JP2022098157A - 対象物の検査方法、処理装置、および検査システム - Google Patents

対象物の検査方法、処理装置、および検査システム Download PDF

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Abstract

【課題】対象物の異常をより簡単に検出する方法を提供する。【解決手段】検査システムによって実行される方法は、異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、を含む。【選択図】図7A

Description

本開示は、対象物の検査方法、処理装置、および検査システムに関する。
従来、ハイパースペクトルカメラを用いて対象物に含まれる人の眼では見つけ難い異物などの異常を検出する様々な方法が提案されている。ハイパースペクトルカメラによって撮像された対象物のハイパースペクトル画像に基づいて、対象物のスペクトル特性を正確に分析することができる。
特許文献1は、ハイパースペクトルカメラを用いて対象物に混入した異物を検出する方法を開示している。特許文献1に開示された方法では、近赤外線で照射された対象物をハイパースペクトルカメラによって撮像することにより、当該対象物のハイパースペクトル画像が得られる。ハイパースペクトル画像に含まれる2つの画素のスペクトル形状を比較することにより、対象物に混入した異物が検出される。
特許文献2は、圧縮センシングの技術を用いて対象物のハイパースペクトル画像を得る撮像装置を開示している。
特開2013-164338号公報 米国特許第9599511号明細書
本開示は、対象物の異常をより簡単に検出する方法を提供する。
本開示の一態様に係る方法は、検査システムによって実行される方法である。前記方法は、異常がない状態における前記対象物の第1スペクトルデータを取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、を含む。
本開示の包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意の組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc‐Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含み得る。装置は、1つ以上の装置で構成されてもよい。装置が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されてもよく、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されてもよい。本明細書および特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。「システム」に含まれる複数の装置の中には、他の装置とは遠隔地に設置され、通信ネットワーク介して接続される装置も含み得る。
本開示の技術によれば、対象物の異常をより簡単に検出することができる。
図1Aは、対象波長域と、それに含まれる複数のバンドとの関係を説明するための図である。 図1Bは、ハイパースペクトル画像の例を模式的に示す図である。 図2Aは、フィルタアレイの例を模式的に示す図である。 図2Bは、図2Aに示すフィルタアレイに含まれる第1フィルタの透過スペクトルの例を示す図である。 図2Cは、図2Aに示すフィルタアレイに含まれる第2フィルタの透過スペクトルの例を示す図である。 図2Dは、対象波長域に含まれる複数のバンドW、W、・・・、Wのそれぞれの光の透過率の空間分布の例を示す図である。 図3は、異常がない状態における対象物のスペクトルの例を模式的に示すグラフである。 図4Aは、異常がある対象物の第1の例を模式的に示す図である。 図4Bは、異常がある対象物の第2の例を模式的に示す図である。 図4Cは、異常がある対象物の第3の例を模式的に示す図である。 図5Aは、異常がある状態における対象物のスペクトルの例を模式的に示すグラフである。 図5Bは、図5Aに示すバンドごとに平均化されたスペクトルから抽出された非特徴バンドについてのスペクトルを模式的に示すグラフである。 図6は、本開示の実施形態1による検査装置の例を模式的に示すブロック図である。 図7Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態1における処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図7Bは、対象物の異物の有無を検査する場合の、実施形態1における処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図7Cは、対象物の異物の有無を検査する場合の、実施形態1における処理回路が実行する動作の他の例を示すフローチャートである。 図8は、実施形態1における記憶装置に記憶される非特徴バンドのデータの例を模式的に示すテーブルである。 図9Aは、実施形態1における表示装置に表示される設定モードのGUIの例を模式的に示す図である。 図9Bは、実施形態1における表示装置に表示される検査モードのGUIの例を模式的に示す図である。 図10Aは、実施形態2における記憶装置に記憶されるすべてのバンドの情報を含むマスクデータの例を示すテーブルである。 図10Bは、実施形態2における記憶装置に記憶される非特徴バンドについてのマスクデータの例を示すテーブルである。 図11Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態2における処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図11Bは、対象物の異物の有無を検査する場合の、実施形態2における処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図11Cは、対象物の異物の有無を検査する場合の、実施形態2における処理回路が実行する動作の他の例を示すフローチャートである。 図12は、実施形態3による検査システムの例を模式的に示すブロック図である。 図13Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態3における第1処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図13Bは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態3における第2処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図14は、実施形態3における検査装置およびサーバの動作の例を示すシーケンス図である。 図15は、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態4における第1処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図16Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態5における第1処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図16Bは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態5における第2処理回路が実行する動作の例を示すフローチャートである。 図17は、実施形態5における検査装置およびサーバの動作の例を示すシーケンス図である。
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または操作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
以下、本開示の例示的な実施形態を説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、ハイパースペクトル画像の例を簡単に説明する。ハイパースペクトル画像は、一般的なRGB画像よりも多くの波長の情報を有する画像データである。RGB画像は、画素ごとに、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3つのバンドのそれぞれについての値を有する。これに対し、ハイパースペクトル画像は、RGB画像のバンド数よりも多くのバンドについての値を画素ごとに有する。本明細書において、「ハイパースペクトル画像」は、予め定められた対象波長域に含まれる4つ以上のバンドのそれぞれの値を各画素が有する画像データを意味する。各画素がバンドごとに有する値を、以下の説明において、「画素値」と称する。ハイパースペクトル画像におけるバンド数は、典型的には10以上であり、場合によっては100を超えることもある。「ハイパースペクトル画像」は、「ハイパースペクトルデータキューブ」または「ハイパースペクトルキューブ」と呼ばれることもある。
