JP2022130147A - 切削工具 - Google Patents

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誠 五十嵐
Makoto Igarashi
佳祐 河原
Keisuke Kawahara
龍 市川
Ryo Ichikawa
一樹 岡田
Kazuki Okada
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Abstract

【課題】合金鋼等の連続切削加工において、すぐれた耐塑性変形性を発揮するWC基超硬工具および表面被覆WC基超硬工具の提供。【解決手段】前記WC基超硬工具において、CoおよびNiの少なくとも1種を4.0質量%以上、10.0質量%未満含有し、また、TiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、および、VCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を合計にて、4.0質量%以上、12.0質量%未満にて含有し、さらに、Cr3C2を0.0質量%以上、0.5質量%未満にて含有し、残部は、WCおよび不可避的不純物とからなり、副硬質相の平均粒径は、2.0μm以上、6.0μm以下であり、副硬質相の合計界面長に対する副硬質相-結合相界面長の比率が9.0%未満である、WC基超硬合金製切削工具。

Description

本発明は、合金鋼等(鋼、ステンレス鋼、Ni基合金等)の連続切削加工(例えば、連続旋削加工等)において、すぐれた耐塑性変形性を発揮するWC基超硬合金を工具基体として用いたWC基超硬合金切削工具に関するものである。
WC基超硬合金は硬さが高く、また、靱性を備えることから、これを基体とするWC基超硬工具および表面被覆WC基超硬工具は、すぐれた耐摩耗性を発揮し、また、長期の使用にわたって長寿命を有する切削工具として知られている。
しかし、近年、被削材の種類、切削加工条件等に応じて、WC基超硬工具の切削性能、工具寿命をより一段と向上させるべく、各種の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、炭化タングステンを主成分とする主硬質相と、鉄族元素(コバルトを含み、コバルトの含有量は超硬合金中において8質量%以上であることが好ましい)を主成分とする結合相とを備える超硬合金において、炭化タングステンの粒子数をA、他の炭化タングステン粒子との接触点の点数が1点以下の炭化タングステン粒子の粒子数をBとするとき、B/A≦0.05を満たすようにすることで、超硬合金の耐塑性変形性を向上させ、その結果として、炭素鋼、ステンレス鋼の湿式連続切削加工において、WC基超硬工具の長寿命化を図ることが提案されている。
特許文献2では、Co量が10~13質量%、Co量に対するCr量の比が2~8%、TaCとNbCの少なくとも1種をTaCとNbCの総量が0.2~0.5質量%となる範囲で含有し、残部がWCから成り、硬さが88.6HRA~89.5HRAであるWC基超硬工具において、研磨面上の面積比におけるWC積算粒度80%径D80と積算粒度20%径D20の比D80/D20を2.0≦D80/D20≦4.0の範囲とし、また、D80を4.0~7.0μmの範囲とし、かつWC接着度cを0.36≦c≦0.43とすることにより、ステンレス鋼に代表される難削材の切削加工において、被削材の凝着を防止し耐欠損性を向上させることが提案されている。
特許文献3では、WC基超硬工具において、WC基超硬合金の成分組成を、WC-x質量%Co-y質量%Cr-z質量%VCで表したとき、6≦x≦14、0.4≦y≦0.8、0≦z≦0.6、(y+z)≦0.1xを満足し、また、WC基超硬合金のWC接着度Cを、C=1-V α・exp(0.391・L)で表したとき、この式におけるWC基超硬合金の結合相体積率の値Vは0.11≦V≦0.25、また、(WC粒子の粒度分布の標準偏差)/(平均WC粒度)の値Lは0.3≦L≦0.7の範囲内であって、さらに、係数αが0.3≦α≦0.55の値を満足するWC接着度Cを有するWC基超硬合金とすることにより、Al合金、炭素鋼等の切削加工において、硬さと剛性を低下させることなく靱性を向上させ、耐欠損性を高めたWC基超硬工具が提案されている。
特許文献4では、WC基超硬工具において、WC-WC接着界面長さをL1とし、WC-Co接着界面長さをL2とした時、
R>(0.82-0.086×D)×(10/V)
の式を満足させることにより、Ni基耐熱合金の切削加工において、WC基超硬工具の耐熱塑性変形性と靱性を向上させることが提案されている。
