JP2022134211A - 耐熱部材および発電システム - Google Patents

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昭博 坂本
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Abstract

【課題】耐熱部材を高温環境下で長期間にわたり使用する。【解決手段】実施形態における耐熱部材は、耐熱基材の表面に遮熱コーティング層が形成され、前記遮熱コーティング層は、当該基材の表面に形成された結合層を介して形成されたセラミックス層を含む耐熱部材であって、前記セラミックス層の全体に対する球状気孔および層状気孔が含まれる割合である全気孔率に対する、前記セラミックス層の全体に対する前記層状気孔が含まれる割合である層状気孔率の百分率が50%未満である。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、耐熱部材および発電システムに関する。
タービンを構成するタービン部品(部材)、例えばガスタービンにおける高温の条件で使用される高温部品である、燃焼器を構成する部品の内、燃焼ガスにより高温に曝される燃焼器ライナ(combustor liner)、トランジションピース(transition piece)、タービンを構成する動静翼、またはシュラウドセグメント(shroud segment)などには、当該部品の金属性の基材を機械的および化学的に保護するために、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)が施される(例えば特許文献1参照)。
遮熱コーティング層は、通常は、金属性の基材よりも高い耐酸化性を有する金属により形成される結合層と、基材よりも熱伝導率(thermal conductivity)が低い、多孔質材料(porous medium)であるセラミックス(ceramics)材料によるセラミック層とで構成される。このため、遮熱コーティング層は、金属性の基材を高温ガスから保護し、また、基材が加熱されることによる機械的および化学的な劣化を抑制する機能を有する。
特開2012-172610号公報
小林義宏,他2名,"遮熱コーティングの組織と熱伝導率",熱物性,29[1] (2015) P.13-18.,2020年12月2日検索,インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjtp/29/1/29_13/_pdf/-char/ja>
近年、ガスタービンを構成する耐熱部材としての、高温で使用される部品は、長時間の運転寿命を求められるようになり、TBC層には、より遮熱性、すなわち熱抵抗が求められ、また、耐久性が求められる。
遮熱性は、セラミックス層の厚さである膜厚を増加させる事で高めることができるが、この膜厚を増加させることは、基材からの遮熱コーティング層の剥離を招く要因となる。
機器の起動停止に伴い、基材と遮熱コーティング層との熱膨張差により熱応力が発生し、この熱応力は、基材からの遮熱コーティング層剥離の原因の要因となる。
このため、遮熱コーティング層のセラミックス層を著しく厚くすることができず、通常は0.5~0.6mm(ミリメートル)程度の厚さで用いられる。
セラミックス層を厚くして、上記遮熱性を高める方法として、DVC-TBC(Dense Vertically Cracked Thermal Barrier Coating)と呼ばれる、上記剥離への耐久性を高めた遮熱コーティング層を適用する方法が知られる。
この遮熱コーティング層は、皮膜内に、皮膜厚さ方向の縦割れ亀裂が導入されており、この縦割れ亀裂が基材との間に生ずる熱応力を低減させることに寄与する。このため、遮熱コーティング層の膜厚を厚く施工した場合でも、上記剥離に係る耐久性を高めることができる。
しかしながら、DVC-TBCによるセラミックス層においては、通常のTBCによるセラミックス層と比較して、縦割れ亀裂が形成された部分以外の部分は、非常に緻密な組織が形成される。このため、上記皮膜内の全体に対する気孔(pores)の割合である気孔率(porosity)が低減し、この結果、セラミックス層の熱伝導率が上昇してしまうので、遮熱性の低下に繋がる。
このため、皮膜内に一定の気孔率による気孔を有する通常の遮熱コーティング層を厚膜化できれば、遮熱性をより向上させることができると考えられる。
ガスタービン、特に発電用のガスタービンにおいては、遮熱コーティング層は、溶射法と呼ばれる、溶融された粉末材料が基材に投射されて、基材の表面が被覆される方法によって形成される。
そのため、遮熱コーティング層内には、溶融した粒子が表面で堆積および凝固する過程で形成された気孔が含まれる。
