JP2022060975A - Inductor and method for manufacturing inductor - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、インダクタ、及びインダクタの製造方法に関する。 The present invention relates to an inductor and a method for manufacturing an inductor.
従来、複数の巻線部からなる巻回部を有するコイルと、コイルが埋設されるコアとを含む素体を有する表面実装インダクタが知られている。この種のインダクタには、金属磁性粉を含む複合材料を加圧成型することによってコアを形成するものがある。 Conventionally, a surface mount inductor having a prime field including a coil having a winding portion composed of a plurality of winding portions and a core in which the coil is embedded is known. Some inductors of this type form a core by pressure molding a composite material containing metallic magnetic powder.
例えば、特許文献1に記載の技術では、鉄系の金属磁性粉、他の組成系の金属磁性粉、アモルファス等の金属磁性粉、表面がガラス等の絶縁体で被覆された金属磁性粉、表面を改質した金属磁性粉、及びナノレベルの微小な金属磁性粉が用いられている。
For example, in the technique described in
従来の構成では、上記金属磁性粉からなる軟磁性材料を用いることによって、フェライト等の磁性材料を使用する場合と比べ、良好な直流重畳特性を得ている。しかし、特にコイルの巻線部近傍の磁束密度が大きくなりすぎると、磁気飽和が発生するおそれがある。 In the conventional configuration, by using the soft magnetic material made of the metal magnetic powder, better DC superimposition characteristics are obtained as compared with the case of using a magnetic material such as ferrite. However, if the magnetic flux density in the vicinity of the winding portion of the coil becomes too large, magnetic saturation may occur.
本発明は、良好な直流重畳特性が得られる磁性材料を用いても磁気飽和を抑制可能にすることを目的とする。 An object of the present invention is to make it possible to suppress magnetic saturation even by using a magnetic material capable of obtaining good DC superimposition characteristics.
本発明の一の態様は、複数の巻線部からなる巻回部を有するコイルと、前記コイルが埋設されるコアとを含む素体を有するインダクタにおいて、前記コアは、平均粒径が相対的に大きい第1軟磁性粒子と、平均粒径が相対的に小さい第2軟磁性粒子とを含み、前記素体は、前記コイルの巻回部の外周、かつ、前記巻回部から前記第1軟磁性粒子の平均粒径の5倍の距離以内に、前記巻線部が並ぶ方向に延在するエアギャップを有している。 One aspect of the present invention is an inductor having an element body including a coil having a winding portion composed of a plurality of winding portions and a core in which the coil is embedded, wherein the core has a relative average particle size. The element body is the outer periphery of the winding portion of the coil and the first from the winding portion. It has an air gap extending in the direction in which the winding portions are lined up within a distance of 5 times the average particle size of the soft magnetic particles.
本発明に係るインダクタによれば、エアギャップが磁気ギャップとして機能し、良好な直流重畳特性が得られる磁性材料を用いても磁気飽和を抑制可能になる。 According to the inductor according to the present invention, the air gap functions as a magnetic gap, and magnetic saturation can be suppressed even by using a magnetic material capable of obtaining good DC superimposition characteristics.
[インダクタ全体構成]
図1及び図2は本実施形態に係るインダクタ1の構成を模式的に示す図であり、図1はインダクタ1の天面14の側を視た斜視図、図2はインダクタ1の実装面12の側を視た斜視図である。
本実施形態のインダクタ1は、表面実装型の電子部品として構成されており、略直方体形状の素体10と、当該素体10の表面に設けられた一対の外部電極20とを備え、素体10の一面が図示しない回路基板の表面に実装される実装面12(図2)として構成され、また素体10は外部電極20を除き素体保護膜50で覆われている。
[Overall inductor configuration]
1 and 2 are views schematically showing the configuration of the
The
以下、素体10において、実装面12の対向面を天面14(図1)と言い、実装面12及び天面14以外の4面の側面のうち、コイル30の後述する引出部34が位置する一対の面を第1側面16と言い、残りの一対の面を第2側面18と言う。これら第1側面16、及び第2側面18は、後述するコイル30が備える巻回部32の径方向に位置する素体10の面でもある。以下では、対向する実装面12と天面14を、一対の主面とも称する。
Hereinafter, in the
また、図1に示すように、実装面12から天面14までの長さを素体10の高さHと定義し、天面14の短辺の長さを素体10の幅Wと定義し、長辺の長さを素体10の長さLと定義する。
Further, as shown in FIG. 1, the length from the
図3は本実施形態に係るインダクタ1の内部構成を示す透視斜視図である。
素体10は、コイル30と、当該コイル30が埋設されたコア40と、を備え、コイル30をコア40に封入したコイル封入型磁性部品として構成されている。
コイル30は導線を巻回した空芯コイル部品である。
コア40は、軟磁性粉と樹脂を混合した混合粉を、コイル30を内包した状態で圧粉することで略直方体形状に圧縮成型された成型体である。
FIG. 3 is a perspective perspective view showing the internal configuration of the
The
The
The
コイル30は、導線が巻回された巻回部32と、当該巻回部32から引き出された一対の引出部34とを備える。巻回部32は、導線の両端が外周に位置し、かつ内周で互いに繋がるように導線を渦巻き状に巻回して形成される。素体10の内部において、コイル30は、巻回部32の中心軸Kが素体10の高さHの方向に沿う姿勢でコア40に埋設されており、また引出部34は、巻回部32から一対の第1側面16のそれぞれまで引き出されている。
The
コイル30の形成に用いられる導線は、電気的絶縁性を有した絶縁被覆層と、当該絶縁被覆層の上に形成された融着被覆層とを有する絶縁被覆材60によって予め被覆されている。コイル形成工程では、加熱しながら導線を巻回することで融着被覆層が溶融することで巻回部32の導線同士が固着し、コイル形成後の巻回部32の型崩れが抑えられる。また絶縁被覆層によってコイル30とコア40とが確実に絶縁される。
The lead wire used for forming the
一対の外部電極20は、素体10の第1側面16のそれぞれから実装面12に亘って延びるL字状部材である。外部電極20はそれぞれ、第1側面16においてコイル30の引出部34と接続され、また実装面12に延出した部分20A(図2)が半田などの適宜の実装手段によって回路基板の配線に電気的に接続される。
The pair of
かかる構成のインダクタ1は、例えば、高周波回路のインピーダンス整合用コイル(マッチングコイル)として用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、スマートフォン、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
The
[インダクタ製造工程概要]
図4は、インダクタ1の製造工程の概要を示す図である。
同図に示すように、インダクタ1の製造工程は、造粒工程と、コイル形成工程と、素体成型・硬化工程と、素体研削工程と、素体保護膜形成工程と、素体保護膜除去工程と、外部電極形成工程と、を含む。
[Overview of inductor manufacturing process]
FIG. 4 is a diagram showing an outline of the manufacturing process of the
As shown in the figure, the manufacturing process of the
造粒工程は、コア40が含有する軟磁性粉と樹脂を混合した混合粉を造粒する工程である。軟磁性粉は、表面が絶縁膜で覆われた粒子から成っている。
The granulation step is a step of granulating a mixed powder in which the soft magnetic powder contained in the
コイル形成工程は、絶縁被覆材60によって被覆された導線からコイル30を形成する工程である。当該工程において、コイル30は、「アルファ巻」と称される巻き方で導線を巻回することにより、上述した巻回部32、及び一対の引出部34を有した形状に形成される。アルファ巻とは、導体として機能する導線の巻始めと巻終わりの引出部34が外周に位置するように渦巻き状に2段に巻回された状態を言う。コイル30のターン数は、特に限定されるものではないが、例えば6.5ターンである。
The coil forming step is a step of forming the
素体成型・硬化工程は、素体10の元と成る成型体を成型する工程である。
成型体の成型材料には、造粒工程で得られた混合粉が用いられる。
当該工程では、混合粉を予備成型してタブレット(所定形状の固形物)を作成し、当該タブレットとコイル30を成型金型のキャビティ内に配置する。次いで、キャビティを加熱しながらパンチを用いて加圧することでコイル30を内包した成型体を圧縮成型し、その後、硬化した成型体をキャビティから取り出し、この成型体に対して研磨を行う。この研磨にはバレル研磨を用いることで、成型体の角部へのR付けを行うことができる。
The prime field molding / curing step is a step of molding the molded body that is the source of the
As the molding material of the molded body, the mixed powder obtained in the granulation step is used.
In this step, the mixed powder is premolded to prepare a tablet (solid substance having a predetermined shape), and the tablet and the
予備成型したタブレットには、図5に示すように、コイル30が入り込む溝71を有した適宜形状(例えばE型など)の第1タブレット70と、当該第1タブレット70の溝71を覆う適宜形状(例えばI型や板状など)の第2タブレット72との2種類のタブレットが用いられる。圧縮成型時は、コイル30を溝71に嵌めた第1タブレット70と、第2タブレット72とを成型金型74のキャビティ75内に重ねて配置する。そして、第1タブレット70及び第2タブレット72に熱を加えながら、この重なり方向に、第1タブレット70又は/及び第2タブレット72の側(図5の例では第2タブレット72の側)からパンチ76を用いて加圧することで、第1タブレット70、コイル30、及び第2タブレット72を一体化する。
なお、予備成型したタブレットではなく、造粒工程で得られた混合粉をそのままキャビティに投入して圧縮成型してもよい。
As shown in FIG. 5, the preformed tablet has an appropriately shaped
In addition, instead of the pre-molded tablet, the mixed powder obtained in the granulation step may be directly put into the cavity and compression-molded.
圧縮成型時の加圧力Pは、図6に示すように、素体10の成型後において軟磁性粉を構成する個々の粒子80が潰れることなく成型前の形状を維持するような従前よりも低い圧力であることが好ましい。かかる加圧力Pにより、軟磁性粉を構成する個々の粒子80において、表面の絶縁膜の損傷が抑えられるため、絶縁性能低下(すなわち耐圧性能低下)が抑えられる。
As shown in FIG. 6, the applied pressure P during compression molding is lower than before so that the
また図6に示すように、軟磁性粉を構成する粒子80の粒度は2種以上(図6の例では、平均粒径が比較的大きな大粒子である第1軟磁性粒子81と、平均粒径が比較的小さな小粒子である第2軟磁性粒子82)であることが好ましい。かかる軟磁性粉によれば、圧縮成型時において、図6に示すように、大粒子である第1軟磁性粒子81の間に樹脂90と共に小粒子である第2軟磁性粒子82が入り込むため、粒子80の充填率が高い成型体(素体10)が得られる。コア40を構成する第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82の実施形態については後述する。
Further, as shown in FIG. 6, the
素体研削工程は、素体成型・硬化工程で得た成型体の第2側面18に砥粒を作用させることで、幅Wが所定幅になるまで第2側面18を削り落とす(すなわち研削する)工程である。
当該工程によって、成型体の幅Wを所定幅までダウンサイジングした素体10が得られる。かかるダウンサイジングにより、素体10内のコイル30と第2側面18との距離(サイドギャップとも言う)が縮まるため、コイル30の巻回部32の径方向におけるコイル30の占有率が高められる。また、圧縮成型で得た成型体を所定サイズに研削加工して素体10を得るため、圧縮成型だけで素体10を所定サイズに制御する場合に比べ、素体10の寸法ばらつきを低減することができる。
なお、素体研削工程において、第2側面18の研削によって生じた角を面取りするための研磨(例えばバレル研磨)を行ってもよい。
In the prime field grinding step, the
By this step, the
In the prime field grinding step, polishing (for example, barrel polishing) for chamfering the corners generated by grinding the
素体保護膜形成工程は、素体研削工程で所定サイズに研削された素体10の全表面に素体保護膜50を形成する工程である。
素体保護膜50の材料には、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。なお、これらの樹脂は酸化ケイ素、酸化チタン等を含むフィラーを更に含んでいても良い。
当該工程では、素体10の全表面に素体保護膜50の材料を、塗布やディップ等の適宜の手段により付与し、これを硬化することにより素体保護膜50を形成する。
The prime field protective film forming step is a step of forming the prime field
As the material of the element
In this step, the material of the prime field
素体保護膜除去工程は、全表面が素体保護膜50で覆われた素体10にレーザを照射することで、外部電極20が形成される電極形成箇所(本実施形態では第1側面16内の所定箇所)の素体保護膜50と、当該電極形成箇所に露出しているコイル30の引出部34の絶縁被覆材60と、を除去する工程である。
なお、素体保護膜除去工程において、レーザによる絶縁被覆材60の除去の後、電極形成箇所の表面を清浄するためにエッチング処理を行っても良い。
In the prime field protective film removing step, the electrode forming portion where the
In the prime field protective film removing step, after the insulating
外部電極形成工程は、素体保護膜除去工程において素体保護膜50が除去された電極形成箇所に、めっきによって外部電極20を形成する工程である。
当該工程において、外部電極20は、素体10の表面に露出した軟磁性粉とコイル30の引出部34に、めっき処理を行うことで形成される。このめっき処理では、銅(Cu)から形成される層をめっき成長によって形成することで外部電極20を形成する。
なお、銅(Cu)の層の上に、ニッケル(Ni)から形成される層と、スズ(Sn)から形成される層とを、この順にめっき成長によって積層形成してもよい。また銅(Cu)の層に代えて、アルミニウム(Al)や、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)の層を用いてもよい。
The external electrode forming step is a step of forming the
In this step, the
A layer formed of nickel (Ni) and a layer formed of tin (Sn) may be laminated and formed on the copper (Cu) layer by plating growth in this order. Further, instead of the copper (Cu) layer, a layer of aluminum (Al), silver (Ag), gold (Au), or palladium (Pd) may be used.
