JP2022123918A - 工作機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具長によらず撮像画像のコントラストを確保でき、工具の形状検出を十分な精度で行えるようにする。【解決手段】工具収容装置は、複数の工具Txを収容する。工具収容装置は、工具Txを撮像する撮像部50と、工具Txを搬送する工具搬送部と、工具Txを照らす照明部52と、照明部52を移動させるための移動機構54と、を備え、工具Txの長手方向に照明部52を移動させ、工具Txを撮像する。【選択図】図3

Description

本発明は、工作機械における工具の検査技術に関する。
工作機械には、回転するワークに対して工具を移動させるターニングセンタ、回転する工具をワークに対して移動させるマシニングセンタ、およびこれらの機能を複合的に備える複合加工機などがある。工作機械には、ATC(Automatic Tool Changer)と呼ばれる工具交換装置が備えられ、機械加工の過程で複数種の工具を交換しながらワークが所望の形状に加工される。ATCは、工具収容部(マガジン等)と工具保持部(主軸等)との間で工具交換を実行する。
このような工作機械では、使用後の工具に欠損や折損あるいは切屑の巻き付きなどの異常があった場合、その工具(以下「不良工具」ともいう)をそのまま次回の加工に使用することはできない。このため、工具の使用前後に刃形状をカメラにより撮像し、その使用前後の撮像画像に基づいて不良工具であるか否かを判定する技術が提案されている(特許文献1)。
工具検査においては、例えば工具の一方の側から照明をあて、他方の側に設置されたカメラで工具を撮像する。透過照明を利用することにより工具のシルエットを映し出し、そのシルエットに基づいて工具の輪郭を特定する。正常な輪郭形状が得られない場合、不良工具であると判定できる。
特開2015-131357号公報
このような工具検査の精度は、撮像画像のコントラストに左右される。工具のシルエットが良好に得られる必要があり、そのために工具の撮像対象部(例えば刃元から刃先まで)に均一に光を当てなければならない。しかし、工具収容部に収容される工具の寸法は様々であるため、照明範囲に対して工具が大きすぎると、均一な照明は困難となる。一方、大きな工具に合わせて大きな照明装置を採用するのはコスト面で不利となる。
本発明のある態様は、複数の工具を収容する工具収容装置である。この工具収容装置は、工具を撮像する撮像部と、工具を搬送する工具搬送部と、工具を照らす照明部と、照明部を移動させるための移動機構と、を備え、工具の長手方向に照明部を移動させ、工具を撮像する。
本発明の別の態様は工作機械である。この工作機械は、上記工具収容装置と、工具収容装置に収容された工具を用いてワークを加工する加工装置と、工具収容装置と加工装置との隔壁に設けられた開口を開閉する開閉機構と、を備える。工具搬送部は、開口が開放された状態で工具収容装置と加工装置との間で工具交換を実行する工具交換部を含む。工具の撮像が工具収容装置にて行われる。
本発明によれば、工具長によらず撮像画像のコントラストを確保でき、工具の形状検出を十分な精度で行うことができる。
実施形態に係る工作機械の外観を表す斜視図である。 工具収容装置の内部構成を表す側面図である。 収容室内の構成を模式的に表す斜視図である。 収容室と加工室との境界部周辺を模式的に表す正面図である。 工作機械および画像処理装置のハードウェア構成図である。 画像処理装置の機能ブロック図である。 対象工具の撮像方法を表す図である。 使用前工具形状データ取得処理の処理過程を表すフローチャートである。 工具検査処理の処理過程を表すフローチャートである。 変形例1に係る対象工具の撮像方法を表す図である。 工具が長い場合のカメラの画角と部分画像との関係を模式的に表す図である。 変形例2に係る収容室内の構成を模式的に表す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態の工作機械は、工具を適宜交換しながらワークを所望の形状に加工するマシニングセンタとして構成されている。
図1は、実施形態に係る工作機械の外観を表す斜視図である。工作機械1を正面からみて前後方向,左右方向,上下方向を、それぞれZ軸方向,X軸方向,Y軸方向とする。
工作機械1は、加工装置2および工具収容装置4を備える。これらの装置を覆うようにカバー6(装置筐体)が設けられる。カバー6の内方には、正面から向かって右側に加工室8が設けられ、左側に収容室10が設けられる。加工室8において加工装置2による機械加工が行われる。収容室10においては、工具収容装置4により複数の工具が収容され、また、図示しないATCによる工具交換が行われる(詳細後述)。
