以下、図面を参照して実施形態の冷蔵庫について説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つ使用者から冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つ使用者に近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「前後方向」とは、上記定義における幅方向に直交し、前と後ろとをつなぐ方向を意味する。本願でいう「AまたはB」とは、AとBのうちいずれか一方の場合に限定されず、AとBの両方の場合を含む。
図1は、実施形態に係る冷蔵庫1を示す正面図である。図2は、図1の回転扉11の分解斜視図である。図3は、回転扉11の後面材を除いた状態を後方から見た平面図である。図4は、図1に示すF4-F4線に沿う位置における回転扉11の横断面図である。図5は、図2に示すF5-F5線に沿う位置における回転扉11の縦断面図である。冷蔵庫1は、筐体10と、冷蔵庫扉11~16と、表示装置5と、電気部品71,72と、電気配線9とを含む。冷蔵庫1は、この他、電源基板99、不図示の冷却機構、温度センサ等を含む。
筐体10は、例えば、内箱と、外箱と、断熱部とを有する。内箱は、筐体10の内面を形成し、外箱は、筐体10の外面を形成している。内箱と外箱との間には、発泡ウレタン等の発泡断熱材を含む断熱材が設けられている。筐体10は、断熱性能を持つ。
筐体10の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。筐体10は、各貯蔵室の前面側に、各貯蔵室に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。複数の貯蔵室は、例えば、第一冷蔵室101、第二冷蔵室102、製氷室103、小冷凍室104、および主冷凍室105を含む。実施形態では、最上部に第一冷蔵室101が配置され、第一冷蔵室101の下方に第二冷蔵室102が配置され、第二冷蔵室102の下方に製氷室103および小冷凍室104が横に並んで配置され、製氷室103および小冷凍室104の下方に主冷凍室105が配置されている。貯蔵室の配置は、本例に限定されず、例えば第二冷蔵室102と主冷凍室105の配置が上下逆でもよい。貯蔵室には、収納棚や収納容器、製氷用貯水容器等が設けられている。
第二冷蔵室102は、例えば、野菜室として使用される。第二冷蔵室102は、野菜の貯蔵に適した冷蔵温度帯、例えば、1℃~5℃で保冷されている。製氷室103、小冷凍室104、および主冷凍室105は、冷凍温度帯、例えば、-10℃以下で保冷されている。
第二冷蔵室102は、冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで保冷温度が任意に切り替え可能に構成されている。したがって、第二冷蔵室102を冷凍室として使用可能である。第二冷蔵室102は、野菜に適した貯蔵環境の貯蔵室に限らず、第一冷蔵室101と同等の冷蔵温度帯に設定され、冷蔵機能を備える貯蔵室であってもよい。
筐体10の上端部に、電源基板99および2つの扉プッシャ98が設けられている。電源基板99は、冷蔵庫1の各種動作を制御する。電源基板99は、電源ケーブル、表示装置5用の電気配線94(図3参照)、冷却機構を構成する圧縮機等と接続する電気配線、および後述する電気部品と接続する電気配線9等と接続されている。
扉プッシャ98は、後述する開扉操作部72(タッチオープン装置)と接続されている。扉プッシャ98は、後述する第一扉11または第二扉12の上端部と対向配置されている。扉プッシャ98は、電気配線9を介して開扉操作部72から受信した信号に基づき、前後方向Yに進退駆動する。扉プッシャ98は例えば、ソレノイドを用いることができる。
