JP2022081394A - 女性向け膀胱緊張緩解剤及びこれを含む経口摂取用組成物 - Google Patents

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伊久哉 石井
Ikuya Ishii
麻衣 木村
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靜雄 山田
Shizuo Yamada
由彦 伊藤
Yoshihiko Ito
和正 篠塚
Kazumasa SHINOZUKA
智美 籠田
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Abstract

【課題】副作用がなく、膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン受容体遮断作用を有効に発揮し得る女性向けの膀胱緊張緩解剤及びこれを含む経口摂取用組成物を提供する。【解決手段】ノコギリヤシ果実抽出物を有効成分とする女性向け膀胱緊張緩解、及び当該女性向け膀胱緊張緩解剤を含む経口摂取用組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、女性向け膀胱緊張緩解剤及びこれを含む経口摂取用組成物に関する。
ノコギリヤシ果実抽出物は、アメリカ合衆国南東部に自生するヤシ科シュロ属に属する低灌木(Serenoa repens)の果実の抽出物として知られている。この抽出物は米国薬局方(USP:The United States Pharmacopeial Convention)、欧州薬局方(EP:European Pharmacopoeia)で規格化されており、抽出方法はエタノールあるいはn-ヘキサンとメチルペンタンの混合物による溶剤抽出、超臨界二酸化炭素抽出法が用いられている。日本の健康食品では超臨界二酸化炭素抽出法によるものが使用されている。
当該抽出物は、23%以上のラウリン酸を含む80%以上の脂肪酸、0.1%以上のβ-シトステロールを含む0.2%以上の総ステロールで規格化された成分からなる。そして、α1アドレナリン受容体遮断作用、5α-リダクターゼ阻害作用から男性の前立腺肥大症および下部尿路症状の治療を目的として、世界各国で医薬品や健康食品として使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、女性についてはエキナセアとノコギリヤシ果実抽出物の混合物での突発性巨大膀胱症に関する効果研究や治療薬がある(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照)。
また、ボタンボウフウ由来イソサミジンでの過活動膀胱の女性を対象とした効果研究をもとにノコギリヤシ果実抽出物との混合物として排尿障害向けサプリとして製品化されている(例えば、非特許文献3及び特許文献2,3参照)。
ペポカボチャ種子抽出物も前立腺肥大症に有効とされ、女性を対象とした研究は殆どないが、ノコギリヤシ果実抽出物との混合物として女性用排尿障害向けサプリとしても利用がある(例えば、非特許文献4及び特許文献4,5参照)。
下部尿路症状とは各個人の主観により、排尿トラブルとも言い換えられ、蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状からなり、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁、尿勢低下、腹圧排尿、残尿感、排尿困難、膀胱痛等の症状がある。
排尿に関与する膀胱は副交感神経、交感神経、体制神経の3種類の神経によって多重支配を受けている。過活動膀胱では尿が出やすくなっているため、排尿筋の収縮による排尿を促進する副交感神経興奮の抑制が必要となる。副交感神経の興奮にはアセチルコリンが関与しており、アセチルコリンの働きを抑える抗コリン薬が治療に利用されている。また副交感神経の逆の作用として交感神経のβ3アドレナリン受容体を刺激する作動薬を利用する方法もある(例えば、非特許文献5参照)。さらにはバニロイド受容体(transient receptor potential vanilloid subtype 1; TRPV1)は末梢知覚神経終末に存在する侵害刺激受容体で、痛みや温度を受容する。近年、膀胱にもTRPV1の発現が認められ、知覚求心路の神経興奮が平滑筋収縮と密接に関わり、排尿機能に関与することが明らかにされている。
