JP2022132747A - 呼気ミスト捕集システム - Google Patents

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Atsushi Yamamoto
宏 伊藤
Hiroshi Ito
桃葉 岡平
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祐史 加藤
Yuji Kato
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Abstract

【課題】呼気ミストを含む呼気を外因による夾雑物を含まないように捕集手段まで搬送することができる呼気搬送装置を備え、呼気ミストの精度の高い定量と効率的な捕集とを行うことができる呼気ミスト捕集システムを提供する。【解決手段】呼気ミスト捕集システムSは、被験者の呼気を導入する呼気搬送装置1と、呼気搬送装置1に導入された呼気を吸着剤に流通させて呼気ミストを捕集する捕集装置2と、呼気搬送装置1に清浄な空気を供給する清浄空気供給装置3と、呼気搬送装置1に導入された呼気中の呼気ミストを定量する定量装置4と、を備えており、清浄空気供給装置3から呼気搬送装置1を経由して捕集装置2に向かう気流を生じさせ、呼気搬送装置1に導入された呼気中の呼気ミストを定量手段4により定量し、呼気搬送装置1に導入された呼気を、吸着ユニット20に流通させて吸着剤に接触させることにより呼気ミストを捕集する。【選択図】図1

Description

本発明は、血液等から肺胞を介して放出される不揮発性物質を内包する呼気ミストを捕集するための呼気ミスト捕集システムに関する。
治療用薬物は用法・用量が定められているが,有効血中濃度範囲が狭く毒性発現濃度が近接している薬物,患者ごとに異なる薬物代謝能や他の薬物との相互作用により血中濃度が大きく変動する薬物については,その血中有効濃度を維持するために治療薬物モニタリング (therapeutic drug monitoring, TDM ) が行われる。血中濃度は患者の薬物代謝能等によって変動し、分子標的薬の投与量と血中濃度の関係は患者ごとに異なる。したがって、効果的な治療を行うためにはTDMが必須となっている。このようなTDMにおいては 、従来、採血をともなう侵襲的手法によって測定試料が採取されていた。採血は患者のみならず医療関係者に対しても大きな心身的負担を強いる。また、採血は一日に何度も実施することができず、血中濃度の常時モニタリングは不可能であった。更に、TDMに供する血液試料はある程度の量が必要であり、患者自らや家族など非医療従事者が家庭で採血するのは不可能であった。
このような現状において、患者及び医療関係者双方において、採血などの侵襲的手法に代わる非侵襲的手法にたいする大きな要請があった。場所や時間を選ばず医療関係でなくても実施できる非侵襲的手法による生体試料採取は、治療用薬物のみならず、有害物質による中毒の原因化合物の特定、更には麻薬・覚せい剤などの禁止薬物服用の有無確認というような分野でも切望されている。
ここで、非侵襲的手法として、呼気や皮膚などから発生や放出される成分に注目した方法が検討されている。皮膚から揮発する成分を用いた場合、環境や被験者の発汗などに伴う皮膚状態により採取に大きな影響を受ける。そこで、変化が少ない呼気中に含まれる不揮発成分などを分析し、被験者の状態を検査する方法が検討されている。血液や肺組織に含まれる不揮発性成分などを採取しTDMに活用する。例えば、治療薬、食品等に含まれ体内に取り込まれた有害化合物、ホルモンなどの生理化性物質、グルコースや脂質などの疾患の指標となる物質などは、呼吸にともなって形成される肺サーファクタントや体液からなる肺胞被覆液のミスト(呼気ミスト)に取り込まれて呼気に放出される。
