JP2022136395A - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

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Satoshi Imamura
真生 福馬
Masanari Fukuma
直宏 山口
Naohiro Yamaguchi
好隆 和田
Yoshitaka Wada
匠 上村
Takumi Uemura
啓介 山本
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Abstract

【課題】タンブル流を活用して燃焼速度を速くすることにより、高圧縮比を維持しながら燃費の向上が可能な過給機付きエンジンの燃焼室構造を提供する。【解決手段】ピストン4の冠面40の中央領域には、キャビティ80が凹設され、冠面40におけるキャビティ80の周辺には、シリンダヘッド側へ突出した隆起部49が形成されている過給機付きエンジンの燃焼室構造であって、キャビティ80の深さであるキャビティ深さをD、隆起部49の高さである山高さをHとしたときに、燃焼室4の幾何学的圧縮比が11以上13以下の範囲において、0.3≦D/H≦1.9の関係を満たす。【選択図】図13

Description

本発明は、ペントルーフ型の天井面及びキャビティ付きのピストン冠面にて区画される燃焼室を備えた過給機付きエンジンの燃焼室構造に関する。
熱効率の改善、燃費性能の向上等の目的で、エンジンの燃焼室の構造、とりわけピストンの構造について日々研究がなされている。例えば特許文献1には、ペントルーフ型の天井面が形成されたシリンダヘッドと、冠面にキャビティが凹設されるとともにキャビティ周辺に隆起部とを備えたピストンとを備えた過給機付きエンジンが開示されている。
特開2008-88861号公報
ペントルーフ型の天井面を有する燃焼室では、一般に吸気ポートはタンブルポートとなる。過給機付きエンジンは、燃焼室へ吸気を圧縮して導入することによりトルクを向上しているが、近年では高圧縮比を維持しながら燃費を向上することが望まれている。当該燃焼室において熱効率の改善並びに燃費性能の向上を図るには、タンブル流を圧縮行程後半まで維持させ、混合気の燃焼速度を速くすることが肝要となる。しかしながら、この要請をより高いレベルで達成する燃焼室構造は、未だ提案されていないのが実情である。
本発明の目的は、ペントルーフ型の天井面を備えた燃焼室において、タンブル流を活用して燃焼速度を速くすることにより、高圧縮比を維持しながら燃費の向上が可能な過給機付きエンジンの燃焼室構造を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの燃焼室構造は、ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容されるシリンダの内壁面と、シリンダヘッドに形成されたペントルーフ型の天井面とによって区画される燃焼室と、を備え、前記天井面には、前記燃焼室に吸気を供給する吸気ポートの開口と、前記燃焼室から排気を排出する排気ポートの開口とが形成され、前記冠面の中央領域には、キャビティが凹設され、前記冠面における前記キャビティの周辺には、前記シリンダヘッド側へ突出した隆起部が形成され、前記吸気ポートから前記燃焼室に供給される吸気を過給する過給機を有する、過給機付きエンジンの燃焼室構造であって、前記キャビティの深さであるキャビティ深さをD、前記隆起部の高さである山高さをHとしたときに、前記燃焼室の幾何学的圧縮比が11以上13以下の範囲において、
0.3≦D/H≦1.9
の関係を満たすことを特徴とする。
この燃焼室構造によれば、ペントルーフ型の天井面に吸気ポートが形成されるので、タンブル流が形成される燃焼室となる。ピストンの冠面にはキャビティが凹設されているので、タンブル流は、キャビティ部分においては排気ポートが配設される排気側から吸気ポートが配設される吸気側へ向かう流動となる。それとともに、燃焼室の圧縮比を高めるために、冠面におけるキャビティの周辺には、シリンダヘッド側へ突出した隆起部が形成されている。キャビティの深さであるキャビティ深さDと前記隆起部の高さである山高さHとの比D/Hは、燃焼室の幾何学的圧縮比が11以上13以下の範囲において、0.3≦D/H≦1.9とすることにより、タンブル流を圧縮上死点近傍まで維持しやすくなり、 燃焼速度を速めることが可能になる。これにより、高圧縮比を維持しながら燃費の向上が可能になる。
上記の燃焼室構造において、前記キャビティ深さDと前記山高さHとの比であるD/Hは、0.75≦D/H≦1.71の関係を満たすことが望ましい。
この燃焼室構造によれば、D/Hが0.75≦D/H≦1.71の関係を満たすことにより、タンブル流を圧縮上死点近傍までさらに維持しやすくなり、燃焼速度をさらに速めることが可能になる。これにより、高圧縮比を維持しながらさらなる燃費の向上が可能である。
上記の燃焼室構造において、前記天井面に配置され、前記燃焼室内において火炎伝搬燃焼を実現させる点火部をさらに備え、前記点火部は、シリンダ軸に沿った断面視において、前記シリンダの中心線よりも前記排気ポートが配設される排気側にオフセットした位置に配置されていることが望ましい。
