JP2022138903A - 抗うつ又は抗不安薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は新規の5-HT1A受容体作動薬を提供することを課題とする。【解決手段】うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いられる、ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含む、医薬組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、うつ病、不安障害、及び神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療薬に関する。
ベバントロール((RS)-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル][2-ヒドロキシ-3-(3-メチルフェノキシ)プロピル]アミン)は、交感神経α1β1受容体遮断薬とカルシウム拮抗剤の両方の作用を持ち、狭心症及び高血圧の治療に使用されている(非特許文献1、2)。また、ベバントロールには、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群、下肢静止不能症候群または遅発性ジスキネジアに伴う運動過剰障害の予防と治療効果がある(特許文献1)。
また、ベバントロールの代謝には複数のCYP分子種が関与し、その主な分子種は、CYP2D6及びCYP3A4であると推定されている(非特許文献3)。
しかしながら、ベバントロールにセロトニン1A(5-HT1A)作動活性があることは知られていない。
ところで、5-HT1A受容体作動薬がうつ症状及び不安症状の治療薬として有用であることは周知である。例えばタンドスピロン、ゲピロン、フレシノキサン、ブスピロン、イプサピロン、アリピプラゾールなどの5-HT1A受容体選択的作動薬が、抗不安作用及び抗うつ作用を発揮することが知られている(タンドスピロンについて非特許文献4~8、ゲピロンについて非特許文献5、9~13、フレシノキサンについて非特許文献14~17、ブスピロンについて非特許文献9、18~20、イプサピロンについて非特許文献18、21、22、アリピプラゾールについて特許文献2、非特許文献23)。また、5-HT1A受容体作動薬による抗精神作用が、5-HT1A受容体遮断薬によって拮抗されることが種々の動物実験によって証明されている(非特許文献24~26)。これらの知見の蓄積から、5-HT1A受容体作動作用を有する化合物は、抗うつ作用及び抗不安作用を発揮するということが現時点で技術常識となっている。
また、抗うつ作用や抗不安作用を発揮する医薬化合物としてパロキセチンが知られている。パロキセチンは選択的なセロトニン(5-HT)取り込み阻害作用を示し、神経間隙内の5-HT濃度を上昇させ、反復経口投与によって5-HT2C受容体のダウンレギュレーションを誘発することにより、抗うつ作用及び抗不安作用を示す。
ただ、本剤は肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害する作用を有するため、CYP2D6によって代謝される各種薬剤と併用した場合、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
このことから、CYP2D6によって代謝される薬剤である、ペルフェナジンやリスペリドンといった抗精神病剤、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩といった三環系抗うつ剤との併用に注意が喚起されている(非特許文献27)。
ところで、ハンチントン舞踏病、ウィルソン病、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病又はプリオン病といった神経疾患は、うつ症状や不安症状を併発することが知られている。
ハンチントン舞踏病は、筋肉の協調運動に影響し認知力低下および精神問題につながる優性遺伝の神経変性遺伝障害である。ハンチントン舞踏病はハンチンチンをコードする遺伝子中の突然変異によるものである。ハンチントン舞踏病において最も顕著で初期の影響は、尾状核および被殻からなる新線条体と呼ばれる大脳基底球の一部の中に存在する。該疾患の症状は個体によって変化しうるが、通常予想通りに進行する。最も初期の症状は、多くの場合情動または認知力のわずかな問題から、一般的な協調性の欠損や不安定歩行に続く。疾患の進行期においては、知能低下ならびに行動的及び精神的問題を伴い、非協調的でぎくしゃくした体の動きがより明らかになる。協調運動が極めて困難になるまで身体能力は徐々に損なわれ、知能は通常痴呆にまで低下する(特許文献1)。ハンチントン舞踏病患者は、運動機能や認知機能に障害がみられる一方で、発症前からうつ病症状や不安症状を含む精神障害を併発する(非特許文献28)。
