JP2022067286A - ガスタービンシステム - Google Patents

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Abstract

Figure 2022067286000001
【課題】複数の圧縮機及びタービンを有するガスタービンシステムにおいて、いずれかの圧縮機及びタービンを停止した場合であっても燃焼器に安定的に必要流量の空気を供給できるガスタービンシステムを提供する。
【解決手段】ガスタービンシステム1は、複数のガスタービン要素2,3と、単一の燃焼器4と、複数の配管5と、複数の開閉弁6と、制御部7と、を備える。第三運転モードにおいて、制御部7は、第二開閉弁62及び第五開閉弁65を開くとともに、第一開閉弁61、第三開閉弁63、第四開閉弁64及び第六開閉弁66を閉じることにより、第一ガスタービン要素2の動作を停止させ、かつ第二ガスタービン要素3を動作させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガスタービンシステムに関するものである。
従来、航空機等の機体に搭載されるガスタービンシステムにおいて、複数の圧縮機及びタービンを備え、複数の圧縮機からの圧縮空気を単一の燃焼器に供給する技術が種々提案されている。
例えば特許文献1には、第一の圧縮機及びタービンを有する第一ガスタービン要素と、第二の圧縮機及びタービンを有する第二ガスタービン要素と、第一及び第二の圧縮機からの圧縮空気がそれぞれ供給される単一の燃焼器と、第一の圧縮機の上流側に配置される開閉弁と、第二の圧縮機及びガスタービンに接続されるディーゼルエンジンと、を備えた複合エンジンの構成が開示されている。低出力時には、燃焼器からディーゼルエンジンに切り替えて使用する。特許文献1に記載の技術によれば、燃焼器を使用する際には、複数の圧縮機から単一の燃焼器へ圧縮空気を供給することで高出力を得ることができるとされている。
米国特許出願公開第2013/0213048号明細書
ところで、このように複数のガスタービン要素を備えるガスタービンシステムにおいては、例えば不具合発生時やアイドリング時等に一方のガスタービン要素を停止させる場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、上流側に開閉弁を有しない第二圧縮機の動作を停止する場合、第二圧縮機に空気が流入してしまうため、燃焼器に対して必要流量の圧縮空気を供給できないおそれがある。
そこで、本発明は、複数の圧縮機及びタービンを有するガスタービンシステムにおいて、いずれかの圧縮機及びタービンを停止した場合であっても燃焼器に安定的に必要流量の空気を供給できるガスタービンシステムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るガスタービンシステム(例えば、実施形態におけるガスタービンシステム1)は、第一圧縮機(例えば、実施形態における第一圧縮機21)及び前記第一圧縮機と一体回転する第一タービン(例えば、実施形態における第一タービン22)を有する第一ガスタービン要素(例えば、実施形態における第一ガスタービン要素2)と、第二圧縮機(例えば、実施形態における第二圧縮機31)及び前記第二圧縮機と一体回転する第二タービン(例えば、実施形態における第二タービン32)を有する第二ガスタービン要素(例えば、実施形態における第二ガスタービン要素3)と、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器(例えば、実施形態における燃焼器4)と、前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口(例えば、実施形態における吸気口40)へ流通させる第一供給管(例えば、実施形態における第一供給管51)と、前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口へ流通させる第二供給管(例えば、実施形態における第二供給管52)と、前記第一圧縮機の出口(例えば、実施形態における出口21b)と前記第二圧縮機の入口(例えば、実施形態における入口31a)とを連通する圧縮機連通管(例えば、実施形態における圧縮機連通管53)と、前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第一タービンへ流通させる第一排出管(例えば、実施形態における第一排出管54)と、前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第二タービンへ流通させる第二排出管(例えば、実施形態における第二排出管55)と、前記第一タービンの入口(例えば、実施形態における入口22a)と前記第二タービンの出口(例えば、実施形態における出口32b)とを連通するタービン連通管(例えば、実施形態におけるタービン連通管56)と、前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第一開閉弁(例えば、実施形態における第一開閉弁61)と、前記第二圧縮機の入口よりも空気の流通方向の上流側に設けられ、前記第二圧縮機への空気の流入を遮断可能な第二開閉弁(例えば、実施形態における第二開閉弁62)と、前記圧縮機連通管に設けられ、前記圧縮機連通管内の空気の流通を遮断可能な第三開閉弁(例えば、実施形態における第三開閉弁63)と、前記第一排出管に設けられ、前記第一排出管内の空気の流通を遮断可能な第四開閉弁(例えば、実施形態における第四開閉弁64)と、前記第二タービンの出口よりも空気の流通方向の下流側に設けられ、前記第二タービンから外部への空気の流出を遮断可能な第五開閉弁(例えば、実施形態における第五開閉弁65)と、前記タービン連通管に設けられ、前記タービン連通管内の空気の流通を遮断可能な第六開閉弁(例えば、実施形態における第六開閉弁66)と、前記第一開閉弁、前記第二開閉弁、前記第三開閉弁、前記第四開閉弁、前記第五開閉弁及び前記第六開閉弁の開閉を制御する制御部(例えば、実施形態における制御部7)と、を備えることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記制御部は、前記第二開閉弁及び前記第五開閉弁を開くとともに、前記第一開閉弁、前記第三開閉弁、前記第四開閉弁及び前記第六開閉弁を閉じることにより、前記第一ガスタービン要素の動作を停止させ、かつ前記第二ガスタービン要素を動作させることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記制御部は、前記第一開閉弁及び前記第四開閉弁を開くとともに、前記第二開閉弁、前記第三開閉弁、前記第五開閉弁及び前記第六開閉弁を閉じることにより、前記第一ガスタービン要素を動作させ、かつ前記第二ガスタービン要素の動作を停止させることを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