JP2022065916A - 診断支援装置、診断支援方法、およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 医療用撮影装置によって取得された画像に基づいて診断を支援する装置において、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定し得るものを提供すること。【解決手段】 この診断支援装置24では、モダリティ10で撮像される胸部単純X線写真が用いられる。椎体骨折部位が存在すると判定される写真と、存在しないと判定される写真とに基づいて、椎体骨折部位の存在可能性が機械学習により学習される。胸部単純X線写真の椎体領域に、骨折部位の存在可能性が有ると判定された場合、骨折部位を含む領域に対して、他の領域と区別可能な態様の表示情報が、表示情報付与部24aにより付与される。これにより、骨折部位を含む領域を、精度良く迅速に検出することができる。【選択図】図5
Description
本発明は、医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援するための診断支援装置、診断支援方法、およびコンピュータプログラムに関する。
一般的に、医師が診断する際には、医師自身の経験や、所定の情報(例えば、症例報告書、医学書等)に基づいて、診断が行われる場合が多い。この場合、患者の所定部位を医療用の撮影装置(例えば、CT装置、MRI装置等)によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援することが知られている。
この種の診断支援においては、画像情報の処理により、病変の検出精度の向上や検出プロセスの迅速化が、可能となってきている。例えば、特許文献1では、血管部位のCT画像の処理により、血管における病変を自動的に検出する技術が、開示されている。具体的には、造影CT画像および非造影CT画像の差分に基づいて、CT画像内に位置特定された血管の石灰化プラークが、精度良く検出され得る。
ところで、日本など、高齢化が進行している国においては、加齢に伴う骨粗鬆症の罹患数が急増してきている。骨粗鬆症は、椎体骨折、大腿骨近位部骨折等の脆弱性骨折の要因となり、結果的に、疼痛、歩行困難等が現れ得る。この症状は、QOLおよびADLの低下に直結するため、適切な治療介入が求められている。
現状の治療ガイドラインにおいては、椎体骨折が認められる場合、骨密度が計測されるまでも無く、骨粗鬆症と診断されて治療介入がなされる。しかしながら、患者に椎体骨折が発生している場合であっても、その症状は、軽症または無症状である場合が多い。このため、患者が椎体骨折に気付かないまま時間経過し、骨粗鬆症に関する治療介入が、適切になされていないことがある。適切に治療介入されている事例は、全体の20%程度にも満たないとの報告もあり、適切な治療介入に向け、骨粗鬆症の患者を特定するための技術が、求められている。上記特許文献においては、この観点の課題や解決するための技術は、記載されていない。
他方、胸部単純X線写真は、種々検査のために、一般の入院時や外来受診時に撮像されるものである。このため、胸部単純X線写真は、取得される機会が多い画像情報の1つであると言える。加え、胸部単純X線写真内に、患者の椎体も映し出されるため、椎体骨折の存在の有無が確認され得る。即ち、胸部単純X線写真は、検査対象となり得るとともに、画像情報の処理として学習処理が用いられる場合、胸部単純X線写真の多量のサンプルを入手し易い。本発明は、この知見に基づくものである。
本発明の目的は、医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援するための診断支援装置、診断支援方法、およびコンピュータプログラムにおいて、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定し得るものを提供することにある。
本発明による診断支援装置は、医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援するためのものである。
本発明による診断支援装置の特徴は、画像情報として、患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真における存在可能性に応じて、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真に対して、異常に関する表示情報を付与する表示情報付与部が備えられたことにある。
これによれば、胸部単純X線写真の中から、骨に異常部位が存在する可能性が有るものを、精度良く迅速に検出することができる。ここにおいて、骨の異常部位としては、例えば、椎体骨折部位、骨粗鬆症部位、低骨密度部位等である。従って、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
