JP2022117370A - 活性エネルギー線硬化性印刷インキ組成物、その組成物を得る方法、その印刷物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性印刷インキ組成物、その組成物を得る方法、その印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】活性エネルギー硬化性印刷インキ組成物でもロジン変性フェノール樹脂を含む事により印刷時の汚れ、水幅、汚れ回復、湿し水適性等、印刷効果を改善する活性エネルギー硬化性印刷インキ組成物を提供する。【解決手段】本発明は軟化点50℃~220℃のロジン変性フェノール樹脂を溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステルで加熱溶解させ樹脂軟化点を50℃~120℃、望ましくは80℃~110℃に下げ、重合禁止剤を添加しアクリルエステルモノマーを溶解させてなる活性エネルギー線硬化性インキ組成物又はそれを得る方法、印刷物に関する。

Description

本発明は紫外線、電子線の活性エネルギー線照射により硬化しうる印刷インキ組成物又はその組成物を得る方法、印刷硬化により得られる印刷物に関するものである。
従来からオフセット油性印刷インキにおいてはロジン変性フェノール樹脂が非特許技術文献に示されているように、顔料分散性、粘弾性、湿し水適性等下記の優位点から使用されて来た。しかし活性エネルギー線硬化性印刷インキ組成物には、ロジン変性フェノール樹脂の軟化点が120℃~220℃と高い場合が多く、ロジン変性フェノール樹脂を硬化性アクリルエステルモノマーで溶解しようとしてもアクリルエステルモノマーが120℃~220℃の高温ではゲル化し又また樹脂自体もアクリルエステルモノマーに溶解し難く採用されないで来た。
非特許技術文献1
非特許技術文献1
J.Jpn.Soc.Colour Mater.(色材)色材協会誌Q&A項目別インデックス 3.樹脂 Q5&A5 http://www.shikizai.org/shikizai_qa/03.htm
本発明は紫外線、電子線の活性エネルギー線照射により硬化しうる印刷インキ組成物、又はそれを得る方法、印刷物に関するものである。
従来紫外線、電子線硬化性印刷インキ組成物は近年印刷時の作業安定性が良くなって来たが、例えば紅インキなどにおいてロングランで印刷するとオフセット印刷において湿し水にわずかながら浮き汚れが発生し、版付けの水棒が赤みを帯びる水棒絡みを呈する。印刷時湿し水を多くした場合と少なくした場合の水幅が狭い。つまり湿し水の水幅のコントロールがし難く又湿し水を絶って印刷物を汚した後正常状態に水ダイヤルを戻した後の汚れ枚数が多く、汚れ回復スピードが遅かった。同様に湿し水の水幅のコントロールがし難かった。
しかし油性紅インキは上記浮き汚れ、水棒絡み等が起こり難い。つまり浮き汚れがほとんどなく、水棒絡みも少ない、水幅も広く、汚れ回復枚数も速い。つまり湿し水のコントロールが容易であった。さらにロジン変性フェノル樹脂は非特許技術文献に記載されているように顔料分散性、構造粘弾性が良く、天然のロジン樹脂使用等、このような理由で油性インキには長年ロジン変性フェノール樹脂が使用されて来た。
このロジン変性フェノール樹脂は非特許技術文献に示されているように良好な顔料分散性、構造粘弾性を持っている為使用されていると記載されている。しかし紫外線、電子線硬化性インキ組成物にはロジン変性フェノール樹脂と硬化性アクリルモノマーを溶解させようとするとロジンフェノール樹脂の軟化点が120℃~220℃と高く、軟化点まで温度を上げるとアクリルモノマーがゲル化してしまう。さらにロジンフェノール樹脂は親油性度が高く、アクリルエステルモノマーとの溶解性も乏しい。したがって紫外線、電子線硬化性インキ組成物にはロジンフェノール樹脂は長年採用されずに来た、本発明者は鋭意研究の結果これらの欠点を改良すべく本発明をするに至った。
課題を解決する為の手段
すなわち本発明はロジン変性フェノール樹脂、溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステル、アクリルエステルモノマーからなる活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関するものである。
さらにロジン変性フェノール樹脂を溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステルで加熱溶解させ樹脂軟化点を50℃~120℃、望ましくは80℃~110℃に下げ、重禁止剤を添加しアクリルエステルモノマーを溶解させてなる活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関する。
尚、溶媒又は植物油又はその脂肪酸エステルを下げ過ぎると樹脂が軟化し過ぎ、硬化性組成物の硬化性が劣化するのでアクリルエステルモノマーがゲル化しない高めの温度80℃~110℃が好適である。
さらにロジン変性フェノール軟化点120℃~220℃の固形樹脂を溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステルで加熱溶解させ樹脂軟化点を50℃~120℃、望ましくは80℃~110℃に下げ、アクリルエステルモノマーで溶解させてなる活性エネルギー線硬化性インキ組成物を得る方法に関するものである。
さらに0.1~15重量%のラジカル重合性開始剤を含む活性エネルギー線硬化性印刷インキ組成物に関するものである。
