JP2022085771A - ホース内管用ゴム組成物、積層体及びホース - Google Patents

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Takuya Kamimura
克徳 紺谷
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Abstract

【課題】コバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できるホース内管用ゴム組成物を提供することを目的とする。【解決手段】前記課題を解決するべく、本発明は、ホースの内管用ゴム組成物であって、ゴム成分100質量部に対し、必須成分として、A)ブタジエンゴム20質量部以下、B)アクリロニトリルブタジエンゴム80質量部以上、C)カーボンブラック60質量部以上、D)チアゾール系以外の加硫促進剤1.0~3.0質量部、E)加硫遅延剤0.1~2.0質量部を含み、任意成分として、コバルト化合物を含み、該コバルト化合物の含有量は、コバルト量換算で、前記ホース内管用ゴム組成物全体に対し、0.1質量%以下であり、チアゾール系の加硫促進剤を含まないことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ホース内管用ゴム組成物、積層体及びホースに関するものである。
従来より、ホース等のゴム製品は、その求められる耐圧特性からワイヤー等の金属補強材を用いた複合材料で構成されている。中でも、油圧ホース等のホースにおいては、この金属補強材が高い補強効果を発揮するため、製品としてより高い信頼性を確保する上で、この金属補強材とゴム部材との間の剥離が抑制された安定度の高い接着性(内管剥離性)が要求される。
ここで、上述した金属補強材とゴム部材とを接着する方法としては、ゴムと金属との結合を同時に行う方法、いわゆる直接加硫接着法が知られており、この直接加硫接着法の中でも、ゴムの加硫と金属との結合を同時に行う上で、加硫反応に遅効性を与えるスルフェンアミド系加硫促進剤が有用とされている。
現在市販されている最も加硫反応に遅効性を与える加硫促進剤としては、N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられ、さらに、遅効性を必要とするような場合には、スルフェンアミド系加硫促進剤と、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミドのような加硫遅延剤とを併用することも行われている。例えば特許文献1では、ゴム組成物中に特定のスルフェンアミド系加硫促進剤を含有させる技術が開示されている。
また、上述した加硫促進剤の適正化に加えて、ゴム部材の内管剥離性を高めるための技術として、コバルト塩化物をゴム組成物中へ配合する技術が知られている。コバルト塩化物が接着プロモータとして作用することで、ゴム部材の内管剥離性を高めることが可能となる。
しかしながら、近年環境へ配慮した材料への要求が高まっており、コバルト塩化物を用いることなく内管剥離性を高めることができる技術の開発が進められている。
そのため、上述した接着促進剤とは別に内管剥離性を高めることができる技術として、ゴム組成物中に充填剤を多く配合する技術が知られている。シリカやカーボンブラックの充填剤をゴム組成物に配合することで、加硫ゴムの粘度を高め、金属部材との接着性を高めることができる。
しかしながら、ゴム組成物中に多量のシリカを配合する場合には、ゴム組成物の粘度が高くなりすぎるため、加工性が低下し、十分な生産性が得られないおそれも考えられる。
特開2011-1524号公報
そのため、本発明の目的は、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できるホース内管用ゴム組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を有する、積層体及びホースを提供することにある。
上述した課題を解決するための、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明のホース内管用ゴム組成物は、ホースの内管用ゴム組成物であって、
ゴム成分100質量部に対し、必須成分として、
A)ブタジエンゴム20質量部以下、
B)アクリロニトリルブタジエンゴム80質量部以上、
C)カーボンブラック60質量部以上、
D)チアゾール系以外の加硫促進剤1.0~3.0質量部、
E)加硫遅延剤0.1~2.0質量部
を含み、
任意成分として、コバルト化合物を含み、該コバルト化合物の含有量は、コバルト量換算で、前記ホース内管用ゴム組成物全体に対し、0.1質量%以下であり、
チアゾール系の加硫促進剤を含まないことを特徴とする。
上記構成を具えることによって、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できる。
また、本発明のホース内管用ゴム組成物では、シリカを含まないことが好ましい。より優れた生産性を実現できるためである。
ためである。
さらに、本発明のホース内管用ゴム組成物では、前記チアゾール系以外の加硫促進剤を、前記ゴム成分100質量部に対して1.3~2.8質量部含むことが好ましい。より優れた内管剥離性を実現できるためである。
また、前記チアゾール系以外の加硫促進剤が、スルフェンアミド系加硫促進剤であることが好ましい。より優れた内管剥離性を実現できるためである。
さらに、本発明のホース内管用ゴム組成物では、前記加硫遅延剤を、前記ゴム成分100質量部に対して0.5~1.0質量部含むことが好ましい。生産性を低下させることなく、より優れた内管剥離性を実現できるためである。
さらにまた、本発明のホース内管用ゴム組成物では、前記カーボンブラックは、少なくともFEF、GPF及びSRFから選択される少なくとも一種のカーボンブラックを含むことがより好ましく、該カーボンブラックがFEFのカーボンブラックを少なくとも含有し、その含有量が前記ゴム成分100質量部に対し、70質量部以上90質量部以下であることがさらに好ましい。生産性を低下させることなく、より優れた内管剥離性できるためである。
