JP2022084967A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐アルカリ性および高温下における層間接着性に優れる積層体の提供。【解決手段】含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層と、任意に薄膜を有する積層体であって、前記含フッ素弾性重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体またはテトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体からなる含フッ素弾性重合体であって、前記積層体の積層面に対して垂直な断面の画像において、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さが3μm~40μmであり、JIS K6854-3:1999に規定されるT型はく離試験を100~200℃の温度下で行ったときに、前記第1の層または前記第2の層で材料破断が生じる積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関する。
フッ素ゴムは、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性等に優れるため、汎用ゴムを適用できない過酷な環境下での用途に適している。
フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデンに基づく単位とヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを有する共重合体の架橋物(FKM)、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体の架橋物(FEPM)、テトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体の架橋物(FFKM)等が知られている。
一般にフッ素ゴムは高価であるため、フッ素ゴムと非フッ素ゴムとを積層した積層体が提案されている(特許文献1)。特許文献1は、フッ素ゴムとトリアジンチオールの第4級アンモニウム塩誘導体とからなる加硫性ゴム組成物と、フッ素ゴム以外の加硫性ゴム組成物とを加硫接着したゴム積層体を開示している。
特開平05-320453号公報
しかしながら、特許文献1の実施例に記載のゴム積層体は、FKMと非フッ素ゴムとのゴム積層体であり、耐アルカリ性が不十分である。そのため、特許文献1の実施例に記載のゴム積層体は、自動車用の燃料用ゴムホース等の高アルカリ下の使用環境での用途に適していない。
一般にFEPM、FFKM等のフッ素ゴムは、FKMに比べて、耐アルカリ性に優れる。ところが、本発明者は、耐アルカリ性を向上させるために、FEPMまたはFFKMと非フッ素ゴムとを積層した積層体は、各層の間の接着性、すなわち層間接着性が低下し、150℃程度の高温下で各層の界面ではく離が生じる場合があることを知見した。
本発明は、耐アルカリ性および高温下における層間接着性に優れる積層体を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層と、任意に薄膜を有し、前記含フッ素弾性重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体またはテトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体からなる積層体であって、
前記積層体の積層面に対して垂直な断面の画像において、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さが3μm~40μmであり、JIS K6854-3:1999に規定されるT型はく離試験を100~200℃の温度下で行ったときに、前記第1の層または前記第2の層で材料破断が生じる、積層体。
ただし、積層体の積層面とは、隣接している第1の層と第2の層の界面、または、薄膜を介して隣接している第1の層と第2の層との間に存在する界面であり、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さとは、次のように規定される。
(1)走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1000倍で、積層体の積層面に対して垂直な断面の、積層体の積層面に対して垂直に90μm×積層体の積層面に対して平行に120μmの範囲を撮影し、画像を得る。
(2)前記画像において視認できる、積層体の積層面によって形成された線の一端と他端とを線(以下、線1と記す。)で結ぶ。
(3)線1に対して平行な線を2本追加する(以下、2本の線のうちの一方を線2、もう一方を線3と記す。)。
ただし、線2と線3は、線1を挟むように、かつ、前記画像内に存在する積層体の積層面によって形成された線を全て含むように、かつ、前記2本の線同士の距離が最短になるように配されている。
(4)線2と線3の距離を、実物の積層体の積層面における長さに換算した値を「積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さ」とする。
[2] 前記第1の層が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体又はテトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体からなる含フッ素弾性重合体と架橋剤と架橋助剤とを含む第1の組成物の架橋物からなり、第2の層が、非フッ素弾性重合体と架橋剤とを含み、任意で架橋助剤を含む第2の組成物の架橋物からなる、[1]に記載の積層体。
[3] さらに薄層を有する、[1]または[2]に記載の積層体。
本発明によれば、耐アルカリ性および高温下における層間接着性に優れる積層体が得られる。
実施例の例4で得た積層体の積層面に対して垂直な断面の図を示す。 実施例の例5で得た積層体の積層面に対して垂直な断面の図を示す。
本明細書における以下の用語の意味は以下の通りである。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合、三重結合が例示される。
「単量体に基づく単位」とは、単量体1分子が重合することで直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換することで得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」を「単量体単位」とも記す。具体的な単量体に基づく単位は、具体的な単量体の名称または略称に「単位」を付して記載することもある。例えば、テトラフルオロエチレンを「TFE」と略称し、テトラフルオロエチレンに基づく単位を「TFE単位」とも記す。
「貯蔵せん断弾性率G’」は、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定される値である。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素-炭素原子間に1個存在する酸素原子である。
<積層体>
本発明の積層体は、後述する含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層と有する積層体であって、前記含フッ素弾性重合体がTFE単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体(以下、共重合体1とも記す。)またはTFEに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとも記す。)に基づく単位を有する共重合体(以下、共重合体2とも記す。)からなる含フッ素弾性重合体である。
本発明の積層体の製造方法の詳細については後述する。
本発明の積層体は、JIS K6854-3:1999に規定されるT型はく離試験を100~200℃の温度下で行ったときに、第1の層または第2の層で材料破断が生じる。
また、本発明の積層体は、積層面に対して垂直な断面の画像において、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さ(以下、凸凹の高さとも記す。)が3μm~40μmである。
凹凸の高さの測定方法は、次のとおりである。
(1)走査型電子顕微鏡(以下、SEMとも記す。)を用いて、倍率1000倍で、積層体の積層面に対して垂直な断面の、積層体の積層面に対して垂直に90μm×積層体の積層面に対して平行に120μmの範囲を撮影し、画像を得る。
(2)前記画像において視認できる、積層体の積層面によって形成された線の一端と他端とを線(以下、線1と記す。)で結ぶ。
(3)線1に対して平行な線を2本追加する(以下、2本の線のうちの一方を線2、もう一方を線3と記す。)。
ただし、線2と線3は、線1を挟むように、かつ、前記画像内に存在する積層体の積層面によって形成された線を全て含むように、かつ、前記2本の線同士の距離が最短になるように配されている。
(4)線2と線3の距離を、実物の積層体の積層面における長さに換算した値を「凹凸の高さ」とする。
凹凸の高さの測定するために使用されるSEMは、特に限定されない。
SEMを用いて反射電子像観察を行う際、コントラストを調整することで含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層の積層面を明瞭にすることができる。
SEMまで撮影される画像は、スケールが記載してあることが好ましい。
SEMを使用して撮影した画像を基に測定した場合の、本発明積層体の凹凸の高さは、3μm~40μmであり、3μm~20μmであることが好ましく、4μm~10μmであることがより好ましく、4μm~7μmであることが最も好ましい。
凸凹の高さが3μm以上であると第1の層と第2の層の接触面積が大きくなると考えられ、層間接着性に優れる。
凸凹の高さが40μm以下であると、第1の層の厚さのばらつきが少なくなり、耐アルカリ性を充分に発揮できる。
本発明の積層体は、AFMを用いてその断面を撮影し、画像を得ることもできる。AFMを使用する際には、含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層の表面情報から得られる物性の差が明暗の像として得られ、明暗を階調分けすることにより2値化が可能となる。2値化位置は、階調分けされた中央のレベルとし、それにより明確なコントラストのついた像が得られ、積層面を読み取りやすい。
