JP2022115711A - 測定方法および測定装置 - Google Patents

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【課題】平滑面に起因する散乱光を測定する測定方法において、SN比を従来よりも高めること。【解決手段】測定方法(M10)は、軟X線または極端紫外線を入射光として、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて前記入射角を決定する入射角決定工程(S13)を含んでいることを特徴とする。決定された入射角で入射光を平滑面に対して照射し、平滑面にて散乱された散乱光の強度を測定する。【選択図】図3

Description

本発明は、軟X線または極端紫外線を用いて、平滑面に起因する散乱光を測定する測定方法および測定装置に関する。
近年、極端紫外線を用いたリソグラフィーが実用化されるなど、半導体製造工程における微細化が進んでいる。これに伴い、半導体製造工程に含まれる異物の検査工程または有機構造物(例えばレジスト)の3次元形状測定工程においても、より小さなサイズ(例えば20nm以下)の異物または有機構造物を検出したり測定したりすることが求められている。
光散乱計測技術は、平滑面上に存在する異物または有機構造物に起因する反射光および/または散乱光を解析することにより、異物または有機構造物を検出したり計測したりする技術である。光散乱計測技術は、上述した半導体製造工程に含まれる異物の検査工程または有機構造物(例えばレジスト)の3次元形状測定工程において利用されている。
光散乱計測技術においては、異物または有機構造物を高感度に計測するために、さまざまな因子に起因する異なる光散乱をそれぞれの因子で切り分ける。さまざまな因子としては、光源の波長や、光強度や、異物または有機構造物のサイズ、形状、および向きや、異物または有機構造物の計測波長における複素屈折率や、平滑面を構成する基板の種類などが挙げられる。なお、異物および有機構造物の複素屈折率は、基板の複素屈折率と異なる。そのため、異物および有機構造物は、基板の主面である平滑面において屈折率分布を発生させる。本明細書では、異物および有機構造物のように一様ではない屈折率分布を発生させる部材を「光散乱体」と称する。
Pierce, Daniel T., and Wo E. Spicer. "Electronic structure of amorphous Si from photoemission and optical studies." Physical Review B, 5.8 (1972): 3017. Freychet, Guillaume, et al. "Reconstructing the three-dimensional latent image of extreme ultraviolet resists with resonant soft x-ray scattering." Journal of Micro/Nanolithography, MEMS, and MOEMS, 18.2 (2019): 024003. Nagata, Yutaka, et al. "At wavelength coherent scatterometry microscope using high-order harmonics for EUV mask inspection." International Journal of Extreme Manufacturing 1.3 (2019): 032001.
ところで、紫外線領域および可視光領域と、軟X線領域および極端紫外線領域とでは、光散乱体および基板の複素屈折率が大きく異なる。基板の素材として代表的な珪素(Si)を例にすると、紫外線領域および可視光領域では複素屈折率の実部が3以上となる(非特許文献1参照)。一方、軟X線領域および極端紫外線領域では複素屈折率の実部が真空と同じ1に近い値を取り、しかも、波長によって大きく変化する。複素屈折率の実部が1に近く、虚部が0に近い場合、反射率が減少する。そのため、非特許文献2に記載の技術では、基板の法線と入射光とのなす角である入射角を70°以上にすることによって、基板及び光散乱体からの反射を高めている。なお、非特許文献2においては、入射角の代わりに基板と入射光とのなす角度を用いているので、この角度が20°以下と記載されている。
あるいは、非特許文献3に記載の技術では、計測の効率を上げる光学素子を配置しやすいように基板の法線と入射光とのなす角として小さい角度(例えば6°)を採用している。
しかしながら、非特許文献2,3のいずれの技術を採用した場合においても、平滑面からの反射光の強度IBGに対する、光散乱体からの散乱光の強度Iの比(I/IBG)は、例えば図18の比較例に示すように低いと言わざるを得なかった。以下において、比I/IBGのことをSN比とも称する。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、平滑面に起因する散乱光を測定する測定方法および測定装置において、SN比を従来よりも高めることである。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る測定方法は、軟X線または極端紫外線を入射光として、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて前記入射角を決定する入射角決定工程と、前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定工程と、を含む。
上記の構成によれば、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて前記入射角を決定する。したがって、測定工程において用いる平滑面に光散乱体が含まれている場合に、本測定方法は、SN比を従来よりも高めることができる。
また、本発明の第2の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射角決定工程は、前記入射角依存性において、光散乱体を含まない前記平滑面により散乱された前記散乱光の強度が極小となる入射角、または、当該極小となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする、構成が採用されている。
上記の構成によれば、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性を用いて、前記散乱光の強度が極小となる入射角、または、当該極小となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする。したがって、本測定方法は、SN比を従来よりも確実に高めることができる。
また、本発明の第3の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射角決定工程は、光散乱体を含まない前記平滑面により散乱された前記散乱光の強度に対する、光散乱体を含む平滑面により散乱された散乱光の強度の比の入射角依存性に応じて前記入射光の前記入射角を決定する、構成が採用されている。
上記の構成によれば、光散乱体を含まない前記平滑面により散乱された前記散乱光の強度だけでなく、光散乱体を含む平滑面により散乱された散乱光の強度も考慮して前記入射角を決定する。したがって、本測定方法は、SN比を従来よりも高めることができる。
また、本発明の第4の態様に係る測定方法においては、上述した第4の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射角決定工程は、前記比の入射角依存性において、前記比が極大となる入射角、または、当該極大となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする、構成が採用されている。
上記の構成によれば、前記比の入射角依存性を用いて、前記比が極大となる入射角、または、当該極大となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする。したがって、本測定方法は、SN比を従来よりも確実に高めることができる。
また、本発明の第5の態様に係る測定方法においては、上述した第3の態様または第4の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記光散乱体は、有機物を含む、構成が採用されている。
また、本発明の第6の態様に係る測定方法においては、上述した第5の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記光散乱体における炭素の元素存在比は、1%以上である、ことが好ましい。
このように、光散乱体を構成する材料の一例としては、有機物を含む材料が挙げられる。また、光散乱体における炭素の元素存在比は、1%以上であることが好ましい。
上記の課題を解決するために、本発明の第7の態様に係る測定方法は、軟X線または極端紫外線を入射光として、平滑面の散乱におけるブリュースター角、または、当該ブリュースター角の近傍の角度を前記入射光の入射角として決定する入射角決定工程と、前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定工程と、を含む。
