JP2022070539A - 空燃比センサの故障検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空燃比センサの故障モードとして固体電解質層のクラックを検出する。【解決手段】空燃比センサ10の故障検出装置1は、センサ素子11に電圧を印加する電圧印加回路3と、センサ素子の出力電流を検出する電流検出回路4と、電圧印加回路からセンサ素子に印加される電圧を制御する電圧制御部5と、空燃比センサの故障を検出する故障判定部6とを備える。故障判定部は、第1運転状態において電圧制御部によってセンサ素子に負電圧が印加されているときに電流検出回路によって検出された第1電流値と、第2運転状態において電圧制御部によってセンサ素子に負電圧が印加されているときに電流検出回路によって検出された第2電流値とを取得し、第2電流値の絶対値が第1電流値の絶対値よりも大きく且つ第2電流値の絶対値と第1電流値の絶対値との差又は比率が所定値以上である場合には、固体電解質層12にクラックが生じていると判定する。【選択図】図7

Description

本発明は空燃比センサの故障検出装置に関する。
従来、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサを内燃機関の排気通路に配置し、空燃比検出センサの出力に基づいて混合気の空燃比をフィードバック制御することが知られている。斯かるフィードバック制御によって排気ガスの空燃比を適切な値に制御することができ、排気エミッションを低減することができる。
しかしながら、空燃比センサに素子割れのような故障が生じると、空燃比の検出精度が悪化し、排気エミッションが悪化するおそれがある。これに対して、特許文献1には、異なる内燃機関の運転条件下で空燃比センサに逆電圧が印加されたときに検出される空燃比センサの出力電流に基づいて、空燃比センサの外部と空燃比センサの大気室とを貫通するクラックの発生を検出することが記載されている。
特開2007-232709号公報
しかしながら、空燃比センサにおいて、特許文献1に記載されるようなクラックとは別に、固体電解質層のクラックが生じる場合がある。これらの異なる故障モードが発生した空燃比センサは異なる出力異常を呈するが、特許文献1は固体電解質層のクラックを検出するための手法について何ら言及していない。
そこで、本発明の目的は、空燃比センサの故障モードとして固体電解質層のクラックを検出することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、内燃機関の排気通路を流れる排気ガスに曝されるように前記固体電解質層の一方の側面上に配置された排気側電極と、大気に曝されるように前記固体電解質層の他方の側面上に配置された大気側電極とを有するセンサ素子を備える空燃比センサの故障を検出する、空燃比センサの故障検出装置であって、前記センサ素子に電圧を印加する電圧印加回路と、前記センサ素子の出力電流を検出する電流検出回路と、前記電圧印加回路から前記センサ素子に印加される電圧を制御する電圧制御部と、前記空燃比センサの故障を検出する故障判定部とを備え、前記電圧制御部は、前記内燃機関の第1運転状態及び該第1運転状態よりも高負荷の第2運転状態において、前記排気側電極の電位が前記大気側電極の電位よりも高くなるように前記センサ素子に負電圧を印加し、前記故障判定部は、前記第1運転状態において前記センサ素子に前記負電圧が印加されているときに前記電流検出回路によって検出された第1電流値と、前記第2運転状態において前記センサ素子に前記負電圧が印加されているときに前記電流検出回路によって検出された第2電流値とを取得し、該第2電流値の絶対値が該第1電流値の絶対値よりも大きく且つ該第2電流値の絶対値と該第1電流値の絶対値との差又は比率が所定値以上である場合には、前記固体電解質層にクラックが生じていると判定する、空燃比センサの故障検出装置が提供される。
本発明によれば、空燃比センサの故障モードとして固体電解質層のクラックを検出することができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る空燃比センサの故障検出装置が適用される内燃機関等を概略的に示す図である。 図2は、図1の空燃比センサの部分断面図である。 図3は、センサ素子に正電圧が印加されたときの排気ガスの空燃比とセンサ素子の出力電流との関係を示す図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る故障検出装置の構成を概略的に示す図である。 図5は、クラックが生じた空燃比センサの部分断面図である。 図6は、第1不透過層にクラックが生じたときのセンサ素子の印加電圧と出力電流との関係を示す図である。 図7は、固体電解質層にクラックが生じたときのセンサ素子の印加電圧と出力電流との関係を示す図である。 図8Aは、本発明の第一実施形態における故障判定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図8Bは、本発明の第一実施形態における故障判定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図8Cは、本発明の第一実施形態における第1電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図8Dは、本発明の第一実施形態における第2電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図9は、本発明の第二実施形態に係る空燃比センサの故障検出装置が適用される内燃機関等を概略的に示す図である。 図10Aは、本発明の第二実施形態における第1電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図10Bは、本発明の第二実施形態における第2電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
