以下に添付図面を参照して、本実施形態の情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを詳細に説明する。なお、本実施形態において、機能などが共通する部分については、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の情報処理装置10Aの一例を示す模式図である。
情報処理装置10Aは、情報処理装置10の一例である。情報処理装置10は、経路を移動する移動体の渋滞予測を行う装置である。
移動体とは、移動可能な物である。移動体は、例えば、車両(自動二輪車、自動四輪車、自転車)、台車、ロボット、船舶、飛翔体(飛行機、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)、ドローンなど)、などである。本実施形態では、移動体が、車両である場合を想定して説明する。
経路とは、移動体が移動する路である。経路は、移動体が移動可能な路であればよい。本実施形態では、経路が、道路である形態を一例として説明する。また、本実施形態では、移動体が経路を移動することを、車両が道路を走行する、と称して説明する場合がある。
情報処理装置10Aは、記憶部20と、通信部22と、入力部23と、制御部24と、表示部29と、を備える。記憶部20、通信部22、入力部23、制御部24、および表示部29は、通信可能に接続されている。
記憶部20は、各種のデータを記憶する。記憶部20は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部20は、情報処理装置10Aの外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部20は、記憶媒体であってもよい。具体的には、記憶媒体は、プログラムや各種情報を、LAN(Local Area Network)やインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶したものであってもよい。また、記憶部20を、複数の記憶媒体から構成してもよい。
本実施形態では、記憶部20は、トラフィックカウンタデータを記憶する。トラフィックカウンタデータとは、道路上に設置されたトラフィックカウンタから得られるデータである。
図2は、道路R上に設置されたトラフィックカウンタ28の説明図である。図2には、道路Rとして、高速道路を一例として示す。道路R上には、所定間隔ごとにトラフィックカウンタ28が設置されている。所定間隔は、例えば、数100mであるが、これに限定されない。トラフィックカウンタ28は、道路Rを走行する車両Cの交通量、速度、および道路占有率、の少なくとも2つを計測する。残りの1つの値は、トラフィックカウンタ28間の距離と、計測された2つの値と、を用いて数式で求められる。
このため、トラフィックカウンタ28によって、道路Rの各区間Pの各々ごとの計測データが得られる。区間Pは、車両Cの走行する道路を予め定められた距離ごとに分割した各区間を意味する。例えば、1つの区間Pには、少なくとも1以上のトラフィックカウンタ28が含まれるように、調整すればよい。
図3は、計測データの一例の説明図である。図3中、“P-001-001-F”、“P-001-001-B”、“P-001-002-F”は、区間Pの識別情報の一例である。図3中、Qは車両Cの交通量、Vは車両Cの速度、Qccは車両Cの道路占有率を表す。車両Cの速度は、詳細には、区間Pにおける、同じ方向に走行する車両Cの平均速度を意味する。なお、道路Rの1つの走行方向に対して車線が複数ある場合には、トラフィックカウンタ28は、複数車線を1つとして、1つの走行方向ごとに計測データを計測すればよい。
トラフィックカウンタ28によって、複数の区間Pの各々毎に、日時ごとの計測データが得られる。すなわち、トラフィックカウンタ28によって、複数の区間Pの各々ごとに、日時ごとの、車両Cの平均速度である速度データを含む計測データが得られる。同一の区間Pについて、同一の日時に複数の車両Cが存在する場合には、該区間Pにおける、これらの複数の車両Cの移動平均速度が、該区間Pの該日時の速度データとして得られることとなる。なお、図3には、計測間隔が1分間隔である形態を一例として示す。しかし、1日において複数のタイミングの各々で計測データが計測されればよく、計測間隔は、1分間隔に限定されない。
図1に戻り説明を続ける。通信部22は、ネットワークなどの公知の通信網を介して、外部の情報処理装置やトラフィックカウンタ28などと通信する。本実施形態では、通信部22は、複数のトラフィックカウンタ28の各々で時刻ごとに順次計測される計測データを、これらの複数のトラフィックカウンタ28の各々から逐次受信し、記憶部20へ記憶する。このため、記憶部20には、複数の区間Pの各々ごとに、日時ごとの最新のトラフィックカウンタデータが順次記憶されていく。すなわち、記憶部20には、複数の区間Pの各々ごとに、複数の日の各々の時刻ごとの、速度の速度データ、交通量の交通量データ、および道路占有率の道路占有率データを含む、計測データが、トラフィックカウンタデータとして記憶される。
入力部23は、ユーザによる各種の操作を受付ける。入力部23は、例えば、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、マイクロフォン、などである。
表示部29は、各種の情報を表示する。表示部29は、例えば、ディスプレイ、投影装置、などである。なお、表示部29と入力部23とを一体的に構成し、タッチパネルとして構成してもよい。
なお、記憶部20および制御部24の少なくとも一方を、ネットワークおよび通信部22を介して接続されたサーバ装置などの外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。また、制御部24に含まれる後述する機能部の少なくとも1つを、ネットワークおよび通信部22を介して制御部24に接続された、サーバ装置などの外部の情報処理装置に搭載してもよい。
次に、制御部24について詳細に説明する。制御部24は、情報処理装置10Aにおいて各種の情報処理を実行する。
制御部24は、収集部24Aと、速度分布予測部24Bと、予測指数予測部24Cと、表示制御部24Dと、を備える。
収集部24A、速度分布予測部24B、予測指数予測部24C、および表示制御部24Dの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
収集部24Aは、区間Pを走行する移動体の一例である車両Cの速度データを収集する。本実施形態では、収集部24Aは、複数の区間Pの各々の、道路Rを走行する車両Cの、複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを収集する。収集部24Aは、記憶部20に記憶されているトラフィックカウンタデータを読み取ることで、複数の区間Pの各々ごとに、日時ごとの速度データを収集する。
なお、収集部24Aは、設定期間における1または複数の日の各々の時刻ごとの速度データを、区間Pごとに収集してもよい。設定期間は、時系列に連続する1または複数の日からなる期間であればよい。例えば、設定期間は、1週間、2週間、などの期間であるが、これらに限定されない。以下では、設定期間が、時系列に連続する複数の日から構成される形態を一例として説明する。
速度分布予測部24Bは、収集部24Aで収集された速度データに基づいて、速度分布を予測する。詳細には、本実施形態では、速度分布予測部24Bは、収集部24Aで収集された速度データに基づいて、複数の区間Pの各々ごとに、時刻ごとの速度データの速度分布を予測する。
予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとの速度分布に基づいて、経路の一例である道路Rの予測指数を予測する。道路Rの予測指数とは、道路Rに関する予測の指数を表す。本実施形態では、道路Rの予測指数が、道路Rを移動する車両Cの渋滞の予測指数である形態を説明する。以下では、渋滞の予測指数を、渋滞予測指数と称して説明する。すなわち、本実施形態では、予測指数予測部24Cは、渋滞予測指数を予測する。また、本実施形態では、速度分布に基づいて、設定期間より後の予測期間の予測指数を予測する。予測期間は、設定期間より後の期間であればよく、1日または複数の日を含む期間である。本実施形態では、予測指数予測部24Cは、設定日より後の予測日の予測指数を予測する形態を一例として説明する。本実施形態では、予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとの速度分布に基づいて時刻ごとの渋滞確率を算出し、算出した渋滞確率を、予測日の予測指数である渋滞予測指数として予測する。
予測日とは、ある特定の設定日より後の日である。設定日は、計測データが得られている日であればよい。設定日は、過去の特定の日であってもよいし、計測データが得られている最新の日(例えば、本日)であってもよい。予測日は、設定日より1または数日後の日であればよい。設定日および予測日は、ユーザによる入力部23の操作指示などによって、適宜変更可能としてもよい。
