JP2022133719A - 測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークに対して、三次元座標の測定と、ロボットを用いた作業とを行う際の、各工程におけるワーク位置の教示を簡略化することが可能な測定方法及び装置を提供する。【解決手段】測定方法は、ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときのツールの校正球の位置を、三次元座標測定機を用いて測定し、姿勢ごとに、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における校正球の座標を取得し、第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の測定値と、ロボットアームに設定された第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の設定値に基づいて、第1の座標系を第2の座標系に変換するための変換行列を算出し、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における目標位置に、ロボットアームに取り付けられたツールを移動させる際に、変換行列を用いて、第1の座標系における目標位置をロボットアームに設定された第2の座標系に変換する。【選択図】図1
Description
本発明は測定方法及び装置に係り、特にワークに対して、三次元座標の測定と、ロボットアーム(以下、単にロボットともいう。)を用いた作業を行うための測定方法及び装置に関する。
従来、測定対象であるワークに対して、三次元座標の測定と、ロボットを用いた作業(例えば、ハンドリング又は測定等)とを行うための測定装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ワーク加工用の工作機械に対して作業を行うロボットの姿勢のティーチングを行うためのシステムが開示されている。また、特許文献2には、ワークの三次元的な輪郭形状を測定するための三次元測定装置において、ワークの表面粗さを測定するための表面粗さ測定ユニットをロボットに装着して使用することが開示されている。
上記のように、同一のワークに対して三次元座標測定と、ロボットによる作業を行う場合、三次元座標測定機にワークを設置して行うワークの三次元座標の測定工程と、ロボットを用いた作業工程とを別々に行うことになる。したがって、各工程では、相互に独立した座標系の中でワークの姿勢を取り扱うことになる。この場合、三次元座標測定とロボットによる作業の工程ごとにワーク位置の教示を行う必要があるので、ワーク位置の教示に時間がかかるといった問題がある。特に、ロボットに対してワークの位置を教示する際には、煩雑な操作が必要となる。また、ロボットの近くで教示のための作業を行うことになるため、作業者に危険が伴う場合もある。
また、ロボットによる作業では、座標測定用の装置(例えば、カメラ、二次元又は三次元のセンサー等)を用いて、ロボットとワークの位置を検出して教示を行う場合がある。上記のような座標測定用の装置を設けた場合、測定装置のコストが増加するという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ワークに対して、三次元座標の測定と、ロボットを用いた作業とを行う際の、各工程におけるワーク位置の教示を簡略化することが可能な測定方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る測定方法は、ワークが設置される定盤と、定盤に対して相対移動可能に設けられ、ワークの三次元座標測定を行うための測定プローブとを備える三次元座標測定機と、定盤の上に固定され、ワークに対する作業のためのツールが取り付けられたロボットアームであって、校正球がツールに取り付けられたロボットアームとを備える測定装置を用いた測定方法において、ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの校正球の位置を、三次元座標測定機を用いて測定し、姿勢ごとに、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における校正球の座標を取得する変換行列算出第1工程と、第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の測定値と、ロボットアームに設定された第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の設定値に基づいて、第1の座標系を第2の座標系に変換するための変換行列を算出する変換行列算出第2工程と、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における目標位置に、ロボットアームに取り付けられたツールを移動させる際に、変換行列を用いて、第1の座標系における目標位置をロボットアームに設定された第2の座標系に変換する目標位置制御工程とを含む。
