JP2022139501A - 劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラム - Google Patents

劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価する。【解決手段】劣化判定装置は、種類が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された種類推定モデルと、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を記憶する記憶部と、判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定結果を説明変数として用いて種類推定モデルからこの蓄電デバイスの種類を推定し、推定した種類に該当する劣化推定モデルから測定結果を説明変数として用いてこの蓄電デバイスの劣化度を判定する制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本明細書では劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラムを開示する。
従来、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、例えば、交流インピーダンス法とパターン分類アルゴリズムを用いた機械学習によるリチウムイオン二次電池の劣化診断方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この劣化判定方法では、リチウムイオン電池等の劣化判定を高速に行うことができるとしている。また、蓄電デバイスの容量劣化の推定方法としては、交流インピーダンスの測定結果で重回帰分析による容量劣化診断を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、リチウムイオン電池、ニッケル・カドミウム電池およびニッケル水素電池の種類を検出し、それぞれの充電制御方式の充電時間、例えば、リチウムイオン電池は定電流充電(CC)時間で容量劣化を推定するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、電圧と電流の測定値から等価回路により解析し、その値を基に鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ニッケル・カドミウム電池のいずれかであることを特定するものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法では、手法はニューラルネットワーク、サポートベクターマシンを推奨している。
また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、電池サイクリング機器を使用して訓練データセット(電圧、電流、温度、内部抵抗など)を収集し、機械学習により電池セル動作特性を予測するものが提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、定電流(CC)充電を行い、Vcに達したら定電圧(CV)充電に切り替え、その時点から時間tだけ経過した充電電流値Itを用いて容量を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、放電時の磁場を測定して容量劣化を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、ひずみゲージにより体積変化を感知し、容量劣化がない領域でも電池の膨張による劣化を推定できるものが提案されている(例えば、特許文献8参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、正負のパルス電流を印加し、正負それぞれの電圧値の関係から抵抗劣化を推定するものが提案されている(例えば、特許文献9参照)。また、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、温度、電流、電圧から内部抵抗とSOCを算出し、それらにより劣化評価を行うものが提案されている(例えば、特許文献10参照)。
特開2016-90346号公報 特開2014-44149号公報 特開平11-329512号公報 特開2014-178213号公報 特開2019-113524号公報 特開2001-257008号公報 特開2014-89819号公報 特開2020-24808号公報 特開2020-20715号公報 特開2010-261807号公報
しかしながら、上述の特許文献1、2では、どのようなデータを劣化診断に使うかは言及されておらず、また、インピーダンスを説明変数に使用しているが、まだ十分でなく、更なる改良が望まれていた。また、特許文献3では、電圧及び電流等の変化に基づいて電池の種類を識別するとしているが、実際に電池の種類を検出した例が示されていなかった。種類の識別は、形状ラベルなどで判定し、スイッチのオン・オフで充放電のプログラムを制御していると記載されているが、形状ラベルがない物は識別不可能であった。また、引用文献4では、リチウムイオン電池内の電池種類を特定するのは、電池材料の近いものを使用しているため異種電池内の電池選別に比べて難易度が高かった。また、引用文献4では、リチウムイオン電池内の電池種類を特定するのは、電池材料の近いものを使用しているため異種電池内の電池選別に比べて難易度が高かった。また、引用文献5では、訓練データセットを収集する際、測定不良のデータを含むと電池セル動作特性の予測精度が下がる問題があった。また、引用文献6~10では、リチウムイオン電池内の電池種類を特定するのは、電池材料の近いものを使用しているため異種電池内の電池選別に比べて難易度が高かった。このように、蓄電デバイスの劣化判定方法としては、その精度が十分でなく、更なる改良が望まれていた。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価することができる新規な劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラムを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、蓄電デバイスの種類ごとに劣化度の推定モデルを構築し、また、外れ値を所定の手法で求めて事前に報知し、劣化判定から除外するものとすれば、より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する劣化判定装置は、
蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定装置であって、
種類が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された種類推定モデルと、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を記憶する記憶部と、
判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定結果を説明変数として用いて前記種類推定モデルから該蓄電デバイスの種類を推定し、推定した種類に該当する前記劣化推定モデルから前記取得した測定結果を説明変数として用いて該蓄電デバイスの劣化度を判定する制御部と、
を備えたものである。
あるいは、本明細書で開示する劣化判定装置は、
蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定装置であって、
蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法に基づいて構築された許容範囲と、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を記憶する記憶部と、