図1Aは、対象波長域Wと、それに含まれる複数のバンドW、W、・・・、Wとの関係を説明するための図である。対象波長域Wは、用途によって様々な範囲に設定され得る。対象波長域Wは、例えば、約400nmから約700nmの可視光の波長域、約700nmから約2500nmの近赤外線の波長域、または約10nmから約400nmの近紫外線の波長域であり得る。あるいは、対象波長域Wは、中赤外または遠赤外の波長域であってもよい。このように、使用される波長域は可視光域とは限らない。本明細書では、可視光に限らず、紫外線および近赤外線などの可視光の波長域に含まれない波長の電磁波も便宜上「光」と称する。
図1Aに示す例では、iを4以上の任意の整数として、対象波長域Wをi等分したそれぞれの波長域をバンドW、W、・・・、Wとしている。ただしこのような例に限定されない。対象波長域Wに含まれる複数のバンドは任意に設定してもよい。例えば、バンドによって幅を不均一にしてもよい。隣接するバンドの間にギャップがあってもよい。バンドの数が4つ以上であれば、RGB画像よりも多くの情報をハイパースペクトル画像から得ることができる。
図1Bは、ハイパースペクトル画像22の例を模式的に示す図である。図1Bに示す例において、撮像対象はりんごである。ハイパースペクトル画像22は、バンドW、W2、・・・、Wについての画像22W、22W、・・・、22Wを含む。これらの画像の各々は、2次元的に配列された複数の画素を含む。図1Bには、画素の区切りを示す縦横の破線が例示されている。1画像当たりの実際の画素数は、例えば数万から数千万のように大きい値であり得るが、図1Bにおいては、わかり易さのため、画素数が極端に少ないものとして画素の区切りが示されている。対象物を光で照射した場合に生じる反射光は、イメージセンサにおける光検出素子ごとに検出される。各光検出素子によって検出される光量を示す信号が、その光検出素子に対応する画素の画素値を表す。ハイパースペクトル画像22における各画素は、バンドごとに画素値を有する。したがって、ハイパースペクトル画像22を取得することにより、対象物のスペクトルの2次元分布の情報を得ることができる。対象物のスペクトルに基づいて、対象物の光に関する特性を正確に分析することができる。
次に、ハイパースペクトル画像を生成する方法の例を簡単に説明する。ハイパースペクトル画像は、例えばプリズムまたはグレーティングなどの分光素子を用いた撮像によって取得することができる。プリズムを用いる場合、対象物からの反射光または透過光がプリズムを通過すると、当該光はプリズムの出射面から波長に応じた出射角で出射される。グレーティングを用いる場合、対象物からの反射光または透過光がグレーティングに入射すると、当該光は波長に応じた回折角で回折される。対象物からの光をプリズムまたはグレーティングによってバンド分光し、バンド分離された光をバンドごとに検出することにより、ハイパースペクトル画像を得ることができる。
ハイパースペクトル画像は、特許文献2に開示された圧縮センシングの技術を利用して取得することもできる。特許文献2に開示された圧縮センシングの技術では、符号化素子と呼ばれるフィルタアレイを通して対象物で反射された光がイメージセンサによって検出される。フィルタアレイは、2次元的に配列された複数のフィルタを含む。それらのフィルタは、それぞれに固有の透過スペクトルを有する。そのようなフィルタアレイを用いた撮像により、複数のバンドの画像情報が1つの2次元画像として圧縮された圧縮画像が得られる。当該圧縮画像には、対象物のスペクトル情報が画素ごとに1つの画素値として圧縮されて記録される。
図2Aは、フィルタアレイ90の例を模式的に示す図である。フィルタアレイ90は、2次元的に配列された複数のフィルタを含む。各フィルタは、個別に設定された透過スペクトルを有する。透過スペクトルは、入射光の波長をλとして、関数T(λ)で表される。透過スペクトルT(λ)は、0以上1以下の値を取り得る。図2Aに示す例において、フィルタアレイ90は、6行8列に配列された48個の矩形状のフィルタを有している。これはあくまで例示であり、実際の用途では、これよりも多くのフィルタが設けられ得る。フィルタアレイ90に含まれるフィルタの個数は、イメージセンサの画素数と同程度であってもよい。
図2Bおよび図2Cは、それぞれ、図2Aのフィルタアレイ90に含まれる複数のフィルタのうち、第1フィルタA1および第2フィルタA2の透過スペクトルの例を示す図である。第1フィルタA1の透過スペクトルと第2フィルタA2の透過スペクトルとは、互いに異なっている。このように、フィルタアレイ90の透過スペクトルは、フィルタによって異なる。ただし、必ずしもすべてのフィルタの透過スペクトルが異なっている必要はない。フィルタアレイ90において、複数のフィルタのうちの少なくとも2つ以上のフィルタの透過スペクトルが互いに異なる。すなわち、フィルタアレイ90は、透過スペクトルが互いに異なる2つ以上のフィルタを含む。ある例では、フィルタアレイ90に含まれる複数のフィルタの透過スペクトルのパターンの数は、対象波長域に含まれるバンドの数iと同じか、それ以上であり得る。フィルタアレイ90は、半数以上のフィルタの透過スペクトルが異なるように設計されていてもよい。
図2Dは、対象波長域に含まれる複数のバンドW、W、・・・、Wのそれぞれの光の透過率の空間分布の例を示す図である。図2Dに示す例において、各フィルタの濃淡の違いは、光透過率の違いを表している。淡いフィルタほど透過率が高く、濃いフィルタほど透過率が低い。図2Dに示すように、バンドによって光透過率の空間分布が異なっている。本明細書では、フィルタアレイにおけるバンドごとの光透過率の空間分布を示すデータを「マスクデータ」と称する。圧縮センシングの技術により、マスクデータを用いて圧縮画像からハイパースペクトル画像を復元することができる。圧縮センシングの技術ではプリズムまたはグレーティングを用いる必要がないので、ハイパースペクトルカメラを小型化することができる。さらに、圧縮センシングの技術では、圧縮画像により、処理回路が処理するデータ量を低減することができる。圧縮センシングの技術によってハイパースペクトル画像を得る方法の詳細は、特許文献2に開示されている。特許文献2の開示内容の全体を本明細書に援用する。
従来のハイパースペクトルカメラを用いて対象物に混入した異物などの異常を検出する場合、異常についてのスペクトル情報が予めわかっている場合を除き、ハイパースペクトル画像におけるすべてのバンドの情報を分析することが求められる。例えば、機械学習などのアルゴリズムを利用して、対象物が正常な状態におけるハイパースペクトル画像のデータを教師データとして予め学習しておき、検査対象について取得されたハイパースペクトル画像の異常の有無を教師データに基づいて判定する方法が考えられる。そのような方法においては、検査対象について取得されたハイパースペクトル画像のすべてのバンドの情報に基づく分析が行われる。ハイパースペクトル画像のデータ量はRBG画像のデータ量よりも大きいので、すべてのバンドの情報を利用する場合、ハイパースペクトル画像のデータを記憶するために大容量の記憶媒体が必要である。さらに、すべてのバンドの情報を分析する場合、その分析に用いられる処理回路への演算負荷が高くなる。リアルタイムで高速な検査を実現するためには、そのような高い演算負荷に耐えられる高性能の処理回路が必要である。
本発明者らは、記憶媒体の容量および処理回路への演算付加を低減できる検査方法について検討を重ね、本開示の実施形態による検査方法に想到した。本開示のある実施形態による方法では、検査対象である対象物のスペクトルデータを取得し、そのスペクトルデータから前記対象物の異常を検査するための検査用バンドについての部分スペクトルデータを生成し、その部分スペクトルデータに基づいて、対象物の異常の有無が決定される。検査用バンドには、非特徴バンドを用いることができる。上記の非特徴バンドは、異常がない状態における対象物のスペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドから、当該スペクトルデータの値が相対的に大きいバンドを除く1つ以上のバンドである。本明細書において、異常がない状態における対象物のスペクトルデータを「第1スペクトルデータ」とも称し、部分スペクトルデータを「第2スペクトルデータ」とも称する。
本実施形態による方法では、検査対象の対象物のハイパースペクトル画像をすべて分析する必要がないので、大容量の記憶媒体および高性能の処理回路を用いることなく対象物の異常の有無を簡単に検査することができる。したがって、ハイパースペクトルカメラを内蔵した軽量および安価なモバイル端末を用いて、本実施形態による方法を実行することができる。以下に、本開示の実施形態による対象物の検査方法を簡単に説明する。
第1の項目に係る方法は、検査システムによって実行される方法である。前記方法は、異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、を含む。
この方法では、対象物の異常を検査するための検査用バンドを決定し、そのバンドデータを記録することにより、この後に対象物を簡単に検査することができる。