本発明の第2の態様に係る測定方法は、第1の態様において、ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの校正球の位置を、三次元座標測定機を用いて測定し、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標を取得する校正第1工程と、第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標と、各姿勢の間の姿勢変更パラメータに基づいて、第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標を算出する校正第2工程とを含み、変換行列算出第1工程では、第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標を設定して、ロボットアームの姿勢を制御し、変換行列算出第2工程では、第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の測定値と、ロボットアームに設定された第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の設定値に基づいて、第1の座標系を第2の座標系に変換するための変換行列を算出する。
本発明の第3の態様に係る測定装置は、ワークが設置される定盤と、定盤に対して相対移動可能に設けられ、ワークの三次元座標測定を行うための測定プローブとを備える三次元座標測定機と、定盤の上に固定され、ワークに対する作業のためのツールが取り付けられたロボットアームであって、校正球がツールに取り付けられたロボットアームと、ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの校正球の位置を、三次元座標測定機を用いて測定し、姿勢ごとに、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における校正球の座標を取得する測定制御部と、第1の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の測定値と、ロボットアームに設定された第2の座標系における姿勢ごとの校正球の座標の設定値に基づいて、第1の座標系を第2の座標系に変換するための変換行列を算出する変換行列算出部と、三次元座標測定機に設定された第1の座標系における目標位置に、ロボットアームに取り付けられたツールを移動させる際に、変換行列を用いて、第1の座標系における目標位置をロボットアームに設定された第2の座標系に変換する目標位置制御部とを備える。
本発明によれば、ワークに対して、三次元座標測定機による三次元座標の測定と、ロボットアームを用いた作業とを行う際に各工程におけるワーク位置の教示を簡略化することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る測定方法及び装置の実施の形態について説明する。
[測定装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置を示す図(斜視図及びブロック図)である。以下の説明では、XY平面が定盤20の上面20Aに平行であり、Z方向が定盤20の上面20Aの法線方向となる3次元直交座標系を用いる。
図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置を示す図(斜視図及びブロック図)である。以下の説明では、XY平面が定盤20の上面20Aに平行であり、Z方向が定盤20の上面20Aの法線方向となる3次元直交座標系を用いる。
図1に示すように、本実施形態に係る測定装置1は、三次元座標測定機10、ロボットアーム60を備える。ロボットアーム60の先端は、ロボットアーム60が作業を行うためのツール68を取り付け可能に構成されている。図1に示す例では、ツール68の例として、ワークW等のハンドリングを行うためのハンドを図示しているが、ハンドに代えて粗さ測定機等のほかの装置を取り付けることも可能である。また、測定装置1は、コンピュータ30及びコントローラ40を備える。なお、図1では、定盤20に載置されるワークWの図示は省略する。
以下、三次元座標測定機10の一例として門型の三次元座標測定機について説明するが、三次元座標測定機の型(種類)を限定する趣旨ではない。当然ながら、三次元座標測定機10は、例えば、多関節アーム型のような他の型の三次元座標測定機でもよい(例えば、特開2007-047014号公報参照)。三次元座標測定機10は、基台上に設けられた定盤20(例えば、石定盤)を含んでいる。