上記発明に係る診断支援装置においては、表示情報付与部が、異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される椎体に骨折部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される椎体に骨折部位が存在しないと判定されるものが用いられ、機械学習による学習として、骨折部位の存在可能性が学習されるように構成され、表示情報の付与として、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真であって、存在可能性が有ると判定されるものに対し、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真内の領域であって、存在可能性が有ると判定される部位を含む領域に対して、他の領域の色彩と区別可能な色彩を付与するように構成されると好適である。
また、上記発明に係る診断支援装置においては、表示情報付与部が、異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に骨粗鬆症部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に骨粗鬆症部位が存在しないと判定されるものが用いられ、機械学習による学習として、骨粗鬆症部位の存在可能性が学習されるように構成され、表示情報の付与として、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真であって、存在可能性が有ると判定されるものに対し、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真内の領域に対し、骨粗鬆症に関する表示情報を付与するように構成されてもよい。
また、上記発明に係る診断支援装置においては、表示情報付与部が、異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に低骨密度部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に低骨密度部位が存在しないと判定されるものが用いられ、機械学習による学習として、低骨密度部位の存在可能性が学習されるように構成され、表示情報の付与として、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真であって、存在可能性が有ると判定されるものに対し、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真内の領域に対し、低骨密度に関する表示情報を付与するように構成されてもよい。
また、上記発明に係る診断支援装置においては、表示情報付与部が、機械学習による学習として、異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真に対応する情報が、ニューラルネットワーク構造の深層学習アルゴリズムに入力され、存在可能性が有るか否かを示す情報が、深層学習アルゴリズムに基づいて出力されるように構成されると好適である。
本発明による診断支援方法は、医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援するためのものである。
本発明による診断支援方法の特徴は、画像情報として、患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真における存在可能性に応じて、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真に対して、異常に関する表示情報を付与する表示情報付与ステップが備えられたことにある。
これによっても、上記本発明による診断支援装置の効果と同様、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
本発明によるコンピュータプログラムは、医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、診断を支援するためのものである。
本発明によるコンピュータプログラムの特徴は、画像情報として、患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、コンピュータを、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真における存在可能性に応じて、X線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真に対して、異常に関する表示情報を付与する表示情報付与部として機能させることにある。
これによっても、上記本発明による診断支援装置および診断支援方法の効果と同様、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
以下、本発明による診断支援装置、診断支援方法、およびコンピュータプログラムの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<システムおよび診断支援装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る診断支援装置を適用したシステム100の機能的な構成を説明するための図であり、機能ブロック図となっている。システム100は、要素としてモダリティ10と、コンピュータ20とを備えている。