SEMまたはAFMで撮影される画像において、積層体の積層面によって形成された線の凸凹が視認されることは、積層体の積層面に凸凹が存在することを示し、その高さは、積層面に存在する凸凹の高さを示している。
積層体の積層面によって形成された線の凸凹の高さが大きいほど、積層面に大きい凸凹が存在する、すなわち、第1の層および第2の層の表面積が大きくなり、第1の層と第2の層の接触面積が大きくなると考えられるので、本発明の積層体は層間接着性に優れる。
本発明の積層体の断面の画像における、積層体の積層面によって形成された線の凸凹の高さは、積層体の積層面の複数の点を測定したときの平均値(以下、平均凸凹高さとも記す。)で表すこともできる。
平均凸凹高さを算出する際の測定点は、3~6点が好ましい。
また、前記測定点は、本発明の積層体の積層面の端ではなく、内側にある点であることが好ましい。積層体の積層面の端は、製造工程の影響を受けることがあるため、有意な測定結果が得られないことがある。
具体例としては、長さ60mm×幅25mmであり任意の厚みを持つ本発明の積層体があるとき、長さを6等分、幅を3等分する線の交点の10点のうち、任意の交点を3点選び、前記任意の交点における凸凹の高さを平均したときの値を、その積層体の平均凸凹高さとすることができる。
さらに、本発明の積層体は、後述する含フッ素弾性重合体を含む第1の層と、後述する非フッ素弾性重合体を含む第2の層とを有する。
本発明の積層体は、第1の層および第2の層の2層構造の積層体であることが好ましいが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の積層体は、第1の層および第2の層以外の薄層を有していてもよい。薄膜の厚さは、0.01~1μmが好ましく、0.01~0.5μmがさらに好ましい。薄膜の厚さが0.01~1μmであると、第1の組成物と第2の組成物との共架橋を阻害しにくい。薄層としては、例えば、後述の両層間に存在する接着性の薄層、熱可塑性樹脂からなる薄層、金属薄膜が挙げられる。
また、本発明の積層体は、複数の第1の層や複数の第2の層を有していてもよい。
本発明の積層体は、後述する含フッ素弾性重合体を含む第1の組成物の架橋物からなる第1の層と、後述する非フッ素弾性重合体を含む第2の組成物の架橋物からなる第2の層とを有することが好ましい。第1の層が含フッ素弾性共重合体を含む第1の組成物の架橋物であり、第2の層が非フッ素弾性重合体を含む第2の組成物の架橋物である場合、層間接着性により優れる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、後述する第1の組成物の層と、後述する第2の組成物の層とを有する未架橋積層体を製造し、次いで、第1の組成物および第2の組成物を架橋させて、第1の層と第2の層とを有する積層体を製造する方法であることが好ましい。
本発明の積層体の好ましい製造方法においては、第1の組成物が共重合体1または共重合体2からなる含フッ素弾性重合体と架橋剤と架橋助剤とを含み、第2の組成物が非フッ素弾性重合体と架橋剤とを含み、架橋助剤を任意で含む。
含フッ素弾性重合体、非フッ素弾性重合体、架橋剤、架橋助剤、および、その他の成分の詳細は後述する。
凹凸の高さが3μm~40μmであって、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性に優れる積層体を得るための好ましい製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)架橋助剤の調整
(2)重合体のSP値の調整
(3)組成物の架橋度の調整
(4)重合体の粘度の調整
(1)架橋助剤の調整
本発明の積層体の製造方法においては、第2の組成物が架橋助剤を含み、第1の組成物と第2の組成物とが共通の架橋助剤を含むことが好ましい。第2の組成物が架橋助剤を含み、第1の組成物と第2の組成物とが共通の架橋助剤を含む場合、共通の架橋助剤が共通の架橋剤に反応するため、第1の組成物と第2の組成物との界面における架橋反応が進行しやすいと考えられる。
ここで、「共通の架橋助剤を含まない」とは、第2の組成物が架橋助剤を含む場合に、第1の組成物が含む架橋助剤のいずれもが第2の組成物が含む架橋助剤のいずれとも異なる化合物であることを意味する。なお、第2の組成物が架橋助剤を含まない場合は、第1の組成物と第2の組成物とが共通の架橋助剤を含まない場合に相当する。
(2)重合体のSP値の調整
本発明の積層体の製造方法においては、第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のSP値と第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のSP値との差の絶対値は、0~10[(J/cm1/2]が好ましく、0~5[(J/cm1/2]がより好ましく、0~2[(J/cm1/2]がさらに好ましい。含フッ素弾性重合体のSP値と非フッ素弾性重合体のSP値との差の絶対値が0~10[(J/cm1/2]の範囲内であると、含フッ素弾性重合体と非フッ素弾性重合体との相溶性が良好であり、前記含フッ素弾性重合体を含む第1の組成物と前記非フッ素弾性重合体を含む第2の組成物から製造された積層体における第1の層と第2の層が一次結合を形成しやすいと考えられるため、積層体の第1の層と第2の層との層間接着性がさらに優れる。
本発明でいうSP値δTとは、Hildebrandの溶解度パラメータである。SP値δT[(J/cm1/2]は、HSP値から算出される。
本発明でいうHSP値とは、Hansenの溶解度パラメータであり、分散項δD[(J/cm1/2]、極性項δP[(J/cm1/2]、水素結合項δH[(J/cm1/2]からなる。
SP値とHSP値の関係は、下記式(i)で表される。
δT=δD2+δP+δH (i)
δD、δP、δHは、溶解性評価試験の結果から算出される。溶解性試験は、以下に示す方法で行われる。
溶解度パラメータが既知の溶媒約5mLをガラスバイアルに採取し、試料を約0.2g加えて72時間25℃で静置した後、崩壊(シートの形状を保てなくなること)の有無を確認し、崩壊しなかったものについて質量変化率Qを測定する。
なお、質量変化率Qは、下記式(ii)にて算出される。
Q={W(after)/W(before)}×100(%) (ii)
ただし、W(after)は試験前の試料の質量、W(before)は試験後の試料の質量である。
また、上記溶解度パラメータが既知の溶媒とは、酢酸、アセトン、アセトニトリル、n―ブチルアセテート、クロロホルム、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジクロロメタン、炭酸プロピレン、プロピレングリセロールモノメチルエーテル(PM)、プロピレングリセロールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、フルオロベンゼン、p-フルオロアニソール、2,2,2-トリフルオロエタノール、パーフルオロヘキサンである。前述のすべての溶媒について、崩壊の有無を確認し、崩壊しなかったものについては質量変化率Qを測定する。
上記の測定の結果を、三次元グラフ上にプロットし、Hansen球法によりδD、δP、δHを算出した。算出には、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)ver.5.0.08のSphereプログラムのGenetic Algorithmオプション内のData Pointsモードを用いた。
得られたδD、δP、δHの値と式(i)により、SP値δTを算出した。
第1の組成物および第2の組成物のSP値は、重合体のSP値を揃えたり、後述する添加剤を添加したりすることで適宜調整できる。
本発明の積層体の製造方法においては、第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のSP値と第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のSP値の差の絶対値は、0~10[(J/cm1/2]が好ましい。
(3)組成物の架橋度の調整
本発明の積層体の製造方法において、第1の組成物の架橋度は、好ましくは5~150、より好ましくは10~100であり、さらに好ましくは20~100である。
また、第2の組成物の架橋度は、好ましくは5~300であり、より好ましくは10~210であり、さらに好ましくは30~170である。
なお、架橋度は、下式3で定義される。
架橋度=MH-ML ・・・式3
ただし、MHは、架橋特性測定器(RPA)で架橋試験を行ったときの、トルクの最大値であり、MLはトルクの最小値である。本明細書に記載の架橋度は、架橋特性測定器(RPA)であるゴム加工解析装置(アルファーテクノロジーズ社製、RPA-2000)を用いて測定された。
架橋度は、架橋可能な組成物の架橋反応性の目安となり、架橋度の値が大きいほど、架橋点が多く、架橋反応性に優れることを示す。架橋反応性が高い組成物を積層する場合、層間接着性に優れる。
第1の組成物の架橋度が5以上であると架橋反応性に優れるため、層間接着性に優れた積層体を作ることができ、150以下であると加工性に優れる。
第2の組成物の架橋度が5以上であると層間接着性に優れるため、層間接着性に優れた積層体を作ることができ、300以下であると加工性に優れる。
架橋度は、例えば、架橋助剤の量によって、調整することができる。
本発明の積層体の製造方法においては、第1の組成物の架橋度と第2の組成物の架橋度との差の絶対値は、0~200が好ましく、0~150がより好ましい。第1の組成物の架橋度と第2の組成物の架橋度との差の絶対値が0~200の範囲内であると、第1の層と第2の層が一次結合を形成しやすいと考えられるため、積層体の第1の層と第2の層との層間接着性がさらに優れる。
(4)重合体の粘度の調整
本発明の積層体の製造方法において、第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のムーニー粘度は、10~300が好ましく、30~200がより好ましく、50~120がさらに好ましい。
また、前記第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のムーニー粘度は、5~120が好ましく、10~110がより好ましく、20~70がさらに好ましい。