ブリュースター角とは、p偏光またはTM波の反射率が0となる入射角のことである。上記の構成によれば、平滑面の散乱におけるブリュースター角、または、当該ブリュースター角の近傍の角度を前記入射光の入射角とする。したがって、本測定方法は、SN比を従来よりも高めることができる。
高感度に、試料を計測する技術であって、入射光として可視光又は紫外線を用いる技術としては、ブリュースター顕微鏡が知られている。このブリュースター顕微鏡は、上述のように入射角としてブリュースター角を採用した場合に正反射の反射率がゼロになること、すなわち、SN比が高くなることを利用している。このブリュースター顕微鏡は、半導体製造工程での薄膜の評価に使われている(国際公開第2007/004708号参照)。一方、半導体の高感度微粒子計測で、広く使われているのは、垂直入射による手法である(特表2013-504063号公報参照)。10nmサイズの微粒子計測において、これらの方法では、レーザー光の特性を利用した高度な処理を信号に施した場合でも、得られるSN比は、1程度であった。また、単純な反射計測では、図18を参照して後述するように、せいぜい10-4程度のSN比しかない。本願の発明者らは、計測に重要なポイントが、集光のしやすさか、信号強度か、SN比なのか、によって、最適な計測手法が異なることを見出した。実際、入射光として極短紫外線又は軟X線を用いる技術では、入射角としてブリュースター角ではなく0°を採用し、そのうえで、正反射された反射光をゾーンプレートで集光したり(非特許文献2)、反射強度が上がるように浅い入射角を採用したりしている(非特許文献3)。
本願の発明者らは、試行錯誤の末、入射光の波長として266nmを採用している従来型の微粒子計測装置を用いて20nm以下のサイズの微粒子を計測する場合に、バックグラウンドからの反射が、大きな障害となることに気づいた。このバックグラウンドからの大きな反射は、基板の表面の凹凸及び/又は基板の内部の一様でない屈折率分布により散乱した光に起因していると、本願の発明者らは推測している。入射光の波長を短くすることで、原理的には分解能が向上するため、微粒子の計測に有利なようにみえる。しかし、孤立した微粒子の検出において重要なのは、分解能ではなく計測感度である。計測感度は、粒子自身の散乱強度やバックグラウンドの散乱強度に依存する。
本願の発明者らは、バックグラウンドからの反射をノイズとして扱い、微粒子からの反射を信号として扱った場合のSN比を指標として、これを改善できれば、高感度な計測に結びつくと考えた。新規開発のSN比評価手法で検討した結果、材料の条件に合わせて、入射光の波長を適切に設定することで、ブリュースター角におけるバックグラウンドの反射が特に小さくなり、微粒子を感度良く計測できることを、本願の発明者らは見出した。この効果は軟X線及び極端紫外線の領域において顕著であった。
また、本発明の第8の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様~第7の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記平滑面は、半導体基板の主面である、構成が採用されている。
また、本発明の第9の態様に係る測定方法においては、上述した第8の態様に係る測定方法の構成に加えて、半導体基板は、珪素により構成されている、構成が採用されている。
このように、平滑面の一例としては、半導体基板の主面が挙げられる。また、半導体基板を構成する材料としては、珪素が挙げられる。
また、本発明の第10の態様に係る測定方法においては、上述した第9の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射角は、45°±5°の範囲に含まれている、構成が採用されている。
このように、半導体基板が珪素により構成されている場合、入射角を45°±5°の範囲内で定めることによって、SN比を従来よりも確実に高めることができる。
また、本発明の第11の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様~第10の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射光は、TM波である、構成が採用されている。
上記の構成によれば、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度を確実に抑制することができるので、SN比を従来よりも更に確実に高めることができる。
また、本発明の第12の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様~第11の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記入射光の波長は、8nm以上20nm以下の範囲に含まれている、構成が採用されている。
光散乱体による散乱強度は、入射光の波長が光散乱体のサイズと同程度である場合に最も高くなり、入射光の波長が光散乱体のサイズの2倍よりも長い場合に顕著に低下する。上記の構成によれば、短径が10nm程度である光散乱体を検出するために、本測定方法を好適に用いることができる。
また、本発明の第13の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様~第12の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記測定工程は、前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度の回折散乱角度依存性を測定し、1又は複数のパラメータにより規定される所定の構造をモデルとして用いて前記回折散乱角度依存性をシミュレーションするシミュレーション工程と、前記回折散乱角度依存性の測定結果を、前記回折散乱角度依存性のシミュレーション結果を用いて近似することによって前記所定の構造の前記1又は複数のパラメータを推測する推測工程と、を更に含んでいる、構成が採用されている。
パターニングされたフォトレジストのように、光散乱体の構造をあらかじめ想定できる場合に、本測定方法を用いて光散乱体の構造を容易に推測することができる。
また、本発明の第14の態様に係る測定方法においては、上述した第1の態様~第12の態様に係る測定方法の構成に加えて、前記測定工程は、前記平滑面により散乱された散乱光の強度分布であって、前記平滑面上の光散乱体像に対応する散乱光の強度分布を測定する、構成が採用されている。
上記の構成によれば、前記平滑面の像に対応する散乱光の強度分布を測定することができる。したがって、本測定方法は、平滑面の像を用いて光散乱体の有無、および、平滑面上の光散乱体のサイズ及び形状を判定することができる。
上記の課題を解決するために、本発明の第15の態様に係る測定装置は、軟X線または極端紫外線を入射光として、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて前記入射角を決定する入射角決定部と、前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定部と、を備えている。
上記の課題を解決するために、本発明の第16の態様に係る測定装置は、軟X線または極端紫外線を入射光として、平滑面の散乱におけるブリュースター角、または、当該ブリュースター角の近傍の角度を前記入射光の入射角として決定する入射角決定部と、前記入射角決定部により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定部と、を備えている。
本発明の第15の態様および第16の態様に係る測定装置の各々は、それぞれ、本発明の第1の態様および第7の態様に係る測定方法と同様の効果を奏する。
なお、本発明の各態様に係る測定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記測定装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記測定装置をコンピュータにて実現させる測定装置の測定プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明の一態様によれば、平滑面に起因する散乱光を測定する測定方法および測定装置において、SN比を従来よりも高めることができる。