冷蔵庫1は、冷蔵庫扉11~16が設けられている。冷蔵庫扉11~16は貯蔵室の開口を開閉可能に塞ぐ部材である。冷蔵庫扉11~16は、筐体10の前部に設けられる。冷蔵庫扉は、例えば、回転扉11,12、引出扉13~16である。
引出扉13~16は、第二冷蔵室102、製氷室103、小冷凍室104、および主冷凍室105に出し入れ可能に取り付けられた引出し容器の前部に取り付けられている。各回転扉11,12、および各引出扉13~16の前面は、同じ材料からなる化粧板4で覆われ、意匠上の統一感が図られている。冷蔵庫扉11~16は断熱性能を有する。
図1に示すように、回転扉11,12は、第一冷蔵室101の開口を閉じる一対の扉である。回転扉11,12は、筐体10に回動可能に取り付けられている。筐体10の幅方向Xの端部であり、かつ、第一冷蔵室101の上部および下部に軸支部121,122が配置されている。回転扉11,12の幅方向Xの一端部が軸支部121,122に取り付けられ、軸支部121,122を中心として回動可能に筐体10に支持されている。図1に示す例では、回転扉11,12は、異なる向きに回動可能に筐体10に取り付けられて両開きの扉を構成している。以下の説明では、冷蔵庫1の正面から見て右側に位置する扉を第一扉11と称し、左側に位置する扉を第二扉12と称する。図示例では、幅方向Xの寸法が第一扉11と第二扉12とで異なる。第一扉11と第二扉12とで幅方向Xの寸法が同じでもよい。第一扉11は冷蔵庫扉の一例である。
第一扉11の具体的な構成について説明する。図2、図4および図5に示すように、第一扉11は、枠体2と、化粧板4と、後面材3とを有する。図4および図5に示すように、第一扉11には、第一扉11が閉じているとき冷蔵庫1の正面に立つ使用者に対向する前部111と、第一冷蔵室101の内部に対向する後部112とを有する。
図3に示すように、枠体2は、上枠23、下枠24、第一縦枠21、及び第二縦枠22を有し、正面視矩形である。枠体2は例えば樹脂製である。枠体2は、第一扉11の骨格を形成する。第一縦枠21は、筐体10の幅方向Xの端部側に位置する。第一扉11が閉じた状態で、第二縦枠22は、第二扉12に近接配置される。各縦枠21,22は前後方向Yに沿う外側面を有する。上枠23は前後方向に延びる上面を有する。下枠24は前後方向に延びる下面を有する。側面、上面、および下面は、前後方向Yに平行な面に限らず、前後方向Yに対して傾斜、湾曲、凹凸形状等を有してもよい。枠体2は、例えば、一対の縦枠21,22及び上枠23が一体で形成され下枠24が各縦枠21,22の下端部に連結される構成や、上枠23、下枠24および縦枠21,22が一体に形成される構成が挙げられる。
図3に示すように、上枠23の幅方向Xの端部であり、第一縦枠21側の端部には、上軸受け部231を備える。下枠24の幅方向Xの端部であり、第一縦枠21側の端部には、下軸受け部242を備える。上軸受け部231および下軸受け部242が図1に示す筐体10の軸支部121,122に連結されている。この結果、第一扉11は、筐体10に対して回動可能に支持される。上軸受け部231の下方に挿通管29が配置されている。挿通管29は、縦方向Zに延びる挿通路が形成されている。
図4に示すように、枠体2の前面にパネル支持部27を有する。パネル支持部27は、縦枠21,22、上枠23、および下枠24から幅方向Xに沿って内側に延びる平面形状を有する。枠体2の後部に後面材3との接合部211,221を有する。
図6に示すように、下枠24には、上方向に窪む凹部241が形成されている。凹部241は使用者が第一扉11の開閉時に掴む把手として機能する。凹部241の位置は下枠24に限定されず、使用者が把持し易い位置であれば例えば第二縦枠22に設けてもよい。
図4に示すように、一対の縦枠21,22の内面には、補強部材26がそれぞれ配置されている。補強部材26は、枠体2の強度を補強する部材である。補強部材26は、例えば、水平断面形状が略U字型の長尺部材である。第一扉11および第二扉12は、第一冷蔵室101を覆うため面積が大きい。第一扉11および第二扉12は、開閉時回動し、かつ、収納棚に冷蔵品が収納されるため、荷重が掛かる。そのため、枠体2には、第一扉11および第二扉12を軽量化しつつ、枠体2の強度を補強するために補強部材26が取り付けられている。