カバー6の右側面には操作盤12が設けられている。加工室8には画像処理装置14が接続される。ユーザは、画像処理装置14により工作機械1の作業状況を遠隔監視できる。画像処理装置14は、一般的なラップトップPC(Personal Computer)あるいはタブレット・コンピュータであってもよい。変形例においては、画像処理装置を加工室8の内部装置として構成してもよい。
図2は、工具収容装置4の内部構成を表す側面図である。本図は工作機械1の左側面図に対応するが、説明の便宜上、カバー6の左側面を取り除いた状態を示す。また、マガジン(後述)の一部が部分的に切り欠かれて表示されている。
工具収容装置4は、円盤式のマガジン20を有する。マガジン20の外周面に沿って複数のポット22が配設され、それぞれ工具Tを収納可能に構成されている。各ポット22が工具Tを同軸状に支持し、複数の工具がマガジン20の回転軸24を中心に放射状に支持されている。変形例においては、チェーン式その他のマガジンを採用してもよい。
マガジン20は、回転軸24を中心に回転し、交換対象となる工具Tをその前端位置(図2における右端位置)において水平に支持する。すなわち、マガジン20のポット22は、収容室10において交換対象となる工具T(「対象工具Tx」ともいう)を待機状態で支持する「工具支持部」として機能する。
収容室10と加工室8とを仕切る隔壁26には開口28が設けられ、開口28を開閉するためのシャッタ30が配設されている。シャッタ30およびその駆動機構32が、開口28を開閉する「開閉機構」として機能する。収容室10にはATC34が設けられる。ATC34は、収容室10にて待機状態で保持される工具T(「使用前工具Tp」ともいう)と、加工室8にて工具主軸(図示せず)に保持される工具T(「使用済工具Tu」ともいう)とを交換する。工具交換は、シャッタ30が開放された状態で行われる。
対象工具Txは、収容室10において交換対象として水平に支持される。対象工具Txには、工具交換直前の使用前工具Tpと、工具交換直後の使用済工具Tuが含まれる。本実施形態では、同一の工具について使用前工具Tpの画像と使用済工具Tuの画像を撮像する。それら使用前工具Tpの画像と使用済工具Tuの画像との対比に基づいて、使用済工具Tuの状態(不良工具であるか否か等)を判定する。その詳細については後述する。
図3は、収容室10内の構成を模式的に表す斜視図である。図4は、収容室10と加工室8との境界部周辺を模式的に表す正面図である。
図3に示すように、対象工具Txは、収容室10において水平に支持される。シャッタ30は、図示略の駆動機構(例えばねじ送り機構)により対象工具Txと平行に駆動され、開口28を開閉する。
図4にも示すように、対象工具Txとシャッタ30との間の空間にATC34が配設されている。ATC34は、モータを内蔵する本体36と、モータの回転軸に取り付けられたアーム38を備える。アーム38は、回転軸に対して対称な形状を有し、その両端にそれぞれ把持部40を有する。把持部40は、固定爪42と可動爪44を含む。可動爪44を駆動することにより把持部40による把持動作を実現できる。
ATC34には、アーム38を軸線方向へ移動させる並進機構と、アーム38を軸線周りに回転させる回転機構が設けられる。モータには、並進機構を駆動する第1モータと、回転機構を駆動する第2モータとが含まれる。このような機構そのものは公知であるため、その詳細な説明については省略する。
ATC34の非作動時には、図4に示すように、アーム38の長手方向を上下に向けた状態となる。それにより、シャッタ30が閉じた状態でATC34が収容室10に収まるようにしている。ATC34の作動時には、アーム38の軸線を挟んで一方の側(収容室10側)で使用前工具Tpが待機し、他方の側(加工室8側)で使用済工具Tuが待機する。このとき、シャッタ30が開放される。
ATC34が作動すると、アーム38が回転することで一対の把持部40がそれぞれ使用前工具Tp、使用済工具Tuを把持する。このとき、アーム38は、一時的に開口28を跨ぐことになる。さらに並進機構および回転機構が駆動されることで、ポット22および工具主軸35に対して工具の離脱および装着がなされ、工具交換が実現される。このようなATCの作動そのものは公知であるため、その詳細な説明については省略する。