本発明の一実施形態に係る測定装置に含まれる光学系のうち前段部分の模式図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る測定方法を実施する測定装置に含まれる光学系のうち後段部分の模式図である。(b)は、(a)に示した後段部分において基板の主面からの散乱光を結像する構成の模式図である。 本発明の一実施形態に係る測定方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る測定装置が備えている制御部のブロック図である。 図3に示した測定方法において入射角依存性を生成するために実施するシミュレーションのモデルを示す模式図である。 図5に示したモデルにおいて、光散乱体により散乱される範囲を示す模式図である。 図5に示したモデルにおいて、入射光が集光される集光領域を示す模式図である。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性と、珪素により構成された基板の主面であって、ポリスチレンにより構成された光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性とを示すグラフである。なお、入射光の波長は、10nmである。 図8に示した、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度に対する光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、10nmである。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性と、珪素により構成された基板の主面であって、金により構成された光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性とを示すグラフである。なお、入射光の波長は、10nmである。 図10に示した、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度に対する光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、10nmである。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性と、珪素により構成された基板の主面であって、ポリスチレンにより構成された光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性とを示すグラフである。なお、入射光の入射角度は、45°である。 図12に示した、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度に対する光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の比の波長依存性を示すグラフである。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性と、珪素により構成された基板の主面であって、金により構成された光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性とを示すグラフである。なお、入射光の入射角度は、45°である。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性と、珪素により構成された基板の主面であって、金により構成された光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の波長依存性とを示すグラフである。 珪素により構成された基板の主面であって、光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、266nmである。 珪素により構成された基板の主面であって光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、266nmである。 光散乱体を含まない主面により散乱された散乱光の強度に対する光散乱体を含む主面により散乱された散乱光の強度の比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、266nmである。 図3に示した測定方法の一変形例のフローチャートである。 図4に示した制御部の一変形例のブロック図である。 図19に示した測定方法を実施する測定装置に含まれる光学系の後段部分において、基板の主面からの散乱光の散乱パターンを取得する構成の模式図である。 (a)および(b)は、それぞれ、図19に示したシミュレーション工程において用いるモデルの斜視図および側面図である。 λ=10nmである場合に、図19に示した測定工程において測定した散乱光の強度の回折散乱角度依存性と、図20に示したシミュレーション工程においてシミュレーションした散乱光の強度の回折散乱角度依存性とを示すグラフである。 λ=12nmである場合に、図19に示した測定工程において測定した散乱光の強度の回折散乱角度依存性を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る測定方法M10および測定装置について、図1~図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の測定装置に含まれる光学系のうち前段部分の模式図である。図2の(a)は、本実施形態の測定装置に含まれる光学系のうち後段部分の模式図である。図2の(b)は、図4の(a)に示した後段部分において、主面111からの散乱光Lを結像する構成の模式図である。図3は、測定方法M10のフローチャートである。図4は、本実施形態の測定装置が備えている制御部10のブロック図である。
測定方法M10は、例えば、極端紫外線を用いたリソグラフィーなどを用いる半導体製造工程に含まれる検査工程であって、半導体製の基板の主面(平滑面の一例)に付着している異物の有無を調べる検査工程に好適に利用可能である。測定方法M10によれば、非特許文献2,3に記載された従来の技術と比較してSN比を高めることができるので、より小さなサイズ(例えば20nm以下)の異物を検出することができる。なお、異物は、平滑面上において、一様ではない屈折率分布を発生させる光散乱体の一例である。
〔測定装置〕
測定方法M10の説明に先立って、本実施形態の測定装置の構成を簡単に説明する。本測定装置は、測定方法M10を好適に実施することができる。
測定方法M10においては、後述するように、軟X線または極端紫外線を入射光Lとして用いる。ここで、軟X線は、波長λが0.1nm以上10nm未満である電磁波を指し、極端紫外線は、波長λが10nm以上100nm以下である電磁波を指す。したがって、本発明の一態様においては、入射光Lとして、波長λが0.1nm以上100nm以下である電磁波を用いることができる。
なお、入射光Lの好ましい波長は、測定しようとする光散乱体あるいは測定する光散乱体のサイズに依存して変化する。例えば、光散乱体のサイズが10nm程度である場合、入射光Lの波長λは、8nm以上20nm以下であることが好ましい。本実施形態では、入射光Lの波長λとして10nmを採用する。
また、本実施形態では、入射光Lとして直線偏光の1つであるTM波を用いている。ただし、入射光Lは、TM波を含んでいればよく、例えば、無偏光の光であってもよい。
図1に示す様に、本測定装置の前段部分は、光源LSと、2つのミラーM1,M2と、ピンホールPHとにより構成されている。光源LSは、λ=10nmである入射光Lを生成する光源である。光源LSは、あらかじめ定められた波長λ(本実施形態では10nm)を有する入射光Lを生成可能な光源であればよく、その態様は、限定されない。光源LSの例としては、放射光施設のビームライン、および、極端紫外線リソグラフィーの露光器において用いられる極端紫外線光源が挙げられる。
放射光施設のビームラインにおいては、8nm≦λ≦20nmにおいて波長λを適宜選択することができ、且つ、選択した波長λでの波長幅の狭い入射光Lを利用可能である。このようなビームラインの例としては、加速器研究機構のフォトンファクトリーにあるビームラインのBL-11Dが挙げられる。このビームラインには、入射光を集光する反射ミラー(すなわち、ミラーM1,M2)も備わっている。したがって、このビームラインが生成した入射光Lを後述するチャンバCHに対して導入することにより、本測定装置を構築することができる。
ミラーM1,M2は、光源LSから出射された入射光Lを集光する。ミラーM1,M2としては、例えば、楕円ミラーを用いることができる。なお、ミラーM1,M2は、後述するチャンバCHの内部における所定の位置において入射光Lが集光するように構成されている。
ピンホールPHは、放射光源由来の迷光をカットし、入射光Lのビーム品質を一定の範囲内に納めるために設けられている。ピンホールPHに設けられた開口部の直径は、例えば、1mmである。ただし、この開口部の直径は、適宜定めることができる。
図1に示した構成を用いて、ほぼコリメート化された入射光Lが生成される。以下においては、コリメート化された入射光Lのことを単に入射光Lと称する。入射光Lは、図2の(a)に示すように、散乱光測定用のチャンバCHに導入される。なお、図2の(a)においては、入射光Lの進行方向をz軸正方向と定め、鉛直下方向をy軸正方向と定め、y軸正方向及びz軸正方向とともに右手系の直交座標系を構成するようにx軸正方向を定めている。
図2の(a)に示すように、本測定装置の後段部分には、真空用のチャンバCHと、CCDカメラCとが設けられている。
真空用のチャンバCHは、ICF規格(本実施形態ではICF70)に準拠した6方管を採用している。チャンバCHの内部は、真空ポンプ(図2の(a)には不図示)により排気されており、1×10-3Pa以下の真空度に保たれている。