この燃焼室構造によれば、キャビティ部分を流動するタンブル流の上流側で混合気に点火し、当該タンブル流に火炎を乗せることができるので、燃焼速度をさらに速くすることが可能である。
上記の燃焼室構造において、シリンダ軸に沿った断面視における前記キャビティの中心点は、前記シリンダの中心線よりも前記吸気ポートが配設される吸気側にオフセットした位置に配置されていることが望ましい。
この燃焼室構造によれば、排気側で発生した火炎は、タンブル流によって吸気側へ向かい易くなるので、燃焼速度をさらに速くすることが可能である。
上記の燃焼室構造において、前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射部が、前記燃焼室の前記吸気側に配設されていることが望ましい。
この燃焼室構造によれば、燃料噴射部から噴霧された燃料を、燃焼室内で循環するタンブル流に乗せ易くなり、均質な混合気を燃焼室内に形成させることができる。
上記の燃焼室構造において、前記エンジンは、直列に配置された6つのシリンダを備え、当該6つのシリンダの配列方向が前記エンジンの搭載される車両の前後方向に沿うよう配置される縦置きエンジンであることが望ましい。
この燃焼室構造によれば、直列6気筒の縦置きエンジンについて、燃焼速度を速くし、燃費性能を向上させることができる。
本発明によれば、ペントルーフ型の天井面を備えた燃焼室において、タンブル流を活用して燃焼速度を速くすることにより、高圧縮比を維持しながら燃費の向上が可能な過給機付きエンジンの燃焼室構造を提供することができる。
図1は、本発明に係るエンジンの燃焼室構造が適用される直列6気筒の縦置きエンジンの本体の概略斜視図である。 図2は、図1のエンジン本体を備えるエンジンシステムの概略構成図である。 図3は、前記エンジン本体が備える1つのシリンダの構造を示す、燃焼室付近の断面図である。 図4は、ピストンの斜視図である。 図5は、図3の要部拡大図である。 図6は、シリンダ軸と、点火位置及びキャビティ中心点との関係を説明するための模式図である。 図7は、燃焼室の模式図であって、タンブル流による火炎の伝搬を説明するための図である。 図8(A)及び(B)は燃焼室の平面図にして、火炎の伝搬状況を模式的に示す図であって、(A)は比較例の燃焼室構造の場合を、(B)は実施例の燃焼室構造の場合を各々示す。 図9は、ピストンの冠面の平面図である。 図10は、図9のX-X線断面図である。 図11は、図9のXI線方向の矢視図である。 図12は、本発明の実施例1~4に係るピストン冠面のキャビティ径φ、山高さH、キャビティ深さD、山高さHとキャビティ深さDとの比D/H、圧縮比εを示す表形式の図である。 図13は、本発明の実施例1~4に係る山高さHとキャビティ深さDとの比D/Hを横軸とし、現行ラインの乱流エネルギーと比較した相対的な乱流エネルギー比を縦軸として表したグラフである。
[エンジンの外観]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る燃焼室構造が適用されたエンジン本体1の外観を示す概略斜視図である。ここに示されるエンジン本体1は、自動車等の車両の走行駆動用の動力源として前記車両に搭載される、ターボ過給機付き4サイクル直列6気筒のガソリンエンジンである。
図1には、エンジン本体1が搭載される車両の前後方向に合わせた方向表示が付記されている。エンジン本体1が具備する6つのシリンダは、車両の前後方向に配列されている。すなわち、エンジン本体1は、車両に縦置きで配置される。当該車両のパワートレインのレイアウトは、例えばFRレイアウトとすることができる。各シリンダは、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式にて、吸気系及び排気系と接続されている。図1には、第1吸気ポート6A及び第2吸気ポート6Bのペアからなる吸気ポート6が6セット、車両の前後方向に配列されている様子が表出している。
エンジン本体1の燃焼形式は、燃焼室内の混合気に強制的に点火することにより開始する火炎伝搬を伴うSI(Spark Ignition)燃焼である。エンジン本体1は、SI燃焼と、混合気を圧縮自己着火させるCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせたSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)燃焼を実行するものであっても良い。
[エンジンの全体構成]
図2は、図1に示すエンジン本体1を備えるエンジンシステムEの概略構成図である。エンジンシステムEは、上述のエンジン本体1と、エンジン本体1に空気(吸気)を導入する吸気通路50と、エンジン本体1から外部に排気を排出する排気通路60と、排気の一部を吸気通路50へ還流するEGR装置70とを備えている。さらにエンジンシステムEは、前記吸気を過給するターボ過給機59を備えている。
