JP2022086473A - ビーム放射方向決定装置、ビーム放射方向決定方法及び平面アレーアンテナ - Google Patents

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【課題】本開示は、アンテナの設置環境に適したビーム放射方向の組み合わせを提供可能にすることを目的とする。【解決手段】本開示のビーム放射方向決定装置及び方法は、複数のアンテナ素子が平面上に配列されかつ設定された高さに固定されている平面アレーアンテナから放射した地表面でのフットプリントを、異なる複数の放射方向で算出し、前記複数の放射方向のうちのビームフットプリントの面積が最大になる放射方向を判定し、当該放射方向を前記平面アレーアンテナの放射方向に設定する。【選択図】図5

Description

本開示は、平面アレーアンテナのビームフォーミングに関する。
基地局のアンテナは、アンテナからある一定範囲の領域内に位置する端末との間で無線通信を行う。従来はサブ6GHz帯と呼ばれる低い周波数帯を使い、単一素子の指向性を持たないオムニ特性のアンテナか、あるいはリフレクタを使い基地局を中心とした水平360度方向を3分割して120度の3セクタに分割するセクタアンテナが主として利用されてきた。
しかし、時代とともに通信容量・低遅延性・高信頼性の向上などが求められる中で、ミリ波帯と呼ばれるより高い周波数帯が利用されるようになっている。しかし、ミリ波帯のような高周波数帯は空間伝搬損失が非常に大きくなる問題がある。そのため、空間伝搬損失を克服するための、複数アンテナ素子を用いたビームフォーミングという技術が発展してきた。
ビームフォーミングを用いる場合、電波の方向を強く絞るため、アンテナのカバー対象領域内の通信を全て同時に確立することはできない。このため、領域内でビームの放射方向を切り替えることで全範囲を網羅するが、必要なビームの放射方向及び切替回数は環境ごとに異なるため、必要なカバレッジエリアを確保できていなかったり、切替回数が多くなることで、各端末のレイテンシ増大につながるなどの課題がある。
本開示は、アンテナの設置環境に適したビーム放射方向の組み合わせを提供可能にすることを目的とする。
本開示のビーム放射方向決定装置及び方法は、
複数のアンテナ素子が平面上に配列されかつ設定された高さに固定されている平面アレーアンテナから放射した地表面でのビームフットプリントを、異なる複数の放射方向で算出し、
前記複数の放射方向のうちのビームフットプリントの面積が最大になる放射方向を判定し、当該放射方向を前記平面アレーアンテナの放射方向に設定する。
本開示の平面アレーアンテナは、複数のアンテナ素子が平面上に配列されている平面アレーアンテナであって、本開示のビーム放射方向決定装置又は方法を用いて放射方向が設定されている。
本開示によれば、アンテナの設置環境に適したビーム放射方向の組み合わせを提供可能にすることができる。
平面アレーアンテナの構成の一例を示す。 アンテナ素子の放射パターンの一例を示す。 シミュレーションで想定するシステム構成例を示す。 ビーム放射方向決定装置の構成の一例を示す。 ワールド座標系とローカル座標系の説明図である。 放射方向の走査例であり、(a)は(θAoD,ψAoD)=(0°,60°)でのビームフットプリントを示し、(b)は(θAoD,ψAoD)=(15°,60°)でのビームフットプリントを示し、(c)は(θAoD,ψAoD)=(30°,60°)でのビームフットプリントを示す。 シミュレーションに用いたパラメータ諸元の一例を示す。 本開示のシミュレーション結果の一例を示す。 本開示のシミュレーション結果の一例を示す。 本開示のシミュレーション結果の一例を示す。 本開示のシミュレーション結果の一例を示す。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
本開示では、効率的に広範囲のカバレッジを実現する方法を提案する。具体的には、ビーム切替回数を任意に設定できるパラメータとし、それをもとに最も効率の良いカバレッジが得られるビーム放射方向の組み合わせを決定できるようにした。また、その放射方向の組み合わせを決定する手段としては、数値シミュレーションによりビーム1本ずつ逐次最適化により決定していくアルゴリズムを用いる。
