JP2022076630A - 微生物反応の制御システム及び制御方法 - Google Patents

微生物反応の制御システム及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知可能な微生物反応の制御システム及び制御方法を提供する。【解決手段】微生物から産出される酵素による微生物反応の制御システムは、酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量装置と、定量装置で定量されたmRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、mRNAの量が範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節装置とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、微生物反応の制御システム及び制御方法に関する。
微生物反応を利用したプロセスの一例として、特許文献1には、有機性廃棄物をメタン発酵して少なくともメタンガスを含むバイオガスを生成する装置が開示されている。メタン発酵は、多くの微生物の共生により有機物を分解し、その過程で生成される有機酸等を還元することによってメタンを生成するものである。メタン発酵において、例えば有機酸の増加等により、微生物の活性が低下してメタン発酵の効率が低下してしまうことがある。これに対し、特許文献1には、メタン発酵の効率の低下に先駆けて又は同時に増幅する特定の微生物をそのDNA情報に基づいて検出及び定量することにより、メタン発酵の運転管理を行う発明が記載されている。
特開2012-249558号公報
特許文献1では、メタン発酵を妨げる微生物を定量しているが、本開示の発明者らは、メタンを生成する微生物を定量することによってもメタン発酵の運転管理が可能ではないかと考えている。しかし、本開示の発明者らの研究によると、メタン発酵においてメタンの生成に重要な役割を果たすメタン生成菌(古細菌)の量をそのDNA量に基づいて特定したものと、メタン生成量との相関が低いことが分かった。この原因としては、DNA量に基づくメタン生成菌の量は、メタン生成に寄与するものだけではなく、活性低下や死滅等でメタン生成に寄与しないものも含むためであると考えらえる。
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知可能な微生物反応の制御システム及び制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示に係る微生物反応の制御システムは、微生物から産出される酵素による微生物反応の制御システムであって、前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量装置と、前記定量装置で定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節装置とを備える。
また、本開示に係る微生物反応の制御方法は、微生物から産出される酵素による微生物反応の制御方法であって、前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量ステップと、前記定量ステップで定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節ステップとを含む。
本開示の微生物反応の制御システム及び制御方法によれば、微生物から産出される酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて微生物反応の状況の変化を検知するので、微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知することができる。
本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムを含む微生物反応プロセスの構成図である。 本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムの動作(制御方法)のフローチャートである。 本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムを含む微生物反応プロセスの構成図である。 本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムの動作(制御方法)のフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態による微生物反応の制御システム及び制御方法について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
<本開示の発明者らの考察>
特許文献1に記載されるようなメタン発酵によるバイオガスの生成では、メタン生成菌(古細菌)が重要な役割をすることが知られている。このメタン生成菌が算出する酵素、すなわちメチル補酵素M還元酵素によって、酢酸のような有機酸等の低分子量物質がメタン等に転化される。このメチル補酵素M還元酵素は、メタン生成菌のメチル補酵素M還元酵素遺伝子(mcrA)の発現により、DNA→mRNA→タンパク質(酵素)の流れで産出される。尚、mcrAは、以下に示すように、その遺伝子配列が公知となっている。
Figure 2022076630000002