わが国の排尿障害と健康との関連についての研究では、60歳以上の男女の約78%が何らかの下部尿路症状を有しており、下部尿路機能障害や他の病的状態の認められない場合や性質上受診、治療に結びついていない場合があり、排尿の悩みやQOL(Quality of Life)の低下にも影響している(例えば、非特許文献6参照)。
特表2011-512371号公報 特開2015-083564号公報 特開2015-10068号公報 特開2012-46459号公報 特開2005-343809号公報
消費者庁(事業受託者 公益財団法人 日本健康・栄養食品協会):食品の機能性評価モデル事業:機能性評価調査報告書:141-150.(2012) Timmermans LM,et al,:Determination of the activity of extracts of Echinaceae and Sabal in the treatment of idiopathic megabladder in women:Acta urogica Belgica:58(2):43-59.(1990) 山田静雄:健康寿命の延伸と機能性食品の補完医療的効用:薬剤学:77(5):264-269. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 女性下部尿路症状診療ガイドライン:公営財団法人日本医療機能評価機構 本間之夫,柿崎秀宏,後藤百万ほか:排尿に関する疫学的研究:日排尿会誌:14(2):266-277.(2003)
ノコギリヤシ果実抽出物では男性における前立腺肥大症や下部尿路症状についての有効性とメカニズムが明らかにされている。
しかし、女性に対しては他の素材との混合物として利用されている例があるが、単独での女性を対象とした下部尿路症状に対する効果については明らかにされていない。これは、ノコギリヤシ果実抽出物がもともと男性ホルモン作用や前立腺肥大症として男性特有の治療薬で市場が形成されてきたことから、女性に対しては実証されて来なかったためと考えられる。また、ノコギリヤシ果実抽出物は男性ホルモンに作用するため、胎児や乳児のホルモンバランスが失調する可能性があり、妊娠中及び授乳中の女性に対して使用が控えられている。かかる事実からもノコギリヤシ果実抽出物単独での女性を対象とした下部尿路症状に対する効果は明らかにされていないと推察される。
また、女性の下部尿路症状を有する過活動膀胱の薬物治療については抗コリン薬等が使用されているが、抗コリン薬については、特に高齢者では、口喝、便秘や認知機能低下等の抗コリン性有害事象が大きな問題となっている。すなわち、女性の下部尿路症状について副作用の心配がなく、メカニズムや有効性が実証された健康食品はない。
以上から、副作用もなく、処方箋も必要とせず、また治療の必要ない患者以外の比較的軽度な下部尿路症状等に対して有効な女性向け改善剤が必要とされている。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、副作用がなく、膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン受容体遮断作用を有効に発揮し得る女性向けの膀胱緊張緩解剤及びこれを含む経口摂取用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため雌性ラットの排尿障害モデルによる排尿機能の測定、雌性ラット摘出膀胱平滑筋の収縮・試験作用の測定、雌性ラット膀胱のムスカリン性受容体およびβ3受容体結合活性の測定によりノコギリヤシ果実抽出物に雌性ラットでの頻尿改善作用と蓄尿期の膀胱緊張の緩解作用を認め、膀胱平滑筋およびアセチルコリンによる収縮抑制作用によるムスカリン性受容体の遮断作用、TRPV1に対する抑制作用を見出し本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1] ノコギリヤシ果実抽出物を有効成分とする女性向け膀胱緊張緩解剤。
[2] 前記有効成分が膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン性受容体の遮蔽作用に有効性を示す成分である[1]に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
[3] 前記有効成分がノコギリヤシ果実抽出物のみである[2]に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