図1に、平面アレーアンテナ10の構成の一例を示す。平面アレーアンテナ10の開口面の法線方向をz軸、水平方向をx軸、垂直方向をy軸とした座標系oxyzをローカル座標系とする。本実施形態の平面アレーアンテナ10は、xy平面上のx軸方向に間隔dでN個、y軸方向に間隔dでN個のアンテナ素子11が配列されている、平面アレーアンテナである。アンテナ素子11の間隔d及び間隔dは、通信波長の半波長分の長さを有する。各アンテナ素子11は、アンテナ素子11に加える励振電流(電圧)の位相のみ全て独立に制御することができ、3次元ビームフォーミング(水平・垂直方向に指向性制御)可能とする。アンテナ素子11に加える励振電流(電圧)の振幅は全てのアンテナ素子11間で等しい。
図2に、アンテナ素子11の放射パターンの一例を示す。アンテナ素子11は、任意の3次元放射パターンを持つパッチアンテナ素子を用いることができる。
図3に、平面アレーアンテナ10の使用されるシステム構成例を示す。平面アレーアンテナ10が基地局91に設置され、基地局91が地上の端末92と無線通信を行う。平面アレーアンテナ10が3次元ビームフォーミング(水平・垂直方向に指向性制御)可能のとき、平面アレーアンテナ10がある高さから地表面に向けビーム放射し、地表面の端末92が通信可能となる領域94をビームフットプリントと呼ぶ。ビームフットプリントの和集合によって、地上の端末92の無線通信可能な通信エリア93が構成される。
図4に、本開示に係るビーム放射方向決定装置の構成例を示す。ビーム放射方向決定装置20は、情報処理部21及びメモリ22を備える。情報処理部21は、本開示に係るビーム放射方向決定方法を実行する。メモリ22は、平面アレーアンテナ10の素子数N及びNや平面アレーアンテナ10の高さなどのビームフットプリントの算出に必要なパラメータのほか、本開示に係るビーム放射方向決定方法を用いて求められたビーム放射方向の組み合わせを記憶する。
本実施形態では、端末92が仮想的な3次元オムニアンテナである場合に、地上の端末92が無線通信可能なビームフットプリントを算出する。ビーム切替回数の低減と広範囲カバレッジ確保を同時に満たすため、まずビーム切替回数が定まる放射方向数Nを規定し、その回数で最大のカバレッジ(全ビームフットプリントの総和)を確保できるようなビーム放射方向の組み合わせを、シミュレーションにより求める。
ワールド座標系OXYZを図5のように取り、XY面を地表面としたとき、ローカル座標系oxyzとの位置関係には
Figure 2022086473000002
が成り立つ。
式(1)におけるX及びxは、それぞれOXYZ及びoxyzから見た空間内の任意の点である。またR(θrot)は、X軸に平行なx軸まわりの回転行列である。θrotは、平面アレーアンテナ10の設置角に相当し、θtilt=-θrot-90°、-180°≦θrot≦-90°である。TXYZ=(0,0,H)は並進ベクトルであり、原点Oの直上であるZ軸上の高さH(m)に平面アレーアンテナ10の開口面中心があることを意味する。
このとき、ローカル座標系に固定した平面アレーアンテナ10から、極角θAoD、方位角ψAoDの方向にビーム放射したときに、ワールド座標系の地表面(Z=0のXY座表面)において一定の受信電力を満たす領域94がビームフットプリントに相当する。
(シミュレーションモデル)
アンテナ素子11や平面アレーアンテナ10の座標軸を、図5に示すようにとると、平面アレーアンテナ10の3次元放射パターンGTX(θ,ψ)は次式で表される。
Figure 2022086473000003
ただし、ηはアンテナ素子11の放射効率、PTRPは平面アレーアンテナ10からの全放射電力、G(θ,ψ)はアンテナ素子11の3次元放射パターン、ψ及びψはそれぞれ隣接するアンテナ素子11間の水平方向及び垂直方向の位相差である。
全放射電力PTRPは、次式で表すことができる。
Figure 2022086473000004
ただし、誤差やノイズの影響を考慮せず、平面アレーアンテナ10から端末92までの間の減衰は自由空間伝搬損失を仮定し、見通し内伝搬(LOS:Line Of Sight)成分のみを考慮した。
位相差ψ及びψは次式で表すことができる。
Figure 2022086473000005
λ=c/f、および、d=d=d=λ/2であり、λは通信波長、cは光速、fは搬送波周波数である。
ここで、グローバル座標系(X,Y,Z)はローカル座標系(θ,ψ)を用いて、
Figure 2022086473000006
と表せる。ここで、Hは平面アレーアンテナ10の設置高さである。
また、簡単のため平面アレーアンテナ10のアンテナ素子11及び端末92の受信アンテナが理想的なオムニアンテナであると仮定すると、XY地表面Z=0における、受信電力分布PRXは、(θ,ψ)の関数として、