第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のムーニー粘度が10以上であると加工性に優れる。ムーニー粘度が300以下であると、含フッ素弾性重合体が界面において非フッ素弾性重合体と混合しやすく、第1の層と第2の層が一次結合を形成しやすいと考えられるため、層間接着性に優れる。
前記第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のムーニー粘度が5以上であると加工性に優れる。120以下であると、非フッ素弾性重合体が界面において含フッ素弾性重合体と混合しやすく、第1の層と第2の層が一次結合を形成しやすいと考えられるため、層間接着性に優れる。
なお、含フッ素弾性重合体のムーニー粘度は、ムーニービスコメータ(島津製作所社製、SMV-201)を用いて、JIS K6300-1:2013に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で予熱時間を1分間、ローター回転時間を4分間に設定して測定される値である。
本発明の積層体の製造方法においては、第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のムーニー粘度と第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のムーニー粘度との差の絶対値は、0~200が好ましく、0~100がより好ましく、0~75がさらに好ましい。第1の組成物に含まれる含フッ素弾性重合体のムーニー粘度と第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体のムーニー粘度との差の絶対値が0~200の範囲内であると、界面において含フッ素弾性重合体と非フッ素弾性重合体と混合しやすく、第1の層と第2の層が一次結合を形成しやすいと考えられるため、積層体の第1の層と第2の層との層間接着性がさらに優れる。
(第1の組成物)
第1の組成物は、共重合体1または共重合体2からなる含フッ素弾性重合体と架橋剤と架橋助剤とを含む。第1の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含んでもよい。
第1の組成物の架橋物は、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとも記す。)に基づく単位とフッ化ビニリデン(以下、VdFとも記す。)に基づく単位とを有する共重合体の架橋物、すなわちFKMに比べ耐アルカリ性および耐スチーム性に優れる。
(共重合体1)
共重合体1は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の単量体単位をさらに有していてもよい。
共重合体1における他の単量体としては、二個以上の重合性不飽和結合を有する単量体(以下、DVEとも記す。)、PAVE、パーフルオロ(オキサアルキルビニルエーテル)(以下、POAVEと記す。)が例示される。
DVEをTFEおよびプロピレンと共重合させると、分岐鎖を有する共重合体1が得られる。共重合体1がDVE単位をさらに有すると、架橋反応性、架橋物の引張強さおよび高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性とともに、低温特性が優れる。
DVEとしては、下記式4で表される化合物4、下記式5で表される化合物5、および下記式6で表される化合物6からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
CR=CR-R-CR=CR ・・・式4
CR=CR10-OCO-R11-COO-CR12=CR1314 ・・・式5
CR1516=CR17COOCH=CH ・・・式6
ただし、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基であり、RおよびR11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~25のアルキレン基、炭素原子数1~25のアルキレン基であってエーテル性酸素原子を有する基、炭素原子数1~25のフルオロアルキレン基、炭素原子数1~25のフルオロアルキレン基であってエーテル性酸素原子を有する基、または酸素原子であり、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、または炭素原子数1~10のアルキル基であってエーテル性酸素原子を有する基である。
エーテル性酸素原子が介在する化合物4としては、ジビニルエーテル類、アリルビニルエーテル類、ブテニルビニルエーテル類、フルオロ(ジビニルエーテル)類、フルオロ(アリルビニルエーテル)類、フルオロ(ブテニルビニルエーテル)類が例示される。
化合物4は、架橋反応性および耐熱性を高める点から、R、R、R、R、RおよびRがそれぞれ独立にフッ素原子または水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、RおよびRの全てがフッ素原子であることがより好ましい。
が酸素原子でない場合、Rのアルキレン基またはフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。ただし、Rのアルキレン基またはフルオロアルキレン基は、直鎖状であることが好ましい。Rの炭素原子数は、2~15が好ましく、3~8がより好ましく、3~6がさらに好ましく、3~5が特に好ましい。Rにおけるエーテル性酸素原子の数は、0~4個が好ましく、1~2個がより好ましい。Rがこれらの好ましい態様であると、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性がさらに優れる。
としては、耐熱性、ポリマー着色抑制の点から、両末端に酸素原子を有するかまたは酸素原子を有しないフルオロアルキレン基が好ましく、該フルオロアルキレン基としてはパーフルオロアルキレン基がより好ましい。
化合物4の具体例としては、アリルビニルエーテル、ブテニルビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル類、CH=CH(CFCH=CH(以下、C6DVとも記す。)、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF(以下、C3DVEとも記す。)、CF=CFO(CFOCF=CF(以下、C4DVEとも記す。)、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFO(CFO(CF(CF)CFO)CF=CF、CF=CFOCFO(CFCFO)CF=CF、CF=CFO(CFO)(CF(CF)CFO)CF=CF、CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFOCFCFO(CFO)CFCFOCF=CF等のフルオロ(ジビニルエーテル)類、アリルビニルエーテル、ブテニルビニルエーテルが例示される。
この中でも、機械的物性を維持しつつ低温特性が更に優れることから、C6DV、C3DVE、C4DVEがより好ましく、C3DVE、C4DVEがさらに好ましい。
化合物5としては、ジビニルエステル類、アルキルビニルエステル類、フルオロ(ジビニルエステル)類、フルオロ(アルキルビニルエステル)類が例示される。
化合物5は、R、R、R10、R12、R13およびR14が水素原子であることが好ましい。
11としては、Rと同様の基が例示される。炭素原子数の好ましい範囲も同様である。R11におけるエーテル性酸素原子の数は、0~1個が好ましく、0個がより好ましい。
化合物5の好適な具体例としては、ジビニルエステル類であるアジピン酸ジビニルが例示される。
化合物6としては、R16およびR17が水素原子である化合物が好ましい。
化合物6の好適な具体例としては、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニルが例示される。これらの中でも、化合物6としては、クロトン酸ビニルがより好ましい。
DVEは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。共重合体1がDVEに基づく単位を有する場合、DVEに基づく単位の割合は、共重合体1を構成する全単位の合計に対し、0.01~3モル%が好ましく、0.01~1モル%がより好ましく、0.01~0.5モル%がさらに好ましい。DVEに基づく単位の割合が前記範囲の下限値以上であると、架橋反応性が優れ、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪等の機械的物性がさらに優れる。DVEに基づく単位の割合が前記範囲の上限値以下であると、架橋物の優れた物性を維持しつつ、高温下で折り曲げ等の応力が加えられた場合の割れを確実に防ぐまたはさらに低減できる。
PAVEとしては、化合物7が例示される。
CF=CF-O-Rf1 ・・・式7
ただし、Rf1は炭素原子数1~10のパーフルオロアルキル基である。
f1のパーフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。パーフルオロアルキル基の炭素原子の数は、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~5がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
PAVEの具体例としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、PMVEとも記す。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(以下、PEVEとも記す。)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEとも記す。)が例示される。PAVEは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でもPMVEが好ましい。
共重合体1がPAVE単位を有する場合、PAVE単位の割合は、共重合体1を構成する全単位の合計に対し、3~60モル%が好ましく、5~57モル%がより好ましく、10~40モル%がさらに好ましい。共重合体1にPAVE単位が前記範囲内であると、耐薬品性(アルカリ性等)にさらに優れる。