記第一ガスタービン要素は、前記第一圧縮機と前記第一タービンとを接続する第一回転軸(例えば、実施形態における第一回転軸23)と、前記第一圧縮機と前記第一タービンとの間かつ前記第一回転軸と同軸上に設けられた第一発電機(例えば、実施形態における第一発電機24)と、を有し、前記第二ガスタービン要素は、前記第二圧縮機と前記第二タービンとを接続する第二回転軸(例えば、実施形態における第二回転軸33)と、前記第二圧縮機と前記第二タービンとの間かつ前記第二回転軸と同軸上に設けられた第二発電機(例えば、実施形態における第二発電機34)と、を有することを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記制御部は、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方が動作する運転モードであって、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する出力要求が所定値(例えば、実施形態における所定値X)以上である場合の第一運転モード(例えば、実施形態における第一運転モードM1)と、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方が動作する運転モードであって、前記出力要求が前記所定値未満である場合の第二運転モード(例えば、実施形態における第二運転モードM2)と、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の一方が動作し、他方が動作を停止する第三運転モード(例えば、実施形態における第三運転モードM3)と、に切替え可能であり、前記第一運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の出力値はそれぞれ第一出力値であり、前記第二運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方からの出力値の合計は第二出力値であり、前記第三運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素のうち動作している一方による出力値は第三出力値であり、前記第三出力値は、前記第一出力値と同等であることを特徴としている。
本発明の請求項1に記載のガスタービンシステムによれば、ガスタービンシステムは、2個のガスタービン要素と、各ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器と、を備える。これにより、複数の圧縮機により圧縮された空気を単一の燃焼器に流入させることができる。よって、燃焼器への空気の流入量及び空気の流速を増加させ、高い出力を得ることができる。また、ガスタービンシステムは、2個の圧縮機と燃焼器との間、2個の圧縮機同士の間、2個のタービンと燃焼器との間、及び2個のタービン同士の間をそれぞれ接続する配管(第一供給管、第二供給管、圧縮機連通管、第一排出管、第二排出管及びタービン連通管)と、これらの配管内に設けられる第一から第六の開閉弁とを有する。所望の開閉弁を開閉制御することにより、空気が流通可能な配管を限定することができる。これにより、2個のガスタービン要素のうちいずれか1個のガスタービン要素と燃焼器とを接続させることができる。よって、例えば何らかの不具合発生時やアイドリング時等に一方のガスタービン要素を停止させた場合であっても、動作側のガスタービン要素のみに空気を流通させ、動作側のガスタービン要素を安定的に動作させることができる。
したがって、複数の圧縮機及びタービンを有するガスタービンシステムにおいて、いずれかの圧縮機及びタービンを停止した場合であっても燃焼器に安定的に必要流量の空気を供給できるガスタービンシステムを提供できる。
本発明の請求項2に記載のガスタービンシステムによれば、第一ガスタービン要素の動作を停止させる場合、制御部は、第二開閉弁及び第五開閉弁を開くとともに、第一開閉弁、第三開閉弁、第四開閉弁及び第六開閉弁を閉じる。これにより、第一ガスタービン要素の動作を停止させつつ、第二ガスタービン要素を動作させることができる。このとき、第一ガスタービン要素と燃焼器との間、及び第一ガスタービン要素と第二ガスタービン要素との間における空気の流通が開閉弁により遮断されるので、第二ガスタービン要素を流通する空気が第一ガスタービン要素に向かって流出することがない。よって、第二ガスタービン要素から燃焼器へ安定した流量の空気を供給することができる。
本発明の請求項3に記載のガスタービンシステムによれば、第二ガスタービン要素の動作を停止させる場合、制御部は、第一開閉弁及び第四開閉弁を開くとともに、第二開閉弁、第三開閉弁、第五開閉弁及び第六開閉弁を閉じる。これにより、第二ガスタービン要素の動作を停止させつつ、第一ガスタービン要素を動作させることができる。このとき、第二ガスタービン要素と燃焼器との間、及び第一ガスタービン要素と第二ガスタービン要素との間における空気の流通が開閉弁により遮断されるので、第一ガスタービン要素を流通する空気が第二ガスタービン要素に向かって流出することがない。よって、第一ガスタービン要素から燃焼器へ安定した流量の空気を供給することができる。
本発明の請求項4に記載のガスタービンシステムによれば、第一ガスタービン要素は第一発電機を有し、第二ガスタービン要素は第二発電機を有する。第一発電機は、第一圧縮機及び第一タービンと同軸上に設けられ、第二発電機は、第二圧縮機及び第二タービンと同軸上に設けられる。これにより、第一ガスタービン要素の第一圧縮機及び第一タービンの回転により第一発電機を駆動して発電させることができる。また、第二ガスタービン要素の第二圧縮機及び第二タービンの回転により第二発電機を駆動して発電させることができる。よって、一方のガスタービン要素を停止させた場合においても、動作側のガスタービン要素に接続された発電機を用いて効果的に発電することができる。
本発明の請求項5に記載のガスタービンシステムによれば、制御部は、第一ガスタービン要素及び第二ガスタービン要素の両方が動作する第一運転モード及び第二運転モードと、第一ガスタービン要素及び第二ガスタービン要素の一方が動作し、他方が動作を停止する第三運転モードと、に切替え可能である。第一ガスタービン要素及び第二ガスタービン要素の両方が動作する運転モードは、出力要求が所定値以上である第一運転モードと、出力要求が所定値未満である第二運転モードと、に切替え可能である。このように、出力要求の大きさや使用するガスタービン要素の個数に応じて複数の運転モードに切り替えることができるので、ガスタービンシステムの効率及び不具合発生時の安全性を向上できる。
第三運転モードにおいて第一ガスタービン要素及び第二ガスタービン要素のうち動作している一方による出力値(第三出力値)は、第一運転モードにおける第一出力値と同等に設定されている。これにより、2個のガスタービン要素のうち1個のガスタービン要素の動作を停止した場合であっても、運転に支障がない程度に十分大きな出力を確保することができる。よって、ガスタービンシステムを安定的に動作させることができる。