遮熱コーティング層の断面組織内には、主に皮膜に対して平行方向に分布する層状の気孔と、皮膜に対して2次元的に分布する球状の気孔とが存在することが知られる(例えば非特許文献1を参照)。
上記層状の気孔は、皮膜に対して平行方向に分布しているため、基材との熱応力差によって遮熱コーティング層内に亀裂が発生した場合、層状気孔(lamellar pore)(例えば非特許文献1参照)を伝搬するように亀裂が進展するため、剥離に係る耐久性(耐剥離性と称することもある)に悪い影響が与えられる。
本発明が解決しようとする課題は、高温環境下で長期間にわたり使用することが可能な耐熱部材および発電プラントを提供することである。
実施形態における耐熱部材は、耐熱基材の表面に遮熱コーティング層が形成され、前記遮熱コーティング層は、当該基材の表面に形成された結合層を介して形成されたセラミックス層を含む耐熱部材であって、前記セラミックス層の全体に対する球状気孔および層状気孔が含まれる割合である全気孔率に対する、前記セラミックス層の全体に対する前記層状気孔が含まれる割合である層状気孔率の百分率が50%未満である。
本発明によれば、耐熱部材を高温環境下で長期間にわたり使用することができる。
第1の実施形態に係る耐熱部材の断面の一例を示す模式図。 第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例1における断面組織の一例を示す図。 第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例2における断面組織の一例を示す図。 一般的なTBC層内のセラミックス層の断面組織の一例を示す図。 第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例1における層状気孔の抽出結果の一例を示す図。 第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例2における層状気孔の抽出結果の一例を示す図。 一般的なTBC層内のセラミックス層の層状気孔の抽出結果の一例を示す図。 気孔割合の評価結果の一例を表形式で示す図、 熱サイクル試験(thermal cycling test)による耐熱サイクル剥離性の評価結果の一例を表形式で示す図。
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る耐熱部材の断面の一例を示す模式図である。
図1では、金属性の基材(耐熱基材)1の表面に、結合層2を介してセラミックス層3が形成され、これらの結合層2およびセラミックス層3によりTBC層4が構成されてなる耐熱部材が示される。
基材1は、タービン運転時の高温下に耐えうる、Ni基超合金またはCo基超合金などが一般的である。
結合層2は、セラミックス層3と基材1との密着性を向上させるために形成され、さらに、基材1の表面の高温腐食性および酸化性を改善するために形成される。
結合層2は、クロムまたはアルミニウムの濃度が比較的高い金属材料から成るものが好ましい。結合層2は、特に高温での耐食性および耐酸化性に優れるMCrAlY合金から成るものが用いられる。MCrAlY合金のMは、Ni、CoおよびFeなどの遷移金属から選ばれる少なくとも一方である。
結合層2の厚みは、燃焼ガスの温度、運転時に想定される基材1の温度、およびセラミックス層3の厚さによって変わるが、通常の厚さは0.1~0.3mm程度の厚さで十分であり、最大でも0.5mm程度の厚さである。
本実施形態での、セラミックス層3は、皮膜内に一定の気孔率による気孔を有し、また、気孔中の層状気孔の割合が一般的なセラミックス層と比較して低減されている層である。
図2および図3は、第1の実施形態に係るセラミックス層の断面組織の一例を示す図である。詳しくは、図2は、第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例1における断面組織の一例を示す図である。図3は、第1の実施形態に係るセラミックス層の実施例2における断面組織の一例を示す図である。これらの実施例1および実施例2は、本実施形態に係るTBCが基材1に施されたときの例である。
図4は、一般的なTBC層におけるセラミックス層の断面組織の一例を示す図である。ここでは、図4に示されるセラミックス層は、図2および3に示される各実施例の比較例であり、従来より用いられるセラミックス層の例である。図2乃至4は、電子顕微鏡により観察した画像より、組織中の気孔(pore)の部分を画像処理により抽出した図である。
セラミックス層内には、膜厚方向と垂直の方向に広がる、細長い形状の層状気孔が形成されているが、本実施形態に係るTBC層4のセラミックス層3に対応する、図2および図3に示される各実施例は、気孔中の層状気孔の割合が、図4に示される比較例と比較して低い。また、図2に示される実施例1は、気孔中の層状気孔の割合が、図3に示される実施例2と比較してさらに低い。
