JP2022074260A - 診断支援システム - Google Patents

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Toru Shirakawa
匡啓 後藤
Tadahiro Goto
遼 藤森
Ryo Fujimori
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Abstract

【課題】医療従事者の診断を支援する診断支援システムを提供することを目的とする。【解決手段】電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いた疾患の予測処理を行う予測処理部と,予測した疾患を表示する表示処理部と,を備える診断支援システムであって,表示処理部は,疾患の予測に用いたデータの寄与度を表示する,診断支援システムである。【選択図】 図1

Description

本発明は,医療従事者の診断を支援する診断支援システムに関する。
医師や歯科医師などの医療従事者が患者の疾患に対する診断を行う場合,患者から症状などを聴取した問診の結果や,各種の検査の結果などに基づいて行う。また近時,コンピュータ技術の発達に伴い,医療従事者の診断を支援する各種のコンピュータシステムが注目されている。これらの一例として,非特許文献1および非特許文献2がある。
Ubie株式会社,"AI問診ユビー",[online],インターネット<URL:https://intro.dr-ubie.com/> 株式会社プレシジョン,"診療支援システムCurrent Decision Support",[online],インターネット<URL:https://www.cds.ai/docs>
非特許文献1および非特許文献2に記載のコンピュータシステムは,患者に対して所定の問診や質問を行うことで,患者の疾患を予測するものである。そして,これらのコンピュータシステムを医療従事者が用いた場合であっても,医療従事者は,予測の結果を知ることができるだけであって,どのような根拠によって疾患の予測がなされたのかを知ることができない。
そのため,医療従事者は,いわばブラックボックスのまま,疾患の予測結果を把握しており,その予測結果について,自ら正確性などを判断,検証をすることができない。そして,自らの見立てとの一致または不一致を,根拠に基づいて考察,推論し,診断,検査,治療の臨床の意思決定の洗練に活用するための情報としては不十分であった。
本発明者らは,上記課題に鑑み,医療従事者の診断を支援する診断支援システムを発明した。
第1の発明は,電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いた疾患の予測処理を行う予測処理部と,前記予測した疾患を表示する表示処理部と,を備える診断支援システムであって,前記表示処理部は,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度を表示する,診断支援システムである。
本発明のように構成することで,医療従事者は,疾患の予測に用いたデータの寄与度を認識することができる。そのため,予測された疾患の根拠を把握することができる。また,疾患の予測結果について,自ら正確性などを判断,検証することができ,疾患の予測結果に対する納得感を得ることができる。なお,寄与度とは,数値の変化に対して各データ(要因)がどれだけ影響しているかを表したものであり,好ましくは数値で表されているが,数値に限定するものではない。
上述の発明において,前記表示処理部は,前記予測した疾患におけるプラス方向の寄与度および/またはマイナス方向の寄与度がある前記データを表示する,診断支援システムのように構成することができる。
疾患の予測に寄与したデータについては,プラス方向,マイナス方向の寄与度を表示することで,どのデータが予測に寄与したのかを医療従事者は容易に認識可能となる。そのため,医療従事者が鑑別疾患(対象となる疾患と症状が似ているため,注意深く診察して区別しなければならない疾患)を考えるトリガーにもなり,教育的効果を期待することもできる。
上述の発明において,前記表示処理部は,前記寄与度の表示を,表形式,リスト形式,図形式,グラフ形式のいずれかで行う,診断支援システムのように構成することができる。
寄与度の表示はさまざまな表示形式を取ることができるが,本発明のような形式を取ることが視認性の観点から好ましい。
上述の発明において,前記診断支援システムは,前記電子カルテにおける自由記載欄のデータについて構造化処理を実行する構造化処理部,を備えており,前記予測処理部は,前記自由記載欄のデータを構造化したデータ,バイタルデータ,患者の属性のデータ,検査のデータのうちいずれか一以上を用いて前記予測処理を実行する,診断支援システムのように構成することができる。
電子カルテの自由記載欄には,医療従事者が問診などによって患者から聞き取った内容や,それに基づく自らの所見など,各種の情報がテキストデータとして入力されることとなる。しかし,自由入力されることから,そのままではデータ処理を行うことができない。そこで,構造化処理を実行することで,自由記載欄に入力されたテキストデータを,予測処理に利用可能なデータとすることができる。
上述の発明において,前記表示処理部は,前記電子カルテの自由記載欄と,前記予測した疾患の表示欄と,前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する,診断支援システムのように構成することができる。
医療従事者が視認する表示画面は,本発明のように構成することが好ましい。これによって,電子カルテの自由記載欄への入力と,予測した疾患と,予測に対するデータの寄与度を同時に認識することができる。
上述の発明において,前記表示画面は,前記電子カルテの自由記載欄に入力されたテキストデータを構造化したデータの表示欄をさらに備える,診断支援システムのように構成することができる。
本発明のように,表示画面に,自由記載欄に入力されたテキストデータを構造化したデータの表示欄を設けることで,入力ミスや表記揺れなどがなかったか,構造化処理が適切に行われているかなどを確認することができる。仮に,構造化処理が適切に行われていない場合には,疾患の予測精度にも影響があるため,構造化処理の適切性を確認することで,医療従事者が疾患の予測精度を容易に確認することができる。
上述の発明において,前記予測処理部は,前記電子カルテのデータとしてあらかじめ定めた主訴のデータを含む場合,前記予測した疾患にかかわらず,前記主訴に対応する疾患について,疾患確率,前記データの寄与度を算出する,診断支援システムのように構成することができる。
重大な疾患の見落としは死亡等の重大な結果につながりかねない。そのため,重大な疾患につながる可能性のある主訴があった場合には,予測処理部が予測した疾患にかかわらず,疾患確率,データの寄与度を算出することで,見落としの抑止につなげることができる。