ウィルソン病は、常染色体劣性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症の代表的疾患である。原因遺伝子ATP7Bは、染色体13番長腕、13q14.3に位置する。肝臓をはじめ、大脳基底部、角膜および腎臓などに過剰な銅の沈着を認め、種々の臓器障害を呈する。精神症状(うつ状態,感情不安定など)はウィルソン病において比較的高い頻度でみられる症状である。約1/3の症例にてみられ、時に肝障害や神経症状に先行して出現することがある(非特許文献29)。
トゥーレット症候群は、通常子どものころにはじまる運動及び音声チックまたは発声チックが認められる神経性の障害であり、妄想-強迫性障害または注意力欠損多動障害のようないくつかの併存する行動上の問題をしばしば伴う。チックは、無意識の、突然の、素早い、反復性の、非律動的な動き(運動チック)および有声音化(音声または発声チック)と定義される。トゥーレット症候群の原因はまだ知られていないが、その障害は、初期の家族研究に示されるように、大部分の患者において遺伝的に現れている。神経化学および神経画像調査からの予備的な証拠は、皮質-線条体-皮質-前頭骨回路の中のドーパミン作動性経路の機能不全が主な原因であることを示唆しているが、チックの発症や発現に伴う正確な脳機能についてはほとんど知られていない。トゥーレット症候群の治療としては、薬物療法および認知行動療法の二つが挙げられる(特許文献1)。併発症としてうつ症状や不安症状なども多くみられる(非特許文献30)。
アルツハイマー病は、不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力が徐々に障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気である。アルツハイマー病患者の脳においては、多数の異常な凝集体(アミロイド斑あるいは老人斑)と、神経原線維変化、脳内の神経細胞間の連結の消失が観察される。アルツハイマー病患者においては、うつ症状や不安症状が併発することも知られている(非特許文献31、32)。
パーキンソン病は、手の震え、動作や歩行の困難など、運動障害を示す進行性の神経変性疾患である。中脳の黒質・青斑核の色素脱失がみられ、組織学的には、黒質や青斑、迷走神経背側核、視床下部、交感神経節などの神経細胞脱落が生じていて、典型的には残存神経細胞やその突起の一部にレビー小体という特徴的な封入体が認められる。中脳黒質のドーパミン神経細胞減少により、これが投射する線条体(被殻と尾状核)においてドーパミン不足と相対的なアセチルコリンの増加がおこり、機能がアンバランスとなることが原因と考えられている。パーキンソン病患者において不安および抑うつは高頻度に認められる。(非特許文献33)。
プリオン病は、プリオン蛋白が正常型から感染性を持つ異常型に変換することにより主に中枢神経系内に蓄積し、神経機能を障害する致死性疾患で伝播性海綿状脳症ともいう。初発症状は、進行性の見当識障害や注意障害、失調性の歩行障害、性格変化などが多い。これらの症状から数ヵ月前より、軽いうつ症状や不安症状などの非特異的な症状を呈することがある。発症より数週間から数ヵ月でミオクローヌス・小脳性運動失調・視覚異常・失語・錐体路徴候・錐体外路徴候・歩行障害などの多彩な神経学的異常所見がつぎつぎに出現し、認知機能障害が出現するとその後の進行は早く、典型例では、半年以内に寝たきり、無動無言の状態となる。経口摂取は困難となり、最終的には肺炎などの合併感染症で死亡することが多い(非特許文献34)。
上述した疾患のうちハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群においては、1つ以上の運動過剰を顕著な症状として特徴づけることができる。運動過剰障害(運動亢進症としても知られている)は、正常運動もしくは異常運動のいずれか、または両者の組み合わせの過剰運動をもたらしうる筋肉活動の増加を意味する。運動過剰は、過剰な反復または散発性の不随意運動を特徴とする多様な運動異常として定義しうる。最も高頻度の多動症状は、とりわけ、運動失調、アテトーシス、舞踏病、ジストニア、バリスムス、片側顔面痙攣、ミオクローヌス、常同症、遅発性ジストニア、チックおよび振戦である。運動は律動的、不連続、反復的および/またはランダムでありえる。これらの障害の特異的な病態生理は、大脳基底球-視床皮質回路の不適切な制御の結果であるにもかかわらず、多様である。