6方管の各管が接合されている接合部分の内部には試料台が設けられている。その試料台には、図2の(b)に示す基板11が載置されている。ここで、試料台は、y軸方向と平行な軸を回転軸として、その軸回りに回転できるように構成されている。したがって、試料台を回転させることによって、基板11は、主面111の法線の向きをzx平面内において調整することができる。なお、主面111は、基板11の一方の主面であり、平滑面の一例である。また、本実施形態において、基板11は、半導体の一例である珪素(Si)により構成されている。すなわち、基板11は、半導体基板の一例である。ただし、基板11を構成する半導体は、珪素に限定されず、炭化珪素(SiC)であってもよいし、ガリウムヒ素(GaAs)であってもよい。また、基板11を構成する材料は、半導体に限定されず、誘電体(絶縁体)であってもよいし、導体であってもよい。
接合部分の上部には、試料台に結合された3つのマイクロメータxRS,yRS,zRSが設けられている。基板11の位置は、これらのマイクロメータxRS,yRS,zRSを用いて、x,y,zの各軸方向に沿って調整することができる。なお、本実施形態において、マイクロメータxRS,yRSは、それぞれ、基板11の位置をx,yの各軸方向に沿って50mm移動させることができる。したがって、本測定装置は、主面111を50mm×50mmの範囲内において走査することができる。また、光散乱体12からの散乱光の強度を高めるためには、入射光Liを主面111の直前において集光することが重要である。本測定装置は、主面111をz軸方向に沿って適宜移動させることができるので、光散乱体12からの散乱光の強度を高めることができる。
また、接合部分の内部であって、基板11とCCDカメラCとの間に対応する位置には、図2の(b)に示すゾーンプレートZPが設けられている。ゾーンプレートZPは、基板11の主面111により反射および散乱された散乱光Lを集光することによって、主面111における像をCCDカメラCの受光面に結像する。なお、接合部分の下部には、ゾーンプレートZPのマウントに結合された2つのマイクロメータxZP,yZPが設けられている。ゾーンプレートZPの位置は、マイクロメータxZP,yZP用いて、x,yの各軸方向に沿って調整することができる。本実施形態において、ゾーンプレートZPの外径は、100μmであり、主面111とゾーンプレートZPとの距離は、11.6mmである。ただし、ゾーンプレートZPの外形および主面111とゾーンプレートZPとの距離は、これに限定されず適宜設定することができる。
なお、本実施形態においては、主面111により散乱された散乱光Lを、ゾーンプレートZPを用いて集光することによって主面111における像を得ている。ただし、主面111における像を得る方法は、これに限定されない。ゾーンプレートZPを用いる代わりに、散乱光Lの散乱パターンを、コンピュータを用いてフーリエ変換することによっても主面111における像を得ることができる。
主面111には、図2の(b)に示すように、異物である光散乱体12が付着している場合がある。本測定装置においては、主面111における像を取得することができる。したがって、その像に光散乱体12の像が含まれているか否かを判定することによって、主面111に光散乱体12が付着しているか否かを判定することができる。本実施形態においては、入射光Lの波長λとして10nmを採用しているので、光散乱体12のサイズが10nm程度である場合にも、主面111に光散乱体12が付着しているか否かを容易に判定することができる。
光散乱体12を構成する材料は、限定されないが、有機物を含んでいることが好ましい。また、光散乱体12を構成する材料が有機物を含んでいる場合、その材料における炭素の元素存在比は、1%以上であることが好ましい。
なお、主面111における像に光散乱体12の像が含まれているか否かを判定するには、主面111からの反射光の強度IBGに対する、光散乱体12からの散乱光の強度Iの比(I/IBG)であるSN比を高めることが求められる。本発明の一態様においては、後述するように、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度の入射角依存性に応じて、入射光Lの主面111に対する入射角θを決定する。したがって、SN比を従来よりも高めることができる。なお、入射角θの決定の仕方については、計測方法の項において後述する。
また、本測定装置においては、主面111のxy平面内における位置を、x,yの各軸方向に沿って50mmずつ移動させることができる。したがって、入射光Lの集光点に対する主面111の相対位置を移動させることによって、換言すれば、主面111において入射光Lを走査することによって、主面111の広範囲に亘って光散乱体12が付着しているか否かを検査することができる。
また、上述したように、本測定装置においては、SN比を従来よりも高めることができる。したがって、主面111における像に光散乱体12の像が含まれているか否かをすばやく判定することができるので、1枚の基板11を検査するのに要する検査時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、ゾーンプレートZPを用いて主面111における像を取得する態様について説明した。ただし、変形例の項において後述するように、本発明の一態様は、散乱光Lの散乱パターンを取得したうえで、その散乱パターンを回析することによって、光散乱体の構造を推測することもできる。
〔測定方法〕
図3に示すように、測定方法M10は、第1の入射角依存性取得工程S11と、第2の入射角依存性取得工程S12と、入射角決定工程S13と、測定工程S14と、を含んでいる。
<第1の入射角依存性取得工程>
第1の入射角依存性取得工程S11は、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性を取得する工程である。本実施形態において、強度IBGの入射角依存性は、シミュレーションにより得られたものである。ただし、強度IBGの入射角依存性は、実際の測定により得られたものであってもよい。また、本実施形態において、強度IBGの入射角依存性は、あらかじめシミュレーションを実施されており、シミュレーション結果としてコンピュータの記憶媒体に格納されている。ただし、強度IBGの入射角依存性は、測定方法M10を実施する度にシミュレーションまたは測定を実施することにより生成されてもよい。
<第2の入射角依存性取得工程>
第2の入射角依存性取得工程S12は、光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光Lの強度Iの入射角依存性を取得する工程である。本実施形態において、強度Iの入射角依存性は、シミュレーションにより得られたものである。ただし、強度Iの入射角依存性は、実際の測定により得られたものであってもよい。また、本実施形態において、強度Iの入射角依存性は、あらかじめシミュレーションを実施されており、シミュレーション結果としてコンピュータの記憶媒体に格納されている。ただし、強度Iの入射角依存性は、測定方法M10を実施する度にシミュレーションまたは測定を実施することにより生成されてもよい。
<入射角決定工程>
入射角決定工程S13は、強度IBGに対する強度Iの比(I/IBG)の入射角依存性に応じて入射光Lの入射角θを決定する工程である。より詳しくは、入射角決定工程S13は、強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角を入射光Lの入射角θとする。ただし、入射光Lの入射角θとしては、強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角の代わりに、当該極大となる入射角の近傍の入射角を用いることもできる。強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角の近傍は、基板11を構成する材料により適宜さだめることができる。たとえば、基板11を構成する材料が珪素である場合、強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角の近傍は、前記極大となる入射角に対して±5°以内の範囲である。
図9および図11を参照して後述するように、基板11を構成する材料が珪素である場合、強度IBGに対する強度Iの比は、45°において極大となる。したがって、本実施形態では、入射光Lの入射角θとして45°を採用する。ただし、入射光Lの入射角θは、40°以上50°以下の範囲内において適宜さだめることができる。
(入射角決定工程の変形例)
本発明の一態様において、入射角決定工程S13は、強度IBGに対する強度Iの比の入射角依存性の代わりに、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性に応じて入射光Lの入射角θを決定するように構成されていてもよい。より詳しくは、入射角決定工程S13は、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性が極小となる入射角を入射光Lの入射角θとするように構成されていてもよい。