実施形態に係るガスタービンシステムを搭載した航空機の外観図。 実施形態に係るガスタービンシステムの概略構成図。 実施形態に係る第一運転モードにおけるガスタービンシステムの動作説明図。 実施形態に係る第二運転モードにおけるガスタービンシステムの動作説明図。 実施形態に係る第三運転モードにおいて第一ガスタービン要素を停止した場合のガスタービンシステムの動作説明図。 実施形態に係る第三運転モードにおいて第二ガスタービン要素を停止した場合のガスタービンシステムの動作説明図。 実施形態に係る航空機の要求出力と運転モードとの関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(ガスタービンシステム)
図1は、実施形態に係るガスタービンシステムを搭載した航空機10の外観図である。
航空機10は、例えば、機体11と、複数のロータ12A~12Dと、複数の電動機14A~14Dと、取り付け部材16A~16Dと、ガスタービンシステム1と、を備える。以下、複数のロータ12A~12Dを互いに区別しない場合は、ロータ12と称し、複数の電動機14A~14Dを互いに区別しない場合は、電動機14と称する。
ロータ12Aは、取り付け部材16Aを介して機体11に取り付けられている。ロータ12Aの基部(回転軸)には、電動機14Aが取り付けられている。電動機14Aは、ロータ12Aを駆動させる。電動機14Aは、例えばブラシレスDCモータである。ロータ12Aは、航空機10が水平姿勢である場合に、重力方向と平行な軸線周りに回転するブレードの固定翼である。ロータ12B~12D、取り付け部材16B~16D、および電動機14B~14Dについても、上記と同様の機能構成を有するため説明を省略する。
制御信号に応じてロータ12が回転することで、航空機10は、所望の飛行状態で飛行する。制御信号は、操作者の操作または自動操縦における指示に基づく航空機10を制御するための信号である。例えば、ロータ12Aとロータ12Dとが第1方向(例えば時計方向)に回転し、ロータ12Bとロータ12Cとが第2方向(例えば反時計方向)に回転することで航空機10が飛行する。また、上記のロータ12の他に、不図示の姿勢保持用あるいは水平推進用の補助ロータ等が設けられてもよい。
図2は、実施形態に係るガスタービンシステム1の概略構成図である。
ガスタービンシステム1は、航空機10の内部に搭載されている。ガスタービンシステム1は、航空機10のロータ12A~12D(図1参照)を駆動させる動力源となる電力を発電する。ガスタービンシステム1は、いわゆるガスタービンエンジンからなる。ガスタービンシステム1は、第一ガスタービン要素2と、第二ガスタービン要素3と、単一の燃焼器4と、複数の配管5と、複数の開閉弁6と、制御部7と、を備える。
(ガスタービン要素)
第一ガスタービン要素2は、第一圧縮機21と、第一タービン22と、第一回転軸23と、第一発電機24と、を有する。第一圧縮機21は、航空機10の機体11に設けられた不図示の通風孔から吸入される吸入空気を圧縮するファン動翼である。第一タービン22は、第一圧縮機21と接続されて第一圧縮機21と一体回転する。第一回転軸23は、第一圧縮機21と第一タービン22とを連結している。第一回転軸23は、例えば機体11の前後方向(ヨー軸)に平行な方向に沿って延びている。第一回転軸23の前端部に第一圧縮機21が接続されている。第一回転軸23の後端部に第一タービン22が接続されている。
第一発電機24は、第一圧縮機21と第一タービン22との間に配置されている。第一発電機24は、第一回転軸23と同軸上に設けられるとともに、減速機構等を介して第一回転軸23に接続されている。第一発電機24は、第一タービン22の駆動によって電力(交流電力)を発電する。第一発電機24で発電された交流電力は不図示のパワードライブユニット(PDU)のコンバータで直流電力に変換され、不図示のバッテリに貯留される。バッテリからの放電電力が電動機14に供給されることにより、電動機14が駆動する。
第二ガスタービン要素3は、第一ガスタービン要素2に対して、例えば機体11の左右方向に並んで設けられている。第二ガスタービン要素3の構成は、第一ガスタービン要素2の構成と同等である。つまり、第二ガスタービン要素3は、第二圧縮機31と、第二タービン32と、第二回転軸33と、第二発電機34と、を有する。第二圧縮機31は、機体11に設けられた通風孔(不図示)から吸入される吸入空気を圧縮する圧縮機である。第二タービン32は、第二圧縮機31と接続されて第二圧縮機31と一体回転する。第二回転軸33は、第二圧縮機31と第二タービン32とを連結している。
第二発電機34は、第二圧縮機31と第二タービン32との間に配置されている。第二発電機34は、第二回転軸33と同軸上に設けられるとともに、減速機構等を介して第二回転軸33に接続されている。第二発電機34は、第二タービン32の駆動によって電力(交流電力)を発電する。第二発電機34で発電された交流電力は不図示のパワードライブユニット(PDU)のコンバータで直流電力に変換され、不図示のバッテリに貯留される。なお、本実施形態において、第一発電機24及び第二発電機34は共通のバッテリに接続されて電力を貯蓄するが、第一発電機24及び第二発電機34がそれぞれ異なるバッテリに接続されてそれぞれのバッテリに電力を貯蓄する構成であってもよい。
この実施形態に係る航空機10において、第一ガスタービン要素2は100kW、第二ガスタービン要素3は100kW程度の電力規模を備える。バッテリは残量SOC(State of Charge)を自己診断する不図示のBMS(Battery Management System)を内蔵してもよい。
また、以下の説明において、圧縮機及びタービンのうち、空気の流通方向の上流側に位置して空気が流入する部分を「入口21a,22a,31a,32a」といい、空気の流通方向の下流側に位置して空気が排出される部分を「出口21b,22b,31b,32b」という場合がある。
(燃焼器)
燃焼器4は、2個のガスタービン要素(第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3)に対して1個設けられる。燃焼器4は、機体11の左右方向において第一ガスタービン要素2と第二ガスタービン要素3との間に配置されている。燃焼器4は、機体11の前後方向において、各圧縮機21,31と各タービン22,32との間に位置している。より具体的に、燃焼器4の吸気口40は、第一圧縮機21の出口21b及び第二圧縮機31の出口31bより後方に設けられ、燃焼器4の排気口41は、第一タービン22の入口22a及び第二タービン32の入口32aより前方に設けられている。燃焼器4は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3にそれぞれ接続される。燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31の少なくとも一方からの圧縮空気が流入する。