図1は、本発明の実施形態に係る診断支援装置を適用したシステム100の機能的な構成を説明するための図であり、機能ブロック図となっている。システム100は、要素としてモダリティ10と、コンピュータ20とを備えている。
モダリティ10は、医療用のX線撮影装置であり、図示しないインターフェイスによりコンピュータ20と接続されている。モダリティ10は、患者の所定部位を撮像可能に構成されており、取得された画像情報(胸部単純X線写真A10)は、コンピュータ20に順次送られるようになっている。
図2は、モダリティ10によって取得される胸部単純X線写真A10の例を説明するための図である。モダリティ10により、検査として患者の正面胸部が撮像される場合、非造影の胸部単純X線写真A10が取得される。胸部単純X線写真A10においては、X線の吸収が大きい部位である骨に対応する領域A11は、白色を呈し、X線の吸収が小さい部位に対応する領域A12は、黒色または灰色を呈する。骨に対応する領域A11は、椎体領域A13を含んでいる。椎体領域A13は、頚椎の一部、胸椎、腰椎の一部にそれぞれ対応する領域で構成される。
コンピュータ20は、入力部21、表示部22、記憶部23、診断支援装置24、および情報処理制御部25を備えている。
入力部21は、キーボード等であり、操作者による情報入力のためのデバイスである。表示部22は、モニタ等であり、各種処理された情報を視認可能な映像として表示するためのデバイスである。記憶部23は、ハードディスク装置、不揮発性メモリ等であり、画像情報等の各種情報やプログラムなどを記憶しているデバイスである。
診断支援装置24は、表示情報付与部24aを備えている。表示情報付与部24aは、胸部単純X線写真A10内に写し出される骨において、異常部位の存在可能性があると判定される部位を含む領域Bに対して、表示情報を付与する(後述する図6を参照)。この表示情報の付与としては、領域Bに対し、他の領域の色彩と区別可能な色彩が付与される。区別可能な色彩として、操作者により設定可能となっており、白色・黒色・灰色以外の色彩であって、例えば、読影医の注意を惹く色彩である赤色等が用いられると好適である。
ここにおいて、異常部位の存在可能性の判定には、異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真に基づく機械学習による学習が適用される。異常胸部単純X線写真は、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定されるものである。正常胸部単純X線写真は、胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在しないと判定されるものである。本実施形態における骨の異常部位としては、椎体の骨折部位が相当する。また、機械学習による学習として、深層学習アルゴリズムが用いられる(後述する図4を参照)。深層学習アルゴリズムにより、胸部単純X線写真A10が入力される場合、「椎体に骨折部位が存在する可能性が有る」または「椎体に骨折部位が存在可能性は無い」という判定が、2値分類的に出力され得る。加えて、椎体の所定部位であって、骨折の可能性が有ると判定される部位が、特定され得る。
異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真においては、外部医療機関等にて撮像されたものを用いてもよいし、本システム100のモダリティ10により、別途取得して学習に用いてもよい。また、異常胸部単純X線写真としては、撮像対象の患者年齢が65歳以上のものであって、胸椎(Th1~Th12)および腰椎(L1、L2)のうち何れか一箇所または複数箇所に骨折の既往があり、受傷後に撮像された胸部単純X線写真が用いられると好適である。一方、正常胸部単純X線写真としては、撮像対象の患者年齢が65歳以上のものであって、胸椎(Th1~Th12)および腰椎(L1、L2)のうち何れにも骨折の既往がない状態で撮像された胸部単純X線写真が用いられると好適である。
異常胸部単純X線写真において、椎体での骨折の判定は、椎体の変形度に基づいてもよい。例えば、椎体の変形度が、判定量的評価法における4段階グレード(グレード0、1、2、および3)のうち、グレード2、および3に相当する変形度に該当する場合、椎体に骨折が有ると判定される。この場合、グレード2、および3相当の変形度として、正常時の椎体高・椎体面積に比して、椎体高が25%以上低下・椎体面積が20%以上減少していると、骨折が有ると判定される。一方、これらの判定条件から除外される胸部単純X線写真は、正常胸部単純X線写真となる。
図3は、学習における胸部単純X線写真の前処理を説明するための図である。異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真は、学習の前に、それぞれ画像処理されると好適である。前処理として、例えば、1つの胸部単純X線写真のオリジナル画像C10に対し、2通りの画像処理が実行されて、オリジナル画像C10に対応する上部フォーカス画像C11および下部フォーカス画像C12が、それぞれ取得される。