運動過剰障害の薬学的な対症療法の一つとして、小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)の阻害剤の投与が挙げられる。線条体において、VMAT2は、酸素ラジカルの存在下で自己酸化を防ぎながら、主にドーパミンを細胞サイトソルからシナプス小胞にドーパミン作動性ニューロンから輸送する。したがってVMAT2の阻害はシナプス小胞へのドーパミンの取り込みを低下させ、結果として総ドーパミンを減少させる。
テトラベナジン((SS,RR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-ピリド[2,1-a]イソキノロン-2-オン)は、ドーパミンのシナプス間隙への放出を妨げて、シナプス前ニューロン小胞へのドーパミンの輸送を阻害するモノアミントランスポーターVMAT2の選択的阻害剤である。テトラベナジンは、VMAT2の可逆的阻害剤であり、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア、およびトゥーレット症候群、ならびに片側バリスムのような症状に関連する舞踏病の対症療法の承認薬である。残念ながら、テトラベナジンは、初回通過代謝により大幅に代謝され、バイオアベイラビリティーが低く変動しやすい。そのうえテトラベナジンは、うつ病や自殺傾向の増加、ならびにパーキンソニズムや神経遮断薬性悪性症候群を生じる可能性のために、黒色の枠で囲まれた警告文(black-box warning)を有する。
テトラベナジンは、経口投与後速やかに吸収され、主にカルボニル還元酵素により速やかに活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZへと代謝される。またその後、9-デスメチルα-HTBZ、10-デスメチルα-HTBZ、9-デスメチルβ-HTBZ、10-デスメチルβ-HTBZへ代謝されると推定されている。これら4つのデスメチル体のうち、9-デスメチルβ-HTBZが主要代謝物と考えられている。活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZは、CYP2D6の基質であることから、CYP2D6阻害作用を有する薬剤(パロキセチン、キニジン等)を投与中の患者でも、α-HTBZ及びβ-HTBZの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすいおそれがある(非特許文献35、36)。
近年、ベバントロールがテトラベナジンに比べて同等のVMAT2阻害値を示すVMAT2阻害剤であることが報告されている(特許文献1)。
特許第6476174号公報 特許第4178032号公報
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本発明の解決すべき課題は新規の5-HT1A受容体作動薬を提供することにある。好ましくは新規のうつ病、不安障害、及び神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療薬を提供することにある。
本発明者の鋭意研究努力によって、ベバントロールに5-HT1A受容体作動作用があることが初めて見出された。この知見に基づき本発明は完成された。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いられる、ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含む、医薬組成物である。
本発明の医薬組成物に含まれるベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物は、その5-HT1A受容体作動作用によって、うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療効果を有する。
本発明の好ましい形態では、うつ病又は不安障害の治療のために用いられる。
本発明の好ましい形態では、ハンチントン舞踏病、ウィルソン病、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病又はプリオン病に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いられる。
本発明の好ましい形態では、さらにハンチントン病、ウィルソン病又はトゥーレット症候群に伴う運動過剰障害の予防および/または治療のために用いられる。
うつ症状若しくは不安症状を併発するハンチントン病、ウィルソン病又はトゥーレット症候群の患者に本発明の医薬組成物を適用することで、併発症状であるうつ症状若しくは不安症状の治療効果と、これら疾患に伴う運動過剰障害の予防および/または治療効果を得ることができる。
また、本発明は、5-HT1A受容体作動のために用いられる、ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、医薬組成物にも関する。