第8の発明は,電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いて予測した疾患の表示欄と,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する表示処理部,を備える診断支援システムである。
本発明のように,予測した疾患と,その予測に用いたデータの寄与度を表示画面に表示することで,医療従事者は,疾患の予測に用いたデータの寄与度を認識することができる。そのため,予測された疾患の根拠を把握することができる。また,疾患の予測結果について,自ら正確性などを判断,検証することができ,疾患の予測結果に対する納得感を得ることができる。
上述の発明において,前記表示処理部は,前記表示画面に,前記電子カルテの自由記載欄と,バイタルデータおよび/または患者の属性データの入力欄とを備えており,前記電子カルテの自由記載欄,または,前記バイタルデータおよび/または患者の属性データの入力欄にデータが入力された後,前記予測した疾患の表示欄に前記入力されたデータを用いて予測した疾患を表示し,前記データの寄与度の表示欄に前記入力されたデータの寄与度を表示する,診断支援システムのように構成することができる。
本発明のように構成することで,リアルタイムでの疾患の予測が可能となり,それによって,臨床情報がどのように疾患の予測に影響しているかが認識可能となる。そして入力ミスなどの防止につながることを期待することができる。
第1の発明の診断支援システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現できる。すなわち,コンピュータを,電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いた疾患の予測処理を行う予測処理部,前記予測した疾患を表示する表示処理部,として機能させる診断支援プログラムであって,前記表示処理部は,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度を表示する,診断支援プログラムである。
第8の発明の診断支援システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現できる。すなわち,コンピュータを,電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いて予測した疾患の表示欄と,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する表示処理部,として機能させる診断支援プログラムである。
本発明の診断支援システムを用いることで,医療従事者は,予測された疾患の根拠を把握することができる。そのため,疾患の予測結果について,自ら正確性などを判断,検証することができ,疾患の予測結果に対する納得感を得ることができる。また,リアルタイムでの予測を行うことで,臨床情報がどのように疾患の予測に影響しているかが認識可能になるので,入力ミスなどの防止につながることを期待することができる。さらに,医療従事者が鑑別疾患を考えるトリガーにもなり,教育的効果を期待することもできる。
本発明の診断支援システムの全体の処理機能の一例を模式的に示すブロック図である。 本発明の診断支援システムが機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示すブロック図である。 本発明の診断支援システムの全体処理の一例を示すフローチャートである。 電子カルテの自由記載欄に入力されたテキストデータと,それに対する構造化処理の結果,得られた構造化データの一例を示す図である。 病名についての表記揺らぎ辞書の一例を示す図である。 薬剤名についての表記揺らぎ辞書の一例を示す図である。 構造化データの一例を示す図である。 表示画面の一例を示す図である。 自由記載欄に主訴として「胸痛」が入力された場合の表示画面の他の一例を示す図である。 自由記載欄に主訴として「背部痛」が入力された場合の表示画面の他の一例を示す図である。 拡張期血圧として「147mmHg」が入力された場合の表示画面の他の一例を示す図である。
本発明の診断支援システム1の全体の処理機能の一例を図1のブロック図に示す。また本発明の診断支援システム1を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を図2に示す。なお,以下の説明では医療従事者が医師の場合であることを例に説明するが,歯科医師などの他の医療従事者の場合であっても同様に実現することができる。
本発明の診断支援システム1は,本発明の処理を実行するコンピュータ(スマートフォンやタブレット型コンピュータなどの可搬型通信端末を含む)であり,主に,医療機関や研究機関(大学,研究所など)などで利用されるコンピュータシステムであることが好ましいが,それに限定するものではない。
診断支援システム1で用いるコンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,ディスプレイ(画面)などの表示装置72と,キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は,その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置70に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は,記憶装置71に記憶した情報をその処理において使用する場合には,該当する情報を当該記憶装置71から読み出し,読み出した情報を適宜,演算装置70における処理に用いる。また,図1の診断支援システム1は一台のコンピュータで実現される場合を示したが,複数のコンピュータに,その機能が分散配置されていてもよい。コンピュータには,サーバやパーソナルコンピュータ,ワークステーションなど各種の情報処理装置が含まれる。また,いわゆるクラウド形式であってもよい。
コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には,表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは,たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが,それに限定するものではない。タッチパネルディスプレイは,そのディスプレイ上で,直接,所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で,表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
本発明における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。また,本発明で説明する処理は一例に過ぎず,その処理プロセスを適宜,変更することが可能である。
また,診断支援システム1は,医療機関や研究機関などで利用するほかのコンピュータシステム,たとえば電子カルテシステムなどに搭載され,その一部として実現されていてもよい。