最初に、図1~図8Dを参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
<内燃機関全体の説明>
図1は、本発明の第一実施形態に係る空燃比センサの故障検出装置が適用される内燃機関等を概略的に示す図である。図1に示される内燃機関は火花点火式内燃機関である。内燃機関は車両に搭載される。
図1を参照すると、42はシリンダブロック、43はシリンダブロック42内で往復動するピストン、44はシリンダブロック42上に固定されたシリンダヘッド、45はピストン43とシリンダヘッド44との間に形成された燃焼室、46は吸気弁、47は吸気ポート、48は排気弁、49は排気ポートをそれぞれ示す。吸気弁46は吸気ポート47を開閉し、排気弁48は排気ポート49を開閉する。
図1に示したように、シリンダヘッド44の内壁面の中央部には点火プラグ50が配置され、シリンダヘッド44の内壁面周辺部には燃料噴射弁51が配置される。点火プラグ50は、点火信号に応じて火花を発生させるように構成される。また、燃料噴射弁51は、噴射信号に応じて、所定量の燃料を燃焼室45内に噴射する。本実施形態では、燃料として理論空燃比が14.6であるガソリンが用いられる。
各気筒の吸気ポート47はそれぞれ対応する吸気枝管53を介してサージタンク54に連結され、サージタンク54は吸気管55を介してエアクリーナ56に連結される。吸気ポート47、吸気枝管53、サージタンク54、吸気管55等は、空気を燃焼室45に導く吸気通路を形成する。また、吸気管55内には、スロットル弁駆動アクチュエータ57によって駆動されるスロットル弁58が配置される。スロットル弁58は、スロットル弁駆動アクチュエータ57によって回動せしめられることで、吸気通路の開口面積を変更することができる。
一方、各気筒の排気ポート49は排気マニホルド59に連結される。排気マニホルド59は、各排気ポート49に連結される複数の枝部と、これら枝部が集合した集合部とを有する。排気マニホルド59の集合部は、触媒60を内蔵したケーシング61に連結される。ケーシング61は排気管62に連結される。排気ポート49、排気マニホルド59、ケーシング61、排気管62等は、燃焼室45における混合気の燃焼によって生じた排気ガスを排出する排気通路を形成する。触媒60は、例えば、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を同時に浄化可能な三元触媒である。
内燃機関の各種制御は、車両に搭載された電子制御ユニット(ECU)31によって実行される。すなわち、ECU31は内燃機関の制御装置として機能する。ECU31には、内燃機関等に設けられた各種センサの出力が入力され、ECU31は各種センサの出力等に基づいて各種アクチュエータを制御する。
ECU31は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を備える。なお、本実施形態では、一つのECU31が設けられているが、機能毎に複数のECUが設けられていてもよい。
吸気管55には、吸気管55内を流れる空気の流量(吸入空気流量)を検出するエアフロメータ70が配置され、エアフロメータ70の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。したがって、エアフロメータ70の出力はECU31に送信され、ECU31はエアフロメータ70の出力を取得する。
また、触媒60の上流側の排気通路(排気マニホルド59の集合部)には、内燃機関の燃焼室45から排出されて触媒60に流入する排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ10が配置される。空燃比センサ10の詳細については、後述する。
また、内燃機関を搭載した車両には、車速を検出する車速センサ72が設けられる。車速センサ72は例えば車輪の回転数を検出することによって車速を検出する。車速センサ72の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。したがって、車速センサ72の出力はECU31に送信され、ECU31は車速センサ72の出力を取得する。
また、入力ポート36には、クランクシャフトが所定角度(例えば10°)回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ73が接続され、この出力パルスが入力ポート36に入力される。したがって、クランク角センサ73の出力はECU31に送信され、ECU31はクランク角センサ73の出力を取得する。ECU31はクランク角センサ73の出力に基づいて機関回転数を算出する。
一方、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、内燃機関の各種アクチュエータに接続される。本実施形態では、出力ポート37は、点火プラグ50、燃料噴射弁51及びスロットル弁駆動アクチュエータ57に接続され、ECU31はこれらを制御する。具体的には、ECU31は、点火プラグ50の点火時期、燃料噴射弁51の噴射時期及び噴射量、並びにスロットル弁58の開度を制御する。
なお、上述した内燃機関は、ガソリンを燃料とする無過給内燃機関であるが、内燃機関の構成は、上記構成に限定されるものではない。したがって、気筒配列、燃料の噴射態様、吸排気系の構成、動弁機構の構成、過給器の有無のような内燃機関の具体的な構成は、図1に示した構成と異なっていてもよい。例えば、燃料噴射弁51は、吸気ポート47内に燃料を噴射するように配置されてもよい。
<空燃比センサの構成>
以下、空燃比センサ10の構成について詳細に説明する。図2は、図1の空燃比センサ10の部分断面図である。図2に示されるように、空燃比センサ10はセンサ素子11及びヒータ20を備える。