枠体2の前部に化粧板4が取り付けられ、枠体2の後部に後面材3が設けられている。後面材3は、前後方向Yから見た中央部分に略矩形の凹部33が形成され、凹部33の周縁部34は後方に突出している。後面材3には、凹部33の内面から突出した棚係止部32を備える。棚係止部32には不図示の複数の収納棚が設けられる。化粧板4は前板の一例である。後面材3は後板の一例である。
枠体2と、後面材3と、化粧板4とで囲まれた空間内に断熱材8が充填されることにより、第一扉11は断熱性能を有する。
化粧板4は、ガラス製、繊維強化樹脂製、セラミック製、人造大理石等の薄板である。化粧板4は、冷蔵庫1の意匠性を考慮し、色、柄、表面加工が施されている。化粧板4は、例えば、透明なガラス製である。透明な化粧板4の場合、化粧板4の後面に不透明膜が設けられる。不図示の不透明膜により、回転扉11,12の内部が視認不能となる。第一扉11では、表示装置5が設けられる位置を除く略全域に不透明膜が設けられている。第一扉11では、表示装置5が設置される位置には不透明膜が設けられず、表示装置5が視認可能である。第二扉12には前板の略全域に不透明膜が設けられている。
化粧板4の裏面が枠体2のパネル支持部27に接着テープにより固定されている。化粧板4の枠体2への固定方法は一例であり、枠体と化粧板を嵌合させる方法や固定部材により固定する方法であってもよい。後面材3の外周縁が枠体2の後端部と接合される。図4および図5に示すように、枠体2、化粧板4、および後面材3により、表示装置5および断熱材8を配置可能な空間が形成されている。
図1に示すように、第一扉11には表示装置5が設けられている。表示装置5は、第一扉11の枠体2の内側の空間に配置されている。表示装置5は、接着テープや接着剤等により化粧板4の裏面に密着して貼り付けられている。図2、図4、および図5に示すように、表示装置5は、表示部51、回路基板53,54、および基体55を有する。
表示部51は、化粧板4に沿って配置されている。表示部51は、文字や画像等を表示可能な表示画面を有する。表示画面が化粧板4の裏面に当接している。表示画面は、第一扉11の化粧板4を通じて外部から視認可能である。化粧板4の表示部51の種類は、画像信号に基づいて画像を表示できれば特に限定されない。表示部51は、例えば、液晶パネル等の透過型表示装置や、有機EL素子などの自発光型の表示装置が用いられる。表示部51に表示される表示画像は、例えば、使用者の操作入力を行う部位を示す操作用画像、貯蔵室内の貯蔵物、調理方法、買い物リスト等の絵柄、文字などを表示する画像や動画等が挙げられる。表示部51は、化粧板4に沿って配置されていればよい。表示部51は、化粧板4の裏面に当接して配置される例の他、例えば、化粧板4に表示画面の面積に応じた開口や凹部を設け、開口や凹部内に表示部を配置し表示部が露出する配置であってもよい。表示部51は、第一扉11の前面の中央を含む広い領域に設けられている。
基体55は、表示部51の裏面を覆う略平板状の部材である。基体55に表示部51の収容凹部551が形成されている。表示部51の裏面が収容凹部551に密着している。基体55の外周縁552は、化粧板4の裏面に接触している。
回路基板53,54は、基体55の裏面553に取り付けられている。回路基板53,54は、基体55の裏面553から後方に突出して取り付けられている。回路基板53は表示部51において主に画像や音源を制御する回路を有している。回路基板53は、回路を形成する種々の部品が実装されている。例えば、回路基板53には動作時に発熱しやすいICが実装されている。回路基板53は、フレキシブル基板531(図2参照)によって、表示部51と電気的に接続されている。
