JP2022106662A - 電磁誘導式エンコーダ用の検知巻線構成 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定軸方向に沿った2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダの提供。【解決手段】電磁誘導式エンコーダは、スケール、検出部、および信号処理部を含む。スケールは、測定軸(MA)に沿って配置された信号変調素子(SME)の空間波長W1の周期的なパターンを含む。検出部は、検知素子と、磁場生成コイルとで構成される。検知素子は、導電性ループを備えており、隣接するSMEがもたらす磁束への影響に反応して検知信号を出力する。導電性ループは、第3次の空間高調波信号成分を空間的にフィルタリングする平均的なMA寸法を有し、正極性および負極性の第1および第2の同数のループがW1/4K(K=3、5、7、9)だけ反対方向にシフトする「ループ内」シフト関係に従ってMAに沿って配置される。第3次および第K次の空間高調波成分を低減しながら、「レイアウトフレンドリー」なループ配置を採用する。【選択図】図9
Description
本出願は、2020年12月31日に出願された"SENSING WINDING CONFIGURATON FOR INDUCTIVE POSITION ENCODER"と題する米国特許出願第17/139,596号の一部継続出願であり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、測定機器に関し、より詳細には、精密測定機器において利用され得る電磁誘導式エンコーダに関する。
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動および/または位置トランスデューサが含まれうる。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器および受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。
米国特許第6,011,389号(第‘389号特許)、米国特許第7,239,130号(第‘130号特許)、および米国特許第6,124,708号(第‘708号特許)は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明している。米国特許第5,973,494号(第‘494号特許)および米国特許第6,002,250号(第‘250号特許)は、信号生成および処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギスおよびリニアスケールについて説明している。米国特許第5,886,519号(第‘519号特許)、米国特許第5,841,274号(第‘274号特許)、および米国特許第5,894,678号(第‘678号特許)は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギスおよび電子式巻き尺について説明している。米国特許第10,520,335号(第‘335号特許)、米国特許第10,612,943号(第‘943号特許)、および米国特許第10,775,199号(第‘199号特許)は、電磁誘導式エンコーダの精度、ロバスト性および位置合わせの容易さを高めるために有用な巻線構成の改良を開示している。上記のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許および出願に記載されているように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造することができ、汚れに対してほとんど影響を受けない。
しかし、これらのシステムは、小型サイズ、高解像度、精度、低コスト、汚れに対するロバスト性、ミスアライメントに対するロバスト性などの組合せなど、ユーザが望む特徴の特定の組合せを提供する能力が制限されることがある。このような特徴の改善された組合せを提供するエンコーダの構成が望まれている。
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
測定軸方向に沿った2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダが提供される。様々な実施形態では、電磁誘導式エンコーダは、スケール、検出部、および信号処理部を含む。
スケールは、測定軸方向に沿って延在し、少なくとも第1のタイプの信号変調素子を含む周期的スケールパターンを含む。周期的スケールパターンは、空間波長W1を有する。第1のタイプの信号変調素子は、空間波長W1に対応して測定軸方向に沿って配置された複数の導電性プレートまたは複数の導電性ループを備える。検出部は、周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、周期的スケールパターンに対して測定軸方向に沿って移動するように構成される。様々な実施形態において、検出部は、磁場生成コイルと、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セット(例えば、空間位相が90度異なる2つのそれぞれのセットが直交信号を提供するもの、または空間位相が120度異なる3つのそれぞれのセットが3相信号を提供するもの)を含む。磁場生成コイルは、基板に固定され、動作中に信号変調素子の周期的スケールパターンの有効領域と位置合わせされる内部領域を取り囲む。本明細書で使用されるように、「取り囲む」という用語は、様々な実施形態において、完全に取り囲むか、または部分的に取り囲むことを意味することができる。唯一の制約は、磁場生成コイルが、コイル駆動信号に応答して、本明細書に開示され、特許請求される原理による動作をサポートするように、内部領域に磁束変化を発生するように構成されることである。各検知素子セットは、測定軸方向に沿って配置され、基板に固定される。検知素子セットのメンバーは、磁場生成コイルで囲まれた内部領域と位置合わせされるか、または内部領域と重なる検知素子の部分に対応する検知素子有効領域EffASENを定義する導電性ループまたは導電性ループ部分で構成される。
各検知素子セットは、スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成されており、それぞれの公称空間位相に対応している。信号処理部は、コイル駆動信号を提供するように検出部に動作可能に接続されてよく、検出部から入力される検出信号に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対的位置を決定する。
本明細書に開示された原理による第1のタイプの様々な実施形態(例えば、図9~13に示される)では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セットは、組み合わされた特徴A1、B1およびC1を具備し、さらに、以下のように定義される特徴D1またはE1の少なくとも1つが組み合わされている。
A1)第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループと、第1の巻線と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループを備える。
B1)正極性ループと負極性ループのそれぞれは、内部領域と位置合わせされるか1つ以上の内部領域と重なっている全検知素子有効領域EffASENを有し、測定軸方向に垂直な1つ以上の内部領域の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義され、正極性ループと負極性ループの少なくとも半分以上は、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)が0.33*W1±15%の範囲内になるように構成される。
C1)正極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して正極性ループ規定関係(略して正ループ規定関係)に配置されるように構成され、負極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して負極性ループ規定関係(略して負ループ規定関係)に配置されるように構成される。正ループ規定関係は、複数の正極性ループにおける全検知素子有効領域の半分までのシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の正極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、正極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフト比率が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなり、Kは3、5、7、9のうちの1つであることを特徴とする。負ループ規定関係は、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の半分までのシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、負極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフト比率が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなる。
D1)正極性および負極性の各ループは、測定軸方向の最大寸法DSENmaxが最大で0.45*W1である検知素子有効領域EffASENで構成される。
E1)それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応するそれぞれの検知素子セットは、同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第1の分離部と、第1の分離部と測定軸方向に沿って名目上位置合わせされ、第1の分離部と同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第2の分離部との、2つの部分からなる構成であり、第1の分離部と第2の分離部は、第1の分離部と第2の分離部との間の測定軸方向に沿って位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向に沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅であり、それぞれの検知素子セットの正極性ループの有効領域または負極性ループの有効領域はギャップ内に位置していない。
これにより、それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応するそれぞれの検知素子セットは、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっており、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分の両方を低減または抑制するために使用可能である。
上記のように特徴A1、B1、C1を特徴D1および/またはE1の少なくとも1つとともに実施した結果、それぞれの公称空間位相に対応するそれぞれの検知素子セットは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的位置の誤差に寄与する可能性のある潜在的な不要な第3次の空間高調波信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波信号成分の両方を低減または抑制するために使用可能な空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成される。さらに、この構成は、上述の空間フィルタリングを提供すると同時に、以下に詳述するように、長年の有害なレイアウト問題を解決するための斬新な「レイアウトフレンドリー」なループ配置を提供する。第1のタイプのいくつかの実施形態では、K=5のときに特に有利になることがある。第1のタイプの特定の実施形態では、様々な図を参照して以下でより詳細に説明するように、正極性および負極性ループの少なくとも半分以上が、少なくとも0.29*W1、最大で0.31*W1である検知素子平均寸法DSENavgを提供するように構成されていると、有利である。
第1のタイプの様々な実施形態では、特徴A1、B1、C1と、特徴D1および/またはE1のうちの少なくとも1つとを具備する、それぞれの検知素子セットに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、それぞれの検知素子セットに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されてもよい。これにより、製造コストの低いレイアウトが可能になり、また、従来の空間フィルタリング機能やミスアライメントエラー低減機能を提供する方法で発生していたレイアウト上の問題から生じる有害なループ形状の不規則性を排除することができる。従来の技術では、空間フィルタリング性能、ミスアライメントに対するロバスト性、検知素子全体の比較的理想的なループ形状を、経済的な製造レイアウトで実現できる構成はなかった。
第1のタイプのいくつかの実施形態では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、およびD1を具備し、特徴E1を具備しない。いくつかのそのような実施形態では、第1のそれぞれの検知素子セットは、同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第1の隣接部と、第1の隣接部と測定軸方向に沿って名目上位置合わせされており、第1の隣接部と同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第2の隣接部とを備えてもよい。第1および第2の隣接部は、正極性または負極性のループの一方の幅よりも、測定軸方向に沿って互いに近くに位置していてもよく(そのため、本明細書では「隣接」部と呼ばれる)、互いに最も近い第1および第2の隣接部のそれぞれのループは、反対のループ極性を有してもよい。いくつかのそのような実施形態では、電磁誘導式エンコーダは、第1のそれぞれの検知素子セットの公称空間位相と90度異なるそれぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第2のそれぞれの検知素子セットを含んでいてもよい。第2のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、D1、およびE1を具備する。第2のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近いその第1および第2の分離部のそれぞれのループが同じループ極性を有する。第1のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の隣接部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有する。第2のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第2の領域重心を有する。第1および第2のそれぞれの検知素子セットは、それぞれの第1および第2の領域重心が測定軸方向に沿って同じ位置に配置される。このように重心を揃えた実施形態は、検出部とスケールパターンの間の「ピッチ」のずれによる特定のエラーを排除するという点で、ある種の利点を提供すると同時に、経済的なレイアウトと製造を容易にすることができる。いくつかのこのような実施形態では、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される。
上で概説したように、2つの隣接部、または2つの分離部を含む様々な実施形態では、電磁誘導式エンコーダは、M1またはM2のいずれかに従って構成されてもよい。M1)第1の隣接(または分離)部が第1の検出信号を出力するように構成され、第2の隣接(または分離)部が第2の検出信号を出力するように構成され、信号処理部が、第1および第2の信号の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンとの間の相対位置を決定するように構成される。または、M2)第1の隣接(または分離)部が第2の隣接(または分離)部と直列に接続されて複合信号を形成し、直列接続は、複合信号において第1および第2の部分のそれぞれの信号寄与が加算されるように構成され、信号処理部は、複合信号に少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンの間の相対位置を決定するように構成される。隣接部が直列に接続される場合、第1および第2の隣接部は、いくつかの実施形態では、連続した途切れない検知素子セットの一部と解釈することができる。
第1のタイプのいくつかの実施形態では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、およびE1を具備する。いくつかのそのような実施形態では、第1のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近いその第1および第2の分離部のそれぞれのループが同じループ極性を有するように構成されるとよい。いくつかのそのような実施形態は、第1のそれぞれの検知素子セットの公称空間位相と90度異なるそれぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第2のそれぞれの検知素子セットを含んでいてもよい。第2のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、およびE1を具備する。第2のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近いその第1および第2の分離部のそれぞれのループが反対のループ極性を有する。第1のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有する。第2のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第2の領域重心を有する。第1および第2のそれぞれの検知素子セットは、それぞれの第1および第2の領域重心が測定軸方向に沿って同じ位置に配置される。いくつかのこのような実施形態では、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される。いくつかのこのような実施形態では、第1および第2のそれぞれの検知素子セットの両方が、特徴D1およびE1の両方を具備する。
第1のタイプのいくつかの実施形態では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、および少なくとも特徴D1を具備し、特徴C1に従って、隣接する正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域の複数の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向にシフトさせ、同数の隣接する正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向と反対の方向にシフトさせて構成されている。正と負の極性の検知ループを「対」でシフトするこのような構成は、(例えば、正極性ループを第1の方向に、負極性ループを反対の方向にシフトする場合と比較して)精度やミスアライメントに対する堅牢性が向上する可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、第1のそれぞれの検知素子セットの反対側の端部にある隣接するループの2つのそれぞれの対が、それらの2つのそれぞれの対において測定軸に沿って同じ方向にシフトされた正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域を有すると有利である場合がある(例えば、図12を参照して概説されるように)。
上述した第1のタイプの様々な実施形態は、単一のスケールパターントラックを有する「シングルトラック」スケール(例えば、図9、10、11、および12を参照して以下で概説される)で動作するように構成されてもよいし、2つのスケールパターントラックを有する「ツートラック」スケール(例えば、図13を参照して以下で概説される)で動作するように構成されてもよい。様々な「2トラック」の実施形態では、スケールパターンは、測定軸方向に沿って延びる第1および第2のトラックに配置された信号変調素子を備え、磁場生成コイルは、第1のトラックに位置合わせされる第1の内部領域部分と、第2のトラックに位置合わせされる第2の内部領域とを取り囲むように構成される。このような実施形態では、それぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、および特徴D1および/またはE1のうちの少なくとも1つを具備し、それぞれが第1および第2の内部領域部分を横切って測定軸方向に延びて、それぞれ第1および第2の内部領域部分と位置合わせされているかまたは重なっている検知素子の部分に対応する第1および第2の検知素子有効領域部分を定義する導電性ループを備え、それによって、各導電性ループに生じる検出信号の寄与は、その第1および第2の検知素子有効領域部分からのそれぞれの検出信号の寄与を結合する。
このような2トラックの実施形態のいくつかでは、スケールパターンが、波長W1に応じて第1のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分と、波長W1に応じて第2のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分とで構成され、第1のトラックと第2のトラックの周期的配置が(W1)/2だけ相対的にオフセットされている、という構成を用いることが有利な場合がある。磁場生成コイルは、第1の内部領域部分に第1の極性の磁束変化を発生させ、第2の内部領域部分に反対の第2の極性の磁束変化を発生させるように構成される。
もちろん、上に概説した様々な有利な特徴は、任意のエンコーダにおいて複数のそれぞれの空間位相に対応する複数のそれぞれの検知素子セットに使用することができる(例えば、上に概説したように、直交信号、または3相信号を提供するために)。例えば、いくつかのそのような実施形態では、複数のそれぞれの空間位相に対応する複数のそれぞれの検知素子セットはそれぞれ、少なくとも特徴A1、B1、C1を具備してもよく、複数のそれぞれの検知素子セットのうちの少なくとも1つは、少なくとも特徴E1をさらに具備してもよい。このような実施形態は、それにより、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、複数の空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成されてもよい。いくつかのこのような実施形態では、複数のそれぞれの検知素子セットのそれぞれは、測定軸に沿ったその範囲内に位置するその全検知素子有効領域の領域重心を有し、複数のそれぞれの検知素子セットは、それらのそれぞれの領域重心が測定軸方向に沿った名目上同じ場所に位置するように構成されてもよい。このような構成により、以下に詳述するように、特定のミスアライメント誤差を確実に排除することができる。いくつかのこのような実施形態では、複数のそれぞれの検知素子セットのいずれか1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、複数のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される。
本明細書に開示された原理による第2のタイプの様々な実施形態(例えば、図14~17に示される)では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セットは、以下のように定義される特徴A2およびB2を具備する。
A2)第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループと、第1の巻線と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループを備える。
B2)正極性ループの少なくとも半分以上と負極性ループの少なくとも半分以上は、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して所定のループ内シフト関係で配置されているように構成される。ループ内シフト関係は、そのような各ループ内で、それらの検知素子有効領域の半分までのループ内シフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、それらの検知素子有効領域の名目上同じループ内シフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされるような構成を有している。それによって、2つのループ内シフト比率は、互いに対して相対的に(W1)/2Kだけシフトされる。Kは3、5、7、または9のうちの1つである。
上記の特徴(A2、B2)を実施した結果、それぞれの公称空間位相に対応する検知素子セットは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっている。
第2のタイプのいくつかの実施形態では、所定のループ内シフト関係で検知素子有効領域を配置して構成された正極性および負極性ループでは、ループ内シフト比率は、公称でそれらの検知素子有効領域の半分であってもよい。第2のタイプのいくつかの実施形態では、すべての正極性ループおよび負極性ループが、それらの検知素子有効領域が所定のループ内シフト関係で配置された状態で構成されていると、特に有利である場合がある。