本実施形態では、空燃比センサ10は、複数の層を積層して構成された積層型空燃比センサである。センサ素子11は、固体電解質層12、拡散律速層13、第1不透過層14、第2不透過層15、排気側電極16及び大気側電極17を有する。固体電解質層12、排気側電極16及び大気側電極17は、電気化学セルであるセンサセルを構成する。
センサ素子11の各層は、図2の下方から、第1不透過層14、固体電解質層12、拡散律速層13、第2不透過層15の順に積層されている。固体電解質層12と拡散律速層13との間には被測ガス室18が形成され、固体電解質層12と第1不透過層14との間には大気室19が形成されている。すなわち、被測ガス室18は固体電解質層12及び拡散律速層13によって画定され、大気室19は固体電解質層12及び第1不透過層14によって画定される。
被測ガス室18は拡散律速層13を介して内燃機関の排気通路と連通しており、被測ガス室18には、内燃機関の排気通路を流れる排気ガスが被測ガスとして導入される。一方、大気室19は大気に開放されており、大気室19には大気が導入される。
固体電解質層12は、酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質層12は、例えば、ZrO2(ジルコニア)、HfO2、ThO2、Bi23等にCaO、MgO、Y23、Yb23等を安定剤として添加した焼結体である。拡散律速層13は、ガス透過性を有する薄板体である。拡散律速層13は、例えば、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の多孔質セラミックから構成される。第1不透過層14及び第2不透過層15は、ガス不透過性の薄板体であり、例えばアルミナから構成される。
排気側電極16は、被測ガス室18内の被測ガス、すなわち内燃機関の排気通路を流れる排気ガスに曝されるように固体電解質層12の一方(被測ガス室18側)の側面上に配置されている。一方、大気側電極17は、大気室19内の大気に曝されるように固体電解質層12の他方(大気室19側)の側面上に配置されている。排気側電極16と大気側電極17とは、固体電解質層12を挟んで互いに対向するように配置されている。排気側電極16及び大気側電極17は、それぞれ、白金(Pt)等の触媒活性の高い貴金属から構成されている。例えば、排気側電極16及び大気側電極17は、Ptを主成分として含む多孔質サーメット電極である。
ヒータ20は、センサ素子11内に配置され、センサ素子11を加熱する。本実施形態では、ヒータ20は第1不透過層14に埋設されている。ヒータ20は、例えば、白金(Pt)とセラミック(例えば、アルミナ等)とを含むサーメットの薄板体であり、通電によって発熱する発熱体である。ヒータ20は、ECU31に電気的に接続され、ECU31によって制御される。ECU31は、ヒータ20によって、センサ素子11の温度、特に固体電解質層12の温度を制御する。
図2に示されるように、センサ素子11の排気側電極16及び大気側電極17には電気回路2が接続されている。電気回路2は電圧印加回路3及び電流検出回路4を有する。
電圧印加回路3はセンサ素子11に電圧を印加する。本実施形態では、電圧印加回路3からセンサ素子11に印加される電圧が正電圧と負電圧(逆電圧)との間で選択的に切り替えられる。大気側電極17の電位が排気側電極16の電位よりも高くなるようにセンサ素子11に正電圧が印加されるときには、排気側電極16は負極として機能し、大気側電極17は正極として機能する。一方、排気側電極16の電位が大気側電極17の電位よりも高くなるようにセンサ素子11に負電圧が印加されるときには、排気側電極16は正極として機能し、大気側電極17は負極として機能する。電圧印加回路3はECU31に電気的に接続され、ECU31は電圧印加回路3を介してセンサ素子11への印加電圧を制御する。
電流検出回路4は、排気側電極16と大気側電極17との間を流れる電流、すなわちセンサ素子11の出力電流を検出する。電流検出回路4はECU31に電気的に接続され、電流検出回路4の出力はECU31に送信される。
空燃比センサ10を用いて排気ガスの空燃比を検出するときには、センサ素子11に正電圧が印加され、排気側電極16上の排気ガスの空燃比に応じて排気側電極16と大気側電極17との間を酸化物イオンが移動する。
図3は、センサ素子11に正電圧が印加されたときの排気ガスの空燃比とセンサ素子11の出力電流Iとの関係を示す図である。図3の例では、正電圧として、印加電圧が変化しても出力電流がほとんど変化しない限界電流領域内の電圧、具体的には0.45Vが用いられている。
図3からわかるように、排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに、出力電流Iはゼロとなる。また、空燃比センサ10では、排気ガスの酸素濃度が高いほど、すなわち排気ガスの空燃比がリーンであるほど、出力電流Iが大きくなる。したがって、空燃比センサ10は排気ガスの空燃比を連続的に(リニアに)検出することができる。ECU31は、空燃比センサ10によって検出された空燃比に基づいて、混合気の空燃比を適切な値にフィードバック制御する。このことによって、内燃機関のおける排気エミッションを低減することができる。
<空燃比センサの故障検出装置>
しかしながら、空燃比センサ10に素子割れのような故障が生じると、空燃比の検出精度が悪化し、排気エミッションが悪化するおそれがある。このため、本実施形態では、空燃比センサの故障検出装置(以下、単に「故障検出装置」と称する)を用いて空燃比センサ10の故障が検出される。
図4は、本発明の第一実施形態に係る故障検出装置1の構成を概略的に示す図である。故障検出装置1は、電圧印加回路3、電流検出回路4、電圧制御部5及び故障判定部6を備える。本実施形態では、ECU31が電圧制御部5及び故障判定部6として機能する。電圧制御部5及び故障判定部6は、ECU31のROM34に記憶されたプログラムをECU31のCPU35が実行することによって実現される機能モジュールである。