発明者らは、呼吸運動にともなって肺胞から排出される呼気ミストは、肺胞内に存在する肺サーファクタントの膜とそれに内包される水分から構成される微粒子の集合体であり、更に、当該微粒子に循環血液から肺胞に浸潤した非揮発性物質が含まれることに注目した。すなわち、肺サーファクタント膜と水分からなる微粒子を捕集することにより、血液から排出された非揮発性物質を効率よく集め、また濃縮できるということを見出した。これにより、治療薬物モニタリング (therapeutic drug monitoring, TDM )など、化合物・物質の血中及び組織中の濃度等をモニタリングして疾病の診断、治療に応用したり、有害物質の体内取り込み状況、更には麻薬・覚せい剤などの禁止薬物服用の有無を把握することができる。なお、呼気に伴い放出された成分、例えば、アンモニアやアセトンを始めとする揮発性や水溶性の化合物も呼気ミストに抱合されたり一緒に放出される場合はその対象成分も補集可能である。
このような呼気ミスト中の不揮発性成分を分析するために、例えば、特許文献1には、呼気凝縮液を採取してタンパク質、生理活性因子、グルコース、有毒金属)を測定する方法及び装置が開示されている。
しかし、このように呼気凝縮液を採取する方法は、採取に長時間を要し被験者に大きな負担を強いるものであり、実施上の制限事項が多いという問題があった。
また、特許文献2には、呼気に含まれるエアロゾルをフィルタで付着、捕捉して、当該フィルタ付着したエアロゾルを分析する技術が開示されている。
特表2012-521008号公報 特表2014-510914号公報
特許文献2に記載の技術は、主に禁止薬物の使用の有無を判定するためのものであり、分析対象の定量性に乏しいという問題があった。また、被験者が環境中の空気による呼吸を行うため、夾雑物が多く混入するという問題があった。更に、呼吸による自然排気による吸着であるため、呼気ミストの吸着材への衝突が十分でなく、吸着効率が低いという問題があった。
本発明は、血液等から肺胞を介して放出される不揮発性物質を内包する呼気ミストを含む呼気を、外因による夾雑物を含まないように捕集手段まで搬送することができる呼気搬送装置を備え、呼気ミストの精度の高い定量と効率的な捕集とを行うことができる呼気ミスト捕集システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、血液等から肺胞及び気道を介して放出される不揮発及び難揮発性物質を内包する呼気ミストを捕集する呼気ミスト捕集システムであって、被験者の呼気を導入するとともに呼気の搬送流路となる呼気搬送装置と、前記呼気搬送装置により搬送された呼気を吸着剤に接触させて呼気ミストを捕集する捕集装置と、前記呼気搬送装置に呼気を搬送するための清浄な空気を供給する清浄空気供給装置と、前記呼気搬送装置により搬送される呼気中の呼気ミストを定量する定量装置と、を備え、前記呼気搬送装置は、被験者が装着し、被験者の呼気を導入するための呼気導入部材と、前記呼気導入部材と連通して接続され、内部で呼気が搬送される筐体と、を備え、前記筐体は、前記清浄空気供給装置と接続され、清浄な空気が供給される空気導入部と、前記空気導入部に供給された清浄な空気により、前記呼気導入部材に導入された呼気を搬送し、前記定量装置に案内する呼気搬送部と、を備え、前記捕集装置は、一端が前記空気導入部に接続され、呼気ミストを吸着させるための吸着材を保持する吸着ユニットと、前記吸着ユニットの他端に接続され、呼気を前記吸着ユニットに流通させるために吸引を行う吸引手段と、を備え、前記清浄空気供給装置から前記呼気搬送装置を経由して前記捕集装置に向かう気流を生じさせ、前記呼気搬送装置に導入された呼気中の呼気ミストを前記定量手段により定量し、前記呼気搬送装置に導入された呼気を、前記吸着ユニットに流通させて前記吸着剤に接触させることにより呼気ミストを捕集する、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の呼気ミスト捕集システムにおいて、前記清浄空気供給装置が清浄な空気を加温する加温手段を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