さらに上記記載の活性エネルギー線硬化性インキ組成物を印刷硬化させ得られる印刷物に関するものである。
発明の効果
本発明は、非特許技術文献に記載されているように顔料分散性、粘弾性、湿し水適性の良いロジン変性フェノール樹脂を使用した紫外線、電子線硬化性インキ組成物で実施例のリスロン印刷機でも水幅、汚れ回復、湿し水適性等湿し水コントロールの容易性、印刷効果は比較例インキに比し優位になっており、硬化性も本機スピードに十分使用できるものと思われる。
以下詳細に本発明について説明する。
ロジン変性フェノール樹脂として軟化点50℃~220℃で、一般のフェノール類とホルマリンをキシレン可溶下で反応させレゾール樹脂を含んだレゾール液を得る。その後別釜にロジン類を仕込み、レゾール液を滴下後、例えばPTS(P‐トルエンスルフォン酸)を添加又は添加しないでポリールと反応させ、得られる樹脂である。
尚、本発明においてロジン、重合ロジン、(アルキル基なし又はC1~C4のアルキル)安息香酸類を含むアルキッド樹脂、特に重合ロイン、安息香酸を含むアルキッド樹脂の単独でもよい場合もある。安息香酸アルキッド樹脂はDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)との溶解性を上げるのにロジン変性フェノール樹脂と併用して使用してもよい。
ロジンフェノール樹脂の合成例
(レゾール型フェノール樹脂の合成)攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコにフェノール類、37%ホルマリン又はP-ホルムアルデヒド、キシレンを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱攪拌し、50℃で水酸カルシウム2.0部を水10部に分散させて、その分散液を添加し95℃に昇温し、同温度で3~5時間反応させる。その後、冷却し、硫酸で中和、水洗する。レゾールキシレン溶液層と水層を静置分離させる。このレゾール型フェノール樹脂をレゾ-ル液(固形分は溶解)とする。
(ロジンフェノ-ル樹脂の合成)攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みながら、ロジン類を仕込み、加熱攪拌し、200℃でレゾール液を滴下しながら約2時間かけて仕込み、その間水とキシレンを回収しながら反応させ、仕込み終了後、昇温し250℃でポリオールを仕込み12時間反応させ、酸価が25以下になったので汲み出す。
本樹脂の重量平均分子量は1~10万のものが得られる。
注)*ロジンと反応するレゾ-ル液は固形分の重量部を示す。
*重量平均分子量は東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(HLC8020)で検量線用標準サンプルはポリスチレンで測定する。
ロジン変性フェノール樹脂の、フェノール類として石炭酸、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、(ターシャリ)ブチルフェノール、(ターシャリ)オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびこれらの混合物等のフェノール類とホルムアルデヒド類を縮合反応させたレゾール樹脂とロジン類(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をクロマン化反応させ、さらにグリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールを又はp-トルエンスルフォン酸(PTS)、メタンスルフォン酸、硫酸等の酸触媒を使用しエステル化反応させた重量平均分子量1~10万の樹脂で反応法は常法による。)
次に本発明の溶媒はC1~C12のアルキルベンゼン、ナフテン系溶媒、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートが選ばれる。
又本発明で使用される植物油またはその脂肪酸エステルについて説明する。先ず植物油としては代表的な化合物は、アマニ油、キリ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ナタネ油、パーム油、ヒマシ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
次に、本発明における脂肪酸エステルとしては、植物油の加水分解で得られる飽和または不飽和脂肪酸と、飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステルを挙げることができるが、その様な脂肪酸エステルの具体例としてはヤシ油、亜麻仁油、大豆油、桐油等の脂肪酸アルキル(C1~C8)エステルが上げられる。尚軟化点が110℃以下のロジン変性フェノールは溶媒、又は植物油、その脂肪酸エステルでの軟化点を下げる事は不要な場合が多い。
硬化性アクリルエステルモノマーとしてエチレン性不飽和二重結合を持つ(メタ)アクリルエステルとしては、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、3官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。4官能以上のモノマーとしてペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等が例示される。