第2の項目に係る方法は、第1の項目に係る方法において、検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを取得することと、前記第2スペクトルデータに基づいて、検査対象の前記対象物の異常の有無を決定することと、前記異常の有無を示す検査データを出力することと、をさらに含む。
この方法では、検査用バンドにおける第2スペクトルデータに基づいて対象物を簡単に検査することができる。
第3の項目に係る方法は、第1または第2の項目に係る方法において、前記検査用バンドが、前記第1スペクトルデータの値の大きさが所定の閾値よりも小さいバンドである。
この方法では、所定の閾値に基づいて、第1スペクトルデータから検査用バンドを決定することができる。
第4の項目に係る方法は、第1から第3の項目のいずれかに係る方法において、前記第1スペクトルデータが更新された場合に、更新された前記第1スペクトルデータに基づいて、前記検査用バンドを更新することをさらに含む。
この方法では、過去の検査用バンドのデータを、必要に応じて新しい検査用バンドのデータに更新することができる。
第5の項目に係る方法は、第1から第4の項目のいずれかに係る方法において、前記検査用バンドの設定の開始をユーザが指示するためのGUIを表示装置に表示させることをさらに含む。
この方法では、ユーザが、GUIを介して検査用バンドの設定を開始することができる。
第6の項目に係る方法は、第1から第5の項目のいずれかに係る方法において、前記対象物の検査の開始をユーザが指示するためのGUIを表示装置に表示させることをさらに含む。
この方法では、ユーザが、GUIを介して対象物の検査を開始することができる。
第7の項目に係る方法は、第5または第6の項目に係る方法において、前記GUIが、ユーザの指示により、前記検査用バンドの設定の開始と、前記対象物の検査の開始との間で切り替えることが可能である。
この方法では、ユーザが、1つのGUIを介して検査用バンドの設定または対象物の検査を開始することができる。
第8の項目に係る方法は、第1から第7の項目のいずれかに係る方法において、前記第1スペクトルデータが、異常がない状態における前記対象物の第1ハイパースペクトル画像データである。
この方法では、ハイパースペクトル画像データを用いて対象物を検査することができる。
第9の項目に係る方法は、第8の項目に係る方法において、前記第1ハイパースペクトル画像データが、異常がない状態における前記対象物の第1圧縮画像データから復元された画像データである。前記第1圧縮画像データは、前記複数のバンドの画像情報が圧縮された2次元画像データである。
この方法では、圧縮画像データを用いることにより、処理回路が処理するデータ量を低減することができる。
第10の項目に係る方法は、第9の項目に係る方法において、前記第1圧縮画像データが、フィルタアレイを通して前記対象物からの光を検出することによって取得される。前記フィルタアレイは、2次元的に配列された複数のフィルタを備える。前記複数のフィルタのうちの少なくとも2つ以上のフィルタの透過スペクトルは互いに異なっている。前記第1ハイパースペクトル画像データは、前記フィルタアレイについてのバンドごとの光透過率の空間分布を示すマスクデータによって前記第1圧縮画像データから復元される。
この方法では、フィルタアレイによって圧縮画像データを取得し、マスクデータによって圧縮画像データからハイパースペクトル画像データを復元することができる。
第11の項目に係る方法は、第1から第10の項目のいずれかに係る方法において、検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを取得することと、前記第2スペクトルデータに基づく画像を表示装置に表示することと、を含む。
この方法では、ユーザが、表示装置に表示された画像に基づいて対象物を簡単に検査することができる。
第12の項目に係る処理装置は、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、を備えた処理装置である。前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、を実行させる。
この処理装置では、対象物の異常を検査するための検査用バンドを決定し、そのバンドデータを記録することにより、この後に、対象物を簡単に検査することができる。
第13の項目に係る検査システムは、センサと、処理装置とを備える検査システムである。前記処理装置は、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、を含む。前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを前記センサから取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを前記センサから取得することと、前記第2スペクトルデータに基づいて、検査対象の前記対象物の異常の有無を決定することと、前記異常の有無を示す検査データを出力することと、を実行させる。
この検査システムでは、検査用バンドにおける第2スペクトルデータに基づいて対象物を簡単に検査することができる。
第14の項目に係る検査システムは、センサと、処理装置と、表示装置とを備える検査システムである。前記処理装置は、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、を含む。前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを前記センサから取得することと、前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを前記センサから取得することと、前記第2スペクトルデータに基づく画像を前記表示装置に表示することと、を実行させる。
この検査システムでは、ユーザが、表示装置に表示された画像に基づいて対象物を簡単に検査することができる。
(実施形態1)
まず、図3を参照して、異常がない状態における対象物のスペクトルの例を説明する。図3は、異常がない状態における対象物のスペクトルの例を模式的に示すグラフである。このグラフは、対象物が写る複数の画素におけるスペクトルを平均化したグラフ、または当該複数の画素の1つにおけるスペクトルのグラフである。グラフの縦軸は画素値を表し、グラフの横軸は波長を表す。図3に示す破線は対象物の本来のスペクトルを表し、図3に示す実線は、本来のスペクトルがバンドごとに平均化されたスペクトルを表す。ハイパースペクトルカメラによって実際に得られる対象物のスペクトルは、このようにバンドごとに平均化されたスペクトルである。図3に示す例において、対象波長域WはバンドWからW12を含む。対象物のスペクトルに含まれる複数のバンドは、各バンドにおけるスペクトルの値の大きさに基づき分類される。以下、分類方法の一例を説明する。
対象物のスペクトルは、あるバンドにおいて、その対象物に特有の大きい値を有する。図3に示す例において、対象物のスペクトルは、バンドW、W、およびW11において、極大値に起因する大きい値を示す。本明細書において、対象波長域Wに含まれるすべてのバンドのうち、異常がない状態における対象物のスペクトルにおいて、予め設定された閾値以上の値を有するバンドを「特徴バンド」と称し、それ以外のバンドを「非特徴バンド」と称する。非特徴バンドは、対象波長域に含まれる複数のバンドのうち、スペクトルデータの値が相対的に大きいバンドを除いたバンドである。閾値の設定は任意である。図3に示す例において、当該閾値は、バンドごとに平均化されたスペクトルが有する最大画素値の1/4の値である。最大画素値は任意単位で0.8であり、その1/4の値は0.2である。図3に示す例において、非特徴バンドは、ハッチングによって表されたバンドW、W、W、W、およびWである。特徴バンドは、それら以外のバンドW、バンドWからW、およびバンドW10からW12である。閾値は、対象波長域においてバンドごとに平均化されたスペクトルが有する最大画素値の1/2の値としてもよい。
次に、図4Aから図4Cを参照して、異常がある状態における対象物の例を説明する。図4Aから図4Cは、異常がある状態の対象物10の例を模式的に示す図である。図4Aから図4Cでは、それぞれ、対象物10として、りんご、弁当、および人の顔が示されている。図4Aに示す例において、りんごは黒く窪んだ部分を有する。黒く窪んだ部分が異常部分10Aである。図4Bに示す例において、弁当は、上部にある4つのおにぎり、左下部にある2つの卵焼き、および右下部にある2つの唐揚げを含む。弁当には髪の毛が混入している。髪の毛が異常部分10Aである。図4Cに示す例において、対象物10である人の顔は、破線によって囲まれた領域においてニキビおよびシミを有する。上部にニキビがあり、下部にシミがある。ニキビおよびシミが異常部分10Aである。図4Aから図4Cに示す例の他に、異常がある状態の対象物は、例えば、錆を有する金属、塗装が薄くなったりはがれたりした塗装面、または傷を有するコンクリートであり得る。