また、外部電極は、スパッタリングや導電性樹脂、銅板などを用いて形成してもよい。また、外部電極20は、図示例のL字形状に限らず、いわゆる5面電極構造であってもよく、また底面電極であってもよい。
Further, the external electrode may be formed by using sputtering, a conductive resin, a copper plate, or the like. Further, the
上記のように製造されたインダクタ1によれば、コア40としての機械強度を維持しつつコア40の比抵抗と軟磁性金属部分の比率等を高めて、信頼性が高く且つ良好な耐電圧性、透磁率、飽和磁束密度、及び直流重畳特性を実現している。
According to the
次いでインダクタ1の実施例を以下に説明する。
なお、各実施例において、特に断りがない限り、インダクタ1の寸法は、高さHが0.7±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmであり、耐電圧は約20Vである。
また、インダクタ1は、後述する[A.混合粉]、[B.コイル]、[C.磁路]、[D.素体研削]、及び[E.素体保護膜]のそれぞれに示す任意の実施例を用いて、これら実施例の任意の組み合わせにより構成され得る。
Next, an embodiment of the
In each embodiment, unless otherwise specified, the dimensions of the
Further, the
[A.混合粉]
コア40の形成に用いられる混合粉は、軟磁性粉と樹脂とを含む。
[A-1.軟磁性粉]
混合粉に含まれる軟磁性粉は、軟磁性金属の粒子で構成される軟磁性材料である。この軟磁性粉は、例えば、第1軟磁性粒子81(大粒)と、第1軟磁性粒子81より平均粒径が小さい第2軟磁性粒子82(小粒)とを含む。なお、本明細書において「平均粒径」は体積基準のメジアン径を意味する。
[A. Mixed powder]
The mixed powder used to form the core 40 contains a soft magnetic powder and a resin.
[A-1. Soft magnetic powder]
The soft magnetic powder contained in the mixed powder is a soft magnetic material composed of particles of the soft magnetic metal. The soft magnetic powder contains, for example, first soft magnetic particles 81 (large particles) and second soft magnetic particles 82 (small particles) having an average particle size smaller than that of the first soft
第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82のそれぞれの平均粒径は、これらを互いに混合する前において、それぞれ粒度分布計を用いて測定することができる。また、混合粉を加圧成型した成型体としてのコア40の状態において測定する場合には、コア40を研磨して得られる軟磁性粒子の断面の電子顕微鏡画像を解析することにより測定することができる。例えば、上記電子顕微鏡写真から各軟磁性粒子断面の円相当径を求め、各軟磁性粒子が上記円相当径を有する球であるものと仮定して、各球の体積を求め、その体積値分布の中央値から平均粒径を算出することができる。
The average particle size of each of the first soft
第1軟磁性粒子81の平均粒径は、20μm以上28μm以下であり、好ましくは21.4μm以上27.4μm以下である。第2軟磁性粒子82の平均粒径は、1μm以上6μm以下であり、好ましくは1.5μm以上1.8μm以下である。このように、混合粉を平均粒径の異なる第1軟磁性粒子81と第2軟磁性粒子82とにより構成することで、平均粒径の大きい第1軟磁性粒子81によりコア40としての飽和磁束密度を高めて直流重畳特性を向上しつつ、平均粒径の小さい第2軟磁性粒子82を第1軟磁性粒子81同士の間隙に入り込ませ、コア40における軟磁性粒子の充填率を高めて比透磁率を向上させることができる。
The average particle size of the first soft
また、混合粉に含まれる第2軟磁性粒子82の量は、その混合粉に含まれる軟磁性粒子の総重量を基準として15重量%以上30重量%以下であり、好ましくは20重量%以上30重量%以下である。軟磁性材料における第2軟磁性粒子82の含有量が上記範囲内であると、混合粉の成型体であるコア40における軟磁性粒子の充填率をより高くすることができる。
The amount of the second soft
第2軟磁性粒子82を構成する軟磁性金属の組成は第1軟磁性粒子81を構成する軟磁性金属の組成と同じであってもよいが、互いに異なる組成を有し、互いにほぼ同等の硬度を有していることが好ましい。第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82の硬度は、ナノインデンテーション法を用いて計測することができる。例えば、第1軟磁性粒子81の硬度は、600HV(kgf/mm2)以上1200HV以下であり、望ましくは800HV以上1000HV以下である。また、第2軟磁性粒子82の硬度は、900HV(kgf/mm2)以上1400HV以下であり、望ましくは900HV以上1100HV以下である。
The composition of the soft magnetic metal constituting the second soft
また、第1軟磁性粒子81の硬度に対する第2軟磁性粒子82の硬度の比は、0.7以上1.2以下であることが望ましい。これにより、これらの軟磁性粒子を含む混合粉を加圧成型してコア40を形成する際に、第1軟磁性粒子81又は第2軟磁性粒子82の硬度の低い一方の軟磁性粒子が変形してしまうのを防止して、コア40としての絶縁抵抗が低下してしまうのを防止することができる。
Further, it is desirable that the ratio of the hardness of the second soft
[A-2.樹脂]
樹脂の割合は、軟磁性粉と樹脂の総重量を基準として、2.0重量%以上3.5重量%以下である。また、樹脂は、少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂とを含み、更に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を含んでもよい。
[A-2. resin]
The ratio of the resin is 2.0% by weight or more and 3.5% by weight or less based on the total weight of the soft magnetic powder and the resin. Further, the resin contains at least a bisphenol A type epoxy resin and a rubber-modified epoxy resin, and may further contain a phenol novolac type epoxy resin.
本発明者らは、後述する評価実験により、混合粉にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を配合しない場合のビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂の好適な配合率である第1樹脂配合率を見出した。第1樹脂配合率は、混合粉に含まれる樹脂の総重量を基準として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上90重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下である。 Through the evaluation experiments described later, the present inventors have found a first resin compounding ratio which is a suitable compounding ratio of the bisphenol A type epoxy resin and the rubber-modified epoxy resin when the phenol novolac type epoxy resin is not blended in the mixed powder. .. The first resin compounding ratio is 40% by weight or more and 90% by weight or less of the bisphenol A type epoxy resin, and 10% by weight or more and 50% by weight or less of the rubber-modified epoxy resin, based on the total weight of the resins contained in the mixed powder.
ここで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、混合粉に含まれる樹脂の主成分であるが、混合粉に含まれる樹脂をビスフェノールAエポキシ樹脂のみにすると、形成される素体10が硬脆くなり易い。そこで、混合粉に含まれる樹脂にゴム変性エポキシ樹脂を配合することにより、形成される素体10に靭性を持たせて、素体10の硬脆さを改善することができる。そして、第1樹脂配合率により、混合粉に含まれる樹脂中のビスフェノールA型樹脂とゴム変性エポキシ樹脂の割合を設定し、上述した素体成型・硬化工程によってコイル30を封止した素体10を成型することにより、強度と靭性を両立させたインダクタ1を製造することができる。
Here, the bisphenol A type epoxy resin is the main component of the resin contained in the mixed powder, but if the resin contained in the mixed powder is only the bisphenol A epoxy resin, the formed
また、本発明者らは、後述する評価実験により、混合粉にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を配合する場合の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシ樹脂の好適な配合率である第2配合率を見出した。第2配合率は、混合粉に含まれる樹脂の総重量を基準として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下、フェノールノボラック型エポキシ樹脂1重量%以上30重量%以下である。
Further, in the evaluation experiment described later, the present inventors have obtained a suitable mixing ratio of the bisphenol A type epoxy resin, the rubber-modified epoxy resin and the phenol novolac type epoxy resin when the phenol novolac type epoxy resin is mixed with the mixed powder. A second compounding ratio was found. The second compounding ratio is based on the total weight of the resin contained in the mixed powder, bisphenol A
ここで、フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、上述した素体成型・硬化工程において、素体を形成する際の混合粉を流動させるときの粘度調整と、素体のガラス転移温度の調整を行って、素体が高温になったときの強度を向上させる機能を果たす。そこで、第2配合率によって、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を適切に配合することにより、素体成型時の加熱に対する素体の強度を向上させた上で、強度と靭性を両立させたインダクタ1を製造することができる。
Here, in the phenol novolac type epoxy resin, in the above-mentioned prime field molding / curing step, the viscosity when flowing the mixed powder when forming the prime field and the glass transition temperature of the prime field are adjusted. It functions to improve the strength of the prime field when it gets hot. Therefore, by appropriately blending the phenol novolac type epoxy resin with the second blending ratio, the
さらに、本発明者らは、上記第1配合率又は第2樹脂配合率により樹脂を配合した混合粉を用いて、素体を形成することによって、以下の特定構成1~特定構成3を有するインダクタを製造することができることを、知見した。
Furthermore, the present inventors have an inductor having the following
特定構成1…素体10の断面について、素体10の表面から1μm以上100μm以下の表面領域における軟磁性粒子(第1の軟磁性粒子及び第2の軟磁性粒子)と樹脂との合計面積に対する空隙の面積の割合が、素体10の中央部領域における、軟磁性粒子と樹脂との合計面積に対する空隙の面積の割合よりも小さく、中央部領域よりも表面領域の方が緻密である。
特定構成2…図1~図3を参照して、主面12,14と第2側面18とが接する稜線部分における樹脂量が、主面12,14と第1側面16とが接する稜線部分における樹脂量よりも少ない。
特定構成3…図1~図3を参照して、研磨された第1の軟磁性粒子又は研磨された第2の軟磁性粒子がコアから露出し、コアから露出した第1の軟磁性粒子又は第2の軟磁性粒子が素体保護膜50により覆われている。さらに、第2側面18の表面粗さが第1側面16の表面粗さよりも大きく、第2側面18とコイル30の巻回部32との狭い方の間隔が、第1の軟磁性粒子の径の1倍よりも大きく4倍よりも小さい。
上記特定構成1~特定構成3が得られるメカニズムについて説明する。図5を参照して上述したように、第1タブレット70にコイル30をセットして、第1タブレット70と第2タブレット72とによりコイル30を挟んで、一体化する。第1タブレット70と第2タブレット72に熱を加えながら、第1タブレット70と第2タブレット72の重なり方向に加圧することにより、混合粉が流動して、コイル30が埋設されたコアが得られる。
The mechanism for obtaining the
図7は、第1のタブレット70と第2のタブレット72とによりコイル30を挟んで、重なり方向に加圧中のコイル30周辺部を拡大した画像である。図8は、第1タブレット70の横断面図である。図7に示したように、コイル30の横の領域には、隙間s1,s2,s3ができる。そのため、第1タブレット70と第2タブレット72の重なり方向に加圧したときに、コアの外周部付近の隙間から先に混合粉が充填される。
FIG. 7 is an enlarged image of the peripheral portion of the
すなわち、コイル30の外周部付近では混合粉の移動量が多くなり、これにより、隙間が埋まり易いために充填密度が高くなり易い。それに対して、コイル30の内側の領域では、混合粉の移動量が少ないために隙間が埋まり難く、充填密度が低くなり易い。そのため、図8に示したように、コイル30の外周部s10~s13における混合粉の充填率が、コイル30の内側部分s14よりも高くなる。そのため、上記特定構成1を有するインダクタ1を得ることができる。
That is, the amount of movement of the mixed powder increases in the vicinity of the outer peripheral portion of the
素体の表面領域に空隙があると、空隙から素体内部に湿気が入ってインダクタの耐湿性が悪化するという不都合がある。また、外部電極を形成する際に、メッキ液が空隙から素体内部に入って素体の経年劣化が早まるという不都合がある。そこで、上記特定構成により、素体の表面領域の緻密度を高めることにより、これらの不都合が生じること防止することができる。 If there is a gap in the surface region of the prime field, there is a disadvantage that moisture enters the inside of the prime field from the gap and the moisture resistance of the inductor deteriorates. Further, when forming the external electrode, there is a disadvantage that the plating solution enters the inside of the prime field through the voids and the deterioration of the prime field over time is accelerated. Therefore, by increasing the density of the surface region of the prime field by the above specific configuration, it is possible to prevent these inconveniences from occurring.
ここで、図9は、インダクタ1の参照面であるLT面とWT面の説明図であり、図10は、図9に示したインダクタ1のLT面とWT面の断面の画像である。上述したように、素体10に素体保護膜が形成される前に、素体研削工程により第2側面18が研削されるが、第1側面16については研削が行われない。そのため、LT面の断面での主面(ここでは実装面)12と第2側面18とが接する稜線部分s22,s23は、第2側面と面一に金属磁性粉が研削され、稜線部分s22,s23における金属磁性粉の露出する面積が増加し、稜線部分s22,s23における樹脂量は、WT面の断面での主面12と第2側面18が接する稜線部分s20,s21における樹脂量よりも少なくなる。これにより、上記特定構成2を有するインダクタ1を得ることができる。特定構成2によれば、主面12と第2側面18が接する稜線部分付近が研削されることで、素体保護膜から突出する軟磁性粒子が低減され、インダクタの絶縁性が低下することを防止することができる。
Here, FIG. 9 is an explanatory view of an LT surface and a WT surface which are reference surfaces of the
また、図11は、上述した素体成型・硬化工程による加工後、及び素体研削工程後のLT面、及びWT面の表面の顕微鏡写真と最大高さの対比表である。最大高さSzは、表面粗さの指標値として用いられる。最大高さSzが大きいほど、表面粗さが大きいことを示している。 Further, FIG. 11 is a comparison table of the maximum height with the micrographs of the surfaces of the LT surface and the WT surface after the processing by the above-mentioned element molding / hardening process and after the element grinding process. The maximum height Sz is used as an index value of surface roughness. The larger the maximum height Sz, the larger the surface roughness.