回路基板54は、表示装置5において外部からの音源を電気信号に変換する回路を有している。回路基板54は、回路を形成する種々の部品を有する。回路基板54は、例えば、動作時に発熱しやすいIC(Integrated Circuit)が実装されている。回路基板53,54は電気配線94を介して図1に示す電源基板99と電気的に接続されている。回路基板53,54は、表示装置の突出部分の一例である。
表示装置5は、さらに、操作部を有していてもよい。操作部は、例えば、表示部51上で使用者の操作を検知する検知部52で構成されていてもよい。検知部52は、表示部51に表示される操作用画像の位置に対応する表示部51の前面に操作手段が近接または接触したことを検知する。検知部52の検知方式は、使用者の手、タッチペン等、適宜の操作手段による操作が検知できれば特に限定されない。例えば、検知部52は、静電容量方式等のセンサであってもよい。操作部は、例えば、音声入力機能を有してもよい。音声入力部は、表示装置5と一体に設けられる構成であってもよく、筐体10または冷蔵庫用扉に設けられる構成であってもよい。表示装置5は、操作部における入力に従って静止画または動画が表示される。表示装置5は、さらに音声出力部を備えていてもよい。表示装置5は少なくとも文字や画像が表示可能であればよく、操作部は必須の構成ではない。
図2、図4および図5に示すように、表示装置5の裏面がカバー6により覆われている。カバー6は、表示装置5を後方から覆う位置に配設されている。カバー6は化粧板4との間に表示装置5を収容して封止する。カバー6は、第一扉11の内部で表示装置5の収納空間と断熱材8の装填空間とを区切る位置に配設された部材である。カバー6は、外周縁61と、カバー本体62とを有する。外周縁61は化粧板4の裏面42に沿う略平板形状を有し、カバー6の外縁を構成する。カバー本体62は、外周縁61の内縁から前後方向Yの後側に向かって突出する立体形状を有する。カバー本体62の前面側は、後方に向かって凹む。カバー本体62は、第一縦側面63および第二縦側面64と、上面壁65と、下面壁66と、後壁67とを有する。具体的には、第一縦側面63、第二縦側面64、上面壁65、および下面壁66は、外周縁61の中央側の各端部から後方に向かって延びる。後壁67は、第一縦側面63の後端と第二縦側面64の後端との間を接続し、表示装置5を後方で覆う壁である。第一縦側面63は、側壁の一例である。
図3および図4に示すように、カバー本体62は一以上の段部を有する。カバー本体62は、表示装置5の裏面の凹凸に応じて段部が形成されている。図示例では、カバー本体62は、第一縦枠21側から幅方向Xに順に第一段部621、第二段部622、第三段部623、および第四段部624を有する。図4に示すように、第二段部622が最も後方に突出している。第一段部621および第四段部624は、表示装置5の裏面から前後方向Yの後方に離間して形成されている。第三段部623は、第二段部622と第四段部624との間に形成されている。後壁67は、各段部621、622、623、および624において、化粧板4と略平行に配置されている。
カバー6は、カバー本体62と化粧板4の裏面42との間に、表示装置5の収容空間が形成されている。収容空間は、表示装置5の前後方向Yの厚さよりも広く、表示装置5の基体55の裏面553と、カバー本体62の前面625との間に隙間S2が形成されている。
カバー6は、後壁67の前面625から前方に突出する複数の突起626,627,628を有する。突起626,627は、後壁67の幅方向Xの両端部から前方に向かって突出している。突起628は、後壁67の幅方向Xの略中央部から突出している。突起628は、第三段部623との境界付近において第二段部622から前方に突出している。突起626および突起628の各前端は、基体55の裏面553に当接している。突起627の前端は基体55の外周縁552に当接している。複数の突起626,627,628は、カバー本体62を支持する。
