JP2022139662A - プラスチックの分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温域でも生育可能な微生物を用いて生分解性プラスチックを分解するプラスチックの分解方法を提供する。【解決手段】 プラスチック分解能を有するグロメレラ属に属する微生物又はその抽出物を用いて生分解性プラスチックを分解する。また、グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するフザリウム属に属する微生物又はその抽出物を用いて生分解性プラスチックを分解する。さらに、少なくともグロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するアスペルギルス属に属する微生物又はその抽出物を用いて生分解性プラスチックを分解する。【選択図】 図4

Description

本発明は、プラスチックの分解技術に関し、特に微生物を用いたプラスチックの分解方法に関する。
近年、プラスチックによる海洋汚染が問題となっている。すなわち、環境中に流出したプラスチックのほとんどが、河川などに流れ込んで最終的に海に行き着くため、プラスチックは海の生態系に甚大な悪影響を与えている。また、プラスチックの海洋への影響はさらに産業にも被害を与えて、大きな経済的損失をもたらしている。プラスチックは、海でマイクロプラスチックの粒子となるが、一般的なプラスチックは細かくなっても自然分解することはなく、数百年間以上も残り続けると考えられている。
このような状況において、従来のプラスチックに代えて、自然分解の可能な生分解性プラスチックの使用が広がってきている。
しかし、生分解性プラスチックを使用しても、その自然分解には時間がかかり、プラスチックが長期間海に残留することになるため、これによって海洋汚染の問題を解決することは難しい。
ところで、微生物のある種のものは、プラスチック分解能を有している。今後、このようなプラスチック分解性微生物を組み込んだプラスチックを開発することができれば、微生物の力によってプラスチックが迅速に分解され、海洋汚染を抑制できる可能性がある。
特許第4982738号公報 特許第4997397号公報 特許第4915593号公報
ところで、これまでコンポストのような高温域(50℃前後)や室温域(25℃前後)において生育可能な微生物が、プラスチック分解資材として利用されている。しかしながら、これらの微生物は低温での生育に適さないという問題があった。一方、海洋において微生物によるプラスチックの迅速な自然分解を実現するためには、低温域を含め様々な温度で生育可能な微生物を利用できることが望ましい。
そこで、本発明者らは鋭意研究して、低温域でも生育可能な微生物、特にグロメレラ属に属する微生物がプラスチック分解能を有することを見出し、本発明を完成させた。
ここで、特許文献1~3には、各種の微生物を用いて生分解性プラスチックを分解することが記載されている。しかしながら、グロメレラ属に属する微生物を用いて生分解性プラスチックを分解することは記載されていない。また、その他にも、当該事項についての記載がある文献は見当たらなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低温域でも生育可能な微生物を用いて生分解性プラスチックを分解するプラスチックの分解方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のプラスチックの分解方法は、プラスチック分解能を有するグロメレラ属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解する方法としてある。
また、本発明のプラスチックの分解方法は、前記グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するフザリウム属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解する方法とすることが好ましい。
さらに、本発明のプラスチックの分解方法は、前記グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するアスペルギルス属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解する方法とすることが好ましい。
また、本発明のプラスチックの分解方法は、化学構造中にエステル結合を有するものである方法とすることが好ましい。
さらに、本発明のプラスチックの分解方法は、前記生分解性プラスチックが、ポリカプロラクトンである方法とすることが好ましい。
また、本発明のプラスチックの分解方法は、前記抽出物が、エステラーゼである方法とすることが好ましい。
本発明によれば、低温域でも生育可能な微生物を用いて生分解性プラスチックを分解するプラスチックの分解方法の提供が可能となる。
