JP2022124823A - 物体検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】符号識別性能がよりいっそう向上した物体検知装置を提供する。【解決手段】駆動制御部(71)は、駆動信号における、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定する。駆動信号は、周波数変調により符号化された超音波である送信波を外部に向けて送信するように、送信部(40A)を駆動するための信号である。駆動信号の周波数変化パターンは、周波数帯域がN個設定されており、各帯域の中で、周波数が時間と共に上昇する信号と下降する信号との組み合わせにより、「N×2」種類である。検知部(73)は、送信波の物体による反射波を含む受信波の受信部(40B)による受信結果に対応する受信信号に基づいて、移動体の周囲の物体を検知する。【選択図】図3
Description
本発明は、移動体に搭載された状態で当該移動体の周囲の物体を検知するように構成された、物体検知装置に関する。
超音波センサにより障害物等の物体を検知する際、自車両に搭載された他の超音波センサが発した信号や、自車両周辺に存在する他車両に搭載された他の超音波センサが発した信号を、自身の信号と誤って検知してしまうという課題がある。この課題に対し、特許文献1は、FSK方式またはPSK方式により複数ビットの符号化を用いる技術を提案している。
特許文献1に開示された技術によれば、超音波センサは、受信波が自身の送信した超音波の反射波であるか否かを識別することが一応可能となる。しかしながら、超音波センサが壁やポールに対向した場合、自身が送信した超音波の反射波であっても、根元からの反射波と正面からの反射波とが重なり合う。
発明者らは、超音波センサによる障害物検知において、符号化を用いても、このように反射波が重なり合うシーンでは、反射波同士の干渉により、符号の識別が困難となるという課題を見出した。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、符号識別性能がよりいっそう向上した物体検知装置を提供する。
請求項1に記載の物体検知装置(3)は、移動体(C)に搭載された状態で当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成されている。
この物体検知装置は、
周波数変調により符号化された超音波である送信波を外部に向けて送信するように送信部(40A)を駆動する駆動信号における、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定する、駆動制御部(71)と、
前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波の受信部(40B)による受信結果に対応する受信信号に基づいて、前記物体を検知する、検知部(73)と、
を備え、
前記検知部は、前記駆動信号に対応した参照信号と前記受信信号との一致性に基づいて、前記受信波に含まれる符号を判定する、判定部(74)を有し、
前記駆動制御部は、前記駆動信号に付与する符号を、第一の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第一の符号と、前記第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第二の符号と、第三の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第三の符号と、前記第三の周波数帯域とは異なる第四の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第四の符号と、を少なくとも含む複数種類の符号から、何れか一つを選択して設定するように構成され、
前記第一の周波数帯域の上限周波数は、前記第二の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第一の周波数帯域の下限周波数は、前記第二の周波数帯域の下限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の上限周波数は、前記第四の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の下限周波数は、前記第四の周波数帯域の下限周波数よりも高い。
この物体検知装置は、
周波数変調により符号化された超音波である送信波を外部に向けて送信するように送信部(40A)を駆動する駆動信号における、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定する、駆動制御部(71)と、
前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波の受信部(40B)による受信結果に対応する受信信号に基づいて、前記物体を検知する、検知部(73)と、
を備え、
前記検知部は、前記駆動信号に対応した参照信号と前記受信信号との一致性に基づいて、前記受信波に含まれる符号を判定する、判定部(74)を有し、
前記駆動制御部は、前記駆動信号に付与する符号を、第一の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第一の符号と、前記第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第二の符号と、第三の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第三の符号と、前記第三の周波数帯域とは異なる第四の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第四の符号と、を少なくとも含む複数種類の符号から、何れか一つを選択して設定するように構成され、
前記第一の周波数帯域の上限周波数は、前記第二の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第一の周波数帯域の下限周波数は、前記第二の周波数帯域の下限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の上限周波数は、前記第四の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の下限周波数は、前記第四の周波数帯域の下限周波数よりも高い。
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(システム全体構成)
図1を参照すると、車載システム1は、移動体としての車両Cに搭載されている。車両Cは、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状に形成された箱状の車体C1を備えている。「平面視」における車両Cの各部分の形状は、車両Cを走行可能に水平面に安定的に載置した状態で当該部分を重力作用方向と同一方向の視線で見た場合の形状を指すものである。本実施形態に係る車載システム1を搭載する車両Cを、以下「自車両」と称する。
図1を参照すると、車載システム1は、移動体としての車両Cに搭載されている。車両Cは、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状に形成された箱状の車体C1を備えている。「平面視」における車両Cの各部分の形状は、車両Cを走行可能に水平面に安定的に載置した状態で当該部分を重力作用方向と同一方向の視線で見た場合の形状を指すものである。本実施形態に係る車載システム1を搭載する車両Cを、以下「自車両」と称する。
以下、平面視にて、自車両の車幅方向における中心を通り、且つ自車両における車両全長方向と平行な仮想直線を、車両中心線LCと称する。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、自車両の車高を規定する方向であって、自車両を走行可能に水平面に安定的に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。また、「前」「後」「左」「右」「上」を、図1中にて矢印で示された通りに定義する。すなわち、車両全長方向は、前後方向と同義である。また、車幅方向は、左右方向と同義である。
車載システム1は、電子制御装置2と、超音波センサ3とを備えている。電子制御装置2は、ECUとも称され得る車載マイクロコンピュータであって、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性RAM、等を備えている。ECUはElectronic Control Unitの略である。不揮発性RAMは、電源投入中は情報を書き換え可能である一方で電源遮断中は情報を書き換え不能に保持する記憶装置であって、例えばフラッシュROM等である。ROM、RAMおよび不揮発性RAMは、非遷移的実体的記憶媒体である。電子制御装置2は、車体C1の内部に搭載されるようになっている。
電子制御装置2は、車載の情報通信回線を介して、超音波センサ3と情報授受可能に接続されている。本実施形態においては、自車両には、複数の超音波センサ3が搭載されている。電子制御装置2は、ROMまたは不揮発性RAMに格納された制御プログラムを読み出して実行することで、複数の超音波センサ3の各々における超音波の送受信動作のタイミングを含む、車載システム1の動作の全体を制御するように構成されている。すなわち、車載システム1は、自車両に搭載された車載状態で、超音波センサ3における超音波の送受信結果に基づいて、自車両の周囲の物体Bを検知するように構成されている。