(複数の配管)
複数の配管5は、第一供給管51と、第二供給管52と、圧縮機連通管53と、第一排出管54と、第二排出管55と、タービン連通管56と、を有する。第一供給管51は、第一圧縮機21の出口21bと燃焼器4の吸気口40とを接続する。第一供給管51は、第一圧縮機21により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第二供給管52は、第二圧縮機31の出口31bと燃焼器4の吸気口40とを接続する。第二供給管52は、第二圧縮機31により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第一供給管51と第二供給管52とは、互いに内部の空気が混ざることなく独立して形成されている。
圧縮機連通管53は、第一圧縮機21の出口21bと第二圧縮機31の入口31aとを連通している。圧縮機連通管53は、第一圧縮機21で圧縮された空気を第二圧縮機31へ向けて流通させる。具体的に、圧縮機連通管53のうち空気の流通方向における上流側の端部は、第一供給管51の供給管中途部57に接続されている。供給管中途部57は、第一供給管51のうち第一圧縮機21の出口21bと燃焼器4との間に設けられた部分である。供給管中途部57は、第一供給管51の長手方向の中間部分に設けられている。圧縮機連通管53のうち空気の流通方向における下流側の端部は、第二圧縮機31の出口31bに接続されている。本実施形態において、圧縮機連通管53は、第一供給管51と連通することで第一供給管51と一体形成されている。圧縮機連通管53及び第一供給管51は、例えば供給管中途部57と対応する位置で二股状に分岐した1個のパイプ部品により形成されている。
第一排出管54は、燃焼器4の排気口41と第一タービン22の入口22aとを接続している。第一排出管54は、燃焼器4から排出された空気を第一タービン22へ向けて流通させる。第二排出管55は、燃焼器4の排気口41と第二タービン32の入口32aとを接続している。第二排出管55は、燃焼器4から排出された空気を第二タービン32へ向けて流通させる。第一排出管54と第二排出管55とは、互いに内部の空気が混ざることなく独立して形成されている。
タービン連通管56は、第一タービン22の入口22aと第二タービン32の出口32bとを連通している。タービン連通管56は、第二タービン32から排出された空気を第一タービン22へ向けて流通させる。タービン連通管56のうち空気の流通方向における上流側の端部は、第二タービン32の出口32bに接続されている。タービン連通管56のうち空気の流通方向における下流側の端部は、第一排出管54の排出管中途部58に接続されている。排出管中途部58は、第一排出管54のうち燃焼器4と第一タービン22の入口22aとの間に設けられた部分である。排出管中途部58は、第一排出管54の長手方向の中間部分に設けられている。本実施形態において、タービン連通管56は、第一排出管54と連通することで第一排出管54と一体形成されている。タービン連通管56及び第一排出管54は、例えば排出管中途部58と対応する位置で二股状に分岐した1個のパイプ部品により形成されている。
複数の配管5は、さらに第一及び第二の外気導入管45,46と、第一及び第二の排気導出管47,48と、を含む。第一の外気導入管45は、第一圧縮機21の入口21aに接続されている。第一の外気導入管45は、外気を第一圧縮機21に供給する。第二の外気導入管46は、第二圧縮機31の入口31aに接続されている。第二の外気導入管46は、外気を第二圧縮機31に供給する。第一の排気導出管47は、第一タービン22の出口22bに接続されている。第一の外気導入管45は、第一タービン22から排出された空気(ガス)を機体11の外部へ排出する。第二の排気導出管48は、第二タービン32の出口32bに接続されている。第二の外気導入管46は、第二タービン32から排出された空気(ガス)を機体11の外部へ排出する。
なお、第一及び第二の外気導入管45,46、或いは第一及び第二の排気導出管47,48は無くてもよい。すなわち、例えば外気を機体11内部に取り入れ可能又は機体11内部から外部へ空気を排出可能な空間や通路、孔等が機体11に設けられていればよく、別途配管部材を設けなくてもよい。
(複数の開閉弁)
複数の開閉弁6は、第一開閉弁61と、第二開閉弁62と、第三開閉弁63と、第四開閉弁64と、第五開閉弁65と、第六開閉弁66と、を有する。第一開閉弁61は、第一供給管51に設けられ、第一供給管51内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第二開閉弁62は、第二圧縮機31の入口31aよりも空気の流通方向の上流側に設けられている。第二開閉弁62は、第二の外気導入管46に設けられ、第二圧縮機31への空気の流入を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第三開閉弁63は、圧縮機連通管53に設けられ、圧縮機連通管53内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。各開閉弁は、例えば通電のオン/オフの切り替えによって弁を開閉する電磁弁等である。
本実施形態において、第一開閉弁61及び第三開閉弁63は、一体化された1個の部品である。具体的に、第一開閉弁61及び第三開閉弁63は、供給管中途部57に設けられた三方弁42である。三方弁42は、少なくとも次の第一状態と第二状態とに切替え可能となっている。第一状態は、第一圧縮機21と燃焼器4とが連通し(第一開閉弁61を開いた状態に対応する。)、かつ第一圧縮機21から第二圧縮機31への空気の流通が遮断された(第三開閉弁63を閉じた状態に対応する。)状態である。第二状態は、第一圧縮機21から燃焼器4への空気の流通が遮断され(第一開閉弁61を閉じた状態に対応する。)、かつ第一圧縮機21と第二圧縮機31とが連通した(第三開閉弁63を開いた状態に対応する。)状態である。なお、以下の説明では、三方弁42の動作を説明する際に、単に第一開閉弁61の開閉動作及び第三開閉弁63の開閉動作として説明する場合がある。