POAVEとしては、式8で表される化合物8が例示される。
CF=CF-(OCFCF-(OCF-(OC-ORf2 ・・・式8
ただし、Rf2は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であり、nは、0~3の整数であり、mは、0~4の整数であり、pは0~4の整数であり、n+m+pは、1~7の整数である。
なお、n、m、pは、それぞれ、(OCFCF)、(OCF)、(OC)の数を表すものである。したがって、式8は(OCFCF、(OCF、(OCそれぞれの配置の順を表すものではなく、また、n、m、pのそれぞれが2以上の場合、(OCFCF、(OCF、(OCは(OCFCF)、(OCF)、(OC)のブロック配置を表すものでもない。
f2において、パーフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf2の炭素数は、1~3が好ましい。
は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
nが0のとき、mは3または4が好ましい。
nが1のとき、mは2~4の整数が好ましい。
nが2または3のとき、mは0が好ましい。
nは、1~3の整数が好ましい。
f2の炭素数、nおよびmが前記範囲内であれば、共重合体1の生産性が向上し、第1の組成物の架橋物の低温におけるゴム物性(以下、低温特性とも記す。)が優れる。
化合物8の具体例としては、下記の化合物が例示される。
CF=CF-OCFCF-OCF-OCF-OCF-OCF-OCF(以下、C9PEVEとも記す。)
CF=CF-OCFCF-OCF-OCF-OCF(以下、C7PEVEとも記す。)
CF=CF-OCFCF-OCFCF-OCFCF(以下、EEAVEとも記す。)
CF=CF-OCFCF-OCFCF-OCFCF-OCFCF(以下、EEEAVEとも記す。)
CF=CF-OCF-OCF
CF=CF-OCF-OCFCF
CF=CF-(OCFCF(CF))OCFCFCF
CF=CF-OCF-OCF-OCF
CF=CFOCFCFOCF
CF=CFOCFCFOCFCF
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCF
化合物8としては、共重合体1の生産性が向上し、第1の組成物の架橋物の低温特性が優れる点から、C9PEVE、C7PEVE、EEAVE、EEEAVEが好ましい。
なお、これらの化合物は、対応するアルコールを原料として、国際公開第00/56694号に記載の方法によって製造できる。
他の単量体としては、TFEおよびプロピレンと共重合可能な化合物であれば特に限定されない。具体的には、HFP、VdF、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、パーフルオロアルキル基を有するエチレン(例えばCH=CHCF、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCF、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCF等)等のフッ素原子を有する単量体、エチレン、イソブチレン、ペンテン等のα-オレフィン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル等のフッ素原子を有さない単量体が例示される。
他の単量体として、ヨウ素原子を有する単量体を使用してもよい。ヨウ素原子を有する単量体を共重合させると、共重合体1の側基にヨウ素原子が導入される。
ヨウ素原子を有する単量体としては、ヨードエチレン、4-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、2-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-1-ビニロキシエタン、2-ヨードエチルビニルエーテル、アリルヨージド、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヨード-1-(パーフルオロビニロキシ)プロパン、3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、2-ヨードパーフルオロ(エチルビニルエーテル)が例示される。
他の単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
共重合体1が他の単量体単位を有する場合、他の単量体単位の割合は、共重合体1を構成する全単位の合計に対し、0.001~10モル%が好ましく、0.01~3モル%がより好ましく、0.01~1モル%がさらに好ましい。
共重合体1は、架橋性が優れる点から、ヨウ素原子をさらに有することが好ましい。ヨウ素原子は、架橋反応性の点から、共重合体1の少なくとも高分子鎖の末端に結合していることが好ましい。高分子鎖の末端とは、主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を意味する。
ヨウ素原子を有する共重合体1は、他の単量体としてヨウ素原子を有する単量体を共重合させる方法や後述のヨウ素原子を有する連鎖移動剤を使用して共重合体1を製造する方法等により製造することができる。
共重合体1が有するヨウ素原子の含有量は、共重合体1の全質量に対し、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.05~1.0質量%がさらに好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲内であると、架橋反応性がさらに優れ、架橋物の機械的物性がさらに優れる。
共重合体1の貯蔵せん断弾性率G’は、50kPa~600kPaが好ましく、100kPa~500kPaがより好ましく、200kPa~400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。共重合体1の貯蔵せん断弾性率G’が前記範囲内であると、架橋物の引張強さ等および機械的物性がさらに優れる。
共重合体1としては、下記X1~X8のいずれかの組み合わせの単位からなる共重合体が好ましい。これらの共重合体はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
共重合体1の架橋反応性が優れ、さらに架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がさらに優れることから、X1、X2、X4、X5、X6、X8がより好ましく、X1、X5、X8がさらに好ましく、X8が特に好ましい。
X1:TFE単位と、プロピレン単位(以下、P単位とも記す。)との組み合わせ。
X2:TFE単位と、P単位と、VdF単位との組み合わせ。
X3:TFE単位と、P単位と、PPVE単位との組み合わせ。
X4:TFE単位と、P単位と、PMVE単位との組み合わせ。
X5:TFE単位と、P単位と、化合物2単位の組み合わせ。
X6:TFE単位と、P単位と、化合物2単位と、VdF単位との組み合わせ。
X7:TFE単位と、P単位と、化合物2単位と、PPVE単位との組み合わせ。
X8:TFE単位と、P単位と、化合物2単位と、PMVE単位との組み合わせ。
X1~X8の各共重合体を構成する各単位のモル比または割合は、下記の数値範囲内であることが好ましい。X1~X8の各共重合体を構成する各単位のモル比または割合が下記の数値範囲内であると、共重合体の架橋反応性がさらに優れ、架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がさらに優れる。
X1:X1を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が40~60モル%、P単位の割合が40~60モル%。
X2:X2を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が40~59モル%、P単位の割合が40~59モル%、VdF単位の割合が1~10モル%。
X3:X3を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が30~60モル%、P単位の割合が10~40モル%、PPVE単位の割合が10~40モル%。
X4:X4を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が30~60モル%、P単位の割合が10~40モル%、PMVE単位の割合が10~40モル%。
X5:X5を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が40~59.99モル%、P単位の割合が40~59.99モル%、化合物2単位の割合が0.01~3モル%。
X6:X6を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が40~58.99モル%、P単位の割合が40~58.99モル%、化合物2単位の割合が0.01~3モル%、VdF単位の割合が1~10モル%。
X7:X7を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が30~60モル%、P単位の割合が10~40モル%、化合物2単位の割合が0.01~3モル%、PPVE単位の割合が10~40モル%。
X8:X8を構成する全単位の合計に対し、TFE単位の割合が30~60モル%、P単位の割合が10~40モル%、化合物2単位の割合が0.01~3モル%、PMVE単位の割合が10~40モル%。
共重合体1がTFE単位とP単位とからなる2元系共重合体である場合、TFE単位とP単位とのモル比[TFE単位/P単位]は、30/70~99/1が好ましく、30/70~70/30がより好ましく、40/60~60/40がさらに好ましい。TFE単位とP単位とのモル比が、前記範囲内であると、架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がさらに優れる。
TFE単位の割合とP単位の割合との合計は、共重合体1を構成する全単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
(共重合体2)
共重合体2が有するPAVE単位としては、化合物7に基づく単位が好ましい。