上述した2通りの画像処理うち、上部フォーカス画像C11の画像処理としては、胸部単純X線写真内において、上位胸椎(Th1~Th6)および中位胸椎(Th7~Th10)の領域がフォーカスされるよう、オリジナル画像C10のウィンドウレベル・ウィンドウ幅が調整される。下部フォーカス画像C12の画像処理としては、胸部単純X線写真内において、下位胸椎(Th11、Th12)および腰椎の領域がフォーカスされるよう、オリジナル画像C10のウィンドウレベル・ウィンドウ幅が調整される。深層学習アルゴリズムには、異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真ともに、オリジナル画像C10、上部フォーカス画像C11、および下部フォーカス画像C12が、それぞれ入力されるようになっている。
図4は、学習処理にて用いられる深層学習アルゴリズムを説明するための図である。異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真(オリジナル画像C10、上部フォーカス画像C11、および下部フォーカス画像C12)が入力される学習アルゴリズムは、ニューラルネットワークD10を備えた深層学習アルゴリズムとなっている。ニューラルネットワークD10は、入力層D11、複数の中間層D12、出力層D13を備えている。
入力される各画像は、224×224ピクセルの画像情報であり、入力層D11のノード数は、224×224=50,176個である。入力層D11から、複数の中間層D12を介して、出力層D13に入力される値は、例えば、シグモイド関数等の所定の活性化関数F(x)に受け渡されて出力される。これにより、「椎体に骨折部位が存在する可能性が有る」に対応する値(例えば、0.5≦F(x)<1)、または「椎体に骨折部位が存在する可能性は無い」に対応する値(例えば、0<F(x)<0.5)が、2値分類的に出力され得る。加え、椎体の所定部位であって、骨折の可能性が有ると判定される部位が、特定され得る。この深層学習アルゴリズムは、多数の学習用の画像情報、および、教師データとの照らし合わせに基づいて、最適解が出力されるように構成される。このため、深層学習アルゴリズムを用いることで、ユーザにより、別途特徴量を算出する等の手間が不要となり得る。
情報処理制御部25は、入力部21、表示部22、記憶部23、および診断支援装置24とそれぞれ接続されており、コンピュータ20全体を制御するようになっている。情報処理制御部25は、診断支援装置24に向けて、モダリティ10によって取得された胸部単純X線写真A10に対応する画像情報に対して、上述した前処理(ウィンドウ処理)、骨折部位の存在可能性判定・特定処理、および表示情報の付与処理の実行を指示する。
また、情報処理制御部25は、各機能部からの要求に応じて、例えば、胸部単純X線写真A10に対応する画像情報(診断支援装置24による処理後の画像情報も含む)の表示、蓄積、検索等の処理も、実行されるようになっている。以上の情報処理は、記憶されているプログラムがメモリにロードされ、CPUにてそれぞれ実行される。
<システムおよび診断支援装置の作動>
図5は、システム100および診断支援装置24の作動を説明するためのフローチャートである。先ず、ステップ501にて、モダリティ10により患者の胸部が撮影され、胸部単純X線写真A10が取得される。胸部単純X線写真A10は、画像情報としてコンピュータ20に受け渡される。
図5は、システム100および診断支援装置24の作動を説明するためのフローチャートである。先ず、ステップ501にて、モダリティ10により患者の胸部が撮影され、胸部単純X線写真A10が取得される。胸部単純X線写真A10は、画像情報としてコンピュータ20に受け渡される。
次いで、ステップ502にて、診断支援装置24により、受け渡された胸部単純X線写真A10に対応する画像情報に対して、前処理が実行される。前処理として、胸部単純X線写真A10のウィンドウ処理が実行されて、1つの胸部単純X線写真A10から、オリジナル画像C10、上部フォーカス画像C11、および下部フォーカス画像C12が生成される。
次いで、ステップ503にて、診断支援装置24により、椎体の骨折部位の存在可能性が有るか否かの判定、および骨折部位の特定が実行される。前処理にて生成されたオリジナル画像C10、上部フォーカス画像C11、および下部フォーカス画像C12が、上述した深層学習アルゴリズムに入力される。「椎体に骨折部位が存在する可能性が有る」に対応する値が出力される場合、同時に、椎体領域A13のうち骨折の可能性が有ると判定される部位が特定される。この場合、ステップ503にて、「Yes」と判定されて、ステップ504に進む。
次いで、ステップ504にて、表示情報付与部24aにより、胸部単純X線写真A10内の領域であって、上述のように判定・特定された部位を含む領域Bに対して、他の領域の色彩と区別可能な色彩である赤色が付与される。
次いで、ステップ505にて、表示部22により、胸部単純X線写真A10を映像表示する。この場合、図6に示すように、胸部単純X線写真A10の椎体領域A13において、赤色の領域Bが表示される。これにより、読影医により、領域Bに含まれる椎体の部位に、骨折の可能性があると容易に認識され得る。この領域Bの表示は、陳旧性椎体骨折の診断支援に対し、特に有効となり得る。