LT面は素体研削工程によって研削され、その際に第1の軟磁性粒子又は第2の軟磁性体粒子の脱粒が生じるために、表面粗さが大きくなる。そのため、LT面の最大高さSz(50μm)は、研削が行われないMT面の最大高さSz(43μm)よりも大きくなる。LT面の表面粗さを大きくすることにより、LT面における素体保護膜とコアとの接合性を高めることができる。この表面粗さは、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス社製 VK-X250)を用いて、LT面、及びWT面の表面の中央を長手方向に沿って走査し、最大高さ(Sz)を測定することにより求めた。 The LT surface is ground by the prime field grinding step, and at that time, the first soft magnetic particles or the second soft magnetic particles are shed, so that the surface roughness becomes large. Therefore, the maximum height Sz (50 μm) of the LT surface is larger than the maximum height Sz (43 μm) of the MT surface on which grinding is not performed. By increasing the surface roughness of the LT surface, the bondability between the prime field protective film and the core on the LT surface can be improved. This surface roughness is measured by scanning the center of the surface of the LT surface and the surface of the WT surface along the longitudinal direction using a shape analysis laser microscope (VK-X250 manufactured by KEYENCE CORPORATION) and measuring the maximum height (Sz). I asked for it.
また、図12に示したように、第2側面18とコイル30との間隔SG1,SG2のうち、狭い方の間隔を第1の軟磁性粒子の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲とすることにより、素体の耐湿性を確保した上で、外形サイズを小さくした、上記特定構成3を有するインダクタ1を得ることができる。
Further, as shown in FIG. 12, of the gaps SG1 and SG2 between the
[A―2-1.第1樹脂配合率の樹脂を用いた実施形態]
上記第1樹脂配合率の樹脂を含む混合粉を用いて、上述した、造粒工程→コイル形成工程→素体成型・硬化工程→素体研削工程→素体保護膜形成工程→素体保護膜除去工程→外部電極形成工程、によりインダクタの素体の試料を作成し、各試料の素体について評価を行った。素体成型・硬化工程における製造条件は、温度135℃、加圧力10MPaである。
[A-2-1. Embodiment using the resin of the first resin compounding ratio]
Using the mixed powder containing the resin of the first resin compounding ratio, the above-mentioned granulation step → coil forming step → prime field molding / hardening step → prime field grinding step → prime field protective film forming step → prime field protective film A sample of the prime field of the inductor was prepared by the removal step → the external electrode formation step, and the prime field of each sample was evaluated. The manufacturing conditions in the prime field molding / curing process are a temperature of 135 ° C. and a pressing force of 10 MPa.
(素体強度の評価)
各試料について、3点曲げ試験装置(島津製作所製の3点曲げ試験装置AGS-5kNX)を用いて、3点曲げした時の破壊加重により強度を評価した。破壊加重が30MPa以上である場合をG(合格)とし、30MPa未満である場合をNG(不合格)とした。
(Evaluation of body strength)
The strength of each sample was evaluated by the fracture load at the time of 3-point bending using a 3-point bending test device (3-point bending test device AGS-5kNX manufactured by Shimadzu Corporation). When the fracture load was 30 MPa or more, it was regarded as G (pass), and when it was less than 30 MPa, it was regarded as NG (fail).
(靭性の評価)
各試料について、3点曲げ試験装置を用いて3点曲げ試験を行い、壊れた時の試料変形量で靭性を評価した。
(Evaluation of toughness)
A three-point bending test was performed on each sample using a three-point bending test device, and the toughness was evaluated by the amount of sample deformation when broken.
(密度の評価)
各試料について、断面の画像に対して、画像処理を行って空隙の画像部分を抽出し、断面の面積に対する空隙の画像部分の総面積の割合を算出して空隙率を測定した。
空隙率の測定は、素体を長さ方向の1/2で切断し、その切断面において、素体の表面から1μm以上100μmの領域の4箇所(各面1箇所づつ)を、それぞれ1000倍の倍率に設定した走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、その切断面に含まれる空隙を計測し、平均を算出することにより行った。 また、素体を長さ方向の1/2で切断し、その切断面において、素体の中央領域の4箇所を、それぞれ1000倍の倍率に設定した走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、その切断面に含まれる空隙を計測し、平均を算出することにより、空隙率を測定した。
その結果、試料番号b9乃至試料番号b13と、試料番号b27、試料番号b28、試料番号b32以外は素体の表面領域及び中央領域の計8点の平均の空隙率が小さく、素体の表面領域における空隙の割合が、素体の中央部領域における空隙の割合よりも小さく、中央部領域よりも表面領域の方が緻密であった。
(Evaluation of density)
For each sample, image processing was performed on the image of the cross section to extract the image portion of the void, and the ratio of the total area of the image portion of the void to the area of the cross section was calculated to measure the void ratio.
To measure the void ratio, the prime field is cut at 1/2 in the length direction, and on the cut surface, four locations (one location on each surface) in a region of 1 μm or more and 100 μm from the surface of the prime field are each 1000 times. The image was taken with a scanning electron microscope (SEM) set to the magnification of, the voids contained in the cut surface were measured, and the average was calculated. In addition, the prime field was cut at 1/2 in the length direction, and four points in the central region of the prime field were photographed using a scanning electron microscope (SEM) set to a magnification of 1000 times each on the cut surface. Then, the void ratio was measured by measuring the voids contained in the cut surface and calculating the average.
As a result, except for sample numbers b9 to sample number b13, sample number b27, sample number b28, and sample number b32, the average porosity of a total of eight points in the surface region and the central region of the prime field is small, and the surface region of the prime field is small. The proportion of voids in the sample was smaller than the proportion of voids in the central region of the prime field, and the surface region was denser than the central region.
(混合粉における樹脂の割合)
図13は、混合粉における樹脂の量と素体の密度との関係を、縦軸を素体の密度(g/cm3)に設定し、横軸を混合粉中の樹脂量(重量%)に設定して示したものである。素体の成型条件は、温度180度、加圧力30MPa、加圧時間100秒である。図13において、樹脂量を2.0%より少なくすると素体の密度が低下している。これは、混合粉の流動性が低下して、素体を成型する際の混合粉の充填性が悪化しているためであると推認される。
(Ratio of resin in mixed powder)
In FIG. 13, the relationship between the amount of resin in the mixed powder and the density of the prime field is set to the density of the prime field (g / cm 3 ) on the vertical axis and the amount of resin (% by weight) in the mixed powder on the horizontal axis. It is shown by setting to. The molding conditions of the prime field are a temperature of 180 degrees, a pressing force of 30 MPa, and a pressurizing time of 100 seconds. In FIG. 13, when the amount of resin is less than 2.0%, the density of the prime field decreases. It is presumed that this is because the fluidity of the mixed powder is lowered and the filling property of the mixed powder when molding the prime field is deteriorated.
表1の試料による評価結果から、素体の強度と靭性を両立させたインダクタを構成するための混合粉における樹脂の好適な配合率として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上90重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下(上記第1樹脂配合率)が見出された。
From the evaluation results using the samples in Table 1, bisphenol A
[A-2-2.第2樹脂配合率の樹脂を用いた実施形態]
上記A-2-1に示した実施形態と同様に、上記第2樹脂配合率の樹脂を含む混合粉を用いて、インダクタの素体の試料を作成し、各試料の素体について評価を行った。混合粉における樹脂の割合は、上記A-2-1に示した実施形態と同様に、混合粉の2.0重量%以上3.5重量%以下である。
[A-2-2. Embodiment using the resin of the second resin compounding ratio]
Similar to the embodiment shown in A-2-1 above, a sample of the element body of the inductor is prepared using the mixed powder containing the resin of the second resin compounding ratio, and the element body of each sample is evaluated. rice field. The proportion of the resin in the mixed powder is 2.0% by weight or more and 3.5% by weight or less of the mixed powder, as in the embodiment shown in A-2-1.
表2の試料による評価結果から、素体の強度と靭性を両立させたインダクタを構成するための混合材材料における樹脂の好適な配合率として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下、フェノールノボラック型エポキシ樹脂1重量%以上30重量%以下(上記第2樹脂配合率)が見出された。特に、試料番号b14乃至b26、b29乃至b31で素体の靭性が優れていた。
From the evaluation results using the samples in Table 2, bisphenol A
[A-2-3.サイドギャップに関する実施形態]
図12に示した第2側面18とコイル30との間隔(サイドギャップ)SG1,SG2と、インダクタ1の耐湿性の良否を評価するために、以下の表3、表4に示した試料を作成して、耐湿性の評価を行った。
[A-2-3. Embodiment regarding side gap]
In order to evaluate the distance (side gap) SG1 and SG2 between the
(耐湿性の評価)
各試料について、温度を85℃、湿度を85%に設定した耐湿槽を用いた耐湿試験を行い、吸水による素子の重量増加が2重量%以下である場合をG(合格)とし、2を超えている場合をNG(不合格)とした。
(混合粉の仕様)
混合粉における樹脂の割合を2.0重量%以上3.5%以下、樹脂の配合は上記第1樹脂配合率とした。混合粉における大粒の軟磁性粒子(第1の軟磁性粒子)の平均粒径は21μm(表3の試料)又は28μm(表4の試料)であり、小粒の軟磁性粒子(第2の軟磁性粒子)の平均粒径は2μmである。
(Evaluation of moisture resistance)
A moisture resistance test was conducted on each sample using a moisture-resistant tank with a temperature of 85 ° C and a humidity of 85%, and when the weight increase of the element due to water absorption was 2% by weight or less, it was regarded as G (pass) and exceeded 2. If it is, it is regarded as NG (failure).
(Specifications of mixed powder)
The ratio of the resin in the mixed powder was 2.0% by weight or more and 3.5% or less, and the compounding of the resin was the above-mentioned first resin compounding ratio. The average particle size of the large soft magnetic particles (first soft magnetic particles) in the mixed powder is 21 μm (sample in Table 3) or 28 μm (sample in Table 4), and the small soft magnetic particles (second soft magnetic particles). The average particle size of the particles) is 2 μm.
以下、表3に示した試料b51~b60の評価について説明する。試料b54~b60は本発明の実施例であり、試料b51~b53は比較例である。
<実施例A-2-3-11(試料番号b54)
サイドギャップ小側25μm、サイドギャップ大側85μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-12(試料番号b55)>
サイドギャップ小側29μm、サイドギャップ大側81μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-13(試料番号b56)>
サイドギャップ小側33μm、サイドギャップ大側77μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-14(試料番号b57)>
サイドギャップ小側40μm、サイドギャップ大側70μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-15(試料番号b58)>
サイドギャップ小側45μm、サイドギャップ大側65μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-16(試料番号b59)>
サイドギャップ小側50μm、サイドギャップ大側60μmである素体を形成した。評価結果…G。
<実施例A-2-3-17(試料番号b60)>
サイドギャップ小側55μm、サイドギャップ大側55μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
Hereinafter, the evaluation of the samples b51 to b60 shown in Table 3 will be described. Samples b54 to b60 are examples of the present invention, and samples b51 to b53 are comparative examples.
<Example A-2-3-11 (Sample No. b54)
A prime field with a small side gap of 25 μm and a large side gap of 85 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-12 (sample number b55)>
A prime field with a small side gap of 29 μm and a large side gap of 81 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-13 (sample number b56)>
A prime field with a small side gap of 33 μm and a large side gap of 77 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-14 (sample number b57)>
A prime field having a small side gap of 40 μm and a large side gap of 70 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-15 (sample number b58)>
A prime field having a small side gap of 45 μm and a large side gap of 65 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-16 (sample number b59)>
A prime field having a small side gap of 50 μm and a large side gap of 60 μm was formed. Evaluation result ... G.
<Example A-2-3-17 (sample number b60)>
A prime field having a small side gap of 55 μm and a large side gap of 55 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
(比較例A-2-3-1)
<比較例A-2-3-11(試料番号b51)>
サイドギャップ小側0μm、サイドギャップ大側110μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例A-2-3-12(試料番号b52)>
サイドギャップ小側10μm、サイドギャップ大側100μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例A-2-3-13(試料番号b53)>
サイドギャップ小側18μm、サイドギャップ大側92μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
(Comparative Example A-2-3-1)
<Comparative Example A-2-3-11 (Sample No. b51)>
A prime field with a small side gap of 0 μm and a large side gap of 110 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
<Comparative Example A-2-3-12 (Sample No. b52)>
A prime field having a small side gap of 10 μm and a large side gap of 100 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
<Comparative Example A-2-3-13 (Sample No. b53)>
A prime field with a small side gap of 18 μm and a large side gap of 92 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
表3による評価結果から、平均粒径21μmの第1の軟磁性粒子について、サイドギャップ小側が、第1の軟磁性粒子の粒径の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲である素体について、良好な耐湿性が得られることが見出された。 From the evaluation results according to Table 3, for the first soft magnetic particles having an average particle size of 21 μm, the small side gap is a range larger than 1 times and smaller than 4 times the particle size of the first soft magnetic particles. It was found that good moisture resistance was obtained.
以下、表4に示した試料b61~b70の評価について説明する。試料b54~b60は本発明の実施例であり、試料b51~b53は比較例である。
(実施例A-2-3-2)
<実施例A-2-3-21(試料番号b65)
サイドギャップ小側29μm、サイドギャップ大側81μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-22(試料番号b66)>
サイドギャップ小側33μm、サイドギャップ大側77μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-23(試料番号b67)>
サイドギャップ小側40μm、サイドギャップ大側70μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-24(試料番号b68)>
サイドギャップ小側45μm、サイドギャップ大側65μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-25(試料番号b69)>
サイドギャップ小側50μm、サイドギャップ大側60μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例A-2-3-26(試料番号b70)>
サイドギャップ小側55μm、サイドギャップ大側55μmである素体を形成した。評価結果…G。
(Example A-2-3-2)
<Example A-2-3-21 (Sample No. b65)
A prime field with a small side gap of 29 μm and a large side gap of 81 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-22 (sample number b66)>
A prime field with a small side gap of 33 μm and a large side gap of 77 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-23 (sample number b67)>
A prime field having a small side gap of 40 μm and a large side gap of 70 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-24 (sample number b68)>
A prime field having a small side gap of 45 μm and a large side gap of 65 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-25 (sample number b69)>
A prime field having a small side gap of 50 μm and a large side gap of 60 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance G.