第2のタイプのいくつかの実施形態では、少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A2およびB2に従って構成されており、それらの検知素子有効領域に対して名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第1の対と、それらの検知素子有効領域に対して名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第2の対とを備えており、第1および第2の対における合同の形状は、名目上互いに鏡像であり、第1および第2の対の正極性および負極性ループは、互いに隣接して配置される。このような「鏡像対」からなる構成は、いくつかの実施形態において、特定のミスアラインメントに対する精度および/または堅牢性を向上させる可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、第1のそれぞれの検知素子セットが、少なくとも、第1の端部対内でその検知素子有効領域について名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第1の端部対と、第2の端部対内でその検知素子有効領域について名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第2の端部対とを備え、第1の端部対と第2の端部対の間でも名目上合同の形状を有するように、さらに構成されていると有利である。第1および第2の端部対は、第1のそれぞれの検知素子セットの第1および第2の端部に位置していることが理解されよう。
第2のタイプのいくつかの実施形態では、特徴A2およびB2を具備するように構成されたそれぞれの検知素子セットに含まれる各検知素子は、1つまたは複数の内部領域と位置合わせされているかまたは重なっている全検知素子有効領域EffASENを有してもよく、測定軸方向に直交する1つまたは複数の内部領域の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義されてもよい。様々な実施形態において、そのような検知素子の少なくとも半分以上が、様々な図に関して以下でより詳細に説明するように、0.33*W1±15%の範囲内にある、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)を提供するように構成されていると、有利であり得る。このような様々な実施形態では、Kは5、7、または9であってもよい。このような実施形態では、特徴A2およびB2を備えるように構成されたそれぞれの検知素子セットは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成される。いくつかのこのような実施形態では、K=5であると特に有利になることがある。いくつかのそのような実施形態では、特徴A2およびB2を具備するように構成されたそれぞれの検知素子セットに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、それぞれの検知素子セットに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されてもよい。
第2のタイプのいくつかの実施形態では、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A2およびB2に従って構成され、2つの部分からなる構成であることを特徴とする。その2つの部分からなる構成は、同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第1の分離部と、第1の分離部と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされており、第1の分離部と同数の正極性ループおよび負極性ループから構成される第2の分離部とを備える。第1の分離部と第2の分離部は、第1の分離部と第2の分離部との間の測定軸方向に沿って位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向に沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅であり、それぞれの検知素子セットの正極性ループの有効領域または負極性ループの有効領域はギャップ内に位置していない。いくつかのそのような実施形態では、第1のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近いその第1および第2の分離部のそれぞれのループが同じループ極性を有するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、電磁誘導式エンコーダは、第1のそれぞれの検知素子セットの公称空間位相と90度異なるそれぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第2のそれぞれの検知素子セットをさらに備え、第2のそれぞれの検知素子セットは、特徴A2およびB2に従って構成されており、2つの部分からなる構成となっている。その2つの部分からなる構成は、いくつかの実施形態では2つの「隣接部」、または他の実施例では2つの「分離部」のいずれかで構成される。以下の説明では、「分離部」に関連する代替特性を括弧書きで参照しながら、両方のケースを説明する。その2つの部分からなる構成は、同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第1の隣接部(分離部)と、第1の隣接部(分離部)と測定軸方向に沿って名目上位置合わせされており、第1の隣接部(分離部)と同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第2の隣接部(分離部)とを備えてもよい。第1および第2の隣接部(分離部)は、正極性または負極性のループの一方の幅よりも、測定軸方向に沿って互いに近くに(互いから離れて)位置し、互いに最も近い第1および第2の隣接部(分離部)のそれぞれのループは、反対のループ極性を有する。第1のそれぞれの検知素子セットは、測定軸に沿ってその第1および第2の分離部の間に位置する全検知素子有効領域の第1の領域重心を有し、第2のそれぞれの検知素子セットは、測定軸に沿ってその第1および第2の隣接部(分離部)の間に位置する全検知素子有効領域の第2の領域重心を有する。いくつかのこのような実施形態では、第1および第2のそれぞれの検知素子セットは、それぞれの第1および第2の領域重心が測定軸方向に沿って同じ位置に配置されてもよい。このように重心を揃えた実施形態は、検出部とスケールパターンの間の「ピッチ」のずれによる特定のエラーを排除するという点で、ある種の利点を提供すると同時に、経済的なレイアウトと製造を容易にすることができる。いくつかのこのような実施形態では、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、第1または第2のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される。
上で概説したように、2つの隣接部、または2つの分離部を含む第2のタイプの様々な実施形態では、電磁誘導式エンコーダは、M1またはM2のいずれかに従って構成されてもよい。M1)第1の隣接(または分離)部が第1の検出信号を出力するように構成され、第2の隣接(または分離)部が第2の検出信号を出力するように構成され、信号処理部が、第1および第2の信号の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンとの間の相対位置を決定するように構成される。または、M2)第1の隣接(または分離)部が第2の隣接(または分離)部と直列に接続されて複合信号を形成し、直列接続は、複合信号において第1および第2の部分のそれぞれの信号寄与が加算されるように構成され、信号処理部は、複合信号に少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンの間の相対位置を決定するように構成される。隣接部が直列に接続される場合、第1および第2の隣接部は、いくつかの実施形態では、連続した途切れない検知素子セットの一部と解釈することができる。
上述した第2のタイプの様々な実施形態は、単一のスケールパターントラックを有する「シングルトラック」スケール(例えば、図14、15、および16を参照して以下で概説される)で動作するように構成されてもよいし、2つのスケールパターントラックを有する「2トラック」スケール(例えば、図17を参照して以下で概説される)で動作するように構成されてもよい。様々な「2トラック」の第2のタイプの実施形態では、スケールパターンは、測定軸方向に沿って延びる第1および第2のトラックに配置された信号変調素子を備え、磁場生成コイルは、第1のトラックに位置合わせされる第1の内部領域部分と、第2のトラックに位置合わせされる第2の内部領域とを取り囲むように構成される。このような実施形態では、それぞれの検知素子セットは、特徴A2およびB2を具備し、それぞれが第1および第2の内部領域部分を横切って測定軸方向に延びて、それぞれ第1および第2の内部領域部分と位置合わせされているかまたは重なっている検知素子の部分に対応する第1および第2の検知素子有効領域部分を定義する導電性ループを備えてもよい。各導電性ループに生じる検出信号の寄与は、その第1および第2の検知素子有効領域部分からのそれぞれの検出信号の寄与を結合する。
このような2トラックの第2のタイプの実施形態のいくつかでは、スケールパターンが、波長W1に応じて第1のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分と、波長W1に応じて第2のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分とで構成され、第1のトラックと第2のトラックの周期的配置が(W1)/2だけ相対的にオフセットされている、という構成を用いることが有利な場合がある。磁場生成コイルは、第1の内部領域部分に第1の極性の磁束変化を発生させ、第2の内部領域部分に反対の第2の極性の磁束変化を発生させるように構成される。
上述し、様々な図に関して以下でより詳細に説明するように、第2のタイプの多くの異なる実施形態は、特徴A2およびB2を備えるそれぞれの検知素子セットに含まれる各導電性ループまたは導電性ループ部分が、その同じそれぞれの検知素子セットに含まれる他の導電性ループまたは導電性ループ部分の他のそれぞれの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを備えるように構成されてもよい。これは、第2のタイプのいくつかの実施形態では、経済的なレイアウトと製造を容易にするために特に有利であると考えられ、同時に、上で概説し、以下でより詳細に説明するように、空間的にフィルタリングされた検出信号とミスアライメントエラーの抑制の比較的理想的な組み合わせを提供する。従来の技術では、これに匹敵する機能と性能の組み合わせを提供する構成はない。
もちろん、上に概説した第2のタイプの実施形態のいずれかは、上に概説したように、任意のエンコーダにおいて複数のそれぞれの空間位相に対応する複数のそれぞれの検知素子セットに使用することができる(例えば、直交信号、または3相信号を提供するために)。このような実施形態では、複数のそれぞれの空間的位相に対応する複数のそれぞれの検知素子セットのそれぞれが、特徴A2)、およびB2)を具備するように構成され、それにより、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成される。いくつかのこのような実施形態では、複数のそれぞれの検知素子セットのそれぞれは、測定軸に沿ったその範囲内に位置するその全検知素子有効領域の領域重心を有し、複数のそれぞれの検知素子セットは、それらのそれぞれの領域重心が測定軸方向に沿った同じ場所に位置合わせされるように構成される。これは、上で概説し、以下でより詳細に説明するように、他の方法で発生する可能性のある特定のミスアライメントエラーを減らすのに有利な場合がある。上に示したように、いくつかのそのような実施形態では、特徴A2およびB2を具備するそれぞれの検知素子セットに含まれる各導電性ループまたは導電性ループ部分は、その同じそれぞれの検知素子セットに含まれる他の導電性ループまたは導電性ループ部分の他のそれぞれの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、複数のそれぞれの検知素子セットに含まれる各検知素子は、内部領域と位置合わせされるか1つ以上の内部領域と重なっている全検知素子有効領域EffASENを有し、測定軸方向に垂直な1つ以上の内部領域の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義され、複数のそれぞれの検知素子セットに含まれる検知素子の少なくとも半分以上は、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)が0.33*W1±15%の範囲内になるように構成される。それにより、電磁誘導式エンコーダは、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、複数の空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成される。
図1は、スケール部材172およびスライダアセンブリ120を含むハンドツール型ノギス100の組立分解等角図である。スケール部材172は、溝内に配置されたスケール170を含む、略矩形の断面の本尺を備えてもよい。スライダアセンブリ120は、以下により詳細に説明するベース140、電子アセンブリ160、およびカバー150を含むことができる。電子アセンブリ160は、基板162上に配置された検出部167および信号処理部166を含むことができる。弾性シール(図示せず)がカバー150と基板162との間で圧縮されて、電子回路および接続部から汚れを排除するとよい。スケール170、検出部167、および信号処理部166は、協働して、測定軸方向MAに沿った2つの要素間(例えば、スケール部材172とスライダアセンブリ120との間)の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダを提供するように動作する。
様々な実施形態では、スケール170は、(例えば、x軸方向に対応する)測定軸方向MAに沿って延在し、(例えば、既知のプリント回路製造方法を使用して)スケール基板上に作成された信号変調素子SMEを含む信号変調スケールパターン180を含む。本明細書に示す様々な実施形態では、信号変調スケールパターン180は、代替的に、図1に空間波長W1を有するように示されている周期的スケールパターン180と呼ぶことがある。図示された実施形態では、既知のタイプのカバー層174(例えば、厚さ100μm)が(図1において一部を切り取って示されるように)スケール170を覆っている。
様々な実施形態では、ノギス100の機械的構造および動作は、共通に譲渡された米国特許第5,901,458号、および/または米国特許第6,400,138号、および/または米国再発行特許第37490号(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)のものなど、特定の従来の電子ノギスのものと同様であってもよい。スケール部材172の第1の端部付近のジョー176および178、ならびにスライダアセンブリ120上の可動ジョー146および148は、既知の方法で物体の寸法を測定するために使用される。測定された寸法は、電子アセンブリ160のカバー150内に取り付けられたデジタルディスプレイ158上に表示することができる。カバー150はまた、オン/オフスイッチ154と、必要に応じて、電子アセンブリ160に含まれる回路または要素を作動させる他の任意選択の制御ボタンとを含むことができる。スライダアセンブリ120のベース140は、スライダアセンブリ120をスケール170に対して移動させながら、測定のための適切な位置合わせを確実にするために、スケール部材172の嵌合エッジに沿ってそれを案内するように構成された様々な既知の要素を含んでもよい。
図1に示すように、検出部167は、磁場生成コイルFGCと、測定軸方向MAに沿って配置された検知素子セットSETSENとを含むことができる。1つの特定の例示的な例では、検出部167は、スケール170と平行にかつスケール170に面して配置されてもよく、スケール170に面する検出部167の前面は、Z軸方向に沿って0.5mm程度の隙間によってスケール170(および/またはスケールパターン180)から分離されてもよい。検出部167の前面(例えば、その構成導体)は、絶縁コーティングによって覆われてもよい。磁場生成コイルFGCおよび検知素子セットSETSENの構造および動作を以下により詳細に説明する。
図1に示されるノギス100は、コンパクトサイズ、低電力動作(例えば、長いバッテリ寿命のため)、高分解能および高精度測定、低コスト、汚れに対するロバスト性などの比較的最適化された組合せを提供するために、長年にわたって発展した電磁誘導式エンコーダを典型的に実装する様々な用途のうちの1つであることが理解されるであろう。例えば、進化した精度の向上、費用対効果の高い設計と製造という点で、おそらくさらに困難な他のアプリケーションには、中精度および高精度のデジタル「ダイヤル」インジケータがある(これらは、例えば、それぞれ10マイクロメートルおよび1マイクロメートルのオーダーの精度を提供する)。これらのいずれかのアプリケーションにおけるこれらの要因のいずれかにおけるわずかな改善でさえも、非常に望ましいが、特に、様々な用途において商業的成功を達成するために課される設計制約の観点から、これを達成することは困難である。本明細書に開示され、特許請求される原理は、様々なアプリケーションのために、多くのこれらの要因における改善を提供する。
図2は、本明細書の他の場所に開示された様々な原理に関連する背景情報として提示された、第‘389号特許に示された代表的な従来技術の電磁誘導式エンコーダの特定の特徴を概略的に示す平面図である。図2は、さらに、ここに含まれる他の図における同等の要素を示すために使用される同等の参照番号または記号を示すための参照番号を含む。第‘389号特許の開示に基づく以下の省略された説明では、本開示の他の図における同等の参照番号は、第‘389号特許からの元の参照番号に続く括弧内に示される。従来技術の図2に関する完全な説明は、第‘389号特許に見出すことができる。したがって、本開示に関連する第‘389号特許からの教示を含む省略された説明のみが、本明細書に含まれる。本発明者が確認することができる限り、図2を参照して以下に概説する教示は、当技術分野で知られている、および/または市販の電磁誘導式エンコーダで使用される従来の理論および従来の設計手法を表す。
第‘389号特許に開示されているように、図2に示されているようなトランスデューサは、ワイヤまたは巻線の少なくとも2つの実質的に同一平面上の経路を含む。送信巻線102(FGC)は、大きな平面ループを形成する。送信巻線102と実質的に同じ平面にある受信巻線104(SETSEN)は、ジグザグまたは正弦波パターンで矢印によって示されるように一方向に配置され、次いで矢印によって示されるように、巻線がそれ自身を横切って逆方向に配置され、互いの間に交互に配置されるループ106(SEN+)および108(SEN-)を形成する。その結果、受信巻線104(SETSEN)の交互ループ106(SEN+)および108(SEN-)の各々は、隣接するループと比較して異なる巻線方向または極性を有する。送信巻線102(FGC)に交流(変化する)電流を印加することによって、送信巻線は、受信巻線104(SETSEN)のループ106(SEN+)および108(SEN-)を貫通する時間変化する磁界を生成する。
導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME)(そのいくつかは、図2におけるスケールパターン112上の短点線を使用して輪郭が描かれている)を含むスケールまたはスケールパターン112(180)(そのセグメントは、図2において交互の長点線および短点線を示すエッジによって輪郭が描かれている)がトランスデューサの近くに移動されると、送信巻線102(FGC)によって生成される変動磁界は、導電性物体に渦電流を誘導し、これは、次に、トランスミッタ磁界の変動を打ち消す磁場を導電性物体から生じさせる。その結果、受信巻線104(SETSEN)が受信する磁束は、変化または乱され、それによって、受信巻線は、受信巻線104の出力端子V+およびV-で非ゼロEMF信号(電圧)を出力し、これは、導電性物体が正極性「+」ループ106(SEN+)と負極性「-」ループ108(SEN-)との間を移動するにつれて極性を変化させる。
この先行技術の例では、同じ極性の2つのループの位置間(例えば、ループ106(SEN+)の位置と次のループ106(SEN+)の位置との間)の距離は、トランスデューサのピッチまたは波長110(W1)として定義される。そのため、各ループ106(SEN+)および/または108(SEN-)は、測定軸方向300に沿った長さまたは最大寸法0.5*W1を有していることがわかるだろう。上述の導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME))が受信巻線104(SETSEN)に近接し、測定軸300(MA)に沿った位置で連続的に変化する場合、受信巻線(SETSEN)から出力される信号のAC振幅は、ループ106(SEN)および108(SEN)の周期的な極性の変化、ならびに導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME))によって引き起こされる送信磁界の局所的な乱れのために、波長110(W1)で連続的かつ周期的に変化する。
第‘389号特許は、導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME))がループ106および/または108(SEN+、SEN-)よりもはるかに小さいかまたは大きい場合、信号出力の振幅は弱く、高精度を得ることが困難であることを強調している。導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME))が波長110(W1)の約半分に等しい長さを有する場合(すなわち、物体がループ106または108(SEN+またはSEN-)と正確に一致して配置されることが可能である場合)、信号出力は、大きな振幅を有し、したがって、導電性物体の位置に最も敏感である。したがって、(第‘389号特許に記載の)本開示は、好ましくは、波長110(W1)の半分に等しい(x軸方向に沿った)長さを有する導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME))を使用する。
図2に示され上述された送信巻線102および受信巻線104(SETSEN)は、本明細書において検出部として指定された素子(例えば、図1に示された検出部167)の従来技術の実施例の一例であり、スケールまたはスケールパターン112(180)は、本明細書においてスケールパターンとして示された従来技術の実施例の一例である(例えば、図1に示されたスケールパターン180)。
図3は、図1に示されるような電磁誘導式エンコーダにおいて使用可能な検出部367およびスケールパターン380の実施形態の平面図であり、本明細書に開示される原理による信号変調素子SMEが、説明を明確にするために、従来から知られている「あまり望ましくない」既知の検知素子SENと組み合わせて示されている。また、図3は、本明細書で開示された原理による信号変調素子SMEおよび検知素子SENの特徴を特徴づけることができる様々な寸法を紹介している。本明細書に開示されている原理に従ったより好ましい検知素子SENのサイズと形状について、図6、7、および8を参照して以下にさらに詳細に説明する。本明細書に開示されている原理に従って、検知素子SENの位置および/または形状を決めるための望ましい代替的な構成および/または所定の関係について、図9~13、および14~17を参照して以下にさらに説明する。
検出部367およびスケールパターン380の様々な特徴は、特に信号変調素子SMEに関して、本明細書に開示され、特許請求される様々な設計原理を満たすように構成される。図3のいくつかの番号が付された構成要素3XXは、図1および/または図2の同様の番号が付された構成要素1XXに対応し、および/または同様の動作または機能を提供し得るものであり(例えば、検出部367は、検出部167と同様の動作または機能を提供する)、別段の指示がない限り、同様に理解され得ることを理解される。
図3は、一部は具象的であり、一部は概略的であるとみなすことができる。検出部367およびスケールパターン380の拡大部分は、図3の下部に示されている。図3では、以下に説明する様々な要素は、それらの形状または輪郭によって表現され、特定の幾何学的関係を強調するために互いに重ね合わされて示されている。以下の説明および引用する文献に基づいて当業者に明らかであるように、様々な動作ギャップおよび/または絶縁層を提供するべく、必要に応じて、z軸方向に沿って異なる平面に位置する様々な加工層上に様々な要素が存在してもよいことを理解されるであろう。本開示の図面を通して、1つまたは複数の要素の図示されたx軸、y軸、および/またはz軸の寸法は、明確にするために誇張されていることがあるが、それらは、本明細書で開示され、特許請求される様々な寸法設計原理および関係と矛盾することを意図していないことが理解されるであろう。