バイオガスの生成量と酵素の量とは比例関係にあるはずである。そうすると、酵素産出のセントラルドグマによれば、メタン生成菌のDNA量及びメチル補酵素M還元酵素の遺伝子由来のmRNAの量もバイオガスの生成量と比例関係にあるものと考えられる。しかしながら、本開示の発明者らによる実験では、DNA量とバイオガスの生成量との間に高い相関関係は得られなかった。この結果を裏付ける証拠が、B.Munkらの「A metabolic quotient for methanogenic Archaea」と題する論文(Water Science & Technology 66.11, 2012)に開示されている。この論文の図2には、DNA量、mRNA量、バイオガスの生産性の推移が表されているが、DNA量の推移とバイオガスの生産性の推移とはあまり一致していない。一方で、mRNA量の推移とバイオガスの生産性の推移との一致は良好である。厳密に言うと、バイオガスの生産性の変化に先んじてmRNA量の変化が発生している。
バイオガスの生成量と酵素の量とは比例関係にあるはずであるが、ここで言うバイオガスの生成量とは今現在のバイオガスの生成量であり、同様に酵素の量とは、今現在の酵素の量である。すなわち、今現在のバイオガスの生成量が今現在の酵素の量と比例関係にあるはずである。バイオガスの生成量が低下するまでには、メタン生成菌の活性が低下して酵素の産出量が低下する現象が生じるはずである。すなわち、酵素産出のセントラルドグマによれば、バイオガスの生成量が低下し始める前に酵素の産出量が低下し、さらにその前にmRNAの量が低下するはずである。このため、mRNAの推移とメタンの生産性の推移との一致は良好で、メタンの生産性の変化に先んじてmRNA量の変化が発生すると考えられる。一方で、DNAの量は、あくまでもメタン生成菌の菌数に相当し、メタン生成菌の中には活性が低下したものや死滅したものも含まれている可能性があるので、mcrAの発現量とは必ずしも一致しない。このため、DNA量の推移とメタンの生産性の推移とは必ずしも一致しないと考えられる。
このような研究により、本開示の発明者らは、微生物から産出される酵素による微生物反応を制御するに当たり、微生物から産出される酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて、微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知することができるようになると結論づけた。この結論を、以下に記載するいくつかの実施形態に適用する。
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムの構成>
本開示の実施形態1では、有機物を含む原料から少なくともメタンを含むバイオガスを生成するバイオガス生成反応を微生物反応として、このバイオガス生成反応の制御システム及び制御方法について説明する。このバイオガス生成反応では微生物はメタン生成菌であり、メタン生成菌から産出されたメチル補酵素M還元酵素によってバイオガス生成反応が進行する。
図1に示されるように、本開示の実施形態1に係る制御システム10は、微生物反応プロセス1であるバイオガス生成反応プロセス1aに含まれるバイオガス発酵槽3内のバイオガス生成反応を制御するためのものである。バイオガス発酵槽3に供給される原料については特に限定しないが、原料は少なくとも有機物を含むものであり、例えば、加水分解装置2に供給された有機性廃棄物(例えば、下水処理場の余剰汚泥、生ごみのような食品廃棄物、家畜の糞尿のような畜産廃棄物、紙ごみを含む都市ごみ等)を蒸気等の熱源によって加水分解した処理物であってもよい。この場合には、バイオガス生成反応プロセス1aは、バイオガス発酵槽3の他に加水分解装置2を含むことになる。
制御システム10は、定量装置20と調節装置30とを備えている。定量装置20は、メチル補酵素M還元酵素の遺伝子由来のmRNAを定量するための装置である。具体的には定量装置20としてPCR装置を用いることができ、PCR装置は、バイオガス発酵槽3に常設されたPCR装置でもよいし、バイオガス発酵槽3内の内容物の一部を取り出して測定するハンディタイプのPCR装置でもよい。
調節装置30は、定量装置20で定量されたmRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、mRNAの量がその範囲内になるようにバイオガス生成反応の条件を調節するためのものである。実施形態1においてバイオガス生成反応プロセス1aでは、調節装置30は、原料をバイオガス発酵槽3へ供給するための原料供給装置31と、バイオガス発酵槽3へメタン発酵汚泥(例えば、し尿処理/家畜糞尿処理設備由来の汚泥、下水汚泥処理設備由来の汚泥、生ごみ処理設備由来の汚泥等)を供給するためのメタン発酵汚泥供給装置32と、バイオガス発酵槽3へメタン生成菌のための栄養剤(例えば、コバルトやニッケル等の微量金属を含む塩)を供給するための栄養剤供給装置33とを備えている。
原料供給装置31は、加水分解装置2からの処理物を貯蔵し水分等を調整する混合調整槽31aと、混合調整槽31aとバイオガス発酵槽3とを連通する原料供給ライン31bと、原料供給ライン31bに設けられた原料供給ポンプ31cとを備えている。混合調整槽31aは処理物供給ライン9を介して加水分解装置2と連通している。メタン発酵汚泥供給装置32は、加水分解装置2からの処理物とは別のメタン発酵汚泥を貯蔵するメタン発酵汚泥貯蔵槽32aと、メタン発酵汚泥貯蔵槽32aとバイオガス発酵槽3とを連通するメタン発酵汚泥供給ライン32bと、メタン発酵汚泥供給ライン32bに設けられたメタン発酵汚泥供給ポンプ32cとを備えている。栄養剤供給装置33は、栄養剤を貯蔵する栄養剤貯蔵槽33aと、栄養剤貯蔵槽33aとバイオガス発酵槽3とを連通する栄養剤供給ライン33bと、栄養剤供給ライン33bに設けられた栄養剤供給ポンプ33cとを備えている。また、調節装置30は、原料供給ポンプ31cとメタン発酵汚泥供給ポンプ32cと栄養剤供給ポンプ33cとのそれぞれに電気的に接続された制御装置34を備えてもよい。
