以下、本発明の実施形態における生体情報演算システムの一例について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態:生体情報演算システム100)
図1は、第1実施形態における生体情報演算システム100の一例を示す模式図である。
生体情報演算システム100は、ユーザの血糖値を算出するために用いられる。特に、生体情報演算システム100は、算出した複数の血糖値に基づき、ユーザの血糖値の変化を評価することができる。
ユーザの血糖値の変化は、例えば血糖スパイク情報により示すことができる。血糖スパイク情報は、例えば複数の血糖値に対する平均値、値の幅(例えば最大値と最小値との差で示す血糖スパイクの強度)、中央値等を示す。
上記のほか、血糖スパイク情報は、例えば複数の血糖値における時系列変化から得られる値を示し、例えば微分を用いて導出された時間変化の特徴や、積分を用いて導出されたピーク形状の特徴を示す。なお、「血糖スパイク」とは、血糖値の変化を示す公知の定義を含む。
生体情報演算システム100では、上述血糖スパイク情報を含む評価結果を生成することができる。評価結果は、血糖スパイク情報の示す数値や特徴を含むほか、例えば血糖スパイク情報に基づき評価された健康状態等を含んでもよい。
生体情報演算システム100は、例えば図1に示すように、生体情報演算装置1を備え、例えばセンサ5及びサーバ4の少なくとも何れかを備えてもよい。生体情報演算装置1は、例えば通信網3を介してセンサ5やサーバ4と接続される。
生体情報演算システム100は、ユーザの脈波に基づく評価データから、血糖値を算出する。また、生体情報演算システム100は、例えば時系列や任意のタイミングで生成された複数の血糖値に基づき、血糖スパイク情報を含む評価結果を生成する。
生体情報演算システム100では、例えば図2(a)に示すように、生体情報演算装置1が、センサ5等により生成されたセンサデータを取得する。その後、生体情報演算装置1は、取得したセンサデータに対し、フィルタ処理等の前処理を実施し、評価データを取得する。
生体情報演算装置1は、評価データに対する血糖値を算出する。その後、生体情報演算装置1は、それぞれ異なる評価データから生成された複数の血糖値に基づき、評価結果を生成する。このため、ユーザの個人差に関わらず、血糖値の変化に対する評価結果を得ることができる。これにより、血糖値の変化に関する定量的な評価を実現することが可能となる。
ここで、生体情報演算装置1は、評価データに対する血糖値を算出する際、データベースを参照する。データベースには、複数の学習用データを用いて生成された分類情報が記憶される。
分類情報は、例えば図3(a)に示すように、過去に取得された学習用脈波に基づく入力データ、及び入力データに紐づく過去の血糖値を含む参照データの一対を学習用データとして、複数の学習用データを用いて生成される。このため、血糖値を算出する際、過去に実績のある入力データ及び出力データを踏まえた定量的な血糖値を算出することができる。これにより、血糖値を算出する際の精度向上を図ることが可能となる。
生体情報演算装置1は、例えば生成した評価結果をディスプレイ等に出力する。評価結果には、ユーザの血糖値の変化を示す血糖スパイク情報が含まれ、例えば数値で示された血糖スパイク情報が含まれる。評価結果には、例えば糖尿病の可能性を示す指標や、推奨される食事に関する情報や、運動に関する情報が含まれてもよい。
なお、生体情報演算システム100では、例えば図2(b)に示すように、センサ5等から評価データを取得してもよい。この場合、センサデータから評価データを取得する前処理は、センサ5等により実施される。
<センサデータ>
センサデータは、ユーザの脈波の特徴を示すデータを含み、例えば脈波以外の特徴を示すデータ(ノイズ)を含んでもよい。センサデータは、測定時間に対する振幅を示すデータであり、用途やセンサデータの生成条件に応じたフィルタ処理を実施することで、センサデータから加速度脈波や速度脈波等に相当するデータを取得することができる。
センサデータは、ひずみセンサ、ジャイロセンサ、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ等の公知のセンサにより生成することができる。センサデータは、デジタル信号のほか、例えばアナログ信号でもよい。なお、センサデータを生成する際の測定時間は、例えば脈波の1~20周期分の測定時間であり、センサデータの処理方法や、データ通信方法等の条件に応じて、任意に設定することができる。
<評価データ>
評価データは、血糖値を算出するためのデータを示す。評価データは、例えばユーザの脈波に基づく加速度脈波に相当するデータを示し、特定の周期(例えば1周期)に対する振幅を示す。
評価データは、センサデータを生体情報演算装置1等によって処理(前処理)を実施することで取得される。例えば図3(b)及び図3(c)に示すように、センサデータに対して複数の処理を実施することで、評価データを得ることができる。各処理の詳細については、後述する。
<データベース>
データベースは、主に、評価データに対するユーザの血糖値を算出する際に用いられる。データベースには、1つ以上の分類情報が記憶されるほか、例えば分類情報の生成に用いられた複数の学習用データが記憶されてもよい。
分類情報は、例えば予め取得された過去の評価データ(入力データ)と、血糖値を含む参照データとの相間関係を示す関数である。分類情報は、例えば入力データを説明変数とし、参照データを目的変数として、回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。分類情報は、例えば検量モデルを定期的に更新することができるほか、ユーザの性別、年齢、運動内容等の属性情報毎に生成された複数の検量モデルを含んでもよい。
分類情報を生成する際に用いる回帰分析の方法として、例えばPLS(Partial Least Squares)回帰分析、クラス毎に主成分分析を行って主成分モデルを得るSIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)法を利用した回帰分析等を用いることができる。
分類情報は、例えば複数の学習用データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデルを含んでもよい。学習済みモデルは、例えばCNN(Convolutional Neural Network)等のニューラルネットワークモデルを示すほか、SVM(Support vector machine)等を示す。また、機械学習として、例えば深層学習を用いることができる。