カバー6の外周縁61と、化粧板4の裏面との間は、例えば、両面テープにより固定されている。両面テープは、外周縁61の全周に設けられている。これにより、カバー6は、化粧板4に液密に固定されている。カバー6の外周縁61が「液密に固定されている」とは、特に断らない限り、後述する断熱材8を形成する発泡断熱液が流動時および発泡時に外周縁61と化粧板4との間を通過できないように固定されていることを意味する。
表示装置5の作動時、表示部51および回路基板53、54が発熱する。カバー6は、表示装置5の熱が後面材3側へ伝達されることを防止する。例えば、回路基板53、54で発生した熱は、収容空間である隙間S2内に放熱される。回路基板53、54はカバー6と当接しておらず、十分に離れているため、回路基板53、54で発生した熱が直接的にカバー6に熱伝導しない。表示部51の熱は、表示部51が近接する化粧板4を通して第一扉11の外部に放熱される。表示部51の近傍に配置されている突起627は、基体55の外周縁552に接触しているため、化粧板4を通して表示部51の熱を第一扉11の外部に放熱できる。
第一扉11が閉じているとき、後面材3は筐体10の第一冷蔵室101に面しており、化粧板4は冷蔵庫1の外部に露出している。そのため、後面材3側と化粧板4側とで大きな温度差が生じる。第一扉11の後面材3側と化粧板4側とで温度差が生じる結果、空間S1に充填された断熱材8が膨張または収縮する。あるいは、後面材3や化粧板4が、断熱材8の膨張または収縮により撓むことがある。このとき、断熱材8側からカバー6が押される場合がある。複数の突起626,627,628は、カバー本体62を支持しているため、カバー本体62が表示装置5側に撓むことを防ぐ。この結果、カバー本体62の隙間S2が確保される。したがって、表示装置5の熱を遮断する隙間S2が確保され、安定した断熱性能が得られる。この他、カバー6の破損防止、表示装置5の破損防止の効果を奏する。
第一扉11には、表示装置5の他に、電気部品が取り付けられている。電気部品は、表示装置以外の部品である。電気部品は、電源基板99と電気的に接続されて冷蔵庫1の各種機能を発揮する部品である。電気部品は、例えば、運転表示パネル、温度センサ、照明器具、開扉操作部等が挙げられる。図では、電気部品として、温度センサ71および開扉操作部72を示している。
温度センサ71は、第一扉11の外側の温度を測定し、電源基板99に外部温度を送信する。
開扉操作部72は、使用者が第一扉11の開扉操作部72に直接接触し、または化粧板4を介して間接的に接触することにより、第一扉11が開くように構成されている。すなわち、使用者が第一扉11の端部や凹部241を把持して手元側に引く操作を行わなくても、使用者が開扉操作部72に軽く触れると第一扉11が開くタッチオープン機能を有する。図2および図3に示すように、開扉操作部72は、第一扉11に内蔵されている。開扉操作部72は例えば静電パッドを有する。開扉操作部72は、第一扉11の上端部に設けられている扉プッシャ98と電気配線9および電源基板99を通じて接続されている。開扉操作部72に使用者が軽く触れると、電気配線9および電源基板99を通じて扉プッシャ98が前方に駆動する。扉プッシャ98が駆動すると、第一扉11が筐体10から離れる方向に押され、第一扉11が開くように構成されている。扉プッシャ98は例えば、ソレノイドが挙げられる。開扉操作部72と扉プッシャ98とは、電源基板99を介さず、直接電気配線9で接続されていてもよい。
運転表示パネルは、例えば、貯蔵室内の温度、貯蔵室の運転モード等を表示する表示装置である。運転表示パネルは、筐体10に設けられている温度センサや電源基板99と電気配線9を介して接続される。運転表示パネルは、例えば、ボタン、タッチセンサ式等のスイッチを有する。使用者がスイッチを操作して所望の運転モードを選択すると、操作信号が電気配線9を通じて電源基板に送信され、電源基板の制御装置が受信した操作信号に基づき、貯蔵室の温度や運転モードを制御する機能を有する。照明器具は、例えば、第一扉11の第二縦枠22に設けられている。照明器具は、電気配線9を通じて電源基板に電気的に接続されている。照明装置は、例えば、第一扉11の開閉時に点灯して貯蔵室を照らす。