なお、R=(L1)/((L1)+(L2))
D:WC面積平均粒径(μm)であって、0.6≦D≦1.7の範囲である。
ここで、前記Dは、WCの面積率が50%となるときのWCの粒径をいう。
V:結合相体積(vol%)であって、9≦V≦14の範囲である。
特許文献5では、重量%で、Crまたは/およびCr化合物:0~4%(Cr換算で)、Vまたは/およびV化合物:0~4%(V換算で)、TaC:0~2%、TiC:0~2%、Nまたは/およびN化合物:0~1%(N換算で)、Co:0.1~10%、WCおよび不可避不純物:残からなる組成を有し、かつ、0.06~30ナノメータのCo平均厚み(CFP)を有し、焼結に際し、昇温途中900度C~1600度Cの温度範囲の一部または全範囲において、気体を圧力媒体として3気圧~200気圧の圧力を負荷して高密度化を図った切削加工工具用WC-Co系超硬部品が提案されており、このWC-Co系超硬部品、望ましくは、WCの平均粒径が1μm以下、CFPが0.06~30nmの範囲の超微粒低Co超硬合金部品の靱性を高めることができるとされている。
ただし、CFPは、Co平均厚み(nm)であって、
CFP=0.58*A/(100-A)*Rから算出した値であり、A:Co(重量%),2R:WC平均粒径(nm)である。
特開2016-20541号公報 特開2017-88999号公報 特開2017-148895号公報 特開2017-179433号公報 特開平7-305136号公報
前記特許文献1~5で提案されている従来のWC基超硬工具によれば、WC-WC粒子相互の接触点数、WCの粒度、WC接着度あるいは製造条件等をコントロールすることによって、WC基超硬工具の切削性能、工具特性の向上が図られている。
しかしながら、前記従来の工具では、鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の連続切削加工、特に、連続旋削加工のような高負荷下での連続切削加工において用いた場合には、基体の耐塑性変形性が十分ではないため、工具変形等の発生を十分に抑制することができず、工具寿命に達してしまうという問題を有するものであった。
そこで、本発明者らは、鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の連続旋削加工のような高負荷下での連続切削加工において、すぐれた耐塑性変形性を発揮するWC基超硬工具を開発すべく、従来の技術とは視点を変えて、主硬質相、副硬質相および結合相からなるWC基超硬合金において、WC基超硬合金の副硬質相に関係する粒界長および界面長、すなわち、副硬質相と主硬質相とが接する界面の長さ(以下、「副硬質相-主硬質相界面長」という。)、副硬質相と他の副硬質相とが接する粒界の長さ(以下、「副硬質相-副硬質相粒界長」という。)、および、副硬質相と結合相とが接する界面の長さ(以下、「副硬質相-結合相界面長」という。)を含む前記粒界および前記界面の形態に着目して鋭意研究を進め、以下のような知見を得てなし得たものである。
なお、本発明に係るWC基超硬合金は、WCを含む主硬質相と、Ti、Ta、Nb、Zr、HfおよびVの単一の炭化物、および/または、前記元素の複数の元素からなる複合炭化物を含む副硬質相と、Coおよび/またはNiを含む結合相とを含んでなるものである。
すなわち、前記特許文献1~4に示されるWC基超硬工具においては、主として、WC粒子に着目した改善がなされ、また、前記特許文献5に示されるWC基超硬工具においては、主として、CFPに着目した改善がなされていたが、本発明者らは、従来の技術とは視点を変えて、前記「副硬質相-主硬質相界面長」、前記「副硬質相-副硬質相粒界長」、および、前記「副硬質相-結合相界面長」の和(「副硬質相の合計界面長」ともいう。)に対する前記「副硬質相-結合相界面長」の比率が、9.0%以上となった際に、副硬質相-主硬質相界面ならびに副硬質相-副硬質相界面が不足し、主硬質相および副硬質相からなる骨格構造が満足に形成できず、高温で大きな負荷がかかった際には、骨格構造の崩れから大きな塑性変形を生じ、短寿命となることを解決すべき課題として見出した。
そこで、本発明者らは、かかる課題について、WC基超硬合金における成分組成を調整するとともに、粗大固溶体を用い、結合相の混合順序を調整するなどにより結晶粒径の大きい副硬質相を結合相との接触を減少するように配置することにより、副硬質相の合計界面長である、1)副硬質相-主硬質相界面長と、2)副硬質相-副硬質相粒界長と、3)副硬質相-結合相界面長との合計長に対し、前記3)副硬質相-結合相界面長の比率を9.0%未満とすることができ、耐塑性変形性の劣化という本発明における課題を解決したものである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、以下のとおりのものである。