[4] 前記有効成分を1日当たりラウリン酸として58mg以上となるように摂取することで日中の排尿回数を改善できる[1]~[3]のいずれかに記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の女性向け膀胱緊張緩解剤を含む経口摂取用組成物。
本発明によれば、副作用がなく、膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン受容体遮断作用を有効に発揮し得る女性向けの膀胱緊張緩解剤及びこれを含む経口摂取用組成物を提供することができる。
これにより、加齢やストレス、肥満等による女性の過活動膀胱、頻尿、失禁等の不快な下部尿路症状を改善させる経口摂取用組成物を提供できる。また、副作用もなく、処方箋も必要とせず、また治療の必要のない比較的軽度な下部尿路症状に対して有効な改善剤が提供できることになり、多くの女性の悩みおよびQOLの改善につなげることができる。
実施例1における、膀胱内圧の変化を示す図であり、preは時間と賦形剤単回経口投与後の膀胱内圧との関係を示す図であり、postは時間とSPE(160mg/kg)単回経口投与後の膀胱内圧との関係を示す図である。 実施例2における、SPE濃度依存性を示す図であり、AはSPE濃度と低頻度(0.1Hz)の経壁電気刺激(EFS)によるラット摘出膀胱の収縮との関係を示す図であり、BはSPE濃度と低頻度(0.1Hz)及び高頻度(1Hz)の経壁電気刺激(EFS)によるラット摘出膀胱の収縮との関係を示す図であり、CはSPE濃度とアセチルコリン(10μM)によるラット摘出膀胱の収縮との関係を示す図である。 実施例3における、SPE濃度と[H]NMS及び[125I]CYPの特異的結合量との関係を示す図である。 SPE濃度とHEK293VR11細胞への[3H]Resiniferatoxin (RTX)の特異的結合との関係を示す図である。
[膀胱緊張緩解剤]
本発明の膀胱緊張緩解剤は、ノコギリヤシ果実抽出物(saw palmetto extract:以下、「SPE」ということがある)を有効成分とする女性向け膀胱緊張緩解剤である。
ここで、上記「有効成分」は膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン性受容体の遮蔽作用に有効性を示す成分であることが好ましい。例として具体的下部尿路症状としては日中の排尿回数の改善に有効性を示す成分である。ノコギリヤシ果実抽出物はこれらの有効成分として本発明者らにより初めて見出されたものである。
また、当該有効成分はノコギリヤシ果実抽出物のみであることが好ましい。特にノコギリヤシ果実抽出物のみで十分な膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン性受容体の遮蔽作用を発揮させることができる。
上記のように本発明の膀胱緊張緩解剤は、ノコギリヤシ果実の抽出物であり、ノコギリヤシ果実由来の脂肪酸を80%以上含むものであれば、抽出方法、最終形態(液体、固体、粉末)は問わない。
本発明の膀胱緊張緩解剤は、ノコギリヤシ果実抽出物を主な機能性成分とする女性向け膀胱緊張の弛緩作用をもつ経口摂取用組成物に利用され、例えば、OTC(オーバーザカウンター)医薬品、食品(特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメント、健康食品、明らか食品)に広く利用される。特に、既述の有効成分を1日当たりラウリン酸として58mg以上となるように摂取することで日中の排尿回数を改善できる。
[経口摂取用組成物]
本発明の経口摂取用組成物は、既述の本発明の女性向け膀胱緊張緩解剤を含む。すなわち、本発明の経口摂取用組成物は、女性向け経口摂取用組成物ともいえる。
本発明の経口摂取用組成物は経口摂取形態のものであれば限定しないが、既述のとおり、OTC医薬品、食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、サプリメント、健康食品、明らか食品)、動物用飼料やサプリメント等として適用される。
経口摂取形態についても特に限定されないが、OTC医薬品、保健用食品、機能性表示食品、サプリメント、健康食品では錠剤、カプセル剤、粉末剤、飲料として摂取される。特に脂肪酸を多く含み、独特の異味異臭を有することから、ゼラチンやデンプン、カラギーナン等で被覆したカプセルやシームレスカプセル形状に単独または混合物として配合、提供できる。