エンジン本体1は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びピストン4を備える。シリンダブロック2は、直列に配置された6つのシリンダ20を有する。なお、図2には、一つのシリンダ20だけが示されている。シリンダヘッド3は、シリンダブロック2の上面に取り付けられ、シリンダ20の上部開口を塞いでいる。ピストン4は、各シリンダ20に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッドを介してクランク軸15と連結されている。ピストン4の往復運動に応じて、クランク軸15はその中心軸回りに回転する。
ピストン4の上方には燃焼室5が形成されている。燃焼室5にはガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ11からの噴射によって供給される。供給された燃料と空気との混合気が燃焼室5で燃焼され、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン4が上下方向に往復運動する。シリンダ20の幾何学的圧縮比、つまりピストン4が上死点にあるときの燃焼室5の容積とピストン4が下死点にあるときの燃焼室5の容積との比は、11以上13以下の範囲に設定される。因みに、通常のターボ過給機付きエンジンの圧縮比は10.5程度であり、上記の圧縮比は通常よりも高圧縮比である。
シリンダヘッド3には、燃焼室5と連通する吸気ポート6及び排気ポート7が形成されている。吸気ポート6は燃焼室5に吸気を供給するポート、排気ポート7は燃焼室5から排気を排出するポートである。シリンダヘッド3の下面で構成される燃焼室天井面5U(天井面)には、吸気ポート6の下流端である吸気側開口と、排気ポート7の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド3には、前記吸気側開口を開閉する吸気弁8と、前記排気側開口を開閉する排気弁9とが組み付けられている。なお、吸気弁8を駆動する吸気弁駆動機構18には、吸気弁8の開閉時期を変更する吸気開閉時期変更機構18aが付設されている。
燃焼室5に臨むように、点火プラグ10(点火部)及びインジェクタ11(燃料噴射部)が組付けられている。点火プラグ10は、燃焼室天井面5Uに配置され、燃料と空気とが混合された混合気に点火し、燃焼室5内において火炎伝搬燃焼を実現させる。後記で詳述するが、点火プラグ10は、シリンダの中心線に対して、吸気ポート6が配設される吸気側にオフセットした位置に配置される。
インジェクタ11は、図略のフューエルシステムから供給される燃料を燃焼室5に噴射する。インジェクタ11は、燃焼室天井面5Uの周縁であって、吸気側に配置されている。このような配置とすれば、インジェクタ11から噴霧された燃料を燃焼室5内で循環するタンブル流に乗せ易くなり、燃焼室5内全体に燃料が行き渡り易くなる。つまり、均質な混合気を燃焼室5内に形成させることができる。
吸気通路50は、吸気ポート6と連通し、各シリンダ20の燃焼室5に吸気を供給する経路である。吸気通路50の上流端から取り込まれた空気は、吸気通路50及び吸気ポート6を通して燃焼室5に導入される。吸気通路50には、その上流側から順に、エアクリーナ51、コンプレッサ52(ターボ過給機59)、インタークーラ53、スロットルバルブ54及びサージタンク55が配置されている。
エアクリーナ51は、吸気中の異物を除去して吸気を清浄化する。コンプレッサ52は、軸回りに回転し、吸気を過給する。インタークーラ53は、ターボ過給機59により圧縮された吸気を冷却する。スロットルバルブ54は、図略のアクセルの踏み込み動作と連動して吸気通路50を開閉し、吸気通路50における吸気の流量を調整する。サージタンク55は、複数のシリンダ20に吸気を均等に配分するための空間を提供する。
排気通路60は、排気ポート7と連通し、燃焼室5で生成された既燃ガス(排気ガス)を車両の外部に排出する経路である。排気通路60には、タービン61及び触媒コンバータ63が配設されている。タービン61は、排気通路60を流れる排気流により回転する。触媒コンバータ63は、排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒等が内蔵されている。
ターボ過給機59は、上述のコンプレッサ52及びタービン61と、両者を連結する共通の回転軸とを含んで構成されている。ターボ過給機59は、燃焼室5に導入される吸気を過給(圧縮)しつつ吸気通路50の下流側へ送り出す。コンプレッサ52は、排気流によりタービン61が回転することで回転し、過給動作を行う。
本実施形態では、ツインスクロールターボ過給機を例示している。エンジン本体1が備える6つのシリンダ20のうち、第1~第3シリンダ20の排気は第1排気マニホールド64aで、第4~第6シリンダ20の排気は第2排気マニホールド64bにて、それぞれタービン61に導かれる。また、排気通路60には、タービン61をバイパスするためのバイパス通路65と、第1及び第2排気マニホールド64a、64bにて導出された排気をバイパス通路65に流入させるウエストゲートバルブ66とが配設されている。なお、本実施形態では排気圧を動力源とするターボ過給機59を例示しているが、これに代えて、エンジン自体を動力源とするスーパーチャージャーや、電動スーパーチャージャーを用いても良い。