自車両におけるフロントバンパー、すなわち、車体C1における前面側のバンパーC2には、超音波センサ3としての、第一フロントセンサ3A、第二フロントセンサ3B、第三フロントセンサ3C、および第四フロントセンサ3Dが装着されている。同様に、自車両におけるリアバンパー、すなわち、車体C1における後面側のバンパーC2には、超音波センサ3としての、第一リアセンサ3E、第二リアセンサ3F、第三リアセンサ3G、および第四リアセンサ3Hが装着されている。
第一フロントセンサ3Aは、自車両の右前方に送信波を発信するように、フロントバンパーにおける右端部に設けられている。第二フロントセンサ3Bは、自車両の略前方に送信波を発信するように、車幅方向について第一フロントセンサ3Aと車両中心線LCとの間に配置されている。第三フロントセンサ3Cは、車両中心線LCを挟んで第二フロントセンサ3Bと略対称な位置に配置されている。第三フロントセンサ3Cは、自車両の略前方に送信波を発信するように、車幅方向について車両中心線LCと第四フロントセンサ3Dとの間に配置されている。第四フロントセンサ3Dは、車両中心線LCを挟んで第一フロントセンサ3Aと略対称な位置に配置されている。第四フロントセンサ3Dは、自車両の左前方に送信波を発信するように、フロントバンパーにおける左端部に設けられている。
第一リアセンサ3Eは、自車両の右後方に送信波を発信するように、リアバンパーにおける右端部に設けられている。第二リアセンサ3Fは、自車両の略後方に送信波を発信するように、車幅方向について第一リアセンサ3Eと車両中心線LCとの間に配置されている。第三リアセンサ3Gは、車両中心線LCを挟んで第二リアセンサ3Fと略対称な位置に配置されている。第三リアセンサ3Gは、自車両の略後方に送信波を発信するように、車幅方向について車両中心線LCと第四リアセンサ3Hとの間に配置されている。第四リアセンサ3Hは、車両中心線LCを挟んで第一リアセンサ3Eと略対称な位置に配置されている。第四リアセンサ3Hは、自車両の左後方に送信波を発信するように、リアバンパーにおける左端部に設けられている。
(超音波センサ)
以下、超音波センサ3の概略構成について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2においては、図示の簡略化のため、電子制御装置2に接続された複数の超音波センサ3のうちの1つのみが示されており、他は図示が省略されている。
以下、超音波センサ3の概略構成について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2においては、図示の簡略化のため、電子制御装置2に接続された複数の超音波センサ3のうちの1つのみが示されており、他は図示が省略されている。
超音波センサ3は、周波数変調により符号化された超音波である送信波を自車両の外部に向けて送信するように構成されている。また、超音波センサ3は、自身の送信した送信波の物体Bによる反射波を含む受信波を受信することで、周囲に存在する物体Bを検知するとともに、かかる物体Bとの距離を取得するように構成されている。
具体的には、超音波センサ3は、送受信部4と、駆動信号生成部5と、受信信号処理部6と、センサ制御部7とを備えている。本実施形態においては、送受信部4、駆動信号生成部5、受信信号処理部6、およびセンサ制御部7は、合成樹脂等により形成された一個のセンサ筐体により支持されている。
本実施形態においては、超音波センサ3は、送受信部4を1個のみ備えていて、かかる送受信部4により送受信機能を奏するように構成されている。すなわち、送受信部4は、送信波を外部に向けて送信する送信部40Aとしての機能と、受信波を受信する受信部40Bとしての機能とを有している。具体的には、1個の送受信部4は、1個のトランスデューサ41を有している。送信部40Aおよび受信部40Bは、共通のトランスデューサ41を用いて、送信機能および受信機能をそれぞれ実現するように構成されている。
トランスデューサ41は、送信波を外部に向けて送信する送信器としての機能と反射波を受信する受信器としての機能とを奏するように構成されている。トランスデューサ41は、圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子を内蔵した、いわゆる共振型の超音波マイクロフォンとしての構成を有している。具体的には、トランスデューサ41は、略有底円筒形状のケーシングにおける底板に電気-機械エネルギー変換素子を接合することで形成されている。かかるケーシングは、車載状態にて、バンパーC2に形成された貫通孔C3内に挿入されることで、ダイアフラムを構成する底板の外側表面である送受信面41aが自車両の外部空間に面するように形成されている。
送受信部4は、トランスデューサ41と、送信回路42と、受信回路43とを備えている。すなわち、送信部40Aは、トランスデューサ41と送信回路42とを備えている。また、受信部40Bは、トランスデューサ41と受信回路43とを備えている。トランスデューサ41は、送信回路42および受信回路43と電気接続されている。
送信回路42は、入力された駆動信号に基づいてトランスデューサ41を駆動することで、トランスデューサ41にて超音波帯域の送信波を発信させるように設けられている。具体的には、送信回路42は、デジタル/アナログ変換回路等を有している。すなわち、送信回路42は、駆動信号生成部5から出力された駆動信号に対してデジタル/アナログ変換等の処理を施し、これにより生成された交流電圧をトランスデューサ41に印加するように構成されている。
受信回路43は、トランスデューサ41における超音波の受信結果に対応する受信信号を生成するとともに、生成した受信信号を受信信号処理部6に出力するように設けられている。具体的には、受信回路43は、増幅回路およびアナログ/デジタル変換回路等を有している。すなわち、受信回路43は、トランスデューサ41から入力された電圧信号に対して、増幅およびアナログ/デジタル変換等の信号処理を行うことで、受信した超音波の周波数および振幅に応じた受信信号を、生成および出力するように構成されている。
このように、送受信部4は、送受信器としてのトランスデューサ41により、送信波を送信するとともに自身の送信した送信波の反射波を受信することで、物体Bとの距離に応じた受信信号を生成するように構成されている。送受信器としてのトランスデューサ41が、自身の送信した送信波の反射波を受信した場合の受信波を、以下「正規波」と称する。これに対し、他装置からの送信波に起因する受信波を、以下「非正規波」と称する。「他装置」には、自車両とは異なる他車両に搭載された超音波センサ3の他に、自車両に搭載された他の超音波センサ3も含まれる。
駆動信号生成部5は、送信部40Aを駆動する駆動信号を生成するように設けられている。駆動信号は、送信部40Aを駆動してトランスデューサ41から送信波を送信させるための信号であって、例えば超音波帯域のパルス状信号である。駆動信号の具体例については後述する。また、駆動信号生成部5は、駆動信号に対応する参照信号を、受信信号処理部6に出力するようになっている。参照信号は、符号識別のために、受信信号における周波数特性と対照するための信号であって、駆動信号の周波数特性に対応する周波数特性を有している。
受信信号処理部6は、受信回路43から出力された受信信号に対してパルス圧縮処理を含む各種の信号処理を実行するとともに、当該信号処理により生成した処理結果信号をセンサ制御部7に出力するように構成されている。具体的には、受信信号処理部6は、受信信号と参照信号との相関処理演算のための相関フィルタ(例えばマッチドフィルタ)等を有している。
センサ制御部7は、電子制御装置2と協働しつつ超音波センサ3の動作を制御するように、電子制御装置2と情報通信可能に接続されている。すなわち、センサ制御部7は、駆動信号生成部5から送信部40Aへの駆動信号の出力を制御するとともに、受信信号処理部6から出力された処理結果信号に基づいて物体Bを検知するように構成されている。
センサ制御部7は、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性RAM、等を備えた車載マイクロコンピュータとしての構成を有していて、ROMまたは不揮発性RAMに格納された制御プログラムを読み出して実行することで超音波センサ3の動作を制御するように設けられている。具体的には、センサ制御部7は、車載マイクロコンピュータ上に実現される機能構成として、駆動制御部71と、補正部72と、検知部73とを備えている。
駆動制御部71は、駆動信号生成部5に制御信号を出力することで、送信部40Aからの送信波の発信状態を制御するように構成されている。制御信号は、駆動信号生成部5から送受信部4に出力される駆動信号における出力特性、具体的には、出力タイミング、周波数、パルス数、等を制御するための信号である。すなわち、駆動制御部71は、駆動信号生成部5にて生成および出力される駆動信号における、出力タイミング、周波数、パルス数、等を制御するようになっている。駆動信号の周波数を、以下「駆動周波数」と称することがある。
本実施形態においては、駆動制御部71は、駆動信号における、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定するように構成されている。すなわち、駆動信号生成部5は、周波数帯域および/または周波数変調態様が互いに異なる複数種類の駆動信号から何れか一つを選択的に出力可能となっている。複数種類の駆動信号の具体例については後述する。
補正部72は、自車両の移動速度に応じて、参照信号を補正(すなわちドップラーシフト補正)するように構成されている。具体的には、本実施形態においては、補正部72は、自車両の移動速度、および、物体Bの自車両との相対位置に応じて、参照信号を補正するようになっている。補正部72による参照信号の補正の詳細については後述する。