判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定因子を用いて前記外れ値検出手法によって得られた評価値が前記許容範囲外である測定結果を外れ値として出力し、前記評価値が前記許容範囲内である前記測定結果を説明変数として用いて前記劣化推定モデルから該蓄電デバイスの劣化度を判定する制御部と、
を備えたものである。
本明細書で開示する劣化判定システムは、
蓄電デバイスの測定因子の測定結果を得る測定装置と、
上述した劣化判定装置と、を備え、
前記制御部は、前記測定装置から前記蓄電デバイスの測定結果を取得するものである。
本明細書で開示する劣化判定方法は、
蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定方法であって、
判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定結果を説明変数として用いて、種類が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された種類推定モデルから該蓄電デバイスの種類を推定する種類推定ステップと、
推定した種類に該当する、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルから前記取得した測定結果を説明変数として用いて該蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定ステップと、
を含むものである。
あるいは、本明細書で開示する劣化判定方法は、
蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定方法であって、
蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法に基づいて構築された許容範囲と、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を有し、
判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定因子を用いて前記外れ値検出手法によって得られた評価値が前記許容範囲外である測定結果を外れ値として出力する出力ステップと、
前記評価値が許容範囲内である測定結果を説明変数として用いて前記劣化推定モデルから該蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定ステップと、
を含むものである。
本明細書で開示するプログラムは、上述した劣化判定方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるものである。このプログラムはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。
本開示の劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラムでは、より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価することができる。本開示がこのような効果を奏する理由は、以下のように推察される。例えば、劣化判定を行う蓄電デバイスは、例えば、同種であっても製造会社が異なるなど、細かな点で異なることがある。このような場合、全ての蓄電デバイスから劣化判定を行う推定モデルを構築するのに比して、各種類ごとに推定モデルを構築した場合の方が、より高精度な劣化判定を行うことができる。また、蓄電デバイスの種類を特定するアルゴリズムを導入することによって、蓄電デバイスの種類を高精度に推定し、劣化判定の精度をより高めることができる。
また、測定不良の結果など、外れ値を用いて蓄電デバイスの劣化度を推定すると、間違った判断をすることがあり得る。一方、本開示では、所定の外れ値検出手法の評価値を用いて事前にこのような外れ値のデータを報知するから、誤った判定を低減することができる。また、劣化推定の推定モデル構築に使用したデータベースにはない新規現象などで外れ値として検出されたセルの詳細を調べ、それを推定モデル構築用データベースに繰り込むことにより、新規現象に対応した予測が行えるようになり、予測精度を向上することができる。
劣化判定システム10の一例を示す説明図。 推定モデル構築処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 劣化判定処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 診断結果を表す表示画面40の説明図。 外れ値検出と劣化推定との関係を説明するスキーム。 リチウムイオン二次電池(LIB)の新品と劣化電池の測定結果。 劣化電池とLOFの評価値との関係図。 新品電池と劣化電池のインピーダンス実部の周波数依存性を示す測定結果。 新品電池と劣化電池のインピーダンス虚部の周波数依存性を示す測定結果。 容量実験値と容量予測値との関係図。 容量実験値と抵抗予測値との関係図。 周波数(Hz)と測定時間(s)との関係図。 測定点数とRMSE(mAh)との関係図。 インピーダンスの直接測定と電流ステップ法による間接測定との関係図。 単独種又は3種混合で予測した容量実験値と容量予測値との関係図。
(劣化判定装置)
本明細書で開示する劣化判定装置の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、劣化判定システム10の一例を示す概略説明図である。劣化判定システム10は、例えば、使用済みの蓄電デバイス13を回収する回収施設などに備えられており、蓄電デバイス13の劣化度を判定するシステムである。この劣化判定システム10は、回収した蓄電デバイス13の劣化度を推定して、リユース可能かリサイクルすべきかについての判定を行う。リユース可能な蓄電デバイス13は、再調整されて出荷され、リサイクルすべき蓄電デバイス13はリサイクルされる。この劣化判定システム10は、測定装置15と、劣化判定装置20とを備えている。劣化判定システム10は、LANやインターネットなどを含むネットワーク12を介して測定装置15と劣化判定装置20との間で情報をやりとりする。
蓄電デバイス13は、例えば、ハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、リチウムやナトリウムのアルカリ金属二次電池、アルカリ金属イオン電池、空気電池などが挙げられる。このうち、蓄電デバイス13としては、リチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池が好ましい。ここでは、蓄電デバイス13がリチウムイオン二次電池であるものとして主として説明する。蓄電デバイス13は、例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えるものとしてもよい。正極は、正極活物質として、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを含むものとしてもよい。正極活物質は、例えば、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(a+b+c=1)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物などを用いることができる。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。負極は、負極活物質として炭素材料やリチウムを含む複合酸化物などを含むものとしてもよい。負極活物質は、例えば、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素材料としては、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。イオン伝導媒体は、例えば、支持塩を溶解した電解液とすることができる。支持塩としては、例えば、LiPF6やLiBF4、などのリチウム塩が挙がられる。電解液の溶媒は、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル-n-ブチルカーボネート、メチル-t-ブチルカーボネート、ジ-i-プロピルカーボネート、t-ブチル-i-プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類等が挙げられる。また、イオン伝導媒体は、固体のイオン伝導性ポリマーや、無機固体電解質あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。固体電解質やこの蓄電デバイス13は、正極と負極との間にセパレータを配置してもよい。