スケールパターン380の図示された部分は、ドット塗りされ破線の輪郭で示された第1のタイプの信号変調素子SMEを含む。周期的スケールパターン380は、空間波長W1を有する。この実施形態では、第1のタイプの信号変調素子SMEは、(例えば、プリント回路基板上に製造された領域によって形成されるような、または導電性基板から延在する隆起領域によって形成されるような)複数の導電性プレートを備える。しかし、他の実施形態では、それらは、以下でより詳細に説明するように、(例えば、プリント回路基板上のトレースによって形成されるような)複数の導電性ループを含むことができる。いずれの場合も、空間波長W1に対応する測定軸方向MAに沿って配置される。スケールパターン380は、一般に、スケール(例えば、図1に示されるスケール170)上に実装される。図3に示す実施例では、ほとんどの信号変調素子SMEのy方向の端部は、(例えば、第‘335号特許、第‘943号特許、および第‘199号特許に記載されているように、)磁場生成コイルFGCの第1の伸長部EP1および第2の伸長部EP2の下に隠れている。図1に示すように、スケールパターン380は、動作中に検出部367に対して移動することが理解されるであろう。
図3の例では、スケールパターン380は、y軸方向に沿って公称スケールパターン幅寸法NSPWDを有し、測定軸方向MAに沿って周期的に(例えば、x軸方向に対応して)配置された概ね矩形の信号変調素子SMEを備える。しかし、より一般的には、スケールパターン380は、パターンがx軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特性を有し、検出部367内の検知素子セットSETSENの検知素子SEN(例えば、SEN14)内で生じる位置依存検出信号(いくつかの実施形態では、検出信号成分とも呼ばれる)を提供することを条件として、代替の信号変調素子構成を含む様々な代替の空間変調パターンを含むことができる。
様々な実施形態では、検出部367は、スケールパターン380に近接して取り付けられ、スケールパターン380に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。当業者には理解されるように、検出部は、磁場生成コイルFGCと、様々な実施形態において様々な対応する信号処理スキームと組み合わせて使用される様々な代替構成をとることができる検知素子セットSETSENとを含む。図3は、検知素子SEN1~SEN24の単一の代表的なセットを示し、これは、この実施形態では、直列に接続された検知ループ素子(あるいは、検知コイル素子または検知巻線素子と呼ばれる)を備える。この実施形態では、隣接するループ要素は、PCBの様々な層上の導体の構成によって接続され(例えば、フィードスルーによって接続され)、既知の方法(例えば、図4に示すような)に従って、反対の巻線極性を有するように接続される。すなわち、第1のループが磁界の変化に正極性の検出信号寄与で応答する場合、隣接するループは負極性の検出信号寄与で応答する。正極性の検出信号寄与を有するループは、本明細書ではSEN+検知素子と呼ぶことができ、負極性の検出信号寄与を有するループは、本明細書の様々な文脈ではSEN-検知素子と呼ぶことができる。この実施形態では、検知素子は、それらの検出信号または信号寄与が加算されるように直列に接続され、「加算された」検出信号が、検出信号出力接続SDS1およびSDS2で信号処理部(図示せず)に出力される。
図3は、視覚的混同を回避するために1組の検知素子を示しているが、様々な実施形態では、異なる空間位相位置で1つまたは複数の(例えば、SETSENと同様の)追加の検知素子セットを提供するように(例えば、直交信号を提供するように)検出部を構成することが有利であることが当業者には理解されよう。しかし、本明細書で説明される検知素子の構成は、例示に過ぎず、限定するものではないことを理解されたい。一例として、個々の検知素子のループは、例えば、米国特許第9,958,294号明細書に開示されているように、いくつかの実施形態では、対応する信号処理部に個々の信号を出力することができる。より一般的には、様々な既知のスケールパターンおよび信号処理スキームと組み合わせて使用するために、様々な既知の検知素子の構成を、本明細書に開示され、特許請求される原理と組み合わせて、様々な実施形態で使用することができる。
検知素子セットSETSENおよび磁場生成コイルFGCのセットの様々なメンバーは、基板(例えば、図1の基板162)上に固定されてもよい。磁場生成コイルFGCは、x軸方向に沿った公称コイル面積長さ寸法NCALDと、y軸方向に沿った約YSEPの公称コイル面積幅寸法とを有する内部領域INTAを囲むものとして説明することができる。内部領域INTAは、ほぼ図示されるように、動作中、信号変調素子SMEの周期的スケールパターン380と位置合わせされる。図示の実施形態では、磁場生成コイルFGCは、内部領域INTAを取り囲む単一の巻線を含む。しかし、様々な他の実施形態では、磁場生成コイルFGCは、複数の巻きを含むことができ、および/または蛇行して、スケールパターン380と位置合わせされた内部領域INTAを動作可能に取り囲む(例えば、動作可能に部分的に取り囲む)とともに、参考文献に開示されているように、他のスケールパターンを含むスケールトラックと位置合わせされた他の内部領域を動作可能に取り囲む(例えば、動作可能に部分的に取り囲む)。いずれにしても、動作時には、磁場生成コイルFGCは、コイル駆動信号に応答して内部領域INTAに磁束変化を発生する。図示の実施形態では、第1の接続部分CP1および第2の接続部分CP2を使用して、信号処理部(例えば、図1の信号処理部166)からのコイル駆動信号を磁場生成コイルFGCに接続することができる。
検知素子セットSETSEN(例えば、検知素子SEN1~SEN24のセット)は、x軸方向(例えば、測定軸方向MAに対応する)に沿って配置され、基板(例えば、図1の基板162)上に固定される。図3に示すように、検知素子セットのメンバーは、磁場生成コイルFGCで囲まれた内部領域INTAと位置合わせされるか、または内部領域INTAと重なる検知素の部分(すなわち、検知素子のうち、INTAの寸法YSEPと位置合わせされているか、または重なっている部分)に対応する検知素子有効領域EffASENを定義する導電性ループまたは導電性ループ部分(例えばSEN1~SEN24)で構成される。様々な実施形態において、内部領域INTAと位置合わせされる、または重なる検知素子有効領域EffASENは、測定軸方向と直交するy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENと、測定軸方向(x軸方向)に沿った最大寸法DSENmaxとを有するものとして説明することができる。図3に示す特定の実施形態では、有効y軸寸法EffYSENはYSEPに等しい。これは、検知素子SENのそれぞれが、YSEPを超えるy軸方向に沿った最大検知素子寸法YSENMAXを有し、したがって、その有効領域EffASENが寸法YSEP全体に及ぶからである。測定軸方向の最大寸法DSENmaxは、公称0.5*W1である。しかし、これらの特徴は、この実施形態に特有のものであり、限定的なものではなく、図5B、図6、図7、および図8を参照して以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態においては任意に選択できるもの(または望ましくないもの)であってもよい。
測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)によって、検知素子有効領域EffASENをさらに特徴づけることが有用である。図3に示す特定の実施形態では、検知素子有効領域EffASENがx軸方向に垂直な平行辺を持つため、DSENavgはDSENmaxと等しくなる。しかし、図5B、図6、図7、および図8を参照して以下で詳しく説明するように、すべての実施形態においてそうである必要はない。
検知素子セットSETSENの検知素子は、スケールパターン380の隣接する信号変調素子SME(例えば、1つ以上の信号変調素子SME)によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。信号処理部(例えば、図1の信号処理部166など)は、検出部367から入力された検出信号に基づいて、スケールパターン380に対する検知素子セットSETSENの位置を決定するように構成されてもよい。一般に、磁場生成コイルFGCおよび検知素子セットSETSENなどは、参考文献に記載されているような既知の原理(例えば、電磁誘導式エンコーダ)に従って動作してもよい。
様々な実施形態では、磁場生成コイルFGCおよび検知素子SENは、(例えば、プリント回路基板の異なる層に配置されるように)互いに絶縁される。そのような一実施形態では、検知素子SENの最大y軸方向検知素子寸法YSENMAXは、公称コイル面積幅寸法YSEPよりも大きいことが有利であり、重なり寸法として定義される量だけ伸長部EP1またはEP2の内側縁部を越えて延びる。さらに、磁場生成コイルFGCは、y軸方向に沿った伸長部EP1およびEP2のトレース幅が、対応する重なり寸法よりも大きくなるように有利に構成されてもよい。様々な実施形態では、伸長部EP1およびEP2は、プリント回路基板の第1の層上に製造することができ、検知素子SENは、少なくとも重なり寸法の近傍で、第1の層とは異なる層を含むプリント回路基板の1つまたは複数の層内に製造された導電性ループを含むことができる。しかし、このような実施形態は例示的なものであり、以下にさらに説明するように、限定的なものではない。
先に示したように、いくつかの実施形態では、磁場生成コイルFGCは、プリント回路基板上に作製された1つまたは複数の導電性トレースを含むことができ、検知素子セットSETSENの検知素子SENは、プリント回路基板上に作製された導電性トレースによって形成された磁束検知ループまたはループ部分を含むことができる。図1に関して上述したように、様々な実施形態では、検出部367は、様々なタイプの測定機器(例えば、ノギス、マイクロメータ、ゲージ、リニアスケールなど)に含まれてもよい。例えば、検出部367をスライド部材に固定し、スケールパターン380を測定軸がx軸方向に一致する柄または本尺に固定してもよい。このような構成では、スライド部材は、ビームまたは桁部材上に移動可能に取り付けられ、x軸方向およびy軸方向に沿って延在する平面内で測定軸方向MAに沿って移動可能であり、z軸方向は平面に直交する。
図3の下部に示される検出部367およびスケールパターン380の拡大断面に関して、それは、磁場生成コイルFGCの部分によって境界付けられた、検知素子セットSETSENの3つの例示的な検知素子SEN14、SEN15、およびSEN16と、2つの例示的な信号変調素子SMEとを示す。この実施形態では、検知素子は、回路基板の第1および第2の層上に、それらの間に絶縁体の層を挟んで製造されたトレースによって形成することができる。「第1層」トレースは実線で示され、「第2層」トレースは破線で示されている。小さな矢印は、磁場生成コイルFGCから生じる磁界の変化によってトレース内に誘導される電流の方向を示す。検知素子SEN14は、その関連する電流方向のために「SEN+」正極性ループとして特徴付けることができ、隣接する検知素子SEN15は、その関連する「反対極性」電流方向のために「SEN-」負極性ループとして特徴付けることができることが分かる。次の隣接する検知素子SEN16は、再び、「SEN+」正極性ループとして特徴付けられてもよく、以下同様である。
DSMEは、(第1のタイプの)信号変調素子SMEの「有効領域」EffRSMEの測定軸方向MAに沿った平均寸法である。信号変調素子SMEの有効領域EffRSMEは、ここでは、内部領域INTAのy軸寸法と位置合わせされるか、または重なり合う。有効領域EffRSMEは、検知素子SENにおいて一次信号変調効果を生成する。図3に示す例では、これは信号変調素子SMEのうち、y軸方向に沿った寸法YSEPのスパンと一致する部分であることがわかるだろう。様々な実施形態では、信号変調素子SMEの平均寸法DSMEは、信号変調素子SMEの有効領域EffRSMEの面積を有効領域EffRSMEのy軸方向寸法で割ったものとみなすことができる。信号変調素子SMEの他の構成のための寸法DSMEのさらなる例が、図5A、図5B、図6、図7、および図8に示されている。
図2を参照して先に概説したように、検知素子SENのような検知素子は、0.5*W1である測定軸方向に沿った最大寸法DSENmaxを有することが従来から行われている。そのような寸法は、様々な実施形態において有利であり得る。さらに、図2を参照して前述したように、信号変調素子SMEのような信号変調素子が0.5*W1である平均幅寸法DSMEを有することも従来から行われている。上述した従来の先行技術の設計方法とは逆に、本発明者は、図3に示すように、信号変調素子SMEが0.5*W1よりも大幅に大きい平均幅寸法DSMEを有するように構成されている場合、特定の性能特性が向上する可能性があることを見出した。例えば、いくつかの実施形態では、DSMEが少なくとも0.55*W1であり、かつ、最大で0.8*DSENである場合に有利であり得る。いくつかのそのような実施形態では、DSMEが少なくとも0.66*W1、または0.7*W1またはそれ以上である場合に有利であり得る。その理由については、図4を参照して後述する。
さらに、本発明者は、さもなければ現れるであろうある種の誤差を軽減するために、様々なアプリケーションで最高の精度を得るためには、それらの検知素子平均寸法DSENavgが0.5*W1よりも大幅に小さい範囲に入るように構成された従来にない検知素子SENと組み合わせて使用することが最も望ましいことをさらに見出した。例えば、様々な実施形態において、検知素子平均寸法DSENavgが少なくとも0.285*W1であり、かつ、最大で0.315*W1であることが望ましい。本発明のこの側面は、図6、図7、および図8を参照して以下でより詳細に説明される。上記のような従来とは異なる特徴の組み合わせにより、従来技術の設計原理による構成と比較して、有利な検出信号特性を提供する(例えば、より良好な信号対雑音(S/N)比を提供する、および/または検出信号における誤差成分を低減する)。
図4は、このような電磁誘導式エンコーダにおける信号変調素子SMEの動作に関連し得る磁束および磁束結合特性の定性的表現を含む、図3に示される検出部367およびスケールパターン380の一部の拡大等角図である。図4は、様々な実施形態において、信号変調素子SMEが、少なくとも0.55*W1であり、かつ、最大で0.8*W1である平均幅寸法DSMEを有するように構成されることが有利であり得る理由に関連する様々な考察を示している。
図4は、前に概説したように、磁場生成コイルFGCによって提供される、発生した変化磁界GCMFに対する信号変調素子SMEの応答を示す。図4に示すように、磁場生成コイルFGCに印加されたコイル駆動信号電流Igenは、信号変調素子SMEに誘導結合する変化磁界GCMFを発生する。信号変調素子SMEは、図4に導電性ループとして概略的に示されており、結合された変化磁界GCMFに応答して、誘導電流Iindが信号変調素子SME内に生成され、これは、磁束線(図4の矢印を含む磁束線)によって表される誘導磁界を生成する。図示された磁束線は、中心磁束線CFLによって表される中心磁束CFと、信号変調素子SMEの導電性ループを取り囲むように示された、閉じた周辺の磁束線MFL1~MFL3によって表される周辺の磁束MFとを表している。
一般的に言えば、検知素子セットSETSENの検知素子は、上で概説したように表される誘導された磁束変化に応答する信号(または信号寄与)を生成することが理解されるであろう。特に、生成された信号は、その内部ループ領域を介して効果的に結合される磁束の量に応答して、図4の検知素子SEN14において電流Isenseとして表される信号寄与または信号成分を生成する。図4に示されるように、種々の実施において、検出部367およびスケールパターン380は、ほぼ平面であってもよく(例えば、それらは、ほぼ平面基板を含んでもよく、またはほぼ平面基板上に形成されてもよい)、検出部367は、周期的スケールパターン380とほぼ平行に、且つ互いの導体間に公称動作ギャップGapZを有して取り付けられるように構成されてもよい。例えば、様々な実施形態では、公称動作ギャップGapZは、実際の組立および位置合わせ公差を容易にするために、少なくとも0.075*W1とすることができる。いくつかのそのような実施形態では、公称動作ギャップは、少なくとも0.15*W1であってもよい。図4に示すように、中心磁束CFは、一般に、実用的な範囲の動作ギャップにわたって検知素子SEN14を介して効果的に結合される。しかし、動作ギャップのために、周辺の磁束MFの少なくとも一部は、検知素子SEN14を介して効果的に結合されないことがある。例えば、図4で誇張されているように、動作ギャップGapZの比較的大きな寸法では、周辺の磁束線MFL1~MFL3のいずれも検知素子SEN14を介して結合されず、電流Isenseに寄与しない。その結果、図4に定性的に示す構成では、検知素子SEN14によって検知される信号変調素子SMEの有効幅Weff(図4に破線の棒線で示す)は、結合された中心磁束線CFLのみに対応する。図4からわかるように、例えば、検知素子SEN14を介して周辺の磁束線MFL3を結合するために、動作ギャップGapZを減少させたとしても、有効幅Weffは、信号変調素子SMEの平均寸法DSMEよりも小さいままである。
したがって、図2を参照して上記で概説した従来技術の教示に反して、信号変調素子SMEは、所望の有効幅Weffよりも大きい平均寸法DSMEを有することが有利であり、これにより、測定軸方向に沿ってその検知素子SENを通過する際に所望の最大信号変動および/または所望の信号プロファイル対変位を生成する。例えば、いくつかの実施形態では、寸法Weffが約0.5*W1であることが望ましい場合があり、これは、前述の説明によれば、実際の動作ギャップGapZを使用する場合、信号変調素子SMEの平均寸法DSMEが、いくつかのそのような実施形態では、少なくとも0.66*W1、または0.7*W1、またはそれ以上であることが望ましい場合があることを意味する。
信号変調素子SMEが、図4に示されるような導電性ループではなく導電性プレートである場合、「同心」渦電流の分布が、生成された変化磁界GCMFに応答して、そのような導電性プレートにおいて生成され得ることが理解されるべきである。これらの渦電流は、図4に示す誘導電流Iindに動作的に匹敵する。導電性プレートが図4に示す導電性ループSMEと同じ平均寸法DSMEを有する場合、その渦電流の分布した「同心」パターンのために、それらの「等価電流位置」は、導電性プレートの縁部の内側のどこかにあり、その結果、同様のサイズの導電性ループに関連するものよりもさらに小さい有効幅Weffが得られる。その結果、検出部367とスケールパターン380との間に比較的大きな動作ギャップを使用する場合に平均寸法DSMEの値を比較的大きくすることに加えて、導電性プレート型信号変調素子SMEが、上記で概説した望ましい範囲のより大きな端部に向かう平均寸法DSMEを有することが特に望ましい場合がある。例えば、本発明者は、0.7*W1から0.8*W1の間の平均寸法DSMEが、いくつかのそのような実施形態において有利であることを見出した。
さらなる考察として、望ましい信号プロファイル対変位に関して、信号プロファイルに含まれる望ましくない空間高調波は、一般的に言えば、信号変調素子SMEの形状とその有効幅Weff、および検知素子SENの形状と幅、およびそれらの間の動作ギャップに依存することを理解すべきである。例えば、上述のような検出部とスケールの構成では、有効幅Weffが約0.5*W1の場合、偶数次の空間高調波が検出信号からほとんど除去される。しかし、0.33*W1などに対応する奇数次の空間高調波が残ることがある。US2020/0003581として公開された米国特許出願第16/021,528号では、0.66*W1の有効幅Weffを提供するように信号変調素子SMEを構成することで、0.33*W1に対応する奇数次の空間高調波を抑制する傾向があることが示唆されている。また、本発明者は最近になって、第‘708号特許において、信号変調素子を、その中央に幅1/6*W1のスロットがあるかないかに関わらず、実際の幅が5/6*W1(約0.83*W1)になるように構成すると、0.33*W1に対応する奇数次の空間高調波を抑制する傾向があることが示唆されていることを知った。これは、上述の有効幅Weffの説明を考慮していないため、第‘708号特許に記載されているようには動作しない可能性があることに注意されたい。いずれにしても、これらの構成では、実際には期待される、あるいは望まれるレベルの空間フィルタリングを実現できなかった。これまでに知られている最先端の電磁誘導式エンコーダではすでに高い精度が達成されているため、これらの構成では、期待または予測されるレベルの空間フィルタリングは提供されておらず、この点に関する最先端技術を望ましく改善または進歩させることはできなかった。
本明細書に開示されているように、本発明者は、上述した空間フィルタリングの欠点を改善するために、上述した信号変調素子SMEの構成と組み合わせて使用することができる検知素子SENの特定の構成を発見した。検知素子SENの形状の様々な望ましい構成は、図6、7、および8を参照して以下にさらに詳細に説明される。また、検知素子SENの位置および/または形状のための所定の関係に従った様々な望ましい構成について、図9~13、および14~17を参照して以下に詳細に説明される。しかし、それに先立ち、図5Aおよび図5Bに示す例を参照して、その説明で使用される特定の寸法および用語の定義または解釈を明確にする。図5Aおよび図5Bは、本明細書に開示された原理に従ってそれらの特徴を特徴づけることができる特定の例示的な寸法の追加例を含む、図3に示されたものに類似したそれぞれの信号変調素子および検知素子の実施形態の特定の側面を模式的に示す平面図である。
図5Aおよび図5Bは、図3を参照して前に概説した寸法および用語DSENmax、DSENavg、DSME、EffRSME、EffASEN、およびEffYSENのさらなる例を示す、それぞれの電磁誘導式エンコーダの実施形態を概略的に示す平面図である。また、寸法YSEGについても紹介および説明がなされている。図5Aおよび図5Bのいくつかの番号付けされた構成要素5XXは、図3の同様の番号付けされた構成要素3XXと同様の動作または機能に対応し、かつ/またはそれらを提供することができ、別段の指示がない限り、同様に理解され得ることが理解されるであろう。
図5Aおよび図5Bは、図5Aの信号変調素子SMEおよび図5Bの検知素子の非直線境界プロファイルに適用される、空間波長W1および前述の寸法および用語を示している。先に示した信号変調素子SMEの有効領域EffRSMEは、信号変調素子SMEの領域またはエリア内の破線で示した境界内にあり、内部領域INTAと位置合わせされ、または重なっており、ドット塗りにより示されている。DSMEは、信号変調素子SMEの「有効領域」EffRSMEの測定軸方向MAに沿った平均寸法である。様々な実施形態では、平均寸法DSMEは、信号変調素子SMEの有効領域EffRSMEの面積をその有効領域EffRSMEのy軸方向寸法で割ったものとみなすことができる。便宜上および定義の一貫性のために、導電性プレート型の信号変調素子SMEの場合、関連する寸法はSMEのエッジに対応することがあり、導電性ループ型信号変調素子SMEの場合、関連する寸法は導体の中央線に対応することがある。図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、磁場生成コイルFGCの内部領域INTAの寸法YSEPが、信号変調素子SMEの-y軸方向の寸法よりも小さく、その中に含まれているため、その有効領域EffRSMEのy軸方向の寸法は、寸法YSEPと等しい。しかし、これは、(例えば、図7に示すように)全ての実施例において当てはまる必要はなく、有効領域EffRSMEの以前の定義は、その有効領域EffRSMEのy軸方向の寸法がYSEPの寸法よりも小さい場合を含む、より一般的なものである。
先に概説した検知素子SENの有効領域EffASENは、検知素子SENの領域内の実線で示された境界内にあり、内部領域INTAと位置合わせされ、または重なっており、斜線塗りにより示されている。先に概説したように、DSENmaxは、検知素子SENの有効領域EffASENのx軸方向または測定軸方向MAに沿った最大検知素子幅寸法である。DSENavgは、平均的な検知素子の幅寸法であり、DSENavg=EffASEN/EffYSENと定義される。前述したように、EffYSENは、検知素子の有効領域EffASENのy軸方向の寸法である。図5Aおよび図5Bに示す特定の実施形態では、有効y軸寸法EffYSENはYSEPに等しい。これは、検知素子SENのそれぞれが、YSEPを超えるy軸方向に沿った最大検知素子寸法を有し、したがって、その有効領域EffASENが寸法YSEP全体に及ぶからである。図5Aに示す特定の実施形態では、有効領域EffASENがx軸方向に垂直な平行辺を有し、YSEPにまたがる寸法YSEGを有するため、DSENavgはDSENmaxと等しくなる。YSEGは、便宜上、検知素子SENを規定する導体のセグメントのうち、最大寸法DSENmaxで互いに離れて配置され、y軸方向に沿って直線的に延びるセグメントのy方向の寸法として定義される。図5Bに示す特定の実施形態では、有効領域EffASENは、y軸方向に沿って中央部に寸法DSENmaxを持つ構成となっているが、その側部は、有効領域EffASENの上部および下部に向かって狭くなるように先細りまたは湾曲している。そのため、図示されたようにDSENavgはDSENmaxよりも多少小さくなる。利便性と定義の一貫性のために、検知素子SENのDSENavg=EffASEN/EffYSENを決定する際、関連する寸法はその定義する導体の中央線に対応するものとしてもよい。図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、DSENmaxは公称0.5*W1である。ただし、(例えば、以下の図8に示されるように)この値は限定的なものではない。図5Aおよび図5Bに示された検知素子SENの構成の寸法DSENavgは、図6、図7、および図8を参照して以下で概説される原則によると好ましいものではなく、DSENavgの定義または定量を明確にするためにのみ提示されている。図5Bに示す寸法CCSENは、x軸方向に沿った検知素子SENの中心間の間隔である。様々な実施形態において、検知素子SENの形状または寸法DSENavgに関わらず、CCSENが0.5*W1であると有利である場合がある。
