JP2017086040A - 生分解性プラスチックを効率良く分解する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、生分解性プラスチックを効率的に分解する方法を提供することを目的としている。【解決手段】生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを、生分解性プラスチックに添加することにより、生分解性プラスチックを効率的に分解する。【選択図】図3

Description

本発明は、生分解性プラスチックを効率良く分解する方法に関し、特に生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを組み合わせて生分解性プラスチックを分解することに関する。
地球環境保全の観点から、世界中で生分解性プラスチックの研究が進められており、それは様々な製品に実用化されてきている。プラスチックは農業現場において必要不可欠な資材の原料であるが、使用後の回収と廃棄に多大な労力とコストがかかるだけでなく、燃焼による二酸化炭素やダイオキシンの排出が懸念されるため、生分解性プラスチックの使用による作業コストの低減や温室効果ガス排出の削減が期待されている。
農業用資材の原料として生分解性プラスチックを普及させるための課題は、使用中は強度を保ち、使用後は速やかに分解して圃場に鋤き込み可能にすることであり、すなわち、使用後に生分解性プラスチックを速やかに分解処理できる技術の開発と考えられている。現在、生分解性プラスチック分解酵素の開発が進められており、例えば、酵母や糸状菌が生産する生分解性プラスチック分解酵素とその利用について研究が報告されている(特許文献1〜4)。
特開2013−23643号公報 特開2010−99066号公報 特開2008−237212号公報 特開2004−75905号公報
生分解性プラスチックを広く普及させるためには、その強度と生分解性とのバランスを制御する必要があるが、製品の強度を上げると生分解性が低下するため、実用性の高い分解処理技術を開発するために、より高い生分解性プラスチック分解活性を有する酵素の開発や、生分解性プラスチックの分解を促進するための補助剤などの開発が求められている。
また、圃場で生分解性プラスチック分解酵素を使用する際には、塩分濃度の高い緩衝液を使用することはできないため、生分解性プラスチック分解酵素の溶媒には水を使用することになる。しかしながら、緩衝液中の場合と比較して、生分解性プラスチック分解酵素の活性は水中で低下してしまうため、圃場でも生分解性プラスチックを効率的に分解する方法の開発が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、生分解性プラスチック分解酵素にエステラーゼを組み合わせて使用すると、水媒体で使用する場合であっても、生分解性ブラスチックを効率よく分解できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す生分解性プラスチックを分解する方法、生分解性プラスチック分解剤、生分解性プラスチックを分解するためのキット、及び、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性増強剤を提供するものである。
〔1〕生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを、生分解性プラスチックに添加する工程を含むことを特徴とする、生分解性プラスチックを分解する方法。
〔2〕前記生分解性プラスチックが、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、及び、それらの混合物から成る群から選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記生分解性プラスチックが、芳香環構造を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記生分解性プラスチック分解酵素が、シュードザイマ(Pseudozyma)属、パラフォーマ(Paraphoma)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ムコール(Mucor)属、フミコラ(Humicola)属、テルモミセス(Thermomyces)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ケトミウム(Chaetomium)属、トルラ(Torula)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、マルブランケア(Malbranchea)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バクテロイデス(Bacteroides)属、及び、アシドボラックス(Acidovorax)属から成る群から選択される微生物により産生される酵素である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕前記エステラーゼが、ブタ肝臓由来エステラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来エステラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bcillus stearothermophilus)由来エステラーゼ、及び、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来エステラーゼから成る群から選択される、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチック分解剤。
〔7〕生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチックを分解するためのキット。
