
反りを評価したところ、1%以下であった。これは、対称構造としたからであると考えられる。また、電極間短絡は生じていなかった。これは、カソード側を印刷する際に外周から間隔をとったからであると考えられる。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクターで挟み込んだ状態で評価した。また、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は、0.3Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。セルの有効発電面積利用率は(96×96)/(100×100)=92%であり、有効面積が大きいほどセルから取り出せる電流が高くなったため、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は18.3Aであった。
(実施例4)
支持体グリーンシート、混合層グリーンシート、アノードグリーンシート、電解質グリーンシートの順で積層したハーフセルを焼成した。焼成後のハーフセルの電解質層上に、カソード用材料を印刷して乾燥し、混合層用材料を印刷して乾燥し、支持体用材料を印刷して乾燥した。その後、焼成工程を行ない、対称構造を有する単セルを作製した。c/dを調整するために、印刷用スラリに使用され消失材の寸法を調整した。楕円の長さ方向はRとし、短い方向はrとし、R/r=2/1の樹脂を用いた。その他の条件は、実施例1と同様とした。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、2であった。アノード側の消失材はR/r=1の球状樹脂を用いたため、空隙は当方的に収縮し、結果的にc/dは、1になったと考えられる。
反りを評価したところ、1%以下であった。これは、対称構造としたからであると考えられる。また、電極間短絡は生じていなかった。これは、カソード側を印刷する際に外周から間隔をとったからであると考えられる。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクターで挟み込んだ状態で評価した。また、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は0.3Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。セルの有効発電面積利用率は(96×96)/(100×100)=92%であり、有効面積が大きいほどセルから取り出せる電流が高くなったため、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は18.3Aであった。
(実施例5)
c/dを調整するために、印刷用のスラリに使用され消失材の寸法を調整した。楕円の長さ方向はRとし、短い方向はrとし、R/r=2.5/1の樹脂を用いた。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、2.5であった。アノード側の消失材はR/r=1の球状樹脂を用いたため、空隙は当方的に収縮し、結果的にc/dは、1になったと考えられる。その他の条件は、実施例4と同様とした。
反りを評価したところ、1%以下であった。これは、対称構造としたからであると考えられる。また、電極間短絡は生じていなかった。これは、カソード側を印刷する際に外周から間隔をとったからであると考えられる。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクターで挟み込んだ状態で評価した。また、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は0.3Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。セルの有効発電面積利用率は(96×96)/(100×100)=92%であり、有効面積が大きいほどセルから取り出せる電流が高くなったため、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は18.3Aであった。
(比較例1)
カソード側を印刷する際に外周から間隔をとらなかった。つまり、100mm×100mmの面積で反対側を印刷した。その他の条件は、実施例1と同様とした。焼成後にテスタで両側の支持体層を接続し、測定した結果、電極間短絡していることが確認された。また、顕微鏡でセル外周を藩札した結果、両側の金属部分がつながっている箇所は観察され、焼結過程において金属部がつながったと考えられる。このようなセルは発電評価を行うことができなった。複数のセルを作製し、その中の1枚については断面SEM観察を行なった。SEM像から測定したカソード、第2混合層、および第2支持体の各平均c/dは、1.5であった。アノード側の消失材はR/r=1の球状樹脂を用いたため、空隙は当方的に収縮し、結果的にc/dは、1になったと考えられる。
(比較例2)
支持体グリーンシート、混合層グリーンシート、アノードグリーンシート、電解質グリーンシートの順で積層したハーフセルを焼成した。焼成後のハーフセルの電解質層上に、カソード用材料を印刷して乾燥し、混合層用材料を印刷して乾燥し、支持体用材料を印刷して乾燥した。その後、焼成工程を行ない、対称構造を有する単セルを作製した。単セルのサイズは100mm×100mmであり、セルの外周はシール材を付与しなかった。アノード側は96mm×96mmの面積に対してNiおよびGDCを含浸した。次に、カソード側は96mm×96mmの面積に対してLSMを印刷し、金属支持体の酸化を抑えるために、900℃以下の温度で焼成を行った。単セルの構造は非対称であり、反りを評価したところ、4%であった。発電評価を行う際にセル1枚を上下にあるインタコネクター挟み込んだ状態で評価した。また、アノード側において、セルとインタコネクターの間に集電体はなく、レーザー溶接で接続した。カソード側はセラミックス材料のみとなり、溶接でインタコネクターとの接続は不可能であった。反りが大きかったからであると考えられる。したがって、集電体をセルとインタコネクターの間に設置し、挟んだ状態で評価を行った。発電評価した結果、インピーダンス測定による各抵抗値を分離し、このセルのオーム抵抗は0.7Ω・cmであり、反応抵抗は0.7Ω・cmであった。実施例1~4と比較し、カソード側は溶接でセルを固定できず、集電体を挟んだ際に、コンタクトが悪くなり、オーム抵抗は大幅に増大した。セルの有効発電面積利用率は(96×96)/(100×100)=92%であった。また、端子電圧0.9Vの際に流れた電流は13.2Aであり、実施例2と比較し、有効発電面積が同じであるが、オーム抵抗は増大した分、同じ端子電圧の際に、発電で取り出せた電流は大幅に低下した。
実施例1~5および比較例1,2の結果を表1および表2に示す。
Figure 2022145222000002
Figure 2022145222000003
(c/dの評価)