<Example A-2-3-26 (sample number b70)>
A prime field having a small side gap of 55 μm and a large side gap of 55 μm was formed. Evaluation result ... G.
(比較例A-2-3-2)
<比較例A-2-3-21(試料番号b61)>
サイドギャップ小側0μm、サイドギャップ大側110μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例A-2-3-22(試料番号b62)>
サイドギャップ小側10μm、サイドギャップ大側100μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例A-2-3-23(試料番号b63)>
サイドギャップ小側18μm、サイドギャップ大側92μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例A-2-3-24(試料番号b64)>
サイドギャップ小側25μm、サイドギャップ大側85μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
(Comparative Example A-2-3-2)
<Comparative Example A-2-3-21 (Sample No. b61)>
A prime field with a small side gap of 0 μm and a large side gap of 110 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
<Comparative Example A-2-3-22 (Sample No. b62)>
A prime field having a small side gap of 10 μm and a large side gap of 100 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
<Comparative Example A-2-3-23 (Sample No. b63)>
A prime field with a small side gap of 18 μm and a large side gap of 92 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
<Comparative Example A-2-3-24 (Sample No. b64)>
A prime field with a small side gap of 25 μm and a large side gap of 85 μm was formed. Evaluation result ... Moisture resistance NG.
表4による評価結果から、平均粒径28μmの第1の軟磁性粒子について、サイドギャップ小側が、第1の軟磁性粒子の粒径の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲である素体について、良好な耐湿性が得られることが見出された。 From the evaluation results according to Table 4, for the first soft magnetic particles having an average particle size of 28 μm, the small side gap is a range larger than 1 times and smaller than 4 times the particle size of the first soft magnetic particles. It was found that good moisture resistance was obtained.
[A-2-4.他の検討事項]
上記実施形態では、混合粉に含有させる樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂を採用した。ビスフェノールAエポキシ樹脂の上位概念はエポキシ樹脂であり、ゴム変性エポキシ樹脂の上位概念は可撓性を有するゴム又は樹脂である。
[A-2-4. Other considerations]
In the above embodiment, a bisphenol A type epoxy resin, a rubber-modified epoxy resin, and a phenol novolac type epoxy resin are adopted as the resin to be contained in the mixed powder. The superordinate concept of bisphenol A epoxy resin is epoxy resin, and the superordinate concept of rubber-modified epoxy resin is flexible rubber or resin.
そこで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂として、ビスフェノールA,F,S型のフェノキシ樹脂が挙げられる。また、ゴム変性エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂又はゴムとして、ウレタン変性、NBR(Acrylonitrile Butadiene Rubber)ゴム変性、CTBN(Carboxyl Terminated Butadiene Acrylonitrile)ゴム変性、CTBNゴムが挙げられる。また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂としては、ノボラック型に限定すると、クレゾール、ジシクロペンタジエン、フェノールアラルキル、ビフェニル、ナフトール、キシリレン、トリフェニルメタン、テトラキスフェノールエタンが挙げられ、ノボラック型に限定しなければナフタレン、ビフェニル、トリアジンも挙げられる。 Therefore, examples of the resin that can be considered as an alternative to the bisphenol A type epoxy resin include bisphenol A, F, and S type phenoxy resins. Examples of the resin or rubber for which alternative to the rubber-modified epoxy resin can be considered include urethane modification, NBR (Acrylonityl Butadiene Rubber) rubber modification, CTBN (Carboxyl Terminated Butadiene Acrylonirile) rubber modification, and CTBN rubber. In addition, as the resin for which alternatives to the phenol novolac type epoxy resin can be considered, cresol, dicyclopentadiene, phenol aralkyl, biphenyl, naphthol, xylylene, triphenylmethane, and tetrakisphenol ethane can be mentioned as limited to the novolak type. However, if not limited to the novolak type, naphthalene, biphenyl, and triazine can also be mentioned.
[B.コイル]
(導線)
インダクタ1において、コイル30に用いられる導線は、丸線及び平角線のどちらを用いても良いが(図3は平角線)、導線に平角線を用いることにより、巻回部32の形成時に導線同士の間に隙間を生じさせずに巻回すことが容易になる。
この巻回部32の巻数は、インダクタ1が実現する特性に応じて適宜に決定される。
また導線としては、好ましくは銅からなる銅線が用いられる。
[B. coil]
(Conductor)
In the
The number of turns of the winding
Further, as the conducting wire, a copper wire made of copper is preferably used.
例えばインダクタ1において、コイル30の巻回部32の寸法は、幅W方向の外形が1.17mm、内径が0.55mm、高さが0.4mmであることが好ましい。
また、厚みTのみが0.55±0.1mmに変更された寸法のインダクタ1においては、外形が1.17±0.05mm、内径が0.48±0.05mm、高さが0.30±0.05mmであることが好ましい。
For example, in the
Further, in the
ここで、コイル30の導線を平角線とした場合、平角線の厚みは、好ましくは0.118mm以下、より好ましくは0.113mm以下である。平角線の厚みを小さくすることにより、同じ巻数であってもコイル30が小さくなり、コイル部品全体の小型化に有利となる。また同じ大きさのコイル30であっても巻数を多くすることができる。
Here, when the lead wire of the
さらに、平角線の厚みは、好ましくは0.052mm以上、より好ましくは0.77mm以上であり得る。平角線の厚みを0.052mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。 Further, the thickness of the flat wire may be preferably 0.052 mm or more, more preferably 0.77 mm or more. By setting the thickness of the flat wire to 0.052 mm or more, the resistance of the conductor can be reduced.
また平角線の幅は、好ましくは0.203mm以下、より好ましくは0.183mm以下であり得る。
平角線の幅を小さくすることにより、コイル30を小さくすることができ、コイル部品全体の小型化に有利となる。
The width of the flat wire may be preferably 0.203 mm or less, more preferably 0.183 mm or less.
By reducing the width of the flat wire, the
さらに平角線の幅は、好ましくは0.141mm以上、より好ましくは0.162mm以上であり得る。平角線の幅を0.141mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。 Further, the width of the flat line may be preferably 0.141 mm or more, more preferably 0.162 mm or more. By setting the width of the flat wire to 0.141 mm or more, the resistance of the conductor can be reduced.
また平角線のアスペクト比(幅/厚み)は、1:1.3から1:3.4の間、好ましくは1:1.3であり得る。
なお、幅Wのみが0.55±0.1mmに変更され寸法のインダクタ1においては、厚みが0.113mm、幅が0.141mm、アスペクト比(幅/厚み)が1:1.3の導線がコイル30に用いられる。
アスペクト比を従前のものより小さくするほど、インダクタ1の高さHの方向に対する幅Wの方向のコイル30(導線)占有率が向上し、Rdc(直流抵抗)を低下させつつ飽和磁束密度Bsを向上させることができる。
The aspect ratio (width / thickness) of the flat line may be between 1: 1.3 and 1: 3.4, preferably 1: 1.3.
In the
The smaller the aspect ratio is, the better the coil 30 (lead wire) occupancy in the width W direction with respect to the height H direction of the
(絶縁被覆材)
絶縁被覆材60の絶縁被覆層を形成する材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドアミド樹脂が挙げられ、好ましくはポリイミドアミド樹脂である。
また絶縁被覆層の厚みは4μmが好ましい。
(Insulation coating material)
The material for forming the insulating coating layer of the insulating
The thickness of the insulating coating layer is preferably 4 μm.
絶縁被覆材60の融着被覆層を形成する材質としては、ポリアミド樹脂が挙げられる。
また、融着被覆層の厚みは、好ましくは1μm以上25μm以下、より好ましくは2μm以上25μm以下、さらに好ましくは2μm以上4μm以下である。
融着被覆層の厚みを上記の値とすることで、コイル30の巻回部32の大型化を抑えつつ、当該巻回部32の最外周において導線のスプリングバックによる剥離を十分に抑える融着力が得られ、コイル30の形状不良を防止することができる。
Examples of the material for forming the fused coating layer of the insulating
The thickness of the fused coating layer is preferably 1 μm or more and 25 μm or less, more preferably 2 μm or more and 25 μm or less, and further preferably 2 μm or more and 4 μm or less.
By setting the thickness of the fusional coating layer to the above value, the fusion force that sufficiently suppresses the peeling of the conducting wire due to the springback at the outermost periphery of the winding
[C.磁路]
[C-1.線間磁性粉]
インダクタ1は、磁性材料に金属磁性粒子からなる軟磁性材料を用いているので、フェライト等の磁性材料を使用する場合と比べ、良好な直流重畳特性を得ることができる。しかし、特にコイル30の巻回部32近傍の磁束密度が大きくなりすぎると、磁気飽和が発生するおそれがある。
ここで、図14(A)は、コイル30の下段の巻線部32Lを周囲材料と共に示す画像であり、図14(B)は、コイル30の上段の巻線部32Lを周囲材料と共に示す画像である。図14(A)及び(B)において、紙面上下方向が素体10の高さH方向に相当し、紙面左右方向が巻回部32の径方向に相当している。また、図中、符号CWは巻回部32の巻幅を示している。
[C. Magnetic circuit]
[C-1. Magnetic powder between lines]
Since the
Here, FIG. 14A is an image showing the lower winding
本構成では、磁束密度が局所的に飽和することを防止すべく、図14(A)及び(B)に示すように、小粒子である第2軟磁性粒子82の一部を、巻線部32L間に入り込ませて巻線部32L間に磁路を形成するようにしている。この巻線部32L間に第2軟磁性粒子82が入り込んだ構造を、線間磁性粉構造と表記する。
In this configuration, in order to prevent the magnetic flux density from being locally saturated, as shown in FIGS. 14A and 14B, a part of the second soft
線間磁性粉構造について説明する。
図14(A)及び(B)に示すように、大粒子である第1軟磁性粒子81は、巻線部32L間よりも大径であるので、巻線部32L間に入り込まない。一方、第2軟磁性粒子82は、第1軟磁性粒子81よりも小径であり、かつ、融着被覆層の厚さより小さい平均径に形成されている。このため、第2軟磁性粒子82は、第1軟磁性粒子81と巻線部32L間との間の領域10Sに入り、第2軟磁性粒子82を巻線部32L間に入り込ませ易くなる。
The line magnetic powder structure will be described.
As shown in FIGS. 14A and 14B, the first soft
本構成では、第1及び第2軟磁性粒子81,82を含む混合粉内にコイル30を配置して圧縮成型する素体成型・硬化工程の際に、第2軟磁性粒子82が、第1軟磁性粒子81と巻線部32Lとの間に積極的に入り込むように加圧力Pを従前よりも高い値に調整している。しかも、その圧縮成型の際に加熱を行うので、巻線部32L表面の絶縁被覆材60中の融着被覆層を溶融させ、溶融した融着被覆層内に第2軟磁性粒子82を入れ易くなる。
In this configuration, the second soft
より具体的には、図15に示すように上方から加圧力Pを作用させた場合に、コイル30の巻回部32及びその周囲には、上方から加圧力Pが作用するとともに、作用反作用の法則などにより、下方及び左右からも加圧力Pが作用する。これにより、コイル30の外周側から各巻線部32Lに向けて第2軟磁性粒子82に圧力を付与し、巻線部32L間に充填し易くなる。
このときの加圧力Pの条件には、加圧力Pの値だけでなく、加圧力Pを付与する時間などの加圧に関する各種パラメータを含めてもよい。この条件を適切に設定することによって、第2軟磁性粒子82を巻線部32L間に適切に充填し易くなる。この場合、更に、加熱の条件を調整したり、巻回部32と周囲壁(成型金型74及びパンチ76の内面)との間の距離などを調整したりすることによって、第2軟磁性粒子82を巻線部32L間により充填し易くしてもよい。
More specifically, when the pressing force P is applied from above as shown in FIG. 15, the pressing force P acts on the winding
The condition of the pressing force P at this time may include not only the value of the pressing force P but also various parameters related to the pressurization such as the time for applying the pressing force P. By appropriately setting this condition, it becomes easy to appropriately fill the second soft
同図14(A)及び(B)に示すように、巻線部32L間に、第2軟磁性粒子82からなる磁路を形成することにより、巻回部32近傍で磁束密度が局所的に飽和することを抑制でき、直流重畳特性を向上できる。
As shown in FIGS. 14A and 14B, the magnetic flux density is locally increased in the vicinity of the winding
次に、第2軟磁性粒子82からなる磁路の長さについて説明する。
コイル30の巻線部32Lの線幅95μm、コイル30の巻線部32Lの厚み180μm、コイル30の巻線部32L間の融着被覆層の厚さ6μm、第1軟磁性粒子81の平均粒径が10μm以上、第2軟磁性粒子82の平均粒径が5μm以下、加圧力P=300kg/cm2の条件で、巻線部32L間の第2軟磁性粒子82からなる磁路を5%ずつ異ならせて直流重畳定格電流Isatを算出する検討を行った。
直流重畳定格電流Isatは、インダクタンスが電流を重畳していない初期特性に対して一定割合低下するときの電流値であり、磁気飽和させずに流すことのできる最大電流の目安である。なお、初期インダクタンス値より約30%低下するときの電流値を直流重畳定格電流Isatと定義している。検討結果を表5に示している。
Next, the length of the magnetic path composed of the second soft
The line width of the winding
The DC superimposition rated current Isat is a current value when the inductance drops by a certain percentage with respect to the initial characteristic in which the current is not superimposed, and is a guideline for the maximum current that can be passed without magnetic saturation. The current value when the current value is about 30% lower than the initial inductance value is defined as the DC superimposition rated current Isat. The examination results are shown in Table 5.