入力データは、評価データと同種のデータが用いられ、例えば対応する血糖値が明確となっている過去の評価データを示す。例えば、被検者にセンサ5等を装着させ、学習用脈波の特徴を示すセンサデータ(学習用センサデータ)を生成する。そして、学習用センサデータに対して処理を実施することで、入力データを取得することができる。なお、入力データは、生体情報演算システム100のユーザから取得するほか、例えばユーザとは別のユーザから取得してもよい。即ち、上述した被検者は、生体情報演算システム100のユーザであるほか、ユーザ以外を対象としてもよく、特定又は不特定の多数でもよい。
入力データは、例えば評価データを取得する際に利用するセンサ5等の種類、センサデータの生成条件、及びセンサデータに対する処理条件と同様の内容によって取得されることが好ましい。例えば上記3つの内容を統一することで、血糖値を算出する際の精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
参照データは、計測装置等を用いて計測された、被検者の血糖値を含む。例えば被検者にセンサ5等を装着させて学習用センサデータを生成する際、被検者の血糖値を計測することで、入力データに紐づく参照データを取得することができる。この場合、血糖値を計測するタイミングは、学習用センサデータを生成するタイミングと同時が好ましいが、例えば1~10分程度前後するタイミングでもよい。なお、血糖値を計測する計測装置として、例えばフリースタイルプレジョンプロ(アボットジャパン株式会社製)等の公知の血糖値計が用いられる。
<評価結果>
評価結果は、ユーザの血糖値の変化を示す血糖スパイク情報を含む。評価結果は、例えば複数の血糖値を含むほか、複数の血糖値における差分値や、複数の血糖値と、予め設定された閾値との乖離度を含んでもよい。評価結果を出力することで、ユーザの血糖値の変化を把握することができる。
<生体情報演算装置1>
生体情報演算装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等の電子機器を示し、例えばユーザの操作に基づいて、通信網3を介して通信可能な電子機器を示す。なお、生体情報演算装置1は、センサ5を内蔵してもよい。以下、生体情報演算装置1として、PCが用いられる場合の一例を説明する。
図4(a)は、生体情報演算装置1の構成の一例を示す模式図であり、図4(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。
生体情報演算装置1は、例えば図4(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
CPU101は、生体情報演算装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、データベースや評価データ等の各種情報が記憶される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば生体情報演算装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
I/F105は、通信網3を介して、必要に応じてサーバ4やセンサ5等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、生体情報演算装置1のユーザ等は、入力部108を介して、各種情報、又は生体情報演算装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又は評価結果等を表示する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式の場合、入力部108と一体に設けられる。
図4(b)は、生体情報演算装置1の機能の一例を示す模式図である。生体情報演算装置1は、取得部11と、算出部12と、評価部13と、出力部14と、記憶部15とを備え、例えば学習部16を備えてもよい。なお、図4(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
<取得部11>
取得部11は、ユーザの脈波に基づく評価データを取得する。取得部11は、例えばセンサ5等からセンサデータを取得したあと、センサデータに対して処理を実施することで、評価データを取得する。
取得部11は、例えば図3(b)に示すように、取得したセンサデータに対し、フィルタリング処理(フィルタ処理)を実施する。フィルタ処理では、例えば0.5~5.0Hzのバンドパスフィルタが用いられる。これにより、取得部11は、ユーザの脈波に相当するデータ(脈波データ)を抽出する。脈波データは、例えば速度脈波に相当するデータを示す。なお、脈波データは、例えば加速度脈波又は容積脈波に相当するデータを示してもよく、センサの種類や用途に応じて任意に設定できる。また、バンドパスフィルタのフィルタ範囲は、用途に応じて任意に設定することができる。
取得部11は、例えば脈波データに対し、微分処理を実施する。例えば速度脈波に相当する脈波データに対して微分処理が実施される場合、取得部11は、加速度脈波に相当するデータ(微分データ)を取得する。なお、微分処理では、1回微分のほか2回微分が実施されてもよい。
取得部11は、例えば微分データに対し、分割処理を実施する。分割処理では、例えば複数周期の加速度脈波に相当する微分データが、1周期毎の加速度脈波に相当するデータ(分割データ)に分割される。このため、取得部11は、例えば1つの微分データに対して微分処理を実施することで、複数の分割データを取得することができる。なお、分割処理では、用途に応じて任意の周期(例えば周期の正数倍)毎に、微分データを分割することができる。
例えば分割処理において、分割した各分割データにおけるデータ量が、それぞれ異なる場合がある。この場合、取得部11は、最も少ないデータ量の分割データを特定し、他の分割データに対して、データ量の削減(トリミング)を実施してもよい。これにより、各分割データにおけるデータ量を統一することができ、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
上記のほか、例えば分割データの時間軸に対応する値を対象に規格化処理を実施してもよい。規格化処理では、例えば時間軸に対応する値の最小値を0とし、最大値を1とした規格化が実施される。これにより、各分割データにおけるデータの対比が容易になる。
取得部11は、例えばデータ量の削減、又は規格化を実施した複数の分割データにおける平均を算出し、分割データとしてもよい。
取得部11は、分割データに対し、規格化処理を実施する。規格化処理では、振幅に対応する値を対象に、規格化されたデータ(規格化データ)が生成される。規格化処理では、例えば振幅の最低値を0とし、振幅の最高値を1とした規格化が実施される。取得部11は、例えば規格化データを評価データとして取得する。この場合、評価データとして、ユーザの加速度脈波に相当するデータが得られる。
