JP7296353B2 - ガスタービンシステム - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、新たにディーゼルエンジンを追加する必要があるため、ガスタービンシステム全体のコスト及び重量が増加するおそれがある。
一方、低負荷時に対応する第二運転モードにおいて、制御部は、第一開閉弁及び第二開閉弁を閉じるとともに第三開閉弁を開く。第三開閉弁を開くと、圧縮機連通管内に空気が流通可能となり、第一圧縮機で圧縮された空気が第二圧縮機の入口へ流入する。第一圧縮機で圧縮された後、さらに第二圧縮機で圧縮された空気が燃焼器に供給される。第二運転モードにおいて第二圧縮機で圧縮された後の空気は、第一運転モードにおいて燃焼器に供給される空気よりも高い圧力を有する。このように、第二運転モードでは、複数の圧縮機により多段圧縮されることにより圧力の高い空気が燃焼器へ供給されるので、エンジンサイクルの改善により、エネルギー効率を高めることができる。よって、ガスタービンシステムの低燃費化を実現できる。
さらに、複数の開閉弁の開閉動作により上述の各運転モードを切り替えることができるので、従来技術のように低負荷時用のディーゼルエンジンを別途設ける必要が無い。このため、第一運転モードと第二運転モードとの切り替えを容易にして高出力及び低燃費を両立しつつ、ディーゼルエンジンを有する従来技術と比較してコストや重量の増加を抑制することができる。また、開閉弁の開閉を制御するだけで運転モードを切り替えることができるので、ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンとを切り替える従来技術と比較して、運転モードの切り替えに係る構成を簡素化できる。
したがって、高出力及び低燃費を両立しつつ、コスト及び重量の増加を抑制したガスタービンシステムを提供できる。
一方、第二運転モードにおいて、制御部は、第四開閉弁及び第五開閉弁を閉じるとともに第六開閉弁を開く。第六開閉弁を開くと、タービン連通管内に空気が流通可能となり、第二タービンの出口と第一タービンの入口とが連通する。燃焼器の排気は、第二タービン及び第一タービンを順に経て排出される。これにより、少ない空気量でも2個のタービンを効率的に回転させることができる。よって、エネルギー効率を高めることができる。
図1は、実施形態に係るガスタービンシステムを搭載した航空機10の外観図である。
航空機10は、例えば、機体11と、複数のロータ12A~12Dと、複数の電動機14A~14Dと、取り付け部材16A~16Dと、ガスタービンシステム1と、を備える。以下、複数のロータ12A~12Dを互いに区別しない場合は、ロータ12と称し、複数の電動機14A~14Dを互いに区別しない場合は、電動機14と称する。
ガスタービンシステム1は、航空機10の内部に搭載されている。ガスタービンシステム1は、航空機10のロータ12A~12D(図1参照)を駆動させる動力源となる電力を発電する。ガスタービンシステム1は、いわゆるガスタービンエンジンからなる。ガスタービンシステム1は、第一ガスタービン要素2と、第二ガスタービン要素3と、単一の燃焼器4と、複数の配管5と、複数の開閉弁6と、制御部7と、を備える。
第一ガスタービン要素2は、第一圧縮機21と、第一タービン22と、第一回転軸23と、第一発電機24と、を有する。第一圧縮機21は、航空機10の機体11に設けられた不図示の通風孔から吸入される吸入空気を圧縮するファン動翼である。第一タービン22は、第一圧縮機21と接続されて第一圧縮機21と一体回転する。第一回転軸23は、第一圧縮機21と第一タービン22とを連結している。第一回転軸23は、例えば機体11の前後方向(ヨー軸)に平行な方向に沿って延びている。第一回転軸23の前端部に第一圧縮機21が接続されている。第一回転軸23の後端部に第一タービン22が接続されている。
また、以下の説明において、圧縮機及びタービンのうち、空気の流通方向の上流側に位置して空気が流入する部分を「入口21a,22a,31a,32a」といい、空気の流通方向の下流側に位置して空気が排出される部分を「出口21b,22b,31b,32b」という場合がある。