図5および図6は、第1の実施形態に係るセラミックス層における層状気孔の抽出結果の一例を示す図である。図7は、一般的なTBC層内のセラミックス層における層状気孔の抽出結果の一例を示す図である。
本実施形態に係るTBC層4のセラミックス層3を構成する、図2に示された実施例1における断面組織から層状気孔が抽出された結果が図5に示される。また、図3に示された実施例2における断面組織から層状気孔が抽出された結果が図6に示される。
また、図4に示された比較例のTBC層のセラミックス層の断面組織から同様に層状気孔が抽出された結果が図7に示される。
層状気孔は、画像処理によって評価される。具体的には、セラミックス層の断面組織の写真が2値化されて気孔全体が評価されたのち、層状気孔は、例えば非特許文献1に開示されるように、気孔の面積と気孔の円形度(circularity)とによって抽出される。
気孔の円形度とは、気孔の面積(A)と、気孔の周囲の長さ(L)とが用いられて算出される値であり、以下の式(1)により与えられる。この円形度は0から1の間の数値で表される。円形度が1の場合は真円を意味し、円形度が0に近づくほど線状の形をなすことを意味する。
円形度=4π×A/L …式(1)
本実施形態では、層状気孔が判別可能である、気孔の面積率および円形度を検討し、それぞれの適当な値によって断面組織の写真を画像処理し、セラミックス層における層状気孔の割合を評価した。
図8は、気孔割合の評価結果の一例を表形式で示す図である。
図8に示された評価結果は、(1)セラミックス層の断面組織の写真から評価された、全気孔率(total porosity)、すなわち球状気孔率(globular porosity)と層状気孔率(lamellar porosity)との和、(2)気孔全体から層状気孔部分が抽出されることで評価された層状気孔率、および(3)全気孔率に対する層状気孔率の百分率(層状気孔の割合と称されることがある)、の評価結果が、上記の実施例1、実施例2、および比較例の各々について示される。
上記の全気孔率は、セラミックス層の3の全体に対する、球状気孔(globular pore)および層状気孔が含まれる割合である。上記の球状気孔率は、セラミックス層3の全体に対する球状気孔が含まれる割合である。上記の層状気孔率は、セラミックス層3の全体に対する層状気孔が含まれる割合である。上記の層状気孔とともに、球状気孔、球状気孔率、層状気孔率、および全気孔率については、例えば上記の非特許文献1にも開示される。
図8で示される実施例1は、図2および図5に示される例に対応し、実施例2は、図3および図6に示される例に対応する。いずれの例も、本実施形態に係るTBCが基材1に施されたときの例である。
図8に示されるように、従来から用いられてきた、図4および図7に示される比較例のTBCでは、全気孔率に対する層状気孔率の割合を50%以上としたのに対して、実施例1および実施例2に係るTBC層では、全気孔率に対する層状気孔率の割合を、50%未満である25~45%程度とし、つまり比較例に対して層状気孔率を減少させた実施例を挙げた。
層状気孔は、皮膜と平行する方向に分布するため、本実施形態のように層状気孔の割合を減少させることで、セラミックス層内に亀裂が進展することを抑制し、剥離耐久性に優れたTBC層が作成され得る。
本実施形態では、セラミックス層3の層状気孔の割合を、一般的なセラミックス層と比較して減少させることで、TBC層の剥離耐久性を向上させる事ができる。
セラミックス層3中の層状気孔の割合は、セラミックス層3の形成に係る溶射条件によって調整することができる。
融点が比較的高い材料により形成されるセラミックス層は、プラズマ溶射(plasma spraying)、例えば低圧プラズマ溶射法(LPPS:Low Pressure Plasrna Spraying)、大気プラズマ溶射法(APS:Atmospheric Plasma Spraying)、または高速フレーム溶射(HVOF:High Velocity Oxygen Fuel)によって形成される。
プラズマ溶射では、プラズマが形成されるための、ArもしくはHなどの作動ガスの流量、ならびにプラズマが形成されるための投入電力によって、プラズマの温度および移動速度を調整することができる。これにより、基材1に投射される粉末材料の溶融状態および移動速度を調整し、基材1上で凝固および堆積する粒子間に形成される層状気孔の割合を調整することができる。
作動ガス中のHの量および投入電力を増加させると、プラズマの温度が上昇するため、粉末材料が溶融し、層状気孔の量が減少する。