測定装置15は、蓄電デバイス13の測定因子の測定結果を得る装置である。測定因子は、蓄電デバイスの劣化に関するものとすることができ、例えば、交流インピーダンスの実部Z’や虚部Z”、その測定温度T、開放電圧V、時間t経過後の充電電流値It、放電時の磁場、セルの体積変化、正負のパルス電流を印加したときの電圧値、内部抵抗と残容量SOCなどが挙げられる。この測定装置15は、測定因子として、交流インピーダンスを直接又は間接的に測定し、測定温度Tでのインピーダンスの実部Z’と虚部Z”とを求める装置とする。また、測定装置15は、蓄電デバイス13の開放電圧V(V)を測定可能とする。この測定装置15は、判定対象14としての蓄電デバイス13を測定温度Tに調節して収容する恒温槽16と、判定対象14に電気的に接続し交流電流を印加する交流インピーダンスアナライザ17とを備える。また、測定装置15は、交流インピーダンスを直接求めるものとしてもよいが、例えば、電流ステップ法や電圧ステップ法、電流パルス法などによって交流インピーダンスを間接的に求めるものとしてもよい。電流ステップ法では、所定の電流(例えば、0.1Cなど)、所定時間(例えば0.01sなど)、印加したときの電圧の振る舞いを測定し、このときの電流と電圧を用いて、ラプラス変換により所定の周波数(例えば、100Hz)における実部Z’や虚部Z”を求めることができる。測定装置15は、ネットワーク12を介して測定結果を劣化判定装置20へ出力する。
劣化判定装置20は、劣化度が既知である蓄電デバイスを測定した結果から得られた劣化推定モデル33を利用し、劣化度が不明の判定対象14を測定した結果からこの判定対象14の劣化度を推定する劣化度推定処理を行う装置である。また、劣化判定装置20は、種類が既知である蓄電デバイスを測定した結果から得られた種類推定モデル32を利用し、種類が不明の判定対象14を測定した結果からこの判定対象14の種類を推定する種類推定処理を行う装置である。ここで、「種類」には、正極活物質や負極活物質の違いなど蓄電デバイス自体の種類のほか、同一カテゴリ(例えば「リチウムイオン二次電池」など)における製造会社や型番の違いなどを含む製品種も含まれる。また、劣化判定装置20は、判定対象14の測定結果を用い、所定の外れ値検出手法を用いてこの測定結果が外れ値であるときには、その旨出力する外れ値出力処理を実行する。なお、劣化判定装置20は、劣化推定処理、種類推定処理及び外れ値出力処理において、同じ測定因子を用いてもよいし、それぞれ異なる測定因子を用いてもよいが、同じ測定因子を用いることが効率よく好ましい。劣化判定装置20は、制御部21と、記憶部22と、入力装置28と、表示装置29と、を備える。入力装置28は、各種入力を行うマウスやキーボードなどを含む。表示装置29は、画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイである。
制御部21は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体を制御する。また、制御部21には、機能ブロックとして、測定装置15から測定結果を取得する取得部と、取得した測定結果と種類推定モデル32とから蓄電デバイス13の種類を推定する種類推定部と、測定結果から許容範囲31を用いて外れ値を検出する検出部と、測定結果と劣化推定モデル33とから劣化度を推定する劣化推定部と、推定した劣化度から判定対象14である蓄電デバイス13のリユースの可否を判定する判定部と、を有する。この機能ブロックは、制御部21が外れ値検出プログラム34、種類推定プログラム35及び劣化判定プログラム36を実行することによって実現される。
記憶部22は、例えば、HDDなど、大容量の記憶装置として構成されており既知試験結果23や、機械学習プログラム30、許容範囲31、種類推定モデル32、劣化推定モデル33、外れ値検出プログラム34、種類推定プログラム35、劣化判定プログラム36などが記憶されている。既知試験結果23は、劣化度が既知である蓄電デバイス13の測定結果である。この既知試験結果23は、種類推定モデル32や劣化推定モデル33を構築するために用いられるものであり、測定結果としてインピーダンス24、開放電圧25、測定温度26、劣化度27などが含まれる。劣化度27は、例えば、初期の最大放電容量を100%とした場合において、連続又は断続的に使用されたあと、劣化により低減した最大放電容量の割合として定義することができる。
許容範囲31は、例えば、蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法に基づいて構築された閾値である。測定因子としては、上述のうち、既知試験結果23のインピーダンス24の実部Z’とその測定温度T、この蓄電デバイス13の開放電圧Vなどが挙げられ、更にインピーダンス24の虚部Z”などを含んでもよい。外れ値検出手法としては、例えば、LOF(Local outlier factor)や、ホテリング理論、K近傍法、1クラスサポートベクターマシーンなどが挙げられ、このうち、LOFが好ましい。
機械学習プログラム30は、制御部21により実行され、既知試験結果23から機械学習を利用して種類推定モデル32や劣化推定モデル33を構築するプログラムである。例えば、機械学習には、統計分析ソフトRやPython(登録商標)、SQL、Excel(登録商標)などを用いることができ、手法として、線形回帰、カーネルリッジ、サポートベクター、XGBoost、ニューラルネットワーク(nnet)及びランダムフォレスト(RF)のうち1以上を用いることができる。機械学習の手法としては、ランダムフォレストが、劣化判定の精度がより高く、好ましい。
種類推定モデル32は、既知の蓄電デバイス13の種類を推定するモデルである。この種類推定モデル32は、既知の蓄電デバイス13の種類における既知試験結果23のインピーダンス24の実部Z’とその測定温度T、この蓄電デバイス13の開放電圧Vとに少なくとも基づいて構築されている。この種類推定モデル32は、更に、インピーダンスの虚部Z”に基づいて構築されることがより好ましい。特に、種類推定モデル32は、インピーダンス24の実部Z’と虚部Z”と、インピーダンス24の測定温度Tと、蓄電デバイス13の開放電圧Vとに基づいて構築されていることが最も好ましい。
劣化推定モデル33は、蓄電デバイス13の種類ごとに構築され、この蓄電デバイス13の劣化度を導出する推定モデルである。劣化推定モデル33は、既知試験結果23のインピーダンス24の実部Z’とその測定温度T、この蓄電デバイス13の開放電圧Vとに少なくとも基づいて構築されている。この劣化推定モデル33は、更に、劣化度が既知である蓄電デバイス13のインピーダンスの虚部Z”に基づいて構築されることがより好ましい。特に、劣化推定モデル33は、インピーダンス24の実部Z’と虚部Z”と、インピーダンス24の測定温度Tと、蓄電デバイス13の開放電圧Vとに基づいて構築されていることが最も好ましい。
この種類推定モデル32や劣化推定モデル33は、10-2Hz以上104Hz未満の範囲のインピーダンスに基づいて構築されることが好ましく、10-1Hz以上103Hz以下の範囲のインピーダンスに基づいて構築されることがより好ましい。また、測定温度Tは、例えば、-30℃以上としてもよいし、-20℃以上としてもよいし、-10℃以上としてもよい。また、測定温度Tは、例えば、60℃以下としてもよいし、50℃以下としてもよいし、40℃以下としてもよい。この測定温度Tは、-20℃以上50℃以下の範囲が好ましい。インピーダンスの測定温度Tは、蓄電デバイス13の使用環境などに基づいて適宜設定すればよい。