次に、ラジカル重合開始剤としては、光開裂型と水素引き抜き型に大別して例示することができる。
前者の例として、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパンー1-オン(イルガキュア907:チバスペシャルティケミカルズ社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、(イルガキュア369:チバスペシャルティケミカルズ社製)、ベンジルメチルケタール(イルガキュア651:チバスペシャルティケミカルズ社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184:チバスペシャルティケミカルズ社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(ダロキュア1173:メルク社製)、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン(ダロキュア1116:メルク社製)、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、4-(2-アクリロイル-オキシエトキシ)フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノン(ZLI3331:チバスペシャルティケミカルズ社製)、エサキュアーKIP100(ラムベルティ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(BAPO1:チバスペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BAPO2:チバスペシャルティケミカルズ社製)、BTTB(日本油脂(株)製)、CGI1700(チバスペシャルティケミカルズ社製等が例示される。
後者の例として、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルサルファイド、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジクロロチオキサントン、アセトフェノン等のアリールケトン系開始剤、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p-ジメチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系開始剤等が例示される。これらの単独または適宣組み合わせにより用いる事も出来る。これらの開始剤は組成物中に0.1~30重量%の範囲で用いる事が出来るが、好ましくは1~15重量%の範囲で用いる事が出来る。
次に着色剤としては、無機顔料および有機顔料を示すことができる。有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系などの溶性アゾ顔料、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系などの多環式顔料および複素環式顔料などの公知公用の各種顔料が使用される。無機顔料としては酸化チタンが挙げられる。
本発明の硬化性印刷インキ組成物の処方概要は
*着色剤 10~25重量
硬化性ワニス 20~60重量%
*ラジカル重合禁止剤 0.01~1重量%
*ラジカル重合性開始剤 0~15重量%
*その他添加剤 0~10重量%
* アクリルエステルモノマー 10~40重量%
さらに、本発明の硬化性印刷インキ組成物を印刷インキ用として使用する場合は、該組成物を印刷インキに供し易い粘度(100~300Pa・s/25℃)を持ったワニスにすることが望ましい。
本発明の硬化性ワニス組成物を製造するにあたって、50~220℃の軟化点を持つロジン変性フェノール樹脂と溶媒又は植物油またはその脂肪酸エステルで180~200℃の温度範囲で0.5~3時間、溶解後80℃~110℃に冷却30分後さらにエチレン性不飽和二重結合を持つ(メタ)アクリルエステルモノマーを重合禁止剤を仕込みながら、80~120℃で溶解させ粘度50~300Pa・S/秒ワニスの形で使用する。本発明における硬化性ワニス組成物を製造するに当たってはその場合、必要に応じて空気と窒素1対1で吹き込み、重合禁止剤の添加を行う。
重合禁止剤としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、P-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、、o-イソプロピルフェノール、等が使用される。
添加剤としては、例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、ラノリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、およびシリコーン化合物などの合成ワックスを使用することができる。
印刷インキ組成物は、常温から100℃の間で、着色剤、ワニスおよび/またはそのゲルワニス、本発明エチレン性不飽和二重結合を持つ(メタ)アクリルモノマー、ラジカル重合禁止剤、ラジカル重合性開始剤および/または増感剤、金属ドライヤー、その他添加剤などの印刷インキ用成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサーなどの練肉、混合、調整機を用いて製造される。