本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地のイメージを示す説明図である。 本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養による生分解性プラスチック塊の分解のイメージを示す説明図である。 試験1に関する、本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法で使用される微生物の各種温度での生育可否結果を示す図である。 試験2に関する、本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養による生分解性プラスチック塊の分解結果を示す図である。 試験3に関する、本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養によるエステラーゼ活性の測定結果を示す図である。 試験4に関する、本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養による未溶解プラスチック塊の分解面積を示す図である。
以下、本発明のプラスチックの分解方法の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態及び後述する実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態のプラスチックの分解方法は、プラスチック分解能を有するグロメレラ属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することを特徴とする。
グロメレラ属に属する微生物としては、例えばGlomerella cingulate (NBRC107001)やGlomerella cingulate (NBRC107004)を好適に用いることができる。
また、抽出物としては、グロメレラ属に属する微生物から抽出されたエステラーゼが用いられる。その抽出方法は、例えば微生物を暗黒下で所定日間静置培養し、次いで培養菌体と培養濾液をそれぞれ分離回収して、得られた培養濾液を抽出物含有液として用いる方法とすることができる。
本実施形態のプラスチックの分解方法により分解される生分解性プラスチックは、その化学構造中にエステル結合を有するものであればよく、特に限定されないが、例えばポリカプロラクトン,ポリ乳酸,ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体,ポリグリコール酸,ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体,ブタンジオール/長鎖ジカルボン酸共重合体,ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合体,ポリテトラメチレンアジペート・コ・テレフタレート,ポリエチレンテレフタレートサクシネート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
ここで、微生物によってプラスチックが分解されたか否かを確認する方法として、従来、適当な有機溶剤に溶解したプラスチックを含む寒天培地を作成して微生物を培養し、微生物周辺におけるプラスチック分解由来のクリアゾーン形成の有無を確認する方法があった。
しかしながら、この方法は、細菌や酵母などの細胞分裂型の微生物については、クリアゾーンの形成が確認しやすいために有効であるが、菌糸伸張を伴う糸状菌(カビ)の場合は、菌糸の伸張の程度や色合いによっては、クリアゾ-ンの形成が確認し難い場合があった。
そこで、本実施形態のプラスチックの分解方法による効果を確認するために、炭素源として溶解した生分解性プラスチックと未溶解の生分解性プラスチック塊とを含有する培養培地を作成し、これを用いて微生物を培養して、生分解性プラスチック塊が分解されているか否かを検出することとした。
図1に示すように、このような培養培地は、寒天培地などをベースに形成することができ、培地中に未溶解の生分解性プラスチック塊が形成されたものとすることができる。この生分解性プラスチック塊は、通常培地の底に沈んだ状態で形成される。
この培養培地は、例えばツアペック寒天培地(Czapek培地)をベースにポリカプロラクトン(PCL)を添加して加熱しながら攪拌して懸濁させ、次いで寒天を添加し、オートクレーブして得ることができる。
次に、生分解性プラスチック塊の分解について、図2に示すイメージにもとづき説明する。
図2の左側写真は、培養培地において生分解性プラスチック塊(ポリカプロラクトン塊)が形成されており、この培養培地で糸状菌(アスペルギルス フラバス,Aspergillus flavus (NBRC6343))を8日間培養した状態を示している。糸状菌のコロニーからは菌糸が伸張している。同図の右上側写真は、生分解性プラスチック塊を示し、図の右下側写真は、糸状菌を20日間培養した後に、生分解性プラスチック塊が分解されている状態を示している。後述する実施例では、このような培養培地を用いて、プラスチックの分解方法の効果の確認を行っている。
また、プラスチックの分解方法の効果確認において、生分解性プラスチック塊のサイズの変化を顕微鏡写真にもとづき計算して、生分解性プラスチック塊の分解を検出することができる。すなわち、生分解性プラスチック塊は、通常、培養培地の底部に形成されているため、例えば透明なシャーレなどの容器で培養を行った場合、容器の底面側からその状態を観察することができる。なお、容器の底面側から生分解性プラスチックの状態を目視で観察して、生分解性プラスチック塊の分解の有無を確認してもよい。