〔8〕エステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性増強剤。
本発明に従えば、生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを混合した酵素液を散布して、使用後の生分解性プラスチック製農業用資材を、圃場に鋤き込み可能な状態まで速やかに分解することが可能となる。それによって、産業廃棄物として処理するために必要であった労力とコストの大幅な軽減が期待される。また、分解活性が大幅に向上した生分解性プラスチック分解酵素を含む酵素液を用いれば、通常は分解されにくい強度の高い生分解性プラスチック製資材の分解速度を速めることもできるので、強度の高い生分解性プラスチック製資材の実用化が大いに進展することが期待される。
HEPES緩衝液中又は水中における、生分解性プラスチック分解酵素のPBAT分解活性を示す。 HEPES緩衝液中又は水中における、ブタ肝臓由来エステラーゼのPBAT分解活性を示す。 水中における、生分解性プラスチック分解酵素及び/又はブタ肝臓由来エステラーゼのPBAT分解活性を示す。
本発明のある態様は、生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを、生分解性プラスチックに添加する工程を含む、生分解性プラスチックを分解する方法に関するものである。
本明細書に記載の「生分解性プラスチック」とは、石油由来のプラスチックと同じように使用されるが、使用後は自然界の土中や水中の微生物により、最終的に水や二酸化炭素まで分解されるプラスチックのことをいう。本発明の方法は、本技術分野において通常知られている種々の生分解性プラスチックに対して適用することができる。前記生分解性プラスチックは、例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、及び、それらの混合物から成る群から選択してもよく、特に、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)及びポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)などの芳香環構造を有するものであってもよい。一般的に、テレフタレートなどの芳香環構造を有する生分解性プラスチックは、強度は高いが分解されにくいものと考えられている。しかしながら、本発明の方法によれば、このような分解されにくい生分解性プラスチックであっても、効率よく分解することが可能となる。
前記生分解性プラスチックから形成された資材を、生分解性プラスチック製資材という。本発明の方法は、本技術分野において通常知られている種々の生分解性プラスチック製資材に対して適用することができる。前記生分解性プラスチック製資材は、例えば、マルチフィルム、ポット、シート、紐、ネット、トンネルフィルム、ハウスフィルム、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢及び苗用クリップなどの生分解性プラスチック製農業用資材であってもよく、食器、食品系の容器、若しくは袋などであってもよく、又は、これらの資材の製造過程で製造される端材であってもよい。前記生分解性プラスチック製資材は、好ましくは、生分解性プラスチック製農業用資材である。
本明細書に記載の「生分解性プラスチック分解酵素」とは、前記生分解性プラスチックを分解する活性を有する酵素のことをいう。本発明の方法には、生分解性プラスチックを分解する活性を有する酵素であれば、種々の酵素を制限なく使用することができる。前記生分解性プラスチック分解酵素は、微生物によって産生され得る。本発明の方法には、当該微生物から単離精製した生分解性プラスチック分解酵素を使用してもよく、当該微生物自体又はその培養液を生分解性プラスチック分解酵素として使用してもよい。前記生分解性プラスチック分解酵素を産生する微生物は、特に限定されるものではないが、例えば、シュードザイマ(Pseudozyma)属、パラフォーマ(Paraphoma)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ムコール(Mucor)属、フミコラ(Humicola)属、テルモミセス(Thermomyces)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ケトミウム(Chaetomium)属、トルラ(Torula)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、マルブランケア(Malbranchea)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バクテロイデス(Bacteroides)属、及び、アシドボラックス(Acidovorax)属から成る群から選択される微生物であってもよい。前記生分解性プラスチック分解酵素は、好ましくは、Pseudozyma antarcticaにより産生される酵素(PaE)、Paraphoma属類縁菌クチナーゼ様酵素(PCLE)、又は、クチナーゼ様酵素1(CmCut1)である。PCLEは、Paraphoma属類縁菌B47−9株(独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託された糸状菌;受託番号NITE P−573;要すれば特許第5082125号参照)などのParaphoma属類縁菌により産生される酵素であり、CmCut1は、Cryptococcus magnus類縁菌BPD1A株(独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託された酵母;受託番号NITE P−02134)などのCryptococcus magnus又はその類縁菌により産生される酵素である。前記生分解性プラスチック分解酵素の溶媒には、緩衝液を使用してもよく、水を使用してもよいが、圃場で使用する場合には、前記溶媒として水を使用するのが好ましい。