取得部11は、上述した各処理を順次実施するほか、例えば図3(c)に示すように、微分処理を実施しなくてもよい。この場合、評価データとして、ユーザの速度脈波に相当するデータが得られる。
また、取得部11は、例えば上述した各処理の一部のみを実施してもよい。この場合、取得部11は、脈波データ、微分データ、分割データ、トリミングされた分割データ、及び時間軸に対応する値を規格化した分割データの何れかを、評価データとして取得してもよく、用途に応じて任意に設定できる。
<算出部12>
算出部12は、データベースを参照し、評価データに対するユーザの血糖値を算出する。算出部12は、例えばデータベースに記憶された分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。算出部12は、それぞれ異なる評価データに対する血糖値を、複数生成する。
算出部12により算出された血糖値は、参照データと同種のデータとして算出される。血糖値は、分類情報を参照し、参照データと同一又は類似のデータとして算出される。生体情報演算システム100では、例えば任意の時系列に沿って複数の評価データを取得し、各評価データに対する血糖値を複数算出する。また、生体情報演算システム100では、例えば食事の前後や、運動量の変化時等の任意のタイミング毎に、複数の評価データを取得し、各評価データに対する血糖値を複数算出してもよい。
<評価部13>
評価部13は、それぞれ異なる評価データから算出された複数の血糖値に基づき、ユーザの血糖値の変化を示す血糖スパイク情報を含む評価結果を生成する。評価部13は、例えば保存部104等に予め記憶された表示用のフォーマットを用いて、血糖スパイク情報についてユーザが理解できる形式に変換した評価結果を生成する。
評価部13は、例えば複数の血糖値のうち、最小値と最大値との差を、血糖スパイク情報として算出してもよい。この場合、血糖値の変化量を評価対象として用いることができる。これにより、例えば糖尿病予備軍の特徴と、糖尿病患者の特徴とを容易に分類することが可能となる。
評価部13は、例えば2つの血糖値の差を、測定時間の差で割った値を、血糖スパイク情報として算出し、血糖スパイク情報を含む評価結果を生成する。この場合、ユーザ毎に異なる血糖値の変化を容易に把握することができる。例えば評価部13は、予め保存部104等に記憶された基準値を参照し、血糖スパイク情報が基準値よりも小さい場合、健康状態である旨を示す評価結果を生成し、血糖スパイク情報が基準値以上の場合、糖尿病の可能性がある状態である旨を示す評価結果を生成してもよい。
評価部13は、例えば評価用データベースを参照して、複数の血糖値から評価結果を生成してもよい。評価用データベースは、例えば保存部104に保存される。
評価用データベースには、例えば上述したデータベースと同様に、複数の血糖値に対する評価結果を生成するための評価用分類情報が記憶されてもよい。評価用データベースには、1つ以上の評価用分類情報が記憶されるほか、例えば評価用分類情報の生成に用いられた複数の評価用学習データが記憶されてもよい。
評価用分類情報は、例えば予め取得された過去の複数の血糖値(評価用入力データ)と、評価用入力データに紐づく評価用参照データとの相関関係を示す関数である。評価用参照データは、ユーザの血糖値における変化の傾向を示し、例えば過去に生成された血糖スパイク情報を示す。評価用分類情報は、評価用入力データと、評価用参照データとを一対の評価用学習データとして、複数の評価用学習データを用いて生成される。
評価用分類情報は、例えば評価用入力データを説明変数とし、評価用参照データを目的変数とし、上述した回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。評価用分類情報は、例えば検量モデル(評価用検量モデル)を定期的に更新することができるほか、ユーザの性別、年齢、運動内容等の属性情報毎に生成された複数の評価用検量モデルを含んでもよい。なお、評価用分類情報は、上述した分類情報と同様に、例えば複数の評価用学習データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデル(評価用学習済みモデル)を含んでもよい。
評価部13は、例えば複数の血糖値における時系列変化から血糖スパイク情報を算出し、評価結果を生成する。この際、時系列の区間や血糖値の数は、任意に設定することができる。このため、血糖スパイクの強度に加え、形状の特徴も考慮した評価結果を生成することができる。
評価部13は、例えば複数の血糖値と、評価データの取得時間とを紐づけたデータを、血糖スパイク情報として算出してもよい。この場合、評価結果として、血糖値のトレンドを示す情報を含ませることができる。
<出力部14>
出力部14は、評価結果を出力する。出力部14は、表示部109に評価結果を出力するほか、例えばセンサ5等に評価結果を出力してもよい。
<記憶部15>
記憶部15は、保存部104に保存されたデータベース等の各種データを、必要に応じて取出す。記憶部15は、各構成11~14、16により取得又は生成された各種データを、必要に応じて保存部104に保存する。
<学習部16>
学習部16は、例えば複数の学習用データを用いて、分類情報を生成する。学習部16は、例えば新たな学習用データを取得し、既存の分類情報を更新してもよい。
学習部16は、例えば複数の評価用学習データを用いて、評価用分類情報を生成する。学習部16は、例えば新たな評価用学習データを取得し、既存の評価用分類情報を更新してもよい。
なお、生体情報演算システム100において、分類情報及び評価用分類情報を用いる場合、例えば評価データの種類に応じて分類情報を更新し、評価分類情報を更新しなくてもよい。この場合、新たに評価用学習データを準備する必要が無いため、コスト削減、及び更新時間の大幅な削減を実現することが可能となる。
<通信網3>
通信網3は、生体情報演算装置1と、サーバ4と、センサ5とを通信回線を介して接続される公知のインターネット網等である。通信網3は、生体情報演算システム100を一定の狭いエリア内で運用する場合には、LAN(Local Area Network)等で構成されてもよい。また、通信網3は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、通信網3は、有線通信網に限定されるものではなく、無線通信網で実現されてもよく、用途に応じて任意に設定できる。
<サーバ4>
サーバ4は、通信網3を介して送られてきた情報が蓄積される。サーバ4は、生体情報演算装置1からの要求に基づき、通信網3を介して蓄積された情報を生体情報演算装置1へと送信する。
