JP2022129167A - ボイラの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱損失および燃焼効率の低下を抑制できるボイラの制御装置を提供する。【解決手段】缶水を加熱するボイラの動作を制御するためのボイラの制御装置であって、蒸気を使用する使用機器からのドレンを回収するドレン回収装置内の水位に基づいて、缶水の水量を制御する制御手段を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、ボイラの制御装置に関する。
従来、ボイラによって生成された蒸気を蒸気使用機器に供給し、蒸気使用機器において熱源として使用された蒸気が凝縮して発生するドレンを、ドレンタンクを有するドレン回収装置に回収して、当該ドレンを再度ボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムが知られている。このようなボイラシステムとして、例えば、ドレンタンク内の水位が低い場合には、補給水タンクからドレンタンクへ補給水を供給し、ドレンタンク内の水位が高い場合には、ドレンタンクからドレンを排出するものがある(特許文献1参照)。
特開2006-105442号公報
しかしながら、蒸気使用機器は、ボイラやドレン回収装置から離れて、蒸気を使用する場所に設置されることがある。この場合、蒸気使用機器からドレン回収装置までの距離は、ドレン回収装置からボイラまでの距離よりも長くなる傾向にある。このため、例えば、蒸気使用量が増大したときには、ドレン回収装置からボイラへの供給量が増大する一方、ドレン回収装置に回収されるドレン量は蒸気使用量が増大する前の水量となるため、ドレン回収装置の水位が低下し、新水が供給されてしまう可能性が高まる。また、蒸気使用量が減少したときには、ドレン回収装置からボイラへの供給量が減少する一方、ドレン回収装置に回収されるドレン量は蒸気使用量が減少する前の水量となるため、ドレン回収装置の水位が上昇し、ドレン回収装置からドレンが排出されてしまう可能性が高まる。このように、ドレン回収装置において、蒸気使用機器から回収されるドレン回収量と、ボイラに給水される給水量とが均衡するまでにタイムラグが生じることに起因して、新水の供給やドレンの排出などによる熱損失を発生させてしまう可能性が高まり、燃焼効率を低下させてしまう虞があった。
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、熱損失および燃焼効率の低下を抑制できるボイラの制御装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うボイラの制御装置は、缶水を加熱するボイラの動作を制御するためのボイラの制御装置であって、前記蒸気を使用する使用機器からのドレンを回収するドレン回収装置内の水位に基づいて、前記缶水の水量を制御する制御手段を備える。
上記の構成によれば、ボイラの缶水の水量を制御することによりドレン回収装置の水位変動を吸収するためのバッファとして作用させることができ、ドレン回収装置内の水位が過度に上昇あるいは下降してしまうことを極力回避できる。その結果、新水の供給やドレンの排出などによる熱損失および燃焼効率の低下を抑制できる。
好ましくは、前記制御手段は、前記ドレン回収装置内の水位が第1水位に達すると前記缶水の水量を増大させる増大制御と、前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位よりも低い第2水位未満となると前記缶水の水量を減少させる減少制御とのうち、少なくともいずれか一方を行う。
上記の構成によれば、ドレン回収装置内の水位に基づいて増大制御と減少制御とのうち少なくともいずれか一方を行うことにより、ボイラの缶水の水量を制御できる。
好ましくは、前記制御手段は、複数台のボイラ各々の燃焼量を制御可能であり、前記増大制御は、第1台数のボイラの燃焼量を上昇させる一方、前記第1台数以上となる台数のボイラの燃焼量を低下させる制御を含み、前記減少制御は、第2台数のボイラの燃焼量を低下させる一方、前記第2台数以上となる台数のボイラの燃焼量を上昇させる制御を含む。
上記の構成によれば、複数台のボイラのうち第1台数以上のボイラの燃焼量を低下、あるいは第2台数以上のボイラの燃焼量を上昇させる制御を行うことにより、ボイラの缶水の水量を制御できる。
好ましくは、前記制御手段は、前記増大制御または前記減少制御を行う前の前記複数台のボイラによる総燃焼量と、前記増大制御または前記減少制御を行っているときの前記複数台のボイラによる総燃焼量との差が所定範囲内となるように、前記複数台のボイラ各々の燃焼量を制御する。
上記の構成によれば、ボイラの缶水の水量を制御する際に、所定範囲を超えて総燃焼量を大きく変動させてしまうことを防止できる。