対象工具Txの保持位置の上方に照明装置52が配置され、下方にカメラ50が配置される。カメラ50は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)などのイメージセンサ(撮像素子)を備える。本実施形態におけるカメラ50は約工具情報格納部100万画素(1224×1024)の解像度を有する。また、カメラ50は1秒間に最大80枚の撮像画像を取得可能である。
照明装置52は「照明部」として機能し、上方から対象工具Txを照らす。カメラ50は「撮像部」として機能し、下方から対象工具Txを撮像する。このようにカメラ50と照明装置52とが対象工具Txに対してちょうど反対側に配置される。照明装置52による透過照明により、カメラ50は、工具Tの輪郭位置を把握しやすい、コントラストの高い撮像画像を取得できる。
図3に戻り、対象工具Txの上方には、照明装置52を対象工具Txの長手方向に移動させるための移動機構54が設けられている。移動機構54は、ガイドレール56およびエアシリンダ58を含む。ガイドレール56は、対象工具Txの軸線と平行に延在し、照明装置52が摺動可能に取り付けられている。エアシリンダ58のロッドの先端に照明装置52が固定されている。エアシリンダ58は、照明装置52をガイドレール56に沿って往復駆動する。
図4にも示すように、ガイドレール56の伸長方向と、工具交換の待機位置における対象工具Txの長手方向とは平行である。また、ガイドレール56の伸長方向と、ATC34の回転軸Lxとは平行である。これらガイドレール56の伸長方向、工具交換の待機位置における対象工具Txの長手方向、およびATC34の回転軸Lxは、いずれもZ軸に対して平行に設計されている。
カメラ50は、対象工具Txを下方(Y軸方向)から撮像する。対象工具Txの撮像対象部を一画面に収めることができるよう、カメラ50と対象工具Txとの距離(ワーキングディスタンス:以下「WD」とも表記する)が設定されている(図4参照)。なお、「撮像対象部」は、対象工具Txが不良工具となっているか否かを判定するために検査が必要な部分(「検査対象部」ともいう)を意味し、予め設定される。本実施形態では、対象工具Txにおいてポット22に支持される基端から刃先までを撮像対象部としている。変形例においては、刃元から刃先までを撮像対象部としてもよい。
本実施形態では、照明装置52が複数回移動しながらの撮像をした後にシャッタ30が開方向に移動し、工具交換が行われる。変形例においては、照明装置52が待機位置(図3に示す位置)で1回目の撮像をした後、照明装置52の移動が開始されるようにしてもよい。カメラ50が2回目の撮像をする前にシャッタ30が開方向への移動を開始してもよい。照明装置52が移動を停止して2回目の撮像をする際にシャッタ30が動いていてもよい。
他の変形例においても、照明装置52が待機位置(図3に示す位置)で1回目の撮像をした後、照明装置52の移動が開始されるようにしてもよい。カメラ50が2回目の撮像をする前にシャッタ30が開方向への移動を開始してもよい。そして、照明装置52が移動を停止して2回目の撮像をする際にシャッタ30も一時停止してもよい。
なお、図3および図4においては図示を省略するが、ATC34の本体36、ガイドレール56、エアシリンダ58、照明装置52等の各構造体が、収容室10内の壁面や梁など構造体に安定に固定されていることは言うまでもない。
図5は、工作機械1および画像処理装置14のハードウェア構成図である。
工作機械1は、上述の加工装置2、工具収容装置4、ATC34のほか、加工制御装置60および操作制御装置62を含む。加工制御装置60は、数値制御装置として機能し、加工プログラムにしたがって加工装置2に制御信号を出力する。加工装置2は、加工制御装置60からの指示にしたがって工具主軸(図示せず)を駆動してワークを加工する。
操作制御装置62は、操作盤12を含み、加工制御装置60を制御する。ATC34は、加工制御装置60からの交換指示にしたがって工具収容装置4から工具を取り出し、工具主軸に保持される使用済工具Tuと、工具収容装置4から取り出した使用前工具Tpとを交換する。
画像処理装置14は、主として、工具形状認識等の画像処理を行う。上述のように、画像処理装置14は操作制御装置62の一部として構成されてもよい。あるいは、画像処理装置14を含めた全体を「工作機械1」と称してもよい。
図6は、画像処理装置14の機能ブロック図である。
画像処理装置14の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種補助プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