外れ値検出プログラム34は、制御部21によって実行され、測定装置15で得られた測定因子の測定結果のうち、許容範囲31を用いて外れ値を検出するプログラムである。
この外れ値検出プログラム34は、例えば、測定装置15から取得した少なくとも、判定対象である蓄電デバイス13のインピーダンスの実部Z’と、その測定温度Tと、開放電圧Vとを用いて、外れ値検出手法により評価値を導出する。劣化推定モデル33から蓄電デバイスの劣化度を推定する。外れ値検出プログラム34は、更に、インピーダンスの虚部Z”をも取得し、評価値を導出してもよい。また、外れ値検出プログラム34は、10-2Hz以上104Hz未満の範囲、より好ましくは、10-1Hz以上103Hz未満の範囲の判定対象14のインピーダンスを取得するものとしてもよい。外れ値検出プログラム34は、例えば、評価値を導出するインピーダンスの測定点が10以下の範囲としてもよい。このインピーダンスの測定点は、3点以上がより好ましく、4点以上であることがより好ましい。また、この測定点は、8点以下であることがより好ましく、6点以下としてもよい。この測定点は、3点以上10以下の範囲では、外れ値の検出精度をより高めることができ好ましい。また、外れ値検出プログラム34は、下端範囲として10-2Hz以上100Hz以下の範囲で1点、上端範囲として102Hzを超え104Hz未満の範囲で1点、中間範囲として100Hz以上102Hz以下の範囲で1点を少なくとも含む測定点でのインピーダンスを取得することが好ましい。下端範囲と上端範囲で少なくとも1点の測定点を含むことが、外れ値の検出精度をより高めることができ好ましい。また、この下端範囲は、10-1Hz以上100Hz未満の範囲であることがより好ましい。低周波数帯では、測定時間がより長くなるため、外れ値検出プログラム34では、低周波数帯の中でもより高い周波数での測定点を用いることがより好ましい。
種類推定プログラム35は、制御部21により実行され、判定対象14の測定結果と種類推定モデル32とにより判定対象14の種類を推定し、その種類に応じた劣化推定モデル33を設定する際に実行される。この種類推定プログラム35は、例えば、測定装置15から取得した少なくとも、判定対象である蓄電デバイス13のインピーダンスの実部Z’と、その測定温度Tと、開放電圧Vとを説明変数として用いて、種類推定モデル32から蓄電デバイスの種類を推定する。種類推定プログラム35は、更に、インピーダンスの虚部Z”をも取得し、説明変数として用いて判定対象14の種類を推定するものとしてもよい。また、種類推定プログラム35は、10-2Hz以上104Hz未満の範囲、より好ましくは、10-1Hz以上103Hz未満の範囲の判定対象14のインピーダンスを取得するものとしてもよい。種類推定プログラム35は、例えば、判定対象14の種類の推定を行うインピーダンスの測定点が10以下の範囲としてもよい。このインピーダンスの測定点は、3点以上がより好ましく、4点以上であることがより好ましい。また、この測定点は、8点以下であることがより好ましく、6点以下としてもよい。この測定点は、3点以上10以下の範囲では、種類の推定の精度をより高めることができ好ましい。また、種類推定プログラム35は、下端範囲として10-2Hz以上100Hz以下の範囲で1点、上端範囲として102Hzを超え104Hz未満の範囲で1点、中間範囲として100Hz以上102Hz以下の範囲で1点を少なくとも含む測定点でのインピーダンスを取得することが好ましい。下端範囲と上端範囲で少なくとも1点の測定点を含むことが、種類の推定精度をより高めることができ好ましい。また、この下端範囲は、10-1Hz以上100Hz未満の範囲であることがより好ましい。低周波数帯では、測定時間がより長くなるため、種類推定プログラム35では、低周波数帯の中でもより高い周波数での測定点を用いることがより好ましい。
劣化判定プログラム36は、制御部21により実行され、判定対象14の測定結果と劣化推定モデル33とにより判定対象14の劣化度を推定し、そのリユースが可能かを判定するプログラムである。この劣化判定プログラム36は、例えば、測定装置15から取得した少なくとも、判定対象である蓄電デバイス13のインピーダンスの実部Z’と、その測定温度Tと、開放電圧Vとを説明変数として用いて、劣化推定モデル33から蓄電デバイスの劣化度を推定する。劣化判定プログラム36は、更に、インピーダンスの虚部Z”をも取得し、取得したものを説明変数として用いて判定対象14の劣化度を判定するものとしてもよい。また、劣化判定プログラム36は、10-2Hz以上104Hz未満の範囲、より好ましくは、10-1Hz以上103Hz未満の範囲の判定対象14のインピーダンスを取得するものとしてもよい。劣化判定プログラム36は、例えば、判定対象14の劣化判定を行うインピーダンスの測定点が10以下の範囲としてもよい。このインピーダンスの測定点は、3点以上がより好ましく、4点以上であることがより好ましい。また、この測定点は、8点以下であることがより好ましく、6点以下としてもよい。この測定点は、3点以上10以下の範囲では、劣化度の推定の精度をより高めることができ好ましい。また、劣化判定プログラム36は、下端範囲として10-2Hz以上100Hz以下の範囲で1点、上端範囲として102Hzを超え104Hz未満の範囲で1点、中間範囲として100Hz以上102Hz以下の範囲で1点を少なくとも含む測定点でのインピーダンスを取得することが好ましい。下端範囲と上端範囲で少なくとも1点の測定点を含むことが、劣化度の推定精度をより高めることができ好ましい。また、この下端範囲は、10-1Hz以上100Hz未満の範囲であることがより好ましい。低周波数帯では、測定時間がより長くなるため、劣化判定プログラム36では、低周波数帯の中でもより高い周波数での測定点を用いることがより好ましい。
(劣化判定方法)
次に、こうして構成された本実施形態の劣化判定装置20の動作、特に、劣化判定装置20が実行する劣化判定方法について説明する。この劣化判定方法は、例えば、機械学習によって許容範囲31、種類推定モデル32、劣化推定モデル33を構築する構築ステップと、劣化推定モデル33から判定対象の蓄電デバイスの劣化度を判定する判定ステップと、を含むものとしてもよい。なお、この劣化判定方法において、既に構築した許容範囲31、種類推定モデル32及び劣化推定モデル33を用いて、上記構築ステップを省略してもよい。
(構築ステップ)
ここでは、まず、許容範囲31を構築する処理について説明する。この構築処理では、使用者が既知種類及び既知劣化度の複数の蓄電デバイス13を用意し、劣化判定システム10が測定因子としてのインピーダンス24や、開放電圧25、測定温度26を測定し、この測定結果を用いて所定の外れ値検出手法を用いて評価値を導出し、外れ値を適正に検出可能な閾値を求め、この閾値の範囲を許容範囲31として設定する処理を行う。例えば、外れ値検出手法としてLOFを用いると、適正な評価値の範囲と、明らかに外れ値である評価値の分布が得られる(後述図7参照)。この評価値の分布から、誤検出無しに外れ値を判定できる閾値を設定することができる。
次に、種類推定モデル32及び劣化推定モデル33を構築する処理について説明する。この構築処理では、使用者が既知種類及び既知劣化度の複数の蓄電デバイス13を用意し、劣化判定システム10が測定因子としてのインピーダンス24や、開放電圧25、測定温度26を測定し、種類推定モデル32や劣化推定モデル33を構築する。図2は、制御部21により実行される推定モデル構築処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部22に記憶され、使用者の指示に応じて実行される。制御部21は、このルーチンを実行すると、まず、種類及び劣化度が既知である蓄電デバイス13の測定因子を取得し(S100)、取得した測定因子に該当する蓄電デバイス13の測定結果を取得する(S110)。ここでは、インピーダンス24や、開放電圧25、測定温度26が測定因子として設定される。制御部21は、判定対象14を取り替えながら、測定装置15が測定した開放電圧Vやインピーダンスの測定結果をリアルタイムで直接取得してもよいし、測定済の開放電圧Vやインピーダンスの測定結果を既知試験結果23から間接的に取得してもよい。また、インピーダンスの測定結果には、実部Z’のほか、虚部Z”などを含むものとしてもよい。S110のあと、制御部21は、全ての既知蓄電デバイス13の測定結果を取得したか否かを判定し(S120)、全ての測定結果を取得していないときには、S110以降の処理を繰り返し実行する。一方、S120で全ての測定結果を取得したときには、制御部21は、機械学習により種類推定モデル32を構築して記憶部22に記憶し(S130)、機械学習により劣化推定モデル33を構築して記憶部22に記憶し(S140)、このルーチンを終了する。