EGR装置70は、いわゆる高圧EGRを実現する装置であって、EGR通路71、EGRクーラ72及びEGR弁73を含む。EGR通路71は、排気通路60と吸気通路50とを接続する。EGRクーラ72は、EGR通路71を通して排気通路60から吸気通路50に還流される排気ガス(EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁73は、EGR通路71を流れる排気ガスの流量を調整する。
エンジンシステムEは、各種のセンサを含む。図2には、エンジン回転数センサSN1、エアフローセンサSN2及び過給圧センサSN3を例示している。エンジン回転数センサSN1は、シリンダブロック2に取り付けられ、クランク軸15の回転角度に基づきエンジン回転数を検出する。エアフローセンサSN2は、エアクリーナ51の下流に配置され、吸気通路50を流通する吸気の流量を検出する。過給圧センサSN3は、過給後の吸気の圧力を検出する。
[燃焼室及びピストンの詳細構造]
図3は、エンジン本体1が備える1つのシリンダ20の構造を示す、燃焼室5付近の断面図である。図4は、ピストン4の斜視図である。シリンダ20の内壁面は、シリンダライナ21によって構成されている。シリンダ20を取り囲むように、シリンダブロック2の内部にはウォータージャケット22が備えられている。ピストン4は、シリンダライナ21に対して摺動可能に、シリンダ20内に収容されている。
燃焼室5は、シリンダ20の内壁面(シリンダライナ21)と、ピストン4の冠面40と、シリンダヘッド3の底面に形成された燃焼室天井面5U(吸気弁8及び排気弁9の各バルブ面を含む)とによって区画されている。燃焼室天井面5Uは、上向きに凸のペントルーフ型の形状を有する天井面である。ペントルーフ型の燃焼室天井面5Uには、吸気ポート6の開口と、排気ポート7の開口とが形成されている。本実施形態の吸気ポート6は、タンブル流Ft(図5)を形成可能なタンブルポートである。
図3、図4及び他の図には、XYZの方向表示が付されている。Z方向はシリンダ軸AX方向、X方向はクランク軸15の延伸方向であるエンジン本体1の前後方向、Y方向はZ方向及びX方向の双方と直交する方向に各々相当する。以下の説明において、エンジン本体1の設置方向におけるフロント側、リア側という意味においてF側(+X)、R側(-X)、吸気ポート6が配設される側という意味において吸気側(IN側;+Y)、排気ポート7が配設される側という意味において排気側(EX側;-Y)、シリンダ軸AX上の上側、下側との意味において上(+Z)、下(-Z)ということがある。
点火プラグ10は、燃焼室天井面5Uから点火部10Aが燃焼室5内へ突出するように、シリンダヘッド3に上下方向に組付けられている。インジェクタ11は、その先端の燃料噴射ヘッドが吸気側から燃焼室5に臨むように、シリンダヘッド3に略水平な状態で組付けられている。
ピストン4は、ピストンヘッド4Aと、ピストンヘッド4Aの下側(-Z側)に連設されたスカート部4Bとを含む。ピストンヘッド4Aは円柱体からなり、燃焼室5の壁面の一部(底面)を構成する冠面40を上面に備える。冠面40の中央領域には、球冠状に凹設されたキャビティ80が形成されている。なお、本発明では、キャビティ80の形状についてはとくに限定しない。また、ピストンヘッド4Aは、シリンダライナ21に摺接する側周面4Cを備える。側周面4Cには、ピストンリングが嵌め込まれるリング溝が複数備えられている。スカート部4Bは、ピストンヘッド4Aの+Y側及び-Y側に配置され、ピストン4の往復運動の際の首振り揺動を抑制する。スカート部4BのY方向の中央には、X方向に延びるピン孔を区画するピストンボス4Dが設けられている。ピストンボス4Dには、コネクティングロッド12との連結のためのピストンピンが挿通される。
冠面40は、燃焼室天井面5UとZ方向に対向する略円形の面である。冠面40は、排気側底部41、吸気側底部42、排気側傾斜面43、吸気側傾斜面44、平面45、リセス間平面46、F側側壁47及びR側側壁48を含む。これらに加えて冠面40には、-Z方向に積極的に凹没させた部分として、キャビティ80及び小キャビティ90を備えている。キャビティ80の部分を除いて、排気側底部41及び吸気側底部42は、冠面40において+Z方向の高さが最も低いベース面であり、平面45及びリセス間平面46が+Z方向の高さが最も高い頂面である。
隆起部49(図4および図9~10参照)は、冠面40において、キャビティ80の周辺に隆起した部分である。隆起部49は、上記の排気側傾斜面43、吸気側傾斜面44、平面45、リセス間平面46、F側側壁47及びR側側壁48によって形成される。
排気側底部41及び吸気側底部42は、シリンダ軸AXと直交するXY方向に延びる平面であり、Z方向に同じ高さ位置にある。なお、排気側底部41及び吸気側底部42は、前記XY方向に対して若干の傾きを持つ面、若しくは、僅かな凸又は凹曲面を持つ面であっても良い。排気側底部41は、冠面40のEX側(-Y)の端縁付近に配置されている。吸気側底部42は、冠面40のIN側(+Y)の端縁付近に配置されている。