第四開閉弁64は、第一排出管54に設けられ、第一排出管54内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第五開閉弁65は、第二タービン32の出口32bよりも空気の流通方向の下流側に設けられている。第五開閉弁65は、第二の排気導出管48に設けられ、前記第二タービン32から外部への空気の流出を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第六開閉弁66は、タービン連通管56に設けられ、タービン連通管56内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第四開閉弁64及び第六開閉弁66は、一体化された1個の部品である。具体的に、第四開閉弁64及び第六開閉弁66は、排出管中途部58に設けられた三方弁43である。三方弁43は、少なくとも次の第一状態と第二状態とに切替え可能となっている。第一状態は、第一タービン22と燃焼器4とが連通し(第四開閉弁64を開いた状態に対応する。)、かつ第二タービン32から第一タービン22への空気の流通が遮断された(第六開閉弁66を閉じた状態に対応する。)状態である。第二状態は、燃焼器4から第一タービン22への空気の流通が遮断され(第四開閉弁64を閉じた状態に対応する。)、かつ第一タービン22と第二タービン32とが連通した(第六開閉弁66を開いた状態に対応する。)状態である。なお、以下の説明では、三方弁43の動作を説明する際に、単に第四開閉弁64の開閉動作及び第六開閉弁66の開閉動作として説明する場合がある。
(制御部)
制御部7は、吸気側の三方弁42(第一開閉弁61及び第三開閉弁63)、第二開閉弁62、排気側の三方弁43(第四開閉弁64及び第六開閉弁66)、及び第五開閉弁65の開閉を制御する。制御部7は、例えば電気的な方法により各開閉弁に信号を送信する。複数の開閉弁6は、それぞれ受信した信号により開状態又は閉状態に切り替えられる。制御部7は、航空機10の状態情報やパイロットからの操作情報に基づいて、航空機10が所定の運転モードであることを特定し、特定された運転モードの種類に応じて所定の組み合わせで各開閉弁を開閉させる。
図3は、実施形態に係る第一運転モードM1におけるガスタービンシステム1の動作説明図である。図4は、実施形態に係る第二運転モードM2におけるガスタービンシステム1の動作説明図である。図5は、実施形態に係る第三運転モードM3において第一ガスタービン要素2を停止した場合(後述する第一形態の第三運転モードM3-1)のガスタービンシステム1の動作説明図である。図6は、実施形態に係る第三運転モードM3において第二ガスタービン要素3を停止した場合(後述する第二形態の第三運転モードM3-2)のガスタービンシステム1の動作説明図である。なお、図3から図6では、制御部7の図示を省略している。
制御部7は、少なくとも第一運転モードM1(図3及び図7参照)、第二運転モードM2(図4及び図7参照)、及び第三運転モードM3(図5、図6及び図7参照)の3個の運転モードを特定可能である。
図7は、実施形態に係る航空機10の要求出力と運転モードとの関係を示すグラフである。図7のグラフは、横軸を運転モード、縦軸を要求出力としている。
図7に示すように、航空機10は、滑走離陸、もしくは垂直離陸(ホバリング)し、上昇および加速して、巡航する。そして、航空機10は、下降および減速し、ホバー(ホバリング)して、着陸する。航空機10が所定の高度に到達した後に水平方向を含む方向に移動している状態は、巡航状態である。以下の説明では、巡航状態とは、航空機10が、上昇及び加速、又は下降及び減速している状態であるものとする。また、航空機10が離陸する動作または着陸する動作を行っている状態は、離着陸状態である。
上記の飛行状態のうち、航空機10が離着陸状態である場合の要求出力は、航空機10が巡航状態である場合の要求出力よりも大きい。要求出力とは、航空機10が制御信号に応じた飛行状態に移行するため、または飛行状態を維持するために必要な電力である。航空機10の制御装置(不図示)は、要求出力を電動機14に提供し、電動機14が要求出力に基づいてロータ12を駆動させることで、制御信号に応じた飛行状態に航空機10を制御する。
複数の開閉弁6の開閉を制御する制御部7は、航空機10が離着陸状態にあるとき、第一運転モードM1に移行する。制御部7は、航空機10が巡航状態にあるとき、第二運転モードM2に移行する。換言すれば、第一運転モードM1は、航空機10が離陸又は着陸する際に使用される運転モードであり、第二運転モードM2は、航空機10が巡航する際に使用される運転モードである。第一運転モードM1は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の両方が動作する運転モードであって、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3に対する要求出力が所定値X以上の場合の運転モードである。第二運転モードM2は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の両方が動作する運転モードであって、要求出力が所定値X未満の場合の運転モードである。
さらに、制御部7は、航空機10が巡航状態にあるときであって、かつ何らかの要因により2個のガスタービン要素2,3のうち一方を停止させる必要が生じた場合に、第三運転モードM3に移行する。第三運転モードM3は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の一方が動作し、他方が動作を停止する運転モードである。より詳細には、第三運転モードM3は、第二ガスタービン要素3が動作し、第一ガスタービン要素2が動作を停止する第一形態の第三運転モードM3-1(図5参照)と、第一ガスタービン要素2が動作し、第二ガスタービン要素3が動作を停止する第二形態の第三運転モードM3-2(図6参照)と、を有する。以下の説明において、第一形態及び第二形態を区別しない場合は、単に第三運転モードM3という場合がある。
第一運転モードM1における第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の出力値はそれぞれ第一出力値である。第一出力値は、例えば100kwである。したがって、本実施形態において、第一運転モードM1におけるガスタービンシステム1全体での出力値は200kWである。
第二運転モードM2において第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の両方からの出力値の合計は第二出力値である。第二出力値は、例えば100kWである。換言すれば、第二運転モードM2における第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の出力値はそれぞれ50kWである。したがって、本実施形態において、第二運転モードM2におけるガスタービンシステム1全体での出力値は100kWである。
第三運転モードM3において第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3のうち動作している一方による出力値は第三出力値である。第三出力値は、第一運転モードM1における第一出力値と同等である。第三出力値は、例えば100kWである。したがって、本実施形態において、第三運転モードM3におけるガスタービンシステム1全体での出力値は100kWである。
(各運転モードにおけるガスタービンシステムの動作)