尚、調節装置30は、原料供給装置31とメタン発酵汚泥供給装置32と栄養剤供給装置33との全てを備えていなくてもよく、これらのうちの少なくとも1つを備えていればよい。例えば、加水分解装置2からの処理物の全量をバイオガス発酵槽3に供給するように構成されている場合には、処理物の供給量を調節することはできないので、調節装置30はメタン発酵汚泥供給装置32と栄養剤供給装置33との両方又はいずれか一方を備えることになる。また、調節装置30は、原料供給装置31のみを備えてもよいし、原料供給装置31とメタン発酵汚泥供給装置32又は栄養剤供給装置33のいずれか一方とを備えてもよい。
バイオガス発酵槽3には、バイオガス発酵槽3の内容物を攪拌するための攪拌装置6が設けられている。また、バイオガス発酵槽3には、生成したバイオガスがバイオガス発酵槽3から流出するための流出管7が接続されている。流出管7には、流出管7を流通するバイオガスの流量を検知するための流量センサ8が設けられている。流量センサ8によって、バイオガスの生成量を測定することができる。このため、流量センサ8は、バイオガス生成量測定装置を構成する。
さらに、バイオガス発酵槽3には、バイオガス発酵槽3内の活性汚泥浮遊物質(MLSS)の濃度を検知するMLSS計4を設けてもよい。MLSS計4として例えば、株式会社堀場製作所から市販されているMLSS計(HU-200SS)を使用することができる。また、バイオガス発酵槽3には、内容物の状態を検知するための少なくとも1つのセンサ5を設けてもよい。このようなセンサ5としては、内容物中の有機酸の濃度を検知するための有機酸センサ、内容物のpHを検知するためのpHセンサ、内容物中の化学的酸素要求量(COD)を検知するためのCODセンサ、内容物の温度を検知するための温度センサ、内容物中のアンモニアの濃度を検知するためのアンモニアセンサ等を挙げることができる。流量センサ8とMLSS計4と少なくとも1つのセンサ5とはそれぞれ、制御装置34に電気的に接続されている。
<本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムの動作(制御方法)>
次に、本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムの動作について説明する。尚、以下では、図1に示される構成に基づいて説明するが、必須ではない構成要件が設けられていない場合の動作については、適宜説明する。
加水分解装置2に有機性廃棄物を投入した後、加水分解装置2に蒸気を供給して有機性廃棄物を加水分解する。有機性廃棄物が加水分解されて生成した処理物は処理物供給ライン9を介して混合調整槽31aに供給されて貯留される。原料供給ポンプ31cによって、混合調整槽31a内の処理物が原料として原料供給ライン31bを介してバイオガス発酵槽3に供給される。バイオガス発酵槽3への処理物の供給はバッチ式で行ってもよいし、MLSS計4が設けられている場合には、MLSS計4の検知結果に基づいて処理物を供給してもよい。バイオガス発酵槽3にメタン生成菌を含む微生物が供給されて、バイオガス生成反応に適切な条件に調整される。バイオガス生成反応によって生じたバイオガスは、流出管7を介して図示しないガスホルダに貯蔵されるか、ボイラやガスエンジン等の図示しない燃料消費設備に供給される。
バイオガス発酵槽3においてバイオガス生成反応が進行している間、制御システム10は、バイオガス生成反応の状況の変化を検知し、バイオガス生成反応の状況が変化する場合には、バイオガス生成反応の条件を調節する。この動作について、図1とともに図2のフローチャートを参照しながら、以下に具体的に説明する。
バイオガス発酵槽3においてバイオガス生成反応が進行している間、定量装置20は、バイオガス発酵槽3の内容物中のmcrA由来のmRNAを定量する(ステップS1)。定量装置20がバイオガス発酵槽3に常設されたPCR装置の場合には、連続的又は間欠的にmRNAの定量を行うことができる。定量装置20がハンディタイプのPCR装置の場合には、バイオガス発酵槽3から内容物の一部を定期的にサンプリングし、抜き出したサンプルに対してmRNAの定量を行うことができる。mRNAの定量は、制御装置34に伝送される。
mRNAの定量は、一般的な手法、すなわち、サンプルを前処理してmRNAを抽出し、mRNAに基づいて相補的DNA(cDNA)を作成し、PCR法によりcDNAを増幅して行うことができる。PCR法では、mcrAに固有なプライマーを使用する必要があるが、例えば、フォワードプライマーとして、5’-CTGGTCCTGCAGGTCGTATC-3’を使用し、リバースプライマーとして、5’-CTGACCGGAAACAGCCAGTC-3’を使用することができる。尚、mcrAの上述した塩基配列の一部が異なっていると、mRNAの塩基配列の一部も変わるため、このプライマーの組み合わせではmRNAを定量できない場合があるが、mcrAに固有なプライマーとして使用可能なものは複数あるため、適切なプライマーを使用すればmRNAの定量は可能である。
バイオガス発酵槽3にMLSS計4及びセンサ5が設けられている場合には、ステップS1では、MLSS計4及びセンサ5がそれぞれMLSSの濃度及び内容物の状態を検知し、その検知結果は、制御装置34に伝送される。