電気配線9は、電気部品71,72と電源基板99とを接続する。電気配線9は、電線が絶縁部材に覆われているケーブルである。
図示は省略するが、上軸受け部231と、筐体10の上軸支部121との連結部の隙間内に電気配線が挿入されている。上軸受け部231を通る電気配線9は、挿通管29に挿入されて下方に延びる。上軸支部121、上軸受け部231、および挿通管29を通る電気配線9は、複数のケーブルが束ねられて絶縁材93で覆われた束線である。電気配線9は、挿通管29の下方で表示装置5用の電気配線94が分岐して表示装置5に接続されている。表示装置5用の電気配線94を除く電気配線91,92は電気部品用のケーブルである。電気部品用の電気配線91,92は、束線の状態でカバー6の下端部まで延びた後、各電気配線91,92に分岐する。カバー6の下端近傍で分岐した電気配線91,92は、温度センサ71、開扉操作部72に向かって延びて、温度センサ71、開扉操作部72の不図示の接続部に接続されている。
図4から図6に示すように、電気部品用の電気配線91,92は、第一縦枠21と表示装置5との間に配置されている。具体的には、カバー6の第一縦側面63と、第一縦枠21との間に配置されている。電気配線9は、枠体2の上部から第一縦枠21と表示装置5との間を通り下方に延びて配置されている。電気配線9は、前後方向Yにおいて化粧板4に近い位置に配置されている。図4に示す例では、電気配線9は、外周縁61よりも第一縦枠21側に配置しているが、幅方向Xにおいて、外周縁61と重なる位置に電気配線9が配置されてもよい。
図4に示すように、電気配線9は、前後方向Yの前側に配置されている。前後方向Yにおける電気配線9の位置は化粧板4の裏面に近い。電気配線9は、補強部材26からカバー6側に離れた位置に配置されている。電気配線91,92を束ねて覆う絶縁材93が断熱材8により覆われている。
電気配線9は、表示装置5の回路基板53,54と縦枠21との間に配置されている。回路基板53,54は表示装置5の作動時に発熱する部品である。特に、表示部51に長時間動画が表示されているときに高温となる。第一扉11は、回路基板53,54と縦枠21との間、すなわち、回路基板53,54の幅方向Xの側方に電気配線9を配置する。この結果、回路基板53,54と後面材3との間を断熱材8で満たすことができる。回路基板53,54と後面材3との間に電気配線9を配置する場合に比べて断熱性能が向上する。
枠体2、化粧板4の裏面、後面材3の前面、およびカバー6で囲まれた空間S1に断熱材8が充填されている。断熱材8は、ウレタン等の発泡断熱液を発泡させて形成されている。
カバー6の後面と後面材3との間に後述する断熱材8が設けられている。カバー6の後面と後面材3との間が断熱材8で満たされている。カバー6の後面と後面材3との間の断熱材8を後部断熱材81と称する。電気配線9は、後部断熱材81よりも幅方向Xの第一縦枠21側に配置されている。
カバー6は、化粧板4の裏面に接着固定され、かつ、断熱材8がカバー6と枠体2および後面材3との間に充填されていることにより、固定され、支持されている。表示装置5は、カバー6に支持されている。したがって、例えば、化粧板4が割れた場合等、表示装置5およびカバー6の落下を防止できる。
図示は省略するが、第二扉12も、第一扉11と同様に、枠体2、化粧板4、後面材3で形成され、内部に断熱材8が充填されている。第二扉12にも把手として機能する凹部241、および開扉操作部72を有する。
次に、第一扉11の組立方法の一例を説明する。