「(1)WC基超硬合金を基体とするWC基超硬合金製切削工具において、
前記WC基超硬合金の成分組成は、CoおよびNiの少なくとも1種を4.0質量%以上、10.0質量%未満にて含有し、
また、TiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、および、VCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を合計にて、4.0質量%以上、12.0質量%未満にて含有し、
さらに、Crを0.0質量%以上、0.5質量%未満にて含有し、
残部は、WCおよび不可避的不純物とからなり、
副硬質相の平均粒径は、2.0μm以上、6.0μm以下であり、
副硬質相の合計界面長に対する副硬質相-結合相界面長の比率が9.0%未満であることを特徴とするWC基超硬合金製切削工具。
(2)前記(1)のWC基超硬合金製切削工具の切れ刃には、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。」
なお、前記(1)、(2)におけるTiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、VC、および、Crの含有量は、WC基超硬合金製切削工具の縦断面について測定したTi量、Ta量、Nb量、Zr量、Hf量、V量、および、Cr量をいずれも炭化物換算した数値である。
また、本明細書において、数値範囲を示す際に、「~」を用いる場合は、その数値の下限および上限を含むことを意味する。
本発明に係る切削工具は、副硬質相の平均粒径を2.0μm以上、6.0μm以下とし、副硬質相の合計界面長に対する副硬質相-結合相粒界長の比率を9.0%未満とすることにより、耐塑性変形性が向上するため、連続旋削加工のような高負荷下での連続切削加工においても、長期の切削寿命を有するという顕著な効果を奏するものである。
以下、本発明に係るWC基超硬合金を構成する各成分の組成、および、前記超硬合金の組織(結合相、主硬質相、副硬質相)について説明をする。
1.WC基超硬合金組成
本実施形態の切削工具を構成する超硬合金の組成は、
CoとNiのいずれか一種または二種を4.0質量%以上、10.0質量%未満、
TiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、および、VCのいずれか一種または二種以上を4.0質量%以上、12.0質量%未満、
Crを0.0質量%以上、0.5質量%未満にて含み、
残部がWCおよび不可避的不純物からなる。
以下、順に説明する。
(1)Co、Ni
CoとNiは、WC基超硬合金において、結合相の主成分である。CoとNiのいずれか一種または二種を主成分として含み、CoとNiの合計の含有割合は、切削工具全体の4.0質量%以上、10.0質量%未満にて含むことが好ましい。
ここで、主成分とは、結合相を形成するすべての成分に対して、CoとNiのいずれか一種または二種を合計で50at%以上にて有することをいう。
なお、結合相には、Ti、Ta、Nb、Zr、Hf、Vの少なくとも一種以上を含んでいてもよく、これらの元素が結合相中に存在するときは、結合相に固溶した状態にあると推定される。
さらに、結合相中には、主硬質相の成分であるWやCや、その他の不可避的不純物が含まれていてもよい。
なお、CoおよびNiのat%は、超硬合金の任意の表面または断面を鏡面加工し、その加工面を蛍光X線回折測定することにより求めることができる。
(2)Cr
Crは、主たる結合相を形成するCo中にCrとして固溶し、主硬質相を形成するWC相の成長を抑制し、WC相の粒径を微細化させ、WC基超硬合金を微粒・均粒組織とし、靭性を高め、耐塑性変形性を向上させる効果を有する。他方、この作用は、Cr含有量が、Coの含有量に対し、5%を超えると、CrとWの複合炭化物を析出させ、靭性を低下させ、また、欠損の発生の起点となるおそれがある。
本発明において、Crは必須成分ではないが、Coの含有量の上限が10.0質量%未満であるため、添加する場合の含有割合は、切削工具全体に対して、Cr換算にて、0.5質量%未満にて添加することが好ましい。
(3)TiC、TaC、NbC、ZrC、HfCおよびVC
TiC、TaC、NbC、ZrC、HfCおよびVCは、WC基超硬合金において、主たる副硬質相形成成分として含有され、その含有量は、一種または二種以上を合計で4.0質量%以上、12.0質量%未満にて含有する。