なお、本開示における検査装置は、同一の物体の経時変化による異常を検査する場合、および同一種類の多数の物体の各々についての異常の有無を検査する場合の両方に用いることができる。後者の場合、「対象物」は1つ物体を意味するのではなく、検査対象となる多数の同種の物体の総称である。例えば、類似したスペクトルを示す多数のりんごの各々について異常を検査する場合、あるいは内容物が同じである多数の弁当の各々について異常を検査する場合が、これに該当する。
次に、図5Aおよび図5Bを参照して、異常がある状態における対象物のスペクトルの例を説明する。図5Aは、異常がある状態における対象物のスペクトルの例を模式的に示すグラフである。このグラフは、対象物の異常部分が写るある画素における対象物のスペクトルのグラフである。図5Aに示す例では、図3に示す例とは異なり、対象物のスペクトルは、非特徴バンドのうち、バンドWおよびWにおいて異常に起因するピークを有する。図5Bは、図5Aに示すバンドごとに平均化されたスペクトルから抽出された非特徴バンドについてのスペクトルを模式的に示すグラフである。図5Bに示す実線は、異常がある状態の非特徴バンドについての対象物のスペクトルを表す。図5Bに示す破線は、図3に示す異常がない状態の非特徴バンドについての対象物のスペクトルを表す。図5Bに示すように、非特徴バンドについての対象物のスペクトルは、異常に起因して上昇する。したがって、対象物10に異常部分10Aがあると、非特徴バンドについての複数の画像の少なくとも1つにおいて、異常部分10Aがそれ以外の部分よりも明るく表示される。異常部分10Aが強調された画像により、異常部分10Aを容易に発見することができる。
異常の有無は、例えば以下のようにして判断され得る。非特徴バンドについての複数の画像の少なくとも1つにおいて、ある画素の画素値が前述の閾値を超える場合、当該画素に対応する箇所に異常部分10Aが存在すると判断できる。あるいは、非特徴バンドについての複数の画像を重畳した1つの重畳画像によって異常部分10Aの有無を判断してもよい。重畳画像における画素ごとの画素値は、例えば、複数の画像における画素値を画素ごとに平均化した値に等しい。非特徴バンドについての重畳画像において、ある画素の画素値が、異常がない状態における非特徴バンドについての平均画素値よりも所定の値だけ大きい場合、当該画素に対応する箇所に異常部分10Aが存在すると判断できる。このように、対象物の異常を検査する検査用バンドとして非特徴バンドを用いることができる。
実施形態1による対象物の検査方法では、ハイパースペクトル画像に含まれるすべての画像を分析する必要はなく、検査用バンドについての画像を分析するだけで、従来よりも簡単に対象物の異常を検出することができる。また、発生し得る異常に起因するスペクトルの特徴が予め分からない場合であっても、簡単に対象物の異常を検出することができる。
以下に、図6を参照して、本開示の実施形態1による検査装置の例を説明する。ここでは、圧縮センシングの技術を用いずにハイパースペクトル画像のデータを生成する例を説明する。図6は、本開示の実施形態1による検査装置100の例を模式的に示すブロック図である。図1に示す例において、検査対象の対象物10はりんごであるが、これに限られない。対象物10は、例えば弁当または人の肌のように任意の物体であり得る。
図6に示すように、検査装置100は、ハイパースペクトルカメラ20と、記憶装置30と、表示装置40と、処理回路50と、メモリ52とを備える。処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20、記憶装置30、および表示装置40の動作を制御する。処理回路50によって実行されるコンピュータプログラムは、ROMまたはRAM(Random Access Memory)などのメモリ52に格納されている。本明細書において、処理回路50およびメモリ52を備える装置を「処理装置」とも称する。処理回路50およびメモリ52は、1つの回路基板に集積されていてもよいし、別々の回路基板に設けられていてもよい。図6に示す検査装置100の構成は、例えば、モバイル端末またはパーソナルコンピュータの構成の一部であってもよい。あるいは、図6に示す検査装置100は、対象物10の異常の有無を検査する専用の装置であってもよい。
対象物10は、検査用の光源から出射された光または環境光で照射される。検査用の光源から出射される光または環境光は、例えば、可視光、または可視光および近赤外線を含み得る。
ハイパースペクトルカメラ20は、光の照射によって対象物10で生じた反射光を検出することによって対象物10を撮像する。図6に示す矢印付きの破線は、対象物10で生じた反射光を表す。ハイパースペクトルカメラ20は、上記の検査用の光源を備えていてもよい。ハイパースペクトルカメラ20は、対象物10のハイパースペクトル画像のデータを生成して出力する。
記憶装置30は、非特徴バンドのデータを記憶する。非特徴バンドは対象物によって異なる。非特徴バンドのデータは、対象物10の検査前に記憶装置30に記憶されている場合もあれば、記憶されていない場合もある。非特徴バンドのデータが記憶装置30に記憶されていない場合における非特徴バンドの設定方法については後述する。
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20から対象物10のハイパースペクトル画像のデータを取得し、記憶装置30から非特徴バンドのデータを取得する。処理回路50は、取得したこれらのデータに基づいて対象物10の異常の有無を検査する。この検査方法については後述する。
表示装置40は、非特徴バンドの設定の開始をユーザが指示するための設定モードのGUI(Graphic User Interface)、および対象物10の検査の開始をユーザが指示するための検査モードのGUIを表示する。さらに、表示装置40は対象物10の検査結果を表示する。表示装置40は、例えばモバイル端末またはパーソナルコンピュータのディスプレイであり得る。
次に、図7Aから図7Cを参照して、実施形態1における処理回路50が実行する動作の例を説明する。まず、対象物10についての非特徴バンドが設定される。図7Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態1における処理回路50が実行する動作の例を示すフローチャートである。これ以降の図に示す「HS画像」はハイパースペクトル画像を表し、「HSカメラ」はハイパースペクトルカメラを表す。ユーザは、対象物10を検査する前に、対象物10についての非特徴バンドのデータが記憶装置30に記憶されているか否かを確認する。非特徴バンドのデータが記憶装置30に記憶されていないことをユーザが確認した場合、ユーザは、表示装置40に表示されるGUIを介して非特徴バンドの設定を開始する信号を処理回路50に送信する。処理回路50は、当該信号を受けて以下のステップS101からS104の動作を実行する。
<ステップS101>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20に対象物10の正常部分を撮像させてそのハイパースペクトル画像のデータを生成させる。対象物10の正常部分についてはユーザが目視で決定してもよい。対象物10の正常部分は、異常がない状態の同種類の他の対象物の一部であってよい。ユーザは、撮像の前に、対象物10の正常部分をハイパースペクトルカメラ20の前に配置する。
<ステップS102>
処理回路50は、正常部分のハイパースペクトル画像のデータをハイパースペクトルカメラ20から取得する。
<ステップS103>
処理回路50は、ステップS102において取得したデータから非特徴バンドを決定する。この具体的な動作は以下の通りである。処理回路50は、取得したデータから正常部分のスペクトルデータを生成する。正常部分のスペクトルデータは、例えば、正常部分が写る複数の画素のスペクトルデータを平均化したスペクトルデータ、または当該複数の画素の1つのスペクトルデータであり得る。処理回路50は、正常部分のスペクトルデータに基づいて、図3を参照して説明した方法によって対象波長域から非特徴バンドを自動的に選択してもよい。あるいは、処理回路50は表示装置40に正常部分のスペクトルデータに基づく画像を表示させ、ユーザが目視により、表示された画像から非特徴バンドを選択してもよい。
<ステップS104>
処理回路50は、非特徴バンドのデータを記憶装置30に記憶させる。
非特徴バンドを設定した後、対象物10の異物の有無が検査される。図7Bは、対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態1における処理回路50が実行する動作の例を示すフローチャートである。非特徴バンドのデータが記憶装置30に記憶されていることをユーザが確認した場合、ユーザは、表示装置40に表示されるGUIを介して対象物10の検査を開始する信号を処理回路50に送信する。処理回路50は、当該信号を受けて以下のステップS201およびS206の動作を実行する。この動作により、検査対象の対象物10の異物の有無を検査することができる。
<ステップS201>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20に検査対象の対象物10を撮像させて対象物10のハイパースペクトル画像のデータを生成させる。