本発明の積層体は、上述した本発明のホース内管用ゴム組成物の加硫物からなる層と、ブラスめっきワイヤーと、を備えることを特徴とする。
上記構成を具えることによって、コバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を有することができる。
本発明のホースは、ホース径方向最内側に配置された本発明の積層体と、ホース径方向最外側に配置された外皮ゴム層と、を有することを特徴とする。
上記構成を具えることによって、コバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を有することができる。
本発明によれば、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できるホース内管用ゴム組成物を提供できる。
また、本発明によれば、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を有する、積層体及びホースを提供できる。
本発明のホース内管用ゴム組成物を用いた一実施態様に係る油圧ホースの積層構造を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、本発明では、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
<ホース内管用ゴム組成物>
本発明のホース内管用ゴム組成物は、ホースの内管に用いられるゴム組成物(内管用ゴム組成物)であって、
ゴム成分100質量部に対し、必須成分として、
A)ブタジエンゴム20質量部以下、
B)アクリロニトリルブタジエンゴム80質量部以上、
C)カーボンブラック60質量部以上、
D)チアゾール系以外の加硫促進剤1.0~3.0質量部、
E)加硫遅延剤0.1~1.0質量部
を含む。
本発明では、ブラスめっきワイヤー等の金属部材と接着させる内管用ゴム組成物について、前記A)ブタジエンゴム及びB)アクリロニトリルブタジエンゴムをゴム成分として含むとともに、C)カーボンブラック、D)チアゾール系以外の加硫促進剤及びE)加硫遅延剤を特定量含むことによって、これらの相乗効果により、シリカやコバルト化合物を用いない場合であっても、内管剥離性を高めることが可能になる。また、前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤の上限値や、前記E)加硫遅延剤の下限値について適正化を図ることで、生産性についても高いレベルで維持できる。
以下、本発明のホース内管用ゴム組成物を構成する成分について説明する。
(ゴム成分)
本発明のホース内管用ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
前記ゴム成分については、該ゴム成分100質量部に対して、20質量部以下のA)ブタジエンゴム、及び、80質量部以上のB)アクリロニトリルブタジエンゴムを含有する。これらのゴムを含有することによって、耐油性等の物性を良好に維持しつつ、内管剥離性を高めることができる。
前記A)ブタジエンゴム(BR)については、ポリブタジエンゴム(PBR)だけでなく、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン(sPB)、高シス-ブタジエンゴム(高シスBR)等のブタジエンゴムを用いることも可能である。なお、これらのブタジエンゴムは一種だけを用いることもできるし、複数種のブタジエンゴムを混合して用いることもできる。
前記A)ブタジエンゴムの含有量については、内管剥離性と生産性とのバランスを確保する観点から、前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。
前記B)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)については、内管剥離性や耐油性を高める観点から、前記ゴム成分100質量部に対して80質量部以上であることを要し、同様の観点から、85質量部以下であることが好ましい。
また、前記B)アクリロニトリルブタジエンゴムは、2種類以上のNBRを含むこともできる。その場合、ニトリル含量(AN含量)が、40~45のいわゆる高アクリロニトリルブタジエンゴムを30~60質量部、ニトリル含量(AN含量)が、30~40のいわゆる中高アクリロニトリルブタジエンゴムを20~50質量部含むことが好ましい。前記B)アクリロニトリルブタジエンゴムを2種類配合することによって、耐油性、耐寒性等の物性の優れるホース内管ゴムを得ることができる。
なお、前記ゴム成分については、上述したA)ブタジエンゴム及びB)アクリロニトリルブタジエンゴム以外のゴム成分(その他のゴム成分)を含むこともできる。
前記その他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、これらの変性体等を用いることができる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(充填剤)
本発明のホース内管用ゴム組成物は、上述したゴム成分に加えて、充填剤として、ゴム成分100質量部に対して60質量部以上のC)カーボンブラックを含む。
充填剤として前記C)カーボンブラックを含むことによって、ゴム組成物の接着性及び強度を高めることができるため、内管剥離性を向上させることができる。
前記カーボンブラックの含有量については、ゴム成分100質量部に対して60質量部以上とする。内管剥離性をより高めることができるためである。同様の観点から、前記カーボンブラックの含有量は、70質量部以上であることが好ましい。
また、前記カーボンブラックの含有量については、生産性の低下や低発熱性の悪化を抑える観点から、前記ゴム成分100質量部に対して120質量部未満であることが好ましく、110質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましい。