化合物7のRf1において、パーフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf1の炭素数は、共重合体2の生産性が向上する点から、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
化合物7の好ましい具体例としては、PMVE、PEVE、PPVE、CF=CF-O-CFCFCFCFが例示される。
化合物7としては、共重合体2の生産性が向上する点から、PMVE、PEVE、PPVEが好ましい。
共重合体2は、POAVE単位およびDVE単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
POAVEとしては、化合物8が例示される。
化合物8のRf2において、パーフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf2の炭素数は、1~3が好ましい。
nが0のとき、mは3または4が好ましい。
nが1のとき、mは2~4の整数が好ましい。
nが2または3のとき、mは0が好ましい。
nは、1~3の整数が好ましい。
f2の炭素数、nおよびmが前記範囲内であれば、共重合体2の生産性が向上し、第1の組成物の架橋物の低温特性が優れる。
化合物8の具体例としては、下記の化合物が例示される。
C9PEVE、C7PEVE、EEAVE、EEEAVE、CF=CF-OCF-OCF、CF=CF-OCF-OCFCF、CF=CF-O(CFCF(CF)O)CFCFCF、CF=CF-OCF-OCF-OCF等。
化合物8としては、共重合体2の生産性が向上し、第1の組成物の架橋物の低温特性が優れる点から、C9PEVE、C7PEVE、EEAVE、EEEAVEが好ましい。
なお、これらの化合物は、対応するアルコールを原料として、国際公開第00/56694号に記載の方法によって製造できる。
共重合体2がDVE単位を有する場合、架橋反応性、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性とともに低温特性が優れる。
重合性不飽和結合としては、炭素原子-炭素原子間の二重結合、三重結合が例示され、二重結合が好ましい。重合性不飽和結合の数は、2~6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。
DVEは、パーフルオロ化合物であることが好ましい。
DVEとしては、共重合体1において例示した式4で表される化合物4、式5で表される化合物5、および式6で表される化合物6からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
共重合体2における他の単量体としては、フッ素原子およびフッ素原子以外のハロゲン原子を有する単量体(ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン等)、フッ素原子およびニトリル基を有する単量体(CF=CFO(CFCN、パーフルオロ(8-シアノ-5-メチル-3,6-ジオキサ-1-オクテン)等)が例示される。
TFE単位の割合は、共重合体2を構成する全単位の合計に対し、35~75モル%が好ましく、40~75モル%がより好ましく、50~75モル%がさらに好ましい。
PAVE単位の割合は、共重合体2を構成する全単位の合計に対し、25~65モル%が好ましく、25~57モル%がより好ましく、25~40モル%がさらに好ましい。
POAVE単位の割合は、共重合体2を構成する全単位の合計に対し、3~57モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、8~30モル%がさらに好ましい。
DVE単位の割合は、共重合体2を構成する全単位の合計に対し、0.01~1モル%が好ましく、0.05~0.5モル%がより好ましく、0.05~0.3モル%がさらに好ましい。
共重合体2における他の単量体に基づく単位の割合は、共重合体2を構成する全単位の合計に対し、0~5モル%が好ましく、0~3モル%がより好ましく、0~2モル%がさらに好ましい。
TFE単位、PAVE単位、POAVE単位、DVE単位および共重合体2における他の単量体に基づく単位の割合が前記範囲内であれば、第1の組成物の架橋物のゴム物性を維持しつつ、低温特性、耐アルカリ性および高温下における層間接着性がさらに優れる。
共重合体2は、架橋性がさらに優れる点から、ヨウ素原子をさらに有することが好ましい。ヨウ素原子は、共重合体2の高分子鎖の末端に結合していることが好ましい。高分子鎖の末端とは、主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を含む概念とする。
ヨウ素原子の含有量は、共重合体2に対して、0.01~1.5質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲内であれば、共重合体2の架橋性がさらに優れる。
共重合体2の貯蔵せん断弾性率G’は、100kPa~600kPaが好ましく、200kPa~500kPaがより好ましく、200kPa~400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。共重合体2の貯蔵せん断弾性率G’が前記範囲内であると、架橋物の引張強さ等および機械的物性がさらに優れる。
(共重合体の製造方法)
共重合体1は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で、TFEとプロピレンとを含む単量体成分を重合させることによって製造できる。共重合体1は、例えば、国際公開第2009/119202号、国際公開第2010/053056号等に開示されている方法によって製造できる。
共重合体2は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で、TFEとPAVEとを含む単量体成分を重合させることによって製造できる。共重合体2は、例えば、国際公開第2010/082633号等に開示されている方法によって製造できる。
(第1の組成物に含まれる成分)
第1の組成物は、含フッ素弾性重合体ととともに、添加剤として、架橋剤と架橋助剤とを含む。また、さらに酸化防止剤を含むことが好ましい。第1の組成物は、また、本発明における含フッ素弾性重合体以外の重合体や上記添加剤以外の成分を含んでもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物、ポリオール、アミン、トリアジン、イミダゾール、アニリン、アンモニウム塩が例示される。これらの中でも、生産性、耐熱性、耐薬品性に優れる点から、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、ジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ(tert-ブチル)パーオキシド、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(α,α-ジメチルベンジル)パーオキシドが例示される。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の組成物が架橋剤として有機過酸化物を含む場合、有機過酸化物の含有量は、共重合体1または共重合体2の100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~7質量部がより好ましい。有機過酸化物の含有量が前記範囲内であると、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性がさらに優れる。
架橋助剤としては、1分子内に2個以上の不飽和結合を有する化合物が例示される。架橋助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジビニルベンゼンが例示される。これらの中でもトリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
第1の組成物における架橋助剤の含有量は、共重合体1または共重合体2の100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~7質量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が前記範囲内であると、第1の組成物の架橋物の硬度、耐熱性等の物性が優れる。
本発明の積層体の製造方法においては、第1の組成物および第2の組成物の少なくとも一方が、酸化防止剤を含むことが好ましい。これにより、フッ素ゴムのゴム物性である引張強さおよび切断時伸び等が、実用上充分に維持されている積層体を製造しやすくなる。
酸化防止剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、o-フェニルフェノール、アリルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸エチルが例示される。これらの中でも、o-フェニルフェノールがより好ましい。
第1の組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は後述の共重合体1または共重合体2の100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部がより好ましく、0.01~2質量部がさらに好ましい。
本発明において、第1の組成物にアミン、イミン等の窒素含有化合物を配合することも好ましい。第1の組成物に窒素含有化合物を配合することにより、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性をさらに向上させることができる。
窒素含有化合物の具体例としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジフェニルアミン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン、ベンゾトリアゾール、p-ジメチルアミノピリジンが例示される。
第1の組成物における窒素含有化合物の配合量は、共重合体1の100質量部に対して、0.01~2質量部が好ましく、0.05~1質量部がより好ましい。
他の成分としては、共重合体1および共重合体2以外の含フッ素弾性重合体、上記以外の添加剤が例示される。