図5Aおよび図5Bは、また、W1からDSMEを引いたものに等しい寸法DSPCを示す。第1の方法について説明すると、寸法DSPCは、第1のタイプの信号変調素子SME間の「非信号変調空間」に対応するものとして説明することができる。しかしながら、周期的スケールパターンの様々な他の実施形態に適用される第2の方法をより一般的に説明すると、寸法DSPCは、第2のタイプの信号変調素子に対応するものとして説明することができ、第2のタイプの信号変調素子は、測定軸方向に沿って第1のタイプの信号変調素子SMEの間に配置される。第2のタイプの信号変調素子は、第1のタイプの信号変調素子SMEと比較して、磁束変化に対して影響が比較的少ないように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、第2のタイプの信号変調素子は、非導電性材料の領域を含む。いくつかのそのような実施形態では、第2のタイプの信号変調素子は、非導電性スケール基板の領域を含み、第1のタイプの信号変調素子SMEは、非導電性スケール基板上に製造および/または固定された導体を含む。別の例として、いくつかの実施形態では、第2のタイプの信号変調素子は、スケールパターンを形成するために使用される導電性材料の「より深く凹んだ」領域を含むことができ、第1のタイプの信号変調素子SMEは、導電性材料の「凹んでいない」領域を含むことができる。
ここで、検知素子の信号から3次空間高調波の誤差成分(0.33*W1の周期)をフィルタリングする議論に戻ると、先に述べたように、本発明者は、上述した空間フィルタリングの欠点を改善するために、上述した信号変調素子SMEの構成と組み合わせて使用することができる検知素子SENの特定の構成を発見した。従来の技術では、様々な手段で検知素子の信号から3次空間高調波の誤差成分をフィルタリングすることが知られている。一つのアプローチは、理論的にはW1に対応する基本空間周波数のみを含む正弦波状に検知素子を構成する方法である。しかし、実用上の様々な配慮や製造上の制限、組み立てやギャップのばらつきなどにより、3次空間高調波の誤差成分を完全には抑制できない。もう一つのアプローチは、0.33*W1だけ離れた空間位相に検知素子セットSETSENを配置し、得られた信号を処理して3次空間高調波の誤差成分を除去する方法である。この方法は比較的効果的であるが、多くのアプリケーションでは、実用上の理由から、検知素子セットSETSENから直交信号(つまり、0.25*W1離れた空間的な位相の信号)を提供することが望ましく、そのため、一組の検知素子SETSENを0.33*W1離れた空間的な位相で配置することは(例えば、レイアウト上の制約や干渉のため)困難であるか、あるいは現実的ではないかもしれない。
上で概説したアプローチに固有の問題および欠陥を解決するために、本発明者は、特に有利な範囲の検知素子平均寸法DSENavgを提供する検知素子SENの構成を、上で概説した信号変調素子SMEの構成と組み合わせて使用して、3次空間高調波の誤差成分を実質的にフィルタリングおよび/または抑制することができることを発見した。驚くべきことに、いくつかのエンコーダの検出部および/または検知素子の構成では、特に有利な範囲に0.33*W1が含まれていないが、これは明らかに理論的な考察に基づいて予想されることである。例えば、本明細書で開示されているように、実用的な範囲の波長W1と動作ギャップに対して、少なくとも0.285*W1、最大で0.315*W1の検知素子平均寸法DSENavgを提供するように構成された検知素子SENが、少なくとも0.55*W1であり、かつ、最大で0.8*W1の平均寸法DSMEを有する信号変調素子SMEと組み合わせて使用される場合、いくつかの検出部および/または検知素子の構成にとって特に有利である。そのような検知素子SENの様々な望ましい構成が、図6、図7、および図8を参照して以下にさらに詳細に説明される。
図6、7、および8は、検知素子SENおよび信号変調素子SMEを備えるスケールパターン680の様々な実施形態を示す平面図である。開示された実施形態は、図9~12を参照して本明細書に開示された検知素子の構成原理と互換性があり、または独立して使用することができる。いずれにしても、開示された実施形態は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダにおける検出部667(および/または767、または867)およびスケールパターン680に使用するのに適している。また、図6、7、および8は、検知素子SENの重要な特徴を特徴づける可能性のある様々な寸法の例を含んでいる。検知素子SENの導体のレイアウトを理解しやすくするために、以下の図では、導体セグメントにおける電流の流れを示す矢印、および/またはループの内部にある「+」および/または「-」の記号、および/またはラベルの接尾語(+)または(-)で、ループの極性が示される。図6、7、および8におけるいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素は、図5Aおよび図5Bの同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様の動作を提供することができ、別段の指示がない限り、同様に理解され得ることが理解されるであろう。したがって、以下の説明では、検知素子SENと信号変調素子SMEの特定の相違点のみを強調して説明する。
図6に示す実施形態は、図5Aおよび図5Bに示すものに類似した信号変調素子SMEを含み、(この特定の実施形態では)約0.75*W1である平均寸法DSMEを有する有効領域EffRSMEを有している。
検知素子SENは、第1の加工層上の導体(実線で表示)と、第2の加工層上の導体(破線で表示)を含み、これらは既知の方法(例えば、引用した文献に記載されている方法)に従ってフィードスルーFTを介して接続される。磁場生成コイルFGCは、本実施形態では、フィードスルーFTと絶縁するために、第3の加工層に作製されている。図6に示すように、検知素子SENの導体は、短いy軸方向寸法YSEGを有し、x軸方向に沿ってDSENmax=0.5*W1だけ離間しているy軸方向セグメントと、y軸方向セグメントからフィードスルーFTに向かってテーパ状になっているセグメントとを含む。関連する台形状の有効領域EffASEN(図6において斜線の塗りつぶしで示されている)は、y軸方向寸法EffYSENを有しており、これはこの実施形態ではYSEPと等しい。これに類似した検知素子の形状および信号変調素子SMEを使用する様々な実施形態において、意外なことに、DSENavg=EffASEN/EffYSENが少なくとも0.285*W1であり、かつ、最大で0.315*W1であるように検知素子SENが構成されている場合が有利であると判断された。いくつかの実施形態では、DSENavgは、少なくとも0.29*W1であり、かつ、最大で0.31*W1であれば特に望ましい場合がある。DSENmaxの特定の選択に対して、YSEGの寸法、並びにフィードスルーおよび隣接する導体の位置を適切に設定することで、様々な値のDSENavgを提供することができる。いくつかのそのような実施形態では、y軸方向寸法YSEGは、少なくとも0.15*W1とするとよい。図示されている特定の実施形態では、DSENmaxは公称0.5*W1であるが、必要に応じて、DSENmaxが0.5*W1未満となるように、寸法YSEGの近傍および隣接する検知素子SENとの間に重複するx軸方向セグメントを含むように、様々な層の導体を構成することが可能である。
図7は、図6(並びに図5Aおよび図5B)の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様の動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、以下の説明では、検知素子SENと信号変調素子SMEの特定の相違点のみを強調して説明する。図7に示す実施形態は、図6に示すものに類似した信号変調素子SMEを含み、(この特定の実施形態では)約0.75*W1である平均寸法DSMEを有する有効領域EffRSMEを有している。
検知素子SENは、図6に示したものと類似しており、第1の加工層上の導体(実線で表示)と、第2の加工層上の導体(破線で表示)を含み、これらは既知の方法(例えば、引用した文献に記載されている方法)に従ってフィードスルーFTを介して接続される。しかし、フィードスルーFTは内部領域INTA内に配置されている。これにより、本実施形態では、磁場生成コイルFGCを第1および/または第3の加工層上に作製することができ、検出部767の製造コストを低減できるという利点がある。図6に示した実施形態に比べて検知素子SENの有効領域EffASENが小さくなり、信号強度が低下する可能性があるという欠点がある。しかし、アプリケーションによっては、これが望ましいトレードオフになることもある。有効領域EffASEN(図7において斜線の塗りつぶしで示されている)は、y軸方向寸法EffYSENを有しており、これはこの実施形態ではYSEPよりも小さい値となっている。これに類似した検知素子の形状および信号変調素子SMEを使用する様々な実施形態において、意外なことに、DSENavg=EffASEN/EffYSENが少なくとも0.285*W1であり、かつ、最大で0.315*W1であるように検知素子SENが構成されている場合が有利であると判断された。いくつかの実施形態では、DSENavgは、少なくとも0.29*W1であり、かつ、最大で0.31*W1であれば特に望ましい場合がある。DSENmaxの特定の選択に対して、YSEGの寸法、並びにフィードスルーおよび隣接する導体の位置を適切に設定することで、様々な値のDSENavgを提供することができる。図示されている特定の実施形態では、DSENmaxは公称0.5*W1であるが、必要に応じて、DSENmaxが0.5*W1未満となるように、寸法YSEGの近傍および隣接する検知素子SENとの間に重複するx軸方向セグメントを含むように、様々な層の導体を構成することが可能である。同様の形状の実施形態では、DSENmaxが0.5*W1以下の場合、DSENavgが0.285*W1以上になるように、YSEGの寸法を少なくとも0.14*EffYSEN以上にする必要がある場合がある。
図8は、図6(並びに図5Aおよび図5B)の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様の動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、以下の説明では、検知素子SENと信号変調素子SMEの特定の相違点のみを強調して説明する。図8に示す実施形態は、図6に示すものに類似した信号変調素子SMEを含み、(この特定の実施形態では)約0.75*W1である平均寸法DSMEを有する有効領域EffRSMEを有している。
検知素子SENは、図6に示したものと類似しており、第1の加工層上の導体(実線で表示)と、第2の加工層上の導体(破線で表示)を含み、これらは既知の方法(例えば、引用した文献に記載されている方法)に従ってフィードスルーFTを介して接続される。磁場生成コイルFGCは、本実施形態では、フィードスルーFTと絶縁するために、第3の加工層に作製されている。図8に示すように、検知素子SENの導体は、(内部領域INTAの寸法YSEPよりも長く、かつそれを横切る)長いy軸方向寸法YSEGを有し、x軸方向に沿ってDSENmaxだけ離間しているy軸方向セグメントと、これらのセグメントをフィードスルーFTに結合するセグメントとを含む。関連する矩形状の有効領域EffASEN(図8において斜線の塗りつぶしで示されている)は、y軸方向寸法EffYSENを有しており、これはこの実施形態ではYSEPと等しい。本実施形態では、DSENavg=DSENmaxである。これに類似した検知素子の形状および信号変調素子SMEを使用する様々な実施形態において、意外なことに、DSENmaxおよびDSENavgが少なくとも0.285*W1であり、かつ、最大で0.315*W1であるように検知素子SENが構成されている場合が有利であると判断された。いくつかの実施形態では、DSENmaxおよびDSENavgは、少なくとも0.29*W1であり、かつ、最大で0.31*W1であれば特に望ましい場合がある。図8に示す実施形態では、様々な位置ずれ誤差に起因して発生する可能性のある不要な信号の変化に対する感度が低くなる可能性がある。
上記の信号変調素子SMEの寸法DSMEの有利な範囲については、信号強度を考慮して許容される最大の実用的なギャップを使用する多くの実用的なアプリケーションでは、DSMEの最も有利な値は、少なくとも0.66*W1、または0.7*W1、またはそれ以上である場合がある。例えば、様々な実施形態において、DSMEの値を0.75*W1とすることが特に有利であることが確認されている。しかし、これまでの議論で示唆されているように、これは、特定の波長W1、特定の動作ギャップと動作周波数、および信号変調素子SMEの特定の形状と構造にある程度依存する可能性がある。
上記の検知素子SENの寸法DSENavgの有利な範囲については、信号強度を考慮して許容される最大の実用的なギャップおよび上で概説されたDSMEの最も有利な値(例えば、DSME=0.75*W1)を使用する多くの実用的なアプリケーションでは、少なくとも、図6~9を参照して上で概説したものと同様の検知素子の形状および信号変調素子SMEを使用する実施形態については、最も有利な組み合わせとなるDSENavgの値は、0.29*W1から0.31*W1の範囲内とするとよい。このような実施形態では、DSENavg=0.30*W1が特に有利であることが確認されている。しかし、これまでの議論で示唆されているように、これは、特定の波長W1、特定の動作ギャップ、特定の寸法DSME、および信号変調素子SMEの特定の形状と構造にある程度依存する。
信号変調素子セットSETSENからの信号における3次空間高調波の誤差成分は、上記に開示された範囲内の寸法の選択に極めて敏感であることが理解されたい。例えば、寸法DSENavgは、製造された寸法の実用的な変動や、信号変調素子セットSETSENに関連する動作ギャップの変動に対して、信号の3次空間高調波の誤差成分を排除する(reject)ように選択されることが望ましい。驚くべきことに、上述したものと同様の検知素子の形状および信号変調素子SMEを使用する場合、DSENavgに対して0.3*W1の値を提供するように構成された1つの実施形態において、3次空間高調波の誤差成分に関連する誤差成分は、DSME=0.72*W1からDSME=0.79*W1の範囲にわたって、信号変調素子SENの寸法DSMEの変動に対して一様に鈍感であることを本発明者は発見した。一方、DSENavgをこの値から10%程度(例えば、0.27*W1や0.33*W1に)変更した場合、DSME=0.72*W1からDSME=0.79*W1の範囲の検知素子SENの変動に対して、3次空間高調波の誤差成分が10倍以上に増加し、許容できない。
開示されている寸法DSENavgの有利な範囲が、「単純に」期待される値である0.33*と大きく異なる理由については、スケールの位置に依存した検出部のインピーダンス変動による誤差成分がDSENavgの影響を受けているという説明が考えられる。このような位置依存のインピーダンス変動は、1%のオーダーである可能性があり、従来の技術では知られておらず、あるいは、考慮されていなかった。本明細書で開示されているDSENavgの有利な範囲は、これらのインピーダンス変動を「調整」または「チューニング」し、その信号成分の寄与が「エイリアシング」されて3次空間高調波の誤差成分の他のソースと組み合わされたときに、その効果の合計が3次空間高調波の誤差成分を打ち消すようにすることが可能である。このような微妙な効果や関連するデザイン特性は、従来の技術では考慮されていなかった。図6~8を参照して上記で概説したものと同様の検出部および信号変調素子の実施形態について、DSENavgの特に有利な値は、上記で検証および特定されているが、そのような値は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、他の検出部や信号変調素子の実施形態では、DSENavgの値の有利な範囲が異なる場合がある。これは、上述したように、検出部のスケール位置依存のインピーダンス変動から生じる誤差成分が異なるためと考えられる。したがって、図9~17を参照して以下に開示される第1のタイプまたは第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された特定の検出部は、0.285*W1~0.315*W1の範囲外にある特定のDSENavgの値を使用することが有益である場合があることが理解されるべきである。例えば、DSENavgの値が0.33*W1±15%の大きな範囲内であれば、以下に示す第1のタイプまたは第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された様々な検出部において、不要な第3次の空間高調波検出信号成分を十分に低減または抑制するのに有用な場合がある。特に、0.33*W1±15%の範囲内のDSENavgの値を用いて、不要な第3次の空間高調波検出信号成分を十分に低減または抑制するように構成され、さらに、以下に示す第1のタイプまたは第2のタイプの所定の関係原理に従って、不要な第5次(または第7次、または第9次)の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するように構成されている場合、不要な空間高調波を抑制するために、これまでにないレベルの空間フィルタリングが提供される。さらに、これまでにないレベルの空間フィルタリングは、より複雑でなく、より高性能で、より経済的に製造可能な検出部のレイアウトを用いて実現される。
図9~13は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部X67(例えば、967、1367など)で使用するための空間的にフィルタリングされた信号を、検知素子SETSENが、それぞれ互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターンX80(例えば、980、1380など)とともに提供するように配置されている、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成または配置された検知素子セットSETSENの様々な例示的構成の特定の側面を示す、部分的に具体的で、部分的に概略的な、平面図であり、それらの検知素子SETSENを配置するために使用される第1のタイプの所定の関係原理を特徴付けることができる様々な寸法を含んでいる。本明細書で使用される約束によれば、(以下でより詳細に説明する)第1のタイプの所定の関係原理に準拠する実施形態を、略して第1のタイプの実施形態と呼ぶことがある。
図9~13を参照して以下に概説する原理は、検出信号内の潜在的な第5次(または第7次、または第9次)の高調波成分を空間的にフィルタリングするために検知素子SENを配置するのに有利であり、上に概説した原理に従って検出信号内の潜在的な第3高調波成分を空間的にフィルタリングするように形成された検知素子SENと組み合わせて使用すると、特に有利である。しかし、図9~13を参照して以下に概説される、潜在的な高調波誤差成分を空間的にフィルタリングするために検知素子SENを配置するための原理は、そのように限定されるものではないことを理解すべきである。より一般的には、これらの原理は、様々な他の検知素子SENおよび信号変調素子SME(例えば、先行技術で知られている)と組み合わせて使用することができ、依然として大きな利点を提供し得る。
従来、検知素子SENは、先に説明したように波長W1に応じて測定に沿って周期的に配置されていた。特に、検知素子SENの正極性ループは、典型的には中心間間隔W1、またはW1の倍数で一様に配置され、検知素子SENの負極性ループは、典型的には中心間間隔W1、またはW1の倍数で一様に配置される。さらに、正極性ループと負極性ループの位置は、測定軸方向に沿って(W1)/2だけ互いに一様にオフセットされているのが一般的である。このような位置や間隔は、信号強度や、検出信号に含まれる潜在的な空間高調波(2次、4次など)を空間的にフィルタリングするために最適であると考えられる。しかし、本発明者は、さもなければ現れる可能性のある特定の追加的な誤差成分を軽減するための空間フィルタリングを提供するべく、様々な用途で最高の精度を得るためには、以下でより詳細に説明するように、検知素子SENが異なる位置および/または間隔を使用することが望ましい場合があることを見出した。
図9は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を提供するために、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第1の例示的な構成である、第1の空間位相Ph0に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0(略してSETSENとも呼ばれる)の特定の側面を、第1の互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン980とともに、本明細書に開示されている原理による検知素子構成を特徴づける様々な寸法を含めて示す平面図である。図9は、図2、3、および8の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様の動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、以下の説明では、検出部967の検知素子SENの位置についての特定の相違点のみを強調して説明する。
簡単に説明すると、検知素子SENは、その一般的な形状とその有効領域EffASEN、およびその寸法DSENavgの点で、図8に示したものと類似している。図9に示した特定の実施形態では、DSENavgは約0.3*W1であるが、先に説明したように、これは例示的なものであり、第1のタイプの様々な実施形態において限定的なものではない。検知素子SENは、第1の加工層上の導体(実線で表示)と、第2の加工層上の導体(破線で表示)を含み、これらは既知の方法(例えば、引用した文献に記載されている方法)に従ってフィードスルーFT(例えば、磁場生成コイルFGCから絶縁されている内層フィードスルー)を介して接続される。図9のいくつかの場所では、異なる層の導体の「非ループ」部分が互いに位置合わせされており、単一の導体層のみが示されている。隠れた「位置合わせされた」導体の存在は、当業者であれば推察できるであろう。磁場生成コイルFGCは、本実施形態では、フィードスルーFTおよびそれに接続された導体と絶縁するために、第3の加工層に作製されている。検知素子SENの導体のレイアウトを理解しやすくするために、以下の図では、導体セグメントにおける電流の流れを示す矢印、および/またはループの内部にある「+」および/または「-」の記号、および/またはラベルの接尾語(+)または(-)で、ループの極性が示される。
図9に暗に示されているように、スケールは、測定軸方向(MA)に沿って延びており、信号変調素子SMEを備え空間波長W1を有する周期的スケールパターン980を含んでいる。検出部967は、測定軸方向MAに沿ってそれらの間で相対移動するように、周期的スケールパターン980に近接して取り付けられるよう構成される。検出部967は、磁場生成コイルFGCと、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セットSETSENとを含む。図9に示す特定の実施形態では、それぞれの検知素子トセッSETSENは、2つのサブセットまたは部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph0sub2を備え、以下でより詳細に説明するように、それぞれの公称空間位相Ph0に対応している。磁場生成コイルは、動作中の信号変調素子SMEの有効領域EffRSENと位置合わせされた内部領域INTAを取り囲んでいる。各検知素子セットSETSENは、測定軸方向に沿って配置され、基板に固定される。検知素子セットのメンバーは、内部領域INTAと位置合わせされるか、または内部領域と重なる検知素子の部分に対応する検知素子有効領域EffASENを定義する導電性ループまたは導電性ループ部分で構成される。検知素子セットSETSENは、スケールパターン980の隣接する信号変調素子SMEによって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成されており、その公称空間位相Ph0に対応している。信号処理部は、本明細書で先に概説したように、コイル駆動信号を提供するように検出部に動作可能に接続されてよく、検出部から入力される検出信号に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対的位置を決定する。
図9~13を参照して以下に開示されるように、空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成されている第1のタイプの様々な実施形態において、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットSETSENは、組み合わされる特徴A1、B1およびC1を具備し、さらに、以下のように定義される特徴D1またはE1の少なくとも1つを組み合わせる。
A1)第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループと、第1の巻線と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループを備える。
B1)正極性ループと負極性ループのそれぞれは、内部領域と位置合わせされるか1つ以上の内部領域と重なっている全検知素子有効領域EffASENを有し、測定軸方向に垂直な1つ以上の内部領域の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義され、正極性ループと負極性ループの少なくとも半分以上は、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)が0.33*W1±15%の範囲内になるように構成される。