Figure 2022086473000007
と表すことができる。Pは平面アレーアンテナ10への供給電力である。したがって、XY地表面での受信電力分布PRXは、(θ,ψ)を媒介変数として、PRX(X,Y)で表せる。
このとき、地表面上の端末92の最低受信感度をSとすると、
Figure 2022086473000008
を満たす領域がビームフットプリントの領域94であることがわかる。
アンテナ素子11や平面アレーアンテナ10の構成により決まるパラメータ諸元を入力すると、XY地表面での受信電力分布PRXは(θ,ψ,θAoD,ψAoD)の関数となり、3次元の放射方向(θAoD,ψAoD)を決定することで、ビームフットプリントの形状がPRX(θ,ψ)=Sの解として計算できる。
情報処理部21は、平面アレーアンテナ10が地表面から高さHで配置されているときに、平面アレーアンテナ10から放射した地表面でのビームフットプリントを、異なる複数の放射方向(θAoD,ψAoD)で算出し、複数の放射方向(θAoD,ψAoD)のうちのビームフットプリントの面積が最大になる放射方向(θAoD,ψAoD)の組み合わせを判定し、当該放射方向を平面アレーアンテナ10の放射方向としてメモリ22に格納する。
図6に、放射方向の走査例を説明する。図6(a)~図6(c)は、方位角ψAoDを一定にし、極角θAoDを変化させた場合のビームフットプリントである。例えば、(θAoD,ψAoD)=(0°,60°)のときに図6(a)に示すビームフットプリントが得られ、(θAoD,ψAoD)=(15°,60°)のときに図6(b)に示すビームフットプリントが得られ、(θAoD,ψAoD)=(30°,60°)のときに図6(c)に示すビームフットプリントが得られた場合、(θAoD,ψAoD)=(0°,60°)のときにビームフットプリントの面積が最大になる。そのため、情報処理部21は、平面アレーアンテナ10の放射方向として(θAoD,ψAoD)=(0°,60°)を採用する。
具体的には、情報処理部21は、放射方向の組み合わせを下記の手順で逐次決定していく。
ステップS1:1本目のビーム放射方向は、平面アレーアンテナ10ごとに決まるビーム走査角範囲内(0°≦θAoD≦θAoD,max,-180°≦ψAoD≦180°)で指向性を走査し、ビームフットプリント面積が最大になったときの(θAoD,ψAoD)を1本目の放射方向として採用し、メモリ22に記憶する。
ステップS2:2本目のビーム放射方向は、同様にビーム走査角範囲内で指向性を走査し、1本目のビームフットプリントとの和集合の面積が最大になるときの(θAoD,ψAoD)を採用し、メモリ22に記憶する。
ステップS3:k本目のビーム放射方向も、同様に1~k本目までのビームフットプリントの和集合が最大になるような(θAoD,ψAoD)を採用し、メモリ22に記憶する。
このように順次、新たに1つのビームフットプリントを加えることで最もカバレッジ面積が増える放射方向(θAoD,ψAoD)を探索しながら、規定のビーム切替回数までシミュレーションを行う。これにより、複数の放射方向のうちのビームフットプリントの和集合の面積が最大になる放射方向の組み合わせを判定する。
ここで、シミュレーションを行う放射方向の数は、規定のビーム切替回数に限らない。例えば、カバレッジエリアがあらかじめ定められている場合、ビームフットプリントの和集合の面積がカバレッジエリアの一定割合をカバーできたときにシミュレーションを停止してもよい。これにより、放射方向の切替回数を最小にすることができる。
(シミュレーション結果)
図7に示すパラメータ諸元を用いて、式(6)を満たす領域94のシミュレーションを行った。図8~図11にシミュレーション結果の一例を示す。図8は、周波数f=28GHz、高さH=1.5m、素子数N×N=8×4、放射方向数N=15本、θtilt=15°の場合のビームフットプリントの集合を示す。図9は、周波数f=28GHz、高さH=6.0m、素子数N×N=8×4、放射方向数N=31本、θtilt=60°の場合のビームフットプリントの集合を示す。図10は、周波数f=28GHz、高さH=10m、素子数N×N=8×8、放射方向数N=31本、θtilt=80°の場合のビームフットプリントの集合を示す。図11は、周波数f=28GHz、高さH=20m、素子数N×N=8×8、放射方向数N=101本、θtilt=85°の場合のビームフットプリントの集合を示す。