<ステップS202>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20から対象物10のハイパースペクトル画像のデータを取得し、記憶装置30から非特徴バンドのデータを取得する。
<ステップS203>
処理回路50は、ステップS202において取得したデータから非特徴バンドについての部分スペクトルデータを生成する。非特徴バンドについての部分スペクトルデータは、非特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データであってもよい。あるいは、非特徴バンドについての部分スペクトルデータは、非特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データを重畳した1つの重畳画像データであってもよい。重畳画像データにより、次のステップS204において分析するデータ量を減らすことができる。
非特徴バンドについての部分スペクトルデータと比較するために、処理回路50は、対象波長域のうち、特徴バンドについてのスペクトルデータをさらに生成してもよい。特徴バンドについてのスペクトルデータは、特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データであってもよい。あるいは、特徴バンドについてのスペクトルデータは、特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データを重畳した1つの重畳画像データであってもよい。
<ステップS204>
処理回路50は、部分スペクトルデータに基づいて、対象物10の異常の有無を決定する。処理回路50は、図5Aおよび図5Bを参照して説明した方法により、非特徴バンドについてのすべての画像データの各々または重畳画像データを分析して対象物10の異常の有無を決定してもよい。処理回路50は、異常の有無を示すデータを表示装置40に出力する。対象物10に異常がある場合、処理回路50はステップS205の動作を実行する。対象物10に異常がない場合、処理回路50はステップS206の動作を実行する。
<ステップS205>
処理回路50は、対象物10に異常があることを表示装置40に表示させる。
<ステップS206>
処理回路50は、対象物10に異常がないことを表示装置40に表示させる。なお、対象物10に異常がない場合、処理回路50は、ステップS206の動作を実行せずに処理動作を終了してもよい。
部分スペクトルデータに基づく対象物10の検査は、ユーザが行ってもよい。図7Cは、対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態1における処理回路50が実行する動作の他の例を示すフローチャートである。処理回路50は、ステップS201からS203の後に、ステップS207の動作を実行する。
<ステップS207>
処理回路50は、部分スペクトルデータに基づく画像を表示装置40に表示させる。ユーザは、表示された画像から目視で対象物10の異常の有無を決定する。部分スペクトルデータに基づく画像は、例えば非特徴バンドについてのすべての画像、またはそれらすべての画像を重畳した1つの重畳画像であり得る。非特徴バンドについてのすべての画像の少なくとも1つまたは重畳画像において、他の部分よりも明るく表示されている部分があれば、ユーザは当該部分に異常部分が存在すると判断できる。
前述した例とは異なる例として、ステップS201からS203の代わりに、処理回路50は以下の動作を実行してもよい。処理回路50は、記憶装置30から非特徴バンドのデータを取得する。次に、処理回路50は、取得したデータに基づいて、ハイパースペクトルカメラ20に、対象波長域におけるすべてのバンドについてのすべての画像データを生成させることなく、非特徴バンドについての部分スペクトルデータだけを生成させる。その後、処理回路50はステップS204の動作を実行する。
実施形態1による対象物の検査方法において、非特徴バンドのデータを記憶するのに大容量の記憶媒体は必要ない。さらに、実施形態1による対象物の検査方法において、非特徴バンドについての部分スペクトルデータを分析するのに高性能の処理回路は必要ない。したがって、実施形態1による対象物の検査方法では、大容量の記憶媒体および高性能の処理回路を必要とせずに、対象物の異常をより簡単に検出することができる。
次に、図8を参照して、実施形態1における記憶装置30に記憶される非特徴バンドのデータの例を説明する。図8は、実施形態1における記憶装置30に記憶される非特徴バンドのデータの例を模式的に示すテーブルである。図8に示す例では、りんご、弁当、人の肌などのユースケースごとに非特徴バンドのデータが記憶されている。例えば、ケースAにおいて、非特徴バンドは、バンドW、W、W、およびWなどのバンドを含む。ケースBにおいて、非特徴バンドは、バンドW、W、W、およびWなどのバンドを含む。ケースCにおいて、非特徴バンドは、バンドW、W、W11、およびW15などのバンドを含む。ユースケースのデータと一緒に、以下の関連情報のデータを記憶してもよい。当該関連情報は、例えば、ゲインおよび露光時間などのハイパースペクトルカメラ20の設定情報、ならびにユーザが任意に入力した照明の明るさ、温度、および湿度などの撮像環境の情報、撮像時の天候情報、対象物の名前、ならびにハイパースペクトル画像のサイズであり得る。
次に、図9Aおよび図9Bを参照して、表示装置40に表示されるGUIの例を説明する。図9Aおよび図9Bは、それぞれ、実施形態1における表示装置40に表示される、設定モードおよび検査モードのGUIの例を模式的に示す図である。図9Aおよび図9Bに示すように、GUIには設定ボタンおよび検査ボタンが表示されている。ユーザはこれらのボタンのどちらかを押して、設定モードまたは検査モードを選択する。このように、当該GUIは、設定モードと検査モードとの間で切り替えることが可能である。
図9Aに示す設定モードにおいて、撮像対象が対象物10の正常部分であることがわかるように、確認画像として対象波長域のあるバンドについての画像を表示してもよい。図9Aに示す例では、りんごの正常部分が拡大された画像が表示されている。正常部分が明瞭にわかる画像であれば、RGB画像またはモノクロ画像であってもよい。ユーザは、対象物10の正常部分をハイパースペクトルカメラ20の前に配置し、GUI中の撮像ボタンを押して正常部分のハイパースペクトル画像を撮像する。処理回路50は、図7Aに示すステップS101からS103の動作を実行して非特徴バンドを決定する。GUIにおいて、ハイパースペクトル画像を撮像するためのボタンと、非特徴バンドを決定するためのボタンとが分かれていてもよい。決定された非特徴バンドの情報、およびユースケースとして登録する対象物の名前などの情報をGUIに表示してもよい。処理回路50は、図7Aに示すステップS104の動作を実行して非特徴バンドのデータをユースケースのデータとともに記憶装置30に記憶させる。処理回路50は、前述の関連情報のデータを記憶装置30にさらに記憶させてもよい。
図9Bに示す検査モードにおいて、設定した非特徴バンドの情報、ユーザが選択したユースケースの情報、および非特徴バンドについての画像をGUIに表示してもよい。非特徴バンドについての画像は、非特徴バンドに含まれるすべての画像、またはそれらすべての画像を重畳した1つの重畳画像であってもよい。あるいは、非特徴バンドについての画像は、非特徴バンドについてのすべての画像のうち、異常部分が最も明瞭にわかる1つの画像であってもよい。すべての画像をGUIに表示する場合、すべての画像を一度にGUIに表示してもよいし、各画像をスライド形式で表示してもよい。図9Bに示す例では、重畳画像が示されている。非特徴バンドについての画像は静止画であっても動画であってもよい。
さらに、非特徴バンドについての画像との比較のために、特徴バンドについての画像をGUIに表示してもよい。特徴バンドについての画像は、特徴バンドに含まれるすべての画像、またはそれらすべての画像を重畳した1つの重畳画像であってもよい。すべての画像をGUIに表示する方法については前述した通りである。特徴バンドについての画像は静止画であっても動画であってもよい。
処理回路50は、非特徴バンドについての画像データ、または非特徴バンドおよび特徴バンドについての画像データを記憶装置30に記憶させてもよい。
図9Bに示す例では、りんごに黒い窪みがある。この黒い窪みを実線で囲み、異物があるという警告を検査モードのGUIに表示してもよい。
(実施形態2)
次に、圧縮センシングの技術を用いてハイパースペクトル画像のデータを生成する、実施形態2による検査装置の例を説明する。これ以降の実施形態において、前述の説明と重複する説明については省略する。実施形態2による検査装置は、図6に示す検査装置100と同じ構成を備える。実施形態2における記憶装置30は、図8に示す非特徴バンドに含まれるバンドのデータに加えて、復元テーブルを記憶する。「復元テーブル」は、圧縮センシングを用いて取得された圧縮画像からハイパースペクトル画像を復元する際の演算に用いられるデータである。ハイパースペクトルカメラ20が前述したようなフィルタアレイにより対象物のスペクトルの圧縮センシングを行うカメラであった場合、フィルタアレイの光透過率の空間分布を示す「マスクデータ」が、この「復元テーブル」に相当する。以降、本実施形態では、ハイパースペクトルカメラ20としてこのようなフィルタアレイを用いて圧縮センシングを行うカメラを用いるが、圧縮センシングの方式はこれに限定されず、周知の他の圧縮センシングの方式を適用することができる。