C1)正極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して正極性ループ規定関係(略して正ループ規定関係)に配置されるように構成され、負極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して負極性ループ規定関係(略して負ループ規定関係)に配置されるように構成される。正ループ規定関係は、複数の正極性ループの全検知素子有効領域の半分までのシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の正極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、正極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフト比率が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなり、Kは3、5、7、9のうちの1つであることを特徴とする。負ループ規定関係は、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の半分までのシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、負極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフト比率が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなる。
D1)正極性および負極性の各ループは、測定軸方向の最大寸法DSENmaxが最大で0.45*W1である検知素子有効領域EffASENで構成される。
E1)それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応するそれぞれの検知素子セットは、同数の正極性ループおよび負極性ループで構成される第1の分離部と、第1の分離部と測定軸方向に沿って名目上位置合わせされ、第1の分離部と同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第2の分離部との、2つの部分からなる構成であり、第1の分離部と第2の分離部は、第1の分離部と第2の分離部との間の測定軸方向に沿って位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向に沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅であり、それぞれの検知素子セットの正極性ループの有効領域または負極性ループの有効領域はギャップ内に位置していない。
上記の特徴A1、B1、およびC1、並びに少なくとも特徴D1またはE1の少なくとも一方の組み合わせを実施した結果、それぞれの公称空間位相に対応する検知素子セットSETSENは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および第K次の空間高調波検出信号成分の両方を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっている。第1のタイプのいくつかの実施形態では、様々な図に関して以下でより詳細に説明するように、K=5のときに特に有利になることがある。第1のタイプの特定の実施形態では、正極性および負極性ループSENの少なくとも半分以上が、少なくとも0.29*W1、最大で0.31*W1である検知素子平均寸法DSENavgを提供するように構成されていると有利な場合があるが、この範囲は特定の実施形態に対してのみ例示的なものであり、限定的なものではない。
図9~13(およびさらに以下の図14~17)は、それぞれ、波長W1によって分離されたそれぞれの空間位相Ph0(公称空間位相Ph0nomとも呼ばれる、および/または、指示される)のいくつかのインスタンスの位置を示す「基準グリッド」を含み、上述した原理に従ってそれぞれの検知素子セットSETSENがどのように構成されるかをより明確に示している。また、各検知素子SENの有効領域EffASENの中心位置は、同様の目的で、破線の中心線CLSENの位置で示される。
図9に示す実施形態のさらなる議論に戻ると、図9に示す基準グリッドおよび中心線のインジケータに基づいて、図9に示す検知素子セットSETSENが、上で概説した特徴A1、B1、C1およびD1を実装していることが、図9の精査によって理解されるであろう。簡単な説明は以下の通りである。
図9に示す実施形態では、それぞれの検知素子セットSETSENは、それぞれの公称空間位相Ph0に対応する2つの同様のサブセットまたは部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph0sub2を備える。それぞれの検知素子セットSETSENは、第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループ(ループの内部に「+」で示される)と、第1の巻線と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループ(ループの内部に「-」で示される)とを含む。図9に示す特定の実施形態では、2つのサブセットまたは部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph0sub2は、個別に、同数の正極性および負極性のループを含んでいる。
検知素子SETSENの正極性ループの全検知素子有効領域のうち、正極性ループSEN2およびSEN4に位置する第1の半分(すなわち、それらの検知素子有効領域EffASENの合計の第1の半分)は、公称空間位相Ph0との関係で(W1)/4Kだけ測定軸方向MAに沿って第1の方向にシフトされ、正極性ループの全検知素子有効領域EffASENのうち、正極性ループSEN5およびSEN7に位置する第2の半分は、公称空間位相Ph0nomとの関係で、(W1)/4Kだけ測定軸方向MAに沿って第1方向とは反対方向にシフトされている。その結果、正極性ループ領域の全検知素子有効領域の第1および第2の半分は、測定軸方向に沿って相対的に互いに(W1)/2Kだけシフトする。
検知素子SETSENの負極性ループの全検知素子有効領域EffASENのうち、負極性ループSEN1およびSEN3に位置する第1の半分は、公称空間位相Ph0nomからの(W1)/2のオフセットとの関係で、(W1)/4Kだけ測定軸方向MAに沿って第1の方向にシフトされ、負極性ループの全検知素子有効領域EffASENのうち<負極性ループSEN6およびSEN8に位置する第2の半分は、公称空間位相Ph0nomからの(W1)/2のオフセットとの関係で、(W1)/4Kだけ測定軸方向MAに沿って第1方向とは反対方向にシフトされている。その結果、負極性ループ領域の全検知素子有効領域の第1および第2の半分は、測定軸方向に沿って相対的に互いに(W1)/2Kだけシフトする。図9に示す特定の実施形態では、図示されたシフトはK=5に対応しており、これは例示的なものであり、特徴C1の説明で既に示したように限定的なものではない。
図9に示す特定の実施形態では、検知素子平均寸法DSENavg(=EffASEN/EffYSEN)は、0.33*W1±15%の範囲に収まるように図示されており、これは、原理または特徴B1に関するこれまでの説明に準拠している。
上記のように特徴A1、B1、およびC1を実施した結果、図9に示されるそれぞれの公称空間位相Ph0に対応するそれぞれの検知素子セットSETSENは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的位置の誤差に寄与する可能性のある潜在的な不要な第3次の空間高調波信号成分を(上記のB1に基づいて)低減または抑制し、また、潜在的な不要な第K次の空間高調波信号成分を(上記のC1に基づいて)低減または抑制するために使用可能な空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成される。
特徴D1の実施形態に関して、図9に示す実装では、検知素子最大寸法DSENmaxは、検知素子平均寸法DSENavgと同じであり、約0.33*W1である。これは、特徴D1の要件である0.45*W1よりも小さい。図9に示す実施形態における特徴D1の有用性の一側面は、図示の実施形態では総量(W1/10)だけ互いにシフトしている検知素子SEN4およびSEN5のレイアウトによって示される。検知素子SEN4およびSEN5の最大寸法DSENmaxが広ければ、それらの導体のレイアウトがそれらの間で重なり、および/または干渉し、フィードスルーの配置を容易にするため、および/または様々な導体間に絶縁を提供するために、レイアウトの調整および/または検知素子の不規則性 または歪み(例えば、第‘130号特許に描かれているようなもの)が必要になることが理解されるであろう。第‘130号特許は、「ピッチ」のずれ(Z軸を中心とした検出部またはスケールの回転)によるエラーを排除する目的で、位置合わせされた重心を提供することを目的としている。そのソリューションは、W/2の公称最大寸法を持つ検知素子を使用してその教示を実装するため、多数の問題のあるレイアウト調整と検知領域の不規則性(例えば、図8に示されているような)を必要とする。しかし、このようなレイアウトや検知領域の不規則性は、細心の注意を払っても、製造コスト、精度、ミスアライメントへの感度などに悪影響を及ぼすことがある。対照的に、図9に示す構成で特徴D1を実施することにより、検知素子セットSETSENの検知素子SENのいずれもが、他の検知素子SENの検知素子有効領域と重なったり干渉したりする検知素子有効領域EffASENを持たず、本明細書に開示された原理に従って検知素子SENをシフトさせたにも関わらず、レイアウトの不規則性、検知素子の不規則性、およびそれらに関連する有害な効果が回避される。
図9に示す特定の実施形態では、検知素子セットSETSENは、2つの部分からなる構成で構成されており、検知素子セットSETSENは、複数(2つ)の正極性ループ(SEN1およびSEN3)と同数(2つ)の負極性ループ(SEN2およびSEN4)とを備える第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1、および複数(2つ)の正極性ループ(SEN5およびSEN7)と同数(2つ)の負極性ループ(SEN6およびSEN8)を備える第2の隣接部SETSEN-Ph0sub2を備える。第1および第2の隣接部は、正極性または負極性のループの一方の幅よりも、測定軸方向に沿って互いに近くに位置しており(そのため、本明細書では「隣接」部と呼ばれる)、互いに最も近い第1および第2の隣接部のそれぞれのループ(すなわち、SEN4とSEN5)は、反対のループ極性を有する。しかし、このような実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。2つの部分からなる構成の代替例については、以下で詳しく説明される。検知素子セットSETSENの領域重心CEN-SEETSEN-Ph0については、図10および図11を参照して後述する。
様々な2つの部分からなる構成に関する信号処理については、第1および第2の部分(例えば、さらに概説するように、2つの隣接部、または2つの分離部)を含む様々な実施形態において、電磁誘導式エンコーダは、以下に説明する方法M1またはM2のいずれかに従って構成されてもよい。
方法M1)第1の部分は第1の検出信号(例えば、検出信号出力接続SDS1およびSDS2間の電圧信号V0)を出力するように構成され、第2の部分は、第2の検出信号(例えば、検出信号出力接続SDS1’およびSDS2’間の電圧信号V0’)を出力するように構成され、信号処理部は、第1および第2の信号の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンとの間の相対位置を決定するように構成される。
方法M2)第1の部分が第2の部分と直列に接続されて複合信号を形成し、直列接続は、複合信号において第1および第2の部分のそれぞれの信号寄与が加算されるように構成され、信号処理部は、複合信号に少なくとも部分的に基づいて、検出部とスケールパターンの間の相対位置を決定するように構成される。
M2による直列接続の1つの例示的な実施形態を、図9に示す整列トレースゾーンATZを参照して説明することができる。特に、整列トレースゾーンATZに図示されたフィードスルーを排除し、整列トレースゾーンATZに接触する検知素子SEN4およびSEN5の「実線」トレースを、それらがともに配される金属層上で、整列トレースゾーンATZを横切るトレースによって接続してもよい。同様、整列トレースゾーンATZに接触する検知素子SEN4およびSEN5の「破線」トレースを、それらがともに配される金属層上で、整列トレースゾーンATZを横切るトレースによって接続してもよい。2つの層にある2つの接続用のトレースが互いに位置合わせされていれば、ループ領域は発生せず、大きな信号の乱れを引き起こすことはない。このような直列接続が使用される場合、一対の検出信号出力接続SDS1およびSDS2、またはSDS1’およびSDS2’(例えば、図9および/または本明細書の他の図に示されている)のうちの1つが省略されてもよく、図示されている他の「コネクションレス」検知素子ループと同様の方法で、その関連する検知素子ループ上の関連する接続点が、導体の導通のために再構成されてもよい。このタイプの直列接続は、その隣接部SETSEN-Ph90sub1とSETSEN-Ph90sub2の間(つまり、それぞれの検知素子SEN4とSEN5の間)の直列接続を示す図16に示されている。隣接部が直列に接続される場合、いくつかの実施形態では、結果として得られる検知素子セットSETSENは、連続した途切れない検知素子セットとして視覚的に表される場合がある(例えば、図16に示されるように)。このような場合、そのような検知素子セットSETSENは、いくつかの文脈では、単一の連続したセットとして解釈されることがあり、あるいは代替的に、いくつかの文脈では、連続した途切れない検知素子セットの外観を作り出すために接続された第1および第2の隣接部として解釈されることがあることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、検出信号出力接続部SDS1またはSDS2のうちの適切な1つと、検出信号出力接続部SDS1’またはSDS2’のうちの適切な1つとの間に直列接続を設けることができる。直列接続の他の代替構成は、当技術分野の通常の当業者には明らかであろう。上述した2つの部分からなる信号処理および/または直列接続の選択肢は、図9~17のいずれかに示された互換性のある2つの部分からなる構成のいずれにも一般的に適用可能であることが理解されよう。図10に示した検知素子セットのそれぞれにおいて、SEN4とSEN5の間の整列トレースゾーンATZに直列接続が提供された場合、それらはそれぞれ、上述したように、視覚的に連続した途切れない検知素子セットとして表され、および/または、みなされる可能性があることが理解されるであろう。このような場合、図10の各検知素子セットは、特徴A1、B1、C1およびD1を具備し、特徴E1は具備しないと考えられることが理解されるであろう。
図10は、第2の空間位相Ph90(図10ではPh90nomと示されている)に対応する第2の検知素子セットSETSEN-Ph90(以下のいくつかの文脈では略してSETSENと呼ぶ)のある側面を示す平面図である。これは、図9に示した第1の検知素子セットSETSEN-Ph0と(その空間位相を除いて)同様または同一に構成されており、したがって、ここでは詳細な説明はしない。図10に示される検知素子SENの符号は、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の検知素子の中心に配置されている。これは、図9に図示された第1の空間位相Ph0に対応する第1の検知素子セットの非強調表現に重ねて示されており、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の空間位相が90度異なる動作クアドラチャ構成を示している。図10は、図9の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、以下の説明では、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の間の特定の関係のみを強調して説明する。
図10に示すように、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の空間位相に対して90度異なる(すなわち、90度右にシフトした)対応する空間位相を有する。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90はそれぞれ、視覚的な乱雑さを避けるために図10およびそれ以降の他の図では省略されているが、図9に示されているものに類似した検出信号出力接続SDS1およびSDS2、ならびにSDS1’およびSDS2’を含むことが理解されるであろう。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、一緒に動作することで、非常に高精度な位置測定を行うために、上述の原理に従って高度な空間フィルタリングを含む直交信号を出力する。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の両方は、特徴A1、B、C1およびD1を具備しており、したがって、図9を参照して上述した様々な利点を提供する。図10を見れば、これらの特徴の実施形態に関連するレイアウトおよび性能の利点が、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の重畳された「クアドラチャ・レイアウト」にも及ぶことが理解されるであろう。すなわち、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、それらの導体が互いに干渉することなく、また、検知素子SENの形状に不規則性や差異を必要とすることなく、容易に所望の位相関係でレイアウトされることが理解されるであろう。したがって、先に概説したレイアウトと性能上の利点が、図10に示すように完全に動作するクアドラチャ型のエンコーダのレイアウトで提供される。
図10に示した実施形態には、アプリケーションによっては理想的ではない側面がある。特に、図10に示すように、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90が実質的に類似または同一であり、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0または第2の検知素子セットSETSEN-Ph90のいずれも特徴E1を備えないため、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の領域重心CEN-SETSEN-Ph90は、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の領域重心CEN-SETSEN-Ph0に対して90度の空間位相シフト(つまり、W1/4)でずれている。第‘130号特許に教示されているように、2つの異なる空間位相に対応する2つの異なる検知素子セットの領域重心がずれている場合、それらの関連する検出部(例えば、検出部967)またはスケール(例えば、スケールパターン980)のピッチずれは、それらのそれぞれの動作ギャップおよび信号強度の違いをもたらす。このようなピッチのずれは、様々な用途において、静的な場合もあれば、動的な場合もある。いずれにしても、2つの直交信号(または3つの三相信号)間の信号強度の静的または動的な違いは、より複雑な信号処理(例えば、望ましくないほど高価な、および/または、遅い信号処理)を必要とするか、望ましくない測定誤差の原因となる。図11Aに示す実施形態は、これらの潜在的な懸念を扱ったものである。
図11Aは、第2の空間位相Ph90(図11AではPh90nomと示されている)に対応する第2の検知素子セットSETSEN-Ph90(以下のいくつかの文脈では略してSETSENと呼ぶ)の特定の側面を示す平面図である。それは、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第2の例示的な構成である。それは、図9に図示された第1の空間位相Ph0に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0とともに、図11Aに示されている。説明のために、個々の特性および測定軸方向に沿った互いに相対的な位置合わせをよりよく示すべく、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、図11Aにおける垂直方向に互いにオフセットされている。これらは、測定軸方向に沿って動作可能なクアドラチャ構成で配置されており、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の空間位相は90度ずつ異なっている。実際のエンコーダでは、それらは「y軸」方向に沿っては互いにオフセットされていないことが理解できるだろう。むしろ、図10に示した第1および第2の検知素子セットと同様に、これらは互いに重なり合っている。
図11Aは、図9および/または図10の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、図11Aについての以下の説明では、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の構成における特定の相違点のみを強調して説明する。
図11Aに示す第2の検知素子セットSETSEN-PH90の実施形態と、図10に示す実施形態との違いは、以下のように簡単に説明することができる。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、図9および図10の説明から変更されていないとみなすことができる。第2部分SETSEN-Ph90sub2の検知素子SEN5~SEN8は、図10の説明から変更されていないとみなすことができる。第1部分SETSEN-Ph90sub1の検知素子SEN1~SEN4は、図10の説明から変更されている。特に、図10におけるそれらの位置に対して、図11Aに示す実施形態では、それらのレイアウトは(W1)/2だけ左に移動しており、出力信号接続は現在、最右端の検知素子SEN4に設けられており、図10と図11の間の概念的な連続性のために、正極性ループのトレースに関連付けられたままになっている。以上の説明によれば、信号出力と位置の関係では、図10および図11に示すように、第1部分SETSEN-Ph90sub1の動作に違いはない。また、図11Aに示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、特徴A1、B、C1およびD1を備えており、したがって、図10を参照して上述した様々な利点を提供する。
重要なのは、図11Aに示す実施形態には、ピッチのずれを含む可能性のあるアプリケーションに対して、図10に示す実施形態よりも理想的な一面があることである。特に、図11Aに示すように、第1部分SETSEN-Ph90sub1が、図10の位置に対して、(W1)/2だけ左にシフトしているため、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の全体的な領域重心CEN-SETSEN-Ph90は、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の領域重心CEN-SETSEN-Ph0と位置合わせされるように、(W1)/4だけ左にシフトしていることになる。第‘130号特許に教示されているように、2つの異なる空間位相に対応する2つの異なる検知素子セットの領域重心が位置合わせされている場合、それらのそれぞれの動作ギャップおよび信号強度は、静的または動的なピッチのずれによって同様の影響を受け、これにより、ピッチのずれによって生じる可能性のある誤差の大部分が排除される。
図11Aに示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態は、図10を参照することなく、以下のように包括的に説明することができる。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、第1の空間位相Ph0に対応し、特徴A1、B1、C1、およびD1を具備する(特徴E1は具備しない)。それは、複数(2つ)の正極性ループ(SEN1およびSEN3)と同数(2つ)の負極性ループ(SEN2およびSEN4)とを備える第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1、および複数(2つ)の正極性ループ(SEN5およびSEN7)と同数(2つ)の負極性ループ(SEN6およびSEN8)を備える第2の隣接部SETSEN-Ph0sub2を備える、2つの部分からなる構成で構成される。第1および第2の隣接部は、正極性または負極性のループの一方の幅よりも、測定軸方向に沿って互いに近くに位置しており(そのため、本明細書では「隣接」部と呼ばれる)、互いに最も近い第1および第2の隣接部のそれぞれのループ(すなわち、SEN4とSEN5)は、反対のループ極性を有する。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、第2の公称空間位相Ph90に対応し、特徴A1、B1、C1、D1、およびE1を具備する。それは、以下のように特徴E1を具備するように構成される。それは、正極性ループ(SEN2、SEN4)と負極性ループ(SEN1、SEN3)が同数(2つ)で構成された第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされており、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と同数(2つ)の正極性ループ(SEN5、SEN7)および負極性ループ(SEN6、SEN8)を備える第2の分離部SETSEN-Ph90sub2を備える、2つの部分からなる構成で構成される。第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と第2の分離部SETSEN-Ph90sub2は、第1の分離部と第2の分離部との間の測定軸方向に沿って位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向に沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅である。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の正極性ループ有効領域EffASENまたは負極性ループ有効領域EffASENは、ギャップ内には位置しない。