の呼気ミスト捕集システムにおいて、前記呼気導入部材は、前記筐体の一端に接続され、前記筐体の他端から前記呼気導入部材に向かって延設され、前記呼気導入部材に対向して開口する管状部材により、前記筐体内部が前記空気導入部と前記呼気搬送部とに区画されており、前記空気導入部は、前記筐体の他端において前記清浄空気供給装置と接続されており、前記呼気搬送部は、気流の下流で前記定量装置及び前記捕集装置に接続されている、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の呼気ミスト捕集システムにおいて、前記定量装置は、光学的手法により求めた粒子径及び粒子数に基づいて呼気ミストを定量する、という技術的手段を用いる。
被験者が呼吸する空気を、清浄空気供給装置により供給した清浄な空気とし、この空気により、呼気を搬送、捕集することができるので、塵などの夾雑物を含まないようにすることができる。呼気を搬送しながら定量装置により呼気ミストを定量することができ精度の高い定量を行うことができる。吸引装置により吸引しながら呼気ミストを捕集するので、吸着材に対して呼気ミストを十分に衝突させることができ、呼気ミストの吸着効率を高くすることができる。これにより、呼気ミストの効率的な捕集を行うことができる。
呼気ミスト捕集システムの構成を模式的に示す説明図である。 呼気搬送装置の構造を示す斜視説明図である。 図3(A)は呼気搬送装置の筐体の構造を示す斜視説明図、図3(B)は筐体の構造を示す平面説明図、図3(C)は呼気搬送装置の内部構造を示す側面説明図である。 被験者に呼気搬送装置の呼気導入部材を装着した状態を模式的に示す説明図である。 被験者が呼吸していない状態での空気の流れを模式的に示す説明図である。 被験者が吸気したときの空気の流れを模式的に示す説明図である。 被験者が排気したときの空気及び呼気の流れを模式的に示す説明図である。図7(A)は排気直後の状態、図7(B)は呼気ミストの搬送状態を示す説明図である。 呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合の吸引量と検出された呼気ミスト体積との関係を示す。 呼気搬送装置に清浄な空気を導入した場合の吸引量と検出された呼気ミスト体積との関係を示す。
本発明の呼気ミスト捕集システムについて、図1-3を参照して説明する。
呼気ミスト捕集システムSは、呼気成分を計測するために、血液等から肺胞及び気道を介して放出される不揮発及び難揮発性物質を内包する呼気ミストを吸着剤で吸着し捕集する装置である。図1に示すように、呼気ミスト捕集システムSは、被験者の呼気を導入する呼気搬送装置1と、呼気搬送装置1に導入された呼気を吸着剤に流通させて呼気ミストを捕集する捕集装置2と、呼気搬送装置1に清浄な空気を供給する清浄空気供給装置3と、呼気搬送装置1に導入された呼気中の呼気ミストを定量する定量装置4と、を備えている。
呼気搬送装置1は、内部で呼気が搬送される筐体10に、被験者が装着し被験者の呼気を導入するための呼気導入部材11と、呼気導入部材11に向かって、清浄空気供給装置3により清浄な空気を供給する空気導入部12と、空気導入部12に導入された清浄な空気により、呼気導入部材11に導入された呼気を、捕集装置2に搬送する呼気搬送部13と、を備えている。
呼気導入部材11は、筐体10の一端10aに内部に連通して接続されており、被験者の口元を覆うマスクや被験者が咥えて呼気するマウスピースなど呼気を漏れなく回収する呼気導入部11aと、被験者が呼気導入部11aを装着したまま繰り返し呼吸ができるように筐体10の内圧を調整する調整弁11bと、を備えている。なお、図3(A)では、内部構造を把握しやすくするために、一端10aを省略している。