診断支援システム1は,対象データ記憶部20と構造化処理部21と予測処理部22と表示処理部23とを有する。
対象データ記憶部20は,後述する予測処理部22で予測処理に用いるデータを記憶する。対象データ記憶部20には,たとえば電子カルテデータ記憶部201,検査データ記憶部202などが含まれていてよいが,それらに限定するものではない。
電子カルテデータ記憶部201は,患者の電子カルテのデータを記憶する。好ましくは患者の属性(氏名,年齢,性別などの患者個人のデータ)のほか,バイタルに関するデータ,電子カルテの自由記載欄に関するデータなどを記憶している。バイタルに関するデータとしては,たとえば拡張期血圧,収縮期血圧,体温,脈拍,呼吸数,SpO(経皮的動脈血酸素飽和度)などが一例としてあげられるが,それらに限定されるものではない。また,患者の属性としては,氏名,年齢,性別などが一例としてあげられる。電子カルテのデータとしては,さらに,たとえばJTAS(Japan Triage and Acuity Scale:緊急度)を記憶していてもよい。
電子カルテの自由記載欄には医療従事者が患者から聞き取った内容が,たとえばテキストデータなどで自由入力される。
また,電子カルテデータ記憶部201には,看護師が記録する看護記録のデータを記憶していてもよい。電子カルテデータ記憶部201には,後述する構造化処理部21において電子カルテの医師の自由記載欄を構造化したデータを,当該患者の電子カルテのデータ,好ましくは自由記載欄のデータに対応づけて記憶していてもよい。
検査データ記憶部202は,患者の各種検査のデータを記憶する。検査データとしては,たとえば血液検査,心電図検査,超音波検査,カテーテル検査,遺伝子検査などの各種の検査結果が含まれる。またレントゲン検査,CT検査,MRI検査などの画像データが記憶されていてもよい。さらに,聴診器で集音した音データ,臓器などの音データが記憶されていてもよい。加えて,遺伝子検査における遺伝子データが記憶されていてもよい。
なお,対象データ記憶部20に記憶されるデータとしては,電子カルテデータ記憶部201に記憶されている医療機関で管理している電子カルテのデータ,検査データ記憶部202のほか,当該医療機関の外部(自治体・企業・公的機関・個人等が利用しているサービスシステムやアプリケーションシステムなど)から取得したデータを記憶していてもよい。たとえば,地域医療連携ネットワークを介して,地域の他の医療機関や自治体,企業などから当該患者の電子カルテのデータや検査データ,健康診査データ,請求データを取得して記憶してもよい。また,医療機関や薬局ごとに記録している個人健康医療介護情報を,他の医療機関や薬局,あるいは患者自身のコンピュータや外部アプリケーションから取得をしてもよい。さらに,救急隊が利用するコンピュータシステムから,救急搬送中の患者のバイタルのデータなどを取得して記憶してもよい。外部のコンピュータからデータを取得する場合には,図示しないデータ取得部を介して対象データ記憶部20に記憶する。
構造化処理部21は,対象データ記憶部20に記憶するデータのうち,構造化されていないデータを構造化する。
たとえば電子カルテデータ記憶部201に記憶する電子カルテに記録されるデータとしては,大別して,「自由記載欄」のデータと「オーダリング」のデータとがある。「自由記載欄」のデータとは,医師が患者を診察した際のデータであって,一般的には患者から聴取した主訴,現病歴,既往歴,内服薬などのほか,臨床病名,所見,経過などのデータが含まれる。主訴とは患者による症状の訴えであり,現病歴とは,主訴がいつからどのように始まり,どのような経過をとってきたのか,などを示すデータであり,主訴に付随するデータである。既往歴とは患者の過去の病歴であり,内服薬は患者が日頃から服用している薬剤を示すデータである。また臨床病名とは,医師が患者の病状に対して最適と想起して自由記載欄に記録した病名または患者の病名を正確に反映した病名である。所見とは,患者を診療した医師による見解を示すデータであり,経過とは患者に対してどのような実施処置や処方をしたかを示すデータである。
電子カルテに記録される「オーダリング」のデータとは,保険病名,医師が看護師や薬剤師などに対して行う,患者に対する処置や検査,処方する薬剤などの指示内容のデータであり,いわゆるレセプトのデータと同じ意義を有するデータである。この患者に対する処置や検査が実施処置であり,処方する薬剤のデータが実施処方である。そして保険病名とは,保険診療を行うために,患者に対して便宜的に付した病名である。保険病名は,必ずしも臨床病名とは一致しておらず,かけ離れていることも多い。そのため,保険病名だけからではその患者の実際の病名(臨床病名)は,医師であっても正確に特定できないことが多い。
電子カルテには臨床的に重要な情報を含む「自由記載欄」のデータと,保険請求の観点から重要な「オーダリング」のデータとがあるが,「自由記載欄」のデータは医師の自由入力によって記録されるため,そのデータは構造化されていない。たとえばテキスト入力によって,自由な文章などが自由な表現形態などによって入力される。
構造化処理部21は,対象データ記憶部20に記憶するデータ,たとえば電子カルテの「自由記載欄」に記録されたテキストデータについて,係り受け解析,文脈解析などの自然言語解析処理や,辞書情報(図示せず)などを参照して,自由入力されたテキストデータを構造化し,構造化データとする。構造化データは,当該患者の電子カルテの自由記載欄に対応づけて電子カルテデータ記憶部201に記憶させてもよい。構造化処理部21におけるテキストデータの構造化処理にはさまざまな技術を用いることができ,その限定はない。
また構造化処理部21は,辞書情報を参照して,表記揺らぎ処理を実行してもよい。表記揺らぎ処理とは,同一の事象に対して複数の表記がある場合,それを標準的な表記に統一する処理である。
自然言語解析処理に用いるコンピュータシステムとしては,たとえばマイクロソフト社が提供するMircosoft AzureのLUIS(Language Understanding)を用いることができるが,それに限定するものではない。
テキストデータの構造化とは,自由入力されたテキストデータに基づいて,あらかじめ定められた情報種別ごとにその内容を標準化された形にすることである。たとえばテーブル形式で保持される。テキストデータを構造化する一つの処理としては,次のような処理がある。
電子カルテデータ記憶部201の電子カルテの「自由記載欄」に記録されたテキストデータに基づいて,文,文節,段落などの所定のテキストデータの単位に付与されたタグを,辞書情報の参照や,文脈解析などの自然言語解析処理を用いて,標準化タグ付きのテキストデータ(情報種別ごとのテキストデータの分類)に分割をする。それぞれの情報種別で抽出すべき対象データが,医学用語の辞書を記憶した医学用語辞書で定められているので,それぞれの情報種別のテキストデータにおいて,辞書情報の医学用語辞書を参照して,あらかじめ定められた抽出すべき対象データを抽出する。そして,抽出した対象データの前後所定範囲内,たとえば前後15文字以内に「関連性の高い情報」(以下,「関連データ」という)があるか探索し,ある場合にはそれらを後述する症状や病名に対する陽性陰性表現や付加情報(備考欄)として抽出し,対応づけて構造化データとして標準化したテーブルに格納する。