燃焼器4は、2個のガスタービン要素(第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3)に対して1個設けられる。燃焼器4は、機体11の左右方向において第一ガスタービン要素2と第二ガスタービン要素3との間に配置されている。燃焼器4は、機体11の前後方向において、各圧縮機21,31と各タービン22,32との間に位置している。より具体的に、燃焼器4の吸気口40は、第一圧縮機21の出口21b及び第二圧縮機31の出口31bより後方に設けられ、燃焼器4の排気口41は、第一タービン22の入口22a及び第二タービン32の入口32aより前方に設けられている。燃焼器4は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3にそれぞれ接続される。燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31の少なくとも一方からの圧縮空気が流入する。
複数の配管5は、第一供給管51と、第二供給管52と、圧縮機連通管53と、第一排出管54と、第二排出管55と、タービン連通管56と、を有する。第一供給管51は、第一圧縮機21の出口21bと燃焼器4の吸気口40とを接続する。第一供給管51は、第一圧縮機21により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第二供給管52は、第二圧縮機31の出口31bと燃焼器4の吸気口40とを接続する。第二供給管52は、第二圧縮機31により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第一供給管51と第二供給管52とは、互いに内部の空気が混ざることなく独立して形成されている。
複数の開閉弁6は、第一開閉弁61と、第二開閉弁62と、第三開閉弁63と、第四開閉弁64と、第五開閉弁65と、第六開閉弁66と、を有する。第一開閉弁61は、第一供給管51に設けられ、第一供給管51内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第二開閉弁62は、第二圧縮機31の入口31aよりも空気の流通方向の上流側に設けられている。第二開閉弁62は、第二の外気導入管46に設けられ、第二圧縮機31への空気の流入を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第三開閉弁63は、圧縮機連通管53に設けられ、圧縮機連通管53内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。各開閉弁は、例えば通電のオン/オフの切り替えによって弁を開閉する電磁弁等である。
制御部7は、吸気側の三方弁42(第一開閉弁61及び第三開閉弁63)、第二開閉弁62、排気側の三方弁43(第四開閉弁64及び第六開閉弁66)、及び第五開閉弁65の開閉を制御する。制御部7は、例えば電気的な方法により各開閉弁に信号を送信する。複数の開閉弁6は、それぞれ受信した信号により開状態又は閉状態に切り替えられる。制御部7は、航空機10の状態情報やパイロットからの操作情報に基づいて、航空機10が所定の運転モードであることを特定し、特定された運転モードの種類に応じて所定の組み合わせで各開閉弁を開閉させる。
制御部7は、少なくとも第一運転モードM1(図3及び図5参照)と第二運転モードM2(図4及び図5参照)との2個の運転モードを特定可能である。
図5に示すように、航空機10は、滑走離陸、もしくは垂直離陸(ホバリング)し、上昇および加速して、巡航する。そして、航空機10は、下降および減速し、ホバー(ホバリング)して、着陸する。航空機10が所定の高度に到達した後に水平方向を含む方向に移動している状態は、巡航状態である。以下の説明では、巡航状態とは、航空機10が、上昇及び加速、又は下降及び減速している状態であるものとする。また、航空機10が離陸する動作または着陸する動作を行っている状態は、離着陸状態である。
以下、各運転モードにおけるガスタービンシステム1の動作について説明する。始めに、第一運転モードM1におけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
図3に示すように、第一運転モードM1において、制御部7は、第一開閉弁61及び第二開閉弁62を開くとともに第三開閉弁63を閉じる。つまり、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21から燃焼器4へ空気を流通させるとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31への空気の流通を遮断する。また、第一運転モードM1において、制御部7は、第四開閉弁64及び第五開閉弁65を開くとともに第六開閉弁66を閉じる。つまり、排気側の三方弁43は、燃焼器4から第一タービン22へ空気を流通させるとともに、第二タービン32から第一タービン22への空気の流通を遮断する。