図を用いて詳細に説明する。
図4A~図4Cは、渋滞予想指数の予測の説明図である。
図4Aは、ある区間Pの、設定期間の複数の日の各々ごとの、速度データの収集結果30の一例を示す図である。収集部24Aは、複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを、複数の区間Pの各々ごとに収集する。このため、例えば、ある区間Pにおける、複数の日の各々における時刻に対する速度データの推移は、例えば、図4Aに示されるものとなる。図4Aにおける複数の波形の各々が、互いに異なる日の各々の速度データの推移を表す。
図4Bは、図4Aに示すある区間Pの速度データから得られる、特定の時刻の速度分布32の一例を示す模式図である。図4Bには、特定の時刻として、20時を一例として示す。すなわち、ある区間Pにおける20時の時点の速度分布32は、図4Bに示すものとなる。
速度分布予測部24Bは、複数の区間Pの各々ごとに、各区間Pの速度データの収集結果30から、時刻ごとの速度分布32を予測する。このため、速度分布予測部24Bは、複数の区間Pの各々ごとに、一日の時刻ごとの、図4Bに示すような速度分布32を予測する。速度分布予測部24Bは、例えば、混合ガウスモデル等の多峰性の分布によって、速度分布32を予測すればよい。すなわち、速度分布32は、区間Pごとに、どの時刻でどのくらいの速度が頻度として高いかを予測した予測結果である。
予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとの時刻ごとの速度分布32に基づいて、時刻ごとの渋滞確率34を算出する。渋滞確率34とは、渋滞の生じる確率である。
例えば、予測指数予測部24Cは、渋滞とみなす渋滞速度を予め設定する。渋滞速度は、例えば、20km/hなどであるが、これに限定されない。渋滞速度は、何らかの検知すべき状態を表す速度の一例である。予測指数予測部24Cは、速度分布32における、渋滞速度を下回る確率である渋滞確率34を予測する。
例えば、ある区間Pについて、20時の時点の速度分布32として、図4Bに示す速度分布32が予測された場合を想定する。この場合、予測指数予測部24Cは、速度分布32における渋滞速度である20km/h未満を占める割合を、予測日における、該区間Pの20時の時点の渋滞確率34として算出する。例えば、予測指数予測部24Cは、速度分布32の全体の積分値における、渋滞速度である20km/hを下回る領域の積分値の割合を算出することで、渋滞確率34を算出する。
すなわち、図4Cに示す例の場合、予測指数予測部24Cは、ある区間Pの時刻20時に、設定期間の複数の日の内、渋滞速度未満の速度データが収集された日が何日間あったかを表す割合を、該区間Pの20時の渋滞確率34として算出する。
他の時刻の各々についても同様にして、予測指数予測部24Cは、渋滞確率34を算出する。また、予測指数予測部24Cは、他の区間Pの各々についても同様にして、時刻ごとの渋滞確率34を算出する。このようにして、予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとに、時刻ごとの渋滞確率34を算出する。
そして、本実施形態の予測指数予測部24Cでは、複数の区間Pの各々ごとに算出した、時刻ごとの渋滞確率34が、将来の日に渡って共通するものとして扱う。すなわち、予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとに算出した、時刻ごとの渋滞確率34が、設定日より後の予測日においても共通するものとして扱う。
このため、予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとの速度分布32に基づいて算出した時刻ごとの渋滞確率34を、複数の区間Pの各々ごとの、予測日の時刻ごとの渋滞予測指数36として予測する。
図5は、ある区間Pにおける、予測日の時刻ごとの渋滞予測指数36の一例の模式図である。上記処理を行うことで、予測指数予測部24Cは、複数の区間Pの各々ごとに、予測日における時刻ごとの渋滞予測指数36を予測する。
図1に戻り説明を続ける。表示制御部24Dは、予測指数予測部24Cによる予測結果である渋滞予測指数36を、表示部29へ表示する。例えば、表示制御部24Dは、図5に示す渋滞予測指数36を含む表示画面50を、表示部29へ表示する。図5には、各時刻に対応する渋滞予測指数36を、下1桁を四捨五入して0~100%の11段階の指標値として可視化した例を示す。なお、渋滞予測指数36の表し方は、11段階の値に限定されない。
このため、表示部29には、複数の区間Pの各々ごとに、予測日における時刻ごとの渋滞予測指数36が表示される。
なお、図5には、1つの区間Pの予測日の渋滞予測指数36を含む表示画面50を一例として示す。しかし、表示制御部24Dは、複数の区間Pの各々の、予測日の渋滞予測指数36を含む表示画面50を、表示部29へ表示してもよい。また、表示制御部24Dは、ユーザによる入力部23の操作指示によって入力された区間Pの渋滞予測指数36を、表示部29へ表示してもよい。
次に、本実施形態の情報処理装置10Aの制御部24で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図6は、本実施形態の情報処理装置10Aが実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
収集部24Aが、複数の区間Pの各々ごとに、設定期間の複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを収集する(ステップS100)。
速度分布予測部24Bは、ステップS100で収集された速度データに基づいて、複数の区間Pの各々ごとに、時刻ごとの速度分布32を予測する(ステップS102)。
予測指数予測部24Cは、ステップS102で予測された、複数の区間Pの各々ごとの時刻ごとの速度分布32に基づいて、時刻ごとの渋滞確率34を算出する。そして、予測指数予測部24Cは、算出した渋滞確率34を、予測日の時刻ごとの渋滞予測指数3として予測する(ステップS104)。
表示制御部24Dは、ステップS104で予測された渋滞予測指数36を表示部29へ表示する。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10Aの制御部24は、収集部24Aと、速度分布予測部24Bと、予測指数予測部24Cと、を備える。収集部24Aは、道路Rなどの経路を複数の区間Pに分割した、区間Pを移動する車両Cなどの移動体の速度データを収集する。速度分布予測部24Bは、収集された速度データに基づいて、速度分布32を予測する。予測指数予測部24Cは、速度分布32に基づいて、経路の予測指数を予測する。
このように、本実施形態の情報処理装置10Aは、速度データが計測されている区間Pについて、速度分布32を予測する。そして、情報処理装置10Aでは、速度分布32の予測結果が将来の日に渡って共通するものとして、速度分布32から、経路の予測指数を予測する。
従って、本実施形態の情報処理装置10Aでは、高精度に経路の予測指数を予測することができる。
また、本実施形態の情報処理装置10Aは、速度分布32に基づいて予測した渋滞確率34を、予測日の予測指数である渋滞予測指数36として予測する。そして、本実施形態の情報処理装置10Aでは、渋滞予測指数36を表示部29へ表示する。このため、本実施形態の情報処理装置10Aでは、上記効果に加えて、渋滞の生じやすい時間帯を容易に確認可能に提供することができる。
また、本実施形態の情報処理装置10Aによれば、設定日から1日後または複数日後の予測日の渋滞予測指数36を予測することができる。このため、ユーザは、本実施形態の情報処理装置10Aを用いることで、特定の予測日の旅行計画や、混雑時間帯を避けた道路Rの利用などを、容易且つ良好に検討することが可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、速度データをクラスタリングすることで、渋滞予測指数36を予測する形態を説明する。
図7は、本実施形態の情報処理装置10Bの一例を示す模式図である。情報処理装置10Bは、情報処理装置10の一例である。
情報処理装置10Bは、記憶部20と、通信部22と、入力部23と、制御部25と、表示部29と、を備える。記憶部20、通信部22、入力部23、制御部25、および表示部29は、通信可能に接続されている。本実施形態の情報処理装置10Bは、制御部24に替えて制御部25を備えた点以外は、上記実施形態の情報処理装置10Aと同様の構成である。
制御部25は、情報処理装置10Bにおいて各種の情報処理を実行する。
制御部25は、収集部25Aと、速度分布予測部25Bと、予測指数予測部25Cと、表示制御部25Dと、上限予測部25Eと、特定部25Fと、クラスタリング部25Gと、を備える。
収集部25A、速度分布予測部25B、予測指数予測部25C、表示制御部25D、上限予測部25E、特定部25F、および、クラスタリング部25Gの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