たとえば,情報種別として「現病歴」,「既往歴」,「内服薬」,「身体所見」,「来院後経過」などがあり,それらに対応する対象データとして,情報種別「現病歴」には「症状」,情報種別「既往歴」には既往歴としての「病名」,情報種別「内服薬」には「薬剤名」,情報種別「来院後経過」には診断名としての「病名」などがある。そして情報種別の対象データごとに,どのような関連データを抽出するかをあらかじめ対応づけて記憶している。なお,関連データについては任意に設定することができ,たとえば上述のLUISを用いて,自動的に,情報種別の対象データごとに,関連データを抽出してもよい。そして,情報種別ごとにテーブルが生成され,このテーブルには,対象データと関連データとが格納される。たとえば情報種別「現病歴」のテーブルには,「症状」とそれに対する陽性陰性表現が対応づけて格納される。どのような情報種別を設けるか,その情報種別に対して対象データ,関連データをどのように設定するかは,任意に設定することができるが,一般的な医師,看護師の記録ではある程度統一された情報種別セットが存在する。
構造化処理部21において以上のような処理を行うことで,自由記載欄などに入力されたテキストデータについて,構造化することができる。なお,自由記載欄を構造化する処理については上述の処理に限定するものではない。
構造化処理部21は,電子カルテデータ記憶部201の電子カルテの「自由記載欄」のテキストデータにおいて,辞書情報における医学用語辞書の医学用語の参照,辞書情報のタグパターンの辞書に記憶する情報種別を示すタグの参照,「自由記載欄」に入力されたテキストデータに対する文脈解析などの自然言語解析処理によって情報種別があることを検出すると,その情報種別に対応するテーブル,たとえば情報種別「現病歴」のテーブル,情報種別「既往歴」のテーブル,情報種別「内服薬」のテーブル,情報種別「身体所見」のテーブル,情報種別「来院後経過」のテーブルがすでに生成されているか否かを判定する。そして,検出した情報種別に対応するテーブルが生成されていない場合には,そのテーブルを生成する。また情報種別のテキストデータごとに自然言語解析処理や,辞書情報における医学用語辞書を参照して対象データを抽出し,対象データに基づいて関連データを探索し,抽出する。そして,生成した情報種別のテーブルに対象データと関連データとを振り分けて格納する。
一方,検出した情報種別に対応するテーブルがすでにある場合には,情報種別のテキストデータごとに自然言語解析処理や,辞書情報における医学用語辞書を参照して対象データを抽出し,対象データに基づいて関連データを探索して抽出する。そして,検出した情報種別に対応するテーブルに,抽出した対象データと関連データとを振り分けて格納する。情報種別に対応するテーブルの有無は,情報種別とテーブルとの対応関係をあらかじめ設定しておき,その対応関係に基づいて,テーブルが生成されているか否かを判定することができる。
検出した対象データや関連データについて,辞書情報を参照し,その対象データや関連データが症状名,病名,薬剤名を示す表現の有無を判定し,これらのいずれかである場合には,辞書情報で一致する文字列を特定し,検出した対象データや関連データを,辞書情報であらかじめ定めた標準的な表記や標準的なコードを追加または変更し,その表記を統一する処理を実行してもよい。
たとえば情報種別「現病歴」のテキストデータに対して自然言語解析処理技術を用いて対象データとして「頭が痛い」を検出した場合,辞書情報を参照し,標準的な症状名として「頭痛」に変更するとともに,その陽性陰性表現として「+」であることを判定し,情報種別「現病歴」のテーブルに「頭痛」,「+」を対応づけて格納する。同様に,情報種別「内服薬」のテキストデータに対して自然言語解析処理技術を用いて対象データとして「アスピリン」,「スタチン」を検出した場合,辞書情報を参照し,標準的な薬剤名として「バイアスピリン」,「スタチン」とし,またそれらのコード(薬効分類コード)を追加して,情報種別「内服薬」のテーブルに対応づけて格納する。
構造化処理部21は,上述のように「自由記載欄」に記録されたテキストデータから抽出した各情報種別における対象データや関連データを標準的な表記に変更し,またコードを追加して,それぞれの情報種別のテーブルに振り分けて格納する。
たとえば電子カルテの自由記載欄に,図4(a)のようにテキストデータが入力された場合には,構造化処理部21は,情報種別を示すタグとして「S:」で情報種別「現病歴」を,「内服:」で情報種別「内服薬」を,「O:」で情報種別「身体所見」を,「A/P:」で情報種別「来院後経過」を検出する。また,「心筋梗塞でカテーテル治療後。」のテキストデータに対する文脈解析により,情報種別「既往歴」を検出する。そして検出した情報種別から次の情報種別までの間のテキストデータを,最初に検出した情報種別のテキストデータとして切り出す(物理的に切り出すほか,処理対象として特定する場合も含む)。すなわち,「S:」の検出によって情報種別「現病歴」を検出し,「心筋梗塞でカテーテル治療後。」のテキストデータに対する文脈解析により,情報種別「既往歴」を検出する。そして,情報種別「現病歴」と情報種別「既往歴」との間にあるテキストデータを,情報種別「現病歴」に対応するテキストデータとして分割をする。情報種別ごとにテキストデータを切り出した状態を模式的に示すのが図4(b)である。
なお,情報種別を示すタグについては,上述のほか,たとえば「現病歴」を「♯」で表記をするなど,任意の文字列,記号などを用いてもよい。
分割した情報種別「現病歴」に対応するテキストデータから自然言語解析処理や辞書情報における医学用語辞書を参照して,対象データを抽出する。対象データは情報種別ごとに対応づけられているので,たとえば情報種別「現病歴」における対象データ「症状」を抽出する。この際に,具体的なテキストデータとして「症状」が含まれているか否かではなく,「症状」に相当する医学用語があるかを,辞書情報における医学用語辞書を参照して抽出する。そして抽出した対象データ「症状」から所定範囲内にある陽性陰性表現を抽出する。そして,抽出した「症状」に陽性陰性表現を対応づけてテーブルに格納する。
このように分割した情報種別ごとに対象データを振り分けて,構造化情報としてテーブルに格納することで,図4(c)のように情報種別ごとのテーブルができる。
構造化処理部21における処理は,上述の処理に限定されるのではなく,さまざまな自然言語解析処理によって実現できる。たとえば,中間層が多数の層からなるニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数が最適化された学習モデルを参照して機械学習を実行する深層学習(ディープラーニング)による自然言語解析処理を用いてもよい。この場合,学習モデルに対して,電子カルテデータ記憶部201の電子カルテの「自由記載欄」に記録されたテキストデータを入力し,その出力値として構造化データを出力してもよい。学習モデルとしては,電子カルテの「自由記載欄」のテキストデータを入力値とし,それに対する構造化データを正解データとして与えたものを用いることができる。