劣化した蓄電デバイス13のインピーダンスと劣化度とは、その劣化の態様によってリニアな関係性を有さず、周波数帯域ごとに初期セルに対して劣化セルのインピーダンス値が高く出る場合もあれば、低く出る場合もある(後述図8参照)。ここでは、機械学習を利用して、インピーダンスZ’,Z”やその測定温度T、開放電圧Vから劣化度を推定することが可能な劣化推定モデル33を構築するのである。また、蓄電デバイス13は、その種類に応じて、そのインピーダンスの変化や開放電圧Vの変化に一定の傾向を有する。ここでは、機械学習を利用して、インピーダンスZ’,Z”やその測定温度T、開放電圧Vから蓄電デバイス13の種類を推定することが可能な種類推定モデル32を構築するのである。制御部21は、例えば、種類推定モデル32や劣化推定モデル33の構築には統計分析ソフトRやPython(登録商標)、SQL、Excel(登録商標)などを用いることができ、手法として、線形回帰、カーネルリッジ、サポートベクター、XGBoost、ニューラルネットワーク(nnet)及びランダムフォレスト(RF)のうち1以上、好ましくは、ランダムフォレストを用いることができる。
(判定ステップ)
この判定ステップでは、判定対象14である蓄電デバイス13の測定因子の測定結果を説明変数として用い種類推定モデル32からこの判定対象14の種類を推定し、推定した種類に該当する劣化推定モデル33から測定結果を説明変数として用いてこの判定対象14の蓄電デバイス13の劣化度を判定する処理を行う。また、この判定ステップでは、判定対象14である蓄電デバイス13の測定因子の測定結果を用いて外れ値検出手法によって評価値を導出し、この評価値が許容範囲31外であるものを外れ値として出力する処理を行う。また、評価値が許容範囲31内である測定結果を説明変数として用いて劣化推定モデル33から該蓄電デバイス13の劣化度を判定する処理を行う。この判定ステップにおいて、測定因子は、インピーダンスの実部Z’及び/又は虚部Z”、その測定温度T、開放電圧Vとして説明する。また、種類推定モデル32及び劣化推定モデル33は、種類及び劣化度が既知である蓄電デバイス13のインピーダンスの実部Z’及び/又は虚部Z”と、その測定温度Tと、その蓄電デバイス13の開放電圧Vと、に少なくとも基づいて構築されているものとする。図3は、制御部21により実行される劣化判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部22に記憶され、使用者の指示に応じて実行される。使用者は、許容範囲31、種類推定モデル32及び劣化推定モデル33を構築したのち、判定対象14を交流インピーダンスアナライザ17へ接続したのち、このルーチンを実行させる。
このルーチンを実行すると、制御部21は、判定対象14の測定因子を取得し(S200)、判定対象14の測定因子の測定結果を取得する(S210)。ここでは、測定因子として、測定因子の種類(Z’,Z”,T,Vなど)のほか、インピーダンスの測定点(周波数の点数)についても取得するものとする。測定点は、例えば、特定の周波数帯において3点以上10点以下の範囲、より好ましくは、4点以上8点以下の範囲に設定されている。また、測定点は、上述したように、下端範囲として10-2Hz以上100Hz以下の範囲で1点、上端範囲として102Hzを超え104Hz未満の範囲で1点、中間範囲として100Hz以上102Hz以下の範囲で1点を少なくとも含むものとすることが好ましい。この範囲に測定点が少なくとも3点含まれるものとすれば、判定対象14の種類や劣化度をより精度よく推定することができる。この測定点は、例えば、0.01Hz以上100000Hz以下の周波数範囲に含まれるものとしてもよい。具体的には、測定点は、0.01Hz、0.1Hz、1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10000Hz、100000Hzなどを含むものとしてもよい。また、測定点は、0.05Hz、0.5Hz、5Hz、50Hz、500Hz、5000Hz、50000Hzや、0.02Hz、0.2Hz、2Hz、20Hz、200Hz、2000Hz、20000Hzなどを含むものとしてもよい。測定点は、例えば、0.1Hz、1Hz、10Hz、100Hz、1000Hzを含むことが好ましい。測定温度Tは、例えば、上述したように、-30℃~60℃の範囲で適宜定めるものとしてもよい。測定装置15は、設定された測定温度Tに恒温槽16を制御し、設定された測定点で交流インピーダンスアナライザ17によってインピーダンスを測定する。
次に、制御部21は、全ての測定結果を取得したか否かを判定し(S220)、全ての測定点のデータを取得していないときには、S210以降の処理を実行する。制御部21は、S210では、取得していない次の測定点を設定する。一方、S220で全ての測定結果を取得したときには、制御部21は、インピーダンスの実部Z’及び/又は虚部Z”と開放電圧Vと、更には測定温度Tを用い、外れ値検出手法を用いて評価値を算出する(S230)。制御部21は、例えば、LOFを用いて評価値を算出する。次に、制御部21は、評価値が許容範囲31内であるか否かを判定し(S240)、許容範囲31内でないとき、即ち評価値が許容範囲31外であるときには、外れ値情報を出力する(S250)。外れ値情報には、判定対象14の測定結果が異常値である旨の内容を含むものとしてもよい。外れ値情報の出力は、例えば、表示装置29への表示出力としてもよいし、図示しないスピーカから音声出力してもよいし、図示しない印刷装置から印刷出力してもよいし、記憶部22へ記憶出力してもよい。使用者は、この外れ値情報を確認すると、判定対象14の接続などを確認し、測定装置15で再測定させるなどの作業を行う。
一方、S240で評価値が許容範囲31内であるときには、制御部21は、測定結果を用いて、種類推定モデル32から判定対象14の種類を推定する処理を実行する(S260)。制御部21は、全測定点の説明変数の測定値に最も適合する種類を種類推定モデル32を用いて導出する。種類推定モデル32は、機械学習によって構築されており、極めて高い確率で判定対象14の種類を推定することができる。次に、制御部21は、推定した種類に応じた劣化推定モデル33を設定し(S270)、測定結果を用いて、この劣化推定モデル33から判定対象14の劣化度を推定する(S280)。制御部21は、全測定点の説明変数の測定値に最も適合する劣化度を劣化推定モデル33を用いて導出する。劣化推定モデル33は、機械学習によって構築されており、極めて高い確率で判定対象14の劣化度を推定することができる。続いて、制御部21は、推定された劣化度が所定の閾値内であるか否かを判定する(S290)。この閾値は、例えば、判定対象14の蓄電デバイス13が再調整によってリユース可能である下限値に基づいて経験的に設定されているものとする。
判定対象14の劣化度が所定の閾値内であるときには、制御部21は、リユース可能である旨の表示を出力する(S300)。一方、判定対象14の劣化度が所定の閾値外であるときには、制御部21は、リサイクルすべき旨の表示を出力する(S310)。図4は、診断結果を表す表示画面40の説明図である。図4に示すように、リサイクル、リユースのほか、分解して資源活用するリビルドの判定を行ってもよいし、診断結果として、残存容量や抵抗増加度などの情報を付記してもよい。