筐体10の他端10bからは、呼気導入部材11に向かって管状部材10cが延設されている。管状部材10cは、呼気導入部材11に対向して開口しており、筐体10の内部を空気導入部12と呼気搬送部13とに区画する。管状部材10cの内部が呼気搬送部13に相当し、筐体10内部の呼気搬送部13以外の部分が空気導入部12に相当する。
空気導入部12は、筐体10の他端10bに、清浄空気供給装置3と接続される接続部12aを備えている。
呼気搬送部13は、筐体10の他端10bに、搬送された呼気を捕集装置2に送出する送出部13aと、定量装置4に接続する接続部13bと、を備えている。
筐体10の容量は、一般的な安静換気量500cc以上とすることが好ましい。
捕集装置2は、呼気ミストを吸着させるための吸着剤Kを保持する吸着ユニット20と、呼気を吸着ユニット20に流通させるために吸引を行う吸引装置21と、を備えている。
吸着ユニット20は、吸着剤Kが充填された管状のカートリッジ20aを備えている。カートリッジ20aは、一端が呼気搬送部13に、他端が吸引装置21に接続されており、内部に通気可能に構成されている。
呼気ミストは、表面疎水性の逆ミセルと考えられる。吸着剤Kは、このような呼気ミストを十分に捕捉できれば、各種吸着剤を用いることができる。例えば、グリシジルメタクリレート (GMA) とジビニルベンゼン(DVB) との共重合体などを用いることができる。
吸引装置21は、例えば、吸着ユニット20に接続された吸引ポンプからなり、吸着ユニット20の背面側から吸引することにより呼気を吸着ユニット20に流通させる。
清浄空気供給装置3は、公知の構成の装置を用いることができる。例えば、被験者側から空気を加温する加温手段である恒温槽30、流量計31、HEPAフィルタなどのエアフィルタ32、空気を乾燥させる乾燥手段であるシリカゲル33、活性炭34及びエアコンプレッサ35がこの順に並んで、 空気導入部12と接続されている。この構成により、空気導入部12に流量を制御し一定温度に保持された無塵で清浄な空気を流すことができる。また、恒温槽30により清浄な空気を加温することにより、呼気ミストの凝縮に伴う回収効率の低下などを防止することができる。
定量装置4は、呼気搬送装置1に導入された呼気中の呼気ミストを定量する装置であり、例えば、光学的測定手段であるパーティクルカウンタを好適に用いることができる。これによれば、一定時間内の呼気ミストの粒子径分布を測定することにより体積を算出することができる。
ここで、呼気導入部材11の内面は、呼気ミストを効率よく搬送し、捕集装置2へ導入するため、呼気ミストが吸着しにくいように疎水性であることが好ましい。
(呼気ミスト捕集方法)
次に、呼気ミスト捕集方法について、図4-7を参照して説明する。なお、各図において気流、呼気の流れを内部構造を把握しやすくするために、呼気搬送装置1は簡略化して示している。
まず、吸着ユニット20を接続しない状態で各装置を起動する。次に、呼気搬送装置1を外部から空気が筐体10内に入らないように遮断した後に、清浄空気供給装置3により筐体10の空気導入部12から清浄な空気を供給する。清浄な空気は流量、筐体10の体積、空気導入部12及び呼気搬送部13における流速を勘案し所定時間流し、筐体10内部を清浄な空気で置換する。その後、吸着ユニット20を接続する。本実施形態では、一般的な成人男子の一回の安静換気量が0.5Lであることを勘案し、清浄な空気の供給量を毎分の呼吸量を超える10L/minに設定した。
呼気ミストの捕集は、以下の手順で行う。
まず、図4に示すように被験者に呼気導入部材11を装着し、所定時間(例えば30秒)安静呼吸をしてもらう。これにより、被験者の肺を清浄な空気で置換する。なお、測定環境は一定温度とすることが好ましい。
被験者が呼吸をしていないときの空気の流れを図5に示す。清浄空気供給装置3により筐体10の空気導入部12から供給された清浄な空気は、空気導入部12から呼気導入部材11を経て呼気搬送部13に向かう気流となる。
被験者が吸気したときの空気の流れを図6に示す。図5に示した気流を維持しながら、被験者は呼気導入部材11内の清浄な空気を吸気することができる。