定盤20には、定盤20の上面20Aから図中上側(+Z方向)に伸びる一対のコラム(支柱)16R及び16Lが取り付けられている。コラム16R及び16Lの上端部(+Z側の端部)には、X軸ガイドとして機能するビーム(梁)14が架け渡されている。ビーム14及びコラム16R及び16Lは、門を構成し、Y方向に移動する門型のYキャリッジとなる。定盤20の上面20Aと側面とには、Y方向に平行な摺動面が形成され、コラム16R及び16Lにはこれに対向するエアベアリングが設けられているので、コラム16R及び16Lは、ビーム14と共にY方向に移動自在となる。また、コラム16R及び16Lは、駆動手段としてモータを含むY軸駆動機構18により駆動される。
ビーム14には、Z方向に伸びるヘッド12が取り付けられている。ビーム14はX軸ガイドとして機能する。ビーム14にはX方向に平行な摺動面が設けられ、ヘッド12はそれに対応してエアベアリングが設けられる。これにより、ヘッド12はビーム14の長さ方向(X方向)に移動自在となる。ヘッド12をビーム14に対して移動させるための駆動手段としては、モータを使用することができる。
ヘッド12には、Z方向案内用のエアベアリングが内蔵されている。Z方向案内用のエアベアリングに沿ってZ軸スピンドル22がZ方向に移動自在に設けられている。Z軸スピンドル22を移動させるための駆動手段としてはモータを使用することができる。なお、コラム16R及び16L、ビーム14及びヘッド12からなる移動機構は、XYZ方向に移動するキャリッジ11を構成する。
Z軸スピンドル22の下端にはプローブヘッド24が設けられている。プローブヘッド24にはスタイラス26が接続されており、スタイラス26の先端には測定子(接触子)28が設けられている。スタイラス26と測定子28により測定プローブが構成される。この測定プローブは、定盤20に対して相対移動可能に設けられている。
なお、図1に示す例では、プローブヘッド24の一例として接触式の測定プローブについて説明したが、プローブの種類を限定する趣旨ではない。例えば、レーザプローブのような非接触式の測定プローブもプローブヘッド24に適用可能である。
三次元座標測定機10は、コラム16R及び16L、ヘッド12、Z軸スピンドル22及びプローブヘッド24のそれぞれの移動量を測定するための移動量測定部(例えば、リニアエンコーダ。不図示)を含んでいる。
ワークWの三次元座標測定を行う場合には、コラム16R及び16L、ヘッド12、Z軸スピンドル22及びプローブヘッド24を移動させることにより測定子28をワークWに接触させる。そして、測定子28が接触した位置(三次元座標)は、コントローラ40を介してコンピュータ30に送信される。
コンピュータ30は制御部32を備える。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージデバイス(HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等)を含む記憶部とを備える。制御部32は、記憶部に記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、測定装置1の各部の制御を行う。
図1に示すように、制御部32は、三次元座標測定制御部32A及びロボット制御部32Bを備える。
三次元座標測定制御部32Aは、三次元座標測定機10にワークWの形状の測定を行わせる。三次元座標測定制御部32Aは、測定子28が接触したワークWの三次元座標を検出して、ワークWの形状を演算する。三次元座標測定制御部32Aは、本発明の測定制御部の一例である。なお、ここでいうワークWの形状とは、ワークWの三次元形状、二次元形状、表面形状、輪郭形状、及び長さ又は径などの各種の寸法形状などが含まれる。
ロボット制御部32Bは、ロボットアーム60の各アーム及び関節部の動作を制御する。ロボット制御部32Bは、ロボットアーム60の制御を行う際に、三次元座標測定機10の座標系と、ロボットアーム60の座標系との間の座標変換等の各種演算を行う。ロボット制御部32Bは、本発明の変換行列算出部及び目標位置制御部の一例である。
また、ロボット制御部32Bは、ロボットアーム60に取り付けられたツール68(図2参照)による作業の制御を行う。例えば、ロボットアーム60にハンドが取り付けられた場合、ロボット制御部32Bは、ハンドによるワークWのハンドリングを制御する。また、ロボットアーム60に表面粗さ測定機が取り付けられた場合、ロボット制御部32Bは、表面粗さ測定機による表面粗さの測定を制御する。
コントローラ40は、制御部32からの制御信号に基づいて、三次元座標測定機10、ロボットアーム60及び表面粗さ測定機等のツール68を制御する(CNC(computerized numerical control)制御)。