本発明の医薬組成物は5-HT1A受容体に関連する障害の治療に有効である。
また、本発明の好ましい形態では、さらにVMAT2の阻害のために用いられる。
うつ症状若しくは不安症状を併発するハンチントン病、ウィルソン病又はトゥーレット症候群の患者に本発明の医薬組成物を適用することで、その5-HT1A受容体作動作用及びVMAT2阻害により、併発症状であるうつ症状若しくは不安症状の治療効果と、これら疾患に伴う運動過剰障害の予防および/または治療効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、パロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物と併用して用いられる。
パロキセチンは薬物代謝酵素CYP2D6を阻害する作用を有する。そのため、CYP2D6によって代謝されるペルフェナジンやリスペリドンといった抗精神病剤、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩といった三環系抗うつ剤と併用した場合、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
一方でベバントロールは、CYP2D6だけではなく、CYP3A4によっても代謝されるため、パロキセチンとの併用によって代謝が阻害され血中濃度が上昇してしまうリスクが低い。本形態の本発明によれば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤であるパロキセチンと、5-HT1A受容体作動薬であるベバントロールという、作用機序の異なる2剤の併用による相乗的な抗うつ及び抗不安効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、さらにパロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含む。
上述のとおり、本形態の本発明によれば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤であるパロキセチンと、5-HT1A受容体作動薬であるベバントロールという、作用機序の異なる2剤の併用による相乗的な抗うつ及び抗不安効果を得ることができる。またベバントロールは、CYP2D6だけではなく、CYP3A4によっても代謝されるため、パロキセチンとの併用によって代謝が阻害され血中濃度が上昇してしまうリスクが低い。
本発明によれば5-HT1A受容体作動薬を提供することができる。また、本発明によれば、5-HT1A受容体作動作用によるうつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、うつ症状若しくは不安症状を併発するハンチントン病、ウィルソン病又はトゥーレット症候群の患者に対して、うつ症状若しくは不安症状の治療効果、さらにはこれら疾患に伴う運動過剰障害の予防および/または治療効果を得ることができる。
さらにパロキセチンを含む形態の本発明によれば、パロキセチンとベバントロールによる相乗的な治療効果を得ることができる。かかる形態においては、パロキセチンのCYP2D6阻害作用に起因する併用リスクが低い。
本発明の有効成分は、以下の構造を有するベバントロール((RS)-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル][2-ヒドロキシ-3-(3-メチルフェノキシ)プロピル]アミン)若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物である。
以下、特に断りの無い限り「ベバントロール」との表記は「ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物」を包含する。
Figure 2022138903000001
本発明の有効成分であるベバントロールには、立体異性体を生じさせ得るキラル中心が含まれる。本明細書で使用される、用語「立体異性体」は、空間における個々の化合物の原子の配向のみ異なる化合物のすべての異性体を意味する。立体異性体という用語は、鏡像異性体(エナンチオマー)、および鏡像異性体の混合物(ラセミ体、ラセミ混合物)を含む。本発明はそれぞれのこれら立体異性体およびその混合物にも関連する。エナンチオマーは、クロマトグラフィーまたは分別再結晶のような従来技術によって分離し得る。光学異性体は、光学分割の従来技術により分割し光学的に純粋な異性体を得ることができる。この分割は、どのキラルな合成中間体または本発明の化合物においても実行できる。光学的に純粋な異性体は、エナンチオ特異的な合成方法を用いてそれぞれ得ることもできる。