続いて、被験者は、呼気導入部材11により管状部材10cの開口部に向かって呼気ミストを含んだ呼気を吐出する。図7(A)は排気直後の状態である。このとき、呼気ミストMは被験者の口元の前方に吐出されている。続いて図7(B)に示すように、この呼気ミストMを含み吐出された呼気は、この気流に乗って管状部材10cの開口部から呼気搬送部13に搬送される。
ここで、筐体10内は清浄な空気で満たされているため、呼気ミストMは搬送中に夾雑物により汚染されるおそれはない。
また、搬送空気として、乾燥及び加温されたである清浄な空気を用いているので、呼気ミストMの凝集を防止することができる。
筐体10の容量を超えて供給された清浄な空気は、所定の内圧を超えると呼気導入部材11から調整弁11bより外部に排出される。ここで、被験者の口元と呼気導入部材11との密着が十分でない場合でも、被験者と呼気導入部材11の隙間から外部に漏れることによりエアーカーテン様となり外部と遮断された状態を維持することができる。
呼気搬送部13を清浄な空気により搬送される呼気ミストMを含んだ呼気は、呼気搬送部13の下流側に接続された捕集装置2に搬送される。
捕集装置2では、吸引装置21により吸着ユニット20の下流側から吸引することにより、所定の終了で呼気を吸着ユニット20に流通させる。これにより、吸着ユニット20において呼気ミストMを吸着して捕集することができる。
ここで、清浄空気供給装置3により供給された清浄な空気は、恒温槽30により温度調整が行われているので、呼気ミストの凝縮に伴う回収効率の低下などを防止することができる。また、呼気を気流に乗せてすばやく搬送することにより、搬送経路中での損失を少なくすることができる。
呼気ミストは、表面疎水性の逆ミセルと考えられる。吸着剤Kは、このような呼気ミストを十分に捕捉できれば、各種吸着剤を用いることができる。例えば、グリシジルメタクリレート (GMA) とジビニルベンゼン(DVB) との共重合体などを用いることができる。
定量装置4では、呼気搬送部13を搬送される呼気中の呼気ミストを定量する。例えば、定量装置4としてパーティクルカウンタを用いる場合、所定時間間隔(例えば、1分間隔)で作動させて、粒子径分布を測定して体積に換算し、各々の換算結果を積算して定量する。
所定時間経過後、呼気ミストの捕集及び定量を終了する。当該時間は、呼気ミスト中の分析対象を勘案して設定することができる。ある物質の血中の薬物濃度をモニターしたい場合、血中薬物濃度に応じて設定することが好ましく、例えば、尿素なら4~7分、フェキソフェナジンなら10分とすることができる。
そして、吸着ユニット20を回収し分析に供する。
(呼気ミスト分析方法)
呼気ミストを捕集した吸着ユニット20は、呼気搬送装置1から取り外し、分析に供される。分析装置としては、蛍光発光分析装置、吸光光度分析装置、液体クロマトグラフィー/質量分析装置など、測定対象に合わせた分析装置を用いることができる。
(実施形態の効果)
本発明の呼気ミスト捕集システムSによれば、被験者が呼吸する空気を、清浄空気供給装置3により供給した清浄な空気とし、この空気により、呼気を搬送、捕集することができるので、塵などの夾雑物を含まないようにすることができる。呼気を搬送しながら定量装置4により呼気ミストを定量することができ精度の高い定量を行うことができる。吸引装置2により吸引しながら呼気ミストを捕集するので、吸着材に対して呼気ミストを十分に衝突させることができ、呼気ミストの吸着効率を高くすることができる。これにより、呼気ミストの効率的な捕集を行うことができる。
呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合と導入した場合とで、呼気ミストの検出量を比較した。
清浄空気供給装置からの空気供給量は10L/min、吸引装置による吸引量は1、3、5L/minとした。ここで、恒温槽は60℃で制御し、空気を加温した。