他の含フッ素弾性重合体としては、TFE単位およびPAVE単位を有し、P単位を有しない共重合体、HFP単位およびVdF単位を有し、P単位を有しない共重合体、HFP単位、VdF単位およびTFE単位を有し、P単位を有しない共重合体、TFE単位、PAVE単位およびVdF単位をし、P単位を有しない共重合体が例示される。
第1の組成物が他の含フッ素弾性重合体を含む場合、他の含フッ素弾性重合体の含有量は、本発明における含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。
さらに、第1の組成物は、含フッ素弾性重合体に対して相対的に少量の非フッ素弾性重合体を含有していてもよい。非フッ素弾性重合体としては、第2の組成物に含まれる非フッ素弾性重合体が挙げられる。第1の組成物が少量の非フッ素弾性重合体を含む場合、第1の組成物の層と第2の組成物の層との界面における親和性が向上するとともに、第1の組成物の層と第2の組成物の層との界面における架橋反応が進行しやすくなると考えられる。
第1の組成物が非フッ素弾性重合体を含有する場合、第1の組成物における含フッ素弾性重合体と非フッ素弾性重合体の合計量に対する非フッ素弾性重合体の含有量は、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
前記以外の添加剤としては、充填剤、加工助剤、分散助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、接着助剤、架橋促進剤が例示される。
充填剤としては、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、グラファイト、ワラストナイト、二硫化モリブデン、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維が例示される。
加工助剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸グリセリド等の脂肪酸誘導体、リン酸誘導体、天然ワックス、合成ワックスが例示される。
分散助剤としては、高級脂肪酸およびその金属アミン塩が例示される。
可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体が例示される。
軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油が例示される。
老化防止剤としては、フェニレンジアミン、ヒンダードアミン、フォスフェート、キノリン、クレゾール、ジチオカルバメート金属塩が例示される。
接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤が例示される。
架橋促進剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等の2価金属の酸化物や、グアニジン構造を有する化合物が例示される。
その他に、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を必要に応じて配合できる。
第1の組成物が共重合体2を含み、金属酸化物をさらに含む場合、架橋反応が速やかにかつ確実に進行しやすくなる。
金属酸化物の含有量は、共重合体2の100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、0.5~6質量部がより好ましい。金属酸化物の含有量が前記範囲内であると、第1の組成物の架橋物の硬度が優れる。
第1の組成物は、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の混練装置を用いる混練方法によって、共重合体1または共重合体2と架橋剤と架橋助剤と、必要に応じて他の成分とを混合することにより、調製できる。
(第2の組成物)
第2の組成物は、非フッ素弾性重合体ととともに、添加剤として、架橋剤を含み、任意で架橋助剤を含む。第2の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤を含んでもよい。
非フッ素弾性重合体は、フッ素原子を含まない架橋ゴム(非フッ素ゴム)の原料となり得る弾性重合体であれば、特に限定されない。非フッ素弾性重合体は、有機過酸化物により架橋できることが好ましい。なお、前記のように、非フッ素弾性重合体のムーニー粘度は、5~120が好ましく、10~110がより好ましく、20~70がさらに好ましい。
非フッ素ゴムとしては、JISK6297:2005に記載のフッ素原子を含まないゴムが例示される。具体的には、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)が例示される。シリコーンゴムとしては、ジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)が例示される。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
市販のACMの原料である弾性重合体としては、Nipol(登録商標)AR31(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
市販のAEMの原料である弾性重合体としては、VAMAC(登録商標)DP、VAMAC(登録商標)G(Chemours社製)等が挙げられる。
市販のEVMの原料である弾性重合体としては、デンカER(登録商標)5300、デンカER(登録商標)8401(デンカ社製)等が挙げられる。
市販のEPDMの原料である弾性重合体としては、エスプレン(登録商標)EPDM等(住友化学社製)が挙げられる。
市販のシリコーンゴムの原料である弾性重合体としてはKE971TU(信越シリコーン社製)、KE951U(信越シリコーン社製)等が挙げられる。
第2の組成物における架橋剤については、第1の組成物における架橋剤と同様の架橋剤が例示される。
第2の組成物が架橋剤として有機過酸化物を含む場合、有機過酸化物の含有量は、非フッ素弾性重合体の100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~6質量部がより好ましい。有機過酸化物の含有量が前記範囲内であると、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性がさらに優れる。
第2の組成物が架橋助剤を含む場合、第2の組成物における架橋助剤については、第1の組成物における架橋助剤と同様の架橋助剤が例示される。
第2の組成物が架橋助剤を含む場合、第2の組成物における架橋助剤の含有量は、非フッ素弾性重合体の100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が前記範囲内であると、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性がさらに優れる。
前記のように、第2の組成物は、第1の組成物と同様に、酸化防止剤を含むことが好ましい。第2の組成物に含まれる酸化防止剤については、第1の組成物における酸化防止剤と同様の酸化防止剤が例示される。第2の組成物に含まれる酸化防止剤は、第1の組成物に含まれる酸化防止剤と同一の酸化防止剤であってもよく、異なる酸化防止剤であってもよい。
第2の組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は後述の非フッ素弾性重合体の100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部がより好ましく、0.01~2質量部がさらに好ましい。
本発明において、第2の組成物にアミン、イミン等の窒素含有化合物を配合することも好ましい。第2の組成物に窒素含有化合物を配合することにより、第1の層と第2の層との高温下における層間接着性をさらに向上させることができる。窒素含有化合物としては、第1の組成物における窒素含有化合物と同様の窒素含有化合物が例示される。
第2の組成物における窒素含有化合物の配合量は、非フッ素弾性重合体の100質量部に対して0.01~2質量部が好ましく、0.05~1質量部がより好ましい。
第2の組成物における添加剤については、第1の組成物における添加剤と同様の添加剤が例示される。
また、第2の組成物は、非フッ素弾性重合体に対して相対的に少量の含フッ素弾性重合体を含有していてもよい。含フッ素弾性重合体としては、第1の組成物に含まれる共重合体1や共重合体2に限られず、他の含フッ素弾性重合体であってもよい。第2の組成物が少量の含フッ素弾性重合体を含む場合、第1の組成物の層と第2の組成物の層との界面における親和性が向上するとともに、第1の組成物の層と第2の組成物の層との界面における架橋反応が進行しやすくなると考えられる。
第2の組成物が含フッ素弾性重合体を含有する場合、第2の組成物における非フッ素弾性重合体と含フッ素弾性重合体の合計量に対する含フッ素弾性重合体の含有量は、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
第2の組成物は、第1の組成物と同様の混練装置を用いる混練方法によって、非フッ素弾性重合体と架橋剤と、必要に応じて架橋助剤と添加剤とを混合することにより、調製できる。
(積層方法)
第1の組成物の層と、第2の組成物の層とを積層する方法は、特に限定されない。
本発明の積層体の製造方法では、第1の組成物の層および第2の組成物の層を未架橋の状態で積層して未架橋積層体とした後に架橋を行い、第1の組成物の層および第2の組成物の層の各層内での架橋構造と第1の組成物の層および第2の組成物の層の層間での架橋構造とを形成すること、すなわち共架橋することが好ましい。共架橋すると、本発明の積層体の製造方法で得られる積層体の第1の層と第2の層との高温下における層間接着性がさらに優れる。
共架橋するに際しては、第1の組成物および第2の組成物の架橋剤として有機過酸化物を配合することが好ましい。これにより、本発明の積層体の製造方法で得られる積層体の第1の層と第2の層との高温下における層間接着性がさらに優れる。
なお、架橋剤として硫黄を用いる場合、共架橋は共加硫とも称される。
未架橋積層体中の第1の組成物および第2の組成物を架橋させる方法としては、加熱して架橋させる方法、紫外線を照射して架橋させる方法が例示される。
第1の組成物および第2の組成物を架橋させる方法としては、加熱する方法が好ましい。加熱により架橋させる方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋が例示される。