本発明の経口摂取用組成物は含有規格化成分のラウリン酸として1日当たり58mg以上となるように、12週間以上摂取することが好ましい。
また、本発明の経口摂取用組成物は、保存料、酸化防止剤、着色料、香料、調味料、甘味料、酸味料、グリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチンやミツロウ等の乳化剤、結着剤、強化剤、その他結晶セルロース等の賦形剤、滑沢剤、糖類、多糖類、デンプン、還元麦芽等の還元糖、ビタミン類、ミネラル類、オルニチン、GABA、タウリン、テアニン等のタンパク質やアミノ酸類、リコピン、ルテイン等のカロテノイド類等の食品素材または食品添加物類、カテキン、アントシアニン、大豆イソフラボン、ケルセチン等のポリフェノール類またはフラボノイド類またはこれらを含む抽出物(エキス)、乳酸菌、酵母等の菌類、中鎖脂肪酸、紅花油、オリーブオイル、沙棘果実油等の植物由来抽出油、DHA精製魚油、EPA精製魚油、クリルオイル等の脂肪酸やリン脂質、デキストリン等の食物繊維、キノコ類、藻類、動植物由来またはローヤルゼリー、プロポリス等動植物分泌物等の抽出物(エキス)や乾燥物、グルコサミン、プロテオグリカン、コンドロイチン、コラーゲン、キチン、キトサン等の健康食品素材、漢方薬等の医薬品種々の成分を配合することが可能である。さらに明らか食品への配合も可能である。
また、ノコギリヤシ果実抽出物では見出せなかったβ3アドレナリン受容体活性を有する素材を組み合わせ、配合することも有効と期待される。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)雌性ラットの排尿障害モデルにおける排尿機能の作用
0.5%酢酸を膀胱内注入したSD系雌性ラット(10-15週齢)を用い、シストメトリー法に従って、膀胱内圧および排尿量の連続測定により、排尿機能パラメーター(排尿間隔、一回排尿量、排尿回数、最大排尿圧、排尿閾値圧、基礎圧)を計測した。本ラットにSPE(160mg/kg)を単回経口投与し、その前後において排尿機能の測定を行い、排尿パラメーターを算出した。
なお、本実施例においてSPEは、EUROMED,S,A社製の商品名:SAW PALMETTO LIPIDIC STEROLIC EXTRACTを用いた。
0.5%酢酸の膀胱内注入により排尿間隔の短縮、排尿回数の増加が示された。本頻尿モデルラットにSPE(160mg/kg)の単回経口投与により、排尿間隔の増加(62.6%)および排尿回数の減少(36.2%)が観察され、いずれも統計学的に有意であった(図1,表1)。また、一回排尿量が26.1%増加した。最大排尿圧には変化がなかったが、排尿閾値圧および基礎圧は減少(それぞれ17.5%,28.4%)傾向を示した。これより、SPEは膀胱容量を増大させ、排尿間隔を延長することが示唆された。基礎圧の低下より、蓄尿期における膀胱の緊張が緩和されていると考えられた。
Figure 2022081394000001
上記表1中の各値は平均値±標準誤差(n=7)を表す。また、アスタリスク(*)は、賦形剤を投与したラットの値との有意差を示す(P<0.05)。
(実施例2)雌性ラット摘出膀胱平滑筋の収縮・弛緩作用の作用
雌性ラット(12-14週齢)より、ペントバルビタール深麻酔下に、膀胱を摘出し、縦に四分割して切片標本を作製した。Krebs-Henseleit液で満たしたマグヌス管内に、膀胱標本を0.3gの静止張力を負荷して懸垂した。
なお、本実施例においてSPEは、BGG Japan社製の商品名:SPE-SCを用いた。
経壁電気刺激(Electrical field stimulation:EFS)は、リング状の陽極とその中心に位置する棒状の陰極の間に標本を懸垂し、刺激条件を以下のように設定して行なった。Frequencyは0.1および1.0Hz、Durationは0.5msec、Voltageは10Vとした。なお、1.0HzのEFSは20分間隔で10秒間加えた(Model SEN3301、日本光電)。SPEはDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解(100mg/mL)し、EFSの実験では、EFS0.1Hz刺激下にSPEまたはvehicle(DMSO)を累積的に投与した。一方、EFS1.0Hz刺激の場合は、SPEまたはDMSOを10分間前処理した後、EFSを加えた。ACh刺激実験では、ACh10μMを10分間隔で投与し、SPEまたはDMSOを10分間前処理した。