一方、ステップ503にて、上述した深層学習アルゴリズムの出力として、「椎体に骨折部位が存在する可能性は無い」に対応する値が出力される場合、「No」と判定されて、ステップ505に直ちに進む。この場合、ステップ505にて、領域Bが存在しない胸部単純X線写真A10が、そのまま映像表示される。
以上、本発明の実施形態に係る診断支援装置24によれば、胸部単純X線写真A10の中から、椎体領域A13における骨折の可能性があると判定される部位を、精度良く迅速に検出することができる。従って、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採ることができる。上記実施形態では、椎体の骨折部位の存在可能性が判定されていたが、これに代えて、骨粗鬆症部位の存在可能性が判定されるようにしてもよい。以下、上記実施形態と異なる部分を説明する。
この場合、学習に用いられる異常胸部単純X線写真には、胸部単純X線写真内に写し出される骨に骨粗鬆症部位が存在すると判定されるものが用いられる。正常胸部単純X線写真には、胸部単純X線写真内に写し出される骨に骨粗鬆症部位が存在しないと判定されるものが用いられる。
異常胸部単純X線写真において、骨粗鬆症の判定としては、骨粗鬆症の診断ガイドラインに基づいてもよい。例えば、椎体に脆弱性骨折が認められる場合、骨粗鬆症部位が存在すると判定される。また、他の骨部位(肋骨骨折など)に脆弱性骨折が認められ、かつ、骨密度BMDが若年平均YAMの80%未満である場合も、骨粗鬆症部位が存在すると判定される。また、大腿骨近位部骨折の家族歴があり、かつ、BMDがYAMの70%以上かつ80%未満である場合も、骨粗鬆症部位が存在すると判定される。また、BMDがYAMの70%未満である場合も、骨粗鬆症部位が存在すると判定される。一方、これらの判定条件から除外される胸部単純X線写真は、正常胸部単純X線写真となる。
この変形例では、深層学習アルゴリズムにおいて、ニューラルネットワークD10の出力層D13より、「骨に骨粗鬆症部位が存在する可能性が有る」に対応する値(例えば、0.5≦F(x)<1)、または「骨に骨粗鬆症部位が存在する可能性は無い」に対応する値(例えば、0<F(x)<0.5)が、2値分類的に出力され得る。
この変形例では、表示情報付与部24aは、上述した領域Bに対して、他の領域の色彩と区別可能な色彩を付与するのに代えて、骨粗鬆症部位が存在すると判定される胸部単純X線写真A10内の領域に対し、骨粗鬆症に関する表示情報が付与されるように構成される。骨粗鬆症に関する表示情報としては、例えば、「骨粗鬆症の可能性有り」等のテキスト表示が付与される。
この場合の作動としては、図7に示すように、上記実施形態でのステップ503に対応するステップ701にて、診断支援装置24により、骨粗鬆症部位の存在可能性が有るか否かの判定が実行される。深層学習アルゴリズムにより、「骨に骨粗鬆症部位が存在する可能性が有る」に対応する値が出力される場合、ステップ701にて、「Yes」と判定されて、ステップ702に進む。
次いで、ステップ702にて、表示情報付与部24aにより、胸部単純X線写真A10内の領域に対し、所定位置に「骨粗鬆症の可能性有り」のテキスト表示が付与される。次いで、ステップ505に進む。この場合、図8に示すように、胸部単純X線写真A10において、「骨粗鬆症の可能性有り」と視認できるテキストEが表示される。これにより、読影医により、骨粗鬆症の可能性があると容易に認識され得る。
この実施形態の変形例によれば、胸部単純X線写真A10の中から、骨粗鬆症の可能性があると判定される胸部単純X線写真A10を、精度良く迅速に検出することができる。従って、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
また、上記実施形態では、椎体の骨折部位の存在可能性が判定されていたが、これに代えて、低骨密度部位の存在可能性が判定されるようにしてもよい。以下、上記実施形態と異なる部分を説明する。
この場合、学習に用いられる異常胸部単純X線写真には、胸部単純X線写真内に写し出される骨に低骨密度部位が存在すると判定されるものが用いられる。正常胸部単純X線写真には、胸部単純X線写真内に写し出される骨に低骨密度部位が存在しないと判定されるものが用いられる。
異常胸部単純X線写真において、低骨密度の判定としては、BMDがYAMの70%以下である場合、低骨密度部位が存在すると判定される。一方、この判定条件から除外される胸部単純X線写真は、正常胸部単純X線写真となる。
この変形例では、深層学習アルゴリズムにおいて、上述した2値分類の出力がなされるのに代えて、推定された骨密度(の範囲)が出力される。この場合、異常胸部単純X線写真および正常胸部単純X線写真と、骨密度(BMDがYAMの0%~100%の範囲)とが、セットとなって学習が実行される。ニューラルネットワークD10の出力層D13では、多クラス分類がなされるよう、例えば、ソフトマックス関数等の所定の活性化関数が用いられる。多クラス分類としては、例えば、BMDがYAMの75%~71%、70%~66%、65%~61%、60%~56%のように、5%の数値幅をもって範囲ごとにクラス分類がなされる。また、数値幅を増減することで、連続性を調整するようにしてもよい。これにより、胸部単純X線写真A10の各クラスに分類される可能性が、それぞれ出力され得、もっとも分類される可能性が高いクラスが抽出されることで、骨密度(の範囲)が推定され得る。そして、推定された骨密度に基づいて「骨に低骨密度部位が存在する可能性が有る」と判定され得る。例えば、推定された骨密度が、BMDがYAMの70%以下の範囲となる場合、「骨に低骨密度部位が存在する可能性が有る」と判定される。