以下、各運転モードにおけるガスタービンシステム1の動作について説明する。始めに、第一運転モードM1におけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
図3に示すように、第一運転モードM1において、制御部7は、第一開閉弁61及び第二開閉弁62を開くとともに第三開閉弁63を閉じる。つまり、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21から燃焼器4へ空気を流通させるとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31への空気の流通を遮断する。また、第一運転モードM1において、制御部7は、第四開閉弁64及び第五開閉弁65を開くとともに第六開閉弁66を閉じる。つまり、排気側の三方弁43は、燃焼器4から第一タービン22へ空気を流通させるとともに、第二タービン32から第一タービン22への空気の流通を遮断する。
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、第一供給管51を流通して燃焼器4へ流入する。第二圧縮機31は、外気を吸入して圧縮する。第二圧縮機31により圧縮された空気は、第二供給管52を流通して燃焼器4へ流入する。これにより、燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31のそれぞれから圧縮空気が流入するので、燃焼器4に要求された出力を発生するのに十分な流量の空気が供給される。
燃焼器4から排出された空気の約半分は、第一排出管54を流通して第一タービン22に供給され、第一タービン22を回転させる。その後、空気は第一タービン22から外部へ排出される。燃焼器4から排出された空気の残りの半分は、第二排出管55を流通して第二タービン32に供給され、第二タービン32を回転させる。その後、空気は第二タービン32から外部へ排出される。
次に、第二運転モードM2におけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
図4に示すように、第二運転モードM2において、制御部7は、第一開閉弁61及び第二開閉弁62を閉じるとともに第三開閉弁63を開く。つまり、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21から燃焼器4への空気の流通を遮断するとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31へ空気を流通させる。また、第二運転モードM2において、制御部7は、第四開閉弁64及び第五開閉弁65を閉じるとともに第六開閉弁66を開く。つまり、排気側の三方弁43は、燃焼器4から第一タービン22への空気の流通を遮断するとともに、第二タービン32から第一タービン22へ空気を流通させる。
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、圧縮機連通管53を流通して第二圧縮機31へ流入する。第二開閉弁62が閉じているため、第二圧縮機31には、第一圧縮機21からの圧縮空気のみが供給される。第二圧縮機31は、第一圧縮機21からの圧縮空気をさらに圧縮する。第二圧縮機31により高い圧縮比に圧縮された空気は、第二供給管52を流通して燃焼器4へ流入する。このように、燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31を順に経て空気が段階的に圧縮されることにより、第一運転モードM1の圧縮空気よりも高圧力な圧縮空気が供給される。
燃焼器4から排出された空気は、第二排出管55を流通して第二タービン32へ供給され、第二タービン32を回転させる。第二タービン32の出口32bから排出された空気は、タービン連通管56を流通して第一タービン22の入口22aへ供給され、第一タービン22を回転させる。その後、空気は第一タービン22から外部へ排出される。
次に、第一形態の第三運転モードM3-1におけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
図5に示すように、第一形態の第三運転モードM3-1において、制御部7は、第二開閉弁62及び第五開閉弁65を開くとともに、第一開閉弁61、第三開閉弁63、第四開閉弁64及び第六開閉弁66を閉じる。つまり、吸気側の三方弁42は、第二圧縮機31から第一圧縮機21への空気の流通を遮断する。好ましくは、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21及び燃焼器4間の空気の流通も遮断する。また、排気側の三方弁43は、第二タービン32から第一タービン22への空気の流通を遮断する。好ましくは、排気側の三方弁43は、燃焼器4及び第一タービン22間の空気の流通も遮断する。これにより、制御部7は、第一ガスタービン要素2の動作を停止させ、かつ第二ガスタービン要素3を動作させる。なお、制御部7は、第一ガスタービン要素2の回転が完全に停止した後に上述の各開閉弁6の開閉制御を行ってもよい。
第二圧縮機31は、外気を吸入して圧縮する。第二圧縮機31により圧縮された空気は、第二供給管52を流通して燃焼器4へ流入する。第一形態の第三運転モードM3-1において、第二圧縮機31から燃焼器4へ供給される空気の圧縮比は、第一運転モードM1において第二圧縮機31から燃焼器4へ供給される空気の圧縮比と同等である。これにより、第一形態の第三運転モードM3-1における第二ガスタービン要素3では、第一運転モードM1における第二ガスタービン要素3の出力と同等の出力が得られる。
燃焼器4から排出された空気は、第二排出管55を流通して第二タービン32へ供給され、第二タービン32を回転させる。その後、空気は第二タービン32から外部へ排出される。
次に、第二形態の第三運転モードM3-2におけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
図6に示すように、第二形態の第三運転モードM3-2において、制御部7は、第一開閉弁61及び第四開閉弁64を開くとともに、第二開閉弁62、第三開閉弁63、第五開閉弁65及び第六開閉弁66を閉じる。つまり、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21から燃焼器4へ空気を流通させ、第一圧縮機21及び第二圧縮機31間の空気の流通を遮断する。また、排気側の三方弁43は、燃焼器4から第一タービン22へ空気を流通させ、第一タービン22及び第二タービン32間の空気の流通を遮断する。これにより、制御部7は、第二ガスタービン要素3の動作を停止させ、かつ第一ガスタービン要素2を動作させる。なお、制御部7は、第二ガスタービン要素3の回転が完全に停止した後に上述の各開閉弁6の開閉制御を行ってもよい。