例えば、100~400℃で数秒~24時間の条件で加熱して一次架橋を行った後、100~300℃で30分間~48時間の条件で加熱して二次架橋を行う方法を採用できる。二次架橋は必須ではないが、二次架橋を行うことにより、架橋物の機械特性、圧縮永久歪、その他の特性をさらに安定化したり、さらに向上させたりできる。
本発明の積層体の製造方法の具体的な方法としては、第1の組成物と第2の組成物とを共押し出しして未架橋積層体を得た後、未架橋積層体を架橋する方法、第1の組成物と第2の組成物とをそれぞれシート状にし、第1の組成物のシートと、第2の組成物のシートとを熱プレスして貼り合わせる方法、第1の組成物と第2の組成物とを金型等に注入するインジェクション成形による方法が例示される。
本発明の積層体の製造方法では、第1の層と第2の層は、直接接していることが好ましい。但し、第1の組成物と第2の組成物との共架橋を阻害しない範囲で、接着性を向上するために、層間に接着剤を塗布してもよく、層間に接着性の薄層を積層してもよい。接着剤としては、シランカップリング剤が好ましく、具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが例示される。
(作用機序)
以上説明した本発明の積層体は、第1の組成物がTFE単位とP単位とを有する共重合体またはTFE単位とPAVE単位とを有する共重合体を含むため、耐アルカリ性に優れる。また、本発明の積層体における、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さが、3~40μmであるため、高温下における層間接着性に優れる。
<用途>
本発明の積層体は、高温下ではく離しないため、高温下で使用される部品として好適である。
本発明の積層体は、例えばホースに好適である。本発明の積層体で構成されたホース(以下、積層ゴムホースと記す。)は第1の層および第2の層以外の他の層を有してもよい。なお本明細書においてホースとチューブは区別せずに「ホース」と称する。
積層ゴムホースにおいて、第1の層を最内層とすることにより、内面が耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性、耐アルカリ性および耐スチーム性を有する積層ゴムホースが得られる。また、第1の層を最外層とすることにより、外面が耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性、耐アルカリ性および耐スチーム性を有する積層ゴムホースが得られる。
積層ゴムホースの用途としては、自動車、船舶、航空機等の輸送機器用、液晶装置用、半導体装置用、食品製造装置用、分析機器用、化学プラント機器用、原子力プラント機器用のゴムホースが例示される。
具体例としては、ターボチャージャー用ホース、PCVホース、オイルリターンホース、排気ガスホース、EGRホース、オイルホース、滅菌用ホース、殺菌用ホース、フューエルホース、耐油性ゴムホース、耐燃焼ガス性ゴムホース、耐ブレーキ油性ゴムホース、耐薬品性ゴムホース、耐フロン性ゴムホース、耐熱エアーゴムホース、ガスヒートポンプ用ゴムホース、油圧ブレーキホース、エンジンオイルホース、ラジエーターホース、バキュームホース、エバポホース、ATFホース、水配管用ホース、スチーム配管用ホースが例示される。
また、積層ゴムホースは、液体、特にオイル、クーラント(LLC)に対する耐性にも優れており、オイル配管やクーラント液配管等に適している。
さらに、積層ゴムホースは、強塩基性の化合物に対する耐性にも優れているので、強塩基性であるAdblue(登録商標)等の尿素水溶液が用いられる尿素SCRシステムの部材にも使用される。
積層ゴムホースの製造方法は、特に制限されない。例えば、第1の組成物と第2の組成物とを筒状に共押し出しして未架橋積層体を得て、未架橋積層体を架橋することにより積層ゴムホースが得られる。
または、第1または第2の組成物を筒状に押出成形した後、その表面に第2または第1の組成物を押出成形して未架橋積層体を得て、これを架橋することにより、内層が第1または第2の層からなり外層が第2または第1の層からなる積層ゴムホースが得られる。
積層ゴムホースは、内層が第1または第2の層からなり外層が第2または第1の層からなる2層ゴムホースのほかに、前記内層と外層の他に第1または第2の層からなる層を有する多層ゴムホース、前記外層の表面上に補強繊維層を有する3層ゴムホース等の多層ゴムホースであってもよい。また、第1の層と第2の層との間に、接着剤等の接着性の薄層、熱可塑性樹脂からなる層、金属薄膜を有してもよい。積層ゴムホースの補強繊維としては、パラアラミド繊維、メタアラミド繊維が例示される。市販品としては、テクノーラ(帝人社製)、ノーメックス(Chemours社製)等が挙げられる。
本発明の積層体における第1の組成物からなる第1の層および第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、特に制限されない。
例えば、本発明の積層体を自動車用積層ゴムホースとして用いる場合、第1の組成物の架橋物からなる第1の層の厚さは、0.1~100mmが好ましく、0.15~50mmがより好ましく、0.2~30mmが特に好ましい。第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、0.1~100mmが好ましく、0.15~50mmがより好ましく、0.2~30mmが特に好ましい。
例えば、本発明の積層体をプラント用積層ゴムホースとして用いる場合、第1の組成物の架橋物からなる第1の層の厚さは、0.2~200mmが好ましく、0.2~100mmがより好ましく、0.2~20mmが特に好ましい。第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、0.2 ~200mmが好ましく、0.2~100mmがより好ましく、0.2~50mmが特に好ましい。
本発明の積層体は、例えば、ゴムロールとして使用できる。
ゴムロールの用途としては、例えば、フィルム用ゴムロール、製紙用ゴムロール、合板用ゴムロール、鉄鋼用ゴムロールが挙げられる。
本発明の積層体を工業用の積層ゴムロールとして用いる場合、第1の組成物の架橋物からなる第1の層の厚さは、0.1~20000mmが好ましく、0.15~10000mmがより好ましく、0.2~1000mmが特に好ましい。第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、0.1~20000mmが好ましく、0.15~10000mmがより好ましく、0.1~1000mmが特に好ましい。
本発明の積層体における上記第1の層と上記第2の層の合計の厚さに対する上記第1の層の厚さの割合は、10~90%が好ましく、25~75%がより好ましい。
本発明の積層体は、例えば、シール材として使用できる。
シール材としては、例えば、Oリング、Vリング、ガスケット、パッキンが挙げられる。
例えば、本発明の積層体をシール材として用いる場合、第1の組成物の架橋物からなる第1の層の厚さは、0.1~100mmが好ましく、0.15~50mmがより好ましく、0.2~30mmが特に好ましい。第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、0.1~100mmが好ましく、0.15~50mmがより好ましく、0.2~30mmが特に好ましい。
本発明の積層体は、例えば、電線被覆材として使用できる。
本発明の被覆電線において、芯線の外周に形成される電線被覆材は、芯線と直接接して形成されたものだけでなく、芯線との間に他の層を介して間接的に外周に形成されたものであってもよい。具体的には、本発明の被覆電線は、本発明の積層体を電線被覆材として導体である導体や芯線を直接被覆した絶縁電線だけでなく、外層として本発明の積層体を電線被覆材とした電線、例えばシースを有するケーブルやワイヤーハーネスのようなものも含む。ケーブルとしては、センサーケーブル、パワーケーブルなどが挙げられる。
導体としては、特に限定されず、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、スズメッキ、銀メッキ、ニッケルメッキ等の各種メッキ線、より線、超電導体、半導体素子リード用メッキ線などが挙げられる。
本願発明の積層体を電線被覆材として用いる場合、第1の組成物の架橋物からなる第1の層の厚さは、0.1~10mmが好ましく、0.15~5mmがより好ましく、0.2~3mmが特に好ましい。第2の組成物の架橋物からなる第2の層の厚さは、0.1~10mmが好ましく、0.15~5mmがより好ましく、0.2~3mmが特に好ましい。
本発明の積層体は、上記の他、例えば、ベルト、防振ゴム、ダイヤフラムにも使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されない。なお、例1,3,4は実施例であり、例2,5は比較例である。
<測定方法>
(共重合体1の共重合組成)
各共重合体1を構成する各単位の割合(モル%)は、19F-核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
(共重合体1のヨウ素含有量)
共重合体1のヨウ素含有量は、自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置(三菱ケミカルアナリテック社製、AQF-100型)とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
(共重合体1の貯蔵せん断弾性率G’)
ゴム加工解析装置(アルファーテクノロジーズ社製、RPA-2000)を用いて、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定した。
(共重合体1、および非フッ素弾性重合体のムーニー粘度)
ムーニービスコメータ(島津製作所社製、SMV-201)を用いて、JIS K6300-1:2013に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で予熱時間を1分間、ローター回転時間を4分間に設定して測定した。
(共重合体1、非フッ素弾性重合体のSP値)
SP値の測定方法は、上述の通りである。
(第1の組成物および第2の組成物の架橋度)