次のステップS2では、mRNAの定量結果、すなわちmRNAの量が予め決定された上限及び下限からなる所定範囲内か否かの判断を制御装置34が行う。mRNAの量が所定範囲内の場合には、バイオガス生成反応の状況に変化が生じていない(特に、mRNAの量が下限未満となっておらず、バイオガス生成反応の効率が低下又は停止するおそれが生じていない)と制御装置34が判断し、ステップS1に戻る。
一方、ステップS2においてmRNAの量が所定範囲から逸脱した場合、特に、下限未満となった場合には、制御装置34は、バイオガス生成反応の効率が低下又は停止する予兆が発生したと判断する。このような予兆を検知した場合には、調節装置30は、原料供給装置31とメタン発酵汚泥供給装置32と栄養剤供給装置33とのいずれかによってバイオガス生成反応の条件を調節する(ステップS3)。バイオガス生成反応の条件を調節することにより、mRNAの量を所定範囲内にすることができるので、バイオガス生成反応の効率が実際に低下又は停止してしまうおそれを抑制することができる。その後、ステップS1に戻る。
バイオガス発酵槽3にMLSS計4が設けられていれば、バイオガス発酵槽3内のMLSSの濃度に応じて、制御装置34は、調節装置30によるバイオガス生成反応の条件の調節動作を選択することができる。MLSS計4によって検知されたMLSSの濃度が正常の範囲内である場合には、メタン生成菌の活動が低下していると判断できるため、制御装置34は、栄養剤供給ポンプ33cを起動し、所定量の栄養剤をバイオガス発酵槽3に供給する。その後、ステップS1に戻る。
MLSS計4によって検知されたMLSSの濃度が正常の範囲よりも上昇している場合には、バイオガス発酵槽3に供給された原料の量がメタン生成菌の許容量を超えているためにメタン生成菌の活動が低下していると判断できるため、制御装置34は、原料供給ポンプ31cの稼働条件を調節し、バイオガス発酵槽3への原料の供給量を低下又は一時的に停止する。その後、ステップS1に戻る。
MLSS計4によって検知されたMLSSの濃度が正常の範囲よりも下降している場合には、バイオガス発酵槽3内の内容物中に、バイオガス生成反応に適した成分が低下していると判断できるため、制御装置34は、メタン発酵汚泥供給ポンプ32c起動し、所定量のメタン発酵汚泥をバイオガス発酵槽3に供給する。その後、ステップS1に戻る。
少なくとも1つのセンサ5が設けられている場合、ステップS2では、mRNAの定量結果とセンサ5による検出結果とに基づいて、バイオガス生成反応の効率が低下又は停止する予兆の有無を判断できる。この判断結果に基づいて、ステップS3において調節装置30がバイオガス生成反応の条件を調節することもできる。センサ5がバイオガス発酵槽3内の内容物中の有機酸の濃度を検知するセンサである場合を例にすると、mRNAの定量結果と有機酸の濃度の検出値との組み合わせでどのような調節を調節装置30がとればよいかのいくつかの例を、下記表1に例示する。
Figure 2022076630000003
このように、本開示の実施形態1に係る制御システム10によれば、メタン生成菌から産出されるメチル補酵素M還元酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいてバイオガス生成反応の状況の変化を検知するので、バイオガス生成反応の効率の低下の予兆を早めに検知することができる。また、バイオガス生成反応の効率の低下の予兆を早めに検知して、調節装置30がバイオガス生成反応の効率の低下を適切に抑制できる。
<本開示の実施形態1に係る微生物反応の制御システムの変形例>
実施形態1において、mRNAの範囲(上限及び下限)は予め決められた一定値であったが、この形態に限定するものではない。バイオガス発酵槽3内におけるメタン発酵が中温メタン発酵か高温メタン発酵かによりその範囲は異なり、又、バイオガス発酵槽3に供給される原料の由来物である有機性廃棄物の種類に応じてもその範囲は異なる。そこで、制御装置34は、バイオガス生成反応の条件(メタン発酵の種類や原料の種類等)ごとに、mRNAの定量結果と、バイオガスの生成量との関係を機械学習により作成し、作成された関係に基づいて、バイオガス生成反応の条件ごとにmRNAの範囲を決定してもよい。これにより、さらに適切にバイオガス生成反応の効率の低下を抑制できる。尚、この場合でも、ステップS2の判断を行う際には、mRNAの範囲は既に設定されていることになる。
実施形態1において、調節装置30は制御装置34を備え、mRNAの定量結果に基づいて制御装置34が原料供給装置31とメタン発酵汚泥供給装置32と栄養剤供給装置33とのいずれかを作動させていたが、この形態に限定するものではない。制御装置34がなくても、mRNAの定量結果に基づいて、バイオガス生成反応プロセス1aのオペレーターが手動で調節装置30を作動させてもよい。
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る微生物反応の制御システム及び制御方法について説明する。実施形態2に係る微生物反応の制御システム及び制御方法は、実施形態1に対して、脱硫塔内の硫黄酸化細菌が増殖するのを抑制し、脱硫塔内の吸収液のCODの上昇を抑制するようにしたものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本開示の実施形態2では、任意のプラントに設けられた脱硫塔内で硫黄を酸化する硫黄酸化反応を微生物反応として、この硫黄酸化反応の制御システム及び制御方法について説明する。この硫黄酸化反応では、微生物は複数種類の硫黄酸化細菌(例えば、サーミチオバチルス テピダリウス DSM3134等)であり、硫黄酸化細菌から産出された硫黄酸化酵素によって硫黄酸化反応が進行する。この硫黄酸化酵素は、硫黄酸化細菌のsoxB遺伝子の発現により、DNA→mRNA→タンパク質(酵素)の流れで産出される。硫黄酸化細菌のsoxB遺伝子は、以下に示すように、その遺伝子配列が公知となっている。