比較例C1-1は、巻線部32L間の磁路の長さが零、つまり、第2軟磁性粒子82が巻線部232L間に存在していない場合である。比較例C1-2は、巻線部32L間の磁路の長さを、巻線部32L同士が接する長さの5%にした場合である。なお、巻線部32L同士が接する長さはコイル30の高さに相当する。
実施例C1-1は、巻線部32L間の磁路の長さを、巻線部32L同士が接する長さの10%にした場合を示している。実施例C1-2は、巻線部32L間の磁路の長さを、巻線部32L同士が接する長さの50%にした場合を示している。比較例C1-3は、巻線部32L間の磁路の長さを、巻線部32L同士が接する長さの55%にした場合を示している。なお、直流重畳定格電流Isatは、比較例C1の場合を値100としている。
Comparative Example C1-1 is a case where the length of the magnetic path between the winding
Example C1-1 shows a case where the length of the magnetic path between the winding
発明者等が検討したところ、巻線部32L間の磁路の長さが10%以上になると、巻線部32L間の磁路の長さが零の場合と比べて、直流重畳定格電流Isatの上昇が大きくなったので、磁路の長さは10%以上が好ましい。しかし、巻線部32L間の磁路の長さが55%を超えると、巻線部32L同士を接合する融着被覆層にひび割れが生じ、巻線部32L同士が剥がれ易くなるおそれが生じる。
As a result of examination by the inventors, when the length of the magnetic path between the winding
これらの事情を考慮すると、磁気飽和を抑制し、直流重畳特性を向上する観点からは、巻線部32L間の磁路の長さを10%以上にすることが好ましく、巻線部32L同士の剥がれを抑制する観点も考慮すると、10%以上、かつ50%以下にすることが好ましいと判断した。したがって、巻線部32L間の磁路の長さを10%~50%の範囲で設定することが好ましい。
Considering these circumstances, from the viewpoint of suppressing magnetic saturation and improving the DC superimposition characteristic, it is preferable that the length of the magnetic path between the winding
図16は、線間磁性粉構造のシミュレーション結果を示す特性曲線図である。
図16中、横軸は電流値を示し、縦軸はインダクタンス値(L値)を示している。また、図16において、比較例C1-4は、線間磁性粉構造を設けない場合を示しており、つまり、上下2段に巻回される巻回部32の上段と下段の間の面、上段の巻線部32L間、及び下段の巻線部32L間のいずれにも第2軟磁性粒子82が存在していない。
実施例C1-3は、巻回部32の上段と下段の間の面、上段の巻線部32L間、及び下段の巻線部32L間のそれぞれの全周に第2軟磁性粒子82を存在させた場合を示している。
実施例C1-4は、上段の巻線部32L間の上側半分、及び下段の巻線部32L間の下側半分に第2軟磁性粒子82を存在させた場合を示している。
実施例C1-6は、上段の巻線部32L間、及び下段の巻線部32L間の全周に第2軟磁性粒子82を存在させた場合を示している。
FIG. 16 is a characteristic curve diagram showing a simulation result of an interline magnetic powder structure.
In FIG. 16, the horizontal axis represents the current value, and the vertical axis represents the inductance value (L value). Further, in FIG. 16, Comparative Example C1-4 shows a case where the interline magnetic powder structure is not provided, that is, the surface between the upper and lower stages of the winding
In Example C1-3, the second soft
Example C1-4 shows a case where the second soft
Example C1-6 shows a case where the second soft
表6には、比較例C1-4、及び実施例C1-3~C1-6の初期インダクタンス値(初期L値)と直流重畳定格電流Isatのシミュレーション結果を示している。なお、コイル30の線幅、厚さ、及び融着被覆層の厚さなどの条件は表5の場合と同じである。
Table 6 shows the simulation results of the initial inductance values (initial L values) and the DC superimposition rated current Isat of Comparative Examples C1-4 and Examples C1-3 to C1-6. The conditions such as the line width and thickness of the
図16に示すように、実施例C1-3~C1-6については、比較例C1-4と比べ、0A~10Aの広い電流範囲で大きいインダクタンス値が得られており、磁気飽和を抑制し、直流重畳特性が向上していることを確認できる。また、表6に示すように、直流重畳定格電流Isatについても、実施例C1-3~C1-6が、比較例C1-4を上回っていることは明らかである。
また、実施例C1-3及びC1-6がほぼ同じ特性(インダクタンス値、及び直流重畳定格電流Isat)が得られ、かつ、他の実施例C1-4,C1-5と比べても、大きいインダクタンス値が得られている。実施例C1-3及びC1-6は、上段の巻線部32L間、及び下段の巻線部32L間に第2軟磁性粒子82を存在させる点が共通であることから、この点が、磁気飽和を抑制し、直流重畳特性を向上することに有利であると推定できる。
As shown in FIG. 16, in Examples C1-3 to C1-6, a large inductance value is obtained in a wide current range of 0A to 10A as compared with Comparative Example C1-4, and magnetic saturation is suppressed. It can be confirmed that the DC superimposition characteristics are improved. Further, as shown in Table 6, it is clear that the DC superimposition rated current Isat of Examples C1-3 to C1-6 exceeds that of Comparative Example C1-4.
Further, the characteristics (inductance value and DC superimposition rated current Isat) of Examples C1-3 and C1-6 are almost the same, and the inductance is larger than that of other Examples C1-4 and C1-5. The value is obtained. Examples C1-3 and C1-6 have in common that the second soft
このように、コイル30が埋設されるコア40が、大粒子の第1軟磁性粒子81と小粒子の第2軟磁性粒子82とを含み、第2軟磁性粒子82の一部が、第1軟磁性粒子81とコイル30の巻線部32L間との間の領域10Sに入って巻線部32L間に入り込み、巻線部32L間に磁路を形成するので、良好な直流重畳特性が得られる磁性粒子を用いても磁束密度が局所的に飽和することを抑制することができる。
As described above, the core 40 in which the
また、第2軟磁性粒子82は、隣接する巻線部32L同士が接する長さの10%以上の長さに渡って巻線部32L間に存在するので、10%未満の場合と比べ、磁束密度の局所的な飽和、つまり、磁気飽和をより抑制できる。
さらに、第2軟磁性粒子82は、隣接する巻線部32L同士が接する長さの50%以下の長さに渡って巻線部32L間に存在する構成にすることにより、巻線部32L同士を接合する融着被覆層にひび割れが生じ、巻線部32L同士が剥がれ易くなる事態を避け易くなる。
Further, since the second soft
Further, the second soft
また、隣接する巻線部32L同士は融着被覆層からなる融着剤によって接合され、第2軟磁性粒子82は、融着被覆層の厚さよりも小さい径に形成され、第2軟磁性粒子82の一部が融着被覆層内に入り込んで巻線部32L間に磁路を形成するので、隣接する巻線部32L同士を接合しながら巻線部32L間に効率よく磁路を形成でき、磁気飽和を効果的に抑制し易くなる。
Further, the adjacent winding
さらに、コア40の材料(第1及び第2軟磁性粒子81,82等)とコイル30とからなる素材を圧縮成型して素体10を形成する際に、第2軟磁性粒子82の一部が上記領域10Sに入り込むように、少なくとも圧縮成型時の加圧力Pを調整するので、巻線部32L間に磁路を容易に設けることができる。
なお、第2軟磁性粒子82の一部を巻線部32L間に入り込ませる方法は、加圧力Pの条件、加熱の条件などに限定しなくてもよい。例えば、第1及び第2軟磁性粒子81,82の径の調整、各粒子81,82間の表面層のすべり性の調整、及び、樹脂の選定などを適宜に組み合わせて、第2軟磁性粒子82を上記領域10Sに入り込ませ易くしてもよい。
Further, when the material of the core 40 (first and second soft
The method of inserting a part of the second soft
また、コイル30が、導線がつながった状態で上下多段(2段以上も含む)に巻回された巻回部32を有する場合、最上段、及び/又は最下段の巻線部32L間に第2軟磁性粒子82を存在させることが好ましい。これにより、磁気飽和の抑制に効果的な磁路を設けやすくなる。
なお、第2軟磁性粒子82の一部を巻線部32L間に入り込ませることが可能な範囲で、コア40の材料を適宜に増減したり、変更したりしてもよいし、コイル30などの形状を適宜に変更したりしてもよい。また、素体成型・硬化工程時に第2軟磁性粒子82を上記領域10Sに入り込ませる場合に限定されず、他の方法で、第2軟磁性粒子82を上記領域10Sに入り込ませるようにしてもよい。
Further, when the
The material of the core 40 may be appropriately increased or decreased or changed as long as a part of the second soft
また、コイル30の巻き方はアルファ巻に限定されず、例えばエッジワイズ巻でもよい。エッジワイズ巻などの場合も、融着被覆層によって接合された隣接する巻線部32L間に第2軟磁性粒子82によって磁路が形成されることで、磁気飽和を効果的に抑制し易くなる。
Further, the winding method of the
[C-2.磁気ギャップ]
インダクタ1に対し、コイル30の巻回部32近傍の磁束密度が飽和することを更に抑制すべく、巻回部32近傍に磁気ギャップを設けるようにしてもよい。
図19は、巻回部32近傍に磁気ギャップとなるエアギャップ40Kを設けた場合の画像である。
このエアギャップ40Kは、巻線部32Lの並び方向に延在し、磁束に略直交する。このエアギャップ40Kは、素体成型・硬化工程の際に形成されている。詳述すると、図15に示したように、コイル30の上下左右に加圧力Pを作用させることにより、コイル30の巻回部32の周囲にてコア材料である第1及び第2軟磁性粒子81,82などが圧縮される。その後、パンチ76を速やかに待避させたり、コア材料が固まりきっていない状態で型から素体10を取り出したりすること等によって、第1及び第2軟磁性粒子81,82などのスプリングバック(反発力)を利用して、巻回部32の周囲に図17に示すようなエアギャップ40Kが形成される。
[C-2. Magnetic gap]
In order to further suppress the saturation of the magnetic flux density in the vicinity of the winding
FIG. 19 is an image when an air gap 40K, which is a magnetic gap, is provided in the vicinity of the winding
The air gap 40K extends in the alignment direction of the winding
このスプリングバックには、第1軟磁性粒子81間、第2軟磁性粒子82間、第1及び第2軟磁性粒子81,82間の少なくともいずれかの反発が含まれる。これらの反発を適宜に利用して、磁気ギャップとして機能するエアギャップ40Kが形成される。なお、このスプリングバックに、コイル30とコア40(第1及び第2軟磁性粒子81,82)との間の反発を含めてもよい。
This springback includes at least one repulsion between the first soft
すなわち、圧縮成型時の加圧力P、加圧速度、加圧時間、パンチ76の待避速度、素体10の取り出しタイミングなどの圧縮成型時の各種条件を適宜に調整することによって、巻線部32Lの周囲に、巻線部32Lの並び方向に延在するエアギャップ40Kが形成される。これにより、磁気ギャップとして機能するエアギャップ40Kを容易に設け、このエアギャップ40Kにより、コイル30の巻回部32近傍の磁束密度の飽和を抑え、直流重畳特性を向上することができる。
That is, by appropriately adjusting various conditions at the time of compression molding such as the pressing force P at the time of compression molding, the pressurizing speed, the pressurizing time, the saving speed of the
次に、エアギャップ40Kの位置、長さ及び幅について説明する。
コイル30の巻線部32Lの線幅95μm、コイル30の巻線部32Lの厚さ180μm、コイル30の巻線部32Lの融着被覆層の厚さ4μm、第1軟磁性粒子81の平均粒径が10μm以上、第2軟磁性粒子82の平均粒径が5μm以下、加圧力P=300kg/cm2の条件で、エアギャップ40Kの位置、長さ及び幅を異ならせて直流重畳定格電流Isatを算出する検討を行った。直流重畳定格電流Isatは、初期インダクタンス値より約30%低下するときの電流値としている。
Next, the position, length and width of the air gap 40K will be described.