検知部73は、受信波の受信部40Bによる受信結果に対応する受信信号に基づいて、物体Bを検知するように構成されている。具体的には、検知部73は、受信信号処理部6から出力された処理結果信号に基づいて、受信信号が正規波に対応するものであるか否かを識別するようになっている。また、検知部73は、受信信号が正規波である場合に、伝播時間に基づいて物体Bとの距離を算出するようになっている。
検知部73は、受信信号が正規波に対応するものであるか否かを識別するための判定部74を有している。判定部74は、駆動信号に対応した参照信号と受信信号との一致性に基づいて、受信波に含まれる符号を判定するように構成されている。具体的には、判定部74は、補正部72による補正後の参照信号と受信信号との一致性の算出結果である処理結果信号に基づいて、符号を判定するようになっている。
(動作概要)
以下、本実施形態の構成の動作概要について、図1~図4を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、本実施形態に係る装置構成、制御方法、および制御プログラムを、単に「本実施形態」と称することがある。
以下、本実施形態の構成の動作概要について、図1~図4を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、本実施形態に係る装置構成、制御方法、および制御プログラムを、単に「本実施形態」と称することがある。
図2を参照すると、駆動制御部71は、制御信号を駆動信号生成部5に出力する。すると、駆動信号生成部5は、制御信号に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を送信部40Aに向けて出力する。かかる駆動信号により、送信部40Aが駆動される。すなわち、送信回路42は、入力された駆動信号に基づいて、トランスデューサ41を励振する。これにより、送信器として機能するトランスデューサ41から、送信波が自車両の外部に向けて送信される。送信波は、駆動信号に基づいて、周波数変調により符号化される。
駆動制御部71は、駆動信号における、符号、すなわち、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定する。具体的には、駆動制御部71は、駆動信号に付与する符号を、複数種類の符号から、何れか一つを選択する。1回の送信波の送信に際して、複数の符号を配列した複数ビットの符号列を設定することが可能である。
(動作例1)
図3は、駆動信号の一具体例を示す。本例においては、駆動信号生成部5は、4種類の駆動信号である第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4を選択的に出力可能である。「選択的に出力可能」とは、1つの駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれか1つを出力中は他の3つは出力されないことをいう。具体的には、例えば、1つの駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1の出力中は、かかる駆動信号生成部5から第二駆動信号DS2~第四駆動信号DS4は出力されない。但し、かかる駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1の出力後、第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれか1つが再度出力可能となる。第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4は、周波数帯域および/または周波数変調態様が互いに異なる。駆動制御部71は、駆動信号生成部5が第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれを出力するかを制御する。
図3は、駆動信号の一具体例を示す。本例においては、駆動信号生成部5は、4種類の駆動信号である第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4を選択的に出力可能である。「選択的に出力可能」とは、1つの駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれか1つを出力中は他の3つは出力されないことをいう。具体的には、例えば、1つの駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1の出力中は、かかる駆動信号生成部5から第二駆動信号DS2~第四駆動信号DS4は出力されない。但し、かかる駆動信号生成部5において、第一駆動信号DS1の出力後、第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれか1つが再度出力可能となる。第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4は、周波数帯域および/または周波数変調態様が互いに異なる。駆動制御部71は、駆動信号生成部5が第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれを出力するかを制御する。
図中、マイク中心周波数fcは、送受信器としてのトランスデューサ41における所定の設計送受信周波数帯域fr0の中心であり、共振周波数と略同一あるいはその近傍となる。設計送受信周波数帯域fr0は、マイク中心周波数fcにおける感度を0[dB]とした場合の、感度が0~Sb[dB]となる範囲である。すなわち、送信部40Aにより良好に送受信可能な周波数範囲である設計送受信周波数帯域fr0は、感度が0~Sb[dB]となる、設計上限周波数fuと設計下限周波数fdとの間の周波数帯域である。Sbは、典型的には、例えば、-3[dB]である。感度は、トランスデューサ41を受信器として用いた場合の感度である。マイク中心周波数fcは、「設計中心周波数」とも称され得る。
第一周波数帯域fr1は、第一駆動信号DS1に対応する周波数帯域である。すなわち、第一駆動信号DS1は、時間経過とともに周波数が第一周波数帯域fr1内にて変化するような周波数変調態様を有している。同様に、第二周波数帯域fr2は、第二駆動信号DS2に対応する周波数帯域である。第三周波数帯域fr3は、第三駆動信号DS3に対応する周波数帯域である。第四周波数帯域fr4は、第四駆動信号DS4に対応する周波数帯域である。図中、第一周波数帯域fr1~第四周波数帯域fr4の各々における中心周波数が、丸印で示されている。第一周波数帯域fr1~第四周波数帯域fr4の各々における中心周波数は、各周波数帯域における上限周波数と下限周波数との中央値である。
図3に示されているように、第一周波数帯域fr1の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第一周波数帯域fr1の下限周波数は、マイク中心周波数fcである。また、第一周波数帯域fr1の上限周波数は、設計上限周波数fuである。すなわち、第一周波数帯域fr1は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割した場合の、高周波数側の帯域である。
第一駆動信号DS1は、符号UHに対応する。符号UHは、第一周波数帯域fr1内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号UHは、第一周波数帯域fr1における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。符号UHにおいて、「U」は「アップチャープ」を示し、「H」はマイク中心周波数fcよりも高周波数側の周波数帯域であることを示す。
第二周波数帯域fr2の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。また、第二周波数帯域fr2の上限周波数は、第一周波数帯域fr1の上限周波数よりも低い。さらに、第二周波数帯域fr2の下限周波数は、第一周波数帯域fr1の下限周波数よりも低い。すなわち、第二周波数帯域fr2は、第一周波数帯域fr1を低周波数側にオフセットした関係となる。
本例においては、第二周波数帯域fr2の下限周波数は、設計下限周波数fdである。また、第二周波数帯域fr2の上限周波数は、マイク中心周波数fcである。すなわち、第二周波数帯域fr2は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割した場合の、低周波数側の帯域である。換言すれば、第一周波数帯域fr1および第二周波数帯域fr2は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割したものである。
第二駆動信号DS2は、符号ULに対応する。符号ULは、第一周波数帯域fr1とは異なる第二周波数帯域fr2内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号ULは、第二周波数帯域fr2における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。符号ULにおいて、「U」は「アップチャープ」を示し、「L」はマイク中心周波数fcよりも低周波数側の周波数帯域であることを示す。