本実施形態における記憶装置30は、復元テーブルとして、すべてのバンド情報を含むマスクデータおよび非特徴バンドについてのマスクデータを記憶する。すべてのバンド情報を含むマスクデータは、対象物10の検査前に記憶装置30に記憶されている。これに対して、非特徴バンドに含まれるバンドのデータおよび非特徴バンドについてのマスクデータは、対象物10の検査前に記憶装置30に記憶されている場合もあれば、記憶されていない場合もある。
図10Aは、実施形態2における記憶装置30に記憶されるすべてのバンド情報を含むマスクデータの例を示すテーブルである。図10Bは、実施形態2における記憶装置30に記憶される非特徴バンドについてのマスクデータの例を示すテーブルである。図10Aおよび図10Bに示すフィルタ1、フィルタ2などのフィルタ番号は、フィルタアレイに含まれる2次元的に配列された複数のフィルタの識別番号である。図10Aおよび図10Bに示す数値はフィルタごとの光透過率を表す。図10Bに示す例では、図8に示すケースAの非特徴バンドについてのマスクデータが示されている。
次に、図11Aから図11Cを参照して、実施形態2における処理回路50が実行する動作の例を説明する。まず、対象物10についての非特徴バンドが設定される。図11Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態2における処理回路50が実行する動作の例のフローチャートである。処理回路50は、以下のステップS301からS305の動作を実行する。
<ステップS301>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20に対象物10の正常部分を撮像させてその圧縮画像のデータを生成させる。
<ステップS302>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20から正常部分の圧縮画像のデータを取得し、記憶装置30からマスクデータを取得する。
<ステップS303>
処理回路50は、ステップS302において取得したデータから正常部分のハイパースペクトル画像のデータを復元する。
<ステップS304およびS305>
ステップS304およびS305の動作は、それぞれ、図7Aに示すステップS103およびS104の動作と同一である。圧縮センシングの技術を用いる場合、非特徴バンドのデータは、非特徴バンドに含まれるバンドのデータ、および非特徴バンドについてのマスクデータを含む。
非特徴バンドを設定した後、対象物10の異物の有無が検査される。図11Bは、対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態2における処理回路50が実行する動作の例を示すフローチャートである。処理回路50は、以下のステップS401からS406の動作を実行する。この動作により、検査対象の対象物10の異物の有無を検査することができる。
<ステップS401>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20に検査対象の対象物10を撮像させて対象物10の圧縮画像のデータを生成して出力させる。
<ステップS402>
処理回路50は、ハイパースペクトルカメラ20から対象物10の圧縮画像のデータを取得し、記憶装置30からマスクデータおよび非特徴バンドのデータを取得する。
<ステップS403>
処理回路50は、ステップS402において取得したデータから非特徴バンドについての部分スペクトルデータを生成する。具体的な動作は以下の通りである。処理回路50は、マスクデータを用いて対象物10の圧縮画像のデータから対象波長域に含まれるすべての画像データを復元し、復元した当該データから非特徴バンドについての画像データを抽出して部分スペクトルデータを生成してもよい。非特徴バンドについての部分スペクトルデータと比較するために、処理回路50は、特徴バンドについてのスペクトルデータを生成してもよい。非特徴バンドおよび特徴バンドについての部分スペクトルデータについては、図7Bに示すステップS203において説明した通りである。
あるいは、処理回路50は、マスクデータを再構成し、その再構成したマスクデータを用いることにより、非特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データを重畳した1つの重畳画像データと、特徴バンドに含まれるすべてのバンドについてのすべての画像データを重畳した1つの重畳画像のデータとを生成してもよい。この方法では、2つの画像データを生成するだけなので、処理回路50への演算負荷を低くすることができる。当該方法の詳細は、特願2020-056353に開示されている。
<ステップS404からS406>
ステップS404からS406の動作は、それぞれ、図7Bに示すステップS204からS206の動作と同一である。
実施形態1と同様に、部分スペクトルデータに基づく対象物10の検査は、ユーザが行ってもよい。図11Cは、対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態2における処理回路50が実行する動作の他の例を示すフローチャートである。処理回路50は、ステップS401からS403の後に、ステップS407の動作を実行する。ステップS407の動作は、図7Cに示すステップS207の動作と同一である。
(実施形態3)
実施形態1および2では、検査装置100に含まれる処理回路50が非特徴バンドを決定する。検査装置100に通信ネットワーク介して外部のサーバが接続される場合、外部のサーバに含まれる処理回路が非特徴バンドを決定してもよい。非特徴バンドの決定を外部のサーバに任せるのは、例えば、正常部分のスペクトルから非特徴バンドを決定することが容易ではない場合、または検査装置100に含まれる処理回路50の演算負荷を低くしたい場合である。本明細書において、検査装置およびサーバをまとめて「検査システム」と称する。以下に、図12を参照して、実施形態3による検査システムの例を説明する。ここでは、圧縮センシングを用いずにハイパースペクトル画像を生成する例を説明する。
図12は、実施形態3による検査システム200の例を模式的に示すブロック図である。図12に示すように、検査システム200は、有線または無線の通信ネットワークを介して互いに接続された検査装置100およびサーバ110を備える。検査装置100は、図6に示す構成に加えて、送信回路12sおよび受信回路12rを備える。サーバ110は、送信回路14sおよび受信回路14rと、記憶装置60と、処理回路70と、メモリ72とを備える。記憶装置60には、複数の対象物についての非特徴バンドの過去データが記憶され得る。サーバ110における処理回路70およびメモリ72の関係は、検査装置100における処理回路50およびメモリ52の関係と同様である。検査装置100は、送信回路12sおよび受信回路12rによってサーバ110とデータの送受信を行う。サーバ110は、送信回路14sおよび受信回路14rによって検査装置100とデータの送受信を行う。本明細書において、検査装置100に含まれる処理回路50を「第1処理回路50」と称し、サーバ110に含まれる処理回路70を「第2処理回路70」と称する。
実施形態3による検査システム200では、第1処理回路50ではなく、第2処理回路70が非特徴バンドを決定する。第2処理回路70は、外部の入出力装置80を用いて非特徴バンドを決定してもよい。
次に、図13Aおよび図13Bを参照して、実施形態3における第1処理回路50および第2処理回路70の動作の例を説明する。図13Aは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態3における第1処理回路50が実行する動作の例を示すフローチャートである。第1処理回路50は、以下のステップS501からS504の動作を実行する。
<ステップS501およびS504>
ステップS501およびS504の動作は、それぞれ図7Aに示すステップS101およびS104の動作と同一である。
<ステップS502>
第1処理回路50は、送信回路12sに、正常部分のハイパースペクトル画像のデータをサーバ110に向けて送信させる。当該データは対象物の名前の情報も含む。
<ステップS503>
第1処理回路50は、受信回路12rが非特徴バンドのデータをサーバ110から受信したか否かを判定する。判定がYesの場合、第1処理回路50はステップS504の動作を実行する。判定がNoの場合、第1処理回路50はステップS503の動作を再度実行する。