本明細書に記載の「エステラーゼ」とは、エステルを水との化学反応で酸とアルコールに分解する加水分解酵素のことをいう。本発明の方法には、エステルを加水分解する活性を有する酵素であれば、種々の酵素を制限なく使用することができる。前記エステラーゼは、前記生分解性プラスチック分解酵素として一般的に使用されているものでなくてもよく、オリゴマーレベルの低分子エステルの分解酵素であってもよい。前記エステラーゼは、特に限定されるものではないが、例えば、ブタ肝臓由来エステラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来エステラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bcillus stearothermophilus)由来エステラーゼ、又は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来エステラーゼ、又は、シュードザイマ・アンタクティカ(Pseudozyma antarctica)由来リパーゼであってもよい。前記エステラーゼは、好ましくは、ブタ肝臓由来エステラーゼである。前記エステラーゼの溶媒には、緩衝液を使用してもよく、水を使用してもよいが、圃場で使用する場合には、前記溶媒として水を使用するのが好ましい。
本発明の生分解性プラスチックを分解する方法は、生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを、生分解性プラスチックに添加する工程を含む。前記添加工程においては、前記生分解性プラスチック分解酵素及び前記エステラーゼを予め混合した溶液を添加してもよく、それらを別々に調製した溶液を、同時又は連続的に添加してもよい。また、前記添加工程は、屋内で実施してもよく、屋外(特に圃場)で実施してもよい。
本発明の別の態様は、生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含む生分解性プラスチック分解剤に関するものである。本発明の生分解性プラスチック分解剤は、生分解性プラスチック分解酵素に加えて、その分解活性を増強するエステラーゼを含んでいるため、生分解性プラスチックを効率よく分解することができる。
本発明のまた別の態様は、生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含む生分解性プラスチックを分解するためのキットに関するものである。本発明のキットは、生分解性プラスチック分解酵素又はそれを含む溶液と、エステラーゼ又はそれを含む溶液とを備えており、生分解性プラスチックに適用する前に両者を予め混合して使用してもよく、それらを別々に含む溶液を同時又は連続的に使用してもよい。
本発明のさらに別の態様は、エステラーゼを含む、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性増強剤に関するものである。本発明の分解活性増強剤は、生分解性プラスチック分解酵素と併せて使用することで、生分解性プラスチックを効率よく分解することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
本試験例では、生分解性プラスチック分解酵素について、緩衝液中での分解活性と水中での分解活性とを比較した。
生分解性プラスチック分解酵素であるPaE、PCLE又はCmCut1を、HEPES緩衝液(pH7.3)又は水に溶解し、1nM又は10nMの生分解性プラスチック分解酵素溶液を調製した。1mLの生分解性プラスチック分解酵素溶液(1nM)及び1cm×1cmのPBATフィルムをガラス管に入れ、4時間、室温で静置した。また、2mLの生分解性プラスチック分解酵素溶液(10nM)、1cm×1cmのPBATフィルム、及び、撹拌子を石英セルに入れ、4000秒間(約1時間)、30℃で撹拌した。PBATは、その化学構造中に芳香環を含むテレフタル酸ユニットを有している。PBATが分解されると、このテレフタル酸ユニットを含む水溶性分解産物が放出されるので、これを240nmの波長におけるUV測定によって検出した。結果を図1に示す。
図1に示されているOD240の値から理解できるように、HEPES緩衝液中では、PCLEを1nMという低濃度で使用した場合を除き、すべての実験条件下でPBATの水溶性分解産物が検出された。一方、水中では、どの酵素を使用した場合でも、OD240の値がHEPES緩衝液中で得られた値よりも低くなった。
この結果より、生分解性プラスチック分解酵素の活性は、緩衝液中に比べて水中で低下することがわかった。これは、水中で生分解性プラスチックと酵素とを反応させると、酵素反応中に反応液のpHが変化し、それが酵素の至適pHの範囲からはずれるためであると考えられる。
<試験例2>
本試験例では、エステラーゼの生分解性プラスチック分解活性を測定した。
生分解性プラスチック分解酵素に代えて、ブタ肝臓由来エステラーゼ(シグマ・アルドリッチ社製)を10mg/Lの濃度で使用した以外は、試験例1と同様の方法でPBATの水溶性分解産物を検出した。室温で4時間反応させた後のOD240を図2に示す。
図2から理解できるように、ブタ肝臓由来エステラーゼは、HEPES中でPBATをわずかにしか分解しなかった。また、ブタ肝臓由来エステラーゼの分解活性は、水中でも低下しなかった。
<試験例3>
本試験例では、公知の生分解性プラスチック分解酵素の分解活性に対するエステラーゼの影響を検討した。
生分解性プラスチック分解酵素であるPaE、PCLE又はCmCut1を、単独で又はブタ肝臓由来エステラーゼ(シグマ・アルドリッチ社製)と組み合わせて水に溶解し、1nMの生分解性プラスチック分解酵素を含む生分解性プラスチック分解酵素溶液、及び、1nMの生分解性プラスチック分解酵素と10mg/Lのブタ肝臓由来エステラーゼとを含むブレンド酵素溶液を調製した。また、10mg/Lのブタ肝臓由来エステラーゼ溶液も調製した。1mLの生分解性プラスチック分解酵素溶液、ブタ肝臓由来エステラーゼ溶液、又は生分解性プラスチック分解酵素及びブタ肝臓由来エステラーゼを混合したブレンド酵素溶液と、1cm×1cmのPBATフィルムとをガラス管に入れ、4時間、室温で静置した。OD240の実測値と、各酵素を単独で使用したときの結果を足し合わせたOD240の推定値(ブレンド酵素の推定値)とを図3に示す。