S300のあと、またはS310のあと、あるいは、S250のあと、制御部21は、S300、S310、S250の判定結果を記憶すると共に、次の判定対象14の蓄電デバイス13があるか否かを判定する(S320)。次の判定対象14があるときには、制御部21は、S200以降の処理を繰り返し実行する一方、320で次の判定対象14がないときには、制御部21は、このルーチンを終了する。このように、劣化判定装置20では、蓄電デバイス13の交流インピーダンスの実部Z’及び/又は虚部Z”と開放電圧Vと、更には測定温度Tを用い、外れ値を検出してこれを除外し、種類推定モデル32や劣化推定モデル33から判定対象14の劣化度を推定することにより、蓄電デバイス13のリユースの可否を判定する。
以上説明した本実施形態の劣化判定装置20及び劣化判定システム10では、より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価することができる。劣化判定装置20や劣化判定システム10がこのような効果を奏する理由は、以下のように推察される。例えば、劣化判定を行う蓄電デバイス13は、例えば、同種であっても製造会社が異なるなど、細かな点で異なることがある。このような場合、全ての蓄電デバイス13から劣化判定を行う推定モデルを構築するのに比して、各種類ごとに推定モデルを構築した場合の方が、より高精度な劣化判定を行うことができる。また、蓄電デバイスの種類を特定するアルゴリズムを導入することによって、蓄電デバイスの種類を高精度に推定し、劣化判定の精度をより高めることができる。
また、測定不良の結果など、外れ値を用いて蓄電デバイスの劣化度を推定すると、間違った判断をすることがあり得る。一方、本開示では、所定の外れ値検出手法の評価値を用いて事前にこのような外れ値のデータを報知するから、誤った判定を低減することができる。また、劣化推定の推定モデル構築に使用したデータベースにはない新規現象などで外れ値として検出されたセルの詳細を調べ、それを推定モデル構築用データベースに繰り込むことにより、新規現象に対応した予測が行えるようになり、予測精度を向上することができる。
図5は、外れ値検出と劣化推定との関係を説明するスキームである。劣化判定装置20では、まず測定がうまくいっているか判断し、外れ値検出されたときには、測定不良として再測定する。外れ値検出にはもう一つ役目がある。診断モデル構築に使用したデータベースとは異質のデータとして検知した場合、その蓄電デバイス13の詳細な測定を行い、診断用データベースに繰り込み、劣化推定モデルをアップデートしていくことができる。外れ値検出で、正常値とみなされた場合は、測定値を用いて蓄電デバイス13の種類の推定を行う。回収された蓄電デバイス13が複数の種類からなる場合は、この種類推定を行う方がより好ましい。蓄電デバイス13の種類が特定できたら各蓄電デバイス13の種類に応じた劣化推定モデル33を用いて劣化推定を行うことによって、より高い精度で劣化判定を行うことができる。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、劣化判定システム10は、測定装置15と劣化判定装置20とを備えるものとしたが、特にこれに限定されず、交流インピーダンスや開放電圧などの測定因子の測定結果を外部から取得するものとして測定装置15を省略してもよい。この劣化判定装置20においても、より高い精度で蓄電デバイスの劣化度を評価することができる。
上述した実施形態では、測定因子を交流インピーダンスやその測定温度、開放電圧として説明したが、蓄電デバイス13の劣化度を判定可能な因子であれば、特にこれに限定されない。例えば、劣化度の判定を特許文献6~10で示された処理で行うものとしてもよい。測定因子としては、例えば、定電流(CC)充電を行いVcに達したら定電圧(CV)充電に切り替えその時点から時間tだけ経過した充電電流値Itとしてもよいし、放電時の磁場としてもよいし、ひずみゲージにより測定したセルの体積変化としてもよいし、正負のパルス電流を印加したときの正負それぞれの電圧値の関係としてもよいし、内部抵抗と残容量SOCなどが挙げられる。この場合、機械学習する対象をこの測定因子とし、種類推定モデル32や劣化推定モデル33を構築すればよい。
上述した実施形態では、本開示を劣化判定システム10や劣化判定装置20、劣化判定方法として説明したが、例えば、劣化判定方法を実行するためのプログラムとしてもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した劣化判定方法の各ステップが実行されるため、この劣化判定方法と同様の作用効果が得られる。
以下には、本開示の劣化判定方法及び劣化判定装置を具体的に検討した例を実験例として説明する。なお、実験例1、4、7が本開示の比較例であり、実験例2、3、5、6、8~20が実施例に相当する。
中古電池の劣化診断の検討として、パナソニック製リチウムイオン電池NCR18650を用い、診断にはインピーダンス、開放電圧、測定温度の結果を用いた。インピーダンス、開放電圧、測定温度の測定には、ソーラートロン社製CELLTEST-8T(7ch:1A仕様、1ch:25A仕様)を用いて、測定時の電流は5mAとし、測定温度Tは測定セルの入っている恒温槽の温度を用いた。新品電池7本、劣化電池35本の測定を行った。劣化電池としては、2.5Vから4.2Vの間を20℃で2C充電し0.1C放電を繰り返したものや、60℃で0.5C充電し0.1C放電を繰り返したもの、60℃で保管し続けたもの、など、劣化モードの異なるものを用意した。また、種類の異なるリチウムイオン二次電池として、LG製18650-M26、プラタ販売b18650-01を用い、劣化モードとして、20℃、2Cでそれぞれ12、24、30、36、42、48、54回充放電サイクルを行った電池を用意した。まず、測定データに含まれる外れ値の検討及び、劣化度の判定を行ったのち、種類の推定について検討した。インピーダンスおよび開放電圧は、電池の残容量SOCや測定温度で変化するので、SOCは10%刻みで0~100%、測定温度は10℃刻みで-20~50℃の範囲で測定した。また、劣化度の指標として、電池容量を用い、各電池に対してアスカ電池社製5V/10A-80CHを用いて、電池容量を0.1CのCV放電の放電容量とした。測定条件は、42本の電池容量と各電池88条件(SOC11条件×測定温度8条件)とした。表1~4に各実験例の測定条件をまとめて示した。
図6は、パナソニック製リチウムイオン二次電池(LIB)の測定結果であり、図6(a)が新品電池と劣化電池の容量、図6(b)が新品電池と劣化電池の抵抗の違いを示す。図6に示すように、劣化電池では、新品電池に対して容量が減少すると共に、抵抗が増加することがわかる。ここでは、各電池に対してアスカ電池社製5V/10A-80CHを用いて、20℃、0.1CのCCCV放電の放電容量を測定し、それを電池容量とした。また、20℃、SOC50%で交流インピーダンスを詳細に測定し、図6(b)に示すcole-coleプロットにおいて、正負極の電荷移動抵抗が二つの円弧として現れたのち交流インピーダンスの虚部Z”が極小値を取るときの実部Z’を、この電池の特徴的な抵抗R1と定義し、容量とともに劣化の指標とした。抵抗R1は、比較的応答が早い抵抗成分からなり、直流抵抗と正負極の電荷移動抵抗とを足し合わせた抵抗の指標となる。
まず、測定データの外れ値について検討した。外れ値を検知するための機械学習には、統計分析ソフトRを用い、手法としてLOF(Local outlier factor)を用いた。図7は、劣化電池(パナソニック製LIB)とLOFの評価値との関係図の一例である。ここでは、交流インピーダンス(0.1、1、10、100、1000Hz)の実部Z’と虚部Z”と、開放電圧(V)と、測定温度(℃)とをLOFを計算するパラメータとして用いたため、12次元空間で評価している。LOFのスコアが高いと空間に対するデータの密度が少ないことを意味し、外れ値とみなすことができる。図7では、ハイパーパラメータkをk=15として計算しており、横軸は電池データの管理番号を意味している。例えば、図7のLOFのスコアが6以上の4個のデータ点のデータを確認してみると、インピーダンスの測定値が異常な値を示し、同じ測定温度でかつ近い開放電圧の正常なデータと比較すると一桁以上小さかった。このように、診断のための測定結果を診断モデル構築に使用したデータベースと合わせて計算し、許容範囲(例えばLOFのスコアが4以下)を用いることで、測定不良や異質の測定結果を抽出することができることがわかった。