ここで、前記カーボンブラックの種類については、特に限定はされない。例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、ISAF、SAF等のグレードのカーボンブラックを用いることができる。これらの中でも、前記カーボンブラックは、FEF、GPF及びSRFから選択される少なくとも一種のカーボンブラックを含むことが好ましく、少なくともFEFのカーボンブラックを含むことがより好ましい。より確実に内管剥離性を高めることができるためである。
さらに、前記カーボンブラックがFEFのカーボンブラックである場合には、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し、70質量部以上90質量部以下であることが好ましい。前記FEFのカーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し70質量部以上の場合には、内管剥離性や強度をより確実に高めることができ、前記ゴム成分100質量部に対し90質量部以下の場合には、生産性や低発熱性が悪化するのを抑えることができるためである。
また、本発明のホース内管用ゴム組成物では、より優れた生産性を得る観点からは、前記ゴム成分100質量部に対してシリカを1質量部未満含むことが好ましく、含まないことがより好ましい。
また、前記充填剤については、前記C)カーボンブラックの他にも、例えば、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等の無機充填剤を含有することができる。
(加硫促進剤)
本発明のホース内管用ゴム組成物は、上述したゴム成分及び充填剤に加えて、ゴム成分100質量部に対して1.0~3.0質量部のD)チアゾール系以外の加硫促進剤を含む。
前記加硫促進剤として、D)チアゾール系以外の加硫促進剤を含むことで、ゴムの加硫と金属との結合を同時に行うことが可能となり、ゴムと金属との間の接着性能が高まり、内管剥離性を向上させることができる。前記加硫促進剤としてチアゾール系の加硫促進剤を含む場合、ゴムの加硫と金属との結合を同時に行うことが難しく、十分な内管剥離性を得ることができないため、本発明のゴム組成物からは、チアゾール系加硫促進剤を含むゴム組成物を除くものとする。つまり、本発明のゴム組成物は、チアゾール系の加硫促進剤を含まない。
ここで、前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤については、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系、グアニジン系、チオウレア系、アルデヒド-アンモニア系、アルデヒド-アミン系等の加硫促進剤が挙げられる。
これらの中でも、前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤が、スルフェンアミド系の加硫促進剤であることが好ましい。加硫反応に遅効性を与えることができ、ゴムの加硫と金属との結合が効果的に行われるため、より優れた内管剥離性を実現できるためである。
前記スルフェンアミド系の加硫促進剤については、特に限定はされないが、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N-メチル-N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(BMBS)、N-エチル-N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(BEBS)、N-n-プロピル-N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(BBBS)、N-メチル-N-イソアミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-エチル-N-イソアミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-プロピル-N-イソアミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-イソアミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-メチル-N-tert-アミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-エチル-N-tert-アミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-プロピル-N-tert-アミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-tert-アミルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-メチル-N-tert-ヘプチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-エチル-N-tert-ヘプチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-プロピル-N-tert-ヘプチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-tert-ヘプチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-メチル-N-t-ブチル-4-メチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-メチル-N-t-ブチル-4,6-ジメトキシベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-エチル-N-t-ブチル-4-メチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-エチル-N-t-ブチル-4,6-ジメトキシベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-プロピル-N-t-ブチル-4-メチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-プロピル-N-t-ブチル-4,6-ジメトキシベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-t