図8~図11に示すように、平面アレーアンテナ10からの距離の異なる複数のビームフットプリントを有する。このように、本実施形態の平面アレーアンテナ10は、平面アレーアンテナ10から距離の異なる地表面を、放射方向を切り替えることでカバーする。また図8~図11に示すように、ビームフットプリントが最大になるXY座標は平面アレーアンテナ10の設置されている高さHごとに異なる。そのため平面アレーアンテナ10の設置されている高さHごとに(θAoD,ψAoD)を探索することで、アンテナの設置環境ごとにカバレッジ面積を最大にすることができる。
上述の実施形態では、簡単のため各アンテナ素子に与える振幅は全て同じ(一様励振)としたが、本開示はこれに限定されない。例えば、アンテナ素子11間で相対的に振幅に変化をつけることで、放射されるビームの形状(ビームパターン)を変えることができる。これにより、放射されるビームパターンに応じて地表面でのビームフットプリントの形状を変化させることで、さらに効率の良いカバレッジが得られるビーム放射方向の組み合わせを設定することができる。
また、本開示は、各アンテナ素子11への励振方法によらず適用可能である。ただし、その場合は、式(2)、式(3)、式(6)の絶対値(|…|)の演算を、その励振方法に応じた演算方法で求めればよい。
(本開示の効果)
本提案のシミュレーションアルゴリズムにより決定したビーム放射方向の組み合わせを平面アレーアンテナに用いることで、水平方向のみ、あるいは水平・垂直方向を単純に等角度間隔で放射していた場合に比べ、放射方向数を抑えながら地表面のカバレッジ面積・効率を最大化することができる。規定の放射方向数を多くするほど、本提案により決定した放射方向の組み合わせによるカバレッジ効率は、従来法により決めた放射方向の組み合わせによるカバレッジ効率に比べ、効率が良くなる。また、カバレッジ効率が上昇することで、従来法と同じカバレッジ面積をより少ない本数でカバーできるようになるため、結果、通信のレイテンシを抑えることができ、通信継続性向上と品質向上を同時に実現することが可能である。
本開示は情報通信産業に適用することができる。
10:平面アレーアンテナ
11:アンテナ素子
91:基地局
92:端末
93:通信エリア
94:端末が通信可能な領域

Claims (6)

  1. 複数のアンテナ素子が平面上に配列されかつ設定された高さに固定されている平面アレーアンテナから放射した地表面でのビームフットプリントを、異なる複数の放射方向で算出し、
    前記複数の放射方向のうちのビームフットプリントの面積が最大になる放射方向を判定し、当該放射方向を前記平面アレーアンテナの放射方向に設定する、
    ビーム放射方向決定装置。
  2. 前記放射方向の判定において、前記複数の放射方向のうちのビームフットプリントの和集合の面積が最大になる放射方向の組み合わせを判定し、当該放射方向の組み合わせを前記平面アレーアンテナの放射方向に設定する、
    請求項1に記載のビーム放射方向決定装置。
  3. 前記平面アレーアンテナは、
    開口面の中心がグローバル座標系のZ軸上の高さHに配置され、
    前記開口面の法線方向が前記Z軸とθrotで配置されており、
    前記複数の放射方向が、前記開口面の法線方向からの極角θAoD及びグローバル座標系のX軸との方位角ψAoDで定められ、
    前記放射方向として、前記複数の放射方向のうちのグローバル座標系のXY座表面におけるビームフットプリントの面積が最大になる前記極角θAoD及び前記方位角ψAoDの組み合わせを判定する、
    請求項1又は2に記載のビーム放射方向決定装置。
  4. 複数のアンテナ素子が平面上に配列されている平面アレーアンテナであって、
    前記平面アレーアンテナの放射方向が、請求項1から3のいずれかに記載のビーム放射方向決定装置を用いて設定されている、
    平面アレーアンテナ。
  5. 地表面における前記平面アレーアンテナからの距離の異なる領域を、放射方向を切り替えることでカバーする、
    請求項4に記載の平面アレーアンテナ。
  6. 複数のアンテナ素子が平面上に配列されかつ設定された高さに固定されている平面アレーアンテナから放射した地表面でのフットプリントを、異なる複数の放射方向で算出し、
    前記複数の放射方向のうちのビームフットプリントの面積が最大になる放射方向を判定し、当該放射方向を前記平面アレーアンテナの放射方向に設定する、
    ビーム放射方向決定方法。
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