JP2022112695A - ラインセンサカメラのキャリブレーション装置及びキャリブレーション方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
カメラを用いた計測を行う際、カメラの焦点距離、主点座標、歪み係数などといったカメラパラメータを事前に求めることは必須であり、これを求めることをカメラキャリブレーションという。
なお、以下の説明では、カメラキャリブレーションを、単に、キャリブレーションと呼ぶ。
しかしながら、非特許文献1ではエリアカメラを前提としているため、この方法をそのままラインセンサカメラのキャリブレーションに導入することはできない。
例えば、ラインセンサカメラでは、次元数が少ないため、回転行列の直交性を活用することができず、又、ラインセンサカメラがキャリブレーション用の平面マーカをチェスボード状に撮影できないため、焦点距離と外部パラメータ算出が不安定になることが問題となる。
そこで、本実施形態においては、キャリブレーション用として、立体マーカを用いている。
ただし、本実施形態では、ラインセンサカメラを使うため、撮像範囲の2次元平面が1次元画像となる。
そして、撮像範囲の2次元平面上に立体マーカを設置することで、求める外部パラメータについて、回転を1軸、平行移動を2次元とすることができる。
なお、文書中においては、ボールド体(太字)を使用できないので、通常の書式とし、該当するアルファベットの直後に“(ボールド体)”と付記する。
図1において、ラインセンサカメラ10は1ラインしか撮像を行わないため、撮像範囲は3次元空間上では2次元平面11となる。
2次元平面11上のL字マーカ20のオブジェクト座標系(2次元平面座標系)は、X軸及びY軸で表現されている。
ラインセンサカメラ10のカメラ座標系(1次元画像座標系)は、ラインセンサカメラ10の光軸方向の軸wに直交し、撮像範囲の2次元平面11と平行なu軸で表現される。
画像座標系の座標をuと定義し、カメラ座標系の座標を(x,y)と定義すると、カメラ座標系から画像座標系への変換式は、以下の式(1)で表される。
オブジェクト座標系の座標を(X,Y)と定義すると、オブジェクト座標系からカメラ座標系への変換式は下記の式(2)で表される。
ここで、図1に示す構成におけるピンホールモデルの数式モデルは、下記の式(4)で表される。
ただし、上記の式(4)では、ラインセンサカメラ10のレンズの歪みが考慮されていない。
そこで、上記の式(2)のように(x,y)を定義すると、下記の式(5),(6),(7)のように歪みを表すことができる。
なお、k1~k3は半径歪み係数である。
また、レンズの歪みについては、非特許文献2(特に、51頁)を参考にしている。
また、式(2),(4),(5)についても式(6)に代入すると、下記の式(9)が得られる。
上記の式(10)は、上記の式(9)に基づく誤差関数を、撮像した画像の全数M及び検出点の全数Nについて総和したものとなる。
ここで、不安定というのは「焦点距離はレンズに定められた初期値から大きくは変化しないはずだ」、「レンズの歪み係数k1,k2,k3は極端に大きな値にはならず、またレンズの歪み係数k1,k2,k3は一般的にk1>k2>k3となることが多い」というカメラキャリブレーションを行う熟練者であれば知っている一般的な知識から大きく外れることを指す。
そこで、本実施例では、上記の式(9)に基づく誤差関数に、「焦点距離fはレンズの規定値f0から大きくは変わらない」、「主点座標cは(カメラによるが)画像中心c0の近くである」、「レンズの歪み係数k1,k2,k3は極端に大きな数字にはならない」、「レンズの歪み係数の大きさはk1>k2>k3となることが多い」等の専門家の知識を導入した評価関数である下記の式(11)が最小となるように、レーベンバーグマーカート法により内部パラメータ及び外部パラメータを求める。
また、各内部パラメータ(ここでは、焦点距離の大きさ、主点座標の位置及び歪み係数の大きさ)に重み付けをすることで、焦点距離の大きさ、主点座標の位置及び歪み係数の大きさのうち、どのパラメータを重要視するかを必要に応じて設定することができ、これにより、設計者及び専門家の知識を導入することができる。
なお、上記の式(11)ではL2ノルムと呼ばれる二乗の指標を用いたが、L1ノルムと呼ばれる絶対値指標を使用することも有効である。
図2は、魚眼レンズの歪みモデルを示す図である。
魚眼レンズの歪みモデルはピンホールモデルとは異なり、カメラ光軸の入射角φを用いて以下の式(12)で表される。
なお、ここでは歪みのない画像から歪みのある画像を作成するようなモデルとなっているが、歪みのある画像から歪みのない画像を作成するモデルを利用することも可能である。
次に、上述した内部パラメータ及び外部パラメータが全て校正済み(キャリブレーション済み)の場合に、計測座標uが得られた時のX,Yについて求める。
これは、上記の式(8)をX,Yについて解けばよいが、上記の式(8)にはX,Yの双方が含まれているため、このままでは解くことができない。
そこで、L字マーカ20の検出点では、X,Yの2次元平面11上の真値座標のいずれか、すなわち、X,Yの真値のいずれかが0であることを利用して、真値座標が0となる方向で得られたパラメータによって算出される値も0であると仮定すると、下記の式(16)が得られる。