なお、操作制御装置62および加工制御装置60も、プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され演算器に処理命令を供給するソフトウェアやプログラムを画像処理装置14とは別個のオペレーティングシステム上で実現される形態でもよい。
画像処理装置14は、ユーザインタフェース処理部70、データ処理部72、データ格納部74および通信部76を含む。
ユーザインタフェース処理部70は、ユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部76は、操作制御装置62との通信を担当する。データ処理部72は、ユーザインタフェース処理部70により取得されたデータおよびデータ格納部74に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部72は、ユーザインタフェース処理部70、データ格納部74および通信部76のインタフェースとしても機能する。データ格納部74は、各種プログラムと設定データを格納する。
ユーザインタフェース処理部70は、入力部80および出力部82を含む。
入力部80は、タッチパネルあるいはハンドル等のハードデバイスを介してユーザからの入力を受け付ける。出力部82は、画像表示あるいは音声出力を介して、ユーザに各種情報を提供する。出力部82は、報知部84を含む。報知部84は、交換対象となる工具の異常(不良工具が検出されたこと)など、所定の異常条件が成立したときにユーザに各種事象の発生を報知する(詳細後述)。
通信部76は、操作制御装置62からデータを受信する受信部110と、操作制御装置62にデータおよびコマンドを送信する送信部112を含む。
データ処理部72は、移動制御部90、撮像処理部92、形状再現部94、工具管理部96および判定処理部98を含む。
移動制御部90は、移動機構54を駆動制御して照明装置52の移動を制御する。撮像処理部92は、カメラ50を制御して対象工具Txを撮像させる。形状再現部94は、撮像画像に基づいて対象工具Txの形状を示すデータである「工具形状データ」を生成する。工具管理部96は、対象工具Txごとに工具IDと工具形状データとを対応づけてデータ格納部74に登録する。
判定処理部98は、対象工具Txの撮像画像に基づき、あるいは、工具形状データに基づいて、対象工具Txに欠損や折損あるいは切屑の巻き付きなどの異常が生じていないか(不良工具であるか否か)を判定する。判定処理部98が対象工具Txの異常が判定されたとき、報知部84がユーザにその旨を報知する。判定処理部98は、操作制御装置62にその旨を操作盤12に表示させるよう指示してもよい。使用済工具Tuが不良工具であると判定された場合、工具管理部96は、その不良工具であるとの情報を工具IDに対応づけ、工具情報としてデータ格納部74に登録する。
データ格納部74は、工具情報格納部100および形状データ格納部102を含む。工具情報格納部100は、マガジン20に収納される各工具Tの情報(工具情報)を工具IDに対応づけて格納する。工具情報には、例えば工具の種類や形状、大きさ、長さなどの情報が含まれる。さらに、累計使用時間や累計使用回数などの情報を含めてもよい。データ格納部74はまた、撮像画像を一時記憶する。
工具情報格納部100は、工具交換がなされるごとに工具情報を更新する。上述のように対象工具Txが不良工具であると判定された場合には、工具情報としてその旨を追加する。工具管理部96は、その判定以降、不良工具にかかる工具Tの使用、つまりATC34により使用前工具Tpとして工具交換することを禁止する。
形状データ格納部102は、形状再現部94が生成した工具形状データを工具IDに対応づけて格納する。本実施形態では、工具交換前後に工具形状データが作成される。このため、各対象工具Txについて、使用前工具Tpの工具形状データ(以下「使用前工具形状データ」ともいう)と、使用済工具Tuの工具形状データ(以下「使用済工具形状データ」ともいう)とが、工具IDに対応づけて記憶される。判定処理部98は、同一の工具について使用前工具形状データと使用済工具形状データとを比較することで、使用済工具Tuが不良工具であるか否かを判定できる。
次に、工具の撮像方法について説明する。
図7は、撮像時における対象工具Txの照明方法を表す図である。図7(A)は照明装置52の移動前の状態を示し、図7(B)は照明装置52の移動後の状態を示す。各図の上段は側面視を示し、下段は平面視を示す。図中の二点鎖線は、照明により撮像画像のコントラストが良好となる領域(つまり撮像のために照明が良好な領域:以下「撮像推奨領域S」ともいう)を示す。