好ましくは、前記制御手段は、前記缶水の水位を燃焼量に応じた適正範囲内の水位のうちのいずれかに設定可能であり、前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位以上であって前記第1水位未満であるときには前記適正範囲内の水位のうちの基準水位を設定し、前記増大制御は、前記缶水の水位を前記適正範囲内であって前記基準水位よりも高い水位に設定する制御を含み、前記減少制御は、前記缶水の水位を前記適正範囲内であって前記基準水位よりも低い水位に設定する制御を含む。
上記の構成によれば、適正範囲内であって基準水位よりも高い水位あるいは低い水位に設定することにより、ボイラの缶水の水量を制御できる。
好ましくは、前記増大制御は、ボイラの燃焼量が第1の範囲内であるときにのみ前記制御手段により行うことが許容される制御であり、前記減少制御は、ボイラの燃焼量が第2の範囲内であるときにのみ前記制御手段により行うことが許容される制御である。
上記の構成によれば、ボイラの燃焼量にかかわらず増大制御あるいは減少制御が行われ得るものと比較して、行い得る範囲を絞ることにより、増大制御あるいは減少制御によりボイラの缶水の水量を制御し易くなる。
好ましくは、前記増大制御は、前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位に達してから前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位よりも低い第3水位未満となるまで行われる制御であり、前記減少制御は、前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位未満となってから前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位よりも高い第4水位に達するまで行われる制御である。
上記の構成によれば、増大制御あるいは減少制御の開始・終了が頻繁に行われることを防止することにより、燃焼量の変動などが過大となり不安定な状態となることを回避できる。
好ましくは、前記制御手段は、前記減少制御を開始してから所定時間経過しても前記第4水位に達しないときには新水を供給する制御を行う。
上記の構成によれば、減少制御を開始してから所定時間経過しても第4水位に達しないという状況下においては、新水が供給されるため、異常な状態を強制的に解消できる。
好ましくは、前記増大制御または前記減少制御は、所定時間内において所定回数を上限として前記制御手段により行うことが許容される制御である。
上記の構成によれば、増大制御あるいは減少制御が所定時間内において許容される回数に上限を設けることにより、燃焼量の変動などが過大となり不安定な状態となることを回避できる。
ボイラシステムの概略構成を模式的に示す図である。 ドレン回収タンクの概略構成を模式的に示す図である。 水位調整処理を説明するためのフローチャートである。 第1の増大制御および第1の減少制御の具体例を説明するための図である。 第2の増大制御および第2の減少制御の具体例を説明するための図である。
本開示に係るボイラについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明に含まれることが意図される。
<概略構成について>
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態に係るボイラシステム1の概略構成について説明する。ボイラシステム1は、図1に示すように、複数台のボイラ本体2と、蒸気使用機器3と、ドレン回収タンク4と、新水タンク5と、ボイラ本体2を含むボイラシステム1の動作を制御する制御装置6(ボイラの制御装置)とを備えている。また、ボイラシステム1は、これらの機器を接続し、蒸気または水が流通する複数のライン、これら複数のラインを開閉させる複数の弁、および、所定のラインに配置される複数のポンプを備える。具体的には、ボイラシステム1は、ラインとして、ドレン供給ラインL1と、新水供給ラインL2とを備えている。ドレン供給ラインL1には、ドレン流量調整弁およびドレンポンプ(いずれも図示せず)が設けられている。新水供給ラインL2には、新水流量調整弁および新水ポンプ(いずれも図示せず)が設けられている。本実施形態においては、ドレン流量調整弁および新水流量調整弁は、例えばモータバルブである。