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、第一供給管51を流通して燃焼器4へ流入する。第二形態の第三運転モードM3-2において、第一圧縮機21から燃焼器4へ供給される空気の圧縮比は、第一運転モードM1において第一圧縮機21から燃焼器4へ供給される空気の圧縮比と同等である。これにより、第二形態の第三運転モードM3-2における第一ガスタービン要素2では、第一運転モードM1における第一ガスタービン要素2の出力と同等の出力が得られる。
燃焼器4から排出された空気は、第一排出管54を流通して第一タービン22へ供給され、第一タービン22を回転させる。その後、空気は第一タービン22から外部へ排出される。
(作用、効果)
次に、上述のガスタービンシステム1の作用、効果について説明する。
本実施形態のガスタービンシステム1によれば、ガスタービンシステム1は、2個のガスタービン要素2,3と、各ガスタービン要素2,3にそれぞれ接続される単一の燃焼器4と、を備える。これにより、複数の圧縮機21,31により圧縮された空気を単一の燃焼器4に流入させることができる。よって、燃焼器4への空気の流入量及び空気の流速を増加させ、高い出力を得ることができる。また、ガスタービンシステム1は、2個の圧縮機21,31と燃焼器4との間、2個の圧縮機21,31同士の間、2個のタービン22,32と燃焼器4との間、及び2個のタービン22,32同士の間をそれぞれ接続する配管5(第一供給管51、第二供給管52、圧縮機連通管53、第一排出管54、第二排出管55及びタービン連通管56)と、これらの配管5内に設けられる第一から第六の開閉弁6とを有する。所望の開閉弁6を開閉制御することにより、空気が流通可能な配管5を限定することができる。これにより、2個のガスタービン要素2,3のうちいずれか1個のガスタービン要素と燃焼器4とを接続させることができる。よって、例えば何らかの不具合発生時やアイドリング時等に一方のガスタービン要素(例えば第一ガスタービン要素2)を停止させた場合であっても、動作側のガスタービン要素(例えば第二ガスタービン要素3)のみに空気を流通させ、動作側のガスタービン要素3を安定的に動作させることができる。
したがって、複数の圧縮機及21,31及びタービン22,32を有するガスタービンシステム1において、いずれかの圧縮機21,31及びタービン22,32を停止した場合であっても燃焼器4に安定的に必要流量の空気を供給できるガスタービンシステム1を提供できる。
第三運転モードM3において第一ガスタービン要素2の動作を停止させる場合、制御部7は、第二開閉弁62及び第五開閉弁65を開くとともに、第一開閉弁61、第三開閉弁63、第四開閉弁64及び第六開閉弁66を閉じる。これにより、第一ガスタービン要素2の動作を停止させつつ、第二ガスタービン要素3を動作させることができる。このとき、第一ガスタービン要素2と燃焼器4との間、及び第一ガスタービン要素2と第二ガスタービン要素3との間における空気の流通が開閉弁61,63,64,66により遮断されるので、第二ガスタービン要素3を流通する空気が第一ガスタービン要素2に向かって流出することがない。よって、第二ガスタービン要素3から燃焼器4へ安定した流量の空気を供給することができる。
第三運転モードM3において第二ガスタービン要素3の動作を停止させる場合、制御部7は、第一開閉弁61及び第四開閉弁64を開くとともに、第二開閉弁62、第三開閉弁63、第五開閉弁65及び第六開閉弁66を閉じる。これにより、第二ガスタービン要素3の動作を停止させつつ、第一ガスタービン要素2を動作させることができる。このとき、第二ガスタービン要素3と燃焼器4との間、及び第一ガスタービン要素2と第二ガスタービン要素3との間における空気の流通が開閉弁62,63,65,66により遮断されるので、第一ガスタービン要素2を流通する空気が第二ガスタービン要素3に向かって流出することがない。よって、第一ガスタービン要素2から燃焼器4へ安定した流量の空気を供給することができる。
第一ガスタービン要素2は第一発電機24を有し、第二ガスタービン要素3は第二発電機34を有する。第一発電機24は、第一圧縮機21及び第一タービン22と同軸上に設けられ、第二発電機34は、第二圧縮機31及び第二タービン32と同軸上に設けられる。これにより、第一ガスタービン要素2の第一圧縮機21及び第一タービン22の回転により第一発電機24を駆動して発電させることができる。また、第二ガスタービン要素3の第二圧縮機31及び第二タービン32の回転により第二発電機34を駆動して発電させることができる。よって、一方のガスタービン要素を停止させた場合においても、動作側のガスタービン要素に接続された発電機を用いて効果的に発電することができる。
制御部7は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の両方が動作する第一運転モードM1及び第二運転モードM2と、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の一方が動作し、他方が動作を停止する第三運転モードM3と、に切替え可能である。第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3の両方が動作する運転モードは、出力要求が所定値X以上である第一運転モードM1と、出力要求が所定値X未満である第二運転モードM2と、に切替え可能である。このように、出力要求の大きさや使用するガスタービン要素の個数に応じて複数の運転モードに切り替えることができるので、ガスタービンシステム1の効率及び不具合発生時の安全性を向上できる。
第三運転モードM3において第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3のうち動作している一方による出力値(第三出力値)は、第一運転モードM1における第一出力値と同等に設定されている。これにより、2個のガスタービン要素のうち1個のガスタービン要素の動作を停止した場合であっても、運転に支障がない程度に十分大きな出力を確保することができる。よって、ガスタービンシステム1を安定的に動作させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機連通管53の上流側の端部が第一供給管51の供給管中途部57に接続されたが、圧縮機連通管53の上流側の端部は、第一圧縮機21の出口21bに接続されていてもよい。
第一開閉弁61と第三開閉弁63はそれぞれ別個の部品であってもよい。第四開閉弁64と第六開閉弁66はそれぞれ別個の部品であってもよい。