このプラズマの温度が上昇し過ぎると、皮膜内に亀裂が発生する。このため、作動ガス中のArを増加させることで、プラズマの温度を低下させ、粉末材料の溶融状態を適正な状態とすることで、所望の組織形態を有するTBC層が形成され得る。
また、TBC層を溶射により施工する際は、溶射ガン(flame coating gun)を施工対象物上で走査して、TBC層の厚さが一定になるまで材料が塗り重ねられていくが、溶射ガンと施工対象物との間の距離、および溶射ガンの走査速度によって、皮膜の組織が調整され得る。
一方で、溶射ガンと施工対象物との間の距離を短くすると、粉末材料の溶融が、より進んだ状態で粉末材料が投射され得るので、層状気孔の割合を減少させることができる。
また、溶射ガンの走査速度を低下させると、溶射ガンから噴出される高温のジェット(プラズマジェット(plasma jet))による加熱によって、施工対象物の表面の温度が上昇し、投射された皮膜が凝固するまでに要する時間が変化するため、層状気孔の割合を変化させることができる。
次に、上述の様に層状気孔の割合を変化させたTBC層の剥離耐久性の評価結果の例について説明する。
ここでは、ジルコニア(zirconia)(二酸化ジルコニウム(Zirconium Oxide))(化学式:ZrO2)溶射粉末を用いて、大気圧プラズマ溶射によってTBC層の試験片を作製した。ここで使用したジルコニア溶射粉末は、10μmから180μm程度までの粒子径を含む粉末であり、10μmから30μmmまでの粒子が、粒子全体の14%、10μmから60μmまでの粒子が、粒子全体の65%含まれる粒度分布(particle size distribution)である。
また、プラズマ溶射時の作動ガス、投入電力、および施工時の溶射ガンの走査速度などが検討された条件であって、図2に実施例1として示されて、図3に実施例2として示されるような、層状気孔の割合の異なる、各種のセラミックス層を形成するための条件(1)~(5)を以下に示す。
(条件)
(1)直径25mmのNi基超合金の基材上に、結合層として、厚さ0.2~0.3mmの範囲でNiCoCrAlY製の溶射皮膜を施工した後に、実施例1に係るセラミックス層の厚さを1.0mmとし、実施例2に係るセラミックス層の厚さを1.5mmとした、各種セラミックス層を施工することでTBC試験片を作製する。
(2) セラミックス層が施工された後、熱処理等の後処理は行わず、作製されたTBC試験片の耐熱サイクル剥離性(剥離耐久性と称されることもある)を熱サイクル試験によって評価する。
(3) 熱サイクル試験とは、電気炉中でTBC試験片に熱負荷として加熱および冷却のサイクルを与え、基材からのTBC試験片の剥離が発生するまでのサイクルの回数(剥離発生熱サイクル数とも称される)を評価する試験である。
(4) 熱サイクル試験における試験温度の範囲は、上限1100℃および下限150℃として、最大350回の熱サイクル試験を行なった。
(5) 比較例として、図4に示された従来のTBC試験片を作製し、上記各実施例同様に、このTBC試験片の耐熱サイクル剥離性を熱サイクル試験によって評価する。
比較例として作製されたTBC試験片のセラミックス層には、粒子径の分布が45μm~147μmである粉末が使用され、このセラミックス層の厚さは0.6mm及び1.0mmとした。
比較例における結合層は、実施例1および実施例2と同様に、直径25mmのNi基の超合金基材上に厚さ0.2~0.3mmの範囲でNiCoCrAlY製の溶射皮膜が施工されることで形成される。
図9は、熱サイクル試験による耐熱サイクル剥離性評価結果の一例を表形式で示す図である。
図9に示されるように、比較例においては、セラミックス層の膜厚が薄い場合、ここでは0.6mmである場合は、300回程度の熱サイクル試験によりTBC試験片の剥離が確認される。また、この比較例では、セラミックス層の膜厚が厚い場合、ここでは1.0mmである場合では、上記の300回より少ない180回程度の熱サイクル試験によりTBC試験片の剥離が確認された。
一方で、図9に示されるように、実施例1および実施例2においては、セラミックス層が厚い場合、ここでは1.0mmである場合で、350回の熱サイクル試験を行なってもTBC試験片の剥離は確認されない。また、この実施例1および実施例2においては、セラミックス層の厚さを著しく厚くした場合、ここでは1.5mmである場合でも,従来型のTBC試験片と同等の、300回程度の剥離耐久性を有していることが確認された。
上記の試験結果により、セラミックス層の皮膜中の層状気孔を低減させることで、TBC層の剥離耐久性を向上させることができることが認められる。
次に、本実施形態における各種の効果について説明する。
本実施形態に係るセラミックス層の全気孔率を10%以上にすることで、厚い膜厚により施工されたTBC層の遮熱性を高めることができる。