ボイラ本体2は、バーナおよび燃焼室を備え、燃料を燃焼させて水管を加熱することにより、内部に供給された缶水を加熱して蒸気を生成するとともに、生成された蒸気を蒸気使用機器3に供給する。蒸気使用機器3は、ボイラ本体2で生成された蒸気を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。なお、ボイラ本体2は、蒸気を生成するものに限らず、温水を生成するものであってもよい。また、温水は、他のボイラ本体により生成された蒸気のドレンであって、ドレン回収タンク4に回収されて当該ボイラ本体2に供給されるドレンを用いるものであってもよい。この場合、使用機器は、ボイラ本体2で生成された温水を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行うものであってもよい。
ドレン回収タンク4は、耐圧性を有する圧力容器により構成される。このドレン回収タンク4は、ボイラ本体2により生成された蒸気が蒸気使用機器3で利用されることで凝縮して生じたドレンを、大気に開放することなく高温高圧を維持したままの状態で回収する。回収されたドレンは、ドレン回収タンク4からドレン供給ラインL1を通じてボイラ本体2に供給される。ドレン回収タンク4には、水量が過剰となった場合に備えてドレンを排出してオーバーフローさせる排出口が設けられている。なお、本実施形態におけるドレン回収タンク4は、いわゆるクローズドタイプのものを例示するが、これに限らず、いわゆるオープンタイプのものであってもよい。
新水タンク5は、ドレン回収タンク4からボイラ本体2へ供給されるドレンの量が十分ではない場合に、新水供給ラインL2を通じてボイラ本体2へ新水の供給を行う。なお、新水タンク5は、ドレン回収タンク4の水量が低下した際に、当該ドレン回収タンク4へ新水の供給を行うように構成されているものであってもよい。
制御装置6は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現され、着火時および停止時の動作、燃焼量(以下、燃焼率ともいう)が異なる複数種類の燃焼状態(例えば、低燃焼状態、高燃焼状態)の動作、給水の動作等を制御する。給水の動作としては、制御装置6は、ドレン供給ラインL1を用いた給水制御と新水供給ラインL2を用いた給水制御との切り替えを制御する。なお、新水タンク5がドレン回収タンク4へ新水を供給するように構成されている場合には、制御装置6は、ドレン供給ラインL1を用いた給水制御を行うとともに、ドレン回収タンク4の水量が低下した際に新水タンク5からドレン回収タンク4へ新水を供給する制御を行うように構成されているものであってもよい。
図2を参照して、ドレン回収タンク4の概略構成について説明する。ドレン回収タンク4は、水位検出部41を備えている。水位検出部41は、例えば、互いに長さの異なる電極棒411~415を複数有している。各電極棒411~415は、それぞれの先端(下端)が、上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、ドレン回収タンク4内の複数の水位を、段階的に検出可能に構成されている。電極棒411は、最も低い水位となる新水給水開始レベルを検出し、電極棒412は、新水給水開始レベルよりも高い減少制御開始レベル(第2水位)を検出し、電極棒413は、減少制御開始レベルよりも高い減少制御終了レベル(第4水位)を検出し、電極棒414は、減少制御終了レベルよりも高い増大制御終了レベル(第3水位)を検出し、電極棒415は、増大制御終了レベルよりも高い増大制御開始レベル(第1水位)を検出する。なお、水位検出部41は、ドレン回収タンク4内の水位を段階的に検出するものに限らず、現在の水位を無段階でリアルタイムに検出するように構成されているものであってもよい。また、増大制御開始レベルよりも高い位置となるオーバーフローレベルには、オーバーフローさせるための排出口が設けられている。制御装置6は、ドレン回収タンク4の水位検出部41による検出結果に応じて、ボイラ本体2に対して通常制御、増大制御、および減少制御を行う。
本実施の形態では、ドレン回収タンク4の水位に基づいて、ボイラ本体2の缶水の水量を制御するものであり、ボイラ本体2自体をドレン回収タンク4の水位変動を吸収するためのバッファとして作用させる。
ドレン回収タンク4の水位が増大した場合には、ボイラ本体2の缶水の水量を一時的に増大させる増大制御を行う。増大制御を行うことにより、ドレン回収タンク4からボイラ本体2へ供給されるドレンの量を通常制御時よりも増大させ、ドレン回収タンク4の水位を低下させる。これにより、ドレン回収タンク4の水位が上昇し過ぎてしまうことを抑制でき、その結果、ドレン回収タンク4内の水量が過剰となってドレンがオーバーフローしてしまうことを防止できる。
これに対して、ドレン回収タンク4の水位が減少した場合には、ボイラ本体2の缶水の水量を一時的に減少させる減少制御を行う。減少制御を行うことにより、ドレン回収タンク4からボイラ本体2へ供給されるドレンの量を通常制御時よりも減少させ、ドレン回収タンク4の水位を上昇させる。これにより、ドレン回収タンク4の水位が低下し過ぎてしまうことを抑制でき、その結果、ドレン回収タンク4内の水量が不足して新水が供給されてしまうことを防止できる。