収集部25Aは、複数の区間Pの各々ごとに、複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを収集する。収集部25Aは、収集部25Aと同様に、記憶部20に記憶されているトラフィックカウンタデータを読み取ることで、複数の区間Pの各々ごとに、測定済の複数の日の各々における、時刻ごとの速度データを収集する。なお、本実施形態では、収集部25Aは、設定期間における複数の日の各々毎の時刻ごとの速度データを、区間Pごとに収集する。設定期間の定義は、上述したため、記載を省略する。
上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された、時刻ごとの速度データからなる群を、情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングする。そして、上限予測部25Eは、該クラスタ数に応じた渋滞速度上限を、区間Pごとに予測する。
詳細には、上限予測部25Eは、収集部25Aで収集された、設定期間の複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを、時刻に拘わらず1つの群として扱い、指定クラスタ数のクラスタに分類する。そして、上限予測部25Eは、公知の方法で、該指定クラスタ数のクラスタに分類したときの情報量基準を算出する。上限予測部25Eは、指定クラスタ数を変更し、指定クラスタ数の変更ごとに、指定クラスタ数のクラスタへのクラスタリングおよび情報量基準の算出の一連の処理を繰り返し実行する。
そして、上限予測部25Eは、情報量基準が最適な指定クラスタ数を、クラスタ数として決定する。さらに、上限予測部25Eは、速度データの群を、決定したクラスタ数にクラスタリングする。また、上限予測部25Eは、決定したクラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する。
上限予測部25Eは、これらの一連の処理を、複数の区間Pの各々ごとに実行する。このため、上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々ごとに、情報量基準が最適なクラスタ数、および、渋滞速度上限を予測する。また、上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々ごとに、設定期間の複数の日の各々の速度データの群を、決定した最適なクラスタ数にクラスタリングし、クラスタラベルを付与する。
図を用いて詳細に説明する。図8A~図8Cは、渋滞速度上限の予測の説明図である。図8A~図8Cには、情報量基準が最適なクラスタ数が1であった場合の一例を示す。
図8Aは、ある区間Pの、設定期間の複数の日の各々ごとの、速度データの収集結果30の一例を示す図である。収集部25Aは、複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを、複数の区間Pの各々ごとに収集する。このため、例えば、ある区間Pにおける、複数の日の各々における時刻に対する速度データの推移は、例えば、図8Aに示されるものとなる。
図8Bは、図8Aに示す、ある区間Pの速度データから得られる、特定の時刻の速度分布32の一例を示す模式図である。図8Bには、特定の時刻が、20時であった場合を一例として示す。このため、ある区間Pにおける、速度データの収集結果30から得られる20時の時点の速度分布32は、図8Bに示すものとなる。
上限予測部25Eは、まず、初期条件として、初期渋滞速度上限を設定する。初期渋滞速度上限には、例えば、対応する区間Pの道路Rの制限時速をやや下回る速度を設定すればよい。例えば、高速道路である道路Rの制限時速が50km/hであった場合を想定する。この場合、上限予測部25Eは、例えば、50km/hをやや下回る速度である48km/hを、初期渋滞速度上限として設定する。例えば、上限予測部25Eは、対応する区間Pの道路Rの制限時速の0.9倍の速度を、該区間Pの初期渋滞速度上限として設定すればよい。
なお、上限予測部25Eは、区間Pごとに、区間Pの制限時速に応じた初期渋滞速度上限を設定してもよいし、複数の区間Pに共通する初期渋滞速度上限を設定してもよい。複数の区間Pに共通する初期渋滞速度上限を設定する場合には、複数の区間Pからなる道路Rにおける、最も低い制限速度をやや下回る速度を、これらの複数の区間Pの各々の初期渋滞速度上限として設定してもよい。
そして、上限予測部25Eは、収集部25Aで収集された速度データを、区間Pごとに、時刻に拘わらず1つの群として扱う。そして、上限予測部25Eは、区間Pごとに、速度データの群を、クラスタ数自動決定可能なクラスタリング手法を用いて、最適なクラスタリング数にクラスタリングし、各クラスタに属する群を決める。
クラスタ数自動決定には、例えば、混合ガウスモデルを用いればよい。例えば、上限予測部25Eは、混合ガウスモデルを用いて、各クラスタの代表ベクトルと所属群との距離を尤度とし、各分布のパラメータ数および群を変数として定める。そして、上限予測部25Eは、これらの尤度および変数を用いたベイズ情報量規準などにより、クラスタ数(k)を決定すればよい。kは、クラスタ数を表す数値であり、1以上の整数である。
すなわち、上限予測部25Eは、クラスタ数の上限を予め定め、指定クラスタ数を1から該上限まで1ずつ変化させ、各指定クラスタ数の各々ごとに、指定クラスタ数のクラスタへの分類および情報量基準の算出を繰り返し実行する。そして、上限予測部25Eは、情報量基準が最適な指定クラスタ数を、クラスタ数として決定する。さらに、上限予測部25Eは、決定したクラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する。
図8Bに示すように、速度分布32のピークが1つである場合、決定されるクラスタ数は、“1”となる。すなわち、k=1となる。上限予測部25Eは、収集された速度データの群が、全て初期渋滞速度上限以上である場合、その区間Pでは渋滞が生じていないものとし、初期渋滞速度上限を、渋滞速度上限として予測する。
図8Cは、渋滞速度上限の予測の説明図である。例えば、図8Bにおいて、初期渋滞速度上限が48.0km/hであった場合を想定する。また、図8Bおよび図8Cに示すように、収集された速度データの群が、全て、48.0km/h以上であった場合を想定する。この場合、上限予測部25Eは、その区間Pでは渋滞が生じていないものし、初期渋滞速度上限である48.0km/hを、渋滞速度上限として予測する。
なお、上限予測部25Eによって決定されたクラスタ数が“1”であり、且つ、収集された速度データの群の全てが初期渋滞速度上限未満である場合がある。この場合、上限予測部25Eは、安定した非渋滞速度での推移期間がないものとして、無限大の速度を渋滞速度上限として予測すればよい。
なお、上限予測部25Eは、収集された速度データの全てに対して、初期渋滞速度上限を下回る速度データの群が1%以上含まれる場合に、無限大の速度を渋滞速度上限として予測してもよい。また、収集された速度データの全てに対して、初期渋滞速度上限を下回る速度データの群が1%未満含まれる場合には、初期渋滞速度上限を渋滞速度上限として予測してもよい。なお、この“1%”との数値は、ユーザによる入力部23の操作指示などに応じて、適宜変更可能としてもよい。
図9A~図9Cは、渋滞速度上限の予測の説明図である。図9A~図9Cには、情報量基準が最適なクラスタ数が2以上である場合の一例を示す。
図9Aは、ある区間Pの、設定期間の複数の日の各々ごとの、速度データの収集結果30の一例を示す図である。収集部25Aは、複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを、複数の区間Pの各々ごとに収集する。このため、例えば、ある区間Pにおける、複数の日の各々における時刻に対する速度データの推移は、例えば、図9Aに示されるものとなる。
図9Bは、図9Aに示すある区間Pの速度データから得られる、特定の時刻の速度分布32の一例を示す模式図である。図9Bには、特定の時刻が20時である場合を一例として示す。例えば、ある区間Pにおける、速度データの収集結果30から得られる20時の時点の速度分布32は、図9Bに示すものとなる。
上限予測部25Eは、上記と同様に、初期条件として、初期渋滞速度上限を設定する。例えば、上限予測部25Eは、道路Rの制限時速をやや下回る速度である48km/hを、初期渋滞速度上限として設定した場合を想定して説明する。
そして、上限予測部25Eは、収集部25Aで収集された速度データを、区間Pごとに、時刻に拘わらず1つの群として扱う。そして、上限予測部25Eは、区間Pごとに、速度データの群を、クラスタ数自動決定可能なクラスタリング手法を用いて、最適なクラスタリング数にクラスタリングし、各クラスタに属する速度データの群を決める。クラスタ数自動決定は、上記と同様である。
図9Bに示すように、速度分布32のピークが複数である場合、決定されるクラスタ数もまた、複数となる。すなわち、k>1となる。この場合、上限予測部25Eは、該クラスタ数にクラスタリングされた複数のクラスタの各々ごとに、クラスタに属する速度データの群の速度の傾きAiを算出する。傾きAiは、下記式(1)によって表される。