さらに、微生物が糸状菌である場合、生分解性プラスチック塊の分解面積を、以下の式にもとづき計算して、微生物ごとのプラスチック分解能を定量的に測定することも可能である。
分解面積=(生分解性プラスチック塊の面積-菌糸到達からの培養日数後の生分解性プラスチック塊の面積)/菌糸到達からの培養日数
また、本実施形態のプラスチックの分解方法において、グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するフザリウム属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することが好ましい。
フザリウム属に属する微生物としては、例えばFusarium oxysporum (NBRC9971)やFusarium sacchari (JCM9676)を好適に用いることができる。
また、抽出物及びその抽出方法については、グロメレラ属に属する微生物を用いる場合と同様である。
このようなグロメレラ属に属する微生物とフザリウム属に属する微生物は、後述する試験1に示すように、25℃程度の室温域から4℃程度の低温域での生育が可能である。
また、本実施形態のプラスチックの分解方法において、グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するアスペルギルス属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することが好ましい。
さらに、本実施形態のプラスチックの分解方法において、グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物、及び、プラスチック分解能を有するフザリウム属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するアスペルギルス属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することも好ましい。
アスペルギルス属に属する微生物としては、例えばAspergillus flavus (NBRC6343)を好適に用いることができる。
また、抽出物及びその抽出方法については、グロメレラ属に属する微生物を用いる場合と同様である。
アスペルギルス属に属する微生物は、後述する試験1に示すように、45℃程度の高温域での生育が可能である。
したがって、このようなアスペルギルス属に属する微生物を、グロメレラ属に属する微生物やフザリウム属に属する微生物と共に用いれば、高温域から低温域までの広い温度領域において、これらのうちの少なくともいずれかの微生物を生育させることが可能となる。
以上のとおり、本実施形態のプラスチックの分解方法によれば、低温域でも生育可能なグロメレラ属に属する微生物又はフザリウム属に属する微生物を用いて生分解性プラスチックを分解することが可能である。また、さらにアスペルギルス属に属する微生物をこれらと共に用いることによって、高温域から低温域までの広い温度領域において、これらのうちの少なくともいずれかの微生物を生育させることが可能である。
以下、本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果等を確認するために行った試験について説明する。
[試験1]
本実施形態に係るプラスチックの分解方法で使用される微生物の各種温度での生育可否を確認する試験を行った。
具体的には、微生物として、グロメレラ属(Glomerella cingulate (NBRC107004))、フザリウム属(Fusarium oxysporum (NBRC9971))、及びアスペルギルス属(Aspergillus flavus (NBRC6343))の糸状菌を準備した。また、培養培地として、PDA(Potato Dextrose Agar)培地を有する複数枚のシャーレを作成した。
そして、グロメレラ属、フザリウム属、及びアスペルギルス属の糸状菌をそれぞれ3枚のシャーレで45℃、25℃、4℃の暗黒下で静置培養し、培養21日目にコロニーが形成されているか否かを確認することによって、生育の可否を判定した。
その結果、図3に示すように、グロメレラ属の糸状菌は、45℃では生育せず、25℃と4℃では生育していることが確認された。
また、フザリウム属の糸状菌も、45℃では生育せず、25℃と4℃では生育していることが確認された。
一方、アスペルギルス属の糸状菌は、45℃と25℃では生育し、4℃では生育していないことが確認された。
[試験2]
本実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養による生分解性プラスチック塊の分解を確認する試験を行った。
具体的には、予め調製したシュークロース抜きCzapek培地(精製水1000mlに対し、NaNo3 3g, K2HPO4 1g, MgSO4・7H2O 0.5g, KCL 0.5g, FeSO4・7H2O 0.01gを順に溶解、pH7.3)に、単一の炭素原としてポリカプロラクトン(PCL)を濃度0.5%(w/v)となるように添加し、ヒートスターラー(280℃前後に設定)を用いて熱攪拌し、スパチュラでペレットを押し潰しながら懸濁して液体培地を得た。