<水位調整処理について>
図3は、増大制御および減少制御を行うことにより、ドレン回収タンク4の水位を調整するための水位調整処理の一例を説明するためのフローチャートである。ドレン回収タンク4の水位調整処理は、制御装置6により、所定時間(例えば、1秒)毎に繰り返し実行される。
ステップS11では、ドレン回収タンク4の水位が電極棒415により検出されて増大制御開始レベルに到達したか否かが判定される。ドレン回収タンク4の水位が増大制御開始レベルに到達したと判定された場合には、ステップS12に進み、到達していないと判定された場合には、ステップS15に進む。
ステップS12では、ボイラ本体2の缶水の水量を増大させる増大制御を行い、ステップS13に進む。増大制御は、ボイラ本体2の燃焼量および基準水位の少なくとも一方を調整する制御であり、図4および図5を用いて一例を後述する。
ステップS13では、電極棒414により水位が未検出となりドレン回収タンク4の水位が増大制御終了レベル未満であるか否かが判定される。ドレン回収タンク4の水位が増大制御終了レベル未満であると判定された場合には、ステップS14に進み、増大制御終了レベル未満ではないと判定された場合には、ステップS13に戻る。増大制御は、ドレン回収タンク4の水位が増大制御終了レベル未満であると判定されるまで行われる。ステップS14では、増大制御を終了して通常制御に戻り、水位調整処理を終了する。
ステップS15では、電極棒412により水位が未検出となりドレン回収タンク4の水位が減少制御開始レベル未満であるか否かが判定される。ドレン回収タンク4の水位が減少制御開始レベル未満であると判定された場合には、ステップS16に進み、減少制御開始レベル未満ではないと判定された場合には、ドレン回収タンク4の水位が適正な水位であるため、水位調整処理を終了する(通常制御を維持する)。
ステップS16では、ボイラ本体2の缶水の水量を減少させる減少制御を行い、ステップS17に進む。減少制御は、ボイラ本体2の燃焼量および基準水位の少なくとも一方を調整する制御であり、図4および図5を用いて一例を後述する。
ステップS17では、ドレン回収タンク4の水位が電極棒413により検出されて減少制御終了レベルに到達したか否かが判定される。ドレン回収タンク4の水位が減少制御終了レベルに到達したと判定された場合には、ステップS14に進み、減少制御を終了し通常制御に戻り、水位調整処理を終了する。これに対して、ドレン回収タンク4の水位が減少制御終了レベルに到達していないと判定された場合には、ステップS18に進む。
ステップS18では、減少制御開始から所定時間(例えば、30秒、3分等)が経過したか否か、あるいは電極棒411により水位が未検出となり新水給水開始レベル未満であるか否かが判定される。なお、ステップS18では、減少制御開始から所定時間(例えば、30秒、3分等)が経過したか否かのみを判定するものであってもよく、逆に電極棒411により水位が未検出となり新水給水開始レベル未満であるか否かのみを判定するものであってもよい。減少制御開始から所定時間が経過していないと判定されたか新水給水開始レベル未満ではないと判定された場合には、ステップS17に戻る。一方、減少制御開始から所定時間が経過したと判定された場合、あるいは新水給水開始レベル未満であると判定された場合には、ステップS19に進む。
ステップS19では、新水の給水を開始し、ステップS17に戻る。ステップS19により開始された新水の給水は、ステップS17においてドレン回収タンク4の水位が減少制御終了レベルに到達したと判定されるまで行われるが、これに限らず、ステップS17においてドレン回収タンク4の水位が減少制御終了レベルに到達するまでであってもよく、予め定められた時間が経過するまで行うものであってもよい。
<増大制御および減少制御の具体例について>
増大制御および減少制御としては、例えば、稼働中の複数台のボイラ本体2の燃焼量を変更して当該複数台のボイラ本体2各々における缶水の総水量を調整する制御(以下では、第1の増大制御、第1の減少制御ともいう)と、稼働中において目標水位とする基準水位を変更してボイラ本体2における缶水の水量を調整する制御(以下では、第2の増大制御、第2の減少制御ともいう)とを含む。図4は、第1の増大制御および第1の減少制御の具体例を説明するための図である。また、図5は、第2の増大制御および第2の減少制御の具体例を説明するための図である。