呼気ミストの測定は以下の手順で行った。まず、呼気導入部材の開口部を封じて筐体内に清浄な空気を流通させ、筐体内を清浄な空気で置換する。次に、被験者に呼気導入部材を装着し、安静呼吸を繰り返してもらう。これにより、被験者の肺を清浄な空気で置換する。
呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合には、上記ステップを省略する。
続いて、捕集装置により呼気ミストの採取を開始し、その30秒後に定量装置(パーティクルカウンタ)による呼気ミスト体積の測定を開始する。捕集終了時まで呼気ミスト粒度分布測定を行い、その時間(分)当たりの平均値より採取した呼気ミスト体積を算出した。
2人の被験者について、呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合の吸引量と検出された呼気ミスト体積との関係を図8に示す。
被験者1、2ともに検出された呼気ミスト体積は5×10-6mmを超えていた。被験者2では、吸引量の増大に伴い、呼気ミスト体積が大きく増大した。
呼気搬送装置に清浄な空気を導入した場合の吸引量と検出された呼気ミスト体積との関係を図9に示す。
被験者1、2ともに検出された呼気ミスト体積は5×10-6mm以下と同等の値を示した。また、呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合に被験者2で認められた、吸引量の増大に伴い呼気ミスト体積が増大する現象も認められず、呼気ミストの検出量は吸引量に依存せずほぼ一定であった。
呼気搬送装置に清浄な空気を導入しない場合では、環境中の夾雑物が多く、呼気ミストと夾雑物とを区別できず定量装置で定量したため、呼気ミスト体積が大きく定量されたと考えられる。特に、被験者2の場合、吸引量の増大に伴い環境中の夾雑物を多く吸引したため、検出値が増大したものと考えられる。
一方、呼気搬送装置に清浄な空気を導入した場合では、環境中の夾雑物の影響を排除することができ、呼気ミストのみを定量装置で定量することができたので、清浄な空気を導入しない場合に比べて、被験者1、2ともに検出された呼気ミスト体積は5×10-6mm以下と低値を示した。
以上より、本発明の呼気ミスト捕集システムによれば、被験者が呼吸する空気を、塵などの夾雑物を含まないようにすることができ、呼気ミストの精度の高い定量を行うことができることが確認された。
(付記:呼気ミスト)
肺の末梢構造は、終末細気管支が呼吸細気管支に分岐し、更に肺胞管、肺胞嚢へと分岐していく。肺胞の表面は、II型肺胞上皮細胞が産出する肺サーファクタントや肺胞マクロファージの細胞内液、間質の組織液から成る肺胞被覆液に覆われている。
細気管支を含む末梢気道は呼気に伴い閉塞し、吸気により開くので、その開管時に肺胞被覆液や気管支線分泌物を含んだ気道被覆液が飛沫化したり、呼気吸気に伴い形成される乱流により、呼気ミストが形成される。この呼気ミストは、気道被覆液の一部がミスト状となって気道内に放出され、呼気により外部に放出されたものである。
肺サーファクタントは、主成分がリン酸脂質のジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine)である、脂質と蛋白質との混合物であり、肺胞内から空気が虚脱するのを防ぐための界面活性剤として作用する。肺サーファクタントを構成する蛋白質としては、4種類の表面活性物質関連蛋白(surfactant protein;SP)が知られている。SP-A及びSP-Dが糖蛋白、SP-B及びSP-Cが脂質親和性蛋白である。
肺胞嚢は小さな肺胞の塊で、ここで外気と血液のガス交換が行われる。肺胞被覆液は、肺胞の内面を薄く覆わっており、間質膜を隔てて血液と接している。血液や肺組織に含まれる不揮発及び難揮発性物質、例えば、治療薬、食品等に含まれ体内に取り込まれた有害化合物、ホルモンなどの生理活性物質、グルコースや脂質などの生体のエネルギーなどとなる物質などは、血液から肺胞被覆液中へ移行する。