第三周波数帯域fr3の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第三周波数帯域fr3の下限周波数は、マイク中心周波数fcである。また、第三周波数帯域fr3の上限周波数は、設計上限周波数fuである。すなわち、第三周波数帯域fr3は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割した場合の、高周波数側の帯域である。さらに、第三周波数帯域fr3は、第一周波数帯域fr1と同一である。すなわち、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とで、中心周波数および周波数帯域幅が同一である。
第三駆動信号DS3は、符号DHに対応する。符号DHは、第三周波数帯域fr3内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DHは、第三周波数帯域fr3における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。符号DHにおいて、「D」は「ダウンチャープ」を示し、「H」はマイク中心周波数fcよりも高周波数側の周波数帯域であることを示す。
第四周波数帯域fr4の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。また、第四周波数帯域fr4の上限周波数は、第三周波数帯域fr3の上限周波数よりも低い。さらに、第四周波数帯域fr4の下限周波数は、第三周波数帯域fr3の下限周波数よりも低い。すなわち、第四周波数帯域fr4は、第三周波数帯域fr3を低周波数側にオフセットした関係となる。
本例においては、第四周波数帯域fr4の下限周波数は、設計下限周波数fdである。また、第四周波数帯域fr4の上限周波数は、マイク中心周波数fcである。すなわち、第四周波数帯域fr4は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割した場合の、低周波数側の帯域である。換言すれば、第三周波数帯域fr3および第四周波数帯域fr4は、マイク中心周波数fcによって設計送受信周波数帯域fr0を二分割したものである。さらに、第四周波数帯域fr4は、第二周波数帯域fr2と同一である。
第四駆動信号DS4は、符号DLに対応する。符号DLは、第三周波数帯域fr3とは異なる第四周波数帯域fr4内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DLは、第四周波数帯域fr4における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。符号DLにおいて、「D」は「ダウンチャープ」を示し、「L」はマイク中心周波数fcよりも低周波数側の周波数帯域であることを示す。
このように、駆動制御部71は、駆動信号に付与する符号を、UH、UL、DH、およびDLという複数種類の符号から、何れか一つを選択して設定する。これにより、特定ビットに設定される符号が、UH、UL、DH、およびDLのうちから選択される。具体的には、例えば、「UH,DL,UL,…」という多ビットの符号列が生成され得る。すると、駆動制御部71にて設定された符号あるいは符号列に対応してチャープ周波数変調された送信波が、送受信部4から送信される。
図4は、自車両が前進走行中に、自車両前方における障害物検知を実行している状態を示す。図4に示されているように、車載状態にて、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dは、自車両の進行方向と交差する車幅方向に配列されている。
ここで、車幅方向に配列された複数の超音波センサ3すなわち第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dにおける、「自センサ」および「他センサ」を、以下のように定義する。「自センサ」とは、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dのうちの、今回着目する1つである。「他センサ」とは、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dのうちの、自センサとは異なるものである。具体的には、例えば、第二フロントセンサ3Bについての動作を説明する際には、第二フロントセンサ3Bが「自センサ」となり、第一フロントセンサ3A、第三フロントセンサ3C、および第四フロントセンサ3Dが「他センサ」となる。自センサに備えられたトランスデューサ41が「自送信部」に相当し、他センサに備えられたトランスデューサ41が「他送信部」に相当する。なお、上記の定義からも明らかなように、「他センサ」も、「自センサ」と同様に、自車両に搭載されたものである。これに対し、自車両とは異なる他車両に搭載された超音波センサ3を、「他センサ」と区別するために、以下「他車両搭載センサ」と称する。「他センサ」と「他車両搭載センサ」とを総称したものが、上記の「他装置」である。
本実施形態においては、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dの各々における駆動制御部71は、電子制御装置2と協働することで、隣接する他センサとは異なる方向に周波数が変化するように、他センサとは異なる符号を自センサにおける駆動信号に付与する。すなわち、例えば、図4に示されているように、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dにおける符号は、それぞれ、順にDH、UH、DL、ULとなる。これにより、自センサと、これと隣接する他センサとは、アップチャープとダウンチャープとの組み合わせとなる。具体的には、互いに隣接する第一フロントセンサ3Aと第二フロントセンサ3Bとで、チャープ方向すなわち時間経過に伴う周波数変化方向が異なることとなる。同様に、第二フロントセンサ3Bと、これに隣接する第一フロントセンサ3Aおよび第三フロントセンサ3Cとで、チャープ方向が異なることとなる。また、第三フロントセンサ3Cと、これに隣接する第二フロントセンサ3Bおよび第四フロントセンサ3Dとで、チャープ方向が異なることとなる。また、互いに隣接する第三フロントセンサ3Cと第四フロントセンサ3Dとで、チャープ方向が異なることとなる。
(効果)
以下、本実施形態および上記の動作例により奏される効果について、図1~図12を参照しつつ説明する。
以下、本実施形態および上記の動作例により奏される効果について、図1~図12を参照しつつ説明する。
本実施形態は、図4に示されているように、車体C1における同一面(すなわち上記の例では前面)に設けられ車幅方向に配列された複数の超音波センサ3である第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dを、それぞれ異なる駆動信号で駆動する。これにより、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dは、それぞれ異なる符号によって符号化された送信波を送受信する。特に、混信が発生する可能性が最も高い、互いに隣接するセンサ間において、チャープ方向が異なっている。したがって、本実施形態によれば、混信耐性が向上する。
図5は、各符号に対応する受信信号すなわち反射信号の周波数特性を示す。図中、駆動信号の周波数特性に対応する直線状の波形が、破線で示されている。かかる破線の波形は、補正部72によるドップラーシフト補正がなされる前の参照信号に相当する。補正部72によるドップラーシフト補正については後述する。図6は、各符号に対応する受信信号の振幅波形を示す。
図7~図9は、比較例として、設計送受信周波数帯域fr0の全域にて周波数変化する第一比較駆動信号DSuおよび第二比較駆動信号DSdを用いた例を示す。図7は、第一比較駆動信号DSuおよび第二比較駆動信号DSdの周波数特性を示す。第一比較駆動信号DSuは、設計下限周波数fdから設計上限周波数fuに向かって駆動周波数が直線的に上昇する周波数変調態様を有し、符号UPに対応する。符号UPは、「アップチャープ」を示す。第二比較駆動信号DSdは、設計上限周波数fuから設計下限周波数fdに向かって駆動周波数が直線的に下降する周波数変調態様を有し、符号DNに対応する。符号DNは、「ダウンチャープ」を示す。図8は、第一比較駆動信号DSuに対応する受信信号の周波数特性および振幅波形を示す。図9は、第二比較駆動信号DSdに対応する受信信号の周波数特性および振幅波形を示す。図8および図9中、駆動信号あるいはドップラーシフト補正前の参照信号の周波数特性に対応する直線状の波形が、破線で示されている。
図10は、受信信号処理部6によるパルス圧縮の効果を示す。図10における(a)は、パルス圧縮処理が行われていない状態での受信信号の強度特性を示す。この図に示されているように、受信信号は、破線で示す複数の反射波同士の干渉により、ピークが低下する。これに対し、図10における(b)は、受信信号処理部6によりパルス圧縮処理がなされた状態での受信信号の強度特性を示す。この図に示されているように、パルス圧縮により、信号幅が短くなり、ピーク低下が抑制される。これにより、良好な符号識別および反射波同士の干渉低減の効果が、一定程度得られる。
ところで、超音波により障害物検知を行う際、他装置からの送信波に起因する受信波を、自センサからの送信波に起因する受信波と誤って検知してしまうという課題がある。これに対し、FSK(Frequency Shift Keying)等により符号化することで、このような混信リスクを低減する技術が従来提案されている(例えば特許文献1等)。かかる従来技術を用いることで、自車両に搭載された複数の超音波センサ3の各々にユニークな符号を割り当てることにより、混信リスクを低減することができる。