Ai=(最大速度-最低速度)/クラスタに属する速度データの数 式(1)
式(1)中、Aiは、速度の傾きを表し、iは、クラスタ数kを表す。iは、1以上の整数である。
そして、上限予測部25Eは、最も大きい傾きAiのクラスタに属する速度データの内の最大速度を、渋滞速度上限として予測する。
例えば、図9Cに示すように、クラスタa1,a2,a3の3つのクラスタの内、速度の傾きAiが最大SMであるクラスタa2に属する速度データの内の、最大速度が、63.0km/hであった場合を想定する。この場合、上限予測部25Eは、63.0km/hを、渋滞速度上限として予測する。
そして、上限予測部25Eは、これらの情報処理を、複数の区間Pの各々ごとに実行する。このため、上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々ごとに、情報量基準が最適なクラスタ数、および、渋滞速度上限を予測する。また、上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々ごとに、各区間Pの速度データの群を、予測したクラスタ数のクラスタにクラスタリングする。また、上限予測部25Eは、各クラスタに、クラスタラベルを付与する。
図7に戻り説明を続ける。特定部25Fは、複数の区間Pの各々ごとに、渋滞速度上限未満の速度データを少なくとも1つ含むクラスタに属する速度データの群を、渋滞速度である渋滞速度データの群として特定する。
特定部25Fは、上限予測部25Eでクラスタリングされた複数のクラスタの内、上限予測部25Eで予測された渋滞速度上限未満の速度データを少なくとも1つ含むクラスタを特定する。そして、特定部25Fは、特定したクラスタに属する速度データを、渋滞速度データの群として特定する。
すなわち、特定部25Fは、設定期間の複数の日の各々の時刻ごとの速度データの内の、上限予測部25Eで予測された渋滞速度上限未満の速度データを、渋滞速度の渋滞速度データ群として、区間Pの各々ごとに収集する。
また、特定部25Fは、上限予測部25Eで予測された渋滞速度上限以上の速度データについては、渋滞していない速度、すなわち、自由流で推移した速度データの群として、以降の処理対象から外す。そして、特定部25Fは、自由流で推移した速度データの群については、区間Pの各々ごとに、上限予測部25Eでクラスタリングされたクラスタごとに、該クラスタのクラスタラベルに対応付けて、記憶部20へ記憶しておけばよい。
そして、特定部25Fは、複数の区間Pの各々ごとに特定した、渋滞速度データの群を、クラスタリング部25Gへ出力する。すなわち、特定部25Fは、収集された速度データから、渋滞速度上限未満の速度データの群を選別し、クラスタリング部25Gへ出力する。
クラスタリング部25Gは、複数の区間Pの各々ごとに、渋滞速度データの群を構成する複数の速度データを、情報量基準の最適なクラスタ数の複数の渋滞クラスタにクラスタリングする。そして、クラスタリング部25Gは、渋滞クラスタに渋滞クラスタラベルを付与する。
詳細には、まず、クラスタリング部25Gは、特定部25Fから、複数の区間Pの各々ごとの渋滞速度データの群を受付ける。そして、クラスタリング部25Gは、特定部25Fから受付けた渋滞速度データの群を、情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングする。すなわち、クラスタリング部25Gは、設定期間の複数の日の各々の時刻ごとの渋滞速度データの群を、複数の区間Pの各々ごとに、日時に拘わらず1つの群として扱う。そして、クラスタリング部25Gは、上限予測部25Eと同様に、クラスタ数自動決定可能なクラスタリング手法を用いて、渋滞速度データの群を、情報量基準が最適なクラスタ数の複数の渋滞クラスタにクラスタリングする。そして、クラスタリング部25Gは、渋滞クラスタにクラスタラベルとして渋滞クラスタラベルを付与する。
すなわち、上限予測部25Eおよび特定部25F並びにクラスタリング部25Gの処理によって、複数の区間Pの各々について、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された速度データが、1または複数の非渋滞のクラスタと、1または複数の渋滞クラスタと、にクラスタリングされる。また、これらのクラスタにクラスタラベルを付与することで、複数の区間Pの各々ごとに、速度データが計測された計測年月日ごとのクラスタラベルが付与された状態となる。
なお、本実施形態では、非渋滞の速度データのみが属するクラスタを、非渋滞クラスタと称して説明する場合がある。また、上述したように、渋滞クラスタに属する速度データは、渋滞速度データを少なくとも1つ含む速度データの群である。また、本実施形態では、渋滞クラスタおよび非渋滞クラスタを総称して説明する場合には、単に、クラスタ、と称して説明する。また、非渋滞クラスタのクラスタラベルと、渋滞クラスタの渋滞クラスタラベルと、総称して説明する場合には、単に、クラスタラベルと称して説明する場合がある。
クラスタリング部25Gは、渋滞クラスタおよび渋滞クラスタラベルを、速度分布予測部25Bへ出力する。
速度分布予測部25Bは、クラスタリング部25Gから受付けた渋滞クラスタに属する速度データに基づいて、複数の区間Pの各々ごとに、時刻ごとの速度データの速度分布32を予測する。すなわち、本実施形態では、速度分布予測部25Bは、複数の区間Pの各々ごとに、渋滞クラスタごとの速度分布32を予測する。
なお、速度分布予測部25Bは、非渋滞クラスタおよび渋滞クラスタの各々に属する速度データに基づいて、クラスタごとに速度分布32を予測してもよい。本実施形態では、速度分布予測部25Bは、非渋滞クラスタについては処理から外し、渋滞クラスタに基づいて、クラスタごとに速度分布32を予測する形態を一例として説明する。
本実施形態では、速度分布予測部25Bは、上限予測部25Eから非渋滞クラスタを受付ける。速度分布予測部25Bは受付けた非渋滞クラスタに属する速度データを用いて、クラスタごとに、速度データの速度分布32を予測する。
速度分布予測部25Bは、クラスタリング部25Gから受付けた渋滞クラスタを用いて、複数の区間Pの各々ごとに、クラスタごとに速度分布32を予測する。速度分布予測部25Bは、速度分布予測部24Bと同様の方法を用いて、クラスタごとの速度分布32を予測すればよい。
このため、速度分布予測部25Bは、速度分布予測部24Bと同様にして、複数の区間Pの各々について、クラスタごとに、各時刻に対応する速度データの速度分布32を予測することができる。詳細には、速度分布予測部25Bは、非渋滞クラスタと、渋滞クラスタと、の各々ごとに、各クラスタに属する速度データの時刻ごとの速度分布32を予測すればよい。
予測指数予測部25Cは、上記実施形態の予測指数予測部24Cと同様にして、複数の区間Pの各々について、クラスタごとに、予測日の渋滞予測指数36を予測する。
詳細には、予測指数予測部25Cは、複数の区間Pの各々のクラスタごとに予測された速度分布32を、速度分布予測部25Bから受付ける。そして、予測指数予測部25Cは、複数の区間Pの各々のクラスタの各々ごとに、予測指数予測部24Cと同様にして、時刻ごとの渋滞確率34を算出すればよい。そして、予測指数予測部25Cは、算出した時刻ごとの渋滞確率34を、予測日における、クラスタの各々の時刻ごとの渋滞予測指数36として予測すればよい。
表示制御部25Dは、予測指数予測部25Cによる予測結果である渋滞予測指数36を、表示部29へ表示する。このため、表示部29には、予測日における、ある区間Pの時刻ごとの渋滞予測指数36が、クラスタごとに表示される。
すなわち、本実施形態の情報処理装置10Bによれば、クラスタ別に各時刻の渋滞予測指数36を算出することができる。また、クラスタ別の各時刻の渋滞予測指数36を表示部29へ表示することで、クラスタの各々ごとに、各時刻の渋滞予測指数36を可視化して提供することができる。
なお、各区間Pの各々に属するクラスタの各々には、クラスタに含まれる複数の速度データの内のセンターベクトルが、代表ベクトルとして与えられる。このため、表示制御部25Dは、各区間Pの各々に属するクラスタの各々の代表ベクトルのうち、例えば、1日の速度平均が最も低い代表ベクトルを、“その区間Pで最も効率の悪いパターン“として表示部29へ表示してもよい。
また、予測指数予測部25Cは、1日の速度平均が最も低いクラスタの占める割合を、各区間Pにおける渋滞の発生頻度として算出してもよい。そして、表示制御部25Dは、複数の区間Pの各々ごとの渋滞の発生頻度の算出結果を、表示部29へ更に表示してもよい。
次に、本実施形態の情報処理装置10Bの制御部25で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図10は、本実施形態の情報処理装置10Bが実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
収集部25Aは、複数の区間Pの各々の設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを収集する(ステップS200)。