まず、図4を参照して、第1の増大制御および第1の減少制御の具体例を説明する。図4(a)は、ボイラ本体2の燃焼量に応じて定められている基準水位の一例を示している。基準水位とは、ボイラ本体2の燃焼量に応じて適正範囲(図5(a)で後述する)となり得る缶水の水位のうち、予め定められた水位である。制御装置6は、ボイラ本体2の缶水の水位を段階的あるいは無段階的に検出可能な水位検出部からの検出結果に基づき、ボイラ本体2の缶水の水位が燃焼量等に応じて設定される目標となる水位に収束するようにドレン回収タンク4等からの給水を制御する。図4(a)に示されるように、例えば、燃焼量が100%(最大燃焼量)のときの基準水位としてaが定められており、燃焼量が90%のときの基準水位としてbが定められており、燃焼量が10%(最小燃焼量)のときの基準水位としてnが定められている。基準水位a~nの高さは、a<b<c<…<m<nとなるように定められており、aが最も低い水位(缶水の水量が最も少ない)となり、nが最も高い水位(缶水の水量が最も多い)となる。
図4(b)は、3台のボイラa~cが各々燃焼量50%で稼働中において、増大制御開始レベルに到達することにより第1の増大制御が行われた場合の具体例を示している。3台のボイラa~cが各々燃焼量50%で稼働しているときには、図4(b1)に示されるように、総燃焼量が150%となり、缶水の総水量が3fとなる。
図4(b2)および図4(b3)は、ボイラaの1台についての燃焼量を上昇させ、ボイラb、cの2台についての燃焼量を低下させる第1の増大制御が行われたときの燃焼量、総燃焼量、および缶水の総水量が示されている。図4(b2)では、第1の増大制御として、ボイラaの1台についての燃焼量を100%に上昇させる一方で、ボイラb、cの2台についての燃焼量を各々20%に低下させる制御が行われた場合を示している。この場合には、総燃焼量が、140%となり、缶水の総水量がa+2mとなる。a+2mは、3fよりも多い量となるように、基準水位が定められている。
図4(b2)では、変化後の燃焼量が複数のボイラにおいて同じ(例えば、ボイラb、cについて同じ20%に低下)となり、変化前後における総燃焼量の差が所定範囲として10%内となる第1の増大制御を例示した。しかし、第1の増大制御は、第1台数のボイラの燃焼量を上昇させる一方、第1台数以上となる台数のボイラの燃焼量を低下させることにより、缶水の総水量を増大させるものであればこれに限らず、例えば図4(b3)に例示されるように、変化後の燃焼量が複数のボイラにおいて異なるもの(ボイラbは20%であるのに対しボイラcは30%)となるものであってもよく、また、所定範囲内に収まるものであれば変化前後における総燃焼量の差がゼロとなるもの(総燃焼量は150%維持)であってもよい。なお、缶水の総水量であるa+m+hは、3fよりも多い量となるように、基準水位が定められている。
図4(c)は、3台のボイラa~cが各々燃焼量50%で稼働中において、減少制御開始レベル未満となることにより第1の減少制御が行われた場合の具体例を示している。3台のボイラa~cが各々燃焼量50%で稼働しているときには、図4(c1)に示されるように、総燃焼量が150%となり、缶水の総水量が3fとなる。
図4(c2)および図4(c3)は、ボイラaの1台についての燃焼量を低下させ、ボイラb、cの2台についての燃焼量を上昇させる第1の減少制御が行われたときの燃焼量、総燃焼量、および缶水の総水量が示されている。図4(c2)では、第1の減少制御として、ボイラaの1台についての燃焼量を20%に低下させる一方で、ボイラb、cの2台についての燃焼量を各々70%に上昇させる制御が行われた場合を示している。この場合には、総燃焼量が、160%となり、缶水の総水量がm+2dとなる。m+2dは、3fよりも少ない量となるように、基準水位が定められている。
図4(c2)では、変化後の燃焼量が複数のボイラにおいて同じ(例えば、ボイラb、cについて同じ70%に上昇)となり、変化前後における総燃焼量の差が所定範囲として10%内となる第1の減少制御を例示した。しかし、第1の減少制御は、第2台数のボイラの燃焼量を低下させる一方、第2台数以上となる台数のボイラの燃焼量を上昇させることにより缶水の水量を減少させるものであればこれに限らず、例えば図4(c3)に例示されるように、変化後の燃焼量が複数のボイラにおいて異なるもの(ボイラbは60%であるのに対しボイラcは70%)となるものであってもよく、また、所定範囲内に収まるものであれば変化前後における総燃焼量の差がゼロとなるもの(総燃焼量は150%維持)であってもよい。なお、缶水の総水量であるm+e+dは、3fよりも少ない量となるように、基準水位が定められている。