図13Bは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態3における第2処理回路70が実行する動作の例を示すフローチャートである。第2処理回路70は、以下のステップS601からS610の動作を実行する。これらの動作は、図13Aに示すステップS502とステップS503との間に実行される。
<ステップS601>
第2処理回路70は、受信回路14rが正常部分のハイパースペクトル画像のデータを受信したか否かを判定する。判定がYesの場合、第2処理回路70はステップS602の動作を実行する。判定がNoの場合、第2処理回路70はステップS601の動作を再度実行する。
<ステップS602>
第2処理回路70は、正常部分のハイパースペクトル画像のデータを受信回路14rから取得する。
<ステップS603>
第2処理回路70は、過去データを検索することにより、正常部分のハイパースペクトル画像のデータと同様の過去データが記憶装置60に記憶されているか否かを判定する。過去データにラベルとして対象物の名前が付されている場合、第2処理回路70は、検査装置100から送信されたデータに含まれる対象物10の名前が、過去データに付された対象物の名前と一致するか否かを調べてもよい。判定がYesの場合、第2処理回路70は、ステップS604の動作を実行する。判定がNoの場合、処理回路70はステップS605の動作を実行する。
<ステップS604>
第2処理回路70は、ステップS603における検索によって見つけ出したデータを、対象物10についての非特徴バンドのデータとして決定する。
<ステップS605>
第2処理回路70は、正常部分のスペクトルデータから非特徴バンドを決定するプログラムがメモリ72に格納されているか否かを判定する。当該プログラムは、例えば、図3を参照して説明した方法を実行するプログラムであり得る。判定がYesの場合、第2処理回路70は、ステップS606の動作を実行する。判定がNoの場合、第2処理回路70は、ステップS607の動作を実行する。
<ステップS606>
第2処理回路70は、プログラムを実行して正常部分のハイパースペクトル画像のデータから非特徴バンドを決定する。第2処理回路70は、記憶装置60に記憶されたハイパースペクトル画像の過去データに基づいて非特徴バンドのデータを類推してもよい。
<ステップS607>
第2処理回路70は、正常部分のハイパースペクトル画像のデータを入出力装置80に出力する。入出力装置80は当該データから非特徴バンドを決定する。入出力装置80では、外部の専門家がデータを分析して非特徴バンドを決定してもよい。対象物10が例えば複数の具材を含む弁当である場合、正常部分のスペクトルは、ある具材が写る画素と他の具材が写る画素とにおいて異なる。このため、スペクトルデータの分析が複雑になり得る。複雑な分析は外部の専門家が行ってもよい。
<ステップS608>
第2処理回路70は、非特徴バンドのデータを入出力装置80から取得する。上記の弁当の場合、非特徴バンドのデータは、複数の具材の各々についての非特徴バンドのデータである。
<ステップS609>
第2処理回路70は、対象波長域のデータを送信回路14sに出力する。
<ステップS610>
第2処理回路70は、送信回路14sに、非特徴バンドのデータを検査装置100に向けて送信させる。
対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態3における第1処理回路50が実行する動作は、図7Bまたは図7Cに示すステップの動作と同一である。
次に、図14を参照して、実施形態3における検査装置100とサーバ110との間で実行される処理動作の流れを説明する。図14は、実施形態3における検査装置100およびサーバ110の動作の例を示すシーケンス図である。図14では、第1処理回路50および第2処理回路70が実行する代表的な動作が示されている。
図14に示すように、非特徴バンドの設定、対象物の検査、および非特徴バンドの更新の動作がこの順に実行される。非特徴バンドの設定の動作については、図13Aに示すステップS501からS504、および図13Bに示すステップS601からS610において説明した通りである。対象物の検査の動作については、図7Bに示すステップS201からS206において説明した通りである。非特徴バンドの更新の動作については、新たな対象物の正常部分を撮像する以外は、非特徴バンドの設定の動作と同一である。第2処理回路70は、正常部分のハイパースペクトル画像のデータが更新された場合に、当該データに基づいて非特徴バンドを更新する。
非特徴バンドの更新は定期的に実行されてもよいし、ユーザまたはサーバ110の判断によって実行されてもよい。定期的な更新は、例えば日単位、週単位、月単位、または年単位の周期の更新であり得る。ユーザが判断する場合は、例えば、ユーザが検査装置100の使用環境が変わったと判断する場合、またはユーザがこれまで異常として扱っていた状態を異常な状態ではないと判断する場合である。サーバ110が判断する場合は、例えば、サーバ110が正常部分のスペクトルデータを定期的に分析し、ユーザが気づかないわずかな違いを発見する場合である。
(実施形態4)
次に、圧縮センシングの技術を用いてハイパースペクトル画像のデータを生成する、本開示の実施形態4による検査システムの例を説明する。実施形態4による検査システムは、図12に示す検査システム200と同じ構成を備える。実施形態4における検査装置100に含まれる記憶装置30は、図8に示す非特徴バンドに含まれるバンドのデータに加えて、図10Aに示すすべてのバンド情報を含むマスクデータを記憶する。
次に、図15を参照して、実施形態4における第1処理回路50が実行する動作の例を説明する。図15は、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態4における第1処理回路50が実行する動作の例を示すフローチャートである。第1処理回路50は、以下のステップS701からS706の動作を実行する。
<ステップS701からS703、およびステップS706>
ステップS701からS703、およびステップS706の動作は、それぞれ、図11Aに示すステップS301からS303、およびステップS305の動作と同一である。
<ステップS704>
第1処理回路50は、送信回路12sに、正常部分のハイパースペクトル画像のデータをサーバ110に向けて送信させる。
<ステップS705>
第1処理回路50は、受信回路12rが非特徴バンドのデータをサーバ110から受信したか否かを判定する。判定がYesの場合、第1処理回路50はステップS706の動作を実行する。判定がNoの場合、第1処理回路50はステップS705の動作を再度実行する。
非特徴バンドを設定する場合の、実施形態4における第2処理回路70の動作は、図13Bに示すステップの動作と同一である。対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態4における第1処理回路50が実行する動作は、図11Bまたは図11Cに示すステップの動作と同一である。実施形態4による検査システム200における検査装置100とサーバ110との間で実行される処理動作の流れは、図14に示す処理動作の流れと同一である。
(実施形態5)
次に、圧縮センシングの技術を用いてハイパースペクトル画像のデータを生成する、本開示の実施形態5による検査システムの例を説明する。実施形態5による検査システムは、図12に示す検査システム200と同じ構成を備える。実施形態5による検査システムが実施形態4による検査システムとは異なる点は、検査装置100における記憶装置30だけでなく、サーバ110における記憶装置60も、図10Aに示すすべてのバンド情報を含むマスクデータを記憶することである。
次に、図16Aおよび図16Bを参照して、実施形態5における第1処理回路50および第2処理回路70の動作を説明する。図16Aは、非特徴バンドを設定する場合の、第1処理回路50の動作のフローチャートである。第1処理回路50は、以下のステップS801からS804の動作を実行する。
<ステップS801、S803、およびS804>
ステップS801、S803、およびS804の動作は、それぞれ、図15に示すステップS701、S705、およびS706の動作と同一である。
<ステップS802>
第1処理回路50は、送信回路12sに、正常部分の圧縮画像のデータをサーバ110に向けて送信させる。実施形態5による検査システムでは、サーバ110における記憶装置60がマスクデータを記憶しているので、検査装置100において正常部分の圧縮画像のデータをハイパースペクトル画像のデータに復元する必要はない。したがって、第1処理回路50への演算負荷を低くすることができる。
図16Bは、非特徴バンドを設定する場合の、実施形態5における第2処理回路70が実行する動作の例を示すフローチャートである。第2処理回路70は、以下のステップS901からS911の動作を実行する。これらの動作は、図16Aに示すステップS802とステップS803との間に実行される。
<ステップS901>
第2処理回路70は、受信回路14rが正常部分の圧縮画像のデータを受信したか否かを判定する。判定がYesの場合、第2処理回路70はステップS902の動作を実行する。判定がNoの場合、第2処理回路70はステップS901の動作を再度実行する。