電解質の割れやすさを評価するために、実施例2~実施例5の単セルについて、800℃以上の温度で熱処理を行い、熱処理後に電解質が割れた場合、ガスリーク測定でガスが漏れたことがわかる。図8は、ガス漏れが感知された熱処理温度とc/d値との関係を示した。c/dは大きいほど、耐えられる熱処理温度は高くなったことがわかった。つまり、c/dは大きいほど、電解質が割れにくくなることがわかる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1支持体
20 第1混合層
21 金属材料
22 セラミックス材料
30 アノード
31 電子伝導性セラミックス
32 酸化物イオン伝導性セラミックス
33 酸化物イオン伝導性セラミックス
34 触媒金属
40 固体電解質層
50 カソード
51 電子伝導性セラミックス
52 酸化物イオン伝導性セラミックス
53 カソード触媒
60 第2混合層
70 第2支持体
100 燃料電池

Claims (12)

  1. 酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物を含む固体電解質層と、
    前記固体電解質層の第1面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有し、当該多孔体にアノード触媒を有するアノードと、
    前記アノードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第1混合層と、
    前記第1混合層の前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属を主成分とする第1支持体と、
    前記固体電解質層の第2面に設けられ、電子伝導性セラミックスおよび酸化物イオン伝導性セラミックスを含む多孔体を有し、当該多孔体にカソード触媒を有するカソードと、
    前記カソードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造を有する第2混合層と、
    前記第2混合層の前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属を主成分とする第2支持体と、を備え、
    前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周と、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周とのうち、いずれか一方が他方に対して内方に位置することを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周と、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周とのうち、いずれか一方が他方に対して1mm以上内方に位置することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
  3. 前記固体酸化物型燃料電池は、平面視で略矩形状を有し、
    前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周から、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周までの長さを長さaとし、前記固体酸化物型燃料電池の1辺の長さを長さbとした場合に、a/bは、1/10以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
  4. 前記アノード、前記第1混合層および前記第1支持体の外周に対して、前記カソード、前記第2混合層および前記第2支持体の外周が内方に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  5. 前記固体酸化物型燃料電池の反り量は、4%未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  6. 積層方向を含む断面において、各層における空隙について、各層が延びる方向の長さを長さcとし、積層方向の高さを高さdとした場合に、
    前記アノードの各空隙のc/dの平均値よりも、前記カソードの各空隙のc/dの平均値の方が大きく、
    前記第1混合層の各空隙のc/dの平均値よりも、前記第2混合層の各空隙のc/dの平均値の方が大きく、
    前記第1支持体の各空隙のc/dの平均値よりも、前記第2支持体の各空隙のc/dの平均値の方が大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  7. 前記カソード、前記第2混合層、および前記第2支持体の各空隙のc/dの平均値は、1を上回り、3未満であることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池。
  8. 前記アノード触媒は、NiおよびGDCであり、
    前記カソード触媒は、PrO、LSM、LSC、GDCの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  9. 前記アノード触媒および前記カソード触媒のそれぞれの平均粒径は、100nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  10. 前記第1支持体における空隙率、前記第1混合層における空隙率、および前記アノードにおける空隙率の間には、前記第1支持体>前記第1混合層>前記アノードの関係が成立し、
    前記第2支持体における空隙率、前記第2混合層における空隙率、および前記カソードにおける空隙率の間には、前記第2支持体>前記第2混合層>前記カソードの関係が成立することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  11. 前記第1支持体の厚み、前記第1混合層の厚み、および前記アノードの厚みの間には、前記第1支持体>前記第1混合層>前記アノードの関係が成立し、
    前記第2支持体の厚み、前記第2混合層の厚み、および前記カソードの厚みの間には、前記第2支持体>前記第2混合層>前記カソードの関係が成立することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  12. 金属粉末を含む支持体グリーンシートと、セラミックス材料粉末および金属材料粉末を含む混合層グリーンシートと、電子伝導性セラミックス材料粉末および酸化物イオン伝導性セラミックス材料粉末を含む電極グリーンシートと、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物材料粉末を含む電解質グリーンシートとが積層された積層体を準備する工程と、
    前記電解質グリーンシートの外周よりも内方に、電子伝導性セラミックス材料粉末および酸化物イオン伝導性セラミックス材料粉末を含むスラリと、セラミックス材料粉末および金属材料粉末を含むスラリと、金属粉末を含むスラリとを印刷したうえで焼成する工程と、を含むことを特徴とする固体酸化物型燃料電池の製造方法。
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