しかしながら、自車両に搭載された超音波センサ3が壁やポールに対向した場合、根元からの反射波と正面からの反射波とが重なり合う。発明者らは、超音波センサ3による障害物検知において、FSKのような符号化を用いても、このように反射波が重なり合うシーンでは、反射波同士の干渉により、符号の識別が困難となるという課題を見出した。
具体的には、例えば、壁やポールに対向した自センサから、「101」という3ビットの符号を有する送信波が送信された場面を想定する。かかる3ビットの符号における「1」は「UP」に対応し、「0」は「DN」に対応するものとする。このような場面において、正面反射波における2ビット目の符号「0」すなわち「DN」の部分と、根元反射波における1ビット目の符号「1」すなわち「UP」の部分とが干渉することで、符号の識別誤りが発生する懸念がある。特に、電波の送受信を用いたレーダーとは異なり、共振型の超音波マイクロフォンであるトランスデューサ41による超音波の送受信を用いる超音波センサ3においては、干渉が発生した場合にコードを復元することが困難である。このため、この種の超音波センサ3を用いた物体検知においては、反射波同士の干渉が発生しても良好な符号識別が可能で、かつ符号数を増加させる技術が必要となる。
この点、発明者らは、駆動信号の掃引周波数帯域について、マイク中心周波数fcを基準として高周波数側のものと低周波数側のものとを設定し、これとチャープ方向との組み合わせにより、1ビットにおける多符号化が実現できることを見出した。具体的には、設計送受信周波数帯域fr0内にてN個の周波数帯域を設定し、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ方向を用いた場合、1ビットあたり「N×2」種類の符号が利用可能となる(例えば図3の例ではN=2である)。本実施形態においては、かかる多符号化とパルス圧縮とにより、反射波同士の干渉が発生しても、良好な符号識別が可能となる。したがって、本実施形態によれば、符号識別性能がよりいっそう向上した物体検知装置を提供することが可能となる。
図11および図12は、補正部72によるドップラーシフト補正の概要を示す。自車両と物体Bとの相対速度が大きい場合、ドップラーシフトが問題となる。ドップラーシフトが発生すると、図11(a)に示されているように、正規波であっても、受信信号と参照信号との間のミスマッチが発生し、符号が認識できなくなる。特に、本実施形態の構成においては、ドップラーシフトの影響や、指向性に伴う横方向(すなわち車幅方向)の位置関係の影響を受けやすくなるという、特有の課題がある。
そこで、補正部72は、自車両の移動速度すなわち車速に応じて、図11(b)に示されているように、参照信号を補正する。具体的には、図12を参照すると、2つの超音波センサ3(例えば図12の例においては第一フロントセンサ3Aおよび第二フロントセンサ3B)を用いて取得された測距結果により、物体Bの自車両に対する相対位置座標B(X,Y)が算出可能である。かかる相対位置座標B(X,Y)と自車両の車速ベクトルVとに基づいて、2つの超音波センサ3の各々と物体Bとの相対速度ベクトルV1,V2が算出される。かかる相対速度ベクトルV1,V2に基づいて、参照信号の補正量が算出され得る。
(動作例2)
図13は、駆動信号の他の一具体例を示す。図14は、図13に示された各符号に対応する受信信号すなわち反射信号の周波数特性を示す。なお、以下の動作例の説明において、上記動作例1と互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の動作例の説明において、上記動作例1と同一の符号を有する要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記動作例1における説明が適宜援用され得る。後述する他の動作例についても同様である。
図13は、駆動信号の他の一具体例を示す。図14は、図13に示された各符号に対応する受信信号すなわち反射信号の周波数特性を示す。なお、以下の動作例の説明において、上記動作例1と互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の動作例の説明において、上記動作例1と同一の符号を有する要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記動作例1における説明が適宜援用され得る。後述する他の動作例についても同様である。
本例においても、駆動信号生成部5は、周波数帯域および/または周波数変調態様が互いに異なる4種類の駆動信号である、第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4を選択的に出力可能である。すなわち、駆動制御部71は、駆動信号生成部5が第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4のうちのいずれを出力するかを制御する。
トランスデューサ41は、共振周波数あるいはその近傍の周波数であるマイク中心周波数fcにて、安定的に超音波振動する。よって、トランスデューサ41がマイク中心周波数fcの付近の周波数にて一旦励振されると、振動周波数は当該周波数から変化させにくくなる。このため、マイク中心周波数fcの付近の周波数においては、反射波における周波数が変化しにくい。この点、送信波の発信に際し、マイク中心周波数fcを跨ぐように駆動周波数を掃引することで、受信信号における周波数帯域を大きくすることが可能となる。
そこで、本例においては、駆動制御部71は、中心周波数がマイク中心周波数fcよりも高い第一周波数帯域fr1と、中心周波数がマイク中心周波数fcよりも低い第二周波数帯域fr2とを、マイク中心周波数fc近辺にて一部重複させる。具体的には、第一周波数帯域fr1の下限周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。一方、第一周波数帯域fr1の上限周波数は、設計上限周波数fuである。これに対し、第二周波数帯域fr2の上限周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。一方、第二周波数帯域fr2の下限周波数は、設計下限周波数fdである。
同様に、駆動制御部71は、中心周波数がマイク中心周波数fcよりも高い第三周波数帯域fr3と、中心周波数がマイク中心周波数fcよりも低い第四周波数帯域fr4とを、マイク中心周波数fc近辺にて一部重複させる。具体的には、第三周波数帯域fr3の下限周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。一方、第三周波数帯域fr3の上限周波数は、設計上限周波数fuである。これに対し、第四周波数帯域fr4の上限周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。一方、第四周波数帯域fr4の下限周波数は、設計下限周波数fdである。また、本例においては、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とは同一であり、第二周波数帯域fr2と第四周波数帯域fr4とは同一である。
すなわち、本例においては、駆動制御部71は、駆動信号の開始周波数がマイク中心周波数fcの近傍である場合、かかる開始周波数を、マイク中心周波数fcを挟んで、駆動信号の終了周波数とは反対側とする。一方、駆動制御部71は、駆動信号の終了周波数がマイク中心周波数fcの近傍である場合、かかる終了周波数を、マイク中心周波数fcを挟んで、駆動信号の開始周波数とは反対側とする。これにより、受信信号における周波数帯域を大きくすることができ、以て識別性能が向上する。
(動作例3)
図15は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。図16は、図15に示された各符号に対応する受信信号すなわち反射信号の周波数特性を示す。
図15は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。図16は、図15に示された各符号に対応する受信信号すなわち反射信号の周波数特性を示す。
設計送受信周波数帯域fr0内にて設定したN個の周波数帯域と、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ方向との組み合わせにより、1ビットあたり「N×2」種類の多符号化を行った場合、多種類の符号同士で識別性能に差がないことが好適である。すなわち、ある特定の符号についての識別性が、他の符号についての識別性よりも高すぎたり低すぎたりすることは、全体としての識別性能の低下につながる。
共振型の超音波マイクロフォンであるトランスデューサ41は、共振周波数あるいはその近傍の周波数であるマイク中心周波数fcにて、安定的に超音波振動する。よって、トランスデューサ41がマイク中心周波数fcの付近の周波数にて一旦励振されると、振動周波数は当該周波数から変化させにくくなる。すなわち、駆動周波数の掃引態様によって、実際の送信波の周波数の掃引のしやすさが異なる。そこで、本例においては、駆動制御部71は、複数の符号間の、受信波における周波数帯域幅の差を抑制するように、駆動信号における周波数帯域および/またはパルス数を設定する。
具体的には、本例においては、駆動制御部71は、図15に示されているように、時間経過に伴って駆動周波数がマイク中心周波数fcから離隔する態様での周波数掃引を特徴とする、第一駆動信号DS1(すなわち符号UH)および第四駆動信号DS4(すなわち符号DL)において、周波数帯域およびパルス数を増加させる。図15における破線は、周波数帯域およびパルス数を増加させる前の状態を示す。一方、駆動制御部71は、時間経過に伴って駆動周波数がマイク中心周波数fcに向かって変化する態様での周波数掃引を特徴とする、第二駆動信号DS2(すなわち符号UL)および第三駆動信号DS3(すなわち符号DH)においては、周波数帯域およびパルス数を増加させない。