<ステップS902>
第2処理回路70は、受信回路14rから正常部分の圧縮画像のデータを取得し、記憶装置60からマスクデータを取得する。
<ステップS903>
第2処理回路70は、ステップS902において取得したデータから正常部分のハイパースペクトル画像のデータを復元する。
<ステップS904からS911>
ステップS904からS911の動作は、それぞれ、図13Bに示すステップS603からS610の動作と同一である。
対象物10の異物の有無を検査する場合の、実施形態5における第1処理回路50が実行する動作は、図11Bまたは図11Cに示すステップの動作と同一である。
次に、図17を参照して、実施形態5における検査装置100とサーバ110との間で実行される処理動作の流れを説明する。図17は、実施形態5における検査装置100およびサーバ110の動作の例を示すシーケンス図である。図17に示すシーケンス図が図14に示すシーケンス図とは異なる点は、非特徴バンドの設定および更新において検査装置からサーバに向けて送信する正常部分の画像データがハイパースペクトル画像のデータではなく圧縮画像のデータであることである。
10 対象物
10A 異常部分
12s、14s 送信部
12r、14r 受信部
20 ハイパースペクトルカメラ
30、60 記憶装置
40 表示装置
50、70 処理回路
52、72 メモリ
80 入出力装置
90 フィルタアレイ
100 検査装置
110 サーバ
200 検査システム

Claims (14)

  1. 検査システムによって実行される方法であって、
    異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを取得することと、
    前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、
    分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、
    前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、
    を含む方法。
  2. 検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを取得することと、
    前記第2スペクトルデータに基づいて、検査対象の前記対象物の異常の有無を決定することと、
    前記異常の有無を示す検査データを出力することと、
    をさらに含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記検査用バンドは、前記第1スペクトルデータの値の大きさが所定の閾値よりも小さいバンドである、
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1スペクトルデータが更新された場合に、更新された前記第1スペクトルデータに基づいて、前記検査用バンドを更新することをさらに含む、
    請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記検査用バンドの設定の開始をユーザが指示するためのGUIを表示装置に表示させることをさらに含む、
    請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記対象物の検査の開始をユーザが指示するためのGUIを表示装置に表示させることをさらに含む、
    請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記GUIは、ユーザの指示により、前記検査用バンドの設定の開始と、前記対象物の検査の開始との間で切り替えることが可能である、
    請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記第1スペクトルデータは、異常がない状態における前記対象物の第1ハイパースペクトル画像データである、
    請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記第1ハイパースペクトル画像データは、異常がない状態における前記対象物の第1圧縮画像データから復元された画像データであり、
    前記第1圧縮画像データは、前記複数のバンドの画像情報が圧縮された2次元画像データである、
    請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1圧縮画像データは、フィルタアレイを通して前記対象物からの光を検出することによって取得され、
    前記フィルタアレイは、2次元的に配列された複数のフィルタを備え、
    前記複数のフィルタのうちの少なくとも2つ以上のフィルタの透過スペクトルは互いに異なっており、
    前記第1ハイパースペクトル画像データは、前記フィルタアレイについてのバンドごとの光透過率の空間分布を示すマスクデータによって前記第1圧縮画像データから復元される、
    請求項9に記載の方法。
  11. 検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを取得することと、
    前記第2スペクトルデータに基づく画像を表示装置に表示することと、
    を含む、
    請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. プロセッサと、
    前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、
    を備えた処理装置であって、
    前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、
    異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを取得することと、
    前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、
    分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、
    前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、
    を実行させる、
    処理装置。
  13. センサと、処理装置とを備える検査システムであって、
    前記処理装置は、
    プロセッサと、
    前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、
    を含み、
    前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、
    異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを前記センサから取得することと、
    前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、
    分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、
    前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、
    検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを前記センサから取得することと、
    前記第2スペクトルデータに基づいて、検査対象の前記対象物の異常の有無を決定することと、
    前記異常の有無を示す検査データを出力することと、
    を実行させる、検査システム。
  14. センサと、処理装置と、表示装置とを備える検査システムであって、
    前記処理装置は、
    プロセッサと、
    前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを格納したメモリと、
    を含み、
    前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、
    異常がない状態における対象物の第1スペクトルデータを前記センサから取得することと、
    前記第1スペクトルデータの波長域に含まれる複数のバンドを、前記第1スペクトルデータの値の大きさに基づき分類することと、
    分類された前記複数のバンドの一部を、前記対象物の異常を検査するための1つ以上の検査用バンドとして決定することと、
    前記検査用バンドを示すバンドデータを記憶装置に記憶することと、
    検査対象の前記対象物の前記検査用バンドにおける第2スペクトルデータを前記センサから取得することと、
    前記第2スペクトルデータに基づく画像を前記表示装置に表示することと、
    を実行させる、検査システム。
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