また、入射光Lの入射角θとしては、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性が極小となる入射角の代わりに、当該極小となる入射角の近傍の入射角を用いることもできる。当該極小となる入射角の近傍の範囲は、強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角の近傍の範囲と同様である。
また、本発明の別の一態様において、入射角決定工程S13は、強度IBGに対する強度Iの比、および、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性を用いずに、主面111の散乱におけるブリュースター角を入射光Lの入射角θとするように構成されていてもよい。また、入射角決定工程S13は、当該ブリュースター角の近傍の角度を入射光Lの入射角θとするように構成されていてもよい。当該ブリュースター角の近傍の角度の範囲は、強度IBGに対する強度Iの比が極大となる入射角の近傍の範囲と同様である。
<測定工程>
測定工程S14は、入射角決定工程S13により決定された入射角θで入射光Lを主面111に対して照射し、主面111により散乱された散乱光Lの強度を測定する工程である。
なお、半導体製造工程に含まれる検査工程において基板11を検査する場合、その主面111に異物である光散乱体12が付着しているか否かを検査することになる。図9を参照して後述するが、主面111に異物が含まれていない場合、強度IBGに対する強度Iの比は、小さい(図9および図11においては約1)のに対して、主面111に異物が含まれている場合、強度IBGに対する強度Iの比は、大きい(図9においては約10であり図11においては約8×10)。したがって、測定工程S14を実施することにより、その主面111に異物である光散乱体12が付着しているか否かを判定することができる。
なお、散乱光Lの強度は、図2の(b)に示すようにゾーンプレートZPを用いて、散乱光Lの出射角θがθ=θとなる位置にCCDカメラCを固定した状態で測定してもよいし、θ=θを基準として、|θ-θ|が所定の角度範囲(例えば、5°以内や10°以内など)に収まる範囲内においてCCDカメラCを順番に移動させながら測定してもよい。CCDカメラCを順番に移動させながら散乱光Lの強度を測定する場合、その範囲内における散乱光Lの角度分布を測定することができる。この構成によれば、θ=θとなる位置にCCDカメラCを固定した状態で測定する場合と比較して、SN比を更に高めることができる。本実施形態においては、CCDカメラCを順番に移動させながら散乱光Lの強度を測定する構成を採用している。また、散乱光Lの強度は、図21に示すように、ゾーンプレートZPを光軸から外して、散乱光Lの強度分布である散乱パターンとして測定してもよい。ゾーンプレートZPを入れた場合に比べて、SN比は落ちるが、光学系が簡便になり、散乱光角度分布の解釈が容易になる。
〔コンピュータによる実施〕
測定方法M10に含まれる第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、入射角決定工程S13、および、測定工程S14の各工程は、本実施形態の測定装置が備えているコンピュータ(図1および図2には不図示)を用いて実施することが好ましい。
この場合、コンピュータの制御部は、図4に示すように、第1の入射角依存性取得部C11、第2の入射角依存性取得部C12、入射角決定部C13、および、測定部C14を備えている。第1の入射角依存性取得部C11、第2の入射角依存性取得部C12、入射角決定部C13、および、測定部C14の各々は、それぞれ、第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、入射角決定工程S13、および、測定工程S14を実施する。したがって、ここでは、これらの各部の機能については、説明を省略する。
このように、本測定装置の制御部10に含まれる各部は、ソフトウェアによって実現してもよい。この場合、本測定装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔第1の実施例〕
<散乱光のシミュレーション>
上述した測定方法M10においては、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性、および、光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光Lの強度Iの入射角依存性を、シミュレーションを実施することにより生成している。以下では、強度IBGの入射角依存性、および、強度Iの入射角依存性を生成するシミュレーションについて、図5~図18を参照して説明する。
図5は、強度Iの入射角依存性を生成するために実施するシミュレーションのモデルを示す模式図である。図6は、図5に示したモデルにおいて、光散乱体12により散乱される範囲を示す模式図である。図7は、図5に示したモデルにおいて、入射光Lが集光される集光領域を示す模式図である。図8は、珪素により構成された基板11の主面111であって、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光Lの強度IBGの入射角依存性と、ポリスチレン(PS)により構成された光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光Lの強度Iの入射角依存性とを示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、10nmである。図9は、図8に示した、強度IBGに対する強度Iの比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、10nmである。図10は、強度IBGの入射角依存性と、金により構成された光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光の強度Iの入射角依存性とを示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、10nmである。図11は、図10に示した、強度IBGに対する強度Iの比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、10nmである。図12は、強度IBGの波長依存性と、ポリスチレンにより構成された光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光の強度Iの波長依存性とを示すグラフである。なお、入射光Lの入射角度は、45°である。図13は、図12に示した、強度IBGに対する強度Iの比の波長依存性を示すグラフである。図14は、強度IBGの波長依存性と、金により構成された光散乱体12を含む主面111により散乱された散乱光の強度Iの波長依存性とを示すグラフである。なお、入射光Lの入射角度は、45°である。図15は、図14に示した、強度IBGに対する強度Iの比の波長依存性を示すグラフである。
図16は、強度IBGの入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、266nmである。図17は、強度Iの入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光Lの波長は、266nmである。図18は、強度IBGに対する強度Iの比の入射角依存性を示すグラフである。なお、入射光の波長は、266nmである。
上述した図5~図18のうち、図5~図15は、本発明の範疇に含まれている実施例である。一方、図16~図18は、本発明の範疇に含まれていない比較例である。これは、入射光Lの波長が266nmであるためである。
光の散乱における角度分布計算プログラムは、厳密結合波解析用のものが市販されている。市販されている角度分布計算プログラムの例としては、サイバネットシステム社のDiffractMOD(登録商標)が挙げられる。このような角度分布計算プログラムを実行するコンピュータとしては、汎用のコンピュータを使うことができる。
本実施例においては、厳密結合波解析を用いて散乱光の角度分布をシミュレーションした。なお、本実施例では、図5~図7に示すように、散乱光の角度分布を2次元平面内において計算した。
珪素により構成された基板11の主面111は、平滑面である。したがって、主面111に対して入射角θで入射した入射光Lは、主面111において反射され散乱光Lに変換される。正反射の場合、出射角θは、θ=θとなる。主面111における反射においては、入射光Lのほとんどが正反射する。そこで、測定方法M10においては、この正反射により生じる散乱光Lの強度IBGをバックグラウンド起因のノイズとみなす。
光散乱体12の反射は、全体の反射(主面111および光散乱体12の反射)からバックグラウンドの反射(主面111の反射)を除いたものであると仮定できる。測定方法M10においては、この光散乱体12の散乱光Lの強度Iを信号とみなす。SN比は、ノイズである強度IBGに対する信号である強度Iの比として見積もることができる。
図5が計算のモデルである。基板11の主面111上に円形の微粒子である光散乱体12がある。表1に、λ=10nmである場合の計算のパラメータが示されている。
Figure 2022115711000002