これらの炭化物が存在する場合の含有割合は、M(金属原子)とCが、1:1にて結合した炭化物と仮定し、MCにより示される化合物の1種または2種以上が切削工具全体に対して、最大で12.0質量%未満にて含まれることが好ましい。
すなわち、12.0質量%以上では、耐摩耗性が不十分となり、また、凝集体が生じ易く、欠損発生の起点となるため、12.0質量%未満の範囲とすることが好ましい。
また、これらの炭化物により形成される副硬質相の平均粒径は、2.0μm未満では、切削加工中に副硬質相同士の滑りが生じやすく、耐塑性変形性や耐欠損性が十分ではなく、一方、平均粒径が6.0μmを超えると、十分な耐摩耗性が得られなくなるため、2.0μm以上、6.0μm以下の範囲より選択するのが好ましい。
これら副硬質相の平均粒径は、超硬合金の任意の表面または断面を鏡面加工し、その加工面を後方散乱電子線回折(EBSD)にてピクセルサイズにて観察し、画像解析によって、少なくとも300個の各副硬質相の面積を求め、その面積に等しい円の直径を算出して平均したものである。
なお、鏡面加工には、例えば、集束イオンビーム装置(FIB装置)、クロスセクションポリシャー装置(CP装置)等を用いる。
(4)WC
WCは、WC基超硬合金の主たる主硬質相形成成分として含有される。主硬質相には、製造過程にて不可避的に混入する不可避的不純物が含まれていてもよい。
主たる主硬質相形成元素であるWCを含む主硬質相の平均粒径は、0.2μm未満では、切削加工中に主硬質相同士の滑りが生じやすく、耐塑性変形性や耐欠損性が十分ではなく、一方、平均粒径4.0μmを超えると、十分な耐摩耗性が得られなくなるため、0.2μm以上、4.0μm以下の範囲より選択するのが好ましい。
主硬質相の平均粒径は、副硬質相の平均粒径と同様に、超硬合金の任意の表面または断面を鏡面加工し、その加工面を後方散乱電子線回折(EBSD)にてピクセルサイズにて観察し、画像解析によって、少なくとも300個の各主硬質相の面積を求め、その面積に等しい円の直径を算出して平均したものである。
なお、鏡面加工において、集束イオンビーム装置(FIB装置)、クロスセクションポリシャー装置(CP装置)等を用いる点においても、同様である。
(5)不可避的不純物
前記したように、副硬質層、主硬質相、および、結合相は製造過程にて不可避的に混入する不純物を含んでいてもよく、その量は切削工具全体を100質量%として外数として0.3質量%以下が好ましい。
2.副硬質相の全界面長に対する副硬質相-結合相界面長比率の導出方法
副硬質相の全界面長に対する副硬質相-結合相界面長比率の導出については、例えば、TSL社製OIM Data Collection(OIM結晶方位解析装置)を用いて、EBSD(Electron Back Scattered Diffraction)パターンの取込みとEDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)データの同時取込みを行う。
次いで、各結晶粒について、各元素に対応する結晶粒内部の各測定点から得られたEDSカウント値を平均し、各結晶粒の各元素EDS測定値とし、得られた測定値から各結晶粒の組成を導出する。EBSDパターンから、HCP相と同定され、かつWを20at%以上含有する結晶粒をWC粒とし、FCC相と同定された結晶粒のうち、CoおよびNiの含有量が合計で50at%以上である粒子を結合相とし、CoおよびNiの合計含有量が50at%未満である粒子を副硬質相とし、副硬質相の全界面長を副硬質相-主硬質相界面長と、副硬質相-副硬質相粒界長と、副硬質相-結合相界面長との合計長とし、副硬質相-結合相界面長を前記副硬質相の全界面長で除することにより、副硬質相-結合相界面長比率を得ることができる。
観察視野としては、1視野の大きさが20μm(縦)×70μm(横)、ピクセルサイズ40nm(縦)×40nm(横)の観察視野を設定する。
次に、実施例により本発明に係るWC基超硬工具を具体的に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
≪本発明WC基超硬工具≫
(a)原料粉末と配合
原料粉末として、平均粒径(d50)が、2.5μm~6.5μmのWC粉末と、それぞれの平均粒径(d50)が、いずれも、1.0~3.0μmの範囲内であるCo粉末、Ni粉末、Cr粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、ZrC粉末、HfC粉末、および、VC粉末を用意した。