電圧制御部5は、電圧印加回路3からセンサ素子11に印加される電圧を制御する。故障判定部6は空燃比センサ10の故障を判定する。本実施形態では、故障判定部6は空燃比センサ10の故障モードとして第1不透過層14のクラック及び固体電解質層12のクラックを検出する。
図5は、クラックが生じた空燃比センサ10の部分断面図である。第1不透過層14のクラック14aは、排気通路と連通している空燃比センサ10の外部と大気室19との間を延在する。固体電解質層12のクラック12aは被測ガス室18と大気室19との間を延在する。これらの故障モードが発生すると、空燃比センサ10に出力異常が生じる。
最初に、第1不透過層14のクラック14aによる空燃比センサ10の出力異常について説明する。正常な空燃比センサ10では、大気室19が第1不透過層14及び固体電解質層12によって閉じられ、大気室19と排気通路との連通が遮断される。しかしながら、図5に示されるように、大気室19と排気通路とを連通させるクラック14aが第1不透過層14に生じると、排気通路を流れる排気ガスが大気室19に流入する。この結果、大気室19の大気中の酸素濃度が低下し、センサ素子11の出力電流に異常が生じる。
図6は、第1不透過層14にクラック14aが生じたときのセンサ素子11の印加電圧と出力電流との関係を示す図である。図6の実線、一点鎖線及び破線は、それぞれ、排気ガスの空燃比が理論空燃比(14.6)である場合の正常なセンサ素子11(クラック14a無し)、吸入空気流量が多いときの異常なセンサ素子11(クラック14a有り)、及び吸入空気流量が少ないときの異常なセンサ素子11(クラック14a有り)の電圧電流特性を示す。
印加電圧が正電圧である場合に排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには、酸化物イオンが排気側電極16から大気側電極17へ移動する。このときの酸化物イオンの移動量は、クラック14aによる大気中の酸素濃度の低下の影響をほとんど受けない。また、印加電圧が正電圧である場合に排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときには、酸化物イオンはほとんど移動しない。したがって、印加電圧が正電圧である場合に排気ガスの空燃比が理論空燃比以上であるときには、第1不透過層14にクラック14aが生じたとしても、センサ素子11の出力電流にほとんど異常は生じない。図6に示される電圧電流特性では、排気ガスの空燃比が理論空燃比であるため、印加電圧が正であるときには、異常なセンサ素子11と正常なセンサ素子11との間で出力電流の相違は生じていない。
一方、印加電圧が正電圧である場合に排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるときには、酸化物イオンが大気側電極17から排気側電極16へ移動する。このときの酸化物イオンの移動量は、クラック14aによる大気中の酸素濃度の低下によって減少する。したがって、印加電圧が正電圧である場合に排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるときには、第1不透過層14にクラック14aが生じると、センサ素子11の出力電流の絶対値が小さくなる。
また、印加電圧が負電圧である場合には、大気側電極17上の大気中の酸素濃度に応じて大気側電極17から排気側電極16に酸化物イオンが移動する。このときの酸化物イオンの移動量は、クラック14aによる大気中の酸素濃度の低下によって減少する。したがって、図6に示されるように、印加電圧が負電圧である場合、第1不透過層14にクラック14aが生じると、センサ素子11の出力電流の絶対値が小さくなる。
また、基本的に、内燃機関が高負荷の運転状態にあるときには、吸入空気流量が多くなり、この結果、排気通路を流れる排気ガスの圧力が高くなる。このため、吸入空気流量が多いときには、吸入空気流量が少ないときに比べて、排気ガスの圧力が高くなり、排気通路からクラック14aを通って大気室19に流入する排気ガスの量が多くなる。また、大気室19の大気中の酸素濃度の低下量は、大気室19に流入する排気ガスの量に比例して大きくなる。したがって、図6に示されるように、印加電圧が負電圧である場合、吸入空気流量が多いときのセンサ素子11の出力電流の絶対値は、吸入空気流量が少ないときのセンサ素子11の出力電流の絶対値よりも小さくなる。
また、大気室19の大気中の酸素濃度の低下量は、大気室19に流入する排気ガスの空燃比がリッチなほど大きくなる。したがって、印加電圧が負電圧である場合に、センサ素子11の出力電流の絶対値は、排気ガスの空燃比がリッチなほど小さくなる。
次いで、固体電解質層12のクラック12aによる空燃比センサ10の出力異常について説明する。正常な空燃比センサ10では、大気室19が第1不透過層14及び固体電解質層12によって閉じられ、大気室19と被測ガス室18との連通が遮断される。しかしながら、図5に示されるように、被測ガス室18と大気室19とを連通させるクラック12aが固体電解質層12に生じると、被測ガス室18の排気ガスと大気室19の大気とが混合される。この結果、被測ガス室18の排気ガス中の酸素濃度が高くなり、大気室19の大気中の酸素濃度が低下する。このため、クラック12aの発生によってセンサ素子11の出力電流に異常が生じる。
図7は、固体電解質層12にクラック12aが生じたときのセンサ素子11の印加電圧と出力電流との関係を示す図である。図7の実線、一点鎖線及び破線は、それぞれ、排気ガスの空燃比が理論空燃比(14.6)である場合の正常なセンサ素子11(クラック12a無し)、吸入空気流量が多いときの異常なセンサ素子11(クラック12a有り)、及び吸入空気流量が少ないときの異常なセンサ素子11(クラック12a有り)の電圧電流特性を示す。
印加電圧が正電圧である場合、センサ素子11の出力電流は、図3に示されるように排気ガスの空燃比に応じて変化する。上述したように、固体電解質層12にクラック12aが生じると、被測ガス室18の排気ガス中の酸素濃度が高くなる。したがって、図7に示されるように、印加電圧が正電圧である場合、固体電解質層12にクラック12aが生じると、センサ素子11の出力電流がリーン側(プラス側)にずれる。