制御部7は、第一運転モードM1、第二運転モードM2及び第三運転モードM3以外の他の運転モードを有していてもよい。ここで、上述の実施形態における第一運転モードM1では、燃焼器4の吸気側において燃焼器4と各圧縮機21,31とが並列に接続され、かつ燃焼器4の排気側において燃焼器4と各タービン22,32とが並列に接続された。また、上述の実施形態における第二運転モードM2では、燃焼器4の吸気側において燃焼器4と各圧縮機21,31とが直列に接続され、かつ燃焼器4の排気側において燃焼器4と各タービン22,32とが直列に接続された。例えば、他の運転モードとしては、燃焼器4の吸気側において燃焼器4と各圧縮機21,31とが並列に接続され、かつ燃焼器4の排気側において燃焼器4と各タービン22,32とが直列に接続されてもよい。また、燃焼器4の吸気側において燃焼器4と各圧縮機21,31とが直列に接続され、かつ燃焼器4の排気側において燃焼器4と各タービン22,32とが並列に接続されてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1 ガスタービンシステム
2 第一ガスタービン要素
3 第二ガスタービン要素
4 燃焼器
7 制御部
21 第一圧縮機
21b (第一圧縮機の)出口
22 第一タービン
22a (第一タービンの)入口
23 第一回転軸
24 第一発電機
31 第二圧縮機
31a (第二圧縮機の)入口
32 第二タービン
32b (第二タービンの)出口
33 第二回転軸
34 第二発電機
40 吸気口
51 第一供給管
52 第二供給管
53 圧縮機連通管
54 第一排出管
55 第二排出管
56 タービン連通管
61 第一開閉弁
62 第二開閉弁
63 第三開閉弁
64 第四開閉弁
65 第五開閉弁
66 第六開閉弁
M1 第一運転モード
M2 第二運転モード
M3 第三運転モード
X 所定値

Claims (5)

  1. 第一圧縮機及び前記第一圧縮機と一体回転する第一タービンを有する第一ガスタービン要素と、
    第二圧縮機及び前記第二圧縮機と一体回転する第二タービンを有する第二ガスタービン要素と、
    前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器と、
    前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口へ流通させる第一供給管と、
    前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口へ流通させる第二供給管と、
    前記第一圧縮機の出口と前記第二圧縮機の入口とを連通する圧縮機連通管と、
    前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第一タービンへ流通させる第一排出管と、
    前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第二タービンへ流通させる第二排出管と、
    前記第一タービンの入口と前記第二タービンの出口とを連通するタービン連通管と、
    前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第一開閉弁と、
    前記第二圧縮機の入口よりも空気の流通方向の上流側に設けられ、前記第二圧縮機への空気の流入を遮断可能な第二開閉弁と、
    前記圧縮機連通管に設けられ、前記圧縮機連通管内の空気の流通を遮断可能な第三開閉弁と、
    前記第一排出管に設けられ、前記第一排出管内の空気の流通を遮断可能な第四開閉弁と、
    前記第二タービンの出口よりも空気の流通方向の下流側に設けられ、前記第二タービンから外部への空気の流出を遮断可能な第五開閉弁と、
    前記タービン連通管に設けられ、前記タービン連通管内の空気の流通を遮断可能な第六開閉弁と、
    前記第一開閉弁、前記第二開閉弁、前記第三開閉弁、前記第四開閉弁、前記第五開閉弁及び前記第六開閉弁の開閉を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とするガスタービンシステム。
  2. 前記制御部は、前記第二開閉弁及び前記第五開閉弁を開くとともに、前記第一開閉弁、前記第三開閉弁、前記第四開閉弁及び前記第六開閉弁を閉じることにより、前記第一ガスタービン要素の動作を停止させ、かつ前記第二ガスタービン要素を動作させることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。
  3. 前記制御部は、前記第一開閉弁及び前記第四開閉弁を開くとともに、前記第二開閉弁、前記第三開閉弁、前記第五開閉弁及び前記第六開閉弁を閉じることにより、前記第一ガスタービン要素を動作させ、かつ前記第二ガスタービン要素の動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。
  4. 前記第一ガスタービン要素は、
    前記第一圧縮機と前記第一タービンとを接続する第一回転軸と、
    前記第一圧縮機と前記第一タービンとの間かつ前記第一回転軸と同軸上に設けられた第一発電機と、
    を有し、
    前記第二ガスタービン要素は、
    前記第二圧縮機と前記第二タービンとを接続する第二回転軸と、
    前記第二圧縮機と前記第二タービンとの間かつ前記第二回転軸と同軸上に設けられた第二発電機と、
    を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスタービンシステム。
  5. 前記制御部は、
    前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方が動作する運転モードであって、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する出力要求が所定値以上である場合の第一運転モードと、
    前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方が動作する運転モードであって、前記出力要求が前記所定値未満である場合の第二運転モードと、
    前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の一方が動作し、他方が動作を停止する第三運転モードと、
    に切替え可能であり、
    前記第一運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の出力値はそれぞれ第一出力値であり、
    前記第二運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の両方からの出力値の合計は第二出力値であり、
    前記第三運転モードにおいて前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素のうち動作している一方による出力値は第三出力値であり、
    前記第三出力値は、前記第一出力値と同等であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスタービンシステム。

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