また深層学習や機械学習を用いたAI(人工知能)あるいはそれらを用いないAIにより自然言語解析処理を実行してもよい。またSVM(support vector machine)などの機械学習であってもよい。
上述の辞書情報は,症状名,病名,薬剤名などの表記の揺らぎを判定するための表記揺らぎ辞書,否定表現や曖昧表現などのパターンテーブルの辞書,電子カルテや看護記録などの診断支援システム1の目的に応じた,頻出する略語や特異的なタグパターンの辞書(たとえば「主訴:」,「A/P」など),医学用語などの医学用語辞書などを記憶する。医学用語辞書には,対象データとする医学用語,対象データとした医学用語に対応する関連データを抽出する条件や表現,表記を記憶していてもよい。
とくに,構造化処理部21は,辞書情報における医学用語辞書を参照することで,構造化データとする対象データを抽出する。医学用語辞書は,標準的な医学用語を記憶する辞書であり,さらに,その周囲の関連性の高いテキストデータを抽出するので,構造化して抽出されるデータには,たとえば医療機関のスタッフ同士の情報共有目的での患者属性情報などの,明らかに非医学的情報記載が含まれないこととなる。
症状名,病名,薬剤名についての表記揺らぎ辞書としては,たとえば症状名,病名,薬剤名に対する標準表記,コード,表記パターンを記憶する。図5では,病名についての表記揺らぎ辞書の一例を示しており,標準病名,ICDコード(国際標準コード),病名変換コード(国内汎用カルテコード),表記パターンを対応づけて記憶している場合を示している。また,図6では,薬剤名についての表記揺らぎ辞書の一例を示しており,標準薬剤名,一般名,薬効分類コード,表記パターンを対応づけて記憶している場合を示している。
辞書情報は,上記に限定するものではなく,テキストデータに基づいて構造化処理を実行するために必要な辞書を適宜備えればよい。
構造化処理部21で構造化したデータの一例を図7に示す。構造化されたデータは,テーブル形式で記憶されていることが好ましいが,それに限定するものではない。またデータベースで記憶していてもよいし,それ以外の記憶形式であってもよい。図7(a)は標準症状名とその有無を示す構造化データであり,図7(b)は標準化既往歴名とそれに対応する情報(備考)を示す構造化データであり,図7(c)は標準化情報薬名とそれに対応する薬効分類コードを示す構造化データであり,図7(d)は標準化診断名とそれに対応する情報(備考)を示す構造化データである。
なお,上述の構造化処理部21における構造化処理では,情報種別として「主訴」が含まれていないが,情報種別「主訴」が含まれていてもよい。その場合,ほかの情報種別の場合の処理と同様,情報種別「主訴」に対応するタグ,たとえば「#」が設定されており,ほかの情報種別と同様の処理を実行することで,主訴に関するテキストデータを構造化データにすることができる。
予測処理部22は,構造化処理部21で構造化処理されたデータを用いて,あらかじめ有している機械学習モデル,数理モデルに入力し,疾患の予測処理(解析処理)を行う。この予測処理は,たとえば電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータ,たとえば主訴やバイタルなどのデータ,検査データ記憶部202に記憶されたデータ(検査による画像データ,音データを含む)など,各種のデータ(パラメータ)を用いて予測処理を実行することで,疾患を予測する。この予測処理としては,たとえば,中間層が多数の層からなるニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数が最適化された学習モデルを参照して機械学習を実行する深層学習(ディープラーニング)による予測処理を用いてもよい。この場合,学習モデルに対して,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータ,たとえば主訴,症状,既往歴,内服薬,身体所見,来院後経過などのデータ,バイタルなどのデータ,検査データ記憶部202に記憶された検査データなど,各種のデータ(要因)を入力値として入力し,その出力値として疾患(疾患名などの疾患を識別する情報)を出力してもよい。学習モデルとしては,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータ,バイタルなどのデータ,検査データ記憶部202に記憶された検査データなどを入力値とし,それに対する疾患を正解データとして与えたものを用いることができる。
予測処理部22における予測処理は,たとえばGradiant Boost Modelと呼ばれる機械学習モデルを利用することができるが,そのほかにもロジスティック回帰,Random Forestなどの機械学習モデルを利用することもできる。
予測処理部22では,電子カルテデータに入力されたデータ,たとえば電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータのうち主訴,バイタル,JTAS,性別,年齢などの属性データ,検査データ記憶部202に記憶した検査データなどを抽出し,それらのデータを入力値として,たとえばGradiant Boost Modelなどの機械学習モデルに入力する。予測処理部22における機械学習モデルでは,上記入力値に基づいて所定の予測処理を実行し,出力値として疾患(疾患名)とその疾患に対する所定の数値(当該疾患の確率を出力するためのシグモイド関数などの関数の引数となる数値)を出力する。なお,出力値として出力される疾患はもっとも疾患確率の高い疾患一つであってもよいし,疾患確率の高い疾患から上位数,あるいは疾患確率が所定の閾値以上の疾患を複数出力してもよい。
また予測処理部22では,当該出力値とした疾患(予測した疾患)の出力に際して,入力したデータ(要因)およびその入力値の寄与度(プラス方向および/またはマイナス方向)を,公知の方法,たとえばScott M. LundbergとSu-In Leeによる論文「A Unified Approach to Interpreting Model Predictions」(https://arxiv.org/abs/1705.07874)に開示されている方法などを用いて計算をする。たとえば,拡張期血圧,収縮期血圧,体温,脈拍,呼吸数,SpO,JTAS,性別,年齢,主訴の各データ(要因)が入力値として入力された結果,予測処理部22における機械学習モデルでは,疾患として「大動脈解離」を予測した場合,「大動脈解離」と予測したことに対して,拡張期血圧,収縮期血圧,体温,脈拍,呼吸数,SpO,JTAS,性別,年齢,主訴の各データ(要因)がプラス方向,マイナス方向にそれぞれどれだけ寄与したかの寄与度を計算する。なお,このような手法により計算された寄与度の数値は,医療従事者,とくに臨床医になじみのあるロジスティック回帰の係数と互換性があり,医療従事者にも理解しやすいものとなる。