排気側底部41は、冠面40の-Y側外周縁(側周面4C)を弧とし、X方向に延びる直線を弦とする弓形の平面である。吸気側底部42は、冠面40の+Y側外周縁を弧とし、X方向に延びる直線を弦とする弓形の平面である。排気側底部41及び吸気側底部42は、ピストン4が圧縮上死点に向かう際、スキッシュ流が形成されるスキッシュエリアである。本実施形態では、排気側底部41の表面積よりも吸気側底部42の表面積の方が広面積に設定されている。
排気側傾斜面43は、排気側底部41から冠面40のY方向中央部(冠面40の径方向中央部)に向けて徐々に上昇する傾斜面である。排気側傾斜面43の下端は排気側底部41の+Y端縁に連なり、上端は平面45及びリセス間平面46の-Y端縁に連なっている。排気側傾斜面43は、+X側と-X側とで一対のリセス部431と、これらリセス部431に位置するリセス間部432とを含む。リセス部431は、一対の排気弁9との干渉を避けるための略半円型の窪みである。リセス間部432は、一対のリセス部431間に位置する略三角形の部分であって、リセス部431よりも一段高い部分である。リセス部431及びリセス間部432の、Y方向に対する傾斜角は同一に設定されている。なお、前記傾斜角は、若干相違していても良い。
吸気側傾斜面44は、吸気側底部42から冠面40のY方向中央部に向けて徐々に上昇する傾斜面である。吸気側傾斜面44の下端は吸気側底部42の-Y端縁に連なり、上端は平面45の+Y端縁に連なっている。本実施形態では、吸気側傾斜面44がリセスを具備しない傾斜平面として例示されているが、吸気弁8との干渉が生じる場合には、排気側のリセス部431と同様なリセス部が設けられる。
平面45は、冠面40のY方向中央部においてシリンダ軸AXと直交するXY方向に延びる平面である。平面45は、排気側傾斜面43の上端と吸気側傾斜面44の上端との間に連なっている。平面45は、-Y側の側辺としてEX端縁451を、+Y側の側辺としてIN端縁452を有している。EX端縁451は、一対のリセス部531の各上端に繋がっている。IN端縁452は、吸気側傾斜面44の上端に繋がっている。キャビティ80が冠面40の径方向中央領域に存在することから、平面45は+X側と-X側とに分断されている。なお、平面45は、タンブル流Ftの流動を実質的に阻害しない範囲において、XY方向に対して僅かな傾きを持つ面、若しくは、僅かな凸又は凹曲面を持つ面であっても良い。
リセス間平面46は、排気側傾斜面43の一対のリセス部431間の上端付近に挟まれるように配置された平面である。リセス間平面46も、XY方向に延びる平面であり、平面45と同一平面内に存在する平面、つまり平面45と同じZ方向高さに位置する平面である。リセス間平面46は、平面45のEX端縁451のX方向の中心付近から-Y方向に延びている。
F側側壁47は、平面45の+X端縁から下方に延びる側壁である。R側側壁48は、平面45の-X端縁から下方に延びる側壁である。F側側壁47及びR側側壁48は、排気側傾斜面43及び吸気側傾斜面44の+X端縁、-X端縁に跨がっている。
図9に示す冠面40の上面図も参照して、キャビティ80は、平面45に球冠状に凹設され、少なくとも平面45の領域において上面視で円形の開口縁を備えている。キャビティ80は、冠面40においてX方向の中央に位置しているが、Y方向においては+Y側に偏心した位置に配置されている。すなわち、平面45はY方向の中央においてX方向に延在しているが、キャビティ80は若干+Y方向にオフセットした位置にある。キャビティ80のEX側端縁81は平面45のEX端縁451とほぼ同一位置にあるが、IN側端縁82はIN端縁452よりも+Y側に突出し、吸気側傾斜面44の上端部分に差し掛かっている。このオフセットについては、後記で詳述する。
小キャビティ90は、キャビティ80の+Y側に配置された、キャビティ80よりも小規模の窪みである。小キャビティ90は、キャビティ80のIN側端縁82並びに吸気側傾斜面44の上端付近を椀型に窪ませて形成されている。つまり、小キャビティ90は、キャビティ80の吸気側に連設された小凹部であり、冠面40の吸気側に偏在した位置に配置されている。なお、小キャビティ90は、X方向においては、冠面40の中央に位置している。小キャビティ90の上面視の形状は、略楕円形である。
小キャビティ90は、外周縁として、-Y側のEX側周縁91と、+Y側のIN側周縁92とを含む。上面視において、EX側周縁91は-Y側に凸の第1曲線を有し、IN側周縁92は+Y側に凸の第2曲線を有している。EX側周縁91の第1曲線の曲率よりも、IN側周縁92の第2曲線の方が大きな曲率を有している。つまり、IN側周縁92の+Y側への膨出度合いの方が、EX側周縁91の-Y側への膨出度合いよりも大きい。このような曲率に設定することで小キャビティ90は、IN側周縁92からEX側周縁91に向けて筒内流動経路を絞り込むことが可能な形状を有している。
[点火部及びキャビティのオフセット]