第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、以下のようにさらに説明することができる。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph0の公称空間位相Ph0とは90度異なる公称空間位相Ph90に対応している。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、その第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2のうち、互いに最も近い部分(例えば、SEN4とSEN5)のそれぞれのループが、同じループ極性を有するように構成されている。第1の検知素子セットは、その第1および第2の隣接部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有する。第2のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2の間に測定軸に沿って位置する全検知素子有効領域の第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph90を有する。第1および第2の検知素子セットは、それぞれの第1の領域重心CEN-SETSEN-Ph0および第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph90が測定軸方向に沿って同じ位置に配置される。
前述のように、2つの異なる空間位相に対応する2つの異なる検知素子セットの領域重心が位置合わせされている場合、それらのそれぞれの動作ギャップおよび信号強度は、静的または動的なピッチのずれによって同様の影響を受け、これにより、ピッチのずれによって生じる可能性のある誤差の大部分が排除される。1つの有用な観点によれば、第2の検知素子セットSETSEN-Ph90が特徴E1を具備しているため、複数の検知素子セットSETSENの領域重心が使用可能な構成で整列するように検知素子セットSETSENの領域重心をその公称空間位相に対して所望の関係で再配置するために、特定のループまたは検知素子SENを再配列および/または再配置することを容易にする(またはその副産物である)ギャップ(すなわち、SEN4とSEN5の間に図示されているギャップ)を含むことが理解されるべきである。
図11Aを見れば、第‘130号特許に開示されている領域重心整列技術とは対照的に、図11Aに示されている第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、それらの導体が互いに干渉することなく、また、検知素子SENの形状に不規則性や差異を必要とすることなく、容易に所望の位相関係で、それらの領域重心が整列した状態で、レイアウトされることが理解されるであろう。したがって、図11Aを参照して示された特徴A1、B1、C1、D1およびE1の組み合わせを使用することで、図9および図10を参照して説明したレイアウトおよび性能の利点が、完全に動作する直交エンコーダのレイアウトで提供され、さらに整列した領域重心に関連する利点も提供される。
図11Aに示す実施形態では、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0または第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループ(例えば、各検知素子SEN)は、第1または第2の検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されることが理解されよう。図9、10、および11Aを参照して上記で概説した第1のタイプの実施形態は、先行技術の空間フィルタリング検出器(例えば、第‘130号特許に開示されているものなど)よりも複雑でなく、高性能であり、かつ経済的に製造できる検出部のレイアウトを使用して、複数の不要な空間高調波信号成分を抑制する前例のないレベルの空間フィルタリングを提供することができることが理解されるであろう。
図11Bは、第1の空間位相Ph0(図11BではPh0nomと示されている)に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0(以下のいくつかの文脈では略してSETSENと呼ぶ)の特定の側面を示す平面図である。それは、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第3の例示的な構成である。それは、図11Aに図示された第2の空間位相Ph90に対応する第2の検知素子セットSETSEN-Ph90とともに、図11Bに示されている。説明のために、個々の特性および測定軸方向に沿った互いに相対的な位置合わせをよりよく示すべく、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、図11Bにおける垂直方向に互いにオフセットされている。これらは、測定軸方向に沿って動作可能なクアドラチャ構成で配置されており、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の空間位相は90度ずつ異なっている。実際のエンコーダでは、それらは「y軸」方向に沿っては互いにオフセットされていないことが理解できるだろう。むしろ、図10に示した第1および第2の検知素子セットと同様に、これらは互いに重なり合っている。図11Bは、図11Aの同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。図11Bにおける第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、図11Aの説明から変更されていないとみなすことができる。したがって、図11Bについての以下の説明では、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の構成における特定の相違点のみを強調して説明する。
図11Bに示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の実施形態と、図11Bに示す実施形態との違いは、以下のように簡単に説明することができる。図11Aの位置に対して、図11Bに示す実施形態では、第1部分SETSEN-Ph0sub1が(W1)/2だけ左に移動し、第2部分SETSEN-Ph0sub2が(W1)/2だけ右に移動している。出力信号接続は現在、最右端の検知素子SEN4およびSEN6に設けられており、図11Aとの概念的な連続性のために、正極性ループのトレースに関連付けられたままになっている。以上の説明に基づいて、信号出力と位置の関係では、図11Bおよび図11Aに示すように、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0の動作に違いはない。
図11Bに示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態は、以下のように包括的に説明することができる。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、第2の空間位相に対応し、特徴A1、B1、C1、D1、およびE1を具備する。そして、その第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2のうち、互いに最も近い部分(例えば、SEN4とSEN5)のそれぞれのループが、同じループ極性を有するように構成されている。これらはすべて、図11Aについて説明と変わらない。対照的に、第1の公称空間位相Ph0に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、図11Aに含まれる特徴A1、B1、C1、D1に加えて、特徴E1を具備している。正極性ループSENまたは負極性ループSENの一方の幅と同等以上の隙間で分離された第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2を備えていたことから、特徴E1を具備していることは明らかである。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の正極性ループ有効領域EffASENまたは負極性ループ有効領域EffASENは、ギャップ内には位置しない。
第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、以下のようにさらに説明することができる。第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph0の公称空間位相Ph0とは90度異なる公称空間位相Ph90に対応している。第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、その第1の分離部SETSEN-Ph0sub1および第2の分離部SETSEN-Ph0sub2のうち、互いに最も近い部分(例えば、SEN4とSEN5)のそれぞれのループが、反対のループ極性を有するように構成されている。第1の検知素子セットは、その第1および第2の隣接部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有する。第2のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2の間に測定軸に沿って位置する全検知素子有効領域の第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph90を有する。第1および第2の検知素子セットは、それぞれの第1の領域重心CEN-SETSEN-Ph0および第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph90が測定軸方向に沿って同じ位置に配置される。
前述の説明は、2つのそれぞれの検知素子セットの一方(図11Aのように)、または両方(図11Bのように)に特徴E1を含むことによって、2つのそれぞれの検知素子セットの領域重心の位置合わせが容易になることを示している。前述の説明に基づいて、図11Bに示す実施形態は、図11Aを参照して上で概説したすべての様々な利点を提供することが理解されるであろう。
図12は、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第4および第5の例示的な構成である、第1の空間位相Ph0および第2の空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の特定の側面を示す平面図である。説明のために、第1の検知素子セットの空間位相Ph0および第2の検知素子セットの空間位相Ph90が90度異なる動作クアドラチャ構成における個々の特性および測定軸方向に沿った互いに相対的な位置合わせをよりよく示すべく、第1のセットSETSEN-Ph0および第2のセットSETSEN-Ph90は、図12における垂直方向に沿って互いにオフセットされている。実際のエンコーダでは、それらは「y軸」方向に沿っては互いにオフセットされていないことが理解できるだろう。むしろ、図10に示した第1および第2の検知素子セットと同様に、これらは互いに重なり合っている。図12は、図11Aの同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、図12についての以下の説明では、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の構成における特定の相違点のみを強調して説明する。
図12に示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態と、図11Aに示す実施形態との違いは、以下のように簡単に説明することができる。図12に示す各検知素子セットにおいて、それらの第1部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph90sub1の検知素子SEN1とSEN2の対は、図11Aのように右にではなく、それらの公称空間位相に対して左に(W1)/4Kだけシフトされている。反対に、図12に示す各検知素子セットにおいて、それらの第2部分SETSEN-Ph0sub2およびSETSEN-Ph90sub2の検知素子SEN5とSEN6の対は、図11Aのように左にではなく、それらの公称空間位相に対して右に(W1)/4Kだけシフトされている。
上で概説し、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0または第2の検知素子セッSETSEN-Ph90のいずれかで図11Bに示す検知素子SENの「シフトした対」の実装は、いずれの検知素子セットにおいても、以下のように包括的に説明することができる。実施形態の第1の側面によれば、それぞれの公称空間位相Ph0(Ph90)に対応する少なくとも第1(第2)の検知素子セットSETSEN-Ph0(SETSEN-Ph90)は、特徴A1、B1、C1、およびD1を具備し、特徴C1に従って、隣接する正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域の複数の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向にシフトさせ、同数の隣接する正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向と反対の方向にシフトさせて構成されている。
第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90のいずれかは、以下のようにさらに説明することができる。実施形態の第2の側面によれば、第1のそれぞれの検知素子セットの反対側の端部にある隣接するループの2つのそれぞれの対(例えば、SEN1とSEN2の対、およびSEN7とSEN8の対)が、それらの2つのそれぞれの対において測定軸に沿って同じ方向にシフトされた正極性ループおよび負極性ループの検知素子有効領域を有する。
また、図12に示す第2の検知素子セットSETSEN-Ph90は、特徴A1、B、C1、D1に加えて、特徴E1を具備しており、領域重心CEN-SETSEN-Ph0とCEN-SETSEN-Ph90とは位置合わせされている。
前述の説明に基づいて、図12に示す実施形態は、図11Aを参照して上で概説したすべての様々な利点を提供することが理解されるであろう。それは以下のような追加の利点を提供することができる。先に述べたように、図11Aに示す実施形態の位置合わせされた領域重心は、第1および第2の検知素子セットのそれぞれの動作ギャップおよび信号強度が、静的または動的なピッチのずれによって同様に影響を受けるという利点をもたらし、これにより、ピッチのずれによって発生する可能性のある誤差の大部分を排除することができる。しかし、実施形態における左半分の検知素子SENのすべてが、(W1)/4Kの空間位相のシフトによってそれぞれの第1方向にシフトされ、実施形態における右半分の検知素子SEnのすべてが、(W1)/4Kの空間位相のシフトによってそれぞれの反対方向にシフトされていることを理解することができる。静的または動的なピッチのずれにより、右半分と左半分の信号の寄与がアンバランスになる。その結果、右半分と左半分の逆方向への空間位相のシフトによる信号の寄与がある程度アンバランスになり、ピッチのずれに対する位置誤差の感度が小さくなる。対照的に、図12に示す実施形態では、一対の検知素子SENが、実施形態の右半分と左半分の両方で両方向にシフトされており、静的または動的なピッチのずれによる空間的な位相誤差が低減または除去されるようになっている。1つの参考例として、図12に示す実施形態では、右半分と左半分の反対側の端にある検知素子SEN1とSEN8が(W1)/4Kだけ同じ方向にシフトしているため、それらの合計信号の寄与の振幅と空間的な位相の両方が、ピッチのずれによって公称的に変化しないことが理解されるだろう。
上述の第1の側面は、第2の側面を使用しない場合でも、特定の実施形態において上述のような何らかの利点を提供することができることを理解すべきである。しかし、さまざまな実施形態では、図12に示すように、第1および第2の側面を組み合わせて使用することが最も有利な場合がある。
図13は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を提供するために、本明細書に開示されている第1のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第6の例示的な構成である、それぞれの空間位相Ph90に対応するそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90の特定の側面を、第2の互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン1380とともに、本明細書に開示されている原理による検知素子構成を特徴づける様々な寸法を含めて示す平面図である。図13は、図9および12の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。特に、図13と図12に示す検知素子セットSETSEN-Ph90の構成は、どちらも特徴A1、B1、C1、D1、およびE1を同様の方法で実装している点で類似しており、また、どちらも図12を参照して上述した「シフトした対」の構成の第1および第2の側面を同様の方法で実装している。したがって、以下の説明では、「2トラック」の磁場生成コイルFGC、およびスケールパターン1380と連動して検出部1367で動作するための適応に関連する、検知素子セットSETSEN-Ph90の特定の相違点のみを強調して説明する。
検出部1367は、以下の簡単な説明に基づいて理解することができる「2トラック」構成で配置されており、また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,775,199号(第‘199号特許)に開示されている同様の実施形態に基づいて理解することができる。簡単に言えば、スケールパターン1380は、図示のように、測定軸方向MAに沿って延びる第1のトラックFPTおよび第2のトラックSPTにそれぞれ配置された信号変調素子SMEを備える。磁場生成コイルFGCは、第1のトラックFPTに位置合わせされた第1の内部領域部分FINTAを囲む第1部分と、第2のトラックSPTに位置合わせされた第2の内部領域部分SINTAを囲む第2部分とを有するように構成されている。磁場生成コイルFGCの各部間の接続と電流の流れは、図13に示す電流の流れの矢印の例に基づいて理解されるであろう。
この実施形態では、以前に開示された原理に従って、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、2つの分離部SETSEN-Ph90sub1およびSETSEN-Ph90sub2を含む。それらのレイアウトには、当業者であれば理解できるように、2トラックの実施形態との互換性を高めるための小さな工夫が施されている。公称空間位相Ph0nomに対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph0は、それぞれが第1の内部領域部分FINTAおよび第2の内部領域部分SINTAを横切って測定軸方向MAに横方向に延びて、それぞれ第1の内部領域部分FINTAおよび第2の内部領域部分SINTAと位置合わせされているかまたは重なっている検知素子SENの部分に対応する第1の検知素子有効領域部分FEffASENおよび第2の検知素子有効領域部分SEffASENを定義する導電性ループを備えてもよい。したがって、各導電性ループに生じる検出信号の寄与は、その第1の検知素子有効領域部分FEffASENおよび第2の検知素子有効領域部分SEffASENからのそれぞれの検出信号の寄与を結合したものとなる。図9の先述の説明と比較すると、検知素子SENの第1の検知素子有効領域部分FEffASENおよび第2の検知素子有効領域部分SEffASENの合計は、検知素子有効領域EffASENとして解釈することができる。
図13に示す実施形態では、スケールパターン1380が、波長W1に応じて第1のトラックFPTに周期的に配置された信号変調素子SME(または信号変調素子部分SME)と、波長W1に応じて第2のトラックSPTに周期的に配置された信号変調素子SME(または信号変調素子部分SME)とで構成され、第1のトラックFPTと第2のトラックSPTの周期的配置が(W1)/2だけ相対的にオフセットされている。さらに、磁場生成コイルFGCは、第1の内部領域部分FINTAに第1の極性の磁束変化を発生させ、第2の内部領域部分SINTAに反対の第2の極性の磁束変化を発生させるように構成される。
結合された検出信号の寄与の性質は、重複する信号変調素子SMEと組み合わせて、図13の各検知素子SENの内部にある対になった符号「+,+」または「+,-」または「-,-」または「-,+」によって明確になる。対における第1の符号は、検知素子のループ極性を示し、第2の符号は、対応する内部領域部分において発生される磁束の極性を示す。一例として、検知素子SEN2では、第1の検知素子有効領域部分FEffASENからの信号寄与は、重複する信号変調素子SMEによって低減されない公称正極性の寄与である。第2の検知素子有効面積FEffASENからの信号の寄与は、(負極性の磁束による)公称負極性の寄与となるが、この寄与は、重複する信号変調素子SMEによって低減または実質的に除去される。その結果、図示されているスケール位置に対する検知素子SEN2の正味の信号寄与は、正味の正の信号寄与となる。他の検知素子SENの信号寄与、および/または他のスケール位置について信号寄与は、前述の説明との類推により、および/または第‘199号特許に詳述されているように理解することができる。
先に示したように、検知素子SENの第1の検知素子有効領域部分FEffASENおよび第2の検知素子有効領域部分SEffASENの合計は、2トラックの実施形態に関しては、検知素子有効領域EffASENとして解釈することができる。この解釈は、2トラック構成の原理または特徴B1に概説されている検知素子の平均寸法DSENavgを決定する際に適切に適用される。
原理または特徴B1に概説されている検知素子平均寸法DSENavgの解釈の追加的な側面に関して、2トラック構成の場合、2つの内部領域(例えば、FINTAおよびSINTA)と位置合わせされているか、または重なっている各検知素子の検知素子有効領域EffASENについて、測定軸方向MAと直交する1つ以上の内部領域(例えば、FINTAおよびSINTA)の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有すると定義されてもよい。図13に示す特定の実施形態では、上記の解釈による検知素子平均寸法DSENavg(=EffASEN/EffYSEN)は、0.33*W1±15%の範囲に収まるように図示されており、これは、原理または特徴B1に関するこれまでの説明に準拠している。
図13に示され、さらに以下で図17に示される2トラック構成を参照して本明細書に開示された第1のタイプまたは第2のタイプの実施形態は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことが理解されるであろう。より一般的には、本開示および本明細書の教示の恩恵を受けた当業者は、本明細書で開示および請求されている第1のタイプまたは第2のタイプの所定の関係原理または特徴に従った様々な空間フィルタリング構成を、第‘199号特許に開示されているような他の様々な2トラックの実施形態で使用するために適応させることができる。
図9から図13を参照して上述した第1のタイプの様々な実施形態に開示されている検知素子セットSETSENは、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことが理解されるであろう。例えば、検知素子セットSETSENのいずれかは、結果として得られる検知素子セットSETSENが、上述のように所定の関係の特徴A1、B1、およびC1、並びに特徴D1およびE1のうちの少なくとも1つを具備するような形状および位置であることを条件に、追加の検知素子SEN(または、特定の開示された実施形態においては、より少ない数の検知素子)を含むように変更され得る。