サーバ4は、例えば複数の生体情報演算装置1と接続され、各生体情報演算装置1から評価結果等の各種情報を取得し、一括して保存してもよい。なお、サーバ4は、上述した生体情報演算装置1の備える各機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。また、サーバ4は、上述した生体情報演算装置1に記憶されたデータベース等が記憶されてもよい。
<センサ5>
センサ5は、センサデータを生成する。センサ5は、例えば図5(a)に示すように、検出部6を備える。センサ5は、検出部6を介してユーザの脈波を検出可能な位置に装着され、例えばリストバンド55に固定される。
検出部6は、ユーザの脈波を検出可能な公知の検出装置が用いられる。検出部6として、例えばファイバブラッググレーティング(FBG)センサ等のひずみセンサ、ジャイロセンサ、脈波信号測定のための1つ以上の電極、光電容積脈波(PPG)センサ、圧力センサ、及び光検出モジュールの少なくとも何れかが用いられる。検出部6は、例えば複数配置されてもよい。
なお、センサ5は、衣服に埋め込まれてもよい。また、センサ5を装着するユーザは、人間のほか、犬や猫等のペットを対象としてもよく、例えば牛や豚等の家畜、魚等の養殖を対象としてもよい。
センサ5は、例えば図5(b)に示すように、取得部50と、通信I/F51と、メモリ52と、命令部53とを備え、各構成がそれぞれ内部バス54で接続される。
取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、例えば生成したセンサデータを、通信I/F51、又はメモリ52へと送信する。
通信I/F51は、通信網3を介して、センサデータ等の各種データを生体情報演算装置1やサーバ4に送信する。また、通信I/F51は、通信網3と接続するための回線制御回路や、生体情報演算装置1やサーバ4との間でデータ通信を行うための信号変換回路等が、実装されている。通信I/F51は、内部バス54からの各種命令に変換処理を施して、これを通信網3側へ送出するとともに、通信網3からのデータを受信した場合には、これに所定の変換処理を施して内部バス54へ送信する。
メモリ52は、取得部50から送信されたセンサデータ等の各種データを保存する。メモリ52は、例えば通信網3を介して接続される他の端末装置から命令を受けることにより、保存したセンサデータ等の各種データを、通信I/F51へ送信する。
命令部53は、センサデータを取得するための操作ボタンやキーボード等を含み、例えばCPU等のプロセッサを含む。命令部53は、センサデータの取得の命令を受け付けた場合に、これを取得部50に通知する。この通知を受けた取得部50は、センサデータを取得する。なお、命令部53は、例えば図3(b)及び図3(c)に示すように、センサデータから評価データを取得するための処理を実施してもよい。
ここで、センサデータを取得する一例として、FBGセンサを用いる場合を説明する。
FBGセンサは、1本の光ファイバ内に所定間隔をあけて回折格子構造を形成したである。FBGセンサは、例えばセンサ部分の長さが10mm、波長分解能が±0.1pm、波長範囲が1550±0.5nm、ファイバの直径が145μm、コア径10.5μmである特徴を持つ。FBGセンサを上述した検出部6として、ユーザの皮膚に接触させた状態で測定をすることができる。
例えば光ファイバに用いる光源として、波長範囲1525~1570nmのASE(Amplified Spontaneous Emission)光源が用いられる。光源からの出射光は、サーキュレータを介してFBGセンサに入射させる。FBGセンサからの反射光は、サーキュレータを介してマッハツェンダー干渉計に導き、マッハツェンダー干渉計からの出力光を、光検出器によって検知する。マッハツェンダー干渉計は、ビームスプリッタにより光路差のある2つの光路に分離し、再びビームスプリッタにより一つに重ね合わせて干渉光を作り出すためのものである。光路差をつけるため、例えば一方の光ファイバの長さを長くしてもよい。コヒーレント光は、光路差に応じて干渉縞が生じるため、干渉縞のパターンを測定することによって、FBGセンサに生じた歪の変化、すなわち脈波を検知することができる。取得部50は、検知された脈波に基づき、センサデータを生成する。これにより、センサデータが取得される。
なお、FBGセンサの歪み量を検出して、脈波の波形を検出する光ファイバセンサシステムは、FBGセンサに入射させる光源の他に、広い帯域のASE光源、サーキュレータ、マッハツェンダー干渉計、ビームスプリッタといった光学系や、光検出器が備える受光センサや、波長シフト量を解析する解析方法を含む。光ファイバセンサシステムは、使用するFBGセンサの特性に応じて光源や帯域光を選択して使用することができ、検波方法等の解析方法についても種々の方法を採用することができる。
(第1実施形態:生体情報演算システム100の動作)
次に、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例について説明する。図6は、本実施形態における生体情報演算システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
生体情報演算システム100は、例えば生体情報演算装置1内にインストールされた生体情報演算プログラムを介して実行する。即ち、ユーザは、生体情報演算装置1、又はセンサ5を操作し、生体情報演算装置1にインストールされている生体情報演算プログラムを通じて、センサデータからユーザの血糖値の変化等を示した評価結果を取得することができる。
生体情報演算システム100の動作は、取得ステップS110と、算出ステップS120と、評価ステップS130とを備え、例えば出力ステップS140を備えてもよい。
<取得ステップS110>
取得ステップS110は、ユーザの脈波に基づく評価データを取得する。例えばセンサ5の取得部50は、検出部6を介してユーザの脈波を測定し、センサデータを生成する。取得部50は、通信I/F51、及び通信網3を介して、センサデータを生体情報演算装置1へ送信する。生体情報演算装置1の取得部11は、センサ5からセンサデータを受信する。
取得部11は、例えば図3(b)に示した処理を、センサデータに対して実施し、評価データを取得する。取得部11は、例えば記憶部15を介して、取得した評価データを保存部104に保存する。なお、取得部11がセンサ5からセンサデータを取得する頻度等の条件は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば取得部11は、予め設定された周期で評価データを取得する。この場合、評価結果を生成する際の演算処理を簡素化できるため、処理速度の向上を図ることが可能となる。
<算出ステップS120>