次に、液体培地に寒天を1.5%(w/v)となるように添加して、オートクレーブを行い、直径90mmのシャーレに分注して室温下で固形化し、寒天培地を得た。得られた寒天培地には生分解性プラスチック塊が存在していた。
また、グロメレラ属(Glomerella cingulate (NBRC107004))、フザリウム属(Fusarium oxysporum (NBRC9971))、アスペルギルス属(Aspergillus flavus (NBRC6343))の糸状菌をPDA(Potato Dextrose Agar)培地でそれぞれ培養して、生育したコロニーから直径5mmのコルクボーラーで打ち抜いた菌体ディスクを準備した。
次に、寒天培地に菌体ディスクを接触させて、グロメレラ属の糸状菌を植菌したものを実施例1、フザリウム属の糸状菌を植菌したものを実施例2、アスペルギルス属の糸状菌を植菌したものを実施例3とした。
そして、これらを30℃暗黒下で静置培養を開始し、ポリカプロラクトン塊の様子を経時的に顕微鏡観察した。
図4に、各実施例の所定の培養日数経過後のポリカプロラクトン塊の分解の様子を表した写真を示す。
同図に示されるように、グロメレラ属、フザリウム属、及びアスペルギルス属の糸状菌によれば、培養13日目又は培養20日目において、ポリカプロラクトン塊が分解されていることが確認できた。
[試験3]
本実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地での微生物の培養によるエステラーゼ活性を確認する試験を行った。
すなわち、本実施形態に係るプラスチックの分解方法において、微生物は生分解性プラスチックの化学構造中におけるエステル結合をエステラーゼにより加水分解することによって、生分解性プラスチックを分解する。そこで、プラスチック分解性微生物の抽出物についてエステラーゼ活性の有無の確認を行った。
具体的には、グロメレラ属(Glomerella cingulate (NBRC107004))、フザリウム属(Fusarium oxysporum (NBRC9971))、アスペルギルス属(Aspergillus flavus (NBRC6343))の糸状菌をPDA(Potato Dextrose Agar)培地でそれぞれ培養して、生育したコロニーから直径5mmのコルクボーラーで打ち抜いた菌体ディスクを準備した。
また、予め調製したシュークロース抜きCzapek培地を3本のフラスコに分注した。そして、菌体ディスクを液体培地にそれぞれ投入し、グロメレラ属の糸状菌を投入したものを比較例1、フザリウム属の糸状菌を投入したものを比較例2、アスペルギルス属の糸状菌を投入したものを比較例3とした。
また、試験2と同様にして、予め調製したシュークロース抜きCzapek培地に、単一の炭素原としてPCLを0.5%(w/v)となるように添加し、ヒートスターラーを用いて熱攪拌し、スパチュラでペレットを押し潰しながら懸濁して液体培地を得た。液体培地は、3本のフラスコに分注した。
さらに、グロメレラ属(Glomerella cingulate (NBRC107004))、フザリウム属(Fusarium oxysporum (NBRC9971))、アスペルギルス属(Aspergillus flavus (NBRC6343))の糸状菌をPDA(Potato Dextrose Agar)培地でそれぞれ培養して、生育したコロニーから直径5mmのコルクボーラーで打ち抜いた菌体ディスクを液体培地にそれぞれ投入し、グロメレラ属の糸状菌を投入したものを実施例4、フザリウム属の糸状菌を投入したものを実施例5、アスペルギルス属の糸状菌を投入したものを実施例6とした。
そして、これらの液体培地を用いて、25℃暗黒下で17日間静置培養を行った後に、培養菌体と培養濾液をそれぞれ分離回収し、培養濾液を粗酵素液として、エステラーゼ活性測定試験に供試した。
粗酵素液中のエステラーゼ活性は、p-Nitrophenyl butylate(pNPB,C4)を基質として測定した。エステラーゼは、pNPBを加水分解し、405-410nmにおいて分光光度的に測定可能な4-ニトロフェノールを生成する。pNPB基質溶液は、pNPBが10mMとなるようにイソプロパノールに混合し調製した。緩衝液(50mM Tris-HCL, pH7.5) 890μlと粗酵素液100μlを混合した後、pNPB基質溶液10μlを添加した。その後60分間静置して、反応液1mlの405nmにおける吸光度を分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製,Nanodrop 2000C)により室温で測定した。
その結果、図5に示すように、それぞれのエステラーゼ活性は、比較例1が0.11、比較例2が0.00、比較例3が0.02、実施例4が0.68、実施例5が0.85、実施例6が0.19であり、比較例ではエステラーゼ活性は認められないか若しくは低く、実施例ではエステラーゼ活性が確認された。
したがって、生分解性プラスチックを分解可能なグロメレラ属、フザリウム属、又はアスペルギルス属の糸状菌により、生分解性プラスチックを分解可能なエステラーゼが生産分泌されていることが確認された。