このように、本例においては、符号によって、駆動周波数帯域がマイク中心周波数fcを跨ぐか否かが設定される。また、本例においては、符号によって、駆動信号におけるパルス数が設定される。これにより、多種類の符号同士での識別性能を可及的に均一化することで、全体としての識別性能を向上させることが可能となる。
(動作例4)
図17は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。上記動作例1~3においては、設計送受信周波数帯域fr0内にて設定した2個の周波数帯域と、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ符号化との組み合わせにより、1ビットあたり「2×2」種類の多符号化を可能とした。これに対し、本例は、設計送受信周波数帯域fr0内にて設定した4個の周波数帯域と、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ符号化との組み合わせにより、1ビットあたり「4×2」種類の多符号化を可能とするものである。
図17は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。上記動作例1~3においては、設計送受信周波数帯域fr0内にて設定した2個の周波数帯域と、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ符号化との組み合わせにより、1ビットあたり「2×2」種類の多符号化を可能とした。これに対し、本例は、設計送受信周波数帯域fr0内にて設定した4個の周波数帯域と、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ符号化との組み合わせにより、1ビットあたり「4×2」種類の多符号化を可能とするものである。
図中、上側中間周波数fmuは、マイク中心周波数fcと設計上限周波数fuとの中間すなわち中央値となる周波数である。下側中間周波数fmdは、マイク中心周波数fcと設計下限周波数fdとの中間すなわち中央値となる周波数である。
具体的には、本例においては、駆動制御部71は、駆動信号生成部5が第一駆動信号DS1~第八駆動信号DS8のうちのいずれを出力するかを制御する。第一駆動信号DS1~第八駆動信号DS8は、周波数帯域および/または周波数変調態様が互いに異なる。第一周波数帯域fr1~第八周波数帯域fr8は、それぞれ、第一駆動信号DS1~第八駆動信号DS8に対応する周波数帯域である。
第一周波数帯域fr1の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第一周波数帯域fr1の下限周波数は、マイク中心周波数fcである。また、第一周波数帯域fr1の上限周波数は、上側中間周波数fmuである。第一駆動信号DS1は、符号UH1に対応する。符号UH1は、第一周波数帯域fr1内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号UH1は、第一周波数帯域fr1における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。
第二周波数帯域fr2の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。また、第二周波数帯域fr2の上限周波数は、第一周波数帯域fr1の上限周波数よりも低い。さらに、第二周波数帯域fr2の下限周波数は、第一周波数帯域fr1の下限周波数よりも低い。すなわち、第二周波数帯域fr2は、第一周波数帯域fr1を低周波数側にオフセットしたものに相当する。
本例においては、第二周波数帯域fr2の下限周波数は、下側中間周波数fmdである。また、第二周波数帯域fr2の上限周波数は、マイク中心周波数fcである。第二駆動信号DS2は、符号UL1に対応する。符号UL1は、第二周波数帯域fr2内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号UL1は、第二周波数帯域fr2における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。
第三周波数帯域fr3の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第三周波数帯域fr3の下限周波数は、マイク中心周波数fcである。また、第三周波数帯域fr3の上限周波数は、上側中間周波数fmuである。第三駆動信号DS3は、符号DH1に対応する。符号DH1は、第三周波数帯域fr3内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DH1は、第三周波数帯域fr3における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。
第四周波数帯域fr4の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。また、第四周波数帯域fr4の上限周波数は、第三周波数帯域fr3の上限周波数よりも低い。さらに、第四周波数帯域fr4の下限周波数は、第三周波数帯域fr3の下限周波数よりも低い。すなわち、第四周波数帯域fr4は、第三周波数帯域fr3を低周波数側にオフセットしたものに相当する。
本例においては、第四周波数帯域fr4の下限周波数は、下側中間周波数fmdである。また、第四周波数帯域fr4の上限周波数は、マイク中心周波数fcである。第四駆動信号DS4は、符号DL1に対応する。符号DL1は、第四周波数帯域fr4内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DL1は、第四周波数帯域fr4における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。
第五周波数帯域fr5の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第五周波数帯域fr5の下限周波数は、上側中間周波数fmuである。また、第五周波数帯域fr5の上限周波数は、設計上限周波数fuである。第五駆動信号DS5は、符号UH2に対応する。符号UH2は、第五周波数帯域fr5内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号UH2は、第五周波数帯域fr5における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。
第五周波数帯域fr5の上限周波数は、第一周波数帯域fr1の上限周波数よりも高い。また、第五周波数帯域fr5の下限周波数は、第一周波数帯域fr1の下限周波数よりも高い。すなわち、第五周波数帯域fr5は、第一周波数帯域fr1を高周波数側にオフセットしたものに相当する。
第六周波数帯域fr6の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。本例においては、第六周波数帯域fr6の下限周波数は、設計下限周波数fdである。また、第六周波数帯域fr6の上限周波数は、下側中間周波数fmdである。第六駆動信号DS6は、符号UL2に対応する。符号UL2は、第六周波数帯域fr6内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号UL2は、第六周波数帯域fr6における下限周波数から上限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「アップチャープ」に対応する。
第六周波数帯域fr6の上限周波数は、第二周波数帯域fr2の上限周波数よりも低い。また、第六周波数帯域fr6の下限周波数は、第二周波数帯域fr2の下限周波数よりも低い。すなわち、第六周波数帯域fr6は、第二周波数帯域fr2を低周波数側にオフセットしたものに相当する。
第七周波数帯域fr7の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも高い。本例においては、第七周波数帯域fr7の下限周波数は、上側中間周波数fmuである。また、第七周波数帯域fr7の上限周波数は、設計上限周波数fuである。第七駆動信号DS7は、符号DH2に対応する。符号DH2は、第七周波数帯域fr7内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DH2は、第七周波数帯域fr7における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。
第七周波数帯域fr7の上限周波数は、第三周波数帯域fr3の上限周波数よりも高い。また、第七周波数帯域fr7の下限周波数は、第三周波数帯域fr3の下限周波数よりも高い。すなわち、第七周波数帯域fr7は、第三周波数帯域fr3を高周波数側にオフセットしたものに相当する。
第八周波数帯域fr8の中心周波数は、マイク中心周波数fcよりも低い。本例においては、第八周波数帯域fr8の下限周波数は、設計下限周波数fdである。また、第八周波数帯域fr8の上限周波数は、下側中間周波数fmdである。第八駆動信号DS8は、符号DL2に対応する。符号DL2は、第八周波数帯域fr8内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる。具体的には、符号DL2は、第八周波数帯域fr8における上限周波数から下限周波数に向かって駆動周波数が直線的に上昇する「ダウンチャープ」に対応する。