次に、算出ステップS120は、データベースを参照し、評価データに対するユーザの血糖値を算出する。例えば算出部12は、分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。算出部12は、例えば記憶部15を介して、算出した血糖値を保存部104に保存する。なお、血糖値として、特定の値を示すほか、例えば誤差範囲(例えば「○○±5mg/dl」等)が算出されてもよい。
<評価ステップS130>
次に、評価ステップS130は、それぞれ異なる評価データから生成された複数の血糖値に基づき、血糖スパイク情報を含む評価結果を生成する。例えば評価部13は、算出部12により生成された複数の血糖値を取得する。評価部13は、予め設定された関数等を用いて、複数の血糖値から血糖スパイク情報を算出するほか、例えば上述した評価用データベースを参照して、評価結果を生成してもよい。
<出力ステップS140>
次に、例えば出力ステップS140は、評価結果を出力してもよい。例えば出力部14は、表示部109に評価結果を出力する。
これにより、生体情報演算システム100の動作が終了する。なお、各ステップを実施する頻度や順番は、用途に応じて任意に設定できる。
本実施形態によれば、算出部12は、評価データに対するユーザの血糖値を算出する。評価部13は、それぞれ異なる評価データから算出された複数の血糖値に基づき、ユーザの血糖値の変化を示す血糖スパイク情報を含む評価結果を生成する。このため、ユーザの個人差に関わらず、血糖値の変化に対する評価結果を得ることができる。これにより、血糖値の変化に関する定量的な評価を実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、算出部12は、データベースを参照し、評価データに対するユーザの血糖値を算出する。また、データベースには、複数の学習用データを用いて生成された分類情報が記憶される。このため、血糖値を算出する際、過去に実績のあるデータを踏まえた定量的な血糖値を算出することができる。これにより、血糖値を算出する際の精度向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、評価部13は、複数の血糖値における時系列変化から血糖スパイク情報を算出し、評価結果を生成する。このため、血糖スパイクの強度に加え、形状の特徴も考慮した評価結果を生成することができる。これにより、血糖値の変化に関する評価の精度を向上させることが可能となる。
(第2実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第2実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、付加情報を用いる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば上述した評価ステップS130のあとに、総合評価ステップS150が実施され、総合評価ステップS150のあとに出力ステップS140が実施される。
総合評価ステップS150は、例えば図7に示すように、付加情報を取得し、評価結果及び付加情報に基づき、ユーザの健康状態を評価した総合評価結果を生成する。総合評価ステップS150は、例えば評価部13に含まれる総合評価部によって実行することができる。
付加情報は、ユーザの生体情報に関する特徴を示し、例えばユーザの脈拍数、呼吸数、血圧、乳酸値、血中二酸化炭素の特徴、酸素飽和度、血管年齢、ストレスレベル、糖尿病の程度等のような、脈波に基づき算出可能な生体情報のうち少なくとも何れかを含む。付加情報は、例えばユーザの運動状態や健康状態を推定する際に用いることができる。なお、付加情報は、例えばユーザの生体情報に関する特徴として、ユーザの性別や年齢等のような属性情報を含むほか、ユーザの運動内容、競技種目等のようなユーザの生体情報に影響し得る運動に関する情報を含んでもよい。
なお、「血中二酸化炭素の特徴」とは、血液に含まれる二酸化炭素の程度を示す。血中二酸化炭素の特徴として、例えば血中二酸化炭素分圧(PaCO2)の値が用いられるほか、血中二酸化炭素の溶存濃度や、血液に含まれる重炭酸・バイカーボネート(HCO3
-)の濃度が用いられてもよく、状況に応じて血液のpHを考慮した値が用いられてもよい。
付加情報は、例えば公知の計測装置を用いて計測され、データ形式は任意である。例えば血中二酸化炭素濃度の特徴を計測する場合、計測装置として、経皮血液ガスモニタTCM5(ラジオメーターバーゼル社製)等の装置が用いられる。例えば血中乳酸量を計測する場合、計測装置として、ラクテート・プロ2(アークレイ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。例えば酸素飽和度を計測する場合、計測装置として、PULSOX-Neo(コニカミノルタ株式会社製)等の公知の装置が用いられる。また、付加情報を取得するタイミングは、脈波を測定するタイミングと同時のほか、用途に応じて任意のタイミングでもよい。付加情報は、例えば入力部108等を介してユーザが入力してもよく、付加情報の取得方法は任意である。
総合評価結果は、ユーザの健康状態を評価した結果を示す。総合評価結果として、「健康」、「不健康」のほか、「運動能力が高い」、「運動能力が低い」等のユーザ毎の健康状態に関連する運動能力の度合いを示す文字列が用いられてもよく、例えば任意の基準値との差分や、偏差値等の数値が用いられてもよい。総合評価結果は、例えば評価結果、及び付加情報の少なくとも何れかを含んでもよい。
総合評価結果は、例えばユーザ毎に異なる無酸素性作業閾値等のような公知の閾値を示すほか、例えば嫌気性代謝の度合い等のような運動能力に影響するパラメータの経時変化を示してもよい。運動能力に影響するパラメータとして、酸素摂取量、血中二酸化炭素分圧(PaCO2)の値、血中二酸化炭素の溶存濃度、血液に含まれる重炭酸・バイカーボネート(HCO3
-)の濃度、血液のpH等のような血液の組成に関する特徴を示す値が挙げられる。このようなパラメータを付加情報に含ませることで、総合評価結果を高精度に生成することが可能となる。
特に、血糖値は、運動状態に依存し得るため、上述した付加情報を用いて評価することで、評価の精度向上を図ることができる。
総合評価ステップS150において、例えば総合評価部は、予め設定された閾値を参照し、評価結果及び付加情報を閾値と比較した結果を総合評価結果として生成する。例えば、総合評価部は、評価結果及び付加情報が閾値よりも低い場合、運動能力が高いことを示す総合評価結果を生成し、評価結果及び付加情報が閾値よりも高い場合、運動能力が低いことを示す総合評価結果を生成する。