本実施形態では、所定の大きさの照明装置52を使用する。一方、上述のように、対象工具Txにおいてポット22に支持される基端から刃先までを撮像対象部Taとしている。このため、図7(A)に示すように、対象工具Txがある程度大きくなると、撮像対象部Taを撮像推奨領域Sに収めることができず、撮像対象部Taの全体にわたってコントラストが高い画像が得られない。そこで、照明装置52としてより大きなものを用いることも考えられるが、既に述べたようにコスト上昇につながる。
そこで本実施形態では、移動機構54により照明装置52を移動させ、対象工具Txを複数回撮像し、複数の撮像画像に基づいて撮像対象部Ta全体の形状を認識する方式を採用している。以下、複数の撮像画像のそれぞれにおける一部の領域、つまり対象工具Txの一部の画像を「部分画像」とよぶ。撮像処理部92は、照明装置52が移動されるとき、その移動前後および移動過程の少なくとも一方において対象工具Txの画像を複数回撮像し、複数枚の撮像画像を取得する。
具体的には、移動機構54の作動起点で撮像し(図7(A))、さらに移動機構54の作動中間点又は作動終点にて撮像する(図7(B))。なお、ここでいう「作動起点」はエアシリンダ58の収縮状態に対応し、「作動中間点」および「作動終点」はエアシリンダ58の伸長状態に対応する。「作動中間点」は照明装置52の一時停止点であってもよいし、移動通過点であってもよい。照明の変化によるノイズの少ない画像を取得するためには一時停止点とするのが好ましい。「作動終点」は照明装置52の移動限界点(エアシリンダ58の伸長限界に対応)である。なお、カメラ50の露光時間を絞ることで、照明装置52を作動中間点にて一時停止することなく撮像してもよい。
図7の例では、移動機構54の作動起点で1回撮像し(図7(A))、移動機構54の作動終点にてもう1回撮像している(図7(B))。このとき取得される2つの撮像画像うち1つ目の画像の一部(撮像対象部Taの基端側寄り部分)が部分画像P1であり、2つ目の画像の一部(撮像対象部Taの先端側寄り部分)が部分画像P2である。各部分画像は撮像推奨領域Sに対応する。前後の撮像間での照明装置52の移動量が撮像推奨領域Sの長さよりも小さいため、部分画像P1と部分画像P2は部分的にオーバラップする(オーバラップ部L:破線領域参照)。
撮像処理部92は、部分画像P1と部分画像P2とを、オーバラップ部Lを重ねるようにつなぎ合わせることで、撮像対象部Taの全体画像を取得する。オーバラップ部Lについては、部分画像P1および部分画像P2のいずれか一方(例えばコントラストのより高い方)のものを採用してもよい。撮像処理部92は、複数の部分画像P1,P2に基づいて対象工具Tx(撮像対象部Ta)の輪郭を特定する。
具体的には、撮像対象部Taの全体画像として、照明装置52により映し出された対象工具Txのシルエットが表示される。撮像処理部92は、X軸方向に走査線を設定し、暗領域(対象工具Txが存在するシルエット領域)から明領域(対象工具Txが存在しない領域)の境界に位置する点をエッジ点として検出する。撮像処理部92は、走査線を一定のピッチにてずらしながら複数のエッジ点を検出し、これらのエッジ点をつなぐことで対象工具Txの輪郭を特定する。形状再現部94は、特定された輪郭に基づいて工具形状データを生成する。
判定処理部98は、同一の工具について使用前工具形状データと使用済工具形状データとを比較する。判定処理部98は、使用前工具形状と使用済工具形状の類似度、特に、輪郭の類似度が所定値以下となっているとき、対象工具Txに欠損等が発生している、つまり対象工具Txが不良工具になっていると判定する。このとき、報知部84は、ユーザに不良工具が検出されたことを示すアラート画面を表示させる。あるいは、ブザー音などの音声を発生させてもよい。
図8は、使用前工具形状データ取得処理の処理過程を表すフローチャートである。
本処理は、工具交換に先立ち、使用前工具Tpが収容室10において待機状態で水平に保持されたことを契機に実行される。このとき、移動機構54は非作動であり、照明装置52は待機位置(基準位置)にある。
撮像処理部92は、カメラ50により使用前工具Tpを撮像し、撮像推奨領域Sに対応した部分画像P1を取得する(S10)。続いて、移動制御部90が移動機構54を作動させて照明装置52を次の照明位置へ移動させる(S12)。本実施形態では、移動機構54としてエアシリンダ58を採用するため、照明装置52は一時停止することなくその移動限界点へ移動して停止する。撮像処理部92は、使用前工具Tpを撮像し、撮像推奨領域Sに対応した部分画像P2を取得する(S14)。