Figure 2022076630000004
<本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムの構成>
図3に示されるように、本開示の実施形態2に係る制御システム50は、限定はしないがボイラ等で発生する排ガスから硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硫プロセス1bの脱硫塔60内に貯留された吸収液中に生存する硫黄酸化細菌の増殖及びそれに起因する吸収液のCODの上昇を抑制するためのものである。ここで、脱硫プロセス1bは、実施形態2に係る微生物反応プロセス1に相当する。
脱硫塔60は、排ガス流通ライン61を介して、排ガスを発生するボイラ等の図示しない排ガス発生源と連通している。脱硫塔60には、吸収液が循環する吸収液循環ライン62が設けられている。吸収液循環ライン62の一端は脱硫塔60の塔底に接続され、他端は、排ガス流通ライン61が脱硫塔60に接続される位置よりも上方で脱硫塔60に接続されている。吸収液循環ライン62には、吸収液循環ポンプ63が設けられている。脱硫塔60内には、吸収液循環ライン62を流通した吸収液を脱硫塔60内で噴霧するスプレー68が設けられている。吸収液循環ライン62には、吸収液循環ライン62を流通する吸収液の一部を抜き出すための抜き出しライン64が接続されている。脱硫塔60の塔頂には、排ガスが脱硫塔60から流出するための排気ライン65が接続されている。
制御システム50は、定量装置70と調節装置80とを備えている。定量装置70は、硫黄酸化酵素の遺伝子(soxB遺伝子)由来のmRNAを定量するための装置である。定量装置70は、実施形態1の定量装置20と同じように、脱硫塔60に常設されたPCR装置でもよいし、脱硫塔60内の吸収液の一部を取り出して測定するハンディタイプのPCR装置でもよい。
調節装置80は、定量装置70で定量されたmRNAの量が、予め設定された範囲から逸脱した場合に、mRNAの量がその範囲内になるように硫黄酸化反応の条件を調節するためのものである。実施形態2において脱硫プロセス1bでは、調節装置80は、脱硫塔60内に硫黄酸化細菌を死滅させる殺菌剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液)を供給するための殺菌剤供給装置81を備えている。殺菌剤供給装置81は、殺菌剤を貯蔵する殺菌剤貯蔵槽81aと、殺菌剤貯蔵槽81aと脱硫塔60とを連通する殺菌剤供給ライン81bと、殺菌剤供給ライン81bに設けられた殺菌剤供給ポンプ81cとを備えている。また、調節装置80は、殺菌剤供給ポンプ81cに電気的に接続された制御装置84を備えてもよい。
脱硫塔60には、吸収液のCODを検知するためのCOD検知装置であるCODセンサ66が設けられている。また、脱硫塔60には、吸収液の状態を検知するための少なくとも1つのセンサ67を設けてもよい。このようなセンサ67としては、吸収液中の糖の濃度を検知するための糖センサ、吸収液中のアデノシン三リン酸(ATP)を検知するためのATPセンサ、吸収液のpHを検知するためのpHセンサ、吸収液の温度を検知するための温度センサ等を挙げることができる。CODセンサ66と少なくとも1つのセンサ67とはそれぞれ、制御装置84に電気的に接続されている。
<本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムの動作(制御方法)>
次に、本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムの動作について説明する。吸収液循環ポンプ63によって、脱硫塔60内の吸収液の一部が脱硫塔60から流出して吸収液循環ライン62を流通し、スプレー68から吸収液が脱硫塔60内に噴霧されて脱硫塔60内を落下する。ボイラ等の排ガスは、排ガス流通ライン61を介して脱硫塔60内に流入する。脱硫塔60内に流入した排ガスは、脱硫塔60内を上昇する際に、脱硫塔60内を落下する吸収液と気液接触することで、排ガス中のSOx等が吸収液に吸収される、すなわち排ガスが脱硫される。SOx等が除去された排ガスは、排気ライン65を介して脱硫塔60から流出する。
脱硫塔60において排ガスが脱硫されると、吸収液中の硫黄化合物濃度が上昇する。吸収液中には硫黄酸化細菌が生存しており、硫黄酸化細菌が産出する硫黄酸化酵素によって吸収液中の硫黄化合物が酸化される(硫黄酸化反応が生じる)ことで、吸収液のCODが上昇する。排ガスの脱硫動作が継続すると、吸収液中の硫黄化合物濃度が上昇するので、吸収液の一部を抜き出しライン64を介して抜き出すとともに新たな吸収液を追加するが、吸収液のCODが高いと吸収液の放流ができなくなるおそれがある。このため、排ガスが脱硫される間、すなわち硫黄酸化反応が進行している間、制御システム50は、硫黄酸化反応の状況の変化を検知し、硫黄酸化反応の状況が変化する場合には、硫黄酸化反応の条件を調節する。この動作について、図3とともに図4のフローチャートを参照しながら、以下に具体的に説明する。