The wire width of the winding
表7には、エアギャップ40Kの位置の検討結果を示している。表7中の直流重畳定格電流Isatは、エアギャップ40Kが巻回部32から11μmの位置にある場合を値100とした場合を示している。
Table 7 shows the results of examining the position of the air gap 40K. The DC superimposition rated current Isat in Table 7 shows the case where the
表7に示すように、エアギャップ40Kが巻回部32から30μmの範囲では、巻回部32から離れるほど直流重畳定格電流Isatの値が大きくなり、50μmを超えると、Isatの値が100を下回った。発明者等の検討では、エアギャップ40Kが巻回部32から50μmの範囲以内が磁気飽和を抑制するのに効果的な範囲であり、換言すると、第1軟磁性粒子81の平均粒径の5倍の距離以内が磁気飽和を抑制するのに好適な範囲であった。より好ましくは、エアギャップ40Kが巻回部32から20μm以上、30μm以下の範囲にあることが望ましい。
As shown in Table 7, when the air gap 40K is in the range of 30 μm from the winding
表8には、エアギャップ40Kの長さKL(図17参照)の検討結果を示している。表8中の直流重畳定格電流Isatは、エアギャップ40Kの長さKLが巻回部32の巻幅CW(図17)の10%の場合を値100とした場合を示している。
Table 8 shows the examination results of the length KL of the air gap 40K (see FIG. 17). The DC superimposition rated current Isat in Table 8 shows a case where the length KL of the air gap 40K is 10% of the winding width CW (FIG. 17) of the winding
表8に示すように、巻回部32の巻幅CWの110%まではエアギャップ40Kが長くなるほど直流重畳定格電流Isatの値が大きくなった。発明者等の検討では、エアギャップ40Kの長さKLが、単一の巻線部32Lの幅以上(巻幅CWの33%以上)であることが磁気飽和を抑制するのに効果的であった。
一方、エアギャップ40Kの長さKLが巻幅CWを大きく超えると、より具体的には、巻幅CWの110%を超えると、エアギャップ40Kがコイル30の巻軸又は巻軸と平行な領域に直交し、インダクタンス値が大幅に低下するおそれが生じる。
As shown in Table 8, the value of the DC superimposition rated current Isat increased as the air gap 40K became longer up to 110% of the winding width CW of the winding
On the other hand, when the length KL of the air gap 40K greatly exceeds the winding width CW, more specifically, when it exceeds 110% of the winding width CW, the region where the air gap 40K is parallel to the winding shaft or the winding shaft of the
そこで、発明者等は、エアギャップ40Kの長さKLは単一の巻線部32Lの幅以上(巻回部32の巻幅CWの33%以上に相当)、巻回部32の巻幅CWの110%以下が好ましく、より好ましくは、単一の巻線部32Lの幅の1.5倍以上(巻回部32の巻幅CWの50%以上)、巻回部32の巻幅CW以下(100%以下)がよいと判断した。
Therefore, the inventors have stated that the length KL of the air gap 40K is equal to or larger than the width of a single winding
表9には、エアギャップ40Kの幅KW(図17参照)の検討結果を示している。この幅KWは、巻線部32Lの並び方向に直交するエアギャップ40Kの長さに相当している。表9中の直流重畳定格電流Isatは、エアギャップ40Kの幅KWが最小粒子の径未満である1μm未満の場合を値100とした場合を示している。
Table 9 shows the examination results of the width KW (see FIG. 17) of the air gap 40K. This width KW corresponds to the length of the air gap 40K orthogonal to the arrangement direction of the winding
表9に示すように、エアギャップ40Kの幅KWが10μmまでは幅KWが大きくなるほど直流重畳定格電流Isatの値が大きくなり、10μmと11μmでは直流重畳定格電流Isatの値が同じであった。また、エアギャップ40Kの幅KWが11μmを超えると、幅KWが第1軟磁性粒子81の平均粒径よりも大きくなり、第1軟磁性粒子81に固着している樹脂の軟磁性粒子固着強度が弱くなり、エアギャップ40Kの延在方向に沿って素体10にクラックが発生し易くなる。
したがって、エアギャップ40Kの幅KWは、第2軟磁性粒子82の平均粒径以上(5μm)以上、11μm以下が好ましく、より好ましくは、素体10のクラックを抑制可能な範囲で10μmに近い値が好ましい。
As shown in Table 9, until the width KW of the air gap 40K is 10 μm, the value of the DC superimposition rated current Isat increases as the width KW increases, and the value of the DC superimposition rated current Isat is the same at 10 μm and 11 μm. Further, when the width KW of the air gap 40K exceeds 11 μm, the width KW becomes larger than the average particle size of the first soft
Therefore, the width KW of the air gap 40K is preferably at least the average particle size (5 μm) of the second soft
図18は、エアギャップ40Kの有無に応じたシミュレーション結果を示す特性曲線図である。図18中、横軸は電流値を示し、縦軸はインダクタンス値(L値)を示しており、特性曲線K1はエアギャップ40K無しの場合を示し、特性曲線K2は、巻回部32の上下、内周及び外周に、巻回部32の長手方向及び短手方向の双方に、エアギャップ40Kが延在している場合を示している。
FIG. 18 is a characteristic curve diagram showing simulation results depending on the presence or absence of an air gap of 40K. In FIG. 18, the horizontal axis shows the current value, the vertical axis shows the inductance value (L value), the characteristic curve K1 shows the case without the air gap 40K, and the characteristic curve K2 shows the upper and lower parts of the winding
表10には、特性曲線K1,K2のそれぞれに対応する初期インダクタンス値(初期L値)と直流重畳定格電流Isatのシミュレーション結果を示している。なお、コイル30の線幅、厚さ、及び融着被覆層の厚さなどの条件は表5,K2の場合と同じである。
Table 10 shows the simulation results of the initial inductance value (initial L value) corresponding to each of the characteristic curves K1 and K2 and the DC superimposition rated current Isat. The conditions such as the line width and thickness of the
図18及び表10に示すように、シミュレーション結果からエアギャップ40Kありの方が磁気飽和を抑制できることが判り、特に、電流値0A以上、6A以下の範囲で磁気飽和の抑制効果が得られることが確認できる。 As shown in FIGS. 18 and 10, it can be seen from the simulation results that the magnetic saturation can be suppressed when the air gap is 40K, and in particular, the magnetic saturation suppressing effect can be obtained in the range of the current value of 0 A or more and 6 A or less. You can check it.
このように、素体10は、コイル30の巻回部32の外周、かつ、巻回部32から第1軟磁性粒子81の平均粒径の5倍の距離以内に、巻線部32Lが並ぶ方向に延在するエアギャップ40Kを有しているので、良好な直流重畳特性が得られる磁性粒子を用いても磁気飽和を抑制可能になる。
In this way, in the
しかも、エアギャップ40Kは、巻線部32Lが並ぶ方向で、単一の巻線部32Lの幅以上、巻回部32の巻幅CW以下の長さであり、巻線部32Lの径方向で、第2軟磁性粒子82の平均粒径以上、10μm以下の幅であるので、磁気飽和を効果的に抑制可能になる。
Moreover, the air gap 40K has a length equal to or greater than the width of a single winding
また、エアギャップ40Kは、コア40の材料とコイル30とからなる素材を圧縮成型して素体10を形成する際のスプリングバックを利用して形成されているので、エアギャップ40Kを容易に設けることができる。
なお、エアギャップ40Kを形成可能な範囲で、コア40の材料を適宜に増減したり、変更したりしてもよいし、コイル30などの形状を適宜に変更したりしてもよい。また、素体成型・硬化工程時にエアギャップ40Kを形成する場合に限定されず、他の方法でエアギャップ40Kを形成するようにしてもよい。
Further, since the air gap 40K is formed by using the springback when the material of the
The material of the core 40 may be appropriately increased or decreased or changed as long as the air gap 40K can be formed, or the shape of the
[D.素体研削]
本実施例において、インダクタ1の素体10には、平均粒径が大きな大粒子及び当該大粒子よりも平均粒径が小さな小粒子から成る軟磁性粉と樹脂との混合粉を圧縮成型して成型体が用いられている。
[D. Prime field grinding]
In this embodiment, a mixed powder of a soft magnetic powder and a resin composed of large particles having a large average particle size and small particles having an average particle size smaller than the large particles is compression-molded on the
図4に示した素体研削工程では、先述の通り、圧縮成型後の素体10の第2側面18(図1)に砥粒を作用させて幅Wが所定幅になるまで研削する工程である。この研削によって素体10が所定サイズまでダウンサイジングされ、素体10におけるコイル30の占有率が高められる。また素体10を研削加工によってダウンサイジングし所定サイズに加工する手法を採用することで、成型金型のキャビティの寸法調整によって素体10のサイズを所定サイズに制御する場合に比べ、素体10の寸法ばらつきを低減できる。この研削の後、第2側面18に研削によって生じた角を面取りするために例えばバレル研磨を行ってもよい。
In the prime field grinding step shown in FIG. 4, as described above, in the step of applying abrasive grains to the second side surface 18 (FIG. 1) of the
(研削装置)
図19は、素体研削に用いられる研削装置101の一例を模式的に示す図である。
研削装置101は、研削対象である素体10(ワーク)を保持する保持具102と、当該保持具102で保持された素体10を間に挟む上砥石103、及び下砥石104と、を備え、保持具102には、素体10が研削面である第2側面18を上下に向けた姿勢で保持される。
素体研削時には、研削装置101が上砥石103及び下砥石104を所定の荷重で上下の第2側面18のそれぞれに押し当てつつ、これら上砥石103及び下砥石104を上下の第2側面18に対して相対移動させることで、上砥石103及び下砥石104の砥粒105によって上下の第2側面18を同時に研削する(いわゆる両面研削)。
(Grinding device)
FIG. 19 is a diagram schematically showing an example of a grinding
The grinding
At the time of element grinding, the grinding
(砥粒の大きさ)
砥粒105の大きさは、研削レートと比例関係にあり、また砥粒105が大きくなるほど、研削面において軟磁性粉の粒子の脱粒が多く発生し表面粗さが大きくなることが発明者の実験によって確かめられている。
詳述すると、軟磁性粉の成型体を研削すると、砥粒105によって軟磁性粉の粒子が少なからず脱粒し、粒子の欠損による凹みが研削面に生じる。大粒子及び小粒子から成る軟磁性粉において、小粒子よりも大粒子の方が脱粒し易く、砥粒105を大きくするほど多くの大粒子が脱粒することで、研削面に比較的大きな凹みが多く発生し、これにより研削面の表面粗さが大きくなる。
表面粗さに関しては、表面粗さと荷重に相関関係が無いことが発明者の実験によって確かめられている。
(Size of abrasive grains)
The size of the
More specifically, when the molded body of the soft magnetic powder is ground, the particles of the soft magnetic powder are not a little deflated by the
Regarding the surface roughness, it has been confirmed by the inventor's experiment that there is no correlation between the surface roughness and the load.
なお、本実施例において、表面粗さの評価には算術平均高さを用いた。具体的には、測定対象の面において、所定大きさ(本実施例では約200μm×290μm)の複数(例えば3から4点)の測定エリアを設定し、各測定エリアにおける最大高さをレーザ顕微鏡で測定し、これら最大高さの平均から算出平均高さを求めた。レーザ顕微鏡には株式会社キーエンス社製の型式VK-X250を用いた。 In this example, the arithmetic mean height was used to evaluate the surface roughness. Specifically, a plurality of measurement areas (for example, 3 to 4 points) having a predetermined size (about 200 μm × 290 μm in this embodiment) are set on the surface to be measured, and the maximum height in each measurement area is determined by a laser microscope. The calculated average height was calculated from the average of these maximum heights. A model VK-X250 manufactured by KEYENCE CORPORATION was used as the laser microscope.
(研削速度)
研削速度(上砥石103及び下砥石104の移動速度)が大きくなるほど軟磁性粉の粒子の切削が生じ研削面の表面粗さは低くなること、及び、研削速度が上記研削レートと比例関係にあることが、発明者の実験によって確かめられている。
(Grinding speed)
As the grinding speed (moving speed of the
(研削レート)
研削レートについては、目標値が適宜に設定され、この目標値の実現に必要な砥粒105の大きさ及び研削速度が決定される。これら砥粒105の大きさ及び研削速度はそれぞれ、上述の通り、研削面の表面粗さと関係する。本実施例では、研削後の表面粗さを研削前よりも大きくし、さらには研削後の第2側面18の粗さを研削対象外の面である天面14及び実装面12よりも大きくするように、砥粒105の大きさ及び研削速度が設定されている。
研削によって表面粗さSaが大きくなることで、素体10の第2側面18を覆う素体保護膜50の固着強度が高められる。また素体10は、外部電極20を除き素体保護膜50によって表面が覆われており、かかる素体保護膜50によって素体10の耐湿性や防さび性、電気的絶縁性が高められている。
(Grinding rate)
For the grinding rate, a target value is appropriately set, and the size and grinding speed of the
By increasing the surface roughness Sa by grinding, the fixing strength of the prime field
(研削時間)
研削時間は、研削開始タイミングTsから研削終了タイミングTeまでの時間で定義され、素体研削前の素体10の幅Wと当該幅Wの目標値である所定幅との差、及び研削レートに基づいて決定される。
そして素体研削時には、制御装置(図示せず)が上記荷重プロファイル106及び研削時間に基づいて研削装置101の研削動作を制御することで、圧縮成型後の素体10の幅Wが所定幅になるまで研削が行われる。
(Grinding time)
The grinding time is defined by the time from the grinding start timing Ts to the grinding end timing Te. Determined based on.
At the time of grinding the prime field, the control device (not shown) controls the grinding operation of the grinding
(サイドギャップ)
サイドギャップSgは、図20に示すように、インダクタ1において、素体10の内部のコイル30から直近の第2側面18までの厚みで定義される。なお、素体10が素体保護膜50によって覆われている場合、サイドギャップSgは素体保護膜50を除いた厚みである。
そして、本実施例では、幅Wが所定幅まで研削された素体10において、サイドギャップSgが1個分の軟磁性粉の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きく、かつ、4個分の軟磁性粉の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さくなっている。換言すれば、本実施例において、所定幅に研削された素体10のサイドギャップSgが、かかる厚みとなるように、この所定幅及びコイル30の巻回部32の幅WLa(図20)の両方又は一方が予め調整されている。
(Side gap)
As shown in FIG. 20, the side gap Sg is defined by the thickness of the
Then, in this embodiment, in the
研削後の素体10において、サイドギャップSgの厚みを、少なくとも軟磁性粉の1個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きくすることで、研削によって第2側面18に脱粒が生じていたとしても、少なくとも1粒以上の大粒子が第2側面18とコイル30の間に残存するため、コイル30の露出が防止された状態となる。
また研削後の素体10において、サイドギャップSgの厚みを、軟磁性粉の4個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さい範囲に制限することで、素体10の大型化を防止しつつコイル30の占有率を十分に高い値に維持し、インダクタンスの低下を防止できる。
In the
Further, in the
表11及び表12は、インダクタ1におけるサイドギャップSgの最大値及び最小値、当該インダクタ1のインダクタンス値、及び耐湿性の測定結果を示す。
表11は、軟磁性粉の大粒子、及び小粒子の平均粒径がそれぞれ21μm、及び2μmのインダクタ1を測定したものであり、表12は、軟磁性粉の大粒子、及び小粒子の平均粒径がそれぞれ28μm、及び2μmのインダクタ1を測定したものである。
Tables 11 and 12 show the maximum and minimum values of the side gap Sg in the
Table 11 measures the
かかる軟磁性粉には、クロムレスのFe-Si系アモルファス合金粉と結晶質の純鉄とから成る磁性粉が用いられており、クロムレスのFe-Si系アモルファス合金粉の粒子が大粒子に相当し、純鉄が小粒子に相当する。大粒子の表面はSiO層とFe2SiO4層とが積層した酸化膜で覆われ、小粒子の表面はFeの酸化膜で覆われており、個々の粒子が酸化膜によって電気的絶縁性を有している。
そして、かかる軟磁性粉とエポキシ樹脂との混合粉を圧縮成型することで、インダクタ1の素体10を成型している。
したがって、素体表面には、樹脂、Fe又はFeの酸化物、リン酸塩ガラス及び、SiO2と炭素数が16の鎖長のアルキル基が存在することになる。
As the soft magnetic powder, a magnetic powder composed of chromeless Fe—Si based amorphous alloy powder and crystalline pure iron is used, and the particles of the chromeless Fe—Si based amorphous alloy powder correspond to large particles. , Pure iron corresponds to small particles. The surface of the large particles is covered with an oxide film in which a SiO layer and a Fe 2 SiO 4 layer are laminated, and the surface of the small particles is covered with an oxide film of Fe. Have.