こうして部分画像P1,P2が取得された後、移動制御部90が移動機構54を作動させて照明装置52を待機位置へ戻す(S16)。形状再現部94は、部分画像P1,P2に基づいて使用前工具形状データを生成する(S18)。工具管理部96は、この使用前工具形状データを工具IDに対応づけて形状データ格納部102に格納させる(S20)。この使用前工具形状データは、後述する工具検査のために使用される。なお、使用前工具形状データの作成は、照明装置52が待機位置へ向かう過程で並行して実行してもよい。
図9は、工具検査処理の処理過程を表すフローチャートである。
本処理は、工具交換後の工具収納に先立ち、収容室10において使用済工具Tuが待機状態で水平に保持されたことを契機に実行される。このとき、移動機構54は非作動であり、照明装置52は待機位置(基準位置)にある。
撮像処理部92は、カメラ50により使用済工具Tuを撮像し、撮像推奨領域Sに対応した部分画像P1を取得する(S30)。続いて、移動制御部90が照明装置52を次の照明位置へ移動させる(S32)。撮像処理部92は、使用済工具Tuを撮像し、撮像推奨領域Sに対応した部分画像P2を取得する(S34)。その後、移動制御部90が照明装置52を待機位置へ戻す(S36)。
一方、形状再現部94は、部分画像P1,P2に基づいて使用済工具形状データを生成する(S38)。工具管理部96は、この使用済工具形状データを形状データ格納部102に一時記憶する(S40)。判定処理部98は、この使用済工具形状データと工具IDが同じ使用前工具形状データを読み出し、それらの工具形状データを比較する(S44)。すなわち、同一の工具について使用前工具形状と使用済工具形状とを比較する。このとき、使用済工具形状と使用前工具形状との類似度が所定値以下の不良工具であれば(S46のY)、報知部84にその旨を報知させる(S48)。すなわち、報知部84がアラート画面を表示させる。不良工具でなければ(S46のN)、S48の処理をスキップする。
本実施形態では、工具交換後に不良工具と判定された使用済工具Tuについてもマガジン20に収納するが、所定のメンテナンスが行われるまでその工具を使用禁止とする。その工具が使用禁止であるとの情報は工具IDに対応づけて記憶される。
工具には一般に、その品質を確保するために使用回数や使用時間(「品質保証パラメータ」ともいう)の上限値が決められている。その品質保証パラメータが上限値を超えた工具は使用禁止とされ、別途用意されマガジン20に収納された同種の工具(サブ工具)が使用される。それにより、加工装置2による量産プロセスを阻害しないようにする。本実施形態では、品質保証パラメータが上限値を超えなくとも、不良工具が検出された場合には、該当する工具を使用禁止として管理しつつサブ工具を使用する。
以上、実施形態に基づいて工作機械1について説明した。
本実施形態では、工具収容装置4に照明装置52と移動機構54を設け、照明装置52を対象工具Txの長手方向に移動させて複数回撮像を行うようにした。このため、照明装置52として大きく高価なものを採用する必要がない。すなわち、本実施形態によれば、コストを抑えつつ、工具長によらず撮像画像のコントラストを確保でき、工具の形状検出を十分な精度をもって行うことができる。
[変形例]
図10は、変形例1に係る対象工具Txの撮像方法を表す図である。図10(A)は対象工具Txが短い場合の撮像方法を示し、図10(B)は対象工具Txがより長い場合の撮像方法を示す。
上記実施形態では、対象工具Txにおける撮像対象部Taを2回撮像して合成することにより、コントラストの高い全体画像を取得する構成を例示した。つまり、対象工具Txの長さにかかわらず照明装置52を移動させ、カメラ50による撮像回数を複数回とした。このため、対象工具Txが短い場合には、撮像が空振りとなる可能性がある。本変形例では、対象工具Txの長さに応じて撮像回数を適宜変更する。
すなわち、撮像処理部92は、カメラ50による撮像モードとして、1つの対象工具Txに対して複数回撮像する第1撮像モードと、1つの対象工具Txに対して1回の撮像しかしない第2撮像モードを含む。撮像処理部92は、対象工具Txの情報を工具情報格納部100から取得し、その対象工具Txの情報に基づいて、第1撮像モードまたは第2撮像モードのいずれかの選択を行う。
図10(A)に示すように、撮像対象部Taが撮像推奨領域Sに収まる程度に短い場合、照明装置52を移動しないようにする。工具の長さ情報は、工具IDに対応づけて工具情報格納部100に格納されている。移動制御部90は、対象工具Txに対応する工具情報を読み出し、その工具長さが第1基準値以下である場合に移動機構54を作動させないようにする。「第1基準値」は、撮像推奨領域Sの長さとしてもよいし、それ以下としてもよい(図7参照)。