さらに、特徴D1は、図9~13に示す各実施形態に含まれているが、特徴E1が少なくとも1つのそれぞれの検知素子のセットに含まれていることを条件に、すべての実施形態で必要とされるわけではない。図11Aを参照した1つの特定の例として、検知素子セットSETSEN-Ph0におけるすべての検知素子SENのシフト方向が逆になっており、図11Aに示した検知素子SENのすべてが、図6に示した検知素子SEN(最大寸法DSENmaxが約0.5*W1)に置き換えられている場合、結果として得られるエンコーダは、以下のように記述することができる。エンコーダは、複数のそれぞれの空間位相(例えば、Ph0およびPh90)に対応する複数のそれぞれの検知素子セット(例えば、SETSEN-Ph0およびSETSEN-Ph90)を備え、検知素子セットのそれぞれが特徴A1、B1、およびC1を具備し(例えば、SETSEN-Ph0は、特徴D1もE1も含まない)、複数のそれぞれの検知素子セットのうち少なくとも1つが、少なくとも特徴E1をさらに含む(例えば、SETSEN-Ph90)。そして、電磁誘導式エンコーダは、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次(第5次)の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、複数の空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成される。結果として得られるエンコーダは、さらに以下のように説明できる。複数のそれぞれの検知素子セット(例えば、SETSEN-Ph0およびSETSEN-Ph90)のそれぞれは、測定軸に沿ったその範囲内に位置するその全検知素子有効領域の領域重心を有し、複数のそれぞれの検知素子セットは、それらのそれぞれの領域重心が測定軸方向に沿った名目上同じ場所に位置するように構成される。さらに、結果として得られるエンコーダは、複数のそれぞれの検知素子セットのいずれか1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループが、複数のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されてもよい。
また、必要に応じて、特徴A1、B1、C1を具備する3つの検知素子セットを含むように類似の3相エンコーダを構成することも可能であり、その際には、少なくとも2つの検知素子セットが特徴E1を具備する。
このように、第1のタイプの好適な実施形態が図示および説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示および説明された特徴の配置における多数の変形態様が明らかであろう。
図14~17は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部(例えば、1467、1567、1767など)で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を検知素子SENが提供するように形成されるように、本明細書に開示されている第2のタイプの所定の関係原理に従って構成または配置された検知素子セットSETSENの様々な例示的構成のある側面を示す、部分的に具体的で、部分的に概略的な、平面図である。互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン(例えば980、1380)も描かれている。本明細書で使用される約束によれば、(以下でより詳細に説明する)第2のタイプの所定の関係原理に準拠する実施形態を、略して第2のタイプの実施形態と呼ぶことがある。
図9~13を参照して以下に概説する原理は、様々な代替的な実施形態において、検出信号内の潜在的な第3次、第5次、第7次、または第9次の空間高調波成分を空間的にフィルタリングするために検知素子SENを配置するのに有利であり、検知素子SENの寸法DSENavgが検出信号内の潜在的な第3高調波成分を空間的にフィルタリングするように構成されるように、上記に概説する原理に従って検知素子検知素子SENをサイジングすることと組み合わせて使用される場合、潜在的な第5次の空間高調波成分を空間的にフィルタリングするために検知素子SENを形成するのに特に有利である。しかし、その用途は以下に開示する実施例に限定されるものではない。より一般的には、これらの原理は、本明細書に開示されているものに加えて(例えば、先行技術で知られているように)、様々な他の検知素子セットSETSENの構成および信号変調素子SMEと組み合わせて使用することができ、依然として大きな利点を提供し得る。
図14は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を提供するために、本明細書に開示されている第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第1の例示的な構成である、第1の空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph90(以下のいくつかの文脈では略してSETSENと呼ぶ)の特定の側面を、図9に示された第1の互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン980とともに、本明細書に開示されている原理による検知素子構成を特徴づける様々な寸法を含めて示す平面図である。図14は、以前の図、特に図9および/または図11Aの同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。簡単に言えば、図13に示す実施形態の全体的な動作およびその中の様々な要素は、上記の図9および図11A(および該当する他のもの)の説明との類推によって理解することができる。図14と図11Aに示す検知素子セットSETSEN-Ph90の最も大きな違いは、図14に示す検知素子SENのそれぞれの形状が、各検知素子SEN内に所望の空間フィルタリングを提供する目的で、所定の量だけ反対方向にシフトされた2つの「ループ内」シフト比率を含むことである。この特徴が第2のタイプの実施形態に実装されている場合、第1のタイプの実装で必要とされた原理または機能C1を実装する必要なく、望ましい空間フィルタリングが実現される。図14および図11Aに示す検知素子セットSETSEN-Ph90の全体的な検知動作は、それ以外の点では類似しているため、以下の説明では、図14および図11Aに示す検知素子セットSETSEN-Ph90の構成のうち、検知素子SENの形状およびそれらに含まれるループ内シフト比率に関連する特定の側面のみを強調して説明する。
図14~17を参照して以下に開示されるように、空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成されている第2のタイプの様々な実施形態において、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、以下のように定義される特徴A2およびB2を具備する。
A1)第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループと、第1の巻線方向または極性と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループを備える。
B2)正極性ループの少なくとも半分以上と負極性ループの少なくとも半分以上は、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して所定のループ内シフト関係で配置されているように構成される。
ループ内シフト関係は、そのような各ループ内で、それらの検知素子有効領域の半分までのループ内シフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、それらの検知素子有効領域の名目上同じループ内シフト比率が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、それによって、2つのループ内シフト比率は、互いに対して相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成を有しており、Kは3、5、7、または9のうちの1つである。
これにより、それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応する検知素子セットは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっている。
上記の特徴A2およびB2を実施した結果、それぞれの公称空間位相に対応する検知素子セットSETSENは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっている。
図14~17はそれぞれ、本明細書で以前に説明したような「基準グリッド」を含み、各検知素子SENの第1のトラック有効領域FEffASENおよび第2のトラック有効領域SEffASENの中心位置は、以下でより詳細に説明するように、各検知素子SENが特徴B2に従ってどのように構成されるかを説明するために、破線の中心線CLSENの位置によって示されている。
図14に示す実施形態のさらなる議論に戻ると、図14に示す基準グリッドおよび中心線のインジケータに基づいて、図14に示す検知素子セットSETSENが、以下のように、上で概説した構成原理または特徴A2およびB2を満たすことが理解されるであろう。図14に示す実施形態では、それぞれの公称空間位相Ph90に対応するそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループ(ループの内部に「+」で示される)と、第1の巻線と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループ(ループの内部に「-」で示される)とを含む。図14に示す実施形態では、正極性ループの全てと負極性ループの全ては、検知素子有効領域EffASENが、それぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90のそれぞれの公称空間位相Ph90nomに対して所定のループ内シフト関係で配置されているように構成される。ループ内シフト関係は、そのような各ループSEN内で、それらの検知素子有効領域の半分までのループ内シフト比率ILSPが、それぞれの公称空間位相Ph90nomとの関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向MAに沿ってシフトされ、それらの検知素子有効領域の名目上同じループ内シフト比率ILSPが、それぞれの公称空間位相Ph90nomとの関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、それによって、2つのループ内シフト比率ILSP(例えば、FEffASENおよびSEffASEN)は、互いに対して相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成を有しており、Kは3、5、7、または9のうちの1つである。そのような検知素子SENはそれぞれ、互いに180度位相がずれている第K次の空間高調波に対する2つの空間的にフィルタリングされた検出信号成分(例えば、2つのループ内シフト比率ILSP(つまり、FEffASENおよびSEffASEN)から生じる)を結合し、それらの結合された信号寄与においてそのような第K次の空間高調波信号成分を公称的に相殺または抑制するように構成されている。
図14に示す特定の実施形態では、検知素子SEN)のループ内シフト比率ILSP(例えば、FEffASENおよび/またはSEffASEN)は、その検知素子有効領域EffASENの公称半分であり、これにより、最良の空間フィルタリングを提供することができる。しかし、特徴B2の定義にも暗示されているように、ループ内シフト比率ILSPが検知素子有効領域EffASENの半分以下であるようないくつかの実施形態では、その提供される空間フィルタリングで十分な場合がある。
図14に示す特定の実施形態では、正極性ループSENの全てと負極性ループSENの全ては、それらの検知素子有効領域(例えば、EffASEN=FEffASEN+SEffASEN)が、所定のループ内シフト関係で配置されており、これにより、最良の空間フィルタリングを提供することができる。しかし、特徴B2の定義にも暗示されているように、正極性ループと負極性ループの大部分のみが検知素子有効領域を所定のループ内シフト関係に配置して構成されているようないくつかの実施形態では、その提供される空間フィルタリングで十分な場合がある。
図14に示す検知素子SENの全検知素子有効領域EffASENは、本明細書で先に概説したように定義される。これは、1つ以上の内部領域(例えば、図14のINTA)と位置合わせされているか、または重なっている検知素子SEN内の領域を指し、測定軸方向MAと直交する1つ以上の内部領域(例えば、図14のINTA)の寸法の合計である、y軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義されてもよい。図14に示す第2のタイプの特定の実施形態では、K=5であり、検知素子SENは、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavgが0.33*W1±15%の範囲内になるように構成され、これにより、それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応するそれぞれの検知素子セットは、それによって、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第5次の空間高調波検出信号成分を低減するために使用可能な空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成される。しかし、先に示したように、この実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。様々な他の実施形態では、Kは5、7、または9であってもよい。このような実施形態では、特徴A2およびB2を備えるように構成されたそれぞれの検知素子セットは、それによって、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成される。
図14に示す特定の実施形態では、検知素子セットSETSEN-Ph90は、互いに鏡面対称に配置された2つの同様のサブセットまたは部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph0sub2を備える。この構成の1つの利点は、部分SETSEN-Ph0sub1およびSETSEN-Ph0sub2のうちの1つを単独で使用する場合と比較して、横方向のオフセットのずれ(すなわち、y軸方向に沿った並進による検出部1667および/またはスケールパターン980のずれ)に対する位置誤差の感度を低減または排除することができることである。しかし、このような2つの部分からなる構成は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、SETSEN-Ph0sub1またはSETSEN-Ph0sub2のいずれかの部分は、個々に特徴A2およびB2を具備しており、(例えば、そのまま、またはそれらの検知素子SENのパターンを複製して長さを長くすることにより)単独で使用することができ、上述の空間フィルタリングの利点は、様々な実施形態において依然として得られる。
図15は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を提供するために、本明細書に開示されている第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第2の例示的な構成である、第1の空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph90(以下のいくつかの文脈では略してSETSENと呼ぶ)の特定の側面を、図14に示された第1の互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン980とともに示す平面図である。図15は、図14の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。したがって、以下の説明では、図15および図14に示す構成における特定の相違点のみを強調して説明する。
簡単に言えば、図15に示す実施形態の全体的な動作およびその中の様々な要素は、上記の図14(および該当する他のもの)の説明との類推によって理解することができる。図15と図14に示された検知素子セットSETSEN-Ph90の間の唯一の重要な違いは、図15に示された検知素子SENのいくつかの向きが、図14に示されたような向きと比較して反転している、あるいは「裏返し」になっている点である。特に、検知素子SEN1およびSEN2の対と、検知素子SEN5およびSEN6の対とは、図14に示すように、それらの向きと比較して反転または裏返しになっている。
図15に示す検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態は、図14を参照することなく、以下のように包括的に説明することができる。第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、特徴A2およびB2に従って構成されており、それらの検知素子有効領域に対して名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第1の対(例えば、SEN1-SEN2の対、またはSEN7-SEN8の対)と、それらの検知素子有効領域に対して名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第2の対(例えば、SEN3-SEN4の対、またはSEN5-SEN6の対)とを備えており、第1および第2の対における合同の形状は、名目上互いに鏡像であり、第1および第2の対の正極性および負極性ループは、互いに隣接して配置される(例えば、SEN1-SEN2の対とSEN3-SEN4の対、または、SEN5-SEN6の対とSEN7-SEN8)。
このような「鏡像対」を備える構成は、いくつかの実施形態において、特定のミスアラインメントに対する精度および/または堅牢性を向上させる可能性がある。例えば、横方向のオフセットと組み合わされたピッチミスアライメントや、ヨーミスアライメントと組み合わせたピッチミスアライメント(すなわち、Z軸を中心とした検出部1767またはスケールパターン980の回転)において、位置誤差検知が低減されていることがある。
図15に示す検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態は、さらに以下のように説明することができる。第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、少なくとも、第1の端部対内でその検知素子有効領域EffASENについて名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第1の端部対(例えば、SEN1-SEN2の対)と、第2の端部対内でその検知素子有効領域EffASENについて名目上合同の形状を有するように構成されている正極性および負極性ループの少なくとも第2の端部対(例えば、SEN7-SEN8の対)とを備え、第1の端部対と第2の端部対における名目上合同の形状は、第1の端部対と第2の端部対の間でも名目上合同である。第1および第2の端部対は、第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90の第1および第2の端部に位置していることが理解されよう。
「鏡像対」を備える構成の利点は、いくつかの実施形態では、上述の概要と図15に示されているように、合同な端部対をさらに備える場合に、強化される可能性がある。しかし、合同な端部対を含まない「鏡像対」を備える構成(例えば、図15に図示されているよりも、さらに追加の検知素子およびより多くの鏡像対を有する構成)であっても、上述のような大きな利点を提供することができることを理解すべきである。
図16は、第2の空間位相Ph0(図16ではPh0nomと示されている)に対応する第2の検知素子セットSETSEN-Ph0の特定の側面を示す平面図である。それは、本明細書に開示されている第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第3の例示的な構成である。それは、図15に図示された第2の空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph90とともに、図16に示されている。説明のために、第1の検知素子セットSETSEN-Ph90および第2の検知素子セットSETSEN-Ph0は、図16における垂直方向に互いにオフセットされている。これらは、測定軸方向に沿って動作可能なクアドラチャ関係で配置されており、第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の空間位相は90度ずつ異なっている。実際のエンコーダでは、それらは「y軸」方向に沿っては互いにオフセットされていないことが理解できるだろう。むしろ、図10に示した第1および第2の検知素子セットと同様に、これらは互いに重なり合っている。図16は、図15の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様または同一に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含み、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。図16における第1の検知素子セットSETSEN-Ph90は、図15の説明から変更されていないとみなすことができる。したがって、図16についての以下の説明では、第2の検知素子セットSETSEN-Ph0の構成における特定の側面のみを強調して説明する。
図16に示した第2の検知素子セットSETSEN-Ph0と第1の検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態の違いを簡単に説明すると、第1部分SETSEN-Ph0sub1は第1部分SETSEN-Ph90sub1に比べて(W1)/4だけ右に移動しており、第2部分SETSEN-Ph0sub2は第1部分SETSEN-Ph90sub1に比べて(W1)/4だけ左に移動している。その結果、検知素子SENの有効ループ極性は、図16に示されるようになる。出力信号接続は、検知素子SEN5に設けられており、図15との概念的な連続性のために、正極性ループのトレースに関連付けられたままになっている。図16に示す特定の実施形態では、第1部分SETSEN-Ph0sub1と第2部分SETSEN-Ph0sub2が、図9を参照して既に概説した方法で、整列トレースゾーンATZにおいて直列接続によって接続されるため、1つの出力信号接続の場所のみが必要である。
図16に示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の実施形態は、以下のように包括的に説明することができる。公称空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph90は、特徴A2およびB2に従って構成されており、同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされており、第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第2の分離部SETSEN-Ph90sub2を備える、2つの部分からなる構成となっている。第1の分離部SETSEN-Ph90sub1と第2の分離部SETSEN-Ph90sub2は、測定軸方向に沿ってそれらの間に位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向MAに沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅であり、第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90の正極性ループの有効領域EffASENまたは負極性ループの有効領域EffASENはギャップ内に位置していない。第1のそれぞれの検知素子セットSETSEN-Ph90は、その第1および第2の分離部のうち、互いに最も近い部分(すなわち、SEN4とSEN5)のそれぞれのループが、同じループ極性を有するように構成されている。
図16に示す実施形態では、公称空間位相Ph90とは90度異なる公称空間位相Ph0に対応する第2の検知素子セットSETSEN-Ph0をさらに備える。第2の検知素子セットSETSEN-Ph0は、特徴A2およびB2に従って構成されており、それはまた、2つの部分からなる構成で構成されている。その2の部分構成は、同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1と、第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされ、第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1と同数の正極性ループおよび負極性ループを備える第2の隣接部SETSEN-Ph0sub2とを備える。第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1および第2の隣接部SETSEN-Ph0sub2は、測定軸方向に沿って、正極性または負極性のループの一方の幅よりも互いに近くに位置する。第1の隣接部分と第2の隣接部分のうち、互いに最も近い部分(つまり、SEN4とSEN5)のそれぞれのループは、反対のループ極性を有する。
図16に示すように、第1の検知素子セットSETSEN-Ph90は、測定軸MAに沿ってその第1の分離部SETSEN-Ph90sub1および第2の分離部SETSEN-Ph90sub2の間に位置する全検知素子有効領域の第1の領域重心CEN-SETSEN-Ph90を有し、第2の検知素子セットSETSEN-Ph0は、測定軸MAに沿ってその第1の隣接部SETSEN-Ph0sub1および第2の隣接部SETSEN-Ph0sub2の間に位置する全検知素子有効領域の第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph0を有する。第1の検知素子セットSETSEN-Ph90および第2の検知素子セットSETSEN-Ph0は、図16に示すように、それぞれの第1の領域重心CEN-SETSEN-Ph90および第2の領域重心CEN-SETSEN-Ph0が測定軸方向に沿って同じ位置に配置される。