上限予測部25Eは、ステップS200で収集された設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングするとともに、クラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する(ステップS202)。
図11は、ステップS202の渋滞速度上限予測処理のフローチャートである。
上限予測部25Eは、ステップS200で複数の区間Pの各々ごとに収集された、設定期間の複数の日の各々ごとの時刻ごとの速度データを、指定クラスタ数のクラスタに分類する(ステップS300)。
次に、上限予測部25Eは、該指定クラスタ数のクラスタに分類したときの情報量基準を公知の方法で算出する(ステップS302)。
そして、上限予測部25Eは、指定クラスタ数を変更し、指定クラスタ数を変更するごとに、ステップS300およびステップS302の一連の処理を実行する。
そして、上限予測部25Eは、ステップS300~ステップS302の一連の処理の繰り返しによって算出された情報量基準の内、最適な情報量基準の指定クラスタ数を、クラスタ数として決定する(ステップS304)。
次に、上限予測部25Eは、ステップS304で決定したクラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する(ステップS306)。
ステップS304およびステップS306の処理によって、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに、クラスタ数と、クラスタ数に応じた渋滞速度上限と、が予測される。
そして、上限予測部25Eは、ステップS200で複数の区間Pの各々ごとに収集された、時刻ごとの速度データの群を、ステップS304で決定したクラスタ数のクラスタにクラスタリングする(ステップS308)。また、このとき、上限予測部25Eは、各クラスタの各々に、クラスタラベルを付与する。そして、本ルーチンを終了する。
図10に戻り説明を続ける。ステップS202、すなわち、図11に示す処理を実行することで、上限予測部25Eは、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに、渋滞速度上限を予測する。また、上限予測部25Eは、ステップS200で収集した速度データを、複数の区間Pの各々の、設定期間の1または複数の各々ごとに、ステップS202で決定したクラスタ数のクラスタにクラスタリングするとともに、クラスタラベルを付与する。
次に、特定部25Fが、ステップS200で収集された速度データの内の、渋滞速度データを特定する(ステップS204)。特定部25Fは、ステップS202でクラスタリングされた複数のクラスタの内、ステップS02で予測された渋滞速度上限未満の速度データを少なくとも1つ含むクラスタを特定する。そして、特定部25Fは、特定したクラスタに属する速度データを、渋滞速度データの群として特定する。
クラスタリング部25Gは、ステップS204で特定された渋滞速度データの群を、渋滞クラスタへクラスタリングする(ステップS206)。
図12は、ステップS206の渋滞クラスタへのクラスタリングの処理のフローチャートである。
クラスタリング部25Gは、ステップS204で、設定期間の複数の日の各々ごとに特定された、時刻ごとの渋滞速度データの群を、指定クラスタ数のクラスタに分類する(ステップS400)。
次に、クラスタリング部25Gは、該指定クラスタ数のクラスタに分類したときの情報量基準を公知の方法で算出する(ステップS402)。
そして、クラスタリング部25Gは、指定クラスタ数を変更し、指定クラスタ数を変更するごとに、ステップS400およびステップS402の一連の処理を実行する。
そして、クラスタリング部25Gは、ステップS400~ステップS402の一連の処理の繰り返しによって算出された情報量基準の内、最適な情報量基準の指定クラスタ数を、クラスタ数として決定する(ステップS404)。
そして、クラスタリング部25Gは、ステップS204で特定された、渋滞速度データの群を、ステップS404で決定したクラスタ数の渋滞クラスタにクラスタリングする(ステップS406)。また、このとき、クラスタリング部25Gは、各渋滞クラスタの各々に、渋滞クラスタラベルを付与する。そして、本ルーチンを終了する。
図10に戻り説明を続ける。ステップS202~ステップS206の処理によって、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された速度データが、1または複数の非渋滞のクラスタと、1または複数の渋滞クラスタと、にクラスタリングされる。また、これらのクラスタにクラスタラベルを付与することで、複数の区間Pの各々ごとに、速度データの計測年月日ごとのクラスタラベルが付与された状態となる。
次に、速度分布予測部25Bは、ステップS206でクラスタリングされた渋滞クラスタに属する速度データに基づいて、複数の区間Pの各々ごとに、クラスタごとに時刻ごとの速度データの速度分布32を予測する(ステップS208)。
予測指数予測部25Cは、ステップS208で予測された速度分布32を用いて、複数の区間Pの各々のクラスタごとに、予測日の渋滞予測指数36を予測する(ステップS210)。
表示制御部25Dは、ステップS210で予測された渋滞予測指数36を、表示部29へ表示する(ステップS212)。このため、表示部29には、予測日における、ある区間Pの時刻ごとの渋滞予測指数36が、クラスタごとに表示される。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態では、上限予測部25Eが、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された、時刻ごとの速度データからなる群を、情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングするとともに、該クラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する。特定部25Fは、複数の区間Pの各々ごとに、予測された渋滞速度上限未満の速度データを少なくとも1つ含むクラスタに属する速度データの群を、渋滞速度である渋滞速度データの群として特定する。クラスタリング部25Gは、複数の区間Pの各々の、渋滞速度データの群を構成する複数の速度データを、情報量基準の最適なクラスタ数の複数の渋滞クラスタにクラスタリングする。速度分布予測部25Bは、渋滞クラスタに属する速度データに基づいて、クラスタごとに時刻ごとの速度データの速度分布32を予測する。
このため、予測指数予測部25Cは、複数の区間Pの各々のクラスタごとに、予測日の時刻ごとの渋滞予測指数36を予測する。
ここで、渋滞予測対象の複数の区間Pには、速度低下が一定期間持続した後に解消されるなどの、特定のパターンを繰り返す区間Pが含まれる場合がある。また、複数の区間Pには、速度低下が全く生じない区間Pも含まれる。このように、複数の区間Pには、特定の渋滞傾向を示す区間Pが含まれる場合がある。
上記第1の実施形態では、複数の区間Pの各々の渋滞傾向は区別せずに、渋滞がある時間帯と渋滞の無い時間帯とを混合して、各時刻の速度データの速度分布32を計算する場合を一例として示す。しかし、道路Rの渋滞管理を行う際には、渋滞傾向に応じた視点で渋滞分析がなされる場合がある。例えば、「ある区間Pにおいて、渋滞が激しい場合にはどのような速度推移となるか」などの渋滞分析がなされる場合がある。
そこで、本実施形態の情報処理装置10Bでは、複数の区間Pの各々について、収集された設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データに基づいて、時刻の各々に対応する速度データからなる群を、情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングする。このため、本実施形態の情報処理装置10Bでは、複数の区間Pの各々において、ある程度の頻度で発生する渋滞に渋滞傾向のパターンがあると仮定し、渋滞傾向に応じて速度データを複数のクラスタにクラスタリングすることができる。言い換えると、本実施形態の情報処理装置10Bでは、複数の区間Pの各々の速度データを、区間Pごとに統一的に類似する速度推移を表すグループごとのクラスタにクラスタリングする。そして、情報処理装置10Bでは、クラスタに属する速度データごとに、渋滞予測指数36を予測する。このため、本実施形態の情報処理装置10Bでは、複数の区間Pの各々の、速度推移などの渋滞傾向のパターンごとに、渋滞予測指数36を予測することができる。
従って、本実施形態の情報処理装置10Bでは、上記実施形態の効果に加えて、更に高精度に渋滞予測を行うことができる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、渋滞クラスタラベルを出力する予測器を学習し、渋滞予測指数36の予測に用いる形態を説明する。