図6に示すように、入射光Lが光散乱体12により反射散乱される範囲は、xである。また、主面111による反射は、範囲x以外の領域と考えることができる。入射光Lが集光される領域は、集光径Λが31λの時、図7にようになり、光散乱体12による反射散乱領域を除けば、主面111による反射領域が確定する。光散乱体12の材質をポリエチレンまたは金としたときの計算結果(シミュレーション結果)を図8~図11に示す。
図8及び図10を参照すれば、珪素製の基板11の主面111による反射強度は、入射角θが45°である場合に、入射光LがTM波およびTE波のいずれであっても極小値を取ることが分かった。また、TM波およびTE波の各々の反射強度を比較した場合、TM波の反射強度の方がTE波の反射強度よりも100倍以上小さいことが分かった。
図9及び図11を参照すれば、入射光Lの波長が10nmであり、かつ、TM波である直線偏光である場合、ポリエチレン製および金製の光散乱体12のいずれにおいても、SN比は、TE波である入射光Lを用いる場合に比べて100倍以上向上することが分かった。
次に、波長λが1nm以上20nm以下である軟X線領域において、反射強度およびSN比の波長依存性を計算した。その結果を図12~図15に示す。図12~図15を参照すれば、λ=10nmの場合に比べ、12nm≦λ≦19nmの範囲においてSN比が向上することがわかった。また、13nm≦λ≦14nmの範囲では、TM波を選択することにより、λ=10nmの場合に比べて、10倍近いSN比向上が期待できることが分かった。このように主面111の正反射光をバックグラウンドと仮定すると、波長λおよび入射角θを最適化することにより、大幅なSN比向上が見込めることが分かった。
次に、入射光Lの波長λが266nmである場合について計算した。表1に、λ=266nmである場合の計算のパラメータが示されている。
Figure 2022115711000003
計算結果は、図16~18に示す。SN比は、TM波およびTE波のいずれの偏光を選んだ場合においても、光散乱体12が金製である場合に、最大で10-4程度であり、光散乱体12がポリスチレン製である場合に、最大で10-5程度であった。
λ=10nmである場合(図9および図11参照)では、SN比は、少なくとも10-1であり、45度では、10を上回っていた。このことから、波長λを266nmから10nmにすることより、集光径Λが波長λに比例すると仮定すれば、少なくとも10倍のSN比向上が期待できる。また、集光径Λが波長によらず同じであると仮定した場合でも、40倍弱のSN比向上が期待できることが分かる。また、入射角θを45°に設定すれば、さらに、10倍のSN比向上が期待できる。
〔補足事項〕
本願の発明者らは、従来の光学的微粒子評価装置において、サイズが10nmレベルである微粒子(光散乱体)が検出できない理由が、SN比の悪さにあることを見出した。そこで、本願の発明者らは、SN比をよくする方法を、平滑な主面111上の光散乱体12について検討した。
まず、本願の発明者らは、SN比を予測する手法を新たに考案した。
また、本願の発明者らは、入射光Lの波長λを極端紫外線および軟X線領域に拡大した。そのうえで、考案したSN比を予測する手法を用いて、最もSN比が大きくなる条件(入射光Lの波長λおよび入射角θ)を探した。
さらに、その結果、基板11が珪素製であり、かつ、λ=10nmである場合、主面111の法線に対して入射角θを45°にすることで、主面111からの反射が極小となることが分かった。この効果は、二つの直交する直線偏光であるTM波およびTE波のうちTE波のみで見られた。この反射率最小となる角度は、ブリュースター角として知られている。このようにして、本願の発明者らのシミュレーションで初めて、極端紫外線または軟X線領域を使えば、紫外線(たとえば、λ=266nm)を上回るSN比が得られることを示した。また、場合に、波長λおよび入射角θの選択が有効であることを示した。本願の発明者らは、この知見に基づいて、θ=45°で実験を行い、振幅の大きな散乱パターンが得た(第1の実施例参照)。
以上の結果から、入射角θとしては、SN比が極大となる入射角を選択することが好ましい。なお、入射角θとしては、SN比が極大となる入射角の代わりに、当該入射角の近傍の入射角を選択してもよい。また、入射角θとしては、光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光の強度が極小となる入射角、または、当該極小となる入射角の近傍の入射角を選択してもよい。
なお、基板11が珪素製であり、かつ、λ=10nmである場合、SN比が極大となる入射角の近傍の入射角とは、SN比が極大となる入射角に対して±5°以内の範囲を指す。すなわち、45°においてSN比が極大となる場合、入射角決定工程S13は、40°≦θ≦50°の範囲内において入射角θを決定することができる。光散乱体12を含まない主面111により散乱された散乱光の強度が極小となる入射角の近傍の入射角についても同様である。
この入射角θの算出に必要な反射強度角度分布の計算手法の一例として、厳密結合波解析が挙げられる。厳密結合波解析は、偏光および回折を考慮して計算することができるベクトル場理論の数値計算方法の一種である。厳密結合波解析の特徴としては、散乱体の内部構造を容易に考慮できる点と、散乱光角度分布が一定となる十分に遠方での解を直接計算できる点とが挙げられる。
厳密結合波解析は、原理的には対象が周期構造に限られているが、工夫することにより、孤立構造への適用が可能である。厳密結合波解析の適用方法の詳細は、Hoshino Tetsuya, Toyohiko Yatagai, and Masahide Itoh. "Precise and rapid distance measurements by scatterometry." Optics Express 20.4 (2012): 3954-3966と、Hoshino Tetsuya, et al. "Cross-sectional particle measurement in the resonance domain on the substrate through scatterometry." Optics Express 25.21 (2017): 26329-26348と、特許第6183826号公報と、これら文献の引用文献に記載がある。主面111上の孤立した光散乱体12の散乱光の強度分布の反射光角度分布を計算することで、SN比を見積もることができる。ここで、主面111からの散乱強度は、主面111による正反射の角度の光の強度であるとして計算することができる。また、集光径Λは開口数による回折限界の式から、波長λに比例すると考え、31波長であると仮定した。主面111からの反射は、31λから、光散乱体12によって遮蔽された長さを光軸に垂直な面に投影した長さ(図6に示した範囲x)を除いた反射と考えることができる。珪素は半導体用基板材料として、純度が高く、主面111の凹凸高さが平均3nm以下まで平滑にできる。したがって、珪素は、基板11を構成する好ましい材料の一例である。主面111の凹凸は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価することができる。
入射光Lの波長は、屈折率の実部が小さく、そのことにより、珪素製の主面111による反射を低減できる8nm以上20nm以下が好ましく、12nm以上19nm以下であることがより好ましく、13nm以上14nm以下であることが更に好ましい。
基板11が珪素製である場合、入射角θは、45°±5°の範囲内に含まれることが好ましく、45°±2°の範囲内に含まれることがより好ましい。
波長λを13nm以上14nm以下の範囲内において選択し、入射角θを45°±2°の範囲内において選択することによって、集光径が紫外線(たとえば266nm)と同じであると仮定した場合であっても、SN比を2桁以上改善することができる。
また、測定方法M10及び制御部10は、光散乱体12が有機物を含む場合に好適であり、光散乱体12における炭素の元素存在比が1%以上である場合により好適である。光散乱体12が有機物を含む場合には、極端紫外線または軟X線の代わりに電子線または硬X線を用いて散乱光を測定することにより、光散乱体12が破壊される可能性が高くなる(Marchesini, S., et al. "Coherent X-ray diffractive imaging: applications and limitations." Optics Express 11.19 (2003): 2344-2353参照)。
また、測定方法M10および制御部10においては、入射光LがTM波であることが好ましい。TM波は、その偏光面が主面111に垂直な面内に存在する直線偏光である。なお、TM波と別の直線偏光として、TE波が挙げられる。TE波は、その偏光面がTM波の偏光面に直交する直線偏光である。入射光LとしてTM波を採用することによって、主面111からの反射率を確実に下げることができ、結果的にSN比を低減できる。TM波のTE波に対する比率は、1.5以上が望ましく、より好ましくは3以上である。
測定方法M10および制御部10は、他の光学的計測手法と比較して、主面111上の短径が20nm以下の孤立した光散乱体12を計測する用途に好適である。短径が10nm以下の孤立した光散乱体12においては、バックグラウンドからの散乱(すなわち主面111からの産卵)が大きくなることから、より好適である。