脱硫塔60において排ガスが脱硫される間、定量装置70は、脱硫塔60内の吸収液中のsoxB遺伝子由来のmRNAを定量する(ステップS11)。定量装置70が脱硫塔60に常設されたPCR装置の場合には、連続的又は間欠的にmRNAの定量を行う。定量装置70がハンディタイプのPCR装置の場合には、脱硫塔60から吸収液の一部を定期的にサンプリングし、抜き出したサンプルに対してmRNAの定量を行う。mRNAの定量は、制御装置84に伝送される。ステップS11では、CODセンサ66によって吸収液のCODが検知され、その検知結果も制御装置84に伝送される。また、センサ67が設けられている場合には、センサ67によって検知された吸収液の状態も制御装置84に伝送される。
mRNAの定量は、実施形態1と同様に、サンプルを前処理してmRNAを抽出し、mRNAに基づいて相補的DNA(cDNA)を作成し、PCR法によりcDNAを増幅して行うことができる。PCR法では、soxBに固有なプライマーを使用する必要があるが、例えば、フォワードプライマーとして、5’-GGATATGAAAAACGCCGAGG-3’を使用し、リバースプライマーとして、5’-TCGGGATTGAAGAGGTTGTC-3’を使用することができる。尚、soxBの上述した塩基配列の一部が異なっていると、mRNAの塩基配列の一部も変わるため、このプライマーの組み合わせではmRNAを定量できない場合があるが、soxBに固有なプライマーとして使用可能なものは複数あるため、適切なプライマーを使用すればmRNAの定量は可能である。
次のステップS12では、mRNAの定量結果、すなわちmRNAの量が予め決定された上限及び下限からなる所定範囲内か否かの判断を制御装置84が行う。mRNAの量が所定範囲内の場合には、硫黄酸化反応の状況に変化が生じるおそれはない(特に、mRNAの量が上限を超えておらず、吸収液のCODの上昇につながる硫黄酸化反応が促進するおそれがない)と制御装置84が判断し、ステップS11に戻る。
一方、ステップS12においてmRNAの量がその範囲から逸脱した場合、特に、上限を超えた場合には、制御装置84は、吸収液のCODが上昇する予兆が発生したと判断する。このような予兆を検知した場合には、調節装置80が硫黄酸化反応の条件を調節する(ステップS13)。具体的には、制御装置84が殺菌剤供給ポンプ81cを起動することで、殺菌剤貯蔵槽81a内の殺菌剤を、殺菌剤供給ライン81bを介して脱硫層60内に供給する。殺菌剤の供給量は、mRNAの定量結果に基づいて適宜調節することもできる。これにより、吸収液中の硫黄酸化細菌の少なくとも一部が死滅することでsoxB遺伝子の発現量が減少するので、mRNAの量を所定範囲内にすることができる。その結果、硫黄酸化反応に起因して吸収液のCODが上昇するおそれを抑制することができる。その後、ステップS11に戻る。
少なくとも1つのセンサ67が設けられている場合、ステップS12では、mRNAの定量結果とセンサ67による検出結果とに基づいて、吸収液のCODが上昇する予兆の有無を判断できる。ステップS13では、この判断結果に基づいて、調節装置80が硫黄酸化反応の条件を調節する(殺菌剤を脱硫塔60に供給するか否かを判断する)こともできる。センサ67が吸収液の糖の濃度を検知するセンサである場合を例にすると、ステップS12においてmRNAの量が上限を超え、かつ、糖の濃度が上昇したと判断された場合には、硫黄酸化細菌の活動(又は数)が上昇したことに伴いCODが上昇すると判断できるので、調節装置80は殺菌剤を脱硫塔60に供給する。一方、ステップS12においてmRNAの量が上限を超え、かつ、糖の濃度の上昇が検知されない場合には、現状では硫黄酸化細菌の活動(又は数)が上昇していないと判断できるが、いずれはCODが上昇することが見込まれるので、糖の濃度の検知タイミングを短くして、迅速にCOD上昇の予兆を検知できるようにしたり、殺菌剤を供給する準備を進めたりする。尚、センサ67がATPの濃度を検知するセンサである場合も、糖の濃度の場合と同様にして殺菌剤を脱硫塔60に供給するか否かを判断することができる。
このように、本開示の実施形態2に係る制御システム50によれば、硫黄酸化細菌から産出される硫黄酸化酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて硫黄酸化反応の状況の変化を検知するので、脱硫塔60内の吸収液のCODの上昇の予兆を早めに検知することができる。また、脱硫塔60内の吸収液のCODの上昇の予兆を早めに検知して、調節装置80が脱硫塔60内の吸収液のCODの上昇を適切に抑制できる。
<本開示の実施形態2に係る微生物反応の制御システムの変形例>
実施形態2においても実施形態1と同様に、調節装置80は制御装置84を備えていなくてもよい。制御装置84がなくても、mRNAの定量結果に基づいて、脱硫プロセス1bのオペレーターが手動で調節装置80を作動させてもよい。
実施形態2において、mRNAの範囲(上限及び下限)は予め決められた一定値であったが、この形態に限定するものではない。脱硫塔60が設けられるプラントごとに、mRNAの範囲が異なる可能性がある。そこで、制御装置84は、mRNAの定量結果と、CODセンサ66の検知結果との関係を機械学習により作成し、作成された関係に基づいてmRNAの範囲を決定してもよい。これにより、さらに適切に脱硫塔60内の吸収液のCODの上昇を抑制できる。尚、この場合でも、ステップS12の判断を行う際には、mRNAの範囲は既に設定されていることになる。