総合評価部は、例えば予め設定された関数を用いて、付加情報の内容に基づき評価結果を補正した値を、総合評価結果として生成する。例えば評価結果に含まれる血糖スパイク情報は、評価時におけるユーザの運動状態に依存し、例えば運動量に反比例して血糖スパイクのピーク強度が小さくなる傾向を示す。このため、付加情報の内容に基づき、血糖スパイク情報の値を補正することで、血糖値の変化に対する要因を減少させることができ、ユーザの健康状態を高精度に評価することが可能となる。
総合評価部は、例えば予め保存部104等に保存された、ユーザが認識可能なデータ形式を参照し、総合評価結果を生成する。
総合評価部は、例えば後処理用データベースを参照し、評価結果及び付加情報に対して適した総合評価結果を生成してもよい。後処理用データベースは、例えば保存部104に保存される。
後処理用データベースには、例えば上述したデータベースと同様に、評価結果及び付加情報に対する総合評価結果を生成するための後処理用分類情報が記憶されてもよい。後処理用データベースには、1つ以上の後処理用分類情報が記憶されるほか、例えば後処理用分類情報の生成に用いられた複数の後処理用学習データが記憶されてもよい。
後処理用分類情報は、例えば予め取得された過去の評価結果及び付加情報(後処理用入力データ)と、後処理用入力データに紐づく後処理用参照データとの相関関係を示す関数である。後処理用参照データは、ユーザの運動能力の評価結果を示す。後処理用分類情報は、後処理用入力データと、後処理用参照データとを一対の後処理用学習データとして、複数の後処理用学習データを用いて生成される。
後処理用分類情報は、例えば後処理用入力データを説明変数とし、後処理用参照データを目的変数とし、上述した回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。後処理用分類情報は、例えば検量モデル(後処理用検量モデル)を定期的に更新することができるほか、例えば付加情報別に生成してもよい。なお、後処理用分類情報は、上述した分類情報と同様に、例えば複数の後処理用学習データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデル(後処理用学習済みモデル)を含んでもよい。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、総合評価部は、評価結果及び付加情報に基づき、ユーザの健康状態を評価した総合評価結果を生成する。このため、評価結果に加えて、ユーザの生体情報に関する特徴を考慮した総合的な評価を実現することができる。これにより、ユーザの血糖値の変化を踏まえた健康状態を評価することが可能となる。
また、本実施形態によれば、付加情報は、脈拍数、呼吸数、血圧、血中二酸化炭素の特徴、乳酸値、及び酸素飽和度の少なくとも何れかを示す。このため、複数の生体情報を踏まえた評価を行うことができる。これにより、評価精度の向上を図ることが可能となる。
(第2実施形態:生体情報演算システム100の変形例)
次に、第2実施形態における生体情報演算システム100の変形例について説明する。上述した実施形態の一例と、変形例との違いは、血糖値を算出する際、付加情報が用いられる点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本変形例では、例えば図8に示すように、算出ステップS120は、付加情報を取得し、評価データ及び付加情報に基づき、血糖値を算出することを含む。
付加情報は、上述した内容と同様であり、例えば入力部108等を介してユーザが入力し、算出部12等が取得する。算出部12は、例えば付加情報の内容に応じて、評価データに対する演算方法を決定してもよい。この場合、付加情報の種類毎に異なる関数等が、保存部104や評価用データベース内に記憶される。なお、算出部12は、例えば評価データと、付加情報とを組合わせた情報に基づき、血糖値を算出してもよい。
本変形例によれば、算出部12は、データベースを参照し、評価データ及び付加情報に基づき、血糖値を算出する。このため、ユーザの血糖値を算出する際に有効なパラメータを用いることができる。これにより、血糖値を算出する際のさらなる精度向上を図ることが可能となる。
(第3実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第3実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第3実施形態との違いは、付加情報を生成するための付加データを取得する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本実施形態における生体情報演算システム100では、取得ステップS110は、付加データを取得することを含む。また、本実施形態における生体情報演算システム100では、算出ステップS120は、付加データに基づく付加情報を生成することを含む。
本実施形態における生体情報演算装置1は、例えば図9に示すように、脈波に基づき生成された1つセンサデータに対し、2種類の処理を実施する。これにより、例えば取得部11は、同一の脈波に基づき、評価データと、評価データとは異なる特徴を示す付加データを取得する。なお、付加データは、複数取得されてもよい。
例えば算出部12は、付加データに基づく付加情報を生成する。本実施形態では、付加情報は、上述した付加情報のうち、センサデータから算出できる生体情報を含む。なお、生成される付加情報の種類に伴い、例えば付加データを取得する際に用いる前処理の内容等を変更してもよい。
算出部12は、例えばデータベースを参照して、付加データから付加情報を生成してもよい。データベースには、例えば付加データに対する付加情報を生成するための付加分類情報が記憶されてもよい。データベースには、1つ以上の付加分類情報が記憶されるほか、例えば付加分類情報の生成に用いられた複数の付加学習データが記憶されてもよい。
付加分類情報は、例えば予め取得された過去の付加データ(付加入力データ)と、付加入力データに紐づく付加参照データとの相関関係を示す関数である。付加参照データは、上述した付加情報を含む。付加分類情報は、付加入力データと、付加参照データとを一対の付加学習データとして、複数の付加学習データを用いて生成される。
付加分類情報は、例えば付加入力データを説明変数とし、付加参照データを目的変数とし、上述した回帰分析等により解析し、その解析結果に基づいて生成される検量モデルを示す。付加分類情報は、例えば検量モデル(付加検量モデル)を定期的に更新することができるほか、ユーザの性別、年齢、運動内容等の属性情報毎に生成された複数の付加検量モデルを含んでもよい。なお、付加分類情報は、上述した分類情報と同様に、例えば複数の付加学習データを用いた機械学習により生成された、学習済みモデル(付加学習済みモデル)を含んでもよい。