また、吸入空気流量が多いときには、吸入空気流量が少ないときに比べて、被測ガス室18に流入する排気ガスの圧力が高くなり、被測ガス室18の排気ガスと大気室19の大気との混合が生じにくくなる。言い換えれば、吸入空気流量が少ないときには、吸入空気流量が多いときに比べて、被測ガス室18に流入する排気ガスの圧力が低くなり、被測ガス室18の排気ガスと大気室19の大気との混合が生じやすくなる。また、被測ガス室18の排気ガス中の酸素濃度の増加量は、排気ガスと混合する大気の量に比例して大きくなる。したがって、図7に示されるように、印加電圧が正電圧である場合、吸入空気流量が少ないときのセンサ素子11の出力電流は、吸入空気流量が多いときのセンサ素子11の出力電流よりもリーン側(プラス側)にずれる。
一方、印加電圧が負電圧である場合には、大気側電極17上の大気中の酸素濃度に応じて大気側電極17から排気側電極16に酸化物イオンが移動する。このときの酸化物イオンの移動量は、クラック12aによる大気中の酸素濃度の低下によって減少する。したがって、印加電圧が負電圧である場合、固体電解質層12にクラック12aが生じると、センサ素子11の出力電流の絶対値が小さくなる。
上述したように、吸入空気流量が少ないときには、吸入空気流量が多いときに比べて、被測ガス室18の排気ガスと大気室19の大気との混合が生じやすくなる。また、大気室19の大気中の酸素濃度の低下量は、大気と混合する排気ガスの量に比例して大きくなる。したがって、図7に示されるように、印加電圧が負電圧である場合、吸入空気流量が少ないときのセンサ素子11の出力電流の絶対値は、吸入空気流量が多いときのセンサ素子11の出力電流の絶対値よりも小さくなる。
上記の説明から分かるように、第1不透過層14のクラック14aによる故障モードと、固体電解質層12のクラック12aによる故障モードとでは、印加電圧が負電圧である場合に、吸入空気流量の増減に対するセンサ素子11の出力電流の絶対値の増減傾向が異なる。この知見に基づいて、本実施形態では、吸入空気流量が異なるときにセンサ素子11に負電圧を印加し、センサ素子11に負電圧が印加されているときに検出されたセンサ素子11の出力電流に基づいて空燃比センサ10の故障の有無及び種別が判別される。
基本的に、吸入空気流量は、機関負荷に応じて変化し、異なる機関負荷に対して異なる値を示す。このため、電圧制御部5は、内燃機関の第1運転状態及び第1運転状態よりも高負荷の第2運転状態において、排気側電極16の電位が大気側電極17の電位よりも高くなるようにセンサ素子11に負電圧を印加する。故障判定部6は、第1運転状態においてセンサ素子11に負電圧が印加されているときに電流検出回路4によって検出された第1電流値と、第1運転状態よりも高負荷の第2運転状態においてセンサ素子11に負電圧が印加されているときに電流検出回路4によって検出された第2電流値とを取得し、これら電流値に基づいて空燃比センサ10の故障を判定する。
具体的には、故障判定部6は、第2電流値の絶対値が第1電流値の絶対値よりも大きく且つ第2電流値の絶対値と第1電流値の絶対値との差又は比率が所定値以上である場合には、固体電解質層12にクラックが生じていると判定する。したがって、故障検出装置1を用いて、空燃比センサ10の故障モードとして固体電解質層12のクラック12aを検出することができる。
また、故障判定部6は、第1電流値の絶対値が第2電流値の絶対値よりも大きく且つ第1電流値の絶対値と第2電流値の絶対値との差又は比率が所定値以上である場合には、第1不透過層14にクラックが生じていると判定する。したがって、故障検出装置1を用いて、空燃比センサ10の故障モードとして第1不透過層14のクラック14aを検出することができる。
<故障判定処理>
以下、図8A~図8Dのフローチャートを参照して、空燃比センサ10の故障を検出するための制御について詳細に説明する。図8A及び図8Bは、本発明の第一実施形態における故障判定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、内燃機関の始動後、ECU31によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
最初に、ステップS101において、電圧制御部5は電圧印加回路3を介して所定の正電圧をセンサ素子11に印加する。所定の正電圧は、予め定められ、印加電圧が変化しても出力電流がほとんど変化しない限界電流領域内の電圧(0.15V~0.7V)に設定される。本実施形態では、所定の正電圧は例えば0.45Vに設定される。
次いで、ステップS102において、故障判定部6は、故障判定条件が成立しているか否かを判定する。故障判定条件は、例えば、空燃比センサ10のセンサ素子11の温度が所定の活性温度以上であるときに成立する。センサ素子11の温度は例えばセンサ素子11のインピーダンスに基づいて算出される。なお、故障判定条件は、触媒60の温度が所定の活性温度以上であること、内燃機関の始動後に所定時間が経過していること、内燃機関の始動後に空燃比センサ10の故障判定が未だ行われていないこと等を含んでいてもよい。
ステップS102において故障判定条件が成立していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS102において故障判定条件が成立していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS103に進む。
ステップS103では、故障判定部6は、第1フラグF1がゼロに設定されているか否かを判定する。第1フラグF1は、第1電流値が取得されたときに1に設定され、第1フラグF1の初期値はゼロである。第1フラグF1がゼロに設定されていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS104に進む。