「医薬として許容される塩」と言う表現は、医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に対して過度な毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なくヒトおよび動物の組織と接触させて使用するための、製薬上許容し得る非毒性の酸から調製した塩を意味する。具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩などが挙げられ、塩酸塩が殊更に好ましく例示できる。
溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物が挙げられる。ここで、水和物としては、例えば、1水和物ないし5水和物などのポリ水和物や、半水和物などの低水和物などの形態を取り得る。
本発明の医薬組成物の有効成分であるベバントロールは公知の何れの方法で製造してもよい。例えば特許2587336号公報に記載の方法などが挙げられる。
本発明の有効成分であるベバントロールは5-HT1A受容体作動作用を有する。したがって、本発明の有効成分を含む医薬は、5-HT1A受容体の作動のために用いることができる。本発明の好ましい実施の形態では、5-HT1A受容体に関連する障害の治療のために用いる。
5-HT1A受容体に関連する障害としては、うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状が挙げられる。
5-HT1A受容体作動作用を有する化合物は、抗うつ作用及び抗不安作用を発揮する。したがって、ベバントロールを含む本発明の医薬組成物は、うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いることができる。
本発明の医薬組成物により治療できるうつ病には、内因性うつ病、大うつ病、メランコリー及び治療抵抗性うつ病が包含される。また、本発明の医薬組成物により治療できる不安障害には、恐怖症、全般性不安障害、パニック障害、および物質誘発性不安障害が包含される。
神経疾患に併発するうつ症状には、気分の落ち込み、低い自己評価、関心または快感の消失、集中力および記憶力欠如、社会的隔離、精神運動性激越又は遅滞、死亡または自殺についての思考、顕著な体重変化、疲労、および倦怠感が包含される。神経疾患に併発する不安症状には、不安の典型的な症状は、社会的隔離をもたらし得る回避行動、肉体的病、例えば、頻拍、眩暈および発汗、精神的不安、ストレスおよび緊張などが包含される。
上述したうつ症状若しくは不安症状を併発する神経疾患は特に限定されない。本発明の医薬組成物は、当該神経疾患としては、うつ症状及び/又は不安症状を併発することが知られているハンチントン舞踏病、ウィルソン病、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病又はプリオン病などが挙げられる。
本発明の有効成分であるベバントロールには、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群に伴う運動過剰障害の予防と治療効果がある。本発明の医薬組成物は、ハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群に併発して生じるうつ症状及び/又は不安症状の治療のために使用することが好ましい。
本発明の医薬組成物は、うつ症状及び/又は不安症状を併発するハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群における、うつ症状及び/又は不安症状の治療と、運動過剰障害の予防及び/又は治療のために用いることができる。
このような神経疾患の患者に対して本発明の医薬組成物を投与することによって、運動過剰障害の予防と治療効果を得ながら、かつ、併発症状であるうつ症状及び/又は不安症状の治療効果を同時に得ることができる。
また、本発明の医薬組成物は5-HT1A受容体の作動およびVMAT2の阻害のために用いることができる。ベバントロールの5-HT1A受容体作動作用およびVMAT2の阻害作用によって、うつ症状及び/又は不安症状を併発するハンチントン病、ウィルソン病、トゥーレット症候群における、うつ症状及び/又は不安症状の治療効果と、運動過剰障害の予防及び/又は治療効果を得ることができる。
本発明の医薬組成物により予防及び/又は治療する運動過剰の例としては、腹部(abdominal)ジスキネジア、静座不能動作(akathisic movement)、共同運動失調症、運動失調、アテトーシス、バリスムス、舞踏病、測定障害、ジストニア、片側顔面痙攣、過剰驚愕症、睡眠(hypnogenic)ジスキネジア、ジャンピースタンプ(jumpy stump)、動く爪先および/または指(moving toes and/or fingers)、ミオクローヌス、ミオキミア、ミオリトミー、発作性ジスキネジア、チックおよび振戦が挙げられる。本発明の一つの実施形態では、運動過剰障害は、舞踏病、ジストニア、ミオクローヌス、常同症、チック、バリスムスおよび振戦からなる群より選ばれる。好ましい実施形態では、運動過剰障害は、チック、バリスムス、ジストニアおよび舞踏病から選択される。