本開示の微生物反応の制御システム及び制御方法は、実施形態1のメタン発酵によるバイオガスの生成の制御や実施形態2の脱硫塔の吸収液のCODの上昇の制御のみに限定するものではない。実施形態1のメタン発酵における制御のように、微生物反応の効率の低下の予兆を早めに検知して対処する必要のあるプロセスであれば、どのようなプロセスにも本開示の微生物反応の制御システム及び制御方法を適用可能である。また、実施形態2の脱硫塔における制御のように、好ましくない微生物反応が促進されてその微生物反応に起因した指標が悪化する予兆を早めに検知して対処する必要のあるプロセスであれば、どのようなプロセスにも本開示の微生物反応の制御システム及び制御方法を適用可能である。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
[1]一の態様に係る微生物反応の制御システムは、
微生物から産出される酵素による微生物反応の制御システム(10/50)であって、
前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量装置(20/70)と、
前記定量装置(20/70)で定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節装置(30/80)と
を備える。
本開示の微生物反応の制御システムによれば、微生物から産出される酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて微生物反応の状況の変化を検知するので、微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知することができる。
[2]別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[1]の微生物反応の制御システムであって、
前記微生物反応は、少なくともメタンを含むバイオガスが生成されるバイオガス発酵槽(3)において、前記微生物であるメタン生成菌から産出されたメチル補酵素M還元酵素によって原料から前記バイオガスを生成するバイオガス生成反応であり、
前記定量装置(20)は、前記メチル補酵素M還元酵素の遺伝子由来のmRNAを定量する。
このような構成によれば、メタン生成菌から産出されるメチル補酵素M還元酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいてバイオガス生成反応の効率の変化を検知するので、バイオガス生成反応の効率の低下の予兆を早めに検知することができる。
[3]さらに別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[2]の微生物反応の制御システムであって、
前記調節装置(30)は、
前記原料を前記バイオガス発酵槽(3)へ供給するための原料供給装置(31)と
前記バイオガス発酵槽(3)へメタン発酵汚泥を供給するためのメタン発酵汚泥供給装置(32)と、
前記バイオガス発酵槽(3)へ前記メタン生成菌のための栄養剤を供給するための栄養剤供給装置(33)と
の少なくとも1つを含み、
前記調節装置(30)は、前記mRNAの定量結果に基づいて、前記原料と、前記メタン発酵汚泥と、前記栄養剤とのうちの少なくとも1つの供給量を調節する。
このような構成によれば、バイオガス生成反応の効率の低下の予兆を早めに検知して、調節装置がバイオガス生成反応の効率の低下を適切に抑制できる。
[4]さらに別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[2]または[3]のいずれかの微生物反応の制御システムであって、
前記調節装置(30)は、前記バイオガス生成反応の条件ごとに、前記mRNAの定量結果と、前記バイオガスの生成量との関係を機械学習により作成し、作成された前記関係に基づいて、前記バイオガス生成反応の条件ごとに前記範囲を決定する。
温度や原料の性質等のバイオガス生成反応の条件ごとに、mRNAの量についての範囲は異なる。これに対し、上記[4]の構成によれば、バイオガス生成反応の条件ごとに、mRNAの定量結果と、バイオガスの生成量との関係を機械学習により作成し、作成された関係に基づいて、バイオガス生成反応の条件ごとに範囲を決定するので、さらに適切にバイオガス生成反応の効率の低下を抑制できる。
[5]さらに別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[1]の微生物反応の制御システムであって、
前記微生物反応は、脱硫塔(60)において、前記微生物である硫黄酸化細菌から産出された硫黄酸化酵素による硫黄酸化反応であり、
前記定量装置(70)は、前記硫黄酸化酵素の遺伝子由来のmRNAを定量する。
このような構成によれば、硫黄酸化細菌から産出される硫黄酸化酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて硫黄酸化反応の状況の変化を検知するので、脱硫塔内の吸収液のCODの上昇の予兆を早めに検知することができる。
[6]さらに別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[5]の微生物反応の制御システムであって、
前記調節装置(80)は、前記硫黄酸化細菌を死滅させる殺菌剤を前記脱硫塔(60)へ供給するための殺菌剤供給装置(81)を含み、
前記調節装置(80)は、前記mRNAの定量結果に基づいて、前記殺菌剤の供給量を調節する。
このような構成によれば、脱硫塔内の吸収液のCODの上昇の予兆を早めに検知して、調節装置が脱硫塔内の吸収液のCODの上昇を適切に抑制できる。