ステップS104では、故障判定部6は、内燃機関の運転状態が第1運転状態であるか否かを判定する。第1運転状態は、低負荷の定常運転状態であり、例えばアイドル運転状態に設定される。なお、アイドル運転状態とは、アクセル開度がゼロ(機関負荷がゼロ)であるときに燃焼室45における混合気の燃焼によって機関回転数が所定の低回転数(例えば400~1000rpm)に維持されている運転状態を意味する。
ステップS104において内燃機関の運転状態が第1運転状態であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS105に進む。ステップS105では、本制御ルーチンのサブルーチンとして、図8Cに示される第1電流値取得処理の制御ルーチンが実行される。
図8Cは、本発明の第一実施形態における第1電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。最初に、ステップS201において、故障判定部6は、空燃比センサ10を用いた空燃比のフィードバック制御を停止し、オープン制御(開ループ制御)を開始する。オープン制御では、混合気の空燃比が目標空燃比に一致するように、燃料噴射弁51の燃料噴射量FAが目標空燃比TAF及び吸入空気量IAに基づいて下記式(1)によって算出される。吸入空気量IAはエアフロメータ70の出力に基づいて算出される。
FA=IA/TAF …(1)
本実施形態では、オープン制御における目標空燃比TAFが理論空燃比(14.6)に設定される。このことによって、空燃比センサ10の故障を判定するときに排気エミッションが悪化することを抑制することができる。
次いで、ステップS202では、電圧制御部5は電圧印加回路3を介して所定の負電圧をセンサ素子11に印加する。所定の負電圧は、予め定められ、例えば-0.5Vに設定される。例えば、電圧制御部5は、電圧印加回路3に設けられたスイッチ素子を用いて、センサ素子11の印加電圧を正電圧と負電圧との間で選択的に切り替える。
次いで、ステップS203では、故障判定部6は、負電圧の印加後、第1運転状態が所定時間継続されたか否かを判定する。所定時間は、予め定められ、例えば0.5秒~5秒に設定される。ステップS203において第1運転状態が所定時間継続されたと判定された場合、本サブルーチンはステップS204に進む。
ステップS204では、故障判定部6は、電流検出回路4によって検出された第1電流値I1を取得する。
次いで、ステップS205において、故障判定部6は第1フラグF1を1に設定する。ステップS205の後、本サブルーチンは終了する。一方、ステップS203において第1運転状態が所定時間継続されなかったと判定された場合、本サブルーチンはステップS204及びS205をスキップして終了する。
再び図8Aを参照すると、ステップS103において第1フラグF1が1であると判定された場合、又はステップS104において内燃機関の運転状態が第1運転状態ではないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS106に進む。
ステップS106では、故障判定部6は、第2フラグF2がゼロであるか否かを判定する。第2フラグF2は、第2電流値が取得されたときに1に設定され、第2フラグF2の初期値はゼロである。第2フラグF2が1に設定されていると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、第2フラグF2がゼロに設定されていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS107に進む。
ステップS107では、故障判定部6は、内燃機関の運転状態が第2運転状態であるか否かを判定する。第2運転状態は、第1運転状態よりも高負荷の運転状態であり、例えば中高速(例えば60km/h~80km/h)の定常走行状態に設定される。この場合、故障判定部6は、車速センサ72の出力に基づいて、内燃機関の運転状態が第2運転状態であるか否かを判定する。
ステップS107において内燃機関の運転状態が第2運転状態ではないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS107において内燃機関の運転状態が第2運転状態であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS108に進む。ステップS108では、本制御ルーチンのサブルーチンとして、図8Dに示される第2電流値取得処理の制御ルーチンが実行される。
図8Dは、本発明の第一実施形態における第2電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。最初に、ステップS301において、図8CのステップS201と同様に、故障判定部6は、空燃比センサ10を用いた空燃比のフィードバック制御を停止し、理論空燃比を目標空燃比とするオープン制御(開ループ制御)を開始する。
次いで、ステップS302では、図8BのステップS202と同様に、電圧制御部5は電圧印加回路3を介して所定の負電圧をセンサ素子11に印加する。
次いで、ステップS303では、故障判定部6は、負電圧の印加後、第2運転状態が所定時間継続されたか否かを判定する。所定時間は、予め定められ、例えば0.5秒~5秒に設定される。ステップS303において第2運転状態が所定時間継続されたと判定された場合、本サブルーチンはステップS304に進む。
ステップS304では、故障判定部6は、電流検出回路4によって検出された第2電流値I2を取得する。
次いで、ステップS305において、故障判定部6は第2フラグF2を1に設定する。ステップS305の後、本サブルーチンは終了する。一方、ステップS303において第2運転状態が所定時間継続されなかったと判定された場合、本サブルーチンはステップS304及びS305をスキップして終了する。