[試験4]
本発明の実施形態に係るプラスチックの分解方法の効果確認に使用できる培養培地で微生物の培養を行い、プラスチック分解能を定量的に測定する試験を行った。
具体的には、試験2と同様にして、PCL濃度が0.5%(w/v)の寒天培地を有する複数枚のシャーレを得た。そして、寒天培地に存在する目視で確認可能な直径500μm程度のPCL塊を選んで、シャーレの裏面に目印を記した。
また、グロメレラ属(Glomerella cingulate (NBRC107001),Glomerella cingulate (NBRC107004))、アスペルギルス属(Aspergillus flavus (NBRC6343))、フザリウム属(Fusarium oxysporum (NBRC9971),Fusarium sacchari (JCM9676))、アルタナリア属(Alternaria alternate (NBRC106339))の糸状菌をPDA培地でそれぞれ培養し、生育したコロニーから直径5mmのコルクボーラーで打ち抜いた菌体ディスクを準備した。
次に、寒天培地表面の中央部に菌体ディスクを接触させて、30℃暗黒下でそれぞれ所定日数静置培養後、培養培地における生分解性プラスチックをCCDカメラ内蔵の顕微鏡を用いて写真撮影した。そして、以下の計算式により、1日あたりのポリカプロラクトンの分解面積(μm2)を計算した。
分解面積=(生分解性プラスチック塊の面積-菌糸到達からの培養日数後の生分解性プラスチック塊の面積)/菌糸到達からの培養日数
その結果を図6に示す。各実施例において、それぞれ所定回数個別に実施した微生物の培養及び分解面積の計算結果にもとづいて、分解面積の最小値と最大値を示している。各実施例において供試したシャーレの枚数は、実施例7,8,10,11では3枚、実施例9では2枚である。
実施例7のグロメレラ属の糸状菌(Glomerella cingulate (NBRC107001))のポリカプロラクトンの分解面積は、624~1082であり、実施例8のグロメレラ属の糸状菌(Glomerella cingulate (NBRC107004))のポリカプロラクトンの分解面積は、6092~17863であった。
また、実施例9のアスペルギルス属の糸状菌(Aspergillus flavus (NBRC6343))のポリカプロラクトンの分解面積は、41156~41241であった。
さらに、実施例10のフザリウム属の糸状菌(Fusarium oxysporum (NBRC9971))のポリカプロラクトンの分解面積は、13816~25236であり、実施例11のフザリウム属の糸状菌(Fusarium sacchari (JCM9676))のポリカプロラクトンの分解面積は、7574~15773であった。
このように、本実施形態のプラスチックの分解方法によれば、グロメレラ属、フザリウム属、又はアスペルギルス属の糸状菌を用いて、生分解性プラスチックを好適に分解することが可能であることが分かった。また、特に低温域でも生育可能なグロメレラ属の糸状菌を用いて、生分解性プラスチックを分解できることが明らかとなった。
本発明は、以上の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、微生物として、上記糸状菌に加えてさらに他の糸状菌を追加して用いるなど適宜変更することが可能である。
本発明は、生分解性プラスチックの分解に好適に利用することが可能である。

Claims (6)

  1. プラスチック分解能を有するグロメレラ属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することを特徴とするプラスチックの分解方法。
  2. 前記グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するフザリウム属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することを特徴とする請求項1記載のプラスチックの分解方法。
  3. 前記グロメレラ属に属する微生物又はその抽出物と共に、プラスチック分解能を有するアスペルギルス属に属する微生物又はその抽出物を用いて、生分解性プラスチックを分解することを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチックの分解方法。
  4. 前記生分解性プラスチックが、化学構造中にエステル結合を有するものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプラスチックの分解方法。
  5. 前記生分解性プラスチックが、ポリカプロラクトンであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のプラスチックの分解方法。
  6. 前記抽出物が、エステラーゼであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のプラスチックの分解方法。
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