-ブチル-4-メチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、N-n-ブチル-N-t-ブチル-4,6-ジメトキシベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、より優れた内管剥離性を実現できる観点から、前記スルフェンアミド系の加硫促進剤は、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、のうちの少なくとも一種を用いることが好ましい。
前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1.0~3.0質量部である。
前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して3.0質量部を超えると、加硫の進行速度が速くなりすぎるため、十分な内管剥離性を得られない場合がある。同様の観点から、前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して2.5質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましい。
また、前記D)チアゾール系以外の加硫促進剤の含有量は、より確実にゴムの加硫と金属との結合実現し、より優れた内管剥離性を得る観点から、ゴム成分100質量部に対して1.0質量部以上であることを要し、1.2質量部以上であることが好ましく、1.3質量部以上であることがより好ましい。
(加硫遅延剤)
本発明のホース内管用ゴム組成物は、上述したゴム成分、充填剤及びD)チアゾール系以外の加硫促進剤に加えて、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~1.0質量部のE)加硫遅延剤を含む。
前記加硫遅延剤を含むことによって、加硫の時間を長くし、ゴムの加硫と金属との結合より確実に行うことが可能となる結果、優れた内管剥離性を実現できる。
ここで、前記加硫遅延剤の種類については、特に限定はされないが、より優れた内管剥離性を得ることができる観点から、N-(シクロへキシルチオ)フタルイミド、無水フタル酸等を用いることが好ましい。
また、前記加硫遅延剤の含有量については、確実に内管剥離性を高めるため、前記ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であることを要し、生産性に悪影響を与えることなくより確実に内管剥離性を高めることができる観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して2.0質量部以下とすることを要する。同様の観点から、前記加硫遅延剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.3~0.7質量部であることが好ましい。
(コバルト化合物)
また、本発明のホース内管用ゴム組成物は、任意成分として、コバルト化合物を含むことができる。該コバルト化合物を含むことで、内管剥離性の向上が望める。
ただし、環境への配慮の観点からは、前記コバルト化合物の含有量を、コバルト量換算で、前記ホース内管用ゴム組成物全体に対し、0.1質量%以下とすることを要し、0.05質量%以下とすることが好ましく、0%とする(含有しない)ことが特に好ましい。
なお、前記コバルト化合物とは、コバルトを含有する化合物のことであり、例えば、コバルト金属、酸化コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、リン酸コバルト、クロム酸コバルト、有機酸コバルト等が挙げられる。
(その他の成分)
本発明のホース内管用ゴム組成物は、必須成分としてのゴム成分、充填剤及び加硫促進剤、並びに、任意成分としてのコバルト化合物以外の成分(その他成分)を、必要に応じて適宜含むことができる。かかるその他の成分としては、例えば、硫黄、ビスマレイミド化合物、加硫促進助剤、老化防止剤、可塑剤、石油樹脂、ワックス類、酸化防止剤、オイル、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、共架橋化剤、均質化剤等が挙げられる。
本発明のホース内管用ゴム組成物は、通常、加硫剤として硫黄を含む。その含有量は、特に限定はされないが、前記ゴム成分100質量部に対して、0.3~10質量部であることが好ましく、1.0~7.0質量部であることがより好ましく、2.0~5.0質量部であることがさらに好ましい。前記硫黄の含有量が、ゴム成分100質量部に対して0.3質量部以上であると、充分に加硫を行うことができ、ゴム成分100質量部に対して10質量部以下であると、ゴムの老化性能の低下を抑えることができる。
なお、本発明のホース内管用ゴム組成物を得る方法としては、例えば、上述した各成分を、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練りすることによって得ることができる。
<積層体>
本発明の積層体は、上述した本発明のホース内管用ゴム組成物の加硫物からなる層と、ブラスめっきワイヤーと、を備えることを特徴とする。
本発明のホース内管用ゴム組成物の加硫物からなる層を備えることで、コバルト化合物を用いない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できる。
前記ホース内管用ゴム組成物については、上述した説明の通りである。