図3に示されているように、生分解性プラスチック分解酵素にブタ肝臓由来エステラーゼを混合したブレンド酵素におけるOD240の実測値は、各酵素を単独で使用したときの結果の和である推定値を上回った。すなわち、生分解性プラスチック分解酵素とブタ肝臓由来エステラーゼとを併用すると、それぞれを単独で使用したときに分解されるPBATの量の和を上回る量のPBATを分解することができた。
この結果より、エステラーゼは、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性を増強できることがわかる。この増強作用については、特定の理論に拘束される必要はないが、例えば次のような機序が考えられる。上述の試験例で使用した生分解性プラスチック分解酵素は、生分解性プラスチックをランダムに分解するエンド型の分解酵素であり、生分解性プラスチックをモノマーまで分解することもできるが、その主要な分解産物はオリゴマーであって、モノマーではない。この分解産物であるオリゴマーが多数存在すると、生分解性プラスチック分解酵素はオリゴマーをさらにモノマーまで分解する反応を触媒する必要があるため、生分解性プラスチックからオリゴマーを生成する反応速度が低下し得る。一方、エステラーゼは、生分解性プラスチック分解酵素の作用で生じたオリゴマーを、速やかにモノマーまで分解することができる。エステラーゼの働きによって分解反応液中からオリゴマーが除去されれば、生分解性プラスチック分解酵素による生分解性プラスチックからオリゴマーを生成する分解反応の分解速度は高いまま維持されるので、生分解性プラスチックを効率よく分解することができる。また、水中で低下する生分解性プラスチック分解酵素の反応をエステラーゼが補うことができるため、水中で生分解性プラスチックを効率よく分解することができる。
以上より、生分解性プラスチック分解酵素とエステラーゼとを併用すると、相乗的な生分解性プラスチック分解活性が得られることがわかった。一般的に分解されにくいと考えられている芳香環構造を有する生分解性プラスチックを対象とし、かつ、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性が低下する水中で反応を行うという過酷な試験条件下であっても、エステラーゼは、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性を増強し、分解活性の低下を補うことができる。そうすると、塩分濃度の高い緩衝液を使用することができない圃場において強度の高い生分解性プラスチックを分解する場合であっても、生分解性プラスチック分解酵素とエステラーゼとを併用すれば、生分解性プラスチックを効率よく分解することが可能となる。

Claims (8)

  1. 生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを、生分解性プラスチックに添加する工程を含むことを特徴とする、生分解性プラスチックを分解する方法。
  2. 前記生分解性プラスチックが、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、及び、それらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生分解性プラスチックが、芳香環構造を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記生分解性プラスチック分解酵素が、シュードザイマ(Pseudozyma)属、パラフォーマ(Paraphoma)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ムコール(Mucor)属、フミコラ(Humicola)属、テルモミセス(Thermomyces)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ケトミウム(Chaetomium)属、トルラ(Torula)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、マルブランケア(Malbranchea)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バクテロイデス(Bacteroides)属、及び、アシドボラックス(Acidovorax)属から成る群から選択される微生物により産生される酵素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記エステラーゼが、ブタ肝臓由来エステラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来エステラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bcillus stearothermophilus)由来エステラーゼ、及び、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来エステラーゼから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチック分解剤。
  7. 生分解性プラスチック分解酵素及びエステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチックを分解するためのキット。
  8. エステラーゼを含むことを特徴とする、生分解性プラスチック分解酵素の分解活性増強剤。
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