好ましい実施形態では、運動過剰障害は、舞踏病である。本明細書において使用される用語、舞踏病は、体の一部分から別の部分へランダムに流れる、無意識、継続的、不意の、素早い、短い、非持続性、不規則な動きからなる運動過剰障害を意味する。舞踏病は、ハンチントン病のような原発性神経性の遺伝障害の症状発現かもしれない、または全身性障害、毒物障害のような他の障害の神経性合併症として、および/または、例えば、遅発性舞踏病および離脱出現シンドローム(withdrawal emergent syndrome)を引き起こすドーパミン受容体アンタゴニストでの治療のような薬学的治療により起こりうる。
別の好ましい実施形態では、運動過剰障害はバリスムスである。バリスムスは、激しく揺れる、バリスティック(ballistic)で望まない手足の動きからなる稀な運動異常を意味する。不随意運動は日常的に体の片側のみ影響される;片側バリスムと言う用語は片側だけのバリスムスを表現するのに使用する。視床下核および淡蒼球-視床下経路
へのダメージがバリスムスに伴う主な原因である。
別の好ましい実施形態では、運動過剰障害はチックである。チックは、比較的短く、不意の断続的な動き(運動チック)または音(音声または発声チック)を意味する。チックは、頻度や強さが変化し、しばしば配分(distribution)が変化する。右尾状核、右前頭骨皮質および脳の他の皮質領域においての活性の上昇が、チックの出現に関係している。
別の好ましい実施形態では、運動過剰障害はジストニアである。ジストニアは、不随意運動および広範囲の筋肉収縮を意味する。ジストニア患者は、体をひねる動き、振戦および異常またはぎこちない姿勢を有する。全身がその動きに関与している患者もいれば、体のある部分のみ影響されている患者もいる。ジストニアは、発症年齢、影響されている体の部分、および病因(原発性または2次性)により分類できる。大脳基底球での神経伝達物質産生の減少が、原発性ジストニア症状に関連する可能性が最も高い。しかしながら、遺伝的原因を有する多数のジストニアもある。
本発明の有効成分の有効量を、治療を必要とする患者に慣用の投与経路にしたがって投与し、当技術分野で公知の方法にしたがって、有効量の有効成分および適当な製薬上許容し得る担体を含む慣用の医薬組成物および剤形に製剤化することが好ましい。
ここで「治療上有効な量」という表現は、投与した場合に、取り扱う疾患の1以上の症状の発症を予防する、またはある程度まで緩和するのに十分な有効成分の量を意味する。本発明に従って投与した化合物の特定の用量は、投与経路、処置する特定の病態、および類似の考慮事項を含む、その症例を取り囲む特定の環境によって決定することができる。特に、本明細書で使用される用語「治療上有効な量」は、うつ症状及び/又は不安症状を緩和するのに十分な有効成分の量を意味する。
個々の投与量ならびに1日の投与量は治療する症状のタイプや重症度、薬物に対する患者の具体的な反応に応じて変わる。個々の正確な用量は、医者の指示のもと標準の医療の原則に従って決定される。
うつ病、不安障害、及び神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療に使用する有効成分の1日用量は、1~10000mg/日を包含する。特定の実施形態では、治療に使用する有効1日用量は1~6000mg/日、好ましくは1~3000mg/日、より好ましくは1~600mg/日である。
本発明の有効成分は、単独でまたは別の化合物もしくは他の治療剤と一緒に併用療法で使用することができる。
本発明の医薬組成物は、ベバントロールのみを唯一の有効成分と含む実施形態としてもよい。また、本発明の医薬組成物は、ベバントロールと、これとは別の有効成分を含む実施形態としてもよい。
本発明の医薬組成物は、ベバントロールと、これとは別の抗うつ作用及び/又は抗不安作用を有する有効成分を含む実施形態としてもよい。
別の抗うつ作用及び/又は抗不安作用を有する有効成分としては、パロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物が好ましく挙げられる。パロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物の具体的な態様は特に限定されないが、例えばパロキセチン塩酸塩水和物が好適に例示できる。
以下、特に断りの無い限り「パロキセチン」との表記は「パロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物」を包含する。