Then, the
Therefore, a resin, an oxide of Fe or Fe, a phosphate glass, and an alkyl group having a chain length of SiO 2 and 16 carbon atoms are present on the surface of the prime field.
インダクタンス値についてはLCRメータで測定し、耐湿性については温度が85℃、湿度が85%の環境下にインダクタ1を曝して試験し、試験結果に基づいて、所定の製品品質基準に耐湿性が満たないものを「NG」としている。
The inductance value is measured with an LCR meter, and the humidity resistance is tested by exposing the
表11、及び表12に示される通り、サイドギャップSgの最小値が1個分の大粒子の平均粒径よりも大きければ、十分な耐湿性が得られることが分かる。またサイドギャップSgの最大値が大きくなるほどインダクタンス値が低下することが分かる。
またサイドギャップSgの最小値が1個分の大粒子の平均粒径よりも大きく、かつサイドギャップSgの最大値が4個分の大粒子の平均粒径よりも小さい範囲において、サイドギャップSgの最小値と最大値の比が1対1である場合に、耐湿性能、及びインダクタンス値が共に良好なインダクタ1が得られることが分かる。
As shown in Tables 11 and 12, it can be seen that sufficient moisture resistance can be obtained when the minimum value of the side gap Sg is larger than the average particle size of one large particle. Further, it can be seen that the inductance value decreases as the maximum value of the side gap Sg increases.
Further, in the range where the minimum value of the side gap Sg is larger than the average particle size of one large particle and the maximum value of the side gap Sg is smaller than the average particle size of four large particles, the side gap Sg It can be seen that when the ratio of the minimum value to the maximum value is 1: 1, the
以上説明したように、本実施例のインダクタ1は、コイル30が埋設された板状の成型体から成る素体10に一対の外部電極20を設けたインダクタ1であって、素体10は、平均粒径が異なる大粒子と小粒子からなる軟磁性粉及び樹脂の混合粉から成型されており、コイル30の径方向に位置する第2側面18から当該コイル30までの厚みであるサイドギャップSgが、1個分の大粒子に相当する厚みよりも大きく、かつ、4個分の大粒子に相当する厚みよりも小さい。
As described above, the
素体10のサイドギャップSgの厚みが、少なくとも軟磁性粉の1個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きいことで、少なくとも1粒以上の大粒子が第2側面18とコイル30の間に存在し、コイル30の露出が防止された状態となる。
また素体10のサイドギャップSgの厚みが、軟磁性粉の4個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さい範囲に制限されることで、素体10の大型化を防止しつつコイル30の占有率を十分に高い値に維持し、インダクタンスの低下を防止できる。これにより、小型でありながらも、実用的な直流抵抗及び飽和磁束密度が得られるインダクタ1が実現できる。
The thickness of the side gap Sg of the
Further, the thickness of the side gap Sg of the
本実施例のインダクタ1において、素体10の第2側面18は、素体保護膜50で覆われており、少なくとも他の1以上の面(実装面12及び天面14)よりも表面粗さが大きい。
これにより、第2側面18と素体保護膜50の固着強度を高めることができる。
In the
As a result, the adhesive strength between the
本実施例のインダクタ1において、素体10は、外部電極20を除き素体保護膜50によって表面が覆われている。
これにより、素体10の耐湿性や防さび性、電気的絶縁性が高められ、高品質なインダクタ1が得られる。
In the
As a result, the moisture resistance, rust resistance, and electrical insulation of the
[E.素体保護膜]
本実施例において、インダクタ1の素体10には、平均粒径が大きな大粒子及び当該大粒子よりも平均粒径が小さな小粒子から成る軟磁性粉と樹脂との混合粉を圧縮成型して成型体が用いられている。
[E. Prime field protective film]
In this embodiment, a mixed powder of a soft magnetic powder and a resin composed of large particles having a large average particle size and small particles having an average particle size smaller than the large particles is compression-molded on the
素体保護膜50は、外部電極20の箇所を除く素体10の全表面を覆い、素体10の電気的絶縁性、及び防さび性を高める層である。先述の素体研削工程において研削面(第2側面18)に軟磁性粉の大粒子の脱粒が生じたとしても、当該研削面を素体保護膜50が覆うことで電気的絶縁性及び防さび性の低下を防止できる。
The prime field
(素体保護膜形成工程・保護膜形成装置)
素体保護膜50は、図4を参照して説明した通り、素体保護膜形成工程において素体10の全表面に熱硬化性樹脂を含有する保護膜材料をスプレー(噴霧)やディップ(浸漬)などの適宜の手法で塗布することで形成される。
(Prime field protective film forming process / protective film forming device)
As described with reference to FIG. 4, the prime field
図21は素体保護膜形成に用いる保護膜形成装置201の一例を模式的に示す図である。
保護膜形成装置201は、ワーク208である多数の素体10の表面に保護膜材料をスプレーすることで塗膜する装置である。同図に示すように、保護膜形成装置201は、装置本体202に回転可能に設けられ、多数の素体10(ワーク208)が投入されるドラム203と、熱を供給するヒータ204と、ドラム203の排気経路となるダクト205と、ドラム203の中に配置されたスプレーノズル206と、を備える。
FIG. 21 is a diagram schematically showing an example of a protective
The protective
素体保護膜形成の際、保護膜形成装置201は、多数の素体10が投入されたドラム203をヒータ204によって熱硬化しない温度(例えば、30~70℃)に予熱する(予熱工程)。
次いで、保護膜形成装置201は、ドラム203を回転(いわゆるバレル回転)させて素体10を撹拌しながら、スプレーノズル206から保護膜材料を素体10に噴霧しつつ、不図示のエアーノズルからホットエアー207を素体10に吹き付けて素体10の表面に素体保護膜50を塗膜する(塗布工程)。この塗布工程における終盤では、保護膜形成装置201は、保護膜材料の噴霧を停止する一方で、素体10の撹拌、及びホットエアー207を素体10に吹き付けることで、素体10の素体保護膜50を適度に乾燥させる(乾燥工程)。そして素体保護膜50が乾燥した後に、素体10がドラム203から取り出される(ワーク取り出し工程)。
At the time of forming the element protective film, the protective
Next, the protective
乾燥工程において、乾燥が不十分な場合、素体保護膜50にポア(細孔)や膨潤が発生し、また素体10への素体保護膜50の密着性も悪くなる。乾燥が過度な場合、素体保護膜50がいわゆる不連続膜となり、また素体10への素体保護膜50の密着性も悪くなる。そこで乾燥は、素体保護膜50がいわゆる連続膜となり、かつ素体10への素体保護膜50の密着性が良好に維持される適度な程度で行われることが好ましい。
If the drying is insufficient in the drying step, pores (pores) and swelling occur in the prime field
(保護膜材料)
保護膜材料には、素体保護膜50の基材である樹脂種と、この樹脂種を希釈する溶剤種と、添加物であるフィラー種を混合液が用いられる。
(Protective film material)
As the protective film material, a mixed solution of a resin type which is a base material of the prime field
(樹脂種)
樹脂種には、エポキシ樹脂を主剤とし、フェノキシ樹脂及びノボラック樹脂の一方又は両方を添加した樹脂が好適に用いられる。フェノキシ樹脂を添加することで素体保護膜50の靱性が高められる。ノボラック樹脂を添加することで素体保護膜50の耐熱性が高められる。
樹脂種の樹脂には顔料が含まれていることが好ましい。
顔料を含む樹脂を用いることで、図4に示した素体保護膜形成工程、及び外部電極形成工程において、素体10の表面にレーザ光を照射して素体保護膜50を除去し外部電極20を形成する際の加工性を良くできる。顔料には、例えばカーボンブラックが好適に用いられる。
(Resin type)
As the resin type, a resin containing an epoxy resin as a main component and one or both of a phenoxy resin and a novolak resin added is preferably used. The toughness of the prime field
It is preferable that the resin of the resin type contains a pigment.
By using a resin containing a pigment, in the prime field protective film forming step and the external electrode forming step shown in FIG. 4, the surface of the
(溶剤種)
溶剤種には、上記塗布工程において樹脂種をミスト状にして噴霧でき、また乾燥工程において適度な乾燥性が得られる溶剤が用いられ、例えばペースト状の樹脂の希釈剤に用いられるメチルエチルケトン(MEK)等を含有する溶剤が好適に用いられる。
(Solvent type)
As the solvent type, a solvent that can spray the resin seed in the form of mist in the above coating step and that can obtain appropriate drying property in the drying step is used, for example, methyl ethyl ketone (MEK) used as a diluent for a paste-like resin. A solvent containing the above is preferably used.
(フィラー種)
フィラー種には、素体保護膜50に光沢を低減し、かつ素体保護膜50の膜質を良好とするフィラーであって、溶剤に分散するものが用いられる。
素体保護膜50の光沢が低減することで、カメラを用いたインダクタ1の外観検査時において色飛びによる誤判定を防止できる。かかるフィラーには、シリカ(SiO2)粉が好適に用いられる。
また、フィラー種は、保護膜材料を噴霧するスプレーノズル206の目詰まり防止、及び、ドラム203のバレル回転による素体10の表面へのダメージ低減を図るために、フィラーの粒子のサイズは小さいほど好ましく、シリカ粉をフィラーとする場合はナノシリカを用いることが好ましい。
(Filler type)
As the filler type, a filler that reduces the gloss of the prime field
By reducing the gloss of the prime field
Further, as for the filler type, the smaller the particle size of the filler, the smaller the size of the filler particles, in order to prevent clogging of the
(ナノシリカ)
発明者は、ナノシリカをフィラーとした場合に、塗布工程の終盤に行われる乾燥工程おける乾燥速度と、ナノシリカの含有量との間に相関があることを実験によって見出した。
(Nano silica)
The inventor has experimentally found that when nanosilica is used as a filler, there is a correlation between the drying rate in the drying step performed at the end of the coating step and the content of nanosilica.
図22は、ナノシリカの含有量と乾燥速度の実験結果を示す図である。
この実験では、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にMEK、フィラー種にナノシリカを用いて保護膜材料のサンプルを作成し、このサンプルを用いて素体10に素体保護膜50を形成し、更に外部電極20を形成してインダクタ1を構成した。そして、素体保護膜50の乾燥工程において、放置する乾燥放置時間と、素体保護膜50の固形分との関係を調べた。
保護膜材料のサンプルは、ナノシリカの含有量が0(含有なし)、50phr、100prh、200phrの4つを作成した。いずれのサンプルにも、平均粒径が45nmのシリカ粒子から成るナノシリカをフィラーに用いている。
シリカ粒子の平均粒径は、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の上下の第2側面18において、素体10の長さLを4等分した点のそれぞれにおいて素体保護膜50の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、30万倍に拡大して撮影し、シリカ粒子を観察した。透過型電子顕微鏡には、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)を用いて測定した。この電界放射型透過電子顕微鏡には、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)のシステム(サーモフィシャーサイエンティフィック株式会社製の型番:NORAN System 7)が付設された、日本電子株式会社製の多機能電子顕微鏡(型番:JEM-F200)を用いた。
FIG. 22 is a diagram showing experimental results of nanosilica content and drying rate.
In this experiment, a sample of the protective film material was prepared using epoxy resin as the resin type, MEK as the solvent type, and nanosilica as the filler type, and this sample was used to form the prime field
Four samples of the protective film material were prepared, in which the content of nanosilica was 0 (no content), 50 phr, 100 prh, and 200 phr. In each sample, nanosilica composed of silica particles having an average particle size of 45 nm is used as a filler.
The average particle size of the silica particles in the
図22に示されるように、ナノシリカの含有量が大きくなるほど短い乾燥放置時間でも固形分が高くなることが分かる。すなわち、保護膜材料におけるナノシリカの含有量を増やすことで乾燥速度を速め、乾燥工程の工程時間を短縮することができる。 As shown in FIG. 22, it can be seen that the larger the content of nanosilica, the higher the solid content even after a short drying time. That is, by increasing the content of nanosilica in the protective film material, the drying rate can be increased and the process time of the drying step can be shortened.
なお、この実験において乾燥後の素体保護膜50を観察結果、乾燥後の固定分が80%以下である場合、後述する「くっつき」が発生し、また固形分が90%程度であると、良好な膜質の素体保護膜50が得られるものの素体保護膜50の表面にクラックが発生することが分かった。
したがって、乾燥工程においては、固定分が80%から90%の範囲となるように乾燥することが好ましい。
As a result of observing the prime
Therefore, in the drying step, it is preferable to dry so that the fixed content is in the range of 80% to 90%.
(くっつき)
「くっつき」は、塗布工程において、ドラム203に複数の素体を投入してスプレー塗布した際に、素体10の素体保護膜50同士が接着する現象であり、素体保護膜50の品質低下の要因になる。発明者は、ナノシリカをフィラーとした場合に、当該ナノシリカのシリカ粒子の粒子径を変えることで、塗布工程中の「くっつき」が抑えられることを実験によって見出した。
(Sticking)
"Adhesion" is a phenomenon in which the element
図23は、ナノシリカのシリカ粒子の平均粒径と、くっつき発生率の実験結果を示す図である。
この実験では、保護膜材料として2つのサンプル1、2を作成した。
サンプル1は、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にPGM、フィラー種にナノシリカを用いた保護膜材料であり、サンプル2は、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にMEK、フィラー種にナノシリカを用いた保護膜材料である。サンプル1、2のいずれも、ナノシリカの含有量は200phrとした。
そして、上記塗布工程により、それぞれのサンプル1、2を用いて素体10に素体保護膜50を塗膜した後、上記ワーク取り出し工程において、ドラム203から素体10を取り出したときに互いに接着状態の素体10の個数を計数することで、くっつき発生率を求めた。
FIG. 23 is a diagram showing the experimental results of the average particle size of the silica particles of nanosilica and the rate of occurrence of sticking.