例えば図10(a)及び図10(b)に示すように、取得ステップS110において実施される前処理の内容、及び算出ステップS120において参照される付加分類情報の内容が異なる場合がある。以下、脈拍数及び呼吸数を付加情報として算出する例を説明する。
<脈拍数の算出>
例えば脈拍数を算出する場合、図10(a)に示すように、取得部11は、上述したフィルタ処理をセンサデータに対して実施し、脈波データを抽出する。
そして、取得部11は、脈波データに対し、ピーク位置算出処理を実施する。ピーク位置算出処理では、脈波データに含まれる複数のピーク(振幅の最大値)を検出し、サンプリングされた順番(測定開始からの時間に相当)を特定する。これにより、取得部11は、脈波データに含まれるピーク位置データを取得する。
その後、取得部11は、ピーク位置データに対し、ピーク間隔平均算出処理を実施する。ピーク間隔平均算出処理は、ピーク位置データに含まれるピークの間隔(隣接するピークがサンプリングされた順番の差分)を算出し、例えばピーク間隔の平均値を算出する。その後、取得部11は、ピーク間隔又はピーク間隔の平均値に対し、センサデータのサンプリングレートで割り、秒数に相当するピーク間隔を示すデータを、付加データとして取得する。
その後、算出部12は、データベースを参照し、付加データに対する脈拍数を算出する。この際、算出部12は、データベースに記憶された付加分類情報のうち、脈拍数用分類情報を参照する。脈拍数用分類情報は、例えば60[秒]をピーク間隔で割る関数を示す。このため、算出部12は、例えば付加データ(ピーク間隔=0.85[秒])に対する脈拍数(=71[bpm])を算出することができる。これにより、算出部12は、脈拍数を含む付加情報を生成することができる。
<呼吸数の算出>
例えば呼吸数を算出する場合、図10(b)に示すように、取得部11は、上述したフィルタ処理をセンサデータに対して実施し、脈波データを抽出する。
その後、取得部11は、脈波データに対し、フーリエ変換処理を実施する。フーリエ変換処理では、例えばサンプリング時間対振幅を示す脈波データが、周波数対強度を示す周波数データに変換される。これにより、取得部11は、脈波データに対する周波数データを取得する。
その後、取得部11は、周波数データに対し、最大周波数検出処理を実施する。最大周波数検出処理では、周波数データのうち、0.15~0.35Hzの間における最大強度の周波数が特定される。これにより、取得部11は、特定された周波数の値を、付加データとして取得する。
その後、算出部12は、データベースを参照し、付加データに対する呼吸数を算出する。この際、算出部12は、データベースに記憶された付加分類情報のうち、呼吸数用分類情報を参照する。呼吸数用分類情報は、例えば特定された周波数に60[秒]をかける関数を示す。このため、算出部12は、例えば付加データ(特定された周波数=0.225Hz)に対する呼吸数(=13.5[bpm])を算出することができる。これにより、算出部12は、例えば呼吸数を含む付加情報を生成することができる。
このように、生体情報演算装置1では、付加情報に含ませるデータの内容に応じて、センサデータに対する前処理を設定し、参照するデータベースの内容を任意に設定することができる。
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図11に示すように、出力部14は、生成された付加情報を出力してもよい。この場合、評価結果とは異なる情報を参照して生成された付加情報を利用することができ、ユーザ等は多角的な判断を実施することができる。これにより、ユーザの要求に応じた適切な評価を容易に実現することが可能となる。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、取得部11は、脈波に基づき、評価データとは異なる特徴を示す付加データを取得する。また、算出部12は、付加データに基づく付加情報を生成する。即ち、1つの脈波に基づき、評価結果及び付加情報が生成される。このため、同一のパラメータに基づく複数種類の情報を用いることで、多角的な観点を踏まえた総合的な算出や評価を実現することが可能となる。
(第4実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第4実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第4実施形態との違いは、評価ステップS130において上述した付加情報を取得する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本実施形態における生体情報演算システム100では、例えば図12に示すように、評価ステップS130は、付加情報を取得し、複数の血糖値、及び付加情報に基づき、評価結果を生成することを含む。
付加情報は、上述した内容と同様であり、例えば入力部108等を介してユーザが入力し、評価部13等が取得する。例えば取得部11で取得された付加データに基づき、算出部12で生成された付加情報を、評価部13が取得してもよい。
評価部13は、例えば付加情報の内容に応じて、複数の血糖値に対する演算方法を決定してもよい。この場合、付加情報の種類毎に異なる関数等が、保存部104やデータベース内に記憶される。なお、評価部13は、例えば複数の血糖値と、付加情報とを組合わせた情報に基づき、評価結果を生成してもよい。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、評価部13は、付加情報を取得し、複数の血糖値及び付加情報に基づき、評価結果を生成することを含む。このため、複数の血糖値に加えて、ユーザの特徴を考慮した多角的な評価結果を生成することが可能となる。
(第5実施形態:生体情報演算システム100)
次に、第5実施形態における生体情報演算システム100の一例について説明する。上述した実施形態と、第5実施形態との違いは、分類情報に含まれる複数の属性別分類情報から、評価データに適した属性別分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本実施形態における生体情報演算装置1では、例えば図13に示すように、算出ステップS120が、選択ステップS121と、属性別算出ステップS122とを含む。
選択ステップS121は、予備評価データを参照し、複数の属性別分類情報のうち特定の属性別分類情報(例えば第1分類情報)を選択する。選択ステップS121は、例えば算出部12に含まれる選択部によって実行することができる。
予備評価データは、評価データとは異なる特徴を示し、例えば上述した付加データと同様の特徴を示す。予備評価データは、例えば上述した付加データと同様に、付加情報を生成するため等に用いてもよい。