本発明の有効成分であるベバントロールは、CYP2D6のみならずCYP3A4によっても代謝される。したがって、CYP2D6の阻害作用を有する抗うつ剤及び/又は抗不安剤であるパロキセチンと併用しても、ベバントロールはCYP3A4によって代謝され得る。そのため、ベバントロールは、ペルフェナジン、リスペリド、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩などの薬剤に比べ、パロキセチンとの併用による血中濃度上昇のリスクが低い。
パロキセチンは選択的な5-HT取り込み阻害作用を示し、神経間隙内の5-HT濃度を上昇させ、5-HT2C受容体のダウンレギュレーションを誘発することにより、抗うつ作用及び抗不安作用を示す。一方のベバントロールは、5-HT1A受容体作動作用によって抗うつ作用及び抗不安作用を示す。このようにパロキセチンとベバントロールは、抗うつ作用及び抗不安作用を示す作用機序が異なる。作用機序の異なるパロキセチンとベバントロールを併用することで、相乗的な抗うつ作用及び抗不安作用を得ることができる。この併用によるベバントロールの血中濃度上昇のリスクは低いため有用である。
ベバントロールとパロキセチンの併用の具体的態様は特に限定されない。それぞれ別個に製剤化されたベバントロールの製剤とパロキセチンの製剤を同一患者に同時又は同時期に投与する形態としてもよい。また、ベバントロールとパロキセチンの両成分を含む医薬組成物の形態として提供してもよい。
なお、ベバントロールと同様にVMAT2阻害作用を有するテトラベナジンの活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZは、CYP2D6の基質であることから、CYP2D6阻害作用を有するパロキセチンとの併用に注意を要する。
一方でベバントロールは上述の通りCYP2D6のみならずCYP3A4によっても代謝される。そのため、パロキセチンと併用しても代謝阻害による血中濃度上昇のリスクが低い。
すなわち、ベバントロールはパロキセチンと併用することができるVMAT2阻害剤として、テトラベナジンに比して有用である。
本発明の医薬組成物は経口単位剤形の形態とすることができる。また、本発明の医薬組成物は、舌下およびバッカルなどの口腔内単位剤形の形態とすることができる。本発明の医薬組成物は、頬と歯槽突起の間に挿入するか舌下に置いて服用し対象者の口中で素早く崩壊する崩壊剤の形態としてもよい。本発明に適する経口剤形の例としては、錠剤、散剤、カプセル剤、サシェ剤のような固形剤形ならびに液体シロップ剤、懸濁剤およびエリキシル剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物を経口製剤の形態とする場合における、製薬上許容し得る担体および賦形剤は、限定されないが、フィラーや増量剤のような希釈剤、結合剤、潤滑剤、凝固防止剤、崩壊剤、甘味料、緩衝剤、保存料、溶解向上剤、等張化剤、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤または乳化剤、フレーバー及びアロマ、粘稠化剤およびビヒクルが挙げられる。
また、本発明の医薬組成物は、エアゾールまたはドライパウダー吸入器を介して投与される、口または鼻を通って吸入する吸入単位剤形の形態とすることができる。吸入剤形の例としては、とりわけ、液剤、懸濁剤および散剤が挙げられる。液剤および懸濁剤は、アトマイザー、ネブライザー、蒸気エアロゾル装置によって投与しうる。また散剤を空気吸入器またはパッファーにより投与することができる。
本発明の医薬組成物を吸入製剤の形態とする場合における、製薬上許容し得る担体および賦形剤としては、限定されないが、保存料、緩衝塩、粘度調整剤、懸濁化剤、pH調整剤、等張化剤、溶剤、共溶剤、界面活性剤およびフレーバーが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、加圧分散器により投与される形態としてもよい。加圧分散器は、1回単位用量、2回用量または多回用量デバイスの形態であってもよい。加圧分散器はさらに少なくとも1種の高圧ガスを含んでいてもよい。高圧ガスは、エアゾール、ネブライザーまたは空気吸入器内の必要な圧力を供給し容器から物質を放出するものである。高圧ガスは、概ね大気圧を超えた蒸気圧を有する液化または圧縮ガスとして一般的に分類されている。本発明に適する高圧ガスの例としては、炭化水素、とりわけメタン、エタンおよびプロパンのハロゲン化誘導体、ブタンやペンタンなどの低分子量炭化水素、および二酸化炭素、窒素および酸化窒素などの圧縮ガスなどが挙げられる。高圧ガスの混合物は、望ましい圧力、放出およびスプレーの特徴を得るのにしばしば使用される。