表示装置5をカバー本体62の凹部に収容する。表示部51の裏面に配線ケーブルが接続された回路基板53,54を固定する。次に、表示装置5の後方に、カバー6を配置する。回路基板53,54に接続する配線ケーブルは、カバー6に形成されている不図示の配線挿通部を通してカバー本体62の内側に挿入され、各配線ケーブルを回路基板53,54のコネクタに接続する。次に、カバー6の外周縁61を、両面テープで化粧板4の裏面に貼り付ける。外周縁61には、両面テープを予め貼り付けておいてもよい。
各配線ケーブルを、枠体2内の隙間S2に配置される。具体的には、束線の絶縁材93よりも上方に延びる電気配線を挿通管29に挿入し、上軸受け部231の隙間内を通し、第一扉11の上部に延出させる。枠体2内において、挿通管29から下方に延びた電気配線は、絶縁材93で覆われている。絶縁材93で覆われた電気配線9の束線は、カバー6と第一縦枠21との間の隙間に沿って配置する。カバー6の下端よりも低い位置で電気配線91,92が分岐する。電気配線91の下端912は、温度センサ71に接続する。電気配線92は、カバー6と下枠24との間に配置して第二縦枠22の近傍まで配線し、下端922を開扉操作部72の接続部に接続する。
表示装置5の電気配線94は、カバー6を固定する作業の前に、予めカバー6の縦辺の上部から引き出しており、挿通管29の下方で他の電気配線と同様に挿通管29内に挿入して第一扉11の上部に延出させる。
表示装置5、カバー6、および電気配線9を所定位置に配置した後、枠体2に後面材3を固定する。
次に、枠体2の上部に設けられた不図示の注入口から空間S1内に発泡断熱液を導入し、発泡させる。発泡断熱液が発泡した後、発泡体が硬化すると、断熱材8が形成される。発泡断熱液は硬化するにつれて収縮するため、第一扉11には、前後方向Yに反りが生じる場合がある。しかし、表示装置5は、カバー6により、断熱材8との間に隙間S2を設けて配置されている。そのため、第一扉11に反りが発生しても、表示部51が断熱材8に押圧されることなく、表示装置5を安定的に配置できる。カバー本体62と表示装置5との間の隙間S2は、回路基板53,54の発熱が断熱材8に伝わることを防止する。したがって、カバー本体62と表示装置5との間に隙間S2を設けることにより、表示装置5の熱が断熱材8に伝わるのを防止し、かつ、第一扉11が反った時の、表示装置5の変形を防止できる。
空間S1内で発泡断熱液が発泡すると、カバー6に後方から発泡圧が作用する。例えば、後部断熱材81が前後方向Yに膨張することによって、カバー本体62は前方に向かって押圧される。このときの発泡圧は、カバー本体62に設けられた複数の突起626,627,628を通して、基体に伝達される。カバー6と化粧板4との固定箇所に発泡圧が伝達され、カバー6および表示装置5と化粧板4の裏面との接着部の密着性が向上する。
発泡断熱液は空間S1の略全域に充填される。表示装置5は、第一扉11の略中央部に大きな面積を占めて配置される。そのため、カバー6と後面材3との間の隙間は他の空間に比べて狭い。一方、表示装置5は、発熱部品であり、カバー6と後面材3との間の断熱は重要であり、発泡断熱液は隙間なく十分な量を充填する。このとき、電気配線9がカバー6と後面材3との間の隙間に配置されると、発泡断熱液の充填時の妨げとなる。特に、電気配線9が、カバー6と後面材3との間の隙間を横断するように配置されると、発泡断熱液の充填が堰き止められやすい。これに対し、本開示では、電気配線9はカバー6と第一縦枠21との間に配置されている。このため、発泡断熱液の充填を円滑に行うことができる。加えて、カバー6と後面材3との間の隙間に発泡断熱液で満たすことができる。カバー6と後面材3との間の隙間が断熱材8で満たされると、断熱性を確保できる。
カバー6と第一縦枠21との間には電気配線9の束線が配置されているが、発泡断熱液を充填するための十分な隙間が確保されているため、束線は発泡断熱液の充填を妨げない。