第八周波数帯域fr8の上限周波数は、第四周波数帯域fr4の上限周波数よりも低い。また、第八周波数帯域fr8の下限周波数は、第四周波数帯域fr4の下限周波数よりも低い。すなわち、第八周波数帯域fr8は、第四周波数帯域fr4を低周波数側にオフセットしたものに相当する。
本例においては、第一周波数帯域fr1は、第三周波数帯域fr3と同一である。また、第二周波数帯域fr2は、第四周波数帯域fr4と同一である。また、第五周波数帯域fr5は、第七周波数帯域fr7と同一である。また、第六周波数帯域fr6は、第八周波数帯域fr8と同一である。さらに、第一周波数帯域fr1、第二周波数帯域fr2、第五周波数帯域fr5、および第六周波数帯域fr6は、設計送受信周波数帯域fr0を四分割した場合の、それぞれの帯域である。同様に、第三周波数帯域fr3、第四周波数帯域fr4、第七周波数帯域fr7、および第八周波数帯域fr8は、設計送受信周波数帯域fr0を四分割した場合の、それぞれの帯域である。
本例によれば、設計送受信周波数帯域fr0内にて4個の周波数帯域を設定し、アップチャープとダウンチャープとの2種類のチャープ方向を用いることで、1ビットあたり「4×2」種類の符号が利用可能となる。これにより、1ビットあたりに設定可能な符号種類がよりいっそう多くなり、以て良好な符号識別が可能となる。
(動作例5)
図18は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。本例は、図17に示された動作例5に対して、図15に示された動作例3の手法を導入したものに相当する。すなわち、本例は、符号UH1~DL2の8種類の符号についての識別性を均一化することを企図したものである。
図18は、駆動信号のさらに他の一具体例を示す。本例は、図17に示された動作例5に対して、図15に示された動作例3の手法を導入したものに相当する。すなわち、本例は、符号UH1~DL2の8種類の符号についての識別性を均一化することを企図したものである。
共振型の超音波マイクロフォンであるトランスデューサ41による超音波の送受信を用いる超音波センサ3においては、マイク中心周波数fcから離隔した駆動周波数で駆動する場合、マイク中心周波数fcあるいはその近辺の駆動周波数で駆動するよりも、送信効率が低下する。そこで、本例においては、駆動制御部71は、マイク中心周波数fcから離隔した周波数帯域に対応する符号ほど、駆動信号における周波数帯域および/またはパルス数を増加させる。
具体的には、本例においては、駆動制御部71は、第一周波数帯域fr1~第八周波数帯域fr8のうち、よりマイク中心周波数fcから離隔した第五周波数帯域fr5~第八周波数帯域fr8に対応する第五駆動信号DS5~第八駆動信号DS8にて、周波数帯域および/またはパルス数を図17の例(すなわち図18における破線参照)よりも増加させる。これに対し、駆動制御部71は、第一周波数帯域fr1~第四周波数帯域fr4に対応する第一駆動信号DS1~第四駆動信号DS4にて、周波数帯域およびパルス数を図17の例と同一とする。
このように、本例においては、符号によって、駆動周波数帯域、および、駆動信号におけるパルス数が設定される。これにより、多種類の符号同士での識別性能を可及的に均一化することで、全体としての識別性能を向上させることが可能となる。
(動作例6)
図19A~図19Dは、図4と同様に、車体C1の前面にて車幅方向に配列された複数の超音波センサ3すなわち第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dにおける、一駆動例を示す。
図19A~図19Dは、図4と同様に、車体C1の前面にて車幅方向に配列された複数の超音波センサ3すなわち第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dにおける、一駆動例を示す。
本実施形態は、所定時間周期で、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dの送受信動作を実行させる。ここで、第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dの各々にて送受信を1回ずつ実行する合計4回の送受信を、「1サイクル」と称する。すなわち、本実施形態は、サイクル開始時刻t1にて第二フロントセンサ3Bの送受信動作を実行させ、中間時刻t2にて第三フロントセンサ3Cの送受信動作を実行させ、サイクル終了時刻t3にて第一フロントセンサ3Aおよび第四フロントセンサ3Dの送受信動作を実行させる。サイクル開始時刻t1における送信波の送信から、サイクル終了時刻t3における送信波の送信に対応する受信処理の終了までが、「1サイクル」である。サイクル開始時刻t1は、車載システム1の動作条件すなわち障害物検知条件が成立している間、所定時間周期で繰り返し到来する。
本実施形態は、図19A~図19Dに示されているように、車体C1における同一面(すなわち図19A~図19Dの例では前面)に設けられ車幅方向に配列された複数の超音波センサ3である第一フロントセンサ3A~第四フロントセンサ3Dを、1サイクル中にて、それぞれ異なる符号に対応する異なる駆動信号で駆動する。このとき、本実施形態は、隣接する他センサとは異なる方向に周波数が変化するように、他センサとは異なる符号を自センサにおける駆動信号に付与する。また、本実施形態は、サイクル毎に異なる符号を、自センサを駆動する駆動信号に付与する。
本例においては、図3、図13、または図15に示されているように、駆動信号に付与可能な符号の種類が4種類であるものとする。この場合、本実施形態は、4サイクルで4種類の符号を、自センサを駆動する駆動信号に付与する。
具体的には、本実施形態は、図19Aに示されているように、1サイクル目にて、サイクル開始時刻t1に駆動する第二フロントセンサ3Bにおける送信波の符号をUHとする。また、中間時刻t2に駆動する第三フロントセンサ3Cにおける送信波の符号をDLとする。そして、サイクル終了時刻t3に駆動する、第一フロントセンサ3Aおよび第四フロントセンサ3Dにおける送信波の符号を、それぞれ、DHおよびULとする。
また、本実施形態は、図19Bに示されているように、2サイクル目にて、サイクル開始時刻t1に駆動する第二フロントセンサ3Bにおける送信波の符号をDLとする。また、中間時刻t2に駆動する第三フロントセンサ3Cにおける送信波の符号をUHとする。そして、サイクル終了時刻t3に駆動する、第一フロントセンサ3Aおよび第四フロントセンサ3Dにおける送信波の符号を、それぞれ、ULおよびDHとする。
また、本実施形態は、図19Cに示されているように、3サイクル目にて、サイクル開始時刻t1に駆動する第二フロントセンサ3Bにおける送信波の符号をULとする。また、中間時刻t2に駆動する第三フロントセンサ3Cにおける送信波の符号をDHとする。そして、サイクル終了時刻t3に駆動する、第一フロントセンサ3Aおよび第四フロントセンサ3Dにおける送信波の符号を、それぞれ、DLおよびUHとする。
また、本実施形態は、図19Dに示されているように、4サイクル目にて、サイクル開始時刻t1に駆動する第二フロントセンサ3Bにおける送信波の符号をDHとする。また、中間時刻t2に駆動する第三フロントセンサ3Cにおける送信波の符号をULとする。そして、サイクル終了時刻t3に駆動する、第一フロントセンサ3Aおよび第四フロントセンサ3Dにおける送信波の符号を、それぞれ、UHおよびDLとする。
本実施形態によれば、自車両に搭載された複数の超音波センサ3の各々にユニークな符号を割り当てることにより、自車両内の混信リスクを低減することができる。また、1つの超音波センサ3が送信する符号を送信毎に変えることにより、他車両搭載センサとの混信リスクを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、良好な符号識別が可能となる。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
電子制御装置2の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、電子制御装置2において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
電子制御装置2および超音波センサ3は、車載すなわち車両に搭載されるものに限定されない。すなわち、例えば、電子制御装置2および超音波センサ3は、船舶あるいは飛行体にも搭載され得る。
超音波センサ3は、図2に示されているような、単一のトランスデューサ41によって超音波を送受信可能な構成に限定されない。すなわち、例えば、送信回路42に電気接続された送信用のトランスデューサ41と、受信回路43に電気接続された受信用のトランスデューサ41とが、並列に設けられていてもよい。
送信回路42、受信回路43等の各部の構成も、上記実施形態にて示された具体例に限定されない。すなわち、例えば、デジタル/アナログ変換回路は、送信回路42に代えて、駆動信号生成部5に設けられていてもよい。また、送信回路42は、駆動信号生成部5と一体化されてもよい。同様に、受信回路43は、受信信号処理部6と一体化されてもよい。
センサ制御部7における各機能構成のうちの全部または一部は、電子制御装置2に設けられてもよい。すなわち、本発明に係る物体検知装置は、電子制御装置2と超音波センサ3とのうちの少なくともいずれか一方によって構成され得る。