一方で、全気孔率が上記10%より低い場合、セラミックス層の弾性率が上昇し、昇温時に基材との間で働く熱応力が増加するため、厚い膜厚でセラミックス層を施工することが困難になる。
セラミックス層の皮膜の全気孔率は、前述した、作動ガス、投入電力、溶射ガンの走査速度などの条件に加え、溶射粉末の粒径によって変化させることができる。
粒径が比較的大きい粒子を含む溶射粉末を使用することで、セラミックス層の皮膜の全気孔率を高めることができる。
本実施形態に係るセラミックス層の膜厚を1mm以上とすることで、基材の温度を低減し、部品の耐久性を高めるのに有効な遮熱性を得ることができる。
セラミックス層の膜厚が厚い場合、加熱によるTBC層の剥離が起こり易くなるが、上記実施例のように、層状気孔の割合を低減させることで、剥離耐久性の低下を抑えることができる。
また、セラミックス層3は、皮膜内の気孔が多い多孔質材料であるため、タービンの部品として適用されたときの、タービンの作動流体によるエロージョン(erosion)による損耗が懸念される。
本実施形態では、セラミックス層3の最表面、すなわちTBC層4における、結合層2と反対側に位置する表面の近傍を改質して、元のセラミックス層3と比較して気孔が少ない緻密な組織を有して、かつ皮膜内に縦割れ亀裂を有するセラミックス層を形成するためのTBCであるDVC-TBCが施工されてもよい。これにより、上記のエロージョンを抑制することができる。
上記のように、本実施形態に係るセラミックス層3は、セラミックスの中でも熱伝導率が比較的低い、ジルコニアによって形成されてもよい。これにより、遮熱性が比較的高いTBC層が作製され得る。
上記ジルコニアは、1000℃付近で、単斜晶から正方晶に、大幅な体積変化を伴う相変態(phase transformation)が発生する。相変態は相転移(phase transition)とも称される。そこで、本実施形態では、上記の相変態を抑制するために、タービンなどの高温部品のセラミックス層として用いられるジルコニアには別種の酸化物が安定化剤として添加され得る。このように安定化剤が添加されたジルコニアは、安定化ジルコニア(stabilized zirconia)または部分安定化ジルコニア(partially stabilized zirconia)と呼ばれる。
ジルコニアの安定化剤としては、例えば、カルシア(calcia)(酸化カルシウム(calcium oxide))(化学式:CaO)およびマグネシア(magnesia)(酸化マグネシウム(magnesium oxide))(化学式:MgO)などが知られるが、本実施形態では、好ましくは、例えばイットリア(yttria)(酸化イットリウム(yttrium oxide))(化学式:Y2O3)などが例えば5~10パーセント程度の安定化剤として用いられ得る。イットリアが安定化剤として用いられたジルコニアは、特にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)と称される。つまり、セラミックス層は、好ましくは、イットリアが安定化剤として含有される二酸化ジルコニウムにより構成されてもよい。イットリア安定化ジルコニアは、例えば上記のカルシアが安定化剤として用いられた安定化ジルコニアと比較して、高温長時間での安定性が高く、すなわち脱安定化性が低い。
これにより、当該安定化剤がジルコニア中から脱離する現象である脱安定化を抑制し、セラミックス層の皮膜の耐久性を向上させることができる。
また、ハフニア(hafnia)(酸化ハフニウム(hafnium oxide))(化学式:HfO2)、セリア(ceria)(酸化セリウム(cerium oxide))(化学式:CeO2)、またはジスプロシア(dysprosia)(酸化ジスプロシウム(dysprosium oxide))(化学式:Dy2O3)などの、希土類元素の酸化物が上記のジルコニアに配合された材料がセラミックス層に用いられてもよい。
つまり、セラミックス層は、希土類元素を含むジルコニアにより構成されてもよい。これにより、本実施形態に係るセラミックス層の熱伝導率を、より低減させることができる。
また、多孔質材料であるセラミックス層は、加熱により焼結(sintering)が進行し、全気孔率の減少および機械的特性の低下を招く恐れがある。そこで、本実施形態では、結合層と反対側の表面の近傍のセラミックス層3を構成する主要成分(主要材料)に対して融点が低く、かつ不純物として含まれるシリカ(silica)(二酸化ケイ素(silicon dioxide))(化学式:SiO2)またはアルミナ(alumina)(酸化アルミニウム(aluminium oxide))(化学式:Al2O3)などを低減させた、または除去した材料で当該セラミックス層3が構成されてもよい。