図16に示す実施形態は、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供するように構成されていることが、これまでの説明に基づいて理解されるであろう。さらに、位置合わせされた領域重心および様々なタイプのミスアライメントに関連する位置測定誤差を排除する他の特徴も含まれている。さらに、第1の検知素子セットSETSEN-Ph90または第2の検知素子セットSETSEN-Ph9の1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループ(例えば、各検知素子SEN)は、第1または第2の検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される。
一般的に言えば、図14、15、および16を参照して上記で概説した第2のタイプの実施形態は、先行技術の空間フィルタリング検出器よりも複雑でなく、高性能であり、かつ経済的に製造できる検出部のレイアウトを使用して、複数の不要な空間高調波信号成分を抑制する前例のないレベルの空間フィルタリングを提供することができることが理解されるであろう。
図17は、図1に示すような電磁誘導式エンコーダの検出部で使用するために、空間的にフィルタリングされた信号を提供するために、本明細書に開示されている第2のタイプの所定の関係原理に従って構成された検知素子セットの第4の例示的な構成である、それぞれの空間位相Ph90に対応する第1の検知素子セットSETSEN-Ph90の特定の側面を、図13に示された第2の互換性のある磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン1380とともに示す平面図である。図17は、図13に示された2トラック構成の同様の番号または名前が付けられた構成要素に対応し、および/または同様に動作し得るいくつかの番号および/または名前が付けられた構成要素を含む「2トラック」構成であり、これらは別段の指示がない限り、同様に理解することができる。図17に示す検知素子セットSETSEN-Ph90の構成は、両方とも特徴A2およびB2を実装し、検知素子SETSENを同様の方法で配置するという点で、図15および図16を参照して図示および説明した検知素子セットSETSEN-Ph90と類似している。図17におおける検知素子SENの導体のレイアウトは、上述の図13の説明との類推によって理解され得るように、2トラックの磁場生成コイルFGCおよびスケールパターン1380との協働のために適合されている。
これまでの図との類似性に関する前述の説明に基づき、図17に示された実施態様、およびその様々な利点は、図13、14、15、および16のこれまでの説明との類推によって理解することができる。そのため、ここではさらに詳しく説明する必要はない。
図13から図17を参照して上述した第2のタイプの様々な実施形態における検知素子セットSETSENは、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことが理解されるであろう。例えば、検知素子のセットSETSEN、サブセット、または部分のいずれかは、結果として得られる検知素子セットSETSENが、上で概説したように所定の関係の特徴A2およびB2適合するように形成および構成されることを条件に、追加の検知素子SENを含むように変更され得る。
さらに、上に開示された様々な実施形態は、検知素子有効領域を構成する検知素子が、それぞれの検知素子セットに含まれる他の導電性ループまたは導電性ループ部分の他の検知素子有効領域と重ならないように構成されているが、そのような実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。一般的に言えば、特徴A2およびB2は、従来技術で一般的に使用されているオーバーラップ配置を含む、任意の所望の検知素子の配置で実施することができる。そのような実施形態では、特徴A2およびB2を具備する検知素子は、そのような実施形態を強化するために、上述のように第K次の空間高調波の追加の空間フィルタリングを提供してもよい。
一例として、上記の様々な実施形態は、K=5に対応しており、0.33*W1±15%の範囲内の検知素子平均寸法DSENavgを有する検知素子から構成されているが、このような組み合わせは例示的なものであり、当業者であれば明らかなように、限定的なものではない。
別の例として、図16に示す検知素子セットSETSEN-PH0は、その部分の間のギャップを、図16に示す検知素子セットSETSEN-PH0を参照して説明したのと同様の方法で変更して、クオドラチャエンコーダ構成を提供する2つの「分離」部を構成するようにしてもよい。したがって、図16に示す第1の検知素子セットSETSEN-Ph0および第2の検知素子セットSETSEN-Ph90の一般的な構成は、例示的なものであり、限定的なものではない。
別の例として、上述の第2のタイプの様々な実施形態のいずれかに類似した方法で、3相エンコーダの検知素子セットのそれぞれを構成することが可能である。このような実施形態では、複数のそれぞれの空間的位相に対応する複数のそれぞれの検知素子セットのそれぞれが、特徴A2)、およびB2)を具備するように構成され、それにより、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成される。
第2のタイプの好適な実施形態が図示および説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示および説明された特徴の配置における多数の変形態様が明らかであろう。本明細書で開示される所定の関係性の特徴A2およびB2を実装するために、様々な代替形態を使用することができる。
本明細書で開示され、請求されている原理は、組み込まれる文献に開示されている様々な特徴と、その開示が参照によりその全体がここに組み込まれている2020年3月23日に出願された「TRANSMITTER AND RECEIVER CONFIGURATION FOR AN INDUCTIVE POSITION ENCODER」と題された共通に譲渡された同時係属中の米国特許出願第16/826,842号に開示されている様々な特徴と、容易にかつ望ましく組み合わせることができることが理解されるであろう。上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及される米国特許および米国特許出願のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、さらにさらなる実施形態を提供するために、必要であれば、様々な特許および出願の概念を使用するように修正することができる。これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施態様に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施態様を含むように解釈されるべきである。
Claims (20)
- 測定軸方向に沿って2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダであって、
測定軸方向に沿って延在し、磁場生成コイルの内部領域と位置合わせされまたは重複する有効領域を含む、少なくとも第1のタイプの信号変調素子を含み空間波長W1を有する周期的スケールパターンを含むスケールと、
前記周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、前記周期的スケールパターンに対して測定軸方向に沿って移動するように構成される検出部と、
コイル駆動信号を提供するように前記検出部に動作可能に接続され、前記検出部から入力される検出信号に基づいて、前記検出部と前記スケールパターンとの相対的位置を特定する信号処理部と、を備え、
前記第1のタイプの信号変調素子は、空間波長W1に対応して前記測定軸方向に沿って配置された複数の導電性プレートまたは複数の導電性ループを備え、
前記検出部は、
基板に固定され、動作中に前記信号変調素子の前記周期的スケールパターンの有効領域と位置合わせされる内部領域を取り囲み、前記コイル駆動信号に応答して前記内部領域に磁束変化を生成する磁場生成コイルと、
測定軸方向に沿って配置され、前記基板上に固定された、それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セットを備え、
前記検知素子セットのメンバーは、前記内部領域と位置合わせされるか、または前記内部領域と重なる検知素子の部分に対応する検知素子有効領域EffASENを定義する導電性ループまたは導電性ループ部分で構成され、
前記検知素子セットは、前記スケールパターンの隣接する前記信号変調素子によって提供される磁束変化への局所的影響に応じたそれぞれの検出信号を提供するように構成され、それぞれの公称空間位相に対応しており、
それぞれの前記公称空間位相に対応する少なくとも1つのそれぞれの前記検知素子セットは、以下のように定義される特徴A1、B1、およびC1を具備し、
特徴A1は、第1の巻線方向または極性に対応する複数の正極性ループと、第1の巻線方向または極性と反対の第2の巻線方向または極性に対応する同数の負極性ループを備え、
特徴B1は、正極性ループと負極性ループのそれぞれは、内部領域と位置合わせされるか1つ以上の内部領域と重なっている全検知素子有効領域EffASENを有し、測定軸方向に垂直な1つ以上の内部領域の寸法の合計であるy軸方向に沿った有効y軸寸法EffYSENを有するように定義され、正極性ループと負極性ループの少なくとも半分以上は、測定軸方向に沿った検知素子平均寸法DSENavg=(EffASEN/EffYSEN)が0.33*W1±15%の範囲内になるように構成され、
特徴C1は、正極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して正極性ループ規定関係に配置されるように構成され、負極性ループは、検知素子有効領域が、それぞれの検知素子セットのそれぞれの公称空間位相に対して負極性ループ規定関係に配置されるように構成され、
前記正極性ループ規定関係は、複数の正極性ループの全検知素子有効領域の半分までのシフトされた割合が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の正極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフトされた割合が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の正極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフトされた割合が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなり、Kは3、5、7、9のうちの1つであり、
前記負極性ループ規定関係は、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の半分までのシフトされた割合が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の負極性ループの全検知素子有効領域の名目上同じシフトされた割合が、それぞれの公称空間位相との関係で(W1)/4Kだけ第1方向とは反対方向に測定軸方向に沿ってシフトされ、複数の負極性ループ領域の全検知素子有効領域の2つのシフトされた割合が互いに相対的に(W1)/2Kだけシフトされるような構成からなり、
さらに、以下のように定義される特徴D1またはE1の少なくとも1つを具備し、
特徴D1は、正極性および負極性の各ループは、測定軸方向の最大寸法DSENmaxが最大で0.45*W1である検知素子有効領域EffASENで構成され、
特徴E1は、
それぞれの公称空間位相(SETSEN-PH0)に対応する少なくとも1つのそれぞれの検知素子セットは、2つの部分からなる構成により構成され、
当該2つの部分からなる構成は、同数の正極性ループと負極性ループを備える第1の分離部と、
前記第1の分離部と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされ、第1の分離部と同数の正極性ループおよび負極性ループから構成される第2の分離部とを備え、
前記第1の分離部と前記第2の分離部は、前記第1の分離部と前記第2の分離部との間の測定軸方向に沿って位置するギャップによって分離されており、ギャップは、測定軸方向に沿って正極性ループまたは負極性ループの一方と少なくとも同じ幅であり、それぞれの検知素子セットの正極性ループの有効領域または負極性ループの有効領域はギャップ内に位置しておらず、
これにより、それぞれの公称空間位相(SETSENPh0)に対応するそれぞれの検知素子セットは、空間的にフィルタリングされた検出信号または複数の検出信号を提供する実用的な構成になっており、検出部とスケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差の原因となる可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分の両方を低減または抑制するために使用可能である、電磁誘導式エンコーダ。 - K=5であることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- DSENavgが少なくとも0.29*W1であり、かつ、最大で0.31*W1であることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 特徴A1、B1、C1と、特徴D1および/またはE1のうちの少なくとも1つとを具備し、
それぞれの前記検知素子セットに含まれるそれぞれの前記正極性または前記負極性ループは、それぞれの検知素子セットに含まれる他のそれぞれの前記正極性または前記負極性ループの前記検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの前記検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、およびD1を具備し、特徴E1を具備しないことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 前記第1のそれぞれの検知素子セットは、
当該2つの部分からなる構成は、同数の正極性ループと負極性ループを備える第1の隣接部と、
前記第1の隣接部と測定軸方向に沿って名目的に位置合わせされ、前記第1の隣接部と同数の正極性ループおよび負極性ループから構成される第2の隣接部とを備え、
前記第1および第2の隣接部は、正極性または負極性のループの一方の幅よりも、測定軸方向に沿って互いに近くに位置し、互いに最も近い前記第1および第2の隣接部のそれぞれのループは、反対のループ極性を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 以下のM1またはM2のいずれかを具備し、
特徴M1は、前記第1の隣接部が第1の検出信号を出力するように構成され、前記第2の隣接部が第2の検出信号を出力するように構成され、前記信号処理部が、第1および第2の信号の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、前記検出部と前記スケールパターンとの間の相対位置を決定するように構成され、
特徴M2は、前記第1の隣接部が前記第2の隣接部と直列に接続されて複合信号を形成し、直列接続は、前記複合信号において第1および第2の部分のそれぞれの信号寄与が加算されるように構成され、前記信号処理部は、前記複合信号に少なくとも部分的に基づいて、前記検出部と前記スケールパターンの間の相対位置を決定するように構成される、ことを特徴とする請求項6に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 前記第1のそれぞれの検知素子セットの公称空間位相と90度異なるそれぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第2のそれぞれの検知素子セットを含み、
前記第2のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、D1、およびE1を具備し、
前記第2のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近い第1および第2の分離部のそれぞれのループが同一のループ極性を持つように構成され、
第1のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の隣接部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有し、
第2のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第2の領域重心を有し、
前記第1および第2のそれぞれの検知素子セットは、それぞれの前記第1および第2の領域重心が測定軸方向に沿って名目上同じ位置に配置される、ことを特徴とする請求項6に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 前記第1または第2のそれぞれの検知素子セットの1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、前記第1または第2のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの前記検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの前記検知素子有効領域EffASENを提供するように構成される、ことを特徴とする請求項8に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第1のそれぞれの検知素子セットが、特徴A1、B1、C1、およびE1を具備することを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 特徴M1または特徴M2のいずれかを具備し、
特徴M1は、前記第1のそれぞれの検知素子セットにおける前記第1の分離部が第1の検出信号を出力するように構成され、前記第1のそれぞれの検知素子セットにおける前記第2の分離部が第2の検出信号を出力するように構成され、前記信号処理部が、第1および第2の信号の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、前記検出部と前記スケールパターンとの間の相対位置を決定するように構成され、
特徴M2は、前記第1のそれぞれの検知素子セットにおける前記第1の分離部が前記第1のそれぞれの検知素子セットにおける前記第2の分離部と直列に接続されて複合信号を形成し、直列接続は、前記複合信号において前記第1および第2の分離部のそれぞれの信号寄与が加算されるように構成され、前記信号処理部は、前記複合信号に少なくとも部分的に基づいて、前記検出部と前記スケールパターンの間の相対位置を決定するように構成される、ことを特徴とする請求項10に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 前記第1のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近いその前記第1および第2の分離部のそれぞれのループが同じループ極性を有するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 前記第1のそれぞれの検知素子セットの公称空間位相と90度異なるそれぞれの公称空間位相に対応する少なくとも第2のそれぞれの検知素子セットを含み、
前記第2のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、およびE1を具備し、
前記第2のそれぞれの検知素子セットは、互いに最も近い前記第1および第2の分離部のそれぞれのループが反対のループ極性を持つように構成され、
前記第1のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第1の領域重心を有し、
前記第2のそれぞれの検知素子セットは、その第1および第2の分離部の間に測定軸に沿って位置するその全検知素子有効領域の第2の領域重心を有し、
前記第1および第2のそれぞれの検知素子セットは、それぞれの前記第1および第2の領域重心が測定軸方向に沿って名目上同じ位置に配置される、ことを特徴とする請求項12に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 前記第1または第2のそれぞれの検知素子セットの1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、前記第1または第2のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの前記検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの前記検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されることを特徴とする請求項13に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 前記第1および第2のそれぞれの検知素子セットの両方が、特徴D1およびE1の両方を具備することを特徴とする請求項14に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも前記第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、および特徴D1を具備し、特徴C1に従って、隣接する正極性ループおよび負極性ループの前記検知素子有効領域の複数の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向にシフトさせ、同数の隣接する正極性ループおよび負極性ループの前記検知素子有効領域の対を(W1)/4Kだけ測定軸方向に沿って第1の方向と反対の方向にシフトさせて構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 前記第1のそれぞれの検知素子セットの反対側の端部にある隣接するループの2つのそれぞれの対が、それらの2つのそれぞれの対において測定軸に沿って同じ方向にシフトされた正極性ループおよび負極性ループの前記検知素子有効領域を有することを特徴とする請求項16に記載の電磁誘導式エンコーダ。
- 前記スケールパターンは、測定軸方向に沿って延びる第1および第2のトラックにそれぞれ配置された信号変調素子を備え、
前記磁場生成コイルは、前記第1のトラックに位置合わせされる第1の内部領域部分と、前記第2のトラックに位置合わせされる第2の内部領域とを取り囲むように構成され、
それぞれの公称空間位相に対応する少なくとも前記第1のそれぞれの検知素子セットは、特徴A1、B1、C1、および特徴D1および/またはE1のうちの少なくとも1つを具備し、それぞれが前記第1および第2の内部領域部分を横切って測定軸方向に延びて、それぞれ前記第1および第2の内部領域部分と位置合わせされているかまたは重なっている検知素子の部分に対応する第1および第2の前記検知素子有効領域部分を定義する導電性ループを備える検知素子を備え、各導電性ループに生じる検出信号の寄与は、その第1および第2の前記検知素子有効領域部分からのそれぞれの検出信号の寄与を結合したものとなる、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 前記スケールパターンが、波長W1に応じて前記第1のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分と、波長W1に応じて前記第2のトラックに周期的に配置された信号変調素子または信号変調素子部分とで構成され、前記第1のトラックと前記第2のトラックの周期的配置が(W1)/2だけ相対的にオフセットされており、
前記磁場生成コイルは、前記第1の内部領域部分に第1の極性の磁束変化を発生させ、前記第2の内部領域部分に反対の第2の極性の磁束変化を発生させるように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の電磁誘導式エンコーダ。 - 複数のそれぞれの空間位相に対応する複数のそれぞれの前記検知素子セットはそれぞれ、少なくとも特徴A1、B1、C1を具備し、複数のそれぞれの検知素子セットのうちの少なくとも1つは、少なくとも特徴E1をさらに具備し、電磁誘導式エンコーダは、前記検出部と前記スケールパターンとの間の決定された相対的な位置の誤差に寄与する可能性のある、潜在的な不要な第3次の空間高調波検出信号成分および潜在的な不要な第K次の空間高調波検出信号成分を低減または抑制するために使用可能な、複数の空間的にフィルタリングされた検出信号を提供するように構成され、
複数のそれぞれの前記検知素子セットのそれぞれは、測定軸に沿ったその範囲内に位置するその全検知素子有効領域の領域重心を有し、
複数のそれぞれの前記検知素子セットは、それらのそれぞれの前記領域重心が測定軸方向に沿った名目上同じ場所に位置するように構成され、
複数のそれぞれの前記検知素子セットのいずれか1つに含まれるそれぞれの正極性または負極性ループは、複数のそれぞれの検知素子セットの同じ1つに含まれる他のそれぞれの正極性または負極性ループの前記検知素子有効領域EffASENと重ならないそれぞれの前記検知素子有効領域EffASENを提供するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
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