続いて、図5及び図6を参照して、点火プラグ10の点火部10A及びキャビティ80のオフセット構造について説明する。図5は、図3の要部拡大図、図6は、前記オフセット構造を説明するための模式図である。図5及び図6には、シリンダ20の軸心であるシリンダ中心線C1と、点火部10Aによる混合気への点火位置C2と、キャビティ80の開口縁の径中心であるキャビティ中心点C3とが示されている。本実施形態では、キャビティ80は球冠状の凹部であるので、キャビティ中心点C3はキャビティ80の最深部でもある。
また、図5には、燃焼室5を流動するタンブル流Ftが示されている。タンブル流Ftは、ペントルーフ型の燃焼室天井面5Uの吸気ポート6の開口から燃焼室5内に流入する。タンブル流Ftは、流入方向に沿って一旦排気側に向かい、その後に流動方向を反転させて、キャビティ80上において排気側から吸気側へ向かう。そして、タンブル流Ftは、キャビティ80の吸気側端部から燃焼室天井面5Uへ上向きに流動し、続いて排気側に戻る。以後、同様な縦渦流動が繰り返される。
点火位置C2(点火部10A)は、シリンダ軸AXに沿った断面視において、シリンダ中心線C1よりも排気側にオフセットした位置に配置されている。但し、点火位置C2は、キャビティ80の形成領域内の上方において、燃焼室天井面5Uに配置されている。一方、キャビティ中心点C3は、シリンダ軸AXに沿った断面視において、シリンダ中心線C1よりも吸気側にオフセットした位置に配置されている。なお、点火位置C2及びキャビティ中心点C3は、シリンダ中心線C1を通り吸気側と排気側とを結ぶ直線上に配置されている。
図5及び図6において、シリンダ中心線C1に対する点火位置C2のオフセット量をd1、シリンダ中心線C1に対するキャビティ中心点C3のオフセット量をd2で各々示している。本実施形態では、点火位置C2の排気側へのオフセット量は、キャビティ中心点C3の吸気側へのオフセット量よりも大きい。つまり、d1>d2の関係を満たすように、点火位置C2及びキャビティ中心点C3のオフセット量が設定されている。なお、図6ではd1とd2の関係が誇張して描かれている。一例を挙げれば、ボア径=100mm程度のシリンダ20で、d1=3.7mm、d2=3.4mmである。
次に、点火部10A及びキャビティ80のオフセット構造の利点について説明する。図7は、燃焼室5のシリンダ軸AXに沿った断面の模式図であって、タンブル流Ftによる火炎の伝搬を説明するための図である。ピストン4の冠面40にはキャビティ80が凹設されている。燃焼室5内に形成されるタンブル流Ftは、キャビティ80の壁面(底面)に沿って流れる部分に着目すると、図5に示したように排気側から吸気側へ向かう流動となる。点火プラグ10の点火部10Aは、燃焼室5内の混合気に強制着火し、当該点火部10Aの近傍に火炎球31を作る。この火炎球31にタンブル流Ftが作用することで、図7中に矢印F1で示すように、火炎が吸気側へ伝搬してゆく。
このような燃焼室5において、点火部10Aによる点火位置C2はシリンダ中心線C1よりも排気側にオフセットしている。このため、キャビティ80部分を流動するタンブル流Ftの上流側で混合気に点火して火炎球31を作り、当該タンブル流Ftに火炎を乗せて吸気側へ伝搬させることができる。また、キャビティ中心点C3は、シリンダ中心線C1よりも吸気側にオフセットしている。これにより、排気側で発生した火炎は、タンブル流Ftによって吸気側へより向かい易くなる。つまり、オフセット分だけキャビティ80に沿って火炎が吸気側に向かうことができる領域が長くなり、速やかに火炎を吸気側に伝搬させることができる。従って、燃焼速度を速くすることができ、熱効率を改善すると共に燃費性能の向上を図ることができる。
また、d1>d2の関係を満たすように、シリンダ中心線C1に対する点火位置C2及びキャビティ中心点C3のオフセット量が設定されている。このため、キャビティ80部分を流動するタンブル流Ftの、より上流側で火炎球31を発生させ、吸気側へ火炎を伝搬させることができる。従って、より燃焼速度を速くすることができる。
図8(A)及び(B)は燃焼室の平面図にして、火炎の伝搬状況を模式的に示す図である。これらの図では、クランク角=380degにおける火炎伝搬状況を示している。図8(A)は、シリンダ中心線C1に対して点火位置C2及びキャビティ中心点C3をオフセットさせていない、比較例の燃焼室構造の場合の火炎伝搬状況を示している。ここでは、燃焼室5の周縁に向かって伝搬している火炎32が描かれている。火炎32のうち、吸気側へ向かう吸気側伝搬部分33に着目すると、図中の点線で示す基準円の付近までしか火炎が伝搬していないことが判る。
これに対し、図8(B)は、シリンダ中心線C1に対して点火位置C2及びキャビティ中心点C3を図5に示す通りにオフセットさせた、実施例の燃焼室構造の場合の火炎伝搬状況を示している。図8(B)には、図7に示す火炎球31を火種とした火炎34が、燃焼室5の周縁に向かって伝搬している状態が示されている。火炎34のうち、吸気側へ向かう吸気側伝搬部分35に着目すると、図中の点線で示す基準円の位置を越えて、より吸気側に火炎が伝搬していることが判る。このことは、タンブル流Ftによって火炎34が速やかに吸気側へ伝搬したことを示す。つまり、実施例の燃焼室構造では燃焼速度が速くなることが実証されたものである。