次に、リチウムイオン電池の劣化診断について検討した。図8は、SOC50%、測定温度20℃における新品電池と劣化電池のインピーダンス実部Z’の周波数依存性を示す測定結果である。図9は、SOC50%、測定温度20℃における新品電池と劣化電池のインピーダンス虚部Z”の周波数依存性を示す測定結果である。図8、9に示すように、新品電池では、インピーダンスはほぼ同じ形状、値を示した。一方、劣化電池は、新品電池と異なるインピーダンスの形状及び値を示した。また、劣化電池では、その劣化モードの違いにより、例えば、101Hz以下の周波数帯では、新品電池の上下に劣化電池のZ’があり、102Hz~104Hzの周波数帯では新品電池よりも上に劣化電池のZ’があり、105Hzではいずれの電池も同じZ’を示すなど、一様の傾向は得られなかった。このため、容量の劣化度に対するインピーダンスの変化量は、単純なモデルでは説明できないことがわかった。そこで得られたデータセットを用いて機械学習から電池容量を予測した。
機械学習には統計分析ソフトRを用い、パッケージとしてcaretを使用し、手法としてランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(nnet)を検討した。予測精度を、実験値と予測値との平均平方二乗誤差RMSEにより評価した。このRMSEは、その値が低いほど予測精度が高いことを表す。今回は、推定モデルの汎用性を評価するため、10分割交差検証を行い、10回推定モデルを構築しており、その10回の平均のRMSEで比較評価した。表1に各モデルで電池容量を予測した結果を示す。表1において、インピーダンスの実部Z’は、0.01、0.1、1、10、100、1000、10000、100000Hzの各周波数の値を用いた。また表1には、開放電圧V、測定温度Tも検討した結果をまとめた。表1に示すように、機械学習の手法にかかわらず、説明変数に開放電圧Vを入れると、予測精度が向上することがわかった。また、開放電圧Vに加えて、測定温度Tを入れると、さらに予測精度が増すことがわかった。また機械学習の手法としては、nnetよりRFの方が予測精度が高いことがわかった。
表2にRFで電池容量を予測した結果の使用周波数帯依存性をまとめた。表2に示すように、全ての周波数のデータを用いればよいというわけではなく、予測精度を向上させるための最適な周波数帯が存在することが推察された。例えば、10000Hz近傍の周波数帯では容量変化によるインピーダンスの変化量がノイズや電池の個体差と同程度になるため、予測精度を上げるために周波数帯を制限する必要がある。電池容量を判定するためのインピーダンスの測定周波数帯の上限範囲は、好ましくは100Hzより大きく10000Hz未満、さらに好ましくは100Hzより大きく1000Hz以下である。下限範囲に関しては、0.01Hzから0.1Hzに変更しても予測精度がほとんど同じであり、0.1Hzより低い周波数帯では周波数を低下させるにつれ測定時間が急激に増大することから、好ましくは0.1Hz以上となる。表3にインピーダンスの虚部Z”を加えて説明変数の組合せを変更しRFで電池容量を予測したRMSEを示す。表3に示すように、Vを考慮し、更にTを考慮することが好ましく、更にZ”を考慮することがより好ましく、Z’,Z”,V,Tの全て考慮するほうが予測精度を向上することがわかった。また、虚部Z”,V,Tを説明変数とした場合も(実験例14)、実部Z’,V,Tを説明変数とした場合(実験例11)と同等の結果が得られることから、虚部Z”と開放電圧Vとを説明変数としても、実部Z’のみや虚部Z”のみを説明変数とするものに比して、より高い精度で劣化度を推定できるものと推察された。
図10は、説明変数としてインピーダンスの実部Z’,虚部Z”,開放電圧V,測定温度Tを用い(実験例12)複数の劣化モードで劣化した電池の容量実験値と容量予測値との関係図である。図11は、説明変数としてインピーダンスの実部Z’,虚部Z”,開放電圧V,測定温度Tを用い(実験例12)複数の劣化モードで劣化した電池の容量実験値と抵抗予測値との関係図である。図中には、全体の90%のデータが含まれる誤差ラインを示した。図10に示すように、どの劣化モードの電池においても高い精度で容量予測ができていることがわかった。特に、3000mAh程度の電池容量に対して±25mAhの誤差で90%以上のデータが予測できていることがわかった。また、図11に示すように、どの劣化モードの電池においても高い精度で抵抗予測ができていることがわかった。
図12は、各周波数(Hz)と測定時間(s)との関係図である。電池診断は、短時間で行うことが望まれる。この点において、近い周波数のインピーダンス同士は強い相関があることから、ある程度測定するデータ点を間引いても劣化診断には影響しないことが予想される。このため、測定するデータ点を少なくすることが考えられる。例えば、0.01~100000Hzのインピーダンスを周波数のログスケールで均等に85点取った場合、測定時間が1170sであったが、8点(0.01、0.1、1、10、100、1000、10000、100000Hz)にすると、202sと1/5程度の測定時間で済むことがわかった。直接的に電池容量を0.1Cで測定した場合、測定時間は最低でも10時間かかることから、インピーダンスの測定時間は電池容量測定時間に比べて圧倒的に短く、劣化診断向きであった。
次に、表4にインピーダンスの虚部Z”を加えてRFで電池容量を予測した結果の使用周波数帯依存性を示す。図13は、測定点数とRMSE(mAh)との関係図である。表4、図13に示すように、データの測定点数に関しては、使用周波数に対応する測定点数は、3点以上が好ましく、4点以上で高い予測精度を示すことがわかった。また、測定点数が6点の場合と3点の場合とで予測精度がほぼ同じことから、測定点数をこれ以上増やしても予測精度は向上しないと推測された。データの測定点数が増えると、診断時間がかかることから、望ましくは、測定点数は8点以下、さらに望ましくは6点以下であると推察された。
劣化診断時の測定は直接インピーダンスを測定するものとしてもよいが、間接的に測定する場合についても検討した。その一例として、電流ステップ法を検討した。図14は、測定温度20℃ でのZ’の周波数依存性と、電流ステップ法により求めた各周波数におけるZ’の対応関係を示した説明図である。図14には、電流ステップ法で0.1Cの電流を0.01s印加した時の電圧の振る舞いを付記した。この電流と電圧を用いて、ラプラス変換により図中の劣化電池(残容量SOC50%、測定温度20℃)の100HzにおけるZ’を求めた。図14に示すように、電流ステップ法で求めたインピーダンスZ’は、直接インピーダンスを求めた測定結果に非常によい精度で対応することがわかった。この結果から、劣化診断の手法としては、電流ステップ法以外に電圧ステップ法や、電流パルス法でも良好な結果が得られるものと推察された。
Figure 2022139501000002
Figure 2022139501000003
Figure 2022139501000004
Figure 2022139501000005
次に、リチウムイオン二次電池の種類の影響について検討した。電池の種類の特定を行うために、統計分析ソフトRでランダムフォレスト(RF)を用い、分類を行った。ハイパーパラメータntree、mtryをそれぞれntree=10000、mtry=5として計算した。10分割交差検証を採用し、10回推定モデルを構築しており、その10回の平均のAccuracy(正答率)で評価した。説明変数に交流インピーダンス(0.1、1、10、100、1000Hz)の実部Z’及び虚部Z”、開放電圧V、測定温度Tを使用し、データ数はそれぞれパナソニック製LIBが3696点、LG製LIBが792点、プラタ販売のLIBが528点で評価した。その結果、Accuracyは、0.998と、ほぼ100%の確率で3つの種類に分離できていることを確認できた。なお、測定因子や種類特定の手法は、表1~4等に示したように、上記内容とすることが好ましいことが推察された。このように前もって電池の種類を特定できることによる利点を以下に示す。