ステップS105又はS108のサブルーチンの後、本制御ルーチンは図8BのステップS109に進む。ステップS109では、図8AのステップS101と同様に、電圧制御部5は電圧印加回路3を介して所定の正電圧をセンサ素子11に印加する。
次いで、ステップS110において、故障判定部6は、空燃比センサ10を用いた空燃比のフィードバック制御を再開する。フィードバック制御では、空燃比センサ10によって検出された空燃比が目標空燃比に一致するように、燃料噴射弁51の燃料噴射量が決定される。
次いで、ステップS111において、故障判定部6は、第1フラグF1及び第2フラグF2が1であるか否かを判定する。第1フラグF1及び第2フラグF2の少なくとも一方がゼロであると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、第1フラグF1及び第2フラグF2が1であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS112に進む。
ステップS112では、故障判定部6は、第2電流値I2の絶対値から第1電流値I1の絶対値を減算した値が第1判定値K1以上であるか否かを判定する。第1判定値K1は、予め定められ、正の値に設定される。
ステップS112において第2電流値I2の絶対値から第1電流値I1の絶対値を減算した値が第1判定値K1以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS113に進む。ステップS113では、故障判定部6は、空燃比センサ10が異常であり、固体電解質層12にクラックが生じていると判定する。このとき、故障判定部6は、車両に設けられた警告灯を点灯させてもよい。また、故障判定部6は、固体電解質層12のクラックに対応する故障コードをECU31のメモリ(ROM34又はRAM33)又は他の記憶装置に記憶させてもよい。
一方、ステップS112において第2電流値I2の絶対値から第1電流値I1の絶対値を減算した値が第1判定値K1未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS114に進む。ステップS114では、故障判定部6は、第1電流値I1の絶対値から第2電流値I2の絶対値を減算した値が第2判定値K2以上であるか否かを判定する。第2判定値K2は、予め定められ、正の値に設定される。
ステップS114において第1電流値I1の絶対値から第2電流値I2の絶対値を減算した値が第2判定値K2以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS115に進む。ステップS115では、故障判定部6は、空燃比センサ10が異常であり、第1不透過層14にクラックが生じていると判定する。このとき、故障判定部6は、車両に設けられた警告灯を点灯させてもよい。また、故障判定部6は、第1不透過層14のクラックに対応する故障コードをECU31のメモリ(ROM34又はRAM33)又は他の記憶装置に記憶させてもよい。
一方、ステップS114において第1電流値I1の絶対値から第2電流値I2の絶対値を減算した値が第2判定値K2未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS116に進む。ステップS116では、故障判定部6は、空燃比センサ10が正常であると判定する。
ステップS113、S115又はS116の後、本制御ルーチンはステップS117に進む。ステップS117では、故障判定部6は第1フラグF1及び第2フラグF2をゼロにリセットする。ステップS117の後、本制御ルーチンは終了する。
なお、ステップS112において、故障判定部6は、第2電流値I2の絶対値を第1電流値I1の絶対値で除算した値が第1判定値K1以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、故障判定部6は、下記式(2)が成立するか否かを判定してもよい。
|I2|/|I1|≧K1 …(2)
この場合、第1判定値K1は1よりも大きな値に設定される。
同様に、ステップS114において、故障判定部6は、第1電流値I1の絶対値を第2電流値I2の絶対値で除算した値が第2判定値K2以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、故障判定部6は、下記式(3)が成立するか否かを判定してもよい。
|I1|/|I2|≧K2 …(3)
この場合、第2判定値K2は1よりも大きな値に設定される。
<第二実施形態>
第二実施形態に係る故障検出装置は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る故障検出装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係る空燃比センサの故障検出装置が適用される内燃機関等を概略的に示す図である。第二実施形態では、内燃機関を搭載した車両に、大気圧を検出する大気圧センサ74が設けられる。大気圧センサ74の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。したがって、大気圧センサ74の出力はECU31に送信され、ECU31は大気圧センサ74の出力を取得する。
上述したように空燃比センサ10の大気室19には大気が導入されるが、大気圧は、内燃機関を搭載する車両の走行環境に応じて変化する。例えば、大気圧は、車両が走行する道路の標高が高くなるほど低くなる。大気圧が低くなると、空燃比センサ10が正常であっても、センサ素子11に負電圧が印加されたときに大気側電極17から排気側電極16に移動する酸化物イオンの移動量が減少する。すなわち、大気圧が低くなると、空燃比センサ10が正常であっても、センサ素子11に負電圧が印加されたときのセンサ素子11の出力電流の絶対値が小さくなる。
このため、第二実施形態では、故障判定部6は、大気圧センサ74によって検出された大気圧に基づいて第1電流値の絶対値及び第2電流値の絶対値を補正する。このことによって、大気圧の変動によるクラックの誤検出を低減することができ、ひいては空燃比センサ10の故障の検出精度を高めることができる。