[ピストン冠面の形状的工夫について]
以上説明したような火炎伝搬の実現には、タンブル流Ftの貢献が不可欠である。すなわち、点火部10Aによる混合気への点火後に至っても強いタンブル流Ftが燃焼室5に残存していること、つまりタンブル流Ftを圧縮行程後半まで維持させることが肝要となる。本実施形態のピストン4の冠面40には、タンブル流Ftを圧縮行程後半まで維持させるために種々の形状的工夫が施されている。以下、この形状的工夫について、上掲の図に加えて、図9~図11を参照して説明する。図9は、ピストン4の冠面40の平面図、図10は、図9のX-X線断面図、図11は、図9のXI線方向の矢視図である。
図9~10に示される山高さHは、冠面40における隆起部49の高さであり、具体的には、前記ベース面である排気側底部41又は吸気側底部42から、前記頂面である平面45までのZ方向高さである。
キャビティ深さDは、冠面40におけるキャビティ80の深さであり、具体的には、平面45からキャビティ80の最深部である中心点C3までのZ方向深さである。
本実施形態のエンジンの燃焼室構造では、キャビティ深さDと山高さHとの比D/Hが、燃焼室5の幾何学的圧縮比が11以上13以下の範囲において、
0.3≦D/H≦1.9
の関係を満たすことに特徴がある。この関係を満たすことにより、タンブル流を圧縮上死点近傍まで維持しやすくなり、 燃焼速度を速めることが可能になる。
上記の山高さHは、低ければ低いほど、タンブル流は圧縮上死点近傍まで維持することが可能である。一方で、キャビティ深さDは、キャビティ80が深ければ深いほどタンブル流がキャビティ80内で流動することになるため、抵抗(例えば、キャビティ80の内周面との接触抵抗)になってタンブル流が弱くなってしまう。そこで、圧縮比を高めつつ、山高さHとキャビティ深さDとの関係を本発明者らは鋭意研究した結果、圧縮比12近傍である圧縮比11以上13以下で、比D/Hを0.3以上1.9以下の範囲(好ましくは0.75以上1.71以下の範囲)では、タンブル流が圧縮上死点で維持しやすいことを解明した。以下、図12~13を参照しながら本発明の実施例1~4についてタンブル流の維持効果について検証する。
[実施例]
図12は、本発明の実施例1~4に係るピストン冠面のキャビティ径φ、山高さH、キャビティ深さD、山高さHとキャビティ深さDとの比D/H、圧縮比εを示す表形式の図である。実施例1~4(EX1~EX4)は、キャビティ径φが62.2mm、山高さHが6.2mmで設定されている点では共通であるが、キャビティ深さDがそれぞれ異なっている。例えば、実施例1ではキャビティ深さDは最小の2.0mmであり、実施例4ではキャビティ深さDは最大の11.0mmであり、実施例1~実施例4の順にキャビティ深さDが大きくなっている。また、圧縮比εについては、実施例1~4のいずれの圧縮比εも11以上13以下の範囲内にある。
図13は、本発明の実施例1~4(EX1~EX4)に係る山高さHとキャビティ深さDとの比D/Hを横軸とし、現行ラインL1の乱流エネルギーと比較した相対的な乱流エネルギー比を縦軸として表したグラフである。この図13のグラフでは、乱流エネルギーの解析値に基づく乱流エネルギー比が示されている。前記乱流エネルギーの解析値は、ピストン4が圧縮上死点にあるときの筒内流動(タンブル流Ft)が保有する乱流エネルギーを、専用のソフトウェアを用いた解析演算にて導出したものである。乱流エネルギー比は、現行ラインの乱流エネルギーの解析値を「1」としたときの、実施例1~4の乱流エネルギーの解析値の比である。
ここで、現行ラインL1の乱流エネルギーとは、現行の過給機付きエンジン(圧縮比εが10.5前後、比D/Hが1.4程度で0.3~1.9の範囲内)の場合の乱流エネルギーである。
図13のグラフより明らかなように、実施例1~4(EX1~EX4)を含む範囲R1(D/Hが0.3以上1.9以下の範囲)では、いずれの乱流エネルギー比も1よりも大きい(すなわち、実施例1~4では現行ラインの場合よりも乱流エネルギーが大きい)ことが判る。とりわけ、実施例2~3を含む範囲R2(D/Hが0.75以上1.71以下の範囲)では、の乱流エネルギー比は、現行ラインよりも12.5%以上も大きな値が得られている。これらの結果から、実施例1~4においては、高い乱流エネルギーを生成させ、燃焼速度を速めることができることが分かる。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係るエンジンの燃焼室構造によれば、次のような作用効果を奏する。
上記実施形態の燃焼室構造によれば、ペントルーフ型の天井面5Uに吸気ポート6が形成されるので、タンブル流が形成される燃焼室となる。ピストン4の冠面40にはキャビティ80が凹設されているので、タンブル流は、キャビティ80の部分においては排気ポート7が配設される排気側から吸気ポート6が配設される吸気側へ向かう流動となる。それとともに、燃焼室5の圧縮比εを高めるために、冠面40におけるキャビティ80の周辺には、シリンダヘッド3側へ突出した隆起部49が形成されている。キャビティ80の深さであるキャビティ深さDと隆起部49の高さである山高さHとの比D/Hは、燃焼室5の幾何学的圧縮比εが11以上13以下の範囲において、0.3≦D/H≦1.9とすることにより、タンブル流を圧縮上死点近傍まで維持しやすくなり、 燃焼速度を速めることが可能になる。これにより、高圧縮比を維持しながら燃費の向上が可能になる。