各刺激により生じる収縮反応は、張力トランデューサー(Model t-7、NEC三栄)とアンプ(Model AS1202、NEC三栄)を介して記録した(Model 8K21、NEC三栄)。データは、SPEまたはDMSO処置していないEFS0.1Hz刺激またはACh10μM添加により生じる張力変化を100%として算出した。
SPEは、低頻度(0.1Hz)の経壁電気刺激によるラット摘出膀胱の収縮に対し、0.01g/mlの濃度では作用を示さなかったが、0.1,1.0mg/mlで有意に抑制(それぞれ16.0%,32.4%)した(図2のA,B)。同様に、高頻度(1Hz)の経壁電気刺激による膀胱収縮を有意に抑制(74.2%)した。
また、アセチルコリン(10μM)による膀胱収縮に対し、SPE(0.01-1.0mg/ml)は濃度依存的に抑制した(図2のC)。1.0mg/mlのSPEによる抑制作用(30.3%)は有意であった。
(実施例3)雌性ラット膀胱のムスカリン性受容体およびβ受容体結合活性の作用
雌性ラットの摘出膀胱のホモジネートより受容体標品を調製した。ムスカリン性受容体およびβ受容体結合活性の評価は、標識リガンドとして、[H]N-methylscopolamine([H]NMS)と[125I]cyanopindolol([125I]CYP)を用いるラジオレセプターアッセイ法により行った。種々の濃度のSPE存在下において、受容体標品を[H]NMS(0.10nM)ないし[125I]CYP(0.12nM)とインキュベートし、Brandel社製セルハーベスターを用いる高速吸引濾過法により、各標識リガンドの特異的結合量を測定した。
なお、本実施例においてSPEは、BGG Japan社製の商品名:SPE-SCを用いた。
ムスカリン性受容体サブタイプ(M-M)の発現細胞における[H]NMSの特異的結合に対するSPEの作用を検討した。
アトロピン(1μM)の存在下と非存在下における[H]NMSの結合量の差をムスカリン性受容体への特異的結合と定義した。SPE(10-300μg/ml)はラット膀胱における[H]NMSの特異的結合を濃度依存的に阻害した(図3の黒丸プロット)。これより算出した50%阻害濃度(IC50値)は、40.9±5.6μg/mlであった。一方、10μMのプロプラノロール存在下と非存在下において測定した[125]CYPの特異的結合に対しSPE(10-300μg/ml)は殆ど阻害作用を示さなかった。これより、SPEは、ラットの膀胱のムスカリン性受容体に結合活性を示すが、β受容体には結合しないことが示された(図3の白丸プロット)。
SPE(3-100μg/ml)は、ムスカリン性受容体サブタイプM-Mの発現細胞における[H]NMSの特異的結合を濃度依存的に阻害した。これより算出したIC50(表2)から、SPEは、MおよびMサブタイプに比べ、M、MとMサブタイプにより高い結合親和性を示す傾向であった。
Figure 2022081394000002
表2はノコギリヤシ抽出物によるヒトムスカリン性受容体サブタイプM1~M5を発現するCHO-K1細胞株の膜における[3H]NMSの特異的結合の阻害(IC50値)である。各値は平均値±標準誤差(n=5)を表す。
SPEは、酢酸膀胱内注入により頻尿を呈した雌性ラットにおいて有意な頻尿改善作用を示した。また蓄尿期の膀胱緊張の緩解作用を示した。雌性ラットの膀胱平滑筋の経壁電気刺激およびアセチルコリンによる収縮の有意な抑制作用を示した。本作用にはムスカリン性受容体の遮断作用が一部関与すると考えられた。
なお、雌ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験を行ったところ、1000mg/kg/dayの用量で死亡動物は認められず、一般状態、FOB、体重、摂取量、血液学的検査、血液生化学検査、エストラジオール濃度、性周期観察、尿検査、器官重量、剖検および病理組織学的検査においてもノコギリヤシ果実抽出物の毒性影響と考えられる変化は認められなかった。
なお、本実施例においてSPEは、EUROMED,S,A社製の商品名:SAW PALMETTO LIPIDIC STEROLIC EXTRACTを用いた。
(実施例4)SPE濃度とHEK293VR11細胞への[3H]Resiniferatoxin (RTX)の特異的結合との関係、及びヒト臨床試験
HEK293細胞にrat TRPV1を安定的に発現させたHEK293VR11細胞を用いた。