属性別算出ステップS122は、選択した第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。属性別算出ステップS122は、例えば算出部12に含まれる属性別算出部によって実行することができる。
複数の属性別分類情報は、それぞれ異なる学習用データを用いて算出される。例えば学習用データの入力データとして、被検者の加速度脈波に相当するデータが用いられる場合、例えば図14のような7種類(A~G)毎に入力データを準備し、7種類の属性分類情報を生成する。
このような複数の属性別分類情報がデータベースに記憶される場合、例えば取得部11は、ユーザの加速度脈波に相当する評価データ、及び予備評価データを取得する。そして、算出部12は、予備評価データを参照し、第1分類情報を選択する。その後、算出部12は、第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。このため、各属性分類情報のうち、ユーザに最適な分類情報を選択することができる。
なお、例えば学習用データの入力データとして、被検者の速度脈波に相当するデータが用いられる場合、例えば図15のような2種類(グループ1、グループ2)毎に入力データを準備し、2種類の属性分類情報を生成してもよい。
ここで、図14に示す加速度脈波に相当するデータは、特徴に基づく詳細な分類が容易である反面、血液の組成に関する特徴を算出する際、ピークの誤検出等に伴う精度低下が懸念として挙げられる。また、図15に示す速度脈波に相当するデータは、加速度脈波に相当するデータに比べ、特徴に基づく詳細な分類が困難であるが、ピークの誤検出等が少ないため、血糖値を高精度に算出し得る。
上記を踏まえ、複数の属性分類情報は、特定の分類情報を選択するために用いられる選択用データとして、例えば図14のような加速度脈波に相当するデータを含み、属性分類情報を生成する際の学習用データには、速度脈波に相当するデータが用いられてもよい。
この場合、取得ステップS110として、例えば取得部11は、ユーザの脈波に基づくセンサデータから、速度脈波に相当するデータを評価データとして取得する。また、取得部11は、センサデータから、加速度脈波に相当するデータを予備評価データとして取得する。
次に、選択ステップS121として、例えば算出部12は、予備評価データを参照し、加速度脈波に相当するデータを含む複数の選択用データのうち、予備評価データに最も類似する選択用データ(第1選択用データ)を特定し、第1選択用データに紐づく第1分類情報を選択する。そして、属性別算出ステップS122として、算出部12は、第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
ここで、上述した選択用データ等に用いられるデータの一例を説明する。
例えば図14に示すように、加速度脈波には、a~eの変曲点が存在する。例えば、加速度脈波における最大のピークをa点とし、a点から順に各変曲点をb点、c点、d点、e点とし、a点を1とし、最小値であるb点もしくはd点を0とした規格化を行った場合、加速度脈波は、各変曲点の値と、その差の大小関係により分類する方法を用いて、7パターンに分類することができる。まず、変曲点の値がb<dの場合は、パターンAまたはBに分類する。b<dでさらにc≧0.5であればA、そうでなければBに分類する。次に変曲点の値がb≒dの場合、パターンCまたはDに分類する。b≒dでさらにc≒0の場合はパターンD、そうでなければパターンCに分類する。最後に、b>dの場合は、パターンE、F、Gの何れかに分類できる。b>dでさらにb<cであればパターンEに、b≒cであればパターンF,b>cであればパターンGに分類する。
例えば算出部12は、予備評価データが、例えば図14のどのパターンに当てはまるかを判断し、第1選択用データを特定する。例えば、入力された予備評価データの変曲点bが変曲点dより小さく、さらに変曲点c≧0.5であれば、パターンAを第1選択用データとする。これにより、評価データの特徴に適した分類情報を参照し、血糖値を精度良く算出することができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、算出部12は、予備評価データを参照し、第1分類情報を選択する選択部と、第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する属性別算出部とを含む。このため、脈波の特徴に対して最適な属性分類情報を選択した上で、評価データに対する血糖値を算出することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、取得部11は、脈波に基づく速度脈波に相当するデータを、評価データとして取得する。また、取得部11は、脈波に基づく加速度脈波に相当するデータを、予備評価データとして取得する。このため、速度脈波に比べて、脈波の特徴を分類し易い加速度脈波を用いて、属性分類情報を選択することができる。また、加速度脈波に比べて血糖値を算出し易い速度脈波を用いて血糖値を算出することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
(第5実施形態:生体情報演算システム100の変形例)
次に、第5実施形態における生体情報演算システム100の変形例について説明する。上述した実施形態の一例と、変形例との違いは、付加情報に基づき第1分類情報を選択する点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
本変形例では、例えば図16に示すように、算出ステップS120は、付加情報を取得する。また、算出ステップS120は、分類情報のうち、付加情報に基づき第1分類情報を選択し、第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出する。
例えば算出部12は、上述した実施形態と同様の付加情報を取得する。算出部12は、例えば上述した付加データに基づき生成された付加情報を取得してもよい。
例えば分類情報は、予め付加情報の特徴別に振り分けられた関数や検量モデル等を複数含む。この場合、算出部12は、分類情報のうち、付加情報の特徴に適した関数等(例えば第1分類情報)を選択することができる。なお、第1分類情報を選択する方法として、公知の技術が用いられてもよい。
本変形例によれば、算出部12は、付加情報に基づき選択された第1分類情報を参照し、評価データに対する血糖値を算出することを含む。このため、ユーザの特徴に対して最適な分類情報を選択した上で、評価データに対する血糖値を算出することができる。これにより、評価精度のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。このような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。