図4に示すように、第二運転モードM2において、制御部7は、第一開閉弁61及び第二開閉弁62を閉じるとともに第三開閉弁63を開く。つまり、吸気側の三方弁42は、第一圧縮機21から燃焼器4への空気の流通を遮断するとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31へ空気を流通させる。また、第二運転モードM2において、制御部7は、第四開閉弁64及び第五開閉弁65を閉じるとともに第六開閉弁66を開く。つまり、排気側の三方弁43は、燃焼器4から第一タービン22への空気の流通を遮断するとともに、第二タービン32から第一タービン22へ空気を流通させる。
次に、上述のガスタービンシステム1の作用、効果について説明する。
本実施形態のガスタービンシステム1によれば、ガスタービンシステム1は、2個のガスタービン要素2,3と単一の燃焼器4とを備える。制御部7は、要求出力が所定値X以上である場合の第一運転モードM1と、要求出力が所定値X未満である場合の第二運転モードM2と、に切り替え可能となっている。高負荷時に対応する第一運転モードM1において、制御部7は、第一開閉弁61及び第二開閉弁62を開くとともに第三開閉弁63を閉じる。第三開閉弁63を閉じると、圧縮機連通管53内における第一圧縮機21から第二圧縮機31への空気の流通が遮断される。このため、各圧縮機21,31により圧縮された空気は単一の燃焼器4にそれぞれ流入する。よって、燃焼器4への空気の流入量が増加するので、ガスタービンシステム1から高い出力を得ることができる。
したがって、高出力及び低燃費を両立しつつ、コスト及び重量の増加を抑制したガスタービンシステム1を提供できる。
一方、第二運転モードM2において、制御部7は、第四開閉弁64及び第五開閉弁65を閉じるとともに第六開閉弁66を開く。第六開閉弁66を開くと、タービン連通管56内に空気が流通可能となり、第二タービン32の出口32bと第一タービン22の入口22aとが連通する。燃焼器4の排気は、第二タービン32及び第一タービン22を順に経て排出される。これにより、少ない空気量でも2個のタービンを効率的に回転させることができる。よって、エネルギー効率を高めることができる。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機連通管53の上流側の端部が第一供給管51の供給管中途部57に接続されたが、圧縮機連通管53の上流側の端部は、第一圧縮機21の出口21bに接続されていてもよい。但し、圧縮機連通管53を第一供給管51の供給管中途部57に接続することで、圧縮機連通管53及び第一供給管51を一体形成し、部品点数や重量の増加を抑制できる点で、実施形態の構成は優位性がある。
同様に、第四開閉弁64と第六開閉弁66はそれぞれ別個の部品であってもよい。但し、部品点数、重量及びコストの増加を抑制できる点で、第四開閉弁64と第六開閉弁66とが1個の三方弁43により構成される本実施形態の構成は優位性がある。
2 第一ガスタービン要素
3 第二ガスタービン要素
4 燃焼器
7 制御部
10 航空機
21 第一圧縮機
21b (第一圧縮機の)出口
22 第一タービン
22a (第一タービンの)入口
23 第一回転軸
24 第一発電機
31 第二圧縮機
31a (第二圧縮機の)入口
32 第二タービン
32b (第二タービンの)出口
33 第二回転軸
34 第二発電機
40 吸気口
42 (吸気側の)三方弁
43 (排気側の)三方弁
51 第一供給管
52 第二供給管
53 圧縮機連通管
54 第一排出管
55 第二排出管
56 タービン連通管
57 供給管中途部
58 排出管中途部
61 第一開閉弁
62 第二開閉弁
63 第三開閉弁
64 第四開閉弁
65 第五開閉弁
66 第六開閉弁
M1 第一運転モード
M2 第二運転モード
X 所定値
Claims (6)
- 第一圧縮機及び前記第一圧縮機と一体回転する第一タービンを有する第一ガスタービン要素と、
第二圧縮機及び前記第二圧縮機と一体回転する第二タービンを有する第二ガスタービン要素と、
前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器と、
前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口へ流通させる第一供給管と、
前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口へ流通させる第二供給管と、
前記第一圧縮機の出口と前記第二圧縮機の入口とを連通する圧縮機連通管と、
前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第一開閉弁と、