ゴム加工解析装置(アルファーテクノロジーズ社製、RPA-2000)を用いたときの、トルクの最大値をMHとし、トルクの最小値をMLとした。架橋度は、MHからMLを引いた値(MH-ML)によって示される。
(積層体断面の撮影)
本発明の積層体を積層面に対して垂直な方向にクライオウルトラミクロトームで切削し、露出させた断面にカーボンを約15nmコートした後、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8230)を用いて、積層体の積層面に対して垂直な断面の画像を撮影した。この時の観察条件は、加速電圧:2または5kV、検出器条件:SE(LA100)またはYAGBSEである。
凸凹の高さの規定方法は、前述の通りである。
<各成分>
共重合体1-A:共重合体1に相当、TFE単位とP単位とを有する共重合体、共重合体1-Aを構成する全単位の合計に対しTFE単位の割合が56モル%、P単位の割合が44モル%、G’=280kPa、ムーニー粘度=91、SP値=8.8[(J/cm1/2]、共重合体の全質量に対してヨウ素原子を0.4質量%含有する。共重合体1-Aは、国際公開第2009/119202号に開示されている方法によって製造できる。
非フッ素弾性重合体A:AEMの原料、VAMAC(登録商標)DP、Chemours社製、ムーニー粘度=20、SP値=18.5[(J/cm1/2
非フッ素弾性重合体B:シリコーンゴムの原料、KE951U、信越シリコーン社製、ムーニー粘度=17、SP値=15[(J/cm1/2
非フッ素弾性重合体C:EPDMの原料、エスプレン(登録商標)E 501A、住友化学社製、ムーニー粘度=43、SP値=16.8[(J/cm1/2
架橋剤A:有機過酸化物、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-ジイソプロピルベンゼン)、ルペロックス(登録商標)F40P-SP2(Arkema社製)。
架橋剤B:有機過酸化物、α,α’-ビス-(tert-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、パーカードックス14(製品名)、化薬アクゾ社製。
架橋剤C:有機過酸化物、ビス(α,α-ジメチルベンジル)パーオキシド、パークミル(登録商標)D、日油社製
架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート、1,3,5-トリアリルイソシアヌレート、TAIC(製品名)、三菱ケミカル社製。
酸化防止剤:o-フェニルフェノール、富士フィルム和光純薬社製。
カーボンブラックA:THENMAX N-990(製品名)、Canarb Limited社製。
カーボンブラックB:FEF、旭#60カーボン(製品名)、旭カーボン社製。
加工助剤A:脂肪酸誘導体、ステアリン酸カルシウム、富士フィルム和光純薬社製。
加工助剤B:高級脂肪酸、ステアリン酸、富士フィルム和光純薬社製。
加工助剤C:脂肪酸誘導体、エマスター510P(製品名)、理研ビタミン社製。
加工助剤D:窒素含有化合物、リポミン18D(製品名)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製。
加工助剤E:リン酸誘導体、フォスファノール RL-210(製品名)、東邦化学工業社製。
加工助剤F:オレイン酸グリセリド、リケマールXO-100(製品名)、理研ビタミン社製。
老化防止剤:ヒンダートアミン、ノクラックCD(製品名)、大内新興化学工業社製。
化学工業社製
架橋促進剤:酸化亜鉛、正同化学社製。
<第1の組成物および第2の組成物の調製>
表1に示す質量比の配合で、2本ロールを用い、各配合剤を均一に混練して第1の組成物と、第2の組成物を各々調製した。各組成物の架橋度MH-MLを上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。なお、表1において、「RPA条件」の欄は、ゴム加工解析装置(アルファーテクノロジーズ社製、RPA-2000)を用いてMH-MLを測定したときの架橋条件を示す。例えば、「170℃×12min」は、170℃で12分間、第1の組成物または第2の組成物を架橋させたことを意味する。
Figure 2022084967000001
<例1~5>
例1~5における第1の組成物と第2の組成物との組み合わせを表2に示す。
表2に示した第1の組成物と第2の組成物を組み合わせて積層体を製造した。具体的には、第1の組成物および第2の組成物をそれぞれ長さ125mm×幅30mm×厚み1.1mmの寸法に成形して、表2に示した組み合わせで張り合わせ、70℃で5分間の条件で予備プレス成形を行った。その後、表に示す架橋条件でスチーム加硫を行い、長さ120mm×幅25mm×厚み2mmの、第1の組成物の架橋物からなる第1の層と第2の組成物の架橋物からなる第2の層とを有する例1~5の積層体を得た。この時、長さ60mm×幅30mmの離型フィルムを第1の組成物の層と第2の組成物の層との間に挟み、積層体の長さ方向の半分を接着されていない把持部とした。
例1~5の積層体の凸凹の高さを表2に示す。
例1~5の積層体の把持部をT型はく離試験機(JIS K6854-3:1999)にセットし、毎分50mmの速度で積層体を150℃の温度下で引き剥がし、第1の層と第2の層との層間のはく離状態を目視で観察し、高温下における層間接着性を評価した。結果を表2に示す。
積層面がはく離せずに、材料破断している積層体の高温下における層間接着性を「◎」と判定し、積層面の一部がはく離しているが、一部が材料破断している積層体の高温下における層間接着性を「○」と判定し、積層面がはく離している積層体の高温下における層間接着性を「×」と判定した。評価結果を表2に示す。なお、T型はく離試験において、はく離面が材料破断している場合は層間接着性が良好であり、積層面がはく離している場合は層間接着性が低いことを意味する。
Figure 2022084967000002
例1、3、4の積層体は、150℃の温度下でのT型はく離試験において積層面がはく離せずに、材料破断していることから、第1の層と第2の層とが化学的に一次結合していることが示された。
これは、例1の積層体の凸凹の高さが3μm以上であり、積層体の積層面の表面積が大きく、一次結合をしている部位が多いためであると考えられる。
また、例1の積層体について25℃の温度下でT型はく離試験を行ったところ、いずれの積層体においても積層面がはく離せず、層間接着性に優れることが確認できた。
例2、5の積層体は、高温下における層間接着性に劣っていた。これは、例2の積層体の凸凹の高さが3μm未満であり、積層体の積層面の表面積が小さいためであると考えられる。
本発明の積層体の製造方法で得られる積層体および本発明の積層体は、ホース以外に、O-リング、シート、ガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V-リング等の材料に適する。また、耐熱性耐薬品性シール材、耐熱性耐油性シール材、電線被覆材、半導体装置用シール材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材、ゴム塗料、カレンダーシート、スポンジ、ゴムロール、石油掘削用部材、放熱シート、溶液架橋体、ゴムスポンジベアリングシール(耐ウレアグリース等)、ライニング(耐薬品)、自動車用絶縁シート、内視鏡用パッキン(耐アミン)、モーノポンプ、蛇腹ホース(カレンダーシートの加工物)、給湯器パッキンまたは弁、防舷材(海洋土木、船舶)、繊維および不織布(防護服等)、基盤シール材、ゴム手袋、ボタンスイッチ、フードコンテナ用パッキン、水筒用パッキンの用途が例示される。

Claims (3)

  1. 含フッ素弾性重合体を含む第1の層と非フッ素弾性重合体を含む第2の層と、任意に薄膜を有し、前記含フッ素弾性重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体またはテトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体からなる積層体であって、
    前記積層体の積層面に対して垂直な断面の画像において、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さが3μm~40μmであり、JIS K6854-3:1999に規定されるT型はく離試験を100~200℃の温度下で行ったときに、前記第1の層または前記第2の層で材料破断が生じる、積層体。
    ただし、積層体の積層面とは、隣接している第1の層と第2の層の界面、または、薄膜を介して隣接している第1の層と第2の層との間に存在する界面であり、積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さとは、次のように規定される。
    (1)走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1000倍で、積層体の積層面に対して垂直な断面の、積層体の積層面に対して垂直に90μm×積層体の積層面に対して平行に120μmの範囲を撮影し、画像を得る。
    (2)前記画像において視認できる、積層体の積層面によって形成された線の一端と他端とを線(以下、線1と記す。)で結ぶ。
    (3)線1に対して平行な線を2本追加する(以下、2本の線のうちの一方を線2、もう一方を線3と記す。)。
    ただし、線2と線3は、線1を挟むように、かつ、前記画像内に存在する積層体の積層面によって形成された線を全て含むように、かつ、前記2本の線同士の距離が最短になるように配されている。
    (4)線2と線3の距離を、実物の積層体の積層面における長さに換算した値を「積層体の積層面によって形成された線の凹凸の高さ」とする。
  2. 前記第1の層が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体又はテトラフルオロエチレンに基づく単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体からなる含フッ素弾性重合体と架橋剤と架橋助剤とを含む第1の組成物の架橋物からなり、第2の層が、非フッ素弾性重合体と架橋剤とを含み、任意で架橋助剤を含む第2の組成物の架橋物からなる、請求項1に記載の積層体。
  3. さらに薄層を有する、請求項1または請求項2に記載の積層体。
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