電池の容量および抵抗を推定するために、統計分析ソフトRでランダムフォレストを用い、種類推定モデルを構築した。ハイパーパラメータntree、mtryをそれぞれntree=10000、mtry=5として、交流インピーダンス(0.1、1、10、100、1000Hz)、開放電圧V、測定温度Tの測定結果で電池の容量および抵抗を予測した。単一の種類(パナソニック製LIB)の結果は、前述の図10、11に示した。次に、上記3種類の電池の測定結果を全て用いて推定モデルを構築した場合と、各種類で測定結果を分けて推定モデルを構築した場合とを比較した。図15は、単独種又は3種混合で予測した容量実験値と容量予測値との関係図である。図15はLG製LIBの容量の実験値と予測値とを比較した結果である。3種類の電池の測定結果を全て用いて推定モデルを構築した場合、単独種の電池のデータベースの場合と比較して一部の予測値が実験値に対して大きく外れる結果となった。この結果は、パナソニック製LIBやプラタ販売のLIBでも同様のことが起きていた。つまり、予測精度を上げるには単独種の電池の測定結果だけで推定モデルを構築したほうが良好な結果が得られることがわかった。電池の種類が特定できない場合、複数の種類の電池のデータベースを混合して推定モデルを作るしかないので、前もって電池の種類を特定することは予測精度を向上させることにつながることが明らかとなった。
なお、本明細書で開示した劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラムは、上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本明細書で開示した劣化判定装置、劣化判定システム、劣化判定方法及びそのプログラムは、蓄電デバイスの劣化を判定する技術分野に利用可能である。
10 劣化判定システム、12 ネットワーク、13 蓄電デバイス、14 判定対象、15 測定装置、16 恒温槽、17 交流インピーダンスアナライザ、20 劣化判定装置、21 制御部、22 記憶部、23 既知試験結果、24 インピーダンス、25 開放電圧、26 測定温度、27 劣化度、28 入力装置、29 表示装置、30 機械学習プログラム、31 許容範囲、32 種類推定モデル、33 劣化推定モデル、34 外れ値検出プログラム、35 種類推定プログラム、36 劣化判定プログラム、40 表示画面。

Claims (12)

  1. 蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定装置であって、
    種類が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された種類推定モデルと、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を記憶する記憶部と、
    判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定結果を説明変数として用いて前記種類推定モデルから該蓄電デバイスの種類を推定し、推定した種類に該当する前記劣化推定モデルから前記取得した測定結果を説明変数として用いて該蓄電デバイスの劣化度を判定する制御部と、
    を備えた劣化判定装置。
  2. 前記制御部は、種類が既知である複数の蓄電デバイスの測定因子を取得し、機械学習によって前記種類推定モデルを構築し、前記記憶部に記憶させる、請求項1に記載の劣化判定装置。
  3. 前記制御部は、前記機械学習の手法としてランダムフォレストを用いる、請求項2に記載の劣化判定装置。
  4. 前記記憶部は、蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法の評価値に基づいて構築された許容範囲、を記憶し、
    前記制御部は、判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定因子を用いて前記外れ値検出手法によって得られた評価値が前記許容範囲外である前記測定結果を外れ値として出力する、請求項1~3のいずれか1項に記載の劣化判定装置。
  5. 蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定装置であって、
    蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法に基づいて構築された許容範囲と、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を記憶する記憶部と、
    判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定因子を用いて前記外れ値検出手法によって得られた評価値が前記許容範囲外である測定結果を外れ値として出力し、前記評価値が前記許容範囲内である前記測定結果を説明変数として用いて前記劣化推定モデルから該蓄電デバイスの劣化度を判定する制御部と、
    を備えた劣化判定装置。
  6. 前記制御部は、前記外れ値検出手法としてLOF(Local Outlier Factor)を用いる、請求項4又は5に記載の劣化判定装置。
  7. 前記測定因子は、蓄電デバイスのインピーダンスの実部及び/又は虚部と、該蓄電デバイスの開放電圧と、該インピーダンス及び開放電圧の測定温度と、を少なくとも含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の劣化判定装置。
  8. 前記測定因子は、10-2Hz以上104Hz未満の範囲のインピーダンスを含む、請求項7に記載の劣化判定装置。
  9. 蓄電デバイスの測定因子の測定結果を得る測定装置と、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の劣化判定装置と、を備え、
    前記制御部は、前記測定装置から前記蓄電デバイスの測定結果を取得する、劣化判定システム。
  10. 蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定方法であって、
    判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定結果を説明変数として用いて、種類が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された種類推定モデルから該蓄電デバイスの種類を推定する種類推定ステップと、
    推定した種類に該当する、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルから前記取得した測定結果を説明変数として用いて該蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定ステップと、
    を含む劣化判定方法。
  11. 蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定方法であって、
    蓄電デバイスの測定因子を用い所定の外れ値検出手法に基づいて構築された許容範囲と、劣化度が既知である蓄電デバイスの測定因子に基づいて構築された劣化推定モデルと、を有し、
    判定対象である蓄電デバイスの測定因子の測定結果を取得し、取得した測定因子を用いて前記外れ値検出手法によって得られた評価値が前記許容範囲外である測定結果を外れ値として出力する出力ステップと、
    前記評価値が許容範囲内である測定結果を説明変数として用いて前記劣化推定モデルから該蓄電デバイスの劣化度を判定する劣化判定ステップと、
    を含む劣化判定方法。
  12. 請求項10又は11に記載の劣化判定方法のステップを1又は複数のコンピュータに実現させる、プログラム。
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