出力値として出力される疾患が複数ある場合には,各疾患について上述の処理を実行してもよいし,もっとも疾患確率の高い疾患について上述の処理を実行してもよい。
予測処理部22は,以上のように予測した疾患に対する入力したデータ(要因)およびその入力値の寄与度をプラス方向,マイナス方向のそれぞれについて降順にソートする。
表示処理部23は,予測処理部22における予測した疾患およびその確率,予測した疾患に対する入力したデータ(要因)および入力値の寄与度を,コンピュータの表示装置72に表示させる。この表示画面100の一例を図8に示す。図8は,本発明の診断支援システム1と電子カルテシステムとが一体化したシステムの場合の表示画面100の一例である。図8の表示画面100では電子カルテの自由記載欄101と,バイタルデータ,属性データなどの入力欄102と,電子カルテの自由記載欄101に入力されたデータを構造化処理部21で構造化したデータの表示欄103(構造化したすべてのデータまたは一部のデータを表示するのでもよい)と,予測処理部22における予測した疾患とその確率の表示欄104と,予測した疾患に対する入力したデータ(要因)および入力値の寄与度の表示欄105とを備えている。
予測した疾患に対する入力したデータ(要因)および入力値の寄与度の表示欄105は,それぞれ,プラス方向またはマイナス方向の寄与度の大きいものから降順にソートされ,所定の形式,たとえば表形式,リスト形式,図形式またはグラフ形式して表示される。図8では,プラス方向を赤色,マイナス方向を青色とし,「大動脈解離」の予測にプラス方向,マイナス方向に寄与度が大きかったデータ(要因)およびその入力値がバー形式で表示されている。図8では,プラス方向に寄与したデータ(要因)として呼吸数(rr),年齢(age)があり,マイナス方向に寄与したデータ(要因)として収縮期血圧(dbp),拡張期血圧(sbp),JTAS(JTAS),体温(bt)があることを示している。
図8では,表示処理部23が予測した疾患に対する入力したデータ(要因)および入力値の寄与度を,バー形式(棒グラフ)に表示している場合を示しているが,任意の表,リスト,図またはグラフで表示をすることができる。たとえば円グラフで表示をしてもよい。予測した疾患に対する入力したデータ(要因)の寄与度は,プラス方向およびマイナス方向の双方を表示することが好ましいが,いずれか一方のみであってもよい。
図8は電子カルテシステムと,本発明の診断支援システム1とが一体化したシステムの場合の表示画面100の場合を示したが,これらは別々の画面として表示されていてもよい。
構造化処理部21における構造化処理,予測処理部22における予測処理,表示処理部23における表示処理は,任意のタイミングで処理を実行すればよい。たとえば,電子カルテの自由記載欄101にテキストデータが入力されて所定の操作,たとえばリターンキーの押下がされる,改行されるなどの任意のタイミング,バイタルや属性データの入力欄102にデータが入力される,所定のボタンが押下されるなどの任意のタイミングで構造化処理部21における構造化処理が実行され,それに伴い,予測処理部22における予測処理,表示処理部23における表示処理が行われることが好ましい。
つぎに本発明の診断支援システム1の処理プロセスの一例を図3のフローチャートを用いて説明する。
医師は,所定の操作を行うことで,本発明の診断支援システム1を起動する。そして,患者に対して問診や所定のバイタルデータのチェックなどを行うことで取得したデータを,表示画面100の対応する入力欄101,102に逐次,入力を行う(S100)。
たとえば,バイタルデータとして,表示画面100の入力欄102に,拡張期血圧「120mmHg」,収縮期血圧「80mmHg」,体温「36.5℃」,脈拍「80bpm」,呼吸数「14回」,SpO「100%」,JTAS「0」,性別「女」,年齢「75才」が入力され,また,電子カルテの自由記載欄101に主訴として「#嘔吐」が記載されたとする。なお,「#」は情報種別「主訴」を識別するためのタグであったとする。
このように入力されたデータは,逐次,電子カルテデータ記憶部201,検査データ記憶部202などに記憶される。なおデータの入力は,検査機器などから自動的に入力されてもよい。また表示画面100の自由記載欄101,入力欄102に対する入力は,音声などによって入力されてもよい。
構造化処理部21は,電子カルテの自由記載欄101に入力されたテキストデータ「#嘔吐」に対して構造化処理を実行し(S110),構造化したデータにする。たとえば「主訴」として「嘔吐」を構造化したデータとして電子カルテデータ記憶部201に記憶させる。なお,構造化したデータ,情報種別「主訴」に対応づけられた「嘔吐」は,表示欄103に逐次,表示される。
そして,予測処理部22は,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータを抽出し(S120),それらを入力値として予測処理部22における予測処理を実行する(S130)。
ここでは,主訴として「嘔吐」,拡張期血圧「120mmHg」,収縮期血圧「80mmHg」,体温「36.5℃」,脈拍「80bpm」,呼吸数「14回」,SpO「100%」,JTAS「0」,性別「女」,年齢「75才」の各データが入力値として予測処理部22における機械学習モデルに入力される。そして,予測処理部22は,出力値として「大動脈解離」を予測し,その数値「-7.22」も出力する(S130)。この「-7.22」は,シグモイド関数によって疾患確率「0.00073286257」を算出する前の値である。また,予測処理部22は,「大動脈解離」の予測に寄与した各データのプラス方向,マイナス方向を算出し,ソートをする。
表示処理部23は,以上のように予測処理部22において予測した疾患および疾患確率を表示欄104に表示し,また,当該疾患の予測に寄与した各データの寄与度をバー形式で表示欄105に表示させる(S140)。
表示処理部23における表示処理の結果が図8である。
そして,医師が問診において,主訴として嘔吐のほかに,「胸の痛み」を聞いた場合,表示画面100の自由記載欄101には,さらに「#胸痛」が入力される(S100)。これによって,構造化処理部21は,自由記載欄101に新たに入力されたテキストデータ「#胸痛」に対して構造化処理を実行し(S110),構造化したデータとして,電子カルテデータ記憶部201に記憶させる。そして,情報種別「主訴」に対応づけられた「嘔吐」,「胸痛」は,表示欄103に逐次,表示される。