また、前記ホース内管用ゴム組成物を加硫する条件については、特に限定はされず、要求される性能に応じて調整することが可能である。例えば、100~200℃10~100分の加硫処理を行うことで、前記加硫物からなる層を得ることができる。
また、本発明の積層体を構成する前記ブラスめっきワイヤーは、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
さらに、本発明の積層体では、前記ブラスめっきワイヤーを編み上げ、層状にすることもできる。本発明の積層体をホースに用いた場合、この編み上げたブラスめっきワイヤーからなる層が、補強層を構成することになる。前記ブラスめっきワイヤーの編み方については、特に限定はされず、積層体の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、スパイラル状やブレード状に編み上げることができる。
さらにまた、本発明の積層体では、前記ブラスめっきワイヤーを有機繊維と組み合わせて編み上げることも可能である。その場合、前記有機繊維としては、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、炭素系繊維等を用いることができる。
<ホース>
本発明のホースは、ホース径方向最内側に配置された本発明の積層体と、ホース径方向最外側に配置された外皮ゴム層と、を有することを特徴とする。
本発明の積層体をホース径方向最内側に配置することで、コバルト化合物を用いない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できる。
本発明のホースとしては、例えば図1に示すように、作動油が充填されるゴム製の内面ゴム層2 (内管ゴム)と、作動油の圧力に耐えるための補強層3と、これら補強層3及
び内面ゴム層2が損傷を受けるのを防止する外面ゴム層4(外被ゴム)とを順次積層した油圧ホース1とすることができる。
この場合、上述した本発明の積層体は、ホース内管用ゴム組成物の加硫物が内面ゴム層2を構成し、前記ブラスめっきワイヤーが補強層3を構成することになる。
前記油圧ホース1を製造する場合は、以下に示す方法で製造することができる。
先ず、ホース内径と同程度の直径を有する芯体(マンドレル)の外側に本発明のホース内管用ゴム組成物を押出成形して該マンドレルを被覆し、内面ゴム層(内管ゴム)2を形成する(内管押出工程)。次に、該内管押出工程で形成した内面ゴム層2の外側に、所定本数のブラスめっきワイヤーを編み上げて補強層3を積層し(編上げ工程)、該補強層3の外側にホースの外被となるゴム組成物を押出成形し、外面ゴム層(外被ゴム)4を形成する(外被押出工程)。さらに、該外被押出工程で形成した外面ゴム層4の外側を樹脂で被覆し(樹脂モールド被覆工程)、これを通常の条件で加硫する(加硫工程)。加硫後、上記被覆樹脂を剥離し(樹脂モールド剥離工程)、マンドレルを取り除く(マンドレル抜出工程)ことにより、内管ゴム2と外被ゴム4との間に補強層3を有する油圧ホース1となる。
なお、油圧ホース1の構造は、上記のように内側から内管ゴム2、補強層3及び外被ゴム4を順次積層した3層構造としてもよいし、更に強度等が必要な場合は、特に図示しないが、上記補強層を2層とし、この2層の補強層間に中間層(中間ゴム)を配した5層構造とすることもでき、これらの構造はホースの要求特性等に応じて適宜設定すればよい。
前記中間ゴムについては、例えば、エチレン-プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ヒドリンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソブチレン-イソプレン共重合体ゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタン系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、等が挙げられる。これらのゴム成分は1種を単独でも、2種以上の任意のブレンド物としても使用できる。
さらに、前記中間ゴムは、材料強度や耐久性及び押出し成形性等を考慮して、ゴム工業界で一般に用いられている公知のゴム配合薬品やゴム用充填材を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。この様な配合薬品及び充填材としては、例えば、カーボンブラックやシリカ、炭酸カルシウム等の無機充填材;プロセスオイル、可塑剤、軟化剤;硫黄等の加硫剤;酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫助剤;ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド、N-オキシジエチレン-ベンゾチアジル-スルフェンアミド等の老化防止剤;酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の添加剤;等を適宜に使用することができる。これらの配合薬品及び充填材は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記外被ゴムについては、従来の油圧ホースに使用されているものと同様に、例えば熱可塑性樹脂等からなる層で構成することができるし、前記各種ゴムにより構成してもよい。外皮ゴム層を設けることで、補強層を構成する繊維が保護され、補強層の外傷を防止することができるとともに外観上も好ましいものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。実施例において、配合量は、特に断らない限り、質量部を意味する。
(サンプル1~12)
表1に示す配合に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ホース内管用ゴム組成物の各サンプルを作製した。なお、表1における各成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)で示している。
(評価)
得られたゴム組成物の各サンプルについて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