図13は、本実施形態の情報処理装置10Cの一例を示す模式図である。情報処理装置10Cは、情報処理装置10の一例である。
情報処理装置10Cは、記憶部20と、通信部22と、入力部23と、制御部26と、表示部29と、を備える。記憶部20、通信部22、入力部23、制御部26、および表示部29は、通信可能に接続されている。本実施形態の情報処理装置10Cは、制御部24に替えて制御部26を備えた点以外は、上記実施形態の情報処理装置10Aと同様の構成である。
制御部26は、情報処理装置10Cにおいて各種の情報処理を実行する。
制御部26は、収集部25Aと、速度分布予測部25Bと、予測指数予測部25Cと、表示制御部26Dと、上限予測部25Eと、特定部25Fと、クラスタリング部25Gと、学習部26Hと、ラベル出力部26Iと、クラスタ別予測指数予測部26Jと、受付部26Kと、検索部26Lと、を備える。
収集部25A、速度分布予測部25B、予測指数予測部25C、表示制御部25D、上限予測部25E、特定部25F、クラスタリング部25G、学習部26H、ラベル出力部26I、クラスタ別予測指数予測部26J、受付部26K、および、検索部26Lの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
収集部25A、速度分布予測部25B、予測指数予測部25C、上限予測部25E、特定部25F、およびクラスタリング部25Gは、上記第2の実施形態と同様である。
学習部26Hは、予測器を学習する。予測器は、設定日以前の第3測定期間の複数の日の各々の時刻ごとの速度データを入力とし、設定日より後の日である予測日に属する渋滞クラスタラベルを出力するための、学習モデルである。第3測定期間の定義は後述する。
図14は、予測器の学習の一例の説明図である。
学習部26Hは、複数の区間Pの各々ごとに、特定日以前の第1測定期間に含まれる複数の日の各々についてクラスタリング部25Gで導出された、複数の渋滞クラスタの各々に属する渋滞速度データの群を、説明変数として用いる。すなわち、学習部26Hは、第1測定期間の速度データを用いて、クラスタリング部25Gで導出された渋滞速度データの群を、予測器の学習時の入力データとして用いる。
特定日は、計測データが得られている日の内の、何れかの日であればよい。図14には、2015年4月1日~2017年4月7日までの計測データが得られている場合を一例として示す。また、図14には、特定日が、2015年4月8日~2017年3月30日、の各々の日である場合を一例として示す。
第1測定期間は、特定日以前の期間であり、計測データが得られている期間である。図14には、特定日の前日から1週間前の日までの1週間の期間を、第1測定期間として示す。具体的には、特定日である2015年4月8日の第1測定期間が、2015年4月1日~2015年4月7日の7日間である場合を一例として示す。同様に、他の特定日についても、特定日の前日から1週間前の日までの1週間の期間を、第1測定期間として示す。
また、図14には、複数の区間Pの各々の、第1測定期間の渋滞速度データの群を示す。図14中、P-NP-NL-Bは、区間Pの各々の識別情報の一例である。NPおよびNLは、それぞれ、001~999の何れかの整数である。学習部26Hは、収集部25Aから、各区間Pの各々の、第1測定期間の速度データを取得すればよい。
また、学習部26Hは、特定日より後の第2測定日の渋滞クラスタラベルを、学習時の目的変数として用いる。第2測定日は、特定日からN日後(Nは1以上の整数)の日である。すなわち、学習部26Hは、第2測定日の速度データを用いてクラスタリング部25Gで導出された、1または複数の渋滞クラスタの各々の渋滞クラスタラベルを、学習時の予測器の出力データとして用いる。言い換えると、学習部26Hは、第2測定日の渋滞クラスタラベルを、目的変数として用いる。
そして、学習部26Hは、これらの説明変数および目的変数を用いて、区間Pごとに、第2測定日の予測器を学習する。言い換えると、学習部26Hは、複数の区間Pの各々ごとに、特定日からN日後の各々の日に対応する、予測器を学習する。
予測器の学習には、例えば、ランダムフォレストなどのカテゴリカルデータを説明変数および目的変数として学習可能な、アルゴリズムを用いればよい。
図14には、特定日である2015年4月8日~2017年3月30日の各々に対応する、該特定日からN日後の第2測定日として、2015年4月9日~2017年3月31日の各々を示す。
また、図14には、識別情報が“P-003-010-B”である区間Pの、特定日から1日後の渋滞クラスタラベルを、目的変数とした例を示す。また、図14には、識別情報が該“P-003-010-B”以外である区間Pの各々の、特定日より前の1週間の第1測定期間の渋滞速度データを、説明変数とした場合を、一例として示す。
このように、学習部26Hは、複数の区間Pの各々ごとに、互いに異なる複数の特定日の各々ごとの予測器を学習する。このため、学習部26Hは、複数の区間Pの各々ごとに、特定日からN日後の各々の渋滞クラスタラベルを出力するための、複数の予測器を学習することができる。
例えば、特定日として、2015年4月8日~2017年3月30日の各々を設定する場合を想定する。この場合、学習部26Hは、2015年4月1日~2017年3月31日の2年分の速度データを用いて、特定日の各々の次の日の各々(2015年4月9日~2017年3月31の各々)の渋滞クラスタラベルを出力する、複数の予測器を学習することができる。すなわち、学習部26Hは、この場合、設定日から1日後~2年後の各々の予測日に属する渋滞クラスタラベルを出力するための予測器を、複数の区間Pの各々ごとに学習することができる。
図13に戻り説明を続ける。ラベル出力部26Iは、学習部26Hで学習された予測器を用いて、設定日より後の複数の日の各々である予測日に属する渋滞クラスタラベルを出力する。
まず、ラベル出力部26Iは、複数の区間Pの各々ごとに、対応する予測器を特定する。すなわち、ラベル出力部26Iは、複数の区間Pの各々ごとの、特定日からN日後の各々に対応する予測器を、設定日より後の複数の日の各々である予測日の各々に対応する予測器として特定する。
そして、ラベル出力部26Iは、特定した予測器の各々へ、対応する区間Pにおける、設定日以前の第3測定期間に含まれる複数の日の各々の時刻ごとの速度データを入力する。設定日は、上述したように、予測により前の日であり、例えば、過去の特定の日や、計測データが得られている最新の日(例えば、本日)などである。第3測定期間とは、設定日以前の日であって、計測データが得られている期間の日である。例えば、第3測定期間は、設定日以前の1週間などであるが、これに限定されない。
例えば、設定日が、2017年4月8日であった場合を想定する。この場合、ラベル出力部26Iは、第3測定期間である2017年4月1日~2017年4月7日に含まれる各々の日の時刻ごとの速度データを、予測器へ入力する。ラベル出力部26Iは、収集部25Aから速度データを取得すればよい。
複数の区間Pの各々ごとに、設定日からN日後の各々に対応する予測器へ、第3測定期間の時刻ごとの速度データを入力することで、各々の予測器から、設定日よりN日後の各々の日である予測日の各々に属する、渋滞クラスタラベルが出力される。
例えば、設定日が、2017年4月8日であった場合を想定する。また、特定日よりN日後の渋滞クラスタラベルを出力する予測器として、1日後~31日後の各々の予測器が区間Pごとに学習された場合を想定する。この場合、ラベル出力部26Iは、第3測定期間である2017年4月1日~2017年4月7日に含まれる各々の日の時刻ごとの速度データを、1日後~31日後の各々に対応する予測器へ入力する。この処理により、ラベル出力部26Iは、2017年4月9日~2017年5月8日までの1ヵ月間の各々の日を予測日とした、各予測日の渋滞クラスタラベルを出力することができる。
このように、ラベル出力部26Iは、予測器を用いることで、複数の区間Pの各々ごとに、設定日からN日後の各々である予測日の各々に属する渋滞クラスタラベルを出力する。
クラスタ別予測指数予測部26Jは、ラベル出力部26Iから出力された渋滞クラスタラベルによって識別される渋滞クラスタに属する渋滞予測指数36を、予測日の各々の、渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36として予測する。
すなわち、クラスタ別予測指数予測部26Jは、ラベル出力部26Iから出力された渋滞クラスタラベルと、予測指数予測部25Cから受付けた、クラスタごとの渋滞予測指数36と、を用いて、予測日の渋滞予測指数36をクラスタごとに予測する。
詳細には、クラスタ別予測指数予測部26Jは、ラベル出力部26Iから、N日後の予測日の各々ごとに出力された渋滞クラスタラベルによって識別されるクラスタを、予測指数予測部25Cから受付けたクラスタから特定する。そして、クラスタ別予測指数予測部26Jは、特定したクラスタに属する渋滞予測指数36を、対応するN日後の予測日の、渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36として予測する。