HEK293VR11細胞(1.8×10cells)を150mm細胞培養用シャーレにまき、3~4日間培養した。セミコンフルエントになった細胞をCa2+free PBSで洗浄した後、0.5mM EDTA含有Ca2+free PBS 10mLでシャーレから剥離し、回収した。回収した細胞はBuffer A(10mM HEPES、5mM KCl、5.8mM NaCl、2mM MgCl、0.75mM CaCl、12mM glucose、137mM sucrose;pH7.4)10mLで1度洗浄した後、5.0×10cells/mLの濃度となるようにBuffer Aで希釈し、これを受容体標品とした。
TRPV1の測定は、[H]RTXを標識リガンドとするラジオレセプターアッセイ法を用いて行った。受容体標品をIncubation buffer(Buffer A supplement with 0.25mg/mL BSA;pH7.4)中で[H]RTX(0.0625-0.5nM)と37℃、60分間インキュベーションした。インキュベーション後、氷冷下で5分放置した後、2mg/mL α-acid glycoprotein 50μLを加え、さらに10分間氷冷下でインキュベーションした。その後、Receptor Binding Assay用Cell Harvester (米国Brandel社)を用いて反応液をガラス繊維濾紙(Whatmann GF/B)上に急速吸引濾取した。直ちに濾紙を50mM Na/Kphosphate buffer(pH7.5)3mLで2回洗浄した。この濾紙をバイアル瓶に取り、トルエンシンチレーター(2,5-diphenyloxazole:5g,1,4-Bis(5-phenyl-2-oxazol)benzene:0.1g,Triton X-100:333mL,toluene:666mL)を加えて室温中に約6時間放置後、その放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。この場合、displacerとして1μM RTXを用い、displacer非存在下で得られた放射活性を全結合、displacer存在下で得られた放射活性を非特異的結合とし、両者の差を受容体への特異的結合と定義した。測定は全てduplicateで行った。
受容体結合パラメータの算出
HEK293VR11細胞を用いて、種々の濃度の薬物存在下で、HEK293VR11細胞への[H]RTX(0.13nM)の特異的結合を測定し、これよりlog probit analysis法に従って[H]RTXの特異的結合を50%抑制する薬物濃度、即ちIC50を求め、下記式に従って抑制定数(K)を算出した。
Figure 2022081394000003
[L]:遊離状態の標識リガンドの濃度
:見かけの解離定数
SPEは、3,10,30,100,300μg/mLの濃度で、HEK293VR11細胞への[H]Resiniferatoxin(RTX)の特異的結合を濃度依存的に抑制した(図4)。
処方箋も必要とせず、また治療の必要ない患者以外の比較的軽度な下部尿路症状をもつ50歳以上の女性76名を対象に、ゼラチンカプセルにノコギリヤシ果実抽出物をラウリン酸として58mg以上となるように含ませた被験食品とノコギリヤシ果実抽出物の代わりにグリセリン脂肪酸エステルを同量含むプラセボ食品を1日1粒、12週間摂取させたところ、被験食品群ではプラセボ食品群と比較して「朝起きてから寝るまでの尿回数(日中の排尿回数)」が有意に改善していた。この試験において重篤な疾病等の副作用報告はなかった。
なお、本実施例においてSPEは、BGG Japan社製の商品名:SPE-SCを用いた。

Claims (5)

  1. ノコギリヤシ果実抽出物を有効成分とする女性向け膀胱緊張緩解剤。
  2. 前記有効成分が膀胱平滑筋収縮抑制及びムスカリン性受容体の遮蔽作用に有効性を示す成分である請求項1に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
  3. 前記有効成分がノコギリヤシ果実抽出物のみである請求項2に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
  4. 前記有効成分を1日当たりラウリン酸として58mg以上となるように摂取することで日中の排尿回数を改善できる請求項1~3のいずれか1項に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の女性向け膀胱緊張緩解剤を含む経口摂取用組成物。
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