キャビティ深さDと山高さHとの比であるD/Hは、0.75≦D/H≦1.71の関係を満たすようにすることが望ましい。この場合、タンブル流を圧縮上死点近傍までさらに維持しやすくなり、燃焼速度をさらに速めることが可能になる。これにより、高圧縮比を維持しながらさらなる燃費の向上が可能である。
上記の燃焼室構造では、点火プラグ10(点火部)は、シリンダ軸に沿った断面視において、シリンダ中心線C1よりも排気ポート7が配設される排気側にオフセットした位置に配置されている。この構成では、キャビティ80の部分を流動するタンブル流の上流側で混合気に点火し、当該タンブル流に火炎を乗せることができるので、燃焼速度をさらに速くすることが可能である。
上記の燃焼室構造では、シリンダ軸に沿った断面視におけるキャビティ80の中心点C3は、シリンダ中心線C1よりも吸気ポート6が配設される吸気側にオフセットした位置に配置されている。この構成では、排気側で発生した火炎は、タンブル流によって吸気側へ向かい易くなるので、燃焼速度をさらに速くすることが可能である。
上記の燃焼室構造では、燃焼室5に燃料を噴射するインジェクタ11(燃料噴射部)が、燃焼室5の吸気側に配設されている。この構成では、インジェクタ11から噴霧された燃料を、燃焼室5内で循環するタンブル流に乗せ易くなり、均質な混合気を燃焼室5内に形成させることができる。
上記の燃焼室構造では、エンジン(エンジン本体1)は、直列に配置された6つのシリンダを備え、当該6つのシリンダの配列方向がエンジンの搭載される車両の前後方向に沿うよう配置される縦置きエンジンである。この構造では、直列6気筒の縦置きエンジンについて、燃焼速度を速くし、燃費性能を向上させることができる。
1 エンジン本体
11 吸気弁
12 排気弁
15 インジェクタ(燃料噴射部)
16 点火プラグ(点火部)
2 シリンダ
4 ピストン
40 冠面
5 燃焼室
5U 燃焼室天井面(ペントルーフ型の天井面)
6 吸気ポート
7 排気ポート
49 隆起部
80 キャビティ
AX シリンダ軸
D キャビティ深さ
Fs スワール流
Ft タンブル流
H 山高さ

Claims (6)

  1. ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容されるシリンダの内壁面と、シリンダヘッドに形成されたペントルーフ型の天井面とによって区画される燃焼室と、を備え、
    前記天井面には、前記燃焼室に吸気を供給する吸気ポートの開口と、前記燃焼室から排気を排出する排気ポートの開口とが形成され、
    前記冠面の中央領域には、キャビティが凹設され、
    前記冠面における前記キャビティの周辺には、前記シリンダヘッド側へ突出した隆起部が形成され、
    前記吸気ポートから前記燃焼室に供給される吸気を過給する過給機を有する、過給機付きエンジンの燃焼室構造であって、
    前記キャビティの深さであるキャビティ深さをD、前記隆起部の高さである山高さをHとしたときに、前記燃焼室の幾何学的圧縮比が11以上13以下の範囲において、
    0.3≦D/H≦1.9
    の関係を満たすことを特徴とする、エンジンの燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記キャビティ深さDと前記山高さHとの比であるD/Hは、
    0.75≦D/H≦1.71
    の関係を満たすことを特徴とする、エンジンの燃焼室構造。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記天井面に配置され、前記燃焼室内において火炎伝搬燃焼を実現させる点火部をさらに備え、
    前記点火部は、シリンダ軸に沿った断面視において、前記シリンダの中心線よりも前記排気ポートが配設される排気側にオフセットした位置に配置されている、エンジンの燃焼室構造。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    シリンダ軸に沿った断面視における前記キャビティの中心点は、前記シリンダの中心線よりも前記吸気ポートが配設される吸気側にオフセットした位置に配置されている、エンジンの燃焼室構造。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射部が、前記燃焼室の前記吸気側に配設されている、エンジンの燃焼室構造。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記エンジンは、直列に配置された6つのシリンダを備え、当該6つのシリンダの配列方向が前記エンジンの搭載される車両の前後方向に沿うよう配置される縦置きエンジンである、エンジンの燃焼室構造。
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