In this experiment, two
Then, in the coating step, the prime field
図23に示されるように、シリカ粒子の平均粒径が小さくなるほど、くっつき発生率が低下することがわ分かる。
溶媒種にMEKを用いたサンプル2と、溶剤種にPGMを用いたサンプル1とを比較すると、シリカ粒子の平均粒径が同じ場合、くっつき発生率はサンプル2の方が低いことが分かる。
またサンプル2については、シリカ粒子の平均粒径が45nm以下になると、くっつき発生率が顕著に低下することが分かる。
As shown in FIG. 23, it can be seen that the smaller the average particle size of the silica particles, the lower the rate of occurrence of sticking.
Comparing
Further, regarding the
サンプル1、2のいずれにおいても、シリカ粒子の平均粒径が12nm程度まで小さくなると、くっつき発生率が概ねゼロまで抑えられる。
しかしながら、シリカ粒子の平均粒径が12nmである場合、サンプル1、2のいずれにおいても、形成後の素体保護膜50の表面に、図24に示すクラックの発生が観察された。したがって、シリカ粒子の平均粒径は、12nmよりも大きいことが好ましく、クラックの発生がより確実に抑えられる15nm以上であることがより好ましい。
In both
However, when the average particle size of the silica particles was 12 nm, the occurrence of cracks shown in FIG. 24 was observed on the surface of the element
また、シリカ粒子の平均粒径が75nmを超えて大きくなると保護膜材料にフィラーの沈殿が顕著に生じることが観察された。この保護膜材料が塗膜に用いられると、仮にくっつきが生じなかったとしても、均一な素体保護膜50が得られない。したがって、シリカ粒子の平均粒径は、保護膜材料に沈殿が生じない粒子径である75nm以下であることが好ましい。
Further, it was observed that when the average particle size of the silica particles became larger than 75 nm, the filler was significantly precipitated in the protective film material. When this protective film material is used for a coating film, a uniform prime field
なお、平均粒径が15nmから75nmのシリカ粒子(シリカ粉)を、十分な乾燥速度が得られる含有量(150phrから250phr)だけ含む保護膜材料を用いて素体保護膜50を形成した場合、形成後の素体保護膜50においては、樹脂に対するシリカ粒子の重量比が概ね150%から250%となる。
換言すれば、かかる重量比の素体保護膜50が形成されている場合には、速い乾燥速度で、かつ「くっつき」も発生することなく素体保護膜50が形成されたことを示し、高品質な素体保護膜50が得られていると言える。
When the prime field
In other words, when the prime field
(めっき飛び)
図25は、素体保護膜50の厚みを変えて「めっき飛び」の数を計測した結果を示す図である。
「めっき飛び」とは、素体10の表面において素体保護膜50が塗布されていない箇所が発生し、意図しない箇所にめっきが形成されることである。例えば素体研削によって軟磁性粉の大粒子が脱粒することで、素体10の表面に比較的大きな凹みが生じていた場合には、当該凹みに保護膜材料が十分に入り込めずに「めっき飛び」が発生する要因となる。
(Plating skip)
FIG. 25 is a diagram showing the results of measuring the number of “plating skips” by changing the thickness of the prime field
“Plating skipping” means that a portion where the prime field
本計測では、素体10における天面14及び実装面12と、第1側面16及び第2側面18とが交差する稜線部分の全辺について、所定計測間隔ごとに「めっき飛び」の有無を確認し、「めっき飛び」が生じている箇所の数を計数した。
In this measurement, it is confirmed whether or not there is "plating skipping" at predetermined measurement intervals on all sides of the ridgeline portion where the
同図から分かるように、素体保護膜50の厚みが小さくなると、多くの「めっき飛び」が発生するものの、厚みが5μm以上であれば「めっき飛び」の数は顕著に減少し、10μ以上であれば「めっき飛び」は生じていないことが分かる。
したがって、素体保護膜50の厚みは10μm以上であることが好ましく、このような厚みとすることで、「めっき飛び」の発生を抑え素体10の全表面を素体保護膜50によって確実に保護することができる。
As can be seen from the figure, when the thickness of the prime field
Therefore, the thickness of the prime field
ただし、インダクタ1の素体10のサイズが規定の場合には、素体保護膜50の厚みが大きくなると、その分、素体保護膜50を除いた部分の素体10のサイズが縮小しコイル30も小さくなることからインダクタ1の性能が低下する。
また、インダクタ1は、素体保護膜50を除去した箇所に外部電極20が形成されるため、外部電極20よりも素体保護膜50が厚いと、外部電極20が素体保護膜50の表面から突出せず、外部電極20と基板との接触性が悪くなる。
そこで、素体保護膜50の厚みは、少なくとも外部電極20の厚み以下であることが好ましい。本実施例では、高さHが0.7±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmのサイズのインダクタ1の場合、外部電極20の厚みは、0.58mmから0.75mmの範囲であり、高さHが0.55±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmのサイズのインダクタ1の場合、外部電極20の厚みは、0.58mm~0.75mmであり、0.43から0.60mmの範囲である。素体保護膜50は、かかる外部電極20の厚み以下の範囲の中でも、高性能のインダクタ1を得るために30μm以下であることがより好ましい。
なお、外部電極20の厚みは次のように測定した。すなわち、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の実装面12に形成された外部電極20の長さ方向を4等分した点の膜厚をマイクロスコープを用いて1000倍に拡大して測定し、それぞれの平均を第1測定値として求めた。そして当該第1測定値を10個のインダクタ1について求め、それぞれの第1測定値の平均を、外部電極20の厚みとした。マイクロスコープには株式会社キーエンス社製の型番VHX-7000を用いている。
However, when the size of the
Further, in the
Therefore, the thickness of the prime field
The thickness of the
(脱粒対策)
成型体である素体10の表面が研削加工されている場合、上述の通り、研削時に軟磁性粉の粒子が少なからず脱粒する。本実施例では、平均粒径が大きな大粒子と平均粒径が小さな小粒子とから成る軟磁性粉が用いられているため、大粒子の脱粒によって比較的深い凹みが研削面(本実施例では第2側面18)に生じる。
(Countermeasures against threshing)
When the surface of the
表13は、素体保護膜50の厚みと、脱粒によって生じた凹みの深さと、防さび性能との実験結果を示す図である。
この実験の保護膜材料には図23に示す実験と同じサンプルを用いた。素体10の成型に用いる軟磁性粉には、大粒子の平均粒径が21μmから28μmのものを用いている。
素体保護膜50の厚みは次のように測定した。すなわち、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の上下の第2側面18において、素体10の長さLを4等分した点のそれぞれにおいて素体保護膜50の膜厚をマイクロスコープを用いて1000倍に拡大して測定し、それぞれの平均を第2測定値として求めた。そして当該第2測定値を10個のインダクタ1について求め、それぞれの第2測定値の平均を厚みの測定値としている(平均厚み)。マイクロスコープには株式会社キーエンス社製の型番VHX-7000を用いている。
防さび性は、所定の製品品質基準に防さび性が満たないものを「NG」、満足するものを「G」としている。
Table 13 is a diagram showing the experimental results of the thickness of the prime field
The same sample as in the experiment shown in FIG. 23 was used as the protective film material for this experiment. As the soft magnetic powder used for molding the
The thickness of the prime field
As for the rust resistance, those that do not meet the predetermined product quality standards are "NG", and those that satisfy the rust resistance are "G".
表13に示されるように、脱粒による凹みの深さに対して素体保護膜50の厚みが小さいと防さび性が悪く、素体保護膜50の品質が十分でないことが分かり、凹みの深さに対する素体保護膜50の厚みの比が0.4以上であると十分な防さび性が得られることが分かる。凹みの深さは、概ね大粒子の平均粒径に相当することから、素体保護膜50の厚みが大粒子の平均粒径の0.4倍以上であれば、表面に脱粒が生じていても十分な品質の素体保護膜50が得られる。
As shown in Table 13, if the thickness of the prime field
以上説明したように、本実施例のインダクタ1は、軟磁性粉および樹脂を含んで成る素体10と、素体10に埋設されたコイル30と、素体10に設けられた外部電極20とを有し、素体10の表面に素体保護膜50を有するインダクタ1であって、素体保護膜50は、厚みが10μm以上であり、シリカ粒子と樹脂とを含み、シリカ粒子の平均粒径は15~75nmであり、樹脂に対するシリカ粒子の重量比は150~250%である。
As described above, the
素体保護膜50の厚みが10μm以上であることで、「めっき飛び」の発生を抑え素体10の全表面を素体保護膜50によって確実に保護することができる。
素体保護膜50がシリカ粒子を含有することで、光沢が低減され、光学的手法を用いた外観検査時の誤判定を防止できる。
また素体保護膜50において、シリカ粒子の平均粒径が15~75nmであり、樹脂に対するシリカ粒子の重量比は150~250%であることで、素体保護膜形成において「くっつき」による劣化を受けていない高品位な素体保護膜50が得られる。
When the thickness of the prime field
Since the prime field
Further, in the prime field
本実施例において、素体保護膜50の厚みは外部電極20の厚み以下である。
これにより、外部電極20が素体保護膜50の厚みに阻害されることなく、基板の回路と良好に接触できる。
In this embodiment, the thickness of the prime field
As a result, the
本実施例において、素体保護膜50は、カーボンブラックを含有する。
これにより、外部電極20を形成するために素体保護膜50をレーザによって除去する際の加工性が高められる。
In this embodiment, the prime field
As a result, the workability when the prime field
本実施例において、素体保護膜50は、フェノキシ樹脂を含有する。
これにより、素体10の靱性を高めることができる。
In this embodiment, the prime field
This makes it possible to increase the toughness of the
本実施例において、素体保護膜50は、ノボラック樹脂を含有する。
これにより、素体10の耐熱性を高めることができる。
In this embodiment, the prime field
This makes it possible to increase the heat resistance of the
本実施例において、素体保護膜50の厚みは大粒子の平均粒径の0.4倍以上である。
これにより、表面に脱粒が生じていても十分な品質の素体保護膜50が得られる。
In this embodiment, the thickness of the prime field
As a result, the element
なお、本実施例において、酸化チタンや酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムをフィラー種に用いてもよい。 In this embodiment, titanium oxide, zirconium oxide, or aluminum oxide may be used as the filler species.
1 インダクタ
10 素体
10S 領域
12 実装面
14 天面
16 第1側面
18 第2側面
20 外部電極
30 コイル
32 巻回部
32L 巻線部
34 引出部
40 コア
40K エアギャップ(磁気ギャップ)
50 素体保護膜
60 絶縁被覆材
81 第1軟磁性粒子
82 第2軟磁性粒子
H 高さ
W 幅
L 長さ
P 加圧力
CW 巻回部の巻幅
KL エアギャップの長さ
KW エアギャップの幅
1
50 Prime field
Claims (4)
前記コアは、平均粒径が相対的に大きい第1軟磁性粒子と、平均粒径が相対的に小さい第2軟磁性粒子とを含み、
前記素体は、前記コイルの巻回部の外周、かつ、前記巻回部から前記第1軟磁性粒子の平均粒径の5倍の距離以内に、前記巻線部が並ぶ方向に延在するエアギャップを有している、
インダクタ。 In an inductor having a prime field including a coil having a winding portion composed of a plurality of winding portions and a core in which the coil is embedded.
The core contains first soft magnetic particles having a relatively large average particle size and second soft magnetic particles having a relatively small average particle size.
The prime field extends in the direction in which the winding portions are lined up on the outer periphery of the winding portion of the coil and within a distance of 5 times the average particle size of the first soft magnetic particles from the winding portion. Has an air gap,
Inductor.
請求項1に記載のインダクタ。 The air gap has a length equal to or greater than the width of a single winding portion and equal to or less than the winding width of the ticket winding portion in the direction in which the winding portions are lined up, and the first in the radial direction of the winding portions. 2 The width is equal to or more than the average particle size of the soft magnetic particles and not more than 10 μm.
The inductor according to claim 1.
請求項1又は2に記載のインダクタ。 The air gap is formed by utilizing a springback when the material of the core and the material of the coil are compression-molded to form the prime field.
The inductor according to claim 1 or 2.
前記コアは、平均粒径が相対的に大きい第1軟磁性粒子と、平均粒径が相対的に小さい第2軟磁性粒子とを含み、
前記コアの材料と前記コイルとからなる素材を圧縮成型して前記素体を形成する際のスプリングバックを利用して、前記素体に、前記コイルの巻回部の外周、かつ、前記巻回部から前記第1軟磁性粒子の平均粒径の5倍の距離以内に、前記巻線部が並ぶ方向に延在するエアギャップを形成する、
インダクタの製造方法。 In a method for manufacturing an inductor having a prime field including a coil having a winding portion composed of a plurality of winding portions and a core in which the coil is embedded.
The core contains first soft magnetic particles having a relatively large average particle size and second soft magnetic particles having a relatively small average particle size.
By utilizing the springback when the material composed of the core material and the coil is compression-molded to form the prime field, the outer circumference of the winding portion of the coil and the winding are formed on the prime body. An air gap extending in the direction in which the winding portions are lined up is formed within a distance of 5 times the average particle size of the first soft magnetic particles from the portions.
How to make an inductor.
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WO2023219096A1 (en) * | 2022-05-12 | 2023-11-16 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | Inductor and method for manufacturing inductor |
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