まず、これらの粉末のうち、副硬質相形成元素の炭化物であるTiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、ZrC粉末、HfC粉末、および、VC粉末を所定の配合組成となるよう量りとり、ボールミルにて24時間の長時間混合、続けて真空下1800℃×4時間の熱処理を行い、更に続けてボールミルにて1時間の解砕を行い、粗大固溶体粉末を製造した。(表1の固溶体粉末の欄を参照)
(b)昇温・焼結工程
次いで、得られた粗大固溶体粉末を、前記WC粉末およびCr粉末と混合し、アトライターを用い、600RPM×1時間の湿式混合を行い、続けて前記粉末を混合したアトライターポットにCo粉末、Ni粉末を追加投入し、150RPM×10分の混合を行った。得られたスラリーを乾燥後、100MPaの圧力にてプレス成形し、圧粉成形体を作製した。(表3の本発明工程1~10を参照)
1)昇温工程
まず、固相焼結となる1000℃から焼結温度である1350℃までの昇温工程においては、昇温速度を40℃/分以上に早めることにより、固相焼結を抑制した。
2)焼結工程
次いで、1350℃以上への昇温後、1350℃~1450℃にて、10~80分、真空0.1Pa以下の条件にて、焼結を行い、WC基超硬合金焼結体を得た。
本焼結工程により、結晶粒径の大きい副硬質相を結合相との接触を減少させ配置させることができ、副硬質相の全界面長に対する副硬質相-結合相の粒界長比率を下げることができるため、主硬質相および副硬質相からなる骨格構造を強固に築くことができ、すぐれた耐塑性変形性を実現することができる。
次に、得られたWC基超硬合金焼結体を機械加工、研削加工し、CNMG432MMの形状に整え、表4に示す超硬合金基体1~10(以下、本発明工具基体1~10という)を作製した。
≪比較例WC基超硬工具≫
比較のため、比較例の超硬合金基体1~8(以下、比較例工具基体1~8という)を作製した。
(a)原料粉末と配合
原料粉末として、平均粒径(d50)が、2.5μm~6.5μmのWC粉末と、それぞれの平均粒径(d50)が、いずれも、1.0~3.0μmの範囲内であるCo粉末、Ni粉末、Cr粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、ZrC粉末、HfC粉末、および、VC粉末を用意した。
次いで、これら用意された粉末を表2に示す配合組成となるように混合し、焼結用粉末とし、アトライターを用い、回転数600rpm、1時間湿式混合し、乾燥後、100MPaの圧力にてプレス成形し、圧粉成形体を作製した。
(b)昇温・焼結工程
次いで、表3に示す比較工程1’~8’の昇温条件、および、焼結条件にて、焼結を行い、WC基超硬合金焼結体を得た後、前記WC基超硬合金焼結体を機械加工、研削加工し、CNMG432MMの形状に整えることにより、表5に示す比較例工具基体1~8を作製した。
次いで、本発明工具基体1~10および比較例工具基体1~8の超硬合金の断面について、電子マイクロアナライザー(EPMA)により、その成分であるCo、Ni、Cr、Ta、Nb、Ti、Zr、HfおよびVの各元素につき、60μm(縦)×90μm(横)視野全体におけるこれら元素の含有量を、相互の視野が重複しないよう10視野測定し、その平均値を各成分の含有量とした。
なお、ここで、Cr、Ta、Nb、Ti、Zr、HfおよびVの各元素については、それぞれ炭化物に換算して含有量を算出した。表4、表5にそれぞれの平均含有量を示す。
次に、本発明工具基体1~10および比較例工具基体1~8の超硬合金の断面について、例えば、前記OIM結晶方位解析装置を用いて、EBSDパターンの取り込みと得られたEDSデータの同時取り込みを行った。
次いで、各結晶粒について、各元素に対応する結晶粒内部の各測定点から得られたEDSカウント値を平均し、各結晶粒の各元素EDS測定値とし、得られた測定値から各結晶粒の組成を導出した。
また、EBSDパターンから、FCC相と同定された結晶粒のうち、CoおよびNiの含有量が合計で50at%以上である粒子を結合相とし、CoおよびNiの合計含有量が50at%未満である粒子を副硬質相とし、副硬質相の全界面長を副硬質相-主硬質相界面長と、副硬質相-副硬質相粒界長と、副硬質相-結合相界面長との合計値とし、副硬質相-結合相界面長を前記副硬質相の全界面長で除することにより、副硬質相-結合相界面長比率を得た。
観察視野としては、1視野の大きさが20μm(縦)×70μm(横)、ピクセルサイズ40nm(縦)×40nm(横)の観察視野を設定した。
Figure 2022130147000001