受付部26Kは、区間P、予測日、検索対象時間帯、渋滞予測指数36の範囲、の少なくとも1つを含む検索条件を受付ける。例えば、ユーザは、入力部23を操作することで、渋滞予測を希望する区間P、渋滞予測を希望する検索対象年月日である予測日、渋滞予測を希望する時間帯である検索対象時間帯、および、渋滞予測指数36の範囲、の少なくとも1つを入力する。ユーザによるこれらの入力部23の操作によって、受付部26Kは、区間P、予測日、検索対象時間帯、渋滞予測指数36の範囲、の少なくとも1つを含む検索条件を受付ける。
検索部26Lは、クラスタ別予測指数予測部26Jによって予測された、予測日の渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36に基づいて、受付けた検索条件に一致する、区間P、渋滞クラスタ、該渋滞クラスタの属する時間帯、および該時間帯の渋滞予測指数36、の少なくとも1つを検索する。
表示制御部26Dは、クラスタ別予測指数予測部26Jで予測された、複数の区間Pの各々の渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36、および、検索部26Lの検索結果、の少なくとも一方を、表示部29へ表示する。
図15Aは、検索条件40の一例の説明図である。図15Bは、検索結果の表示画面42の一例の模式図である。
例えば、受付部26Kが、道路Rである高速道路の出入口である“空港中央”から“大井南”までの区間P、2021年1月11日~2021年1月15日の各々の予測日、および、渋滞予測指数30%以下、を、検索条件40として受付けた場合を想定する。
この場合、例えば、表示制御部26Dは、例えば、図15Bに示す検索結果の表示画面42を表示部29へ表示する。表示画面42には、例えば、“空港中央”から“大井南”までの区間Pでは、予測日である2021年1月11日~2021年1月15日の各々の日の時間帯42Aの渋滞予測指数36が30%以下であることが表示される。また、時間帯42Bについては、渋滞予測指数36が30%を超えることが表示される。
次に、本実施形態の情報処理装置10Cの制御部26で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図16は、本実施形態の情報処理装置10Cが実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
情報処理装置10Cでは、第2の実施形態の情報処理装置10BにおけるステップS200~ステップS206(図10参照)と同様にして、ステップS500~ステップS506の処理を実行する。
詳細には、収集部25Aは、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを収集する(ステップS500)。上限予測部25Eは、ステップS500で収集された設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングするとともに、クラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する(ステップS502)。
次に、特定部25Fが、ステップS500で収集された速度データの内、渋滞速度データの群を特定する(ステップS504)クラスタリング部25Gは、ステップS504で特定された渋滞速度データの群を、渋滞クラスタへクラスタリングする(ステップS506)。
ステップS502~ステップS506の処理によって、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された速度データが、1または複数の非渋滞のクラスタと、1または複数の渋滞クラスタと、にクラスタリングされる。また、これらのクラスタにクラスタラベルを付与することで、複数の区間Pの各々ごとに、速度データの計測年月日ごとのクラスタラベルが付与された状態となる。
次に、学習部26Hが、予測器を学習する(ステップS508)。学習部26Hは、ステップS506でクラスタリングされた渋滞クラスタの渋滞クラスタラベルを用いて、予測器を学習する。
ラベル出力部26Iは、ステップS508で学習された予測器へ、設定日以前の第3測定期間に含まれる複数の日の各々の時刻ごとの速度データを入力する。そして、ラベル出力部26Iは、設定日よりN日後の各々の日である予測日の各々に対応する予測器からの出力として、区間Pごとに、予測日の各々に属する渋滞クラスタラベルを出力する(ステップS510)。
一方、速度分布予測部25Bは、ステップS506でクラスタリングされた渋滞クラスタに属する速度データに基づいて、複数の区間Pの各々ごとに、クラスタごとに時刻ごとの速度データの速度分布32を予測する(ステップS512)。
予測指数予測部25Cは、ステップS512で予測された速度分布32を用いて、複数の区間Pの各々のクラスタごとに、予測日の渋滞予測指数36を予測する(ステップS514)。
クラスタ別予測指数予測部26Jは、ステップS510で出力された渋滞クラスタラベルによって識別される、渋滞クラスタに属する渋滞予測指数36を、ステップS514で予測されたクラスタごとの渋滞予測指数36から特定する。そして、クラスタ別予測指数予測部26Jは、特定した渋滞予測指数36を、予測日の各々の、渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36として予測する(ステップS516)。
次に、受付部26Kが、検索条件を入力部23から受付けたか否かを判断する(ステップS518)。ステップS518で否定判断すると(ステップS518:No)、ステップS520へ進む。
ステップS520では、表示制御部26Dが、ステップS516で予測された、複数の区間Pの各々の渋滞クラスタごとの渋滞予測指数36を表示部29へ表示する(ステップS520)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS518で肯定判断すると(ステップS518:Yes)、ステップS522へ進む。ステップS522では、検索部26Lが、ステップS522で受付けた検索条件に一致する、区間P、渋滞クラスタ、該渋滞クラスタが属する時間帯、および該時間帯の渋滞予測指数36、の少なくとも1つを検索する(ステップS522)。表示制御部26Dは、ステップS522の検索結果を表示部29へ表示する(ステップS524)。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10Cでは、学習部26Hが、複数の区間Pの各々ごとに、特定日以前の第1測定期間について導出された、複数の渋滞クラスタの各々に属する渋滞速度データの群を入力とし、特定日より後の第2測定日の渋滞クラスタラベルを出力として、予測器を学習する。ラベル出力部26Iは、複数の区間Pの各々ごとに、設定日以前の第3測定期間の時刻ごとの速度データを予測器へ入力し、予測器の出力として、設定日より後の日である予測日に属する渋滞クラスタラベルを出力する。クラスタ別予測指数予測部26Jは、出力された渋滞クラスタラベルによって識別される渋滞クラスタに属する渋滞予測指数を、予測日の渋滞クラスタごとの渋滞予測指数として予測する。
このように、本実施形態の情報処理装置10Cでは、学習された予測器を用いることで、複数の区間Pの各々ごとに、予測日の渋滞クラスタラベルを予測する。このため、本実施形態の情報処理装置10Cでは、設定日からN日後の各々、例えば、設定日から1日後から31日後などの1ヵ月分の各々の予測日に属する、渋滞クラスタラベルを予測することができる。
このため、本実施形態の情報処理装置10Cでは、複数の区間Pの各々ごとに、設定日より後の複数の予測日の各々の渋滞予測指数36を、容易に予測することが出来る。
従って、本実施形態の情報処理装置10Cでは、上記実施形態の効果に加えて、更に高精度に渋滞予測を行うことができる。
また、本実施形態の情報処理装置10Cでは、検索部26Lが、受付けた検索条件に一致する、区間P、渋滞クラスタ、該渋滞クラスタが属する時間帯、および該時間帯の渋滞予測指数36、の少なくとも1つを検索する。そして、表示制御部26Dは、検索結果を表示部29へ表示する。
渋滞クラスタラベルを付与された渋滞クラスタの各々に属する速度データによって、各時刻の速度分布32が構成される。このため、検索部26Lは、速度分布32を用いて、検索条件に一致する、区間P、渋滞クラスタ、該渋滞クラスタが属する時間帯、および該時間帯の渋滞予測指数36、の少なくとも1つを検索することができる。そして、表示制御部26Dが検索結果を表示部29へ表示することで、予測日の渋滞予測指数36を容易に可視化してユーザに提供することができる。
すなわち、本実施形態の情報処理装置10Cによれば、学習部26Hで、複数の区間Pの各々の将来の一定期間の予測日の各々の渋滞クラスタラベルを予測する。そして、情報処理装置10Cでは、将来の予測日の各時刻の渋滞予測指数36を予測することができる。その上で、情報処理装置10Cでは、検索対象とする区間P、検索対象日、渋滞予測指数36の検索範囲(例えば、10%未満、80%以上など)、などを検索条件として設定し、該検索条件に一致する区間Pの時間帯を検索し、表示部29へ表示することができる。このため、上述したように、表示部29には、例えば、図15Bに示す検索結果の表示画面42が表示される。