(1)ムーニー粘度
各サンプルのホース内管用ゴム組成物について、JIS K 6300-1(2001年)の「ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム」に準拠し、ムーニー粘度の測定を行った。
なお、測定したムーニー粘度の測定結果については表1に示し、数値が小さい程、未加硫粘度が小さく、数値が大きい程固いため、65~93の間で生産性が良好であることを示す。
(2)ワイヤー引抜力
各サンプルのホース内管用ゴム組成物を、試験用2本ロールにより熱練し、ゴムシートを作製し、このゴムシートから幅10mm、長さ120mmのゴム片を複数枚切り出した。その後、真鍮(Cu65%、Zn35%)をめっきしたφ0.6mm×100mmのブラスめっきワイヤーを前記複数枚のゴム片で、上部のゴム片のトータル厚さが8mm、下部のゴム片のトータル厚さが6mmになるよう挟み、150℃で60分間加硫し、ワイヤー埋込長10mmの試験サンプルを作製した。得られた試験サンプルについて、ASTM
D2229に準ずる方法で引き抜き試験を行い、引き抜きに要する力(引抜力(N))を測定した。
なお、ワイヤー引抜力は、数値が大きいほどゴムとワイヤーとの接着力が大きく、内管剥離性が良好なことを示す。
(3)永久圧縮歪み(Cs)
各サンプルのホース内管用ゴム組成物を、150℃、60分の加硫条件で加硫ゴムを作製し、各々の加硫ゴムについて、JIS-K6301に規定されている測定法に従い、永久圧縮歪み(Cs)を測定した。圧縮条件は、温度100℃、圧縮率25%、圧縮時間72時間で実施した。
永久圧縮歪み(Cs)の測定結果については表1に示し、数値が小さい程、永久圧縮歪みが良好であることを示す。
Figure 2022085771000002
*1:ポリブタジエンゴム、宇部興産(株)製 「UBEPOL VCR(登録商標)」
*2:JSR(株)製 「JSR N220S」
*3:JSR(株)製 「JSR N230S」
*5:FEF級カーボンブラック、旭カーボン(株)製 「旭#65」
*8:鶴見化学工業(株)製 「サルファックス(登録商標)5」
*9:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製 商品名「ノクセラーCZ-G」
*10:ベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製 「ノクセラーDM-P」
*11:N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製 「ノクセラーNS-P」
*12:N-(シクロへキシルチオ)フタルイミド、川口化学工業(株)製 「アンスコーチCTP」
表1の結果から、実施例の各サンプルについては、全ての評価項目でバランスよくすぐれた結果を示していることがわかる。一方、比較例のサンプルについては、ワイヤー引抜力が、実施例に比べて劣る結果を示していることがわかる。
本発明によれば、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を実現できるホース内管用ゴム組成物を提供できる。
また、本発明によれば、シリカ及びコバルト化合物を含まない場合や含有量が少ない場合であっても、優れた内管剥離性及び生産性を有する、積層体及びホースを提供できる。
1 油圧ホース
2 内面ゴム層(内管ゴム)
3 補強層
4 外面ゴム層(外被ゴム)

Claims (9)

  1. ホースの内管用ゴム組成物であって、
    ゴム成分100質量部に対し、必須成分として、
    A)ブタジエンゴム20質量部以下、
    B)アクリロニトリルブタジエンゴム80質量部以上、
    C)カーボンブラック60質量部以上、
    D)チアゾール系以外の加硫促進剤1.0~3.0質量部、
    E)加硫遅延剤0.1~2.0質量部
    を含み、
    任意成分として、コバルト化合物を含み、該コバルト化合物の含有量は、コバルト量換算で、前記ホース内管用ゴム組成物全体に対し、0.1質量%以下であり、
    チアゾール系の加硫促進剤を含まないことを特徴とする、ホース内管用ゴム組成物。
  2. シリカを含まないことを特徴とする、請求項1に記載のホース内管用ゴム組成物。
  3. 前記チアゾール系以外の加硫促進剤を、前記ゴム成分100質量部に対して1.3~2.0質量部含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のホース内管用ゴム組成物。
  4. 前記チアゾール系以外の加硫促進剤が、スルフェンアミド系加硫促進剤であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のホース内管用ゴム組成物。
  5. 前記加硫遅延剤を、前記ゴム成分100質量部に対して0.5~1.0質量部含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のホース内管用ゴム組成物。
  6. 前記カーボンブラックは、少なくともFEF、GPF及びSRFから選択される少なくとも一種のカーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のホース内管用ゴム組成物。
  7. 前記カーボンブラックがFEFのカーボンブラックを少なくとも含有し、その含有量が前記ゴム成分100質量部に対し、70質量部以上90質量部以下であることを特徴とする、請求項6に記載のホース内管用ゴム組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のホース内管用ゴム組成物の加硫物からなる層と、ブラスめっきワイヤーと、を備えることを特徴とする、積層体。
  9. ホース径方向最内側に配置された請求項8に記載の積層体と、ホース径方向最外側に配置された外皮ゴム層と、を有することを特徴とする、ホース。
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