次に、図5を参照して、第2の増大制御および第2の減少制御の具体例を説明する。図5(a)は、ボイラ本体2の燃焼量に応じて適正な水位となる缶水の適正範囲の一例を示している。一般的に、燃焼量に対して缶水の水位が低すぎると、水管の内部で発生した泡の位置が低くなり、水管の上部において水膜が形成されないため、水管の上部が火炎により過熱されてしまう。一方、燃焼量に対して缶水の水位が高すぎると、生成された蒸気に缶水が同伴されやすく、蒸気の乾き度が低下してしまう。適正範囲とは、このような過熱あるいは乾き度の低下を防止できる缶水の水位として燃焼量に応じて定められた範囲である。図5(a)に示されるように、例えば、燃焼量が100%のときの適正範囲としてa1~a9が定められており、燃焼量が90%のときの適正範囲としてb1~b9が定められており、燃焼量が10%のときの適正範囲としてn1~n9が定められている。なお、適正範囲内の水位高さは、1<2<3<…<8<9(例えば、a1<a2<a3<…<a8<a9)となるように定められており、適正範囲内において、1が最も低い水位(缶水の水量が最も少ない)となり、9が最も高い水位(缶水の水量が最も多い)となる。なお、通常制御時においては、燃焼量に応じた適正範囲のうち、例えば蒸気圧力、給水温度、缶水の電気伝導度などに応じて特定される水位が基準水位として設定されるが、これに限らず、燃焼量に応じた適正範囲内における中間値となる添え字が5となる水位が基準水位として設定されるものであってもよい。
図5(b)は、ボイラaが燃焼量50%で稼働中において、増大制御開始レベルに到達することにより第2の増大制御が行われた場合の具体例を示している。図5(b1)では、ボイラaが燃焼量50%で稼働しており、基準水位としてf5が設定されている場合を例示する。
図5(b2)および図5(b3)は、ボイラaについて燃焼量50%において、缶水の水位を適正範囲内であって現在の基準水位よりも高い水位に設定する第2の増大制御が行われたときの燃焼量、およびボイラaの増大時水位が示されている。図5(b2)では、第2の増大制御として、ボイラaについて燃焼量50%を維持しながら、ボイラaの基準水位をf5からf9へ引き上げる制御が行われた場合を示している。この場合には、第2の増大制御の前後で、燃焼量を変更することなく、基準水位が引き上げられたことによりボイラaの缶水の水量が増大する。なお、第2の増大制御においては、適正範囲内において最も高い水位(添え字が9の水位)が設定される例について示したが、現在の基準水位よりも高い水位であればこれに限らず、図5(b3)に示されるように、例えば、添え字が8のf8が設定されるものであってもよい。
図5(c)は、ボイラaが燃焼量50%で稼働中において、減少制御開始レベル未満となることにより第2の減少制御が行われた場合の具体例を示している。5(c1)では、ボイラaが燃焼量50%で稼働しており、基準水位としてf5が設定されている場合を例示する。
図5(c2)および図5(c3)は、ボイラaについて燃焼量50%において、缶水の水位を適正範囲内であって現在の基準水位よりも低い水位に設定する第2の減少制御が行われたときの燃焼量、およびボイラaの減少時水位が示されている。図5(c2)では、第2の減少制御として、ボイラaについて燃焼量50%を維持しながら、ボイラaの基準水位をf5からf1へ引き下げる制御が行われた場合を示している。この場合には、第2の減少制御の前後で、燃焼量を変更することなく、基準水位が引き下げられたことによりボイラaの缶水の水量が減少する。なお、第2の減少制御においては、適正範囲内において最も低い水位(添え字が1の水位)が設定される例について示したが、現在の基準水位よりも低い水位であればこれに限らず、図5(c3)に示されるように、例えば、添え字が2のf2が設定されるものであってもよい。
以上のように、本実施の形態では、図3のステップS11~19で示すように、蒸気使用機器3からのドレンを回収するドレン回収タンク4内の水位に基づいて、ボイラ本体2の缶水の水量を制御する。これにより、ドレン回収タンク4の水位変動を吸収するためのバッファとしてボイラ本体2自体を作用させることができ、ドレン回収タンク4の水位が過度に上昇あるいは下降してしまうことを極力回避できる。その結果、新水の供給やドレンの排出などによる熱損失および燃焼効率の低下を抑制できる。
また、図3のステップS11およびS12で示すように、ドレン回収タンク4内の水位が第1水位である増大制御開始レベルに達すると缶水の水量を増大させる増大制御と、図3のステップS15およびS16で示すように、ドレン回収タンク4内の水位が第1水位よりも低い第2水位である減少制御開始レベル未満となると缶水の水量を減少させる減少制御とを行うことにより、ボイラ本体2の缶水の水量を制御できる。