カバー6と下枠24との間における化粧板4と後面材3との間の隙間は、カバー6と後面材3との間の隙間よりも大きい。前後方向Yの空間が広いカバー6と下枠24との間に電気配線91,92を配置するため、発泡断熱液の充填を妨げない。その結果、後部断熱材81が隙間なく設けられ、十分な断熱性能を持つ。
発泡断熱液が膨張して断熱材8が形成されると、第一扉11の組立が終了する。第一扉11は、上軸受け部231および下軸受け部242が筐体10の上軸支部121および下軸支部122と連結されて筐体10に取り付けられる。このとき、電気配線9の上端部911,921は、上軸受け部231と筐体10の上軸支部121との連結部の隙間内を通し、筐体10の上部の電源基板99に接続する。
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、高温発熱源となる回路基板53,54を含む表示装置5を内蔵しても第一扉11の断熱性能に優れる冷蔵庫1を提供することができる。
具体的には、カバー6と後面材3との間の隙間は電気配線が遮ることなく、後部断熱材81が充填されているため、表示装置5の発熱が後面材3側に伝わり難く、第一扉11は高い断熱性能が得られる。カバー6と後面材3との間の隙間に電気配線が横断しないため、発泡断熱液の充填を円滑に行え、組み立て作業の効率化を図ることができる。
電気部品用の電気配線9は、表示装置5の下方の広い隙間において、第一縦枠21側から第二縦枠22または下枠24側に配線されているため、電気配線9により断熱材8が分断されることがない。この結果、第一扉11は、表示装置5を内蔵しても、高い断熱性能を得ることができる。
実施形態に係る冷蔵庫1によれば、回路基板53,54で発生した熱は、カバー6の内部の隙間S2内に放熱される。回路基板53,54は、カバー6と当接していないので、回路基板53,54で発生した熱が直接的にカバー6に熱伝導することはない。
カバー6の隙間S2への放熱によって、温度上昇した空気は、対流によってカバー本体62内に露出する化粧板4と接触し、化粧板4を通して外部に放熱される。対流によって、カバー6と接触した空気の温度は、カバー6に伝わる。カバー6は、断熱材8で覆われているため、カバー6に伝わる熱は、断熱されて後面材3側に伝わり難い。
カバー6と後面材3との間の隙間が断熱材8で満たされるため、第一扉11の断熱性能を向上できる。
第一扉11では、表示装置5の後方がカバー6で覆われ、かつ、カバー6と後面材3との間の隙間が後部断熱材81で満たされるため、第一扉11に断熱性能が高い。この結果、表示装置5の駆動時、表示装置5が発熱しても第一扉11が変形し難く、表示部51と化粧板4との密着性が保持される。表示部51と化粧板4との密着性が保持されることにより、表示部51が見やすい状態に保持される。例えば、表示部51にタッチパネル機能を備える場合、表示部51と化粧板4との密着性が保持されることにより、入力操作が円滑に行える。
上記実施形態では、表示パネルが、画像信号に基づく画像を表示する表示部を有するとして説明した。しかし、表示部は、必要な画像が表示できれば、画像信号に基づく画像には限定されない。
上記実施形態では、表示装置5が、画像を表示する表示部51と、操作入力を検知する入力部と、を有する例を説明した。しかし、表示装置は、タッチパネルには限定されない。例えば、表示装置は、適宜の画像を表示するのみで、操作入力機能を備えない構成でもよい。
上記実施形態では、表示装置5が、第一扉11に設けられる例を示した。しかし、表示装置5は、第二扉12に設けられていてもよい。
上記実施形態では、両開き式の扉の一方に、表示装置を設けた冷蔵庫の例を示した。冷蔵庫の構成はこの例に限定されない。例えば、一つの貯蔵室を一つの回転扉で開閉する片開きの構成の冷蔵庫であってもよい。例えば、両開き式の扉の両方に表示装置を設ける構成であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。