本発明の硬化性組成物からなる硬化性印刷インキは、通常湿し水を使用するオフセット印刷に適用されるが、湿し水を使用しない水無し印刷にも好適に用いられる。また、本発明の硬化性インキは、オーバープリントニス(通称OPニス)にも適用される。本発明の硬化性組成物、硬化性インキは、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。硬化性インキについては、紫外線硬化性インキ、電子線硬化性インキとして、オーバーコートワニスについては、紫外線硬化性オーバーコートワニス、電子線オーバーコートワニスとして使用される。
尚、基材としては北越製紙(株)製マリコート、ポリエチコート紙、アルミコート紙等のコートボール紙、三菱製紙(株)製特菱アート紙、上質紙等の薄紙コート紙、合成紙、プラスチックフィルム、金属板等が使用される。
次に具体例により本発明を説明する。例中「部」とは重量部を示す。以下具体例により示す。
(樹脂実施例R1)
ロジン変性フェノール樹脂の合成例
(レゾール型フェノール樹脂の合成)攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに石炭酸94部、37%ホルマリン203部、キシレン250部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱攪拌し、50℃で水酸カルシウム2.0部を水10部に分散させて、その分散液を添加し95℃に昇温し、同温度で3.5時間反応させた。その後、冷却し、硫酸で中和、水洗した。レゾールキシレン溶液層と水層を静置分離した。このレゾール型フェノール樹脂をレゾ-ル液(樹脂A1)とする。
(ロジンフェノ-ル樹脂の合成)攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みながら、ロジン70部を仕込み、加熱攪拌し、200℃でレゾール液24部(仕込みは固形分換算)を滴下しながら約2時間かけて仕込み、その間水とキシレンを回収しながら反応させ、仕込み終了後、昇温し250℃でペンタエリスリトール6.0部を仕込み12時間反応させ、酸価が25以下になったので汲み出した。本樹脂の重量平均分子量は2.5万であった。(樹脂R1)
注)*ロジンと反応するレゾ-ル液は固形分の重量部を示す。
*重量平均分子量は東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(HLC8020)で検量線用標準サンプルはポリスチレンで測定した。尚、実施例樹脂R2、樹脂4についてはキシレン回収後(PTS/水=1/1の溶解液)を徐々に仕込み以下表1のように合成した。
PTS:P‐トルエンスルフォン酸である。
Figure 2022117370000001
ワニス製造実施例(樹脂ワニスの作成)
攪拌機、水分離冷却管、温度計付き四つ口フラスコに樹脂(R1)45部、ジエチルフタレート20部を仕込み、窒素気流下で220℃1時間加熱溶解後撹拌後110℃に冷却しt‐BHQ(ターシャリブチルハイドロキノン)0.1部、Q1301を0.1部、DTMPTA(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)34.8部を仕込み30分撹拌後粘度を150~200Pa・s/25℃に調製し、汲み出した(実施例ワニスV1)。以下、同様に表2実施例ワニスV2~V4を作製した。
比較例ワニス(CV1)の製造例(活性エネルギー線硬化型ワニス)
攪拌機付き、水分離冷却管付き、温度計付き四つ口フラスコに、ダップトートDT170(東都化成(株)製ジアルルフタレート樹脂)30部、DTMPTA(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)69.8部、t-BHQ0.1部、Q1301、0.1部を仕込み、空気気流下で100℃で30分~1時間で溶解した。コーンプレート型粘度計で粘度測定したところ、152Pa・s/25℃であった。 以下同様に、表2に示した処方で、比較例ワニスCV2を作成した。
Figure 2022117370000002
実施例硬化性インキ(インキ1)の製造例
紅顔料としてカーミン6B(東洋インキ製造(株)製紅顔料)18部、ワニスV1を49部、DTMPTAを13.9部、DPHAを13.9部4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)を2.5部、イルガキュア907を2.5部、t‐BHQ(ターシャリブチルハイドロキノン)0.1部、Q1301を0.1部を仕込み、三本ロ-ルミルで常法により製造した(実施例インキ1)。
尚、インキはタック値7~8/25℃に調製した。以下表3、に示した処方でインキ2~4、E5を製造した。表3尚、インキE5は電子線硬化性インキの例である。
比較例紫外線硬化性インキ(インキC1)
カーミン6Bを18部、ワニスCV1を49部、DTMPTAを27.8部、EABを2.5部、I907を2.5部、t-BHQ0.1部、Q1301を0.1部を仕込み、三本ロールミルで常法により作成した。尚、インキはタック値7~8/25℃に調製した。
以下同様に、表3に示した処方で、比較例紫外線硬化性インキを製造した。
比較例電子線硬化性インキ(インキCE3)
カーミン6Bを18部、ワニスVCV1を54部、DPHA27.8重量部、t―BHQ0.1部、Q13010.1部を仕込み、三本ロ-ルミルで常法により作成した。尚、インキはタック値7~8/25℃に調製した。
Figure 2022117370000003
硬化性インキの性状評価