そして、不揮発及び難揮発性薬物を内包した肺胞被覆液は気管支線からの分泌成分とともに気管支被覆液となり、呼気ミストとして呼気中に放出される。この呼気ミストを吸着剤で捕集し、それに含まれる上記化合物・物質を測定することにより、それらの体内動態を把握することができる。これにより、上記化合物・物質等の血中及び組織中の濃度等をモニタリングして、治療薬物モニタリング、疾病の診断・治療への応用、有害物質の体内取り込み状況の把握、などを行うことができる。
1…呼気搬送装置
10…筐体
10a…一端
10b…他端
10c…管状部材
11…呼気導入部材
11a…呼気導入部
11b…調整弁
12…空気導入部
12a…接続部
13…呼気搬送部
13a…送出部
13b…接続部
2…捕集装置
20…吸着ユニット
21…吸引装置
20a…カートリッジ
3…清浄空気供給装置
30…恒温槽
31…流量計
32…エアフィルタ
33…シリカゲル
34…活性炭
35…エアコンプレッサ
4…定量装置
M…呼気ミスト
S…呼気ミスト捕集システム

Claims (4)

  1. 血液等から肺胞及び気道を介して放出される不揮発及び難揮発性物質を内包する呼気ミストを捕集する呼気ミスト捕集システムであって、
    被験者の呼気を導入するとともに呼気の搬送流路となる呼気搬送装置と、
    前記呼気搬送装置により搬送された呼気を吸着剤に接触させて呼気ミストを捕集する捕集装置と、
    前記呼気搬送装置に呼気を搬送するための清浄な空気を供給する清浄空気供給装置と、
    前記呼気搬送装置により搬送される呼気中の呼気ミストを定量する定量装置と、
    を備え、
    前記呼気搬送装置は、
    被験者が装着し、被験者の呼気を導入するための呼気導入部材と、
    前記呼気導入部材と連通して接続され、内部で呼気が搬送される筐体と、を備え、
    前記筐体は、前記清浄空気供給装置と接続され、清浄な空気が供給される空気導入部と、
    前記空気導入部に供給された清浄な空気により、前記呼気導入部材に導入された呼気を搬送し、前記定量装置に案内する呼気搬送部と、を備え、
    前記捕集装置は、
    一端が前記空気導入部に接続され、呼気ミストを吸着させるための吸着材を保持する吸着ユニットと、
    前記吸着ユニットの他端に接続され、呼気を前記吸着ユニットに流通させるために吸引を行う吸引手段と、を備え、
    前記清浄空気供給装置から前記呼気搬送装置を経由して前記捕集装置に向かう気流を生じさせ、
    前記呼気搬送装置に導入された呼気中の呼気ミストを前記定量手段により定量し、
    前記呼気搬送装置に導入された呼気を、前記吸着ユニットに流通させて前記吸着剤に接触させることにより呼気ミストを捕集することを特徴とする呼気ミスト捕集システム。
  2. 前記清浄空気供給装置が清浄な空気を加温する加温手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の呼気ミスト捕集システム。
  3. 前記呼気導入部材は、前記筐体の一端に接続され、
    前記筐体の他端から前記呼気導入部材に向かって延設され、前記呼気導入部材に対向して開口する管状部材により、前記筐体内部が前記空気導入部と前記呼気搬送部とに区画されており、
    前記空気導入部は、前記筐体の他端において前記清浄空気供給装置と接続されており、
    前記呼気搬送部は、気流の下流で前記定量装置及び前記捕集装置に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の呼気ミスト捕集システム。
  4. 前記定量装置は、光学的手法により求めた粒子径及び粒子数に基づいて呼気ミストを定量することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の呼気ミスト捕集システム。
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