また、図4(b)で示すように、増大制御は、第1台数として1台のボイラ本体2の燃焼量を上昇させる一方、第1台数以上となる2台のボイラ本体2の燃焼量を低下させる制御を含み、図4(c)で示すように、減少制御は、第2台数として1台のボイラ本体2の燃焼量を低下させる一方、第2台数以上となる2台のボイラ本体2の燃焼量を上昇させる制御を含む。このように、複数台のボイラ本体のうち第1台数以上のボイラ本体の燃焼量を低下、あるいは第2台数以上のボイラ本体の燃焼量を上昇させる制御を行うことにより、ボイラ本体2の缶水の水量を制御できる。
また、図4(b1)(b2)および図4(c1)(c2)で示すように、第1の増大制御または第1の減少制御を行う前の複数台のボイラ本体2による総燃焼量と、第1の増大制御または第1の減少制御を行っているときの複数台のボイラ本体2による総燃焼量との差が所定範囲内(図4(b1)(b2)では、150%→140%、図4(c1)(c2)では、150%→160%、いずれも±10%以内)となるように、複数台のボイラ本体2各々の燃焼量を制御する。これにより、ボイラの缶水の水量を制御する際に、所定範囲を超えて総燃焼量を大きく変動させてしまうことを防止できる。
また、図5(b)および図5(c)で示すように、燃焼量に応じた適正範囲内のうちから基準水位を設定し、図5(b)に示す第2の増大制御では、増大時水位として燃焼量に応じた適正範囲内のうち基準水位よりも高い水位(f9またはf8など)に設定し、図5(c)に示す第2の減少制御では、減少時水位として燃焼量に応じた適正範囲内のうちの基準水位よりも低い水位(f1またはf2など)に設定する。このように適正範囲内であって基準水位よりも高い水位あるいは低い水位に設定することにより、ボイラの缶水の水量を制御できる。
また、図3のステップS11~S13で示すように、増大制御は、ドレン回収タンク4内の水位が第1水位に達してから第3水位未満となるまで行われ、図3のステップS15~S17で示すように、減少制御は、ドレン回収タンク4内の水位が第2水位未満となってから第4水位に達するまで行われる。これにより、増大制御あるいは減少制御の開始・終了が頻繁に行われることを防止することにより、燃焼量の変動などが過大となり不安定な状態となることを回避できる。
また、図3のステップS18~S19で示すように、減少制御を開始してから所定時間経過しても第4水位に達しないときには新水を供給する制御を行う。これにより、異常な状態を強制的に解消できる。
本発明では、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
上記の実施の形態では、図3に示すように、増大制御と減少制御とのいずれをも行い得るボイラシステム1を例示した。しかし、ボイラシステム1は、増大制御と減少制御とのうち少なくともいずれか一方を行うものであれば、これに限らず、例えば、増大制御のみを行い得るものであってもよく、また、減少制御のみを行い得るものであってもよい。
上記の実施の形態では、図4において、第1の増大制御により燃焼量を上昇させるボイラ本体の台数である第1台数と、第1の減少制御により燃焼量を低下させるボイラ本体の台数である第2台数とが同じ台数である例を示した。しかし、第1台数と、第2台数とは、同じ台数となるものに限らず、異なる台数であってもよい。例えば、5台のボイラ本体2が稼働中である場合に、第1の増大制御にかかわる第1台数を2台とし、減少制御にかかわる第2台数を1台とするものであってもよい。
上記の実施の形態では、稼働中のボイラ本体2の燃焼量にかかわらず、増大制御および減少制御を行い得る例について説明した。しかし、増大制御は、ボイラ本体2の燃焼量が第1の範囲内であるときにのみ行うことが許容されるようにしてもよい。また、減少制御は、ボイラ本体2の燃焼量が第2の範囲内であるときにのみ行うことが許容されるようにしてもよい。これにより、ボイラ本体2の燃焼量にかかわらず増大制御および減少制御を行い得るものと比較して、行い得る範囲を絞ることにより、増大制御あるいは減少制御によりボイラ本体2の缶水の水量を制御し易くなる。また、燃焼量が高い場合の缶水の適正範囲よりも燃焼量が低い場合の缶水の適正範囲の方が一般的に広くなる傾向を考慮し、第1の範囲および第2の範囲は、燃焼量が例えば10%~30%の範囲とするものであってもよく、いわゆる低燃焼状態とするものであってもよい。また、第1の範囲と第2の範囲とは、同じ範囲であってもよく、異なる範囲であってもよい。
上記の実施の形態では、増大制御および減少制御を行い得る回数に制限が設けられていない例を示したが、これに限らず、所定時間(例えば、24時間等)内において増大制御および減少制御を行い得る回数に上限を設けて、所定回数(例えば、10回等)までとするようにしてもよい。これにより、上限が設けられていないものと比較して、燃焼量の変動などが過大となり不安定な状態となることを回避できる。