図1に示すように、定盤20上には、ロボット基台62が固定されており、ロボットアーム60は、ロボット基台62を介して定盤20上に設置される。これにより、定盤20の振動系とロボットアーム60の振動系とが同じになるため、外部環境の振動による影響を低減させ、ロボットアーム60に保持されている表面粗さ測定機の測定精度の低下を防ぐことができる。この場合、定盤20のスペースに制約されるため、ロボットアーム60は比較的小型であることが望ましい。
また、図1に示すように、ロボット基台62は、定盤20のY軸の一端部側に設置される。これにより、三次元座標測定の際に、ロボットアーム60と三次元座標測定機10(キャリッジ11)とが衝突しないようにロボットアーム60を効率良く退避させることができる。なお、ロボット基台62の配置は上記の例に限定されない。
図2は、図1の領域IIを拡大して示す斜視図である。
ロボットアーム60は、複数の可動部を備えると共に、複数の可動部をそれぞれ駆動する複数のモータを備えている。制御部32のロボット制御部32Bは、コントローラ40を介して、ロボットアーム60に備えられているモータを制御して、ロボットアーム60を動作させる。
ロボットアーム60は、複数のアーム、複数の関節部及びロボット基台62を有する多関節型のアームを有する。図2には、ロボットアーム60のうち、主にロボットアーム60の先端側の部分となるアーム64、関節部65及びフランジ66を拡大して示している。フランジ66は、ハンド及び表面粗さ測定機等のツール68が取付可能な部材であり、取り付けられるツール68の種類に応じた差し込み孔(不図示)が設けられている。
ロボットアーム60は、例えば、6自由度を有し、フランジ66に取り付けられたハンド又は表面粗さ測定機等のツール68を様々な測定姿勢で保持することが可能である。図2に示すように、フランジ66に取り付けられたツール68は、関節部65に備えられたモータにより、アーム64に対して回転軸AX1及びAX2周りに回転可能に保持される。
図1に示すように、定盤20の上面20Aには第1の校正球50が取り付けられている。また、図2に示すように、ロボットアーム60のフランジ66にはツール68が取り付けられており、ツール68には第2の校正球70が取り付けられている。
第1の校正球50及び第2の校正球70は、真球度と直径が保証された球状の部材であり、硬度が高く、かつ、耐摩耗性に優れた材料により形成される。第1の校正球50及び第2の校正球70としては、その形状誤差が三次元座標測定機10による測定精度よりも小さいもの(一例で形状誤差が三次元座標測定機10による測定精度の10分の1以下のもの)を使用することができる。
[座標系の計算]
図3は、測定装置における座標系を示す斜視図であり、図4は、図3の領域IVを拡大して-X側から見た状態を示す斜視図である。
図3は、測定装置における座標系を示す斜視図であり、図4は、図3の領域IVを拡大して-X側から見た状態を示す斜視図である。
図3に示すように、測定装置1には、三次元座標測定機10の座標系(CMM座標系)CScmmが設定されている。
CMM座標系CScmm(第1の座標系)は、三次元座標測定機10による測定の際に用いられる座標系である。CMM座標系CScmmは、例えば、定盤20に設置された第1の校正球50の位置(例えば、中心座標)を原点とする座標系(例えば、三次元直交座標系)である。
さらに、図3及び図4に示すように、ロボットアーム60には、ロボットアーム60の座標系(ロボット座標系、ベース座標系)CSrob、フランジ座標系CSf及びツール座標系CStが設定されている。
ロボット座標系CSrob(第2の座標系)は、ロボットアーム60を動作させる際に用いられる座標系であり、ロボットアーム60の設置位置(ロボット基台62)を基準とする座標系である。ロボット座標系CSrobは、例えば、定盤20におけるロボットアーム60のロボット基台62の設置位置を原点とする座標系(例えば、三次元直交座標系、円筒座標系)である。
図1に示すように、本実施形態では、ロボット基台62が定盤20に設置されているので、CMM座標系CScmmとロボット座標系CSrobとの位置関係は一定に保たれている。なお、CMM座標系CScmmからロボット座標系CSrobへの座標変換は、後述の変換行列Mrotにより行うことができる(手順2参照)。
フランジ座標系CSfは、ロボットアーム60の先端部に形成されているフランジ66に設定された座標系である。フランジ座標系CSfは、例えば、円筒状のフランジ66の中心軸上に原点を設定した座標系(例えば、三次元直交座標系、円筒座標系)である。
ツール座標系CStは、ロボットアーム60に取り付けられたツール68に設定された座標系である。ツール座標系CStは、例えば、ツール68に取り付けられた第2の校正球70の位置(例えば、中心座標)を原点とする座標系(例えば、三次元直交座標系、円筒座標系)である。
フランジ座標系CSfからロボット座標系CSrobへの座標変換は、ロボットアーム60の各アーム及び関節部の回転軸等のデータを用いて作成した変換行列により行うことができる。また、ツール座標系CStからフランジ座標系CSfへの座標変換は、後述のツールパラメータを用いて作成した変換行列により行うことができる。