また、本発明の医薬組成物は、治療される患者の皮膚または粘膜に適用する局所単位剤形の形態としてもよい。局所剤形の例としては、経皮パッチ、経皮プラスター、液剤、エアゾールおよびノンエアゾールスプレー、クリーム、散剤、ローション、ゲル、軟膏、ペースト、エマルジョン、ペンまたはスティックなどが挙げられる。局所製剤に使用されるために適する製薬上許容し得る担体および賦形剤としては、限定されないが、エモリエント、増粘剤、湿潤剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、溶解向上剤、等張化剤、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤または乳化剤、フレーバー及びアロマ、粘稠化剤、およびビヒクルまたはその混合物が挙げられる。
<実施例1>5-HT1A受容体結合親和性の評価
ヒト5-HT1A受容体発現CHO細胞の細胞膜を調製した。[H]8-OH-DPAT及び試験化合物であるベバントロール塩酸塩を添加してインキュベーションした(60分、22℃)。ベバントロール塩酸塩は、最終濃度、10-7、10-6、10-5及び10-4Mとなるように添加した。インキュベーション後、反応液をガラス繊維フィルターでろ過し、ガラス繊維フィルター上の[H]8-OH-DPATの放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定し、ベバントロールのヒト5-HT1A受容体への結合活性を求めた。
その結果、ベバントロール塩酸塩は、10-7Mにおいて9.3%、10-6Mにおいて80.7%、10-5Mにおいて98.2%、10-4Mにおいて100%の結合活性を示した。
<実施例2>5-HT1A受容体アゴニスト活性の評価
ベバントロール塩酸塩のヒト5-HT1A受容体に対するアゴニスト活性を、ヒト5-HT1A受容体発現CHO細胞膜への[35S]GTPγSの結合を測定することにより求めた。
その結果、ベバントロール塩酸塩は、10-7Mにおいて16%、10-6Mにおいて42%のアゴニスト活性を示した。
<実施例のまとめ>
以上の実施例1及び実施例2の結果から、ベバントロールは5-HT1A受容体作動作用があることが確認された。5-HT1A受容体作動作用を有する化合物は、抗うつ作用及び抗不安作用を発揮する。すなわち、実施例1及び実施例2の結果は、ベバントロールを含む本発明の医薬組成物が、うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いることができることを示している。
本発明はうつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療薬として利用することができる。

Claims (8)

  1. うつ病、不安障害、又は神経疾患に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いられる、ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含む、医薬組成物。
  2. うつ病又は不安障害の治療のために用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. ハンチントン舞踏病、ウィルソン病、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病又はプリオン病に併発して生じるうつ症状若しくは不安症状の治療のために用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. さらにハンチントン病、ウィルソン病又はトゥーレット症候群に伴う運動過剰障害の予防および/または治療のために用いられる、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 5-HT1A受容体の作動のために用いられる、ベバントロール若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、医薬組成物。
  6. さらにVMAT2の阻害のために用いられる、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. パロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物と併用して用いられる、請求項1~6の何れか一項に記載の医薬組成物。
  8. さらにパロキセチン若しくはその医薬として許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の医薬組成物。
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