また、本実施形態の測定装置は、波長分布が2nm以下の半値全幅を持つ入射光Lを生成する光源、を入射光Lの減衰を抑える真空光学系、入射光Lの集光手段、光散乱体12と光散乱体を載せる基板11、光散乱体12と入射光Lの集光点の相対位置を10μm以下の精度で50mm角以上の範囲を走査する走査手段、光散乱体12の載った基板11の主面111に対する入射光Lの入射角θを40°以上90°未満にできる基板の取り付け治具、散乱光Lが中を通過できる筐体、光散乱体12と散乱光Lの集光素子(たとえばゾーンプレートZP)との相対位置を10μm以下の精度で制御する手段、および、光散乱体12の散乱光Lを少なくとも中心角度±0.05°の範囲で計測可能な集光素子(たとえばゾーンプレートZP)、高感度な受光素子(たとえば、CCDカメラやMCP(マイクロチャンネルプレート)や、光電子増倍管など)を有する。受光素子は、高感度なものが、微粒子を検出する際に広い面積を観測するのに必要な高速計測には適している。また、角度分解能が計測した角度範囲の14分の1以下である受光素子のほうが、散乱光角度分布を計測し、形状を評価する目的には好ましい。
入射光Lの波長分布を小さくすることで、散乱強度角度分布(散乱パターン)のピークをシャープにし、SN比を上げることができる。また、集光素子による結像も容易になる。光散乱体12と集光点との位置を精度良く制御することで、実験の再現性を上げることができる。散乱光Lの集光の範囲を広くとることで、検出の感度を上げることができる。計測の角度分解能を上げることで、光散乱体12の構造を推測する場合における精度を上げることができる(Hoshino Tetsuya, et al. "High accuracy cross-sectional shape analysis by coherent soft x-ray diffraction." Applied Optics 59.28 (2020): 8661-8667参照)。
〔測定方法および測定装置の変形例〕
図3に示した測定方法M10および図4に示した制御部10の各々の一変形例である測定方法M20および制御部20について、図19~図23を参照して説明する。図19は、測定方法M20のフローチャートである。図20は、制御部20のブロック図である。図21は、図19に示した測定工程S24および図20に示した測定部C24において用いる散乱パターンを取得する構成の模式図である。図22の(a)および(b)は、それぞれ、図19に示したシミュレーション工程S25および図20に示したシミュレーション部C25において用いるモデルの斜視図および側面図である。図23は、入射光Lの波長λが10nmである場合に、測定工程S24および測定部C24において測定した散乱光の強度の回折散乱角度依存性と、シミュレーション工程S25およびシミュレーション部C25においてシミュレーションした散乱光の強度の回折散乱角度依存性とを示すグラフである。図24は、入射光Lの波長λが12nmである場合に、測定工程S24および測定部C24において測定した散乱光の強度の回折散乱角度依存性を示すグラフである。
<測定方法>
図19に示すように、測定方法M20は、第1の入射角依存性取得工程S11と、第2の入射角依存性取得工程S12と、入射角決定工程S13と、測定工程S24と、シミュレーション工程S25と、推測工程S26と、を含んでいる。
測定方法M20の第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、および、入射角決定工程S13の各々は、それぞれ、測定方法M10の第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、および、入射角決定工程S13と同じ工程である。したがって、本変形例では、これらの工程の説明を省略する。
<測定工程>
測定工程S24は、入射角決定工程S13により決定された入射角θで入射光Lを主面111に対して照射し、主面111により散乱された散乱光Lの強度の回折散乱角度依存性を測定する工程である。散乱光Lの強度の回折散乱角度依存性は、散乱光Lの散乱パターンとも呼ばれる。
なお、散乱光Lの散乱パターンは、図21に示すように、CCDカメラCを用いて測定することができる。なお、本変形例においては、光散乱体12aとして、ストライプ状のフォトレジストを用いる(図22参照)。光散乱体12aにおいて、ストライプ状に延伸されている方向(長辺に沿った方向)に直交する方向(短辺に沿った方向)の長さを幅wとし、主面111からの高さ(厚み)を高さhとする(図22の(a)参照)。また、入射光Lの主面111に対する入射角をθとし、散乱光Lの主面111に対する出射角をθとする(図22の(b)参照)。
<シミュレーション工程>
シミュレーション工程S25は、1又は複数のパラメータにより規定される所定の構造をモデルとして用いて散乱光Lの回折散乱角度依存性(すなわち散乱パターン)をシミュレーションする工程である。本変形例においては、光散乱体12aの幅wおよび高さhをパラメータとする図22の構造をモデルとして用いて散乱パターンをシミュレーションする。なお、シミュレーション工程S25において用いる所定の構造は、図22に示す構造に限定されず、適宜定めることができる。したがって、当該構造を規定する1又は複数のパラメータも、幅wおよび高さhに限定されず、適宜定めることができる。
<推測工程>
推測工程S26は、測定工程S24により測定された散乱パターンを、シミュレーション工程S25により得られた散乱パターンのシミュレーション結果を用いて近似することによって、モデルにおける1又は複数のパラメータ(本変形例においては、幅wおよび高さh)を推測する工程である。
<測定方法の組み合わせ>
測定方法M10では、その測定工程S14において、図2の(b)に示した構成を用いて、主面111により散乱された散乱光の強度分布を測定し、主面111の像を取得する。その結果、主面111の像を用いて光散乱体12の有無、および、主面111における光散乱体12の位置を判定することができる。測定方法M10は、測定方法M20と比較して、高速に実施することができる。したがって、主面111を広範囲に走査し、主面111に光散乱体12が含まれているか否か、および、主面111に光散乱体12が含まれている場合、その位置を特定する場合に好適に利用できる。
一方、測定方法M20では、その測定工程S24において、図21に示した構成を用いて、主面111により散乱された散乱光の散乱パターンを取得する。そのうえで、推測工程S26において、散乱パターンの測定結果を散乱パターンのシミュレーション結果を用いて近似することによって、所定の構造を推測することができる。したがって、測定方法M20は、光散乱体12の位置が特定されている場合(例えば、測定方法M10を実施することにより光散乱体12の位置が特定されている場合)において、光散乱体12の構造を推測するために好適に利用できる。
本発明の一態様においては、このように、測定方法M10と測定方法M20とを組み合わせて用いることができる。当然のことながら、本発明の一態様においては、制御部10と制御部20とを組み合わせて用いることができる。
<コンピュータによる実施>
測定方法M10の場合と同様に、測定方法M20に含まれる第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、入射角決定工程S13、測定工程S24、シミュレーション工程S25、および、推測工程S26の各工程は、本実施形態の測定装置が備えているコンピュータを用いて実施することが好ましい。
この場合、コンピュータの制御部は、図20に示すように、第1の入射角依存性取得部C11、第2の入射角依存性取得部C12、入射角決定部C13、測定部C24、シミュレーション部C25、および、推測部C26を備えている。第1の入射角依存性取得部C11、第2の入射角依存性取得部C12、入射角決定部C13、測定部C24、シミュレーション部C25、および、推測部C26の各々は、それぞれ、第1の入射角依存性取得工程S11、第2の入射角依存性取得工程S12、入射角決定工程S13、測定工程S24、シミュレーション工程S25、および、推測工程S26を実施する。したがって、ここでは、これらの各部の機能については、説明を省略する。
このように、制御部20に含まれる各部は、ソフトウェアによって実現してもよい。この点については、制御部10と同様なので、本変形例では、記載を省略する。
〔第2の実施例〕
ストライプ状である光散乱体12aが珪素製の基板11の主面111上に設けられた試料を、フォトレジストを用いて作製した。なお、フォトレジストとしては、ZEP520A(日本ゼオン株式会社製)を用い、フォトレジストのパターニングには、電子線フォトリソグラフィーを用いた。
具体的には、2cm角のシリコンウエハにフォトレジストをスピンコートし、180℃において3分間プリベークした。ELS-F130AN(エリオニクス製)を用いて、光散乱体12aのパターンを電子線描画した。現像をZED-N50(日本ゼオン株式会社製)で90秒間、リンスをZMD-Bで10秒間行い、エアブローして試料とした。