上記のように、本実施形態に係る測定装置1には複数の座標系が設定されているため、ロボットアーム60の位置の教示を行う際には、各座標系の間で座標変換を行う必要がある。
次に、CMM座標系CScmmと、ロボット座標系CSrobとの間の整合性をとるための手順について説明する。
(手順1:フランジ座標系CSfにおける第2の校正球70の座標の計算)
手順1では、三次元座標測定機10を用いて第2の校正球70の座標を測定し、その測定結果に基づいて、フランジ座標系CSfにおける第2の校正球70の座標の計算を行う。なお、手順1は、本発明の校正第1工程及び校正第2工程の一例である。
手順1では、三次元座標測定機10を用いて第2の校正球70の座標を測定し、その測定結果に基づいて、フランジ座標系CSfにおける第2の校正球70の座標の計算を行う。なお、手順1は、本発明の校正第1工程及び校正第2工程の一例である。
上記の通り、ロボット制御部32Bは、フランジ座標系CSfと、ツール座標系CStとを認識することが可能となっている。手順1では、ロボット(ロボット座標系CSrob)から見たときの第2の校正球70の座標を計算するために、フランジ座標系CSfにおける第2の校正球70の座標を求める。
手順1では、まず、ロボットアーム60のフランジ面の姿勢を、X軸周り、Y軸周り及びZ軸周りにそれぞれ回転させた姿勢(計4つ以上の姿勢)に変化させて、三次元座標測定機10を用いて各姿勢における第2の校正球70の座標を測定する。これにより、各姿勢i(i=0,1,2,3)ごとに、CMM座標系CScmmにおける第2の校正球70の座標{Xcmmi,Ycmmi,Zcmmi}が得られる。
ここで、フランジ座標系CSfから見たときの第2の校正球70の座標(未知)を{Xf,Yf,Zf}、i番目の姿勢のときに三次元座標測定機10により測定した第2の校正球70の座標(既知)を{Xcmmi,Ycmmi,Zcmmi}としたとき、下記の式(1)が成立する。
ここで、Riはロボットの姿勢変更による既知の回転行列(姿勢変更パラメータの一例)である。また、ベクトルsはフランジ座標系CSfとCMM座標系CScmmのオフセットによる未知のベクトルである。ベクトルsiはフランジ座標系CSfの回転とともに原点を移動させた際の既知の移動ベクトル(平行移動成分。姿勢変更パラメータの一例)である(図5参照)。
なお、手順1では、計算を簡単にするために、ロボットアーム60の制御を工夫してフランジ座標系CSfの原点が移動しないように(すなわち、平行移動成分が生じないように)してもよい。
次に、式(1)の左辺の行列内から未知のベクトルsを削除するために、例えば、0番目の姿勢をとったときの式を減算する。これにより、下記の式(2)が得られる。
式(2)を変形すると、下記の式(3)が得られる。
さらに、4つ以上の姿勢にて求めた式を合わせると、下記の連立方程式(4)が得られる。
ここで、Nは、測定した姿勢の総数であり、N≧4である。
上記の連立方程式(4)を解くことにより、三次元座標測定機10による第2の校正球70の座標の測定結果から、フランジ座標系CSfから見たときの第2の校正球70の座標{Xf,Yf,Zf}を求めることができる。なお、左辺の左側の行列は正方行列ではないため、その逆行列を求めて連立方程式(4)を解くことはできないが、SVD(Singular Value Decomposition、特異値分解)等の数値解析の手法を用いることにより解くことができる。
ロボットアーム60の教示を行う際には、ロボット制御部32Bに対して、フランジ座標系CSfから見たときの第2の校正球70の座標{Xf,Yf,Zf}を設定する。そして、フランジ座標系CSfからロボット座標系CSrobへの座標変換を行う。これにより、ロボット座標系CSrobにおける第2の校正球70の座標{Xrob,Yrob,Zrob}を基準とした制御、及び第2の校正球70の座標の取得が可能となる。
(手順2:変換行列Mrotの計算)
手順2では、CMM座標系CScmmの座標をロボット座標系CSrobの座標に変換するための変換行列Mrotを計算する。なお、手順2は、本発明の変換行列算出第1工程及び変換行列算出第2工程の一例である。
手順2では、CMM座標系CScmmの座標をロボット座標系CSrobの座標に変換するための変換行列Mrotを計算する。なお、手順2は、本発明の変換行列算出第1工程及び変換行列算出第2工程の一例である。
ロボット座標系CSrobとCMM座標系CScmmにおいて、その変換が平行移動、回転及びスケールファクターのみであると仮定すると、4×4の行列で座標系を変換することができる。