ここで、x’及びx’dは上記の式(5),(6),(7)で定義された値である。
並進と回転を表す変換行列を下記の式(17)とすると、上記の式(4)に基づいて、変換行列は下記の式(18)で表すことができる。
魚眼レンズの場合においては、下記の式(20)をXについて解けばよい。
そこで、L字マーカでは、X,Yの真値のいずれかが0であることを利用して、真値が0となる方向では得られたパラメータによって算出される値も0であると仮定すると上記の式(16)が得られる。
ここで、魚眼レンズにおいて、初期値の外部パラメータを、撮影毎に求める方法について述べる。
通常、ピンホールモデルでは歪みが微小なため、歪みを無視し、すなわち歪みのない状態のモデルを仮定して、外部パラメータが求められる。
しかし、魚眼レンズでは歪みが大きく無視することができない。
そのため、下記の式(22)のような既知の値で構成された歪みモデルのいずれかを利用することで初期値の外部パラメータを算出する。
実際には、L字マーカ20の座標は3点以上あるが、この場合、方程式と未知数の数が一致しないので、最小二乗法を用いる。
二乗誤差をE、各計測点で生じる誤差ベクトルをe(ボールド体)とすると、下記の式(25)が得られる。
なお、“T”は、転置行列を表す記号である。
そこで、解となる固有ベクトルを求めるため、特異値分解を用いると、下記の式(26)の2つの上式が得られる。
ここで、U(ボールド体)は左特異行列、V(ボールド体)は右特異行列であり、Σ(ボールド体)は特異値行列であり、I(ボールド体)は単位行列である。
これにより、BTB(ボールド体)は下記の式(26)の下式で表すことができる。
このことから、特異値分解を用いることで、変換行列を求めることができる。
実際には、焦点距離f及び主点座標cは、最初には分からないため、適当な値を入力することで、初期の外部パラメータを求める。
そして、最終的に、この初期の外部パラメータを初期値として、上記の式(11)をレーベンバーグマーカート法によって解くことで、最終的な内部パラメータ及び外部パラメータを得ることができる。
図3に示すキャリブレーション装置30は、ラインセンサカメラ10のキャリブレーション装置であり、記憶部31、画像入力部32、計測座標算出部33、外部パラメータ算出部34、非線形最小二乗計算部35及びレンズモデル選択部36を有する。
非線形最小二乗計算部35は、歪み補正計算部350を有する。
白黒帯23は、中央21を中心に対称的に配置されると共に、内側の面22の長手方向に沿って交互に白黒となるように配置され、白黒帯23の白黒の幅が既知、つまり、白黒帯23による複数の検出点が2次元平面11上における2次元平面座標で既知である。
上述した非特許文献1の方法のように、平面マーカを用いる場合には焦点距離が不安定になるが、本実施形態では、L字マーカ20をキャリブレーションに用いており、焦点距離を正確に算出可能である。
例えば、直方体又は直角三角柱において、直角を挟む2辺の外面に図1に示す白黒帯23が設けられていてもよい。
なお、歪み係数は、ピンホールカメラモデルと魚眼レンズモデルとで相違する。
記憶部31としては、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置を例示することができる。
なお、L字マーカ20の白黒帯23(検出点)の画像上の座標は、2値化処理又はエッジ検出といった画像処理により検出される。
なお、非線形最小二乗計算部35の歪み補正計算部350は、上述のように魚眼レンズにおいては歪みを無視できないため、歪みを補正する計算を行う。
レンズモデル選択工程においては、レンズモデル選択部36によって上記の式(22)の複数のレンズモデルのいずれかが選択されて、選択されたレンズモデルが記憶部31に記憶される。
画像入力工程においては、画像入力部32によって、位置が固定されたL字マーカ20に対し、ラインセンサカメラ10が様々な位置及び姿勢(w軸周りの回転角θ及びu軸及びv軸に平行な向きの位置t1,t2の少なくともひとつが異なり、且つ立体マーカ全体が撮影できる位置及び姿勢)になるように設置されて、それぞれの位置及び姿勢での画像が撮像され、記憶部31に記憶される。
L字マーカ20は、位置が固定されているので、設置誤差は含まれないようになっている。
計測座標算出工程においては、計測座標算出部33によって、撮影した画像毎に、L字マーカ20の白黒帯23(検出点)の検出処理が行われ、L字マーカ20の白黒帯23(検出点)の画像上の計測座標u(1次元画像座標)が算出され、計測座標データとして記憶部31に記憶される。
外部パラメータ算出工程においては、外部パラメータ算出部34によって、ラインセンサカメラ10の初期の内部パラメータとなるレンズ初期値として、焦点距離fをメーカの公表値とし、主点座標cを総画素数の半分とし、歪み係数k1~k3を全て0とし、撮影した画像毎に、上述した式を用いて、線形解法により初期の外部パラメータが算出され、記憶部31に記憶される。
なお、歪み係数は、ピンホールカメラモデルと魚眼レンズモデルとで相違する。
歪み補正計算処理工程においては、上述したように魚眼レンズでは歪みを無視できないため、歪み補正計算部350によって、レンズの歪みを補正する計算が行われる(歪み補正計算部350)。