そして,予測処理部22は,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータを抽出し(S120),上述と同様に,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータとして,主訴として「嘔吐」「胸痛」,拡張期血圧「120mmHg」,収縮期血圧「80mmHg」,体温「36.5℃」,脈拍「80bpm」,呼吸数「14回」,SpO「100%」,JTAS「0」,性別「女」,年齢「75才」の各データが入力値として予測処理部22における機械学習モデルに入力される。そして,予測処理部22は,出力値として「大動脈解離」を予測し,その数値「-5.81」も出力する(S130)。この「-5.81」は,シグモイド関数によって疾患確率「0.0029845452」を算出する前の値である。また,予測処理部22は,「大動脈解離」の予測に寄与した各データのプラス方向,マイナス方向を算出し,ソートをする。
表示処理部23は,以上のように予測処理部22において予測した疾患および疾患確率を表示欄104に表示し,また,当該疾患の予測に寄与した各データの寄与度をバー形式で表示欄105に表示させる(S140)。
表示処理部23が表示する表示画面100が図9である。図8と比較すると,大動脈解離の予測に寄与した各データの寄与度が変化していることが理解できる。
また,医師が問診において,主訴としてさらに,「背中の痛み」を聞いた場合,表示画面100の自由記載欄101には,さらに「#背部痛」が入力される(S100)。これによって,構造化処理部21は,自由記載欄101に新たに入力されたテキストデータ「#背部痛」に対して構造化処理を実行し(S110),構造化したデータとして,電子カルテデータ記憶部201に記憶させる。そして,情報種別「主訴」に対応づけられた「嘔吐」,「胸痛」,「背部痛」は,表示欄103に逐次,表示される。
そして,予測処理部22は,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータを抽出し(S120),上述と同様に,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータとして,主訴として「嘔吐」「胸痛」「背部痛」,拡張期血圧「120mmHg」,収縮期血圧「80mmHg」,体温「36.5℃」,脈拍「80bpm」,呼吸数「14回」,SpO「100%」,JTAS「0」,性別「女」,年齢「75才」の各データが入力値として予測処理部22における機械学習モデルに入力される。そして,予測処理部22は,出力値として「大動脈解離」を予測し,その数値「-3.22」も出力する(S130)。この「-3.22」は,シグモイド関数によって疾患確率「0.038558185」を算出する前の値である。また,予測処理部22は,「大動脈解離」の予測に寄与した各データのプラス方向,マイナス方向を算出し,ソートをする。
表示処理部23は,以上のように予測処理部22において予測した疾患および疾患確率を表示欄104に表示し,また,当該疾患の予測に寄与した各データの寄与度をバー形式で表示欄105に表示させる(S140)。
表示処理部23が表示する表示画面100が図10である。図8および図9と比較すると,大動脈解離の予測に寄与した各データの寄与度が変化していることが理解できる。
さらに,バイタルのデータを取得した結果,拡張期血圧が「147mmHg」であった場合,表示画面100の入力欄102に,拡張期血圧「147mmHg」が入力される(S100)。そしてバイタルのデータは,入力欄102に入力されたデータであるからすでに構造化されているので,構造化処理部21における構造化処理は省略し,予測処理部22における処理が実行される。
そして,予測処理部22は,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータを抽出し(S120),上述と同様に,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータとして,主訴として「嘔吐」「胸痛」「背部痛」,拡張期血圧「147mmHg」,収縮期血圧「80mmHg」,体温「36.5℃」,脈拍「80bpm」,呼吸数「14回」,SpO「100%」,JTAS「0」,性別「女」,年齢「75才」の各データが入力値として予測処理部22における機械学習モデルに入力される。そして,予測処理部22は,出力値として「大動脈解離」を予測し,その数値「-1.77」も出力する(S140)。この「-1.77」は,シグモイド関数によって疾患確率「0.14507382」を算出する前の値である。また,予測処理部22は,「大動脈解離」の予測に寄与した各データのプラス方向,マイナス方向を算出し,ソートをする。
表示処理部23は,以上のように予測処理部22において予測した疾患および疾患確率を表示欄104に表示し,また,当該疾患の予測に寄与した各データの寄与度をバー形式で表示欄105に表示させる(S140)。
表示処理部23が表示する表示画面100が図11である。図8乃至図10と比較すると,大動脈解離の予測に寄与した各データの寄与度が変化していることが理解できる。また,大動脈解離であることを確率が高まっており,主訴のうち「胸痛」,「背部痛」,年齢,呼吸数,拡張期血圧のデータ(要因)が大動脈解離の予測にプラス方向に寄与していることがわかる。一方,収縮期血圧,体温のデータ(要因)は大動脈解離の予測にマイナス方向に寄与していることがわかる。
以上のように,医師が,電子カルテの自由記載欄,バイタルのデータ,検査結果などのデータを入力するたびに疾患が予測され,またその予測に寄与したデータ(要因)を把握することが可能となる。そのため,医師は,予測された疾患の根拠を把握することができる。また疾患の予測結果について,自ら,正確性などを判断,検証することができ,疾患の予測結果に対する納得感を得ることができる。また,リアルタイムでの予測を行うことで,臨床情報がどのように疾患の予測に影響しているかがわかるので,入力ミスなどの防止につながることを期待することができる。さらに,医療従事者が鑑別疾患を考えるトリガーにもなり,教育的効果を期待することもできる。
実施例1では,予測処理部22は,もっとも疾患確率の高い疾患を表示欄104に,当該疾患の予測に寄与した各データの寄与度を表示欄105に表示していたが,疾患確率の高い疾患を順に所定数,あるいは所定の閾値以上の疾患確率の疾患を順に表示欄104に表示してもよい。また,それに応じて,各データの寄与度を疾患ごとに表示欄105に表示してもよい。この場合,表示欄104と表示欄105が一体化して,疾患名と寄与度が一群として表示されていてもよい。
また,構造化処理部21で構造化処理したデータのうち,主訴として,あらかじめ定めた主訴が電子カルテデータ記憶部201に記憶された場合には,予測処理部22は,その主訴に対応する疾患について,疾患確率やその寄与度を常に算出していてもよい。たとえば,情報種別「主訴」について「胸痛」が構造化したデータとして電子カルテデータ記憶部201に記憶された場合,予測処理部22は,入力したデータ(要因)および入力値による予測処理の出力値にかかわらず,「大動脈解離」,「心筋梗塞」の2つの疾患について疾患確率および入力したデータ(要因)および入力値の寄与度の算出処理を行ってもよい。たとえば,情報種別「主訴」について「胸痛」が含まれた場合,予測処理部22の予測処理の結果,最も高い疾患確率を有する疾患(出力値として出力される疾患)が「気胸」であったとしても,「大動脈解離」,「心筋梗塞」については疾患確率と,入力したデータ(要因)および入力値の寄与度を算出していてもよい。そして,「気胸」のほかに,「大動脈解離」,「心筋梗塞」の疾患および疾患確率を表示欄104に,寄与度を表示欄105に表示してもよい。これによって,ある主訴に対する重要な疾患について,疾患確率と,寄与度の変化を医師が常に認識することができる。