前記第二圧縮機の入口よりも空気の流通方向の上流側に設けられ、前記第二圧縮機への空気の流入を遮断可能な第二開閉弁と、
前記圧縮機連通管に設けられ、前記圧縮機連通管内の空気の流通を遮断可能な第三開閉弁と、
前記第一開閉弁、前記第二開閉弁及び前記第三開閉弁の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する要求出力が所定値以上の場合の第一運転モードと、前記要求出力が前記所定値未満の場合の第二運転モードと、に切替え可能であり、
前記第一運転モードにおいて、前記制御部は、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を開くとともに前記第三開閉弁を閉じ、
前記第二運転モードにおいて、前記制御部は、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を閉じるとともに前記第三開閉弁を開くことを特徴とするガスタービンシステム。 - 航空機に搭載され、
前記第一運転モードは、前記航空機の離着陸に使用される運転モードであり、
前記第二運転モードは、前記航空機の巡航に使用される運転モードであり、
前記第一運転モードにおいて、前記燃焼器には、前記第一圧縮機及び前記第二圧縮機のそれぞれから圧縮空気が供給され、
前記第二運転モードにおいて、前記燃焼器には、前記第一圧縮機及び前記第二圧縮機を順に経て空気が段階的に圧縮されることにより、前記第一運転モードの圧縮空気よりも高圧力な圧縮空気が供給されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。 - 前記圧縮機連通管は、前記第一供給管における前記第一圧縮機と前記燃焼器との間の供給管中途部に接続されて前記第一供給管と連通することで前記第一供給管と一体形成され、
前記第一開閉弁及び前記第三開閉弁は、前記供給管中途部に設けられた三方弁であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスタービンシステム。 - 前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第一タービンへ流通させる第一排出管と、
前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第二タービンへ流通させる第二排出管と、
前記第一タービンの入口と前記第二タービンの出口とを連通するタービン連通管と、
前記第一排出管に設けられ、前記第一排出管内の空気の流通を遮断可能な第四開閉弁と、
前記第二タービンの出口よりも空気の流通方向の下流側に設けられ、前記第二タービンから外部への空気の流出を遮断可能な第五開閉弁と、
前記タービン連通管に設けられ、前記タービン連通管内の空気の流通を遮断可能な第六開閉弁と、
を備え、
前記制御部は、前記第四開閉弁、前記第五開閉弁及び前記第六開閉弁の開閉を制御し、
前記第一運転モードにおいて、前記制御部は、前記第四開閉弁及び前記第五開閉弁を開くとともに前記第六開閉弁を閉じ、
前記第二運転モードにおいて、前記制御部は、前記第四開閉弁及び前記第五開閉弁を閉じるとともに前記第六開閉弁を開くことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスタービンシステム。 - 前記タービン連通管は、前記第一排出管における前記第一タービンと前記燃焼器との間の排出管中途部に接続されて前記第一排出管と連通することで前記第一排出管と一体形成され、
前記第四開閉弁及び前記第六開閉弁は、前記排出管中途部に設けられた三方弁であることを特徴とする請求項4に記載のガスタービンシステム。 - 前記第一ガスタービン要素は、
前記第一圧縮機と前記第一タービンとを接続する第一回転軸と、
前設第一圧縮機と前記第一タービンとの間かつ前記第一回転軸と同軸上に設けられた第一発電機と、
を有し、
前記第二ガスタービン要素は、
前記第二圧縮機と前記第二タービンとを接続する第二回転軸と、
前設第二圧縮機と前記第二タービンとの間かつ前記第二回転軸と同軸上に設けられた第二発電機と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガスタービンシステム。
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- 2020-10-20 JP JP2020175916A patent/JP7296353B2/ja active Active
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