これにより、難焼結性(nonsinterable)を有し、高温環境下での長期間にわたる使用においても安定した物性が保たれるTBC層4が作製され得る。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態で説明したTBC層は、ガスタービンなどの高温部品、具体的には、燃焼器ライナ、トランジションピース、動静翼、シュラウドセグメントなどの、発電プラントの運転中に高温ガスに曝される部品の表面に施工されてもよい。すなわち、第1の実施形態で説明したTBC層がガスタービンを構成する部材の表面に形成されてなるタービン部材を備える発電システムが構成されてもよい。
これらの部品は、発電プラントの運転寿命を延伸させる目的で、より長期間にわたって使用される傾向にあり、基材の温度を、より低減可能である、熱抵抗が比較的高いTBC層の施工が求められている。
本実施形態における、層状気孔を低減したセラミックス層を有するTBC層は、膜厚を厚くして施工することが可能であり、従来よりも熱抵抗が高く、信頼性も高いため、タービン部品の寿命を延伸することが可能である。
以上説明したように、各実施形態では、TBC層内のセラミックス層内の層状気孔を低減させ、かつ当該セラミックス層内の球状気孔の割合を増やすことで、高温環境下におけるセラミックス層内の亀裂の進展を抑制し、剥離耐久性に優れたTBC層が形成されてなる耐熱部材を作製できる。
また、実施形態によれば、TBC層の遮熱性と剥離耐久性を向上させることができ、一定の気孔率を有するTBC層を厚膜化した、遮熱性に優れたTBC層をガスタービンまたはCOタービンの部材に形成することが可能になる。よって、これらのタービンを構成する高温部材の機械的劣化および化学的劣化を抑制し、機器の信頼性および使用寿命を著しく向上させることができる。
なお、上記実施形態では、遮熱コーティング層がタービン部品に適用される例を説明したが、高温環境下で長期間にわたって使用される、その他の種別の耐熱部材に適用されてもよい。また、耐熱部材の基材はセラミックス材料により構成されてもよい。また、上記実施形態における遮熱コーティング層は、蒸気タービンを構成する部材の表面に形成されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…基材、2…結合層、3…セラミックス層、4…TBC層。

Claims (8)

  1. 耐熱基材の表面に遮熱コーティング層が形成され、前記遮熱コーティング層は、当該基材の表面に形成された結合層を介して形成されたセラミックス層を含む耐熱部材であって、
    前記セラミックス層の全体に対する球状気孔および層状気孔が含まれる割合である全気孔率に対する、前記セラミックス層の全体に対する前記層状気孔が含まれる割合である層状気孔率の百分率が50%未満である
    耐熱部材。
  2. 前記セラミックス層の前記全気孔率が10%以上である
    請求項1に記載の耐熱部材。
  3. 前記セラミックス層の膜厚が1ミリメートル以上である
    請求項1または請求項2に記載の耐熱部材。
  4. 前記セラミックス層には、
    前記遮熱コーティング層における、前記結合層と反対側に位置する表面に、前記形成されたセラミックス層より気孔が少なく、縦割れ亀裂を有するセラミックス層が形成される
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐熱部材。
  5. 前記セラミックス層は、
    イットリアを安定化剤として含有する二酸化ジルコニウムにより構成される
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐熱部材。
  6. 前記セラミックス層は、希土類元素を含むジルコニアにより構成される
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の耐熱部材。
  7. 前記セラミックス層は、
    前記遮熱コーティング層における、前記結合層と反対側の表面の近傍に形成され、当該セラミックス層を構成する主要材料と比較して融点が低い不純物が除去されてなる
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の耐熱部材。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の前記耐熱部材の前記遮熱コーティング層が、ガスタービンまたは蒸気タービンを構成する部材の表面に形成されてなるタービン部材を備える
    発電システム。
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