Figure 2022130147000002



Figure 2022130147000003



Figure 2022130147000004

Figure 2022130147000005

上記本発明工具1~10、比較例工具1~8について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、以下の湿式連続旋削加工試験を行った。
被削材:JIS・SUS304(HB170)の丸棒、
切削速度:105m/min、
切り込み:2.2mm、
送り:0.6mm/rev、
切削時間:5分、
湿式水溶性切削油使用。
上記湿式連続切削加工試験後の、切れ刃の逃げ面塑性変形量を測定するとともに、切れ刃の損耗状態を観察した。なお、切れ刃の逃げ面塑性変形量は、工具の主切れ刃側逃げ面について、切れ刃から十分離れた位置で主切れ刃側逃げ面とすくい面が交差する稜線上に線分を引き、同線分を切れ刃部方向に延伸し、延伸した線分と切れ刃部稜線間の距離(延伸した線分の垂直方向)が最も離れている部分を測定し、切れ刃の逃げ面塑性変形量とした。また、逃げ面塑性変形量が0.04mm以上であった時、損耗状態を刃先変形とした。
表7に、この試験結果を示す。
Figure 2022130147000006


また、前記本発明工具1~4、比較例工具1~4の切刃表面に、表8に示す平均層厚の硬質被覆層をPVD法あるいはCVD法で被覆形成し、本発明表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、「本発明被覆工具」という)1~4、比較例表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、「比較例被覆工具」という)1~4を作製した。
上記の各被覆工具について、以下に示す、湿式連続切削加工試験を実施し、切れ刃の逃げ面塑性変形量を測定するとともに、切れ刃の損耗状態を観察した。
切削条件:
被削材:JIS・SUS304(HB170)の丸棒、
切削速度:240m/min、
切り込み:2.0mm、
送り:0.5mm/rev、
切削時間:5分、
湿式水溶性切削油使用。
表9に切削試験の結果を示す。
Figure 2022130147000007


Figure 2022130147000008
表6及び表8に示される試験結果によれば、本発明工具および本発明被覆工具は、欠損を発生することなく、すぐれた耐塑性変形性を発揮するのに対して、比較例工具および比較例被覆工具は、欠損の発生もしくは塑性変形により工具寿命が短命であることがわかる。
以上のとおり、本発明工具および本発明被覆工具は、合金鋼やステンレス鋼等の連続旋削加工等の負荷の高い連続切削加工において、長期の使用に亘ってすぐれた効果を発揮するものであり、工具の長寿命化に大いに貢献するものである。

Claims (2)

  1. WC基超硬合金を基体とするWC基超硬合金製切削工具において、前記WC基超硬合金の成分組成は、CoおよびNiの少なくとも1種を4.0質量%以上、10.0質量%未満にて含有し、
    また、TiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、および、VCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を合計にて、4.0質量%以上、12.0質量%未満にて含有し、
    さらに、Crを0.0質量%以上、0.5質量%未満にて含有し、残部は、WCおよび不可避的不純物とからなり、
    副硬質相の平均粒径は、2.0μm以上、6.0μm以下であり、副硬質相の合計界面長に対する副硬質相-結合相界面長の比率が9.0%未満であることを特徴とするWC基超硬合金製切削工具。
  2. 請求項1に記載のWC基超硬合金製切削工具の切れ刃には、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
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