非線形最小二乗計算工程においては、非線形最小二乗計算部35によって、上述した初期の内部パラメータ及びステップS4で算出した初期の外部パラメータを初期値として、撮影した画像毎に、上述した式(11)を用いて、レーベンバーグマーカート法で最終的な内部パラメータ及び外部パラメータが算出され、記憶部31に記憶する。
なお、歪み係数は、ピンホールカメラモデルと魚眼レンズモデルとで相違する。
11 2次元平面
20 L字マーカ
21 中央
22 内側の面
23 白黒帯
30 キャリブレーション装置
31 記憶部
32 画像入力部
33 計測座標算出部
34 外部パラメータ算出部
35 非線形最小二乗計算部
36 レンズモデル選択部
350 歪み補正計算部
Claims (6)
- ラインセンサカメラの撮像範囲となる2次元平面上での2次元平面座標が既知の複数の検出点を有する立体マーカを前記ラインセンサカメラでレンズを介して撮像した複数の画像に基づいて、前記ラインセンサカメラのキャリブレーション用の内部パラメータ及び外部パラメータを算出するラインセンサカメラのキャリブレーション装置であって、
前記レンズに応じて複数のレンズモデルのいずれかを選択するレンズモデル選択部と、
位置及び姿勢が各々異なる前記立体マーカの前記画像が各々入力される画像入力部と、
前記立体マーカの前記検出点の前記画像上の1次元画像座標を前記画像毎に算出する計測座標算出部と、
前記2次元平面座標から前記1次元画像座標へ変換する前記ラインセンサカメラの数式モデルに基づいて求めた変換行列について、前記変換行列における初期の内部パラメータとして既知の初期値を入力し、線形解法により前記変換行列から初期の外部パラメータを前記画像毎に算出する外部パラメータ算出部と、
前記数式モデルに基づいて求めたレンズ歪みを考慮した誤差関数について、前記誤差関数に前記初期の内部パラメータ及び前記初期の外部パラメータを入力し、前記検出点の全数及び前記画像の全数についての前記誤差関数の総和が最小となる前記内部パラメータ及び前記外部パラメータを、反復計算を用いた非線形解法により算出する非線形最小二乗計算部とを有し、
前記非線形最小二乗計算部は、前記レンズの歪みを補正する歪み補正計算部を有する
ことを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション装置。 - 請求項1に記載のラインセンサカメラのキャリブレーション装置において、
前記立体マーカは、L字型の形状であり、L字型に折れ曲がった内側の面に前記複数の検出点が配置されていることを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のラインセンサカメラのキャリブレーション装置において、
前記数式モデルは、魚眼レンズモデルを用いたものであることを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション装置。 - ラインセンサカメラの撮像範囲となる2次元平面上での2次元平面座標が既知の複数の検出点を有する立体マーカを、レンズを介して前記ラインセンサカメラで撮像した複数の画像に基づいて、前記ラインセンサカメラのキャリブレーション用の内部パラメータ及び外部パラメータを算出するラインセンサカメラのキャリブレーション方法であって、
前記レンズに応じて複数のレンズモデルのいずれかを選択するレンズモデル選択工程と、
位置及び姿勢が各々異なる前記立体マーカの前記画像が各々入力される画像入力工程と、
前記立体マーカの前記検出点の前記画像上の1次元画像座標を前記画像毎に算出する計測座標算出工程と、
前記2次元平面座標から前記1次元画像座標へ変換する前記ラインセンサカメラの数式モデルに基づいて求めた変換行列について、前記変換行列における初期の内部パラメータとして既知の初期値を入力し、線形解法により前記変換行列から初期の外部パラメータを前記画像毎に算出する外部パラメータ算出工程と、
前記レンズの歪みを補正する歪み補正計算処理工程と、
前記数式モデルに基づいて求めたレンズ歪みを考慮した誤差関数について、前記誤差関数に前記初期の内部パラメータ及び前記初期の外部パラメータを入力し、前記検出点の全数及び前記画像の全数についての前記誤差関数の総和が最小となる前記内部パラメータ及び前記外部パラメータを、反復計算を用いた非線形解法により算出する非線形最小二乗計算工程とを有する
ことを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション方法。 - 請求項4に記載のラインセンサカメラのキャリブレーション方法において、
前記立体マーカとして、L字型の形状であって、L字型に折れ曲がった内側の面に前記複数の検出点が配置されているものを用いることを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のラインセンサカメラのキャリブレーション方法において、
前記数式モデルとして、魚眼レンズモデルを用いることを特徴とするラインセンサカメラのキャリブレーション方法。
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