予測処理部22における予測処理としては,機械学習モデル,数理モデルによる予測処理を実行するサーバに,予測処理部22が,電子カルテデータ記憶部201に記憶する構造化処理されたデータ,検査データ記憶部202に記憶された検査データを入力値として送り,当該サーバにおいて機械学習モデル,数理モデルによる予測処理を実行させ,その出力値として疾患,疾患の確率,予測した疾患に対する入力したデータ(要因)およびその入力値の寄与度を当該サーバから受け付ける場合も含まれる。また受け付けた疾患,疾患の確率,予測した疾患に対する入力したデータ(要因)およびその入力値の寄与度は,表示処理部23が表示する。
なお,本明細書では,主として疾患が「大動脈解離」の場合を説明したが,ほかの疾患であっても同様に処理ができることは当然である。
本発明の診断支援システム1を用いることで,医療従事者は,予測された疾患の根拠を把握することができる。そのため,疾患の予測結果について,自ら正確性などを判断,検証することができ,疾患の予測結果に対する納得感を得ることができる。また,リアルタイムでの予測を行うことで,臨床情報がどのように疾患の予測に影響しているかがわかるので,入力ミスなどの防止につながることを期待することができる。さらに,医療従事者が鑑別疾患(対象となる疾患と症状が似ているため,注意深く診察して区別しなければならない疾患)を考えるトリガーにもなり,教育的効果を期待することもできる。
1:診断支援システム
20:対象データ記憶部
21:構造化処理部
22:予測処理部
23:表示処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
100:表示画面
101:電子カルテの自由記載欄
102:バイタルデータ,属性データなどの入力欄
103:構造化したデータの表示欄
104:予測した疾患とその確率の表示欄
105:予測した疾患に対する入力したデータ(要因)および入力値の寄与度の表示欄
201:電子カルテデータ記憶部
202:検査データ記憶部

Claims (11)

  1. 電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いた疾患の予測処理を行う予測処理部と,
    前記予測した疾患を表示する表示処理部と,を備える診断支援システムであって,
    前記表示処理部は,
    前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度を表示する,
    ことを特徴とする診断支援システム。
  2. 前記表示処理部は,
    前記予測した疾患におけるプラス方向の寄与度および/またはマイナス方向の寄与度がある前記データを表示する,
    ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援システム。
  3. 前記表示処理部は,
    前記寄与度の表示を,表形式,リスト形式,図形式,グラフ形式のいずれかで行う,
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の診断支援システム。
  4. 前記診断支援システムは,
    前記電子カルテにおける自由記載欄のデータについて構造化処理を実行する構造化処理部,を備えており,
    前記予測処理部は,
    前記自由記載欄のデータを構造化したデータ,バイタルデータ,患者の属性のデータ,検査のデータのうちいずれか一以上を用いて前記予測処理を実行する,
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の診断支援システム。
  5. 前記表示処理部は,
    前記電子カルテの自由記載欄と,前記予測した疾患の表示欄と,前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する,
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の診断支援システム。
  6. 前記表示画面は,
    前記電子カルテの自由記載欄に入力されたテキストデータを構造化したデータの表示欄をさらに備える,
    ことを特徴とする請求項5に記載の診断支援システム。
  7. 前記予測処理部は,
    前記電子カルテのデータとしてあらかじめ定めた主訴のデータを含む場合,前記予測した疾患にかかわらず,前記主訴に対応する疾患について,疾患確率,前記データの寄与度を算出する,
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の診断支援システム。
  8. 電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いて予測した疾患の表示欄と,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する表示処理部,
    を備えることを特徴とする診断支援システム。
  9. 前記表示処理部は,
    前記表示画面に,前記電子カルテの自由記載欄と,バイタルデータおよび/または患者の属性データの入力欄とを備えており,
    前記電子カルテの自由記載欄,または,前記バイタルデータおよび/または患者の属性データの入力欄にデータが入力された後,前記予測した疾患の表示欄に前記入力されたデータを用いて予測した疾患を表示し,前記データの寄与度の表示欄に前記入力されたデータの寄与度を表示する,
    ことを特徴とする請求項8に記載の診断支援システム。
  10. コンピュータを,
    電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いた疾患の予測処理を行う予測処理部,
    前記予測した疾患を表示する表示処理部,として機能させる診断支援プログラムであって,
    前記表示処理部は,
    前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度を表示する,
    ことを特徴とする診断支援プログラム。
  11. コンピュータを,
    電子カルテのデータおよび/または検査のデータを用いて予測した疾患の表示欄と,前記疾患の予測に用いた前記データの寄与度の表示欄と,を備えた表示画面を表示する表示処理部,
    として機能させることを特徴とする診断支援プログラム。
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