従って、本実施形態の情報処理装置10Cでは、上記実施形態の効果に加えて、更に、ユーザの所望する検索条件に応じた渋滞予測結果を提供することが可能となる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、クラスタリング部25Gで渋滞クラスタラベルの群間の類似度に基づいて、区間Pごとの類似度を算出する形態を説明する。
図17は、本実施形態の情報処理装置10Dの一例を示す模式図である。情報処理装置10Dは、情報処理装置10の一例である。
情報処理装置10Dは、記憶部20と、通信部22と、入力部23と、制御部27と、表示部29と、を備える。記憶部20、通信部22、入力部23、制御部27、および表示部29は、通信可能に接続されている。本実施形態の情報処理装置10Dは、制御部24に替えて制御部27を備えた点以外は、上記実施形態の情報処理装置10Aと同様の構成である。
制御部27は、情報処理装置10Dにおいて各種の情報処理を実行する。
制御部27は、上限予測部25Eと、特定部25Fと、クラスタリング部25Gと、区間類似度算出部27Mと、生成部27Nと、表示制御部27Dと、を備える。
収集部25A、上限予測部25E、特定部25F、クラスタリング部25G、区間類似度算出部27M、および表示制御部27Dの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
収集部25A、上限予測部25E、特定部25F、およびクラスタリング部25Gは、上記第2の実施形態と同様である。なお、図示は省略するが、情報処理装置10Dは、第2の実施形態と同様に、速度分布予測部25B、予測指数予測部25C、および表示制御部25Dを更に備えた構成であってもよい。
区間類似度算出部27Mは、複数の区間Pの各々ごとに、渋滞クラスタの渋滞クラスタラベルの群を特定する。そして、区間類似度算出部27Mは、特定した渋滞クラスタラベルの群間の類似度を用いて、設定期間の複数の日の各々ごとに、区間Pの間の区間類似度を算出する。
例えば、区間類似度算出部27Mは、複数の区間Pの各々ごとに、クラスタリング部25Gで生成された渋滞クラスタラベルの群によって表される特徴を特定する。特徴は、例えば、渋滞クラスタラベルの系列などによって表される。
そして、区間類似度算出部27Mは、特定した渋滞クラスタラベルの群によって表される特徴間の類似度を用いて、設定期間の複数の各々ごとに、区間Pの間の類似度を算出する。
詳細には、まず、区間類似度算出部27Mは、対象とする複数の区間Pの各々の渋滞クラスタラベルの系列について、総当りで非類似度を計算する。なお、クラスタリングによって付与された渋滞クラスタラベルは、カテゴリカルであり、ラベルの値に大小関係などは存在しない。このため、区間類似度算出部27Mは、比較対象の複数の区間Pの各々に属する渋滞クラスタラベルの系列から、区間Pの間の類似度を算出する。
類似度の算出には、相互の区間Pの渋滞クラスタラベルのマッチングの割合のみで、類似度を定義可能な、Adjusted Rand Indexや、Normalized Mutual Informationを適用すればよい。
生成部27Nは、類似度が閾値以上の区間Pの群ごとに、区間Pを互いに異なる表示形態で表した区間類似度マップを生成する。
まず、生成部27Nは、類似度の算出に用いられたAdjusted Rand Indexや、Normalized Mutual Informationを用いて、区間P間の類似度を、渋滞クラスタラベルの系列のパターンが近いほど値が0(ゼロ)になる、非類似度ベクトルに変換する。
そして、生成部27Nは、区間P間ごとに算出した非類似ベクトルを、区間P間の距離などに変換する。距離には、例えば、コサイン類似度などを用いればよい。
そしてさらに、生成部27Nは、変換した距離の行列を入力として、非計量MDSを適用し、低次元空間での各区間Pの渋滞クラスタラベルの類似性に従って、類似度が高いほど相対的に近接するように付置される空間に変換する。
そして、生成部27Nは、予め設定したグループ数になるまでMDS(多次元尺度法:Multi-Dimensional Scaling)で構成された空間において、区間ネットワークのパスが全結合されている状態から、部分ネットワークが該グループ数になるまで、長いパスから順に切断して類似グループを構成する。
これらの処理により、生成部27Nは、複数の区間Pを、類似度が閾値以上の区間Pの群ごとに分類する。
そして、生成部27Nは、類似度が閾値以上の区間Pの群ごとに、区間Pの各々を互いに異なる表示形態で表した区間類似度マップを生成する。
表示制御部27Dは、生成部27Nで生成された区間類似度マップを表示部29へ表示する。
図18は、区間類似度マップ44の一例を示す模式図である。このように、類似する区間Pごとに異なる色などの表示形態で区間Pを表した、区間類似度マップ44が表示部29へ表示される。
次に、本実施形態の情報処理装置10Dの制御部27で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図19は、本実施形態の情報処理装置10Dが実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
情報処理装置10Dでは、第2の実施形態の情報処理装置10BにおけるステップS200~ステップS206(図10参照)と同様にして、ステップS600~ステップS606の処理を実行する。
詳細には、収集部25Aは、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを収集する(ステップS600)。上限予測部25Eは、ステップS600で収集された設定期間の複数の日の各々ごとに、時刻ごとの速度データを情報量基準が最適なクラスタ数にクラスタリングするとともに、クラスタ数に応じた渋滞速度上限を予測する(ステップS602)。
次に、特定部25Fが、ステップS600で収集された速度データの内、渋滞速度データの群を特定する(ステップS604)。クラスタリング部25Gは、ステップS604で特定された渋滞速度データの群を、渋滞クラスタへクラスタリングする(ステップS606)。
ステップS602~ステップS606の処理によって、複数の区間Pの各々の、設定期間の複数の日の各々ごとに収集された速度データが、1または複数の非渋滞のクラスタと、1または複数の渋滞クラスタと、にクラスタリングされる。また、これらのクラスタにクラスタラベルを付与することで、複数の区間Pの各々ごとに、速度データの計測年月日ごとのクラスタラベルが付与された状態となる。
次に、区間類似度算出部27Mが、区間Pの間の類似度を算出する(ステップS608)。次に、生成部27Nが、ステップS608で算出された類似度を用いて、区間類似度マップ44を生成する(ステップS610)。
表示制御部27Dは、ステップS610で生成された区間類似度マップ44を、表示部29へ表示する(ステップS612)。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10Dでは、複数の区間Pの各々に属する渋滞クラスタラベルの群間の類似度を用いて、区間類似度マップ44を生成し、表示部29へ表示する。
このため、本実施形態の情報処理装置10Dでは、上記実施形態の効果に加えて、渋滞する時間帯が類似する区間Pのグループを可視化して提供することができる。
次に、上記実施形態の情報処理装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
図20は、上記実施形態の情報処理装置10A~情報処理装置10Dの各々である情報処理装置10の、ハードウェア構成図の一例である。
上記実施形態の情報処理装置10は、CPU86などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)88やRAM(Random Access Memory)90やHDD(ハードディスクドライブ)92などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部82と、出力情報などの各種情報を出力する出力部80と、ユーザによる操作を受付ける入力部94と、各部を接続するバス96とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
上記実施形態の情報処理装置10では、CPU86が、ROM88からプログラムをRAM90上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
なお、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD92に記憶されていてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM88に予め組み込まれて提供されていてもよい。
また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。