第二実施形態では、図8A及び図8Bの故障判定処理の制御ルーチンが実行されるときに、ステップS105のサブルーチンとして図10Aの第1電流値取得処理の制御ルーチンが実行され、ステップS108のサブルーチンとして図10Bの第2電流値取得処理の制御ルーチンが実行される。
図10Aは、本発明の第二実施形態における第1電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップS401~S403は図8CのステップS201~S203と同様に実行される。ステップS403において第1運転状態が所定時間継続されたと判定された場合、本サブルーチンはステップS404に進む。
ステップS404では、故障判定部6は、電流検出回路4によって検出された第1電流値I1と、大気圧センサ74によって検出された大気圧P1とを取得する。
次いで、ステップS405において、故障判定部6は、マップ又は計算式を用いて、大気圧P1に基づいて第1電流値I1の絶対値を補正する。マップ又は計算式は、大気圧P1が低いほど第1電流値I1の絶対値が大きくなるように作成される。
次いで、ステップS406において、故障判定部6は第1フラグF1を1に設定し、ステップS406の後、本サブルーチンは終了する。
図10Bは、本発明の第二実施形態における第2電流値取得処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップS501~S503は図8DのステップS301~S303と同様に実行される。ステップS503において第2運転状態が所定時間継続されたと判定された場合、本サブルーチンはステップS504に進む。
ステップS504では、故障判定部6は、電流検出回路4によって検出された第2電流値I2と、大気圧センサ74によって検出された大気圧P2とを取得する。
次いで、ステップS505において、故障判定部6は、マップ又は計算式を用いて、大気圧P2に基づいて第2電流値I2の絶対値を補正する。マップ又は計算式は、大気圧P2が低いほど第2電流値I2の絶対値が大きくなるように作成される。
次いで、ステップS506において、故障判定部6は第2フラグF2を1に設定し、ステップS506の後、本サブルーチンは終了する。
第二実施形態では、図8BのステップS112及びS114において、第1電流値の絶対値及び第2電流値の絶対値として、図10A及び図10Bのサブルーチンによって算出された補正後の値が用いられる。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、空燃比センサの故障検出装置が適用される内燃機関は圧縮自着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)であってもよい。
また、故障検出装置1を用いて、触媒60の下流側に配置された空燃比センサの故障判定が行われてもよい。また、故障検出装置1によって故障判定が行われる空燃比センサは触媒60の上流側及び下流側に配置されてもよい。この場合、下流側空燃比センサの故障判定が行われるときには、図8CのステップS201、図8DのステップS301、図10AのステップS401及び図10BのステップS501において、下流側空燃比センサを用いた空燃比制御(例えば目標空燃比の切替等)のみが停止され、上流側空燃比センサを用いた空燃比のフィードバック制御が継続されてもよい。
また、第2運転状態が第1運転状態よりも高負荷の運転状態であれば、第1運転状態及び第2運転状態として任意の運転状態を設定することができる。例えば、第1運転状態が低速(例えば20km/h~40km/h)の定常走行状態に設定され、第2運転状態が中高速(例えば60km/h~80km/h)の定常走行状態に設定されてもよい。また、第1運転状態が、吸入空気流量が下側基準値以下である定常運転状態に設定され、第2運転状態が、吸入空気流量が下側基準値よりも大きな上側基準値以上である定常運転状態に設定されてもよい。
1 空燃比センサの故障検出装置
3 電圧印加回路
4 電流検出回路
5 電圧制御部
6 故障判定部
10 空燃比センサ
11 センサ素子
12 固体電解質層
16 排気側電極
17 大気側電極

Claims (1)

  1. 酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、内燃機関の排気通路を流れる排気ガスに曝されるように前記固体電解質層の一方の側面上に配置された排気側電極と、大気に曝されるように前記固体電解質層の他方の側面上に配置された大気側電極とを有するセンサ素子を備える空燃比センサの故障を検出する、空燃比センサの故障検出装置であって、
    前記センサ素子に電圧を印加する電圧印加回路と、
    前記センサ素子の出力電流を検出する電流検出回路と、
    前記電圧印加回路から前記センサ素子に印加される電圧を制御する電圧制御部と、
    前記空燃比センサの故障を判定する故障判定部と
    を備え、
    前記電圧制御部は、前記内燃機関の第1運転状態及び該第1運転状態よりも高負荷の第2運転状態において、前記排気側電極の電位が前記大気側電極の電位よりも高くなるように前記センサ素子に負電圧を印加し、
    前記故障判定部は、前記第1運転状態において前記センサ素子に前記負電圧が印加されているときに前記電流検出回路によって検出された第1電流値と、前記第2運転状態において前記センサ素子に前記負電圧が印加されているときに前記電流検出回路によって検出された第2電流値とを取得し、該第2電流値の絶対値が該第1電流値の絶対値よりも大きく且つ該第2電流値の絶対値と該第1電流値の絶対値との差又は比率が所定値以上である場合には、前記固体電解質層にクラックが生じていると判定する、空燃比センサの故障検出装置。
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