作製した光散乱体12aの形状は、あらかじめ、原子間力顕微鏡を用いて評価した。ストライプ状の光散乱体12aは、20μm間隔で周期的に並んでいる。ただし、この間隔は、入射光Lの波長λ(10nmまたは12nm)に比べて十分大きい。そのため、本変形例において用いた光散乱体12aは、光学的に独立した光散乱体として扱うことができる(Hoshino Tetsuya, Toyohiko Yatagai, and Masahide Itoh. "Precise and rapid distance measurements by scatterometry." Optics Express, 20.4 (2012): 3954-3966.参照)。
入射光Lについては、上述したように放射光を用い、回折格子を用いて波長選択をした。入射光側の上流域での真空度が下がらないように工夫している。試料直前までの入射光の光学系詳細は、Hoshino Tetsuya, et al. "High accuracy cross-sectional shape analysis by coherent soft x-ray diffraction." Applied Optics 59.28 (2020): 8661-8667、および、その引用文献に記載がある。
幅wおよび高さhをパラメータとして、散乱パターンのピークや谷の角度を基準に計算結果と実験結果とを比較し、その誤差が最小になるようにフィッティングを行うことで、光散乱体12aのサイズおよび断面形状を見積もることができる(上述した"High accuracy cross-sectional shape analysis by coherent soft x-ray diffraction."参照)。
波長λがλ=10nmである場合、および、λ=12nmである場合の散乱パターンの実験結果を、それぞれ、図23および図24に示した。主面111とCCDカメラCとの距離は、198mmである。CCDカメラCの画素は、512列×512行である。また、1画素のサイズは、24μmである。また、本変形例においては、入射角θとして、θ=45°を採用した。
図23に付した矢印は、パラメータである幅wおよび高さhを推測する基準として使う角度に付してある。計算と実験を比較すると、実験のほうが、散乱パターンにおけるサイドピークの変動が小さくなっている。これは、バックグラウンドの影響(主面111からの反射)によるものと考えられる。主面111の反射の影響がない格子の柱の透過計測では、実験と計算のサイドピークの変動量にそれほど大きな違いがないことが分かっている(Hoshino Tetsuya, et al. "Cross-sectional particle measurement in the resonance domain on the substrate through scatterometry." Optics Express 25.21 (2017): 26329-26348参照)。λ=10nmである場合とλ=12nmである場合との結果を比較すると、12nmの方が散乱強度の変動が明瞭となっている。バックグラウンドのノイズがあると、散乱光角度分布の干渉による周期的変調成分の割合が減少し、変動が浅くなる。したがって、λ=10nm,12nmの2つの場合と比較した場合、λ=12nmの方が、主面111由来のバックグラウンドの影響をより小さくできることが分かった。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
M10,M20 測定方法
S11 第1の入射角依存性取得工程
S12 第2の入射角依存性取得工程
S13 入射角決定工程
S14,24 測定工程
S25 シミュレーション工程
S26 推測工程
10,20 制御部
C11 第1の入射角依存性取得部
C12 第2の入射角依存性取得部
C13 入射角決定部
C14,24 測定部
C25 シミュレーション部
C26 推測部

Claims (17)

  1. 軟X線または極端紫外線を入射光として、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて入射角を決定する入射角決定工程と、
    前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定工程と、を含む、
    ことを特徴とする測定方法。
  2. 前記入射角決定工程は、前記入射角依存性において、光散乱体を含まない前記平滑面により散乱された前記散乱光の強度が極小となる入射角、または、当該極小となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする、
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記入射角決定工程は、光散乱体を含まない前記平滑面により散乱された前記散乱光の強度に対する、光散乱体を含む平滑面により散乱された散乱光の強度の比の入射角依存性に応じて前記入射光の前記入射角を決定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
  4. 前記入射角決定工程は、前記比の入射角依存性において、前記比が極大となる入射角、または、当該極大となる入射角の近傍の入射角を前記入射光の前記入射角とする、
    ことを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
  5. 前記光散乱体は、有機物を含む、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の測定方法。
  6. 前記光散乱体における炭素の元素存在比は、1%以上である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の測定方法。
  7. 軟X線または極端紫外線を入射光として、平滑面の散乱におけるブリュースター角、または、当該ブリュースター角の近傍の角度を前記入射光の入射角として決定する入射角決定工程と、
    前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定工程と、を含む、
    ことを特徴とする測定方法。
  8. 前記平滑面は、半導体基板の主面である、
    ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の測定方法。
  9. 半導体基板は、珪素により構成されている、
    ことを特徴とする請求項8に記載の測定方法。
  10. 前記入射角は、45°±5°の範囲に含まれている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の測定方法。
  11. 前記入射光は、TM波である、
    ことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の測定方法。
  12. 前記入射光の波長は、8nm以上20nm以下の範囲に含まれている、
    ことを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の測定方法。
  13. 前記測定工程は、前記入射角決定工程により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度の回折散乱角度依存性を測定し、
    1又は複数のパラメータにより規定される所定の構造をモデルとして用いて前記回折散乱角度依存性をシミュレーションするシミュレーション工程と、
    前記回折散乱角度依存性の測定結果を、前記回折散乱角度依存性のシミュレーション結果を用いて近似することによって前記所定の構造の前記1又は複数のパラメータを推測する推測工程と、を更に含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の測定方法。
  14. 前記測定工程は、前記平滑面により散乱された散乱光の強度分布であって、前記平滑面の像に対応する散乱光の強度分布を測定する、
    ことを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の測定方法。
  15. 軟X線または極端紫外線を入射光として、光散乱体を含まない平滑面により散乱された散乱光の強度の入射角依存性に応じて入射角を決定する入射角決定部と、
    前記入射角決定部により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定部と、を備えている、
    ことを特徴とする測定装置。
  16. 軟X線または極端紫外線を入射光として、平滑面の散乱におけるブリュースター角、または、当該ブリュースター角の近傍の角度を前記入射光の入射角として決定する入射角決定部と、
    前記入射角決定部により決定された入射角で前記入射光を平滑面に対して照射し、当該平滑面により散乱された散乱光の強度を測定する測定部と、を備えている
    ことを特徴とする測定装置。
  17. 請求項15または16に記載の測定装置としてコンピュータを機能させるための測定プログラムであって、前記入射角決定部および前記測定部としてコンピュータを機能させるための測定プログラム。
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