*水幅:リスロン226(コモリコーポレーション(株)製オフセット印刷機)を用いて三菱製紙(株)製三菱特両アート紙(斤量90Kg/連)に毎時10000枚の印刷速度で印刷を行い、水元ローラーを調整する水ダイヤルを可変する事により、地汚れが発生する水幅下限値、インキが過剰乳化する事により生じるウオーターマーク発生点を水幅上限値とし、幅が広いのを良好とする。水元ローラーの水ダイヤルは0~10まであり、0は水を全く出さないダイヤル、10は過剰に出したダイヤルで、通常は4をノーマルダイヤルとする。最初にノーマルダイヤルの4で印刷し、印刷濃度安定後、徐々に水ダイヤルを下げ地汚れダイヤルを確認後、直ちにノーマルダイヤル4に戻ししその後徐々に水ダイヤルを上げていく。
*汚れ回復:上記、水幅試験で地汚れ発生から直ちに水ダイヤルを4にし、地汚れが消えた枚数で少ない枚数を良好とする。
*硬化性試験:上記リスロン226で印刷後、紫外線照射については、USHIO(株)製照射装置UVC-2535(120W/cm超高圧メタハラランプ3灯、コンベヤースピード100m/min)を使用し、表3のインキ組成物の上記印刷物を硬化させたところ実施例、比較例のインキ組成物の印刷物は同様に硬化していた。また電子線照射については、表の比較例6、実施例10のインキ組成物の上記印刷物を印刷後取り出し、米国ESI(株)製低エネルギー電子線照射装置(加圧電圧175KV、酸素濃度500ppmの窒素置換した雰囲気)を用い3Mraで照射したところ、比較例、実施例のインキ組成物の印刷物は同様に硬化していた。
以上の結果を表4にまとめて示した。
Figure 2022117370000004
尚、本発明の硬化性インキ組成物は油性インキ印刷可能な印刷機でも使用出来、高級印刷物を得る為、硬化性オーバープリントニス(OPニス)をプリントし使用することもできる。
さらに本発明の硬化性インキ組成物は脱墨性も良好で再生紙等用にも使用される。
発明の効果
以上の様に、本発明は、非特許技術文献に記載されているように顔料分散性、粘弾性、湿し水適性の良いロジン変性フェノール樹脂を使用した紫外線、電子線硬化性インキ組成物で実施例のリスロン印刷機でも水幅、汚れ回復、湿し水適性等印刷効果は比較例インキに比し優位になっており、硬化性も本機スピードに十分使用できるものである。
Figure 2022117370000005
Figure 2022117370000006
ワニス製造実施例(樹脂ワニスの作成)
攪拌機、水分離冷却管、温度計付き四つ口フラスコに樹脂(R1)45部、ジエチルフタレート20部を仕込み、窒素気流下で220℃1時間加熱溶解後撹拌後110℃に冷却しt-BHQ(ターシャリブチルハイドロキノン)0.1部、Q1301を0.1部、DTMPTA(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)34.8部を仕込み30分撹拌後粘度を150~200Pa・s/25℃に調製し、汲み出した(実施例ワニスV1)。以下、同様に表2実施例ワニスV2~V6を作製した。
Figure 2022117370000007
Figure 2022117370000008
*硬化性試験:上記リスロン226で印刷後、紫外線照射については、USHIO(株)製照射装置UVC-2535(120W/cm超高圧メタハラランプ3灯、コンベヤースピード100m/min)を使用し、表3のインキ組成物の上記印刷物を硬化させたところ実施例、比較例のインキ組成物の印刷物は同様に硬化していた。また電子線照射については、表の比較例インキCE3、実施例インキE7のインキ組成物の上記印刷物を印刷後取り出し、米国ESI(株)製低エネルギー電子線照射装置(加圧電圧175KV、酸素濃度500ppmの窒素置換した雰囲気)を用い3Mraで照射したところ、比較例、実施例のインキ組成物の印刷物は同様に硬化していた。
以上の結果を表4にまとめて示した。
Figure 2022117370000009
評価方法:ミスチング(優)5←1(劣)、水幅の数値はダイヤゲージ、回復は回復枚数UV硬化性は紫外線照射で硬化したコンベヤースピード(m/min)を示す、EB硬化性は電子線照射で硬化した吸収線量(Mrad)を示す。

Claims (5)

  1. ロジン変性フェノール樹脂、溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステル、アクリルエステルモノマーからなる活性エネルギー線硬化性インキ組成物。
  2. ロジン変性フェノール樹脂を溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステルで加熱溶解させ樹脂軟化点を50℃~120℃に下げ、重合禁止剤を添加しアクリルエステルモノマーを溶解させてなる請求項1記載の活性エネルギー線硬化性インキ組成物。
  3. 0.1~15重量%のラジカル重合性開始剤を含む請求項1~2いずれか記載の活性エネルギー線硬化性印刷インキ組成物。
  4. ロジン変性フェノールの軟化点120℃~220℃の固形樹脂を溶媒及び又は植物油又はその脂肪酸エステルで加熱溶解させ樹脂軟化点を50℃~120℃に下げ、重合禁止剤を添加しアクリルエステルモノマーで溶解させてなる請求項1~3いずれか記載の活性エネルギー線硬化性インキ組成物を得る方法。
  5. 請求項1~4いずれか記載の活性エネルギー線硬化性インキ組成物を印刷硬化させ得られる印刷物。
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