上記の実施の形態では、増大制御として、図4に示す第1の増大制御と図5に示す第2の増大制御とのうちのいずれか一方を行う例について説明したが、これに限らず、増大制御として、図4に示す第1の増大制御と図5に示す第2の増大制御との双方を同時に行うことにより、ボイラ本体2の缶水の水量を増大させるようにしてもよい。また、減少制御についても同様に、図4に示す第1の減少制御と図5に示す第2の減少制御とのうちのいずれか一方を行う例について説明したが、これに限らず、減少制御として、図4に示す第1の減少制御と図5に示す第2の減少制御との双方を同時に行うことにより、ボイラ本体2の缶水の水量を減少させるようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ボイラシステム
2 ボイラ本体
3 蒸気使用機器
4 ドレン回収タンク
41 水位検出器
411~415 電極棒
5 新水タンク
6 制御装置
L1 ドレン供給ライン
L2 新水供給ライン

Claims (9)

  1. 缶水を加熱するボイラの動作を制御するためのボイラの制御装置であって、
    前記蒸気を使用する使用機器からのドレンを回収するドレン回収装置内の水位に基づいて、前記缶水の水量を制御する制御手段を備える、ボイラの制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記ドレン回収装置内の水位が第1水位に達すると前記缶水の水量を増大させる増大制御と、前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位よりも低い第2水位未満となると前記缶水の水量を減少させる減少制御とのうち、少なくともいずれか一方を行う、請求項1に記載のボイラの制御装置。
  3. 前記制御手段は、複数台のボイラ各々の燃焼量を制御可能であり、
    前記増大制御は、第1台数のボイラの燃焼量を上昇させる一方、前記第1台数以上となる台数のボイラの燃焼量を低下させる制御を含み、
    前記減少制御は、第2台数のボイラの燃焼量を低下させる一方、前記第2台数以上となる台数のボイラの燃焼量を上昇させる制御を含む、請求項2に記載のボイラの制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記増大制御または前記減少制御を行う前の前記複数台のボイラによる総燃焼量と、前記増大制御または前記減少制御を行っているときの前記複数台のボイラによる総燃焼量との差が所定範囲内となるように、前記複数台のボイラ各々の燃焼量を制御する、請求項3に記載のボイラの制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記缶水の水位を燃焼量に応じた適正範囲内の水位のうちのいずれかに設定可能であり、前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位以上であって前記第1水位未満であるときには前記適正範囲内の水位のうちの基準水位を設定し、
    前記増大制御は、前記缶水の水位を前記適正範囲内であって前記基準水位よりも高い水位に設定する制御を含み、
    前記減少制御は、前記缶水の水位を前記適正範囲内であって前記基準水位よりも低い水位に設定する制御を含む、請求項2~請求項4のいずれかに記載のボイラの制御装置。
  6. 前記増大制御は、ボイラの燃焼量が第1の範囲内であるときにのみ前記制御手段により行うことが許容される制御であり、
    前記減少制御は、ボイラの燃焼量が第2の範囲内であるときにのみ前記制御手段により行うことが許容される制御である、請求項2~請求項5のいずれかに記載のボイラの制御装置。
  7. 前記増大制御は、前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位に達してから前記ドレン回収装置内の水位が前記第1水位よりも低い第3水位未満となるまで行われる制御であり、
    前記減少制御は、前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位未満となってから前記ドレン回収装置内の水位が前記第2水位よりも高い第4水位に達するまで行われる制御である、請求項2~請求項6のいずれかに記載のボイラの制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記減少制御を開始してから所定時間経過しても前記第4水位に達しないときには新水を供給する制御を行う、請求項7に記載のボイラの制御装置。
  9. 前記増大制御または前記減少制御は、所定時間内において所定回数を上限として前記制御手段により行うことが許容される制御である、請求項2~請求項8のいずれかに記載のボイラの制御装置。
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