逆に、図10(B)に示すように、撮像対象部Taについて2回の撮像のいずれにおいても撮像推奨領域Sに収められない部分がある場合、撮像回数を3回以上とする。移動制御部90は、対象工具Txの長さが第2基準値を超える場合、移動機構54を複数回間欠的に作動させる。撮像処理部92は、照明装置52の移動が停止するごとに対象工具Txを撮像する。「第2基準値」および「撮像回数」は、撮像推奨領域Sの長さに基づいて設定してもよい。なお、マガジン20が収納する工具Tの最大長さに基づいてガイドレール56の長さを設定する。
図11は、工具が長い場合のカメラの画角と部分画像との関係を模式的に表す図である。図11(A)は側面図であり、図11(B)は平面図である。図中の一点鎖線はカメラ50の画角に入る領域を示す。本図の例は、図10(B)の場合に対応する。
図11(A)に示すように、カメラ50は、その撮像領域に対象工具Txの撮像対象部Taを収めることができる程度の画角を有することとする。図11(B)にも示すように照明装置52が待機位置にある1回目の撮像においては、撮像推奨領域Sが撮像画像Pa(全体画像)の一部に対応する。その撮像画像Paの一部が部分画像P1として取得される。2回目、3回目の撮像においては、撮像推奨領域Sが図中の右側にずれるため、部分画像も撮像画像Paの右側部分にずれるようにして取得されることとなる。
なお、図10(B)に示したように、照明装置52を間欠的に停止させて撮像する場合、エアシリンダ58では高精度な位置決め制御が難しい。このため、移動機構として例えばねじ送り機構とそれを駆動するサーボモータを採用してもよい。あるいは、リニアモータを含むリニア駆動装置を採用してもよい。これらねじ送り機構やリニア駆動装置は、照明装置52を直線方向に往復駆動する「送り装置」として機能する。もちろん、上記実施形態においてもエアシリンダ58に代えて送り装置を採用してもよい。
図12は、変形例2に係る収容室10内の構成を模式的に表す斜視図である。
上記実施形態では、照明部(照明装置52)を移動させる構成を例示した。本変形例では、撮像部(カメラ50)についても対象工具Txと平行に移動させる。すなわち、収容室10における対象工具Txの下方には、カメラ50を対象工具Txの長手方向に移動させるための移動機構154が設けられている。移動機構154は、ガイドレール156およびエアシリンダ158を含む。ガイドレール156は、対象工具Txの軸線と平行に延在し、カメラ50が摺動可能に取り付けられている。エアシリンダ158のロッドの先端にカメラ50が固定されている。エアシリンダ158は、カメラ50をガイドレール156に沿って往復駆動する。
移動制御部90は、移動機構54,154を制御し、照明装置52とカメラ50とを上下方向に対向させながら対象工具Txと平行に移動させる。このような構成により、撮像対象部Taの全体にわたってコントラストの高い画像を取得できる。なお、本変形例についても、エアシリンダ158に代えてねじ送り機構やリニア駆動装置を採用してもよい。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
上記実施形態では、判定処理部98が対象工具Txが不良工具であるか否かを判定する構成を例示した。変形例においては、使用前工具Tpおよび使用済工具Tuについて形状再現部94が生成した工具形状データを、出力部82により対比可能に描画表示させてもよい。ユーザがそれら使用前後の工具形状を目視により比較することで対象工具Txが不良工具であるか否かを判定してもよい。
上記実施形態では、各対象工具Txについて工具交換前後(つまり機械加工の前後)において撮像を行い、工具形状データを生成した。そして、それぞれの工具について使用前工具形状データと使用済工具形状データとを比較することで、欠損等の異常がないかどうかを判定した。変形例においては、工具形状データ(工具輪郭データ)を生成することなく、工具画像そのものを使用して不良工具の判定処理を行ってもよい。すなわち、各対象工具Txについて使用前工具画像と使用済工具画像とを比較することで、使用済工具Tuが不良工具であるか否かを判定してもよい。