この変形例では、表示情報付与部24aは、上述した領域Bに対して、他の領域の色彩と区別可能な色彩を付与するのに代えて、低骨密度部位が存在すると判定される胸部単純X線写真A10内の領域に対し、低骨密度に関する表示情報が付与されるように構成される。低骨密度に関する表示情報としては、例えば、「YAM70%~66%」等、推定された骨密度に対応するテキスト表示が付与される。
この場合の作動としては、図9に示すように、上記実施形態でのステップ503に対応するステップ901にて、診断支援装置24により、低骨密度部位の存在可能性が有るか否かの判定が実行される。深層学習アルゴリズムにより骨密度が推定され、推定された骨密度が「BMDがYAMの70%以下の範囲」である場合、ステップ901にて、「Yes」と判定されて、ステップ902に進む。
次いで、ステップ902にて、表示情報付与部24aにより、胸部単純X線写真A10内の領域に対し、所定位置に、推定された骨密度に対応するテキスト表示が付与される。次いで、ステップ505に進む。この場合、図10に示すように、例えば、「BMDがYAMの70%~66%」のように骨密度が推定されたとき、胸部単純X線写真A10において、「YAM70%~66%」と視認できるテキストEが表示される。これにより、読影医により、低骨密度の可能性があると容易に認識され得る。
この実施形態の変形例によれば、胸部単純X線写真A10の中から、低骨密度の可能性があると判定される胸部単純X線写真A10を、精度良く迅速に検出することができる。従って、骨粗鬆症の患者を、精度良く迅速に特定することができる。
10…モダリティ、20…コンピュータ、24…診断支援装置、24a…表示情報付与部、A10…胸部単純X線写真、A13…椎体領域、B…領域、D10…ニューラルネットワーク、E…テキスト。
Claims (7)
- 医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、前記診断を支援するための診断支援装置において、
前記画像情報として、
前記患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、
胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に前記異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、前記異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真における前記存在可能性に応じて、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真に対して、前記異常に関する表示情報を付与する表示情報付与部を備えた診断支援装置。 - 請求項1に記載の診断支援装置において、
前記表示情報付与部は、
前記異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される椎体に骨折部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、
前記正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される椎体に前記骨折部位が存在しないと判定されるものが用いられ、
前記機械学習による学習として、前記骨折部位の前記存在可能性が学習されるように構成され、
前記表示情報の付与として、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真であって、前記存在可能性が有ると判定されるものに対し、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真内の領域であって、前記存在可能性が有ると判定される部位を含む領域に対して、他の領域の色彩と区別可能な色彩を付与するように構成された診断支援装置。 - 請求項1に記載の診断支援装置において、
前記表示情報付与部は、
前記異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に骨粗鬆症部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、
前記正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に前記骨粗鬆症部位が存在しないと判定されるものが用いられ、
前記機械学習による学習として、前記骨粗鬆症部位の前記存在可能性が学習されるように構成され、