[7]さらに別の態様に係る微生物反応の制御システムは、[5]または[6]のいずれかの微生物反応の制御システムであって、
前記脱硫塔(60)内のCODを検知するためのCOD検知装置(CODセンサ66)を備え、
前記調節装置(80)は、前記mRNAの定量結果と、前記COD検知装置(66)の検知結果との関係を機械学習により作成し、作成された前記関係に基づいて前記範囲を決定する。
脱硫塔が設けられるプラントごとに、mRNAの量についての範囲は異なる可能性がある。これに対し、上記[7]の構成によれば、mRNAの定量結果と、COD検知装置の検知結果との関係を機械学習により作成し、作成された関係に基づいてmRNAの範囲を決定するので、さらに適切に脱硫塔内の吸収液のCODの上昇を抑制できる。
[8]一の態様に係る微生物反応の制御方法は、
微生物から産出される酵素による微生物反応の制御方法であって、
前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量ステップと、
前記定量ステップで定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節ステップと
を含む。
本開示の微生物反応の制御方法によれば、微生物から産出される酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAの量に基づいて微生物反応の状況の変化を検知するので、微生物反応の状況の変化の予兆を早めに検知することができる。
3 バイオガス発酵槽
10 制御システム
20 定量装置
30 調節装置
31 原料供給装置
32 メタン発酵汚泥供給装置
33 栄養剤供給装置
50 制御システム
60 脱硫塔
66 CODセンサ(COD検知装置)
70 定量装置
80 調節装置
81 殺菌剤供給装置

Claims (8)

  1. 微生物から産出される酵素による微生物反応の制御システムであって、
    前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量装置と、
    前記定量装置で定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節装置と
    を備える微生物反応の制御システム。
  2. 前記微生物反応は、少なくともメタンを含むバイオガスが生成されるバイオガス発酵槽において、前記微生物であるメタン生成菌から産出されたメチル補酵素M還元酵素によって原料から前記バイオガスを生成するバイオガス生成反応であり、
    前記定量装置は、前記メチル補酵素M還元酵素の遺伝子由来のmRNAを定量する、請求項1に記載の微生物反応の制御システム。
  3. 前記調節装置は、
    前記原料を前記バイオガス発酵槽へ供給するための原料供給装置と
    前記バイオガス発酵槽へメタン発酵汚泥を供給するためのメタン発酵汚泥供給装置と、
    前記バイオガス発酵槽へ前記メタン生成菌のための栄養剤を供給するための栄養剤供給装置と
    の少なくとも1つを含み、
    前記調節装置は、前記mRNAの定量結果に基づいて、前記原料と、前記メタン発酵汚泥と、前記栄養剤とのうちの少なくとも1つの供給量を調節する、請求項2に記載の微生物反応の制御システム。
  4. 前記調節装置は、前記バイオガス生成反応の条件ごとに、前記mRNAの定量結果と、前記バイオガスの生成量との関係を機械学習により作成し、作成された前記関係に基づいて、前記バイオガス生成反応の条件ごとに前記範囲を決定する、請求項2または3に記載の微生物反応の制御システム。
  5. 前記微生物反応は、脱硫塔において、前記微生物である硫黄酸化細菌から産出された硫黄酸化酵素による硫黄酸化反応であり、
    前記定量装置は、前記硫黄酸化酵素の遺伝子由来のmRNAを定量する、請求項1に記載の微生物反応の制御システム。
  6. 前記調節装置は、前記硫黄酸化細菌を死滅させる殺菌剤を前記脱硫塔へ供給するための殺菌剤供給装置を含み、
    前記調節装置は、前記mRNAの定量結果に基づいて、前記殺菌剤の供給量を調節する、請求項5に記載の微生物反応の制御システム。
  7. 前記脱硫塔内のCODを検知するためのCOD検知装置を備え、
    前記調節装置は、前記mRNAの定量結果と、前記COD検知装置の検知結果との関係を機械学習により作成し、作成された前記関係に基づいて前記範囲を決定する、請求項5または6に記載の微生物反応の制御システム。
  8. 微生物から産出される酵素による微生物反応の制御方法であって、
    前記酵素のアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするmRNAを定量する定量ステップと、
    前記定量ステップで定量された前記mRNAの量が、設定された範囲から逸脱した場合に、前記mRNAの量が前記範囲内になるように前記微生物反応の条件を調節する調節ステップと
    を含む微生物反応の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024020364A1 (en) * 2022-07-19 2024-01-25 Lanzatech, Inc. Method and system for monitoring and controlling continuous gas fermentation with biomarkers

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