センサ制御部7の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、センサ制御部7において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、V2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、車両Cの製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成および動作例に限定されない。すなわち、例えば、図3において、第一周波数帯域fr1の下限周波数はマイク中心周波数fcの近傍であってもよく、第二周波数帯域fr2の上限周波数はマイク中心周波数fcの近傍であってもよく、第三周波数帯域fr3の下限周波数はマイク中心周波数fcの近傍であってもよく、第四周波数帯域fr4の上限周波数はマイク中心周波数fcの近傍であってもよい。
図3において、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とは、異なっていてもよい。すなわち、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とで、中心周波数および/または周波数帯域幅が異なっていてもよい。同様に、第二周波数帯域fr2と第四周波数帯域fr4とは、同一でなくてもよい。
図13において、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、第一周波数帯域fr1と第三周波数帯域fr3とで、中心周波数および/または周波数帯域幅が異なっていてもよい。同様に、第二周波数帯域fr2と第四周波数帯域fr4とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。図17においても同様である。
図15における第二駆動信号DS2および第三駆動信号DS3は、図3のものと置換可能である。
図17において、第五周波数帯域fr5と第七周波数帯域fr7とは、異なっていてもよい。同様に、第六周波数帯域fr6と第八周波数帯域fr8とは、異なっていてもよい。
周波数変化は、直線的でなくてもよく、曲線的であってもよい。周波数変化は、単調増加あるいは単調減少ではなくてもよい。すなわち、例えば、図13を参照すると、符号UHに対応する第一駆動信号DS1は、駆動周波数がマイク中心周波数fcから若干下降した後に設計上限周波数fuまで上昇する周波数特性を有していてもよい。かかる周波数変調態様も、全体としては、第一周波数帯域fr1内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられており、「アップチャープ」と云い得る。同様に、符号DLに対応する第四駆動信号DS4は、駆動周波数がマイク中心周波数fcから若干上昇した後に設計下限周波数fdまで下降する周波数特性を有していてもよい。かかる周波数変調態様も、全体としては、第四周波数帯域fr4内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられており、「ダウンチャープ」と云い得る。
中心周波数は、中央値であってもよいし、平均値であってもよい。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
2 電子制御装置
3 超音波センサ
4 送受信部
40A 送信部
40B 受信部
7 センサ制御部
71 駆動制御部
72 補正部
73 検知部
74 判定部
3 超音波センサ
4 送受信部
40A 送信部
40B 受信部
7 センサ制御部
71 駆動制御部
72 補正部
73 検知部
74 判定部
Claims (11)
- 移動体(C)に搭載された状態で当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された、物体検知装置(3)であって、
周波数変調により符号化された超音波である送信波を外部に向けて送信するように送信部(40A)を駆動する駆動信号における、所定の周波数帯域内での周波数変調態様を設定する、駆動制御部(71)と、
前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波の受信部(40B)による受信結果に対応する受信信号に基づいて、前記物体を検知する、検知部(73)と、
を備え、
前記検知部は、前記駆動信号に対応した参照信号と前記受信信号との一致性に基づいて、前記受信波に含まれる符号を判定する、判定部(74)を有し、
前記駆動制御部は、前記駆動信号に付与する符号を、第一の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第一の符号と、前記第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が上昇する周波数変調態様によって特徴付けられる第二の符号と、第三の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第三の符号と、前記第三の周波数帯域とは異なる第四の周波数帯域内にて時間経過とともに周波数が下降する周波数変調態様によって特徴付けられる第四の符号と、を少なくとも含む複数種類の符号から、何れか一つを選択して設定するように構成され、
前記第一の周波数帯域の上限周波数は、前記第二の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第一の周波数帯域の下限周波数は、前記第二の周波数帯域の下限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の上限周波数は、前記第四の周波数帯域の上限周波数よりも高く、
前記第三の周波数帯域の下限周波数は、前記第四の周波数帯域の下限周波数よりも高い、
物体検知装置。 - 前記第一の周波数帯域の中心周波数は、前記送信部の中心周波数よりも高く、
前記第二の周波数帯域の中心周波数は、前記送信部の中心周波数よりも低く、
前記第三の周波数帯域の中心周波数は、前記送信部の中心周波数よりも高く、
前記第四の周波数帯域の中心周波数は、前記送信部の中心周波数よりも低い、
請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記第一の周波数帯域の下限周波数は、前記送信部の中心周波数またはその近傍であり、
前記第二の周波数帯域の上限周波数は、前記送信部の中心周波数またはその近傍であり、
前記第三の周波数帯域の下限周波数は、前記送信部の中心周波数またはその近傍であり、
前記第四の周波数帯域の上限周波数は、前記送信部の中心周波数またはその近傍である、
請求項2に記載の物体検知装置。 - 前記駆動制御部は、前記送信部の中心周波数から離隔した周波数帯域に対応する符号ほど、前記駆動信号における周波数帯域および/またはパルス数を増加させる、
請求項1~3のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記駆動制御部は、
前記駆動信号の開始周波数が前記送信部の中心周波数の近傍である場合、かかる開始周波数を、前記送信部の中心周波数を挟んで、前記駆動信号の終了周波数とは反対側とし、
前記駆動信号の終了周波数が前記送信部の中心周波数の近傍である場合、かかる終了周波数を、前記送信部の中心周波数を挟んで、前記駆動信号の開始周波数とは反対側とする、
請求項1~4のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記駆動制御部は、前記第一の符号と、前記第二の符号と、前記第三の符号と、前記第四の符号との間の、前記受信波における周波数帯域幅の差を抑制するように、前記駆動信号における周波数帯域および/またはパルス数を設定する、
請求項1~5のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記移動体の移動速度に応じて、前記参照信号を補正する、補正部(72)をさらに備えた、
請求項1~6のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記補正部は、前記移動速度、および、前記物体の前記移動体との相対位置に応じて、前記参照信号を補正する、
請求項7に記載の物体検知装置。 - 前記移動体の進行方向と交差する配列方向に複数の前記送信部が配列されており、複数の前記送信部のうち、前記駆動制御部により今回駆動する前記送信部を自送信部とし、前記自送信部とは異なる他の前記送信部を他送信部とすると、当該駆動制御部は、隣接する前記他送信部である隣接送信部とは異なる方向に周波数が変化するように、前記他送信部とは異なる符号を前記駆動信号に付与する、
請求項1~8のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記移動体の進行方向と交差する配列方向にK個の前記送信部が配列されており、複数の前記送信部のうち、前記駆動制御部により今回駆動する前記送信部を自送信部とし、前記自送信部とは異なる他の前記送信部を他送信部とし、K個の前記送信部の各々にて順に前記送信波の送信を1回ずつ実行する合計K回の送信を1サイクルとすると、前記駆動制御部は、サイクル毎に異なる符号を、前記自送信部を駆動する前記駆動信号に付与する、
請求項1~9のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記駆動制御部は、前記駆動信号に付与可能な符号の種類がM種類である場合、MサイクルでM種類の符号を、前記自送信部を駆動する前記駆動信号に付与する、
請求項10に記載の物体検知装置。
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