前記表示情報の付与として、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真であって、前記存在可能性が有ると判定されるものに対し、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真内の領域に対し、前記骨粗鬆症に関する表示情報を付与するように構成された診断支援装置。 - 請求項1に記載の診断支援装置において、
前記表示情報付与部は、
前記異常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に低骨密度部位が存在すると判定されるものが用いられるとともに、
前記正常胸部単純X線写真として、胸部単純X線写真内に写し出される骨に前記低骨密度部位が存在しないと判定されるものが用いられ、
前記機械学習による学習として、前記低骨密度部位の前記存在可能性が学習されるように構成され、
前記表示情報の付与として、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真であって、前記存在可能性が有ると判定されるものに対し、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真内の領域に対し、前記低骨密度に関する表示情報を付与するように構成された診断支援装置。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の診断支援装置において、
前記表示情報付与部は、
前記機械学習による学習として、前記異常胸部単純X線写真および前記正常胸部単純X線写真に対応する情報が、ニューラルネットワーク構造の深層学習アルゴリズムに入力され、前記存在可能性が有るか否かを示す情報が、前記深層学習アルゴリズムに基づいて出力されるように構成された診断支援装置。 - 医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、前記診断を支援するための診断支援方法において、
前記画像情報として、
前記患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、
胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に前記異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、前記異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真における前記存在可能性に応じて、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真に対して、前記異常に関する表示情報を付与する表示情報付与ステップを備えた診断支援方法。 - 医師による診断に際し、患者の所定部位を医療用の撮影装置によって撮像し、取得された画像情報に基づいて、前記診断を支援するためのコンピュータプログラムにおいて、
前記画像情報として、
前記患者の胸部をX線撮影装置によって取得された胸部単純X線写真が用いられ、
コンピュータを、
胸部単純X線写真内に写し出される骨に異常部位が存在すると判定される異常胸部単純X線写真と、胸部単純X線写真内に写し出される骨に前記異常部位が存在しないと判定される正常胸部単純X線写真とに基づいて、前記異常部位の存在可能性を機械学習により学習しておき、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真における前記存在可能性に応じて、前記X線撮影装置によって取得された前記胸部単純X線写真に対して、前記異常に関する表示情報を付与する表示情報付与部として機能させるコンピュータプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020174722A JP2022065916A (ja) | 2020-10-16 | 2020-10-16 | 診断支援装置、診断支援方法、およびコンピュータプログラム |
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JP (1) | JP2022065916A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024106799A1 (ko) * | 2022-11-16 | 2024-05-23 | 연세대학교 산학협력단 | 늑골 골절에 대한 정보 제공 방법 및 이를 이용한 디바이스 |
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2020
- 2020-10-16 JP JP2020174722A patent/JP2022065916A/ja active Pending
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WO2024106799A1 (ko) * | 2022-11-16 | 2024-05-23 | 연세대학교 산학협력단 | 늑골 골절에 대한 정보 제공 방법 및 이를 이용한 디바이스 |
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