上記実施形態では、各対象工具Txを機械加工の直前および直後で撮像し、それらの画像に基づいて使用済工具Tuの状態(不良工具であるか否か)を判定した。つまり、使用直前の撮像画像を「参照画像」として判定の基準に用いる例を示した。変形例においては、工具の初回使用開始前の工具登録時に基本データとして参照画像を格納してもよい。ただし、照明の状態などの撮像環境を同等にしてより正確な形状検出(形状比較)を行うためには、機械加工の直前の画像と直後の画像とを比較するのが好ましい。
上記実施形態では、撮像部(カメラ50)を対象工具Txの下方に配置し、照明部(照明装置52)を対象工具Txの上方に配置する例を示した。変形例においては逆に、撮像部を対象工具Txの上方に配置し、照明部を対象工具Txの下方に配置してもよい。カメラのレンズの汚染防止の観点からは、この変形例の配置が好ましい。カメラを対象工具の下方に配置すると、例えばその対象工具が使用済工具であった場合、その使用済工具からクーラントが滴り、カメラのレンズを汚染する可能性があるためである。変形例によればこのような懸念がない。その場合、移動機構も対象工具の下方に配置してよい。
上記実施形態では、「工具搬送部」としてATC34を例示したが、工具交換機能を有することなく、加工室と収容室との間で工具を搬送する工具搬送機構を設けてもよい。
上記実施形態では、工作機械1としてマシニングセンタを例示したが、上記工具の検査技術をターニングセンタや複合加工機にも適用できることは言うまでもない。
1 工作機械、2 加工装置、4 工具収容装置、6 カバー、8 加工室、10 収容室、12 操作盤、14 画像処理装置、20 マガジン、22 ポット、26 隔壁、30 シャッタ、32 駆動機構、34 ATC、38 アーム、50 カメラ、52 照明装置、54 移動機構、56 ガイドレール、58 エアシリンダ、60 加工制御装置、62 操作制御装置、90 移動制御部、92 撮像処理部、94 形状再現部、96 工具管理部、98 判定処理部、100 工具情報格納部、102 形状データ格納部、P1 部分画像、P2 部分画像、S 撮像推奨領域、T 工具、Ta 撮像対象部、Tp 使用前工具、Tu 使用済工具、Tx 対象工具。

Claims (7)

  1. 複数の工具を収容する工具収容装置であって、
    工具を撮像する撮像部と、
    工具を搬送する工具搬送部と、
    工具を照らす照明部と、
    前記照明部を移動させるための移動機構と、
    を備え、
    工具の長手方向に前記照明部を移動させ、前記工具を撮像する、工具収容装置。
  2. 前記移動機構は、
    前記照明部を直線方向にガイドするガイドレールと、
    前記照明部を前記ガイドレールに沿って往復駆動するエアシリンダと、
    を含む、請求項1に記載の工具収容装置。
  3. 前記移動機構は、
    前記照明部を直線方向に往復駆動する送り装置と、
    前記送り装置を作動させるモータと、
    を含む、請求項1に記載の工具収容装置。
  4. 前記撮像部により工具を撮像させる撮像処理部と、
    工具の情報を格納する工具情報格納部と、
    をさらに備え、
    前記撮像処理部は、
    前記撮像部による撮像モードとして、1つの工具に対して複数回撮像する第1撮像モードと、1つの工具に対して1回の撮像しかしない第2撮像モードと、を含み、
    工具の情報を前記工具情報格納部から取得し、その工具の情報に基づいて、前記第1撮像モードまたは前記第2撮像モードのいずれかの選択を行う、請求項1~3のいずれかに記載の工具収容装置。
  5. 前記撮像部は、前記照明部が移動されるとき、その移動前後および移動過程の少なくとも一方において前記工具の画像を複数回撮像する、請求項1~4のいずれかに記載の工具収容装置。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の工具収容装置と、
    前記工具収容装置に収容された工具を用いてワークを加工する加工装置と、
    前記工具収容装置と前記加工装置との隔壁に設けられた開口を開閉する開閉機構と、
    を備え、
    前記工具搬送部は、前記開口が開放された状態で前記工具収容装置と前記加工装置との間で工具交換を実行する工具交換部を含み、
    前記工具の撮像が前記工具収容装置にて行われる、工作機械。
  7. 前記工具収容装置に収容されて交換対象となる複数の工具について、その工具の長さ情報を含む所定の工具情報を記憶する工具情報格納部をさらに備え、
    交換対象となる工具の長さ情報に基づき、前記照明部の移動有無および移動距離の少なくとも一方を設定する、請求項6に記載の工作機械。
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