よって、最低4姿勢における第2の校正球70の座標を測定すれば、CMM座標系CScmmの座標からロボット座標系CSrobの座標に変換するための変換行列Mrotを求めることができる。ロボット座標系CSrobとCMM座標系CScmmにおける、ツール68に取り付けられた第2の校正球70の座標を各々{Xrobi,Yrobi,Zrobi}、{Xcmmi,Ycmmi,Zcmmi}(i=0,1,2,3)とすると、下記の式(5)が得られる。
ここで、ロボットアーム60に各姿勢をとらせる際には、ロボット座標系CSrobにおける第2の校正球70の座標{Xrobi,Yrobi,Zrobi}が設定値、CMM座標系CScmmにおける第2の校正球70の座標{Xcmmi,Ycmmi,Zcmmi}が測定値として得られる。
式(5)を解くことにより、変換行列Mrotを求めることができる。この変換行列Mrotにより、CMM座標系CScmmの座標からロボット座標系CSrobの座標に変換することができる。
なお、ノイズが非常に大きい環境下では4姿勢よりも多くの姿勢で、第2の校正球70の座標を測定することにより、ノイズの影響を低減することができる。この場合、最小二乗の原理に基づいてMrotを求めることができる。
また、ロボットアーム60の空間誤差が大きい場合には、実際にロボットアーム60を使用するときの姿勢に近い状態で第2の校正球70の座標を測定する必要がある。
(手順3:フランジ座標系CSfにおけるツール座標系CStの計算)
手順3では、ツール68の位置を制御するために、ツールパラメータを用いた変換行列を用いて、ツール座標系CStからフランジ座標系CSfへの座標変換を行う。ここで、ツールパラメータとは、例えば、ツール68取り付け時におけるフランジ66とツール68(第2の校正球70)との位置関係、フランジ66に対するツール68の変位量(例えば、回転角度)等である。
手順3では、ツール68の位置を制御するために、ツールパラメータを用いた変換行列を用いて、ツール座標系CStからフランジ座標系CSfへの座標変換を行う。ここで、ツールパラメータとは、例えば、ツール68取り付け時におけるフランジ66とツール68(第2の校正球70)との位置関係、フランジ66に対するツール68の変位量(例えば、回転角度)等である。
これにより、ツール座標系CStにおける座標をフランジ座標系CSfにおける座標に変換することができるので、ツール座標系CStにおける座標を入力することによりフランジ座標系CSfにおける目標位置を基準とした制御を行うことができる。
(手順4:目標座標へのツール68の移動)
手順4では、ツール68を目標位置に移動させる。より具体的には、手順3で求めたツール座標系CStにおける原点を目標位置に移動させる制御を行う。なお、手順4は、本発明の目標位置制御工程の一例である。
手順4では、ツール68を目標位置に移動させる。より具体的には、手順3で求めたツール座標系CStにおける原点を目標位置に移動させる制御を行う。なお、手順4は、本発明の目標位置制御工程の一例である。
三次元座標測定機10のCMM座標系CScmm内での目標位置の目標座標{Xcmm,Ycmm,Zcmm}に対して変換行列Mrotを左側からかけると、ロボット座標系CSrobにおける目標位置の目標座標{Xrob,Yrob,Zrob}を得られる。
次に、ツール座標系CStが手順3で求めたツール座標系CStに設定されていることを確認して、ロボット制御部32Bからロボットアーム60に対して、上記目標座標{Xrob,Yrob,Zrob}への移動命令をロボットへ発令する。ロボット制御部32Bは、ロボット座標系CSrob、フランジ座標系CSf及びツール座標系CStとの関係に基づいて、ロボットアーム60のツール68をCMM座標系CScmm内で目標座標{Xcmm,Ycmm,Zcmm}に移動させる。
本実施形態によれば、CMM座標系CScmm内での目標位置の目標座標{Xcmm,Ycmm,Zcmm}を用いて、ツール68の目標位置への移動制御を行うことができる。これにより、ワークWに対して、三次元座標測定機10による三次元座標の測定と、ロボットアーム60を用いた作業とを行う際に各工程におけるワーク位置の教示を簡略化することができる。
なお、本実施形態では、ツール68としてのハンドに第2の校正球70が取り付けられた場合について説明したが、手順4では、第2の校正球70を備えないツール68を用いてもよい。
1…測定装置、10…三次元座標測定機、12…ヘッド、14…ビーム、16R、16L…コラム、18…Y軸駆動機構、20…定盤、22…Z軸スピンドル、24…プローブヘッド、26…スタイラス、28…測定子、30…コンピュータ、32…制御部、32A…三次元座標測定制御部、32B…ロボット制御部、40…コントローラ、50…第1の校正球、60…ロボットアーム、62…ロボット基台、64…アーム、65…関節部、66…フランジ、68…ツール、70…第2の校正球
Claims (3)
- ワークが設置される定盤と、前記定盤に対して相対移動可能に設けられ、前記ワークの三次元座標測定を行うための測定プローブとを備える三次元座標測定機と、
前記定盤の上に固定され、前記ワークに対する作業のためのツールが取り付けられたロボットアームであって、校正球が前記ツールに取り付けられたロボットアームとを備える測定装置を用いた測定方法において、
前記ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの前記校正球の位置を、前記三次元座標測定機を用いて測定し、前記姿勢ごとに、前記三次元座標測定機に設定された第1の座標系における前記校正球の座標を取得する変換行列算出第1工程と、
前記第1の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の測定値と、前記ロボットアームに設定された第2の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の設定値に基づいて、前記第1の座標系を前記第2の座標系に変換するための変換行列を算出する変換行列算出第2工程と、
前記三次元座標測定機に設定された第1の座標系における目標位置に、前記ロボットアームに取り付けられたツールを移動させる際に、前記変換行列を用いて、前記第1の座標系における目標位置を前記ロボットアームに設定された第2の座標系に変換する目標位置制御工程と、
を含む測定方法。 - 前記ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの前記校正球の位置を、前記三次元座標測定機を用いて測定し、前記三次元座標測定機に設定された第1の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標を取得する校正第1工程と、
前記第1の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標と、各姿勢の間の姿勢変更パラメータに基づいて、前記第2の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標を算出する校正第2工程とを含み、
前記変換行列算出第1工程では、前記第2の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標を設定して、前記ロボットアームの姿勢を制御し、
前記変換行列算出第2工程では、前記第1の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の測定値と、前記ロボットアームに設定された第2の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の設定値に基づいて、前記第1の座標系を前記第2の座標系に変換するための変換行列を算出する、請求項1に記載の測定方法。 - ワークが設置される定盤と、前記定盤に対して相対移動可能に設けられ、前記ワークの三次元座標測定を行うための測定プローブとを備える三次元座標測定機と、
前記定盤の上に固定され、前記ワークに対する作業のためのツールが取り付けられたロボットアームであって、校正球が前記ツールに取り付けられたロボットアームと、
前記ロボットアームに4つ以上の姿勢を取らせたときの前記校正球の位置を、前記三次元座標測定機を用いて測定し、前記姿勢ごとに、前記三次元座標測定機に設定された第1の座標系における前記校正球の座標を取得する測定制御部と、
前記第1の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の測定値と、前記ロボットアームに設定された第2の座標系における前記姿勢ごとの前記校正球の座標の設定値に基づいて、前記第1の座標系を前記第2の座標系に変換するための変換行列を算出する変換行列算出部と、
前記三次元座標測定機に設定された第1の座標系における目標位置に、前記ロボットアームに取り付けられたツールを移動させる際に、前記変換行列を用いて、前記第1の座標系における目標位置を前記ロボットアームに設定された第2の座標系に変換する目標位置制御部と、
を備える測定装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021032569A JP2022133719A (ja) | 2021-03-02 | 2021-03-02 | 測定方法及び装置 |
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JP2021032569A Pending JP2022133719A (ja) | 2021-03-02 | 2021-03-02 | 測定方法及び装置 |
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-
2021
- 2021-03-02 JP JP2021032569A patent/JP2022133719A/ja active Pending
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